JP2013040361A - 熱交換器用アルミニウム合金製パイプ部材 - Google Patents
熱交換器用アルミニウム合金製パイプ部材 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】Si:0.7〜1.2質量%、Mn:0.8〜1.7質量%、残部がAl及び不可避不純物からなることを特徴とする、熱交換器に用いられるアルミニウム合金製パイプ部材であり、Fe:0.3質量%以下、Cu:0.05質量%以下、Mg:0.05質量%以下、Cr:0.05質量%以下、Zn:0.10質量%以下、Ti:0.05質量%以下であるとよい。
【選択図】 なし
Description
特許文献1には、コンデンサの一部を構成するヘッダパイプに結合ブラケットを介して結合されたリキッドタンクが示されている。
このリキッドタンクは高圧の冷媒が内部に入るため、高強度の材料であることが求められる。また、使用中の腐食による耐圧強度低下や冷媒漏れを防ぐために、優れた耐食性も求められている。
このようなパイプ部材において、環境問題対策から部材の更なる薄肉化や、より長い耐食寿命が求められているが、一般的に使用されているJIS3003合金を用いた押出パイプでは、それら要求特性を十分に満足することができず、ウエルドラインが優先的に腐食する傾向にある。
このため、Cuは強度向上のためには有効であるものの、その含有量が多いと耐食性を損なうことになる。
そこで、本発明は、Cuを主成分としては用いないこととし、強度向上とウエルドラインの優先腐食防止との両方の特性をともに満足させるために、以下の解決手段とした。
すなわち、本発明の熱交換器用アルミニウム合金製パイプ部材は、Si:0.7〜1.2質量%、Mn:0.8〜1.7質量%、残部がAl及び不可避不純物からなることを特徴とする。
このように、Si、Mnを必須成分として上記の範囲の量で含有することにより、強度と耐食性とを向上させ、薄肉化と長い耐食寿命とを達成することができる。
この熱交換器用アルミニウム合金製パイプ部材は、Si:0.7〜1.2質量%、Mn:0.8〜1.7質量%、残部がAl及び不可避不純物から構成される。
Siは、アルミニウム中に固溶して強度及び耐食性を向上させる。また、Siを含有させると、アルミニウム合金の融点を低下させる効果があり、押出時にポート穴で分断されて再び合流する際の溶着性が高められ、ウエルドラインを一体化させることができる。このため、ウエルドラインの優先的な腐食を防止することができる。さらに、Al−Si系金属間化合物を生成して、これが再結晶の起点となり、結晶粒径を微細にすることで成形性を向上させる効果がある。しかしながら、Siの含有量が多くなり過ぎると、押出ダイスからのピックアップ発生により押出加工性が低下する。このため、Siの含有量は0.7〜1.2質量%とする。
Mnは、適切な量含有することにより、耐食性を低下させることなく、アルミニウムへの固溶強化とAl−Mn金属間化合物の析出強化とにより強度を向上させることができる。また、Mnの添加は組織をファイバー状にし易く、大きな強度を得ることができる。また、SiとMnを同時に添加することで、微細なAl−Mn−Si系金属間化合物が形成されるので、強度向上に有利である。その含有量が0.8質量%未満では十分な効果が得られない。しかし、1.7質量%を超えて多く含有し過ぎると、粗大なAl−Mn化合物が多数生成され、高温での変形抵抗が高くなって押出加工性が低下する。このため、Mnの含有量を0.8〜1.7質量%とする。
Fe、Mg、Cr、Zn、Tiの成分は、いずれも耐食性向上のために若干量であれば含まれていてもよい。しかし、Feは多過ぎると、Al−Fe金属間化合物が多数生成され、腐食速度が増加して耐食性を低下させる。Znは多過ぎると、腐食速度が増加して耐食性を低下させる。Mg、Cr、Tiは多過ぎると押出加工性の低下によりウエルドラインでの優先腐食を招く。また、Cuは、強度向上には有効であるが、多過ぎると、粒界への析出量が多くなって粒界腐食が起こり易くなるとともに、ウエルドラインでの優先腐食が生じ、また、押出加工性も低下する。よって、それぞれ上記の含有量以下とする。
Si及びMnを所定量含有させたことにより、パイプ部材として必要な強度確保と押出加工に伴うウエルドラインでの優先腐食防止との両方の特性を満足するものとなり、薄肉化と長い耐食寿命とを達成することができる。
このパイプ部材に対して、表面品質、機械的特性、腐食深さをそれぞれ評価した。
表面品質は、パイプ部材を外観検査して、ピックアップの有無を確認した。
機械的特性としては、パイプ部材からJIS5号試験片を切り出して、JIS Z2241に規定する引張試験法にしたがって、引張強さを測定した。なお、引張り強さは、ろう付熱処理相当(600℃×3分)後のものである。
腐食深さは、ASTM G85規格のSWAATにて15日間暴露した後に断面を顕微鏡観察して腐食深さを測定した。
なお、比較例としてJIS3003合金により作製したパイプ部材についても評価した(No.16)。
これらの結果を表1に示す。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
Claims (2)
- Si:0.7〜1.2質量%、Mn:0.8〜1.7質量%、残部がAl及び不可避不純物からなることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金製パイプ部材。
- Fe:0.3質量%以下、Cu:0.05質量%以下、Mg:0.05質量%以下、Cr:0.05質量%以下、Zn:0.10質量%以下、Ti:0.05質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の熱交換器用アルミニウム合金製パイプ部材。
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