JP2013028560A - レプチン抵抗性改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたレプチン抵抗性改善剤およびレプチン遺伝子発現抑制剤の提供。
【解決手段】レスベラトロール誘導体、その薬学的に許容可能な塩、エステルおよびエーテルからなる群より選ばれる1種以上の化合物。該レスベラトロール誘導体において、炭素−炭素2重結合は、トランスまたはシスであってよく、シス体とトランス体との混合物を含み、レスベラトロール誘導体の薬学的に許容可能なエーテルまたはエステルとは、ヒドロキシ基(−OH)の1個または2個以上がエーテル化またはエステル化ヒドロキシ基であるものをいう。
【選択図】なし

Description

本発明は、レスベラトロール誘導体を含有するレプチン抵抗性改善剤に関するものである。また、本発明は、レスベラトロール誘導体を含有するレプチン遺伝子発現抑制剤に関するものである。
レプチンは脂肪細胞が分泌するペプチドホルモンであり、生体のエネルギー蓄積状態が十分なときに分泌される。分泌されたレプチンは脳の視床下部に局在するレプチン受容体に作用して摂食中枢を強力に抑制する。これにより食欲抑制作用とエネルギー代謝亢進作用を示し、体重減少をもたらし、肥満や体重増加を抑制している。このような生理機能を有するレプチンは抗肥満剤として注目された。
しかし、肥満動物および肥満症患者の血中レプチン濃度は健常者の数値よりも高く、体重と正の相関を示すことが明らかとなった(非特許文献1)。この肥満症患者にレプチンを投与した結果、抗肥満作用は見出せなかった(非特許文献2)。このように血中レプチン濃度が高いにもかかわらず、レプチンの生理機能が発揮されない「レプチン抵抗性」が存在することが明らかとなった。
肥満は現代の大きな社会問題になっているが、その多くがレプチン抵抗性に起因するといわれている。レプチンの機能不全により肥満はもとより、甘味を感じにくくなる味覚障害(非特許文献3)や生殖機能にも影響を及ぼすことが分かっている(非特許文献4)。また、レプチンの生理機能として血管新生作用(非特許文献5)、成長ホルモン分泌促進作用(非特許文献6)、免疫機能に対する影響(非特許文献7)、抗うつ作用(非特許文献8)が知られているが、レプチン抵抗性によりこれらの生理機能に悪影響を及ぼすことが予測され、非特許文献8では実際にレプチン抵抗性によりレプチンの抗うつ作用が示されないことも報告されている。
前記レプチン抵抗性の原因は、血中の過剰なレプチン量が根本的な原因であるとされている。従って、レプチン抵抗性を改善するには、血中レプチン濃度を減少させるのが1つの方法であると考えられている。
血中レプチン濃度を下げる方法としては、運動や食事療法による脂肪組織の減少つまりダイエットが挙げられる。しかし、生活習慣が不規則な現代において運動や食事制限には限界が生じている。そこで、レプチン抵抗性を改善する技術の必要性が求められており、これまでにいくつかの先行技術が報告されている。例えば、神経栄養因子あるいはtrk受容体のリガンドを有効成分とするレプチン抵抗性改善剤(特許文献1)、ジアシルグリセロールを有効成分とするレプチン抵抗性改善剤(特許文献2)、シグリセリドを有効成分とするレプチン抵抗性改善剤(特許文献3)、GABAB受容体アゴニストを有効成分とするレプチン抵抗性改善剤(特許文献4)が知られている。
このようにレプチン抵抗性改善剤の有用性から、レプチン抵抗性を有する化合物や素材が複数提案されているが、更なる新規素材の開発が望まれている。
一方、レスベラトロールは植物が病原菌から自己を守るファイトアレキシンとして存在する抗菌作用を有する化合物であり、ブドウ果皮に多く含まれることが知られている。最近の研究で、レスベラトロールは哺乳動物に対しても有用な効果を有していることが明らかになりつつある。いわゆる「フレンチパラドックス」と言われる赤ワインの有用な生理効果は、レスベラトロールの抗酸化能を始めとして各種の生理活性機能が一因であるとされている。さらに、レスベラトロールには多くの疾病に効果があることが明らかにされつつあり(非特許文献9)、その一つにレスベラトロールは強い抗癌作用を有することが報告されている(非特許文献10)。
また、これまでに多くのレスベラトロール誘導体が単離・構造決定されており、天然にはレスベラトロールの重合体、例えばε−ビニフェリン(二量体)、α−ビニフェリン(三量体)、バチカノールC(四量体)等が報告されている。非天然型のレスベラトロール誘導体についての報告もある(特許文献5)。またレスベラトロールにレプチン分泌促進作用があることが報告されている(特許文献6)。
しかしながら、本発明者らが調べたところ、レスベラトロールにはレプチン抵抗性改善作用は見られず、またレスベラトロール誘導体にレプチン抵抗性改善作用があるという報告もない。
再表01/066133号公報 特開2002−003376号公報 特開2002−322052号公報 再表2008/018275号公報 再表2008/136173号公報 特開2008−231080号公報
N.Engl.J.Med.,1996,334:292−295 JAMA.,1999,282:1568−1575 Proc.Natl.Acad.Sci.,2000,97:11044−11049 Nat.Genet.,1996,12:318−320 Science,1998,281:1683−1686 Endorinology,1997,138:2203−2206 J.Clin.Endocrinol.Metab.,1999,84:3686−3695 肥満研究,2010,16(3):188−191 Drug Discovery,2006,5:493−506 Science,1997、275(10):218−220
本発明者らは、前記の状況を鑑みて、新規なレプチン抵抗性改善剤の探索をした。その結果、新たに作製したレスベラトロール誘導体類が、レスベラトロールにはない、優れたレプチン発現抑制作用を有する化合物であることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は、優れたレプチン抵抗性改善剤およびレプチン遺伝子発現抑制剤を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、
〔1〕下記式(1):
Figure 2013028560
で示されるレスベラトロール誘導体、その薬学的に許容可能な塩、エステルおよびエーテルからなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とするレプチン抵抗性改善剤、
〔2〕前記式(1)で示されるレスベラトロール誘導体、その薬学的に許容可能な塩、エステルおよびエーテルからなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とするレプチン遺伝子発現抑制剤、
に関する。
本発明のレプチン抵抗性改善剤は、レスベラトロールには見られない優れたレプチン遺伝子発現抑制作用を有していることから、新規のレプチン抵抗性改善剤として有用である。また、本発明のレプチン遺伝子発現抑制剤は、低濃度でも脂肪細胞におけるレプチン遺伝子発現を低減させることができることから、新規のレプチン遺伝子発現抑制剤として有用である。
図1は、実施例1で得られたクロマトグラムを示す。主要な化合物のピークをR1〜R5で示している。本発明品であるUHA4003はR4に対応する。 図2は実施例2で行ったリアルタイムRT−PCR解析の結果を示す。レスベラトロール、UHA4003で処理した脂肪細胞中のレプチン遺伝子発現量を定量した結果を示している。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のレプチン抵抗性改善剤およびレプチン遺伝子発現抑制剤(以下、本発明のレプチン抵抗性改善剤等と略す)は、下記式(1):
Figure 2013028560
で示されるレスベラトロール誘導体、その薬学的に許容可能な塩、エステルおよびエーテルからなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする。
本発明において、「レプチン抵抗性改善剤」または「レプチン遺伝子発現抑制剤」とは、ヒトまたは非ヒト動物の脂肪細胞においてレプチンをコードする遺伝子の発現量を低減させることができる薬剤をいう。このように、脂肪細胞におけるレプチン遺伝子発現量を低減させることで、例えば、高レプチン血症に罹患している患者の血中で過剰に存在しているレプチン濃度を低減させて、高レプチン血症によるレプチン抵抗性およびそれに伴う各種疾患を改善することが可能となる。
レプチン遺伝子発現抑制作用は、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することで確認することができる。
前記レスベラトロール誘導体において、炭素−炭素2重結合は、トランスまたはシスであってよく、シス体とトランス体との混合物を含む。
前記レスベラトロール誘導体の薬学的に許容可能な塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩; マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩; アルミニウム塩;アルミニウムヒドロキシド塩等の金属ヒドロキシド塩; アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、アルキレンジアミン塩、シクロアルキルアミン塩、アリールアミン塩、アラルキルアミン塩、複素環式アミン塩等のアミン塩; α−アミノ酸塩、ω−アミノ酸塩等のアミノ酸塩;ペプチド塩またはそれらから誘導される第1級、第2級、第3級若しくは第4級アミン塩等が挙げられる。これらの薬理的に許容し得る塩は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
また、前記レスベラトロール誘導体の薬学的に許容可能なエーテルまたはエステルとは、ヒドロキシ基(−OH)の1個または2個以上がエーテル化またはエステル化ヒドロキシ基であるものをいう。これらのエーテル化またはエステル化ヒドロキシ基は、非置換のまたは置換された1〜26個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基、または非置換のまたは置換された1〜26個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖脂肪族、芳香脂肪族または芳香族カルボン酸に由来してもよい。エーテル化ヒドロキシ基はさらにグリコシド基であってもよく、エステル化ヒドロキシ基はさらにグルクロニドまたは硫酸基であってもよい。これらの薬理的に許容し得るエーテルまたはエステルは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記レスベラトロール誘導体の製造には、前駆体としてレスベラトロールを用いる。レスベラトロールにはトランス体とシス体の構造異性体が存在するが、加熱や紫外線によってトランス体とシス体の変換が一部生じる。したがって、レスベラトロールとしては、トランス体でもシス体でも、あるいはトランス体とシス体の混合物であってもよい。レスベラトロールは、ブドウ果皮から抽出・精製した天然由来のものであっても、化学合成された純度の高い化成品であっても良い。天然由来のレスベラトロールを用いる場合は、完全に精製されたものである必要はなく、後述のように所望の生成反応が進み最終的に本発明で用いる前記レスベラトロール誘導体が得られるから、レスベラトロール以外の成分を含む混合物も使用できる。また、レスベラトロールには、塩、エーテル、エステル等の誘導体もあるが、本発明の製造方法では、これらの誘導体も原料として使用することができる。
ただし、前記レスベラトロール誘導体の回収率の観点からは、レスベラトロール換算で1重量%以上含有された混合物が原料として望ましい。
前記レスベラトロールとしては、ブドウ果皮、ピーナッツ等の原料からの抽出物、凍結乾燥品等を使用してもよい。
本発明では、レスベラトロールを適切な溶媒に溶解させる。この際、溶媒が水のみであれば、レスベラトロールの溶解度が著しく低いために、水と有機溶媒の混合液や、有機溶媒のみに溶解させればよい。水と有機溶媒の配合比や、有機溶媒の種類については特に制限はなく、レスベラトロールが十分に溶解すれば良い。中でも、メタノールやエタノールのみの溶媒や、水とメタノール、水とエタノール等の混合液を使用することが、安全性やコスト面から好ましい。新規レスベラトロール誘導体を含む反応後組成物に対して最終的な精製を十分に適用せずにその組成物を食品に使用する場合には、安全性や法規面から溶媒としてエタノールや含水エタノールを使用することが望ましい。
得られるレスベラトロールを含有する溶液中のレスベラトロールの濃度について特に制限はないが、それぞれの濃度が高いほど、溶媒使用量が少ない等のメリットもあるため、レスベラトロールの濃度は各々の溶媒に対しレスベラトロールがそれぞれ飽和する濃度近くが好ましい。
また、レスベラトロールは前記溶液中において生成反応前に完全に溶解していなくともよい。
次に、前記レスベラトロールを含有する溶液(以下、レスベラトロール含有溶液)のpHを8未満に調整することが好ましい。調整方法として、例えば、レスベラトロール含有溶液を調製した後にpH調整剤を添加してpHを調整しても良いし、前記溶液の調製時に前もって溶媒のpHを調整しておいても良い。レスベラトロール含有溶液の反応開始時のpHは8.0以上であれば、他の反応や目的化合物の分解も一方で生じるために、生成される前記レスベラトロール誘導体の回収量が低下する。したがって、反応開始時のpHは3以上8未満が望ましい。
本発明では、前記レスベラトロール含有溶液中に金属塩を添加する。前記金属塩としては、酸性塩、塩基性塩、正塩のいずれでもよく、また、単塩、複塩、錯塩のいずれでもよい。さらに、金属塩は1種類であっても、複数種類の混合物であってもよい。金属塩の例としては、食品添加物として認可されているものが安全性の面で好ましい。例えば、食品に添加することが認められているマグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、銅塩等が挙げられる。
また、前記金属塩の混合物としては、例えば、ミネラルプレミックス(田辺製薬株式会社、グルコン酸亜鉛、クエン酸鉄アンモニウム、乳酸カルシウム、グルコン酸銅、リン酸マグネシウムを主成分としたミネラル混合物)のように金属塩を数種類含む物質が挙げられる。また、複数の金属塩を含む混合物として、ミネラルウォーターも挙げることができる。
なお、前記金属塩の含有量としては、前記レスベラトロール誘導体を生成可能な量であればよく、特に限定はない。
次に、金属塩存在下で、レスベラトロール含有溶液を加熱処理する。この加熱処理により、新規レスベラトロール誘導体の生成反応を行う。生成反応を効率的に進ませるために、レスベラトロール含有溶液の加熱温度は110℃以上に調整することが好ましい。また、使用する溶媒の沸点から考え、加圧加温が望ましい。例えば、開放容器にレスベラトロール含有溶液を入れ、溶媒の沸点を超える高温で前記容器を加温する、密閉容器にレスベラトロール含有溶液を入れて前記容器を加温する、レトルト装置やオートクレーブを用いて加圧加温する等、少なくとも部分的に溶液温度が110℃以上に達するように加熱することが好ましい。回収効率面から、溶液温度が均一に110℃〜150℃になることが、さらに好ましい。加熱時間も加熱温度と同様に限られたものではなく、効率的に目的の反応が進行する時間条件とすればよい。特に、加熱時間は加熱温度との兼ね合いによるものであり、加熱温度に応じた加熱時間にすることが望ましい。例えば、130℃付近で加熱する場合は、5分〜120分の加熱時間が望ましい。また、加熱は、一度でも良いし、複数回に分けて繰り返し加熱しても良い。複数回に分けて加熱する場合、蒸発した溶媒を補うために溶媒や必要であれば前記金属塩を新たに追加して行うことが好ましい。
前記加熱処理によるレスベラトロール誘導体の生成反応の終了は、例えば、HPLCによる成分分析によりレスベラトロール誘導体の生成量を確認して判断すればよい。
得られる反応液中には、本発明で用いるレスベラトロール誘導体が含有されている。
また、安全な原料のみを用いた工程でレスベラトロール誘導体を製造した場合には、前記レスベラトロール誘導体を含む混合物の状態で食品、医薬品または医薬部外品に使用することが可能である。例えば、天然由来のレスベラトロールを含水エタノール溶媒に溶解し、ミネラルウォーターやミネラルプレミックスを添加して加熱処理した場合には、得られる反応液を食品原料の一つとして使用することが可能である。
また、風味面での改良やさらなる高機能化を望む場合は、前記反応液を濃縮してレスベラトロール誘導体の濃度を高める、あるいは前記反応液を精製しレスベラトロール誘導体の純品を得ることができる。濃縮、精製は、公知の方法で実施可能である。例えば、クロロホルム、酢酸エチル、エタノール、メタノール等を用いた溶媒抽出法や炭酸ガスによる超臨界抽出法等で抽出してレスベラトロール誘導体を濃縮できる。また、カラムクロマトグラフィーを利用して濃縮や精製を施すことも可能である。再結晶法や限外ろ過膜等の膜処理法も適用可能である。
また、前記反応液から式(1)で表されるレスベラトロール誘導体を分離して回収する場合には、カラムクロマトグラフィー、HPLC等を用いてもよい。
前記濃縮物や精製物を、必要に応じて、減圧乾燥や凍結乾燥して溶媒除去することで、粉末状のレスベラトロール誘導体を得ることができる。
また、得られたレスベラトロール誘導体は、必要に応じて、当該分野で公知の方法により、レスベラトロール誘導体の塩としたり、レスベラトロール誘導体のヒドロキシ基をエーテル化またはエステル化してもよい。
前記のレスベラトロール誘導体は、レスベラトロールに見られない優れたレプチン遺伝子発現抑制作用を有する。
したがって、本発明は、前記レスベラトロール誘導体を有効成分として含有することで、優れたレプチン抵抗性改善剤およびレプチン遺伝子発現抑制剤を提供することができる。
本発明のレプチン抵抗性改善剤等は、有効成分として前記レスベラトロール誘導体のみからなるものであってもよいが、例えば、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、ゲル剤等に配合される場合にはそれぞれの剤形に応じた任意成分をさらに含有してもよい。また、錠剤、丸剤、顆粒剤、顆粒を含有するカプセル剤の顆粒は、必要により、ショ糖等の糖類、マルチトール等の糖アルコールで糖衣を施したり、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等でコーティングを施したりすることもできる。また、胃溶性または腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。また、製剤の溶解性を向上させるために、公知の可溶化処理を施すこともできる。常法に基づいて、注射剤、点滴剤に前記レスベラトロール誘導体を配合して使用してもよい。
本発明のレプチン抵抗性改善剤等を使用する場合、例えば、前記レスベラトロール誘導体の摂取量は、所望の効果が得られるような量であれば特に制限されず、通常その態様、患者の年齢、性別、体質その他の条件、疾患の種類並びにその程度等に応じて適宜選択される。前記レスベラトロール誘導体換算で、1日当たり約0.1mg〜1,000mg程度とするのがよく、これを1日に1〜4回に分けて摂取することができる。
また、前記レスベラトロール誘導体は、安全性に優れたものであるので、ヒトに対してだけでなく、例えば、非ヒト動物、例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジー等の哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類等の治療剤または飼料に配合してもよい。飼料としては、例えばヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ニワトリ等に用いる家畜用飼料、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、ウナギ、タイ、ハマチ、エビ等に用いる魚介類用飼料、イヌ、ネコ、小鳥、リス等に用いるペットフードが挙げられる。
次に、本発明を実施例に基いて詳細に説明するが、本発明はかかる実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1:UHA4003の生成および単離・精製)
トランス−レスベラトロール(東京化成)700mgをエタノール14mLに溶解し、2.5%NaHCO3水溶液を14mL加えて、レスベラトロール含有溶液(pH9.9)を得た。このレスベラトロール含有溶液をオートクレーブ(SANYO LABO AUTOCLAVE)にて130℃、20分間加熱した。次いで、1回目のオートクレーブ処理にて得られた反応溶液に、エタノール14mLと5.0%NaHCO3水溶液を14mL加え、再度、オートクレーブ(SANYO LABO AUTOCLAVE)にて130℃、20分間加熱した。得られた反応溶液のうち1mLをメタノールにて50mLにメスアップし、このうちの10μLをHPLCにより分析した。
HPLC分析は以下条件にて行った。
カラム:逆相用カラム「Develosil(登録商標)C−30−UG−5」(4.6mmi.d.×250mm)
移動相:A・・・H2O(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)), B・・・アセトニトリル(0.1%TFA)
流速:1mL/min
注入:10μL
検出:254nm
勾配(容量%):80%A/20%Bから20%A/80%Bまで30分間、20%A/80%Bから100%Bまで5分間、100%Bで10分間(全て直線)
得られたクロマトグラムを図1に示す。主要な化合物のピークをR1〜R5で示した。
得られたピークのうち、上記化合物R4を分取HPLCにより精製した。単離精製した化合物R4を常法により乾燥したところ、褐色粉末状の物質となった。これをUHA4003と命名した。
また、前記UHA4003の物理化学的性状は、以下のようになった。
(性状)
褐色粉末
(溶解性)
水:難溶
メタノール:溶解
エタノール:溶解
DMSO:溶解
クロロホルム:難溶
酢酸エチル:難溶
次に、UHA4003の分子量を高分解能FAB−MS(Fast Atom Bombardment−Mass Spectrometry)にてそれぞれ測定したところ、439.4765であり、理論値との比較から、以下の分子式を得た。
理論値C28H23O5(M+H)+ :439.4792
分子式C28225
次に、前記UHA4003を核磁気共鳴(NMR)測定に供し、1H−NMR、13C−NMRおよび各種2次元NMRデータの解析から、前記UHA4003が前記式(1)で表される構造を有することを確認した。
(実施例2:レプチン遺伝子発現抑制作用の検証)
レプチン遺伝子発現抑制作用を評価するために、3T3―L1細胞(マウス由来脂肪前駆細胞)を用いて評価を行った。
試料にはレスベラトロール、本発明品であるUHA4003の2種類を用いた。各試料をジメチルスルホキシド(DMSO、和光純薬工業(株)社製)に4mM、2mM、1mM、0.2mMの濃度で溶解させて試験に使用した。
培養は、10%ウシ胎児血清(Foetal Bovine Serum:FBS Biological industries社製)、1%アンチバイオティック−アンチマイコティック(Antibiotic−Antimycotic、ギブコ(GIBCO)社製)を含むDulbecco’s modified Eagle medium(DMEM、Sigma社製)を用いていった。試験に使用する脂肪細胞は定法に従って調整した。つまり、細胞培養用6wellディッシュ(日本BD社製)に3T3L1細胞を5×104cells/mLで2mL播種して37℃、5%CO2条件下で48時間培養し、100%コンフルエントしたものを毎日培地交換しながらさらに48時間培養した。その後、培地をAdipoInducer Reagent(タカラバイオ(株)社製)付属のインスリン、デキサメタゾン、イソブチルメチルキサンチンをそれぞれ1%、0.5%、0.1%添加した分化用DMEM2mLに交換し、37℃、5%CO2条件下で48時間分化・培養したものを使用した。
試験は以下のように行った。分化させた脂肪細胞の培地を、インスリン1%を含むDMEM(維持培地)に交換し、これに各試料を10μL(終濃度20μM、10μM、5μM、1μM)添加し、2日おきに培地交換(化合物含有維持培地)しながら7日間培養した。なお、溶媒であるDMSOのみを0.5%添加したものをコントロールとした。
試料添加後、37℃、5%CO2条件下で24時間培養し、細胞よりRNA抽出キット「NucleoSpin(登録商標)RNA II」(タカラバイオ(株)社製)を用いて全量RNAを抽出・精製した。得られたRNAを2ステップリアルタイムRT−PCR用逆転写試薬「PrimeScript(登録商標)RT Master Mix」(タカラバイオ(株)社製)の取扱説明書に準じて逆転写反応を行った。つまり5×Primescript RT Master Mix 4μL、全量RNA 1μgを混合し、RNase Free dH2Oで20μLに調製した。PCR用サーマルサイクラー「GeneAmp(登録商標)PCR System 9700」(Applied Biosystem(株)社製)を使用して{37℃ 15分 → 85℃ 5秒}×1サイクルのプログラムにて逆転写反応を行った。逆転写反応液をリアルタイムRT−PCR用希釈試薬「EASY Dilution」(タカラバイオ(株)社製)にて10倍希釈した希釈液をリアルタイムRT−PCR解析に使用した。
リアルタイムRT−PCR解析は定法に従って行った。解析には「ECO Realtime RT―PCR system」(イルミナ(株)製)を使用した。プライマーには、レプチンフォワードプライマー;(プライマーID:MA073409−F)、レプチンリバースプライマー;(プライマーID:MA073409−R)を使用した。細胞内遺伝子の内部標準はβ−アクチンとし、そのプライマーとして、ACTBフォワードプライマー;(プライマーID:MA050368−F)、ACTBリバースプライマー;(プライマーID:MA050368−R)(いずれもタカラバイオ(株)社製)を使用した。反応にはリアルタイムRT−PCR試薬「SYBR(登録商標)Premix EX taq II」(Tli RNaseH Plus)(タカラバイオ(株)社製)を使用した。反応液は48ウェルPCRプレート(イルミナ(株)製)中に2×SYBR Premix EX taq II(Tli RNaseH Plus)5μL、フォワードプライマー(50μM)0.08μL、リバースプライマー(50μM)0.08μL、逆転写反応液 2μL、dH2O 2.84μL(総量10μL)を混合して[95℃ 30秒 → {95℃ 15秒 → 60℃ 1分}×40サイクル → 95℃ 15秒 → 55℃ 15秒 → 95℃ 15秒]のプログラムにてPCR反応を行った。
得られた各細胞中のβ−アクチンとレプチンのCt値(Threshold Cycle:一定の増幅量(閾値)に達するサイクル数)からレプチン発現量の相対値を算出した。結果を図2に示した。
図2に示す結果より、UHA4003においてレスベラトロールにはない強いレプチン遺伝子発現抑制作用が確認された。
したがって、UHA4003を有効成分として含有する薬剤は、ヒトまたは非ヒト動物の血中のレプチン濃度を有意に低減させるレプチン抵抗性改善剤またはヒトまたは非ヒト動物の脂肪細胞におけるレプチン遺伝子発現抑制剤として使用できることがわかる。
本発明のレプチン抵抗性改善剤は、優れたレプチン遺伝子発現抑制作用を有するものである。したがって、本発明のレプチン抵抗性改善剤は、高レプチン血症治療剤、肥満症改善・治療剤、レプチン抵抗性に起因するうつ病治療剤としても使用することができる。

Claims (2)

  1. 下記式(1):
    Figure 2013028560
    で示されるレスベラトロール誘導体、その薬学的に許容可能な塩、エステルおよびエーテルからなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とするレプチン抵抗性改善剤。
  2. 下記式(1):
    Figure 2013028560
    で示されるレスベラトロール誘導体、その薬学的に許容可能な塩、エステルおよびエーテルからなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とするレプチン遺伝子発現抑制剤。
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