JP2013026401A - 多数個取り配線基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 側面が実装面である配線基板を生産性よく製造することができる多数個取り配線基板およびその多数個取り配線基板を用いた配線基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】 外部電気回路に実装される実装面となる第1の側面107、および第1の
側面107と反対側の第2の側面108を有し、第1の側面107同士および第2の側面108同士が互いに隣り合うように1列に配置された四角枠状の複数の配線基板102と、複数の配線基
板102に形成され、電子部品が接続される配線導体103と、を備え、第1の側面107が露出
されるように、配線基板102の間にスリット106が設けられている。第1の側面107を露出
させるスリット106の個数を抑えて、第1の側面107を実装面とする配線基板102を母基板101により多く配列することができ、効率よく配線基板102を作製することが可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体素子等の電子部品が搭載される多数の配線基板が縦横に配置された多数個取り配線基板に関するものである。
従来、半導体素子や弾性表面波素子等の電子部品を搭載するために用いられる配線基板は、酸化アルミニウム質焼結体やガラスセラミック焼結体等のセラミック焼結体からなる絶縁基板の上面に、電子部品を搭載するための搭載部が設けられて形成されている。このような配線基板は、一般に、1枚の広面積の母基板から複数個の配線基板を同時集約的に得るようにした、いわゆる多数個取り配線基板の形態で製作されている。母基板には、あらかじめ配線基板の境界に沿って分割溝が形成され、この分割溝に沿って母基板が分割(破断)されて複数の配線基板が個片に分割される。
また、絶縁基板の搭載部以外の外表面に接続パッドが形成され、搭載部から接続パッドにかけて配線導体が形成されている。接続パッドと外部回路基板とが互いに向い合って接続される。近年、外部回路基板への実装面積を小さくするために、配線基板の1辺側の側面に複数の側面導体を形成し、この側面が、外部電気回路基板に対向する実装面とされた配線基板が用いられるようになってきている。
このような、側面が実装面となる複数の配線基板が配置された母基板において、隣り合う配線基板の間にスリット(長孔)を形成することが提案されている(特許文献1等を参照)。これは、実装面となる側面を露出させるスリットをあらかじめ形成することで、個片の配線基板に分割する(破断させる)際のバリ等を抑制して、この側面の平坦性を向上させるためである。
特開2007−123521号公報 特開1998−242386号公報
しかしながら、各配線基板間にスリットを形成すると、このスリットの分、母基板1枚あたりの配線基板の配置個数が減少するため、配線基板の生産性を向上させることが難しい。また、配線基板の小型化に応じて、母基板の面積に対してスリットの数が多くなりすぎると母基板の剛性が低くなる可能性があり、多数個取り配線基板を製作する途中で母基板に不用意な割れを誘発する可能性があった。
本発明はかかる問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、側面が実装面となる配線基板を生産性よく製造することができる多数個取り配線基板を提供することである。
本発明の多数個取り配線基板は、母基板に一列に配置された四角形状の複数の配線基板と、前記複数の配線基板に形成された配線導体と、前記母基板に前記配線基板同士の境界に沿って形成されたスリットとを備え、該スリット内に露出する二つの前記配線基板の側面が、それぞれ外部電気回路に対向して実装される実装面となることを特徴とする。
また、本発明の多数個取り配線基板は、上記構成において、前記複数の配線基板は、隣り合う前記配線基板のそれぞれの前記配線導体を含む導体同士が、前記配線基板に対応した前記境界の中点に対して互いに点対称であることを特徴とする。
また、本発明の多数個取り配線基板は、上記いずれかの構成の多数個取り配線基板が、前記スリットが形成された境界と前記スリットが形成されてない境界とが隣接し合うように複数連結されて形成されたことを特徴とする。
本発明の多数個取り配線基板によれば、上記構成を備え、実装面となる側面が露出されるように配線基板の間にスリットが設けられていることから、1つのスリットで2つの配線基板の第1の側面を露出させることができる。そのため、配線基板の配列個数を多くする上で有効な多数個取り配線基板を提供することができる。また、このような多数個取り配線基板によれば、効率よく配線基板を作製することが可能となる。
また、本発明の多数個取り配線基板によれば、上記構成において、隣り合うそれぞれの配線基板の配線導体を含む導体同士が、配線基板に対応した境界の長さ方向の中点に対して互いに点対称である場合には、互いに接している2つの配線基板の間で互いの配線導体を含む導体を同じパターンとすることができる。そのため、複数の配線基板の間で電気的な特性等を揃えることがより容易であり、複数の配線基板を同一の母基板で効率よく作製することができる。
また、本発明の多数個取り配線基板によれば、上記構成を備えた場合には、分割がより容易で配線基板の生産性に優れた多数個取り配線基板を提供することができる。すなわち、まず第1の分割溝に沿って分割することから、スリットの分だけ、分割される母基板の実質的な長さを短くすることができる。そのため、この工程においてバリやカケ等の不具合を効果的に抑制して容易に分割できる。また、第2の分割溝に沿って分割する際に、短冊状に分割された、つまり分割が必要な長さが短い母基板を容易、かつ確実に分割することができる。したがって、バリやカケ等の不具合を効果的に抑制しながら、より多数の配線基板を製作することができる。
本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す平面図である。 (a)は、図1に示す多数個取り配線基板の要部拡大平面図であり、(b)は、図1に示す多数個取り配線基板の要部拡大側面図である。 (a)および(b)はそれぞれ、本発明の多数個取り配線基板が個片に分割されてなる配線基板の一例を示す斜視図である。 本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の他の例を示す平面図である。 (a)および(b)はそれぞれ、本発明の多数個取り配線基板を用いた配線基板の製造方法の一例を工程順に示す平面図である。
本発明の多数個取り配線基板について、添付の図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す平面図である。また、図2(a)は、図1に示す多数個取り配線基板の要部(配線基板のうちの1つ)を拡大して示す平面図(透視図)であり、図2(b)はその側面図である。図1および図2において、101は母
基板、102は配線基板、103は配線導体、104は捨て代領域、105は配線基板102間の境界、106はスリット、109は分割溝、112は貫通導体、113は枠状配線導体、114はめっき用導通端子、115は柱状導体、116は接続導体である。なお、図1においては、見やすくするために配線導体103の具体的なパターンを省略している。
電子部品が搭載される複数の配線基板102が縦横の並びに配列された母基板101に、互いに隣接し合う2つの配線基板102の間に(1つ置きに)1つのスリット106が設けられている。
この多数個取り配線基板が配線基板102の境界105に沿って分割されて、例えば図3に示すような個片の配線基板102が作製される。なお、図3(a)および(b)はそれぞれ、
本発明の多数個取り配線基板が個片に分割されてなる配線基板102の一例を示す斜視図で
ある。図3において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。図3に示す配線基板102において、個片への分割時に破断面となる部分を含む側面に破線でハッチ
ングを施している。
作製される個片の配線基板102は、例えば、搭載部(符号なし)を有する四角平板状の
絶縁基板101aの上面から1つの側面にかけて、複数の配線導体103が導出された構造となっている。
搭載部に搭載される電子部品(図示せず)としては、水晶振動子等の圧電振動子,弾性表面波素子,半導体集積回路素子(IC)等の半導体素子,容量素子,インダクタ素子,抵抗器等の種々の電子部品が挙げられる。なお、水晶振動子等の圧電振動子,弾性表面波素子は、気密封止環境で動作するために、その上面を金属キャップ等で覆われる構造となる。
配線導体103は、例えば搭載部から配線基板102(絶縁基板101a)の側面等の、個片に
おける外表面にかけて導出されている。配線導体103は、母基板101(絶縁基板101a)の
内部に形成された貫通導体(いわゆるビア導体等、図示せず)や内部配線層等を含んでいてもよい。
母基板101は、上面の中央部に電子部品の搭載部を有する四角形状の複数の配線基板102が縦横の並びに配列された平板状のセラミック焼結体からなる。
母基板101(母基板101を形成している個々の配線基板102の絶縁基板101a)は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体,ガラスセラミック焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,炭化珪素質焼結体,窒化珪素質焼結体,ムライト質焼結体等のセラミック焼結体により形成されている。
なお、図1および図2に示す例において、母基板101の外周には配列された複数の配線
基板102を取り囲むように捨て代領域104が設けられている。捨て代領域104は、多数個取
り配線基板の取り扱いを容易とすること等のために設けられている。
母基板101は、例えば複数の絶縁層が積層され一体焼成されて作製されている。すなわ
ち、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素等の原料粉末に適当な有機溶剤およびバインダを添加してシート状に成形して複数のセラミックグリーンシートを作製し、この一部のものについて打ち抜き加工を施して枠状に成形した後、打ち抜き加工を施していない平板状のセラミックグリーンシートの上に、さらに平板状のセラミックグリーンシートを積層し、このセラミックグリーンシート積層体が一体焼成されて、酸化アルミニウム焼結体等からなる母基板101が作製される。
また、配線導体103は、タングステンやモリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,
金,白金等の金属材料によって形成されている。配線導体103は、例えばタングステンか
らなる場合であれば、タングステンの粉末を有機溶剤およびバインダ等とともに混練して
作製した金属ペーストを、母基板101となるセラミックグリーンシートの所定部位にスク
リーン印刷法等の方法で被着させておき、同時焼成することによって形成することができる。
母基板101には、配線基板102の境界105(上記スリット106が形成されている部分を除いて)に沿って分割溝109が形成されている。スリット106が形成されている部分以外で、隣り合う配線基板102の絶縁基板101a同士がつながっている。そのため、分割溝109が形成
されている部分で母基板101を厚み方向に破断すれば、複数の配線基板102への分割を行なうことができる。
分割溝109は、例えば、母基板101となるセラミックグリーンシートの積層体の上面および下面の少なくとも一方に、配線基板102の境界105に沿ってカッター刃等を所定の深さで切り込ませることによって形成することができる。
分割溝109が形成されている部分(配線基板102の境界105)で母基板101に応力を加えて母基板101を厚み方向に破断させることによって、母基板101が個片の配線基板102に分割さ
れる。
また、多数個取り配線基板には、前述したように、各配線基板102の第1の側面107が露出されるように、配線基板102の間にスリット106が設けられている。スリット106は、配
線基板102の実装面となる第1の側面107を平坦で滑らかな面とするためのものである。
すなわち、配線基板102は、例えば図3に示すように、側面が外部の電気回路(外部回
路基板等)に対向して実装される実装面となる。この場合、第1の側面107に形成された
配線導体103が外部の電気回路とはんだ等の導電性接続材を介して電気的および機械的に
接続される。そのため、第1の側面107に凹凸が生じていると、この凹凸が妨げになって
、配線導体103と外部の電気回路との間で接続不良等の不具合が生じる可能性がある。こ
れに対して、あらかじめスリット106を設けて第1の側面107を露出させておけば、上記のように母基板101を分割する(破断させる)時に、破断に伴うバリやカケ等の発生がない
。また、第1の側面107について、母基板101の破断による粗い破断面を含むことがない。そのため、第1の側面107を実装面として良好な面とすることができる。
なお、この実施の形態の例においては、第1の側面107に溝(いわゆるキャスタレーシ
ョン)が形成され、このキャスタレーションを埋めるようにして柱状(半円柱状)の導体115が配置されている。この柱状の導体(柱状導体)115が、配線導体103のうち第1の側
面107に導出された部分と接続するとともに、外部の電気回路と直接に接続されるように
なっている。配線導体103に比べて厚みが厚い柱状導体115が外部の電気回路と接続されることによって、接続信頼性が向上する可能性がある。
上記溝内に配置される導体は、溝を完全に埋めるものに限らず、例えば溝の内側面に沿って被着したものであってもよい。この場合には、導電性接続材と柱状導体115との接合
面積をより大きくして、両者の間の接合強度(言い換えれば電気的な接続信頼性)を向上させることができる。
柱状導体115は、例えば配線導体103と同様の金属材料を用い、同様の方法で形成することができる。
スリット106は、平面視で帯状であり、母基板101を厚み方向に貫通しており、第1の側面107の全面を露出させている。スリット106は、例えば母基板101となるセラミックグリ
ーンシートの積層体の所定部位に打抜き加工等の加工が施されて形成されている。つまり、スリット106の内側面、つまり配線基板102の1辺は金型等の打抜き加工により形成され
ており、平坦な面となっている。
また、複数の配線基板102の、第1の側面107を含む方向の並び(図1に示す例では縦方向の並び)において、隣り合う配線基板102同士は、互いに第1の側面107同士が互いに隣り合うように配置されている。そして、スリット106は、互いに隣り合う配線基板102の間に、1つおきに形成されている。言い換えれば、互いに隣り合う2つの配線基板102同士
が、それぞれの第1の側面107を露出させるためのスリット106を共有している。
このような多数個取り配線基板によれば、第1の側面107を実装面とする複数の配線基
板102を、1つの母基板101により多く配列することができ、効率よく配線基板102を作製
することが可能となる。つまり、例えば従来技術の多数個取り配線基板(図示せず)のように、互いに隣り合う2つの配線基板について、一方の配線基板の第1の側面と、他方の配線基板の、第1の側面と反対側の第2の側面とが隣り合うように配置して、1つの配線基板毎に1つのスリットを設けた場合、スリットの形成数が増加するため、その分だけ母基板の配線基板以外の面積が大きくなる。そのため、配線基板をより多く配列することが難しい。
スリット106は、母基板101となるセラミックグリーンシートについて、各配線基板102
の第1の側面107が露出される部分に、金型等を用いた機械的な打ち抜き加工やレーザ加
工等の方法で厚み方向に貫通する部分を、平面視で所定のスリット106の形状および寸法
で設けておくことによって形成することができる。この場合、セラミックグリーンシート積層体の厚みを考慮して、各セラミックグリーンシート毎にスリット106を所定の位置で
形成しておき、積層時に平面視で同一の位置となるように形成しておいてもよい。
なお、スリット106が設けられた多数個取り配線基板は、複数の配線基板102が縦横の並びに配列されている場合に、母基板101(絶縁基板101a)の厚みが厚くなるようなときには、下記のような効果も有する。すなわち、配線基板102について高機能化等に対応して
絶縁層の積層数が増えるような場合には、母基板101の厚みが厚くなり、機械的な強度が
大きくなって破断しにくくなる可能性がある。これに対して、スリット106が形成されて
いれば、スリット106の長さ方向に沿って母基板101を分割すれば、母基板101がスリット106によってあらかじめ断続的に分離しているため、実際に母基板101が割れる部分の長さ
が見かけ上幅狭くなるため、配線基板102の境界105に沿った母基板101の分割が容易であ
る。そのため、母基板101の破断(分割)が容易であり、母基板101を個片の配線基板102
に分割する際のバリやカケ等の不具合を効果的に抑制することができる。
スリット106の幅は、例えば母基板101が酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、0.2〜0.5mm程度である。例えば、配線基板102は1辺の長さが約3〜10mm程度の
四角形状であり、搭載部の面積を約5〜80mm程度確保する場合であれば、配線基板102の角部に形成される貫通導体112を形成する貫通孔を0.4〜1.2mm程度で形成すればよい
さらに、貫通孔をスリット106の長さ方向に対して直角方向に長孔となるように形成す
れば、貫通導体112の長軸側の幅を広くすることができ、貫通孔の内側面に被着形成され
た導体がえぐられてしまうことを抑制することができる。そして、スリット106の幅を必
要に応じて調整しやすい構造とすることができる。
この実施の形態の例では、上記のように、四角板状の配線基板102の角部分に貫通導体112が形成されている。貫通導体112のうち第1の側面107に位置するものは、前述した柱状導体115と同様に、配線基板102の外部接続用の導体として機能し、電子部品116を外部の
電気回路に電気的に接続させることができる。また、貫通導体112は、隣り合う2つの配
線基板102の配線導体103同士を電気的に接続させるための導体として機能することもできる。
貫通導体112は、母基板101となるセラミックグリーンシートについて、上記のようにスリット106を形成するための打ち抜き加工をする前に、配線基板102の四隅に相当する部位において、上端から下端にかけて、金型等を用いて貫通孔(図示せず)を形成しておき、さらにこの貫通孔の内側面にタングステンやモリブデン等の金属材料からなる導体ペーストを吸引法等により被着させて形成する。このような貫通導体112のうち、スリット106の両端に形成されるものは、貫通導体112を形成する孔径がスリット106の幅の2〜3倍であることが好ましい。これは、金型等でスリット106とともに貫通導体112の一部が打抜かれる際に、貫通孔の内側面に被着形成された導体がえぐられる可能性をより低く抑えて、外部の電気回路に電気的に接続させる際の接続信頼性を向上させるためである。
貫通導体112も、例えば配線導体103と同様の金属材料を用い、同様の方法で形成することができる。
図4は、本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の他の例を示す平面図である。図4において図1と同様の部位には同様の符号を付している。
この実施の形態の例において、複数の配線基板102は、配線基板102の境界105を越えて
形成された接続導体116を介して互いに電気的に接続され、隣り合う配線基板102の接続導体116同士が、それぞれの配線基板102に対応した境界105の長さ方向の中点に対して互い
に点対称である。
この場合には、配列された全ての配線基板102において接続導体116を同じパターンとすることができる。そのため、互いに配線導体103および接続導体116のパターンが同じである複数の配線基板102を同一の母基板101でより効率よく作製することができる。
つまり、図4で示したように、それぞれの配線基板102に対応した、接続導体116が境界105を越えて形成される第2の側面108に対して、境界105の長さ方向の中点に対して互い
に点対称であることから、一方の配線基板102を平面上において180°回転させたときに、その配線基板102の配線導体103および接続導体116が、これとそれぞれの第1の側面107同士を介して隣り合う他方の配線基板102の配線導体103および接続導体116と同じパターン
になる。
なお、接続導体116も、例えば配線導体103と同様の金属材料を用い、同様の方法で形成することができる。また、接続導体116は、母基板101の内部に(絶縁層の層間に)形成されている。
上記の多数個取り配線基板において、接続導体116は互いに隣り合う2つの配線基板102のそれぞれの、第2の側面108同士が隣り合っている部分において、隣り合う2つの配線
基板102の間で連続して形成されている。また、第1および第2の側面107,108同士が隣
り合っている複数の配線基板102の一つの列と、これに隣接する他の配線基板102の列とは、第1および第2の側面107,108以外の他の2つの側面において、それぞれの接続導体116同士がつながっている。
このような接続導体116の導通経路とすることにより、配線基板102の間にスリット106
が形成されていたとしても、母基板101に縦横に配列形成された多数の配線基板102を電気的に一体として接続することが可能となる。
また、母基板101の外周には捨て代領域104が形成されており、この捨て代領域104には
枠状配線導体113、およびめっき用導通端子114が形成されている。枠状配線導体113およ
びめっき用導通端子114も、例えば配線導体103と同様の金属材料を用い、同様の方法で形成することができる。
枠状配線導体113は、各配線導体103に電解めっきのための電荷を供給するための導電経路として機能し、母基板101の相対向する2辺にそれぞれ2つのめっき用導通端子114が形成されている。そして、母基板101をニッケルめっきや金めっきのための電解めっき浴中
に浸漬するとともに、めっき用導通端子114をめっき用電源に接続することによって、枠
状配線導体113および接続導体116を介して各列の配線導体103の全てに電解めっきによる
めっき金属層が被着される。
なお、図1および図4に示す例において、複数の配線基板102は、それぞれの第1(第
2)の側面107(108)同士が互いに隣り合って配列された一つの列と、これと隣り合う他の一つの列とが、一つの列の第1の側面107同士の境界105と他の一つの列の第2の側面108同士の境界105とが隣接し合うように複数列配置された形態で、縦横の並びに配列されている。つまり、複数のスリット106は、互いに長さ方向に連続しないようにして(一つお
きに)配置されている。
この場合には、スリット106は母基板101のスリット106に沿った方向の配列において断
続的に形成されており、上述したように母基板101の剛性を確保することができる。また
、母基板101をめっき浴中に浸漬する場合、めっき液が母基板101の全面においてより偏りなく、スリット106を通過して母基板101の両主面間を循環することができる。そのため、母基板101の一方の主面と他方の主面との間でめっき浴中の金属イオン濃度のばらつきを
より効果的に抑制して、めっき金属層の被着にばらつきが生じることをより効果的に抑制する作用もある。
さらに、図4で示したように、めっき用導通端子114が枠状配線導体113を経由して配線基板102の接続導体116に接続されるように、めっき用導通端子114の位置を移動させるこ
とにより、めっき用導通端子114と最外周の配線基板102に形成される配線導体103との接
続抵抗が極端に低くなることを抑制して、最外周の配線基板102に形成される配線導体103に電荷が集中することによるめっき金属層の被着にばらつきを生じることを抑制することができる。
また、本発明の多数個取り配線基板を用いた配線基板の製造方法は、例えば図1に示すように、多数個取り配線基板(母基板101)を、第1の側面107同士の境界105と第2の側
面108同士の境界105とが隣接し合うように複数列配置させた形態で作製するとともに、例えば図5(a)に示すように、配線基板102の境界105に、スリット106の長さ方向に延び
る第1の分割溝110と、第1の分割溝110に直交する第2の分割溝111を形成する工程と、
例えば図5(b)に示すように、連結された配線基板102を、第1の分割溝110に沿って分割してから、第2の分割溝111に沿って分割する工程とを含む。なお、図5(a)および
(b)は、それぞれ本発明の配線基板の製造方法を工程順に示す断面図である。図5において図1と同様の部位には同様の符号を付している。
このような製造方法によれば、第1の分割溝110に沿って分割する際にスリット106の分だけ分割される母基板101の実質的な長さを短くしながら、バリやカケ等の不具合を効果
的に抑制して容易に分割できる。
また、第2の分割溝111に沿って分割する際に、短冊状に分割された母基板101を配線基板102の実質的な幅を短くしながら、バリやカケ等の不具合を効果的に抑制して境界105に
沿った分割を容易、かつ確実に行なうことができる。
このような配線基板の製造方法によれば、スリット106の長さ方向に形成された第1の
分割溝110に沿って母基板101を分割するため、母基板101の実際に破断される長さがスリ
ット106の分、短くなっている。そのため、この第1の分割溝110に沿った分割が容易である。
なお、スリット106の領域を除いて各配線基板102の境界105において上下に分割溝109を形成しておけば、各配線基板102を上下の分割溝109間で正確に破断させることができる。その場合、上下の分割溝109によって内層の接続導体116が切断されないように、上下の分割溝109の形成する深さを管理する必要がある。
また、母基板101は、第1の分割溝110で分割された後は、短冊状である。この短冊状の母基板101(隣り合う配線基板102が第1および第2の側面107,108以外の他の側面同士でつながっているもの)を第2の分割溝111に沿って分割することにより、それぞれの配線
基板102が個片に分割される。この場合、第2の分割溝111は短冊状の母基板101の狭い幅
方向に延びているため、容易、かつ確実に分割を行なうことができる。
なお、分割溝109は、母基板101の一方の主面だけに形成されていても両方の主面に形成されていてもよいが、両主面に分割溝109が形成されることにより、実際に分割される領
域が母基板101の厚み方向の中間層の部分となり(実際に破断される母基板101の厚みが薄くなるため)、分割がより容易になる。そのため、この場合には、バリやカケ等の不具合を抑制することができる。
これらの分割溝109は、母基板101となるセラミックグリーンシート積層体において、絶縁層となる最表面のセラミックグリーンシートの上面、および下面に、配線基板102の境
界105に沿ってカッター刃等で切り込みを入れることによって形成されている。
本発明の多数個取り配線基板の効果を示すための具体例を挙げる。この例において、母基板101は、長辺の長さが90mm、短辺の長さが80mmの長方形状(捨て代領域104の幅が縦横それぞれ10mm)であり、配線基板102を10×12個の並びに縦横に配列した(120個)。このような配列では、母基板101の1枚あたりの配列個数が120個となる。
また、比較例として、従来技術の多数個取り配線基板(図示せず)を、母基板が、上記具体例と同様に長辺の長さが90mm、短辺の長さが80mmの長方形状(捨て代領域の幅が縦横それぞれ10mm)とし、スリットの幅を3mmとし、母基板の剛性を確保するために、配線基板の各列の並びの間に、7mmの帯状の捨て代領域(分割時に間隔を合わせる必要があり、配線基板の外形寸法と同じ寸法で形成している。特許文献1等を参照)を設けて形成した。この比較例の多数個取り配線基板においては、広い領域で捨て代領域が形成されていることから、配線基板102が5×7個の並びに縦横に配列された(35個)。
この例で明らかなように、比較例の多数個取り配線基板においては、具体例の多数個取り配線基板に比べて、横方向で50%、縦方向で約58%の配列個数の減少となった。り、したがって、本発明の多数個取り配線基板の一例においては、外形の形状および寸法がほぼ同程度である従来の多数個取り配線基板と比較して、約3.4倍の配線基板102を配列することができる。すなわち、配線基板102をより効率よく製造することができる。
そして、本発明の多数個取り配線基板では、母基板101の1枚あたりに配列形成される
配線基板102の配列個数が多いにもかかわらず、分割時の取り扱いにおいても不用意な割
れを発生させることがなく、また母基板101を分割してもバリやクラックの発生が見られ
なかった。
なお、本発明の多数個取り配線基板は、以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えても何ら差し支えない。例えば、接続導体116は、各配線基板102における第1の側面107となる境界105と、第2の側面108
となる境界105とを交互に連続して形成されていると同時に、接続導体116から隣接する配線基板102の境界105を跨って枝分かれして形成されていてもよい。これにより、より複雑な配線導体103にめっき金属層を被着形成することが可能となる。さらに、本発明の実施
例ではスリット106を配線基板102の長辺側に形成したが、配線基板102の形状にあわせて
スリット106を配線基板102の短辺側に形成してもよい。
101・・・母基板
101a・・絶縁基板
102・・・配線基板
103・・・配線導体
104・・・捨て代領域
105・・・境界
106・・・スリット
107・・・第1の側面
108・・・第2の側面
109・・・分割溝
110・・・第1の分割溝
111・・・第2の分割溝
112・・・貫通導体
113・・・枠状配線導体
114・・・めっき用導通端子
115・・・柱状導体
116・・・接続導体

Claims (3)

  1. 母基板に一列に配置された四角形状の複数の配線基板と、前記複数の配線基板に形成された配線導体と、前記母基板に前記配線基板同士の境界に沿って形成されたスリットとを備え、該スリット内に露出する二つの前記配線基板の側面が、それぞれ外部電気回路に対向して実装される実装面となることを特徴とする多数個取り配線基板。
  2. 前記複数の配線基板は、隣り合う前記配線基板のそれぞれの前記配線導体を含む導体同士が、前記配線基板に対応した前記境界の中点に対して互いに点対称であることを特徴とする請求項1に記載の多数個取り配線基板。
  3. 前記第1の側面同士の前記スリットが形成された境界と前記スリットが形成されていない境界とが隣接し合うように複数連結されて形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多数個取り配線基板。
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