JP5122013B1 - 燃料電池セル - Google Patents

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Abstract

【課題】電解質層とバリア層の界面付近における剥離の発生を抑制可能な燃料電池セルを提供する。
【解決手段】燃料電池セル1は、燃料極11と、空気極14と、ジルコニウムを含み、燃料層と空気極との間に設けられた電解質層15と、セリウムを含み、電解質層と空気極との間に設けられたバリア層13と、を備える。バリア層13は、ジルコニウム及びセリウムを含み、電解質層と接する中間層131を有する。中間層は、長径の短径に対するアスペクト比が2以上である棒状粒子を含んでいる。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池セルに関し、より具体的には、固体酸化物形燃料電池セルに関する。
近年、環境問題及びエネルギー資源の有効利用の観点から、燃料電池に注目が集まっている。燃料電池は、燃料電池セル及びインターコネクタ等を備える。燃料電池セルは、一般的に、電解質層と、電解質層を介して対向するように設けられた燃料極と空気極とを含む。
ここで、電解質層と空気極との間に高抵抗層が形成されることを抑制するために、電解質層と空気極との間にバリア層を介挿させる手法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2001−283877号公報
しかしながら、電解質層とバリア層とは熱膨張係数及び/又は焼成収縮量が異なっているので、製造時及び/又は使用時における加熱によって電解質層とバリア層との間に熱応力が生じてしまう。その結果、電解質層とバリア層の界面付近に剥離が発生するおそれがある。
本発明は、この問題点に鑑みてなされたものであり、電解質層とバリア層の界面付近における剥離の発生を抑制可能な燃料電池セルを提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池セルは、燃料電池セルは、燃料極と、空気極と、ジルコニウムを含み、燃料層と空気極との間に設けられた電解質層と、セリウムを含み、電解質層と空気極との間に設けられたバリア層と、を備える。バリア層は、ジルコニウム及びセリウムを含み、電解質層と接する中間層を有する。中間層は、長径の短径に対するアスペクト比が2以上である棒状粒子を含んでいる。
本発明によれば、電解質層とバリア層の界面付近における剥離の発生を抑制可能な燃料電池セルを提供することができる。
燃料電池の要部構成を示す断面図。 中間層と電解質層との断面を示すFE-SEM画像。 図2の部分拡大図。 中間層を構成する棒状粒子の外形を示す模式図。 中間層を構成する棒状粒子の外形を示す模式図。 中間層を構成する材料粉末の粒度分布の一例を示す模式図。 電解質層及びバリア層におけるセリウム濃度分布とジルコニウム濃度分布を模式的に示すグラフ。
次に、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
以下の実施形態では、燃料電池の一例として、複数の燃料電池セルが積層されたセルスタック構造を有する固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)を挙げて説明する。具体的に、以下の実施形態では、いわゆる縦縞型燃料電池について説明するが、本発明は、いわゆる横縞型燃料電池にも適用可能である。
1.燃料電池10の概要
図1に示すように、燃料電池10は、燃料電池セル(単に「セル」と称される)1と、集電部材4とを備える。燃料電池10は、縦縞型燃料電池である。燃料電池10においては、複数のセル1が、集電部材4を介してy軸方向に重ねられる。つまり、燃料電池10は、スタックされた複数のセル1を備える。
2.セル1の概要
セル1はセラミックスの薄板である。セル1の厚みは、例えば30μm〜300μmであり、セル1の直径は、例えば5mm〜50mmである。セル1は、図1に示すように、燃料極11、バリア層13、空気極14、電解質層15を備える。
(2-1.燃料極11)
燃料極11の材料としては、例えば、公知の燃料電池セルにおいて燃料極の形成に用いられる材料が用いられる。燃料極11の材料として、より具体的には、NiO‐YSZ(酸化ニッケル‐イットリア安定化ジルコニア)及び/又はNiO‐Y(酸化ニッケル‐イットリア)が挙げられる。燃料極11は、これらの材料を主成分として含むことができる。燃料極11は、アノードとして機能する。また、燃料極11は、セル1に含まれる他の層を支持する基板(支持体と言い換えてもよい)として機能してもよい。つまり、燃料極11の厚みは、セル1に含まれる複数の層の中で、最も大きな厚みを有していてもよい。燃料極11の厚みは、具体的には10μm〜300μm程度である。なお、燃料極11は、還元処理(例えばNiOをNiに還元する処理)を受けることで、導電性を獲得することができる。
なお、「組成物Aが物質Bを主成分として含む」とは、好ましくは、組成物Aにおける物質Bの含量が60重量%以上であることを意味し、より好ましくは、組成物Aにおける物質Bの含量が70重量%以上であることを意味する。
また、燃料極11は、2つ以上の層を有してもよい。例えば、燃料極11は、2つの層、すなわち、基板とその上に形成された燃料極活性層(燃料側電極)とを有してもよい。基板及び燃料極活性層の材料は、上述した燃料極11の材料から選択可能である。より具体的には、NiO‐Yで構成された基板と、NiO‐YSZで構成された燃料極活性層とが組み合わせられてもよい。
(2-2.バリア層13)
バリア層13は、空気極14と燃料極11との間に設けられ、より具体的には、空気極14と電解質層15との間に設けられる。バリア層13は、電解質層15と共焼成されている。
バリア層13は、セリウムを含む。バリア層は、セリウムをセリア(酸化セリウム)として含んでもよい。具体的には、バリア層13の材料として、セリア及びセリアに固溶した希土類金属酸化物を含むセリア系材料が挙げられる。バリア層13は、セリア系材料を主成分として含むことができる。セリア系材料として、具体的には、GDC((Ce, Gd)O:ガドリニウムドープセリア)、SDC((Ce, Sm)O:サマリウムドープセリア)等が挙げられる。なお、GDC材料としては、例えば、平均粒径0.3μm〜1.2μm、比表面積3〜30m/gのAGCセイミケミカル株式会社製のものを用いることができる。また、セリア系材料において、希土類金属酸化物:セリアのmol組成比は、5:95〜20:80であってもよい。バリア層13は、セリア系材料の他に、添加剤を含んでいてもよい。バリア層13の厚みは、例えば40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。
ここで、バリア層13は、図1に示すように、中間層131と緻密層132とを有している。中間層131は、図1に示すように、気孔Pを有している。中間層131は、緻密層132よりも高い気孔率を有しており、製造時及び/又は使用時における加熱によって電解質層15とバリア層13との間に生じる熱応力を緩和する機能を有する。一方、緻密層132は、中間層131よりも低い気孔率を有しており、空気極14から電解質層15へのカチオンの拡散を抑制することで、高抵抗層の形成を抑制する機能を有する。中間層131と緻密層132との詳細な構成については後述する。
(2-3.空気極14)
空気極14の材料としては、例えば、公知の燃料電池セルの空気極の材料が用いられる。より具体的に、空気極14の材料としては、LSCF(ランタンストロンチウムコバルトフェライト:(La,Sr)(Co,Fe)O)が挙げられる。LSCFの組成としては、例えばLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8が挙げられる。空気極14は、このような材料を主成分として含むことができる。空気極14の厚みは、5μm〜50μm程度であってもよい。
(2-4.電解質層15)
電解質層15は、固体電解質層の一例であって、バリア層13と燃料極11との間に設けられる。電解質層15は、バリア層13と共焼成されている。
電解質層15はジルコニウムを含む。電解質層15は、ジルコニウムをジルコニア(ZrO)として含んでもよい。具体的には、電解質層15は、ジルコニアを主成分として含むことができる。また、電解質層15は、ジルコニアの他に、Y及び/又はSc等の添加剤を含むことができる。これらの添加剤は、安定剤として機能することができる。電解質層15において、安定化剤:ジルコニアとのmol組成比は、3:97〜20:80であってもよい。すなわち、電解質層15の材料として、3YSZ、8YSZ及び10YSZ等のイットリア安定化ジルコニア;並びにScSZ(スカンジア安定化ジルコニア);等のジルコニア系材料が挙げられる。なお、YSZ材料としては、例えば、平均粒径0.5μm〜1.5μm、比表面積3〜30m/gの東ソー株式会社製のものを用いることができる。電解質層15の材料としてYSZが用いられる場合、焼成後の電解質層15は、平均粒径が1.0μm以上3.5μm以下であるYSZ粒子によって構成されることが好ましい。電解質層15の厚みは、30μm以下であってもよい。
電解質層15の気孔率は、後述する中間層131の気孔率よりも低いことが好ましく、緻密層132の気孔率より低いことが好ましい。具体的には、電解質層15の気孔率は、7%以下であってもよく、5%以下であってもよく、3%以下であってもよい。電解質層15の気孔率は、後述する中間層131の気孔率と同様に算出される。
3.バリア層13の詳細構成
次に、バリア層13の詳細構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、中間層13と電解質層15との断面を示すFE-SEM画像である。図3は、図2の中間層13と電解質層15との界面付近を拡大して示すFE-SEM画像である。
なお、図2及び図3では、共焼結体の粒界を発達させることによって、観察組織が明瞭化されている。このように粒界を発達させる手法としては、酸溶液又はアルカリ溶液を用いるケミカルエッチングや高温雰囲気暴露を用いるサーマルエッチングを用いることができる。図2及び図3は、所定条件(1350℃、大気雰囲気、10分暴露)のサーマルエッチングが施された研磨面をFE−SEM(日本電子製 フィールドエミッション走査電子顕微鏡 JSM−6700F)で観察した画像である。
なお、図2及び図3の観察試料の作製方法については、後述の実施例において詳細に説明する。
(3-1.中間層131の構成)
中間層131は、図2及び図3に示すように、電解質層15と緻密層132とに接している。具体的に、中間層131は、第1面131aにおいて電解質層15と接し、第2面131bにおいて緻密層132と接している。第1面131aは、セリウム濃度とジルコニウム濃度とが一致するラインとして定義され、第2面131bは、第1面131aから所定間隔(例えば、3.0μm程度)離れたラインとして定義される。中間層131の内部におけるセリウム濃度とジルコニウム濃度の分布については後述する。
中間層131は、電解質層15及び緻密層132と共焼成されている。中間層131の厚み(すなわち、第1面131aと第2面131bとの所定間隔)は、1.0μm以上であることが好ましく、5.0μm以下であることが好ましい。
(3-2.緻密層132の構成)
緻密層132は、図2及び図3に示すように、中間層131と空気極14とに接している。緻密層132は、中間層131と共焼成されている。
バリア層13の材料としてGDCが用いられる場合、焼成後の緻密層132は、平均粒径が0.7μm以上2.8μm以下であるGDC粒子によって構成されることが好ましい。
なお、緻密層132の気孔率は、後述する中間層131の気孔率よりも低いことが好ましい。具体的には、緻密層132の気孔率は、10%以下であることが好ましい。緻密層132の気孔率は、後述する中間層131の気孔率と同様に算出される。
(3-3.中間層131を構成する粒子)
中間層131は、図3に示すように、複数の棒状粒子Qによって構成されている。棒状粒子Qは、細長い外形或いは扁平な外形を有する。複数の棒状粒子Qの隙間には、気孔Pが形成される。なお、中間層131には、球状などの外形を有する粒子が含まれていてもよい。
図4及び図5は、棒状粒子Qの外形の一例を示す模式図である。棒状粒子Qは、図4に示すような直線状の外形を有していてもよいし、図5に示すような湾曲又は屈曲した外形を有していてもよい。棒状粒子Qが湾曲又は屈曲している場合には、気孔Pが形成されやすい。なお、棒状粒子Qの外形は、これらに限られるものではなく、例えば紡錘形などであってもよい。
棒状粒子Qは、図4及び図5に示すように、長径sと短径tとを有する。長径sは、棒状粒子Qの中心線に沿った方向(いわゆる、長手方向)における長さである。短径tは、棒状粒子Qの中心線に垂直な方向(いわゆる、短手方向)における幅である。長径sは、短径tよりも大きく、0.8μm以上2.5μm以下であることが好ましい。短径tは、長径sよりも小さく、0.3μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
ここで、長径sの短径tに対するアスペクト比(s/t)は、2以上であることが好ましい。また、アスペクト比(s/t)は、8以下であることが好ましい。アスペクト比(s/t)は、図2及び図3に示すFE−SEM画像を画像解析ソフトで解析して得られる長径sと短径tに基づいて算出可能である。
このようなアスペクト比(s/t)は、中間層131を構成する材料粉末(例えば、YSZやGDCなどの材料粉末)の粒度分布を調整することによって容易に制御することができる。具体的には、図6に示すように、原材料粉末の粒度分布は、平均粒径よりも大きい領域に形成される第1ピークP1と、平均粒径よりも小さい領域に形成される第2ピークP2と、を有することが好ましい。このような粒度分布は、微小粒径を有する材料粉末と粗大粒径を有する材料粉末とを混合することによって得ることができる。中間層131の焼結時において、微小粒子と粗大粒子とが歪んだ形状に粒成長することによって、棒状粒子Qが形成される。この際、第1ピークP1の粒径と第2ピークP2の粒径との差ΔPが大きすぎると、又は、差ΔPが小さすぎると、微小粒子と粗大粒子とが球状に粒成長しやすい。このようなピーク粒径の差ΔPは、0.2μm以上2.0μm以下であることが好ましい。あくまでも実験によって得られた知見の一例であるが、GDCと8YSZの共焼成によってバリア層13を形成する場合、GDC粉末のピーク粒径の差ΔPを0.45μm(ただし、第1ピークP1=0.70μm、第2ピークP2=0.25μm)とし、8YSZのピーク粒径の差ΔPを0.55μm(ただし、第1ピークP1=0.85μm、第2ピークP2=0.30μm)とした場合、棒状粒子Qのアスペクト比(s/t)を3.5にできることが本発明者らによって確認されている。
また、微小粒子と粗大粒子の混合体を原材料粉末として用いる場合において、成膜用スラリーを作製する場合には、まず微小粒子を分散したスラリー(有機溶媒、原材料粉末に適した分散媒を選択することが好ましい)を調整後、そのスラリーに粗大粒子粉末を添加して、成膜用スラリーを作製することが好ましい。
なお、図6の例では、第1ピークP1の頻度が第2ピークP2の頻度よりも高い場合が示されているが、これに限られるものではない。第1ピークP1の頻度は、第2ピークP2の頻度と同程度であってもよいし、第2ピークP2の頻度よりも低くてもよい。
また、アスペクト比(s/t)は、中間層131を構成する材料粉末の粒度分布に関わらず、中間層131の焼結を緩和(阻害)することによっても容易に制御することができる。例えば、材料粉末から作製されるスラリーの生密度を低めに設定することによって、或いは、材料粉末に造孔剤を添加することによって、中間層131の焼結を緩和させることができる。
また、アスペクト比(s/t)は、バリア層131と電解質層15との共焼成温度や共焼成時間を調整することによっても制御可能である。共焼成温度は、1350℃〜1500℃の範囲で調整可能である。共焼成時間は、1hr〜20hrの範囲で調整可能である。共焼成温度と共焼成時間の組み合わせを適切に設定することによって、アスペクト比(s/t)を制御し易くすることができる。このような共焼成温度と共焼成時間の組み合わせとしては、例えば、1400℃と2hrの組み合わせを挙げることができるが、これに限られるものではない。なお、共焼成温度と共焼成時間の組み合わせを設定する際には、共焼成温度が高いほど共焼成時間を短く設定することが好ましく、共焼成時間が長いほど共焼成温度を低く設定することが好ましい。
さらに、アスペクト比(s/t)は、中間層131を構成する材料粉末の活性度を調整することによっても制御可能である。材料粉末の活性度とは、材料粉末の粒成長のし易さを示す尺度である。材料粉末の活性度としては、例えば、材料粉末の仮焼条件、比表面積、分散状態および粒子形状などが挙げられる。
(3-4.中間層131の気孔P)
中間層131は、複数の気孔Pを有する。気孔Pの形状は特に限定されないが、気孔Pの断面は略楕円(円を含む)であってもよい。気孔Pの長径aは好ましくはa≦1.0μmを満たし、長径aは好ましくは0.05μm≦aを満たす。
また、中間層131の気孔率bは好ましくはb≦15%を満たし、気孔率bは好ましくは1%≦bを満たす。気孔率bは、空間率と言い換えられてもよい。気孔率bは、中間層131の総体積V1に対する空隙(気孔Pを含む)の体積V2の比(V2/V1)で表されるが、断面における中間層131の単位面積当たりの気孔Pの面積として表されてもよい。
気孔率bは、例えば、
‐中間層131の厚み方向における断面の電子顕微鏡(SEM)画像を取得すること、
‐この画像(視野)において気孔Pを特定すること、
‐この画像における中間層131の面積を取得すること、
‐この画像における気孔Pの面積の総和を取得すること、及び
‐この画像における[気孔Pの面積の総和/中間層131の総面積]を算出すること、
によって求められる。
なお、具体的には、断面画像の取得にはSEM及びFE−SEM等を用いることができ、その後の気孔Pの面積の数値化等には画像解析ソフト等を用いることができる。
1つの視野において算出された気孔率を中間層全体の気孔率bとみなしてもよいし、複数の視野において同様の手順で気孔率を算出し、その平均値を中間層全体の気孔率bとみなしてもよい。
また、中間層131において、中間層131の厚み方向に平行な断面中、層間の界面方向に平行な方向において、10μm長さ当たりの気孔Pの数が5個以下であることが好ましい。
また、中間層131に含まれる気孔Pの少なくとも一部は、閉気孔(closed pore)であってもよい。また、中間層131に含まれる気孔Pの全てが閉気孔であってもよい。閉気孔は、その全体がセル1内、つまり中間層131内に存在しており、閉気孔の内部はセル1の外気から遮断されている。閉気孔が中間層131内に存在することで、中間層131は、歪を緩和する高い効果、つまり熱応力緩和の高い効果を示すことができる。また、閉気孔が存在することで、たとえ中間層131に亀裂が発生したとしても、その伸長が抑制される。
(3-5.中間層131の組成)
中間層131は、ジルコニウムとセリウムとを含む。ジルコニウムはジルコニアとして、セリウムはセリアとして、中間層131に含まれていてもよい。中間層131においてセリウム(又はセリア)とジルコニウム(又はジルコニア)とは混合されており、中間層131は好ましくはセリアとジルコニアとの固溶体である。なお、中間層131は、セリウム及びジルコニウム以外の物質を含んでいてもよい。中間層131は例えば、緻密層132又は電解質層15に含まれる物質(添加剤等)を含んでいてもよい。電解質層15がイットリウム(Y)を含む場合、中間層131もイットリウムを含み得る。また、緻密層132がガドリニウム(Gd)を含む場合、中間層131もガドリニウムを含み得る。
(3-6.中間層131におけるセリウム濃度及びジルコニウム濃度)
図7は、電解質層15及びバリア層13におけるセリウム濃度とジルコニウム濃度の分布の一例を模式的に示すグラフである。図7に示される濃度分布データは、y軸方向に平行な断面において、y軸方向に沿ってEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)でライン分析を行うことにより取得される。
中間層131において、セリウムの濃度D1及びジルコニウムの濃度D2は、図7に示すように、下記(1)〜(8)を満たしてもよい。
(1)セリウムの濃度D1に対するジルコニウムの濃度D2の比率(D2/D1)は、好ましくは0.1≦D2/D1を満たす。
(2)D2/D1は、好ましくはD2/D1≦1を満たす。
(3)セリウムの濃度D1は、好ましくはD1≦80mol%を満たす。
(4)濃度D1は、好ましくは40mol%≦D1を満たす。
(5)ジルコニウムの濃度D2は、好ましくはD2≦50mol%を満たす。
(6)濃度D2は、好ましくは10mol%≦D2を満たす。
(7)バリア層13におけるセリウムの濃度D3に対する中間層131におけるセリウムの濃度D1の比率(D1/D3)は、D1/D3≦0.9を満たしてもよい。
(8)電解質層15におけるジルコニウムの濃度D4に対する中間層131におけるジルコニウムの濃度D2の比率(D2/D4)は、D2/D4≦0.5を満たしてもよい。
上記(1)〜(8)の条件のうち、いずれか1つの条件が満たされてもよいし、2つ以上の条件が満たされてもよい。
また、濃度D1〜D4及び本書で論じられる各層の成分の「濃度」とは、特に断らない限り、各層全体における濃度、つまり各層における成分(例えばジルコニウム又はセリウム)の平均含有量である。
「濃度」は、具体的には、原子濃度プロファイルによるライン分析、つまりEPMAによる特性X線強度の比較によって得られる。
EPMAを用いた定量分析は当業者によく知られている。EPMAは、電子線を対象物に照射することで放射される特性X線スペクトルに基づいて、電子線が照射されている微小領域(おおよそ1μm)における構成元素の検出及び同定と、各構成元素の比率(濃度)を分析する装置である。EPMAによる定量分析は、元素濃度の明らかな標準試料の特性X線強度と、未知試料の特性X線強度とを比較することによって実現される。
すなわち、セル1の厚み方向(y軸方向)に略平行な断面において、EPMAを用いて、厚み方向(y方向)におけるライン分析を行うことにより、各元素の濃度分布データが取得される。
つまり、濃度D1〜D4は、EPMAを用いた元素マッピングによって決定可能である。
なお、本明細書において、EPMAはEDS(Energy Dispersive x-ray Spectroscopy)を含む概念である。
(3-7.中間層131における成分の濃度分布)
中間層131におけるセリウム濃度及びジルコニウム濃度の分布は、図7に示すように、下記(a)〜(e)の条件を満たしていてもよい。
(a)中間層131は、セリウム濃度勾配を有することが好ましい。このセリウム濃度勾配を表すグラフにおいて、横軸が、第2面131bから中間層131中の任意の位置にある部分までの距離(この距離の最大値は、第2面131bから第1面131aまでの距離)を示し、縦軸が、その部分におけるセリウム濃度を示す場合、このグラフにおいて、セリウム濃度は、距離の増加に応じてほぼ単調に減少することが好ましい。
つまり、このようなセリウム濃度勾配が存在する場合、中間層131を第1面131aに平行な断面で複数の部分に分割した場合、中間層131の中で第2面131bに近い部分は、中間層131の中で第1面131aに近い部分よりも、高いセリウム濃度を有する傾向を示す。
(b)中間層131の一部であって第2面131b近傍に位置する部分のセリウム濃度は、バリア層13のセリウム濃度に近いことが好ましい。より具体的には、中間層131の一部であって第2面131b近傍に位置する部分のセリウム濃度は、バリア層13の一部であって第2面131bの近傍に位置する部分のセリウム濃度と略同一であることが好ましい。
(c)中間層131は、ジルコニウム濃度勾配を有することが好ましい。このジルコニウム濃度勾配を表すグラフの横軸が、上記(a)のグラフと同様に第2面131bからの距離を示し、縦軸がジルコニウム濃度を示すのであれば、このグラフにおいて、ジルコニウム濃度は、距離の増加に応じてほぼ単調に増加することが好ましい。
(d)中間層131の一部であって第1面131a近傍に位置する部分のジルコニウム濃度は、電解質層15のジルコニウム濃度に近いことが好ましい。より具体的には、中間層131の一部であって第1面131a近傍に位置する部分のジルコニウム濃度は、電解質層15の一部であって第1面131aの近傍に位置する部分のジルコニウム濃度と略同一であることが好ましい。
以上に挙げた(a)〜(d)の条件のうち、いずれか1つの条件が満たされてもよいし、2つ以上の条件が満たされもよい。満たされる条件の数は多い方が好ましい。
例えば、上記(a)〜(d)が満たされる場合、セル1は、第2面131bから第1面131aにかけて、セリウム濃度が徐々に低くなる濃度勾配と、ジルコニウム濃度が徐々に高くなる濃度勾配と、を有する。
(3-8.熱膨張係数)
中間層131の熱膨張係数(つまり線膨張係数)は、電解質層15の熱膨張係数と緻密層132の熱膨張係数との間の値である。すなわち、緻密層132の熱膨張係数が電解質層15の熱膨張係数よりも高い場合は、中間層131の熱膨張係数は、電解質層15よりも高く、緻密層132の熱膨張係数よりも低い。例えば、中間層131の熱膨張係数は、電解質層15の一例であるYSZの熱膨張係数より大きく、緻密層132の一例であるGDCの熱膨張係数より小さくてもよい。
4.集電部材
集電部材4には、導電接続部41及び図示しない集電孔が設けられる。集電部材4には、複数の導電接続部41が設けられている。
図1に示すように、導電接続部41は、集電部材4に設けられた凹部であり、その底部分が導電性接着剤411を介して空気極14に接続されている。また、図1に示すように、集電部材4において、導電接続部41とその周囲との間には、非連続な箇所が設けられている。これによって、後述するように、空気極14に空気が供給される。
発電時には、燃料極11に燃料ガスが供給される。空気極14への空気の供給は、セルスタック構造の側面側(例えば図1の紙面手前側)から空気を吹き付けることでなされる。
なお、図示しないが、燃料電池10は、セルスタックで発生した電流を外部装置へ送るリード、燃料ガスを改質する触媒等を含んだガス改質部等の部材をさらに備えている。
5.製造方法
以下に述べる製造方法は、セル1の製造方法の一例に過ぎない。すなわち、以下に述べる材料、圧力、温度、時間、及び使用機器等の各種条件は、変更可能である。
燃料極11は、複数のセラミックグリーンシートを積層し、熱圧着することで形成可能である。燃料極11を構成するセラミックグリーンシートは、例えば、酸化ニッケル(NiO)、ジルコニア系材料(例えば8YSZ)、造孔剤(例えばPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂))からなる。
セル1の製造方法は、中間層131を形成する工程を含む。つまり、セル1の製造方法は、セリウムとジルコニウムとを含み、かつ気孔を有する層を形成する工程を含む。この工程は、ジルコニア系材料を主成分として含む層(ジルコニア系材料層)とセリア系材料を主成分として含む層(セリア系材料層)とを積層する工程と、積層された層を共焼成する工程と、により実現可能である。共焼成によって、セリア系材料層とジルコニア系材料層との接触面において、セリアとジルコニアとを固溶させることができる。また、粒径が調整されたセリア系材料層とジルコニア系材料層を共焼成することによって、棒状粒子Q及び気孔Pを有する中間層131を形成することができる。
なお、中間層131の形成方法はこの方法に限定されるものではなく、例えばセリウム及びジルコニウムの濃度が調整された材料を積層することによっても形成可能である。
バリア層13を形成する工程は、セリア系材料層を形成する工程を含む。電解質層15を形成する工程は、ジルコニア系材料層を形成する工程を含む。それぞれの層は、セリア系材料及びジルコニア以外の添加剤を含んでいてもよい。
セリア系材料層を形成する工程は、セリア系材料を含むセラミックグリーンシートを他の層(例えばジルコニア系材料層、又は中間層となる材料層)に積層することを含んでいてもよい。ジルコニア系材料層を形成する工程は、ジルコニア系材料を含むセラミックグリーンシートを他の層(例えば燃料極11)に積層することを含んでいてもよい。積層された材料層は、熱圧着、CIP(Cold Isostatic Press)等の手法によって、他の層に圧着される。
なお、セリア系材料層及びジルコニア系材料層は、セラミックグリーンシートを積層する以外に、バリア層13及び電解質層15のいずれか一方又は両方を、スラリーディップ法、筆塗り法、スタンプ法、及び/又は印刷法等の他の方法によって形成されてもよい。
具体的な製造方法の流れについて説明する。
燃料極11となる材料層の上に、ジルコニア系材料層、セリア系材料層を順番に積層することで、積層体を得ることができる。この積層体を脱脂及び共焼成することで、共焼成体を得ることができる。共焼成によって、ジルコニア系材料層は電解質層15となり、セリア系材料層は緻密層132となり、ジルコニア系材料層とセリア系材料層との間には、中間層131が形成される。この際、共焼成温度(1350℃〜1500℃)と共焼成時間(1hr〜20hr)の組み合わせを適切に設定することによって、中間層131を構成する棒状粒子Qのアスペクト比(s/t)を制御する。
次いで、共焼成体上に空気極14を形成する。空気極14は、印刷法等で空気極材料を焼成体上に付与した後、焼成することで形成される。以上の工程により、セル1が完成する。
6.作用及び効果
バリア層の組成と電解質層の組成とは異なるので、バリア層の熱膨張係数及び焼成収縮量と、電解質層の熱膨張係数及び焼成収縮量とは異なる。そのため、完成したセルにおいて、バリア層及び電解質層の内部には歪が含まれている。このようなバリア層及び電解質層が常温状態と高温状態との間を繰り返し遷移すると、両者の界面には熱応力が発生する。
ここで、従来のセルでは、焼成済みの電解質層上にバリア層が2次焼成されていた。そのため、中間層を構成する粒子の粒径は比較的大きくなりやすく、また、粒子のアスペクト比(長径/短径)は“1”に近い値であった。このような中間層を構成する粒子は、電解質層を構成する粒子との間でネックを形成しにくいので、バリア層と電解質層との接合力が弱かった。その結果、熱応力によって電解質層とバリア層の界面付近に剥離が発生するおそれがあった。
一方で、本実施形態に係るセル1では、電解質層15とバリア層13とを共焼成することによって、バリア層13に中間層131が形成されている。中間層131は、アスペクト比(s/t)が2以上である棒状粒子Qを含んでいる。そのため、中間層131において熱応力を緩和することができるので、電解質層とバリア層の界面付近における剥離の発生を抑制することができる。
7.他の実施形態
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
(1)燃料電池セルは、燃料極と、電解質層と、バリア層と、空気極とを有すればよい。つまり、以上に述べたセル1は、燃料電池セルの一例に過ぎない。よって、セル1において、さらなる構成要素の追加;並びにセル1の構成要素の形状、材料、及び寸法の変更等が可能である。例えば、セル1において、燃料極11と電解質層15との間及び/又は空気極14とバリア層13との間等に、以上に述べられた層以外の層がさらに設けられていてもよい。例えば、バリア層13と空気極14との間に、さらに第2のバリア層が設けられていてもよい。
(2)また、燃料電池セルの構成は、以下のように変更されてもよい。
(i)セルの形状は、燃料極支持型、平板形、円筒形、縦縞型、横縞型、片端保持型スタック用、両端保持型スタック用等であってもよい。また、セルの断面は楕円形状であってもよい。
(ii)上述したセル1、20及び110とは逆に、燃料極がセルの外側に設けられ、空気極が内側に設けられていてもよい。
(iii)異なる形態として挙げた構成は、互いに組み合わせ可能である。
(3)上記実施形態において、バリア層13は、中間層131と緻密層132とを有することとしたが、これに限られるものではない。バリア層13は、中間層131のみを有していてもよい。すなわち、バリア層13の全体が棒状粒子Qによって構成されていてもよい。また、バリア層13は、中間層131と緻密層132との間において、両者とは特性の異なる層を有していてもよい。
A.セル試料の作製
酸化ニッケル(NiO)、ジルコニア系材料(8YSZ)、及び造孔剤(PMMA)からなるセラミックグリーンシート(厚み100μm)を、300μmとなるように積層し、熱圧着(60℃、3MPa)にて一体化した。
次に、平均粒径0.7um、比表面積6m/gの8YSZ材料と、平均粒径0.6um、比表面積8m/gのGDC材料とを準備した。
次に、8YSZからなるセラミックグリーンシートと、GDCからなるセラミックグリーンシートとを、成形体上に順次積層して熱圧着した。こうして、燃料極、ジルコニア系材料層、セリア系材料層がこの順に積層された積層体を得た。
得られた積層体を、1400℃で2時間、共焼成した。これによって、ジルコニア系材料層から電解質層15が形成され、セリア系材料層から緻密層132が形成されるとともに、電解質層15と緻密層132との間に中間層131が形成された。
その後、バリア層13上に、空気極14としてLSCF膜(30μm)を付与して、1000〜1150℃で2時間、焼成した。
以上の操作により、セル試料を作製した。
B.断面の観察
上記工程Aで得られた試料を、層の厚み方向に垂直に切断して研磨した。得られた研磨面に対してサーマルエッチング(1350℃、大気雰囲気、10分)を施すことによって、共焼結体の粒界を発達させて観察組織を明瞭化した。
次に、サーマルエッチングが施された研磨面をFE−SEM(日本電子製 フィールドエミッション走査電子顕微鏡 JSM−6700F)で観察した。具体的には、1つの断面中で位置の異なる20個の視野におけるFE−SEM画像を得た。画像ソフトでFE−SEM画像を解析することによって、バリア層13の中間層131を構成する棒状粒子の長径、短径及びアスペクト比(長径s/短径t)を算出した。
また、上記工程Aで得られた試料を、層の厚み方向に垂直に切断した。得られた断面の画像を、SEM−EDS(Scanning Electron Microscopy-Energy Dispersive x-ray Spectroscopy)によって観察した。
具体的には、1つの断面中で位置の異なる20個の視野におけるSEM−EDS画像を得た。画像ソフトを用いて、SEM−EDS画像における(顕微鏡視野における)気孔を特定し、その位置及び大きさを決定した。
さらに、これら20個の断面について元素マッピングを行った。元素マッピングは、FE‐EPMA(電界放射型電子プローブマイクロアナライザ)により実行された。使用した装置名は、日本電子株式会社製の電界放射型分析電子顕微鏡(JXA−8500F)であった。
得られたシグナル強度に基づいて、セリウム濃度とジルコニウム濃度が一致するラインを、第1面131aとして特定し、第1面131aから3μm離れたラインを第2面131bとして特定した。シグナル強度に基づいて、さらにGdおよびYの各原子の濃度も算出した。さらに、原子の濃度から、CeO、Gd、ZrO、Yの濃度を算出した。こうして、ライン毎の濃度、つまり厚み方向において異なる位置の濃度(濃度分布)が算出された。
C.熱サイクル試験
熱サイクル試験を行うことで、セル試料における、接合界面の信頼性を評価した。手順は以下の通りである。
上記A.と同様の手順でセル試料を作製した。ただし、空気極は形成しなかった。このセル試料を、大気雰囲気の赤外線ランプ式電気炉において、700℃まで5分の条件で昇温し、炉冷によって20分で冷却する熱サイクル試験(連続100回)を行った。
試験終了後、セル試料における剥離の発生の有無を、目視及び顕微鏡観察により評価した。
D.結果
FE−SEM画像において、電解質層15と緻密層132との間に形成された中間層131が観察された(図2参照)。また、中間層131は、棒状粒子Qによって構成されていることが確認された(図3参照)。画像ソフトで得られた棒状粒子Qのアスペクト比(長径s/短径t)は、2以上8以下であった。
また、中間層131には複数の気孔Pが観察された(図3参照)。気孔Pの長径は、0.05μm〜1μmであり、その平均値は0.3μmであった。
また、20個の視野において中間層131に含まれる気孔の数を計測したところ、第1面131aに平行な方向における10μm長さ当たりの気孔の数の平均値は、4個であった。中間層131における気孔率の平均値は、10%であった。
一方で、緻密層132及び電解質層15には、気孔はほとんど見られなかった。緻密層132の気孔率は2%であり、電解質層15の気孔率は0.2%であった。
つまり、中間層131には気孔が見られるが、緻密層132は中間層131よりも緻密であった。このような緻密層132は、低い電気抵抗及び優れたバリア機能を有する。
また、中間層131は、電解質層15に含まれる成分の濃度勾配、特にZrOの濃度勾配を有した。中間層131において、ZrOの濃度は、第2面131bから第1面131aにかけて、ほぼ単純に増加した。
20個の視野において、中間層131の厚みは1.0〜1.5μmであり、中間層131の厚みの平均値は1.2μmであった。
以上のようなセル試料では、熱サイクル試験の結果、バリア層13の電解質層15からの剥離は見られなかった。すなわち、中間層131と電解質層15との良好な接合が保たれていた。これは、棒状粒子Qによって構成される中間層131において熱応力を緩和することができたためである。
以上で述べた結果は、上述の製造条件により得られたセル試料のうちの1つに関するものであるが、他のセル試料についても同様の結果が得られた。
1 燃料電池セル
10 燃料電池
11 燃料極
13 バリア層
131 中間層
132 緻密層
14 空気極
15 電解質層
16 中間層
4 集電部材
41 導電接続部

Claims (14)

  1. 燃料極と、
    空気極と、
    ジルコニウムを含み、前記燃料極と前記空気極との間に設けられた電解質層と、
    前記電解質層と前記空気極との間に設けられたバリア層と、
    を備え、
    前記バリア層は、前記電解質層と接する中間層を有し、
    前記中間層は、長径の短径に対するアスペクト比が2以上である棒状粒子によって構成され
    前記棒状粒子は、ジルコニウム及びセリウムを含有している、
    燃料電池セル。
  2. 前記棒状粒子のアスペクト比は、8以下である、
    請求項1に記載の燃料電池セル。
  3. 前記棒状粒子の長径は、0.8μm以上2.5μm以下である、
    請求項1又は2に記載の燃料電池セル。
  4. 前記棒状粒子の短径は、0.3μm以上1.0μm以下である、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池セル。
  5. 前記棒状粒子は、湾曲又は屈曲した外形を有する、
    請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池セル。
  6. 前記バリア層は、前記空気極と接する緻密層を有し、
    前記緻密層は、前記中間層上に形成されており、
    前記中間層の気孔率は、前記緻密層の気孔率よりも高く、
    前記中間層の膜厚は、1.0μm以上5.0μm以下である、
    請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料電池セル。
  7. 前記電解質層は、平均粒径が1.0μm以上3.5μm以下であるYSZによって構成されている、
    請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池セル。
  8. 前記バリア層は、前記空気極と接する緻密層を有し、
    前記緻密層は、平均粒径が0.7μm以上2.8μm以下であるGDCによって構成されている、
    請求項1乃至7のいずれかに記載の燃料電池セル。
  9. 前記バリア層は、前記空気極と接する緻密層を有し、
    前記中間層の気孔率は、前記緻密層の気孔率よりも高い、
    請求項1乃至8のいずれかに記載の燃料電池セル。
  10. 前記中間層の気孔率は、1%以上15%以下である、
    請求項9に記載の燃料電池セル。
  11. 前記中間層は、閉気孔を含む、
    請求項9又は10に記載の燃料電池セル。
  12. 前記中間層に含まれる気孔の長径は、1.0μm以下である、
    請求項9乃至11のいずれかに記載の燃料電池セル。
  13. 前記緻密層の気孔率は、10%以下である、
    請求項9乃至12のいずれかに記載の燃料電池セル。
  14. 前記電解質層及び前記バリア層は、共焼成されている、
    請求項1乃至13のいずれかに記載の燃料電池セル。
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