JP2013043791A - 変性中空シリカ微粒子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の変性中空シリカ微粒子は、下記一般式(1)で表されるシランカップリング剤により表面処理されている。
一般式(1):CH2=C(CH3)COO(CH2)3-Si(OR)3
(但し、Rは炭素数1〜2のアルキル基又は2-メトキシエトキシ基である)
【選択図】なし
Description
一般式(1):CH2=C(CH3)COO(CH2)3-Si(OR)3
(但し、Rは、炭素数1〜2のアルキル基又は2-メトキシエトキシ基である)
表面処理の対象となる中空シリカ微粒子そのものは、公知の中空シリカ微粒子を特に制限無く使用することができる。公知の中空シリカ微粒子としては、例えば特開平6−330606号公報や特開平11ー029318号公報に記載されているような、外周部が殻、中心部が中空で、殻は外側が緻密で内側ほど粗な濃度傾斜構造をもったコア・シェル構造である中空シリカ微粒子、特開平7−133105号公報に記載されているような、多孔性の無機酸化物微粒子の表面をシリカ等で完全に被覆することにより得られる中空シリカ微粒子、または、特開2001−233611号公に記載されているような、シリカとシリカ以外の無機酸化物からなる複合酸化物の核粒子にシリカ被覆層を形成し、ついでシリカ以外の無機酸化物を除去し、必要に応じてシリカを被覆することによって得られたナノメーターサイズの中空シリカ系微粒子などを挙げることができる。
中空シリカ微粒子については、その粒子径分布が単分散状態にあるものを使用することが好ましい。具体的には、粒子径変動係数(CV値)が10〜50%にあるものが好ましい。粒子径分布が単分散状態にあれば、塗膜のヘイズ上昇の抑制や、耐熱性効果の向上に有利となるからである。粒子径変動係数(CV値)が50%を超える場合や10%未満の場合は、粒子径の均一性が低いためこのような効果が得られ難くなる。
中空シリカ微粒子の形状については、球状が好ましい。「球状」とは、目視により棒状、勾玉状、細長形状、数珠状、卵状などの異形粒子であると認められない程度であれば構わない。より好適には、真球度が0.90〜1.00の範囲にあるものが推奨される。ここで「真球度」とは、透過型電子顕微鏡により写真撮影して得られる写真投影図における任意の50個の粒子について、それぞれその最大径(DL)と、これと直交する短径(DS)との比(DS/DL)の平均値を意味する。真球度が0.90未満の場合は、微粒子が球状であるとは云えず、上記異形粒子に該当するものを含む場合が生じる。真球度が0.90〜1.00であれば構造的に安定するため、中空シリカ微粒子の強度の点で好ましいものとなる。なお、真球度が0.90に満たない中空シリカ微粒子については、いわゆる水熱処理を行って、真球度を0.90〜1.00の範囲に調整してから、本発明における中空シリカ微粒子として適用することができる。水熱処理の条件としては、100〜200℃にて、1〜24時間の処理を行う方法を挙げることができる。また、水熱処理には、オートクレーブを使用することも推奨される。
中空シリカ微粒子の組成については、シリカを含有するものであれば格別に制限されるものではなく、中空シリカ微粒子の製造原料に起因してシリカ以外の元素または化合物が残存していても構わない。このような残存する元素および化合物の例としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化セリウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができる。
中空シリカ微粒子の製造方法としては、従来から公知の製造方法を特に制限なく使用できる。公知の製造方法の例としては、特表2000−500113号公報に記載されたような、珪酸アルカリ金属水溶液から活性シリカをシリカ以外の材料からなるコア上に沈殿させ、該材料をシリカシェルを破壊させることなく除去することによって、稠密なシリカシェルからなる中空粒子を製造する方法や、特開2001−233611号公報に記載されているような、シリカとシリカ以外の無機酸化物からなる複合酸化物の核粒子にシリカ被覆層を形成し、ついでシリカ以外の無機酸化物を除去し、必要に応じてシリカを被覆してなるナノメーターサイズの中空シリカ系微粒子の製造方法などを挙げることができる。
このような変性中空シリカ微粒子を、下記一般式(1)で表されるメタクリロイル基を有するシランカップリング剤により表面処理する。
一般式(1):CH2=C(CH3)COO(CH2)3-Si(OR)3
(但し、Rは炭素数1〜2のアルキル基又は2-メトキシエトキシ基である)
表面処理の方法としては、中空シリカ微粒子の分散液に、酸又はアルカリの存在下、シランカップリング剤及び/又はその部分加水分解物を添加し反応させる。酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。また、アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。
変性中空シリカ微粒子の平均粒子径は、40〜70nmとすることが好ましい。変性中空シリカ微粒子の平均粒子径が40nmを下回ると、塗膜の屈折率を有効に低下させ難くなる傾向がある。一方、変性中空シリカ微粒子の平均粒子径が70nmを上回ると、帯電防止機能を有する塗膜を形成した場合に、表面が白っぽくなってしまう傾向がある。なお、本発明において「平均粒子径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)及び動的散乱法にて測定した値である。
日機装株式会社製ナノトラック(Nanotrac)粒度分布測定装置 UPA-EX150にて粒度分布及び平均粒子径を測定した。その値から平均粒子径および粒子径の標準偏差を求め、動的光散乱法に基づく下記式から算定した。
変動係数(CV値)=(粒子径標準偏差(σ)/平均粒子径(Dn))×100
(1)シリカ系微粒子分散液をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させる。
(2)これを120℃で乾燥し、粉末とする。
(3)屈折率が既知の標準屈折液を2〜3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉末を混合
する。
(4)(3)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になったときの標準屈折液の屈折率を微粒子の屈折率とする。
デジタル絶縁計〔東亜DKK(株)製、商品名:SM−8220〕を用いて、評価用フィルムの表面抵抗率(Ω/□)を測定した。
(株)本光製作所製消しゴム摩耗試験機の先端に、#0000のスチールウールを固定し、2.5N(250gf)及び1N(100gf)の荷重をかけて、評価用フィルム表面上を10回往復摩擦した後の表面の傷を目視で観察し、以下のA〜Eの6段階で評価した。
A:傷なし、A':傷1〜3本、B:傷4〜10本、C:傷11〜20本、D:傷21〜30本、E:31本以上
測定面の裏面反射を除くため、裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗り潰したものを分光光度計〔日本分光(株)製、商品名:U−best560〕により、光の波長380nm〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。得られる光の波長380nm〜780nmの分光反射率と、CIE標準イルミナントD65の相対分光分布を用いて、JIS Z8701で想定されているXYZ表色系における、反射による物体色の三刺激値Yを視感度反射率(%)とした。
平均粒径5nm、SiO2濃度20重量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として1.17重量%の珪酸ナトリウム水溶液9000gとAl2O3として0.83重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20重量%のSiO2・Al2O3核粒子分散液を調製した。
製造例1によって得られた中空シリカ微粒子100g(水分量はSiO2分に対して0.5%)へ28%アンモニア水溶液を、中空シリカ微粒子100gに対してアンモニアとして100ppmとなるように加えて十分に混合し、次に、シランカップリング剤として3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-503、信越化学工業(株)製)3.6gを添加し、反応液とした。
実施例1のシランカップリング剤を、表1に示すように一般式におけるRの異なるシランカップリング剤へ変更した以外は、実施例1に準じて変性中空シリカ微粒子を調製した。
製造例1におけるSiO2・Al2O3一次粒子分散液の調製において、SiO2として1.17重量%の珪酸ナトリウム水溶液9000gの変わりに0.76重量%の珪酸ナトリウム水溶液、Al2O3として0.83重量%のアルミン酸ナトリウム9000gの変わりに1.25重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gを添加した以外は、製造例1と同様にして調整した。得られた中空シリカ微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)及び動的散乱法にて観察したところ、平均粒子径が63nmで、外層の厚さが10nmの中空シリカ微粒子であることが分かった。
製造例2によって得られた中空シリカ微粒子100g(水分量はSiO2分に対して0.5%)へ28%アンモニア水溶液を、中空シリカ微粒子100gに対してアンモニアとして100ppmとなるように加え、十分に混合し、次に3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン〔商品名:KBM-503、信越化学工業(株)製〕3.6gを添加し、反応液とした。
[0000]
これを50℃に加温し、撹拌しながら50℃で6時間加熱を行なった。加熱終了後、反応液を常温まで冷却し、さらにロータリーエバポレーターでメチルイソブチルケトンへ溶媒置換を行い、SiO2濃度20%の被覆中空微粒子からなる変性中空シリカ微粒子の分散液を得た。この変性中空シリカ微粒子は、平均粒子径が65nmであった。
実施例1のシランカップリング剤を、表1に示すようにγ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン〔商品名:KBM-5103、信越化学工業(株)製〕に変更した以外は、実施例1に準じて変性中空シリカ微粒子を調製した。
実施例4のシランカップリング剤を、表1に示すようにγ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン〔商品名:KBM-5103、信越化学工業(株)製〕に変更した以外は、実施例4に準じて変性中空シリカ微粒子を調製した。
(a)実施例1のオルガノゾル(変性中空シリカ微粒子ゾル)を固形分換算で60部、(b)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、商品名:DPHA、6官能アクリレート〕を40部、(c)導電ポリマーとして、π共役系導電性高分子であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(ドーパント)=1/2.5の複合体〔荒川化学(株)製、商品名:EL−1B〕を固形分換算で3部、光重合開始剤〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュア907〕を5部、シリコーン系スリップ剤[ビックケミージャパン(株)製、商品名:BYKUV−3570]を8部、酸化アルミナ微粒子[ビックケミージャパン(株)製、商品名:nanoBYK−3601]を0.5部、シリコーン系スリップ剤[信越シリコーン(株)製、商品名:TIC-2457]を5部、イソプロピルアルコールを4308部、ノルマルブチルアルコール800部及びジアセトンアルコール12部を混合して塗液L−1を調製した。
(a)実施例2〜4で得られた変性中空シリカ微粒子ゾル、(b)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、商品名:DPHA、6官能アクリレート〕、(c)導電ポリマーであるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の配合量を、表2に示すとおりに変更する以外は、塗液L−1と同様にして塗液L−2〜L−8を調製した。
(a)比較例1〜4で得られた変性中空シリカ微粒子ゾル、(b)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬(株)製、商品名:DPHA、6官能アクリレート〕、(c)導電ポリマーであるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の配合量を表3に示すとおりに変更する以外は、L−1と同様にして塗液L−9〜L−12を調製した。
厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔東洋紡績(株)製、商品名:A4100〕の上に、各塗液を光学膜厚がkλ/4(k:1、λ:550nm)になるようにグラビアコート法で塗布し、乾燥後、窒素雰囲気下で400mJ/cm2の出力にて紫外線を照射して硬化させることにより、評価用フィルム(反射防止フィルム)を作製した。得られた評価用フィルムについて、表面抵抗率、耐擦傷性及び視感度反射率の評価を上述の方法で行った。これらの評価結果も表2・3に示す。
厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔東洋紡績(株)製、商品名:A4100〕の上に、酸化ジルコニウム微粒子を含むハードコート塗液(DNTナノフェイスOZr−3HC−R66、大日本塗料株式会社製)を、1μmの厚さになるようにグラビアコート法で塗布し、乾燥後、大気下で400mJ/cm2の出力にて紫外線を照射して硬化させることにより、ハードコートフィルムを作製した。
評価例2−1において、塗液L−1の代わりに塗液L−2〜L−8を用いた以外は、評価例2−1と同様にして、評価用フィルムを得た。得られた評価用フィルムについて、表面抵抗率、耐擦傷性及び視感度反射率の評価を行い、それらの結果を表4に示す。
評価例2−1において、塗液L−1の代わりに塗液L−9〜L−12を用いた以外は、評価例2−1と同様にして、評価用フィルムを得た。得られた評価用フィルムについて、表面抵抗率、耐擦傷性及び視感度反射率の評価を行い、それらの結果を表5に示す。
Claims (2)
- 下記一般式(1)で表されるシランカップリング剤により表面処理された、変性中空シリカ微粒子。
一般式(1):CH2=C(CH3)COO(CH2)3-Si(OR)3
(但し、Rは炭素数1〜2のアルキル基又は2-メトキシエトキシ基である) - 平均粒子径が40〜70nmである、請求項1に記載の変性中空シリカ微粒子。
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