JP2013039746A - ポリマーシート、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリマー支持体と、該ポリマー支持体の一方の面上に配置され、シリコーン系ポリマーを含有する第1のポリマー層と、前記第1のポリマー層上に配置され、シリコーン系ポリマーまたはフッ素系ポリマーを含有する第2のポリマー層を有し、前記ポリマー支持体、前記第1のポリマー層および前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層が、各ポリマー層中の全バインダーに対して難燃剤を1質量%〜30質量%含有するポリマーシート。
【選択図】図2
Description
このような太陽電池用保護シートとしての太陽電池モジュール用ポリマーシートには、ポリマー支持体の上に、求められる特性に応じて機能性層を設けることがある。例えば、バックシートは、単に水分の透過を抑制する機能を有するだけでなく、耐久性(耐候性)なども求められ、例えば、ポリマー支持体に耐候性を高める層などを積層して構成されることがある。
シリコーン系ポリマーを用いた耐候性層を設けた例としては、アクリレート系共重合体とオルガノハイドロジエンポリシロキサンを用いた硬化性樹脂組成物による耐候性最外層が設けられた太陽電池モジュール用裏面保護シートが開示されており(例えば、特許文献3参照)、耐候性に優れるとされている。
それに対し、ポリマー支持体の上に、少なくとも2層の特定の組成である耐候性層を積層して3層以上の積層体のポリマーシートとし、ポリマー支持体と2層の耐候性層のうちいずれか1層に難燃剤を添加する構成とすることにより、難燃性と同時に湿熱経時後の層間密着性も同時に解決できることを見出すに至った。
[1] ポリマー支持体と、該ポリマー支持体の一方の面上に配置され、シリコーン系ポリマーを含有する第1のポリマー層と、前記第1のポリマー層上に配置され、シリコーン系ポリマーまたはフッ素系ポリマーを含有する第2のポリマー層を有し、前記ポリマー支持体、前記第1のポリマー層および前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層が、各ポリマー層中の全バインダーに対して難燃剤を1質量%〜30質量%含有することを特徴とするポリマーシート。
[2] [1]に記載のポリマーシートは、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層に含まれる前記難燃剤が、有機リン系化合物、ハロゲン系化合物および無機難燃剤の少なくとも1種から選ばれることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載のポリマーシートは、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層の前記難燃剤の含有量が、各ポリマー層中の全バインダーに対して2質量%〜20質量%であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリマーシートは、前記ポリマー支持体がUL−94燃焼性試験でVTM−0、VTM−1またはVTM−2であることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリマーシートは、前記ポリマー支持体が、難燃剤を含有することが好ましい。
[6] [5]に記載のポリマーシートは、前記ポリマー支持体に含まれる前記難燃剤が、有機リン系難燃剤であることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか1項に記載のポリマーシートは、前記ポリマー支持体に含まれる前記難燃剤の含有量が、前記ポリマー支持体のバインダーに対して0.1質量%〜15質量%であることが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれか1項に記載のポリマーシートは、前記第1のポリマー層に、顔料として二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリンおよびタルクから選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
[9] [1]〜[8]のいずれか1項に記載のポリマーシートは、前記第1のポリマー層または前記第2のポリマー層が、少なくとも一種のシランカップリング剤またはその加水分解物を含有することが好ましい。
[10] [1]〜[9]のいずれか1項に記載のポリマーシートは、前記ポリマー支持体が、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
[11] [1]〜[10]のいずれか一項に記載のポリマーシートは、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層が形成されている面の反対側の前記ポリマー支持体の表面上に、第3のポリマー層が配置されたことが好ましい。
[12] [1]〜[11]のいずれか一項に記載のポリマーシートは、前記第3のポリマー層の上に、白色顔料を含有する第4のポリマー層が配置されたことが好ましい。
[13] [1]〜[12]のいずれか1項に記載のポリマーシートを含むことを特徴とする太陽電池モジュール用ポリマーシート。
[14] [13]に記載の太陽電池モジュール用ポリマーシートを含むことを特徴とする太陽電池モジュール用バックシート。
[15] 太陽光が入射する透明性の基材と、前記基材上に設けられ、太陽電池素子及び前記太陽電池素子を封止する封止材を有する素子構造部分と、前記素子構造部分の前記基板が位置する側と反対側に配置された[14]に記載の太陽電池モジュール用バックシートと、を備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明のポリマーシートは、ポリマー支持体と、該ポリマー支持体の一方の面上に配置され、シリコーン系ポリマーを含有する第1のポリマー層と、前記第1のポリマー層上に配置され、シリコーン系ポリマーまたはフッ素系ポリマーを含有する第2のポリマー層を有し、前記ポリマー支持体、前記第1のポリマー層および前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層が、各ポリマー層中の全バインダーに対して難燃剤を1質量%〜30質量%含有することを特徴とする。
以下、本発明のポリマーシートについて、各層好ましい態様の詳細を説明する。
本発明のポリマーシートは、前記ポリマー支持体、前記第1のポリマー層および前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層が、各ポリマー層中の全バインダーに対して難燃剤を1質量%〜30質量%含有する。その中でも、前記ポリマー支持体がポリマー支持体に対して難燃剤を1質量%〜30質量%含有することが、後述するUL−94燃焼性試験で前記ポリマー支持体がVTM−0、VTM−1またはVTM−2のランク達成できるようにする観点から好ましい。
(ポリマー支持体の難燃性)
本発明のポリマーシートは、前記ポリマー支持体がUL−94燃焼性試験でVTM−0、VTM−1またはVTM−2であることが好ましい。このようなUL−94の燃焼性ランクを達成する方法としては特に制限はない。例えば、前記ポリマー支持体に適量の難燃剤を添加する方法や、前記ポリマー支持体自体として難燃性のポリマーシートを用いることにより達成することができる。
本発明のポリマーシートには、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、メラミン系難燃剤、カーボンナノチューブなどの有機系難燃剤;水酸化物系難燃剤、アンチモン系難燃剤などの無機難燃剤;シリコーン系難燃剤などの任意の難燃剤を用いることができる。本発明のポリマーシートは、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層に含まれる前記難燃剤が、有機リン系化合物、ハロゲン系化合物および無機難燃剤の少なくとも1種から選ばれることが好ましい。
(1−1)リン系難燃剤
本発明のポリマーシートは、前記ポリマー支持体に含まれる前記難燃剤が、リン系難燃剤であることが好ましく、有機リン系難燃剤であることがより好ましい。
前記リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、キシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、トリアリルホスフェート等のリン酸エステル系難燃剤、芳香族縮合リン酸エステル等の縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスホニトリル酸フェニルエステル等のホスファゼン化合物、赤リン等が好ましく使用される。また、後述する押出温度を考慮すると、沸点や熱分解温度が400℃程度以上の難燃剤が好ましく、工業的に入手が容易なトリフェニルホスフェート、縮合リン酸エステル等が好適である。
・トリメチルホスフェート(商品名TMP、大八化学工業株式会社製、三工社製);
・トリエチルホスフェート(商品名TEP、大八化学工業株式会社製);
・トリブチルホスフェート(商品名TBP、大八化学工業株式会社、日本化学工業株式会社製);
・トリオクチルホスフェート(商品名TOP、大八化学工業株式会社製);
・トリブトキシエチルホスフェート(商品名TBXP、大八化学工業株式会社製);
・オクチルジフェニルホスフェート(商品名41、大八化学工業株式会社製);
・トリクレジルホスフェート(商品名TCP、大八化学工業株式会社、三菱江戸川化学株式会社、保土谷化学工業株式会社、協和発酵社製);
・クレジルジフェニルホスフェート(商品名CDP、大八化学工業株式会社製);
・トリフェニルホスフェート(商品名TPP、大八化学工業株式会社製);
・味の素社製「レオフォス35、50、65、90、110、レオフォスBAPP、クロニテックスTCP、クロニテックスTXPクロニテックスCDP」;
・大八化学工業社製「CR−733S、CR−741、CR−747、PX−200」;
・互応化学工業(株)製プラコート「Z−900」などを挙げることができる。さらに、特開2010−6965号公報の段落0031〜0048に記載の化合物、特開平10−045946号公報および特開平10−195236号公報に記載のリン系化合物などが挙げられる。
・トリス(クロロエチル)ホスフェート(商品名TCEP、大八化学工業株式会社製)、(商品名CLP、日本化学工業株式会社製);
・トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート(商品名TDCPP、大八化学工業株式会社製)、(商品名3PX、日本油脂株式会社製);
・トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート(商品名CRP、大八化学工業株式会社製)、(商品名3PC、日本油脂株式会社製);
・トリス(2,3−ジプロモプロピル)ホスフェート(商品名ファイアーマスターT−23P、ミシガンケミカル製)、(商品名CR−900、大八化学工業株式会社製);
・トリス(プロモクロロプロビル)ホスフェート(商品名ファイアーガード1000、帝人化成株式会社製)
・ビス(2,3−クロロプロピル)2,3−ジクロロプロピルホスフェート、大八化学工業株式会社製);
・ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート(商品名CR−8、大八化学工業株式会社製);
・ポリホスホネート(商品名ホスガードC−22R、大八化学工業株式会社);
・ポリホスフェート(商品名ホスガード2XC20、モンサント製);
・ポリホスフェート(商品名Fyroll99、ストウファーケミカル製);
・ポリホスフェート(商品名CR−505、大八化学工業株式会社製);
・芳香族ポリホスフェート(商品名CR−720、大八化学工業株式会社製);
・塩素化パラフィン(商品名塩パラ、東洋曹達株式会社、味の素株式会社製);
・塩素化ポリエチレン(商品名エラスレン、ダイソラックCPE、昭和電工株式会社、大阪曹達株式会社、ダウケミカル製);
・パークロロペンタシクロデカン(商品名デクロランプラス、フッカーケミカル製);
・テトラプロムエタン(商品名TBE、帝人化成株式会社製);
・テトロプロムブタン(商品名TBB、帝人化成株式会社製);
・TBA誘導体(商品名HB、帝人化成株式会社製);
・ヘキサプロムシクロドデカン(商品名HBCD、BASF製);
・ヘキサプロモベンゼン(商品名HBB)などを挙げることができる。
前記ハロゲン系難燃剤としては、上述の含ハロゲンリン酸エステルの他、
・PBDEなどのPBDE系;
・TBBA、TBBAエポキシ、TBBA−PC、TBBA−DBPなどのTBBA系;
・ビス(ペンタブロモフェニール)エタン、1,2ビス(2,4,6トリブロモフェノキシ)エタン、2,4,6トリス(2,4,6トリブロモフェノキシ)1,3,5トリアジン、2,6oまたは2,4ジブロモフェノール、ホモポリマーなどの多ベンゼン系;
・臭素化PS,ポリ臭素化PSなどの臭素化PS系;
・エチレンビステトラブロモフタールイミドなどのフタール酸系;
・HBCDなどの環状脂肪族系;
・HBB(ペンタブロモベンジールアクリレート);
・塩化パラジウム、デクロラン、クロレンド酸、無水クロレンド酸などの塩素系の難燃剤を挙げることができる。
前記メラミン系難燃剤としては、メラミンシアニュレートなどを挙げることができる。
前記無機難燃剤としては、水酸化物系難燃剤(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど)、アンチモン化合物、硼酸亜鉛、錫酸亜鉛、Mo化合物、ZrO、硫化亜鉛、ゼオライト、酸化チタン、ナノフィラー(MMT、ナノ水和金属化合物、シリカ)などを挙げることができる。
前記無機難燃剤としては、水酸化物系難燃剤が好ましく、水酸化マグネシウムがより好ましい。
前記シリコーン系難燃剤としては、公知のシリコーン系難燃剤を用いることができる。その中でもフェニル基含有シリコーン系難燃剤が好ましい。本発明では、例えば、信越化学工業社製KR−511(商品名)、メチルフェニル系シリコーンオリゴマー(フェニル基含有量50モル%前後)や、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製Z6800(商品名)、トリフェニルシラノール(フェニル基含有量100モル%)などを好ましく用いることができる。
上記の難燃剤成分と併用することができるその他の添加剤として、本発明の特徴及び効果を損なわない範囲で必要に応じて他の附加的成分、例えば、耐熱性や機械強度の向上ため、カーボンフィラー、ガラスフィラー、タルク、マイカ等の無機充填材、押出成形性向上のため、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤(オイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、難燃性向上のため、難燃助剤、耐久性改良のため、耐候(光)性改良剤、造核剤及び各種着色剤を添加してもよい。
前記ポリマー支持体としては、PET、PEN、PBTなどのポリエステル;ポリフェニレンエーテル;ポリプロピレン、ポリエチレン、環状オレフィン共重合体などのポリオレフィン;セルロースアシレート;ポリカーボネート;アクリル;ポリスチレン;又はポリフッ化ビニルなどのフッ素系ポリマー等が挙げられる。前記ポリマー支持体は、フィルム状でもシート状でもよい。これらの中では、本発明のポリマーシートは、コストや機械強度などの点から、前記ポリマー支持体が、結晶性ポリマーを含むことが好ましい。前記結晶性ポリマーとしては、ポリエステル系結晶性ポリマーが好ましい。一方、本発明のポリマーシートは、難燃性の観点から、ポリフェニレンエーテルや環状オレフィン共重合体などの特定のポリオレフィンが好ましいが、前記ポリマー支持体に難燃剤を添加して難燃性を改善してもよい。
本発明のポリマーシートは、前記ポリマー支持体がポリエステル支持体であることがより好ましい。
本発明におけるポリマー支持体として用いられるポリエステルとしては、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルであることが好ましい。かかるポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのフィルム又はシートを挙げることができる。このうち、力学的物性やコストのバランスの点で、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましく、本発明のポリマーシートは、前記ポリマー支持体がポリエチレンテレフタレートであることがより特に好ましい。
ポリエステル中のカルボキシル基含量は、重合触媒種、製膜条件(製膜温度や時間)により調整することが可能である。特に、ポリマー支持体をフィルム状に製膜する前の固相重合条件によって制御することが好ましい。
カルボキシル基含量(AV)は、H. A. Pohl, Anal. Chem. 26 (1954) 2145に記載の方法に従い、測定することができる。具体的には、目的とするポリエステルを粉砕し、60℃の真空乾燥機で30分乾燥する。次に、乾燥直後のポリエステルを、0.1000g秤量し、5mlのベンジルアルコールを添加後、205℃で2分間、加熱攪拌溶解する。溶解液を、冷却後、15mlのクロロホルムを加え、指示薬としてフェノールレッドを用い、アルカリ基準液(0.01N KOH−ベンジルアルコール混合溶液)で、中和点(pH=7.3±0.10.1)まで滴定し、その適定量から算出する。
ポリフェニレンエーテルまたはポリオレフィンを主成分とする支持体は、難燃性や湿熱経時後の強度が、ポリエステル支持体よりも良好である。本明細書中、支持体の主成分とは、支持体を構成するポリマーのうち50質量%を超えて含まれる成分のポリマーのことを言う。前記ポリフェニレンエーテルまたはポリオレフィンを主成分とする支持体は、ポリフェニレンエーテルまたはポリオレフィンが支持体を構成するポリマーの70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
前記ポリフェニレンエーテルまたはポリオレフィンを主成分とする支持体は、フィルム状でもシート状でもよい。
さらにポリフェニレンエーテルは単位骨格中に芳香族環と酸素原子を有しているため、燃焼時に炭化層を形成させやすく、また、活性水素の存在によりラジカル捕捉能を有し、分子鎖の切断を抑制しやすいという特徴から、溶融樹脂の滴下(ドリップ)を発生させることがなく、難燃性に優れた樹脂である。
本発明のポリマーシートに支持体として用いられるポリフェニレンエーテルは、必要に応じて、ポリフェニレンエーテルにスチレン系化合物を共重合した樹脂であってもよい。この具体的には、ポリフェニレンエーテルとスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等の共重合体が挙げられるが、特にスチレンを共重合したものがよく用いられる。
また、ポリフェニレンエーテルを公知の方法で合成したポリマーも本発明のポリマーシートの支持体として用いることができる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテルに上述の成分を加えて形成されてもよいが、あらかじめ上述の成分が混合されている市販品を購入して使用しても構わない。商業的に入手可能なポリフェニレンエーテル系樹脂組成物としては、SABICイノベーションプラスチックス社より商品名「ノリルPX9406」「ノリルLTA1350」「ノリルN300」として、旭化成ケミカルズ社より商品名「ザイロン540Z」「ザイロン640Z」「ザイロン740Z」として、三菱エンジニアリングプラスチックス社より「ユピエースLN91」「ユピエースAN70」「ユピエースAH90」「ユピエースTX903B」「レマロイBX528−A3」として、それぞれ販売されており入手可能である。その中でも、SABICイノベーションプラスチックス社製「ノリルN300」を好ましく用いることができる。
前記ポリオレフィンとしては、ポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレンなどが挙げられる。その中でも、ポリプロピレンが好ましい。
付加重合およびそれにより得られる環状オレフィン系樹脂としては、例えば、特許3517471号公報、特許3559360号公報、特許3867178号公報、特許3871721号公報、特許3907908号公報、特許3945598号公報、特表2005−527696号公報、特開2006−28993号公報、特開2006−11361公報、国際公開WO2006/004376号公報、国際公開WO2006/030797号公報パンフレットに記載されているものが挙げられる。中でも、特許3517471号公報に記載のものが特に好ましい。
開環重合およびそれにより得られる環状オレフィン系樹脂としては、国際公開WO98/14499号公報パンフレット、特許3060532号公報、特許3220478号公報、特許3273046号公報、特許3404027号公報、特許3428176号公報、特許3687231号公報、特許3873934号公報、特許3912159号公報に記載のものが挙げられる。中でも、国際公開WO98/14499号公報パンフレット、特許3060532号公報に記載のものが特に好ましい。
これらの環状オレフィン系樹脂の中でも付加重合によって得られるものが、複屈折の発現性、溶融粘度の観点から好ましく、例えば、「TOPAS #6013」(Polyplastics社製)を用いることができる。
前記環状オレフィン系樹脂の中では、高透明性、複屈折発現性および耐熱性の観点からノルボルネン系樹脂であることがより好ましく、付加重合系のノルボルネン系樹脂であることが特に好ましい。
本発明でいうシンジオタクチックポリプロピレン(以下SPPとも言う)フィルムとは、上述のラセミペンタッド分率が30〜99%であるものである。ラセミペンタッド分率は30〜97%であることが好ましく、70〜85%であることがより好ましい。ラセミペンタッド分率が30%未満の場合は耐熱性が低くなりバックシートとして好ましくない。一方、上限値は、該樹脂を工業的に生産する際の生産性に関わる問題であり、ラセミペンタッド分率が高すぎることによるフィルム特性や本発明のシート特性等の問題は生じないが、現状の触媒技術では99%を超えて高めようとすると重合特性を大きく損なうという問題があり、このましくは97%程度に留めておくことが重合特性を損なわないという観点から好ましい。
また、本発明では、2種以上のポリオレフィンの混合物を用いてもよく、その場合は2種以上のポリオレフィンの混合物を用いることが好ましい。前記ポリオレフィンの混合物は、シンジオタクチックポリプロピレンとアイソタクチックホモポリプロピレンを混合したものでもよい。前記ポリオレフィンの混合物中におけるシンジオタクチックポリプロピレンの含有量は、40〜100重量%であることが好ましく、70〜90重量%であることがより好ましい。
本発明に使用可能なセルロースアシレート系樹脂の例には、セルロース単位中の3個の水酸基が、少なくとも一部がアシル基で置換されたいずれのセルロースアシレートも含まれる。当該アシル基(好ましくは炭素数3〜22のアシル基)は、脂肪族アシル基および芳香族アシル基のいずれであってもよい。中でも、脂肪族アシル基を有するセルロースアシレートが好ましく、炭素数3〜7の脂肪族アシル基を有するものがより好ましく、炭素数3〜6の脂肪族アシル基を有するものがさらに好ましく、炭素数は3〜5の脂肪族アシル基を有するものがよりさらに好ましい。これらのアシル基は複数種が1分子中に存在していてもよい。好ましいアシル基の例には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基などが含まれる。これらの中でも、さらに好ましいものは、アセチル基、プロピオニル基およびブチリル基から選択される1種または2種以上を有するセルロースアシレートであり、よりさらに好ましいものは、アセチル基およびプロピオニル基の双方を有するセルロースアシレート(CAP)である。前記CAPは、樹脂の合成が容易であること、押し出し成形の安定性が高いこと、の点で好ましい。
式(S−1) 2.0≦X+Y≦3.0
式(S−2) 0.25≦Y≦3.0
前記式(S−1)および(S−2)中、Xはセルロースの水酸基に対するアセチル基の置換度を表し、Yはセルロースの水酸基に対するアシル基の置換度の総和を表す。本明細書でいう「置換度」とは、セルロースの2位、3位および6位のぞれぞれの水酸基の水素原子が置換されている割合の合計を意味する。2位、3位および6位全ての水酸基の水素がアシル基で置換された場合は置換度が3となる。
さらに、下記式(S−3)および(S−4)を満足するセルロースアシレートを用いるのがより好ましい。
式(S−3)2.3≦X+Y≦2.95
式(S−4)1.0≦Y≦2.95
下記式(S−5)および(S−6)を満足するセルロースアシレートを用いるのがさらに好ましい。
式(S−5)2.7≦X+Y≦2.95
式(S−6)2.0≦Y≦2.9
本発明に使用可能なポリカーボネート系樹脂として、ビスフェノールA骨格を有するポリカーボネート樹脂が挙げられ、ジヒドロキシ成分とカーボネート前駆体とを界面重合法または溶融重合法で反応させて得られるものであり、例えば、特開2006−277914号公報、特開2006−106386号公報、特開2006−284703号公報記載のものが好ましく用いることができる。例えば、市販品として、「タフロンMD1500」(出光興産社製)を用いることができる。
本発明に使用可能なスチレン系樹脂とは、主成分としてスチレン及びそれらの誘導体を重合して得られる樹脂及び、その他の樹脂の共重合体を指し、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知のスチレン系熱可塑性樹脂等を用いることができ、特に複屈折、フィルム強度、耐熱性を改良できる、共重合体樹脂が好ましい。
共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、スチレン-アクリル系樹脂、スチレン−無水マレイン酸系樹脂、あるいはこれらの多元(二元、三元等)共重合ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン−アクリル系樹脂やスチレン−無水マレイン酸系樹脂が耐熱性・フィルム強度の観点から好ましい。
前記スチレン−無水マレイン酸系樹脂は、スチレンと無水マレイン酸との質量組成比が、スチレン:無水マレイン酸=95:5〜50:50であることが好ましく、スチレン:無水マレイン酸=90:10〜70:30であることがより好ましい。また、固有複屈折を調整するため、スチレン系樹脂の水素添加を行うことも好ましく利用できる。
前記スチレン−無水マレイン酸系樹脂としては、例えば、ノバケミカル社製の「Daylark D332」などが挙げられる。
また、スチレン−アクリル系樹脂としては、後述する、旭化成ケミカル社製の「デルペット980N」などを用いることができる。
本発明に使用可能なアクリル系樹脂とは、主成分として、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体を重合して得られる樹脂、およびさらにその誘導体のことをいい、公知のメタクリル酸系熱可塑性樹脂等を用いることできる。
アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体を重合して得られる樹脂としては、例えば、下記一般式(2)で表される構造のものを挙げることができる。
前記アクリル系共重合体樹脂の中でも、樹脂を構成する全モノマー中、MMA単位(モノマー)を30モル%以上含むものが好ましく、MMA以外に、ラクトン環単位、無水マレイン酸単位、グルタル酸無水物単位の少なくとも1種の単位を含むことがより好ましく、例えば下記のものを使用できる。
特開2007−297615号、特開2007−63541号、特開2007−70607号、特開2007−100044号、特開2007−254726号、特開2007−254727号、特開2007−261265号、特開2007−293272号、特開2007−297619号、特開2007−316366号、特開2008−9378号、特開2008−76764号の各公報に記載のものを使用できる。この中でより好ましいのが特開2008−9378号公報に記載の樹脂である。
(ii)無水マレイン酸単位を含むアクリル樹脂
特開2007−113109号、特開2003−292714号、特開平6−279546号、特開2007−51233号(ここに記載の酸変性ビニル)、特開2001−270905号、特開2002−167694号、特開2000−302988号、特開2007−113110号、特開2007−11565号各公報に記載のものを使用できる。この中でより好ましいのが、特開2007−113109号公報に記載のものである。また市販のマレイン酸変性MAS樹脂(例えば旭化成ケミカルズ(株)製デルペット980N)も好ましく使用できる。
(iii)グルタル酸無水物単位を含むアクリル樹脂
特開2006−241263号、特開2004−70290号、特開2004−70296号、特開2004−126546号、特開2004−163924号、特開2004−291302号、特開2004−292812号、特開2005−314534号、特開2005−326613号、特開2005−331728号、特開2006−131898号、特開2006−134872号、特開2006−206881号、特開2006−241197号、特開2006−283013号、特開2007−118266号、特開2007−176982号、特開2007−178504号、特開2007−197703号、特開2008−74918号、国際公開WO2005/105918等各公報に記載のものを使用できる。この中でより好ましいのが特開2008−74918号公報に記載のものである。
これらの樹脂のガラス転移温度(Tg)は106℃〜170℃が好ましく、より好ましくは110℃〜160℃、さらに好ましくは115℃〜150℃である。
前記ポリマー支持体の製膜方法については特に制限はないが、例えば以下の方法で製膜することが好ましい。また、一度製膜したフィルムを延伸や熱緩和してもよい。
さらに、本発明における前記ポリエステル支持体は、延伸後に熱処理を行なって製膜されてなることが、耐加水分解性の向上と、熱収縮率を制御する観点から好ましい。前記熱処理は150〜230℃であることが好ましく、より好ましくは180〜225℃、さらに好ましくは190〜215℃である。また、熱処理時間は、好ましくは2〜60秒、より好ましくは5〜40秒、さらに好ましくは10〜30秒である。
なお、MD方向とTD方向の熱緩和率は、同時二軸延伸機や、MD収縮可能なTD延伸機を用いることで、独立に制御することができるため、ポリマー支持体の熱収縮率が第1の方向と第2の方向で異なる範囲となるように制御することができる。
ポリマー支持体(特にポリエステル支持体)の厚みは、25〜300μm程度が好ましい。厚みは、25μm以上であると力学強度が良好であり、300μm以下であるとコスト的に有利である。
特にポリエステル支持体は、ポリエチレンテレフタレート支持体であり、厚みが120μm以上300μm以下であって、かつポリエステル中のカルボキシル基含量が2〜25当量/tである場合に、より湿熱耐久性の向上効果が奏される。
ポリマー支持体は、コロナ処理、火炎処理、低圧プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、又は紫外線処理により表面処理が施された態様が好ましい。これらの表面処理を施すことで、湿熱環境下に曝された場合の接着性をさらに高めることができる。中でも特に、コロナ処理を行なうことで、より優れた接着性の向上効果が得られる。
これらの表面処理は、ポリマー支持体(例えばポリエステル支持体)表面にカルボキシル基や水酸基が増加することにより接着性が高められるが、架橋剤(特にカルボキシル基と反応性の高いオキサゾリン系もしくはカルボジイミド系の架橋剤)を併用した場合により強力な接着性が得られる。これは、コロナ処理による場合により顕著である。したがって、特にポリマー支持体のポリマー層が形成される側の表面がコロナ処理されていることが好ましい。
本発明のポリマーシートは、前記ポリマー支持体の一方の面上に配置され、シリコーン系ポリマーを含有する第1のポリマー層を有し、前記ポリマー支持体、前記第1のポリマー層および前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層が、各ポリマー層中の全バインダーに対して難燃剤を1質量%〜30質量%含有する。
以下、前記第1のポリマー層を構成する各成分について詳述する。
本発明における前記第1のポリマー層は、シリコーン系ポリマーを含有する。前記シリコーン系ポリマーとは、分子鎖中に(ポリ)シロキサン構造を有するポリマーの少なくとも一種を含有するもののことを言う。このシリコーン系ポリマーを含有することにより、ポリマー支持体や後述する第2のポリマー層などの隣接材料との湿熱経時後の接着性に優れる。
中でも、調製が容易なこと及び耐加水分解性に優れる点から、ビニル系重合体及びポリウレタン系重合体が好ましく、ビニル系重合体が特に好ましい。
なお、非シロキサン系構造単位を構成する重合体は、一種単独でもよいし、2種以上の併用であってもよい。
前記(ii)の方法で用いられるシラン化合物としては、各種シラン化合物が挙げられるが、アルコキシシラン化合物が特に好ましい。
また、前記(ii)の方法により前記シリコーン系ポリマーを調製する場合、例えば、前駆ポリマーとアルコキシシラン化合物の混合物に、水とシラノール縮合触媒を添加して、20〜150℃程度の温度で30分〜30時間程度(好ましくは50〜130℃で1〜20時間)加水分解縮合を行なうことにより調製することができる。
上記範囲の中では、前記第1のポリマー層の表面強度の観点から、0.5g/m2〜10.0g/m2の範囲が好ましく、1.0g/m2〜5.0g/m2の範囲がより好ましい。
本発明のポリマーシートは、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層の前記難燃剤の含有量が、各ポリマー層中の全バインダーに対して1〜25質量%であることがより好ましく、2質量%〜20質量%であることが特に好ましい。
前記第1のポリマー層に用いることができる難燃剤の種類としては、前記ポリマー支持体に用いることができる難燃剤と同様であり、その中でも有機リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機難燃剤が好ましい。前記第1のポリマー層に用いることができる前記難燃剤の好ましい範囲は、前記ポリマー支持体に用いることができる難燃剤の好ましい範囲と同様である。
前記第1のポリマー層には着色顔料を添加することが好ましい。着色に用いる顔料としては、白色顔料、黒色顔料等が好ましく挙げられる。白色顔料としては、特に限定されるものではないが、例えば炭酸カルシウム、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸鉛、硫酸バリウム、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン等を使用することができる。
酸化チタンとしては、ルチル型の方がアナターゼ型よりも光線を長時間ポリエステルフィルムに照射した後の黄変が少なく、色差の変化を抑制するのに適していることから好ましい。
上記白色顔料の中でも、安定性、非重金属化合物の点から、ルチル型酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよび二酸化珪素からなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機微粒子が好ましく、硫酸バリウム、ルチル型酸化チタンがより好ましい。
硫酸バリウムは、物理的にも化学的にも安定であり、可視光線のほぼ全領域にわたって99%以上の反射率を示す良好な白色素材であり、白色の基準として用いられる物質である。また、着色化性、隠蔽性の高い材質であり、効率的に白色化が行われ、太陽電池用バックシートとして光線反射性の効果が高い。
また、黒色顔料としては、特に限定されるものではないが、カーボンブラック、黒色酸化鉄などが用いられ、中でも、長期安定性などの観点からカーボンブラックが好ましく用いられる。その他の色(青色、赤色、黄色など)を発現させるためには、染料や顔料を添加させること上述した樹脂に添加することが挙げられるが、長期安定性の観点から顔料の添加のほうが好ましい。
本発明のポリマーシートは、前記第1のポリマー層または前記第2のポリマー層が、少なくとも一種のシランカップリング剤またはその加水分解物を含有することが好ましい。シランカップリング剤を添加することが前記ポリマー層間の密着性を改善する観点から好ましい。前記シランカップリング剤としては、アルコキシシラン化合物が好ましく、例えば、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシランなどが挙げられる。中でも、トリアルコキシシランが好ましく、特にアミノ基を有するアルコキシシラン化合物が好ましい。
紫外線吸収剤としては、紫外光を吸収して熱エネルギーに変換する化合物、フィルム等が紫外光を吸収、分解した際に発生したラジカルを捕捉し分解連鎖反応を抑制する材料などが挙げられる。これらの化合物を含有することで、長期間継続的に曝光下におかれた場合でも、強度劣化や剥離、色調変化等が防止される。
具体的には、例えば、サリチル酸系の紫外線吸収剤として、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられる。
シアノアクリレート系の紫外線吸収剤として、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート)等が挙げられる。
トリアジン系の紫外線吸収剤として、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等が挙げられる。
ヒンダードアミン系の紫外線安定剤として、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物等が挙げられる。
そのほか、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、及び2,4−ジ・t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどを挙げることができる。
前記紫外線吸収剤の含有量が前記第1のポリマー層の全バインダーに対して2体積%以上であると、長期経時による劣化に伴う支持体のひび割れや塗布形成等された層の剥離などを抑止でき、例えば塗布形成された塗布層等の密着力低下を抑止することができる。また、前記紫外線吸収剤の含有量が前記第1のポリマー層の全バインダーに対して100体積%以下であると、塗布面状や湿熱経時後の接着性の点で有利である。
紫外線吸収剤の含有量(体積%)=紫外線吸収剤の体積/全バインダー体積
また、紫外線吸収剤やバインダーの体積は測定してもよいが、それぞれ紫外線吸収剤の体積は紫外線吸収剤質量/紫外線吸収剤比重を、バインダーの体積はバインダー質量/バインダー比重を計算して求めてもよい。
前記紫外線吸収剤の前記第1のポリマー層中における含有量としては、0.2〜5g/m2の範囲とすることが好ましく、0.3〜4g/m2の範囲とすることがより好ましく、0.3〜3.5g/m2の範囲とすることが特に好ましい。
前記第1のポリマー層中に含むことができる他の成分については、架橋剤、界面活性剤、フィラー等が挙げられる。
前記架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。これらの中でカルボジイミド系及びオキサゾリン系架橋剤が好ましい。カルボジイミド系、オキサゾリン系架橋剤の具体例としては、カルボジイミド系架橋剤としては例えばカルボジライトV−02−L2(日清紡績(株)製)、オキサゾリン系架橋剤の例としては例えばエポクロスWS−700、エポクロスK−2020E(いずれも日本触媒(株)製)などがある。
本発明の太陽電池モジュール用ポリマーシートは、前記第1のポリマー層の架橋剤由来の成分がオキサゾリン系架橋剤およびカルボジイミド系架橋剤から選ばれる少なくとも1種類の架橋剤由来の成分であることが好ましい。
前記ポリマーシートは、前記第1のポリマー層および前記含フッ素系ポリマー層のうち少なくとも一方が、各ポリマー層中の全バインダーに対して3〜30質量%の架橋剤由来の成分を含有することが好ましく、より好ましくは3〜25質量%であり、特に好ましくは4〜20質量%である。架橋剤の添加量は、3質量%以上であると、前記第1のポリマー層の強度及び湿熱経時後の接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、25質量%以下であると、塗布液のポットライフを長く保てる。
フィラーの添加量は、前記第1のポリマー層のバインダーに対し20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。フィラーの添加量が20質量%以下であると、下塗り層の面状がより良好に保てる。
前記第1のポリマー層の1層の厚みとしては、通常は0.3μm〜22μmが好ましく、0.5μm〜15μmがより好ましく、0.8μm〜12μmの範囲が更に好ましく、1.0μm〜10μmの範囲が特に好ましく、1〜8μmの範囲が最も好ましい。ポリマー層の厚みが0.3μm、更には0.8μm以上であることで、湿熱環境下に曝されたときにポリマー層表面から内部に水分が浸透し難く、前記第1のポリマー層とポリマー支持体との界面に水分が到達し難くなることで接着性が顕著に改善される。また、前記第1のポリマー層の厚みが22μm以下、更には12μm以下であると、ポリマー層自身が脆弱になり難く、湿熱環境下に暴露したときにポリマー層の破壊が生じにくくなることで接着性が改善される。
前記第1のポリマー層は、バインダー等を含む塗布液をポリマー支持体上に塗布して乾燥させることにより形成することができる。乾燥後、加熱するなどして硬化させてもよい。塗布方法や用いる塗布液の溶媒には、特に制限はない。
塗布方法としては、例えばグラビアコーターやバーコーターを利用することができる。
塗布液に用いる溶媒は、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトン等の有機溶媒でもよい。溶媒は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。バインダーを水分散した水系塗布液を形成して、これを塗布する方法が好ましい。この場合、溶媒中の水の割合は60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
本発明のポリマーシートは、前記第1のポリマー層上に配置され、シリコーン系ポリマーまたはフッ素系ポリマーを含有する第2のポリマー層を有し、前記ポリマー支持体、前記第1のポリマー層および前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層が、各ポリマー層中の全バインダーに対して難燃剤を1質量%〜30質量%含有する。
前記第2のポリマー層は、前記第1のポリマー層の上に直接設けられていることが好ましい。前記第2のポリマー層は、シリコーン系ポリマーまたはフッ素系ポリマー(含フッ素ポリマー)を主バインダーとして構成される。主バインダーとは、含フッ素ポリマー層において含有量が最も多いバインダーである。その中でも、前記第2のポリマー層はフッ素系ポリマーを含有することが、第2のポリマー層を最外層として用いたときに防汚性を付与することができる観点から、好ましい。以下に第2のポリマー層について具体的に説明する。
第2のポリマー層に用いることができるシリコーン系ポリマーは、前記第1のポリマー層に用いることができるシリコーン系ポリマーと同様であり、好ましい範囲も同様である。
前記第2のポリマー層に用いるフッ素系ポリマーとしては−(CFX1−CX2X3)−で表される繰り返し単位を有するポリマーであれば特に制限はない(ただしX1、X2、X3は水素原子、フッ素原子、塩素原子又は炭素数1から3のパーフルオロアルキル基を示す。)。具体的なポリマーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(以降、PTFEと表す場合がある)、ポリフッ化ビニル(以降、PVFと表す場合がある)、ポリフッ化ビニリデン(以降、PVDFと表す場合がある)、ポリ塩化3フッ化エチレン(以降、PCTFEと表す場合がある)、ポリテトラフルオロプロピレン(以降、HFPと表す場合がある)などがある。
本発明のポリマーシートは、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層の前記難燃剤の含有量が、各ポリマー層中の全バインダーに対して1〜25質量%であることがより好ましく、2質量%〜20質量%であることが特に好ましい。
前記第2のポリマー層に用いることができる難燃剤の種類としては、前記ポリマー支持体に用いることができる難燃剤と同様であり、その中でも有機リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機難燃剤が好ましい。前記第2のポリマー層に用いることができる前記難燃剤の好ましい範囲は、前記ポリマー支持体に用いることができる難燃剤の好ましい範囲と同様である。
前記第2のポリマー層は、有機系滑剤の少なくとも一種を含有することが好ましい。有機系滑剤を含有することで、含フッ素系ポリマーを用いた場合に生じやすい滑り性の低下(すなわち動摩擦係数の上昇)が抑えられるので、引っ掻きや擦過、小石などの衝突などの外力で生じる傷付きやすさが飛躍的に緩和される。また、含フッ素系ポリマーを用いた場合に生じやすい塗布液の面状ハジキを改善することができ、面状が良好な第2のポリマー層を形成することができる。
上記範囲の中では、動摩擦係数低減効果と塗布適性の観点から、1mg/m2〜300mg/m2の範囲がより好ましく、5mg/m2〜200mg/m2の範囲が特に好ましく、10mg/m2〜150mg/m2の範囲がより特に好ましい。
ポリオレフィン系化合物の有機系滑剤として、例えば、三井化学(株)製のケミパールシリーズ(例えば、ケミパールW700、同W900,同W950等)、中京油脂(株)製のポリロンP−502などが挙げられ、
合成ワックス系の有機系滑剤として、例えば、中京油脂(株)製のハイミクロンL−271,ハイドリンL−536などが挙げられ、
天然ワックス系の有機系滑剤として、例えば、中京油脂(株)製のハイドリンL−703−35、セロゾール524、セロゾールR−586などが挙げられ、また、
界面活性剤系の有機系滑剤として、例えば、日光ケミカルズ(株)製のNIKKOLシリーズ(例えば、NIKKOL SCS等)、花王(株)製のエマールシリーズ(例えば、エマール40など)が挙げられる。
本発明のポリマーシートは、前記第1のポリマー層または前記第2のポリマー層が、少なくとも一種のシランカップリング剤またはその加水分解物を含有することが好ましい。シランカップリング剤を添加することが前記ポリマー層間の密着性を改善する観点から好ましい。前記シランカップリング剤としては、アルコキシシラン化合物が好ましく、例えば、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシランなどが挙げられる。中でも、トリアルコキシシランが好ましく、特にアミノ基を有するアルコキシシラン化合物が好ましい。
前記第2のポリマー層は、シランカップリング剤以外のマット剤を有していてもよい。前記マット剤として、酸化チタン、シリカ、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムおよび水酸化アルミニウムから選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
マット剤を含有することで、ポリマー層の滑り性の低下(すなわち動摩擦係数の上昇)をより低減することができる。これにより、引っ掻きや擦過、小石などの衝突など外力を受けて生じる傷付きをより緩和され、耐加水分解性の向上、ひいては耐候性の向上が図れる。このような無機微粒子のマット剤を単独で使用する場合に比べ、前記有機系滑剤を併用すると、ハジキ面状を改良することができる。
前記マット剤の中でもシリカを用いることがより好ましく、コロイダルシリカを用いることが前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層の密着性を大幅に改善できる観点から好ましい。また、コロイダルシリカを用いる場合は、その他の添加剤として後述するアルコキシシラン化合物を併用することがより密着性改善の観点から好ましい。
前記第2のポリマー層には、必要に応じて、架橋剤、界面活性剤等を添加してもよい。
前記第2のポリマー層に用いられる架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。カルボジイミド系架橋剤の例としては例えばカルボジライトV−02−L2(日清紡績(株)製)、オキサゾリン系架橋剤の例としては例えばエポクロスWS−700、エポクロスK−2020E(いずれも日本触媒(株)製)などがある。
塗布方法としては、例えばグラビアコーターやバーコーターを利用することができる。
塗布液に用いる溶媒は、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトン等の有機溶媒でもよい。溶媒は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。ただし、フッ素系ポリマーまたはシリコーン系ポリマー等のバインダー等を水分散した水系塗布液を形成して、これを塗布する方法が好ましい。この場合、溶媒中の水の割合は60質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上である。含フッ素ポリマー層またはシリコーン系ポリマー層を形成する塗布液に含まれる溶媒の60質量%以上が水であれば、環境負荷が小さくなるので好ましい。
本発明のポリマーシートは、ポリマー支持体と前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー以外に他の機能層を有していてもよい。他の機能層として、下塗り層、着色層を設けることができる。
本発明のポリマーシートは、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層が形成されている面の反対側の前記ポリマー支持体の表面上に、第3のポリマー層が配置されたことが好ましい。具体的には、前記ポリマー支持体と後述の着色層との間に第3のポリマー層として下塗り層を設けることが好ましい。以下、第3のポリマー層を下塗り層とも言う。
前記下塗り層の厚みは、厚み2μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.05μm〜2μmであり、更に好ましくは0.1μm〜1.5μmである。厚みが2μm以下であると、面状を良好に保つことができる。また、厚みが0.05μm以上であることにより、必要な接着性を確保しやすい。
前記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレンとアクリル酸またはメタクリル酸からなるポリマー等が好ましい。前記ポリオレフィン樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、アローベースSE−1013N、SD−1010、TC−4010、TD−4010(ともにユニチカ(株)製)、ハイテックS3148、S3121、S8512(ともに東邦化学(株)製)、ケミパールS−120、S−75N、V100、EV210H(ともに三井化学(株)製)などを挙げることができる。その中でも、本発明ではアローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製を用いることが好ましい。
前記アクリル樹脂としては、例えば、ホリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等を含有するポリマー等が好ましい。前記アクリル樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、AS−563A(ダイセルフアインケム(株)製)を好ましく用いることができる。
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等が好ましい。前記ポリエステル樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、バイロナールMD−1245(東洋紡(株)製)を好ましく用いることができる。
これらの中でも、ポリマー支持体および前記着色層との接着性を確保する観点から、アクリル樹脂又はポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。また、これらのポリマーは単独で用いても2種以上併用して用いてもよく、2種以上併用する場合は、アクリル樹脂とポリオレフィン樹脂の組合せが好ましい。
前記下塗り層に用いられる架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。その中でも本発明のポリマーシートは、前記下塗り層における前記架橋剤が、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤およびイソシアネート系架橋剤から選ばれる少なくとも1種以上の架橋剤であることが好ましい。下塗り層に用いることができるカルボジイミド系架橋剤およびオキサゾリン系架橋剤の説明および好ましい範囲は前記白色層に用いることができる各架橋剤の説明および好ましい範囲と同様である。前記イソシアネート系の架橋剤としては、ブロックイソシアネートが好ましく、ジメチルピラゾールでブロックされたイソシアネートがより好ましく、3,5−ジメチルピラゾールでブロックされたイソシアネートが特に好ましい。本発明に好ましく用いられる前記イソシアネート系の架橋剤としては、例えばBaxenden社製のTrixeneシリーズのDP9C/214や、同じくBaxenden社製のBI7986などを挙げることができる。
架橋剤の添加量は、下塗り層を構成するバインダーに対して0.5〜30質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%であり、特に好ましくは3質量%以上15質量%未満である。特に架橋剤の添加量は、0.5質量%以上であると、下塗り層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、30質量%以下であると、塗布液のポットライフを長く保て、15質量%未満であると塗布面状を改良できる。
界面活性剤を添加する場合、その添加量は0.1〜10mg/m2が好ましく、より好ましくは0.5〜3mg/m2である。界面活性剤の添加量は、0.1mg/m2以上であると、ハジキの発生を抑えて良好な層形成が得られ、10mg/m2以下であると、ポリマー支持体前記白色層との接着を良好に行なうことができる。
前記下塗り層は、マット剤の少なくとも一種を含有することが好ましい。マット剤を含有することで、後述する物性やポリマー層の滑り性の低下(すなわち動摩擦係数の上昇)をより低減することができる。
前記ポリマー微粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂等の粒子が好適に挙げられる。また、下塗り層を形成するための塗布液にラテックスを添加することも好ましく、その場合は前記下塗り層がラテックス由来の成分を含有することも好ましい。
これらの中でも、本発明では前記下塗り層がポリマー微粒子およびラテックス由来の成分のうち少なくとも一方を含有することが好ましく、ポリメタクリル酸メチル微粒子、エチルアクリレートラテックスなどを好ましく用いることができる。
前記下塗り層は、弾性率、破断のびが、特定の範囲であることが好ましい。
前記下塗り層は、弾性率50〜500MPaであることが好ましく、100〜250MPaであることがより好ましい。
前記下塗り層は、破断伸びが5〜150%であることがより好ましく、20〜100%であることがより特に好ましい。
下塗り層である前記下塗り層を塗布するための方法や用いる塗布液の溶媒には、特に制限はない。
塗布方法としては、例えばグラビアコーターやバーコーターを利用することができる。
塗布液に用いる溶媒は、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトン等の有機溶媒でもよい。溶媒は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。バインダーを水分散した水系塗布液を形成して、これを塗布する方法が好ましい。この場合、溶媒中の水の割合は60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
また、塗布は、2軸延伸した後のポリマー支持体に塗布してもよいし、1軸延伸後のポリマー支持体に塗布した後に初めの延伸と異なる方向に延伸する方法でもよい。さらに、延伸前の支持体に塗布した後に2方向に延伸してもよい。
本発明のバックシートには、着色層(好ましくは反射層または白色層)が設けられてもよい。この場合、着色層(特に反射層)とポリマー支持体との間に前記第3のポリマー層を設けることにより好適に構成することができる。この場合の着色層は、前記シリコーン系ポリマー(複合ポリマー)以外のポリマー成分と顔料とを少なくとも含み、必要に応じて、さらに各種添加剤などの他の成分を用いて構成することができる。
なお、顔料及び各種添加剤の詳細については、前記第1のポリマー層において用いられる顔料および各種添加剤と同様である。複合ポリマー以外のポリマー成分については、特に制限はなく適宜目的等に応じて選択することができる。
前記白色層は白色顔料を含有させて形成することができる。すなわち、本発明のポリマーシートは、前記第3のポリマー層の上に、白色顔料を含有する第4のポリマー層が配置されたことが好ましい。白色層は、必要に応じて、さらに各種添加剤などの他の成分を含んで構成されてもよい。封止材に対する剥離力が5N/cm以上であることが好ましい。
前記着色層にはポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂から選ばれる1種以上のポリマーをバインダーとして用いることが、太陽電池モジュールの封止材として用いられているEVAなどに対する接着性を5N/cm以上にできる観点から好ましい。中でも耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィンが好ましい。
前記白色層は、前記バインダーとして、水系のラテックス由来のバインダーを含むことがより好ましい。
前記着色層の、太陽電池モジュールの封止材として用いられているEVAに対する接着性は5N/cm以上であることが好ましく、30N/cmを超えることが好ましく、50〜150N/cmであることがより好ましい。
本発明における白色層は、白色顔料の少なくとも一種を含有することができる。
白色顔料としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、コロイタルシリカ等の無機顔料、中空粒子等の有機顔料が好ましい。
ここで、各ポリマー層における顔料の体積分率は、以下の式で計算できる。
顔料の体積分率(%)=顔料の体積/(バインダー体積+顔料の体積)
また、顔料やバインダーの体積は測定してもよいが、それぞれ顔料の体積は顔料質量/顔料比重を、バインダーの体積はバインダー質量/バインダー比重を計算して求めてもよい。
光反射率が75%以上であると、セルを素通りして内部に入射した光を効果的にセルに戻すことができ、発電効率の向上効果が大きい。白色顔料の含有量を例えば2.5〜30g/m2の範囲で制御することにより、光反射率を75%以上に調整することができる。
本発明においては、前記白色層が、前記ポリマー間を架橋する架橋剤由来の構造部分を有していることが好ましい。
また、オキサゾリン基を有する化合物として、エポクロスK2010E、同K2020E、同K2030E、同WS−500、同WS−700(いずれも日本触媒化学工業(株)製)等も利用できる。
架橋剤の添加量は、層中のバインダー当たり5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。架橋剤の添加量は、5質量%以上であると、着色層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、50質量%以下であると、塗布液のポットライフを長く保てる。
前記界面活性剤としては、アニオン系やノニオン系等の公知の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤を添加する場合、その添加量は0.1〜15mg/m2が好ましく、より好ましくは0.5〜5mg/m2である。界面活性剤の添加量は、0.1mg/m2以上であると、ハジキの発生を抑えて良好な層形成が得られ、15mg/m2以下であると、接着を良好に行なうことができる。
前記着色層の形成は、顔料を含有するポリマーシートを貼合する方法、基材形成時に着色層を共押出しする方法、塗布による方法等により行なえる。具体的には、ポリマー支持体の表面に後述の下塗り層を介して、貼合、共押出し、塗布等することにより白色層を形成することができる。
上記のうち、塗布による方法は、簡便であると共に、均一性で薄膜での形成が可能である点で好ましい。
塗布液は、塗布溶媒として水を用いた水系でもよいし、トルエンやメチルエチルケトン等の有機溶媒を用いた溶剤系でもよい。中でも、環境負荷の観点から、水を溶媒とすることが好ましい。塗布溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。バインダーを水分散した水系塗布液を形成して、これを塗布する方法が好ましい。この場合、溶媒中の水の割合は60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
さらに、前記着色層が、塗布で形成されてなることがより好ましい。例えば、着色層が水系の塗布型であることは、太陽電池用保護シートの各ポリマー層全体に対する残留溶媒量が1000ppm以下であることにより確認することができる。太陽電池用保護シートの各ポリマー層全体に対する残留溶媒量は、500ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であること特に好ましい。
本発明のポリマーシートは、上記のように、ポリマー支持体の上に本発明における第1のポリマー層および第2のポリマー層を形成することができる方法であればいずれの方法により作製されてもよい。
本発明のポリマーシートは、太陽電池モジュール用バックシートとして好ましく用いることができる。
本発明のポリマーシートは、太陽光が入射する側に配置された透明性の基材(ガラス基板等のフロント基材)と、素子構造部分(太陽電池素子及びこれを封止する封止剤を含む)と、太陽電池用バックシートとが積層された「透明性のフロント基材/素子構造部分/バックシート」の積層構造を有する太陽電池において、フロント基材とバックシートとのいずれに適用されてもよい。ここで、バックシートは、電池側基板の素子構造部分からみてフロント基材が位置していない側に配置された裏面保護シートである。
本明細書中において、太陽光が入射する側に配置された透明性の基材の上に素子構造部分が配置された「透明性のフロント基材/素子構造部分」の積層構造を有する電池部分を「電池側基板」という。
本発明の太陽電池モジュールは、既述の本発明のポリマーシートを太陽電池モジュール用バックシートとして設けて構成されている。本発明の太陽電池モジュールは、既述した本発明の太陽電池モジュール用バックシートを備えることにより、耐候性が良好であって湿熱環境下で経時させたときにバックシートの各層間で剥離が抑制され、太陽電池モジュールの封止材に貼り合わせて湿熱環境下で経時させたときに封止材との間で剥離が抑制される。これにより、優れた耐候性能を示し、長期に亘り安定した発電性能を発揮する。
(PET−1支持体の作製)
−ポリエステルの合成−
高純度テレフタル酸(三井化学(株)製)100kgとエチレングリコール(日本触媒化学工業(株)製)45kgのスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に、4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行った。その後、得られたエステル化反応生成物123kgを重縮合反応槽に移送した。
上記で得られたペレットを、40Paに保たれた真空容器中、220℃の温度で30時間保持して、固相重合を行った。
以上のように固相重合を経た後のペレットと、該ペレットに対して3質量%の難燃剤N−1(レオフォスBAPP、味の素(株)製、縮合リン系難燃剤)とを、2軸押出機を用いて280℃で溶融して押し出した。なお2軸押出機は2箇所にベントが設けられたシリンダー内に下記構成のスクリューを備え、シリンダーの周囲には長手方向に温度制御を行うことができるヒーター(温度制御手段)を備えたダブルベント式同方向回転噛合型の二軸押出機を用いた。溶融押し出した樹脂を金属ドラムの上にキャストし、厚さ約2.5mmの未延伸ベースを作成した。その後、90℃で縦方向に3.4倍に延伸し、更に120℃で横方向に3.7倍に延伸した。縦、横方向の延伸倍率に対し、それぞれ5%緩和を行った。さらに195℃で2分間熱処理を行った。こうして、厚み250μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体であるPET−1支持体を得た。
PET−1支持体のカルボキシル基含量は14eq/tであった。
PET−1支持体の燃焼性ランクを、以下のUL94−VTM試験法に基づきを評価した。
長さ200mm、幅50mmサイズ(長さ175mm部分に標線)のフィルム試験片を円筒状に巻き、クランプに垂直に取り付け、サンプル直下に綿をおいた。サンプルに20mmの炎を3秒間接炎後の燃焼時間、ドリップによる綿への着火の有無を観察した。消火後、再度3秒間接炎し、その後の燃焼時間、ドリップによる綿への着火の有無を観察した。該試験を10サンプルについて実施した。
PET−1支持体のUL−94の燃焼性ランクはVTM−2であった。
(PET−2支持体の作製)
PET−1支持体の作製において、得られたポリマーのペレットを上記の固相重合処理を行わずに用い、難燃剤N−1を添加しなかった以外はPET−1支持体の場合と同様の方法でベースを形成して、PET−2支持体を得た。
得られたPET−2支持体のカルボキシル基含量は28eq/tであり、UL−94の燃焼性ランクはVTM不合格であった。
(SPP支持体の作成)
特開平2ー274763号公報に従い、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライドおよびメチルアルミノキサンからなる触媒を用いて、水素の存在下でプロピレンの塊状重合法によってシンジオタクチックポリプロピレン{(135℃のテトラリン溶液中で測定した極限粘度が1.39dl/g、メルトフローインデックスが3.2g/10min、示差走査熱量分析で測定した結晶化温度のピーク温度が74.6℃、13C−NMRによって測定されたシンジオタクチックペンタッド分率が78.7%)(H−SPP)}を得た。上記にて得られたシンジオタクチックポリプロピレン80質量部、およびアイソタクチックホモポリプロピレン(三井東圧化学(株)製、JHH−G:MFI 8g/10min)20質量部をブレンドし、40φmm下向きT−ダイ付き押出機により押出機温度210℃、冷却ロール温度30℃で製膜して、厚さが240μmのシンジオタクチックポリプロピレン支持体であるSPP支持体を得た。
得られたSPP支持体のUL−94の燃焼性ランクはVTM−2であった。
(PPE支持体の作製)
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物(SABICイノベーションプラスチックス(株)製、「ノリルN300」)を用い、押出しキャスト法(シリンダー温度を270〜300℃)にて240μmのフィルムを作製し、テンター装置を使用し乾燥機(機内温度180℃)中にてシートに熱処理を施した。こうしてポリフェニレンエーテル支持体であるPPE支持体を得た。
得られたPPE支持体の燃焼性ランクはVTM−0であった。
<難燃剤の分散液の調製>
ダイノミル分散機を用いて、難燃剤N−2の乳化分散液を調製した。
(難燃剤の分散液の組成)
・難燃剤N−2 … 25.8質量部
(プラスコートZ−900、互応化学工業(株)製 リン系難燃剤改質ポリエステル)
・PVA水溶液 … 227.9質量部
(PVA−235、クラレ(株)製、濃度10質量%)
・分散剤 … 5.5質量部
(デモールEP、花王(株)製、濃度25質量%)
・蒸留水 … 740.8質量部
また、N−1、N−3、N−4、N−5(いずれも後述)の分散液は難燃剤の種類を変更した以外は、上記N−2分散液と同様な処方で調製した。
<(1)ポリマー層1の作製>
(1−1)二酸化チタン分散液T−1の調製
ダイノミル分散機を用いて二酸化チタン(体積平均粒径が0.42μm)を分散して、二酸化チタン分散液を調製した。なお、二酸化チタンの平均粒径はハネウェル社製、マイクロトラックFRAを用いて測定した。
(二酸化チタン分散液の組成)
・二酸化チタン … 455.8質量部
(タイペークCR−95、石原産業(株)製、粉体)
・PVA水溶液 … 227.9質量部
(PVA−105、クラレ(株)製、濃度10質量%)
・分散剤 … 5.5質量部
(デモールEP、花王(株)製、濃度25質量%)
・蒸留水 … 310.8質量部
下記の成分を混合し、シリコーン系−1のポリマー層1形成用塗布液を調製した。
(ポリマー層1形成用塗布液の組成)
・ノニオン界面活性剤 … 15.0質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、濃度1質量%)
・シリコーンバインダー … 396.5質量部
(セラネートWSA1070、DIC(株)製、濃度37.4質量%)
・上記二酸化チタン分散液(白色UV吸収剤T−1) … 493.9質量部
・カルボジイミド架橋剤 ・・・49.0質量部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、濃度20質量%)
・オキサゾリン架橋剤 ・・・16.8質量部
(エポクロスWS700、日本触媒(株)製、濃度25質量%)
・上記難燃剤の分散液… 樹脂バインダーに対して下記表1の添加量となるように添加
・蒸留水 … 28.8質量部
上記の製造例1で作成したPET−1支持体の両面に、下記条件でコロナ処理を施した。
・電極と誘電体ロールギャップクリアランス:1.6mm
・処理周波数:9.6kHz
・処理速度:20m/分
・処理強度:0.375kV・A・分/m2
このようにしてPET−1支持体のコロナ処理を施した面に、上記のポリマー層1形成用塗布液を、塗布厚み7μm、バインダー塗布量が3.0g/m2、その他添加剤T−1である二酸化チタン分散液を、塗布量が4.5g/m2となるよう塗布して、175℃で2分間乾燥してポリマー層1を形成した。
(2−1)難燃剤の分散液の調製
ダイノミル分散機を用いて、難燃剤N−1の乳化分散液を調製した。
(難燃剤の分散液の組成)
・難燃剤N−1 … 25.8質量部
(レオフォスBAPP(味の素(株)製、縮合リン系難燃剤)
・PVA水溶液 … 227.9質量部
(PVA−235、クラレ(株)製、濃度10質量%)
・分散剤 … 5.5質量部
(デモールEP、花王(株)製、濃度25質量%)
・蒸留水 … 740.8質量部
下記の成分を混合し、F系のポリマー層2形成用塗布液を調製した。
(ポリマー層2形成用塗布液の組成)
・ノニオン界面活性剤 … 60.0質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、濃度1質量%)
・コロイダルシリカ … 3.9質量部
(スノーテックスUP、日産化学(株)製、濃度20質量%)
・シランカップリング剤 … 78.5質量部
(TSL8340、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアル社製、濃度1質量%)
・カルボジイミド架橋剤 ・・・62.3質量部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、濃度20質量%)
・有機系滑剤 … 207.6質量部
(ケミパールW950、三井化学(株)製、濃度5質量%)
・上記難燃剤の分散液… 樹脂バインダーに対して下記表1の添加量となるように添加
(難燃剤N−1または後述の難燃剤N−3の乳化分散液)
・フッ素系バインダー … 345.0質量部
(オブリガートSW0011F、AGCコーテック(株)製、濃度36質量%)
・蒸留水 … 242.8質量部
上記(1−3)で支持体1の上に形成したポリマー層1の上に、ポリマー層2形成用塗布液をバインダー塗布量が2.0g/m2となるよう塗布して、175℃で2分間乾燥してポリマー層2を形成した。
(3−1)ポリマー層3形成用塗布液の調製
下記の成分を混合し、ポリマー層3形成用塗布液を調製した。
(ポリマー層3形成用塗布液の組成)
・蒸留水 … 874.2質量部
・アクリル樹脂ラテックス … 25.7質量部
(AS−563A、ダイセルファインケム(株)製、濃度28質量%)
・ポリオレフィンバインダー … 35.6質量部
(アローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製、濃度20.2質量%)
・PMMA微粒子 … 10.0質量部
(MP−1000、綜研化学(株)製、濃度5質量%)
・カルボジイミド架橋剤 ・・・24.5質量部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、濃度10質量%)
・オキサゾリン架橋剤 ・・・15.0質量部
(エポクロスWS700、日本触媒(株)製、濃度5質量%)
・ノニオン界面活性剤 … 5.0質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、濃度1質量%)
PET−1支持体のポリマー層1およびポリマー層2が形成された面の反対面に、下記条件でコロナ処理を施した。
・電極と誘電体ロールギャップクリアランス:1.6mm
・処理周波数:9.6kHz
・処理速度:20m/分
・処理強度:0.375kV・A・分/m2
PET−1支持体のコロナ処理を施した面に上記のポリマー層3形成用塗布液をバインダー塗布量が0.124g/m2となるよう塗布して、180℃で2分間乾燥してポリマー層3を形成した。
下記の成分を混合し、ポリマー層4形成用塗布液を調製した。
(ポリマー層4形成用塗布液の組成)
・上記二酸化チタン分散液(ポリマー層1と共通) … 298.5質量部
・ポリオレフィンバインダー … 568.7質量部
(アローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製、濃度20.2質量%)
・ノニオン界面活性剤 … 23.4質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、濃度1質量%)
・オキサゾリン系架橋剤 … 58.4質量部
(エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、濃度25質量%)
・蒸留水 … 51.0質量部
上記(3−2)でPET−1支持体の上に形成したポリマー層3の上に、ポリマー層4形成用塗布液を、塗布厚み7μm、バインダー塗布量が3.1g/m2、二酸化チタン塗布量が5.6g/m2となるよう塗布して170℃で2分間乾燥してポリマー層4を形成した。
このポリマー層4の顔料の体積分率は、二酸化チタン(ルチル型)の比重を4.27とし、ポリマー層4のバインダーの比重を1.0として下記の式で計算した。
顔料体積分率=(5.6/4.27)/{(3.1/1.0)+(5.6/4.27)}*100(%)=30(%)
また、実施例1において、使用した材料の種類と添加量を下記表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜22および比較例1〜5のポリマーシートを作成した。
なお、実施例9は、ポリマー層2の処方に、二酸化チタン分散化液(T−1)を未添加したポリマーシートを作製した。
(実施例15〜22のポリマー層2形成用塗布液の組成)
・ノニオン界面活性剤 … 60.0質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、濃度1質量%)
・コロイダルシリカ … 3.9質量部
(スノーテックスUP、日産化学(株)製、濃度20質量%)
・シランカップリング剤 … 78.5質量部
(TSL8340、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアル社製、濃度1質量%)
・カルボジイミド架橋剤 ・・・62.3質量部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、濃度20質量%)
・有機系滑剤 … 207.6質量部
(ケミパールW950、三井化学(株)製、濃度5質量%)
・難燃剤N−3の乳化分散液…樹脂バインダーに対して、下記表1の添加量となるように添加
(CR−900、大八化学工業(株)ハロゲン系難燃剤)
・シリコーン系バインダー … 333.0質量部
(セラネートWSA1070、DIC(株)製、濃度37.4質量%)
・蒸留水 … 254.8質量部
実施例9〜13および比較例1〜5では、ポリマー支持体として、PET−1支持体の作製において、難燃剤N−1の添加量を下記表1に記載のように変更した以外はPET−1支持体の場合と同様の方法で形成したものを用いた。各実施例および比較例で使用したポリマー支持体のカルボキシル基含量はいずれも14eq/tであり、UL−94の燃焼性ランクを下記表1に記載した。
・難燃剤N−2:プラスコートZ−900、互応化学工業(株)製(リン系難燃剤)
・難燃剤N−3: CR−900、大八化学工業(株)ハロゲン系難燃剤
・難燃剤N−4:アピノン−307、りん酸グアニジンの50質量%水溶液、三和ケミカル(株)製
難燃剤N−5:表面処理した水酸化マグネシウム、商品名「キスマ5AL」、協和化学工業(株)製、無機難燃剤
・白色UV吸収剤T−1:タイペークCR−95、石原産業(株)製、粉体
・シランカップリング剤K−1:アルコキシシラン化合物の1%水溶液(TSL8430、東芝シリコーン(株)製)
耐候性最外層に、上記の難燃剤N−1を耐候性最外層のバインダーに対して10質量%添加した以外は、特開2002−83988号公報の実施例1に準じて、比較例6のポリマーシートを作成した。
コーティングに難燃剤N−1をコーティングのバインダーに対して10質量%添加した以外は、特表2010−519742号公報の実施例1に準じて、比較例7のポリマーシートを作成した。
各実施例及び比較例で作製したポリマーシートについて、以下の評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
得られた各実施例および比較例のポリマーシートの耐候性を以下の方法で評価した。
得られたポリマーシートについて、以下の測定方法により得られた破断伸びの測定値L0及びL1に基づいて、下記式で示される破断伸び保持率(%)を算出した。
破断伸び保持率(%)=L1/L0×100
ポリマーシートを幅10mm×長さ200mmに裁断して、測定用のサンプル片A及びBを用意した。サンプル片Aに対して、25℃、相対湿度60%の雰囲気で24時間調湿した後、テンシロン(ORIENTEC製、RTC−1210A)で引っ張り試験を行なった。なお、延伸されるサンプル片の長さは10cm、引っ張り速度は20mm/分とした。この操作で得られるサンプル片Aの破断伸びをL0とする。
別途、サンプル片Bに対して、120℃、相対湿度100%の雰囲気で50時間湿熱処理した後、紫外線照度90mW/cm2下、20時間で紫外線照射処理後、サンプル片Aと同様にして引っ張り試験を行なった。このときのサンプル片Bの破断伸びをL1とする。
<評価基準>
◎: 破断伸度保持率が75%以上であった。
○: 破断伸度保持率が60%以上75%未満であった。
△: 破断伸度保持率が40%以上60%未満であった。
×: 破断伸度保持率が40%未満であった。
試料を25℃、相対湿度60%の雰囲気で24時間調湿した。この後、120℃、相対湿度100%の条件で80時間経時させた。
JIS K−5400の碁盤目テープ法に準拠し、規定のカッターナイフ、カッターガイドを用いて1mm間隔で試料サンプルの縦横に切れ目を入れ、1mm角の碁盤目を100個つくった。規定のセロハン粘着テープをはりつけ消しゴムでこすって塗膜に付着する。テープを付着後2分後に塗面に直角方向に瞬間的に引き剥がす。100個のます目のうち剥れた碁盤目の数を、下記の評価基準に従って評価した。
<評価基準>
◎: 剥れた碁盤目の数が5個未満であった。
○: 剥れた碁盤目の数が5以上15個未満であった。
△: 剥れた碁盤目の数が15以上30個未満であった。
×: 剥れた碁盤目の数が30以上であった。
得られた各実施例および比較例のポリマーシートのラジアントパネル燃焼性指数を以下の方法で評価した。
得たバックシートを152mm×460mmのサイズで15枚をサンプリングし、IEC 61730−1の規格5.4.3項に従い、ASTM E162−02a "Standard Test METHOD FOR Surface Flammability of Materials Using a Radiant Heat Energy Source"に基づく、ラジンアンドパネル(火炎伝播)試験を行った。ラジンアンドパネル燃焼指数(火炎伝播指数Is)はサンプル上端の接炎箇所から76mm(3インチ)ごとの燃焼時間(燃焼速度)を基に算出された火炎拡散係数Fsと、サンプルの燃焼温度を基に算出された熱放出係数Qの積により求められた。
詳細な測定手順は以下である。ミルボード(厚み13mm)で裏打ちした状態のサンプルをサンプルホルダーに設置し、垂直に設置されたラジンアンドパネル(輻射板)に対して30度傾斜させて照射した。その時バックシートサンプルとラジアンドパネルの距離は、ラジアンドパネルの上部で121mm、下部から367mm離した。アジアンドパネルを予め670℃まで加熱し、バックシートサンプル上部からパイロットバーナーでサンプルに着火させた。サンプルの上部で着火した炎は下方へ広がるが、ラジアンドパネルからの輻射熱が徐々に減少するため、炎の伝播速度が遅くなっていく。その時サンプルサンプル表面が炎が伝わっていく時間を3インチごとに測定し、装置の上部にある排気管の内部温度上昇値を測定した。また、標準燃焼温度としては標準セメントボードを同様な手順で燃焼させ排気管の内部温度上昇値のみを測定した。
結果は表1に記載した。
〈太陽電池モジュールの作成〉
厚さ3mmの強化ガラスと、EVAシート(三井化学ファブロ(株)製のSC50B)と、結晶系太陽電池セルと、EVAシート(三井化学ファブロ(株)製のSC50B)と、各実施例および比較例のポリマーシートとをこの順に重ね合わせ、真空ラミネータ(日清紡(株)製、真空ラミネート機)を用いてホットプレスすることにより、EVAと接着させた。この時、各実施例および比較例のポリマーシートのポリマー層4がEVAシートと接触するように配置した。また、接着方法は、以下の通りである。
このようにして、各実施例および比較例のポリマーシートをバックシートとして用いた、各実施例および比較例の結晶系の太陽電池モジュールを作製した。
<接着方法>
真空ラミネータを用いて、128℃で3分間の真空引き後、2分間加圧して仮接着した。その後、ドライオーブンにて150℃で30分間、本接着処理を施した。
得られた各実施例および比較例の結晶系の太陽電池モジュールのパネル燃焼性を、IEC 61730−2とUL 1703規格の31項に従い、モジュールの火炎燃焼試験を行った。比較例と比べ、本発明のバックシートを用いた太陽電池モジュールは燃え難いことを確認した。
また、比較例1より、ポリマー支持体、第1のポリマー層、第2のポリマー層のいずれにも難燃剤を添加しない場合は、ラジアントパネル燃焼性指数が悪く、太陽電池モジュールに組み込んだときのパネル燃焼性試験結果も悪いことがわかった。比較例2および4より、本発明で規定する範囲の下限値を下回る量の難燃剤をポリマー層または第2のポリマー層に添加した場合は、第1のラジアントパネル燃焼性指数が悪く、太陽電池モジュールに組み込んだときのパネル燃焼性試験結果も悪いことがわかった。比較例3および5より、本発明で規定する範囲の上限値を上回る量の難燃剤をポリマー層または第2のポリマー層に添加した場合は、塗膜が破れ、ポリマーシートとしての体をなさないことがわかった。さらに、比較例6および7より、特開2002−83988号公報および特表2010−519742号公報の実施例に記載の構成のポリマーシートに対して、難燃剤を本発明のポリマーシートと同程度の含有量となるように添加した場合は、湿熱経時後の層間密着性が悪化してしまい、従来公知の構成のポリマーシートに対して難燃剤を添加しただけでは本発明に到達しないことがわかった。
さらに、本発明のポリマーシートのより好ましい態様では、耐候性も改善されることがわかった。
2 第3のポリマー層(下塗り層)
3 第1のポリマー層(含シリコーン系ポリマー層)
4 第2のポリマー層(含フッ素ポリマー層または含シリコーン系ポリマー層)
12 太陽電池モジュール用ポリマーシート(太陽電池モジュール用バックシート)
16 ポリマー支持体
22 封止材
20 太陽電池素子
24 透明性のフロント基板(強化ガラスまたは太陽電池モジュール用ポリマーシート)
10 太陽電池モジュール
Claims (15)
- ポリマー支持体と、
該ポリマー支持体の一方の面上に配置され、シリコーン系ポリマーを含有する第1のポリマー層と、
前記第1のポリマー層上に配置され、シリコーン系ポリマーまたはフッ素系ポリマーを含有する第2のポリマー層を有し、
前記ポリマー支持体、前記第1のポリマー層および前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層が、各ポリマー層中の全バインダーに対して難燃剤を1質量%〜30質量%含有することを特徴とするポリマーシート。 - 前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層に含まれる前記難燃剤が、有機リン系化合物、ハロゲン系化合物および無機難燃剤の少なくとも1種から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のポリマーシート。
- 前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層のうち少なくとも一層の前記難燃剤の含有量が、各ポリマー層中の全バインダーに対して2質量%〜20質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリマーシート。
- 前記ポリマー支持体がUL−94燃焼性試験でVTM−0、VTM−1またはVTM−2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマーシート。
- 前記ポリマー支持体が、前記難燃剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマーシート。
- 前記ポリマー支持体に含まれる前記難燃剤が、有機リン系難燃剤であることを特徴とする請求項5に記載のポリマーシート。
- 前記ポリマー支持体に含まれる前記難燃剤の含有量が、前記ポリマー支持体のバインダーに対して0.1質量%〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のポリマーシート。
- 前記第1のポリマー層に、顔料として二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリンおよびタルクから選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマーシート。
- 前記第1のポリマー層または前記第2のポリマー層が、少なくとも一種のシランカップリング剤またはその加水分解物を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマーシート。
- 前記ポリマー支持体が、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマーシート。
- 前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層が形成されている面の反対側の前記ポリマー支持体の表面上に、第3のポリマー層が配置されたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリマーシート。
- 前記第3のポリマー層の上に、白色顔料を含有する第4のポリマー層が配置されたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリマーシート。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリマーシートを含むことを特徴とする太陽電池モジュール用ポリマーシート。
- 請求項13に記載の太陽電池モジュール用ポリマーシートを含むことを特徴とする太陽電池モジュール用バックシート。
- 太陽光が入射する透明性の基材と、
前記基材上に設けられ、太陽電池素子及び前記太陽電池素子を封止する封止材を有する素子構造部分と、
前記素子構造部分の前記基板が位置する側と反対側に配置された請求項14に記載の太陽電池モジュール用バックシートと、を備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
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