JP2022115542A - 固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】空気極を構成する異種材料粒子の界面における接合性を高めて、空気極のガス透過性を維持しながら強度低下を抑制可能な固体酸化物形燃料電池を提供する。【解決手段】空気極2と固体電解質層3と燃料極4とが順次積層された固体酸化物形燃料電池1であって、空気極2は、電子伝導性を有する第1酸化物材料からなる第1粒子21と、酸化物イオン伝導性を有する第2酸化物材料からなる第2粒子22と、第3酸化物相23とを含む多孔質層である。第3酸化物相23は、第1酸化物材料の構成元素のうちの酸素を除く少なくとも一種と、第2酸化物材料の構成元素のうちの酸素を除く少なくとも一種とを含み、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域に偏在している。【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質層と空気極と燃料極とを有する固体酸化物形燃料電池に関する。
固体酸化物形燃料電池は、固体電解質層とその両面に形成された空気極(カソード)と燃料極(アノード)とを備える単セルを、基本構成要素とする。単セルの発電性能を向上させるには、空気極及び燃料極を多孔質層としてガス透過性を高める一方、電極の内部抵抗や界面抵抗を小さくして、電極反応を効率よく進行させることが望ましい。
また、単セルを構成する各層が異種材料の積層構造となることから、例えば、層間反応を抑制するための層あるいは界面抵抗を低減するための層を、層間に挿入したものが知られている。また、各層を複層構造としたり、あるいは、複合材料で構成したりすることが提案されている。いずれの場合も、単セルの発電性能のみならず、機械的強度を確保することが必要となる。
例えば、特許文献1には、燃料極として機能すると共に、単セルの機械的強度を確保するための支持体として機能するアノード支持体を、複合材料粒子で構成することが開示されている。一般に、アノード支持体は、電子伝導性の電極材料と、酸化物イオン伝導性の支持体材料との混合焼成体にて構成されており、特許文献1では、これら材料を予め一体化させた複合材料粒子を原料に用いることにより、多孔質のアノード支持体の気孔率を維持しつつ焼結性を高めている。複合材料粒子は、平均粒径が大きい高強度のジルコニア粒子を母粒子とし、その表面に子粒子として、比表面積が大きい高活性の酸化ニッケル微粉末を固着させた粒子構造を有する。
特開2012-146579号公報
一方、空気極は、例えば、遷移金属ペロブスカイト型酸化物にて構成されている。遷移金属ペロブスカイト型酸化物は、良好な電子伝導性を有すると共に酸化物イオン伝導性を示すことが知られている。また、空気極と固体電解質層との間に、酸化物イオン伝導体からなる中間層を備えたものがあり、例えば、空気極材料に中間層材料を添加することが検討されている。
ところが、一般に、遷移金属ペロブスカイト型酸化物の線熱膨張係数は、中間層材料の線熱膨張係数よりも大きい。そのために、これらの混合原料を用いて空気極となる多孔質層を形成すると、運転中のサーマルサイクルにより、異種材料の粒子界面に熱応力が加わり、強度が低下する懸念がある。なお、特許文献1のように、微小な子粒子を母粒子に固着させた粒子構造は、造粒工程に手間がかかるだけでなく、子粒子と母粒子との界面の接合性は必ずしも改善されておらず、空気極への適用は難しい。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、空気極を構成する異種材料粒子の界面における接合性を高めて、空気極のガス透過性を維持しながら強度低下を抑制可能な固体酸化物形燃料電池を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、空気極(2)と固体電解質層(3)と燃料極(4)とが順次積層された固体酸化物形燃料電池(1)であって、
上記空気極は、電子伝導性を有する第1酸化物材料からなる第1粒子(21)と、酸化物イオン伝導性を有する第2酸化物材料からなる第2粒子(22)と、上記第1酸化物材料の構成元素のうちの酸素を除く少なくとも一種と上記第2酸化物材料の構成元素のうちの酸素を除く少なくとも一種とを含む第3酸化物相(23)と、を含む多孔質層であり、
上記第3酸化物相は、上記第1粒子と上記第2粒子との接触界面領域に偏在する、固体酸化物形燃料電池にある。
上記固体酸化物形燃料電池の空気極は、第1粒子と第2粒子との接触界面領域に偏在する第3酸化物相を有するので、第1粒子及び第2粒子の表面における電極反応を妨げることなく、粒子間の結合を強化することが可能である。これにより、第1粒子と第2粒子との界面に生じる熱応力を低減して、多孔質層である空気極の強度低下を抑制することが可能になる。
以上のごとく、上記態様によれば、空気極を構成する異種材料粒子の界面における接合性を高めて、空気極のガス透過性を維持しながら強度低下を抑制可能な固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1における燃料電池の主要部構造を模式的に示した断面図。 実施形態1における燃料電池の積層構造を模式的に示した全体断面図。 図1におけるA部拡大図。 実施形態1における空気極の構造を、他の空気極構造と比較して模式的に示す断面図。 実施形態1における空気極の構造による作用効果の説明図。 実施例1における、TEM-EDXによる接触界面領域を横切る方向のCe及びCoの濃度プロファイルを示す図。 実施例1における空気極の断面TEM観察画像。 比較例1における空気極の断面TEM観察画像及びCe及びCoの濃度プロファイルを示す図。 比較例2における空気極の断面TEM観察画像及びCe及びCoの濃度プロファイルを示す図。
(実施形態1)
固体酸化物形燃料電池に係る実施形態について、図1~図3を参照して説明する。固体酸化物形燃料電池(以下、適宜、燃料電池と略称する)1は、固体電解質として固体酸化物セラミックスを利用する燃料電池(すなわち、SOFC;Solid Oxide Fuel Cell)である。図2に示されるように、燃料電池1は、空気極(カソード)2と固体電解質層3と燃料極(アノード)4とが順次積層された構成を有する。燃料電池1は、発電性能が高い等の観点から、平板形の電池構造をとることができる。
図1に示されるように、燃料電池1は、固体電解質層3の一方の面側に、空気極2を有する。空気極2は、第1粒子21と第2粒子22とを含む多孔質層として構成されており、粒子間には気孔24が形成される。第1粒子21は、電子伝導性を有する第1酸化物材料からなり、好ましくは、電子伝導性及び酸化物イオン伝導性を有する。第2粒子22は、酸化物イオン伝導性を有する第2酸化物材料からなる。空気極2は、さらに、第3酸化物相23を含む(例えば、図3参照)。
図3に示されるように、第3酸化物相23は、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域(以下、適宜、接触界面領域と略称する)に偏在している。第3酸化物相23は、第1酸化物材料の構成元素のうちの酸素を除く少なくとも一種と、第2酸化物材料の構成元素のうちの酸素を除く少なくとも一種とを含む。
このような第3酸化物相23は、好適には、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域において、第1酸化物材料と第2酸化物材料とが反応することにより生成される、反応生成相として構成される。このとき、反応生成相とは、第1粒子21と第2粒子22の間において、各構成元素が一定の組成比となる酸化物が生成している相のことをいう。これにより、第1粒子21と第2粒子22とが化学的に結合し、例えば、元素拡散による接合よりも、接合強度が向上する。
ここで、接触界面領域とは、異種材料の粒子である第1粒子21と第2粒子22の粒子界面が互いに接する領域をいう。空気極2内において、第3酸化物相23は、この接触界面領域に偏って存在する。すなわち、接触界面領域に存在する第3酸化物相23は、接触界面領域以外に存在する第3酸化物相23よりも多い。これにより、電極反応を阻害することなく、異種材料間の結合を強化する効果が得られる。
具体的には、接触界面領域における第3酸化物相23の存在比率は、第1粒子21及び第2粒子22の界面領域に存在する第3酸化物相23の全体に対して、80体積%以上であることが好ましい。言い換えれば、第1粒子21及び第2粒子22との接触界面領域以外の界面領域に存在する第3酸化物相23の存在比率は、20体積%未満であることが好ましい。第3酸化物相23が接触界面領域に偏在し、存在比率が大きくなるほど好ましく、気孔24に導入される酸化剤ガスと第1粒子21との二相界面、又は、酸化剤ガスと第1粒子21及び第2粒子22との三相界面における電極反応を効率よく進行させることができる。
ここで、第1粒子21及び第2粒子22の界面領域とは、第1粒子21の粒子界面に沿う領域と第2粒子22の粒子界面に沿う領域の全体であり、第1粒子21及び第2粒子22の界面が互いに接する接触界面領域と、接触界面領域以外の第1粒子21及び第2粒子22の界面領域とを含む全界面領域をいう。接触界面領域以外の界面領域には、第1粒子21又は第2粒子22と気孔24との界面、第1粒子21同士又は第2粒子22同士の界面が含まれる。
第3酸化物相23の存在比率とは、この全界面領域に存在する第3酸化物相23の全体のうち、接触界面領域に存在する第3酸化物相23の比率をいう。第3酸化物相23の存在比率は、粒子界面の組成を分光学的手法により分析し、得られたデータを、統計学的手法を用いて解析することにより、定量的測定が可能である。例えば、TEM-EDX(透過型電子顕微鏡によるエネルギ分散型X線分光分析)を用いた試料断面の観察により、第1粒子21及び第2粒子22の界面領域における元素分析を行った結果に基づいて、第3酸化物相23の偏在の程度を体積比率として算出することができる。具体的には、まず、予備的なライン分析を行って得られる結果から(例えば、サンプル数:N=5)、統計的に(例えば、信頼性区間95%、許容誤差15%)、必要な測定点の数を決定する。そして、実際の測定データにおける元素分布から導かれる第3酸化物相23の存在状態に基づいて、接触界面領域に存在する第3酸化物相23の割合(体積基準)を算出して、存在比率とする。算出される値は、任意に選ばれた測定領域における第3酸化物相23の平均的な存在比率を示すものであり、全界面領域を代表する存在比率として採用することができる。
第3酸化物相23の平均厚みは、電子伝導性、イオン伝導性の低下を抑制する観点から、例えば、200nm以下、好ましくは150nm以下、より好ましくは、100nm以下となるように形成することができる。第3酸化物相23は、第1粒子21と第2粒子22との結合を強化可能な厚みを有していればよく、具体的には、一般的な粒子界面の厚み以上、例えば、10nm以上とすることができる。好ましくは、界面の接合性を向上させる観点から、15nm以上、より好ましくは、20nm以上となるように形成することができる。これにより、所望の接合強度が得られると共に、電子伝導パス又はイオン伝導パスにおける電気抵抗の上昇が抑制されて、発電性能の低下を抑制することができる。
ここで、第3酸化物相23の平均厚みは、例えば、TEM-EDX(透過型電子顕微鏡によるエネルギ分散型X線分光分析)を用いた試料断面の観察により、第1粒子21及び第2粒子22の接触界面領域を含むライン分析を行った結果に基づいて、算出することができる。具体的には、試料断面の任意に選ばれた接触界面領域について、それぞれライン分析を行うことにより各測定点における接触界面領域の厚みを算出し、その算術平均値を求めて、平均厚みとすることができる。その場合も、上記存在比率の測定と同様に、統計的に導出された数の測定点について、実際に測定された値を平均化したものを、空気極2における第3酸化物相23の厚みを代表する値として採用することができる。
このように、空気極2は、第1粒子21と第2粒子22との間に第3酸化物相23を有することにより、異種材料からなる粒子界面の結合が強化される。これにより、線熱膨張係数の差に起因する熱応力を低減し、多孔質層である空気極2の強度を維持しつつ、発電性能を向上する効果が得られる。空気極2のより具体的構成については、後述する。
次に、燃料電池1の各部構成について、詳述する。
図2において、燃料電池1の基本構成要素となる単セルは、空気極2、固体電解質層3、及び燃料極4がこの順に積層された、平板形の積層体構造を有する。単セルは、例えば、燃料極4であるアノードを支持体とするアノード支持型とすることができる。この場合には、固体電解質層3を支持体とする自立膜型と比較して、固体電解質層3の薄膜化によって固体電解質層3の抵抗を低減させ、イオン伝導性を向上させやすい。
カソードである空気極2及びアノードである燃料極4は、ガス透過性を有する多孔質の電極層であり、空気極2及び燃料極4の間には、これら電極層よりも緻密な層である固体電解質層3が配置される。固体電解質層3よりも空気極2側は酸化剤ガス雰囲気に曝され、固体電解質層3よりも燃料極4側は燃料ガス雰囲気に曝される。酸化剤ガスは、例えば、酸素を含む空気であり、燃料ガスは、例えば、炭化水素の水蒸気改質等によって生成される水素を含むガスである。
固体電解質層3は、空気極2にて生成される酸化物イオン(O2-)を透過させて、燃料極4側へ供給する。燃料極4では、水素と酸化物イオンとが反応して、水を生成し、電子(e-)を放出する。燃料電池1は、このような電気化学的反応によって発電を行い、得られる電気エネルギを外部へ取り出すものである。燃料電池1は、単セルの各電極層の外側に、図示しないガス供給路や集電部等を配置し、所望の発電出力となるように複数の単セルが積層されたセルスタックとして構成することができる。
固体電解質層3の材料としては、特に制限されず、酸化物イオン伝導性を有する公知の固体酸化物セラミックスが用いられる。具体的には、安定化ジルコニア等の酸化ジルコニウム(ZrO2)系酸化物や、セリア系固溶体等の酸化セリウム(CeO2)系酸化物の他、ペロブスカイト型酸化物等が挙げられる。これらのうち一種又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
好ましくは、固体電解質層材料として、強度、熱的安定性に優れる安定化ジルコニアを用いることができる。安定化ジルコニアは、アルカリ土類金属や希土類元素等を含む酸化物をジルコニアに固溶させて安定化したものであり、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)等が挙げられる。イオン伝導度、機械的安定性、空気雰囲気から燃料ガス雰囲気まで化学的に安定である等の観点から、イットリア安定化ジルコニアを主に用いることができる。
空気極2と固体電解質層3とは、直接接触していてもよいが、固体電解質層材料として、酸化ジルコニウム系酸化物が用いられる場合には、図2に例示されるように、空気極2と固体電解質層3との間に、主に反応抑制層として機能する中間層5が形成されていることが好ましい。中間層5の材料としては、酸化物イオン伝導性を有し、空気極2と固体電解質層3との間に介在して、空気極2を構成する空気極材料に含まれる第1酸化物材料と、固体電解質層材料との反応を抑制し得る固体酸化物が用いられる。
燃料極4は、単層から構成されていてもよいし、複数層から構成されていてもよい。図2では、複数層から構成されている例が示されており、この場合、燃料極4は、固体電解質層3側に配置される活性層41と、活性層41に対して固体電解質層3側とは反対側に配置される拡散層42とを備える構成とすることができる。なお、活性層41は、主に、燃料極4側における電気化学的反応を高めるための層であり、拡散層42は、供給される燃料ガスを層面内に拡散させることが可能な層である。
燃料極4の材料としては、例えば、電子伝導性材料と酸化物イオン伝導性材料との混合物を用いることができる。電子伝導性材料としては、触媒作用を有する金属又はその酸化物、例えば、金属ニッケル(Ni)、酸化ニッケル(NiO)等が挙げられ、酸化物イオン伝導性材料としては、上述した酸化ジルコニウム系酸化物等が挙げられる。なお、NiOは、発電時の還元雰囲気でNiとなる。具体的には、NiまたはNiOとイットリア安定化ジルコニアとの混合物を用いることができる。
図1に示されるように、空気極2は、互いに異なる組成の第1粒子21と第2粒子22とを含んで構成される。第1粒子21は、主電極材料となるものであり、電子伝導性を有する第1酸化物材料にて構成される。第2粒子22は、酸化物イオン伝導性を有する第2酸化物材料にて構成され、中間層5を構成する中間層材料と共通又は同等の材料とすることができる。
第1粒子21を構成する第1酸化物材料としては、空気極2における反応に対して触媒作用を有し、酸化雰囲気において少なくとも電子伝導性を有する酸化物を用いることができる。具体的には、電子と酸化物イオンの混合伝導性を有する酸化物、例えば、遷移金属元素を含むペロブスカイト型酸化物(以下、遷移金属ペロブスカイト酸化物と称する)等が用いられる。遷移金属ペロブスカイト酸化物は、一般式ABO3で表されるペロブスカイト構造を有し、少なくとも一種の遷移金属元素(例えば、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等)を含む複合酸化物である。具体的には、一般式ABO3におけるAサイトに、ランタノイド元素(例えば、La、Sm等)を、Bサイトに遷移金属元素を含み、それら元素の一部をアルカリ土類金属元素又は希土類元素等で置換した構造酸化物が挙げられる。
好ましくは、このような遷移金属ペロブスカイト酸化物として、(La,M1)(Co,M2)O3系酸化物や、(La,M1)(Gd,Mg,M2)O3系酸化物が用いられる。ここで、M1、M2は、以下の金属元素から選ばれる少なくとも一種を示す。
M1:Sr、Ca、Ba
M2:Ni、Co、Mn、Fe、Cu
第1酸化物材料としては、空気極2における三相界面の反応性を高めるという観点から、ランタンコバルタイト系酸化物、例えば、ランタンストロンチウムコバルタイト(LaxSr1-xCoO3)系酸化物、及び、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(LaxSr1-xCoyFe1-y3)系酸化物の少なくとも一方を含有することがより好ましい。但し、式中、0≦x≦1、0≦y≦1である。
第2粒子22を構成する第2酸化物材料としては、酸化物イオン伝導性を有して、空気極2における三相界面を拡大可能であり、使用環境での第1酸化物材料との反応性が小さい固体酸化物、例えば、セリア又はセリア系固溶体等の酸化セリウム系酸化物、ペロブスカイト型酸化物等が用いられる。また、第1酸化物材料よりも線熱膨張係数が小さく、隣接する層の構成材料との線熱膨張係数の差が小さい材料であることが好ましい。空気極2に隣接する層が中間層5である場合には、第2酸化物材料と中間層材料とを同等の材料にて構成することにより、線熱膨張係数の差をごく小さくして、界面における接合性を向上させることができる。
セリア系固溶体の具体例としては、例えば、アルカリ土類金属元素(例えば、Mg、Ca、Sr、Ba等)や希土類元素(例えば、Sc、Y、La、Nd、Sm、Gd、Ho、Yb等)、その他の元素(例えば、Ti、Zr、Nb等)から選ばれる一種又は二種以上の元素がドープされたドープセリアが挙げられる。ペロブスカイト型酸化物は、Aサイト及びBサイトのそれぞれに、アルカリ土類金属元素や希土類元素等から選ばれる一種又は二種以上の元素を含むものが挙げられる。
好適には、第2酸化物材料として、イオン伝導性や、第1酸化物材料との反応性等の観点から、セリア、ガドリニウムドープセリア(GDC)、サマリウムドープセリア(SDC)等が主に用いられる。
中間層5の材料としては、第2酸化物材料と同様の材料が用いられる。好適には、イオン伝導性や、固体電解質層材料と第1酸化物材料との反応性を抑制する等の観点から、セリア、ガドリニウムドープセリア(GDC)、サマリウムドープセリア(SDC)等が主に用いられ、空気極2との接合性を向上させて界面抵抗を低減することが可能になる。
ここで、第1酸化物材料と第2酸化物材料とは、通常、線熱膨張係数の差が大きい。例えば、第1酸化物材料として用いられる(La,Sr)CoO3の線熱膨張係数は、15×10-6/K~22×10-6/K程度であり、温度によって変化する(例えば、700℃にて18×10-6/K、900℃にて20×10-6/K)。また、(La,Sr)(Co,Fe)O3の線熱膨張係数は、(La,Sr)CoO3よりも小さい。なお、線熱膨張係数は、JIS R1618:2002に準拠して25℃~900℃の温度範囲にて測定される。後述する線熱膨張係数についても同様である。
これに対して、第2酸化物材料として用いられるガドリニウムドープセリアの線熱膨張係数は9.3ppm/K程度である。そのため、燃料電池1の運転時のサーマルサイクルにより、両材料の線熱膨張係数差に起因して、第1粒子21と第2粒子22の接合性が悪化しやすい。その場合には、粒子間の接合強度の低下により空気極2としての強度が低下し、また、空気極2における電極反応抵抗が大きくなって発電性能が低下しやすい。
そこで、空気極2には、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域に第3酸化物相23が形成される。第1粒子21を構成する第1酸化物材料と、第2粒子22を構成する第2酸化物材料は、上述したように互いに異なる組成を有し、これら材料が接触界面領域において反応することにより、第3酸化物相23が形成される。第3酸化物相23は、反応生成相であり、第1酸化物材料又は第2酸化物材料とは独立した組成を有する。具体的には、第3酸化物相23は、第1酸化物材料及び第2酸化物材料の構成元素(但し、酸素を除く)のうちのそれぞれ一種又は二種以上を含んで構成される。
このような第3酸化物相23は、例えば、第1酸化物材料がランタンコバルタイト系酸化物であり、第2酸化物材料がセリア系固溶体であるときには、ランタン及びコバルトの少なくとも一方とセリウムとを含む酸化物にて構成される。好適には、第3酸化物相23は、ランタン及びコバルトと、セリウムとを含む酸化物である。
図3に示すように、空気極2は、第1粒子21及び第2粒子22を含む構成粒子が互いに結合されて、電子伝導又はイオン伝導可能な多孔質層を形成し、構成粒子の間には多数の気孔24(例えば、図1参照)が形成されて互いに連通し、酸化剤ガスが透過可能となっている。第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域には、第3酸化物相23が形成される。
第3酸化物相23は、第1粒子21と第2粒子22とが接触する界面に沿って主に形成される。気孔24に面する第1粒子21又は第2粒子22の表面には、第3酸化物相23がほとんど形成されない。上述したように、第1粒子21と第2粒子22の界面領域に存在する第3酸化物相23の全体に対して、接触界面領域における第3酸化物相23の存在比率は80体積%以上であることが好ましく、存在比率が90体積%以上であることがより好ましい。これにより、接合強度と発電性能を両立させることができる。第3酸化物相23の存在比率は、後述するように、空気極2の焼成条件等により調整することができる。
図4に示されるように、燃料電池1が作動温度まで加熱された後に、冷却された場合、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域の近傍において、線熱膨張係数の小さい第2酸化物材料からなる第2粒子22では圧縮応力が発生し、線熱膨張係数の大きい第1酸化物材料からなる第1粒子21では引張応力が発生する。その場合においても、接触界面領域に形成される第3酸化物相23により、第1粒子21と第2粒子22の界面での接合強度が向上し、発生する応力による界面の破壊を抑制する効果が得られる。
このように第3酸化物相23を有する構成に対して、図5の左図として示されるように、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域に、第3酸化物相23が形成されない場合には、第1粒子21と第2粒子22との接合強度が不十分となり、運転時のサーマルサイクルによって界面破壊等が生じるおそれがある。また、図5の右図として示されるように、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域のみならず、気孔24に面する第1粒子21又は第2粒子22の表面に、第3酸化物相23が形成される場合には、電極反応に寄与する二相界面、三相界面が減少し、発電性能が低下する。
空気極2を構成する多孔質層の気孔率は、例えば、20%~50%の範囲とすることができる。第1粒子21と第2粒子22との接合性が向上することにより、気孔率を大きくなっても空気極2の強度を維持することができる。気孔率は、固体電解質層3又は中間層5では20%以下であり、燃料極4では20%~50%の範囲とすることができる。空気極2を構成する多孔質層の気孔率は、中間層5よりも大きいことが好ましい。
なお、上記にいう気孔率は、アルキメデス法にて見かけ密度と嵩密度とを算出し、{1-(嵩密度/見かけ密度)}×100にて算出した数値のことである。
本実施形態の燃料電池1は、例えば、次のようにして製造することができる。先ず、燃料極4、固体電解質層3と、中間層5とがこの順に積層されたセラミックス基板を準備する。セラミックス基板は、例えば、シート成形プロセスなどを用いて準備することができる。
次に、セラミックス基板における中間層5の表面に、空気極形成用ペーストを、スクリーン印刷法等によって層状に塗布し、焼成により焼き付ける。空気極形成用ペーストは、例えば、第1酸化物材料と第2酸化物材料とを所定割合で混合し、バインダや溶媒等を添加することによってペースト状に調製することができる。第1酸化物材料と第2酸化物材料との混合比は、例えば、体積比で25:75~50:50の範囲で、発電性能や中間層5との接合性等の観点から、適宜設定することができる。具体的には、第1酸化物材料と第2酸化物材料との混合比を、例えば、体積比で30:70とすることができる。
また、焼成温度は、第1酸化物材料又は第2酸化物材料の分解温度又は反応温度以上であり、第1酸化物材料と第2酸化物材料との反応により、第3酸化物相23が生成可能であると共に、第3酸化物相23が異なる粒子間の接触界面領域に偏在可能となるように選択される。焼成時間は、厚みやバインダ量等により適宜調整することができるが、比較的短時間として反応が接触界面領域以外に進行しないように選択される。例えば、焼成温度は1000℃よりも高い温度、好適には、1100℃以上であり、また、1200℃よりも低い温度、好適には、1150℃以下の範囲内で調整され、焼成時間は30分以下の範囲内で調整することができる。具体的には、1125℃程度の温度で10分間程度の焼成とすることができ、高温で短時間の焼成を行うことにより、第3酸化物相23を、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域に主に形成することができる。
以上により、固体酸化物形燃料電池1を製造することができる。
焼成後の空気極2において、第1粒子21の平均粒子径D50は、0.1μm~10μm、好ましくは、0.5~5μmとすることができる。また、第2粒子22の平均粒子径D50は、0.1μm~10μm、好ましくは、0.5~5μmとすることができる。この範囲において、粒子界面が電子伝導パス又はイオン伝導パスにおける伝導性を阻害することを抑制しつつ、三相界面における反応点の減少を抑制して電極反応を進行させることができる。
なお、空気極2における焼結粒の平均粒子径は、断面の走査型電子顕微鏡観察により、例えば任意の100個の焼結粒の粒子径を計測し、その算術平均値を求めることにより算出される。走査型電子顕微鏡としては日本ハイテクノロジーズ社製のSU8200が用いられ、平均粒子径は倍率300~5000倍のSEM画像から求められる。
燃料電池1において、固体電解質層3の厚みは、オーミック抵抗の低減などの観点から、好ましくは3~20μm、より好ましくは5~15μmとすることができる。燃料極4の厚みは、ガス拡散、電気抵抗、強度などの観点から、例えば、好ましくは、100~1000μm、より好ましくは、200~700μmとすることができる。空気極2の厚みは、ガス拡散性、電極反応抵抗、集電性などの観点から、好ましくは20~100μm、より好ましくは30~80μmとすることができる。中間層5の厚みは、オーミック抵抗の低減、空気極2からの元素拡散の抑制等の観点から、好ましくは1~20μm、より好ましくは5~15μmとすることができる。
(実施例1)
上述した実施形態1と同様の構成を有する燃料電池1を、次のようにして作製し、空気極2について、第1粒子21と第2粒子22の界面領域における第3酸化物相23の形成状態を確認した。また、空気極2を形成する際の焼成温度を変更した場合について(比較例1~比較例2)、界面領域における第3酸化物相23の形成状態の比較を行った。
<材料準備>
NiO粉末と、8mol%のYを含むイットリア安定化ジルコニア粉末と、造孔材としてのカーボンと、バインダとしてのポリビニルブチラールと、混合溶媒としての酢酸イソアミル、2-ブタノール及びエタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。8mol%のYを含むイットリア安定化ジルコニアのことを、以下、「8YSZ」という。NiO粉末の平均粒子径は1.0μmであり、8YSZ粉末の平均粒子径は0.8μmである。NiO粉末とYSZ粉末の質量比は、60:40とした。上記スラリーを、ドクターブレード法を用いて、プラスチック基材上に層状に塗工し、乾燥させることにより、燃料極形成用シートを準備した。
なお、粉末の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準の累積度数分布が50%を示すときの粒子径d50である。粒子径は具体的には直径であり、以降の粉末の平均粒子径についても同様である。
平均粒子径0.8μmの8YSZ粉末と、バインダとしてのポリビニルブチラールと、混合溶媒としての酢酸イソアミル、2-ブタノール及びエタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを、ドクターブレード法を用いて、プラスチック基材上に層状に塗工し、乾燥させることにより、固体電解質層形成用シートを準備した。
10mol%のGdがドープされたセリア(Ce0.9Gd0.11.95)粉末と、バインダとしてのポリビニルブチラールと、混合溶媒としての酢酸イソアミル、2-ブタノール及びエタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。10mol%のGdがドープされたセリアのことを、以下「10GDC」という。10GDC粉末の平均粒子径は0.8μmである。このスラリーを、ドクターブレード法を用いて、プラスチック基材上に層状に塗工し、乾燥させることにより、中間層形成用シートを準備した。
空気極2を構成する第1、第2酸化物材料として、ランタンストロンチウムコバルタイト(La0.6Sr0.4CoO3)粉末と、平均粒子径0.8μmの10GDC粉末とを準備した。ランタンストロンチウムコバルタイトのことを、以下「LSC」という。LSC粉末の平均粒子径は、1.5μmである。第1粒子21を構成するLSC粉末と、第2粒子22を構成する10GDC粉末とを、重量比率で30:70となるように混合し、バインダとしてのエチルセルロースと、溶媒としてのテルピネオールとをボールミルにて混合することにより、空気極形成用ペーストを準備した。
<燃料電池の作製>
燃料極形成用シート、固体電解質層形成用シート、および、中間層形成用シートをこの順に積層し、積層体を得た。得られた積層体は、静水圧プレス成形法を用いて圧着、脱脂した。静水プレスはCIPとも言われる。なお、CIP成形条件は、温度80℃、加圧力50MPa、加圧時間10分という条件とした。
上記積層体を1350℃で2時間焼成した。これにより、厚み500μmの燃料極、厚み10μmの固体電解質層、及び、厚み10μmの中間層がこの順に積層されたセラミックス基板となる焼結体を得た。
次いで、上記セラミックス基板における中間層5の表面に、空気極形成用ペーストをスクリーン印刷法により塗布し、1125℃で10分間焼成することによって、厚み50μmの空気極2を形成した。空気極2の焼結粒の平均粒子径は、第1粒子21が1.5μm、第2粒子22が1.5μmであった。
このようにして、燃料極4、固体電解質層3、中間層5、及び、空気極2がこの順に積層されて互いに接合された燃料電池1を得た。この燃料電池1を実施例1とする。
また、比較のために、空気極2を形成する際の焼成温度を1000℃に変更した場合を比較例1とし、焼成温度を1200℃に変更した場合を比較例2とした。
<評価方法>
実施例1の燃料電池1について、評価用の空気極2の断面試料を準備し、TEM-EDX(日本電子株式会社製JEM-ARM300F;加速電圧300kV)を用いた界面観察と元素分析を行った。図6、図7に一例を示すように、元素分析は、第1粒子21及び第2粒子22の主要な構成元素に対して行い、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域を横切るようにライン分析を行って濃度プロファイルを取得した。ここでは、第1粒子21を構成するLSCに含まれるCoと、第2粒子22を構成するGDCに含まれるCeについて、図7中に矢印で示すように、第2粒子22側から第1粒子21側へ測定を行い、結果を図6に示している。
図6に示されるように、測定位置がGDC側からLSC側へ移動するのに伴い、Ceの信号強度が低下する一方、Coの信号強度が上昇している。また、第1粒子21と第2粒子22との間において、Ce及びCoの信号強度がステップ状に変化しており、粒子界面に、第1酸化物材料又は第2酸化物材料のいずれとも組成の異なる反応生成相が確認された。また、図6には示していないが、同様の元素分析により、第1粒子21と第2粒子22との間に形成される第3酸化物相23は、Ce及びCoの他に、LSCの構成元素であるLaを含むことが確認されている。
図6において、Ce又はCoの信号強度は、それぞれ略一定の領域から減少又は上昇する傾斜組成領域を経てステップ状の領域に変化し、さらに傾斜組成領域を経て略一定の領域に変化する。このとき、第3酸化物相23と第1粒子21及び第2粒子22との界面は、ステップ状の領域を挟んだ2つの傾斜組成領域の中間位置とすることができる。第3酸化物相23の厚みは、2つの傾斜組成領域の中間位置間の距離で表すことができる。
具体的には、第1粒子21及び第2粒子22の構成元素のうち、含有量が1質量%以上のものについて濃度プロファイルを取得し、最も強い信号を示す元素(例えば、Ce)に基づいて、厚みを規定した。その場合には、例えば、下記に示す関数f(x)を用いて、最小二乗法によりパラメータA1、A2、B1、B2、C1、C2を最適化し、得られたC1、C2から、それらの差の絶対値|C1-C2|を、第3酸化物相23の厚みと定義することができる。
f(x)=A1/(EXP(-B1*(x-C1))+1)+A2/(EXP(-B2*(x-C2))+1)+y0
但し、A1,A2>0
図6に示される測定点について、このようにして算出された第3酸化物相23の厚みは、89nmであった。さらに、同じ評価用の断面試料において、任意に選ばれた測定点について、同様の方法で測定を行った。その場合の測定点の数は、予め統計的に決定され、1つの接触界面領域に対して1箇所のライン分析を行って、それぞれ第3酸化物相23の厚みを算出した。その結果、算出された第3酸化物相23の厚みは、いずれも20nm~100nmの範囲にあり、それらの算術平均値である平均厚みは、40.9nmであった。
このようにして、図7に示されるように、実施例1の空気極2において、第1粒子21(図中の灰色粒子)と第2粒子22(図中の白色粒子)との接触界面領域に、第3酸化物相23となる相が形成されていることが確認された。なお、図7は、評価用の断面試料の一部を拡大したものである。
これに対して、比較例1、2の空気極2について、同様の方法で界面領域の観察と分析を行ったところ、比較例1の空気極2には、異相は確認されず、比較例2の空気極2には、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域以外の界面領域にも、異相が確認された。比較例1では、図8左図に一例を示すように、第2粒子22側から第1粒子21側へ測定を行っており、図8右図に示すライン分析結果において、第2粒子22側のCeが多い領域から、第1粒子21側のCoが多い領域へ移行する際に、Ceが急減すると共にCoが急増している。すなわち、第1粒子21と第2粒子22との間に、第3酸化物相23は形成されていない。一方、比較例2では、図9左図に一例を示すように、第2粒子22同士の接触界面について測定を行っており、図9右図にライン分析結果を示すように、両側のCeが多い領域の間において、Ceが徐々に減少すると共にCoが徐々に増加している。すなわち、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域以外にも、CeとCoの反応生成相が形成されている。
さらに、実施例1の空気極2において、第1粒子21及び第2粒子22の界面領域について2次元元素分析を行い、第1粒子21及び第2粒子22の接触界面領域を含む全界面領域に存在する第3酸化物相23のうち、接触界面領域における第3酸化物相23の存在比率を算出した。具体的には、例えば、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域、第1粒子21又は第2粒子22と気孔24との界面に沿う各界面領域、それら以外の第1粒子21又は第2粒子22の界面に沿う各界面領域について、それぞれ任意に選ばれた複数箇所の測定点にてライン分析を実施し、その算術平均値からそれぞれの界面領域における第3酸化物相23の平均厚みを決定した。さらに、それぞれの界面領域の界面長と先に算出した平均厚みから、界面領域の全体における第3酸化物相23の体積と、第1粒子21及び第2粒子22の接触界面領域における第3酸化物相23の体積を算出した。そして、前者に対する後者の比率を算出し、接触界面領域における第3酸化物相23の存在比率(単位:体積%)とした。
このとき、各界面領域における測定点の数は、上述したように、予め統計的に決定することができる。このようにして、算出された第3酸化物相23の存在比率は、95体積%であり、第3酸化物相23が、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域に偏在していることが確認された。
また、本例においては、LSC粉末と10GDC粉末とを使用した場合としたが、これら材料の代わりに、第1粒子21と第2粒子22として、ランタンコバルタイトとセリアとを用いた場合も、同様にLa及びCoとCeを含む第3酸化物相23が形成される。
このように、空気極2において、第1粒子21と第2粒子22との接触界面領域に、第3酸化物相23が偏在して形成されることが確認された。これにより、電極反応への影響を抑制しつつ、異種材料粒子間の結合が強化されて、発電性能を向上させることができる。
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
1 固体酸化物燃料電池
2 空気極
3 固体電解質層
4 燃料極
5 中間層
21 第1粒子
22 第2粒子
23 第3酸化物相
24 気孔

Claims (7)

  1. 空気極(2)と固体電解質層(3)と燃料極(4)とが順次積層された固体酸化物形燃料電池(1)であって、
    上記空気極は、電子伝導性を有する第1酸化物材料からなる第1粒子(21)と、酸化物イオン伝導性を有する第2酸化物材料からなる第2粒子(22)と、上記第1酸化物材料の構成元素のうちの酸素を除く少なくとも一種と上記第2酸化物材料の構成元素のうちの酸素を除く少なくとも一種とを含む第3酸化物相(23)と、を含む多孔質層であり、
    上記第3酸化物相は、上記第1粒子と上記第2粒子との接触界面領域に偏在している、固体酸化物形燃料電池。
  2. 上記第3酸化物相は、上記第1酸化物材料と上記第2酸化物材料との反応生成相である、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  3. 上記第1粒子及び上記第2粒子との接触界面領域における上記第3酸化物相の存在比率は、上記第1粒子及び上記第2粒子の界面領域に存在する上記第3酸化物相の全体に対して、80体積%以上である、請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 上記第3酸化物相の平均厚みは、200nm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  5. 上記空気極と上記固体電解質層との間に、上記第2酸化物材料にて構成される中間層(5)を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  6. 上記第1酸化物材料は、遷移金属元素を含むペロブスカイト型酸化物であり、上記第2酸化物材料は、酸化セリウム系酸化物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  7. 上記第1酸化物材料は、ランタンコバルタイト系酸化物であり、
    上記第3酸化物相は、ランタン、コバルト及びセリウムを含む、請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池。
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