JP2013033129A5 - - Google Patents

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走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置
本発明は走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置に関し、例えば電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタやデジタル複写機、マルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等の画像形成装置に好適なものである。
従来よりレーザービームプリンタ(LBP)やデジタル複写機の光走査装置においては画像信号に応じて光源手段から光変調され出射した光束を、回転多面鏡(ポリゴンミラー)より成る光偏向器(偏向手段)により周期的に偏向させている。そして偏向された光束をfθ特性を有する結像光学系によって感光性の記録媒体(感光ドラム)面上にスポット状に集束させ、その面上を光走査して画像記録を行っている。
走査光学装置としてタンデム型の走査光学装置が種々と提案されている(特許文献1、2)。タンデム型の走査光学装置では、例えばカラー画像形成における各色相に対応する複数の被走査面を同時に走査する複数の走査結像機能を有している。
このカラー画像形成装置に用いるタンデム型の走査光学装置では、光源手段を複数有し、一つまたは複数の偏向素子に光束を入射させる。このとき入射する複数の光束は偏向面および結像光学素子の光軸を含み偏向面に直交する面に対しそれぞれ角度を有している。そして一つまたは複数の走査光学素子(結像光学系)を介した後、ミラー等により光束を分離し、それぞれ異なる複数の被走査面上を複数の光スポットで走査している。
特許文献1のタンデム型の走査光学装置では、4つの光源からの光束を主走査方向に異なる角度で偏向素子の偏向面に入射させている。そして4つの光束を各々走査光学素子を介して異なる被走査面に導光し、光走査している。特許文献2のタンデム型の走査光学装置では、4つの光源からの光束を副走査方向に異なる角度で偏向素子に入射させている。そして内側光束と、外側光束において対応する走査光学素子の補正レンズの形状を変えて走査線曲がり(ボウ)を補正している。
特開2002−139687号公報 特開2003−185957号公報
特許文献1のタンデム型の走査光学装置では、複数の光束の偏向面への副走査方向の入射角を0とし走査光学系を上下方向(副走査方向)に2段に重ねて配置している。このため走査光学装置の上下方向の厚さが増大する傾向がある。また複数の光束の全ての光路において用いる走査光学素子を同一としている。このため副走査方向の像面傾き(ピント方向)が生じてくる。
特許文献2のタンデム型の走査光学装置では、4つの光源を副走査方向に並べて配置している。このため走査光学装置の上下方向の厚さが増大する傾向がある。また副走査方向の入射角が絶対的に大きくなることにより、諸収差が多く発生し、これらの収差の補正が難しい。
タンデム型の走査光学装置においては、装置全体の小型化のため上下方向の薄型化を図りつつ、諸収差を良好に補正し、高い光学性能が得られることが要望されている。これらの要望を満たすためには、複数の光源の配置、及び複数の光束の偏向素子の偏向面への入射方法、そして走査光学素子(結像光学素子)の形状を最適化することが重要である。
本発明は、上下方向(副走査方向)の薄型化を図りつつ、各々の結像光学素子から発生する諸収差を良好に補正し、高い光学性能を有し、複数の光束で複数の被走査面を走査することができる走査光学装置の提供を目的とする。
本発明に係る走査光学装置は、第1及び第2の光源手段と、該第1及び第2の光源手段から出射第1及び第2の光束の夫々導光する第1及び第2の入射光学系と、前記第1及び第2の光束の夫々を第1の偏向面により偏向して第1及び第2の被走査面を主走査方向走査する偏向器と前記第1及び第2の光束の夫々を前記第1及び第2の被走査面に集光する結像光学系と、を備える走査光学装置であって前記第1及び第2の入射光学系は、前記第1及び第2の光束の夫々を、主走査断面内及び副走査断面内において互いに異なる方向から前記第1の偏向面に入射させており前記結像光学系は、前記第1及び第2の光束の夫々が入射する副走査方向に配列された第1及び第2の光学部を含む結像光学素子有し、前記第1及び第2の光学部形状は、副走査断面内において互いに異なことを特徴としている。
また、本発明に係る画像形成装置は、上記走査光学装置を備えることを特徴とする。
本発明によれば、上下方向(副走査方向)の薄型化を図りつつ、各々の結像光学素子から発生する諸収差を良好に補正し、高い光学性能を有し、複数の光束で複数の被走査面を走査することができる走査光学装置が得られる。
実施例1の走査光学装置の主走査方向の要部断面図である。 実施例1の走査光学装置の副走査方向の要部断面図である。 実施例1の走査光学装置における光源配置を示す説明図である。 実施例1の走査光学装置の偏向素子近傍における主走査方向の拡大図である。 実施例1の走査光学装置の線像位置と偏向面の距離を示す説明図である。 実施例1の走査光学装置の偏向素子から結像光学素子までの副走査方向の拡大図である。 実施例1の走査光学装置の主走査方向の断面図である。 実施例1の走査光学装置の副走査方向の断面図である。 本発明のカラー画像形成装置の要部概略図である。 比較例の走査光学装置の光源配置を示す図である。 実施例1の結像光学素子の説明図である。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。本発明の走査光学装置は、複数の光源手段1k(第1の光源手段),1c(第2の光源手段)から出射した複数の光束を、複数の光源手段毎に設けた集光光学系を介して主走査方向へ光束を偏向走査する共通の偏向素子5を有する。偏光素子5の偏向面51により第1の方向へ偏向走査し、または複数の結像光学素子6k,6cを介してそれぞれ異なる被走査面8k,8cに導光する。
複数の光源手段1k,1cからの複数の光束は主走査断面内と副走査断面内ともに互いに異なる角度を有して偏向素子5の第1の偏向面である偏向面51に入射している。結像光学素子の1つ62ckは偏向面51で偏向された複数の光束を光束毎に結像する複数の光学部A(第1の光学部),B(第2の光学部)を副走査方向に離間して有している。そして複数の光学部A,Bの副走査断面内の形状は、偏向素子5の偏向面51に対する光束の主走査方向の入射角に応じて異なっている。以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
[実施例1]
図1は本発明の実施例1のタンデム型の走査光学装置の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。図2は本発明の実施例1のタンデム型の走査光学装置の副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。図3は本発明の実施例1の複数の光源手段の配置の説明図である。
尚、以下の説明において、主走査方向(Y方向)とは偏向手段で光束が偏向走査される方向である。副走査方向(Z方向)とは偏向手段の回転軸と平行な方向である。主走査断面とは偏向手段の回転軸を法線とする平面である。副走査断面とは主走査方向の軸を法線とする平面である。
また本明細書及び図面においては、サフィックスxは色相に対応するy(イエロー)、m(マゼンタ)、c(シアン)、k(ブラック)を表わす。またy〜kとはy,m,c,kのことである。
図中、1y〜1k(1)は各々少なくとも1つの発光部(発光点)を有する光源手段(光源)であり、例えば半導体レーザーより成っている。2y〜2k(2)は光束変換手段としてのアナモフィックコリメータレンズであり、対応する複数の光源手段1y〜1kから出射した複数の光束の集光状態を変換する機能を有する。更に光束を偏向手段5の偏向面において主走査方向に延伸した線像に変換する機能とを有している。尚、アナモフィックコリメータレンズに限らず、それぞれ独立した機能を有するコリメータレンズとシリンドリカルレンズとを用いて構成しても良い。
3y〜3k(3)は各々絞りであり、光束(光量)を制限している。尚、絞り3y〜3k(3)及びアナモフィックコリメータレンズ2y〜2k(2)の各要素はそれぞれ第1、第2の入射光学系(集光光学系)の一要素を構成している。5は偏向手段(偏向素子)としての光偏向器であり、複数の偏向面を有する回転多面鏡(ポリゴンミラー)よりなり、モータ等の駆動手段により矢印A方向に等速で回転しており、入射光学系からの光束を偏向走査している。
SR,SLは各々光偏向器5に対して対向配置されたステーション(走査ユニット)である。6y〜6k(6)は各々fθ特性を有し、主走査方向と副走査方向で異なる屈折力を持つ結像光学手段(結像光学系)であり、光偏向器5からの複数の光束を光束毎に対応した被走査面8y〜8k(8)上に結像させている。
本実施例における結像光学手段6y〜6kを構成する各々の結像光学素子(結像レンズ)はプラスチックモールド製より形成されている。ステーションSR側の結像光学手段6c、6kは、各々共通の第1の結像レンズ61ckと第2の結像レンズ62c、62k(62ck)を有している。ステーションSL側の結像光学手段6y、6mは、各々共通の第1の結像レンズ61ymと第2の結像レンズ62y、62m(62ym)を有している。
結像光学手段6y〜6kは、各々光偏向器5によって偏向走査された画像情報に基づく光束を対応する被走査面としての感光ドラム面8y〜8k上に結像させている。かつ結像光学手段6y〜6kは、各々副走査断面内において光偏向器5の偏向面51、52と感光ドラム面8y〜8kとの間を共役関係にすることにより偏向面51、52の面倒れ補償を行っている。
73k,71c,72cは各々ステーションSR側の反射素子としてのミラー(反射ミラー)であり、ステーションSR内で光路を折り曲げている。73y,71m,72mは各々ステーションSL側の反射素子としてのミラー(反射ミラー)であり、ステーションSL内で光路を折り曲げている。8k,8cは各々ステーションSR側の被走査面としての感光ドラム面である。8y,8mは各々ステーションSL側の被走査面としての感光ドラム面である。
本実施例では複数の被走査面8y〜8kに向かう各光路にはそれぞれ光路中に1以上の反射素子が配されている。結像光学手段6y〜6kと被走査面8y〜8kとの間には、各々防塵ガラス(不図示)が配置されており、走査光学装置内への塵埃の侵入を防いでいる。
<走査光学装置>
本実施例の走査光学装置は4つの光源手段1y〜1kの発光部から出射した光束を異なる4つの被走査面8y〜8kに導光し、光走査するものである。以下、走査光学装置の機能説明においては簡単のため1つの光源手段1kから発せられた光束の光路について説明する。
光源手段である半導体レーザ1kから出射した発散光束は、アナモフィックコリメータレンズ2kに入射し、集光された後に絞り3kによって光量を制限される。アナモフィックコリメータレンズ2kは、光源手段1kからの光束を主走査断面内(主走査方向)に関しては平行光束に変換し、副走査断面内(副走査方向)に関しては光偏向器5の偏向面51に結像するよう光束の状態を変換している。
即ち主走査方向に長手の結像として結像している。尚、光源手段1k,1cからの複数の光束は偏向面51に主走査断面内と副走査断面内において互いに異なる方向から入射している。複数の光源手段1k,1cからの複数の光束は、主走査断面内へ投射したとき偏向面への入射角度が2度以上10度以下である。
光偏向器5に入射した光束は偏向面51により被走査面方向に偏向走査され、fθ特性を有する結像光学手段6kに入射する。本実施例において結像光学手段6kは主に主走査方向にパワーを有するプラスチック製の第1のトーリックレンズ(結像レンズ)61ckと主に副走査方向にパワーを有するプラスチック製の第2のトーリックレンズ(結像レンズ)62ckとより構成される。また、結像光学手段6kは、偏向面51からの偏向光束を被走査面8kに結像させるとともに偏向面51の面倒れを補償している。
本実施例における第1のトーリックレンズ61ckは、上記の如く2組の結像光学手段6c、6kで共通に使用されている。なお、結像光学手段6kの形態、製法はこれに限定されるものではない。
上記結像光学手段6kにより被走査面8k上に結像した光束は、モータ軸(不図示)に取り付けられたポリゴンミラーの回転により被走査面8k上を主走査方向に等角速度で偏向走査する。
<タンデム型の走査光学装置>
本実施例における走査光学装置はこれらの走査機能を4つ有することで、異なる色相に対応する画像情報を同時に異なる被走査面上に記録するタンデム型の走査光学装置であり、以下、それについて、詳細に説明する。
本実施例においては図1に示すとおり、光源1kの他、光源1y、1m、1cを有しており、出射された4本の光束がそれぞれアナモフィックコリメータレンズ2、絞り3を介して偏向素子5に入射される。
図2の走査光学装置の副走査方向断面図において、図2(a)は偏向素子5から被走査面の断面図、図2(b)は光源から偏向素子の断面図である。光源1c、1kからの光束を偏向素子5の偏向面51へ、複数の光源手段からの光束のうち一部の光束である光源1y、1mからの光束を第3の光源手段からの第3の光束として偏向素子5の偏向面52(第2の偏向面)へ入射させており、それぞれの光束を偏向素子5を挟み対向方向に分離している。また光源1c、1kからの光束を副走査断面内で異なる入射角をもち偏向素子5の偏向面51に斜入射させている。これにより、第2のトーリックレンズ62ck後に配置したミラー71cにより空間分離している。
このことは、光源1y、1mからの光束に関しても同様である。このように偏向面51に対し異なる斜入射角を有する複数の光束を、偏向素子5の異なる2つの偏向面51、52に入射させることにより、一つの偏向素子5で4つの光束を同時に走査している。偏向素子5から出射した4本の光束は結像光学素子6を介し、それぞれの光路に個別に配置された反射素子(ミラー)71x〜73x(x=y〜k)にてそれぞれの色相に対応する被走査面8y〜8kへ導光される。
上述の4つの光束は減法混色にてフルカラー画像を形成するための3原色であるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)とK(ブラック)に対応しており、被走査面上に配置した感光ドラム上に画像情報を記録する。
このようなカラー画像形成装置においては近年小型化の要望が高く、特にマルチファンクションプリンタの普及に伴い、高さ方向をより低くすることが求められている。これを実現するためには搭載するタンデム型の走査光学装置の薄型化が必須であり、そのためには光源部の高さを低くすることが重要となる。
<複数光源配置>
図10は本発明の比較例におけるタンデム型の走査光学装置の複数の光源配置を示す説明図である。この比較例は一般的に用いられる副走査方向の入射角の違いや同一偏向素子の異なる偏向面を用いた光束分離を行っており、4つの光源1a〜1dを略正方形の頂点の位置に配置した構成となっている。
本比較例において光源1a〜1dからの光束の偏向素子への主走査方向の入射角は全ての光束において±90°、副走査方向の入射角は±3°である。本比較例では、光源の調整機構、保持機構を考慮し、副走査方向の入射角を比較的大きくとることにより光源周りの空間を確保している。しかしながらこのような配置の場合、副走査方向における光源間距離は大きくなり、タンデム型の走査光学装置の薄型化に支障をきたすこととなる。
図3は本実施例における光源1y〜1kの配置を示す説明図である。本実施例において光源からの光束の偏向素子への主走査方向の入射角は、偏向素子よりそれぞれの画像中心へ向かう光束の出射方向を0°とする。この場合、光源1kからの光束の入射方向を−90°、光源1cからの光束の入射方向を−85°としている。またこれと対称となる形で光源1mからの光束の入射方向を90°、光源1yからの光束の入射方向を85°としている。
このように本実施例では、第1及び第2の光源手段である光源1y,1cからの光束を主走査断面内および副走査断面内において異なる方向から偏向素子5に入射させており、高さ方向の寸法を抑えたままで、複数の光源間隔の確保を容易にしている。さらに主走査方向に隣接する光源1k,1cからの光束に関し、副走査方向の入射角が互いに異なるように配置する、つまり複数の光源を千鳥状に配置することにより、より一層の空間を確保して、保持機構の簡易化や調整の高精度化を容易にしている。
このように光源配置および偏向素子への入射方向を規定することにより、副走査断面内の入射角が小さい状態においても複数の光源の間隔を充分に確保している。
<トーリックレンズ62ckの副走査断面内の形状>
本実施例においては、複数の光源1k,1c間の間隔を確保するため、複数の光源からの光束の偏向素子5への主走査方向の入射角を異ならせている。このとき入射角が異なる光束に対し、同一形状の走査光学素子(トーリックレンズ)(結像光学素子)を用いると被走査面8k,8cにおける副走査像面(最良結像位置)がピント方向に傾く。
以下図4、図5を用いてこのことの発生原理を説明する。図4は偏向素子5の偏向面51近傍における主走査方向の拡大図である。図4は被走査面8k,8c上の0割方向(画像中心)、±10割方向(画像端部)の3点に向かう光束を偏向する位置における偏向面51を示す。また実線は光源1k(−90°方向)から、破線は光源1c(−85°方向)からの入射光束及び偏向面51を示している。
図5はアナモフィックコリメータレンズ2による光束の線像位置と偏向面の距離Δxを偏向角(像高)ごとに示す図であり、Δxが0の場合、偏向面51に線像が一致する。図4、図5より偏向素子の偏向走査に伴い偏向面51がx軸方向に出入りし光路長が変化することが読み取れ、さらに偏向面51の前後の仕方は主走査方向の入射角に応じて異なる。この偏向面51の光軸(x方向)の出入りによる光路長変化は通常の光学設計に盛り込まれるため、理論的には副走査断面内の像面は全域で補正することが可能である。
しかしながら、前述の理由より一つの設計値において主走査断面内の異なる入射角に対応することは困難である。したがって主走査断面内のある入射角において最適化された走査光学素子を、偏向素子5に対して走査断面内の異なる入射角で用いた場合、偏向面51の出入り量の差により副走査断面内の像面の傾きが発生する。
本実施例では偏向素子5に対する主走査断面内の入射角差に伴う副走査断面内の像面傾きを低減するため、主走査断面内の入射角に応じて走査光学素子の光学部A,Bの副走査断面内の形状を異ならせている。
具体的には図11に示すようにトーリックレンズ62ckの光路kに対応する光学部A(62k)と光路cに対応する光学部B(62c)において副走査断面内の形状を異ならせている。
また図5に示した関係より主走査断面内の光源手段側の最軸外像高位置を−ymaxとする。この位置において、主走査断面内の入射角が最も小さい光束(光路c)に対応した走査光学素子の光学部Bは、最も大きい光束(光路k)に対応した走査光学素子の光学部Aに対して、走査光学素子62ckへの入射前の光路長が短くなる(c<k)。
したがって主走査断面内の入射角が最も小さい光束(1c)に対応した走査光学素子の光学部Bは次のようになる。最も大きい光束(1k)に対応した走査光学素子の光学部Aに対して、主走査断面内の光源手段側の最軸外像高位置−Ymaxにおける副走査断面内のパワーが大きくすることが必要となる。
光源手段側の最軸外像高位置(−Ymax)を走査する光束が入射する光学部Aの位置の副走査断面内のパワーをφA副とする。同様に光学部Bの位置の副走査断面内のパワーをφB副とする。このとき、
φA副<φB副
としている。
なお主走査断面内の形状に関しては偏向面51の面出入りの影響を受けないため、トーリックレンズ62ckの光学部cと光学部kにおいて同一形状としている。ここで言う入射角が小さいとは、入射角の符号に関係なく入射角が浅い(正面入射に近い)(絶対値が小さい)ことを意味している。
<設計例>
表1、表2は本実施例における設計パラメータを示す表であり、表1は偏向面51に対する主走査断面内の入射角が大きい光路(k光路、m光路)の光学部Aの設計例である。表2は偏向面5aに対する主走査断面内の入射角が小さい光路(y光路、c光路)の光学部Bの設計例を示している。
なお本実施例における走査光学素子6は以下の座標系、形状表現式にて形状を規定して
いる。走査光学素子6と光軸(x軸)との交点を原点とし、光軸方向をX軸、主走査断面
内において光軸と直交する軸をY軸としたとき、主走査方向と対応する母線方向が、
(但し、Rは母線曲率半径,K,B4,B6,B8,B10は非球面係数)
なる式で表されるものである。
また副走査方向と対応する子線方向が、
なる式で表されるものである。Sは母線方向の各々の位置における母線の法線を含み主走査面と垂直な面内に定義される子線形状である。ここで主走査方向に光軸(x軸)からY離れた位置における副走査方向の曲率半径(子線曲率半径)Rs*が、
(但し、Rsは光軸上の子線曲率半径,D2,D4,D6,D8,D10は子線変化係数)
なる式で表されるものである。
同表より本実施例においてはトーリックレンズ62のR3面、R4面において、光学部A、光学部Bの主走査断面内の形状を同一とし、副走査断面内の形状を変化させている。これにより偏向素子5に対する主走査断面内の入射角が異なることにより発生する副走査断面内の像面湾曲を補正している。なお本実施例では面形状を上記数式にて定義したが、表現式、次数ともこれに限るものではなく、本発明の権利の範囲はこれを制限するものではない。
<複合光学素子>
本実施例において光学部62cと光学部62kは副走査断面内に一体的に形成された複合光学素子よりなり、一つのトーリックレンズ62ckを構成している。光学素子の複合化は製造が容易となることの他、一体化によるレンズの薄型化や、形状が類似した2つのレンズが存在することにより発生する誤組立てを回避することができる。
<複合化に伴う光源配置>
複合光学素子62ckは偏向素子5への入射光束が主走査断面内に角度を有して入射していることから、その副走査断面内の形状が主走査方向に沿って非対称に変化する形状を有している。したがって図6に示すとおり、複合光学素子62ckを第1の方向に対して偏向素子5を挟んで対向する第2の方向の走査光学素子62ymとして用いる場合は次のようにする。偏向素子5の回転軸並びに走査光学素子6の光軸にともに垂直な軸を中心として回転させ配置する必要がある。
つまり複合光学素子62ckを第1の方向にて使用する場合に対し、第2の方向ではその天地を逆にして配置する必要があり、光学部Aとそれと異なる光学形状を有する光学部Bは偏向素子5を挟んで配置した場合、天地逆の位置に来ることとなる。
したがって偏向素子5に対し主走査断面内の入射角が小さい光束同士(光源1c、1yからの光束)は、偏向素子5への副走査断面内の入射角を異ならせる必要があり、本実施例では光源1cを上方に、光源1yを下方に配置している。主走査断面内の入射角が大きい光束1k,1m同士もこれと同様であり、隣接した光源からの光束の偏向面5aに対する副走査断面内の入射角が異なる千鳥配置となる。
このように本実施例では、偏向素子5により第1の方向へ偏向する光束のうち、偏向素子の偏向面への主走査断面内の入射角が最も小さい光束の偏向面に対する副走査断面内の入射角を適切に設定している。即ち、この光束と偏向素子5により第2の方向へ偏向する光束のうち、偏向素子の偏向面への主走査断面内の入射角が最も小さい光束は、偏向素子の偏向面に対する副走査断面内の入射角が異なる。
<光源保持>
本実施例において複数の光源1k,1c,1m,1yは図3に示すように同一平面上に配置されており、光源の光軸方向並びに光軸に直交する方向に調整しやすいよう適度な間隔を保ち保持されている。
ここで同一平面上とは一つの平面内に全ての光源が乗っている状態を意味し、主走査方向並びに副走査方向の入射角を異ならせるため光源パッケージが傾いて配置されている状態を含むものである。また複数の光源1k,1c,1m,1yは同一基板上に取り付けられていることが好ましく、薄型化のため光源取り付け面に対して直交する方向に配置された基板にフレキシブルケーブルを介して接続しても良い。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、走査光学装置と、被走査面に配置された感光体と、走査光学装置で走査された光束によって感光体に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器とを有する。さらに現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器とを備えている。
図9は本発明の実施態様のカラー画像形成装置の要部概略図である。図9において、160はカラー画像形成装置、110は各々実施例に示した構成を有する走査光学装置、121,122,123,124は各々像担持体としての感光ドラム(感光体)、131,132,133,134は各々現像器、151は搬送ベルトである。
図9において、カラー画像形成装置160には、パーソナルコンピュータ等の外部機器152からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ153によって、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。これらの画像データは、それぞれ走査光学装置110に入力される。
そして、これらの走査光学装置110からは、各画像データに応じて変調された光ビーム141,142,143,144が出射される。そしてこれらの光ビームによって感光ドラム(感光体)121,122,123,124の感光面が主走査方向に走査される。
本実施態様におけるカラー画像形成装置は上述の如く走査光学装置110からの各々の画像データに基づいた4本の光ビームを用いて各色の潜像を各々対応する感光ドラム121,122,123,124面上に形成している。その後、記録材に多重転写して1枚のフルカラー画像を形成している。
前記外部機器152としては、例えばCCDセンサを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置160とで、カラーデジタル複写機が構成される。
本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
以上、本実施例においては、タンデム型の走査光学装置において複数の光源の配置および偏向素子への入射方法を適切に規定し、かつ対応する結像光学素子の光学部の形状を最適化している。これにより高性能かつ薄型化されたタンデム型の走査光学装置を容易に実現するとともに、これを搭載するカラー画像形成装置の小型化を容易とするものである。
なお本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
[実施例2]
図7は本発明の実施例2の走査光学装置の主走査方向の断面図である。図8は副走査方向の断面図であり、図8(a)は偏向素子から被走査面の断面図、図8(b)は光源から偏向素子の断面図である。
実施例2において実施例1と異なる点は一つの偏向素子5ck(5ym)からの片側に2本の光束を偏向走査する走査光学系6c,6k(6y,6m)を2つ並べてタンデム型走査光学装置を構成している点、それに伴い走査光学装置の光源配置が異なる点である。他は実施例1と同様である。
図7に示すとおり本実施例においても実施例1と同様、複数の光源間の間隔を確保するため、複数の光源1c,1k(1y,1m)からの光束の偏向素子5ck(5ym)への主走査断面内の入射角を異ならせている。その上で問題となる副走査像面の傾きを低減するため、主走査断面内の入射角に応じて走査光学素子の光学部の副走査断面内形状を異ならせている。
具体的にはトーリックレンズ62ckの光路kに対応する光学部Aと光路cに対応する光学部Bにおいて副走査方向の形状を異ならせている(トーリックレンズ62ymに関しても同様である)。
本実施例においてトーリックレンズ62ckとトーリックレンズ62ymは実施例1と異なり同じ基準面を用いて反転することなく取り付ける。したがって偏向素子5に対し主走査断面内の入射角が小さい光束同士(光源1c、1yからの光束)は、偏向素子5への副走査断面内の入射角を揃える必要があり、本実施例では光源1c、1y共に上方に配置している。
主走査断面内の入射角が大きい光束同士(光源1k,1mからの光束)もこれと同様であり、本実施例では光源1k、1m共に下方に配置している。なお本実施例の設計パラメータは実施例1の表1、表2と同じである。
以上、本実施例においては、タンデム型走査光学装置において複数の光源の配置および偏向素子への入射方法を規定し、かつ対応する走査光学素子の光学部の形状を最適化するものである。これにより高性能かつ薄型化されたタンデム型走査光学装置を容易かつ安価に実現するとともに、これを搭載するカラー画像形成装置の小型化を容易とするものである。
なお本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更ができる。
1.光源(半導体レーザ) 2.アナモフィックコリメータレンズ 3.開口絞り
5.偏向素子(ポリゴンミラー) 51.52.偏向面
6.走査光学素(fθレンズ) 61.第1トーリックレンズ
62.第2トーリックレンズ 7.反射素子 8.被走査面(感光ドラム面)
符号の後のsuffix y,m,c,kは各色に対応する光学素子であることを意味する

Claims (9)

  1. 第1及び第2の光源手段と、該第1及び第2の光源手段から出射第1及び第2の光束の夫々導光する第1及び第2の入射光学系と、前記第1及び第2の光束の夫々を第1の偏向面により偏向して第1及び第2の被走査面を主走査方向走査する偏向器と前記第1及び第2の光束の夫々を前記第1及び第2の被走査面に集光する結像光学系と、を備える走査光学装置であって
    前記第1及び第2の入射光学系は、前記第1及び第2の光束の夫々を、主走査断面内及び副走査断面内において互いに異なる方向から前記第1の偏向面に入射させており
    前記結像光学系は、前記第1及び第2の光束の夫々が入射する副走査方向に配列された第1及び第2の光学部を含む結像光学素子有し、
    前記第1及び第2の光学部形状は、副走査断面内において互いに異なことを特徴とする走査光学装置。
  2. 主走査断面内において、前記第1の光束の前記第1の偏向面へ入射角は、前記第2の光束の前記第1の偏向面への入射角よりも大きく、
    前記第1及び第2の光束が、前記第1及び第2の光源手段の最軸外像高に入射するときの、前記第1及び第2の光学部の副走査断面内でのパワーの夫々をφA副及びφB副とするとき、
    φA副<φB副
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  3. 前記第1及び第2の光学部形状は、主走査断面内において互いにであることを特徴とする請求項1又は2に記載の走査光学装置。
  4. 前記第1及び第2の光学部は、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の走査光学装置。
  5. 主走査断面内において、前記第1及び第2の光束前記第1の偏向面への入射角は、2度以上10度以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項の走査光学装置。
  6. 第3の光源手段からの第3の光束を、前記第1の偏向面とは異なる第2の偏向面に入射させる第3の入射光学系を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の走査光学装置。
  7. 副走査断面内において、前記第2の光束の前記第1の偏向面への入射角と、前記第3の光束の前記第2の偏向面への入射角と、は互いに異なることを特徴とする請求項に記載の走査光学装置。
  8. 前記第1および第2の光源手段は同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の走査光学装置。
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の走査光学装置と、走査光学装置により前記第1及び第2の被走査面に形成される静電潜像をトナー像として現像する現像器と、前記現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、前記転写されたトナー像を前記被転写材に定着させる定着器とを備えことを特徴とする画像形成装置。
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