以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図8は、本実施の形態に係る貨幣処理システムおよびこの貨幣処理システムが設けられた店舗システムを示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における貨幣処理システムが設けられた店舗システムの構成を示す図であり、図2は、本実施の形態における貨幣処理システムの構成の概略を示す概略構成図である。また、図3は、図2に示す貨幣処理システムにおける硬貨釣銭機、紙幣釣銭機およびPOSレジスタの外観を示す斜視図であり、図4は、図2等に示す貨幣処理システムの制御ブロック図である。また、図5〜図8は、それぞれ、第1〜第3の売上金回収処理が実行されるときの硬貨釣銭機や紙幣釣銭機における硬貨や紙幣の収納状況等を示す説明図である。
まず、本実施の形態による貨幣処理システムが設けられた店舗システムについて図1を用いて説明する。図1に示すように、各店舗10a、10bには貨幣処理システム1が設けられており、各貨幣処理システム1は、貨幣釣銭機と、POSレジスタ300(販売時点管理機能を有する金銭登録機)とを備えている。また、各店舗10a、10bには、各貨幣処理システム1を管理する店舗サーバ400が設けられている。ここで、貨幣釣銭機は、硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。より具体的には、貨幣釣銭機は、図2乃至図4に示すように、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200から構成されており、これらの硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200には顧客から預かった硬貨や紙幣がそれぞれ入金されるとともに、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200から釣銭としての硬貨や紙幣がそれぞれ出金されるようになっている。また、各貨幣釣銭機は対応する各POSレジスタ300に通信接続されており、各POSレジスタ300は店舗サーバ400に通信接続されている。
また、図1に示すように、店舗にATM12が設置されている場合がある(図1の店舗10a参照)。このような店舗10aでは、貨幣釣銭機から回収された貨幣は、店舗10aに設置されたATM12に入金される場合がある。なお、店舗10aに設置されたATM12には硬貨を入金することができないようになっている場合が多い。一方、店舗にATM12が設置されていない場合もある(図1の店舗10b参照)。このような店舗10bでは、貨幣釣銭機から回収された貨幣は、店員等により店舗外のATMコーナー20に運搬されて当該ATMコーナー20のATM22に入金されたり、銀行に運搬されて銀行窓口24に持ち込まれたりするようになっている。
また、図1に示すように、各店舗10a、10bから離間した場所には、各店舗10a、10bの管理を行う本部30が設けられている。本部30には管理装置32が設けられており、この管理装置32は各店舗10a、10bの店舗サーバ400に通信接続されている。そして、管理装置32は各店舗10a、10bの店舗サーバ400と信号の送受信を行うことにより、各店舗サーバ400に様々な指示を送ったり、各店舗サーバ400から売上金情報等の様々な情報を受け取ったりするようになっている。
次に、本実施の形態の貨幣処理システム1の全体構成について図2および図3を用いて説明する。図2および図3に示すように、貨幣処理システム1は、硬貨釣銭機100と、紙幣釣銭機200と、POSレジスタ300とを備えている。硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。また、図3に示すように、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は左右方向に並べて配置される。
また、前述したように、POSレジスタ300は店舗サーバ400に通信接続されている。そして、POSレジスタ300から店舗サーバ400に売上金情報等が送信されるようになっている。
図2に示すように、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は、それぞれ制御部130、230を有しており、これらの制御部130、230は互いに通信接続されている。また、POSレジスタ300も制御部330を有しており、紙幣釣銭機200の制御部230はPOSレジスタ300の制御部330に通信接続されている。そして、POSレジスタ300は、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200の上面に載置される。
以下、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200およびPOSレジスタ300について図2および図3を用いて詳述する。
まず、硬貨釣銭機100の構成について具体的に説明する。図2および図3に示すように、硬貨釣銭機100は、前部上面にタッチパネル等の操作表示部112を有する筐体110を備えている。筐体110の前部には硬貨受入部114および硬貨払出部116が設けられている。
硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機体内に取り込むようになっている。硬貨受入部114には、当該硬貨受入部114により機体内に取り込まれた硬貨を搬送する入金搬送部103が接続されている。
この入金搬送部103の途中には、硬貨の識別を行う硬貨識別部101と、分岐部104とがそれぞれ設けられている。分岐部104は、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨を出金搬送部108へ案内(搬送)するようになっている。
一方、正常硬貨等の機体内に収納されるべき硬貨は入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送されるようになっている。硬貨収納部106は硬貨を金種別に収納するようになっている。具体的には、例えば入金搬送部103の上流側から高額順に硬貨が収納される。
出金搬送部108は、硬貨収納部106から繰り出された硬貨を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。また、出金搬送部108は、分岐部104から案内されたリジェクト硬貨等を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。
次に、紙幣釣銭機200の構成について具体的に説明する。図2および図3に示すように、紙幣釣銭機200は、筐体210と、この筐体210内の略中央部に設けられた環状の周回搬送部203aとを備えている。また、紙幣受入部214、3つの紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、および紙幣回収カセット207が、周回搬送部203aから外周を取り囲むように配置されている。
また、紙幣釣銭機200の筐体210の内部には、紙幣受入部214、各紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、および紙幣回収カセット207と、周回搬送部203aとの間をそれぞれ接続する複数の接続搬送部203bが形成されている。また、周回搬送部203aには紙幣識別部201が設けられており、この紙幣識別部201は、当該紙幣識別部201を通過する紙幣の識別を行うようになっている。
また、周回搬送部203aと各接続搬送部203bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部203aに沿って配置されている。
図2および図3に示すように、筐体210の前面には、紙幣受入部214の紙幣受入口214aと、紙幣払出部216の紙幣取出口216aとがそれぞれ設けられている。また、紙幣回収カセット207は筐体210に対して着脱自在に取り付けられている。
紙幣受入部214は、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を1枚ずつ取り込んで、周回搬送部203a側へ繰り出すようになっている。各紙幣収納部206は、紙幣識別部201の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。紙幣払出部216は、各紙幣収納部206から周回搬送部203aに繰り出された紙幣を紙幣取出口216aより機外へ放出するようになっている。
出金リジェクト部204は、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部214から機体内に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却されるようになっている。
次に、POSレジスタ300の構成について具体的に説明する。POSレジスタ300は、商品の購入情報を登録するとともに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。
POSレジスタ300の制御部330は、図2に示すように、紙幣釣銭機200の制御部230に通信接続されているとともに、店舗サーバ400にも通信接続されている。そして、この制御部330は、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230に指令を送ることにより硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。また、制御部330は、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230から、これらの硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況に係る情報を受け取るようになっている。
操作部304は、操作者が操作することができるようになっており、制御部330に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、表示部302は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高を表示するようになっている。また、POSレジスタ300には追加の表示部302aが設けられており、様々な情報を表示部302に表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、追加の表示部302aにおいて表示が行われるようになっていてもよい。
図4に、上述のような構成からなる貨幣処理システム1の制御ブロック図を示す。図4に示すように、硬貨釣銭機100の制御部130には、インターフェース132、硬貨受入部114、入金搬送部103、硬貨識別部101、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116、操作表示部112、記憶部134等がそれぞれ接続されており、硬貨識別部101から制御部130に硬貨の識別結果が送られるとともに、制御部130から硬貨受入部114、入金搬送部103、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、硬貨釣銭機100の制御部130は、インターフェース132により、紙幣釣銭機200の制御部230に対して信号の送受信を行うようになっている。また、操作者により操作表示部112に入力された指令が当該操作表示部112から制御部130に送られるとともに、制御部130は操作表示部112に指令を送ることにより当該操作表示部112に様々な情報を表示させるようになっている。より詳細には、操作表示部112には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高を表示するようになっている。記憶部134に記憶される情報の詳細については後述する。
また、紙幣釣銭機200の制御部230には、インターフェース232、紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣識別部201、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216、記憶部234等がそれぞれ接続されており、紙幣識別部201から制御部230に紙幣の識別結果が送られるとともに、制御部230から紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、紙幣釣銭機200の制御部230は、インターフェース232により、硬貨釣銭機100の制御部130やPOSレジスタ300の制御部330に対して信号の送受信を行うようになっている。記憶部234に記憶される情報の詳細については後述する。
また、POSレジスタ300の制御部330には、表示部302、操作部304、記憶部334、インターフェース332等がそれぞれ接続されており、操作者により操作部304に入力された指令が当該操作部304から制御部330に送られるとともに、制御部330は表示部302に指令を送ることにより当該表示部302に様々な情報を表示させるようになっている。なお、制御部330は、表示部302に様々な情報を表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、追加の表示部302aにおいて表示を行わせるようになっていてもよい。また、POSレジスタ300の制御部330は、インターフェース332により、紙幣釣銭機200の制御部230や店舗サーバ400に対して信号の送受信を行うようになっている。記憶部334に記憶される情報の詳細については後述する。
次に、このような構成からなる貨幣処理システム1の動作について説明する。なお、以下に示す貨幣処理システム1の動作は、硬貨釣銭機100の制御部130や紙幣釣銭機200の制御部230、あるいはPOSレジスタ300の制御部330が、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の各構成要素をそれぞれ制御することにより行われる。
まず、硬貨釣銭機100に硬貨を入金する場合の動作について以下に説明する。硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に硬貨が受け入れられると、硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機体内に取り込み、取り込まれた硬貨は入金搬送部103により搬送される。そして、入金搬送部103により搬送される硬貨は硬貨識別部101により硬貨の識別が行われる。硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨であると識別された硬貨は、分岐部104により出金搬送部108へ案内(搬送)され、出金搬送部108により硬貨払出部116に搬送される。一方、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、正常硬貨等の機体内に収納されるべき硬貨であると識別された硬貨は、入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送され、当該硬貨収納部106に金種別に収納される。
また、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき硬貨の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300の制御部330から紙幣釣銭機200経由で出金指令が硬貨釣銭機100の制御部130に送られることにより、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨が出金されるようになる。硬貨釣銭機100の制御部130に対して出金指令が与えられると、硬貨収納部106に収納されている硬貨が当該硬貨収納部106から繰り出され、繰り出された硬貨は出金搬送部108により硬貨払出部116へ搬送される。このようにして、操作者は、硬貨払出部116から硬貨を取り出すことができるようになる。
次に、紙幣釣銭機200に紙幣を入金する場合の動作について以下に説明する。紙幣受入部214の紙幣受入口214aに紙幣が挿入されると、紙幣受入部214は、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を1枚ずつ取り込んで、周回搬送部203a側へ繰り出す。そして、周回搬送部203a側へ繰り出された紙幣は当該周回搬送部203aにより搬送され、この際に紙幣識別部201により紙幣の識別が行われる。紙幣識別部201により正常な紙幣であると識別された紙幣は、各紙幣収納部206に金種別に収納される。一方、紙幣受入部214から取り込まれた紙幣のうち、汚損や搬送異常等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却される。
また、当該紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき紙幣の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300の制御部330から出金指令が紙幣釣銭機200の制御部230に送られることにより、紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣が出金されるようになる。紙幣釣銭機200の制御部230に対して出金指令が与えられると、紙幣収納部206に収納されている紙幣が当該紙幣収納部206から繰り出され、繰り出された紙幣は紙幣識別部201により識別された後、周回搬送部203aにより紙幣払出部216に送られる。そして、紙幣払出部216は、紙幣収納部206から送られた紙幣を紙幣取出口216aより筐体210外へ放出する。このようにして、操作者は、紙幣釣銭機200から出金された紙幣を得ることができるようになる。なお、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は、出金リジェクト紙幣として出金リジェクト部204に収納される。
次に、本実施の形態の貨幣処理システム1において、店舗の営業終了後、あるいは営業中の所定のタイミングに行われる精算処理時において硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から売上金としての紙幣や硬貨を回収する際の動作について説明する。硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から売上金としての紙幣や硬貨を回収する際には、以下に示す5つの売上金回収処理のパターンの中から一つの処理が選択されて実行されるようになっている。
(a)硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納された硬貨および紙幣を全て回収する全回収処理
(b)硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納された硬貨および紙幣のうち所定の金額の硬貨および紙幣を機体内に残して他の硬貨および紙幣を回収する金額残置回収処理
(c)硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納された硬貨および紙幣のうち各金種について所定の枚数の硬貨および紙幣を機体内に残して他の硬貨および紙幣を回収する枚数残置回収処理
(d)紙幣釣銭機200の機体内に収納された紙幣のみを回収する第1の売上金回収処理(具体的な処理内容については後述)
(e)硬貨釣銭機100の機体内に収納された硬貨および紙幣釣銭機200の機体内に収納された紙幣を回収する第2の売上金回収処理(具体的な処理内容については後述)
より具体的には、精算処理時において硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から売上金としての紙幣や硬貨を回収する際には、操作者はPOSレジスタ300の操作部304により売上金の回収を行うことを指示する。この際に、操作者は、POSレジスタ300の操作部304により、上記(a)〜(e)の5つの売上金回収処理のパターンのうちどの処理を行うかを選択する。また、POSレジスタ300の操作部304を操作する代わりに、操作者が硬貨釣銭機100の操作表示部112を操作することにより、売上金の回収を行うことを指示し、上記(a)〜(e)の5つの売上金回収処理のパターンのうちどの処理を行うかを選択することができるようになっていてもよい。さらには、システム導入時や運用変更時に、売上金回収処理のパターンを予め選択設定し、精算処理時毎に選択操作を行わせないようにしてもよい。この方式であれば、精算処理時の操作を簡素化できるとともに、選択ミスを防止できる。
金額残置回収処理や枚数残置回収処理では、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に残置する紙幣および硬貨の合計在高や金種毎の枚数が、店舗の営業開始前に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されていた紙幣や硬貨の初期在高や金種毎の枚数と一致するよう、紙幣および硬貨の回収を行うようになっている。
一方、第1の売上金回収処理や第2の売上金回収処理がおこなわれる際には、制御部130や制御部230、あるいは制御部330において残置金額が予め設定されるようになっている。ここで、残置金額とは、これらの第1の売上金回収処理や第2の売上金回収処理が行われた後に、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に残置されることが望ましい紙幣および硬貨の在高のことをいう。残置金額の設定を行うにあたり、例えば、精算処理時に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている紙幣や硬貨の合計在高から、店舗の売上金分の金額の紙幣および硬貨の合計金額を差し引くことによって、残置金額の大まかな数字が算出される。このことにより、第1の売上金回収処理や第2の売上金回収処理が行われると、店舗の売上金分の金額にほぼ近い金額分の硬貨および紙幣を回収することができるようになる。このような残置金額は、操作者が硬貨釣銭機100の操作表示部112やPOSレジスタ300の操作部304により入力したり、店舗サーバ400から残置金額に係る情報を制御部130や制御部230、あるいは制御部330に送信したりすることにより、制御部130や制御部230、あるいは制御部330において設定されるようになる。また、制御部130や制御部230、あるいは制御部330において設定された残置金額は、記憶部134や記憶部234、あるいは記憶部334に記憶されるようになる。
そして、第1の売上金回収処理を行うときには、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106における硬貨および紙幣釣銭機200の紙幣収納部206における紙幣の合計在高が、記憶部134や記憶部234、あるいは記憶部334に記憶された残置金額と、紙幣の最小単位金額よりも小さい端数金額との合計の大きさとなるように、紙幣釣銭機200から紙幣のみが出金されるようになる。
第1の売上金回収処理について図5を用いて具体的に説明する。図5(a)に示すように、精算処理を行う時点において、紙幣釣銭機200の機体内に1万円札が70枚、5千円札が20枚、千円札が80枚それぞれ収納されており、紙幣釣銭機200の機体内の紙幣の在高が880,000円であり、硬貨釣銭機100の機体内に500円玉が22枚、100円玉が77枚、50円玉が12枚、10円玉が93枚、5円玉が31枚、1円玉が115枚それぞれ収納されており、硬貨釣銭機100の機体内の硬貨の在高が20,500円である場合において、制御部130または制御部230、あるいは制御部330において残置金額として例えば100,000円が設定されたときには、この残置金額は記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶される。
そして、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106における硬貨および紙幣釣銭機200の紙幣収納部206における紙幣の合計在高が、記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶された残置金額である100,000円と、紙幣の最小単位金額(千円)よりも小さい端数金額との合計の大きさとなるように、紙幣釣銭機200から紙幣のみが出金されて回収されるようになる。この際に、紙幣釣銭機200からは、1万円札、5千円札、千円札の順に優先して出金させる。なぜならば、1万円札が紙幣釣銭機200内に残置されたとしても、このような1万円札を釣銭として出金させることは通常ありえないからである。一方、千円札は次回の営業期間中に釣銭として出金されることが多いため、今回の売上金回収処理ではできるだけ千円札を紙幣釣銭機200内に残置させるようにする。このように、1万円札がなるべく紙幣釣銭機200内に残置されず、一方、千円札がなるべく紙幣釣銭機200内に残置されるよう、紙幣釣銭機200から紙幣が出金される。図5(a)に示すような例について、紙幣釣銭機200から出金されて回収される紙幣の金種毎の枚数および合計金額を図5(b)に示す。一方、第1の売上金回収処理では、硬貨釣銭機100から硬貨が出金されることはない。また、出金処理後、回収データ処理を記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶させるとともに、POSレジスタ300に設けられたプリンタ等(図示せず)により回収明細書を印字する。より具体的には、回収明細書には、回収日時、担当者コード、出金内容(例えば、金種毎の出金枚数や金額)、回収後の在高等が印字される。
そして、第1の売上金回収処理がおこなわれた後の紙幣釣銭機200および硬貨釣銭機100の機体内の紙幣および硬貨の金種別の枚数および在高を図5(c)に示す。図5(c)に示すように、紙幣釣銭機200の機体内には、5千円札が6枚、千円札が50枚それぞれ残置されるようになる。一方、第1の売上金回収処理では硬貨釣銭機100から硬貨が出金されることはないため、硬貨釣銭機100の機体内には、各金種について第1の売上金回収処理が行われる前と同じ枚数の硬貨が残置されるようになる。そして、硬貨釣銭機100の機体内の硬貨および紙幣釣銭機200の機体内の紙幣の合計在高は100,500円となる。なお、実際の残置金額(100,500円)が、予め設定された残置金額(100,000円)よりも若干多くなっているが、差分さえ確実に管理していれば、実際の運用上問題はない。
このように、第1の売上金回収処理では、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106における硬貨および紙幣釣銭機200の紙幣収納部206における紙幣の合計在高(100,500円)が、記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶された残置金額である100,000円と、紙幣の最小単位金額(千円)よりも小さい端数金額(500円)との合計の大きさとなるように、紙幣釣銭機200から紙幣のみが出金されて回収される。そして、第1の売上金回収処理が行われた後の端数金額は、記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶されるようになる。なお、第1の売上金回収処理が行われた後の端数金額は、残置金額を記憶するための記憶部と同じ記憶部に記憶されてもよく、また、残置金額を記憶するための記憶部とは異なる記憶部に記憶されてもよい。また、第1の売上金回収処理が行われた後の端数金額を記憶するための端数金額記憶部が、上述した記憶部134、234、334とは別に設けられていてもよい。
また、このような第1の売上金回収処理を複数回行ったときに、各回の第1の売上金回収処理における端数金額の累積値が紙幣の最小単位金額(千円)以上となった場合には、紙幣釣銭機200から紙幣を出金する際に、最小単位金額分の紙幣を追加的に出金させる。具体的に説明すると、ある日の営業終了後において行われた第1の売上金回収処理において端数金額が例えば500円となった場合には、この端数金額分の硬貨は次の日に繰り越されるようになり、次の日の営業終了後において第1の売上金回収処理が再び行われる際に、この繰り越された端数金額分の硬貨も硬貨釣銭機100の機体内に収納されたままの状態となる。そして、2回目の第1の売上金回収処理でも残置金額の値によっては端数金額が新たに発生するようになるが、各回の第1の売上金回収処理における端数金額の累積値が紙幣の最小単位金額である千円以上となった場合には、具体的には2回目の第1の売上金回収処理で500円以上の端数金額が新たに発生した場合には、紙幣釣銭機200から紙幣を出金する際に、千円分の紙幣を追加的に出金させる。
このような第1の売上金回収処理は、図1の店舗10aに示すように、店舗10a内にATM12が設置されている場合に用いられることが多い。すなわち、前述したように、店舗10aに設置されたATM12には硬貨を入金することができないようになっている場合が多いが、第1の売上金回収処理では紙幣のみが回収されるようになるため、回収された紙幣をそのまま店舗10a内のATM12に入金させることができるようになる。
次に、第2の売上金回収処理について説明する。第2の売上金回収処理を行うときには、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106における硬貨および紙幣釣銭機200の紙幣収納部206における紙幣の合計在高が、記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶された残置金額と同額となるように、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200から硬貨および紙幣がそれぞれ出金されるようになる。
第2の売上金回収処理について図6を用いて具体的に説明する。図6(a)に示すように、精算処理を行う時点において、紙幣釣銭機200の機体内に1万円札が70枚、5千円札が20枚、千円札が80枚それぞれ収納されており、紙幣釣銭機200の機体内の紙幣の在高が880,000円であり、硬貨釣銭機100の機体内に500円玉が22枚、100円玉が77枚、50円玉が12枚、10円玉が93枚、5円玉が31枚、1円玉が115枚それぞれ収納されており、硬貨釣銭機100の機体内の硬貨の在高が20,500円である場合において、制御部130または制御部230、あるいは制御部330において残置金額として例えば100,000円が設定されたときには、この残置金額は記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶される。
そして、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106における硬貨および紙幣釣銭機200の紙幣収納部206における紙幣の合計在高が、記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶された残置金額である100,000円と同額となるように、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200から硬貨および紙幣がそれぞれ出金されて回収されるようになる。この際に、1万円札がなるべく紙幣釣銭機200内に残置されず、一方、千円札がなるべく紙幣釣銭機200内に残置されるよう、紙幣釣銭機200から紙幣が出金される。また、500円玉がなるべく硬貨釣銭機100内に残置されず、一方、1円玉、10円玉、100円玉がなるべく硬貨釣銭機100内に残置されるよう、硬貨釣銭機100から硬貨が出金される。これらの1円玉、10円玉、100円玉は次回の営業期間中に釣銭として出金されることが多いからである。図6(a)に示すような例について、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200からそれぞれ出金されて回収される硬貨および紙幣の金種毎の枚数および合計金額を図6(b)に示す。
そして、第2の売上金回収処理がおこなわれた後の紙幣釣銭機200および硬貨釣銭機100の機体内の紙幣および硬貨の金種別の枚数および在高を図6(c)に示す。図6(c)に示すように、紙幣釣銭機200の機体内には、5千円札が6枚、千円札が50枚それぞれ残置されるようになる。また、硬貨釣銭機100の機体内には、硬貨釣銭機100の機体内に500円玉が21枚、100円玉が77枚、50円玉が12枚、10円玉が93枚、5円玉が31枚、1円玉が115枚それぞれ残置されるようになる。そして、硬貨釣銭機100の機体内の硬貨および紙幣釣銭機200の機体内の紙幣の合計在高は100,000円となり、記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶された残置金額と同額となる。
このように、第2の売上金回収処理では、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106における硬貨および紙幣釣銭機200の紙幣収納部206における紙幣の合計在高(100,000円)が、記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶された残置金額である100,000円と同額となるように、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200から硬貨および紙幣がそれぞれ出金されて回収される。このため、第2の売上金回収処理では、第1の売上金回収処理のような端数金額は発生しない。
第2の売上金回収処理は、図1の店舗10bに示すように、店舗10b内にATM12が設置されていない場合に用いられることが多い。第2の売上金回収処理で回収された紙幣および硬貨は、店員等により店舗外のATMコーナー20に運搬されて当該ATMコーナー20における硬貨を受付け可能なATM22に入金されたり、銀行に運搬されて銀行窓口24に持ち込まれたりするようになる。
以上のように本実施の形態の貨幣釣銭機(硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200が組み合わせられたもの)およびこの貨幣釣銭機が設けられた貨幣処理システム1によれば、硬貨釣銭機100の制御部130または紙幣釣銭機200の制御部230、あるいはPOSレジスタ300の制御部330は、第1の売上金回収処理を行うときに、硬貨収納部106および紙幣収納部206における硬貨および紙幣の合計在高が、記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶された残置金額と、紙幣の最小単位金額(例えば、千円)よりも小さい端数金額との合計の大きさとなるように、紙幣のみを出金するよう紙幣釣銭機200を制御するようになっている。このような第1の売上金回収処理では、売上金としての紙幣や硬貨を回収する際に紙幣のみを出金させることができるので、店舗10aに設置されたATM12に硬貨を入金することができないようになっている場合でも、回収された貨幣(紙幣)を当該ATM12に入金することができる。また、第1の売上金回収処理では、硬貨収納部106の機体内に残置される硬貨および紙幣収納部206の機体内に残置される紙幣の合計在高が、予め設定されて記憶された残置金額よりも必ず大きくなる。このため、回収される紙幣の金額が過大になってしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機およびこの貨幣釣銭機が設けられた貨幣処理システム1では、前述したように、第1の売上金回収処理を実行した後の端数金額は、残置金額を記憶する記憶部、または残置金額を記憶する記憶部とは別に設けられた他の記憶部に記憶されるようになっている。このことにより、売上金の回収後の残置金額が管理されるため、長期的に見て現金管理が不正確になってしまうことを防止することができる。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機およびこの貨幣釣銭機が設けられた貨幣処理システム1では、複数回の第1の売上金回収処理を行ったときに、各回の第1の売上金回収処理における端数金額の累積値が紙幣の最小単位金額(例えば、千円)以上となった場合には、紙幣釣銭機200から紙幣を出金する際に、最小単位金額分の紙幣を追加的に出金させるようになっている。このことにより、複数回の第1の売上金回収処理を行った場合でも、端数金額が一方的に増加してしまうことがなく、ある程度まで端数金額が増えると硬貨の代わりに紙幣として端数金額分の貨幣を出金することができる。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機およびこの貨幣釣銭機が設けられた貨幣処理システム1では、硬貨釣銭機100の制御部130または紙幣釣銭機200の制御部230、あるいはPOSレジスタ300の制御部330は、硬貨収納部106および紙幣収納部206における硬貨および紙幣の合計在高が、記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶された残置金額と同額となるように、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200から硬貨および紙幣をそれぞれ出金させるような第2の売上金回収処理も行うことができるようになっており、硬貨釣銭機100の制御部130または紙幣釣銭機200の制御部230は、第1の売上金回収処理および第2の売上金回収処理のうちいずれか一方の売上金回収処理を選択して実行するようになっている。
なお、本実施の形態による貨幣釣銭機やこの貨幣釣銭機が設けられた貨幣処理システム1は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、貨幣処理システム1における硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200およびPOSレジスタ300の各制御部130、230、330が、第1の売上金回収処理や第2の売上金回収処理における各動作を分担して硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の各構成要素を制御するようになっていてもよい。例えば、第1の売上金回収処理が行われる際に、紙幣釣銭機200の制御部230が、当該紙幣釣銭機200から出金されるべき紙幣の金種毎の枚数や回収金額を算出し、制御部230が当該紙幣釣銭機200の各構成要素を制御することにより回収紙幣を出金させるようにしてもよい。また、第1の売上金回収処理が行われる際に、硬貨釣銭機100の制御部130が、紙幣釣銭機200から出金されるべき紙幣の金種毎の枚数や回収金額を算出し、この制御部130が紙幣釣銭機200に対して紙幣の払い出し指示を行うようにしてもよい。また、第1の売上金回収処理が行われる際に、POSレジスタ300の制御部330が、紙幣釣銭機200から出金されるべき紙幣の金種毎の枚数や回収金額を算出し、この制御部330が紙幣釣銭機200に対して紙幣の払い出し指示を行うようにしてもよい。
また、貨幣処理システム1に棒金ドロアが設けられていてもよい。この場合、棒金ドロアに収納される棒金硬貨は硬貨の集合体であるため、第1の売上金回収処理が行われる際には、棒金ドロアから棒金硬貨が出金されることはなく、硬貨分として全ての棒金硬貨が棒金ドロアに残置されるようになる。
また、図1に示すように、貨幣処理システム1に複数の貨幣釣銭機(硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200が組み合わせられたもの)が設けられているときに、各貨幣釣銭機から売上金としての紙幣や硬貨を回収する際に、以下に示すような第3の売上金回収処理が行われるようになっていてもよい。以下、第3の売上金回収処理について詳細に説明する。
第3の売上金回収処理がおこなわれる際には、各貨幣釣銭機の硬貨釣銭機100における制御部130や紙幣釣銭機200における制御部230、あるいはPOSレジスタ300の制御部330において、各々の貨幣釣銭機の残置金額が予め設定されるようになっている。なお、残置金額の設定値は、全機共通であってもいいし、売り場条件に対応して、貨幣釣銭機毎に設定してもよい。また、記憶部134や記憶部234、あるいは記憶部334には、各貨幣釣銭機の残置金額を特定可能な情報が記憶されるようになる。
そして、第3の売上金回収処理を行うときには、複数の貨幣釣銭機の硬貨釣銭機100の硬貨収納部106における硬貨および紙幣釣銭機200の紙幣収納部206における紙幣の総合計在高が、記憶部134や記憶部234、あるいは記憶部334に記憶された情報から特定される残置金額を合わせた総残置金額と、紙幣の最小単位金額よりも小さい端数金額との合計の大きさとなるように、各貨幣釣銭機の紙幣釣銭機200から紙幣のみが出金されるようになる。
第3の売上金回収処理について図7および図8を用いて具体的に説明する。図7(a)に示すように、貨幣処理システム1に2台の貨幣釣銭機(貨幣釣銭機Aおよび貨幣釣銭機B)が設けられている場合について例示する。精算処理を行う時点において、貨幣釣銭機Aの紙幣釣銭機200の機体内に1万円札が70枚、5千円札が20枚、千円札が80枚それぞれ収納されており、当該紙幣釣銭機200の機体内の紙幣の在高が880,000円であり、貨幣釣銭機Aの硬貨釣銭機100の機体内に500円玉が22枚、100円玉が78枚、50円玉が12枚、10円玉が93枚、5円玉が31枚、1円玉が115枚それぞれ収納されており、当該硬貨釣銭機100の機体内の硬貨の在高が20,600円となっている。また、貨幣釣銭機Bの紙幣釣銭機200の機体内に1万円札が30枚、5千円札が10枚、千円札が40枚それぞれ収納されており、当該紙幣釣銭機200の機体内の紙幣の在高が390,000円であり、貨幣釣銭機Bの硬貨釣銭機100の機体内に500円玉が12枚、100円玉が36枚、50円玉が12枚、10円玉が35枚、5円玉が11枚、1円玉が15枚それぞれ収納されており、当該硬貨釣銭機100の機体内の硬貨の在高が10,620円となっている。この場合に、各貨幣釣銭機の硬貨釣銭機100における制御部130や紙幣釣銭機200における制御部230、あるいはPOSレジスタ300の制御部330において、残置金額として例えば貨幣釣銭機1台あたり50,000円が設定されたときは、各貨幣釣銭機の残置金額を特定可能な情報(具体的には、貨幣釣銭機1台あたりの残置金額が50,000円であることを特定可能な情報)が記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶される。
第3の売上金回収処理を説明するにあたり、まず、比較例として、図7(a)に示す状態で各貨幣釣銭機A、Bにおいて前述した第1の売上金回収処理が仮に行われた場合に各貨幣釣銭機A、Bの在高がどのように変化するかについて図7(b)(c)を用いて説明する。
各貨幣釣銭機A、Bにおいて第1の売上金回収処理が行われる場合には、各貨幣釣銭機A、Bにおいて、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106における硬貨および紙幣釣銭機200の紙幣収納部206における紙幣の合計在高が、各貨幣釣銭機の残置金額である50,000円と、紙幣の最小単位金額(千円)よりも小さい端数金額との合計の大きさとなるように、各貨幣釣銭機A、Bの紙幣釣銭機200から紙幣のみが出金されて回収されるようになる。この際に、1万円札がなるべく各貨幣釣銭機A、Bの紙幣釣銭機200内に残置されず、一方、千円札がなるべく各貨幣釣銭機A、Bの紙幣釣銭機200内に残置されるよう、各貨幣釣銭機A、Bの紙幣釣銭機200から紙幣が出金される。図7(a)に示すような例について、第1の売上金回収処理が行われる場合において、各貨幣釣銭機A、Bの紙幣釣銭機200から出金されて回収される紙幣の金種毎の枚数および合計金額を図7(b)に示す。なお、この際に、各貨幣釣銭機A、Bの硬貨釣銭機100から硬貨が出金されることはない。
そして、第1の売上金回収処理がおこなわれた後の各貨幣釣銭機A、Bにおける紙幣釣銭機200および硬貨釣銭機100の機体内の紙幣および硬貨の金種別の枚数および在高を図7(c)に示す。図7(c)に示すように、貨幣釣銭機Aの紙幣釣銭機200の機体内には、千円札が30枚残置されるようになり、貨幣釣銭機Bの紙幣釣銭機200の機体内には、千円札が40枚残置されるようになる。一方、第1の売上金回収処理では各貨幣釣銭機A、Bの硬貨釣銭機100から硬貨が出金されることはないため、各貨幣釣銭機A、Bの硬貨釣銭機100の機体内には、各金種について第1の売上金回収処理が行われる前と同じ枚数の硬貨が残置されるようになる。そして、貨幣釣銭機Aの硬貨釣銭機100の機体内の硬貨および紙幣釣銭機200の機体内の紙幣の合計在高は50,600円となり、また、貨幣釣銭機Bの硬貨釣銭機100の機体内の硬貨および紙幣釣銭機200の機体内の紙幣の合計在高は50,620円となり、このため、各貨幣釣銭機A、Bの硬貨釣銭機100の機体内の硬貨および紙幣釣銭機200の機体内の紙幣の総合計在高は101,220円となる。まだ、貨幣釣銭機Aにおける端数金額は600円となり、貨幣釣銭機Bにおける端数金額は620円となり、各貨幣釣銭機A、Bの端数金額の合計は1,220円となる。
このように、各貨幣釣銭機A、Bにおいて第1の売上金回収処理が行われる場合には、各貨幣釣銭機A、Bの端数金額の合計値(1,220円)は、紙幣の最小単位金額である1,000円を超えている。これに対し、以下に詳述する第3の売上金回収処理では、各貨幣釣銭機A、Bの端数金額の合計値を最小限のものとするため、千円札をもう1枚余分に回収するようにする。
以下、図8(a)に示す状態の各貨幣釣銭機A、Bにおいて、第3の売上金回収処理が行われた場合に各貨幣釣銭機A、Bの在高がどのように変化するかについて図8(b)(c)を用いて説明する。なお、図8(a)に示す各貨幣釣銭機A、Bにおける収納貨幣の内訳は、図7(a)に示す各貨幣釣銭機A、Bにおける収納貨幣の内訳と全く同一である。
前述のように、第3の売上金回収処理を行うときには、貨幣釣銭機A、Bの硬貨釣銭機100の硬貨収納部106における硬貨および紙幣釣銭機200の紙幣収納部206における紙幣の総合計在高が、記憶部134や記憶部234、あるいは記憶部334に記憶された情報から特定される残置金額を合わせた総残置金額と、紙幣の最小単位金額よりも小さい端数金額との合計の大きさとなるように、各貨幣釣銭機の紙幣釣銭機200から紙幣のみが出金されて回収されるようになる。ここで、残置金額として、1台あたり50,000円が設定されているので、総残置金額は100,000円となる。また、1万円札がなるべく各貨幣釣銭機A、Bの紙幣釣銭機200内に残置されず、一方、千円札がなるべく各貨幣釣銭機A、Bの紙幣釣銭機200内に残置されるよう、各貨幣釣銭機A、Bの紙幣釣銭機200から紙幣が出金される。図8(a)に示すような例について、第3の売上金回収処理が行われる場合に、各貨幣釣銭機A、Bの紙幣釣銭機200から出金されて回収される紙幣の金種毎の枚数および合計金額を図8(b)に示す。なお、第3の売上金回収処理では、第1の売上金回収処理と同様に、各貨幣釣銭機A、Bの硬貨釣銭機100から硬貨が出金されることはない。また、図8(b)に示すように、第3の売上金回収処理が行われる場合には、第1の売上金回収処理が行われる場合と比較して、貨幣釣銭機Bの紙幣釣銭機200から千円札が1枚余分に出金されて回収されるようになる。なお、このような余分の1枚の千円札をどの貨幣釣銭機から出金させるかについては、制御部130や制御部230、あるいは制御部330において予め設定されるようになっていてもよい。具体的には、貨幣釣銭機A、Bのうちいずれか一方の貨幣釣銭機が親機として設定され(図8に示す例では貨幣釣銭機Bが親機として設定されている)、この親機として設定された貨幣釣銭機の紙幣釣銭機200から余分の1枚の紙幣が出金されるようになっていてもよい。また、余分の1枚の千円札を出金させる貨幣釣銭機の設定が固定されておらず、機内の合計在高と残置金額(50,000円)との差が最小になるような貨幣釣銭機がその都度、制御部130や制御部230、あるいは制御部330において選択され、選択された貨幣釣銭機の紙幣釣銭機200から余分の1枚の紙幣が出金されるようになっていてもよい。
そして、第3の売上金回収処理がおこなわれた後の各貨幣釣銭機A、Bの紙幣釣銭機200および硬貨釣銭機100の機体内の紙幣および硬貨の金種別の枚数および在高を図8(c)に示す。図8(c)に示すように、貨幣釣銭機Aの紙幣釣銭機200の機体内には千円札が30枚残置されるようになり、貨幣釣銭機Bの紙幣釣銭機200の機体内には千円札が39枚残置されるようになる。一方、第3の売上金回収処理では各貨幣釣銭機A、Bの硬貨釣銭機100から硬貨が出金されることはないため、各貨幣釣銭機A、Bの硬貨釣銭機100の機体内には、各金種について第3の売上金回収処理が行われる前と同じ枚数の硬貨が残置されるようになる。そして、貨幣釣銭機Aの硬貨釣銭機100の機体内の硬貨および紙幣釣銭機200の機体内の紙幣の合計在高は50,600円となり、また、貨幣釣銭機Bの硬貨釣銭機100の機体内の硬貨および紙幣釣銭機200の機体内の紙幣の合計在高は49,620円となり、このため、各貨幣釣銭機A、Bの硬貨釣銭機100の機体内の硬貨および紙幣釣銭機200の機体内の紙幣の総合計在高は100,220円となる。まだ、貨幣釣銭機Aにおける端数金額は600円となり、貨幣釣銭機Bにおける端数金額は−380円となり、各貨幣釣銭機A、Bの端数金額の合計は220円となる。
そして、第3の売上金回収処理が行われた後の各貨幣釣銭機A、Bのそれぞれ端数金額や、端数金額の合計値は、記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶されるようになる。なお、第3の売上金回収処理が行われた後の端数金額は、残置金額を記憶するための記憶部と同じ記憶部に記憶されてもよく、また、残置金額を記憶するための記憶部とは異なる記憶部に記憶されてもよい。また、第3の売上金回収処理が行われた後の端数金額を記憶するための端数金額記憶部が、上述した記憶部134、234、334とは別に設けられていてもよい。
このように、第3の売上金回収処理を行った場合には、第1の売上金回収処理を行った場合と比較して、各貨幣釣銭機A、Bにおける端数金額の合計値を、紙幣の最小単位金額よりも小さくすることができる。なお、第3の売上金回収処理を行った場合には、貨幣釣銭機Bの合計在高が残置金額よりも小さくなるが、各貨幣釣銭機A、Bにおける端数金額の合計値を抑えることを優先させる場合には、操作者によりこのような第3の売上金回収処理を実行することが選択されるようになる。一方、各貨幣釣銭機A、Bの合計在高がそれぞれ貨幣釣銭機毎の残置金額を超えるようにすることを優先する場合には、図7に示すように各貨幣釣銭機A、Bについて第1の売上金回収処理を実行することを操作者は選択することになる。
図8に示すような変形例に係る貨幣処理システム1によれば、紙幣および硬貨からなる貨幣を処理する貨幣釣銭機が複数設けられており、各貨幣釣銭機の硬貨釣銭機100の制御部130または紙幣釣銭機200の制御部230、あるいはPOSレジスタ300の制御部330は、第3の売上金回収処理を行うときに、各貨幣釣銭機の硬貨釣銭機100の硬貨収納部106および紙幣釣銭機200の紙幣収納部206における硬貨および紙幣の総合計在高が、記憶部134または記憶部234、あるいは記憶部334に記憶された情報から特定される残置金額を合わせた総残置金額と、紙幣の最小単位金額(例えば、千円)よりも小さい端数金額との合計の大きさとなるように、紙幣のみを出金するよう各貨幣釣銭機の紙幣釣銭機200を制御するようになっている。このような第3の売上金回収処理では、売上金としての紙幣や硬貨を回収する際に紙幣のみを出金させることができるので、店舗10aに設置されたATM12に硬貨を入金することができないようになっている場合でも、回収された貨幣(紙幣)を当該ATM12に入金することができる。また、第3の売上金回収処理では、各貨幣釣銭機の硬貨収納部106の機体内に残置される硬貨および紙幣収納部206の機体内に残置される紙幣の総合計在高が、各貨幣釣銭機の残置金額を合わせた総残置金額よりも必ず大きくなる。このため、回収される紙幣の金額が過大になってしまうことを防止することができる。また、第3の売上金回収処理では、複数の貨幣釣銭機における機体内の紙幣および硬貨の在高をまとめて管理している。このため、売上金回収処理を行う際に貨幣釣銭機を個々に管理する場合と比較して、貨幣処理システム1全体における残置金額を減少させることができる。すなわち、図8に示すような例において、第3の売上金回収処理を行った場合には貨幣処理システム1全体における残置金額は220円となるが、もし貨幣釣銭機を個々に管理し、各貨幣釣銭機についてそれぞれ第1の売上金回収処理を行った場合には、図7に示すように、貨幣処理システム1全体における残置金額は1,220円となる。このように、第3の売上金回収処理を行うことにより、貨幣処理システム1全体における残置金額を減少させることができる。