JP6794127B2 - 光走査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光走査装置に関し、特に、レーザービームプリンタやマルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等の画像形成装置に好適なものである。
近年、レーザービームプリンタ等の画像形成装置用の露光装置として光走査装置が用いられている。
特許文献1は、図6に示されるような光走査装置500を開示している。
図6に示されるように、共通の光源(不図示)から射出された光束は、光ビーム分割手段(不図示)により2本の光束L1及びL2に分割され、そのうち光束L2は、不図示の折り返しミラーによって反射される。そして、光束L1及びL2は、主走査断面内における入射角の差が45°になるようにポリゴンミラー505の偏向反射面551に入射することで、異なる被走査面を交互に光走査している。
特開2005−92129号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている光走査装置500では、光束L1及びL2が、互いに異なる入射角で偏向反射面551に入射しているため、偏向反射面551上の異なる位置で偏向反射される。そのため、偏向反射面551上での光束L1及びL2それぞれの反射点から対応する被走査面までの光路長が、互いに異なることになる。これにより、被走査面毎に各像高でのピント位置に差が生じ、各被走査面上での像面湾曲にも差が生じてしまう。
そこで、本発明は、共通の光源からの光束を分割して得られた複数の光束により走査される各被走査面上での像面湾曲の差を低減することができる光走査装置を提供することを目的とする。
本発明に係る光走査装置は、光源から出射した光束を第1及び第2の光束に分割する分割素子と、第1及び第2の光束を偏向して第1及び第2の被走査面を主走査方向に走査する偏向器と、偏向器によって偏向された第1及び第2の光束の双方が入射する第1の結像レンズを有し、第1及び第2の光束を第1及び第2の被走査面に導光する結像光学系とを備え、第1及び第2の光束は、主走査断面に対して互いに異なる側から偏向器に入射し、第1及び第2の光束の偏向器への入射方向の主走査断面への投影と第1の結像レンズの光軸とがなす角度をそれぞれα1及びα2とするとき、
−1.1≦α1/α2≦−0.9
なる条件を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、共通の光源からの光束を分割して得られた複数の光束により走査される各被走査面上での像面湾曲の差を低減することができる光走査装置を提供することができる。
第一実施形態に係る光走査装置の一部拡大主走査断面図、各光束の光路を示した図及び一部拡大副走査断面図。 第一実施形態に係る光走査装置の主走査断面図。 第二実施形態に係る光走査装置の主走査断面図及び各光束の光路を示した図。 第二実施形態に係る光走査装置における各被走査面上での像面変位量及び集光位置の主走査方向ずれ量の像高依存性を示した図。 本発明の実施形態に係る光走査装置が搭載されたカラー画像形成装置の要部副走査断面図。 従来の光走査装置の一部拡大主走査断面図。
以下、本実施形態に係る光走査装置について図面に基づいて説明する。なお、以下に示す図面は、本実施形態を容易に理解できるようにするために、実際とは異なる縮尺で描かれている場合がある。
なお、以下の説明において、主走査方向は、偏向器の回転軸及び光学系の光軸に垂直な方向に対応し、副走査方向は、偏向器の回転軸に平行な方向に対応する。また、主走査断面は、副走査方向に垂直な断面に対応し、副走査断面は、主走査方向に垂直な断面に対応する。
図6は、特許文献1に開示されている光走査装置500の一部拡大主走査断面図を示している。
図6に示されるように、共通の光源(不図示)から出射した光束は、不図示の光ビーム分割手段によって、光束L1及びL2に分割される。その後、光束L1は直進して、ポリゴンミラー505の偏向反射面(偏向面)551に入射し、一方で、光束L2は、不図示の折り返しミラーによって反射され、偏向反射面551に入射する。
ここで、結像レンズ561の光軸560をX軸としたとき、主走査断面内において光束L1及びL2それぞれの偏向反射面551への入射方向とX軸とがなす角度をそれぞれα1及びα2とすると、α1=90゜、α2=45゜となる。
ポリゴンミラー505は、回転軸550の回りで矢印553の方向に回転する。従って、ポリゴンミラー505は、例えば図6に示されているように、505A、505、505B、505Cで示されるような位置を順にとっていく。
ここで、光束L1が、対応する被走査面の軸上像高を印字走査するときのポリゴンミラー505の位置が505であり、対応する被走査面の走査開始側の最軸外像高を印字走査するときのポリゴンミラー505の位置が、505Aである。また、光束L1が、対応する被走査面の走査終了側の最軸外像高を印字走査するときのポリゴンミラー505の位置が、505Bである。
そして、光束L2が、対応する被走査面の或る像高を印字走査するときのポリゴンミラー505の位置が505Cである。
図6からわかるように、光束L1が、対応する被走査面の或る像高を印字走査するときのポリゴンミラー505の角度と、光束L2が、対応する被走査面の同じ像高を印字走査するときのポリゴンミラー505の角度は、互いに異なる。
そのため、光束L1及びL2それぞれが、対応する被走査面の同じ像高を印字走査する際の、入射し偏向反射される偏向反射面551の反射点の位置は互いに異なる。従って、その際における、偏向反射面551の反射点が光軸560の方向に出入りする量が互いに異なることとなる。
その結果、光束L1及びL2それぞれが、対応する被走査面の同じ像高を印字走査する際において、偏向反射面551上の反射点から対応する被走査面までの光路長が、互いに異なることとなる。
これにより、光束L1及びL2それぞれが走査する被走査面上において各像高でピント位置に差が生じ、光束L1が走査する被走査面上の像面湾曲と光束L2が走査する被走査面上の像面湾曲との間に差が生じることとなる。
[第一実施形態]
図1(a)及び(b)はそれぞれ、第一実施形態に係る光走査装置100の一部拡大主走査断面図及び一部拡大YZ断面図を示している。図1(c)は、第一実施形態に係る光走査装置100の一部拡大副走査断面図を示している。
なお、本実施形態では、第1結像レンズ61の光軸(第1の軸)60をX軸とし、光軸60とポリゴンミラー5の偏向反射面51が直交したときの、光軸60と偏向反射面51との交点を原点とする。そして、主走査断面内において光軸60に垂直な方向、すなわち主走査方向をY軸、副走査断面内において光軸60に垂直な方向、すなわち副走査方向をZ軸とする。
図1(a)及び(b)に示されているように、不図示の光源から出射した光束Lは、分割素子としてのハーフミラーM1によって、透過光束(第1の光束)L1及び反射光束(第2の光束)L2に分割される。
ハーフミラーM1を透過した光束L1は、折り返しミラーM2によって反射されて、ポリゴンミラー(偏向器)5の偏向反射面(第1の偏向面)51へ入射する。一方で、ハーフミラーM1で反射された光束L2は、折り返しミラーM3によって反射されて、ポリゴンミラー5の偏向反射面51へ入射する。
そして、図1(c)に示されているように、偏向器5の偏向反射面51に入射した光束L1は、偏向器5の偏向反射面51によって偏向反射された後、第1結像レンズ(第1の結像レンズ)61に入射する。そして、第1結像レンズ61を通過した光束L1は、折り返しミラーM5及びM6、第2結像レンズ(第2の結像レンズ)62によって、被走査面(第1の被走査面)71に結像される。また、偏向器5の偏向反射面51に入射した光束L2は、偏向器5の偏向反射面51によって偏向反射された後、第1結像レンズ61、折り返しミラーM7、第2結像レンズ(第3の結像レンズ)63によって、被走査面(第2の被走査面)72に結像される。
このようにして、主走査断面内及び副走査断面内の両方において、被走査面71及び72の近傍にスポット状の像が形成される。そして、偏向器5を回転軸50の回りで矢印53の方向に一定速度で回転させることによって、被走査面71及び72を等速走査することができる。
なお、ポリゴンミラー5は、回転軸50の回りで矢印53の方向に回転する。従って、ポリゴンミラー5は、例えば図1(a)に示されているように、5A、5B、5で示されるような位置を順にとっていく。
また、本実施形態に係る光走査装置100では、図1(a)に示されているように、ポリゴンミラー5の回転軸50は、光軸60上にあることに注意されたい。
ここで、光束L1のポリゴンミラー5への入射方向の主走査断面への投影とX軸とがなす角度(鋭角)(主走査断面内でのX軸に垂直な断面(YZ平面)への入射角)(以下、主走査入射角度と称する場合がある。)をα1とする。また、光束L2のポリゴンミラー5への入射方向の主走査断面への投影とX軸とがなす角度(鋭角)をα2とする。なお、主走査断面(XY平面)内において、Z軸正方向から負方向に向かって見たとき、X軸を基準として反時計回りの角度を正、時計回りの角度を負とする。
また、X軸に垂直な断面(YZ平面、第1の断面)内において光束L1のポリゴンミラー5への入射方向のYZ平面への投影とY軸とがなす角度(鋭角)(以下、副走査斜入射角度と称する場合がある。)をβ1とする。また、X軸に垂直な断面(YZ平面)内において光束L2のポリゴンミラー5への入射方向のYZ平面への投影とY軸とがなす角度(鋭角)をβ2とする。なお、副走査斜入射角度の符号については、ポリゴンミラー5への光束の入射方向のYZ平面への投影のZ成分が正の場合を正、負の場合を負と定義する。すなわち、主走査断面の所定の一方の側から偏向器へ光束が入射する場合を正の角度、主走査断面の他方の側から入射する場合を負の角度とする。
これにより、光束L1及びL2がそれぞれ、異なる被走査面71及び72を時間的にずらして交互に光走査することができる。
ここで、本実施形態に係る光走査装置100では、α1=−α2及びβ1=−β2を満たすように、光束L1及びL2をポリゴンミラー5の偏向反射面51へ入射させている。すなわち、光束L1及びL2が主走査断面に対して互いに異なる側からポリゴンミラー5に入射している。本実施形態に係る光走査装置100では、光束L1及びL2はそれぞれ、互いに光軸60に対して180°回転対称の関係で、ポリゴンミラー5の偏向反射面51へ入射する。
これにより、ポリゴンミラー5が回転する際の偏向反射面51の出入り量の変化の像高依存性は、光束L1と光束L2とで軸上像高を挟んで反対の関係になる。
この構成について、以下に具体的に説明する。
上記のように、光束L1が被走査面71の走査開始側の最軸外像高を印字するときの偏向反射面51の出入り量と走査終了側の最軸外像高を印字するときの偏向反射面51の出入り量とは互いに異なる。
このため、光軸60に対して主走査方向に沿って、軸上像高を挟んで光学的に対称な結像光学系を用いると、被走査面71上における走査開始側像高と走査終了側像高それぞれの像面湾曲(ピントの像高依存性)の間に非対称性が生じることとなる。
同様に、光束L2が被走査面72の走査開始側の最軸外像高を印字するときの偏向反射面51の出入り量と走査終了側の最軸外像高を印字するときの偏向反射面51の出入り量とは互いに異なる。
このため、光軸60に対して主走査方向に沿って、軸上像高を挟んで光学的に対称な結像光学系を用いると、被走査面72上における走査開始側像高と走査終了側像高それぞれの像面湾曲の間に非対称性が生じることとなる。
しかしながら、本実施形態に係る光走査装置100では、光束L1及びL2をそれぞれ、互いに光軸60に対して180°回転対称の関係で、ポリゴンミラー5の偏向反射面51へ入射させている。
そのため、光束L1が走査開始側の像高Y0を印字するときの偏向反射面51の出入り量と光束L2が走査終了側の像高−Y0を印字するときの偏向反射面51の出入り量とが互いに等しくなる。
同様に、光束L1が走査終了側の像高−Y0を印字するときの偏向反射面51の出入り量と光束L2が走査開始側の像高Y0を印字するときの偏向反射面51の出入り量とが互いに等しくなる。
従って、光束L1による被走査面71上の像面湾曲と光束L2による被走査面72上の像面湾曲とは、軸上像高を挟んで互いに光軸60に対して反転して生じることになる。
従って、本実施形態に係る光走査装置100では、結像光学系の構成を考慮することで、被走査面71上の像面湾曲と被走査面72上の像面湾曲との間の差を容易に低減することができる。
そのために、本実施形態に係る光走査装置100では、上記の像面湾曲の間の反転対称性を利用して、第1結像レンズ61を光軸60に対して主走査方向に回転対称な形状とすることで、被走査面71上の像面湾曲と被走査面72上の像面湾曲との間の差を低減している。
そして、本実施形態に係る光走査装置100では、第2結像レンズ62及び63をそれぞれ、光軸60に対して少なくとも主走査方向に回転非対称な形状としている。それにより、偏向反射面51の出入り量の変化に起因する被走査面71上及び被走査面72上それぞれの像面湾曲の上記非対称性を低減している。
また、上記のように、被走査面71上の像面湾曲の非対称性と被走査面72上の像面湾曲の非対称性とは、光軸60に対して反転して生じている。そのため、第2結像レンズ62及び63は、光軸60に対して少なくとも主走査方向に非対称な形状で形成し、一方のレンズを光軸60に対して反転させると互いに一致するように配置すればよい。
すなわち、第2結像レンズ62と63とは、互いに他方に対して光軸60の回りに180°回転させて配置すればよい。
また、本実施形態に係る光走査装置100では、副走査斜入射角度β1及びβ2が、β1=−β2の関係を満たしていることから、45°方向の波面収差が生じ、結像光学系によって結像されたスポットが回転する。この45°方向の波面収差を低減するための既知の技術としては、レンズ面をZ軸方向にシフトしたり、像高ごとに副走査方向の断面のチルト量を変化させる特殊面(子線チルト面)を設ける等が挙げられる。
本実施形態に係る光走査装置100では、光束L1及びL2はそれぞれ、互いに光軸60に対して180°回転対称の関係で、ポリゴンミラー5の偏向反射面51へ入射させている。そのため、光束L1による45°方向の波面収差の像高依存性と光束L2による45°方向の波面収差の像高依存性とは、軸上像高を挟んで互いに光軸60に対して反転した関係になる。
従って、この45°方向の波面収差を低減するために、レンズ面をZ軸方向にシフトさせる際には、光軸60に対して対称な方向に同じ量だけ、すなわち第2結像レンズ62及び63の一方のレンズ面を+Z0、他方のレンズ面を−Z0だけシフトさせれば良い。また、上記特殊面(子線チルト面)を設ける際には、第2結像レンズ62の特殊面と第2結像レンズ63の特殊面とを、互いに光軸60に対して反転している形状で形成すればよい。
図1(a)に示されているように、XY平面内(主走査断面内)において、光束L1及びL2それぞれのポリゴンミラー5への入射光路は、座標(0,YL1)及び(0,−YL2)でY軸を通過し、X軸(光軸60)上の座標(−XL0,0)で交わる。ここで、XL0、YL1及びYL2は全て正の値である。
従って、光束L1の主走査入射角度α1を用いると、YL1=−XL0×tan(α1)の関係が満たされる。
また、ポリゴンミラー5の偏向反射面51が光軸60に対して垂直になったときの、光束L1及び光束L2それぞれのポリゴンミラー5への入射位置の副走査方向の高さは、互いに略同一である。
また、図1に示されているように、本実施形態に係る光走査装置100では、交点(−XL0,0)のX座標は負である。すなわち光束L1及び光束L2それぞれのポリゴンミラー5への入射光路は、ポリゴンミラー5の偏向反射面51が光軸60に対して垂直になったときの偏向反射面51と光軸60との交点(原点)より光軸60上のポリゴンミラー5の回転軸50側の位置で交差する。
もし、光束L1及びL2が、偏向反射面51よりX軸前方の位置で交差するように、偏向反射面51に入射すると、光束L1及びL2を偏向走査する際に、ポリゴンミラー5の偏向反射面51の端部付近まで使用するようになる。そのため、広画角を走査する場合に偏向反射面51の有効領域が不足してしまう。
これに対して、本実施形態に係る光走査装置100のように、光束L1及びL2を、偏向反射面51よりX軸後方の位置で交差するように、偏向反射面51に入射させると、光束L1及びL2を偏向走査する際に、偏向反射面51の中央付近を使用するようになる。それにより、ポリゴンミラー5の偏向反射面51の主走査方向の幅を広げなくても、広画角まで走査することが可能となる。
本実施形態に係る光走査装置100では、光束L1及びL2をそれぞれ、X軸に垂直な断面内においてY軸に対して角度をなして、ポリゴンミラー5の偏向反射面51に斜入射させている。そのため、偏向反射面51によって偏向反射された後の光束L1及びL2は、互いに副走査方向に沿って離間しており、反射素子である折り返しミラーM5によって、光束L1のみを反射させることができる。
本実施形態に係る光走査装置100では、ポリゴンミラー5の面数は4であるが、本実施形態はこれに限られず、例えば5面タイプや6面タイプのポリゴンミラーを偏向器として用いても構わない。
また、本実施形態に係る光走査装置100は、1つの光束に対して2つの結像レンズを備えており、第1結像レンズ61を光軸60に対して主走査方向に対称な形状としている。また、本実施形態に係る光走査装置100では、第2結像レンズ62及び63をそれぞれ、光軸60に対して少なくとも主走査方向に非対称な形状としている。しかしながら、本実施形態はこれに限られず、1つの光束に対して3枚以上の結像レンズを用いて結像光学系を構成しても構わない。その場合、該結像光学系のうち偏向器に最も近く配置された各光束が通過する結像素子を光軸に対して主走査方向に対称な形状とし、被走査面に最も近く配置された結像素子を光軸に対して少なくとも主走査方向に非対称な形状とすればよい。
以上のように、本実施形態に係る光走査装置100では、分割素子によって分割された2つの光束をそれぞれ、2つの光束の双方が入射する結像レンズの光軸に対して180°回転対称の関係で、ポリゴンミラーの偏向反射面へ入射させる。そして、結像光学系の構成を考慮することで、一方の被走査面上の像面湾曲と他方の被走査面上の像面湾曲との間の差を容易に低減することができる。
特に、一方の光束を一方の被走査面上に結像する結像レンズと、他方の光束を他方の被走査面上に結像する結像レンズとは、2つの光束の双方が入射する結像レンズの光軸の回りに180°回転させると、互いに同一となる形状で形成し配置すればよい。これにより、この2つの結像レンズは、1つの金型で作製することができ、低コスト化及び低工数化につながる。
図2(a)及び(b)は、本実施形態に係る光走査装置100の主走査断面図である。
なお、図2(a)では、折り返しミラーM3及びシリンダーレンズ42を図示しておらず、ハーフミラーM1を透過した光束L1の光路のみを示している。一方で、図2(b)では、折り返しミラーM2及びシリンダーレンズ41を図示しておらず、ハーフミラーM1によって反射された光束L2の光路のみを示している。
光走査装置100は、光源1、絞り2、集光レンズ3、シリンダーレンズ41及び42、分割素子としてのハーフミラーM1、及び折り返しミラーM2及びM3を備えている。また、光走査装置100は、偏向器としてのポリゴンミラー5、第1結像レンズ61、第2結像レンズ62及び63、及び折り返しミラーM5、M6及びM7(図1(c)参照)を備えている。
光源1としては、発光点を有する半導体レーザーなどが用いられる。なお、発光点は複数有っても良い。また、光源1には、不図示のカバーガラスが設けられている。
絞り2は、矩形状の開口部を有しており、光源1から出射した光束Lの主走査方向及び副走査方向の光束径を制限する。なお、本実施形態に係る絞り2の矩形状の開口部のサイズは、主走査方向5.60mm×副走査方向0.76mmである。また、絞り2の代わりに、光束の主走査方向の光束径を制限する主走査絞りと光束の副走査方向の光束径を制限する副走査絞りを別々に設けてもよい。
集光レンズ3は、絞り2を通過した光束Lを主走査方向及び副走査方向双方に関して略平行光束になるように変換している。なおここで、略平行光束とは、弱発散光束、弱収束光束及び平行光束を含むものとする。
ハーフミラーM1は、集光レンズ3を通過した光束Lを、透過光束L1及び反射光束L2に分割している。
折り返しミラーM2及びM3はそれぞれ、ハーフミラーM1によって分割された透過光束L1及び反射光束L2を反射する。
シリンダーレンズ41及び42はそれぞれ、副走査方向にのみ所定の屈折力を有しており、折り返しミラーM2及びM3それぞれによって反射された透過光束L1及び反射光束L2を副走査方向に集光する。
このようにして、光源1から出射し、分割された光束L1及び光束L2は、偏向器5の偏向反射面の近傍において副走査方向にのみ集光され、主走査方向に長い線像として結像される。
なお、絞り2、集光レンズ3、シリンダーレンズ41及び42、ハーフミラーM1、及び折り返しミラーM2及びM3によって、本実施形態に係る光走査装置100の入射光学系110が構成される。
ポリゴンミラー5は、不図示のモーター等の駆動手段により回転することにより、光束L1及びL2をそれぞれ、被走査面71及び72に向けて偏向反射する。
第1結像レンズ61は、ポリゴンミラー5によって偏向反射された光束L1及びL2それぞれを被走査面71及び72上に結像するように構成されている。
折り返しミラーM5及びM6は、第1結像レンズ61を通過した光束L1を反射する。
第2結像レンズ62は、折り返しミラーM5及びM6によって反射された光束L1を被走査面71上に結像する。
折り返しミラーM7は、第1結像レンズ61を通過した光束L2を反射する。
第2結像レンズ63は、折り返しミラーM7によって反射された光束L2を被走査面72上に結像する。
なお、第1結像レンズ61、第2結像レンズ62及び63によって、本実施形態に係る光走査装置100の結像光学系120が構成される。
また、折り返しミラーM5、M6及びM7によって、本実施形態に係る光走査装置100の反射光学系が構成される。
光源1から出射した光束Lは、絞り2によって主走査方向及び副走査方向の光束径が制限され、集光レンズ3によって、主走査方向及び副走査方向双方に関して略平行光束になるように変換され、ハーフミラーM1によって透過光束L1及び反射光束L2に分割される。
そして、透過光束L1及び反射光束L2は、折り返しミラーM2及びM3それぞれによって反射され、シリンダーレンズ41及び42それぞれによって副走査方向に集光され、偏向器5の偏向反射面に入射する。
そして、偏向器5の偏向反射面に入射した光束L1及びL2はそれぞれ、偏向器5の偏向反射面によって偏向反射された後、第1結像レンズ61、第2結像レンズ62及び63、及び折り返しミラーM5、M6及びM7によって、被走査面71及び72上に結像される。
このようにして、主走査断面内及び副走査断面内の両方において、被走査面71及び72の近傍にスポット状の像が形成され、そして、偏向器5を一定速度で回転させることによって、被走査面71及び72を等速走査することができる。
なお、本実施形態に係る光走査装置100の第1結像レンズ61、及び第2結像レンズ62及び63は、樹脂で作製されている。樹脂製のレンズは、金型に樹脂を充填させ冷却後に型から取り出す既知の成形技術にて製造されるため、ガラスレンズを使用した従来の結像レンズより安価に製造することができる。
また図1(b)に示されているように、本実施形態に係る光走査装置100は、光束L1及びL2がそれぞれ副走査方向下側及び上側からYZ断面内において角度β1及びβ2を有して偏向器5の偏向反射面に入射する、いわゆる副走査斜入射光学系を採用している。以下、この角度β1及びβ2を、副走査斜入射角度と称する場合がある。
これにより、図1(c)に示されているように、第1結像レンズ61を通過した光束L1及びL2を、折り返しミラーM5によって光路分離することができる。
次に、本実施形態に係る光走査装置100の諸特性を以下の表1乃至表5に示す。
Figure 0006794127
Figure 0006794127
Figure 0006794127
Figure 0006794127
Figure 0006794127
なお、表3及び表5において、「E−x」は、「×10-x」を意味している。
また以下においては、第1結像レンズ61の光軸方向、主走査断面内において該光軸と直交する軸、及び副走査断面内において該光軸と直交する軸をそれぞれ、X軸、Y軸及びZ軸とする。
また、表2において、Rは各面の曲率半径、X、Y、Zはそれぞれ各面の面頂点位置の座標、gx(x)、gx(y)、gx(z)はそれぞれ、各面の面頂点位置における法線ベクトルの成分を示している。
回転するN個の面を持つポリゴンミラーは、反射した光束によって、1つの偏向反射面で走査角度(偏向反射面によって偏向反射された光束の主走査断面への投影とX軸とがなす角度)2×360/N(度)分だけ偏向走査することができる。ここで、この走査角度2×360/N(度)、すなわち1つの偏向反射面で走査することができる主走査断面内での走査角度の範囲を、全走査角と呼ぶこととする。
一方で、被走査面の有効領域における走査開始側の最軸外像高から走査終了側の最軸外像高まで全像高を走査する光束の走査角度の範囲を、有効走査角(印字走査角)と呼ぶこととし、これは最軸外角ωmaxを用いて、2×ωmaxに対応する。
ここで、Dとは、全走査角に対する印字走査角の比率を表している。すなわち、全走査角に対する印字走査角の比率Dは、D=2×ωmax/(2×360/N)と表される。
表1に示されているように、本実施形態に係る光走査装置100では、光束L1及びL2それぞれの偏向反射面への入射方向の主走査断面への投影とX軸とがなす角度α1及びα2はそれぞれ、50(度)及び−50(度)である。
また、表1に示されているように、本実施形態に係る光走査装置100では、光軸60に垂直な断面内において光束L1及びL2それぞれの偏向反射面への入射方向とY軸とがなす角度β1及びβ2はそれぞれ、1.8(度)及び−1.8(度)である。
また、本実施形態に係る光走査装置100では、光源1から出射した光束Lの、光軸60に垂直な断面内におけるハーフミラーM1への入射方向とY軸とがなす角度β0は、4.8(度)である。
このような角度になるように、ハーフミラーM1、及び折り返しミラーM2及びM3は、適切に配置されている。
本実施形態に係る光走査装置100では、光束L1及びL2をそれぞれ、X軸に垂直な断面内においてY軸に対して角度β1及びβ2をなして、ポリゴンミラー5の偏向反射面51に斜入射させている。そのため、偏向反射面51によって偏向反射された後の光束L1及びL2は、互いに副走査方向に沿って離間しており、反射素子である折り返しミラーM5によって、光束L1のみを反射させることができる。
従って、偏向反射面51によって偏向反射された後の光束L1及びL2は、光路分離されて、それぞれ異なる被走査面71と72へ導かれる。
本実施形態に係る光走査装置100では、XY平面内(主走査断面内)において光束L1及びL2それぞれのポリゴンミラー5への入射光路は座標(0,1.12)及び(0,−1.12)でY軸を通過し、X軸(光軸60)上の座標(−0.94,0)で交わる。
本実施形態に係る光走査装置100の各レンズの入射面及び出射面の母線形状(主走査断面内でのレンズ面の形状)は、以下の式(1)のような、10次までの関数として表すことができる非球面形状である。
Figure 0006794127
なお、ここでは、各レンズ面と光軸との交点を原点としており、Ryは母線曲率半径、Kyは離心率、bi(i=4、6、8、10)は非球面係数である。
なお、yに関して、光走査装置100の光源1が配置されている側及び配置されていない側をそれぞれ、プラス側及びマイナス側とする。そして、プラス側とマイナス側とで係数Ry、Ky及びbiが異なる場合は、表3及び表5にあるように、プラス側の係数には添字uを付し(すなわち、Ryu、Kyu、biu)、マイナス側の係数には添字lを付している(すなわち、Ryl、Kyl及びbil)。この場合、母線形状は、主走査方向において非対称な形状となる。
また、本実施形態に係る光走査装置100の各レンズの入射面及び出射面の子線形状(任意の像高における副走査断面内でのレンズ面の形状)は、以下の式(2)のような非球面形状である。
Figure 0006794127
ここで、Sは母線方向の各々の位置における母線の法線を含み主走査断面と垂直な面内に定義される子線形状である。
また、子線曲率半径r’は、レンズ面のy座標に従って、以下の式(3)のように連続的に変化する。
Figure 0006794127
ここで、rは光軸上における子線曲率半径、dj(j=2、4、6、8、10)は子線曲率半径の変化係数である。なお、yに関してプラス側とマイナス側で係数djが異なる場合は、表3及び表5にあるように、プラス側の係数には添字uを付し(すなわち、dju)、マイナス側の係数には添字lを付している(すなわち、djl)。この場合、子線形状は、主走査方向において非対称な形状となる。
なお、本実施形態では、各レンズのレンズ面の母線形状及び子線形状をそれぞれ、式(1)及び式(2)に表される関数で定義したが、これに限らず、他の関数で定義しても構わない。
表2乃至表5に示されているように、主に主走査断面内においてパワーを有する第1結像レンズ61のレンズ面形状は、上記の関数で表現される非球面形状である。
第1結像レンズ61は、主走査断面のパワーが大きく、且つ、主走査断面内のレンズ面形状が非円弧で、偏向器5側に凹面を向けた凸メニスカスレンズである。
また、第1結像レンズ61の主走査断面内の形状は、光軸に対して対称である。
また、第1結像レンズ61は、副走査断面内においては入射面と出射面が同じ曲率の略ノンパワーであるが、例えば両面が副走査方向にフラットなシリンダー形状でもよい。
第1結像レンズ61は、入射した光束に対して、主に主走査方向の結像を担う事になる。
一方で、第2結像レンズ62及び63は、表2乃至表5に示されているように、主に副走査断面内においてパワーを有するアナモフィックレンズである。
第2結像レンズ62及び63のレンズ面形状は、上記の関数で表現される非対称形状である。
第2結像レンズ62及び63は、主走査断面内のパワーよりも副走査断面内のパワーの方が大きく、且つ、入射面の主走査断面内の形状が円弧であり、他の面の形状は非円弧である。
また、第2結像レンズ62及び63の主走査断面内の形状は、光軸に対して非対称であり、軸上近傍の主走査方向については略ノンパワーである。
一方で、第2結像レンズ62及び63の入射面及び出射面の副走査断面内の形状は、軸上から軸外にかけて曲率が徐々に変化する凸形状であり、光軸に対して非対称形状となっている。
第2結像レンズ62及び63は、入射した光束に対して、主に副走査方向の結像及び主走査方向の歪曲収差の補正を担っている。
第1結像レンズ61及び第2結像レンズ62、63は、副走査断面内においては、偏向器5の偏向反射面の近傍と被走査面71及び72の近傍とを共役の関係にすることで、面倒れ補償を行っている。
表1に示されているように、本実施形態に係る光走査装置100では、α1=−α2及びβ1=−β2を満たすように、光束L1及びL2をポリゴンミラー5の偏向反射面51へ入射させている。換言すると、光束L1及びL2はそれぞれ、互いに光軸60に対して180°回転対称の関係で、ポリゴンミラー5の偏向反射面51へ入射している。
また、表3及び表5に示されているように、本実施形態に係る光走査装置100では、ポリゴンミラー5の偏向反射面51によって反射された光束L1及びL2が共に入射する、共通の第1結像レンズ61は、光軸60に対して主走査方向に対称な形状となっている。
さらに、表3及び表5に示されるように、本実施形態に係る光走査装置100では、第1結像レンズ61を通過した光束L1及びL2それぞれが入射する第2結像レンズ62及び63をそれぞれ、光軸60に対して少なくとも主走査方向に非対称な形状としている。また、第2結像レンズ62及び63は、一方のレンズを光軸60に対して反転させると互いに一致するように配置されている。すなわち、第2結像レンズ62と63とは、互いに他方に対して光軸60の回りに180°回転させて配置されている。
従って、本実施形態に係る光走査装置100では、単一の光源から出射した光束Lを、ハーフミラーM1によって光束L1及び光束L2それぞれに分割して、ポリゴンミラー5へ互いに異なる角度で入射させ、それぞれ異なる被走査面71及び72を印字する際に、被走査面71上の像面湾曲と被走査面72上の像面湾曲との間の差を容易に低減することができる。
また、本実施形態に係る光走査装置100では、光束L1を被走査面71上に結像する第2結像レンズ62と、光束L2を被走査面72上に結像する第2結像レンズ63とは、光軸60に対して少なくとも主走査方向に非対称な同一形状であり、一方のレンズを光軸60の回りに180°回転させると、互いに一致するように配置されている。そのため、被走査面71上及び被走査面72上それぞれの像面湾曲の非対称性を低減することができると共に、第2結像レンズ62及び63を1つの金型で作製することができ、低コスト化及び低工数化を達成することができる。
また、本実施形態に係る光走査装置100では、光束L1及びL2がそれぞれ、光軸60に垂直な断面内において角度β1及びβ2を有して、偏向器5の偏向反射面51に斜入射している。そのため、第1結像レンズ61を通過した光束L1及びL2を、折り返しミラーM5によって容易に光路分離することができる。
さらに、本実施形態に係る光走査装置100では、光束L1及びL2を、偏向反射面51より光軸後方の位置で交差するように、偏向反射面51に入射させているため、偏向反射面51の主走査方向の幅を広げなくても、広画角まで走査することが可能となる。
本実施形態に係る光走査装置100では、光源1から1つの光束が射出されていたが、これに限られない。例えば、光源1として、複数の発光点から複数の光束を射出するエッジエミッター方式のモノリシックレーザーやVCSELを使用してもよい。そして、ハーフミラーM1によって、光源1から射出された複数の光束を複数の透過光束及び複数の反射光束に分割し、それぞれを異なる被走査面に導光するようにしても構わない。
また、本実施形態に係る光走査装置100では、分割素子としてハーフミラーM1を用いたが、これに限られない。例えば、分割素子として、偏向ビームスプリッターを用いて、光束をP偏光の光束とS偏光の光束に分割したり、回折光学素子を用いて、互いに異なる回折次数の光束に分割しても、同様の効果を得ることができる。また、ハーフミラーM1は、平板形状に限らず、プリズムのようなバルク形状でも構わない。
[第二実施形態]
図3(a)及び(b)は、第二実施形態に係る光走査装置200の主走査断面図である。また、図3(c)は、本実施形態に係る光走査装置200における各光束の光路を示した図である。
なお、図3(a)では、折り返しミラーM4を図示しておらず、ハーフミラーM1を反射した光束L1の光路のみを示している。一方で、図3(b)では、折り返しミラーM2及びM3を図示しておらず、ハーフミラーM1を透過した光束L2の光路のみを示している。
光走査装置200は、光源1、絞り2、集光レンズ3、シリンダーレンズ4、分割素子としてのハーフミラーM1、及び折り返しミラーM2、M3及びM4を備えている。また、光走査装置200は、偏向器としてのポリゴンミラー5、第1結像レンズ61、第2結像レンズ62及び63、及び不図示の折り返しミラーM5、M6及びM7を備えている。
なお、絞り2、集光レンズ3、シリンダーレンズ4、ハーフミラーM1、及び折り返しミラーM2、M3及びM4によって、本実施形態に係る光走査装置200の入射光学系210が構成される。
また、第1結像レンズ61、第2結像レンズ62及び63によって、本実施形態に係る光走査装置200の結像光学系220が構成される。
また、折り返しミラーM5、M6及びM7によって、本実施形態に係る光走査装置200の反射光学系が構成される。
光源1から出射した光束Lは、絞り2によって主走査方向及び副走査方向の光束径が制限され、集光レンズ3によって、主走査方向及び副走査方向双方に関して略平行光束になるように変換され、シリンダーレンズ4によって副走査方向に集光される。
そして、ハーフミラーM1によって、シリンダーレンズ4を通過した光束Lは、反射光束L1及び透過光束L2に分割される。
そして、反射光束L1は、折り返しミラーM2及びM3によって反射され、偏向器5の偏向反射面に入射する。一方で、透過光束L2は、折り返しミラーM4によって反射され、偏向器5の偏向反射面に入射する。
そして、偏向器5の偏向反射面に入射した光束L1及びL2はそれぞれ、偏向器5の偏向反射面によって反射偏向された後、第1結像レンズ61、第2結像レンズ62及び63、及び折り返しミラーM5、M6及びM7によって、被走査面71及び72上に結像される。
このようにして、主走査断面内及び副走査断面内の両方において、被走査面71及び72の近傍にスポット状の像が形成され、そして、偏向器5を一定速度で回転させることによって、被走査面71及び72を等速走査することができる。
なお、本実施形態に係る絞り2の矩形状の開口部のサイズは、主走査方向4.80mm×副走査方向2.20mmである。
次に、本実施形態に係る光走査装置200の諸特性を以下の表6乃至表10に示す。
Figure 0006794127
Figure 0006794127
Figure 0006794127
Figure 0006794127
Figure 0006794127
なお、表8及び表10において、「E−x」は、「×10-x」を意味している。
また以下においては、第1結像レンズ61の光軸方向、主走査断面内において該光軸と直交する軸、及び副走査断面内において該光軸と直交する軸をそれぞれ、X軸、Y軸及びZ軸とする。
また、表7において、Rは各面の曲率半径、X、Y、Zはそれぞれ各面の面頂点位置の座標、gx(x)、gx(y)、gx(z)はそれぞれ、各面の面頂点位置における法線ベクトルの成分を示している。
また、Dとは、全走査角に対する印字走査角の比率を表している。
表6に示されているように、本実施形態に係る光走査装置200では、光束L1及びL2それぞれの偏向反射面への入射方向の主走査断面への投影とX軸とがなす角度α1及びα2はそれぞれ、41(度)及び−41(度)である。
また、表6に示されているように、本実施形態に係る光走査装置200では、光軸60に垂直な断面内において光束L1及びL2それぞれの偏向反射面への入射方向とY軸とがなす角度β1及びβ2はそれぞれ、−3.0(度)及び3.0(度)である。
また、本実施形態に係る光走査装置200では、光源1から出射した光束Lの、光軸60に垂直な断面内におけるハーフミラーM1への入射方向とY軸とがなす角度β0は、3.0(度)である。
このような角度になるように、ハーフミラーM1、及び折り返しミラーM2、M3及びM4は、適切に配置されている。
本実施形態に係る光走査装置200では、XY平面内(主走査断面内)において光束L1及びL2それぞれのポリゴンミラー5への入射光路は座標(0,0.62)及び(0,−0.62)でY軸を通過し、X軸(光軸60)上の座標(−0.71,0)で交わる。
表6に示されているように、本実施形態に係る光走査装置200では、α1=−α2及びβ1=−β2を満たすように、光束L1及びL2をポリゴンミラー5の偏向反射面51へ入射させている。換言すると、光束L1及びL2はそれぞれ、互いに光軸60に対して180°回転対称の関係で、ポリゴンミラー5の偏向反射面51へ入射している。
また、表8及び表10に示されているように、本実施形態に係る光走査装置200では、ポリゴンミラー5の偏向反射面51によって反射された光束L1及びL2が共に入射する共通の第1結像レンズ61は、光軸60に対して主走査方向に対称な形状となっている。
さらに表8及び表10に示されるように、本実施形態に係る光走査装置200では、第1結像レンズ61を通過した光束L1及びL2それぞれが入射する第2結像レンズ62及び63をそれぞれ、光軸60を挟んで少なくとも主走査方向に非対称な形状としている。また、第2結像レンズ62及び63は、一方のレンズを光軸60に対して反転させると互いに一致するように配置されている。すなわち、第2結像レンズ62と63とは、互いに他方に対して光軸60の回りに180°回転させて配置されている。
従って、本実施形態に係る光走査装置200では、単一の光源から出射した光束Lを、ハーフミラーM1によって光束L1及び光束L2それぞれに分割して、ポリゴンミラー5へ互いに異なる角度で入射させ、それぞれ異なる被走査面71及び72を印字する際に、被走査面71上の像面湾曲と被走査面72上の像面湾曲との間の差を容易に低減することができる。
また、本実施形態に係る光走査装置200では、光束L1を被走査面71上に結像する第2結像レンズ62と、光束L2を被走査面72上に結像する第2結像レンズ63とは、光軸60に対して少なくとも主走査方向に非対称な同一形状であり、一方のレンズを光軸60の回りに180°回転させると、互いに一致するように配置されている。そのため、被走査面71上及び被走査面72上それぞれの像面湾曲の非対称性を低減することができると共に、第2結像レンズ62及び63を1つの金型で作製することができ、低コスト化及び低工数化を達成することができる。
また、本実施形態に係る光走査装置200では、光束L1及びL2がそれぞれ、光軸60に垂直な断面内において角度β1及びβ2を有して、偏向器5の偏向反射面51に斜入射している。そのため、第1結像レンズ61を通過した光束L1及びL2を、折り返しミラーM5によって容易に光路分離することができる。
さらに、本実施形態に係る光走査装置200では、光束L1及びL2を、偏向反射面51より光軸後方の位置で交差するように、偏向反射面51に入射させているため、偏向反射面51の主走査方向の幅を広げなくても、広画角まで走査することが可能となる。
図4(a)は、第二実施形態に係る光走査装置200における被走査面71上での主走査方向像面変位量DM及び副走査方向像面変位量DSの像高依存性を示している。
図4(b)は、第二実施形態に係る光走査装置200における被走査面71上の集光位置の主走査方向ずれ量DISTの像高依存性を示している。
図4(c)は、第二実施形態に係る光走査装置200における被走査面72上での主走査方向像面変位量DM及び副走査方向像面変位量DSの像高依存性を示している。
図4(b)は、第二実施形態に係る光走査装置200における被走査面72上の集光位置の主走査方向ずれ量DISTの像高依存性を示している。
図4(a)及び(c)に示されているように、第二実施形態に係る光走査装置200における被走査面71及び72双方上での主走査方向像面変位量DM及び副走査方向像面変位量DSが各像高において良好に低減されていることがわかる。
また、図4(b)及び(d)に示されているように、第二実施形態に係る光走査装置200における被走査面71及び72双方上の集光位置の主走査方向ずれ量DISTも各像高において良好に低減されていることがわかる。
図4(e)は、第二実施形態に係る光走査装置200において、光束L1の主走査入射角度α1を41度に維持したまま、光束L2の主走査入射角度α2を−41度から−45度にしたときの、被走査面72上での主走査方向像面変位量DM及び副走査方向像面変位量DSの像高依存性を示している。
図4(e)に示されているように、光束L2の主走査入射角度α2を−41度から−45度にしても、副走査方向像面変位量DSは、0.5mm以内に収まっており、良好に低減されていることがわかる。
従って、本実施形態に係る光走査装置200では、
−1.1≦α1/α2≦−0.9 ・・・(4)
なる条件を満たすようにしている。それにより、光束L1及びL2をポリゴンミラー5の偏向反射面51へ入射させても、被走査面71上の像面湾曲と被走査面72上の像面湾曲との間の差、及び被走査面71上及び被走査面72上それぞれの像面湾曲の非対称性を容易に低減することができる。
なお、本実施形態に係る光走査装置200は、
−1.05≦α1/α2≦−0.95 ・・・(4a)
なる条件を満たすことが好ましい。
また、本実施形態に係る光走査装置200は、
−1.02≦α1/α2≦−0.98 ・・・(4b)
なる条件を満たすことがさらに好ましい。
もちろん、本実施形態に係る光走査装置200では、光束L1及びL2をそれぞれ、互いに光軸60に対して180°回転対称の関係で、すなわち、α1/α2=−1を満たすように、ポリゴンミラー5の偏向反射面51へ入射させることで、被走査面71上の像面湾曲と被走査面72上の像面湾曲との間の差、及び被走査面71上及び被走査面72上それぞれの像面湾曲の非対称性を最も低減することができる。
[画像形成装置]
図5は、上記の実施形態に係る光走査装置が搭載されたカラー画像形成装置90の要部副走査断面図を示している。
画像形成装置90は、光走査装置によって、像担持体である各々の感光ドラム面上に画像情報を記録するタンデムタイプのカラー画像形成装置である。
画像形成装置90は、上記の実施形態に係る光走査装置11、像担持体としての感光ドラム23、24、25、26、現像器15、16、17、18、搬送ベルト91、プリンタコントローラ93及び定着器94を備えている。
画像形成装置90には、パーソナルコンピュータ等の外部機器92から出力されたR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号(コードデータ)が入力される。これらの色信号は、画像形成装置90内のプリンタコントローラ93によって、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、K(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。これらの画像データは、光走査装置11に入力される。そして、光走査装置11からは、各画像データに応じて変調された光ビーム79、80、81、82が射出され、これらの光ビーム79、80、81、82によって、感光ドラム23、24、25、26の感光面が主走査方向に走査される。
そして、光走査装置11により各々の画像データに基づいて射出された光ビーム79、80、81、82によって各々対応する感光ドラム23、24、25、26の感光面上に各色の静電潜像が形成される。その後、各色の潜像が現像器15乃至18によって各色トナー像に現像され、現像された各色トナー像が被転写材に転写器によって多重転写され、転写されたトナー像が定着器によって定着され、1枚のフルカラー画像が形成される。
従って、画像形成装置90では、光走査装置11がC、M、Y、Kの各色に対応している感光ドラム23、24、25、26の感光面上に画像信号(画像情報)を記録し、カラー画像を高速に印字することができる。
なお、外部機器92としては、例えばCCDセンサーを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置90とで、カラーデジタル複写機が構成される。
また、本実施形態に係る画像形成装置の記録密度は、特に限定されない。しかしながら、記録密度が高くなればなるほど、高画質が求められることを考えると、1200dpi以上の画像形成装置において、上記の実施形態に係る光走査装置を搭載した場合に、本発明の効果がより発揮される。
1 光源
5 ポリゴンミラー(偏向器)
71 被走査面(第1の被走査面)
72 被走査面(第2の被走査面)
100 光走査装置
120 結像光学系
M1 ハーフミラー(分割素子)

Claims (11)

  1. 光源から出射した光束を第1及び第2の光束に分割する分割素子と、
    前記第1及び第2の光束を偏向して第1及び第2の被走査面を主走査方向に走査する偏向器と、
    前記偏向器によって偏向された前記第1及び第2の光束の双方が入射する第1の結像レンズを有し、前記第1及び第2の光束を前記第1及び第2の被走査面に導光する結像光学系とを備え、
    前記第1及び第2の光束は、主走査断面に対して互いに異なる側から前記偏向器に入射し、
    前記第1及び第2の光束の前記偏向器への入射方向の主走査断面への投影と前記第1の結像レンズの光軸とがなす角度をそれぞれα1及びα2とするとき、
    −1.1≦α1/α2≦−0.9
    なる条件を満たすことを特徴とする光走査装置。
  2. 前記入射方向の前記第1の結像レンズの光軸に垂直な第1の断面への投影は、互いに平行であることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  3. α1/α2=−1
    を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の光走査装置。
  4. 前記第1の結像レンズの形状は、主走査方向において前記第1の結像レンズの光軸に対して回転対称であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の光走査装置。
  5. 前記結像光学系は、前記第1の結像レンズを通過した前記第1の光束が入射する第2の結像レンズと、前記第1の結像レンズを通過した前記第2の光束が入射する第3の結像レンズとを有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の光走査装置。
  6. 前記第2及び第3の結像レンズの形状は、前記第1の結像レンズの光軸に対して互いに回転対称であることを特徴とする請求項に記載の光走査装置。
  7. 前記第2及び第3の結像レンズの夫々の形状は、主走査方向において前記第1の結像レンズの光軸に対して回転非対称であることを特徴とする請求項又はに記載の光走査装置。
  8. 前記第1及び第2の光束の前記入射方向は、前記偏向器の偏向面が前記第1の結像レンズの光軸に対して垂直になったとき、前記偏向面よりも前記偏向器の回転軸の側で互いに交差することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の光走査装置。
  9. 前記偏向器は、前記第1及び第2の被走査面を交互に走査することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の光走査装置。
  10. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の光走査装置と、該光走査装置によって前記第1及び第2の被走査面に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、現像された前記トナー像を被転写材に転写する転写器と、転写された前記トナー像を前記被転写材に定着させる定着器とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の光走査装置と、外部機器から出力されたコードデータを画像信号に変換して前記光走査装置に入力するプリンタコントローラとを備えることを特徴とする画像形成装置。
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