JP2013035299A - 鉄道車両の屋根構体構造用垂木 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数及び加工工数を低減して、均一な品質で安定的に接合された鉄道車両用の屋根構体構造を実現できる垂木を提供する。
【解決手段】鉄道車両の屋根構体構造に用いられる垂木Rは、屋根の形状に対応して円弧状に延在する本体部Raと、本体部Raの両端部にそれぞれ一体的に形成されて、直線状に延在する第1及び第2の直端部Rsとを備える。
【選択図】図1
【解決手段】鉄道車両の屋根構体構造に用いられる垂木Rは、屋根の形状に対応して円弧状に延在する本体部Raと、本体部Raの両端部にそれぞれ一体的に形成されて、直線状に延在する第1及び第2の直端部Rsとを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、鉄道車両の屋根構体構造に用いられる垂木に関する。
鉄道車両の屋根構体構造は、一般的に、特許文献1に開示されているような、アルミニウム合金系押出形材を屋根外板として用いるものと、非特許文献1に開示されているような、垂木の上に外板を接合してなるものとがある。後者は、車両の長手方向に所定の間隔で配設された、車両の幅方向に延在する複数の垂木の上に外板が接合されてなる。図5に、従来の垂木をその延在方向に対して垂直な方向から見た状態を示す。垂木Rcは、車両の屋根の形状に合わせて、凸状(その長手方向に概ね円弧状)に延在する梁であり、延在方向の全域にわたって曲面で形成されている。なお、垂木Rcにおいて、外板(不図示)が載置される面を外面Rcoと呼び、外面Rcoの反対側の面を内面Rcrと呼んで識別する。垂木Rcは、端部Rceで車両構体に接合される。これについては、後ほど図8及び図9を参照して説明する。
図6を参照して、垂木Rc(図5)の製作方法について説明する。垂木Rcは、通常Z状断面を有して直線状に延在する垂木材Rc”を、車両の屋根の形状に合わせて円弧状に曲げて製作される。しかしながら、内面Rcr側は圧縮されて座屈を生じる恐れがある。そのために、図6(a)に示すように、垂木材Rc”の両端の直線状の端部Rcs(以降、「直端部Rcs」)をテンションチャック(不図示)で強固に保持し、これにテンションシリンダー(不図示)による引張荷重を与えながら、内面Rcr側を金型D’に圧接させて曲げ加工を行うストレッチベンダーが用いられる。
図6(b)に、垂木材Rc”をストレッチベンダーにより曲げ加工後に得られる垂木中間材Rc’を示す。垂木中間材Rc’は、両端の直端部Rcsを残して円弧状に曲げられる。垂木中間材Rc’から、直端部Rcsが切断されて、円弧状の垂木Rcが得られる。
図7に、垂木Rcが車両構体に取り付けられている様子(非特許文献1)を車両内部から見た状態を示す。図7(a)及び図7(b)は、それぞれ、軽量化以前の標準のステンレス車両の構体構造Vc1と軽量ステンレス車両の構体構造Vc2を示している。
次に、図8及び図9を参照して、垂木Rcの車両構体への連結方法について説明する。図8(a)は、車両構体に取り付けられている垂木Rcの端部Rceの周辺を、車両の高さ方向Dv(以降、「車両縦方向Dv」)及び車両の幅方向Dw(以降、「車両幅方向Dw」)の双方に対して垂直な車両の長手方向Dl(以降、「車両長手方向Dl」)に見た様子を示す。図8(b)に図8(a)において、ガセットG1を介して端部Rceが長桁Blに連結されている部分を、車両縦方向Dvに上から見た状態を示す。図9(a)に、図8(a)において、端部Rce(垂木Rc)及びガセットG1が連結される前の状態を示す。図9(b)に、図8(a)において、ガセットG2を介して長桁Blと側柱Psとが連結されている様子を、車両幅方向Dwに内側から見た状態を示す。
図8(a)に示すように、垂木Rcは、ガセットG1、ガセットG2、及び長桁Blを介して、側柱Psに連結される。長桁Blは、車両長手方向Dlに延在する一枚の帯状の部材(鋼材或いはアルミニウム合金材)が折り曲げられて形成されている。具体的には、図9(a)において、下から側柱Psに連結される基部Blbと、基部Blbから幅方向Dwに関して内側(車両の屋根側)に傾斜する外側傾斜部Bloと、外側傾斜部Bloの上端からほぼ垂直に車両内部側に延在する座部Blsと、座部Blsの端部から外側傾斜部Bloと概ね平行で上方に延在する内側傾斜部Blrとを含む。
ガセットG2は、図9(a)及び図9(b)に示すように、長桁Blの内側傾斜部Blrと側柱Psとを接続する継手板である。具体的には、ガセットG2は、図9(a)において、下から側柱Psに栓溶接Wpにより連結される基部G2bと、基部G2bから外側傾斜部Blo及び内側傾斜部Blrと概ね平行で上方に延在して内側傾斜部Blrに栓溶接Wpにより連結される上部G2oとを含む。図9(a)から見て取れるように、ガセットG2は側柱Psの上端から天井(垂木Rc)に向かって延びる長桁Blを下から支え受け止めている。なお、垂木Rcと側柱Psの上端との車両長手方向Dlの間隔は一定ではない。この間隔のばらつきは、ガセットG2によって吸収されている。
図8(b)に示すように、垂木Rcは、端部Rceの外面Rcoに継手板であるガセットG1が栓溶接されている。垂木Rcの端部Rceは、ガセットG2の上面に内面Rcrが載置され、ガセットG1の下面が長桁Blの外側傾斜部Bloに載置された状態で、栓溶接Wpにより互いに連結されている。このように、2枚の継手板であるガセットG1及びG2を用いる理由は、垂木Rcの車両構体(側柱Ps)との結合部品(長桁Bl)との連結に用いられる端部Rceの外面Rco及び内面Rcrが曲面で構成されていることにある。
両面が曲面の端部Rceをそのまま受け入れるためには、結合部品の受け入れ面も曲面で構成することが考えられる。しかしながら、端部Rceの曲面と、結合部品の曲面を完全に整合させることは実質的に無理である。仮に出来たとしても、曲面断面が真円でないかぎり、両者の相互位置関係が完全に所定通りでない限り、両者間の沿いが確保できずに、間にギャップを生じてしまう。このようなギャップの存在を補償するために、ガセットG1及びG2を用いて栓溶接という作業者による現場合わせ(手溶接)が行われている。
「鉄道ジャーナル」、株式会社鉄道ジャーナル社、1984年4月号、p.20−26
しかしながら、上述のような作業者による現場合わせ作業の品質は、作業者の熟練度や能力に負う度合いが高い。作業者が変われば栓溶接の品質がばらつき、ガセットG1及びG2による垂木Rcと長桁Blとの接合強度がばらつき、屋根構体構造の強度がばらつき、ひいては車両構体の強度を損なうことにもなる。このような場合、構体構造の組み立て後の構体の強度補正作業を必要とする。なお、同一の作業者によっても、程度の差はあるにしても、栓溶接の品質のばらつきを生じることは言うまでも無い。
さらに、垂木Rcと長桁Blの形状に起因する相互位置差を吸収するために用いられているガセットG1及びG2は、栓溶接の手間も含めてコスト高と共に車両の重量化(特に重心高につながる)も招き、鉄道車両のさらなる高速化と並びに省資源化と省エネ化に対する阻害要因のひとつである。また、垂木Rcは垂木材Rc”をストレッチベンドされた垂木中間材Rc’から、直端部Rcsを切断して製作されており、直端部Rcsの切断作業及び切断されて使用されない直端部Rcsは、省資源化及び省エネ化のさらなる阻害要因である。
よって、上述の問題に鑑みて、本発明は、部品点数及び加工工数を低減して、均一な品質で安定的に接合された鉄道車両用の屋根構体構造を実現できる垂木を提供することを目的とする。
上記の課題を解決する為に、本発明は、鉄道車両の屋根構体構造に用いられる垂木であって、
屋根の形状に対応して円弧状に延在する本体部と、
前記本体部の両端部にそれぞれ一体的に形成されて、直線状に延在する第1及び第2の直端部とを備える。
屋根の形状に対応して円弧状に延在する本体部と、
前記本体部の両端部にそれぞれ一体的に形成されて、直線状に延在する第1及び第2の直端部とを備える。
本発明は、部品点数及び加工工数を低減して、均一な品質で安定的に接合された鉄道車両用の屋根構体構造を実現できるという効果を奏する。
以下に図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態に係る垂木について説明する。図1は、図5に従来の垂木Rcを示したのと同様に、実施の形態に係る垂木Rをその延在方向に対して垂直な方向から見た状態を示す。垂木Rは、両端の直端部Rsを除いて、車両の屋根の形状に合わせて、上述の従来の垂木Rcと同様に延在方向に渡って曲面で形成されている。つまり、垂木Rは、垂木Rc(図5)において、端部Rceが直端部Rsに交換された構造を有している。垂木Rにおいて、両端の直端部Rsの間の円弧状の部分を本体部Raと呼び、外板(不図示)が載置される面を外面Roと呼び、外面Roの反対側の面を内面Rrと呼んで識別する。
図2を参照して、垂木Rの製作方法について説明する。図2(a)に示すように、垂木Rは、図6(a)を参照して説明したのと同様に、垂木材R”の両端の直端部Rsをテンションチャックで強固に保持し、これにテンションシリンダーによる引張荷重を与えながら、内面Rr側を金型Dに圧接させて曲げ加工を行い、図2(b)に示す垂木Rの形状が得られる。本発明においては、垂木材R”にストレッチベンディングを1回実施するだけで、直端部Rsを切断することなく、垂木Rが得られる。つまり、図6を参照して説明した従来の垂木Rcの製作時に不可欠な垂木中間材(Rc’)が不要である。このように、直端部Rsの切断に要する時間及びエネルギーが不要であると共に、従来切り落とされていた直端部Rsを垂木Rの一部として使用することにより、省資源化に寄与できる。
垂木Rは、垂木Rcにおいて、端部Rceが直端部Rsに置き換えられたような構造を有している。なお、直端部Rsは直端部Rcsと同じ長さとは限らない。つまり、垂木Rcと垂木Rの全長が同じ場合、直端部Rcsの2個分だけ垂木材R”の方が垂木材Rc”より短い。また、金型Dの方が金型D’より直端部Rcsの2個分だけ短い。
次に、図3及び図4を参照して、垂木Rの車両構体への連結方法について説明する。図3(a)は、垂木Rが車両構体に取り付けられている様子を車両内部から見た状態を示す。図3(b)は、図3(a)において、垂木Rが長桁Blpo及び側長桁Blpsとを介して、側縦柱Pvsに連結されている部分を車両長手方向Dlに見た状態を示す。図4(a)は、図3(b)において、長桁Blpoを中心に車両縦方向Dvに上から見た状態を示す。図4(b)は、図3(b)から長桁Blpoのみを抜き出して示す。
図3(a)に示すように、垂木Rは、長桁Blpoのガセット状部(図4(a))と、側長桁Blpsのガセット状部との間に嵌入された状態(図3(b))で、スポット溶接されて連結される。なお、側長桁Blpsは横骨FMhと一体的に構成され、横骨FMhは側外板Pesにスポット溶接Wsされている。側長桁Blpsは、さらに、横骨FMhに連結されている側縦柱Pvsの上端のフランジ状部分にスポット溶接Wsされている。このようにして、それぞれが独立した継手板であるガセットG1及びガセットG2が、それぞれ、長桁Blpo及び側長桁Blpsと一体に形成されることによって、部品点数を減少させると共に、ガセットG1及びG2との垂木R以外の連結部材との栓溶接を不要にしている。
図3(b)に示すように、長桁Blpoのガセット状部、側長桁Blpsのガセット状部、及び垂木Rにおける直端部Rsの外面Ro及び内面Rrは曲面ではなく平面である。よって、垂木Rの直端部Rsと、長桁Blpo或いは側長桁Blpsとの相互位置(直端部Rsの嵌入深さ)がばらついても、長桁Blpoのガセット状部と垂木Rの外面Roとの間隔及び側長桁Blpsのガセット状部と垂木Rの内面Rrとの間隔は一定である。これによって、これらの間での接合は、栓溶接Wpを廃してスポット溶接Wsで行うことが可能である。なお、側長桁Blpsのガセット状部は、上端のフランジ状部分が溶接された側縦柱Pvsによって、車両縦方向Dvに対する強度が確保される、つまり垂木Rの荷重が側縦柱Pvsによって受け止められている。
上述のように、本発明においては垂木の端部に直線状断面を有する、つまり曲面ではなく平面で規定される形状に構成している。垂木が嵌入される結合部も平面状に形成することによって、垂木の嵌入深さ(相互位置)がばらついても、垂木と結合部との間隔は一定に保たれる。これによって、従来の現場合わせ手作業である栓溶接による結合を廃して、自動機によるスポット溶接を可能とした。さらに、バラツキに応じて、作業者が条件を調整するのに必要としていたガセットも不要とした。そのために、従来の個々のガセットの代わりに、ガセットに対応するフランジ状部材を側長桁や長桁と一体的に構成することにより、部品点数を減少させると共にガセットと結合部材との栓溶接を不要とした。なお、作業者の熟練度に負うことの多い栓溶接の代わりに、自動機によるスポット溶接を用いることにより、品質の安定及び工数の削減を実現できる。
本発明は、鉄道車両の屋根構体構造用の垂木に利用できる。
R、Rc 垂木
Ra 本体部
Ro、Rco 外面
Rr、Rcr 内面
R”、Rc” 垂木材
R’、Rc’ 垂木中間材
Rce 端部
Rs、Rcs 直端部
Pes 側外板
Blpo 長桁
Blps 側長桁
Pvs 側縦柱
FMh 横骨
Bl 長桁
Blb 基部
Blo 外側傾斜部
Bls 座部
Blr 内側傾斜部
Ps 側柱
G1、G2 ガセット
G2b 基部
G2o 上部
Ws スポット溶接
Wp 栓溶接
Vc1、Vc2 構体構造
Dl 車両長手方向
Dv 車両縦方向
Dw 車両幅方向
Ra 本体部
Ro、Rco 外面
Rr、Rcr 内面
R”、Rc” 垂木材
R’、Rc’ 垂木中間材
Rce 端部
Rs、Rcs 直端部
Pes 側外板
Blpo 長桁
Blps 側長桁
Pvs 側縦柱
FMh 横骨
Bl 長桁
Blb 基部
Blo 外側傾斜部
Bls 座部
Blr 内側傾斜部
Ps 側柱
G1、G2 ガセット
G2b 基部
G2o 上部
Ws スポット溶接
Wp 栓溶接
Vc1、Vc2 構体構造
Dl 車両長手方向
Dv 車両縦方向
Dw 車両幅方向
Claims (2)
- 鉄道車両の屋根構体構造に用いられる垂木であって、
屋根の形状に対応して円弧状に延在する本体部と、
前記本体部の両端部にそれぞれ一体的に形成されて、直線状に延在する第1及び第2の直端部とを備える垂木。 - 前記垂木は直線状に延在する垂木材の両端部をチャックで保持して引っ張りながら、当該両端部の間の部分を、前記屋根の形状に対応して円弧状に形成された金型に押しつけて変形させて形成されることを特徴とする、請求項1に記載の垂木。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011170213A JP2013035299A (ja) | 2011-08-03 | 2011-08-03 | 鉄道車両の屋根構体構造用垂木 |
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Family Applications (1)
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Cited By (2)
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-
2011
- 2011-08-03 JP JP2011170213A patent/JP2013035299A/ja active Pending
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