JP2013041808A - 燃料電池セル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池セル10は、燃料極11と、固体電解質12と、中間層13と、固体電解質層と共焼成されたバリア層14と、空気極15と、を備える。空気極15は、バリア層上に配置されており、バリア層との接合界面15aにおいて前記バリア層に接合される複数の接合部15bと、前記複数の接合部の間に設けられる複数の気孔15cと、を備え、接合界面における単位長さ当たりの前記複数の接合部15bの接合占有率は、30%〜80%に規定されている。
【選択図】図1
Description
燃料電池1の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、燃料電池1の構成を示す断面図である。
セル10は、燃料極11、固体電解質層12、中間層13、バリア層14および空気極15を備える。セル10は、y軸方向に直交するx軸方向に延びる薄板である。セル10は、セラミックス材料によって構成される。セル10の厚みは、例えば30μm〜3mmであり、セル10の直径は、例えば5mm〜50mmである。
燃料極11は、セル10のアノードである。燃料極11は、セル10に含まれる他層を支持する基板(換言すれば「支持体」)としての機能を有していてもよい。
固体電解質層12は、燃料極11と中間層13との間に配置される。固体電解質層12は、中間層13及びバリア層14と共焼成されており、緻密な構造を有している。固体電解質層12の気孔率は、例えば7%以下とすることができる。固体電解質層12は、空気極15で生成される酸素イオンを透過させる機能を有している。
中間層13は、固体電解質層12とバリア層14との間に配置される。中間層13は、固体電解質層12およびバリア層14と共焼成されている。
条件(2):D2/D1は、好ましくはD2/D1≦1を満たす
条件(3):D1は、好ましくはD1≦80mol%を満たす
条件(4):D1は、好ましくは40mol%≦D1を満たす
条件(5):D2は、好ましくはD2≦50mol%を満たす
条件(6):D2は、好ましくは10mol%≦D2を満たす
条件(7):D3に対するD1の比率(D1/D3)は、D1/D3≦0.9を満たす
条件(8):D4に対するD2の比率(D2/D4)は、D2/D4≦0.5を満たす
ここで、本実施形態において、各層の成分の「濃度」とは、各層における成分の平均含有量である。このような「濃度」は、例えば、原子濃度プロファイルによるライン分析、つまりEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)による特性X線強度の比較によって得ることができる。具体的には、厚み方向(図1のy軸方向)に平行なセル10の断面において、y軸方向に沿ってEPMAでライン分析を行うことにより、各元素の濃度分布データが取得される。すなわち、上述のD1〜D4は、EPMAを用いた元素マッピングによって決定することができる。なお、本実施形態では、EPMAは、EDS(Energy Dispersive x-ray Spectroscopy)を含む概念である。
バリア層14は、中間層13と空気極15との間に配置される。バリア層14は、固体電解質層12および中間層13と共焼成されており、緻密な構造を有している。具体的に、バリア層14の気孔率は、10%以下であることが好ましい。バリア層14は、空気極15から固体電解質層12へのカチオンの拡散を抑制することによって、高抵抗層の形成を抑制する。これによって、セル10の出力密度の低下が抑制されるとともに、セル10の長寿命化が図られている。
空気極15は、バリア層14上に配置される。空気極15は、セル10のカソードである。空気極15は、緻密な構造を有するバリア層14よりも多くの微細な孔を含んでいる。本実施形態において、空気極15は、「多孔質層」の一例である。
集電部材20は、図1に示すように、複数の導電接続部21と、導電性接着剤22と、を有する。
次に、中間層13の詳細構成について、図面を参照しながら説明する。
図2は、固体電解質層12、中間層13およびバリア層14におけるセリウム濃度分布とジルコニウム濃度分布の一例を模式的に示すグラフである。図2に示される濃度分布データは、上述の通り、y軸方向に平行な断面において、y軸方向に沿ってEPMAでライン分析を行うことにより取得される。
複数の気孔13cは、中間層13内に位置する。複数の気孔13cの少なくとも一部は、閉気孔(closed pore)であってもよい。閉気孔とは、その全体が中間層13内に存在しており、セル10の外気から遮断された気孔である。
次に、空気極15の詳細構成について、図面を参照しながら説明する。図3は、バリア層14と空気極15との界面付近の断面の一例を示すSEM画像である。図3では、y軸方向に垂直なx軸方向における13μmの領域が10000倍に拡大されている。なお、図3では、GDCを用いて形成されたバリア層14と、平均粒径0.3μmのLSCFを用いて形成された空気極15と、が示されている。
次に、セル10の製造方法の一例について説明する。ただし、以下に述べる材料、粒径、温度、及び塗布方法等の各種条件は、適宜変更することができる。
(1)本実施形態に係る燃料電池セル10において、空気極15とバリア層14との接合界面15aにおける接合部15bの接合占有率は、20%〜70%に規定されている。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
以下のようにして、多孔質層としての空気極を備える実験例No.1〜No.13に係るセルを作製した。なお、実験例No.1〜No.13に係るセルの作製条件の相違点は、空気極を構成するLSCF材料の平均粒径及び焼成温度それぞれが後述の範囲内で任意に設定されている点である。
実験例No.1〜No.13のセルを2つずつ準備して、厚み方向に平行な断面において空気極とバリア層との接合界面をSEM−EDS(Scanning Electron Microscopy-Energy Dispersive x-ray Spectroscopy)で観察した。また、画像ソフトを用いて、10000倍に拡大された10μm幅の断面画像を取得した(図3参照)。
実験例No.1〜No.13のセルそれぞれにガスを供給しながら発電温度まで昇温させることによって、実験例No.1〜No.13のセルそれぞれの初期出力(出力密度)を測定した。
・ガス種類:燃料極側に水素、空気極側に空気
・ガス利用率:水素、空気共に5%以下
・出力:定格0.8Vにおける出力密度
測定結果を下表1にまとめて記載する。
実験例No.1〜No.13のセルを準備して、大気雰囲気の赤外線ランプ式電気炉において、700℃まで5分の条件で昇温し、炉冷によって20分で冷却する熱サイクル試験(連続100回)を行った。
実験例No.1〜No.13に係る初期出力測定の結果から、多孔質層としての空気極を備えるセルでは、接合占有率が20%〜70%(すなわち、気孔占有率が30%〜80%)であることが好ましことが確認された。また、接合占有率が25%〜65%(すなわち、気孔占有率が35%〜70%)である場合には、約600mW/cm2以上の良好な初期出力を得ることができた。
以下のようにして、多孔質層としての多孔質バリア層を備える実験例No.14〜No.26に係るセルを作製した。なお、実験例No.14〜No.26に係るセルの作製条件の相違点は、多孔質多孔質バリア層を構成するGDC材料の平均粒径及び焼成温度それぞれが後述の範囲内で任意に設定されている点である。
実験例No.14〜No.26のセルを2つずつ準備して、厚み方向に平行な断面において緻密バリア層と多孔質バリア層との接合界面をSEM−EDSで観察した。また、画像ソフトを用いて、10000倍に拡大された10μm幅の断面画像を取得した。
実験例No.14〜No.26のセルそれぞれについて、上記実験例No.1〜No.13と同様の初期出力測定と熱サイクル試験とを実施した。結果を下表2にまとめて記載する。
実験例No.14〜No.26に係る初期出力測定の結果から、多孔質層としての多孔質バリア層を備えるセルでは、接合占有率が22%〜68%(すなわち、気孔占有率が32%〜78%)であることが好ましことが確認された。また、接合占有率が25%〜65%(すなわち、気孔占有率が35%〜75%)である場合には、約600mW/cm2以上の良好な初期出力を得ることができた。
10 燃料電池セル
11 燃料極
12 固体電解質層
13 中間層
13a 第1面
13b 第2面
13c 気孔
14 バリア層
15 空気極
15a 接合界面
15b 接合部
15c 気孔
20 集電部材
21 導電接続部
22 導電性接着剤
Claims (14)
- 燃料極と、
固体電解質層と、
前記固体電解質層と共焼成されたバリア層と、
前記バリア層上に配置されており、前記バリア層との接合界面において前記バリア層に接合される複数の接合部と、前記複数の接合部の間に設けられる複数の気孔と、を有する多孔質層と、
を備え、
前記接合界面における単位長さ当たりの前記複数の接合部の占有率は、20%〜70%である、
燃料電池セル。 - 前記多孔質層は、空気極である、
請求項1に記載の燃料電池セル。 - 前記接合界面において前記複数の接合部それぞれが前記バリア層と接合する平均幅は、0.1μm〜2.0μmである、
請求項2に記載の燃料電池セル。 - 前記接合界面における単位長さ当たりの前記気孔の占有率は、30%〜80%である、
請求項2又は3に記載の燃料電池セル。 - 前記接合界面において前記複数の気孔それぞれが前記バリア層に向かって開口する平均幅は、0.12μm〜1.5μmである、
請求項4に記載の燃料電池セル。 - 前記多孔質層上に形成される空気極をさらに備え、
前記多孔質層は、前記バリア層と前記空気極との間に形成され、前記バリア層の気孔率よりも高い気孔率を有する多孔質バリア層である、
請求項1に記載の燃料電池セル。 - 前記接合界面において前記複数の接合部それぞれが前記バリア層と接合する平均幅は、0.15μm〜1.8μmである、
請求項6に記載の燃料電池セル。 - 前記接合界面における単位長さ当たりの前記気孔の占有率は、32%〜78%である、
請求項6又は7に記載の燃料電池セル。 - 前記接合界面において前記複数の気孔それぞれが前記バリア層に向かって開口する平均幅は、0.15μm〜1.5μmである、
請求項8に記載の燃料電池セル。 - ジルコニウム及びセリウムを含み、前記固体電解質層と前記バリア層との間に介挿されており、前記バリア層よりも高い気孔率を示す中間層を備え、
前記固体電解質層は、ジルコニウムを含み、
前記バリア層は、セリウムを含む、
請求項1乃至9のいずれかに記載の燃料電池セル。 - 前記中間層における気孔率は、1%以上で15%以下である、
請求項10に記載の燃料電池セル。 - 前記バリア層における気孔率は、10%以下である、
請求項10又は11に記載の燃料電池セル。 - 前記中間層に含まれる気孔の長径は、1μm以下である、
請求項10乃至12のいずれかに記載の燃料電池セル。 - 前記中間層は、閉気孔を含む、
請求項10乃至13のいずれかに記載の燃料電池セル。
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