JP2013040578A - 2サイクルエンジン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】排気ポート6と掃気ポート9との間においてシリンダ2の内部にガス燃料を噴射する第1燃料噴射ポート13と、排気ポート6と掃気ポート9との間において摺動面2aに潤滑油を供給する潤滑油供給ポート12と、排気ポート6からシリンダ2の内部の排気ガスの排気が完了する前に、第1燃料噴射ポート13からのガス燃料の噴射を開始させると共に、少なくとも長さ方向一端側へ向うピストン3が潤滑油供給ポート12を通過するまで、潤滑油供給ポート12からの潤滑油の供給を停止させるよう制御する制御装置15と、を有するユニフロー型2サイクルエンジンを採用する。
【選択図】図1
Description
この構成を採用することによって、本発明では、シリンダの内部における排気ガスの排気が完了する前の低圧状態で、ガス燃料の噴射を開始させる。これにより、従来よりも低圧で、ガス燃料を燃焼室内に噴射することができる。また、本発明では、圧縮行程中、少なくとも長さ方向一端側に向うピストンが潤滑油供給ポートを通過するまで、潤滑油の供給を停止させる。これにより、燃焼室内に掻き揚げられる潤滑油の量が低減され、過早着火が防止される。
この構成を採用することによって、本発明では、シリンダの内部における排気ガスの排気が完了する前の低圧状態でガス燃料を燃焼室内に噴射し、且つ、燃焼室内に掻き揚げられる潤滑油の量を低減して過早着火を防止できる第1燃焼モードと、シリンダの内部における排気ガスの排気が完了した後に、ガス燃料と異なり過早着火の虞が殆どない液体燃料を燃焼室内に噴射し、且つ、燃焼室内に潤滑油を積極的に掻き揚げさせる第2燃焼モードと、を切り替え可能なデュアルフューエル方式を採用することで、効率の良い運転が可能となる。
この構成を採用することによって、本発明では、第2燃焼モードのときに、ピストンの潤滑性を得ると共に、液体燃料に含まれる硫黄成分によるライナ摺動面の硫酸腐食を防止することができる。
図1は、本発明の実施形態における2サイクルエンジンの全体構成を示す図である。
本実施形態の2サイクルエンジンは、例えば船舶等に設けられる大型のユニフロー型2サイクルエンジンであり、燃料として、LNG(液化天然ガス)をガス化したガス燃料と、軽油や重油等(ディーゼル燃料)の液体燃料とを用いるデュアルフューエル(2元燃料)方式を採用している。
第2燃焼モードは、排気ポート6からシリンダ2の内部の排気ガスの排気が完了した後に、第2燃料噴射ポート5から液体燃料を噴射させると共に、少なくともシリンダ2の長さ方向一端側へ向うピストン3が潤滑油供給ポート12を通過するまでの間に、潤滑油供給ポート12から潤滑油を供給させる燃焼モードである。
図2は、本発明の実施形態における第1燃焼モードにおける燃料噴射動作を説明するための図である。図3は、本発明の実施形態における第1燃焼モードのクランク角度と各ポートの開放度(リフト量、開口面積等)との対応関係を示すグラフである。なお、図2中、符号Aは、排気ガス層を示し、符号Bは、吸入新気層を示し、符号Cは、ガス燃料と空気が混合した予混合気層を示す。
図2(a)から、さらにピストン3が下がり、クランク角度が所定角度に達すると、制御装置15によって排気弁駆動装置8が駆動し、排気弁7が下がり、排気ポート6が開放される(ステップS1:図2(b)及び図3参照)。
吸気は、排気ポート6及び掃気ポート9が開いたステップS2から開始される。そして、掃気ポート9からシリンダ2の内部に吸入された吸入新気層Bは、排気ガス層Aを押し上げつつ、シリンダ2の内部を下方から上方に向けて満たして行く。
この時、排気ポート6及び掃気ポート9が開放されて排気中であるため、シリンダ2の内部は、低圧である。したがって、第1燃料噴射ポート13からは、圧縮中における圧力よりも低圧で、ガス燃料をシリンダ2の内部に噴射することができる。このため、高出力の昇圧装置を設けずとも、ガス燃料を燃焼室内に噴射することが可能となる。
図2(f)から、さらにピストン3が上がり、クランク角度が所定角度に達すると、開放されていた掃気ポート9がピストン3により閉塞される(ステップS3:図2(g)及び図3参照)。この時、排気ポート6は、未だ閉塞されていないので、低圧での燃料噴射は継続される。
その後、ピストン3が上死点まで達し、予混合気層Cが圧縮されると、着火が行われ、燃焼により生じた排気ガスが、ピストン3を押し下げて、図2(a)の状態に戻る。
以上により、エンジンの1サイクルにおける燃料噴射動作が終了する。
第1燃焼モードでは、ガス燃料による燃焼が行われるため、先ず、制御装置15は、電動切り替え弁22を駆動させ、潤滑油導入配管21とガス燃料用潤滑油タンク23とを接続させる。これにより、ガス燃料用潤滑油タンク23から注油器20に潤滑油が導入される。
具体的に、制御装置15は、ロータリエンコーダ17からのクランク角度信号に基づいて、少なくともピストン3が下死点に達した後であってそこから上死点へ向う上昇行程中、その最下段のピストンリング3aが潤滑油供給ポート12を通過するまで、注油器20の駆動を停止させて、潤滑油の供給を停止させる。
したがって、第1燃焼モードでは、高い圧力をかけずにシリンダ2の内部にガス燃料を直噴でき、且つ、過早着火を防止することができる。
図4は、本発明の実施形態における第2燃焼モードの潤滑油供給動作を説明するための図である。
具体的に、制御装置15は、ロータリエンコーダ17からのクランク角度信号に基づいて、少なくともピストン3が下死点に達した後であってそこから上死点へ向う上昇行程中、その最上段のピストンリング3aが潤滑油供給ポート12を通過する直前(図4参照)から、その最下段のピストンリング3aが潤滑油供給ポート12を通過するまでの間に、注油器20を駆動させて、潤滑油を供給させる。
ちなみに、ガス燃料として、LNGを使用する場合、硫黄成分は殆ど含まれていないので硫酸腐食の心配はない。したがって、第1燃焼モードでは、硫酸中和剤が添加されていない潤滑油を使用することができる。
したがって、本実施形態によれば、高い圧力をかけずにシリンダ2の内部にガス燃料を直噴でき、且つ、過早着火を防止することができるユニフロー型2サイクルエンジンが得られる。また、本実施形態によれば、第1燃焼モードによってNOx低減が可能な天然ガス(LNG)を燃料としたガス運転が可能となり、また、第2燃焼モードによって高効率のディーゼル運転が可能となるため、要求に応じた効率の良い運転が可能となる。
例えば、制御装置15が、掃気ポート9の開放度に基づいて、第1燃料噴射ポート13の開閉制御を行う構成であっても良いし、また、排気ポート6及び掃気ポート9の開放度に基づいて、第1燃料噴射ポート13の開閉制御を行う構成であっても良い。
また、排気ポート6及び掃気ポート9の開放度は、クランク角度に依存するので、制御装置15が、クランク角度に基づいて第1燃料噴射ポート13の開閉制御を行う構成であっても良い。
Claims (3)
- ピストンが摺動する摺動面を有するシリンダの長さ方向一端側において開閉する排気ポートと、
前記シリンダの長さ方向他端側において開閉する掃気ポートと、
前記排気ポートと前記掃気ポートとの間において前記シリンダの内部にガス燃料を噴射する燃料噴射ポートと、
前記排気ポートと前記掃気ポートとの間において前記摺動面に潤滑油を供給する潤滑油供給ポートと、
前記排気ポートから前記シリンダの内部の排気ガスの排気が完了する前に、前記燃料噴射ポートからのガス燃料の噴射を開始させると共に、少なくとも前記長さ方向一端側へ向う前記ピストンが前記潤滑油供給ポートを通過するまで、前記潤滑油供給ポートからの潤滑油の供給を停止させるよう制御する制御装置と、を有することを特徴とする2サイクルエンジン。 - 前記シリンダの長さ方向一端側において前記シリンダの内部に液体燃料を噴射する第2燃料噴射ポートを有しており、
前記制御装置は、前記シリンダの内部に供給する燃料の種類に応じて、
前記排気ポートから前記シリンダの内部の排気ガスの排気が完了する前に、前記燃料噴射ポートからのガス燃料の噴射を開始させると共に、少なくとも前記長さ方向一端側へ向う前記ピストンが前記潤滑油供給ポートを通過するまで、前記潤滑油供給ポートからの潤滑油の供給を停止させる第1燃焼モードと、
前記排気ポートから前記シリンダの内部の排気ガスの排気が完了した後に、前記第2燃料噴射ポートから液体燃料を噴射させると共に、少なくとも前記長さ方向一端側へ向う前記ピストンが前記潤滑油供給ポートを通過するまでの間に、前記潤滑油供給ポートから潤滑油を供給させる第2燃焼モードと、に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の2サイクルエンジン。 - 前記液体燃料は、硫黄成分を含んでおり、
前記第2燃焼モードでは、前記潤滑油を、前記硫黄成分を中和する中和剤が添加された第2潤滑油に切り替えることを特徴とする請求項2に記載の2サイクルエンジン。
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