JP2016072218A - 固体酸化物形燃料電池セルスタック - Google Patents
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Abstract
Description
燃料極、固体電解質および空気極が少なくとも順次積層されてなる複数の発電素子と、
前記複数の発電素子のうちの隣接する一方の発電素子の空気極と、他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続するインターコネクタと
を少なくとも有し、前記複数の発電素子が直列に接続されてなる固体酸化物形燃料電池セルスタックであって、
前記インターコネクタが、下記式(1):
SraLabTi1−c−dNbcFedO3−δ 式(1)
(式中、a、b、cおよびdは、0.1≦a≦0.8、0.1≦b≦0.8、0.05≦c≦0.2、および0.2≦d≦0.5を満たす正の実数である。)
で表されるペロブスカイト型酸化物からなるものであることを特徴とするものである。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックとは、インターコネクタの組成が後記する要件を満たすものであること以外は、燃料極、固体電解質および空気極が少なくとも順次積層されてなる複数の発電素子と、これらのうちの隣接する一方の発電素子の空気極と他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続する前記インターコネクタとを少なくとも有してなる、当業界において通常固体酸化物形燃料電池セルスタックと分類または理解されるものと同一のものを意味する。また、本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは、その形状も限定されず、例えば円筒状、内部にガス流路を複数形成した中空板状などであってもよい。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは複数の発電素子を有し、この発電素子が直列に接続されてなるものである。発電素子は、燃料極、固体電解質、および空気極が順次積層された積層体である。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは支持体を有していてもよい。縦縞型固体酸化物形燃料電池である場合は、支持体を有していてもよく、有していなくてもよい。横縞型固体酸化物形燃料電池である場合は、支持体を有する。支持体を有する場合、支持体の表面に燃料極、固体電解質、および空気極が順次積層された発電素子が形成される。横縞型固体酸化物形燃料電池である場合、支持体の表面に複数の発電素子が直列に形成される。
本発明において、燃料極は内側電極であってもよく、外側電極であってもよい。つまり、発電素子は内側電極としての燃料極、固体電解質、および外側電極としての空気極が少なくとも積層された積層体であってもよい。あるいは、発電素子は内側電極としての空気極、固体電解質、および外側電極としての燃料極が少なくとも積層された積層体であってもよい。
本発明において、燃料極は、燃料ガスを透過させるための多孔性、水素を吸着させる触媒活性(電極活性)、導電性、および酸化物イオン伝導性を有する。また、燃料極の多孔性は支持体のそれより小さくてもよい。
本発明において、空気極は、酸素を透過させるための多孔性、酸素を吸着させる又はイオン化する触媒活性(電極活性)、導電性、および酸化物イオン伝導性を有する。また、空気極の多孔性、導電性はそれぞれ集電層のそれより小さくてもよい。
本発明において、固体電解質は、酸化物イオン伝導性、ガスシール性、および電気絶縁性を有する。このような固体電解質を構成する材料として、ランタンガレート系酸化物、固溶種としてY、Ca、およびScから選択される1種以上を固溶した安定化ジルコニアなどが挙げられる。本発明において好適な固体電解質は、Sr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物であり、より好適には一般式La1−aSraGa1−b−cMgbCocO3−δ(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である)で表されるランタンガレート系酸化物(LSGM)である。LSGMはLaGaO3をベースにLaサイトをSrで置換することで酸化物イオン伝導性を発現する。固体電解質は、単層であってもよく、又は複層であってもよい。固体電解質が複層である場合、例えば、燃料極とLSGMからなる固体電解質の間に、反応抑制層を設けることができる。反応抑制層の具体例としては、Laを固溶させたセリア(Ce1−xLaxO2(但し、0.3<x<0.5))が挙げられる。好適には、Ce0.6La0.4O2である。固体電解質の好ましい厚さは5〜60μmである。また、反応抑制層の好ましい厚さは0〜20μmである。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは、外側電極とインターコネクタとを電気的に接続する集電層を有してなる。この集電層は、ガス(酸素)透過性、および空気極より発生した電子をスムーズに流通するための導電性を有する。本発明において、外側電極が空気極である場合、集電層はAgやPtなどの貴金属を含有する導電性ペーストや、La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.2O3−δなどの導電性酸化物を含有するペーストを焼き付けることにより形成できる。また、外側電極が燃料極である場合、集電層は還元されて導電性が得られる、NiOもしくはNiなどの金属酸化物、または金属を含有するペーストを焼き付けることにより形成できる。また、集電層は、ガス透過性を得るために多孔質またはメッシュなどの構造であることが好ましい。集電層の好ましい厚さは10〜200μmである。
本発明においてインターコネクタはセラミックインターコネクタを意味する。本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックが有してなるインターコネクタは、複数の発電素子のうちの隣接する一方の発電素子の空気極と、他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続する。このインターコネクタは、下記式(1):
SraLabTi1−c−dNbcFedO3−δ 式(1)
(式中、a、b、cおよびdは、0.1≦a≦0.8、0.1≦b≦0.8、0.05≦c≦0.2、および0.2≦d≦0.5を満たす正の実数である。)
で表されるペロブスカイト型酸化物からなるものである。ここで、「からなる」とは、インターコネクタの主成分が前記式(1)で表されるペロブスカイト型酸化物であることを意味する。すなわち、インターコネクタがその他の成分、例えば後述する拡散元素を含むものである態様を除外するものではない。換言すると、インターコネクタは前記式(1)で表されるペロブスカイト型酸化物を主成分として含んでなるものである。主成分とは、インターコネクタにおいて、前記前記式(1)で表されるペロブスカイト型酸化物が80mol%以上含まれていることを意味する。好ましくは90mol%以上、さらに好ましくは95mol%以上含まれている。さらにより好ましくは、インターコネクタは前記式(1)で表されるペロブスカイト型酸化物のみからなる。
第一のインターコネクタ前駆体は、下記式(1’):SraLabTi1−c−dNbcFedO3−δ(式中、a、b、cおよびdは、0.1≦a≦0.8、0.1≦b≦0.8、0.1≦c≦0.3、および0.3≦d≦0.6を満たす正の実数である。)で表されるペロブスカイト型酸化物からなるものであることが好ましい。ここで、「からなる」とは、第一のインターコネクタ前駆体の主成分が前記式(1’)で表されるペロブスカイト型酸化物であることを意味する。すなわち、第一のインターコネクタ前駆体がその他の成分、例えば後述する拡散元素を含むものである態様を除外するものではない。換言すると、第一のインターコネクタ前駆体は前記式(1’)を主成分として含んでなるものであることが好ましい。主成分とは、第一のインターコネクタ前駆体において、前記式(1’)で表されるペロブスカイト型酸化物が80mol%以上含んでなることを意味する。好ましくは90mol%以上、さらに好ましくは95mol%以上含んでなる。さらにより好ましくは、第一のインターコネクタ前駆体は前記式(1’)で表されるペロブスカイト型酸化物のみからなる。SrおよびLaの各組成比は、酸素量(3−δ)が3.00以下となる組成が好ましい。これにより、気孔率が低い、緻密な膜を得ることができる。また、安定なペロブスカイト構造を保つことができ、La2Ti2O7のような不純物相が生成されず、焼結阻害による緻密性不良を起こさない。
第二のインターコネクタ前駆体は、下記式(2):SrxLayTiO3−δ(式中、xおよびyは、各々0.8≦x+y≦1.0、および0.01<y≦0.1を満たす正の実数である。)で表されるペロブスカイト型酸化物からなるものであることが好ましい。ここで、「からなる」とは、第二のインターコネクタ前駆体の主成分が前記式(2)で表されるペロブスカイト型酸化物であることを意味する。第二のインターコネクタ前駆体がその他の成分、例えば後述する拡散元素を含むものである態様を除外するものではない。換言すると、第二のインターコネクタ前駆体は前記式(2)を主成分として含んでなるものであることが好ましい。主成分とは、第二のインターコネクタ前駆体において、前記式(2)で表されるペロブスカイト型酸化物が80mol%以上含まれていることを意味する。好ましくは90mol%以上、さらに好ましくは95mol%以上含まれている。さらにより好ましくは、第二のインターコネクタ前駆体は前記式(2)で表されるペロブスカイト型酸化物のみからなる。これにより、十分な緻密性と導電性を両立することができる。本発明のより好ましい態様によれば、SrとLaの組成比は、0.8≦x+y≦0.9、0.01<y≦0.1の関係を満たすものであることが好ましい。これにより、緻密性をさらに高めることができる。また、TiをNbで置換してもよい。これにより、導電性をさらに高めることができる。このような酸化物の好ましい具体例として、SrxLayTi1−zNbzO3−δ(0.8≦x+y≦1.0、0.01<y≦0.1、0.05≦z≦0.2)が挙げられる。
燃料極の表面に形成される第一のインターコネクタ前駆体と、
第一のインターコネクタ前駆体の表面に形成される固体電解質の乾燥被膜と、
第一のインターコネクタ前駆体および固体電解質の乾燥被膜の表面に形成される第二のインターコネクタ前駆体とを共焼成することにより、形成される。共焼成により、第一のインターコネクタ前駆体、第二のインターコネクタ前駆体および固体電解質の乾燥被膜の各々に含まれる元素が相互に拡散する。ここで、焼成前、第一のインターコネクタ前駆体および前記第二のインターコネクタ前駆体は、これらの間の一部に固体電解質の乾燥被膜が形成されることにより、互いに接している部分と接していない部分とを有することが好ましい。すなわち、第一のインターコネクタ前駆体および前記第二のインターコネクタ前駆体は、これらの間の一部に隣接する一方の発電素子の固体電解質の乾燥被膜及び/又は他方の発電素子の固体電解質の乾燥被膜が形成されている。これにより、共焼成時において、インターコネクタ前駆体同士が接している部分では両者間で元素が拡散し、インターコネクタ前駆体同士が接していない部分では両者間で元素は拡散しない。インターコネクタ前駆体同士が接していない部分では、各前駆体は固体電解質の乾燥被膜と接触しているので、各前駆体と固体電解質の乾燥被膜との間で元素拡散が起こる。
(第一のインターコネクタ前駆体と第二のインターコネクタ前駆体の相互拡散メカニズム)
第一のインターコネクタ前駆体と第二のインターコネクタ前駆体とを接触させて焼成することで、第一のインターコネクタ前駆体および第二のインターコネクタ前駆体に含まれる元素が濃度勾配を駆動力として濃度が高い方から低い方へ熱拡散する。具体的には、Srが第二のインターコネクタ前駆体から第一のインターコネクタ前駆体へ拡散し、Laが第一のインターコネクタ前駆体から第二のインターコネクタ前駆体へ拡散し、Tiが第二のインターコネクタ前駆体から第一のインターコネクタ前駆体へ拡散する。これにより、強固に密着した一体層が形成される。すなわち、気密性に優れたインターコネクタを得ることができる。また、厚さ方向に前記式(1)に示される組成範囲内の組成勾配を有するインターコネクタを得ることができる。さらに、FeおよびNbが第一のインターコネクタ前駆体から第二のインターコネクタ前駆体へ拡散することで、Ni固溶によるインターコネクタの導電率の低下を抑制し、酸化物イオン絶縁性を向上させることができる。
第二のインターコネクタ前駆体はSrTiO3をベースにLaを置換することで導電性を発現する。また、固体電解質はLaGaO3をベースにSrを置換することで酸化物イオン伝導性を発現する。第二のインターコネクタ前駆体と固体電解質とを接触させて焼成することで、第二のインターコネクタ前駆体に含まれるLaが固体電解質へ拡散し、安定なSrTiO3結晶に近づく。また、固体電解質に含まれるSrが第二のインターコネクタ前駆体へ拡散し、安定なLaGaO3結晶に近づく。SrTiO3およびLaGaO3はいずれも酸化物イオン絶縁性であるので、第二のインターコネクタと固体電解質において、第二のインターコネクタ前駆体と固体電解質とが接して焼成された部分は、焼成による元素拡散により、酸化物イオン絶縁性になる。
第一のインターコネクタ前駆体はSrTiO3をベースにSrサイトをLaで、TiサイトをNb、Feで置換することで導電性を発現する。また、固体電解質はLaGaO3をベースにLaサイトをSrで置換することで酸化物イオン伝導性を発現する。第一のインターコネクタ前駆体と固体電解質とを接触させて焼成することで、第一のインターコネクタ前駆体に含まれるLaが固体電解質へ拡散し、安定なSrTiO3結晶に近づく。また、固体電解質に含まれるSrが第一のインターコネクタ前駆体へ拡散し、安定なLaGaO3結晶に近づく。さらに、FeおよびNbが濃度勾配を駆動力として第一のインターコネクタ前駆体から固体電解質へ熱拡散する。SrTiO3およびLaGaO3はいずれも酸化物イオン絶縁性であるので、第一のインターコネクタ前駆体と固体電解質において、第一のインターコネクタ前駆体と固体電解質とが接して焼成された部分は、焼成による元素拡散により、酸化物イオン絶縁性になる。
<SEM画像から得る方法>
作製した固体酸化物形燃料電池セルスタックからインターコネクタを含むように切り出し、このインターコネクタを走査型電子顕微鏡(例えば日立製作所製S−4100)により、加速電圧15kV、2次電子画像、倍率100〜10000倍で観察し、SEM画像を得る。このSEM画像を画像処理ソフト(例えばWinroofver6.5.1、MITANI CORPORATION社製)によって評価する。これにより、横軸が輝度、縦軸が出現頻度であるヒストグラムを得る。このヒストグラムにおいて、輝度の最小値と最大値の平均値より輝度が低い領域を低輝度領域、平均値より輝度が高い領域を高輝度領域とする。この低輝度領域を気孔と判定し、気孔以外の高輝度領域をインターコネクタと判定することで2値化処理する。その後、下記式から気孔率を得ることができる。
気孔率(%)=低輝度領域の積分値÷全体の出現頻度の積分値×100
<アルキメデス法にて測定して得る方法>
インターコネクタの原料粉末を900kgf/cm2の荷重にて一軸プレスし、1300℃で2時間、大気雰囲気下で焼成することにより試験片を得る。この試験片をJIS R 1634の規定に基づき、アルキメデス法により測定し、気孔率を得る。
<端子間電圧を測定して得る方法>
固体酸化物形燃料電池セルスタックを作製する。燃料極側の集電は、隣接する一方の発電素子の燃料極の露出部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けて行う。インターコネクタを含んだ空気極側の集電は、隣接する他方の発電素子の燃料極の露出部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けて行う。インターコネクタを含まない空気極側の集電は、隣接する一方の発電素子の空気極に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けて行う。その後、以下の発電条件において、隣接する一方の発電素子の燃料極と他方の発電素子の燃料極にそれぞれ電位線と電流線を、空気極に電位線を接続することにより、端子間の電圧を測定する。
燃料ガス :(H2+3%H2O)とN2の混合ガス(混合比はH2:N2=7:4(vol:vol))
燃料利用率:7%
酸化ガス :空気
運転温度 :700℃
電流密度 :0.4A/cm2
一方の発電素子の燃料極と他方の発電素子の燃料極に接続された端子間電圧(V)と一方の発電素子の燃料極と空気極に接続された端子間電圧(V’)を測定する。これらを用いて、以下の式でインターコネクタの導電率を算出する。
導電率=電流密度×空気極の面積÷(V’−V)×(インターコネクタの膜厚)÷(インターコネクタの面積)
なお、インターコネクタおよび空気極の面積は、発電試験後の固体酸化物形燃料電池セルスタックからインターコネクタと空気極とを剥ぎ取り、ノギス等を用いて、求められる。
導電率を測定するための試験片を、インターコネクタの原料粉末を900kgf/cm2の荷重にて一軸プレスして、1300℃で2時間、大気雰囲気下で焼成することにより作製する。この試験片の導電率をJIS R 1650−2の規定に基づき、直流4端子法によって、大気雰囲気下700℃で測定する。
図1は、本発明の一つの態様として、横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタックを示す正面図である。横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック210は、支持体201に13個の発電素子10が直列に接続されている。
本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造方法は、特定のものに限定されるものではない。本発明による固体酸化物形燃料電池セルスタックは、例えば、以下のようにして製造される。なお、以下の説明においては、内側電極が燃料極であり、外側電極が空気極である場合を例として説明する。
(支持体用坏土Aの作製)
高純度フォルステライト(0.05質量%のCaOを含むMg2SiO4)原料粉末を平均粒子径が0.7μmとなるよう調節した。この粉末100重量部と、溶媒(水)20重量部、バインダー(メチルセルロース)8重量部、潤滑剤0.5重量部、及び造孔剤(平均粒子径5μmのアクリル系樹脂粒子)15重量部とを高速ミキサーで混合後、混練機(ニーダー)で混練し、真空土練装置で脱気し、押し出し成形用の坏土を調製した。ここで、平均粒子径はJIS R1629の規定に基づき測定し、50%径にて示した値である(以下同様)。
NiO粉末と10YSZ(10mol%Y2O3−90mol%ZrO2)粉末とを重量比65:35で湿式混合し、乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末の平均粒子径は0.7μmとなるよう調節した。この粉末150重量部と、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)6重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)2重量部、及び消泡剤(有機高分子系)2重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
NiO粉末とGDC10(10mol%GdO1.5−90mol%CeO2)粉末との混合物を共沈法で作製後、熱処理を行い、燃料極触媒層用粉末を得た。NiO粉末とGDC10粉末の混合比は重量比で50/50とした。得られた燃料極触媒層用粉末の平均粒子径は0.5μmとなるよう調節した。この粉末100重量部と、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)5重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)2重量部、及び消泡剤(有機高分子系)2重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
反応抑制層の材料として、セリウム系複合酸化物LDC40(40mol%LaO1.5−60mol%CeO2)の粉末50重量部を用いた。この材料粉末に、焼結助剤としてGa2O3粉末0.04重量部を混合し、さらに溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)4重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
固体電解質の材料として、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3の組成のLSGM粉末を用いた。このLSGM粉末50重量部を、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)4重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
空気極の材料として、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3の組成の粉末を用いた。この粉末40重量部を、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
第一のインターコネクタ前駆体用原料粉末の作製は、固相法により行った。ストロンチウムとランタンとチタンとニオブと鉄とがSr0.37La0.52Ti0.50Nb0.10Fe0.40O3−δに示されるペロブスカイト型酸化物の組成比となるように、原料となる金属酸化物の粉末を秤量し、溶液中で混合した後、溶媒を除去して得られた粉末を、1050℃で焼成、そして粉砕して第一のインターコネクタ前駆体用原料粉末を作製した。
第一のインターコネクタ前駆体の材料として、Sr0.37La0.52Ti0.50Nb0.10Fe0.40O3−δの組成の第一のインターコネクタ前駆体用原料粉末を用いた。この粉末40重量部を溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)4重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
第二のインターコネクタ前駆体用原料粉末の作製は、固相法により行った。ストロンチウムとランタンとチタンとがSr0.90La0.04TiO3−δに示されるペロブスカイト型酸化物の組成比となるように、原料となる金属酸化物の粉末を秤量し、溶液中で混合した後に溶媒を除去して得られた粉末を、1050℃で焼成、および粉砕して第二のインターコネクタ前駆体用原料粉末を作製した。
第二のインターコネクタ前駆体の材料として、Sr0.90La0.04TiO3−δの組成の第二のインターコネクタ前駆体用原料粉末を用いた。この粉末40重量部を、溶媒(カルビトール)100重量部、バインダー(可溶性高分子)4重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部、及び消泡剤(有機高分子系)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
上記のようにして得られた坏土および各スラリーを用いて、以下の方法で固体酸化物形燃料電池セルスタックを作製した。
実施例1に対して、第一のインターコネクタ前駆体、第二のインターコネクタ前駆体の組成を表1に記載の組成とした以外は同様に行い、固体酸化物形燃料電池セルスタックを得た。得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックについて、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1に対して、第一のインターコネクタ前駆体を設けず、第二のインターコネクタ前駆体の組成をSr0.55La0.30TiO3−δとした以外は同様に行い、固体酸化物形燃料電池セルスタックを得た。得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックについて、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1に対して、第一のインターコネクタ前駆体の組成をSr0.40La0.55Ti0.50Fe0.50O3−δとした以外は同様に行い、固体酸化物形燃料電池セルスタックを得た。得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックについて、以下の各評価を行った。結果を表1に示す。
(インターコネクタに含まれるペロブスカイト型酸化物の組成および割合の分析)
インターコネクタの組成は、以下の方法にて特定した。作製した固体酸化物形燃料電池セルスタックからインターコネクタを切り出し、FIB‐SEMによって100nm〜200nmの薄膜に加工した。この薄膜をSTEM−EDXにより評価することで元素マッピングを得た。この元素マッピングを、薄膜近似法を用いて定量分析することでインターコネクタに含まれるペロブスカイト型酸化物の組成比および割合を特定した。結果を表1に示す。インターコネクタの組成の主成分は原料粉末の組成と同じであった。
得られた固体酸化物形燃料電池セルスタックを用いて、発電試験を行った。燃料極側の集電は、燃料極の露出部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けた。空気極側の集電は、隣接する燃料極の露出部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けた。
燃料ガス:(H2+3%H2O)とN2の混合ガス(混合比はH2:N2=7:4(vol:vol))
酸化ガス:空気
運転温度:700℃
上述の発電試験の条件において、電流密度0.4A/cm2で通電し発電試験を行った。その後、燃料ガスの供給量を徐々に減らし、電位が急降下する直前の水素供給量を測定し、次式から限界燃料利用率を算出した。結果を表1に示す。
限界燃料利用率=(発電に使用される水素量)/(電位が急降下する直前の水素供給量)×100
なお、発電に使用される水素量は、電流量(C/s)×60(s)×22.4(L/mol)÷ファラデー定数(C/mol)×1/2(価数)×発電素子数で求められる。
以下の発電条件において、隣接する一方の発電素子の燃料極と隣接する他方の発電素子の燃料極に電位線および電流線を接続することにより、端子間の電圧を測定した。結果を表1に示す。
燃料ガス :(H2+3%H2O)とN2の混合ガス(混合比はH2:N2=7:4(vol:vol))
燃料利用率:7%
酸化ガス :空気
運転温度 :700℃
電流密度 :0.4A/cm2
Claims (12)
- 燃料極、固体電解質および空気極が少なくとも順次積層されてなる複数の発電素子と、
前記複数の発電素子のうちの隣接する一方の発電素子の空気極と、他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続するインターコネクタと
を少なくとも有し、前記複数の発電素子が直列に接続されてなる固体酸化物形燃料電池セルスタックであって、
前記インターコネクタが、下記式(1):
SraLabTi1−c−dNbcFedO3−δ 式(1)
(式中、a、b、cおよびdは、0.1≦a≦0.8、0.1≦b≦0.8、0.05≦c≦0.2、および0.2≦d≦0.5を満たす正の実数である。)
で表されるペロブスカイト型酸化物からなるものである、固体酸化物形燃料電池セルスタック。 - 前記インターコネクタが、その厚さ方向に前記式(1)に示される組成範囲内の組成勾配を有するものである、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
- 前記インターコネクタと一方の発電素子の固体電解質との間及び/又は前記インターコネクタと他方の発電素子の固体電解質との間に酸化物イオン絶縁部を有し、かつ、当該酸化物イオン絶縁部が前記インターコネクタと前記一方の発電素子の固体電解質及び/又は前記他方の発電素子の固体電解質とに接している、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
- 前記酸化物イオン絶縁部が、SrxLayTiO3−δ 式(2)
(式中、xおよびyは、0.8≦x+y≦1.0、および0.01<y≦0.1を満たす正の実数である。)
を含むものである、請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。 - 前記固体電解質がSrおよびMgがドープされたランタンガレート系酸化物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
- 前記インターコネクタが、
前記燃料極の表面に形成され、下記式(1’):
SraLabTi1−c−dNbcFedO3−δ 式(1’)
(式中、a、b、cおよびdは、0.1≦a≦0.8、0.1≦b≦0.8、0.1≦c≦0.3、および0.3≦d≦0.6を満たす正の実数である。)
からなる第一のインターコネクタ前駆体と、
前記第一のインターコネクタ前駆体の表面に形成され、下記式(2):
SrxLayTiO3−δ 式(2)
(式中、xおよびyは、0.8≦x+y≦1.0、および0.01<y≦0.1を満たす正の実数である。)
からなる第二のインターコネクタ前駆体とを共焼成することにより形成されたものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。 - 前記インターコネクタおよび前記固体電解質が、
前記燃料極の表面に形成される前記第一のインターコネクタ前駆体と、
前記第一のインターコネクタ前駆体の表面に形成される固体電解質の乾燥被膜と、
前記第一のインターコネクタ前駆体および前記固体電解質の乾燥被膜の表面に形成される前記第二のインターコネクタ前駆体とを共焼成して形成されるものであり、
前記第一のインターコネクタ前駆体および前記第二のインターコネクタ前駆体は、これらの間の一部に前記一方の発電素子の固体電解質の乾燥被膜及び/又は前記他方の発電素子の固体電解質の乾燥被膜が形成されることにより、互いに接している部分と接していない部分とを有してなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。 - 前記第二のインターコネクタ前駆体における前記第一のインターコネクタ前駆体と接していない部分が、焼成後も前記式(2)からなるものである、請求項6または7に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタック。
- 燃料極、固体電解質および空気極が少なくとも順次積層されてなる複数の発電素子と、
前記複数の発電素子のうちの隣接する一方の発電素子の空気極と、他方の発電素子の燃料極とを電気的に接続するインターコネクタと
を少なくとも有し、前記複数の発電素子が直列に接続されてなる、固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造方法であって、
前記燃料極を形成する工程と、
前記インターコネクタを形成する工程と、
前記固体電解質を形成する工程と、
前記空気極を形成する工程とを少なくとも含んでなり、
前記インターコネクタは、
下記式(1):
SraLabTi1−c−dNbcFedO3−δ 式(1)
(式中、a、b、cおよびdは、0.1≦a≦0.8、0.1≦b≦0.8、0.05≦c≦0.2、および0.2≦d≦0.5を満たす正の実数である。)
で表されるペロブスカイト型酸化物からなるものである、固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造方法。 - 前記燃料極の表面に、下記式(1’):
SraLabTi1−c−dNbcFedO3−δ 式(1’)
(式中、a、b、cおよびdは、0.1≦a≦0.8、0.1≦b≦0.8、0.1≦c≦0.3、および0.3≦d≦0.6を満たす正の実数である。)
からなる第一のインターコネクタ前駆体を形成する工程と、
前記第一のインターコネクタ前駆体の表面に、下記式(2):
SrxLayTiO3−δ 式(2)
(式中、xおよびyは、0.8≦x+y≦1.0、および0.01<y≦0.1を満たす正の実数である。)
からなる第二のインターコネクタ前駆体を形成する工程と、
前記第一のインターコネクタ前駆体と前記第二のインターコネクタ前駆体とを共焼成し、前記インターコネクタを形成する工程と
を含んでなる、請求項9に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造方法。 - 前記第一のインターコネクタ前駆体の表面に前記固体電解質の乾燥被膜を形成する工程と、
前記第一のインターコネクタ前駆体および前記固体電解質の乾燥被膜の表面に前記第二のインターコネクタ前駆体を形成する工程と、
前記第一のインターコネクタ前駆体と前記固体電解質の乾燥被膜と前記第二のインターコネクタ前駆体とを共焼成し、前記インターコネクタおよび前記固体電解質を形成する工程と
を含んでなる、請求項10に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造方法。 - 前記第一のインターコネクタ前駆体および前記第二のインターコネクタ前駆体は、これらの間の一部に隣接する一方の発電素子の固体電解質の乾燥被膜及び/又は他方の発電素子の固体電解質の乾燥被膜が形成されることにより、互いに接している部分と接していない部分とを有してなる、請求項11に記載の固体酸化物形燃料電池セルスタックの製造方法。
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