JP4018377B2 - 固体電解質型燃料電池及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平板型固体電解質の両側に燃料極及び空気極を有し、固体電解質の電極界面に反応防止層を導入した平板型の固体電解質型燃料電池及びその製造方法に関するものである。更に詳しくは、固体電解質と各電極との反応を有効に防止する反応防止層を用いた内部抵抗が低い固体電解質型燃料電池及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体電解質型燃料電池(以下、燃料電池と略す)を作製する際、ジルコニア系電解質と空気極材料との反応性が高いため、電極焼付け時に固体電解質と電極との界面において高抵抗の反応相が生成し燃料電池全体の内部抵抗が増加し、燃料電池の出力低下を招く問題があった。また、ランタンガレード系電解質と燃料極材料及び空気極材料との反応性も高いため、同様に固体電解質と各電極との界面に反応相が生成して燃料電池の出力低下を招く問題があった。
その問題に対し、酸化セリウムを主成分とした反応防止層用グリーンシートを焼成済の固体電解質上に焼成し、更に各電極を焼成することで、反応を防止する検討がH.Uchida,S.Arisaka,and M.Watanabe,Solid State Ionics,135,347(2000)及びH.Uchida,S.Arisaka,and M.Watanabe,Erectrochem.Solid-State.Lett.,2,428(1999)等でなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記文献の反応防止層の組織には所々に気孔があるため、この気孔を介して電極材料と固体電解質とが直接接触して反応し、この部分で反応相が生成する恐れがある。また、一般に反応防止層は電気抵抗が小さい、即ち、酸素イオン導電性が高いものが求められるため、粒子同士が繋がった緻密なものが好ましい。このため、ジルコニア系電解質の表面に酸化セリウムを主成分とする反応防止層を形成する際、焼付け温度を高くして反応防止層を緻密化することが行われる。しかし、無闇に焼付け温度を高くすると電解質と反応防止層との反応により、イオン導電性の低下を招く恐れがある。
【0004】
また、固体電解質を焼成した後に、その表面に反応防止層を焼き付けると言う工程は、二工程の焼成工程となるため、焼成に伴うコストが増大する。
本発明は、上記問題点を解決するものであり、固体電解質と各電極との反応を効果的に防止する反応防止層を用いた内部抵抗が低い固体電解質型燃料電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の固体電解質型燃料電池は、平板状の固体電解質と、該固体電解質の一方の面に設けられた燃料極と、上記固体電解質の他方の面に設けられた空気極と、上記固体電解質と上記燃料極及び上記空気極の少なくとも一方との間に設けられ、気孔率が25%以下のCe1−xLnxO2−δである反応防止層と、を備え、該反応防止層はGa元素を含み、該Ga元素の含有量は酸化物換算で0.05〜1.5mol%であり、該固体電解質の厚さが該反応防止層の10倍以上であることを特徴とする。
また、Lnは希土類元素であり、xの範囲は0.05≦x≦0.3である。尚、δは酸素欠損量である。
【0006】
更に、上記反応防止層の厚さは1〜20μmとすることができる。
また、上記固体電解質はLn2O3(ただし、Lnは希土類元素)で安定化したジルコニア(ZrO2)、又はSr及びMgの少なくとも一方をドープしたランタンガレード(LaGaO3)とすることができる。
【0007】
固体電解質型燃料電池の製造方法は、固体電解質用グリーンシートの表面上に反応防止層用グリーンシートを積層した積層体を形成し、その後該積層体を、該固体電解質用グリーンシートを単独焼成した場合の収縮率が、該反応防止層用グリーンシートを単独焼成した場合の収縮率より小さくなる条件で、且つ焼成温度1250〜1550℃で同時に焼成して、気孔率が25%以下のCe 1−x Ln x O 2−δ である反応防止層を形成し、該反応防止層を形成した固体電解質に燃料極を設けることを特徴とする。
また、上記反応防止層用グリーンシートの原料粉末の平均粒径が0.3〜3μmとすることができる。
【0008】
【発明の効果】
本発明の固体電解質型燃料電池によれば、25%以下の気孔率となる緻密な反応防止層を用いることにより、燃料極及び空気極の少なくとも一方と固体電解質との間の反応を有効に防止し、内部抵抗が小さい固体電解質型燃料電池とすることができる。特に、反応防止層をCe1−xLnxO2−δにより構成することで、イオン導電性が高く、しかも固体電解質と各電極との反応性を低くすることができる。また、Ga元素を所定割合で含有させることで、緻密化した反応防止層を容易に得ることができる。更に、上記固体電解質の厚さを上記反応防止層の10倍以上とすることで、反応防止層と固体電解質との焼結時の収縮率の違いによる固体電解質型燃料電池の反りを防止することができる。
【0009】
また、上記反応防止層の厚さを1〜20μmとすることで、固体電解質と反応防止層との反応を有効に防止でき、また電気抵抗が低いものとすることができる。
【0010】
本発明の固体電解質型燃料電池の製造方法によれば、固体電解質用グリーンシート及び反応防止層用グリーンシートを同時に焼成することにより、固体電解質用グリーンシートの焼結時の収縮により、反応防止層用グリーンシートを強制的に収縮させ、反応防止層を緻密化でき、気孔率を制御することができる。特に、上記固体電解質用グリーンシートを単独で焼成した時の収縮率を、上記反応防止層用グリーンシートを単独で焼成した時の収縮率よりも小さいものとすることで、反応防止層用グリーンシートの収縮率を小さくし、より緻密化することができる。更に、上記固体電解質用グリーンシート及び上記反応防止層用グリーンシートを所定範囲の焼成温度で同時に焼成することにより、反応防止層を緻密化しつつ、固体電解質と反応防止層との反応を防止することができる。
また、上記反応防止層の原料粉末の平均粒径を限定することにより、固体電解質と反応防止層との反応を防止し、気孔率も制御することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下に詳細に説明する。
上記本発明の固体電解質型燃料電池は、各電極材料と固体電解質とが直接接触して反応を起こすことを防止するために導入する反応防止層について、低電気抵抗とすることを目的とし反応防止層の気孔率を所定の割合未満とし、反応防止層を緻密にしたことが特徴である。本発明者らがこの気孔率について、種々の方法で制御した結果、特に気孔率が25%以下(好ましくは24%以下、更に好ましくは23%以下)である場合には、各電極と固体電解質との反応を有効に防止することができることがわかった。また、反応防止層の粒界における電気抵抗も小さくなり、気孔率が25%を超えるものに比べて、性能向上が明確となる。
上記「気孔率」は、上記「反応防止層」の断面を撮影し、その撮影物全体に対した気孔が占める面積の比率とする。また、気孔率を25%以内とするのは、25%を超えるとものに比べて、出力密度の性能向上が明確となるためである。
上記「Ce1−xLnxO2−δ」を構成するLnは、希土類元素、つまりSc及びY等からなる群から選ばれる少なくとも一種である。また、この希土類元素のうち、Sm及びGdが好ましい。更に、具体例としては、Ce0.8Sm0.2O1.9(以下SDCと表記)及びCe0.8Gd0.2O1.9(以下GDCと表記)を挙げることができる。
【0012】
また、上記反応防止層は、Ga元素を酸化物換算で0.05〜1.5mol%(好ましくは、0.1〜1mol%、更に好ましくは、0.3〜1mol%)含有する。Ga元素を含有することにより、反応防止層を緻密化しやすく、気孔率を低くすることができ、電気抵抗を更に小さくすることができる。更に、Ga元素の含有量が0.05mol%未満では、その効果が明確には認められない。一方、1.5mol%よりも多く添加すると、反応防止層の電気抵抗は逆に高くなる傾向にある。
尚、上記反応防止層は、イオン導電性を阻害せず、しかも上記反応を防止する効果を損なわない限り、他の目的で種々の成分や添加剤等を含んでいてもかまわない。
【0013】
次に、本発明の固体電解質型燃料電池は、上記固体電解質と上記燃料極及び/又は上記空気極との間に上記本発明の反応防止層を設けることにより、各電極と固体電解質との反応を有効に防止することができ、高抵抗の反応相の生成が抑制される。この結果、本発明の固体電解質型燃料電池は電気抵抗が極めて小さくなり性能が向上する。上記本発明の反応防止層は、上記固体電解質と上記空気極との間、及び上記固体電解質と上記燃料極との間のいずれか一方、あるいはその両方に設けることができる。特に反応が起こりやすい固体電解質の電極界面に設けることができる。
【0014】
上記反応防止層の厚さは1〜20μm(好ましくは、1〜10μm、更に好ましくは、1〜5μm、特に好ましくは2〜5μm)であることが好ましい。1μm未満であると、気孔によって表裏が連通し易くなり、その部分での固体電解質と各電極との反応が起こる傾向にあるため、好ましくない。また、反応防止層を固体電解質上に固定するための熱処理時に固体電解質と反応防止層との界面で反応が起こり、高抵抗の反応相を形成しやすいため好ましくない。一方、20μmを越えると、反応防止層中のイオン移動抵抗が大きくなる傾向にあるため、好ましくない。従って、反応防止層の厚さはできる限り薄くするのが好ましくい。
【0015】
上記固体電解質の厚さは上記反応防止層の10倍以上である。上記固体電解質の厚さが上記反応防止層の10倍以上であると、反応防止層と固体電解質との焼結時の収縮率の違いによる燃料電池の反りを防止することができる。即ち、固体電解質を反応防止層に比べて厚く構成することで、反応防止層の影響をほとんど受けずに燃料電池を焼成することができる。
【0016】
上記固体電解質としては、いずれの従来公知の固体電解質を用いてもよい。また、Ln(ただし、Lnは希土類元素)で安定化したジルコニア(ZrO2)、又はSr及びMgのうちのいずれか一方又は両方をドープしたランタンガレード(LaGaO3)、例えば、ジルコニア系酸化物、LaGaO3系酸化物、BaCeO3系酸化物等を挙げることができる。
これらは燃料電池用の固体電解質として安定して使用でき、イオン導電性が優れている材料であるためである。ジルコニア系電解質は、空気極との反応が起こりやすいため、固体電解質と空気極との界面へ上記本発明の反応防止層を導入することが好ましく、上記本発明の反応防止層を用いることで、燃料電池特性が有効に向上される。また、ランタンガレード系電解質は燃料極と固体電解質との界面及び空気極と固体電解質との界面の両方において構成元素の拡散が起こりやすいため、両方の界面へ反応防止層を導入することが好ましい。
【0017】
上記燃料極としては、いずれの従来公知の材料でも良いが、例えば、Au、Pd、Ni及びFe等の金属、又は前記金属とZrO2、CeO2、MnO2等の金属酸化物との混合物を挙げることができる。また、上記空気極としては、いずれの従来公知の材料でも良いが、例えば、白金、又は金属酸化物、例えば、酸化ランタン、酸化ストロンチウム、酸化セリウム、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化鉄又はこれらの組合せの複合酸化物等が挙げられる。
【0018】
更に、本発明の固体電解質型燃料電池の製造方法によれば、固体電解質用グリーンシートと反応防止層用グリーンシートとを同時に焼成することにより、固体電解質の焼結時の収縮により、反応防止層を強制的に収縮させ、反応防止層を緻密化でき、気孔率を制御することができる。その後、反応防止層を形成した固体電解質に、燃料極及び空気極を同時に、又は一方ずつ形成する。燃料極及び空気極を形成する順序は、いずれが先であってもよい。尚、上記各「グリーンシート」は、未焼成体の他、仮焼体も含めたシートとする。
【0019】
特に、上記固体電解質用グリーンシートを単独で焼成した場合の収縮率を、上記反応防止層を単独で焼成した場合の収縮率よりも小さいものとすることで、反応防止層をより収縮させて(収縮率を小さくし)、より緻密化することができる。
この「収縮率」は、該当する部位を単独で焼結し、グリーンシートの幅Xで焼結体の幅Yを割った値である。(収縮率=Y÷X)
収縮率の差は、いずれであってもよいが、効果的に収縮させ、かつ反りがないように、好ましくは固体電解質用グリーンシートの収縮率Aと反応防止層用グリーンシートの収縮率Bの比(A÷Bの値)が0.80〜0.98倍、より好ましくは0.85〜0.95倍程度とすることが好ましい。
【0020】
焼成方法としては、いずれの従来公知の方法を用いてもよいが、上記固体電解質及び上記反応防止層は、1250〜1550℃(好ましくは、1250〜1550℃、更に好ましくは1300〜1500℃、特に好ましくは1350〜1500℃)の焼成温度で同時に焼成することができる。1250℃未満であると、固体電解質及び反応防止層は十分に緻密化されることが困難であり、燃料電池として使用が困難である。また、1550℃を超えると、固体電解質と反応防止層との界面において焼結時に反応が起こり、高抵抗の反応相ができてしまい、燃料電池性能が低下する傾向にある。
【0021】
また、上記反応防止層の原料粉末の平均粒径は、0.3〜3μm(好ましくは、0.5〜2.5μm、更に好ましくは0.5〜1.5μm)が好ましい。反応防止層の原材料の平均粒径が0.3μm未満であると、固体電解質と反応防止層との界面において焼結時に反応が起こりやすく、高抵抗の反応相の生成により燃料電池の性能が低下する傾向にある。
一方、該平均粒径が3μmを超えると、固体電解質成形体もしくは仮焼体上に反応防止層用グリーンシートを形成する際に、反応防止層成形体の粉末充填密度が低くなってしまい、同時焼成をしても反応防止層中に気孔が残りやすく、気孔率を制御することが困難である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
1.試料の作製
固体電解質としてイットリア安定化ジルコニア(8mol%Y2O3−92mol%ZrO2、以下8YSZと略称する)を、反応防止層としてサマリアをドープしたセリア(Sm0.2Ce0.8O1.9、以下SDCと略称する)を用い、各試験を行った。
また、YSZの粉末を円板状に成形し、冷間静水圧プレス(CIP)にて1500kg/cm2の圧力を加え、成形体基板を得た。
更に、反応防止層材料のSDCは、酸化サマリウム、酸化セリウムを所定量エタノール中で混合後、1400℃で6時間の仮焼をし、SDC粉末を得た。その後、エタノール中で粉砕し、粒径を制御した粉末を得てペースト化した。
YSZの成形体上にSDCペーストをスクリーン印刷し、以下の表1に示す温度で同時焼成し、試料を得た。
尚、今回は固相法により得た粉末にて実施例を示すが、共沈法により得たSDC粉末でも同様の効果があることを確認している。
【0023】
2.参考例1
(1)測定方法
本参考例1では、以下[1]〜[4]に示す測定を行った。その詳細を次に示す。
[1]反応防止層の厚さ測定、気孔率測定
反応防止層の厚さ、及び反応防止層の気孔率については、電界放出電子顕微鏡(以下、FE−SEMと略称する)により得られた写真から測定した。得られた円板状試料を半分に切断し、エポキシ系樹脂を用いて埋め込んだ後、断面が見られるように鏡面状に研磨した。鏡面状に研磨した断面について、FE−SEMにて500倍の視野で写真を取得し、反応防止層の厚さを写真上の寸法から求めた。
また、反応防止層の気孔率については、FE−SEMを用い画像の短辺幅が反応防止層の厚さの80%に相当する視野で画像全体が反応防止層の組織となるようSEM写真を得た後、得られた電子顕微鏡の気孔部を白、SDC組織部を黒に着色し、コンピューター上の画像解析ソフトウェアで気孔部(白部)の面積比率を求め、その割合を気孔率とした。
【0024】
[2]平均粒径測定
ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に粉末を分散し、レーザー回析式粒度分布測定装置にて粒度分布を測定した。その結果から得られた平均粒径を測定結果として示した。
[3]固体電解質用グリーンシートの収縮率、及び反応防止層用グリーンシートの収縮率
固体電解質用グリーンシートの収縮率、及び反応防止層用グリーンシートの収縮率単独の収縮率は、以下の計算式から求めた。
(収縮率)=(焼結体の直径)÷(グリーンシートの直径)
【0025】
[4]電気特性評価
「1.試料の作製」の手順で作製した試料を0.5mm厚とし、反応防止層の無い面に対極として多孔質な白金電極を焼付け、他方の面にLa0.6Sr0.4CoO3- δ(以下、LSCと略称する)を空気極として焼付け、更に試料の反応防止層のある面で電解質に直接固定できる部分に参照電極を取り出した。ここで、対極、空気極の電極面積は0.785cm2であり、800℃大気圧下で電流200mAを対極−空気極間に印加し、その時降下する参照極−空気極間の電圧変化を測定した。本評価法は、固体電解質型燃料電池のハーフセルによる評価であるが、この方法で、空気極側に形成した反応防止層の性能向上による燃料電池の評価は、十分可能である。
【0026】
(2)測定結果
固体電解質(8YSZ)及び反応防止層(SDC)を同時焼成して得た試料について、気孔率及び電気特性の評価を上記[1]〜[4]に示す手法により行った結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1の結果から、気孔率が25%を超える比較例となる試料1、6、7及び14は、電気特性に劣ることが分かる。試料1は、1200℃で同時焼成したものであるが、反応防止層の気孔率が32%で十分に緻密化できておらず、それに伴い、電圧降下が大きく、電気抵抗が大きいことが分かった。
試料5は、焼成温度を1600℃で同時焼成し作製した試料で、気孔率は3%と非常に小さくなっているものの、直流法による電気特性評価の結果、電圧降下が非常に大きく、電気抵抗が大きいことが分かった。試料5について、エネルギー分散型X線検出器(以下、EDSと略称する)で固体電解質と反応防止層との界面を調査したところ、高抵抗の反応相ができていることが確認された。このことから、最適な同時焼成温度が1250〜1550℃であることが分かった。
試料6は、固体電解質焼結体上に反応防止層としてSDCを焼き付けて2回焼成により得られた試料であるが、気孔率が36%で十分に緻密化できておらず、それに伴って電圧降下が大きくなり、電気抵抗が大きいことが分かった。
【0029】
試料7〜9は、固体電解質の厚さによる燃料電池セル作製への影響を調査した結果である。その結果、試料7は、固体電解質が反応防止層に比べて薄いため(100:15)に、燃料電池セルに反りが発生した。固体電解質の厚さが薄くなるにつれ、反応防止層に加わる強制的に収縮させる応力は小さくなる傾向が見られ、反応防止層の気孔率も十分得られないことが分かった。このため、試料7においては、気孔率が28%で、電気抵抗が良好でなかった。試料8(200:15)及び試料9(300:15)については、良好な結果が得られた。したがって、固体電解質の厚さは、反応防止層に比べて10倍以上であることが最適である。
【0030】
試料10は、反応防止層の厚さを25μmと厚くしたために、十分収縮できず、同時焼成を行ったにもかかわらず、2回焼成した従来法の試料6と同程度の電気特性しか得られないことが分かった。このため、反応防止層の厚さは、20μm以下が最適であることがわかる。
試料11〜14は、反応防止層SDC粉末の平均粒径を検討した結果である。その結果から、試料11において、0.3μm未満の平均粒径の粉末を用いると、気孔率が4%と緻密になるが、電気特性は電圧降下が大きく、性能が劣っていることが分かった。この原因をEDSを用いて固体電解質−反応防止層界面を調査したところ、高抵抗の反応相ができていることが確認された。
また、試料14については、3μmを超える平均粒径であるため、気孔率が42%となった。反応防止層用グリーンシート形成時における粉末充填密度が低かったことが原因と考えられる。このため、反応防止層SDC粉末の平均粒径は、0.3〜3μmが最適である。
【0031】
また、上記試料1〜14においては、全てにおいて、固体電解質であるYSZの収縮率が、反応防止層であるSDCの収縮率よりも小さくなっている。このため、他の条件が良好である試料では、同時焼成により、有効に収縮・緻密化した反応防止層が得られ、気孔率が制御されている。
【0032】
3.実施例1
ガリウムの添加量をxmol%とし、Ce0.8Sm( 0.2-0.01x )Ga0.01xO2- δの組成となるように反応防止層粉末を合成し、その添加量による特性の変化を調査した。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2の結果から、Gaの添加量が0.05mol%以上の領域では、気孔率が減少する傾向が確認され、電気特性もそれに伴い、電圧降下が小さくなることが確認された。2mol%以上のGaを添加した試料について気孔率は小さいままであるが、電圧降下量が大きくなることを確認した。したがって、0.1〜1mol%のGaを添加することによって、反応防止層焼結時の収縮が向上し、更に良好な特性が得られることを確認した。
【0035】
4.参考例2
固体電解質をLa0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O2.85(LSGM)として参考例1と同様の実験を行った。その結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
表3から、同様な条件下におけるYSZを電解質とした参考例1と比較して、気孔率、電圧降下ともに、同等の性能もしくは若干の向上をしている結果が得られた。この結果より、緻密な反応防止層をLSGM上に形成する際にも、同時焼成による形成は有効であることが確認された。LSGMを固体電解質とした場合、燃料極側、空気極側両方への反応防止層の適用が考えられ、良好な電気特性を持つ反応防止層を使用することで、燃料電池性能が向上する。
【0038】
尚、本発明においては、上記実施例に限らず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、固体電解質は実施例及び参考例のYSZ及びLSGMに限らず、種々の固体電解質として公知の酸化物を使用することができる。また、反応防止層の種類も上記実施例のSDCに限られず、種々のセリア化合物等を使用することができる。
Claims (5)
- 平板状の固体電解質と、該固体電解質の一方の面に設けられた燃料極と、上記固体電解質の他方の面に設けられた空気極と、上記固体電解質と上記燃料極及び上記空気極の少なくとも一方との間に設けられ、気孔率が25%以下のCe1−xLnxO2−δである反応防止層と、を備え、該反応防止層はGa元素を含み、該Ga元素の含有量は酸化物換算で0.05〜1.5mol%であり、該固体電解質の厚さが該反応防止層の10倍以上であることを特徴とする固体電解質型燃料電池。
ただし、Lnは希土類元素であり、xの範囲は0.05≦x≦0.3である。 - 上記反応防止層の厚さが1〜20μmである請求項1に記載の固体電解質型燃料電池。
- 上記固体電解質がLn2O3(ただし、Lnは希土類元素)で安定化したジルコニア(ZrO2)、又はSr及びMgの少なくとも一方をドープしたランタンガレード(LaGaO3)である請求項1又は2に記載の固体電解質型燃料電池。
- 請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の固体電解質型燃料電池の製造方法であって、固体電解質用グリーンシートの表面上に反応防止層用グリーンシートを積層した積層体を形成し、その後該積層体を、該固体電解質用グリーンシートを単独焼成した場合の収縮率が、該反応防止層用グリーンシートを単独焼成した場合の収縮率より小さくなる条件で、且つ焼成温度1250〜1550℃で同時に焼成して、気孔率が25%以下のCe 1−x Ln x O 2−δ である反応防止層を形成し、該反応防止層を形成した固体電解質に燃料極を設けることを特徴とする固体電解質型燃料電池の製造方法。
- 上記反応防止層用グリーンシートの原料粉末の平均粒径が0.3〜3μmである請求項4に記載の固体電解質型燃料電池の製造方法。
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