JP2013031943A - インサート成形体及び放熱構造体 - Google Patents
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- B29K2995/0012—Properties of moulding materials, reinforcements, fillers, preformed parts or moulds having particular thermal properties
- B29K2995/0013—Conductive
Abstract
【課題】生産性の高い方法で製造することが可能であるとともに、樹脂部材と金属部材との間の密着力が充分であり、且つ樹脂部材と金属部材との間の熱の伝達がスムーズなインサート成形体を提供する。
【解決手段】樹脂部材と金属部材とを備えるインサート成形体であって、上記金属部材は上記樹脂部材との接合面に散在するように形成された2以上の接合孔を有し、上記樹脂部材は上記接合孔に挿入した凸部を有し、少なくとも1つの接合孔の開口部分の面積が、0.44mm2以上19.63mm2以下であり、樹脂部材と金属部材との接合面の外周で囲まれる面の面積をS1とし、上記接合面における上記接合孔の開口の面積の総和をS2としたときに、割合S2/S1が、特定の不等式(I)を満たすようにする。
【選択図】図1
【解決手段】樹脂部材と金属部材とを備えるインサート成形体であって、上記金属部材は上記樹脂部材との接合面に散在するように形成された2以上の接合孔を有し、上記樹脂部材は上記接合孔に挿入した凸部を有し、少なくとも1つの接合孔の開口部分の面積が、0.44mm2以上19.63mm2以下であり、樹脂部材と金属部材との接合面の外周で囲まれる面の面積をS1とし、上記接合面における上記接合孔の開口の面積の総和をS2としたときに、割合S2/S1が、特定の不等式(I)を満たすようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、インサート成形体及び放熱構造体に関する。
アルミニウムやアルミニウム合金等の金属部材と、熱可塑性樹脂組成物から構成される樹脂部材とが一体化されてなる複合品は、従来から、インパネ周りのコンソールボックス等の自動車の内装部材や、インテリア部品、デジタルカメラや携帯電話等の電子機器の外装部材等に用いられている。
金属部材と樹脂部材とを一体化する方法としては、接着剤や両面テープを用いて接着する方法や、金属部材及び/又は樹脂部材に折り返し片や爪等の固定部材を設け、この固定部材を用いて両者を固着させる方法、ねじ等を用いて接合する方法等がある。これらの中でも、接着剤を用いる方法は、簡便な方法であり、頻繁に行われる。
ここで、金属部材等と樹脂部材とを一体化するための接着剤は高価である。また、上記の複合品の製造においては、樹脂部材と金属部材とを別々に成形加工を行い、その後、一体化する必要があるため、複合品の生産性が低下する問題もある。
上記の問題点を解決する複合品の製造方法として、金属部材等を射出成形用の金型のキャビティ内に配置し、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物をキャビティ内に射出して、金属部材と樹脂部材とが一体となった複合品を製造する方法が知られている。この製造法は、インサート成形法として知られており、この方法で製造された複合品は、インサート成形体である。
上記インサート成形法によれば、接着剤を使用する必要が無いため、複合品の製造コストを削減することができる。また、インサート成形体における樹脂部材の成形加工時に樹脂部材と金属部材とが一体化されるため、接着剤を用いる方法と比較して、生産性にも優れる。
しかし、インサート成形体は、接着剤等を使用して製造した複合品と比較して、樹脂部材と金属部材との密着力が小さい点が問題となる。そこで、インサート成形前の金属部材の表面を粗面化し、この粗面と樹脂部材とが接するように、インサート成形することで、金属部材と樹脂部材との間の密着力を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の技術によれば、金属部材を粗面化することにより、樹脂部材と金属部材との密着性を高めることができる。しかし、粗面化する工程が必要になり、インサート成形体の生産性は低下する。
また、特許文献1に記載される方法の場合、インサート成形のみでは密着性が不足しており密着性向上のためにアニール処理を要求される場合がある。アニール処理は時間の掛かる工程であるため、インサート成形体の生産性を低下させる。
また、特許文献1に記載される方法の場合、樹脂部材と金属部材との間は熱が伝達し難いため、樹脂部材と金属部材との間に高い熱伝導性が求められる用途において、特許文献1に記載の方法は好適とはいえない。
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、生産性の高い方法で製造することが可能であるとともに、樹脂部材と金属部材との間の密着力が充分であり、且つ樹脂部材と金属部材との間の熱の伝達がスムーズなインサート成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、樹脂部材と金属部材とを備えるインサート成形体であって、上記金属部材は上記樹脂部材との接合面に散在するように形成された2以上の接合孔を有し、上記樹脂部材は上記接合孔に挿入した凸部を有し、少なくとも1つの接合孔の開口部分の面積が、0.44mm2以上19.63mm2以下であり、樹脂部材と金属部材との接合面の外周で囲まれる面の面積をS1とし、上記接合面における上記接合孔の開口の面積の総和をS2としたときに、割合S2/S1が、以下の不等式(I)を満たすようにすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 樹脂部材と金属部材とを備えるインサート成形体であって、
前記金属部材は、前記樹脂部材との接合面に散在するように形成された2以上の接合孔を有し、少なくとも1つの前記接合孔の開口部分の面積が、0.44mm2以上19.63mm2以下であり、前記樹脂部材は、前記接合孔に挿入した凸部を有し、前記樹脂部材と前記金属部材との接合面の外周で囲まれる面の面積をS1とし、前記接合面側の前記接合孔の開口の面積の総和をS2としたときに、割合S2/S1が、以下の不等式(I)を満たすインサート成形体。
0.04≦S2/S1≦0.80 (I)
前記金属部材は、前記樹脂部材との接合面に散在するように形成された2以上の接合孔を有し、少なくとも1つの前記接合孔の開口部分の面積が、0.44mm2以上19.63mm2以下であり、前記樹脂部材は、前記接合孔に挿入した凸部を有し、前記樹脂部材と前記金属部材との接合面の外周で囲まれる面の面積をS1とし、前記接合面側の前記接合孔の開口の面積の総和をS2としたときに、割合S2/S1が、以下の不等式(I)を満たすインサート成形体。
0.04≦S2/S1≦0.80 (I)
(2) 少なくとも1つの前記接合孔の開口部分の面積が、0.64mm2以上3.14mm2以下である(1)記載のインサート成形体。
(3) 前記接合孔は、前記接合面の略全体に亘って形成されている(1)又は(2)に記載のインサート成形体。
(4) 前記面積S1に対する、全ての接合孔内における樹脂部材と金属部材との接合面積の総和である面積S3の割合S3/S1が、以下の不等式(II)を満たす(1)から(3)のいずれかに記載のインサート成形体。
0.3≦S3/S1≦3 (II)
0.3≦S3/S1≦3 (II)
(5) 前記接合孔は、前記金属部材を貫通する貫通孔である(1)から(4)のいずれかに記載のインサート成形体。
(6) 少なくとも一部の前記接合孔の、前記接合孔の所定の深さにおける深さ方向の断面積が、前記所定の深さよりも深い位置における前記深さ方向の断面積よりも小さい(1)から(5)のいずれかに記載の樹脂金属複合体。
(7) 前記金属部材は、アルミダイカストから構成される(1)から(6)のいずれかに記載のインサート成形体。
(8) 前記樹脂部材は、熱可塑性樹脂から構成され、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)−0℃以上Tg+180℃以下の条件でアニール処理された(1)から(7)のいずれかに記載のインサート成形体。
(9) 熱源と、(1)から(8)のいずれかに記載のインサート成形体とを備え、前記樹脂部材は、前記熱源からの熱を受熱する受熱部であり、前記金属部材は、前記樹脂部材が受熱した熱を放熱する放熱部であり、前記樹脂部材の熱伝導率は、1W/(mk)以上20W/(mk)以下であり、前記金属部材の熱伝導率は、20W/(mk)以上300W/(mk)以下である放熱構造体。
本発明のインサート成形体は、生産性の高い方法で製造することが可能であるとともに、樹脂部材と金属部材との間の密着力が充分であり、且つ樹脂部材と金属部材との間の熱の伝達がスムーズである。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態のインサート成形体を模式的に示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)はMM断面図である。
図1は、第一実施形態のインサート成形体を模式的に示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)はMM断面図である。
図1に示す通り、本実施形態のインサート成形体1は、金属部材10と、樹脂部材20とを備える。図1に示すように、金属部材10上に樹脂部材20が積層するように形成される。また、図1(b)に示すように、金属部材10に形成された孔(後述する接合孔)に樹脂部材20が入り込む。
図2は、金属部材10を模式的に示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は平面図であり、(c)はNN断面図である。
図2に示すように、金属部材10は板状の部材である。また、金属部材10は、金属部材10を構成する一の面であり、後述する樹脂部材20と接する接合面11と、当該接合面11上に散在するように形成された2以上の接合孔12とを有する。
接合面11は、樹脂部材20と接する面であり、且つ接合孔12が形成される面である。本実施形態において、接合面11は、板を構成する一の面であり、平面状である。しかし、接合面11の形状は、樹脂部材20と接し、接合孔12が形成されていれば特に限定されず、曲面状であってもよい。
接合孔12は、上記接合面11に散在するように形成される孔であり、後述する樹脂部材20の凸部が挿入される部位である。本実施形態において、接合孔12は、接合面11上に9個形成されており、9個の接合孔12は全て同じ形状を有する。本実施形態における、接合孔12の形状は、接合面11に形成される円柱状の凹部である。
また、接合孔12は、接合面11に散在するように形成される。「散在するように」とは、接合面11上に接合孔12が適当な間隔をおいて配置されていることをいうが、必ずしも均等な間隔でなくてもよい。なお、本実施形態においては、接合面11の略全体に亘って形成されており、本発明においては、接合孔12が接合面11の略全体に亘って形成されていることが好ましい。
また、本発明において、後述する不等式(I)を満たし、少なくとも1つの接合孔12の開口の面積が、0.44mm2以上19.63mm2以下である。接合孔12の数、接合孔12の形状は、特に限定されない。また、どのような間隔で接合孔12が接合面11上に形成されていてもよい。また、2以上の接合孔12の形状は、それぞれ異なっていてもよい。
接合孔12は、下記の不等式(I)を満たすように、接合面11上に形成する必要がある。不等式(I)において、金属部材10と樹脂部材20との接合面の外周で囲まれる面の面積をS1とし、接合面側の接合孔の開口の面積の総和をS2とする。
0.04≦S2/S1≦0.80 (I)
0.04≦S2/S1≦0.80 (I)
「面積S1」とは、接合面の外周で囲まれる面の面積を指し、接合孔12がない場合を想定した金属部材10と樹脂部材20とが接する面積を指す。本実施形態における面積S1は、接合面11の面積から後述する接合孔12の開口の総面積S2を除いた面積(図2(b)の網掛け部の面積)に、全ての接合孔12の内壁面(即ち、接合孔12を構成する凹部の内表面)の面積の総和を加えたものを指す。面積S1は、接合面11が曲面等の複雑な形状であっても、また、接合孔12を形成する凹部の内表面が複雑な形状をしている場合であっても、上記のようにして導出することができる。
「接合孔12の開口の面積」とは、接合面11における接合孔12の開口縁で囲まれる面積を指す。したがって、「接合孔12の開口の総面積S2」とは、各接合孔12の開口縁で囲まれる面積を足し合わせたものを指す。
本実施形態においては、上記の通り、少なくとも1つの接合孔12の開口の面積が、0.44mm2以上19.63mm2以下であるが、少なくとも1つの接合孔12の開口の面積が、0.64mm2以上3.14mm2以下であることがより好ましい。なお、より多くの接合孔12の開口の面積が上記の範囲にあることが好ましく、全ての接合孔12の開口の面積が上記の範囲にあることが最も好ましい。
また、本発明においては、面積S1に対する、全ての接合孔12内における樹脂部材20と金属部材10との接合面積の総和である面積S3の割合S3/S1が、以下の不等式(III)を満たすことが好ましい。
0.3≦S3/S1≦3 (III)
0.3≦S3/S1≦3 (III)
「全ての接合孔12内における樹脂部材20と金属部材10との接合面積の総和である面積S3」とは、樹脂部材20が入り込んだ全ての接合孔12の内壁面(即ち、接合孔12を構成する凹部の内表面)の面積の総和を指す。
なお、上記金属部材10を構成する金属の種類は特に限定されず、用途等に応じて適宜好ましい種類の金属を使用することができる。例えば、鋼、鋳鉄、ステンレス、アルミ、銅、金、銀、真鍮等の金属、アルミ合金、亜鉛合金、マグネシウム合金、錫合金等の合金を使用することができる。
上記金属部材の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、金型に溶融した金属を圧入することにより、高い寸法精度の鋳物を短時間に大量に生産する鋳造方式である高圧鋳造法を挙げることができる。また、製造された金属部材10を所望の形状に成形するために、工作機械による切削加工等を用いてもよい。
一般的に、高圧鋳造法で製造されたアルミダイカストから構成される金属部材は、後述する樹脂部材との密着性を高めにくいことが知られているが、本発明においては、アルミダイカストから構成される金属部材も好適に採用することができる。
図3は、樹脂部材20を模式的に示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は底面図であり、(c)はOO断面図である。樹脂部材20は、熱可塑性樹脂組成物から構成され、金属部材10上に形成される部位である。図1、3に示すように、本実施形態において、樹脂部材20は板状の部材である。樹脂部材20は、板状を構成する一の面であり、上記金属部材10の接合面11に接する樹脂側接合面21と、その樹脂側接合面21上に形成される凸部22とを有する。
樹脂側接合面21は、樹脂部材20において、金属部材10の接合面11と接する部位である。本実施形態において、樹脂側接合面21は、平面状であるが、本発明において樹脂側接合面21の形状は特に限定されず、例えば、曲面状であってもよい。
凸部22は、上記樹脂側接合面21に形成される凸部であり、複数の凸部22が上記樹脂側接合面21に形成される。凸部22は、インサート成形時に溶融状態の熱可塑性樹脂組成物が上記接合孔12に入り込むことで形成される。したがって、凸部22の形状は、円柱状である。また、本実施形態においては、全ての凸部22は、上記接合孔12内にほぼ隙間無く挿入されている。
本発明においては、少なくとも2つの凸部22が、接合孔12に挿入されていればよく、接合孔12に挿入する凸部22の数が3以上であってもよいし、一部の接合孔12に、凸部22が挿入されていなくてもよい。また、本発明においては、凸部22の形状は特に限定されず、上記の通り、凸部22はインサート成形時に形成されるから、凸部22の形状は、接合孔12を形成する凹部の形状に対応した形状になる。
なお、樹脂部材20を構成する熱可塑性樹脂組成物は特に限定されず、用途等に応じて、選択された熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を用いることができる。熱可塑性樹脂の具体例としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリーレンサルファイド系樹脂、液晶性樹脂等を挙げることができる。また、本発明に用いる熱可塑性樹脂組成物には複数の熱可塑性樹脂が含まれていてもよい。
また、熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を害さない範囲で、熱可塑性樹脂以外のその他の成分として、ガラス繊維等の強化剤、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、顔料等の従来公知の添加剤等を含有してもよい。
<インサート成形体の製造方法>
本発明のインサート成形体の製造方法は、特に限定されず、金属部材を金型内に配置し、熱可塑性樹脂組成物を金型内に射出する一般的なインサート成形法を採用することができる。また、射出成形の条件は、熱可塑性樹脂組成物に含まれる成分等に応じて適宜設定することができる。
本発明のインサート成形体の製造方法は、特に限定されず、金属部材を金型内に配置し、熱可塑性樹脂組成物を金型内に射出する一般的なインサート成形法を採用することができる。また、射出成形の条件は、熱可塑性樹脂組成物に含まれる成分等に応じて適宜設定することができる。
また、本発明においては、インサート成形体の樹脂部材は、樹脂部材を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)−0℃以上、Tg+180℃以下の条件でアニール処理してもよい。
<効果>
本実施形態のインサート成形体1は、樹脂部材20と金属部材10とを備えるインサート成形体である。上記金属部材10は、上記樹脂部材20との接合面11に接合孔12を有し、接合孔12には、樹脂部材20の有する凸部22が挿入されている。本実施形態のインサート成形体1における金属部材10が、以下の(α)〜(γ)の構成を有するため、樹脂部材20と金属部材10との密着力が向上する。
(α)2以上の接合孔12が接合面11に散在するように形成されている。
(β)少なくとも1つの接合孔12の開口の面積が、0.44mm2以上19.63mm2以下である。
(γ)樹脂部材20と金属部材10との接合面の外周で囲まれる面の面積をS1とし、接合面11側の接合孔12の開口の面積の総和をS2としたときに、割合S2/S1が、以下の不等式(I)を満たす。
0.04≦S2/S1≦0.80 (I)
本実施形態のインサート成形体1は、樹脂部材20と金属部材10とを備えるインサート成形体である。上記金属部材10は、上記樹脂部材20との接合面11に接合孔12を有し、接合孔12には、樹脂部材20の有する凸部22が挿入されている。本実施形態のインサート成形体1における金属部材10が、以下の(α)〜(γ)の構成を有するため、樹脂部材20と金属部材10との密着力が向上する。
(α)2以上の接合孔12が接合面11に散在するように形成されている。
(β)少なくとも1つの接合孔12の開口の面積が、0.44mm2以上19.63mm2以下である。
(γ)樹脂部材20と金属部材10との接合面の外周で囲まれる面の面積をS1とし、接合面11側の接合孔12の開口の面積の総和をS2としたときに、割合S2/S1が、以下の不等式(I)を満たす。
0.04≦S2/S1≦0.80 (I)
つまり、接合面11に、特定の開口面積を有する接合孔12を、不等式(I)を満たすような数だけ形成することで、金属部材10と樹脂部材20との密着力を向上させる。
また、インサート成形体が上記の構成を備えることで、金属部材10と樹脂部材20との間の熱の伝達がスムーズになる。
特に、接合面11に形成される複数の接合孔12が、接合面11の全体に亘って略均一に形成されることで、上記金属部材10と樹脂部材20との密着力を向上させる効果がさらに高まる。また、金属部材10と樹脂部材20との間の熱の伝達もより均一になる。
特に、接合孔12の開口面積が、0.64mm2以上3.14mm2以下であれば、上記金属部材10と樹脂部材20との密着力向上の効果、熱伝導に優れる効果がさらに高まる。
特に、樹脂部材20の凸部22が挿入される接合孔12内の樹脂部材20と金属部材10との接合面積の総和である面積S3の、上記面積S1に対する割合S3/S1が、以下の不等式(II)を満たせば、上記金属部材10と樹脂部材20との密着力を向上させる効果、熱伝導に優れる効果がさらに高まる。
0.3≦S3/S1≦3 (II)
0.3≦S3/S1≦3 (II)
本実施形態のインサート成形体1は、接着剤等を使用することなく、インサート成形体における金属部材10と樹脂部材20との密着力を向上させることができる。このため、本実施形態のインサート成形体1は、接着剤等を使用して製造されるインサート成形体と比較して生産性が高い。
また、本発明のインサート成形体は、インサート成形体の製造時にアニール処理を行わなくても金属部材10と樹脂部材20との密着力が高い。このようにアニール処理する工程を削減することができるため、本発明のインサート成形体は、非常に高い生産性で製造することができる。
なお、通常のインサート成形後にアニール処理を施してもよく、インサート成形体に対してアニール処理を施すことで、さらに、樹脂部材と金属部材との密着力を高めることができる。
また、金属部材10と樹脂部材20との密着力を高める等の上記効果は、金属部材10がアルミダイカストから構成される場合であっても奏する。従来用いられている方法の場合、金属部材10がアルミダイカストから構成されると、アルミダイカストに対してはケミカルエッチング等による粗面化が困難なため、樹脂部材20と金属部材10との密着力を高めることが特に困難であった。しかし、上記の通り、本発明によれば、金属部材10がアルミダイカストから構成される場合であっても、樹脂部材と金属部材との密着力を向上させることができる。
<第二実施形態>
次に、本発明のインサート成形体の第二実施形態につき、図4を参照しながら説明する。本実施形態のインサート成形体1Aは、第一実施形態のインサート成形体1と同様に、直方体状であり、図4は第二実施形態のインサート成形体1Aの断面を模式的に示す図である。なお、第二実施形態以降の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
次に、本発明のインサート成形体の第二実施形態につき、図4を参照しながら説明する。本実施形態のインサート成形体1Aは、第一実施形態のインサート成形体1と同様に、直方体状であり、図4は第二実施形態のインサート成形体1Aの断面を模式的に示す図である。なお、第二実施形態以降の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第二実施形態のインサート成形体1Aは、主として、金属部材10Aの接合面11Aに形成される接合孔12Aが、接合面11Aとその裏側の面とを貫通する貫通孔である構成において第一実施形態と異なる。
また、接合孔12Aが、接合面11Aとその裏側の面を貫通する結果、樹脂部材20と金属部材10との面積S1、樹脂部材20Aの凸部22Aが挿入される接合孔12A内の樹脂部材20Aと金属部材10Aとの接合面積の総和である面積S3は、第一実施形態と第二実施形態とで異なるが、上記第一実施形態で説明した方法と同様の方法で、これらの面積を決定することができる。
第二実施形態のインサート成形体1Aは、第一実施形態のインサート成形体1と同様の方法で製造することができる。
第二実施形態のインサート成形体1Aによれば、上述した第一実施形態のインサート成形体1の効果を奏する他、以下効果を奏する。
第二実施形態のインサート成形体1Aでは、金属部材10Aの接合面11Aに形成される接合孔12Aが、接合面11Aとその裏側の面とを貫通するため、金属部材10と樹脂部材20との接合面の面積が大きくなり、金属部材10Aと樹脂部材20Aとを密着させる効果がさらに高まる。
<第三実施形態>
次に、本発明のインサート成形体の第三実施形態につき、図5を参照しながら説明する。本実施形態のインサート成形体1Bは、第一実施形態のインサート成形体1、第二実施形態のインサート成形体1Aと同様に、直方体状であり、図5は第三実施形態のインサート成形体1Bの断面を模式的に示した図である。
次に、本発明のインサート成形体の第三実施形態につき、図5を参照しながら説明する。本実施形態のインサート成形体1Bは、第一実施形態のインサート成形体1、第二実施形態のインサート成形体1Aと同様に、直方体状であり、図5は第三実施形態のインサート成形体1Bの断面を模式的に示した図である。
第三実施形態のインサート成形体1Bは、主として、金属部材10Bの接合面11Bに形成される接合孔12Bが、接合面11Bとその裏側の面とを貫通する構成、少なくとも一部の接合孔12Bにおける、接合孔12Bの所定の深さにおける深さ方向の断面積が、上記所定の深さよりも深い位置における上記深さ方向の断面積よりも小さい構成において第一実施形態と異なる。
接合孔12Bの形状は、貫通方向(接合孔12Bの深さ方向)に延びる円柱状の孔が二つ連なった形状である。接合面11B側の円柱状の孔の貫通方向の断面の半径は、接合面11Bの裏側の面側の円柱状の孔の貫通方向の断面の半径よりも小さい。このため、二つの円柱状の孔が連結する部分には、段差状のアンカー部13Bが存在する。
一般的なインサート成形法でインサート成形体1Bが製造される場合、樹脂部材20Bの凸部22Bは、接合孔12Bに溶融状態の熱可塑性樹脂組成物が流れ込むことで形成される。このため、接合孔12Bにアンカー部13Bが形成されていると、凸部22Bは、図5に示すように、凸部22Bが延びる方向に延びる円柱が二つ連なった形状を有する。
第三実施形態のインサート成形体1Bは、第一実施形態のインサート成形体1と同様の方法で製造することができる。
第三実施形態のインサート成形体1Bによれば、上述した第一実施形態のインサート成形体1の効果を奏する他、以下効果を奏する。
第三実施形態のインサート成形体1Bの金属部材10Bは、上記の通り、アンカー部13Aを有する。このため、図5に示すように、インサート成形体1Bの接合孔12B内では、樹脂部材20Bの凸部22Bが、アンカー部13Bに引っ掛かるように形成される。その結果、金属部材10Bと樹脂部材20Bとが外れ難くなる。
上記のようにアンカー部13Bは、凸部22Bが引っ掛かる部分であり、本実施形態のように引っ掛かる部分が環状であれば、金属部材10Bと樹脂部材20Bとが外れ難くなる効果がさらに高くなる。
<その他の変形例>
以上、本発明のインサート成形体の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、種々の形態で実施することができる。
以上、本発明のインサート成形体の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、種々の形態で実施することができる。
第一実施形態では、接合孔12は円柱状の凹部であるが、図6(a)に示すように接合孔12の深さ方向の断面積が深さ毎に異なるようにしてもよい。例えば、図6(a)では接合孔12の深さ方向の形状がテーパー状になっている。なお、第二実施形態においても、接合孔12の深さ方向の断面積が深さ毎に異なるようにすることができる。
また、第三実施形態のように、接合孔12の所定の深さにおける深さ方向の断面積が、上記所定の深さよりも深い位置における上記深さ方向の断面積よりも小さい構成になっていなくても、凸部22が接合孔12内で引っ掛かるように、アンカー部13を形成することは可能である。例えば、図6(b)に示すような、接合孔12の形状が、接合孔12の深さ方向に延びる円柱状の孔がずれて連なった形状である。図6(b)に示すように二つの円柱が連結する部分にアンカー部13が形成される。
<放熱構造体>
本発明の放熱構造体は、上記本発明のインサート成形体と熱源とを有する。放熱構造体の一例として、第一実施形態のインサート成形体1を備えた放熱構造体2を、図7を用いて説明する。図7は本実施形態の放熱構造体2を模式的に示す斜視図である。
本発明の放熱構造体は、上記本発明のインサート成形体と熱源とを有する。放熱構造体の一例として、第一実施形態のインサート成形体1を備えた放熱構造体2を、図7を用いて説明する。図7は本実施形態の放熱構造体2を模式的に示す斜視図である。
本実施形態の放熱構造体2は、インサート成形体1と熱源3とを備え、インサート成形体1の樹脂部材20と熱源3とが接触している。
熱源3は、熱を発するものであれば特に限定されない。例えば、集積回路(IC)、CPU等の電子部品、バッテリー等を挙げることができる。また、本実施形態では熱源3と樹脂部材20とが接触しているが、熱源3と樹脂部材20とは接触していなくてもよい。
樹脂部材20は、熱源3からの熱を受熱する受熱部である。また、樹脂部材20は、熱源3から受け取った熱を金属部材10に送る。熱の伝達を円滑に進めるために樹脂部材20の熱伝導率は、1W/m・K以上20W/m・K以下である。なお、上記のような熱伝導率の条件を満たすために使用される熱可塑性樹脂組成物としては、一般的な熱可塑性樹脂に、熱伝導率を付与するための配合剤を添加したものを例示することができる。
ここで、熱伝導率を付与するための配合剤としては、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、マグネシウム、ニッケル、等の金属及びこれら金属の合金、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅、等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、カーボン、グラファイト、ダイヤモンド、等の炭素材料、等を例示することができる。
金属部材10は、樹脂部材20から受け取った熱を放熱する放熱部である。金属部材10は、金属部材10の外部に熱を放出するものであればよい。したがって、金属部材10が他の部品と接触して、その部品に熱を送ってもよい。熱の伝達を円滑に進めるために、金属部材10の熱伝導率は、20W/m・K以上400W/m・K以下である。より好ましくは、100W/m・K以上400Wm・K/以下である。なお、上記のような熱伝導率の条件を満たす金属としては、アルミダイカスト、銅等が挙げられる。
ところで、本発明の放熱構造体は樹脂部材20を備え、樹脂部材20にはリブやボスが形成される場合が多い。本発明の放熱構造体は、インサート成形法により放熱構造体を製造することができるため、樹脂部材20の形成と同時にボスやリブを形成することができる。
なお、上記のような配合剤を添加しなくても、上記の熱伝導率を満たす場合には、樹脂部材20は上記のような配合剤を含まなくてもよい。
なお、金属部材10、樹脂部材20の形状は、特に限定されず、放熱構造体の用途等に応じて決定できる。
最後に放熱構造体の用途例について説明する。本発明の放熱構造体の好ましい用途はDC−DCコンバータである。DC−DCコンバータは、コイルを備え、このコイルが熱源3となる。このコイルは、樹脂部材に巻き付くように接触する。コイルで発生した熱は、樹脂部材に伝達され、さらに、樹脂部材から金属部材に伝達され、最後に放熱構造体の外部に放出される。
DC−DCコンバータにおいて樹脂部材20の形状は、特に限定されず、コイルの巻きやすさ等を考慮して決定される。また、樹脂部材20を構成する熱可塑性樹脂の種類は、耐熱性、耐ヒートショック性、耐トラッキング性等を考慮して決定される。本用途においては、熱可塑性樹脂としてポリアリーレンサルファイド系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂の使用が好ましい。
DC−DCコンバータにおいて金属部材10は、ヒートシンクであることが好ましい。ヒートシンクは、表面積を大きくするために剣山状や蛇腹状の突起物を備える。このような突起物を形成するためには、金属部材10を構成する材料には、高い熱伝導性以外に、優れた成形性が要求される。高い熱伝導性と優れた成形性とを併せ持つ材料としては、アルミダイカストを挙げることができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<インサート成形体の製造方法>
実施例及び比較例で使用したインサート成形体の模式図を図8に示した。(a)は分解斜視図であり、(b)は斜視図であり、(c)は金属部材である。このインサート成形体を以下の方法で製造した。なお、図中の寸法の単位はmmである。
樹脂部材を構成する熱可塑性樹脂組成物として、ポリフェニレンサルファイド系樹脂組成物1(ポリプラスチックス社製、「RSF−10719」、熱伝導率;0.4W/m・K、以下「0.4W材」という)、ポリフェニレンサルファイド系樹脂組成物2(ポリプラスチックス社製、「RSF−10387」、熱伝導率;2.0W/m・K、以下「2W材」という)を用いた。
金属部材として、アルミダイカストADC−12(熱伝導率;96W/m・K)から構成される板状物を用いた。これら板状の金属部材は、図8(a)の斜線で示す部分に接合面を有する。接合面には8個の接合孔が2列に並んでいる。使用した金属部材は、以下の6種類であり、接合孔の形状のみが異なる。
金属部材1:図2に示すような貫通していない接合孔であり、接合孔である凹部の形状は円柱状である。接合孔の開口縁で形成される円の直径は0.5mmである。凹部の底の位置は、は接合孔の深さ方向(孔が延びる方向)の中間である。
金属部材2:図4に示すような貫通した接合孔であり、接合孔である貫通孔の形状は円柱状である。接合孔の開口縁で形成される円の直径は0.5mmである。
金属部材3:図5に示すようなアンカー部を有する接合孔であり、貫通している。貫通孔の形状は、図5と同様に円柱が二つ連なった形状であり、接合面側における接合孔の開口縁で形成される円の直径は0.5mmである。アンカー部の位置は接合孔の深さ方向(孔が延びる方向)の中間である。
金属部材4:図2に示すような貫通していない接合孔であり、接合孔である凹部の形状は円柱状である。接合孔の開口縁で形成される円の直径は1mmである。凹部の底の位置は、は接合孔の深さ方向(孔が延びる方向)の中間である。
金属部材5:図4に示すような貫通した接合孔であり、接合孔である貫通孔の形状は円柱状である。接合孔の開口縁で形成される円の直径は1mmである。
金属部材6:図5に示すようなアンカー部を有する接合孔であり、貫通している。貫通孔の形状は、図5と同様に円柱が二つ連なった形状であり、接合面側における接合孔の開口縁で形成される円の直径は1mmである。アンカー部の位置は接合孔の深さ方向(孔が延びる方向)の中間である。
金属部材2:図4に示すような貫通した接合孔であり、接合孔である貫通孔の形状は円柱状である。接合孔の開口縁で形成される円の直径は0.5mmである。
金属部材3:図5に示すようなアンカー部を有する接合孔であり、貫通している。貫通孔の形状は、図5と同様に円柱が二つ連なった形状であり、接合面側における接合孔の開口縁で形成される円の直径は0.5mmである。アンカー部の位置は接合孔の深さ方向(孔が延びる方向)の中間である。
金属部材4:図2に示すような貫通していない接合孔であり、接合孔である凹部の形状は円柱状である。接合孔の開口縁で形成される円の直径は1mmである。凹部の底の位置は、は接合孔の深さ方向(孔が延びる方向)の中間である。
金属部材5:図4に示すような貫通した接合孔であり、接合孔である貫通孔の形状は円柱状である。接合孔の開口縁で形成される円の直径は1mmである。
金属部材6:図5に示すようなアンカー部を有する接合孔であり、貫通している。貫通孔の形状は、図5と同様に円柱が二つ連なった形状であり、接合面側における接合孔の開口縁で形成される円の直径は1mmである。アンカー部の位置は接合孔の深さ方向(孔が延びる方向)の中間である。
各金属部材について、面積S1、S2、S3、及び割合S2/S1、S3/S1を表1に示した。なお、上記の通り、面積S1は金属部材における樹脂部材との接合面の外周で囲われる面積を指すため、接合孔の開口の面積によらない。
これらの金属部材をそれぞれ金型に配置し、インサート成形を行った。成形条件は以下の通りである。インサート成形体の形状は図8に示す通りである。
[成形条件]
成形機:ソディックTR−40VR(縦型成形機)
シリンダー温度:310℃−320℃−310℃−290℃
金型温度:160℃
射出速度:100mm/s
保圧力:98MPa×5秒
[成形条件]
成形機:ソディックTR−40VR(縦型成形機)
シリンダー温度:310℃−320℃−310℃−290℃
金型温度:160℃
射出速度:100mm/s
保圧力:98MPa×5秒
<評価>
上記の方法で作成したインサート成形体について、接合部分の密着強度、及び熱伝導性の評価を行った。具体的な評価方法は以下の通りである。
上記の方法で作成したインサート成形体について、接合部分の密着強度、及び熱伝導性の評価を行った。具体的な評価方法は以下の通りである。
[密着強度]
密着強度の評価は、測定機器としてテンシロンUTA−50kN(オリエンテック社製)を使用し、測定速度が1mm/分の条件で行った。また、評価は図9に示すように、インサート成形体又は接着体を台座上に配置し、矢印方向(台座の表面に対して垂直方向)に引っ張ることで接着強度を測定した。測定結果を表2に示した(3回の平均)。密着強度の単位はNである。なお、表2は樹脂部材が2W材のものと、0.4W材のものとに分けてまとめた。表中の金属部材は、サンプルのインサート成形体に使用した金属部材を示す。例えば、表中の金属部材1は金属部材1を使用して作製されたインサート成形体を指す。
※インサート成形体を金型から離型する際に、金型側に樹脂部材の一部が残り剥離したため測定を行わなかった。
密着強度の評価は、測定機器としてテンシロンUTA−50kN(オリエンテック社製)を使用し、測定速度が1mm/分の条件で行った。また、評価は図9に示すように、インサート成形体又は接着体を台座上に配置し、矢印方向(台座の表面に対して垂直方向)に引っ張ることで接着強度を測定した。測定結果を表2に示した(3回の平均)。密着強度の単位はNである。なお、表2は樹脂部材が2W材のものと、0.4W材のものとに分けてまとめた。表中の金属部材は、サンプルのインサート成形体に使用した金属部材を示す。例えば、表中の金属部材1は金属部材1を使用して作製されたインサート成形体を指す。
表2に示す通り、特定の大きさの接合孔を金属部材に形成することで、金属部材と樹脂部材との密着性を向上させることができる。また、この密着力向上の効果は、インサート成形体をアニール処理しなくても奏する。また、接合孔が貫通孔である場合や、アンカー部が形成された接合孔であれば、密着力はさらに向上する。
[熱伝導性の評価]
図10に示すように樹脂部材を切断し、樹脂部材の切断面に高熱伝導グリース(AS−04/Ainex社製)を塗布し、ヒーターに接触させた。なお、金属部とヒーターとの最短距離が10mmになるようにサンプルを作製した。
図10に示すように樹脂部材を切断し、樹脂部材の切断面に高熱伝導グリース(AS−04/Ainex社製)を塗布し、ヒーターに接触させた。なお、金属部とヒーターとの最短距離が10mmになるようにサンプルを作製した。
図10に示すように150℃、20分の条件で加熱後のサンプル全体の温度を測定した。測定は、赤外線サーモグラフィー(株式会社チノー製、「ThermaCAM CPA−7800」)を用いた。結果を図11に示した。
図11の結果から、特定の接合孔を形成することで、樹脂部材と金属部材との間の熱伝導性は満足するレベル(接着体を使用したものと同等レベル)であり、樹脂材料として、熱伝導性の良い材料を使用した方が、熱伝導が良好なことも確認できた。
1 インサート成形体
10 金属部材
11 接合面
12 接合孔
20 樹脂部材
21 樹脂側接合面
22 凸部
2 放熱構造体
3 熱源
10 金属部材
11 接合面
12 接合孔
20 樹脂部材
21 樹脂側接合面
22 凸部
2 放熱構造体
3 熱源
Claims (9)
- 樹脂部材と金属部材とを備えるインサート成形体であって、
前記金属部材は、前記樹脂部材との接合面に散在するように形成された2以上の接合孔を有し、
少なくとも1つの前記接合孔の開口部分の面積が、0.44mm2以上19.63mm2以下であり、
前記樹脂部材は、前記接合孔に挿入した凸部を有し、
前記樹脂部材と前記金属部材との接合面の外周で囲まれる面の面積をS1とし、前記接合面側の前記接合孔の開口の面積の総和をS2としたときに、割合S2/S1が、以下の不等式(I)を満たすインサート成形体。
0.04≦S2/S1≦0.80 (I) - 少なくとも1つの前記接合孔の開口部分の面積が、0.64mm2以上3.14mm2以下である請求項1記載のインサート成形体。
- 前記接合孔は、前記接合面の略全体に亘って形成されている請求項1又は2に記載のインサート成形体。
- 前記面積S1に対する、全ての接合孔内における樹脂部材と金属部材との接合面積の総和である面積S3の割合S3/S1が、以下の不等式(II)を満たす請求項1から3のいずれかに記載のインサート成形体。
0.3≦S3/S1≦3 (II)
- 前記接合孔は、前記金属部材を貫通する貫通孔である請求項1から4のいずれかに記載のインサート成形体。
- 少なくとも一部の前記接合孔の、前記接合孔の所定の深さにおける深さ方向の断面積が、前記所定の深さよりも深い位置における前記深さ方向の断面積よりも小さい請求項1から5のいずれかに記載の樹脂金属複合体。
- 前記金属部材は、アルミダイカストから構成される請求項1から6のいずれかに記載のインサート成形体。
- 前記樹脂部材は、熱可塑性樹脂から構成され、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)−0℃以上Tg+180℃以下の条件でアニール処理された請求項1から7のいずれかに記載のインサート成形体。 - 熱源と、請求項1から8のいずれかに記載のインサート成形体とを備え、
前記樹脂部材は、前記熱源からの熱を受熱する受熱部であり、
前記金属部材は、前記樹脂部材が受熱した熱を放熱する放熱部であり、
前記樹脂部材の熱伝導率は、1W/m・K以上20W/m・K以下であり、
前記金属部材の熱伝導率は、20W/m・K以上300W/m・K以下である放熱構造体。
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