JP2005290149A - 透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリオールと有機ケイ素化合物との反応物と、マトリックス形成成分とを含み、有機ケイ素化合物が下記一般式(1)または(2)で表される1種以上であることを特徴
とする透明被膜形成用塗布液。
R1 mSi(OR2)4-m …(1) (R3O)n-3-Si-X-Si-(OR4)n'-3 …(2)
[R1、R2:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基
等の炭化水素基、m=0,1,2,または3。R3、R4:アルキル基、アリール基、ビニル基、アク
リル基、メタクリル基、エポキシ基等の炭化水素基、n,n'=0,1,2,または3、X:-(CF2)p-、-CH2-(CF2)q-(CH2)-、p、q:1〜6の整数]
【選択図】なし
Description
また、従来(1)基材にハードコート膜を形成し、ついで帯電防止膜等を形成し、必要に応じてさらに反射防止膜を設けるケース、(2)基材上に反射防止膜を設けるケースなどがあった。ここで、基材上に直接設けるハードコート膜、反射防止膜について、基材が樹脂の場合、樹脂との親和性が不充分で密着性が不充分であり、膜自体の反射防止性能が低下してしまうことがあった。
を見出した。
(1)すなわち本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、
ポリオールと有機ケイ素化合物との反応物と、マトリックス形成成分とを含み、
有機ケイ素化合物が下記一般式(1)または(2)で表される1種以上であることを特徴としている。
[R1、R2:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキ
シ基等の炭化水素基、m=0,1,2,または3]
(R3O)n-3−Si−X−Si−(OR4)n'-3 (2)
[R3、R4:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキ
シ基等の炭化水素基、n、n’=0,1,2,または3、X:−(CF2)p−、−CH2−(CF2)q−(CH2)−、p、q:1〜6の整数]
(2)前記ポリオールがポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ウレタンポリオー
ルから選ばれる1種以上であることが好ましい。
(3)前記ポリオールが下記式(3)で表される官能基を有することことが好ましい。
[R5、R7:アルキル基または水素。r:1,2,3]
(4)前記ポリオールと加水分解性有機ケイ素化合物との反応物とを、透明被膜中に固形分
として1〜50重量%の範囲となるように含有することが好ましい。
(5)前記式(1)で表される有機ケイ素化合物のm=0であることが好ましい。
(6)前記マトリックス形成成分が塗料用樹脂または前記式(1)で表される有機珪素化合
物の加水分解物であることが好ましい。
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液。
(7)さらに、無機酸化物粒子を含むことが好ましい。
(8)前記透明被膜形成用塗布液を用いて形成された透明被膜が、基材上に形成されてなる
透明被膜付基材。
透明被膜形成用塗布液
本発明に係るハードコート膜形成用塗布液は、ポリオールと有機ケイ素化合物との反応物とマトリックス形成成分とを含む。
R1 mSi(OR2)4-m (1)
[R1、R2:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキ
シ基等の炭化水素基、m=0,1,2,または3]
(R3O)n-3−Si−X−Si−(OR4)n'-3 (2)
[R3、R4:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキ
シ基等の炭化水素基、n、n’=0,1,2,または3、X:−(CF2)p−、−CH2−(
CF2)q−(CH2)−、p、q:1〜6の整数]
ポリオール
本発明に用いるポリオールとしてはポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ウレタンポリオールが挙げられる。
ポリオールの総不飽和度が前記範囲を越えると、やはり透明被膜形成時に膜収縮が大きくなり、膜が湾曲するかクラックを生じることがある。
このようなポリオールとしては市販のものを特に制限なく使用することができる。
本発明に用いるポリオールは、下記式(3)で表される官能基を有することが好ましい。
[R5:アルキル基、R7:アルキル基または水素。r:1,2,3]
このような官能基としては、ジメチルメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、ジエチルエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
有機ケイ素化合物
つぎに、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物としては、具体的に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシトリプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロルシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン等が挙げられる。
このような反応物は、例えば、テトラアルコキシシランとポリオールを水-アルコール
混合溶媒に溶解し、硝酸等の酸を加え、必要に応じてエバポレーター等でアルコールに溶媒置換したものは透明被膜形成用塗布液に好適に用いることができる。
本発明の透明被膜形成用塗布液のマトリックス形成成分としては、(A)樹脂マトリックス形成成分または(B)前記式(1)で表される有機珪素化合物の加水分解物のマトリックス形成成分が好適に用いられる。
に、耐擦傷性、膜強度に優れた反射防止性能を有する透明被膜が得られる。
(A)樹脂マトリックス形成成分として、具体的には塗料用樹脂として公知の熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂等のいずれも採用することができる。
本発明に係る透明被膜形成用塗布液(ハードコート膜形成用塗布液)は、上記ポリオールと加水分解性有機ケイ素化合物との反応物と(A)樹脂マトリックス形成成分とが分散媒
に分散している。
透明被膜形成用塗布液中の(A)マトリックス形成成分の濃度は、固形分として5〜80
重量%、さらには10〜60重量%の範囲にあることが好ましい。
ポリオールと加水分解性有機ケイ素化合物との反応物の濃度が固形分として前記範囲未満の場合は、基材あるいは必要に応じて設ける他の被膜との密着性向上効果が充分に得られず、また耐擦傷性、スクラッチ強度、可撓性等の向上効果が充分得られないことがある。
本発明のハードコート膜形成用塗布液には、無機酸化物粒子を含んでいることが好ましい。
無機酸化物粒子の平均粒子径が2nm未満のものは得ることが困難であり、平均粒子径が200nmを越えるとハードコート膜のヘーズが悪化することがある。
このような無機酸化物粒子を含んでいる被膜の強度、硬度、擦傷性を向上させることが可能であり、例えばシリカ粒子を含んでいると基材との密着性がより向上するとともにハードコート膜の硬度が向上する傾向にある。
ズドープ酸化インジウム(ITO)等を含んである場合は、基材との密着性やハードコート
膜の硬度がより向上するととも帯電防止効果を発現するためにゴミ等の付着しないハードコート膜が得られる。
32重量%の範囲にあることが好ましい。
塗布液として使用することも可能である。
(B)成分を含む透明被膜形成用塗布液(反射防止膜形成用塗布液)
前記式(1)で表される有機ケイ素化合物としては前記したと同様の有機ケイ素化合物が用いられる。
の加水分解物のマトリックス形成成分が分散媒に分散している。
透明被膜形成用塗布液中の(B)成分量は、有機ケイ素化合物の加水分解物を固形分と
して0.5〜10重量%、さらには1〜5重量%の範囲にあることが好ましい。
設けた被膜、例えば前記したハードコート膜との密着性が不充分となる。また、反射防止膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分の濃度が前記範囲を越えると、得られる反射防止膜の厚さが不均一になる傾向がある。
本発明の反射防止膜形成用塗布液には、低屈折率成分として、CaF2,NaF,NaAlF6,MgF等の低屈折率物質の他、シリカ系粒子(シリカ粒子、シリカ中空粒子、シリカ・アルミナ複合酸化物粒子、多孔質シリカ系粒子等)が含まれていてもよい。
透明被膜付基材
本発明に係る透明被膜付基材は、前記透明被膜形成用塗布液を用いて形成された、1種
以上の透明被膜が、基材上に形成されてなる。
膜(第1の透明被膜)といい、前記(B)成分を含む透明被膜形成用塗布液を用いて形成さ
れた透明被膜を反射防止膜(第2の透明被膜)という。
本発明に用いる基材としては、公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PET、TAC等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等があげられる。このうち樹脂系基材を好適に用いることができる。
ハードコート膜は、ポリオールと加水分解性有機ケイ素化合物との反応物と樹脂マトリックスとからなっている。
ハードコート膜中の該反応物の含有量は固形分として1〜50重量%、さらには2〜30重量%の範囲となるように含んでいることが好ましい。
樹脂マトリックスとしては、前記した通りである。ハードコート膜中の樹脂マトリックス形成成分の含有量は、樹脂を固形分として50〜99重量%、さらには70〜98重量%の範囲にあることが好ましい。
このような無機酸化物粒子のハードコート膜中の含有量は、酸化物として5〜90重量%、さらには10〜80重量%の範囲にあることが好ましい。
好ましい。
ハードコート膜の厚さが前記範囲未満の場合は、ハードコート膜が薄いためにハードコート膜表面に加わる応力を充分に吸収することができないために可撓性、耐擦傷性、スクラッチ強度等が不充分となることがある。
が設けられたものである。反射防止膜は、直接基材表面に形成されていてもよく、前記ハードコート膜付基材のハードコート膜上に反射防止膜が形成されていてもよい。
反射防止膜は、前記した反射防止膜形成用塗布液を用いて形成される。
反射防止膜の厚さが前記範囲未満の場合は、膜の強度、反射防止性能等が劣ることがある。反射防止膜の厚さが前記範囲を越えると、膜にクラックが発生したり、このため膜の強度がしたり、また膜が厚すぎて反射防止性能が不充分となることがある。
充分となることがあり、屈折率が1.28未満のものは得ることが困難である。
中間膜
中間膜としては屈折率が1.6以上のものが設けられる。
反射防止膜の屈折率との差が小さく、反射防止性能が不充分となることがあり、このため屈折率が1.6以上の中間膜が形成されていることが好ましい。
中間膜形成用マトリックスとは、中間膜を形成し得る成分をいい、ハードコート膜や基材との密着性や塗工性等の条件に適合する樹脂等から選択して用いることができ、具体的には前記ハードコート膜形成用の樹脂マトリックス、及び、前記反射防止膜にて例示したアルコキシシラン等の加水分解性有機ケイ素化合物が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
ハードコート膜形成用塗布液(H-1)の調製
先ず、以下のようにしてポリオールと加水分解性有機ケイ素化合物との反応物(A)を調
製した。
O2濃度28.8重量%)17.36gに2-プロパノール及び純水1:1混合液81.6gを
混合し、ついで濃度61重量%の硝酸を1.04g添加し1時間攪拌した。ついで210
gのブタノールを添加し、エバポレーターで210g蒸発させることによって反応物(A)
を調製した。
化樹脂(大日本インキ(株)製:ユニデック17-824-9、固形分濃度79重量%)20.8g
とエチルセロソルブ20.63gと2-プロパノール19.09gとを混合してハードコー
ト膜形成用塗布液(H-1)を調製した。
ハードコート膜形成用塗布液(H-1)をPETフィルム(厚さ:188μm、屈折率1.6
5)の表面に#18のバーコーターを用いて塗布し、80℃で1分間乾燥した後、高圧水
銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させてハードコート膜付基材(F-1)を調製し
た。このときのハードコート膜の厚さは5μmであった。
また、全光線透過率及びヘーズをヘーズメーター(スガ試験機(株)製)により測定し、結果を表1に示す。
鉛筆硬度の測定
JIS-K-5400に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
#0000スチールウールを用い荷重500g/cm2で50回摺動し、膜の表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
筋状の傷が認められない :◎
筋状に傷が僅かに認められる:○
筋状に傷が多数認められる :△
面が全体的に削られている :×
密着性
反射防止膜付基材(F-1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付
け、100個の升目を作り、これにセロハンテープ(登録商標)を接着し、次いで、セロハンテープ(登録商標)を剥離したときに被膜が剥離せず残存している升目の数を以下の4段階に分類することによって密着性を評価した。
残存升目の数90〜94個:○
残存升目の数85〜89個:△
残存升目の数84個以下 :×
実施例2
ハードコート膜形成用塗布液(H-2)の調製
実施例1において、ポリオールと加水分解性有機ケイ素化合物との反応物(A)10g
、紫外線硬化樹脂(大日本インキ(株)製:ユニデック17-824-9、固形分濃度79重量%)22.81g、エチルセロソルブ20.63gと2-プロパノール36.56gとを混合した以外は同様にしてハードコート膜形成用塗布液(H-2)を調製した。
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(H-2)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜付基材(F-2)を調製した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであ
った。
擦傷性及び密着性を評価し、結果を表1に示す。
実施例3
ハードコート膜形成用塗布液(H-3)の調製
実施例1において、ポリオールと加水分解性有機ケイ素化合物との反応物(A)30g
、紫外線硬化樹脂(大日本インキ(株)製:ユニデック17-824-9、固形分濃度79重量%)17.74g、エチルセロソルブ20.63gと2-プロパノール1.63gとを混合した以外は同様にしてハードコート膜形成用塗布液(H-3)を調製した。
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(H-3)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜付基材(F-3)を調製した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであ
った。
実施例4
ハードコート膜形成用塗布液(H-4)の調製
実施例1において、ポリオールと加水分解性有機ケイ素化合物との反応物(A)20g
と五酸化アンチモン粒子分散液(触媒化成工業(株)製:ELCOM PC-14、平均粒子径20n
m、Sb2O5濃度20重量%、分散媒:エチルセロソルブ/エタノール重量比=34/66
)50gと紫外線硬化樹脂(大日本インキ(株)製:ユニデック17-824-9、固形分濃度79重量%)10.14gとエチルセロソルブ20.63gとを混合してハードコート膜形成用塗布液(H-4)を調製した。
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(H-4)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜付基材(F-4)を調製した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであ
った。
また、得られたハードコート膜付基材について全光線透過率、ヘーズ、鉛筆硬度、耐擦傷性及び密着性を評価し、結果を表1に示す。
ハードコート膜形成用塗布液(H-5)の調製
以下のようにしてポリオールと加水分解性有機ケイ素化合物との反応物(B)を調製し
た。
:200mgKOH/g)を用いた以外は実施例1と同様にしてポリオールと加水分解性
有機ケイ素化合物との反応物(B)を調製した。
)40gを用いた以外は同様にしてハードコート膜形成用塗布液(H-5)を調製した。
ハードコート膜付基材(F-5)の製造
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(H-5)を用いた以外は同様にしてハードコート膜付基材(F-5)を調製した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであっ
た。
実施例6
ハードコート膜形成用塗布液(H-6)の調製
ポリオール(鐘淵化学(株)製:ゼムラック)10gを用いた以外は実施例1と同様にしてポリオールと加水分解性有機ケイ素化合物との反応物(C)を調製した。
)40gを用いた以外は同様にしてハードコート膜形成用塗布液(H-6)を調製した。
ハードコート膜付基材(F-6)の製造
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(H-6)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜付基材(F-6)を調製した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであ
った。
実施例7
ハードコート膜形成用塗布液(H-7)の調製
実施例1において、紫外線硬化樹脂の代わりに熱硬化性アクリル樹脂(日立化成(株)製:ヒタロイド1007)16gを用いた以外は同様にしてハードコート膜形成用塗布液(H-7
)を調製した。
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(H-8)を用いた以外は同様にしてハ
ードコート膜付基材(F-8)を調製した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであ
った。
実施例8
中間膜形成用塗布液(M-1)の調製
高屈折率粒子として酸化チタンコロイド(触媒化成工業(株)製:オプトレイク1130Z、
屈折率2.2、平均粒子径20nm、TiO2濃度20重量%)20gと紫外線硬化樹脂(
大日本インキ(株)製:ユニデックV5500)0.44gとイソプロパノール6.7gとを充分
に混合して中間被膜形成用塗布液(M-1)を調製した。
まず、以下のようにして低屈折率の複合酸化物微粒子分散ゾルを調製した
メチルメトキシシラン27.4gを濃度0.65重量%の水酸化ナトリウム水溶液872.6gに混合し室温で1時間攪拌して、CH3SiO3/2として1.5重量%の無色透明な部分加
水分解物分散液を調製した。
母液にSiO2として1.5重量%の珪酸ナトリウム水溶液900gと上記部分加水分解物
分散液900gをAl2O3として濃度0.5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液1800gとを6時間掛けて同時に添加した。その間、反応母液の温度を80℃に維持した。反応母液のpHは添加直後、12.7に上昇し、その後ほとんど変化しなかった。添加終了後
、反応母液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20重量%のメチル基含
有SiO2・Al2O3複合酸化物微粒子(A-1)の分散液を得た。
加温し、この温度を維持しながら、珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得た珪酸液(SiO2濃度3.5重量%)1000gを5時間で添加し、シリカで被
覆したメチル基含有SiO2・Al2O3複合酸化物微粒子(B-1)の分散液を得た。ついで、限外濾過膜を用いて洗浄し、固形分濃度13重量%とした分散液500gに純水1125gを加え、さらに濃塩酸(濃度35.5重量%)を滴下してpH1.0とし、微粒子からアルミニウムを除去する処理を行った。
したアルミニウム塩を洗浄除去するとともに、濃縮して固形分濃度13重量%のシリカで被覆したメチル基含有SiO2・Al2O3複合酸化物微粒子(C-1)の分散液を得た。
750gおよび濃度28重量%のアンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO2濃度28重量%)104gを添加し、前記複合酸化物微粒子(C-1)をシリカで被覆した。これをエバポレーターで固形分濃度5重量%まで濃縮した
後、濃度15重量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、2時間加熱処理し、ついで限外濾過膜で濃縮して固形分濃度10重量%のシリカで完全に被覆したメチル基含有SiO2・Al2O3複合酸化物微粒子(D-1)の分散液を得た。
なお、粒子の屈折率は次のようにして測定した。
(1)複合酸化物微粒子(D-1)の分散液をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させる。(2)これを120℃で乾燥し粉末とする。
(3)屈折率が既知である標準屈折液を2,3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉末を
混合する。
(4)上記(3)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液(多くの場合はペースト状)が透明になったときの標準屈折率を微粒子の屈折率とする。
ノールに置換した。得られた複合酸化物微粒子(D-1)のエタノール分散液(固形分濃度
20重量%)5.8gと実施例1で得られた有機ケイ素化合物との反応物1.5gと正珪酸エチル(多摩化学(株)製:エチルシリケート28、SiO2濃度28重量%)5.35gとヘプタデカフルオロトリメトキシシラン(東レシリコーンダウ(株)製)0.07gと濃度61重量%の硝酸0.67gと2-プロパノール86.3とを充分に混合して反射防止膜形成用塗布液(R-1)を調製した。
実施例1と同様にして調製したハードコート膜付基材(F-1)上に、前記中間被膜形成
用塗布液(M-1)をバーコーター法で塗布し、80℃で1分間乾燥した。このときの中間
膜の厚さは80nm、屈折率は1.80であった。
乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させ、ハードコート膜付基材(F-9)を調製した。このときの反射防止膜の厚さは60nmであった。
ハーに各塗布液を個別に、各膜形成時と同様に塗布、乾燥および硬化処理し、エリプソメーター(ULVAC社製:EMS-1)により測定した。
実施例9
ハードコート膜付基材(F-9)の製造
実施例1と同様にして調製したハードコート膜付基材(F-1)上に、実施例8と同様に
して調製した反射防止膜形成用塗布液(R-1)をバーコーター法で塗布し、80℃で1分
間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させ、ハードコート膜付基材(F-9)を調製した。このときの反射防止膜の厚さは80nmであった。
実施例10
ハードコート膜付基材(F-10)の製造
実施例4と同様にして調製したハードコート膜付基材(F-4)上に、実施例8と同様に
して調製した反射防止膜形成用塗布液(R-1)をバーコーター法で塗布し、80℃で1分
間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させ、ハードコート膜付基材(F-10)を調製した。このときの反射防止膜の厚さは80nmであった。
実施例11
ハードコート膜付基材(F-11)の製造
実施例10において、PETフィルムの代わりにトリアセチルセルロース(TAC)フィ
ルム(厚さ:0.8mm、屈折率:1.50)を用いた以外は同様にしてハードコート膜付基材
(F-11)を調製した。このときのハードコート膜の厚さは5μm、反射防止膜の厚さは80nmであった。
実施例12
反射防止膜形成用塗布液(R-2)
実施例8で使用した複合酸化物微粒子(D-1)のエタノール分散液(固形分濃度20重量%)5.85gと紫外線硬化樹脂(大日本インキ(株)製:ユニデック17-824-9、固形分濃度79重量%)2.09gおよびイソプロパノール69.78gとブチルセロソルブ20.63
gおよび前記実施例1で得られたポリオールと有機珪素化合物との反応物1.5gとを充
分に混合して反射防止膜形成用塗布液(R-2)を調製した。
実施例11と同様にして調製したハードコート膜付基材(F-11)上に、反射防止膜形成用塗布液(R-2)をバーコーター法で塗布し、120℃で2分間乾燥した後、高圧水銀灯
(80W/cm)を1分間照射して硬化させ、ハードコート膜付基材(F-12)を調製した。このときのハードコート膜の厚さは90nmであった。
比較例1
ハードコート膜形成用塗布液(RH-1)の調製
紫外線硬化樹脂(大日本インキ(株)製:ユニデック17-824-9、固形分濃度79重量%)25.35gとエチルセロソルブ20.63gと2-プロパノール54.02gとを混合してハードコート膜形成用塗布液(RH-1)を調製した。
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(RH-1)を用いた以外は同様にしてハードコート膜付基材(RF-1)を調製した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであった。
比較例2
ハードコート膜形成用塗布液(RH-2)調製
熱硬化性アクリル樹脂(日立化成(株)製:ヒタロイド1007)100gとエチルセロソルブ233gとを混合してハードコート膜形成用塗布液(RH-2)を調製した。
実施例1において、ハードコート膜形成用塗布液(RH-2)を用いた以外は同様にしてハードコート膜付基材(RF-2)を調製した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであった。
比較例3
反射防止膜形成用塗布液(RR-1)調製
実施例8で使用した複合酸化物微粒子(D-1)のエタノール分散液(固形分濃度20重量%)5.85gと正珪酸エチル(多摩化学(株)製:エチルシリケート28、SiO2濃度28重量
%)5.35gとビストリメトキシシリルヘキサン(東レシリコーンダウ(株)製)0.25g
とヘプタデカフルオロトリメトキシシラン(信越シリコーン製:KBM-7803)0.07gと濃
度61重量%の硝酸0.67gと2−プロパノール87.8gとを充分に混合して反射防止膜形成用塗布液(RR-1)を調製した。
比較例1において、PETフィルムの代わりにトリアセチルセルロース(TAC)フィル
ム(厚さ:0.8mm、屈折率:1.50)を用いた以外は同様にしてハードコート膜付基材を
調製した。このときのハードコート膜の厚さは5μmであった。ついで、反射防止膜形成用塗布液(RR-1)をバーコーター法で塗布し、120℃で2分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させ、ハードコート膜付基材(RF-3)を調製した。このときの反射防止膜の厚さは90nmであった。
Claims (8)
- ポリオールと有機ケイ素化合物との反応物と、マトリックス形成成分とを含み、
有機ケイ素化合物が下記一般式(1)または(2)で表される1種以上であることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
R1 mSi(OR2)4-m (1)
[R1、R2:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキ
シ基等の炭化水素基、m=0,1,2,または3]
(R3O)n-3−Si−X−Si−(OR4)n'-3 (2)
[R3、R4:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキ
シ基等の炭化水素基、n、n’=0,1,2,または3、X:−(CF2)p−、−CH2−(CF2)q−(CH2)−、p、q:1〜6の整数] - 前記ポリオールがポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ウレタンポリオールから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の透明被膜形成用塗布液。
- 前記ポリオールが下記式(3)で表される官能基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の透明被膜形成用塗布液。
−Si(R5)3-r(OR7)r (3)
[R5、R7:アルキル基または水素。r:1,2,3] - 前記ポリオールと加水分解性有機ケイ素化合物との反応物とを、透明被膜中に固形分として1〜50重量%の範囲となるように含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液。
- 前記式(1)で表される有機ケイ素化合物のm=0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液。
- 前記マトリックス形成成分が、(A)塗料用樹脂または(B)前記式(1)で表される有機珪素化合物の加水分解物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液。
- さらに、無機酸化物粒子を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の透明被膜形成用塗布液を用いて形成された透明被膜が、基材上に形成されてなる透明被膜付基材。
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