JP2013039041A - 脱穀装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】扱室からの処理物の飛散を防止した脱穀装置を提供する。
【解決手段】扱胴16は、複数の扱歯22を外周に備え、略水平に設けられた回転軸を中心に回転する。扱室15は、扱胴16を収容する。穀稈搬送機構は、扱胴16の回転軸に沿った方向で穀稈を搬送する。また扱歯22は、扁平状に形成され、かつ、扱胴16の回転軸と略平行な方向で隣接する前記扱歯22同士は、V字溝を形成している。また、扱室15内に穀稈の穂先を導入するための供給口25が、当該扱室15の穀稈の搬送方向上流側に形成される。逆流防止部材50は、供給口25を塞ぐように配置されている。そして供給口25は、扱歯22の先端の回転軌跡よりも半径方向外側に形成される。
【選択図】図7
【解決手段】扱胴16は、複数の扱歯22を外周に備え、略水平に設けられた回転軸を中心に回転する。扱室15は、扱胴16を収容する。穀稈搬送機構は、扱胴16の回転軸に沿った方向で穀稈を搬送する。また扱歯22は、扁平状に形成され、かつ、扱胴16の回転軸と略平行な方向で隣接する前記扱歯22同士は、V字溝を形成している。また、扱室15内に穀稈の穂先を導入するための供給口25が、当該扱室15の穀稈の搬送方向上流側に形成される。逆流防止部材50は、供給口25を塞ぐように配置されている。そして供給口25は、扱歯22の先端の回転軌跡よりも半径方向外側に形成される。
【選択図】図7
Description
本発明は、脱穀装置に関する。詳細には、脱穀装置の扱室で発生した被処理物の飛散を防止するための構成に関する。
脱穀装置は、穀稈を脱穀するための扱胴を備える。この扱胴は、円筒状の扱胴本体の外周に、多数の扱歯を配列したものである。従来の脱穀装置では、この扱歯は線材によって構成されていた。しかし、線材からなる扱歯は、穀稈の穂先との衝突頻度が小さく、脱穀の効率が悪いという課題があった。
そこで近年、V字状の溝が形成された板材によって扱歯を形成する構成が提案されている。このような脱穀装置は、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。特許文献1は、この構成により、穀稈を確実に脱穀処理することができるとしている。
特許文献1及び2のように板材からなる扱歯を備えた脱穀装置は、その脱穀効率が高いがゆえに、供給口から供給された穀稈は速やかに脱穀される。従って、供給口の近傍で大量の穀粒や穂切れが発生することになる。この結果、脱穀によって発生した穀粒や穂切れが、供給口から飛び出して(逆流して)しまい、その一部が失われてしまう場合があった。
この点、特許文献2は、逆流防止部材として、供給口の上端側から下方に延設されたゴム板を設ける構成を開示している。特許文献2は、この逆流防止部材により、扱胴側から扱室外への処理物の飛散が防止されるため、脱穀処理の効率が向上するとしている。
ところで、特許文献2に記載されているゴム板(逆流防止部材)は、穀稈の通過時にはその下部が搬送方向に湾曲されるものである。即ち、フィードチェーンによって搬送される穀稈は、ゴム板として構成された逆流防止部材を押し退けるようにしながら、扱室内に供給される。
特許文献2の構成は、ゴム板の扱室側の面が、扱胴に対面するようにして設けられている。このため、穀稈通過時にゴム板が大きく変形すると、当該ゴム板の下端が、扱胴(又は扱歯)に接触してしまうおれがある。回転する扱胴(又は扱歯)にゴム板が接触してしまうと、当該ゴム板が破損するだけでなく、扱胴の回転不良につながるおそれがある。これを防止するために、扱胴とゴム板との距離を大きくとることも考えられるが、その場合は扱室が大きくなってしまう。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、扱室からの処理物の飛散を防止した脱穀装置を提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下の構成の脱穀装置が提供される。即ち、この脱穀装置は、扱胴と、扱室と、穀稈搬送機構と、逆流防止部材と、を備える。前記扱胴は、複数の扱歯を外周に備え、略水平に設けられた回転軸を中心に回転する。前記扱室は、前記扱胴を収容する。前記穀稈搬送機構は、前記扱胴の前記回転軸に沿った方向で穀稈を搬送する。また前記扱歯は、扁平状に形成され、かつ、前記扱胴の前記回転軸と略平行な方向で隣接する前記扱歯同士は、略V字型の溝を形成している。前記扱室内に前記穀稈の穂先を導入するための供給口が、当該扱室の前記穀稈の搬送方向上流側に形成される。前記逆流防止部材は、前記供給口の開口部の少なくとも一部を塞ぐように配置されている。そして前記供給口は、前記扱歯の先端の回転軌跡よりも半径方向外側に形成される。
このように、穂先の供給口を逆流防止部材によって塞ぐことにより、扱室内で発生した穀粒や穂切れなどが供給口を介して扱室の外部に逆流してしまうことを防止できる。しかも、供給口を上記のように形成したので、当該供給口を塞ぐ逆流防止部材は、扱歯の先端よりも半径方向外側に配置される。従って、穀稈が供給口を通過する際に、逆流防止部材が大きく変形したとしても、当該逆流防止部材が扱胴又扱歯に接触してしまうことがない。
上記の脱穀装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記逆流防止部材は、その一端が固定され、他端は自由端とされており、前記自由端が、前記固定されている側の端部よりも前記穀稈の穂先の搬送方向で下流側に配置されている。
このように、逆流防止部材を、穀稈の穂先の搬送方向に対して斜めに配置することで、穀稈の搬送が逆流防止部材によって妨げられることがなくなる。
上記の脱穀装置において、前記逆流防止部材は、弾性体からなることが好ましい。
これにより、穀稈の搬送が逆流防止部材によって妨げられない。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1から図4に示すように、脱穀装置10の側面には、穀稈搬送機構11が配置されている。この穀稈搬送機構11は、穀稈搬送チェーン12と、押圧部材13(図3)と、を主に備えている。
穀稈搬送チェーン12は、図1に示すように、無端環状に構成され、スプロケットの回転によって循環駆動されるように構成されている。押圧部材13は、図3に示すように、穀稈搬送チェーン12の上面に対して押圧されるように構成されている。これにより、図3に示すように、穀稈14の根元部分を、穀稈搬送チェーン12の上面と押圧部材13との間に挟み込んで保持することができる。そして、この状態で穀稈搬送チェーン12を循環駆動することにより、前記穀稈14を所定方向に搬送する構成である。なお以下の説明で、穀稈搬送機構11によって穀稈が搬送される方向を、単に搬送方向と呼ぶ。
脱穀装置10内には、穀稈の脱穀を行う空間である扱室15が形成されている。扱室15内には、回転することにより脱穀を行う扱胴16が配置されている。穀稈14が穀稈搬送機構11によって搬送されることにより、当該穀稈14の穂先14aは、扱室15内を通過する。このとき、回転する扱胴16によって、穀稈14の脱穀が行われる。なお、図4に示すように、穀稈搬送チェーン12は、平面視で扱胴16の回転軸17と略平行に配設されている。従って、穀稈14は、扱胴16の回転軸17に沿うようにして搬送される。
扱胴16による脱穀が完了した穀稈(排藁)は、穀稈搬送機構11の下流側端部において、排藁搬送機構18(図1及び図4)に受け渡される。この排藁搬送機構18は、図4に示すように、排藁搬送チェーン19と、係止搬送ベルト20と、を並列して設けた構成である。排藁搬送チェーン19は、無端環状のチェーンとして構成され、循環駆動されることにより、その下面で排藁の根元部分を搬送するように構成されている。係止搬送ベルト20は、一定間隔でタイン(図略)が配置された無端環状ベルトであり、当該係止搬送ベルト20を循環駆動することにより、穀稈の穂先部分をタインによって係止しつつ搬送する構成である。
図1に示すように、排藁搬送機構18の下方には、排藁処理部21が配置されている。この排藁処理部21は、排藁を細かく切断するための排藁カッター、切断された排藁を機外に排出するための拡散装置などを備えている。排藁搬送機構18によって搬送される排藁は、排藁処理部21に順次投入され、細かく裁断された後、圃場に均一に放出される。
次に、穀稈を脱穀するための構成について詳しく説明する。
扱胴16は、金属板にて略八角形柱状の中空状筒体として構成されており、その回転軸17が装置前後方向に沿って略水平に配置されている。扱胴16の外周には、複数の扱歯22が外向きに突出するように設けられている。
図2等に示すように、扱歯22は、扱胴16の回転軸17と平行な方向に並んで複数設けられている。図5に示すように、各扱歯22は、当該扱歯22同士が並ぶ方向に対して平行な平面を構成するように、扁平な形状に形成されている。また図5に示すように、扱歯22の先端部は、先端に向かって幅が狭まる略V字状に構成されている。従って、隣接する扱歯22同士の間は、先端に向かって幅が広がるV型溝23が形成されている。また、V型溝23の奥には、丸型(又は多角形)の抜き孔24が、前記V型溝23に連通するように形成されている。
穀稈搬送機構11によって扱室15内を搬送される穀稈14は、扱歯22と扱歯22の間の部分(V型溝23及び抜き孔24)に嵌まり込む。この状態で扱胴16が回転することにより、穀稈14は、穂先14aに向けて扱かれる。これにより、穀稈14から穂の部分のみが取られる。なお、このように穀稈14から取られた穂の部分を、穂切れと称する。
なお、本実施形態の扱胴16は、上扱ぎ式に回転するように構成されている。即ち、図3に示すように、穀稈14は上方に向けて扱かれ、当該穀稈14の穂先14aは、扱胴16の上方を通過するように構成されている。
図2に示すように、扱室15の搬送方向上流側の端部には、供給口25が形成されている。穀稈搬送機構11によって搬送される穀稈14の穂先14aは、供給口25を介して、扱室15内に導入される。なお図2に示すように、搬送方向で供給口25よりも上流側には、当該供給口25の下縁部に接続する穂先案内プレート26が配置されている。穀稈14の穂先14aの部分は、穂先案内プレート26の上面によって供給口25まで案内される。この構成により、穀稈14の穂先14aを、扱室15に対して適切に供給することができる。
前記供給口25は、扱室15の天井を構成する天井プレート27の下面と、前記穂先案内プレート26の上面と、によって囲まれた空間として形成されている。図6に示すように、穂先案内プレート26と天井プレート27は、扱胴16の軸線方向で見たときに、扱胴16の外周に沿うように湾曲した形状に形成されている。従って、供給口25は、図6に示すように、扱胴16の軸線方向で見たときに当該扱胴16の外周に沿って湾曲した形状となっている。この構成により、穀稈14の穂先14aは、扱胴16の外周形状に沿った状態で扱室15内へと導入されるので、当該穂先部分を扱胴16に対してスムーズに供給することができる。
なお本実施形態では図2に示すように、穂先案内プレート26の搬送方向下流側の端部は、扱歯22の先端よりも扱胴16の半径方向で外側に配置されている。従って図6に示すように、扱胴16の回転軸方向で見たときに、供給口25は、扱歯22の先端が描く回転軌跡よりも外側に形成されている。一方、図2に示すように、供給口25から搬送方向で下流側に進むにつれて、天井プレート27の下面が、扱歯22の先端に対して扱胴16の半径方向で近付いていくように形成されている。従って本実施形態の脱穀装置10において、穀稈14の穂先14aは、供給口25から搬送方向下流側に搬送されるに従って、扱胴16に対して半径方向外側から徐々に近付けられていくことになる。
このように、穂先14aを扱胴16に対して半径方向外側から徐々に近付けていく構成としているので、供給口25から供給された穂先14aが扱歯22によって押し返されにくくなっている。従って、穀稈14を扱胴16に対してスムーズに供給することができる。
また本実施形態では、図3等に示すように、穀稈搬送機構11と扱胴16との間に、穀稈押さえ部材28が配置されている。穀稈押さえ部材28は、穀稈14の搬送方向に略沿って配置された丸パイプである。この穀稈押さえ部材28は、図3に示すように、穀稈搬送機構11と扱胴16の間の穀稈14に対して、上方から接触するように配置されている。これにより、穀稈14を扱胴16に対して押さえ付けることができるので、当該穀稈14が扱胴16から浮き上がることを防止し、脱穀を確実に行うことができる。
次に、扱胴16の回転によって穀稈14から取り外された穂先(穂切れ)の処理について詳しく説明する。
なお、扱室15内においては、扱胴16の回転によって、穂切れの他にも、穀粒や藁屑等が発生する。これらの混合物のことを、以下、被処理物と称する。扱胴16の回転により発生した被処理物は、当該扱胴16の回転により、扱胴16の回転方向下流側に向けて放出される。被処理物の落下位置には、穂切れ処理装置29が配置されている。扱胴16から放出された被処理物は、穂切れ処理装置29に投入され、当該穂切れ処理装置29で処理されて単粒化(穀粒を枝梗から外すこと)される。
穂切れ処理装置29は、図3及び図4に示すように、処理胴30と、受網31と、を備えている。
処理胴30は、略四角筒状に形成されるとともに、その軸線を回転軸32として回転駆動されるように構成されている。処理胴30の回転軸32は、扱胴16の回転軸17と略平行になるように配置されている。なお本実施形態では、図3に矢印で示すように、扱胴16と処理胴30は同じ方向に回転駆動される。この処理胴30は、外向きに突出する複数の処理歯33を有している。図4に示すように、複数の処理歯33は、処理胴30の軸線方向に沿って並んで配置されている。
受網31は、処理胴30の下半分を覆うように設けられている。図3に示すように、受網31は、処理胴30の軸線方向で見たときに、回転する処理歯33の先端の軌跡に沿って形成されている。
この構成で、扱胴16から穂切れ処理装置29に導入された被処理物は、回転する処理歯33と、受網31と、の間で揉み解し作用を受け、単粒化が促進される。脱粒された穀粒は、受網31を通って、下方に落下する。また、受網31の終端には、切歯49が形成されている。この切歯49は、処理胴30の軸線方向に並んで複数形成されている。そして、処理胴30が回転することにより、切歯49同士の間を、処理歯33が通過するように構成されている。これにより、穂切れ処理装置29に投入された藁屑等が細かく裁断される。細かく裁断された藁屑は、受網31を通って下方に落下する。
なお、処理胴30の回転軸32は、扱胴16の回転軸17よりも低い位置となるように配置されている。これにより、扱胴16から落下する被処理物を、穂切れ処理装置29で確実に受けとめることができる。
また、扱胴16と処理胴30との間には、仕切板34が配置されている。この仕切板34は、無孔の金属板を折り曲げて形成されている。この仕切板34の下端部は、受網31の終端に近接して配置されている。このように仕切板34を設けることにより、穂切れ処理装置29内の被処理物が、処理胴30の回転の勢いによって扱胴16側に飛び出してしまうことを防止できる。これにより、穂切れ処理装置29の処理効率を向上させることができる。
また、扱室15の天井には、穂切案内板35が吊り下げ支持されている。この穂切案内板35は、処理胴30よりも高い位置に配置されており、かつ、扱胴16の回転方向で処理胴30よりも上流側に配置されている。図3に示すように、穂切案内板35は、扱胴16の回転の勢いによって放出された穂切れ等の被処理物が衝突する位置に配置されている。また、この穂切案内板35の下端部は、穂切れ処理装置29を向くように配置されている。この構成で、扱胴16の回転によって発生した被処理物を、穂切案内板35によって穂切れ処理装置29まで案内することができる。
次に、選別装置36について説明する。
選別装置36は、扱胴16及び穂切れ処理装置29の下方に配置されている。前述のように、扱胴16で発生した被処理物は、穂切れ処理装置29で処理されて、受網31を通って落下する。受網31から落下する落下物(穀粒、藁屑、穂切れなどの混合物)を、以下の説明では被選別物と称する。受網31から落下した被選別物は、選別装置36に投入される。
選別装置36は、図2に示すように、揺動選別部37と、風選別部38とを備えている。
揺動選別部37は、チャフシーブ39を備えている。穂切れ処理装置29の受網31から落下した被選別物は、まずチャフシーブ39によって受けとめられる。チャフシーブ39は、装置の略左右方向に横架された複数のチャフフィン40を、穀稈14の搬送方向に複数並べて配置したものである。揺動選別部37は、チャフシーブ39を、搬送方向で往復揺動可能に構成されている。即ち、チャフシーブ39を往復揺動させることで、穀粒等の重くて小さい被選別物はチャフフィン40の間を通って下に落ち、藁屑などの軽くて大きい被選別物はチャフフィン40に引っ掛かって残る。
各チャフフィン40は、その上面が、搬送方向で斜め上流側を向くようにして配置されている。これにより、チャフシーブ39全体を往復揺動させることで、被選別物が揺動選別されながら搬送方向下流側に向けて搬送されていく。チャフシーブ39の後端に達するまでの間に大部分の穀粒は落下し、チャフシーブ39の上には、穂切れや藁屑のみが残る。
次に風選別部38について説明する。この風選別部38は、唐箕ファン41と、グレンシーブ42と、を備えている。
グレンシーブ42は網目状のプレス、又はクリンプ網として構成されており、チャフシーブ39の下方に配置される。またグレンシーブ42の下方には、スクリューコンベアとして構成された一番コンベア43が配置されている。前記チャフシーブ39の粗選別により、当該チャフシーブ39から落下した重くて小さい被選別物(穀粒等)は、グレンシーブ42の上に落下する。
唐箕ファン41は、搬送方向下流向きの選別風を発生させ、当該選別風をグレンシーブ42に対して下側から当てるように構成されている。
以上の構成で、グレンシーブ42上に落下した被選別物に対して、唐箕ファン41が生起する選別風が当てられる。そして、この選別風にかかわらず略垂直に落下する比重の重い物、即ち穀粒は一番物と呼ばれる。一番物は一番コンベア43に導入され、それ以外の比重の軽いものは搬送方向下流側に向けて吹き飛ばされる。
一番コンベア43に導入された一番物(穀粒)は、当該一番コンベア43によって搬送され、例えば図略のグレンタンクに貯蔵される。以上により、被選別物から穀粒を選別して取り出すことができる。
チャフシーブ39及びグレンシーブ42の下流側端部下方には、スクリューコンベアとして構成された二番コンベア44が配置されている。
チャフシーブ39の上に残った穂切れ、藁屑等は、当該チャフシーブ39の往復揺動により搬送方向下流側に向けて搬送され、二番コンベア44に落下する。また、グレンシーブ42に落下した被処理物のうち、唐箕ファン41の選別風により吹き飛ばされた穂切れ、藁屑等も、二番コンベア44に落下する。風選別部38は、二番コンベア44に落下する被選別物に対して搬送方向下流側に向けて上向きの風を当てる送風ファン45を有している。
二番コンベア44に落下する被選別物のうち、穀粒の付いた穂切れ等は比較的重いので、送風ファン45の風にもかかわらず落下して二番コンベア44に導入される。一方、穀粒の付いていない藁屑等は、送風ファン45の風によって吹き飛ばされ、図略の藁出口から装置の外に排出される。
穀粒の付いた穂切れ等は、再処理を施して穀粒を取り出す余地があるので、回収する価値のあるものである。このように再処理の対象とするものを、二番物と称する。風選別部38で選別されて二番コンベア44に導入された二番物は、当該二番コンベア44によって搬送され、二番還元コンベア46の端部に供給される。
二番還元コンベア46は、略上下方向に配設されたスクリューコンベアであり、前記二番物を、穂切れ処理装置29よりも上方まで搬送するように構成されている。二番還元コンベア46によって搬送された二番物は、当該二番還元コンベア46の放出側端部47から放出される。図4に示すように、前記放出側端部47には、二番案内通路48が接続されている。この二番案内通路48は、穂切れ処理装置29に連通している。従って、二番還元コンベア46から放出された二番物は、二番案内通路48を介して、穂切れ処理装置29に投入される。以上の構成により、選別装置36で選別された二番物を、穂切れ処理装置29によって再処理することができる。
次に、本発明の特徴的構成について説明する。
前述のように、本実施形態の脱穀装置10は、扁平状に形成された扱歯22の間に穀稈14を挟み込んで扱くことにより、穂先の部分を取り外す構成である。一方、従来の脱穀装置は、線材を折り曲げて扱歯を形成し、当該扱歯を穀稈に衝突させた衝撃により、穀粒を払い落す構成であった。この従来の脱穀装置は、扱歯が線材から形成されているため、穀稈と扱歯との衝突頻度が低く、脱穀の効率が低いという欠点があった。この点、本実施形態のように扁平状の扱歯22で穀稈14を扱く脱穀装置は、従来の脱穀装置に比べて、穀稈の穂先の部分をすみやかに取り外すことができるという利点がある。
このように、本実施形態の脱穀装置10は脱穀の効率に優れているため、供給口25に投入された穀稈14は、すみやかに脱穀される。従って、供給口25の近くで、大量の被処理物が発生する。このため、扱室15内で発生した被処理物が、供給口25を介して扱室15から飛び出してしまう場合があった。
そこで本実施形態の脱穀装置10は、供給口25を塞ぐ逆流防止部材50を設けた構成としている。このように、供給口25を逆流防止部材50によって塞ぐことにより、供給口25から被処理物が飛び出すことを防ぎ、脱穀装置10の効率を向上させることができる。
以下、逆流防止部材50の構成について詳しく説明する。この逆流防止部材50は、弾性体で構成されている。より具体的には、本実施形態の逆流防止部材50は、ゴム板からなっている。このように、逆流防止部材50を弾性体から構成することで、当該逆流防止部材50を変形させることができる。
図7に示すように、逆流防止部材50の上端部分は、固定ブラケット51にネジ止めされている。この固定ブラケット51は板金からなり、扱室15の天井を構成している天井プレート27の内側面(下面)に固定されている。一方、逆流防止部材50の下端部分は固定されておらず、自由端となっている。また図7に示すように、逆流防止部材50の下端側は、穂先案内プレート26の搬送方向下流側の端部に対して、扱室15の内側から当接するように配置されている。逆流防止部材50をこのように配置することにより、天井プレート27と穂先案内プレート26との間に形成された供給口25を、逆流防止部材50によって、扱室15の内側から塞ぐことができる。
また、以上の構成により、逆流防止部材50の下端部分を、穀稈の搬送方向の下流側に向けて移動させるようにして、当該逆流防止部材50を変形させることができる(図7において二点鎖線で示す状態)。即ち、逆流防止部材50を、扱室15の内側に向けて湾曲させることができる。このように逆流防止部材50を変形させることで、供給口25を開放することができる。
穀稈搬送機構11によって搬送される穀稈14の穂先14aは、逆流防止部材50を押し退けるようにして、供給口25から扱室15内に供給される。このように、上記の構成によれば、穀稈14の搬送が逆流防止部材50によって妨げられることがない。また、穀稈14が供給口25を通過した後は、逆流防止部材50の弾性力により、当該逆流防止部材50によって供給口25が塞がれた状態に戻る。これにより、扱室15で発生した被処理物が、供給口25を介して飛び出してしまうことを防止できる。
また本実施形態において、逆流防止部材50の自由端(本実施形態では、逆流防止部材50の下端部)は、固定ブラケット51に固定されている側の端部(本実施形態では上端部)よりも、穀稈14の穂先の搬送方向で下流側に位置するように配置される。即ち、逆流防止部材50は、穀稈14の穂先の搬送方向に直交する平面に対して、所定の角度(本実施形態では30度)だけ傾いて配置されている。なお、ここでいう穀稈14の穂先の搬送方向とは、穂先案内プレート26の上面によって案内される穂先の移動方向をいう。即ち、逆流防止部材50は、穂先案内プレート26の上面に対して斜めに配置されている。
より具体的には以下のとおりである。即ち、固定ブラケット51の、逆流防止部材50がネジ止めされる面が、穀稈14の穂先の搬送方向に直交する平面に対して所定の角度(本実施形態では30度)有するように形成されている。この固定ブラケット51に逆流防止部材50をネジ止めすることにより、図7に示すように、逆流防止部材50を、穂先案内プレート26の上面に対して斜めに配置することができる。このように逆流防止部材50を斜めに配置したことにより、逆流防止部材50が穀稈14の穂先の搬送を阻害しにくくなるので、穂先をよりスムーズに扱室15内へと供給することができる。
また前述のように、本実施形態の脱穀装置10において、供給口25は、扱歯22の先端の回転軌跡よりも、扱胴16の半径方向外側に形成されている。従って、当該供給口25を塞ぐ逆流防止部材50も、扱歯22の先端の回転軌跡よりも、扱胴16の半径方向外側に配置されている。このように逆流防止部材50を配置したので、搬送される穀稈14によって逆流防止部材50が押し退けられて変形したとしても、当該逆流防止部材50が扱胴16及び扱歯22に接触してしまうことがない。これにより、逆流防止部材50の破損を防ぐことともに、扱歯22が逆流防止部材50に接触することによる扱胴16の回転不良を防止することができる。
なお前述のように、供給口25は、扱胴16の軸線方向で見たときに、当該扱胴16の外周に沿って湾曲した形状となっている。このように湾曲した供給口25を無理なく覆うために、本実施形態の逆流防止部材50は、図8に示すように、2枚のゴム板53,54から構成されている。このように、逆流防止部材50を複数のゴム板から構成することで、逆流防止部材50の変形のし易さを損なうことなく、湾曲した形状の供給口25を覆うことができる。なお、本実施形態では、図8に示すように、2枚のゴム板53,54を、その厚み方向で一部オーバーラップするように配置している。これにより、2枚のゴム板53,54の間に隙間が生じないので、扱室15内の被処理物が供給口25から飛び出してしまうことを確実に防止することができる。
以上で説明したように、本実施形態の脱穀装置10は、扱胴16と、扱室15と、穀稈搬送機構11と、逆流防止部材50と、を備える。扱胴16は、複数の扱歯22を外周に備え、略水平に設けられた回転軸17を中心に回転する。扱室15は、扱胴16を収容する。穀稈搬送機構11は、扱胴16の回転軸17に沿った方向で穀稈を搬送する。また扱歯22は、扁平状に形成され、かつ、扱胴16の回転軸17と略平行な方向で隣接する前記扱歯22同士は、V型溝23を形成している。また、扱室15内に穀稈の穂先を導入するための供給口25が、当該扱室15の穀稈の搬送方向上流側に形成される。逆流防止部材50は、供給口25を塞ぐように配置されている。そして供給口25は、扱歯22の先端の回転軌跡よりも半径方向外側に形成される。
このように、供給口25を逆流防止部材50によって塞ぐことにより、扱室15内で発生した穀粒や穂切れなどが供給口25を介して扱室15の外部に逆流してしまうことを防止できる。しかも、供給口25を上記のように形成したので、当該供給口25を塞ぐ逆流防止部材50は、扱歯22の先端よりも半径方向外側に配置される。従って、穀稈が供給口25を通過する際に、逆流防止部材50が大きく変形したとしても、当該逆流防止部材50が扱胴16又は扱歯22に接触してしまうことがない。
また本実施形態の脱穀装置10は、以下のように構成されている。即ち、逆流防止部材50は、その一端が固定され、他端は自由端とされており、前記自由端が、固定されている側の端部よりも穀稈の穂先の搬送方向で下流側に配置されている。
このように、逆流防止部材50を、穀稈の穂先の搬送方向に対して斜めに配置することで、穀稈の搬送が逆流防止部材50によって妨げられることがなくなる。
また本実施形態の脱穀装置10において、逆流防止部材50は、弾性体からなる。
これにより、穀稈の搬送が逆流防止部材50によって妨げられない。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
本発明の脱穀装置は、据え置きの脱穀装置、ハーベスタ内蔵の脱穀装置、コンバイン内蔵の脱穀装置など、様々な脱穀装置に適用することができる。
逆流防止部材50は、供給口25を完全に塞がなくても良く、供給口25の開口部分の一部のみを塞ぐ構成であっても、被処理物の逆流防止の効果を得ることができる。ただし、供給口25の開口部分を可能な限り広く塞ぐほうが、被処理物の逆流防止の観点からは好ましい。
逆流防止部材50は、変形した際に扱歯22及び扱胴16に当たらないように配置されていれば良く、厳密に扱歯22の先端の回転軌跡よりも半径方向外側に配置される必要はない。即ち、逆流防止部材が扱歯22及び扱胴16に当たらないのであれば、逆流防止部材50の一部が、扱歯22の先端の回転軌跡よりも半径方向内側に入っていても良い。
また、逆流防止部材50は、穀稈の穂先の搬送方向に対して斜めに配置する構成に限らず、穂先の搬送方向に対して直交するように配置されていても良い。仮に逆流防止部材50をこのように配置されたとしても、当該逆流防止部材50は弾性体から構成されているので、搬送される穀稈の穂先は逆流防止部材50を押し退けて進むことができる。
もっとも、逆流防止部材は弾性体でなくても良く、また板状である必要もない。例えば、本願発明の逆流防止部材を、特許文献2に記載の箒状部材のように、下端が自由端をなしてフレキシブルに変形する無数の糸から構成しても良い。要は、供給口25を塞いで被処理物の逆流を防止することができるとともに、搬送される穀稈によって押し退けることができる構成であれば良い。
10 脱穀装置
11 穀稈搬送装置
15 扱室
16 扱胴
22 扱歯
25 供給口
50 逆流防止部材
11 穀稈搬送装置
15 扱室
16 扱胴
22 扱歯
25 供給口
50 逆流防止部材
Claims (3)
- 複数の扱歯を外周に備え、略水平に設けられた回転軸を中心に回転する扱胴と、
前記扱胴を収容する扱室と、
前記扱胴の前記回転軸に沿った方向で穀稈を搬送する穀稈搬送機構と、
逆流防止部材と、
を備え、
前記扱歯は、扁平状に形成され、かつ、前記扱胴の前記回転軸と略平行な方向で隣接する前記扱歯同士は、略V字型の溝を形成し、
前記扱室内に前記穀稈の穂先を導入するための供給口が、当該扱室の前記穀稈の搬送方向上流側に形成されており、
前記逆流防止部材は、前記供給口の開口部の少なくとも一部を塞ぐように配置され、
前記供給口は、前記扱歯の先端の回転軌跡よりも半径方向外側に形成されることを特徴とする脱穀装置。 - 請求項1に記載の脱穀装置であって、
前記逆流防止部材は、その一端が固定され、他端は自由端とされており、前記自由端が、前記固定されている側の端部よりも前記穀稈の穂先の搬送方向で下流側に配置されていることを特徴とする脱穀装置。 - 請求項1又は2に記載の脱穀装置であって、
前記逆流防止部材は、弾性体からなることを特徴とする脱穀装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2011
- 2011-08-11 JP JP2011176188A patent/JP2013039041A/ja active Pending
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