JP2013040151A - テトラフルオロエチレンの製造方法 - Google Patents

テトラフルオロエチレンの製造方法 Download PDF

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隆行 渡辺
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啓一 大西
Takashi Okazoe
隆 岡添
Akihira Sugiyama
明平 杉山
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【課題】多段階の工程を経ることなくTFEを得ることができ、かつ副生成物が少なく、環境に配慮したTFEの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、平均粒子径が50μm以下のCaF粉末とCとを、誘導結合型熱プラズマ中に同時に供給し、前記熱プラズマ中でフッ化炭素のラジカルを生成する工程と、前記ラジカルを急冷する工程とを有するTFEの製造方法を提供する。また、CaF粉末とC粉末とを、CaF粉末の単位時間当たりの供給量が、この供給量と前記C粉末の単位時間当たりの供給量との合計に対して9モル%〜35モル%の割合となるように、誘導結合型熱プラズマ中に同時に供給し、前記熱プラズマ中でフッ化炭素のラジカルを生成する工程と、前記ラジカルを急冷する工程とを有するTFEの製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、テトラフルオロエチレンの製造方法に関する。
従来から、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと示すことがある。)は、フッ化カルシウム(CaF)を原料とし、以下に示す多段プロセスで製造されている。
CaF+HSO→2HF+CaSO…………(1)
CHCl+2HF→CHClF+2HCl…………(2)
2CHClF→C+2HCl…………(3)
すなわち、まず工程(1)で、CaFと濃硫酸とを混合し加熱してフッ化水素を生成した後、得られたフッ化水素を工程(2)でクロロホルムと反応させ、クロロジフルオロメタンを得る。その後、工程(3)でクロロジフルオロメタンを熱分解して、TFEを得ている。
このような従来の方法では、多段プロセスを用いているため、生産規模は大きくせざるを得ない。また、工程(2)では、地球温暖化ガスであるクロロジフルオロメタン(HCFC−22)を合成しているため、クロロフルオロカーボン(CFC)全廃やハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)排出規制といった地球環境に配慮した規制に沿うものではない。さらに、この方法では、処理または廃棄しなければならないHCl等の副生物が多量に生成する、という問題があった。
このような問題を解決するため、誘導結合型熱プラズマを利用したTFE合成方法が検討されている。そして、大気圧下でArやHeのプラズマによりCaFを炭素の存在下で処理することにより、以下の反応を生起させてTFEを合成する方法が提案されている。
2CaF+2C→2Ca+2CF→2Ca+C
(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)
しかしながら、特許文献1および特許文献2においては、TFE生成の効率などの観点から、原料であるCaFとしてどのような粒径のものが最適であるか、という検討がなされていない。また、CaFと炭素との供給比率などの検討も行われていない。したがって、特許文献1および特許文献2に記載された方法を実施するだけでは、TFEの製造において十分な生産性を上げることができなかった。
USP5,684,218号 特表平11−502852号公報
本発明は、多段階の工程を経ることなくTFEを得ることができ、かつ副生成物が少なく、環境に配慮したTFEの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の発明は、平均粒子径が50μm以下のフッ化カルシウム粉末と、炭素粉末とを、誘導結合型熱プラズマ中に同時に供給し、前記熱プラズマ中でフッ化炭素のラジカルを生成する工程と、前記ラジカルを急冷する工程とを有することを特徴とするテトラフルオロエチレンの製造方法を提供する。
第2の発明は、フッ化カルシウム粉末と炭素粉末とを、前記フッ化カルシウム粉末の単位時間当たりの供給量が、該供給量と前記炭素粉末の単位時間当たりの供給量との合計量に対して9モル%〜35モル%の割合となるように、誘導結合型熱プラズマ中に同時に供給し、前記熱プラズマ中でフッ化炭素のラジカルを生成する工程と、前記ラジカルを急冷する工程とを有することを特徴とするテトラフルオロエチレンの製造方法を提供する。
第3の発明は、平均粒子径が50μm以下のフッ化カルシウム粉末と、炭素粉末とを、前記フッ化カルシウム粉末の単位時間当たりの供給量が、該供給量と前記炭素粉末の単位時間当たりの供給量との合計量に対して9モル%〜35モル%の割合となるように、誘導結合型熱プラズマ中に同時に供給し、前記熱プラズマ中でフッ化炭素のラジカルを生成する工程と、前記ラジカルを急冷する工程とを有することを特徴とするテトラフルオロエチレンの製造方法を提供する。
本発明によれば、フッ化カルシウム(CaF)粉末から多段階の工程を経ることなく、フッ素系樹脂等の原料として有用なTFEを製造することができる。また、この方法は、地球温暖ガスでありオゾン層破壊物質であるHCFC−22を使用することがなく、多量のHClを副生することもない、環境負荷の低いTFEの製造方法である。
CaF粉末の含有割合(モル%)とフッ素の選択率(Z)との関係を表すグラフである。 本発明の製造方法を実施するための製造装置の一例を示す図である。 (実施例1−1)で得られた熱プラズマの発光スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた固体生成物のXPS測定結果を示すグラフであり、(a)は(実施例1−2)の固体生成物のXPSスペクトルを、(b)は(実施例1−1)の固体生成物のXPSスペクトルを、(c)は(実施例1−3)の固体生成物のXPSスペクトルをそれぞれ示す。 実施例2で得られた固体生成物のXPS測定結果を示すグラフであり、(a)は(実施例2−1)の固体生成物のXPSスペクトルを、(b)は(実施例2−2)の固体生成物のXPSスペクトルを、(c)は(実施例2−3)の固体生成物のXPSスペクトルをそれぞれ示す。
以下、本発明に係るTFEの製造方法の実施形態について説明する。
本発明の第1の製造方法は、平均粒子径が50μm以下のCaF粉末と、グラファイト等の炭素粉末とを、誘導結合型熱プラズマ中に同時に供給し、この熱プラズマ中でフッ化炭素のラジカル(以下、C−Fラジカルと示すことがある。)を生成する工程と、得られたC−Fラジカルを急冷する工程を有する。
また、第2の製造方法は、CaF粉末と炭素粉末とを誘導結合型熱プラズマ中に同時に供給するにあたり、前記CaF粉末の単位時間当たりの供給量が、この供給量と前記炭素粉末の単位時間当たりの供給量との合計量に対して9モル%〜35モル%の割合になるように供給し、前記熱プラズマ中でC−Fラジカルを生成する工程と、得られたC−Fラジカルを急冷する工程とを有する。
さらに、第3の製造方法は、平均粒子径が50μm以下のCaF粉末と炭素粉末とを、前記CaF粉末の単位時間当たりの供給量が、この供給量と前記炭素粉末の単位時間当たりの供給量との合計量に対して9モル%〜35モル%の割合になるようにして、誘導結合型熱プラズマ中に同時に供給し、この熱プラズマ中でC−Fラジカルを生成する工程と、得られたC−Fラジカルを急冷する工程とを有する。
なお、本明細書において、CaF粉末と炭素粉末とを「同時に供給する」とは、反応場である熱プラズマ中にCaF粉末と炭素粉末とが同時に存在するように供給することを意味する。供給作業性、供給の均一性、反応効率等の点で、予めCaF粉末と炭素粉末とを混合した混合粉末を供給することが好ましいが、CaF粉末と炭素粉末とが熱プラズマ中に同時に存在するようなタイミングで供給すれば、別々に供給してもよい。
本発明の第1、第2および第3の製造方法においてはいずれも、誘導結合型熱プラズマ中で、CaFが熱分解し、その熱分解により遊離したFラジカルがCラジカルと直接反応してフッ化炭素ラジカル(C−Fラジカル)が生成する。そして、生成したC−Fラジカルを急冷することで、TFEを得ることができる。
なお、誘導結合型熱プラズマが作り出す反応場は、温度が10000Kに達するプラズマ火炎部と、プラズマ尾炎部を含むプラズマ下流部の2つに分けることができる。そして、プラズマ火炎部で、前記したC−Fラジカルの生成が行われる。そして、プラズマ尾炎部では、火炎温度の低下によって10〜10K/sの冷却速度で超急冷される。本発明においては、このようなプラズマ尾炎部を含むプラズマ下流部で急冷を行う。急冷は、プラズマ下流部に固体、液体、または気体を直接噴射する方法で行うこともできる。プラズマ尾炎部での超急冷により、有害な副生成物の生成を抑制することができる。
本発明においては、原料の一方の成分であるCaF粉末の平均粒子径を50μm以下にすることで、TFEを良好な生産性で製造することができ、副生成物も少なくなる。
CaF粉末の平均粒子径が50μmを超えると、熱プラズマ中でのCaF粒子の溶融および熱分解が不十分となり、熱プラズマ中で十分に処理されないため、TFEを得ることができない。CaF粉末の平均粒子径の好ましい範囲は、0.5μm〜50μmであり、より好ましい範囲は1μm〜20μmである。
CaF粉末とともに熱プラズマ中に供給される炭素粉末の平均粒子径も、50μm以下とすることが好ましい。さらに、後述するように、CaF粉末と炭素粉末との混合粉末を供給する場合には、混合粉末の組成を均一にするために、CaF粉末と炭素粉末の平均粒子径を同じ値とすることが好ましい。
なお、本明細書において、平均粒子径は、デジタルマイクロスコープ(例えば、VHX-1000;キーエンス社製)により測定された値である。
また本発明においては、CaF粉末の単位時間当たりの供給量を、この供給量と炭素粉末の単位時間当たりの供給量との合計量に対して9モル%〜35モル%の割合とすることで、副生成物を少なくし、TFEを良好な生産性で製造することができる。CaF粉末と炭素粉末との混合粉末を供給する場合には、CaF粉末を9モル%〜35モル%の割合で含有する混合粉末を使用することで、単位時間当たりの供給量のモル割合(以下、モル供給割合と示す。)を前記範囲とすることができる。
なお、CaF粉末の単位時間当たりのモル供給割合の好ましい範囲(9モル%〜35モル%)は、CaF粉末と炭素粉末との混合粉末を供給する態様において、原料である混合粉末中のCaF粉末の含有割合(モル%)(以下、CaFモル含有割合と示す。)と、以下に示すフッ素選択率(Z)との関係を表す図1のグラフから、求められたものである。
(Z)=FCF(g)/FCaF
CF(g);全生成物中で気体状態のフッ化炭素(CF(g))として存在するFの含有量(原子%)
CaF;全生成物中でCaFとして存在するFの含有量(原子%)
なお、FCF(g)およびFCaFは、気体生成物の組成、固体生成物の組成、供給された原料組成についての質量収支より計算された値である。
図1に示すグラフからわかるように、混合粉末中のCaFモル含有割合が9モル%〜35モル%のとき、十分な量のCF(g)が生成する。そして、後述するように、このCF(g)はTFEの前駆体であり、CF(g)は全てTFEになると考えられるので、(Z)の値は高いほど好ましい。そのような点から、混合粉末中のCaFモル含有割合は10モル%〜20モル%がより好ましく、16.7モル%が特に好ましい。なお、CaFモル含有割合10モル%〜20モル%は、図1のグラフにおいて(Z)の値が0.9〜1.2となる範囲である。また、CaFモル含有割合が16.7モル%のとき、(Z)の値が最大となる。
CaF粉末と炭素粉末とを予め混合することなく別々に熱プラズマ中に供給する場合においても、CaF粉末の単位時間当たりのモル供給割合のより好ましい範囲は、前記と同様に10モル%〜20モル%であり、16.7モル%が特に好ましい。
本発明におけるプラズマ火炎部での反応、およびプラズマ尾炎部を含むプラズマ下流部での反応について、さらに詳しく説明する。
誘導結合型熱プラズマが作り出すプラズマ火炎部、およびプラズマ下流部において、原料として同時に供給されたCaF粉末と炭素粉末は、以下に示す反応挙動を示すと考えられる。
前記したように、高温(例えば、10000K)のプラズマ火炎部では、CaFの熱分解により遊離したFラジカルがCラジカルと直接反応し、C−Fラジカが生成する。これは、後述する実施例で、CaF粉末と炭素粉末との混合粉末を誘導結合型熱プラズマで処理したときの発光スペクトルに、CFラジカルおよびCFラジカル由来のピークが見られることからわかる。
CaFは安定な物質であるために、熱分解してFを遊離させるためには、4000K以上に加熱する必要がある。4000Kより低温では、FとCの反応に比べてFとCaの再結合反応が起こりやすくなるため、CaFの熱分解およびC−Fラジカルの生成には、誘導結合型熱プラズマによって作られるプラズマ火炎部が好適している。そして、こうしてプラズマ火炎部で生成されたC−Fラジカルを含む原料処理物は、プラズマ下流部で急冷され、固体および気体の生成物を生じる。
こうして得られた固体生成物には、CF結合を持つ化合物(例えば、固体のフッ化炭素化合物)が含まれている。これは、後述する実施例で得られた固体生成物のX線光電子分光分析(XPS)の測定結果から明らかである。そして、このような固体生成物の生成は、プラズマ下流部で均一核生成したC固体粒子にFラジカルが反応して合成されたものであると考えられる。
また、前記した図1のグラフから明らかなように、原料である混合粉末中のCaFモル含有割合が9モル%〜35モル%の範囲にある本発明においては、Fを含有する気体生成物であるCF(g)が十分な量存在するので、気体のフッ化炭素化合物(以下、CFと示す。)が生成していることがわかる。そして、気体のCFの生成は、TFEの生成を意味するものである。
このように、本発明の第1、第2および第3の製造方法においてはいずれも、原料であるCaF粉末から多段階の工程を経ることなく、TFEを十分な生産性で得ることができる。また、この方法は、環境に有害なHCFC−22を排出するおそれがなく、また副生成物も少ないので、環境に配慮したTFEの製造方法として有用である。
次に、本発明の製造方法を実施するための装置について、説明する。
図2に示す製造装置10は、熱プラズマ発生部であるプラズマトーチ部1と、プラズマトーチ部1の下部に連接して設けられた反応管2と、プラズマトーチ部1にCaF粉末とC粉末との混合粉末を供給する原料供給管3を備えている。
プラズマトーチ部1は、トーチ本体部1aと、このトーチ本体部1aの内部に誘導的に熱プラズマを発生させるための高周波誘導コイル1bとを有する。トーチ本体部1aは、熱的保護のために、石英ガラス製の外管の内側に内管が配置された二重管を有し、外管と内管の間に冷却水が流通された構造となっている。そして、このようなトーチ本体部1aの内管は、CaFから解離したFによる腐食を防止するために、窒化ケイ素で構成されていることが好ましい。
原料供給管3は、下端部がトーチ本体部1aに開口するように配置されており、CaF粉末とC粉末との混合粉末3aをアルゴン(Ar)等のキャリアガス3bとともにトーチ本体部1aに供給する。
反応管2は、プラズマトーチ部1との連接部である上部に、プラズマ火炎1cの尾炎部が到達するように構成されている。また、反応管2の外周部には冷却用配管4が配設されており、これら全体がチャンバー外装部5内に収納されている。さらに、反応管2の中間部には、生成した気体やプラズマガスを外部に排出するためのガス排出管6が接続されている。そして、ガス排出管6の他端部にはガス回収部7が接続されている。
反応管2内において、カーボンファイバーからなる層(図示を省略する。)をプラズマ火炎1cの尾炎部の下方に設けることができる。このカーボンファイバーは、CaFの熱分解により遊離したCaと反応して、Caを捕捉する働きをする。また、カーボンファイバー上には、プラズマ下流部で生成するFを含む固体生成物が付着するので、カーボンファイバーの設置により固体生成物の回収および除去が容易になるという利点がある。しかし、前記した気体のCFの生成にカーボンファイバーが影響することはない。
すなわち、カーボンファイバーからなる層を設けた態様では、混合粉末中のCaFモル含有割合が高い(例えば、33.3モル%)場合、カーボンファイバー層より下方で、CaとFとの再結合が少なくなるため、FがCと反応しやすくなり、固体のフッ化炭素化合物の生成量が増大することがあるが、気体のCFの生成はカーボンファイバーがない場合と同様に行われる。
さらに、この製造装置10には、プラズマトーチ部1にArやヘリウム(He)のようなプラズマガスPを導入するためのプラズマガス導入管8が配設されている。なお、図2において、符号9aは、プラズマトーチ部1や反応管外周の冷却用配管4に冷却水Wを導入するための冷却水導入管を示し、符号9bは、冷却水Wを排出するための冷却水排出管を示す。
このような製造装置10を用いて本発明の製造方法を実施するには、冷却水Wの導入、高周波誘導コイル1bへの電流の供給、プラズマガスPの導入などを順に行い、プラズマトーチ部1に誘導的に熱プラズマを発生させた後、CaF粉末とC粉末との混合粉末3aをキャリアガス3bとともに原料供給管3を通してプラズマトーチ部1に供給する。
なお、CaF粉末とC粉末とは、必ずしも混合粉末3aとして供給する必要はなく、プラズマトーチ部1の熱プラズマ中に同時に存在するように供給すれば、別々の供給管を用いて別々に供給してもよい。しかし、供給作業性、供給の均一性、反応効率等の点で、予め混合した混合粉末3aを供給するのが好ましい。なお、混合粉末3aを供給する場合には、CaFから解離したFによりトーチ本体部1aの内管等の部材が腐食されるおそれがあるが、二重管の内管を窒化ケイ素で構成することで、腐食を防止することができる。
CaF粉末の平均粒子径は、前記したように50μm以下とする。平均粒子径の好ましい範囲は0.5μm〜50μmであり、より好ましい範囲は1μm〜20μmである。また、混合粉末3a中のCaFモル含有割合は9モル%〜35モル%とする。本発明においては、CaF粉末の平均粒子径を50μm以下とするか、あるいは、混合粉末3a中のCaFモル含有割合を9モル%〜35モル%とすることで、十分な量のTFEを得ることができるが、CaF粉末の平均粒子径を50μm以下とし、かつ混合粉末3a中のCaFモル含有割合を9モル%〜35モル%とするのがより好ましい。
プラズマトーチ部1に供給されたCaF粉末とC粉末との混合粉末3aは、トーチ本体部1aに形成された熱プラズマのプラズマ火炎1c中で、CaFの熱分解により遊離したFラジカルがCラジカルと直接反応してC−Fラジカルを生成する。C−Fラジカルの生成は、トーチ本体部1aに発生する熱プラズマの発光スペクトルを検証することで確認することができる。この検証結果については、後述する実施例でさらに説明する。
こうしてトーチ本体部1aで熱プラズマにより処理された混合粉末3aの処理物は、プラズマトーチ部1に続く反応管2内で極めて大きい冷却速度(例えば、10〜10K/s)で急冷され、固体生成物および気体生成物が生成する。固体生成物は、反応管2の底部から回収され、気体生成物は、反応管2からガス排出管6を通ってガス回収部7に回収される。
そして、Fを含有する気体生成物であるCF(g)が十分な量存在することから、熱プラズマ中で生成されたC−Fラジカルに由来する気体のフッ化炭素化合物(CF)が生成していることがわかる。したがって、気体成分としてTFEが得られる。
なお、固体生成物中には、固体のフッ化炭素化合物が含まれているが、この固体のフッ化炭素化合物は、前記したように、熱プラズマ中で生成されたC−Fラジカルに由来するものではなく、プラズマ下流部で均一核生成したC固体粒子にFラジカルが反応して合成されたものであり、TFEの生成につながるものではないことは明らかである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
図2に示す構造を有する誘導結合型熱プラズマ発生装置(JHS-35M;日本電子社製)を用い、以下に示すようにしてTFEの製造を行った。
すなわち、冷却水Wの導入、高周波誘導コイル1bへの高周波電流の印加、プラズマガスPの導入などを順に行い、プラズマトーチ部1に誘導的に熱プラズマを発生させた後、平均粒子径1μmのCaF粉末と同じく平均粒子径1μmのグラファイト(C)粉末との混合粉末3aを、キャリアガス3bであるArとともに原料供給管3を通してプラズマトーチ部1に供給した。
ここで、高周波誘導コイル1bに印加する高周波電流の周波数は4MHz、プラズマ発生のための投入電力は30kW、装置内の圧力は101kPaとした。また、プラズマガスPとしては、ArとHeとの混合ガスを用い、それぞれのガス流量を45L/min.および5L/min.とした。さらに、キャリアガス3bの流量は2L/min.とした。
そして、(実施例1−1)において、混合粉末3a中のCaF粉末とC粉末とのモル比を1:5とし、CaFモル含有割合を16.7モル%とした。そして、この混合粉末3aを200mg/min.の供給速度でプラズマトーチ部1に供給し反応を行わせた。
得られた熱プラズマの発光スペクトルを、発光分光分析装置(iHR550;Horiba Jobin Yvon社製)を用いて測定した。得られた発光スペクトルを図3に示す。図3の発光スペクトルにおいて、223nm〜247nmの波長域で、CFラジカル由来の発光(波長230.89nm)と、CFラジカル由来の発光(245.76nm)がそれぞれ観測された。そして、この測定結果から、熱プラズマ中でCaFから遊離したFラジカルがCラジカルと反応し、C合成の中間生成物であるCFラジカルおよびCFラジカルがそれぞれ生成されていることがわかった。
次に、原料組成が熱プラズマ中で生成するラジカル種に与える影響を調べるために、原料である混合粉末3aの供給速度を200mg/min.で一定とし、混合粉末3a中のCaFモル含有割合を、(実施例1−2)では9.1モル%、(実施例1−3)では33.3モル%と変えて、プラズマトーチ部1で反応を行わせた。
(実施例1−2)および(実施例1−3)で得られた熱プラズマの発光スペクトルを、(実施例1−1)と同様に測定したところ、いずれにおいても(実施例1−1)と同様に、CFラジカル由来の発光(波長230.89nm)とCFラジカル由来の発光(245.76nm)が観測された。
これらの測定結果から、(実施例1−2)および(実施例1−3)においても、(実施例1−1)と同様に、熱プラズマ中でCaFから遊離したFラジカルがCラジカルと反応し、C合成の中間生成物であるCFラジカルおよびCFラジカルがそれぞれ生成されていることがわかった。そして、混合粉末3a中のCaFモル含有割合が9.1モル%〜33.3モル%の範囲において、原料組成の違いによっては熱プラズマ中で生成するラジカル種が変化しないことがわかった。
次に、(実施例1−1)、(実施例1−2)および(実施例1−3)において、反応管2の底部から回収された固体生成物のXPS測定を、X線光電子分光装置(XPS-7000;リガク社製)を用いて行った。
XPS測定で得られたC1sのスペクトルを図4(a)〜(c)に示す。なお、図4(a)は(実施例1−2)で得られた固体生成物のスペクトルを、図4(b)は(実施例1−1)で得られた固体生成物のスペクトルを、図4(c)は(実施例1−3)で得られた固体生成物のスペクトルをそれぞれ示している。
これらのスペクトルから、(実施例1−1)〜(実施例1−3)で得られた固体生成物中のC原子には、いずれも、C−F結合を有するC原子と、C−F結合を有するC原子と結合するC原子と、グラファイト構造を有するC原子の3種類があることがわかった。そして、このことから、固体のフッ化炭素化合物が合成されたことがわかった。なお、この固体のフッ化炭素化合物は、グラファイト中のC原子にF原子が結合した構造と推定され、プラズマ下流部で均一生成したC粒子にFラジカルが反応して生成したものであると推定される。
また、XPS測定の結果からは、前記した熱プラズマの発光分光分析で存在していることが確認されたCFラジカルおよびCFラジカルに由来する固体生成物は確認されなかった。したがって、CFラジカル、CFラジカル由来の気体のCFが生成していることになる。そして、反応管2から排出された気体を質量分析器(Dycor Proline2000;AMETEK社製)にかけたところTFEが含まれており、これによりTFEが生成していることが確認された。
実施例2
原料である混合粉末3a中のCaFモル含有割合を16.7モル%で一定とし、混合粉末3aの供給速度を、(実施例2−1)では100mg/min.、(実施例2−2)では200mg/min.、(実施例2−3)では300mg/min.として、実施例1と同様にしてTFEの合成を行った。そして、混合粉末3aの供給速度がTFEの生成に与える影響を調べた。
(実施例2−1)〜(実施例2−3)で得られた熱プラズマの発光スペクトルを、(実施例1−1)と同様に測定したところ、いずれにおいても(実施例1−1)と同様に、CFラジカル由来の発光(波長230.89nm)とCFラジカル由来の発光(245.76nm)が観測された。
これらの測定結果から、(実施例2−1)〜(実施例2−3)において、(実施例1−1)と同様に、熱プラズマ中にCFラジカルおよびCFラジカルが生成していることがわかった。そして、混合粉末3aの供給速度が熱プラズマ中で生成するラジカル種に影響を与えないことがわかった。
次に、(実施例2−1)〜(実施例2−3)において、反応管2の底部から回収された固体生成物のXPS測定を実施例1と同様に行った。XPS測定で得られたC1sのスペクトルを図5(a)〜(c)に示す。なお、図5(a)は(実施例2−1)で得られた固体生成物のスペクトルを、図5(b)は(実施例2−2)で得られた固体生成物のスペクトルを、図5(c)は(実施例2−3)で得られた固体生成物のスペクトルをそれぞれ示している。
これらのスペクトルから、(実施例2−1)〜(実施例2−3)で得られた固体生成物中のC原子には、C−F結合を有するC原子と、C−F結合を有するC原子と結合するC原子と、グラファイト構造を有するC原子の3種類があることがわかった。そして、このことから、固体のフッ化炭素化合物が合成されたことがわかった。しかし、CFラジカルおよびCFラジカルに由来する固体生成物は確認されなかったので、CFラジカル、CFラジカル由来の気体のCFが生成していることになる。そして、反応管2から排出された気体を質量分析器(Dycor Proline2000;AMETEK社製)にかけたところTFEが含まれており、これによりTFEが生成していることが確認された。
比較例
原料として、平均粒子径100μmのCaF粉末と平均粒子径1μmのグラファイト(C)粉末との混合粉末3aを用いた。そして、混合粉末3a中のCaFモル含有割合を16.7モル%とし、混合粉末3aの供給速度を200mg/min.として、実施例1と同様にプラズマトーチ部1に供給したところ、CaF粉末は熱プラズマ中で溶融が不十分であり、未蒸発粒子としてトーチ本体部1aの下部に落下した。そして、TFEは得られなかった。
本発明によれば、CaF粉末から多段階の工程を経ることなく、TFEを製造することができる。またこの方法は、地球温暖ガスでありオゾン層破壊物質であるHCFC−22を使用することがなく、多量のHClを副生することもない、環境負荷の低いTFEの製造方法である。
1…プラズマトーチ部、1a…トーチ本体部、1b…高周波誘導コイル、2…反応管、3…原料供給管、3a…混合粉末、3b…キャリアガス、6…ガス排出管、8…プラズマガス導入管。

Claims (3)

  1. 平均粒子径が50μm以下のフッ化カルシウム粉末と、炭素粉末とを、誘導結合型熱プラズマ中に同時に供給し、前記熱プラズマ中でフッ化炭素のラジカルを生成する工程と、
    前記ラジカルを急冷する工程と
    を有することを特徴とするテトラフルオロエチレンの製造方法。
  2. フッ化カルシウム粉末と炭素粉末とを、前記フッ化カルシウム粉末の単位時間当たりの供給量が、該供給量と前記炭素粉末の単位時間当たりの供給量との合計量に対して9モル%〜35モル%の割合となるように、誘導結合型熱プラズマ中に同時に供給し、前記熱プラズマ中でフッ化炭素のラジカルを生成する工程と、
    前記ラジカルを急冷する工程と
    を有することを特徴とするテトラフルオロエチレンの製造方法。
  3. 平均粒子径が50μm以下のフッ化カルシウム粉末と、炭素粉末とを、前記フッ化カルシウム粉末の単位時間当たりの供給量が、該供給量と前記炭素粉末の単位時間当たりの供給量との合計量に対して9モル%〜35モル%の割合となるように、誘導結合型熱プラズマ中に同時に供給し、前記熱プラズマ中でフッ化炭素のラジカルを生成する工程と、
    前記ラジカルを急冷する工程と
    を有することを特徴とするテトラフルオロエチレンの製造方法。
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