JP2017134094A - 防眩膜付き基材、膜形成用塗布液およびその製造方法 - Google Patents

防眩膜付き基材、膜形成用塗布液およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防眩性および反射防止性に優れた防眩膜付き基材の提供。【解決手段】防眩膜付き基材1は、ガラス基材3と、ガラス基材3上に設けられた、表面に凹凸を有する防眩膜5とを備え、防眩膜5が、電界放出形走査電子顕微鏡により各々測定される平均長径が100〜1,500nm、平均アスペクト比が10〜80である第一の粒子51と、電界放出形走査電子顕微鏡により各々測定される平均一次粒子径が40〜200nm、平均アスペクト比が1〜5である第二の粒子53と、シリカ系マトリックス55とを含むことを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、防眩膜付き基材、膜形成用塗布液およびその製造方法に関する。
従来、太陽電池モジュールの光入射面に配置されるガラス基材(カバーガラス)や画像表示装置の表示面に配置されるガラス基材に、反射防止性や防眩(アンチグレア)性を有するガラス基材を用いることが行われている。カバーガラスが反射防止性を有すると、太陽光の透過率が高くなり、発電効率が高まる。カバーガラスが防眩性を有すると、光入射面での反射光による光害を抑制できる。
防眩性を有するカバーガラスとしては型板ガラスが用いられることが多い。しかし、型板ガラスの場合、あまり薄くすることができず、軽量化が難しい。
ガラス基材の表面をエッチングする、ガラス基材上に湿式塗布法により防眩膜を形成する等の防眩処理によって凹凸を形成し、防眩性を付与することも行われている。
特許文献1には、複数の板状シリカ粒子、溶媒、バインダー材料等を含み、複数の板状シリカ粒子の少なくとも一部が複数の花状構造(三次粒子)を形成しているゾル−ゲル製剤を透明基板上に付着させ、光学塗膜を形成する方法が提案されている。この光学塗膜は、防眩性と反射防止性とを同時に有し得るとされている。
米国特許出願公開第2014/0268349号明細書
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1の方法により形成される光学塗膜の反射防止効果は不充分である。
本発明は、防眩性および反射防止性に優れた防眩膜付き基材を提供することを目的とする。
本発明は、防眩性および反射防止性に優れた膜を形成できる膜形成用塗布液およびその製造方法を提供することを他の目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
〔1〕ガラス基材と、前記ガラス基材上に設けられた、表面に凹凸を有する防眩膜とを備え、
前記防眩膜が、
電界放出形走査電子顕微鏡により各々測定される平均長径が100〜1,500nm、平均アスペクト比が10〜80である第一の粒子と、
電界放出形走査電子顕微鏡により各々測定される平均一次粒子径が40〜200nm、平均アスペクト比が1〜5である第二の粒子と、
シリカ系マトリックスと、を含むことを特徴とする防眩膜付き基材。
〔2〕前記防眩膜の表面における20°鏡面光沢度が45%以下である、〔1〕の防眩膜付き基材。
〔3〕前記防眩膜の表面の算術平均高さ(Sa)が140〜350nmである、〔1〕または〔2〕の防眩膜付き基材。
〔4〕前記防眩膜の平均膜厚が300〜30,000nmである、〔1〕〜〔3〕のいずれかの防眩膜付き基材。
〔5〕動的光散乱法により測定される平均粒子径が200〜3,000nm、走査型プローブ顕微鏡により測定される平均厚みに対する透過型電子顕微鏡により測定される平均粒子径の比として求められる平均アスペクト比が200〜2,000である板状の第一の粒子と、
動的光散乱法により測定される平均粒子径が40〜200nm、透過型電子顕微鏡により測定される平均短径に対する平均長径の比として求められる平均アスペクト比が1〜5である球状の第二の粒子と、
下式(i)で表されるシランカップリグ剤、その加水分解物およびその縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、前記式(i)中のmの平均値が0.7〜1であるマトリックス前駆体と、
液状媒体と、を含むことを特徴とする膜形成用塗布液。
SiR4−m ・・・(i)
(式中、Rはアルキル基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロイル基およびアクリロイル基から選ばれる少なくとも1種の有機基を含む基であり、Xはアルコキシ基である。)
〔6〕動的光散乱法により測定される平均粒子径が4,000nm以上の粒子の含有量が、全固形分に対して4質量%以下である、〔5〕の膜形成用塗布液。
〔7〕前記マトリックス前駆体と、前記第一の粒子および前記第二の粒子の合計との質量比が2/1〜10/1である、〔5〕または〔6〕の膜形成用塗布液。
〔8〕前記第二の粒子と前記第一の粒子との質量比が0.5/1〜4/1である、〔5〕〜〔7〕のいずれかの膜形成用塗布液。
〔9〕動的光散乱法により測定される平均粒子径が200〜3,000nm、走査型プローブ顕微鏡により測定される平均厚みに対する透過型電子顕微鏡により測定される平均粒子径の比として求められる平均アスペクト比が200〜2,000である板状の第一の粒子の分散液と、
動的光散乱法により測定される平均粒子径が40〜200nm、透過型電子顕微鏡により測定される平均短径に対する平均長径の比として求められる平均アスペクト比が1〜5である球状の第二の粒子の分散液と、
下式(i)で表されるシランカップリング剤、その加水分解物およびその縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、前記式(i)中のmの平均値が0.7〜1であるマトリックス前駆体の溶液と、を混合して膜形成用塗布液を得る、膜形成用塗布液の製造方法。
SiR4−m ・・・(i)
(式中、Rはアルキル基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロイル基およびアクリロイル基から選ばれる少なくとも1種の有機基を含む基であり、Xはアルコキシ基である。)
本発明の防眩膜付き基材は、防眩性および反射防止性に優れる。
本発明の膜形成用塗布液によれば、防眩性および反射防止性に優れた膜を形成できる。
本発明の膜形成用塗布液の製造方法によれば、防眩性および反射防止性に優れた膜を形成できる膜形成用塗布液が得られる。
本発明の第一実施形態の防眩膜付き基材を模式的に示す断面図である。 図1に示す防眩膜付き基材の防眩膜を模式的に説明する図である。 [実施例]中の例6で得た防眩膜付き基材の断面の電界放出形走査型電子顕微鏡(FE−SEM)像である。 [実施例]中の例24で得た防眩膜付き基材の断面の電界放出形走査型電子顕微鏡(FE−SEM)像である。 [実施例]中の例25で得た防眩膜付き基材の断面の電界放出形走査型電子顕微鏡(FE−SEM)像である。 [実施例]中の試験例1において、熱処理温度200℃で得た防眩膜付き基材の断面の電界放出形走査型電子顕微鏡(FE−SEM)像である。 上記試験例1において、熱処理温度270℃で得た防眩膜付き基材の断面の電界放出形走査型電子顕微鏡(FE−SEM)像である。 上記試験例1において、熱処理温度450℃で得た防眩膜付き基材の断面の電界放出形走査型電子顕微鏡(FE−SEM)像である。 上記試験例1において、200℃、270℃、450℃それぞれの熱処理温度で得た防眩膜付き基材および防眩膜を形成する前のガラス基材それぞれの波長300〜1200nmにおける透過率を示すグラフである。
本明細書において数値範囲を示す「〜」とは、特段の定めがない限り、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
<防眩膜付き基材>
図1は、本発明の第一実施形態の防眩膜付き基材を模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態の防眩膜付き基材の防眩膜を模式的に説明する図である。
本実施形態の防眩膜付き基材1は、ガラス基材3と、ガラス基材3上に形成された防眩膜5とを備える。防眩膜5は表面に凹凸を有する。
(ガラス基材)
ガラス基材3を構成するガラスとしては、特に限定されず、たとえばソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。
ガラス基材3は、フロート法、フュージョン法、ダウンドロー法等により成形されたガラス板等の表面が平滑なガラス板であってもよく、ロールアウト法等で形成されたガラス板等の表面に凹凸を有する型板ガラスであってもよい。防眩膜5を設けることの有用性、薄型化が容易な点では、平滑であることが好ましい。ガラス基材3の表面の算術平均粗さSaは、10nm以下であることが好ましく、5nm以下がより好ましく、2nm以下がさらに好ましく、1nm以下が特に好ましい。ここで言うSaは、キーエンス社製レーザー顕微鏡VK−X250を用いて測定した値である。
ガラス基材3は、図示するような平坦な形状のガラス板に限定されず、曲面を有する形状のガラス板であってもよい。最近では、画像表示装置を備える各種機器(テレビ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、カーナビゲーション等)において、画像表示装置の表示面が曲面とされたものが登場している。ガラス基材3が曲面を有する形状である防眩膜付き基材1は、このような画像表示装置用として有用である。
ガラス基材3が曲面を有する場合、ガラス基材3の表面は、全体が曲面で構成されてもよく、曲面である部分と平坦である部分とから構成されてもよい。表面全体が曲面で構成される場合の例として、たとえば、ガラス基材の断面が円弧状である場合が挙げられる。
なお、ここでの曲面は、レーザ顕微鏡で観察される観察領域では無視できる程度のマクロ的な曲面である。
ガラス基材3が曲面を有する場合、該曲面の曲率半径(以下、「R」ともいう。)は、防眩膜付き基材1の用途、ガラス基材3の種類等に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、25,000mm以下であることが好ましく、10〜5,000mmがより好ましく、50〜3,000mmが特に好ましい。Rが前記の上限値以下であれば、平板に比較し、意匠性に優れる。Rが前記の下限値以上であれば、防眩膜5を均一に形成しやすい。
ガラス基材3の厚みは特に限定されない。たとえば厚み10mm以下のガラス板を使用できる。厚みが薄いほど光の吸収を低く抑えられるため、透過率向上を目的とする用途にとって好ましい。また、厚みが薄いほど防眩膜付き基材1の軽量化に寄与する。
ガラス基材3は、強化ガラス板であることが好ましい。強化ガラス板は、強化処理が施されたガラス板である。強化処理により、ガラスの強度が向上し、たとえば強度を維持しながら板厚みを削減することが可能となる。
ただし本発明においては、強化ガラス板以外のガラス基材も使用できる。
強化処理としては、ガラス板表面に圧縮応力層を形成させる処理が一般的に知られている。ガラス板表面の圧縮応力層が、傷や衝撃に対するガラス板の強度を向上させる。ガラス板表面に圧縮応力層を形成させる手法としては、風冷強化法(物理強化法)と、化学強化法とが代表的である。
風冷強化法では、ガラスの軟化点温度付近(例えば600〜700℃)まで加熱したガラス板表面を風冷等により急冷する。これにより、ガラス板の表面と内部との間に温度差が生じ、ガラス板表層に圧縮応力が生じる。
化学強化法では、ガラスの歪点温度以下の温度でガラス板を溶融塩に浸漬して、ガラス板表層のイオン(例えばナトリウムイオン)を、より大きなイオン半径のイオン(例えばカリウムイオン)へと交換する。これにより、ガラス板表層に圧縮応力が生じる。
強化処理は、防眩膜5を形成する前に行ってもよく、形成した後に行ってもよい。
ガラス板の厚みが薄く(たとえば2mm未満)なると、風冷強化法では、ガラス板内部と表層との間に温度差が生じにくいことから、ガラス板を充分に強化することができないため、化学強化法が好ましく用いられる。
化学強化処理が施されるガラス板は、化学強化可能な組成を有するものである限り特に限定されず、種々の組成のものを使用することができ、例えばソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボレートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、その他の各種ガラスが挙げられる。化学強化しやすい点では、ガラス組成として、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを56〜75%、Alを1〜20%、NaOを8〜22%、KOを0〜10%、MgOを0〜14%、ZrOを0〜5%、CaOを0〜10%含有することが好ましい。これらの中では、アルミノシリケートガラスが好ましい。
化学強化処理が施されるガラス板の板厚みは、0.4〜3mmが好ましく、0.5〜2.5mmが特に好ましい。化学強化ガラス板の板厚みが前記範囲の上限値以下であれば、防眩膜付き基材1が軽量で、前記範囲の下限値以上であれば、防眩膜付き基材1の強度が優れる。
尚、化学強化される前後で板厚みに変化は無い。すなわち、化学強化処理が施されるガラス板の板厚みは、化学強化ガラス板(化学強化処理が施された後のガラス板)の板厚みである。
(防眩膜)
防眩膜5は、第一の粒子51と、第二の粒子53と、シリカ系マトリックス55とを含む。防眩膜5は、典型的には、図2に示すように、シリカ系マトリックス55中に複数の第一の粒子51および複数の第二の粒子53が分散した構造を有する。
防眩膜5は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、第一の粒子51、第二の粒子53およびシリカ系マトリックス55以外の他の成分をさらに含んでもよい。
第一の粒子:
第一の粒子51の平均長径は、100〜1,500nmであり、250〜1,000nmが好ましく、300〜700nmが特に好ましい。第一の粒子51の平均長径が上記範囲の下限値以上であれば、防眩性に優れる。第一の粒子51の平均長径が上記範囲の上限値以下であれば、反射防止性に優れる。
第一の粒子51の平均アスペクト比は、10〜80であり、20〜70が好ましく、30〜60が特に好ましい。第一の粒子51の平均アスペクト比が上記範囲の下限値以上であれば、防眩性に優れ、たとえば85°等の高角度の入射光に対しても充分な防眩効果が発揮される。第一の粒子51の平均アスペクト比が上記範囲の上記範囲の上限値以下であれば、第一の粒子51による防眩効果が高くなりすぎず、反射防止性(透過率の向上効果)が優れる。
防眩膜5における第一の粒子51の平均長径および平均アスペクト比は、電界放出形走査電子顕微鏡(以下、FE−SEMともいう。)により測定される。具体的には、以下の測定方法(1)により求められる。
測定方法(1):FE−SEMを用いて防眩膜5の断面を観察し、前記断面において線状に観察される粒子を無作為に10個選び出し、各粒子の長径および短径を計測し、各粒子の長径を平均して平均長径を算出し、各粒子の短径を平均して平均短径を算出し、前記平均短径に対する前記平均長径の比(平均長径/平均短径)として平均アスペクト比を算出する。
第一の粒子51の形状としては、上記平均長径および平均アスペクト比を満たす限り特に限定されない。上記平均長径および平均アスペクト比を有する粒子は、典型的には、板状(鱗片状と称されることもある。)の粒子である。
第一の粒子51の材質としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ等の金属酸化物、タルク、スメクタイト等の粘度鉱物等が挙げられる。これらの中では、防眩膜5の屈折率上昇を抑え、反射率を下げることができる点から、シリカが好ましい。
第一の粒子51として用いられるシリカ粒子は、通常、薄片状のシリカ一次粒子、または複数枚の薄片状のシリカ一次粒子が、互いに面間が平行的に配向し重なって形成されるシリカ二次粒子である。シリカ二次粒子は、通常、積層構造の粒子形態を有する。シリカ粒子は、シリカ一次粒子およびシリカ二次粒子のいずれか一方のみであってもよく、両方であってもよい。
シリカ二次粒子は、凝集することなく互いに独立に存在していることが好ましい。複数のシリカ二次粒子が凝集して三次粒子を形成していると、第一の粒子51の平均長径や平均アスペクト比が上記上限値を超えるおそれがある。
第二の粒子:
第二の粒子53の平均一次粒子径は、40〜200nmであり、45〜150nmが好ましく、50〜150nmが特に好ましい。第二の粒子53の平均一次粒子径が上記範囲の下限値以上であれば、低角度の入射光に対する鏡面光沢度が小さくなり、透過率の向上効果(反射防止性)が高くなる傾向がある。これは、複数の第一の粒子51の間に入り込んだ第二の粒子53によって、第一の粒子51のガラス基板3の表面に対する傾斜角度が大きくなるためと考えられる。第二の粒子53の平均一次粒子径が上記範囲の上限値以下であれば、第二の粒子53による防眩効果が高くなりすぎず、透過率の向上効果が優れる。
第二の粒子53の平均アスペクト比は、1〜5であり、1〜4が好ましく、1〜3が特に好ましい。第二の粒子53の平均アスペクト比が上記上限値以下であれば、防眩性、反射防止性に優れる。
防眩膜5における第二の粒子53の平均一次粒子径および平均アスペクト比は、FE−SEMにより測定される。具体的には、以下の測定方法(2)により求められる。
測定方法(2):FE−SEMを用いて防眩膜5の断面を観察し、前記断面において球状に観察される粒子を無作為に10個選び出し、各粒子の長径および短径を計測し、各粒子の長径および短径を全て平均して平均一次粒子径を算出し、各粒子の長径を平均して平均長径を算出し、各粒子の短径を平均して平均短径を算出し、前記平均短径に対する前記平均長径の比として平均アスペクト比(平均長径/平均短径)を算出する。
第二の粒子53の形状としては、上記平均一次粒子径および平均アスペクト比を満たす限り特に限定されない。上記平均一次粒子径および平均アスペクト比を有する粒子は、典型的には、球状の粒子である。
防眩膜5において第二の粒子53は、各粒子が独立した状態で存在していてもよく、各粒子が鎖状に連結していてもよく、各粒子が凝集していてもよい。
第二の粒子53の材質としては、金属酸化物、金属、顔料、樹脂等が挙げられる。金属酸化物としては、Al、SiO、SnO、TiO、ZrO、ZnO、CeO、Sb含有SnO(ATO)、Sn含有In(ITO)、RuO等が挙げられる。金属としては、金属の単体(Ag、Ru等)、合金(AgPd、RuAu等)等が挙げられる。顔料としては、無機顔料(チタンブラック、カーボンブラック等)、有機顔料が挙げられる。樹脂としては、ポリスチレン、メラニン樹脂等が挙げられる。
第二の粒子53は、図示するような中空粒子であってもよく、中実粒子であってもよく、中空粒子および中実粒子の混合物であってもよい。
「中空」は、内部に空洞を有することを示す。「中実」は、内部に空洞を有しないことを示す。
中空粒子は、内部に空洞を有するため、中実粒子に比べ屈折率が低い。そのため、中空粒子は、中実粒子に比べて少量で屈折率の低減効果が得られる利点があり、好ましい。
第二の粒子53としては、屈折率を調整しやすいこと、化学的安定性に優れること等から、中空シリカ粒子および中実シリカ粒子のいずれか一方または両方が好ましい。
シリカ系マトリックス:
シリカ系マトリックス55は、シリカを主成分とするマトリックスである。
「シリカを主成分とする」とは、SiOを90質量%以上含むことを意味する。
防眩膜5のマトリックスがシリカを主成分とすれば、防眩膜5の屈折率(反射率)が低くなりやすい。また、防眩膜5の化学的安定性等も良好である。また、ガラス基材3との密着性が良好である。
シリカ系マトリックス55は、シリカ以外の成分を少量含んでもよい。該成分としては、Li,B,C,N,F,Na,Mg,Al,P,S,K,Ca,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Pd,Ag,In,Sn,Hf,Ta,W,Pt,Au,Biおよびランタノイド元素より選ばれる1つもしくは複数のイオンおよびまたは酸化物等の化合物が挙げられる。
シリカ系マトリックス55は、実質的にシリカからなることが好ましい。実質的にシリカからなるとは、不可避不純物を除いてシリカのみから構成されていることを意味する。
シリカ系マトリックス55が、下式(i)で表されるシランカップリング剤、その加水分解物およびその縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、前記式(i)中のmの平均値が0.7〜1であるマトリックス前駆体から形成されたものである場合、通常、不可避不純物として、ケイ素原子に結合したRが含まれる。このマトリックス前駆体については後で詳しく説明する。ケイ素原子に結合したメチル基の有無は、顕微赤外分光測定(ATR−FTIR)および29Si{H}交差分極/マジック角回転核磁気共鳴(CP/MAS NMR)により確認できる。
SiR4−m ・・・(i)
(式中、Rはアルキル基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロイル基およびアクリロイル基から選ばれる少なくとも1種の有機基を含む基であり、Xはアルコキシ基である。)
他の成分:
他の成分としては、たとえば有機顔料、無機顔料、金属キレート錯体、フッ素系化合物等が挙げられる。
防眩膜5中、シリカ系マトリックス55と、第一の粒子51および第二の粒子53の合計との質量比(シリカ系マトリックス55/(第一の粒子51および第二の粒子53の合計))は、2/1〜10/1が好ましく、2.5/1〜7/1がより好ましい。この質量比が上記範囲の下限値以上であれば、基材との密着性がより優れる。この質量比が上記範囲の上限値以下であれば、反射防止性および防眩性がより優れる。
防眩膜5中、第二の粒子53と第一の粒子51との質量比(第二の粒子53/第一の粒子51)は、0.5/1〜4/1が好ましく、1.3/1〜3.5/1がより好ましい。この質量比が上記範囲の下限値以上であれば、防眩性がより優れる。この質量比が上記範囲の上限値以下であれば、反射防止性がより優れる。
防眩膜5中、第一の粒子51と第二の粒子53とシリカ系マトリックス55との合計の含有量は、防眩膜5の全質量に対し、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。
防眩膜5は表面に凹凸を有する。凹凸によって光が散乱され、防眩性が得られる。また、防眩膜5の厚み方向の屈折率が連続的に変化することにより反射防止性(透過率の向上効果)が得られる。
防眩膜5の表面の算術平均高さ(Sa)は、140〜350nmが好ましく、190〜340nmが特に好ましい。防眩膜5の表面のSaが上記範囲の下限値以上であれば、防眩性、反射防止性がより優れる。防眩膜5の表面のSaが上記範囲の上限値以下であれば、防眩膜5のヘイズが充分に小さくなり、より優れた反射防止性が得られる。また、耐摩耗性等の機械的強度が良好である。
防眩膜5の表面のSaは、後述する実施例に記載の方法により測定される。
防眩膜5の表面における20°鏡面光沢度は、45%以下が好ましく、40%以下が特に好ましい。
上記20°鏡面光沢度は、防眩膜5中の第一の粒子51のガラス基板3の表面に対する傾斜角度の指標である。20°鏡面光沢度が大きいほど、第一の粒子51のガラス基板3の表面に対する傾斜角度が、ガラス基板3の表面に対して垂直に近くなる傾向がある。
第一の粒子51がガラス基板3の表面に対して傾斜していると、高角度(たとえば85°)での入射光を効果的に散乱でき、防眩性に優れる。また、ガラス基板3の表面に対して垂直方向からの入射光を散乱しにくく、反射防止性に優れる。
20°鏡面光沢度の下限は特に限定されないが、優れた反射防止性を維持するという点では、10%以上が好ましい。
防眩膜5の表面における85°鏡面光沢度は、高角度(たとえば70〜89°)での入射光に対する防眩性の点から、66%以下が好ましく、60%以下が特に好ましい。
防眩膜5の表面における60°鏡面光沢度は、中角度(たとえば40〜69°)での入射光に対する防眩性の点から、60%以下が好ましく、50%以下が特に好ましい。
防眩膜5の表面の鏡面光沢度(20°、60°、85°)、防眩膜付き基材およびガラス基材それぞれの平均透過率はそれぞれ、後述する実施例に記載の方法により測定される。
防眩膜5の平均膜厚は、300〜30,000nmが好ましく、500〜20,000nmが特に好ましい。防眩膜5の平均膜厚が上記範囲の下限値以上であれば、防眩性、反射防止性がより優れる。防眩膜5の平均膜厚が上記範囲の上限値以下であれば、反射防止性が優れる。
防眩膜付き基材1のヘイズは、10〜50%が好ましく、15〜40%がより好ましい。ヘイズが前記範囲の下限値以上であれば、防眩効果が発揮されやすい。ヘイズが前記範囲の上限値以下であれば、光の透過性が高く、防眩膜付き基材1を太陽電池モジュールに用いた場合の発電効率や、防眩膜付き基材1を表示装置に用いた場合の画像のコントラストが良好である。
防眩膜付き基材1においては、下式(3)により求められる透過率差が1.5%以上であることが好ましく、2.0%以上であることが特に好ましい。
透過率差=前記防眩膜付き基材の波長400〜1,100nmにおける平均透過率(%)−前記ガラス基材の波長400〜1,100nmにおける平均透過率(%) ・・・(3)
透過率差は、反射防止性の指標であり、透過率差が大きいほど反射防止性に優れる。
透過率差の上限は、反射防止性の観点では特に限定されない。
(防眩膜付き基材の製造方法)
防眩膜付き基材1の製造方法としては、たとえば、ガラス基材3の上に、後述する本発明の膜形成用塗布液を塗布し、熱処理することにより防眩膜5を形成する方法が挙げられる。
膜形成用塗布液の塗布方法としては、公知のウェットコート法(スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スクリーンコート法、インクジェット法、フローコート法、グラビアコート法、バーコート法、フレキソコート法、スリットコート法、ロールコート法等)等が挙げられる。
塗布方法としては、ガラス基材3上に均一に膜を形成しやすい点、スループットに優れる点から、ロールコート法が好ましい。
ロールコート法で膜形成用塗布液を塗布すると、その塗膜は平坦なものになるため、従来は防眩膜の形成にロールコート法は用いられていない。しかし、本発明の膜形成用塗布液は特定の第一の粒子、第二の粒子およびマトリックス前駆体を含むため、塗膜を熱処理したときに表面に凹凸が発現し、防眩膜5を形成できる。
膜形成用塗布液の塗布量は、防眩膜5の平均膜厚に応じて適宜設定される。
膜形成用塗布液の塗布後、熱処理を行うことで、塗膜中の液状媒体の除去、塗膜中のマトリックス前駆体のシリカ系マトリクスへの転化、膜の緻密化、凹凸化が進行し、防眩膜5が形成される。
塗膜の加熱は、膜形成用塗布液をガラス基材3上に塗布する際に予めガラス基材3を加熱することによって塗布と同時に行ってもよく、膜形成用塗布液をガラス基材3に塗布した後、塗膜を加熱することにより行ってもよい。
熱処理温度は、強化済ガラスの場合は100〜600℃が好ましく、200〜500℃がより好ましい。熱処理温度が上記範囲の下限値以上であれば、塗膜の表面に充分な大きさの凹凸が発現し、優れた防眩性、反射防止性が発現する。熱処理温度が上記範囲の上限値以下であれば、ガラス基材3の強度低下を抑制できる。
未強化ガラスの場合は100〜800℃が好ましく、200〜700℃がより好ましい。熱処理温度が上記範囲の下限値以上であれば、塗膜の表面に充分な大きさの凹凸が発現し、優れた防眩性、反射防止性が発現する。熱処理温度が上記範囲の上限値以下であれば、ガラス基材3の変形を抑制できる。
熱処理時間は特に限定されないが、たとえば1〜60分間程度とされる。
熱処理の前に、塗布した膜形成用塗布液から液状媒体を除去するための乾燥処理を行ってもよい。乾燥は、加熱により行ってもよく、加熱せずに(自然乾燥、風乾等)行ってもよい。
熱処理の後、必要に応じて、公知の後加工を施す工程を有していてもよい。
成膜後、熱処理の前に風冷強化または化学強化処理を行ってもよい。成膜後、風冷強化または化学強化を行うことで強化時に得られる熱によって熱処理をしてもよい。
(作用効果)
防眩膜付き基材1にあっては、防眩膜5が前記の第一の粒子51と第二の粒子53とシリカ系マトリックス55とを含むため、防眩性および反射防止性に優れる。
太陽電池モジュールにおいては、太陽電池を保護するために太陽電池の前面等に透明基板(カバーガラス等)が配置される。防眩膜付き基材1をカバーガラスとして用いると、ガラス基材3を単独でカバーガラスとして用いる場合に比べて、光の反射を抑制でき、光の透過率が向上して発電効率が高まる。
また、太陽電池モジュールにあっては、設置場所によっては、透明基板の表面で反射した反射光により光害が生じる。特に傾斜した屋根の上等の傾斜面に太陽電池モジュールを設置すると、90°近い入射角で光が入射し、強い反射光が生じることが懸念される。防眩膜付き基材1は、このような高角度で入射した光に対しても防眩効果を発揮できる。そのため、透明基板として防眩膜付き基材1を用いることで、上記のような反射光による光害の発生を抑制できる。
また、防眩膜付き基材1は、上記のように水平に近い高角度入射光以外の光に対する防眩効果も良好である。
(用途)
防眩膜付き基材1の用途としては、特に限定されない。具体例としては、車両用透明部品(ヘッドライトカバー、サイドミラー、フロント透明基板、サイド透明基板、リア透明基板等。) 、車両用透明部品(インスツルメントパネル表面等。) 、メータ、建築窓、ショーウインドウ、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニタ、LCD、PDP、ELD、CRT、PDA等)、LCDカラーフィルタ、タッチパネル用基板、ピックアップレンズ、光学レンズ、眼鏡レンズ、カメラ部品、ビデオ部品、CCD用カバー基板、光ファイバ端面、プロジェクタ部品、複写機部品、太陽電池用透明基板(カバーガラス等。)、携帯電話窓、バックライトユニット部品(導光板、冷陰極管等。)、バックライトユニット部品液晶輝度向上フィルム(プリズム、半透過フィルム等。)、液晶輝度向上フィルム、有機EL発光素子部品、無機EL発光素子部品、蛍光体発光素子部品、光学フィルタ、光学部品の端面、照明ランプ、照明器具のカバー、増幅レーザー光源、反射防止フィルム、偏光フィルム、農業用フィルム等が挙げられる。
防眩膜付き基材1は、上記のように防眩性および反射防止性に優れることから、太陽電池用透明基板としての有用性が高い。
以上、本発明の防眩膜付き基材について、一実施形態を示して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
たとえば、ガラス基材3と防眩膜5との間に機能層をさらに有していてもよい。
機能層としては、たとえばアルカリバリア層、反射率波形調整層、赤外線遮蔽層等が挙げられる。アルカリバリア層としては、たとえば、シリカ系マトリックスから構成される層が挙げられる。機能層は、コート法等の公知の方法により形成できる。たとえば、アルコキシシランの加水分解物(ゾルゲルシリカ)を含むアンダーコート用塗料組成物をガラス基材に塗布することによってアルカリバリア層を形成できる。
<膜形成用塗布液>
本発明の膜形成用塗布液は、以下の板状の第一の粒子と、球状の第二の粒子と、マトリックス前駆体と、液状媒体と、を含む。
膜形成用塗布液は、必要に応じて、第一の粒子、第二の粒子およびマトリックス前駆体以外の他の成分を含んでもよい。
第一の粒子:
膜形成用塗布液中の第一の粒子の平均粒子径は、200〜3,000nmであり、300〜2,000nmが好ましく、500〜1,500nmが特に好ましい。膜形成用塗布液中の第一の粒子の平均粒子径が上記範囲の下限値以上であれば、防眩性に優れる。第一の粒子の平均粒子径が上記範囲の上限値以下であれば、反射防止性に優れる。
膜形成用塗布液中の第一の粒子の平均アスペクト比は、200〜2,000であり、300〜1,000が好ましく、350〜900が特に好ましい。膜形成用塗布液中の第一の粒子の平均アスペクト比が上記範囲の下限値以上であれば、膜形成用塗布液から形成される膜の防眩性が優れ、たとえば85°等の高角度の入射光に対しても充分な防眩効果が発揮される。第一の粒子の平均アスペクト比が上記範囲の上記範囲の上限値以下であれば、第一の粒子による防眩効果が高くなりすぎず、膜形成用塗布液から形成される膜の反射防止性(透過率の向上効果)が優れる。
膜形成用塗布液における第一の粒子の平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
膜形成用塗布液における第一の粒子の平均アスペクト比は、走査型プローブ顕微鏡により測定される平均厚みに対する透過型電子顕微鏡により測定される平均粒子径の比(平均粒子径/平均厚み)として求められる。
第一の粒子の材質としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ等の金属酸化物、タルク、スメクタイト等の粘度鉱物等が挙げられる。これらの中では、膜形成用塗布液から形成される膜の屈折率上昇を抑え、反射率を下げることができる点から、シリカが好ましい。
第一の粒子として用いられるシリカ粒子は、通常、薄片状のシリカ一次粒子、または複数枚の薄片状のシリカ一次粒子が、互いに面間が平行的に配向し重なって形成されるシリカ二次粒子である。シリカ二次粒子は、通常、積層構造の粒子形態を有する。シリカ粒子は、シリカ一次粒子およびシリカ二次粒子のいずれか一方のみであってもよく、両方であってもよい。
膜形成用塗布液において、シリカ二次粒子は、凝集することなく互いに独立に存在していることが好ましい。複数のシリカ二次粒子が凝集して三次粒子を形成していると、第一の粒子の平均粒子径が上記上限値を超えるおそれがある。
第二の粒子:
膜形成用塗布液中の第二の粒子の平均粒子径は、40〜200nmであり、45〜150nmが好ましく、50〜100nmが特に好ましい。膜形成用塗布液中の第二の粒子の平均一次粒子径が上記範囲の下限値以上であれば、膜形成用塗布液から形成される膜の表面における低角度の入射光に対する鏡面光沢度が小さくなり、透過率の向上効果(反射防止性)が高くなる傾向がある。第二の粒子の平均一次粒子径が上記範囲の上限値以下であれば、第二の粒子による防眩効果が高くなりすぎず、透過率の向上効果が優れる。
膜形成用塗布液中の第二の粒子の平均アスペクト比は、1〜5であり、1〜4が好ましく、1〜3が特に好ましい。第二の粒子の平均アスペクト比が上記上限値以下であれば、防眩性、反射防止性に優れる。
膜形成用塗布液中の第二の粒子の平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
膜形成用塗布液中の第二の粒子の平均アスペクト比は、平均短径に対する平均長径の比(平均長径/平均短径)として求められ、平均短径および平均長径はそれぞれ透過型電子顕微鏡により測定される。
膜形成用塗布液において第二の粒子は、各粒子が独立した状態で存在していてもよく、各粒子が鎖状に連結していてもよく、各粒子が凝集していてもよい。
第二の粒子の材質としては、金属酸化物、金属、顔料、樹脂等が挙げられる。金属酸化物としては、Al、SiO、SnO、TiO、ZrO、ZnO、CeO、Sb含有SnO(ATO)、Sn含有In(ITO)、RuO等が挙げられる。金属としては、金属の単体(Ag、Ru等)、合金(AgPd、RuAu等)等が挙げられる。顔料としては、無機顔料(チタンブラック、カーボンブラック等)、有機顔料が挙げられる。樹脂としては、ポリスチレン、メラニン樹脂等が挙げられる。
第二の粒子は、中空粒子であってもよく、中実粒子であってもよく、中空粒子および中実粒子の混合物であってもよい。
中空粒子は、内部に空洞を有するため、中実粒子に比べ屈折率が低い。そのため、中空粒子は、中実粒子に比べて少量で屈折率の低減効果が得られる利点があり、好ましい。
第二の粒子としては、形成される膜の屈折率を調整しやすいこと、化学的安定性に優れること等から、中空シリカ粒子および中実シリカ粒子のいずれか一方または両方が好ましい。
マトリックス前駆体:
マトリックス前駆体は、下式(i)で表されるシランカップリング剤、その加水分解物およびその縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる。また、マトリックス前駆体における前記式(i)中のmの平均値が0.7〜1である。
SiR4−m ・・・(i)
(式中、Rはアルキル基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロイル基およびアクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機基を含む基であり、Xはアルコキシ基である。)
式(i)中、Rとしては、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(i)中、Xのアルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。
式(i)中のmは、0〜3の整数である。
式(i)中のmが1であるシランカップリング剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
式(i)中のmが0であるシランカップリング剤の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
式(i)中のmが2であるシランカップリング剤の具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジチルジエトキシシラン等が挙げられる。
式(i)中のmが3であるシランカップリング剤の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等が挙げられる。
マトリックス前駆体が1種のシランカップリング剤、その加水分解物およびその縮合物からなる群から選ばれる場合は、この1種のシランカップリング剤のmの値がmの平均値である。
マトリックス前駆体が2種以上のシランカップリング剤、その加水分解物およびその縮合物からなる群から選ばれる場合は、この2種以上のシランカップリング剤それぞれのmの値とモル比とからmの平均値が算出される。たとえばmが1であるシランカップリング剤とmが0であるシランカップリング剤の90:10のモル比の混合物の場合、mの平均値は、(1×0.90+0×0.10)/1=0.90である。
前記シランカップリング剤の加水分解および縮合は、公知の方法により実施できる。
たとえばm=0のテトラアルコキシシランの場合、テトラアルコキシシランの4倍モル以上の水、および触媒として酸またはアルカリを使用する。
酸としては、無機酸(HNO、HSO、HCl等。)、有機酸(ギ酸、シュウ酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸等。)が挙げられる。アルカリとしては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、pH10.5〜12の電解還元水等が挙げられる。触媒としては、前記シランカップリング剤の加水分解縮合物の長期保存性の点から、酸が好ましい。
液状媒体:
液状媒体としては、たとえば、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、含硫黄化合物等が挙げられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
エーテル類としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
セロソルブ類としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等が挙げられる。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。
グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
含窒素化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
含硫黄化合物としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
液状媒体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
液状媒体としては、第一の粒子および第二の粒子を分散し、マトリックス前駆体を溶解するものが好ましい。
マトリックス前駆体におけるシランカップリング剤等の加水分解に水が必要となるため、加水分解後に液状媒体の置換を行わない限り、液状媒体には少なくとも水が含まれる。この場合、液状媒体は、水のみであってもよく、水と他の液体との混合液であってもよい。他の液体としては、たとえば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、含硫黄化合物等が挙げられる。他の液体のうち、シリカ前駆体の溶媒としては、アルコール類が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールが特に好ましい。
液状媒体には、酸またはアルカリが含まれてもよい。酸またはアルカリは、シリカ前駆体の溶液の調製の際に、原料(シランカップリング剤等)の加水分解、縮合にために触媒として添加されたものでもよく、シリカ前駆体の溶液の調製後に添加されたものでもよい。
他の成分:
他の任意成分としては、例えば、有機顔料、無機顔料、金属キレート錯体、フッ素系化合物等が挙げられる。
本発明の膜形成用塗布液においては、動的光散乱法により測定される粒子径が4,000nm以上の粒子の含有量が、膜形成用塗布液の全固形分に対して4質量%以下に対して4質量%以下であることが好ましく、0質量%であることが特に好ましい。すなわち、前記粒子径が4,000nm以上の粒子を含まないことが特に好ましい。前記粒子径が4,000nm以上の粒子の含有量が上記上限値を超えると、膜形成用塗布液から形成される膜の反射防止性が不十分になるおそれがある。
なお、膜形成用塗布液の全固形分に対する前記粒子の含有量は、該膜形成用塗布液から形成される防眩膜5の全質量に対する前記粒子の含有量とみなすことができる。
組成:
膜形成用塗布液中、マトリックス前駆体と、第一の粒子および第二の粒子の合計との質量比(マトリックス前駆体/(第一の粒子および第二の粒子の合計))は、2/1〜10/1が好ましく、2.5/1〜7/1がより好ましい。この質量比が上記範囲の下限値以上であれば、基材との密着性がより優れる。この質量比が上記範囲の上限値以下であれば、反射防止性および防眩性がより優れる。
本発明において、マトリックス前駆体の含有量はSiO換算の含有量である。
膜形成用塗布液中、第二の粒子と第一の粒子との質量比(第二の粒子/第一の粒子)は、0.5/1〜4/1が好ましく、1.3/1〜3.5/1がより好ましい。この質量比が上記範囲の下限値以上であれば、防眩性がより優れる。この質量比が上記範囲の上限値以下であれば、反射防止性がより優れる。
膜形成用塗布液中、第一の粒子と第二の粒子とマトリックス前駆体との合計の含有量は、全固形分に対し、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。
膜形成用塗布液の全固形分は、膜形成用塗布液から液状媒体を除いた全量である。
膜形成用塗布液中の液状媒体の含有量は、膜形成用塗布液の固形分濃度に応じて設定される。
膜形成用塗布液の固形分濃度は、1〜10質量%が好ましく、3〜8質量%がより好ましい。固形分濃度が上記範囲の下限値以上であれば、所望の膜厚が得られ易い。固形分濃度が上記範囲の上限値以下であれば、膜形成用塗布液の塗布性、長期安定性等が良好である。
(膜形成用塗布液の製造方法)
膜形成用塗布液は、第一の粒子、第二の粒子、マトリックス前駆体、液状媒体および必要に応じて他の成分を混合することにより製造できる。各成分の混合順序は特に限定されない。
第一の粒子、第二の粒子、マトリックス前駆体はそれぞれ、市販のものを用いてもよく、製造したものを用いてもよい。
第一の粒子の製造方法としては、特開2014−94845号公報に記載の方法が好ましい。この製造方法は、鱗片状(板状)シリカ粒子が凝集したシリカ凝集体を含むシリカ粉体をpH2以下で酸処理する工程と、酸処理したシリカ粉体をpH8以上でアルカリ処理し、シリカ凝集体を解膠する工程と、アルカリ処理したシリカ粉体を湿式解砕し、鱗片状シリカ粒子を得る工程とを有する。該製造方法によれば、公知の製造方法(たとえば、特許第4063464号公報に記載の方法)に比べて、製造工程での不定形シリカ粒子の発生が抑えられ、不定形シリカ粒子の含有量の少ない粉体または分散体を得ることができる。
膜形成用塗布液の製造方法としては、第一の粒子の分散液と、第二の粒子の分散液と、マトリックス前駆体の溶液と、を混合して膜形成用塗布液を得る方法が好ましい。
第一の粒子の分散液、第二の粒子の分散液はそれぞれ、第一の粒子、第二の粒子が液状媒体に分散したものである。マトリックス前駆体の溶液は、マトリックス前駆体が液状媒体に溶解したものである。
各液の混合の際、必要に応じて、追加の液状媒体や他の成分をさらに混合してもよい。
(作用効果)
本発明の膜形成用塗布液を任意の基材上に塗布し、熱処理すると、塗膜中の液状媒体の除去、塗膜中のマトリックス前駆体のシリカ系マトリクスへの転化、膜の緻密化が進行し、第一の粒子と第二の粒子とシリカ系マトリックスとを含む膜が形成される。また、この際、塗膜の表面が平坦であっても、熱処理によって膜の表面に凹凸が発現する。このようにして形成される膜は、表面に凹凸を有し、第一の粒子および第二の粒子を含むことから、前述の防眩膜5で説明したように、優れた防眩性および反射防止性を有する。
熱処理によって膜の表面に凹凸が発現する理由としては、板状の第一の粒子の間に球状の第二の粒子が入りこむことが考えられる。また、第一の粒子および第二の粒子の材質が、シリカ等の親水性の材質である場合、メチル基を有し疎水性の高いマトリックス前駆体との表面エネルギーの違いも影響すると考えられる。すなわち、熱処理の際に、疎水性の高いマトリックス前駆体溶液中で親水性の高い第一の粒子および第二の粒子が部分的に集まり、粒子密度の高い部分では膜が厚くなり、粒子密度の低い部分では膜が薄くなると考えられる。
したがって、本発明の膜形成用塗布液は、防眩膜形成用、反射防止膜形成用、指滑り性向上用、タッチペン書き味向上用、防汚用、離型用等の用途に有用である。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
後述する例1〜25のうち、例1〜16は実施例であり、例17〜25は比較例である。
各例で用いた評価方法および材料(入手先または調製方法)を以下に示す。
〔液の評価〕
<第一の粒子>
(平均粒子径)
日機装社製、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計UPA−EX150を用いて分散液中の粒子の平均粒子径を測定した。
平均粒子径はメジアン径(50%径、D50とも表す)を指す。
(平均アスペクト比)
第一の粒子の分散液を粒子濃度0.1質量%に希釈し、親水化処理を施したポリビニルフォルマール膜上に滴下した後、乾燥させた。得られた膜を日本電子社製、透過型電子顕微鏡JEM−1230を用いて観察した。10個の粒子を無作為に選び出し、各粒子の長径および短径を計測し、それらの値全てを平均することで平均粒子径を求めた。
第一の粒子の分散液を粒子濃度0.1質量%に希釈し、ガラス板上に滴下した後、乾燥させた。得られた膜を日立ハイテクサイエンス社製、走査型プローブ顕微鏡SPA−400を用いて観察した。10個の粒子を無作為に選び出し、各粒子の厚みを計測し、それらの値を平均することで平均厚みを求めた。
得られた平均粒子径と平均厚みから平均アスペクト比(平均粒子径/平均厚み)を算出した。
<第二の粒子>
(平均粒子径)
日機装社製、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計UPA−EX150を用いて分散液中の粒子の平均粒子径を測定した。平均粒子径はメジアン径(50%径、D50とも表す)を指す。
(第二の粒子の平均アスペクト比)
第二の粒子の分散液を粒子濃度0.1質量%に希釈し、親水化処理を施したポリビニルフォルマール膜上に滴下した後、乾燥させた。得られた膜を日本電子社製、透過型電子顕微鏡JEM−1230を用いて観察した。10個の粒子を無作為に選び出し、各粒子の長径および短径を計測し、それらの長径、短径それぞれを平均することで平均長径、平均短径を求めた。得られた平均長径と平均短径から平均アスペクト比(平均長径/平均短径)を算出した。
〔膜の評価〕
<平均膜厚>
日立ハイテクノロジーズ社製、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−4800を用いて活断面を観察し、無作為に選出した10箇所においてガラス界面から凸部の頂点までの距離を平均することにより防眩膜の平均膜厚を測定した。
<光学物性>
(ヘイズ)
村上色彩技術研究所社製、ヘイズメーターHM−150により防眩膜付き基材のヘイズを測定した。
(鏡面光沢度)
日本電色工業社製、ハンディ型光沢計PG−IIMを用いて、防眩膜の表面における20°、60°、85°入射光に対する鏡面光沢度(%)を測定した。
(基材との透過率差)
防眩膜を形成する前のガラス基材および作製した防眩膜付き基材それぞれについて、日立ハイテクノロジーズ社製、分光光度計U−4100を用いて、波長400〜1,100nmにおける透過率(%)を測定し、平均値(平均透過率)を算出した。それらの結果から、下式(3)により透過率差を求めた。
透過率差=防眩膜付き基材の波長400〜1,100nmにおける平均透過率(%)−ガラス基材の波長400〜1,100nmにおける平均透過率(%) ・・・(3)
<第一の粒子>
(平均長径および平均アスペクト比)
日立ハイテクノロジーズ社製、電界放出形走査電子顕微鏡S−4800を用いて防眩膜の断面を観察し、前記断面において線状に観察される粒子を無作為に10個選び出し、各粒子の長径および短径を計測した。各粒子の長径を平均して平均長径を算出し、各粒子の短径を平均して平均短径を算出し、前記平均短径に対する前記平均長径の比として平均アスペクト比を算出した。
<第二の粒子>
(平均一次粒子径および平均アスペクト比)
日立ハイテクノロジーズ社製、電界放出形走査電子顕微鏡S−4800を用いて防眩膜の断面を観察し、前記断面において球状に観察される粒子を無作為に10個選び出し、各粒子の長径および短径を計測した。各粒子の長径および短径を全て平均して平均一次粒子径を算出した。また、各粒子の長径を平均して平均長径を算出し、各粒子の短径を平均して平均短径を算出し、前記平均短径に対する前記平均長径の比として平均アスペクト比を算出した。
<表面の凹凸構造>
(算術平均高さ(Sa))
キーエンス社製、レーザー顕微鏡VK−X250を用いて、防眩膜付き基材の防眩膜側の表面の凹凸形状を測定し、算術平均高さ(Sa)(nm)を求めた。
〔使用材料〕
<第一の粒子の分散液>
分散液A:AGCエスアイテック社製、サンラブリー(登録商標)LFS−DPAA−020、板状のシリカ粒子の分散液。
分散液B:AGCエスアイテック社製、サンラブリーLFS−HN−050、板状のシリカ粒子の分散液。
分散液C:AGCエスアイテック社製、サンラブリーLFS−HN−150、板状のシリカ粒子の分散液。
分散液D:AGCエスアイテック社製、サンラブリー粉体を水に分散して調製した分散液。前記酸ラブリー粉体は主に、板状のシリカ粒子の凝集体である花弁状の粒子(三次粒子)から構成されるものである。
分散液A〜Dそれぞれにおける粒子の固形分濃度(粒子濃度)、分散媒、平均粒子径、平均アスペクト比(平均粒子径/平均厚み)を表1に示す。
<第二の粒子の分散液>
分散液E:日産化学工業社製、スノーテックス(登録商標)OS、球状の中実シリカ粒子の分散液。
分散液F:日産化学工業社製、スノーテックスO、球状の中実シリカ粒子の分散液。
分散液G:日産化学工業社製、スノーテックスOL、球状の中実シリカ粒子の分散液。
分散液H:日産化学工業社製、スノーテックスOYL、球状の中実シリカ粒子の分散液。
分散液I:日産化学工業社製、スノーテックスOZL、球状の中実シリカ粒子の分散液。
分散液J:扶桑化学工業社製、PL−3H、球状の中実シリカ粒子の分散液。
分散液K:日産化学工業社製、スノーテックスOUP、球状の中実シリカ粒子の分散液。
分散液L:日揮触媒化成社製、スルーリア(登録商標)4110、球状の中空シリカ粒子の分散液。
分散液E〜Lそれぞれにおける粒子の固形分濃度(粒子濃度)、分散媒、平均粒子径、平均アスペクト比(平均長径/平均短径)を表2に示す。
<マトリックス前駆体の溶液>
溶液M:メチルトリメトキシシラン(MTMS)22.67g(SiO換算で10質量%)をエタノール65.48g、純水9.15g、10質量%硝酸水溶液2.7gと混合し、室温にて1時間撹拌することにより溶液Mを調製した。
溶液N〜R:MTMSの代わりに、MTMSおよびテトラエトキシシラン(TEOS)を、表3に示す質量比(SiO換算)で用いた以外は溶液Mの調製と同様にして溶液N〜Rを調製した。
溶液S:MTMSの代わりにTEOSを用いた以外は溶液Mの調製と同様にして溶液Sを調製した。
溶液M〜Sそれぞれにおける固形分濃度、溶媒、マトリックス前駆体の組成、前記式(i)におけるmの平均値を表3に示す。
〔例1〕
(塗布液の調製)
上記分散液Cと、分散液Gと、溶液Nとを混合して塗布液を調製した。各液の混合比は、塗布液における第一の粒子、第二の粒子、マトリックス前駆体それぞれの含有量(SiO換算)が表4に示す固形分濃度になるように設定した。
(防眩膜の形成)
旭硝子社製化学強化用特殊ガラスDragontrail(登録商標)(サイズ:100mm×100mm、厚さ:1.1mm、波長550nmでの透過率:91.4%、表面の算術平均粗さRa:0.13nm(英弘精機製SPA400−AFMで測定))に対して、KNO溶融塩を用いて、410℃で2.5時間の化学強化処理を実施した。化学強化処理を実施した結果、DOL(Depth Of Layer)が25μm、CS(Compressive Stress)が750MPaであった。この化学強化処理した基材をガラス基材とした。
上記ガラス基材上に、上記で調製した塗布液を、リバースロールコーター(三和精機社製)を用いて所定の膜厚で塗布した。塗布条件は、ガラス板の搬送速度:5m/分、コーティングロールと搬送ベルトとのギャップ:2.9mm、コーティングロールとドクターロールとの押込み厚:0.6mmとした。コーティングロールとしては、表面の硬度(JIS−A)が30のゴム(エチレンプロピレンジエンゴム)がライニングされたゴムライニングロールを用いた。ドクターロールとしては、格子状の溝が表面に形成されたメタルロールを用いた。次いで大気下200℃で1分間乾燥させて塗膜を形成した。この塗膜付きのガラス基材を、マッフル炉を用いて、450℃で10分間熱処理して塗膜を防眩膜とし、防眩膜付き基材を得た。
〔例2〜25〕
塗布液の調製に用いる第一の粒子の分散液、第二の粒子の分散液およびマトリックス前駆体を表4に示すようにした以外は例1と同様にして塗布液を調製し、防眩膜付き基材を作製した。
表4に、各例で用いた塗布液における「第一の粒子に対する第二の粒子の質量比」(第二/第一)、「第一の粒子および第二の粒子の合計に対するマトリックス前駆体の質量比」(マトリックス前駆体/(第一+第二))を併記する。
得られた防眩膜付き基材について前記の評価を行った。結果を表5に示す。
また、例6、例24、例25それぞれの防眩膜付き基材の断面の電界放出形走査電子顕微鏡像(倍率:5万倍)を図3〜5に示す。
上記結果に示すとおり、例1〜16の防眩膜付き基材は、鏡面光沢度が小さく、防眩性に優れていた。また、透過率差が1.5%以上であり、反射防止性(透過率の向上効果)にも優れていた。
一方、防眩膜中の第二の粒子の平均アスペクト比が5超(塗布液中の第二の粒子の平均アスペクト比が5超)の例17の防眩膜付き基材は、防眩性、反射防止性ともに劣っていた。
防眩膜中の第一の粒子の平均長径が1,500nm超、平均アスペクト比が50超(塗布液中の第一の粒子の平均粒子径が3,000nm超、平均アスペクト比が測定不可)の例18の防眩膜付き基材は、反射防止性に劣っていた。
防眩膜中の第二の粒子の平均一次粒子径が40nm未満(塗布液中の第二の粒子の平均粒子径が40nm未満)の例19〜20の防眩膜付き基材、塗布液中のマトリックス前駆体におけるmの平均値が0.7未満の例21〜23の防眩膜付き基材は、防眩性に劣っていた。
第一の粒子を用いなかった例24の防眩膜付き基材は、防眩性、特に高角度での入射光に対する防眩性に劣っていた。
第二の粒子を用いなかった例25の防眩膜付き基材は、反射防止性に劣っていた。
また、例6、例24、例25の対比から、第一の粒子と第二の粒子とマトリックス前駆体とを組み合わせることで、熱処理したときに平坦な膜に凹凸が発現すること、膜中の第一の粒子が基材表面に対して傾斜した状態になることが確認できた。
〔試験例1〕
例6において、熱処理の際の温度条件を200℃または270℃に変更した以外は例6と同様にして、防眩膜付き基材を作製した。
熱処理温度200℃の場合の防眩膜表面のSaは101nm、熱処理温度270℃の場合の防眩膜表面のSaは136nmであった。
これらの防眩膜付き基材および例6の防眩膜付き基材の断面の電界放出形走査電子顕微鏡像(倍率:1万倍)を図6〜8に示す。図6は熱処理温度200℃の例、図7は熱処理温度270℃の例、図8は例熱処理温度450℃の例(例6)を示す。
また、これらの防眩膜付き基材および防眩膜を形成する前のガラス基材(DT)それぞれの波長300〜1200nmにおける透過率を図9に示す。
上記結果から、熱処理時間が同じ場合、熱処理温度が高くなるにつれて熱処理後の膜表面の凹凸が大きくなること、および膜表面の凹凸が大きいほど反射防止効果の波長依存性が小さくなること、が確認できた。
本発明の防眩膜付き基材は、前記で挙げた多様な用途に用いることができる。特に、高い水準で防眩性と反射防止性とを両立出来る点から、太陽電池モジュールに好適に用いることができる。
1 防眩膜付き基材
3 ガラス基材
5 防眩膜
51 第一の粒子
53 第二の粒子
55 シリカ系マトリックス

Claims (9)

  1. ガラス基材と、前記ガラス基材上に設けられた、表面に凹凸を有する防眩膜とを備え、
    前記防眩膜が、
    電界放出形走査電子顕微鏡により各々測定される平均長径が100〜1,500nm、平均アスペクト比が10〜80である第一の粒子と、
    電界放出形走査電子顕微鏡により各々測定される平均一次粒子径が40〜200nm、平均アスペクト比が1〜5である第二の粒子と、
    シリカ系マトリックスと、を含むことを特徴とする防眩膜付き基材。
  2. 前記防眩膜の表面における20°鏡面光沢度が45%以下である、請求項1に記載の防眩膜付き基材。
  3. 前記防眩膜の表面の算術平均高さ(Sa)が140〜350nmである、請求項1または2に記載の防眩膜付き基材。
  4. 前記防眩膜の平均膜厚が300〜30,000nmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の防眩膜付き基材。
  5. 動的光散乱法により測定される平均粒子径が200〜3,000nm、走査型プローブ顕微鏡により測定される平均厚みに対する透過型電子顕微鏡により測定される平均粒子径の比として求められる平均アスペクト比が200〜2,000である板状の第一の粒子と、
    動的光散乱法により測定される平均粒子径が40〜200nm、透過型電子顕微鏡により測定される平均短径に対する平均長径の比として求められる平均アスペクト比が1〜5である球状の第二の粒子と、
    下式(i)で表されるシランカップリング剤、その加水分解物およびその縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、前記式(i)中のmの平均値が0.7〜1であるマトリックス前駆体と、
    液状媒体と、を含むことを特徴とする膜形成用塗布液。
    SiR4−m ・・・(i)
    (式中、Rはアルキル基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロイル基およびアクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機基であり、Xはアルコキシ基である。)
  6. 動的光散乱法により測定される粒子径が4,000nm以上の粒子の含有量が、全固形分に対して4質量%以下である、請求項5に記載の膜形成用塗布液。
  7. 前記マトリックス前駆体と、前記第一の粒子および前記第二の粒子の合計との質量比が2/1〜10/1である、請求項5または6に記載の膜形成用塗布液。
  8. 前記第二の粒子と前記第一の粒子との質量比が0.5/1〜4/1である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の膜形成用塗布液。
  9. 動的光散乱法により測定される平均粒子径が200〜3,000nm、走査型プローブ顕微鏡により測定される平均厚みに対する透過型電子顕微鏡により測定される平均粒子径の比として求められる平均アスペクト比が200〜2,000である板状の第一の粒子の分散液と、
    動的光散乱法により測定される平均粒子径が40〜200nm、透過型電子顕微鏡により測定される平均短径に対する平均長径の比として求められる平均アスペクト比が1〜5である球状の第二の粒子の分散液と、
    下式(i)で表されるシランカップリング剤、その加水分解物およびその縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなり、前記式(i)中のmの平均値が0.7〜1であるマトリックス前駆体の溶液と、を混合して膜形成用塗布液を得る、膜形成用塗布液の製造方法。
    SiR4−m ・・・(i)
    (式中、Rはアルキル基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロイル基およびアクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機基を含む基であり、Xはアルコキシ基である。)
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