JP2013043710A - エレベータの非常止め装置およびその弾性力調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、押圧ばねによる荷重をくさび受けの両端側に分布荷重として作用させて、くさび受けに作用する曲げモーメントを小さくし、くさび受けの大型化を抑えて、小型のエレベータの非常止め装置およびその弾性力調整方法を得る。
【解決手段】ガイドレール8の首部8aを挟んで相対して配設された一対のくさび26と、一対のくさび26の外側に転送ローラ27を介して上下方向に延設された一対のくさび受け24と、一対のくさび受け24の外側にくさび受け24に沿って上下方向に延設された一対のシム固定板29と、一対のアーム部34aの先端側が一対のシム固定板29の外側に位置するように配設されたU字状の押圧ばね34と、を備え、シム固定板29は、くさび受け24側の面の上下方向の両端側をくさび受け24側に突出させた平面部29aを有し、押圧ばね34の弾性力による荷重を、両端側の平面部29aを介してくさび受け24に作用させる。
【選択図】図2
【解決手段】ガイドレール8の首部8aを挟んで相対して配設された一対のくさび26と、一対のくさび26の外側に転送ローラ27を介して上下方向に延設された一対のくさび受け24と、一対のくさび受け24の外側にくさび受け24に沿って上下方向に延設された一対のシム固定板29と、一対のアーム部34aの先端側が一対のシム固定板29の外側に位置するように配設されたU字状の押圧ばね34と、を備え、シム固定板29は、くさび受け24側の面の上下方向の両端側をくさび受け24側に突出させた平面部29aを有し、押圧ばね34の弾性力による荷重を、両端側の平面部29aを介してくさび受け24に作用させる。
【選択図】図2
Description
この発明は、エレベータのかごが過大な速度で走行した際に、そのかごを停止させるエレベータの非常止め装置およびその弾性力調整方法に関するものである。
第1の従来のエレベータの非常止め装置は、かごに設けられた本体ブロックと、かごの昇降を案内するガイドレールを隔てて互いに対向するように本体ブロックに形成された嵌合部と、嵌合部のそれぞれに水平方向に摺動自在に装着され、内部にくさびが配設されたくさび受けと、互いに対向する一対のアーム部を有し、該アーム部をくさび受けのそれぞれの外面側に位置するように配されたU字状の押圧ばねと、アーム部の内側にそれぞれ設けられた半球状の押圧突起と、を備え、押圧ばねの弾性力で押圧突起を介してくさび受けを互いに接近する方向に弾性的に押圧し、この圧力を嵌合部の縁部に形成した受け部で受け止めていた(例えば、特許文献1参照)。
この第1の従来のエレベータの非常止め装置では、くさび受けに加わる押圧ばねの弾性力による圧力は、くさび受けと嵌合部の受け部との間に挿入されるスペーサの厚みにより、設定される。そこで、かごの大きさや仕様に合わせてくさび受けに加わる圧力を設定する度に、くさび受けを互いに離間する方向に移動させて押圧ばねを外方に拡開させ、くさび受けと嵌合部の受け部との間にスペーサを挿入し、その後押圧ばねに対する拡開力を解除するという煩雑な圧力調整作業が必要になるという不具合があった。
このような状況を鑑み、押圧ばねの一対のアーム部のそれぞれに雌ねじ部を形成し、アーム部の外側からボルトを雌ねじ部のそれぞれに螺合させ、ボルトの先端部の突出量を変えることで、くさび受けに加わる圧力を調整できるようにした第2の従来のエレベータの非常止め装置が提案されていた(例えば、特許文献2参照)。
第1の従来のエレベータの非常止め装置では、押圧ばねの弾性力は1つの弾性突起を介してくさび受けに加わるので、くさび受けには中心集中荷重がかかることになる。また、第2の従来のエレベータの非常止め装置では、押圧ばねの弾性力は2本のボルトを介してくさび受けに加わるので、くさび受けには2点集中荷重がかかることになる。このように、集中荷重がくさび受けにかかることで、くさび受けには、大きな曲げモーメントが作用するので、くさび受けの強度を大きくする必要があり、くさび受けが大型化するという不具合があった。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、押圧ばねの弾性力による荷重がくさび受けの両端側に分布荷重として作用するようにして、くさび受けに作用する曲げモーメントを小さくし、くさび受けの大型化を抑えて、小型のエレベータの非常止め装置およびその弾性力調整方法を得ることを目的とする。
この発明に係るエレベータの非常止め装置は、かご又はつり合いおもりに装着され、該かごの下降速度が規定値以上になったときに上動する引上装置と、ガイドレールの首部を挟んで相対して配設され、上記引上装置の上動に連動して上動して該首部を挟み込む一対のくさびと、上記一対のくさびのそれぞれの外側に転送ローラを介して上下方向に延設された一対のくさび受けと、上記一対のくさび受けのそれぞれの外側に該くさび受けに沿って上下方向に延設された一対の荷重伝達部材と、一対のアーム部を有するU字状をなし、該一対のアーム部の先端側が上記一対の荷重伝達部材の外側に位置するように配設され、該荷重伝達部材を介して上記くさび受けを押圧する押圧ばねと、を備えている。そして、上記荷重伝達部材は、上記くさび受け側の面の上下方向の両端側を該くさび受け側に突出させた平面部を有し、上記押圧ばねの弾性力による荷重を、上下方向の両端側の該平面部を介して上記くさび受けに作用させるように構成されている。
この発明によれば、押圧ばねの弾性力による荷重が、荷重伝達部材の上下方向の両端側の平面部を介してくさび受けに分布荷重として作用するので、1点又は2点の集中荷重がくさび受けに作用する場合に比べて、くさび受けに作用する曲げモーメントが小さくなる。これにより、くさび受けの小型化が可能となり、装置の小型化を実現できる。
以下、本発明のエレベータの非常止め装置の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの構成を模式的に示す断面図、図2はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの非常止め装置を示す正面図、図3は図2のIII−III矢視断面図、図4はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの非常止め装置の要部を示す分解斜視図、図5はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの非常止め装置におけるシム固定板を上面側から見た斜視図、図6はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの非常止め装置におけるシム固定板を背面側から見た斜視図である。図7はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの非常止め装置におけるシム固定板の構成を説明する図であり、図7の(a)は上面図、図7の(b)は側面図、図7の(c)は背面図、図7の(d)は端面図である。図8はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの非常止め装置におけるシムを示す平面図、図9はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの非常止め装置におけるくさび受けの構成を説明する図であり、図9の(a)は正面図、図9の(b)は側面図である。図10はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの非常止め装置におけるシム固定板のくさび受けへの取付方法を説明する図である。
図1において、駆動綱車3およびそらせ車4が昇降路1の上部に形成された機械室2内に設置され、かご6およびつり合いおもり7が駆動綱車3とそらせ車4とに掛け渡されて昇降路1内に垂下された主ロープ5に吊り下げられている。かご6およびつり合いおもり7は、昇降路1内に上下方向に延設されたガイドレール8(かご側のみ図示)に案内されて昇降可能に配設されている。
かご6には、非常止め装置20が装着されており、主ロープ5が切断し、あるいは駆動綱車3の回転速度が異常になり、かご6の下降速度が定格速度(規定値)以上になった場合に、ガイドレール8を掴み、かご6を機械的に停止させるように構成されている。
調速機ロープ11は、機械室2内に設置された調速機9とピット内に設置された張り車10とに掛け渡されている。そして、調速機ロープ11は、引上装置12を介してかご6に連結され、かご6の昇降に連動して、循環走行する。
調速機ロープ11は、機械室2内に設置された調速機9とピット内に設置された張り車10とに掛け渡されている。そして、調速機ロープ11は、引上装置12を介してかご6に連結され、かご6の昇降に連動して、循環走行する。
このように構成されたエレベータでは、駆動綱車3がエレベータ制御盤(図示せず)により駆動制御され、かご6およびつり合いおもり7がガイドレール8に案内されて昇降路1内を昇降する。このとき、かご6の昇降に連動して、調速機ロープ11が循環走行し、調速機9が調速機ロープ11を介してかご6の速度を検知する。そして、調速機9がかご6の過速度を検知すると、調速機9に組み込まれているロープ掴み部が作動し、調速機9に巻き付けられている調速機ロープ11が把持される。これにより、かご6に装着されている引上装置12が上動し、非常止め装置20が作動され、かご6が機械的に停止される。
つぎに、非常止め装置20の構成を図2乃至図10を参照しつつ説明する。
非常止め装置20は、図2および図3に示されるように、平面形状を略正方形とする鋼板からなる上端板21と、上端板21と略同形状に形成され、上端板21に対向して上端板21の下部に所定距離離れて配置された下端板22と、上端板21と下端板22との間に配置され、両端を上端板21と下端板22とに溶接などにより固着された溝形鋼製の連結部材23と、からなる骨格を備え、かご6の下梁に固定される。
非常止め装置20は、図2および図3に示されるように、平面形状を略正方形とする鋼板からなる上端板21と、上端板21と略同形状に形成され、上端板21に対向して上端板21の下部に所定距離離れて配置された下端板22と、上端板21と下端板22との間に配置され、両端を上端板21と下端板22とに溶接などにより固着された溝形鋼製の連結部材23と、からなる骨格を備え、かご6の下梁に固定される。
上端板21および下端板22の前面中央部には、ガイドレール8の頭部8aが遊嵌されるU字状の溝21a,22aが形成されている。受け部21bが、上端板21の前端両側の下面をステップ状に薄肉化して形成されている。同様に、受け部22bが、下端板22の前端両側の上面をステップ状に薄肉化して形成されている。
くさび受け24は、図9に示されるように、基部24aおよび基部24aの長さ方向の両端から同じ方向に延出する一対の腕部24bを有するコ字状に作製され、係止部24cが一対の腕部24bの先端の外壁面にそれぞれ突設されている。基部24aの外壁面は、基部24aの厚みが一方の腕部24bから他方の腕部24bに向って漸次薄くなる斜面に形成されている。そして、一対の取付用雌ねじ部25が基部24aの内壁面に長さ方向に所定距離離間して形成されている。
そして、一対のくさび受け24は、図2に示されるように、基部24aの外壁面を向き合わせて、腕部24bの外壁面を上端板21および下端板22の相対する面に摺動させつつ、係止部24cが受け部21b,22bに接するまで、外側から上端板21と下端板22との間の前端側に挿入される。このとき、一対のくさび受け24は、長さ方向を上下方向として、ガイドレール8の頭部8aを挟んで、相対して配設される。そして、一対のくさび受け24の基部24aの外壁面の間の隙間は、下端板22側に向って漸次広くなっており、基部24aの内壁面は互いに平行となって上下方向に延在している。
略台形のくさび26が、図2に示されるように、一対のくさび受け24の内側に、ガイドレール8の頭部8aを挟んで相対して配設されている。さらに、複数個の転送ローラ27が、それぞれ、軸方向両端に突設された軸部を一対のローラ保持板28に回転可能に支持されて、くさび受け24とくさび26との間のそれぞれに配設されている。なお、図示していないが、一対のくさび26の下端部には、引上装置12がピンを介して連結され、引上装置12の上動に連動して、くさび26が転送ローラ27を回転させつつ上動するようになっている。
一対のくさび受け24の基部24aの外側には、図2乃至図4に示されるように、それぞれ、荷重伝達部材としてのシム固定板29が配設されている。
シム固定板29は、図5乃至図7に示されるように、長方形に該長方形の一辺を弦とする円弧を重ね合わせた断面形状を有する柱状体の底面の長さ方向の中央に、溝方向を円弧の弦と平行な方向、すなわち幅方向とする溝を形成して作製されている。そこで、シム固定板29の表面は長さ方向に直交する断面形状を円弧とする曲面により構成され、シム固定板29の底面は、溝により長さ方向に離間された2つの平面部29aにより構成されている。また、弾性力調整用貫通穴30がシム固定板29の長さ方向および幅方向の中央を貫通するように形成され、取付用貫通穴31が各平面部29aの長さ方向および幅方向の中央を貫通するように形成されている。
なお、シム固定板29の底面の幅および長さは、腕部24b間の基部24aの内壁面の幅および長さにほぼ等しくなっている。また、取付用貫通穴31は、シム固定板29を基部24aの内壁面に配設したときに、取付用雌ねじ部25と相対するように形成されている。さらに、取付用貫通穴31には、ザグリが形成され、取付用ねじ33の頭部が埋没するようになっている。
シム32は、図8に示されるように、シム固定板29の底面に略等しい長方形の平面形状を有する薄板に作製され、くさび受け24の基部24aとシム固定板29との間に介装される。そして、3つの切り欠き32a,32bが、シム32の長さ方向に離間して、それぞれ、幅方向の一側に開口し、溝方向を幅方向として幅方向の中央を越えるように形成されている。3つ切り欠き32a,32bは、シム32がくさび受け24の基部24aとシム固定板29との間に介装されたときに、それぞれ、弾性力調整用貫通穴30に通された弾性力調整用ボルト37および取付用貫通穴31に通された取付用ねじ33が遊嵌状態に挿通されるようにシム32に形成されている。
シム固定板29は、図10に示されるように、シム32を挟んでくさび受け24の基部24aの内壁面に重ねられ、取付用ねじ33を取付用貫通穴31から切り欠き32bを通して取付用雌ねじ部25に締着して、組み付けられる。これにより、シム32は、シム固定板29の平面部29aとくさび受け24の基部24aの内壁面との間にそれらと面接触状態で緊締される。
押圧ばね34は、図2乃至図4に示されるように、基部34aおよび基部34aの両端から同じ方向に延出する一対のアーム部34bを有するU字状に作製され、基部34aを連結部材23にボルトとナットにより締着固定され、一対のアーム部34bがシム固定板29のそれぞれの外側に位置するように配設される。アーム部34bには、弾性力調整用雌ねじ部35が弾性力調整用貫通穴30に臨むように形成され、一対のねじ着脱用貫通穴36が取付用貫通穴31のそれぞれに臨むように形成されている。
このように構成された非常止め装置20は、上端板21および下端板22などからなる骨格をかご6の下梁に固定されて取り付けられる。ガイドレール8の頭部8aが溝21a,22a内を遊嵌状態に挿通している。そして、一対のくさび26が、ガイドレール8の頭部8aを挟んで、一対のくさび受け24間の下部側に配され、頭部8aとの間に所定の隙間が確保されている。
押圧ばね34の一対のアーム部34bは、拡開された状態で一対のシム固定板29の表面に当接し、シム固定板29を介してくさび受け24を押圧し、くさび受け24の係止部24cが上端板21および下端板22の受け部21b,22bに当接する。そこで、くさび受け24は、この押圧ばね34の弾性力が係止部24cと受け部21b,22bとの当接部を支点とする両端支持梁に作用したときの曲げモーメントの力を受けることになる。
押圧ばね34の弾性力は、シム固定板29に加わり、長さ方向に離間した平面部29aからシム32を介してくさび受け24に加わる。これにより、押圧ばね34の弾性力は、くさび受け24の両端側に分布荷重として作用する。また、シム固定板29とくさび受け24との間に介装されるシム32の厚み、すなわちシム32の枚数を変えることで、くさび受け24に作用する押圧ばね34の弾性力が調整される。
ここで、かご6の過速度が調速機9により検知され、引上装置12が上動すると、くさび26がくさび受け24の基部24aの外壁面に沿って上動する。そして、くさび26が上動し、ガイドレール8の頭部8aに接すると、アーム部34bを拡開しつつくさび受け24と頭部8aとの間に食い込む。これにより、押圧ばね34の弾性力が増大し、頭部8aを挟み込むくさび26の締着力が増大し、かご6の下降が機械的に停止される。
つぎに、押圧ばね34の弾性力の調整作業について図11および図12を参照しつつ説明する。ここで、図11はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの非常止め装置における押圧ばねの弾性力の調整作業を説明する正面図、図12は図11のXII−XII矢視断面図である。なお、図11および図12において、左半分は弾性力の調整中の状態を示し、右半分は弾性力の調整後の状態を示している。
まず、弾性力調整用ボルト37を弾性力調整用雌ねじ部35に螺着し、弾性力調整用ボルト37を回してくさび受け24側に延出させる。弾性力調整用ボルト37の延出端は、弾性力調整用貫通穴30を通ってくさび受け24の基部24aの内壁面に当接する。そこで、弾性力調整用ボルト37をさらにねじ込んで延出させる。これにより、図11および図12の左半分に示されるように、アーム部34bが拡開され、アーム部34bとシム固定板29との間に隙間が形成される。
ついで、ドライバー(図示せず)をねじ着脱用貫通穴36から差し込んで、取付用ねじ33を緩める。そして、シム固定板29とくさび受け24との間を広げて、所定枚数のシム32を差し込む、あるいは所定枚数のシム32を抜き取る。その後、ドライバーにより取付用ねじ33を締着して、シム固定板29と調整された枚数のシム32とをくさび受け24に固定する。ついで、弾性力調整用ボルト37を緩めて、弾性力調整用雌ねじ部35から取り外す。これにより、図11および図12の右半分に示されるように、シム固定板29とくさび受け24との間の間隔が設定された間隔に調整され、押圧ばね34の弾性力が設定値に調整される。
つぎに、本発明による効果について説明する。
まず、本発明では、シム固定板29の底面に、その長さ方向の中央部に溝を形成して長さ方向に離間する2つの平面部29aを形成している。すなわち、2つの平面部29aが、シム固定板29の底面の長さ方向の両端側に突設されている。この構成とすることにより、押圧ばね34の弾性力はくさび受け24の両端側に分布荷重として作用するので、押圧ばね34の弾性力がくさび受け24に1点又は2点の集中加重として作用する場合に比べ、くさび受け24に作用する曲げモーメントを小さくできる。
まず、本発明では、シム固定板29の底面に、その長さ方向の中央部に溝を形成して長さ方向に離間する2つの平面部29aを形成している。すなわち、2つの平面部29aが、シム固定板29の底面の長さ方向の両端側に突設されている。この構成とすることにより、押圧ばね34の弾性力はくさび受け24の両端側に分布荷重として作用するので、押圧ばね34の弾性力がくさび受け24に1点又は2点の集中加重として作用する場合に比べ、くさび受け24に作用する曲げモーメントを小さくできる。
材料の曲げに対する強度は、式(1)で表される。
σ=M/Z ・・・式(1)
但し、σは応力、Mは曲げモーメント、Zは断面係数である。
ここで、応力σは材料によって決まっている値である。くさび受け24の断面が隣り合う2辺の長さをx、yとする長方形と考えると、長方形の断面係数Zは式(2)で表される。
Z=x・y2/6・・・式(2)
したがって、応力σを一定とした場合、曲げモーメントMが小さくなれば、断面係数Z、すなわちx、yの値を小さくでき、長方形の断面形状を小さくできる。
このように、上述の構成とすることにより、くさび受け24に作用する曲げモーメントを小さくできるので、くさび受け24の小型化が可能となり、非常止め装置20の小型化を実現できる。
σ=M/Z ・・・式(1)
但し、σは応力、Mは曲げモーメント、Zは断面係数である。
ここで、応力σは材料によって決まっている値である。くさび受け24の断面が隣り合う2辺の長さをx、yとする長方形と考えると、長方形の断面係数Zは式(2)で表される。
Z=x・y2/6・・・式(2)
したがって、応力σを一定とした場合、曲げモーメントMが小さくなれば、断面係数Z、すなわちx、yの値を小さくでき、長方形の断面形状を小さくできる。
このように、上述の構成とすることにより、くさび受け24に作用する曲げモーメントを小さくできるので、くさび受け24の小型化が可能となり、非常止め装置20の小型化を実現できる。
つぎに、本発明では、シム固定板29の表面が長さ方向と直交する断面において円弧となっている。図13はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの非常止め装置におけるアーム部とシム固定板との接触状態を説明する図であり、図13の(a)は非常止め装置の初期状態を示し、図13の(b)は非常止め装置の作動状態を示している。この構成とすることで、図13に示されるように、アーム部34bの拡開状態が変わっても、シム固定板29は、アーム部34bの平坦な内壁面に対し、常に、頂点、若しくは頂点近傍で線接触状態となっている。つまり、アーム部34bの拡開状態に拘らず、シム固定板29とアーム部34bとの接触状態は安定しており、押圧ばね34の弾性力がシム固定板29に作用する方向は、常に、平面部29aに直交する方向にほぼ一致する。したがって、この構成とすることにより、押圧ばね34の弾性力を効果的にくさび受け24に作用させ、かご6の速やかな停止を実現できる。
これに対し、表面が平坦面に形成されているシム固定板29Aを用いた比較例について説明する。図14は比較例のエレベータの非常止め装置におけるアーム部とシム固定板との接触状態を説明する図であり、図14の(a)は非常止め装置の初期状態を示し、図13の(b)は非常止め装置の作動状態を示している。
比較例では、初期状態では、シム固定板29Aは、図14の(a)に示されているように、アーム部34bの内壁面に対し、面接触状態となっている。しかし、作動状態では、アーム部34bが拡開され、シム固定板29Aは、図14の(b)に示されるように、アーム部34bの内壁面に対し、基部34a側の角部Bで線接触状態となっている。そこで、押圧ばね34の弾性力がシム固定板29Aに作用する方向は、平面部29aに直交する方向に対して傾斜する。この傾斜角度は、アーム部34bの拡開状態が大きくなるほど、大きくなる。つまり、押圧ばね34の弾性力の増加率に対して、弾性力の平面部29aに直交する方向の成分の増加率は低くなる。したがって、比較例では、押圧ばね34の弾性力が効果的にくさび受け24に作用しないので、かご6を停止させるためのアーム部34bの拡開量が大きくなり、かご6を停止させる時間が長くなってしまう。
つぎに、本発明では、弾性力調整用雌ねじ部35に螺着した弾性力調整用ボルト37の先端を、弾性力調整用貫通穴30を通してくさび受け24の基部24aの内壁面に当接させ、ついで、弾性力調整用ボルト37をねじ込んでアーム部34bを拡開させる。ついで、ドライバーを着脱用貫通穴36から差し込んで、取付用ねじ33を緩め、シム固定板29とくさび受け24との間に所定枚数のシム32を差し込む。その後、ドライバーにより取付用ねじ33を締着し、弾性力調整用ボルト37を緩めて、弾性力調整用雌ねじ部35から取り外して、押圧ばね34の弾性力を調整している。
このように、本発明によれば、押圧ばね34およびシム固定板29を取り外すことなく、押圧ばね34の弾性力を調整できるので、押圧ばね34の弾性力の調整作業が容易となる。また、弾性力調整用ボルト37の締着によりアーム部34bを拡開できるので、大掛かりな装置が必要とならず、押圧ばね34の弾性力を安価に調整できる。
また、3つ切り欠き32a,32bが、シム32がくさび受け24の基部24aとシム固定板29との間に介装されたときに、それぞれ、弾性力調整用貫通穴30に通された弾性力調整用ボルト37および取付用貫通穴31に通された取付用ねじ33が遊嵌状態に挿通されるようにシム32に形成されている。そこで、シム固定板29とくさび受け24とを締着している取付ねじ33を緩めるだけで、シム固定板29とくさび受け24との間にシム32を装着でき、押圧ばね34の弾性力の調整作業が容易となる。
なお、上記実施の形態では、非常止め装置をかごに装着するものとしているが、非常止め装置はつり合いおもりに装着してもよい。
また、上記実施の形態では、シム固定板の裏面の中央に溝方向を幅方向とする溝を形成して両端側に2つの平面部を形成するものとしているが、溝方向を幅方向とする溝により両端側の各平面部を複数に分割してもよい。
また、上記実施の形態では、シム固定板の裏面の中央に溝方向を幅方向とする溝を形成して両端側に2つの平面部を形成するものとしているが、溝方向を幅方向とする溝により両端側の各平面部を複数に分割してもよい。
また、上記実施の形態では、取付用貫通穴が平面部の長さ方向および幅方向の中央部を通るようにシム固定板に形成されているものとしているが、取付用貫通穴は、必ずしも平面部の長さ方向および幅方向の中央部を通る必要はなく、平面部を通るようにシム固定板に形成されていればよい。
また、上記実施の形態では、弾性力調整用貫通穴がシム固定板の長さ方向および幅方向の中央を通るように形成されているものとしるが、弾性力調整用貫通穴は、必ずしもシム固定板の長さ方向および幅方向の中央を通る必要はなく、平面部間を通るように形成されていればよい。
また、上記実施の形態では、弾性力調整用貫通穴がシム固定板の長さ方向および幅方向の中央を通るように形成されているものとしるが、弾性力調整用貫通穴は、必ずしもシム固定板の長さ方向および幅方向の中央を通る必要はなく、平面部間を通るように形成されていればよい。
6 かご、7 つり合いおもり、8 ガイドレール、8a 首部、12 引上装置、24 くさび受け、26 くさび、27 転送ローラ、29 シム固定板(荷重伝達部材)、29a 平面部、30 弾性力調整用貫通穴、32 シム、33 取付用ねじ、34 押圧ばね、34b アーム部、35 弾性力調整用雌ねじ部、36 ねじ着脱用貫通穴、37 弾性力調整用ボルト。
Claims (5)
- かご又はつり合いおもりに装着され、該かごの下降速度が規定値以上になったときに上動する引上装置と、
ガイドレールの首部を挟んで相対して配設され、上記引上装置の上動に連動して上動して該首部を挟み込む一対のくさびと、
上記一対のくさびのそれぞれの外側に転送ローラを介して上下方向に延設された一対のくさび受けと、
上記一対のくさび受けのそれぞれの外側に該くさび受けに沿って上下方向に延設された一対の荷重伝達部材と、
一対のアーム部を有するU字状をなし、該一対のアーム部の先端側が上記一対の荷重伝達部材の外側に位置するように配設され、該荷重伝達部材を介して上記くさび受けを押圧する押圧ばねと、を備え、
上記荷重伝達部材は、上記くさび受け側の面の上下方向の両端側を該くさび受け側に突出させた平面部を有し、上記押圧ばねの弾性力による荷重を、上下方向の両端側の該平面部を介して上記くさび受けに作用させるように構成されていることを特徴とするエレベータの非常止め装置。 - 上記荷重伝達部材は、上記アーム部側の面が上下方向と直交する断面を円弧とする曲面に形成されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの非常止め装置。
- 上記くさび受けと上記荷重伝達部材との間に着脱可能に介装されるシムを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエレベータの非常止め装置。
- 上記荷重伝達部材は、上記平面部のそれぞれを挿通する取付用ねじにより上記シムとともに上記くさび受けに締着固定され、
ねじ着脱用貫通穴が、上記取付用ねじに相対するように上記アーム部に形成され、該ねじ着脱用貫通穴に通されたドライバーにより上記取付用ねじの締着/締着解除が可能に構成され、
弾性力調整用貫通穴が、上記荷重伝達部材の上記平面部間を貫通するように形成され、
弾性力調整用雌ねじ部が、上記弾性力調整用貫通穴に相対するように上記アーム部に形成され、該弾性力調整用雌ねじ部に螺着された弾性力調整用ボルトが上記弾性力調整用貫通穴を通って上記くさび受けを押圧可能に構成されていることを特徴とする請求項3記載のエレベータの非常止め装置。 - 上記請求項4に記載のエレベータの非常止め装置の弾性力調整方法であって、
上記弾性力調整用ボルトを上記弾性力調整用雌ねじ部に螺着し、該弾性力調整用ボルトをねじ込んで上記弾性力調整用貫通穴を通して上記くさび受けを押圧し、上記アーム部を拡開させる工程と、
上記ドライバーを上記ねじ着脱用貫通穴から差し込んで、上記取付用ねじの締着を緩める工程と、
上記荷重伝達部材を上記くさび受けから離反させ、該荷重伝達部材と該くさび受けとの間に所定枚数の上記シムを装着する工程と、
上記ドライバーを上記ねじ着脱用貫通穴から差し込んで、上記取付用ねじを締着する工程と、
上記弾性力調整用雌ねじ部に螺着されている上記弾性力調整用ボルトを緩めて取り外す工程と、を備えていることを特徴とするエレベータの非常止め装置の弾性力調整方法。
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JP2011180507A JP2013043710A (ja) | 2011-08-22 | 2011-08-22 | エレベータの非常止め装置およびその弾性力調整方法 |
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JP2013043710A true JP2013043710A (ja) | 2013-03-04 |
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-
2011
- 2011-08-22 JP JP2011180507A patent/JP2013043710A/ja not_active Withdrawn
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