JP4094055B2 - テトラフルオロエチレンの製造法 - Google Patents

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Description

関連出願のクロスリファレンス
本願は、同一発明者による1995年3月31日に出願された出願番号第08/414,967号の部分継続出願である。
技術分野
本発明は、CHClF2を原料として用いないテトラフルオロエチレンの製造法に関する。
背景の技術
米国特許第2835711号[ウオルフエ(Wolfe)ら]は、周期率表第IIA族のフッ化物を炭素と反応させて、種々の有用性を有する、テトラフルオロエチレンへ転化するための中間体も含むフルオロカーボンの製造バッチ法を開示する。これには高融点の第IIA族の金属フッ化物に対する詳細だけが記述されており、これはカーボンアークを用いることによるるつぼ中での金属フッ化物の溶融を含む。粉末の炭素をるつぼ中で金属フッ化物と混合し、得られる混合物中に炭素電極を浸す。得られる溶融物からは気体のフルオロカーボン、主にCF4が発生し、実施例1によるとCaC2として同定される金属フッ化物と炭素の間の反応生成物が後に残る。
米国特許第2709191号[ファーロウ(Farlow)ら]は、フッ化ケイ素を炭素と反応させ、通流(Pass)1回当たりのフッ化ケイ素の非常に低い転化率においてテトラフルオロエチレンが生成する(実施例II)及び多数回通流させるとテトラフルオロエチレンの代わりにCF4の生成が増大する(実施例I)、ことを開示する。この方法の「通流」とは、2つのグラファイト電極間に飛ばされた燃焼アーク中にフッ化ケイ素を低速で通流し、ついで気体(反応生成物及び未反応のフッ化ケイ素)を電極の一方の中空孔を通して流すことである。この方法の炭素反応物は、炭素粉末をフッ化ケイ素と共にアーク中に流すこともよいが、消耗炭素電極に由来するものである。種々の運転圧が開示されるが、低圧(水銀1〜150mm)がアーク運転の難点を減少させるのに好適であるとしている。この運転圧を設定するためにアルゴンも使用でき、ついでこれをフッ化ケイ素供給物によって維持する。続いて気体の反応混合物を0.001〜0.1秒以内に400℃より高くない温度まで急冷する。
米国特許第3081245号[ファーロウ]は、テトラフルオロエチレンの改良された合成法、即ち飽和炭化水素をアークへの供給原料とする方法を開示する。アーク通流後に得られる気体反応混合物を、2000〜2700℃の温度で炭素床を通し、ついで急冷する。飽和炭化水素の転化率は全く低く、表1において15%以下として報告されている。
ファーロウ法は、一般にテトラフルオロエチレン(TFE)の低生成速度を与える低転化率及び/又は低収率のために、決してテトラフルオロエチレンの商業的製造法とならなかった。その代わりに、TFEは1950年代以来全く異なる方法、即ち(i)CaF2とH2SO4の反応によるHFの製造、(ii)クロロホルムの製造、(iii)HFとクロロホルムの反応によるクロロジフルオロメタン(HCFC−22)の製造、及び(iv)このHCFC−22の熱分解によるTFEの製造、並びにその精製、を含む一連の工程によって商業的に広く製造されてきた。この一連の工程は、ウオルフェ法で使用した反応物から始めるが、4つのプラント[上記の(i)〜(iv)]の建設を含む過程を経て行われ、高製造速度でファーロウ法の反応生成物に到達するが、TFEの製造を非常に高価なものとし、その上処理又は廃棄しなければならないHCl副生物が多量に生成する。
テトラフルオロエチレンを更に経済的に製造するための必要性は長い間痛感されてきた。
発明の概略
本発明は、非炭素質金属フッ化物をプラズマに供して、金属フッ化物を金属と反応性弗素の気体混合物に解離させ、この気体混合物を、気体混合物中の金属が凝縮する温度より高い温度で粒状炭素と良く接触させて流し、これによって該反応性弗素と該炭素を互いに反応させて、テトラフルオロエチレンへの気体前駆体を生成させ、そして該気体前駆体を急冷して気体テトラフルオロエチレンを製造することを含んでなる、テトラフルオロエチレンの製造法により上述の必要性を満足する。
本発明の他の具体例は、反応室、プラズマを該反応室の一端で生成させるための手段、粒状反応物を該反応室の他端に含有させる手段、気体を該プラズマ中に流して、該反応室へ無制限にそして該室の他端へ向かって拡大させるための手段、ここで該反応室は該粒状反応物を支持し且つ通流気体を通流させるための有孔手段を含む手段を有する、そして該有孔手段を通った該通流気体を受けて、該気体を急冷するための手段、を含んでなる本方法を行うために有用な装置である。
この具体例の1つの観点において、通流気体は、該粒状反応物に対する共反応物である。他の観点において、この共反応物を該プラズマ中に供給する更なる手段も提供する。
【図面の簡単な説明】
図面は、本発明の方法の装置を概略的断面立面図で示す。
発明の詳細な記述
本発明の方法を理解するための補助として、最初に図面の装置について説明する。
図面の具体例における化学反応器2は、エプロン8によって互いに連結され且つ内部が互いに通じている反応室10を形成する一対の積み重ねられた円筒形の構造体4及び直径の増大する6から作られる。反応室10の端は、円筒状構造体4の上部を閉じる、中央に開口14を有する閉鎖板12、及び円筒形構造体6の底をまとめ且つ反応室における底部開口18を規定する内側に傾斜した(円錐形の)壁16を持つ。有孔板20はこの開口18に架けられている。開口14は反応室への入り口を形成し、開口18は反応室への、その他端における出口を形成する。
反対の極性の及び空間26で隔離された円筒形の電極22及び24は、開口14の周囲に位置する。変圧器28のような電源は、電極間にアーク30を飛ばし且つこれを維持するのに十分な電圧及び電流を有する電気的エネルギーを供給する。気体は圧力下にブローワー(図示してない)のような手段により空間26からこのアーク中へ供給され、反応室10へ向かう。このアークを通過する気体流は、アーク30から電極24の中空孔へ伸びる気体のプラズマを形成する。ここにこのプラズマは、アークの温度が数千度であるために熱プラズマであると考えることができる。円筒形電極22は、気体を反応室10の方向に供給して全体の気体流を反応室へ向かわせる中空孔(図示してない)も有する。気体流の方向性は、電極の外周の多数位置から空間26を通して気体を供給する事によっても達成される。この気体の反応室10への流れは、プラズマを室中へ拡大させる。
室中に広がるプラズマは、可視化するためにはっきりさせた火炎34として図面に示す。火炎は電極24の中空孔に限定されはしない。円筒形構造体4へ拡大する火炎の外側は、好ましくは構造体4又は6のいずれによっても制限されない自由火炎である。普通、円筒形構造体4は耐熱性材料例えばグラファイトからなるであろうし、また冷却されるであろう。火炎は、電極24を越えて延びるから、電極22及び24間に直接流れる電流を本質的に含まない。しかしながら、火炎は解離した気体に由来する小電荷を有していてもよい。また火炎は好ましくは電極24を取り巻く磁気コイル32により回転せしめられ、この回転がプラズマ内の乱流を引き起こす助けとなって、電極を腐食から守る手立てとなる。この乱流は火炎中へ延び、火炎中へ供給される供給物の混合接触を促進する。
開口36は、エプロン8に配置されて、耐熱性材料例えばグラファイトから作られる傾斜壁16及び有孔板20の上に位置する反応室の底部に、粒状反応物40(反応物粒子)を供給する手段38となる。反応物粒子40が反応室へ供給され、それが底部において床41を形成しているように示されている。全床に亘って粒子40を供給するためには、多数の供給手段38をエプロン8(及び電極24)の周囲に、ある間隔で配置するとよい。
プラズマ火炎34を形成する通流気体は、反応室の出口に向かって、反応物粒子の床41中を、ついで有孔板20中を本質的に直線的に全経路に亘って通流する。即ち気体は火炎内で渦巻いて、床41を通過する時に方向を変えるであろうが、それにも拘らず本質的には常に板20へ向かうであろう。
反応物粒子40に対する共反応物も、反応室10へ供給される。通流気体は、この共反応物であるか共反応物以外の気体例えば不活性気体である。いずれの場合においても、気体はアーク30の中で解離して、プラズマ及びその火炎34を形成する解離種である。
通流気体が共反応物でない場合には、入り口導管42を閉鎖版12に配置して、共反応物をプラズマ火炎34中へ供給して、そこで解離させる。この具体例においては、共反応物が電極を腐食しないことになるから、電極の共反応物による腐食が防げる。閉鎖板12の周囲に配置された多数の入り口導管42も使用できる。金属フッ化物のプラズマ火炎への供給は、非常に高速、例えば音速(最高流速)であってよく、金属フッ化物が内部へ、即ちプラズマ火炎の最も熱い部分へ入るのを保証する。
急冷室44は、反応室の出口端に位置して、有孔板20からの気体流を受ける。図示する具体例での急冷室には、室10からの気体流に向流的に向かう噴霧シャワーとして、入り口導管43から供給される冷たい急冷粒子45が示される。この粒子45はついで沈降して床47を形成し、プラズマからの熱気体を即座に冷却する。急冷粒子は急冷室44の底部からオーガー46を介して連続的に除去され、ついで冷却器55により冷却されて、再び入り口導管43に再循環される。冷却された気体は、急冷室44を導管48から出て更に冷却され、例えば蒸留装置49により所望の及び所望でない生成物に分離される。望ましくない生成物は導管50から反応室10へ循環し、一方望ましい生成物TFEを導管51から回収する。円筒形構造体4の周囲に直径的に配置され且つ火炎34に向かう多数の導管50を使用することもできる。
この装置配列から、反応室は互いに隣接する2つの反応域を含み且つ入り口14及び出口18が互いに反対側に位置するということが見て取れる。第1の域においては1つの反応物がプラズマ中で熱的に解離し、第2の域においてはプラズマから得られる反応性種と反応粒子床との間で反応が起こる。反応器2は、好ましくは気体流が垂直に下降するように配置されるが、気体流を異なる方向に向かわせるために異なって配置であっても良く、また反応室10は多くの異なった形をしていても良い。垂直の配置においては、反応物粒子床41の上の反応室に存在するいずれかの固体、例えば未解離の共反応物または固体反応生成物が単純に重力によって床41に降下することができる。反応は連続して行われるから、火炎中に存在する高温が床を溶融して、気体が通過できないようにしないために、プラズマ火炎34と反応物40の床41との間には十分な間隔が存在する。火炎34が反応物粒子の融点に比べて十分冷却されているならば、この間隔は不必要である。本発明の方法によれば、反応物粒子は炭素であり、共反応物は金属フッ化物であり、所望の生成物はテトラフルオロエチレン(TFE)である。
本発明の方法で起こる反応は次のように記述できる。
プラズマ中において、
(1)金属フッ化物→金属+反応性弗素
また炭素と起こる反応は次のように記述される。
(2)金属+反応性弗素+C→金属+CF2
炭素反応混合物が急冷された時、続いてTFEが生成するからCF2:の生成が推定される。過剰なCの存在は、弗素が金属と反応して金属フッ化物を再生する反応又はCF4を生成する反応よりもむしろCF2:生成反応を駆動する。
急冷反応は
(3)2CF2:→CF2=CF2
として記述できる。
これらの出発物質を用いる操作の場合、金属フッ化物は、電極間の空間26を通して又は導管42を通して反応室へ供給される。その場合にも他の気体は空間26を通して供給される。いずれの場合にも金属フッ化物は、それ自体だけから又は他の気体との組み合わせから形成されるプラズマに供給される。このプラズマ火炎は、大容量のプラズマを表す。結果として金属フッ化物が金属と反応性弗素に解離して、気体混合物として存在するようになる。この気体混合物は、上述したように反応点において気体流である。
反応室内の気体流によって炭素粒子床41に向かわされるこの気体混合物は、炭素粒子と良く接触して流れ、これと反応する。かくしてプラズマからの熱とエネルギーが、プラズマからの気体混合物の反応性弗素と炭素粒子との間の反応を駆動する。このとき、温度は3550℃以上の温度で起こると推定される炭素粒子の溶融を誘導するほど高くはない。弗素と炭素の反応熱は床温度を上昇させるかも知れないが、床温度を3550℃以下に保つために工程条件を制御すべきである。プラズマ火炎の最も近くでは炭素粒子が時に溶融し又は蒸発する事さえあるかもしれないが、これは反応性弗素との反応によって消費されるであろう。プラズマ火炎34のようなプラズマは床41よりも高い温度例えば少なくとも4500℃であっても良いが、気体の温度は壁の冷却及び他の冷却、炭素粒子床及び炭素粒子の供給のため、3550℃より高くない温度まで急速に低下する。プラズマ火炎からの熱が反応性弗素と炭素の反応に必要とされる所望の温度を提供するのに不十分であるならば、外部加熱及び/又は炭素粒子の加熱が利用できる。
固体炭素及び弗素間の反応の結果、TFEへの気体前駆体が生成(方程式(2))し、ついでTFEが急冷室44内での急冷により生成(方程式(3))する。これを図面に示すように出口導管48から回収する。一方急冷は気体金属を、普通依然気体のTFEから容易に分離される固体に凝集せしめる。好ましくは、炭素床41の域における反応室10の壁の温度は、室44における急冷まで、いずれもが固化しないように金属及び未解離金属フッ化物の沸点よりも高い。
本発明の方法は次の利点を提供する。金属フッ化物出発物質は、特にしばしばフルオロオレフィンに対する原料であるHCFC−22の価格に比して安価である。単一プラントで行えるために、資本が比較的かからない。また本発明の方法ではHClが生成せず、従ってTFEの精製が簡単であり、HClの廃棄及びその回収のための更なる処理が回避される。更に、本方法によると所望のTFE及び他の有用なパーフルオロカーボンが高収率で製造できる。金属フッ化物の金属も回収でき、その結果金属の価格が本方法の経済性をさらに高める。
本発明の方法及び装置の詳細を以下に記述しよう。
金属フッ化物及び炭素間の反応は、まず金属フッ化物からの弗素原子の除去、即ち解離を含む。熱力学的には、平衡反応として、金属フッ化物の再生が予想される。解離反応を起こさせるためには、供給物にエネルギーを与える、即ち金属フッ化物の少なくとも一部を解離させるのに効果的な、十分のエネルギーを反応物に供することである。解離はラジカル、原子及び/又はイオンをもたらす。これは本質的に供給物質の励起状態である。ある意味において、反応は反応室に存在する解離エネルギーによって開始される。プラズマは解離エネルギーの具体例である。金属フッ化物は、金属フッ化物供給物から弗素原子が遊離され、続いてプラズマ火炎の外側における反応においてそれが炭素と結合する状態まで、励起される。
プラズマは、金属フッ化物から生成される又は金属フッ化物以外の気体から生成されるにかかわらず、供給物質にエネルギーの付与された形である。ここに後者の場合には、金属フッ化物は、プラズマ火炎中に供給されたときにエネルギーの付与された物質となる。
供給物質は、アーク及び比較的不活性な気体、例えばアルゴンによって形成されるプラズマに対する気体供給物としてのCOの場合のように、他の反応物も含有しうる。この場合、プラズマは高温なので、反応生成物の同定が本質的にできないけれど、プラズマを急冷したときに後述する生成物が気体反応混合物中に得られるので、それはカルボニルフルオリド(COF2)の気体前駆体であると推定される。F/CO組み合わせ物としても言及されるCOF2への気体前駆体の、炭素との反応は、急冷したときにTFEを生成するテトラフルオロエチレンへの気体前駆体を生成する。この具体例において、プラズマ中で起こる反応は次のようであると推定される。
(4)金属フッ化物+CO→金属+F/CO組み合わせ物
ついで気体反応混合物を図面に示すような炭素粒子床と接触せしめる時、反応は次のように記述できる。
(4)金属+F/CO組み合わせ物+C→金属+CF2:+CO
この場合、CF2:前駆体は急冷したときパーフルオロオレフィン、主にTFEになる。この反応で生成するCOはプラズマへのCO供給物として又はプラズマを形成させるために再循環できる。
プラズマ中の解離した弗素及び金属の再結合の傾向は、それがそれ自体による或いはCOのような他の共反応物との会合によるの如何にかかわらず、活性な弗素を迅速に消費してしまうことで最小にでき或いは回避できる。これは上述した本方法及び装置の場合、続く炭素との反応をプラズマに隣なる地点で行う事によって達成できる。即ち、金属フッ化物が解離したほとんど直後に炭素との反応を行なわさせることである。このプラズマの温度は普通炭素との反応の温度よりも高いであろう。この場合、プラズマを出る及び炭素粒子と接触する時の、気体混合物の冷却は、反応性弗素が金属と再結合するのを禁止する傾向にある。蒸発された又は気体の金属フッ化物以外の気体(例えば電極間を通って空間26からアーク30中へ供給されてプラズマを形成する非反応性の又は不活性な気体)の存在は、これが反応性弗素の金属との再結合を遅らせ、その結果炭素床41における炭素との反応で所望のTFE前駆体を生成させる反応性弗素の存在量を増大させることになるから好適である。そのような気体は解離してプラズマの一部となり、同時に続いて炭素床41と接触する気体反応混合物を生成する金属フッ化物のキャリアとして役立つ。
本発明の装置はこれらの工程の利点を具現化する経済的な化学反応器である。
本発明の方法の出発物質に関して、炭素は広範な起源から商業的に入手できる。明らかに炭素が高純度であればあるほど、工程の副生物は少なくなる。水はできる限り炭素及び金属フッ化物源から除去すべきである。外来の水はHF及び金属酸化物の生成を余儀なくする。また反応系に酸素を与えないように、炭素から酸素を除く事も好適である。反応系からの酸素の排除は、金属酸化物副生物及び含酸素フルオロカーボンの生成を回避させる。
金属フッ化物は、1つの化合物又はそれぞれが1つ又はそれ以上の弗素原子を含む化合物の混合物であってよい。金属フッ化物の活性反応部分は弗素原子であるから、その金属部分は広範であってよい。金属(フッ化物として)又はその混合物の例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、硼素、及びケイ素を含む。好適な金属は周期率表の、水素を除く第IA族、及び第IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VB、VIB、VIIB及びVIII族に由来する[R.H.ペリー(Perry)及びC.H.チルトン(Chilton)、化学技術者ハンドブック、第5判、マックグロウーヒル、裏表紙(1973)]。金属フッ化物は鉱山から経済的に得る事ができ、非炭素質(炭素を含まない)であろう。本発明で使用する金属フッ化物は解離するのが非常に困難であり、従ってCF4及びC26のようなフルオロカーボンよりも炭素と反応する。一般に金属フッ化物例えばCaF2及びフッ化ケイ素は解離させるのに少なくとも100%以上のエネルギーを必要とし、金属フッ化物の、プラズマ火炎とのミリ秒での接触(露呈)でこれを達成するのは困難である。金属フッ化物を解離させるのに必要とされる非常に大きいエネルギーに対する理由の1つは、非常に多数の化学結合が切れて、金属フッ化物から炭素と反応する弗素が生成するからである。フッ化ケイ素、フッ化カルシウム及びフッ化ナトリウムのような金属フッ化物に対する金属/弗素結合も、炭素/弗素結合より非常に強い。フルオロカーボンの場合、炭素/弗素結合のいくつかが既に生成し、その炭素/弗素結合はより切れにくい。好ましくは金属フッ化物の金属部分は、反応条件下に炭素又は炭素/弗素残基(反応生成物)に対して不活性又は低反応性である。
好適な金属フッ化物は、NaF,CaF2及びフッ化ケイ素例えばSiF4及びSi26並びに金属フッ化ケイ素例えばフルオロケイ酸カルシウムを含む。好ましくは金属フッ化物はいずれかの他のハロゲン原子を含まない。金属フッ化物中の酸化物の存在は、酸素が炭素/酸素化合物を含むより望ましくない金属酸化物を生成するから、望ましくない。
以上、本発明に関して用いる出発物質及び反応機構を明らかにした。同業者はこの記述から、必要な解離エネルギーを発生させるためのプラズマに金属フッ化物を供する多くの方法を認識するであろう。即ち本反応は、プラズマ反応器を用いる交流又は直流の電気的アークにより、又は例えば誘電コイル又はマイクロ波で発生される電磁エネルギーにより、又は加熱だけにより解離エネルギーを生じさせて行う事ができる。電気的アークの場合、解離エネルギーの適用器は図面におけるように反応域内にあり、一方電磁エネルギーの場合、エネルギーの適用器、例えば誘電コイルは反応室内で解離エネルギーを生じさせるならば、反応室の外部にあってもよい。
プラズマ反応器は、炭素との反応のために金属フッ化物を解離して弗素を生成させる種類の装置である。電気放電、例えばこれらの電極間でのアーク30は、コイル誘導の磁場によって回転させることができ、或いはアークは静止であってもよい。電極は材料の中でも銅製であってよく、長期の運転のために水冷することができる。好ましくは電極構成材料は、電極が金属フッ化物原料との反応で消耗されないようなものである。かくして金属フッ化物をプラズマ火炎へ、即ちアークから下流へ供給する場合、炭素電極が使用できる。しかしながら金属フッ化物をアークに通して供給する場合には、非炭素質材料が電極構成材料として好適に使用される。本発明で有用な励起エネルギーを与えるのはアーク域である。プラズマは反応器内の流体流の方向においてアークから下流に延びる可視しうる灼熱域を形成し、この灼熱域が図面における火炎34のようなプラズマ火炎と呼ばれる。
プラズマ火炎内で乱流混合作用を生じさせるために及び所望によりアーク内で高い運転効率を得るために、例えば回転する電気的アークのような手段を講じることもできる。
気体の供給物は、直接又は間接的にエネルギーの高められる、即ち回転する電気的アークにより又は他の手段により発生された解離エネルギーに供する事ができる。直接的露呈の例は、反応物供給物例えばSiF4を電気的アーク(又は異なる装置の電磁場)に供する時であろう。間接的な露呈の例は気体の非反応物をアーク(直接的露呈)に供し、ついで得られる励起又は解離気体(プラズマ)をアークから下流のプラズマ火炎内で金属フッ化物反応物と接触(間接露呈)させる時であろう。間接露呈の他の例は、COのような反応性気体を直接アーク又は電磁場に露呈して、COの一部を解離させ、このエネルギーの高められたCOを金属フッ化物と接触させる場合であろう。更に他の具体例においては、プラズマを先ず不活性な又は非反応性の気体、例えばアルゴン又はヘリウムから生成させ、そしてこのプラズマ火炎に金属フッ化物及び可能ならばCOを添加する。またプラズマ火炎を、特別な供給物、担体として働く不活性な又は非反応性の気体及び/又は1つ又は両方の反応物から生成させる、即ちプラズマ反応器内でアークに直接露呈させる。かくして本発明は供給物質を熱的プラズマの解離エネルギーへ供する(供給物質のエネルギーを高める)ための上述した可能性のすべてを包含する。これらの可能性は、供給物質の1つ又はそれ以上が電極を腐食するような場合に、電極の寿命を長らえるのに効果的である。不活性な気体をアークへ供給してプラズマ火炎を形成させ且つ金属フッ化物をアークから下流の火炎へ供給する場合、用いる不活性な気体の量は、好ましくは金属フッ化物を解離させるのに必要とされるエネルギー(熱)を与えるために、金属フッ化物の量に対して過剰である。金属フッ化物の予熱は不活性な気体の量を減少せしめる。しかしながら一般に、金属フッ化物のモル当たり少なくとも5モルの不活性な気体が使用され、金属フッ化物のモル当たり過剰の、例えば少なくとも10又は20モルの不活性な気体が使用できる。本発明において有用な装置の他の具体例では、プラズマを、トランスファー・アーク法として普通知られる炭素粒子の床中又は近傍において電極と反対に荷電した電極との間で発生させる。この具体例では、金属フッ化物をまず解離させて、気体の金属及び反応性弗素を生成させ、トランスファー・アークを包含するプラズマを形成させ、そしてこれらの気体物質を炭素粒子中に通してTFE前駆体を生成させる。即ち、反応性弗素と炭素との反応は主に炭素粒子床中で起こる。
供給物質のエネルギーを高め又は励起して熱的プラズマを形成させるために使用されるエネルギーは、一般にプラズマを発生させる電力、及び反応域へ供給する物質のいずれかを予熱するならばその熱エネルギーの特定により定量化できる。
アークによって生じる温度はアークの入力及び/又はアークに通す物質の供給速度を変えることにより制御できる。反応器固有の特別な入力に関しては、供給物質が解離エネルギーへ露呈されることによって高エネルギー化(励起)され且つプラズマの一部になるように、供給物質の流速が調節される。入力及び供給物速度の制御は、他の電気的手段によって発生させたプラズマの温度も決定するであろう。即ち、気体混合物と炭素間の接触温度が制御することができる。炭素床41の好適な温度は大気圧で2800〜3500℃である。弗素は、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、及びアルミニウムのような金属に最もしっかりと結合し、鉄、銅、及び亜鉛のような金属にはそれより弱く結合する。一般に、金属/弗素結合がより弱い時には、より少ないエネルギー(低温)で金属フッ化物が解離できる。特別な金属フッ化物に対して、反応域内のより低い圧力は、より低温での解離を誘導する。圧力は大気圧以下、例えば少なくとも20mmHg、好ましくは少なくとも300mmHg、大気圧、又は加圧であってよい。圧力の効果を例示すると、四フッ化炭素をプラズマに供する場合、大気圧及び2700℃での解離の量は10mmHg及び2200℃で得られるそれと同様であろう。2800℃以上、並びに大気圧及び平衡において、CF4は完全にCF2:基、弗素、及び他の炭素及び炭素/弗素関連種に解離する。迅速な急冷はCF4の再生及び他の関連飽和パーフルオロカーボンの再生を迂回して、殊にパーフルオロオレフィン、主にTFEを生成させるが、これはこの解離と付随するCF2:基の生成のためである。
使用しうる圧力範囲と共に使用できる出発フッ化物の範囲に対して、解離エネルギー(プラズマ)の形成で存在する熱、即ち温度は、大気圧で少なくとも1500℃であると思われる。更にしばしば、温度は大気圧で少なくとも3500℃、好ましくは少なくとも4500℃となるであろう。例示すればより高い温度、例えば10000℃以上でさえ、使用できる。そのような温度において、大気温度下に気体でない金属フッ化物は、完全に又は部分的にプラズマ中に気化している。四フッ化ケイ素は大気条件下に気体であり、従って反応域への簡便な供給物を提供する。例えばCaF2は2500℃で沸騰し。それゆえに反応域内の温度及び圧力に依存して気体又は気体と液体の混合物として存在することができる。かくして金属フッ化物は、再びそのフッ化物化合物種及び反応条件に依存して、気体及び液体の混合物として存在しうる。約2000℃及びそれ以下の温度は熱電対で簡便に測定できる。それ以上の温度、特に電気的アーク又はプラズマ火炎の温度は公知の手段で決定でき、普通入力、供給物組成及び流速の数学的解析により推定できる。
プラズマからの気体反応混合物と関連する炭素の割合は、好ましくは弗素原子が金属と再結合して金属フッ化物を再生する以上に残っていないように、金属フッ化物の弗素原子と結合するのに十分な量である。これは反応域に対する金属フッ化物供給物のすべてがこの反応域への1回の通流中に炭素と反応するであろうということを言っているのではない。1回の反応域への通流で金属フッ化物の一部分だけを反応させること及び未反応の金属フッ化物を更に反応させるために反応域へ再循環させることは望ましい。しかしながら好ましくは、1回の通流が十分である、即ち金属フッ化物の少なくとも50%、更に好ましくは少なくとも85%及びより好ましくは少なくとも90%がその弗素を放すように反応は行われる。
過剰の炭素の存在は遊離の(反応性の)弗素と炭素の好適な衝突をもたらして、CF2:基と考えられるTFE前駆体を生成し、これが続く急冷でTFEを生成する。この関連で、炭素の有効性は、炭素の粒状形による及び多孔性炭素粒子による遊離の弗素に露呈される高表面積によって高められる。普通大過剰の炭素が存在するけれども、金属フッ化物からの金属は、一般に、特に有孔板20上の反応温度、即ち炭素反応域の温度を、金属が凝縮する或いは炭素と反応して金属炭化物を生成する温度以上に、例えば特別な気体金属が凝縮する温度に依存して、少なくとも1500℃、又は少なくとも2000℃(大気圧)に保つならば、炭素との反応性が非常に低くなる。続く弗素/炭素気体反応混合物の急冷は金属を凝縮させ、即ち液化又は固化させ、かくして反応性の低い状態にする。存在しうる床41における大過剰の炭素は、2つの弗素原子当たり少なくとも20原子の炭素、好ましくは2つの弗素原子当たり少なくとも100原子の炭素であってよい。
得られる気体反応混合物を500℃以下の温度まで迅速に冷却して、TFE、並びに比較的少量のそれより高級のパーフルオロオレフィン、顕著にはヘキサフルオロプロピレン(HFP)及び所望の飽和のパーフルオロカーボン、例えばヘキサフルオロエタンを得る。TFEは好適な反応生成物であり、好ましくは転化した金属フッ化物から得られるパーフルオロカーボンの少なくとも60重量%、更に好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%を構成するように存在する。迅速な冷却(急冷)は好ましくは10000℃/秒以上の速度で行われる。金属フッ化物がフッ化ケイ素の場合、例えば図に示す急冷室44から回収されるケイ素は良好な純度であり、特別な用途に対しては更なる精製が望ましいが、これを本発明の方法の有用な副生物ならしめる。ケイ素の回収は冷却されたケイ素粒子である急冷粒子45によって高められる。反応からのケイ素はこれらの粒子の上に凝縮して、その粒径を増大させるが、ケイ素粒子はその液体状態を経る迅速急冷の結果として互いにくっつくことはない。得られる大きいケイ素粒子は、オーガー46により室44から除去され、冷却されて、更なるケイ素の成長のために室に再循環される。ケイ素粒子が大きく成長し過ぎるに連れて、再循環工程中にふるいによってそれを除去し、受器52に集める。これに対して、小さいケイ素粒子を補充のために急冷室に添加する。他の金属フッ化物を使用する場合、急冷粒子は同一の金属であってよく、この結果金属フッ化物からの凝縮した金属を急冷粒子から分離する必要がなくなる。
他の具体例において、他の固体物質例えば炭素の粒子45は急冷室で使用でき、ついで凝縮した金属生成物は通常の手段によりそのような他の固体物質粒子から分離することができる。炭素粒子床41における金属炭化物の生成は、露呈期間を短くし、また迅速に急冷することにより再小にまたは回避できる。急冷媒体の一部またはすべてとして、気体及び/または液体も使用できる。
いずれか非気体物質の、プラズマにおける存在は、単純に炭素粒子床中へまたは可能ならばそれを通って下降し、床を通過するならばオーガー46で集めることができる。同一のことは、有孔板20の孔を通流するいずれかの炭素粒子に対しても真実である。参考のため、炭素の沸点は4827℃、ケイ素は2350℃、カルシウムは1480℃、フッ化カルシウムは2500℃、四フッ化ケイ素は−86℃、そして二酸化ケイ素は2330℃である。これらの物質の融点は次の通りである:炭素約3550℃、ケイ素1410℃、カルシウムは840℃、フッ化カルシウムは1420℃、四フッ化ケイ素は−90℃、そして二酸化ケイ素は1720℃。、
所望のパーフルオロオレフィン及び飽和フルオロカーボンは、同業者には公知の種々の方法、即ち蒸留、吸着、または吸収を含む方法により反応生成物から分離できる。望ましくないフルオロカーボン、いずれか未転化の金属フッ化物、及びいずれか望ましくないパーフルオロオレフィンは、プラズマへ、或いは単に反応域、例えば炭素との反応に有利な入り口導管50へ再循環できる。例えばCF4が工程の副生物として生成する場合、このフルオロカーボンは導管50からプラズマ火炎へ再循環できる。普通急冷後の弗素/炭素反応混合物に存在するCF4の量は、存在するフルオロカーボンの全重量に基づいて40重量%以下、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下であろう。
実施例1
本実施例は小規模のプラズマ装置を用いる四フッ化ケイ素からのテトラフルオロエチレンの合成を例示する。プラズマ発生装置はメトコ(Metco)のMBN型装置であり、プラズマ・トーチを、内径5.72cm及び長さ15.24cmのプラズマ反応器を形成する水冷される銅製円筒装置の上部開口に取り付けた。反応器内の圧力を下流の真空ポンプにより25トールに維持した。反応器の出口端を、水冷熱交換器に連結した。プラズマキャリアガスは、7.5リットル/分(STP)の流速でトーチに供給されるアルゴンからなった。プラズマの電力供給は電流500アンペア及び電圧22ボルトであり、11.0kwの入力であった。アルゴンプラズマ火炎は、反応器の入り口端を経て反応器内に延び、エネルギーバランスの計算値は反応器の入り口におけるプラズマ火炎温度(気体温度)が10000℃以上であることを示した。
四フッ化ケイ素を、プラズマトーチの出口の下6.35mmの反応器壁に配置された2つの注入ノズルから、0.2リットル/分の速度で、アルゴンプラズマ火炎に垂直に注入した。この注入ノズルは直径0.05mmの寸法を有し、音速とプラズマ火炎中でのSiF4の良好な混合とをもたらし、この結果SiF4の解離と遊離の弗素の生成を促進した。
粒状炭素の固定床は、プラズマトーチ出口の下12.70mmに位置し、プラズマ反応器中においてSiF4をテトラフルオロエチレン及び他のフルオロカーボンへ反応させるために元素状炭素を提供した。この炭素はエサール(Aesar)から入手できる炭素の活性化形であり、3x6mmの押し出されたペレット形をしていた。反応器に付加された粒状炭素の全重量は、27グラムであり、厚さ2.5cmの炭素ペレットの固定床を形成した。この炭素床は、反応器気体が認め得る圧力損失の低下なしに、例えば10トール以下で通過させうるが、炭素ペレットを保持するのに十分小さい孔の開いたグラファイト支持板に支持された。
SiF4は、アルゴンプラズマへ注入したとき室温であり、アルゴンプラズマ火炎との効果的な接触及び混合により迅速に加熱された。得られる熱気体混合物は、依然非常に高温のまま、粒状炭素床中を通流した。ついで気体の反応生成物流を、下流の冷却された反応器壁との接触により冷却し、更に生成物気体を水冷熱交換器に通して室温まで急冷した。生成物気体の試料を、赤外線分析のためにテドラー(TEDLARR)ポリフッ化ビニルフィルムの袋に集めた。SiF4のフルオロカーボンへの転化率は19%で測定した。フルオロカーボン生成物のモル%での分光学的分析は、テトラフルオロエチレン(C24)68モル%、四フッ化炭素(CF4)17モル%、ヘキサフルオロエタン(C26)10モル%、更に少量のカルボニルフルオリド(COF2、2モル%)及びトリフルオロエタン(CHF3、3モル%)であった。これらの反応生成物に存在する酸素及び水素は、粒状炭素反応物に由来したと思われる。SiF4の転化率及びTFEの収率は、未反応のSiF4並びに反応生成物CF4及びC26をプラズマ火炎へ再循環させることによって向上させ得た。この操作についで、炭素残存重量は14.4gであり、炭素の46.4%が蒸発し及び/又はフルオロカーボンへ転化された事を示した。
実施例2
実施例において、所望の反応は次の通りである。
Figure 0004094055
本実施例で用いる装置は図のものと同様であり、実施例1に記述したものより大きかった。本実施例に対する供給物速度を、下表1に示す。プラズマ火炎に供給される四フッ化ケイ素のモル当たり5モルのアルゴンを、プラズマガン(反対に荷電された電極間)に供給し、アークを磁気的に回転させた。このようにして、アルゴン200グラム/分を大気圧下にプラズマガンの電極中へ供給し、そして予熱した四フッ化ケイ素を104グラム/分で火炎中に供給して、6500℃の範囲の組み合わせ物温度を得た。炭素ペレット(長さ及び直径6.4mm)を24グラム/分の速度で炭素床に供給した。炭素床は始動時にペレット480グラムを含み、かくして熱気体プラズマとの反応に対して大過剰の炭素を提供した。反応器の壁を通しての及び添加した炭素からの熱損失は、炭素床ペレットの表面において3400℃の範囲の温度を与えた。気体は、炭素床を通過するにつれて、支持体板から急冷室へ移動する時の約2700℃まで温度を減じた。気体は、30℃の、−100+200メッシュのケイ素粒子との接触により急冷された。固体粒子を、吹き出し管から炭素床を出る熱気体中へ、約2600グラム/分の速度で上方へ噴霧し、約325℃の気体及び固体の出口温度をもたらした。この出口気体を解析のために更に冷却し、気体の一部を連続基準で再循環して、急冷ケイ素粒子の噴霧を補助した。この固体粒子を急冷質の底部から連続的に取り出し、更に冷却し、ついで出てくる気体の更なる急冷のために再循環した。急冷物質の量の重量増加の解析は、約27.9グラム/分が急冷物質に付加された事を示した。凝縮した及び固化した生成物の組成を後に示す。全物質収支は、この実験中、過剰な炭素が1.9グラム/分の速度で床に添加されている事を示した。床を充填から保つために、炭素の供給速度を22.1グラム/分に減じなければならなかったであろう。SiF494%以上の転化に対して、弗素の物質収支は、98%がフルオロカーボンとして消費され、その85%がテトラフルオロエチレン(TFE)であることを示した。TFEだけが所望ならば、他のフルオロカーボンを分離し、TFEへの転化のためにこれをプラズマ工程へ返送した。未転化のSiF4も分離し、プラズマ工程へ返送した。
下表におけるすべての値は、グラム/分の単位で示す。SiFとして示される物質はケイ素金属と錯化していた。急冷のためにケイ素粒子を使用したから、全急冷床固体の試料を固体の分析に採取した。下記の分析は、物質収支で行い、急冷粒子からのケイ素の量を含まなかった。
固体の分析に対して、窒素下に採取した残存固体の秤量試料に少量の水をゆっくりと添加して、SiF錯体を溶液中へ除去した。すべてのSiF錯体を除去するために洗浄した後、試料を真空乾燥し、再秤量して、SiFとして報告される重量損失の量を決定した。残存する乾燥試料を、炉内の反応管中に置き、真空下に低酸素流と共に加熱して、いずれかの炭素を探し且つ燃焼させた。この実施例では、炭素が何も存在しなかった。温度を60℃以下に保って、ケイ素金属との反応を最小にし、ついでこの量を冷却した試料の再秤量後の差から決定した。
出口気体の全容量を流量計で監視した。出口気体中のSiF4の容量を、既知の容量の出口気体の水での2回の洗浄により、即ちSiF4を反応
3SiF4+2H2O→2H2SiF6(水溶液中)+SiO2
によって除去することにより決定した。
SiO2は沈殿し、水溶液に止まった。容量の減少は試料中のSiF4の量を示す。試料からの残存する出口気体の硫酸カルシウムでの乾燥後、残存気体をガスクロマトグラフで分析した。この分析には、ヒューレットーパッカード(Hewlett−Packard)5880Aシリーズのガスクロマトグラフを使用した。1%のSP−1000、高沸点液体を担持した60・80メッシュのカーボパックRBを充填した長さ20フィート及び直径1/8インチのステンレスカラムを用いて、本実施例の分析で示すように個々の成分を分離した。試料をガスクロマトグラフに注入した後、カラムの温度を5分間、40℃の一定に保ち、ついで温度を20℃/分の速度で180℃まで上昇させた。ガスクロマトグラフの熱伝導検知器から得られた面積%を、重量及び重量%に転化した。
Figure 0004094055
実施例3
実施例に対する装置は、実施例2で用いたものと同様であった。本実施例に対する所望の反応式は次の通りである。
Figure 0004094055
供給物速度及び結果を下表に示す。すべて大気圧において、火炎中へ注入される予熱したフッ化カルシウムのモル当たり10モルのヘリウムをプラズマガンへ供給した。得られる組み合わせ物温度は7500℃の範囲であった。−4+5メッシュの炭素粒子を、同様の炭素粒子の480グラムの床に12グラム/分で供給し、実施例2よりも更に大きい炭素対弗素比を与えた。実施例2の場合のように、炭素への及び反応器壁を通る熱損失は、炭素粒子の表面における温度を約3200℃まで低下させた。更なる熱損失は、急冷室に出る気体の温度を2800℃まで低下させた。本実施例においても、吹き出し管から供給される冷却された−35+150メッシュの炭素粒子流によって気体を急冷した。カルシウム及びフッ化カルシウムは凝縮し、炭素表面上に固化したが、実験の期間20分中、急冷が性能に影響するようには見えなかった。金属物質の回収は、その炭素からの分離を必要とした。炭素粒子の床及びいずれか付着したるカルシウム又はフッ化カルシウムを、再び冷却された循環生成物気体を用いて約1100グラム/分で循環して、急冷を補助し且つ粒子を運搬させた。急冷室を出る物質の温度は、300℃以下であった。凝縮してない出口気体及び固体粒子の両方を、急冷室からの除去後に更に冷却した。分析は、噴霧粒子がこの試験実験中に43.4グラム重量増加したことを示した。また本実施例においても、炭素供給物速度は、炭素反応域における炭素床を入れ過ぎないために、12グラム/分から10.5グラム/分へ減じねばならなかったであろう。下表から、フッ化カルシウムは約90%が転化し、転化した物質の90%がTFEに消費された。本実施例では一定量の炭素粒子を急冷媒体として使用したから、下表に報告される分析結果は炭素を含まないものを基準として示した。固体生成物は、窒素下に急冷固体の秤量試料を採取し、これに水をゆっくりと添加してカルシウムと反応させ、水酸化カルシウムと水素を生成させることによって決定した。水素の量を集め、試料中の遊離のカルシウムの量を決定した。固体試料から水を除き、湿った固体を真空炉中の秤量管内に入れた。炉をゆっくりと600℃までもっていき、反応した及び残存する水を除去し、CaO,CaF2、及び炭素だけを残した。管を再秤量し、ついで炉に戻し、そこで酸素によって炭素をゆっくりと燃焼して、CaF2と酸化カルシウムを残した。遊離のカルシウムの量は水素の発生量から決定できるので、試料中のフッ化カルシウムの量が再秤量によって決定できた。
表中のすべての値はグラム/分の単位で示される。その他の欄は、どこにも報告されていないすべての他のフルオロカーボンを含む。
Figure 0004094055

Claims (10)

  1. (a)非炭素質金属フッ化物をプラズマに供して、金属フッ化物を金属と反応性弗素の気体混合物に解離させ、
    (b)この気体混合物を、気体混合物中の金属が凝縮する温度より高い温度で粒状炭素の床と良く接触させて流し、これによって該反応性弗素と該炭素を互いに反応させて、テトラフルオロエチレンへの気体前駆体を生成させ、そして
    (c)該気体前駆体を急冷して気体テトラフルオロエチレンを製造する、
    ことを含んでなる、ただし、該非炭素質金属フッ化物はリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、硼素及びケイ素から選ばれる金属のフッ化物である、テトラフルオロエチレンの製造法。
  2. 該プラズマの温度が少なくとも3500℃である、請求の範囲1の方法。
  3. 金属フッ化物がフッ化ケイ素、フッ化カルシウム、またはフッ化ナトリウムである、請求の範囲1の方法。
  4. 該気体金属を、気体テトラフルオロエチレンまたはその前駆体から液体としてまたは固体として除去する、請求の範囲1の方法。
  5. (a)非炭素質金属フッ化物をプラズマに供して、金属フッ化物を金属と反応性弗素の気体混合物に解離させ、
    (b)この気体混合物を、気体混合物中の金属が凝縮する温度より高い温度で粒状炭素と良く接触させて流し、これによって該反応性弗素と該炭素を互いに反応させて、テトラフルオロエチレンへの気体前駆体を生成させ、そして
    (c)該気体前駆体を急冷して気体テトラフルオロエチレンを製造する、
    ことを含んでなる、ただし、該非炭素質金属フッ化物はリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、硼素及びケイ素から選ばれる金属のフッ化物であり、プラズマを不活性な気体から生成させ、このプラズマが火炎部分を有し、そして金属フッ化物を該火炎中に供給して、プラズマに供する、ことを特徴とするテトラフルオロエチレンの製造法
  6. 該工程(b)の炭素が、続いて反応性弗素とCOの組み合わせ物と反応して該テトラフルオロエチレンへの前駆体及びCOを生成する、請求の範囲1の方法及び更にCOを該プラズマに供して、該組み合わせ物を生成せしめる方法。
  7. 請求の範囲6の方法及び更に該プラズマ中での該炭素と該組み合わせ物との反応から得られるCOを再循環させる方法。
  8. 該炭素及び該反応性弗素間の反応温度が該プラズマの温度より低い、請求の範囲1の方法。
  9. 該粒状炭素が床の形をしており、気体混合物を該床中に通し、そして更に該床を、それが該反応性弗素との反応で消費されるにつれて粒状炭素で補充する、請求の範囲1の方法。
  10. (a)反応室、
    (b)プラズマを該反応室の一端で生成させるための手段、
    (c)粒状炭素を該反応室の他端に含有させる手段、
    (d)気体を該プラズマ中に流し、それを火炎として該反応室中へ及び該室の他端へ向かって拡大させて、該通流気体及び該粒状炭素間の接触を与えるための手段、但し該粒状炭素を支持し且つ通流気体を通流させて、該反応室から流出させるための有孔手段を含む該手段、そして
    (e)該有孔手段を通った該通流気体を受けて、該気体を急冷するための手段、
    を含んでなる化学反応器。
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