JP2012183705A - 複合成形体及び複合成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】材料の自由度が高く、簡素な構成で金属と樹脂とを接合できる複合成形体及び複合成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、厚さが2mm以下の金属板2と金属板2の一方の面2a上に形成された樹脂層3を有する複合成形体1であって、金属板2は、金属板2の他方の面2bから一方の面2aに向かって凹む凹部4と、凹部4の底面に形成され、凹部4の底面と一方の面2aとの間を貫通する貫通孔5と、を有し、一方の面上の貫通孔5の面積は、0.2〜100mm2であり、他方の面上の凹部4の面積は、0.5〜200mm2であり、凹部4に対応する一方の面側の突出量hは、金属板2の厚さの四分の一より大きく、かつ、樹脂層3の厚さより小さく、凹部4内に貫通孔5を通じて面2a上の樹脂層3と繋がる樹脂瘤部3aを有する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、厚さが2mm以下の金属板2と金属板2の一方の面2a上に形成された樹脂層3を有する複合成形体1であって、金属板2は、金属板2の他方の面2bから一方の面2aに向かって凹む凹部4と、凹部4の底面に形成され、凹部4の底面と一方の面2aとの間を貫通する貫通孔5と、を有し、一方の面上の貫通孔5の面積は、0.2〜100mm2であり、他方の面上の凹部4の面積は、0.5〜200mm2であり、凹部4に対応する一方の面側の突出量hは、金属板2の厚さの四分の一より大きく、かつ、樹脂層3の厚さより小さく、凹部4内に貫通孔5を通じて面2a上の樹脂層3と繋がる樹脂瘤部3aを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属と樹脂とを有する複合成形体及び複合成形体の製造方法に関する。
従来、金属と樹脂とを有する複合成形体として、化学的反応を利用して金属及び樹脂を接合させたものや化学的処理により金属の接合面に微細な凹凸を形成して樹脂と接合させたものが知られている。
また、特許文献1には、物理的に金属と樹脂とを接合させた複合成形体として挟み込み構造を用いたものが開示されている。その他、物理的に金属と樹脂とを接合させた複合成形体としてリベットを用いたものも知られている。
しかしながら、化学的反応や化学的処理を用いる接合では使用可能な材料が大きく制限される。また、材料の自由度が高い物理的な接合であっても、リベットや挟み込み構造を採用すると構造が複雑化し、重量や製造コストの増加を招いてしまう。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、材料の自由度が高く、簡素な構成で金属と樹脂とを接合できる複合成形体及び複合成形体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、厚さが2mm以下の金属板と金属板の一方の面上に形成された樹脂層とを有する複合成形体であって、金属板は、金属板の他方の面から一方の面に向かって凹む凹部と、凹部の底面に形成され、凹部の底面と一方の面との間を貫通する貫通孔と、を有し、一方の面上の貫通孔の面積は、0.2〜100mm2であり、他方の面上の凹部の面積は、0.5〜200mm2であり、凹部に対応する一方の面側の突出量は、金属板の厚さの四分の一より大きく、かつ、樹脂層の厚さより小さく、樹脂層は、凹部内に形成され、貫通孔を通じて樹脂層と繋がる樹脂瘤部を有することを特徴とする。
また、金属板の他方の面全体に対する他方の面上の凹部の面積比率は10〜80%であることが好ましい。
また、樹脂層は、繊維強化樹脂から形成されていることが好ましい。
また、金属板の一方の面には樹脂層を接着する接着層が形成されていることが好ましい。
本発明は、厚さが2mm以下の金属板と金属板の一方の面上に形成された樹脂層とを有する複合成形体の製造方法であって、金属板の他方の面から一方の面に向かって凹む凹部と、凹部の底面に形成され、凹部の底面と一方の面との間を貫通する貫通孔と、を金属板に形成する金属板加工工程と、金属板の一方の面上に樹脂層を形成すると共に、貫通孔を通じて樹脂層と繋がる樹脂瘤部を凹部内に形成する樹脂層形成工程と、を有し、一方の面上の貫通孔の面積は、0.5〜100mm2であり、他方の面上の凹部の面積は、0.5〜200mm2であり、凹部に対応する一方の面側の突出量は、金属板の厚さの四分の一より大きく、かつ、樹脂層の厚さより小さいことを特徴とする。
本発明によれば、材料の自由度が高く、簡素な構成で金属と樹脂とを接合できる複合成形体及び複合成形体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る複合成形体及び複合成形体の製造方法の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面における寸法、形状、構成要素間の大小関係は実際のものとは必ずしも同一ではない。
[複合成形体]
本実施形態に係る複合成形体1は、図1及び図2に示されるように、薄厚の金属板2と樹脂層3とを一体化した平板状の成形体である。複合成形体1の外形形状は必ずしも平板状に限定される必要はなく、例えば、L字形状や曲板形状、箱形状等であってもよい。
本実施形態に係る複合成形体1は、図1及び図2に示されるように、薄厚の金属板2と樹脂層3とを一体化した平板状の成形体である。複合成形体1の外形形状は必ずしも平板状に限定される必要はなく、例えば、L字形状や曲板形状、箱形状等であってもよい。
金属板2の材料は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銅、鉄、鉄鋼、各種合金の中から使用目的に応じて選択される。金属板2は、加工のしやすさや軽量化の観点からの厚さ2mm以下のものが用いられる。
この金属板2の一方の面2aには樹脂層3が形成され、他方の面2bは外部に露出している。一方の面2aには、金属板2と樹脂層3との接合強度を高めるため微細な凹凸が形成されていてもよい。微細な凹凸は、サンドペーパー処理やサンドブラスト等の機械加工又は化学処理により形成されてもよい。或いは、金属板2と樹脂層3との接合強度を高めるための接着層を面2aに形成してもよい。
金属板2には、他方の面2bから一方の面2aに向かって凹む凹部4が複数設けられている。これらの凹部4の形状は特に限定されず、例えば、厚さ方向Tから見て円状、楕円状、矩形状、多角形状等が挙げられる。厚さ方向Tとは、図1において一方の面2a及び他方の面2bに垂直な方向である。また、凹部4を形成する内壁の断面形状は、直線状である必要はなく、曲線状や階段状であってもよい。
他方の面2b上の凹部4の面積は、0.5〜200mm2であり、好ましくは2〜150mm2である。なお、他方の面2b上の凹部4の面積は、複数の凹部4の平均値として求められる。また、凹部4の最大径Dは、後述する貫通孔5の孔径dより大きく、かつ、貫通孔5の孔径dに10mmを加えた孔径より小さい径であることが好ましい。最大径Dは、凹部4のうち金属板2の厚さ方向Tと直交する方向の径の最大値に等しい。なお、凹部4の形状や面積は必ずしも同一である必要はなく、場所により凹部4の形状や面積を変更してもよい。金属板2の他方の面2b全体に対する他方の面2b上の凹部4の面積比率は10〜80%であり、好ましくは20〜60%である。
また、金属板2の一部は凹部4に対応して一方の面2a側に突出している。凹部4に対応する一方の面2a側の突出量hは、金属板2の厚さの四分の一より大きく、金属板2の厚さの二分の一よりも大きいことがより好ましい。突出量hとは、金属板2の凹部4に対応する部分が厚さ方向Tで一方の面2aから突出した高さの最大値である。なお、突出量hは、複数の凹部4に対応する各部分の平均値として求められる。また、突出量hは、樹脂層3の厚さより小さいことが好ましい。
凹部4の底面には、厚さ方向Tで金属板2を貫通する貫通孔5が形成されている。貫通孔5は、凹部4の底面と面2aとの間を貫通している。貫通孔5の形状も特に限定されず、例えば、厚さ方向Tから見て円状、楕円状、矩形状、多角形状等が挙げられる。
一方の面2a上の貫通孔5の面積は、0.2〜100mm2であり、好ましくは0.8〜80mm2である。なお、一方の面2a上の貫通孔5の面積は、複数の貫通孔5の平均値として求められる。また、貫通孔5の孔径dは、0.5〜10mmであり、好ましくは0.7〜5mmである。貫通孔5の形状や面積は同一のものに限られず、場所により貫通孔5の形状や面積を変更してもよい。また、貫通孔5の位置は必ずしも凹部4の中央に限定されず、中央以外の位置であってもよく、一つの凹部4に複数の貫通孔5を形成してもよい。
また、金属板2の一方の面2a全体に対する一方の面2a上の貫通孔5の面積比率は、接合強度及び金属板2の強度の観点から、2〜60%であることが好ましく、4〜50%であることがより好ましい。
樹脂層3は、金属板2の一方の面2a上に形成されている。樹脂層3を構成する樹脂材料は特に限定されないが、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエンブロック共重合体、等の一般的な熱可塑性樹脂、EPM、EPDM等の熱可塑性エストラマ−、これらの混合物、これらを用いたポリマーアロイ等が挙げられる。
また、これらの樹脂には、必要に応じてガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、各種の無機、有機フィラー等の充填材等が含有されていてもよい。また、通常使用される各種の安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑材、帯電防止剤、顔料等の各種添加材が含有されてもよい。ガラス繊維等を含有した繊維強化樹脂を用いた場合、樹脂層3の熱膨張率が低下して金属板2の熱膨張率に近くなるので、熱膨張による剥離を避けることができる。また、繊維強化樹脂を用いることで複合成形体1の耐熱性の向上が図られる。
樹脂層3の一部は、金属板2の貫通孔5を通じて凹部4内に入り込み樹脂瘤部3aを形成している。樹脂瘤部3aは、貫通孔5を通じて面2a上の樹脂層3と繋がっている部位である。
樹脂瘤部3aは、貫通孔5から外側に向かって拡大する末広がり形状をなしている。樹脂瘤部3aは、凹部4の内壁を覆うように広がっている。樹脂瘤部3aは、凹部4内にのみ形成されており、凹部4の外側には突出しない。樹脂瘤部3aは、金属板2を樹脂層3に繋ぎ止めるアンカーとして機能する。
[複合成形体の製造方法]
上述した複合成形体1の製造方法の製造方法について説明する。複合成形体1の製造方法は、金属板2を加工する金属板加工工程と、樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、から構成される。
上述した複合成形体1の製造方法の製造方法について説明する。複合成形体1の製造方法は、金属板2を加工する金属板加工工程と、樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、から構成される。
(金属板加工工程)
金属板加工工程では、まず金属板2の面2aに微小な凹凸を形成する表面加工を行う。その後、図3に示されるように、凹部4及び貫通孔5を金属板2に形成するプレス加工を行う。プレス加工には、例えば図3に示す形状のプレス工具6及びプレス台7が用いられる。
金属板加工工程では、まず金属板2の面2aに微小な凹凸を形成する表面加工を行う。その後、図3に示されるように、凹部4及び貫通孔5を金属板2に形成するプレス加工を行う。プレス加工には、例えば図3に示す形状のプレス工具6及びプレス台7が用いられる。
プレス工具6は、針状の先端部6aと先端部6a周囲を囲む傘状の押圧面部6bとを有している。プレス工具6と対になるプレス台7には、先端部6aに対応する深穴部7aと押圧面部6bに対応する凹み部7bが形成されている。これらのプレス工具6及びプレス台7を用いて金属板2のプレス加工を行うことで、金属板2に凹部4及び貫通孔5を形成する。
なお、凹部4及び貫通孔5の形成方法は上述した方法に限られない。例えば、凹部4と貫通孔5とを別々に形成してもよく、プレス加工で凹部4を形成した後に切削加工で貫通孔5を形成してもよい。
(樹脂層形成工程)
樹脂層形成工程では、図4に示されるように、金属板2のインサートされた金型8に熱可塑性樹脂を注入する射出成形によって樹脂層3及び樹脂瘤部3aを形成する。
樹脂層形成工程では、図4に示されるように、金属板2のインサートされた金型8に熱可塑性樹脂を注入する射出成形によって樹脂層3及び樹脂瘤部3aを形成する。
射出成形では、溶融した樹脂を金型8のゲート部8aに注入することで、キャビティ8b内に樹脂が流入する。そして、一方の面2aを上としてキャビティ8b内に配置された金属板2の周囲に樹脂が充填される。このとき、金属板2の貫通孔5から凹部4内に樹脂が入り込む。その後、保圧処理及び冷却処理を経て金属板2の面2a上に樹脂層3が形成され、凹部4内には樹脂瘤部3aが形成される。そして、所定の成形処理を経て複合成形体1が製造される。
なお、樹脂層形成工程は上述した工程に限られない。例えば、トランスファー成形やRIM(Reaction Injection Molding)成形等により樹脂層3及び樹脂瘤部3aを形成してもよい。
また、樹脂層形成工程の前に、金属板2の面2a上に接着材料を塗布する接着層形成工程を設けてもよい。
以上説明した複合成形体1によれば、金属板2の凹部4内に形成された樹脂瘤部3aがアンカーとして機能することで、金属板2と樹脂層3との接合強度を大幅に向上させることができる。しかも、この複合成形体1によれば、物理的に接合強度の向上を実現できるので、化学的な接合を行う場合と比べて、材料の自由度を高くすることができる。
また、この複合成形体1では、金属板2に凹部4と貫通孔5を設けるだけで接合強度の向上が図られるので、簡素な構成で金属板2と樹脂層3とを一体化することができる。従って、この複合成形体1によれば、構成の簡素化による複合成形体1の軽量化を図ることができる。また、構成の簡素化に伴う部材の削減や製造工程の短縮に伴い製造コストの低減を図ることができる。
更に、この複合成形体1では、凹部4及び貫通孔5の個数や形状、面積を変更することで、接合強度を容易に調整することができる。このことは複合成形体1の汎用性向上に寄与する。
また、この複合成形体1では、接合強度の向上のために特殊な金型を用意する必要がなく、通常の金型により製造できるので、設備コストの低減が図られる。しかも、この複合成形体1では、外部にリベット等の接合用部材や突起等を設けることなく、接合強度の向上が実現できるので、外観性に優れた製品を得ることができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。例えば、複合成形体1の形状は、L字形状や曲面形状、箱形状等様々な形状を採用することができる。また、金属板2の他方の面2b側に新たな樹脂層を設けてもよい。
(実施例1)
実施例1では、図2に示されるように板状の複合成形体1を射出成形により製造した。金属板2として長さ400mm、幅100mm、厚さ0.3mmのアルミ板を使用した。アルミ板の材料は昭和電工株式会社のA110Pを採用した。また、樹脂層3の材料としてガラスファイバーを40重量%含有した複合ポリプロピレンを採用した。
実施例1では、図2に示されるように板状の複合成形体1を射出成形により製造した。金属板2として長さ400mm、幅100mm、厚さ0.3mmのアルミ板を使用した。アルミ板の材料は昭和電工株式会社のA110Pを採用した。また、樹脂層3の材料としてガラスファイバーを40重量%含有した複合ポリプロピレンを採用した。
図3に示したプレス工具6及びプレス台7を用いて金属板2に凹部4及び貫通孔5を形成した。他方の面2b上の凹部4の面積は約6mm2である。凹部4の突出量hは約0.5mmである。また、一方の面2a上の貫通孔5の面積は約0.8mm2である。金属板2の他方の面2b全体に対する他方の面2b上の凹部4の面積比率は36%である。なお、凹部4及び貫通孔5の面積の値は、凹部4や貫通孔5を無作為に十箇所選んで測定した平均値である。
射出成形機として、日精樹脂工業株式会社製のFS160(最大圧力1435kgf/cm2,最大射出率195cm3/s)を使用した。樹脂温度は230℃、金型温度は30℃、射出速度を最大射出速度の50%として複合成形体1の製造を行った。製造した複合成形体1の形状は、長さ400mm、幅100mm、厚さ3mmの板状であった。
上記条件で製造した複合成形体1は、常温において変形もなく十分な接合強度が確認された。
(実施例2)
実施例2では、図5に示されるように、樹脂製の板状リブ11を有する樹脂平板10と、板状リブ11及び樹脂平板10に接合した金属板12と、を備える複合成形体20を製造した。樹脂平板10は長さ400mm、幅100mmであり、板状リブ11は高さ20mm、幅20mm、厚さ1mmである。金属板12は、樹脂平板10及び板状リブ11の接続部を跨ぎL字状に屈曲した状態で接合されている。
実施例2では、図5に示されるように、樹脂製の板状リブ11を有する樹脂平板10と、板状リブ11及び樹脂平板10に接合した金属板12と、を備える複合成形体20を製造した。樹脂平板10は長さ400mm、幅100mmであり、板状リブ11は高さ20mm、幅20mm、厚さ1mmである。金属板12は、樹脂平板10及び板状リブ11の接続部を跨ぎL字状に屈曲した状態で接合されている。
樹脂平板10及び板状リブ11の材料として、タルク含有量が約20重量%、MFRが役30g/10minの複合ポリプロピレンを採用した。その他の製造条件は実施例1と同様にした。
製造した複合成形体20では、金属板12の凹部13内に樹脂平板10又は板状リブ11と繋がる樹脂瘤部10a,11aの形成が確認された。上記条件で製造した複合成形体20においても十分な接合強度が確認された。
(実施例3)
実施例3では、図6に示されるように、五枚の平板から構成される樹脂箱14と樹脂箱14の内壁に接合された金属板15とを備えた複合成形体30を製造した。樹脂箱14は、長さ150mm、幅100mm、高さ50mm、厚さ4mmである。その他の製造条件は実施例2と同様にした。
実施例3では、図6に示されるように、五枚の平板から構成される樹脂箱14と樹脂箱14の内壁に接合された金属板15とを備えた複合成形体30を製造した。樹脂箱14は、長さ150mm、幅100mm、高さ50mm、厚さ4mmである。その他の製造条件は実施例2と同様にした。
上記条件で製造した複合成形体30においても十分な接合強度が確認された。
(実施例4)
以下の実施例4,5では、比較例を用いて接合強度の評価を行った。実施例4では、実施例1と同様の条件で複合成形体1を製造した後、図7に示す形状の試験片Tを切り出した。試験片Tは、長さ100mm、幅20mm、金属板2及び樹脂層3の接合部分Pの厚さ3mmであり、接合部分Pの長さが30mmとなるように切り出した。
以下の実施例4,5では、比較例を用いて接合強度の評価を行った。実施例4では、実施例1と同様の条件で複合成形体1を製造した後、図7に示す形状の試験片Tを切り出した。試験片Tは、長さ100mm、幅20mm、金属板2及び樹脂層3の接合部分Pの厚さ3mmであり、接合部分Pの長さが30mmとなるように切り出した。
試験片Tにおける貫通孔5の形状は直径約1mmの円形状である。試験片Tにおいて、他方の面2b全体に対する他方の面2b上の凹部4の面積比率は28%である。また、一方の面2a全体に対する一方の面2a上の貫通孔5の面積比率は4.6%である。この試験片Tの金属板2及び樹脂層3の各々に引張力を加えることで、破断時のせん断応力を評価する。
引っ張り試験機としては、エー・アンド・デイ株式会社製のRTF−3LCを使用した。試験温度は23℃、試験速度は50mm/min、チャック間距離は50mmとした。
(実施例5)
樹脂材料としてタルク含有量が約20重量%、MFRが役30g/10minの複合ポリプロピレンを採用した。また、試験片Tにおける他方の面2b全体に対する他方の面2b上の凹部4の面積比率を31%とした。更に、一方の面2a全体に対する一方の面2a上の貫通孔5の面積比率は5%とした。上述した以外の条件については、実施例4と同様にした。
樹脂材料としてタルク含有量が約20重量%、MFRが役30g/10minの複合ポリプロピレンを採用した。また、試験片Tにおける他方の面2b全体に対する他方の面2b上の凹部4の面積比率を31%とした。更に、一方の面2a全体に対する一方の面2a上の貫通孔5の面積比率は5%とした。上述した以外の条件については、実施例4と同様にした。
(比較例1)
金属板2に凹部4及び貫通孔5を設けなかったこと以外は、実施例4と同様にした。
金属板2に凹部4及び貫通孔5を設けなかったこと以外は、実施例4と同様にした。
(比較例2)
金属板2に凹部4及び貫通孔5を設けなかったこと以外は、実施例5と同様にした。
金属板2に凹部4及び貫通孔5を設けなかったこと以外は、実施例5と同様にした。
表1に示されるように、実施例4,5はいずれも金属板2の破断が生じた。一方、金属板2に凹部4及び貫通孔5を設けなかった比較例1,2では、金属板2と樹脂層3とが接合しなかった。実施例4と実施例5とを比較すると、孔密度がやや小さいがガラスファイバーを40重量%含有した複合ポリプロピレンを使用した実施例4の方が、破断時のせん断応力で高い値を示した。
1,20,30…複合成形体 2,12,14…金属板 2a…一方の面 2b…他方の面 3…樹脂層 3a…樹脂瘤部 4…凹部 5…貫通孔 6…プレス工具 7…プレス台 8…金型 10…樹脂板 11…リブ D…最大径 d…孔径 T…試験片
Claims (5)
- 厚さが2mm以下の金属板と前記金属板の一方の面上に形成された樹脂層とを有する複合成形体であって、
前記金属板は、
前記金属板の他方の面から前記一方の面に向かって凹む凹部と、
前記凹部の底面に形成され、前記凹部の底面と前記一方の面との間を貫通する貫通孔と、を有し、
前記一方の面上の前記貫通孔の面積は、0.2〜100mm2であり、
前記他方の面上の前記凹部の面積は、0.5〜200mm2であり、
前記凹部に対応する前記一方の面側の突出量は、前記金属板の厚さの四分の一より大きく、かつ、前記樹脂層の厚さより小さく、
前記凹部内に前記貫通孔を通じて前記一方の面上の前記樹脂層と繋がる樹脂瘤部を有する複合成形体。 - 前記金属板の前記他方の面全体に対する前記他方の面上の前記凹部の面積比率は10〜80%である請求項1に記載の複合成形体。
- 前記樹脂層は繊維強化樹脂から形成されている請求項1又は2に記載の複合成形体。
- 前記金属板の前記一方の面には前記樹脂層を接着する接着層が形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の複合成形体。
- 厚さが2mm以下の金属板と前記金属板の一方の面上に形成された樹脂層とを有する複合成形体の製造方法であって、
前記金属板の他方の面から前記一方の面に向かって凹む凹部と、
前記凹部の底面に形成され、前記凹部の底面と前記一方の面との間を貫通する貫通孔と、を前記金属板に形成する金属板加工工程と、
前記金属板の一方の面上に樹脂層を形成すると共に、前記貫通孔を通じて前記一方の面上の前記樹脂層と繋がる樹脂瘤部を前記凹部内に形成する樹脂層形成工程と、
を有し、
前記一方の面上の前記貫通孔の面積は、0.2〜100mm2であり、
前記他方の面上の前記凹部の面積の比は、0.5〜200mm2であり、
前記凹部に対応する前記一方の面側の突出量は、前記金属板の厚さの四分の一より大きく、かつ、前記樹脂層の厚さより小さい複合成形体の製造方法。
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