JP2013027156A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガタやバックラッシュ量に関わらず安定して高速な駆動を行うモータ制御装置を提供する。
【解決手段】ステッピングモータと、ステッピングモータのロータの回転位置を検出する位置検出センサと、ステッピングモータをオープンループ制御によって駆動するものであって、一定の駆動周波数の駆動パルスをステッピングモータに供給する一定速駆動と、駆動周波数が徐々に高くなる駆動パルスをステッピングモータに供給する加速駆動とを切り替えて行うオープンループ駆動手段とを有し、オープンループ駆動手段がステッピングモータに駆動パルスを供給してから位置検出センサの出力が変化するまでの時間が予め設定した基準値以下となる場合には、オープンループ駆動手段は一定速駆動を行い、基準値より大きくなる場合には、オープンループ駆動手段は加速駆動を行うことを特徴とする。
【選択図】図10

Description

本発明は、モータ制御装置に関し、特にロータの位置を検出する位置センサを有するモータを駆動する制御装置に関するものである。
ステッピングモータは、小型、低コスト、高トルクといった特徴のほかに、コイルへの通電切り替えによって所定の角度毎に回転可能であるため、位置センサ無しで容易に位置制御が可能であるという特徴を有している。そのため、決められた時間間隔に従ってコイルへの通電状態を切り替えるオープンループ制御による駆動モードが一般的に用いられている。しかし、高速駆動時あるいは高負荷条件時では、コイルへの通電切り替えに対してロータが応答できなくなり、脱調を起こしやすいという問題がある。そこで、加減速時は、ロータ位置を検出する位置センサの出力に応じてコイルへの通電状態を切り替えるフィードバック制御を行うことによって、高速駆動が可能な駆動モードに切り替えることができるステップモータの提案がなされている。また、オープンループ制御とフィードバック制御を組み合わせることにより、低速時はオープンループ制御で駆動し、高速時はフィードバック制御で駆動することで、幅広い速度の駆動を精度よく行う提案もなされている。図12は、従来のオープンループ制御とフィードバック制御の組み合わせ例を示す図である。図12において、横軸はステップ数もしくは時間、縦軸はモータの回転速度もしくは被駆動部材の移動速度を示す。tpはオープンループ制御による駆動の加速期間、tpはフィードバック制御による駆動の加速期間である。tpは一定速期間(Vcm)、tpはフィードバック制御による駆動の減速期間、tpはオープンループ制御による駆動の減速期間である。そして、Pcはオープンループ制御による駆動からフィードバック制御による駆動に切り替える切り替え点、Pcはフィードバック制御による駆動からオープンループ制御による駆動に切り替える切り替え点である。加速時は所定の速度(オープンループ制御による駆動で脱調しない速度)に達した時点(Vc)でフィードバック制御による駆動に切り替える。減速時は所定の速度(オープンループ制御による駆動で脱調しない速度)以下になった時点(Vc)でオープンループ制御による駆動に切り替える。
また、特許文献1によれば、複数の加減速駆動パターンをメモリーに記憶させておき、駆動するステップ数(モータの回転量)に応じて、加減速駆動パターンをメモリーより読み出して、最適な速度パターンで駆動する方法が開示されている。
特開昭60−28800号公報
通常、ステッピングモータの駆動力は、ギアやカムなどの伝達機構を介して駆動対象物を駆動する。伝達機構にはガタやバックラッシュが存在し、製造誤差によってガタ量やバックラッシュの量は異なる。この点を考慮して、オープンループ駆動による加速期間tpの前に十分なオープンループ駆動による一定速期間を設けて、この一定速期間中に伝達機構のガタやバックラッシュを吸収している。したがって、オープンループ駆動による一定速期間は、想定しうる最大のガタ量または最大のバックラッシュ量に基づいて、オープンループ駆動による一定速期間の長さを設定している。
しかしながら、ガタ量やバックラッシュの量はモータ駆動装置が使用される環境や経年変化によっても変化するので、オープンループ駆動による一定速期間では、ガタやバックラッシュを吸収することができない場合がある。この場合には、ガタやバックラッシュがある状態で加速を開始し、駆動周波数が高くなったステップが供給される時点でガタやバックラッシュがない状態となって駆動負荷が大きくなることが考えられる。このときには、駆動周波数が高すぎて駆動を開始する始動のためのトルクが足らず脱調してしまう。
一方、オープンループ駆動による一定速期間を長く設定すると、ガタやバックラッシュがない状態となった後にも、オープンループ駆動による一定速期間が続き、加速期間tpによる加速が開始されるまでの時間が長くなってしまう。
本発明は、ガタやバックラッシュ量に関わらず安定して高速な駆動を行うモータ制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ステッピングモータと、前記ステッピングモータのロータの回転位置を検出する位置検出センサと、前記ステッピングモータをオープンループ制御によって駆動するものであって、一定の駆動周波数の駆動パルスを前記ステッピングモータに供給する一定速駆動と、駆動周波数が徐々に高くなる駆動パルスを前記ステッピングモータに供給する加速駆動とを切り替えて行うオープンループ駆動手段とを有し、前記オープンループ駆動手段が前記ステッピングモータに駆動パルスを供給してから前記位置検出センサの出力が変化するまでの時間が予め設定した基準値以下となる場合には、前記オープンループ駆動手段は前記一定速駆動を行い、前記オープンループ駆動手段が前記ステッピングモータに駆動パルスを供給してから前記位置検出センサの出力が変化するまでの時間が予め設定した基準値より大きくなる場合には、前記オープンループ駆動手段は前記加速駆動を行うことを特徴とする。
本発明によれば、駆動装置のバックラッシュがある状態では、オープンループ駆動の加速期間に入らないようにすることで、駆動装置のバックラッシュ量に関わらず安定して高速な駆動を行うモータ制御装置を提供することができる。
本発明の実施例に用いられるステッピングモータの分解斜視図である。 本発明のモータ制御装置の構成図である。 ヨークと位置センサとロータの位相関係を示す軸方向断面図である。 ロータの回転位置とモータトルクとの関係及びロータの回転位置と位置検出センサの出力の関係を示す図である。 進角回路の構成を示す回路図である。 フィードバック駆動の動作を示す軸方向断面図である。 進角回路から出力される進角信号が所定の進角αを有する場合のロータの回転角度とモータトルクおよび各信号の出力との関係を示す図である。 進角を変えたときのトルクと回転数の関係を示す図である。 本発明の実施例におけるモータの駆動時間またはステップ数と速度を示す図である。 駆動電圧波形、ロータ回転角度、センサ出力波形を示す図である。 オープンループ駆動におけるモータの駆動パターンと駆動周波数を示す図である。 従来のモータの駆動時間またはステップ数と速度を示す図である。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例に用いられるステッピングモータ101の分解斜視図である。
まず、ステッピングモータ101の部品構成について説明する。ロータ202は、マグネット202aとシャフト部202bを有する。第1の軸受403と第2の軸受404は、それぞれシャフト部202bを軸支する。第1のコイル203は、非導電部材で形成されたボビン401に巻かれている。第2のコイル204は、非導電部材で形成されたボビン402に巻かれている。第1のヨーク205と第2のヨーク206は、電磁鋼板等で形成されている。リング部材405は、第1のヨーク205、第2のヨーク206、ボビン401およびボビン402をそれぞれ位置決めする。フレキシブルプリント基板406は、第1のコイル203と第2のコイル204と電気的に接続される。フレキシブルプリント基板406には、ロータの周方向に後述する第1の位置センサ207および第2の位置センサ208が実装されている。なお、マグネット202aは、外周が多極着磁された円筒形状の永久磁石である。角度位置に対し、径方向の磁力の強さが正弦波状に変化する着磁パターンを有する。
次に、各部品の相関について説明する。ロータ202は、長軸側が第1の軸受403に、短軸側が第2の軸受404により軸支されている。第1の軸受403は、ボビン401に設けられた穴部(第1のコイル203の内径部)401aに挿通される。第2の軸受404は、ボビン402に設けられた穴部(第2のコイル204の内径部)402aに挿通される。第1の軸受403の外径部が第1のヨーク205の穴部205aに圧入により固定される。第2の軸受404の外径部が第2のヨーク206の穴部206aに圧入により固定される。その際、第1のヨーク205の歯部205bは、ボビン401に設けられた穴部401bに挿通される。第2のヨーク206の歯部206bは、ボビン402に設けられた穴部402bに挿通される。
以上によりボビン(コイル含む)401と第1のヨーク205と第1の軸受403は、一体となる。同様に、ボビン(コイル含む)402と第2のヨーク206と第2の軸受404は、一体となる。そして、ボビンの内径部401c、402cをリング部材405の外径部405aにそれぞれ嵌合させる。この時に第1のヨーク205の歯部205bおよび第2のヨーク206の歯部206bの先端付近がロータ202のマグネット面に対向するように配置される。
図2は、本発明のモータ制御装置の構成を示すブロック図である。位置センサ信号処理回路301は、前述のステッピングモータ101と、ステッピングモータ101に含まれる第1の位置センサ207および第2の位置センサ208の出力を処理する。位置センサ信号処理回路301からの出力は、制御部302およびフィードバック駆動回路303に入力される。制御部302は、フィードバック制御による駆動、オープンループ制御による駆動のいずれかを選択して、駆動パルス数と回転方向を出力する制御手段として機能する。フィードバック駆動回路303は、制御部302により選択され、ステッピングモータ101の駆動信号を生成するフィードバック駆動手段として機能する。オープンループ駆動回路304は、制御部302により選択され、ステッピングモータ101の駆動信号を生成するオープンループ駆動手段として機能する。フィードバック駆動回路303から出力される駆動パルスおよびオープンループ駆動回路304から出力される駆動パルスは、モータドライバ305を介してステッピングモータ101に供給される。
(オープンループ駆動)
次に、ステッピングモータ101のオープンループ駆動について説明する。
制御部302がオープンループ駆動を選択すると、制御部302はオープンループ駆動回路304に駆動パルス数と回転方向を出力する。オープンループ駆動回路304は、入力された駆動パルス数と回転方向にしたがって、予め設定される時間間隔の駆動パルスをモータドライバ305に出力する。モータドライバ305は、予め設定される時間間隔の駆動パルスにしたがって、第1のコイル203および第2のコイル204の通電パターンを順次切り替える。オープンループ駆動では、オープンループ駆動回路304が出力する駆動パルスの時間間隔を変更することによって、ロータ202の回転速度を変更することが可能である。また、オープンループ駆動回路304は、制御部302から入力された駆動パルス数だけ駆動パルスを出力するので、ロータ202の回転量を制御することが可能である。
オープンループ駆動では、予め設定される時間間隔で第1のコイル203および第2のコイル204の通電パターンを切り替える。
オープンループ駆動の際に、駆動パルスの時間間隔を短くしていくと、第1のコイル203および第2のコイル204の通電パターンの切り替えに対してロータが応答できなくなり、脱調をおこす可能性がある。このため、オープンループ駆動における高速駆動は、第1のコイル203および第2のコイル204の通電パターンの切り替えに対してロータが応答できる範囲内となる。
(フィードバック駆動)
次に、フィードバック駆動について説明する。
制御部302がフィードバック駆動を選択すると、制御部302はフィードバック駆動回路303に駆動パルス数と回転方向を出力する。フィードバック駆動回路303は、入力された駆動パルス数と回転方向にしたがって、所定の時間間隔の駆動パルスをモータドライバ305に出力する。フィードバック駆動回路303から出力される駆動パルスの時間間隔は、第1の位置センサ207および第2の位置センサ208の出力によって変化する。モータドライバ305は、第1の位置センサ207および第2の位置センサ208の出力によって変化する時間間隔の駆動パルスにしたがって、第1のコイル203および第2のコイル204の通電パターンを順次切り替える。フィードバック駆動では、フィードバック駆動回路303は、制御部302から入力された駆動パルス数だけ駆動パルスを出力するので、ロータ202の回転量を制御することが可能である。また、フィードバック駆動回路303は進角回路を含み、進角回路は、第1の位置センサ207および第2の位置センサ208の出力から進角信号を生成する。フィードバック駆動回路303は進角量を制御することで、ステッピングモータ101のトルク−回転数特性を変化させることが可能となる。進角制御については後述する。
フィードバック駆動では、第1の位置センサ207および第2の位置センサ208の出力によって変化する時間間隔で第1のコイル203および第2のコイル204の通電パターンを切り替える。ロータ202の位置に応じて、第1のコイル203および第2のコイル204の通電パターンの切り替えを行うため、ロータ202の応答遅れによる脱調の発生を低減でき、オープンループ駆動よりも高速駆動が可能になる。
(位置センサ位相)
次に、ステッピングモータ101におけるヨークと位置センサの位相関係について説明する。
図3は、ヨークと位置センサとロータの位相関係を示す軸方向断面図である。図中で時計回りを正の方向とする。205b〜bは第1のヨーク205の磁極歯、206b〜bは第2のヨーク206の磁極歯である。本実施例では、マグネットの極数は8極、着磁角Pは45°である。また、第1のヨークを基準とすると、第2のヨークの位相P/2は−22.5°、第1の位置センサ207の位相β1は+22.5°、第2の位置センサ208の位相β2は−45°である。
以下の説明では、電気角を用いてモータの動作を説明する。電気角とは、マグネット磁力の1周期を360°として表したものであり、ロータの極数をM、実際の角度をθとすると、電気角θは以下の式で表せる。
θ=θ×M/2 (式1−1)
第1のヨーク205と第2のヨーク206の位相差、第1の位置センサ207と第2の位置センサ208の位相差、第1のヨーク205と第1の位置センサ207の位相差は全て電気角で90°である。なお、図3において、第1のヨークの磁極歯の中心とマグネット202aのN極中心が対向している。この状態をロータの初期状態とし、電気角0°とする。
(ロータ位置とモータトルクの関係、ロータ位置とセンサ出力の関係)
ここで、ステッピングモータ101におけるロータ位置とモータトルクとの関係、ロータ位置とセンサ出力の関係について説明する。
図4は、ロータの回転位置とモータトルクとの関係、ロータの回転位置と位置検出センサ出力の関係を示すグラフである。
図4(a)は、ロータの回転角度とモータトルクの関係を示すグラフであり、横軸は電気角を、縦軸はモータトルクを示す。モータトルクは、ロータを時計回りに回転させるトルクを正とする。
第1のコイル203に正方向の電流を流すと、第1のヨーク205がN極に磁化し、マグネット202aの磁極との間に電磁気力が発生する。また、第2のコイル204に正方向の電流を流すと、第2のヨーク206がN極に磁化し、マグネットの磁極との間に電磁気力が発生する。2つの電磁気力を合成すると、ロータ202の回転にともなって概略正弦波状のトルクが得られる(トルク曲線A+B+)。他の通電状態においても、同様に、概略正弦波状のトルクが得られる(トルク曲線A+B−、A−B−、A−B+)。また、第1のヨーク205は第2のヨーク206に対して電気角で90°の位相をもって配置されるため、4つのトルクは互いに電気角で90°の位相差を持っている。
図4(b)はロータの回転角度と各信号の出力との関係を示すグラフであり、横軸は電気角を、縦軸は各信号の出力を示す。
マグネット202aの径方向磁力の強さは、電気角に対しておおよそ正弦波状になるように着磁している。そのため、第1の位置センサ207からは概略正弦波状の信号が得られる(位置センサ信号A)。なお、本実施例では、第1の位置センサ207は、マグネット202aのN極と対向するときに正の値を出力する。
また、第2の位置センサ208は第1の位置センサ207に対して電気角で90°の位相をもって配置されるため、第2の位置センサ208からは余弦波状の信号が得られる(位置センサ信号B)。なお、本実施例では、第2の位置センサ208は、第1の位置センサ207に対して極性を反転してあるため、マグネット202aのS極と対向するときに正の値を出力する。
(フィードバック駆動の進角演算と回路構成)
フィードバック駆動回路303に含まれる進角回路は、位置センサ信号処理回路301にて処理された、第1の位置センサ207の出力と第2の位置センサ208の出力をもとに所定の演算を行う。そして、進角回路によって第1の進角信号と第2の進角信号を出力する。以下、進角信号の演算方法について述べる。
電気角θ、第1の位置センサ207の出力をHE1、第2の位置センサ208の出力をHE2とすると、各信号は次のように表される。
HE1=sinθ、HE2=cosθ (式2−1)
また、HE1を進角αだけ進めた第1の進角信号をPS1、HE2を進角αだけ進めた第2の進角信号をPS2とすると、HE1,HE2,αを用いて、次のように演算することが可能である。
PS1=sin(θ+α)=HE1×cosα+HE2×sinα (式3−1)
PS2=cos(θ+α)=HE2×cosα−HE1×sinα (式3−2)
本実施例ではこの演算式をもとに進角回路を構成する。
図5は、進角回路の構成を示す回路図である。本実施例における進角回路を、例えば図5に示すようなアナログ回路で構成することで上記の演算が実現可能である。まず、各位置センサ出力を所定の増幅率Aだけ増幅した信号と、さらにそれらを反転させた信号を生成する。それらに適切な抵抗値R1、R2をかけて加算することにより、進角信号を生成する。第1の進角信号PS1、第2の進角信号PS2は次のように表される。
PS1=A×(R/R1)×sinθ+A×(R/R2)cosθ (式4−1)
PS2=A×(R/R1)×cosθ−A×(R/R2)sinθ (式4−2)
回路中の可変抵抗R、R1、R2を次のように選ぶことで、任意の進角αだけ進めた進角信号を生成することができる。
R/R1=cosα,R/R2=sinα (式5−1)
さらに、第1の進角信号PS1、第2の進角信号PS2に対してコンパレータを用いて2値化した2値化信号を出力する。
以上に説明した進角信号の生成方法は、本発明を実現するための一例であり、この方法のみに限定されない。上記の演算を行うデジタル回路によって進角信号を生成してもよいし、高分解能のエンコーダを用いて通電を切り替えるパルス間隔を調整することで進角信号を生成してもよい。これら周知の方法を用いても上記進角信号の生成方法と同様の効果が得られる。
(フィードバック駆動の通電切り替え)
ここで、フィードバック駆動における通電切り替えについて説明する。まず、進角回路から出力される進角信号が有する進角がゼロの場合についてフィードバック駆動の動作を説明する。
図4(b)において、センサ信号A、Bは、それぞれ第1及び第2の位置センサ207、208の出力である。2値化信号A、Bは、位置センサ信号A、Bに対し、コンパレータを用いて2値化を行った信号である。
フィードバック駆動では、2値化信号Aをもとに第1のコイル203の通電を切り替え、2値化信号Bをもとに第2のコイル204の通電を切り替える。すなわち、2値化信号Aが正の値を示すとき第1のコイル203に正方向の電流を流し、負の値を示すとき第1のコイル203に逆方向の電流を流す。また、2値化信号Bが正の値を示すとき第2のコイル204に正方向の電流を流し、負の値を示すとき第2のコイル204に逆方向の電流を流す。
図6は、フィードバック駆動の動作を示す軸方向断面図である。
図6(a)は、ロータが電気角で135°回転した状態を示している。センサ信号A、Bは図4(b)の(A)で示した値を示しており、2値化信号Aは正、2値化信号Bは負の値を示している。従って、第1のコイル203には正方向の電流が流れて第1のヨーク205はN極に磁化し、第2のコイル204には逆方向の電流が流れて第2のヨーク206はS極に磁化する。このとき、図4(a)のトルク曲線A+B−に対応する時計回りのトルクがはたらき、ロータ202はθ方向の回転力を受けて回転する。
図6(b)は、ロータ202が電気角で180°回転した状態を示している。第1の位置センサ207はマグネット202aのN極とS極の境界に位置する。そのため、電気角180°を境に2値化信号Aは正の値から負の値に切り換わり、第1のコイル203の通電方向が正方向から逆方向へ切り換わる。この電気角は、トルク曲線A+B−とトルク曲線A−B−との交点の電気角と一致する。
図6(b’)は、ロータが電気角で180°回転し、第1のコイル203の通電方向が切り換わった状態を示している。第1のコイル203には逆方向の電流が流れて第1のヨーク205はS極に磁化し、第2のコイル204には逆方向の電流が流れて第2のヨーク206はS極に磁化する。このとき、図4(a)のトルク曲線A−B−に対応する時計回りのトルクがはたらき、ロータ202はθ方向の回転力を受けて回転する。
図6(c)はロータ202が電気角で225°回転した状態を示している。各進角信号は図4(b)の(C)で示した値を示しており、2値化信号A、Bはともに負の値を示している。従って、第1のコイル203には逆方向の電流が流れて第1のヨーク205はS極に磁化し、第2のコイル204には逆方向の電流が流れて第2のヨーク206はS極に磁化する。このとき、図4(a)のトルク曲線A−B−に対応する時計回りのトルクがはたらき、ロータ202はθ方向の回転力を受けて回転する。
図6(d)はロータ202が電気角で270°回転した状態を示している。第2の位置センサ208はマグネット202aのN極とS極の境界に位置する。そのため、電気角270°を境に2値化信号Bは負の値から正の値に切り換わり、第2のコイル204の通電方向が逆方向から正方向へ切り換わる。この電気角は、トルク曲線A−B−とトルク曲線A−B+との交点の電気角と一致する。
図6(d’)はロータが電気角で270°回転し、第2のコイル204の通電方向が切り換わった状態を示している。第1のコイル203には逆方向の電流が流れて第1のヨーク205はS極に磁化し、第2のコイル204には正方向の電流が流れて第2のヨーク206はN極に磁化する。このとき、図4(a)のトルク曲線A−B+に対応する時計回りのトルクがはたらき、ロータ202はθ方向の回転力を受けて回転する。
以上の動作を繰り返すことで、ロータ202を連続的に回転させることが可能となる。また、2値化信号Aまたは2値化信号Bの正負を反転させれば、逆回転も可能である。
(フィードバック駆動の進角制御)
次に、進角回路から出力される進角信号が所定の進角αを有する場合についてフィードバック駆動の動作を説明する。
図7は、進角回路から出力される進角信号が所定の進角αを有する場合のロータの回転角度とモータトルクおよび各信号の出力との関係を示すグラフである。
図7(b)は、ロータの回転角度と各信号の出力との関係を示すグラフであり、横軸は電気角を、縦軸は各信号の出力を示す。図7(b)において、センサ信号A、Bに対して進角信号A、Bがそれぞれ所定の進角αだけ進んでいる。また、進角信号をもとに生成された2値化信号A、Bもそれぞれセンサ信号A、Bに対して進角αだけ進んでいる。フィードバック駆動では、2値化信号Aをもとに第1のコイルの通電を切り替え、2値化信号Bをもとに第2のコイルの通電を切り替えるため、コイルの通電切り替えタイミングは進角がゼロの時に比べて進角αだけ早いことになる。
図8は、進角を変えたときのトルクと回転数の関係を示すグラフである。横軸はモータのトルクを、縦軸はモータの回転数を示す。
グラフから、進角αによってトルクと回転数の関係が変化する性質がわかる。この性質を用いて、フィードバック駆動では駆動条件によって進角αを変える進角制御を行っている。一定の負荷条件下でFB駆動を行う場合、進角αを制御することで駆動速度を制御することも可能である。
(ガタ量やバックラッシュ量に応じた駆動開始から目標位置までの動作)
上述したように、オープンループ駆動とフィードバック駆動とを組み合わせて駆動することによって、通常のステップモータと同等の精度で目標位置に停止可能であると同時に、通常のステップモータに比べ、より高速に目標位置に到達可能となる。そして、ガタ量やバックラッシュ量に関わらず安定して高速な駆動を行うモータ制御装置を実現できる。以下にその詳細を説明する。
図9において、横軸は駆動時間、縦軸はモータの回転速度もしくは被駆動部材の移動速度を示す。taはオープンループ駆動の一定速期間および加速期間であり、バックラッシュ量に相当したオープンループ駆動の一定速期間ts(駆動速度はVs)とオープンループ駆動の加速期間tsとからなっている。taはフィードバック駆動の加速期間、taはフィードバック駆動の一定速期間(Vam)、taはフィードバック駆動の減速期間、taはオープンループ駆動の減速期間である。そして、Paはオープンループ駆動からフィードバック駆動の駆動に切り替える切り替え点、Paはフィードバック駆動からオープンループ駆動に切り替える切り替え点である。制御部302は所定の速度(オープンループ制御による駆動で脱調しない速度以下に設定する速度)に達した時点(Va)でフィードバック駆動に切り替え、減速時は所定の速度以下になった時点(Va)でオープンループ駆動に切り替える。
ところで、上述したように、ステッピングモータ101の駆動力は、ギアやカムなどの伝達機構を介して駆動対象物を駆動する。伝達機構にはガタやバックラッシュが存在する。そして、製造誤差によってガタ量やバックラッシュの量は異なり、モータ駆動装置が使用される環境や経年変化によっても変化する。そこで、ガタ量またはバックラッシュ量を検出する方法を説明する。
図10は、ステッピングモータ101を停止している状態から一定速度Vsでオープンループ駆動を開始したときの駆動電圧波形、ロータ回転角度、センサ出力波形である。すなわち、図10は、図9に図示するオープンループ駆動の一定速期間tsにおけるステッピングモータ101の駆動状態(一定速駆動)を示している。図10(a)は、第1のコイル203および第2のコイル204に通電するA相(A+、A−)およびB相(B+、B−)の駆動電圧波形を示している。図10(b)は、ロータ202の回転角度を示した図である。図10(c)は、第1の位置センサ207の出力を2値化した2値化信号HAと第2の位置センサ208の出力を2値化した2値化信号HBを示している。なお、図10の横軸はステッピングモータ101の駆動を開始してからの経過時間を示しており、右方ほど時間が進んでいる。また、図10の縦の点線は1ステップ毎の通電パターンの切り替えタイミングを示している。
図10において、左から4ステップ目までは通電パターンの切り替えのタイミングに対してt1の遅れを伴ってロータの回転角度が1ステップ分進んでいる。またこれにより、センサ出力波形も時間t1′遅れて切り替わっている。一方、左から5ステップ目(図中Pの位置)からは通電パターンの切り替えのタイミングに対して時間tの遅れを伴ってロータの回転角度が1ステップ分進んでいる。またこれにより、センサ出力波形も時間t′遅れて切り替わっている。
ここで、一定速度Vsにてオープンループ駆動した場合、バックラッシュが有る状態では、負荷が極めて小さいため、通電パターンの切り替わりタイミングに対して、ロータの回転角度の変化およびセンサの出力波形の切り替わりの遅れ時間は比較的小さくなる。一方、バックラッシュがない状態では、バックラッシュが有る状態と比べて負荷が大きくなるため、通電パターンの切り替わりタイミングに対して、ロータの回転角度の変化およびセンサの出力波形の切り替わりの遅れ時間は比較的大きくなる。
したがって、バックラッシュが有る状態での通電パターンの切り替わりタイミングに対するセンサ出力波形の切り替わりの遅れ時間の基準値ts′を予め制御部302に記憶させておく。そして、通電パターンの切り替わりタイミングに対するセンサ出力波形切り替わり遅れ時間が基準値ts′よりも大きくなったときには、制御部302はバックラッシュがない状態になったと判定する。なお、基準値ts′は、t′≦ts′<t′となるように設定される。
本実施例では、通電パターンの切り替わりタイミングに対するセンサ出力波形切り替わりの遅れ時間が基準値ts′以下となっている間は、制御部302はバックラッシュが有る状態と判断する。そして、制御部302は、一定速度Vsでオープンループ駆動を行うように、オープンループ駆動回路304を制御する。この期間が図9に図示するオープンループ駆動の一定速期間tsとなる。オープンループ駆動の一定速期間tsでは、オープンループ駆動回路304は、図11(a)に図示するように常に350PPSの駆動パルスをモータドライバ305へ出力する。
そして、通電パターンの切り替わりタイミングに対するセンサ出力波形切り替わりの遅れ時間が基準値tsより大きくなったときには、制御部302はバックラッシュが有る状態と判断する。すると、制御部302は、次の通電パターンの切り替わりタイミングから図9に図示するオープンループ駆動の加速期間tsに切り替える。オープンループ駆動の加速期間tsに切り替えられると、オープンループ駆動回路304は、図11(b)に図示するように、駆動周波数が徐々に大きくなる駆動パルスをモータドライバ305へ出力する。
図10に示す例では、ステッピングモータ101の駆動開始から5ステップ目に、通電パターンの切り替わりタイミングに対するセンサ出力波形切り替わりの遅れ時間が基準値ts′より大きくなっている。したがって、この例では、1ステップ目から5ステップ目までがオープンループ駆動の一定速期間tsとなり、6ステップ目以降がオープンループ駆動の加速期間tsとなる。
図11(a)には、10ステップ目まで示されているが、オープンループ駆動の一定速期間tsの最大値が10ステップ目までという意味ではない。通電パターンの切り替わりタイミングに対するセンサ出力波形切り替わりの遅れ時間が基準値以下となっている間は、オープンループ駆動の一定速期間をtsとする。そして、オープンループ駆動回路304は、350PPSの駆動パルスをモータドライバ305へ出力し続ける。
逆に、1ステップ目で、通電パターンの切り替わりタイミングに対するセンサ出力波形切り替わりの遅れ時間が基準値より大きくなっていれば、2ステップ目以降がオープンループ駆動の加速期間tsとなり、加速駆動を始める。
これにより、オープンループ駆動の一定速期間tsにて、バックラッシュがある状態からバックラッシュがない状態となる。バックラッシュがない状態となった次の通電パターンの切り替わりタイミングからオープンループ駆動の加速期間tsを開始することができるので、安定した駆動が行える。また、バックラッシュがない状態であるにも関わらず、オープンループ駆動の一定速期間tsが続くこともないので、オープンループ駆動の期間が必要以上に長くなることもない。
モータを使用した駆動装置の負荷に応じて柔軟な駆動することで、幅広い負荷範囲で安定した駆動が実現できる。
101 ステッピングモータ
207 第1の位置センサ
208 第2の位置センサ
304 オープンループ駆動回路

Claims (2)

  1. ステッピングモータと、
    前記ステッピングモータのロータの回転位置を検出する位置検出センサと、
    前記ステッピングモータをオープンループ制御によって駆動するものであって、一定の駆動周波数の駆動パルスを前記ステッピングモータに供給する一定速駆動と、駆動周波数が徐々に高くなる駆動パルスを前記ステッピングモータに供給する加速駆動とを切り替えて行うオープンループ駆動手段とを有し、
    前記オープンループ駆動手段が前記ステッピングモータに駆動パルスを供給してから前記位置検出センサの出力が変化するまでの時間が予め設定した基準値以下となる場合には、前記オープンループ駆動手段は前記一定速駆動を行い、
    前記オープンループ駆動手段が前記ステッピングモータに駆動パルスを供給してから前記位置検出センサの出力が変化するまでの時間が予め設定した基準値より大きくなる場合には、前記オープンループ駆動手段は前記加速駆動を行うことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記位置検出センサからの出力に基づいて、前記ステッピングモータをフィードバック制御によって駆動するフィードバック駆動手段と、
    前記オープンループ駆動手段による前記ステッピングモータの駆動と前記フィードバック駆動手段による前記ステッピングモータの駆動とを切り替える制御手段と、を有し、
    前記制御手段は、前記オープンループ駆動手段によって前記ステッピングモータを加速駆動した後、前記フィードバック駆動手段による前記ステッピングモータの駆動に切り替えることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016119767A (ja) * 2014-12-19 2016-06-30 キヤノン株式会社 ステッピングモータ制御装置、光学機器、ステッピングモータ制御方法、プログラム及び記憶媒体

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