JP2013024832A - シンチレータ構造体および放射線検出器 - Google Patents

シンチレータ構造体および放射線検出器 Download PDF

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Abstract

【課題】シンチレーション光を光検出器に導波する機能を有し、かつ放射線の吸収量が大きいシンチレータ構造体を提供すること。
【解決手段】第一の相と、該第一の相よりも屈折率が大きく、かつ該第一の相の線減衰係数とは異なる線減衰係数を有する第二の相とを有し、互いに同一面上に位置しない第一の主面と第二の主面とを有するシンチレータ構造体であって、該第一の主面と該第二の主面とに該第二の相が露出する部分を有し、該第一の相と該第二の相のうち線減衰係数が小さい相の形状は、該線減衰係数が小さい相に対して該第一の主面から任意の方向で入射する放射線の少なくとも一部が、該線減衰係数が大きい相によって遮蔽される形状であることを特徴とするシンチレータ構造体。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射線により発光を示すシンチレータ構造体に関するものである。本発明は特に、発光を光検出器に導波する機能を有しつつ、かつ放射線の吸収量が大きくなるような構造を有するシンチレータ構造体に関するものである。また、本発明は、かかるシンチレータ構造体を用いた放射線検出器に関するものである。
医療現場等で用いられているX線CT(Computed Tomography)装置やX線FPD(Flat Panel Detector)では、被写体を通過したX線をシンチレータで受け、そのシンチレータが発した光を光検出器で検出している。このとき、被写体への照射線量を最小に抑えるためや、光検出器へのダメージを低減するためにもシンチレータに入射したX線は、シンチレータで全て吸収され、光に変換されることが望ましい。X線を吸収するためには入射X線のエネルギーに対応したシンチレータの厚さが必要となる。そこで、シンチレータには空間分解能の低下を抑えるために、光の拡散を抑制するような構造を有することが求められる。例えば特許文献1では、母体材料中に、互いに実質的に平行に配置された光吸収性又は光反射性を有する繊維を埋め込むことで光の拡散を抑えている。特許文献1では、繊維の線減衰係数が小さく、X線に対する阻止能が低い場合、X線の入射方向に沿って繊維を配置すると、X線が母体材料を突き抜けてしまうため、母材材料の上面に対して繊維を0〜45度、より一般的には5〜15度傾けて配置することで、母材材料の上面に対して垂直に入射するX線の阻止能を向上させている。
特開2001−058881号公報
しかしながら、このような互いに平行に配置された繊維を斜めに傾ける従来の構成は、入射するX線が平行光の場合にのみ有効である。すなわち、点光源から放出され放射状に広がるX線を用いた場合には、シンチレータ上面におけるX線の入射角度が場所により異なるため、繊維の方向との角度差が阻止能のムラを生じてしまう。一般的なX線FPDでは、FPDの中心領域と端部領域のX線入射角度は10度以上の差があり、繊維方向とX線入射方向が一致した領域では抜けが生じてしまう。このように、従来の、繊維を斜めに傾ける構成では、点光源から放出されるX線に対しては均一な阻止能を示さず、X線入射方向に一致した領域ではX線の抜けが生じてしまうといった課題があった。
本発明は、このような背景技術に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、シンチレーション光を光検出器に導波する機能を有しつつ、かつ放射線の吸収量が大きくなるような構造を有するシンチレータ構造体およびそれを用いた放射線検出器を提供することである。
上記の課題は本発明の以下の構成により解決することができる。
即ち、本発明のシンチレータ構造体は、第一の相と、該第一の相よりも屈折率が大きく、かつ該第一の相の線減衰係数とは異なる線減衰係数を有する第二の相とを有し、互いに同一面上に位置しない第一の主面と第二の主面とを有するシンチレータ構造体であって、該第一の主面と該の主面とに第二の相が露出する部分を有し、該第一の相と該第二の相のうち線減衰係数が小さい相の形状は、該線減衰係数が小さい相に対して該第一の主面から任意の方向で入射する放射線の少なくとも一部が、該線減衰係数が大きい相によって遮蔽される形状であることを特徴とするシンチレータ構造体である。
また、本発明のシンチレータ構造体は、前記の線減衰係数が小さい相の形状が、前記第一の主面または第二の主面方向に延びる中心軸を有し、該中心軸が該第一の主面または第二の主面と平行方向に部分的にずれていることを特徴とするシンチレータ構造体である。
さらに、本発明のシンチレータ構造体は、前記シンチレータ構造体において、前記のずれが生じた領域に中間層が設けられていることを特徴とするシンチレータ構造体である。
また、本発明のシンチレータ構造体は、前記中間層が、前記第二の相で構成されていることを特徴とするシンチレータ構造体である。
さらに、本発明のシンチレータ構造体は、前記の線減衰係数が小さい相の形状が、前記第一の主面または第二の主面に平行な方向における断面の径が第一の主面側から第二の主面側に向けて小さくなるように、該第一の主面または第二の主面の法線方向に延びる柱形状であることを特徴とするシンチレータ構造体である。
また、本発明のシンチレータ構造体は、前記第一の相と第二の相のいずれかの相が、前記第一の主面側から前記第二の主面側に向けて分岐または統合されていることを特徴とするシンチレータ構造体である。
さらに、本発明のシンチレータ構造体は、相分離構造を有する構造体から形成されることを特徴とするシンチレータ構造体である。
また、本発明のシンチレータ構造体は、前記第一の主面と前記第二の主面の少なくとも一つの面に、前記第一の相または前記第二の相のいずれかの相が設けられていることを特徴とするシンチレータ構造体である。
さらには、光検出器と、該光検出器に対向して配置された前記シンチレータ構造体とを有する放射線検出器であって、該シンチレータ構造体は、該光検出器に該第二の主面が対向するように配置されていることを特徴とする放射線検出器である。
本発明によれば、発光を光検出器に導波する機能を有し、かつ放射線の吸収量が大きくなるような構造を有するシンチレータ構造体を提供することができる。
本発明のシンチレータ構造体の第一の実施形態を説明する模式図である。 放射線の漏れの状態を説明する模式図である。 本発明のシンチレータ構造体の第二の実施形態を説明する模式図である。 本発明のシンチレータ構造体の第三の実施形態を説明する模式図である。 本発明のシンチレータ構造体の第四の実施形態を説明する模式図である。 本発明のシンチレータ構造体の第五の実施形態を説明する模式図である。 本発明の第一の実施例で作製したシンチレータ構造体のX線顕微鏡像である。 本発明の第一の実施例で作製したシンチレータ構造体の発光伝搬特性を示すグラフである。 本発明の放射線検出器の概要を表す図である。
以下に本発明の実施形態に関わるシンチレータ構造体について詳細に説明する。
尚、本発明を実施するための形態としては、様々な形態(様々な構成や、様々な材料)があるが、全ての実施形態に共通することは、2つの結晶相を有し、一方の結晶相と、一方の結晶相よりも屈折率が大きい他方の結晶相との2相を備える相分離構造を有するシンチレータ結晶体が、互いに同一面上に位置しない第一の主面と第二の主面とに他方の結晶相が露出する部分を有し、 他方の結晶相の第一の主面に露出する部分と第二の主面に露出する部分とがつながっていることである。これによって、高屈折率の結晶相内の光は、高屈折率相の周りに位置する低屈折率の結晶相によって全反射され、結果、高屈折率結晶内を導波されながら進む。その際、高屈折率の結晶相は、第一の主面と第二の主面とに露出するとともに、この露出部がつながっているため、導波(光ガイディング)は、第一の主面または第二の主面に向けて行われる。これらは換言すると、シンチレータ結晶体内で生じた光は、より屈折率の大きい他方の結晶相内に閉じ込められながら(つまり光が広がることなく)、第一の主面または第二の主面に向けて進行するといえる。このようにして、本発明の全ての実施形態は、シンチレータ結晶体自体が、導波機能(光ガイディング機能)を有する。尚、ここで、例えば第一の主面91とは、光検出器94に対向する面であり、第二の主面92とは、X線等の放射線が入射する面である(図9参照)。これによって、シンチレータ結晶体95で発生した光を光検出器94に向けて導波(光ガイディング)することが可能となり、光の利用効率の優れたシンチレータ結晶体の提供と、これを用いた、高輝度、高解像度の放射線検出器の提供が可能となる。
尚、以下に説明する各実施形態においては、低屈折率相である一方の結晶相も、第一の主面と第二の主面とに露出する部分を有し、これら露出部がつながっている構成が好ましい。これによって、高屈折率相である他方の結晶相内の光を、より確実に、第一の主面または第二の主面に、広がることなく導波(光ガイディング)することが可能となる。
また、低屈折率相である一方の結晶相が、高屈折率相である他方の結晶相中に位置している構成が好ましい。これによって、シンチレータ結晶体における低屈折率相である一方の結晶相が占める割合を抑えながら、十分な導波機能(光ガイディング機能)を得ることができる。
本発明のシンチレータ構造体は、第一の相と、該第一の相よりも屈折率が大きく、かつ該第一の相の線減衰係数とは異なる線減衰係数を有する第二の相とを有し、互いに同一面上に位置しない第一の主面と第二の主面とを有するシンチレータ構造体であって、該第一の主面と該第二の主面とに該第二の相が露出する部分を有し、該第一の相と該の相のうち線減衰係数が小さい相の形状は、該線減衰係数が小さい相に対して該第一の主面から任意の方向で入射する放射線の少なくとも一部が、該線減衰係数が大きい相によって遮蔽される形状であることを特徴とするシンチレータ構造体である。
以下、図1を用いて本発明の第一の実施形態について説明する。図1(a)および図1(b)は、それぞれその上下に、本発明のシンチレータ構造体14の第一の主面10、または第二の主面11に直交する断面の模式図と、平行な断面の模式図を示している。図1(a)は第二の相13が第一の相12を取り囲むような構造体の場合であり、図1(b)は第一の相12が第二の相13を取り囲むような構造体の場合である。ここで、線減衰係数(μ)とは、物質に入射するX線の光子数をI0、透過するX線の光子数をIとした場合に、物質の厚みt(cm)として、I/I0=exp(−μt)の関係にあるμ(cm−1)として定義される。
本発明は、図1に示すように、第一の相12と、該第一の相12よりも屈折率が大きく、且つ第一の相12の線減衰係数とは異なる線減衰係数を有する第二の相13とを有し、互いに同一面上に位置しない第一の主面10と第二の主面11とを有するシンチレータ構造体14である。該シンチレータ構造体14は、該第一の主面10と第二の主面11とに、第二の相13が露出する部分を有し、該第一の相12と第二の相13のうち線減衰係数が小さい相の形状は、該線減衰係数が小さい相に対して該第一の主面10から任意の方向で入射する放射線の少なくとも一部が、線減衰係数が大きい相によって遮蔽される形状であることを特徴とするシンチレータ構造体である。このような構造体にすることで、発光を光検出器に導波する機能を有し、かつ放射線の吸収量が大きくなるような構造を有するシンチレータ構造体を提供することができる。
ここで、図1において、具体的に第二の相13が第一の相12よりも屈折率が大きく、かつ線減衰係数が大きい場合の例について詳細に説明する。第二の相13は第一の相12よりも線減衰係数が2桁以上大きく、放射線15によりシンチレータ構造体14から発生するシンチレーション光16は、主に第二の相13に起因するような組み合わせであるとする。この時、第二の相13が第一の相12よりも屈折率が大きいために、第二の相13から発生したシンチレーション光16のうち、第一の相12との界面に全反射臨界角以下の角度で入射する光は全反射を生じる。これにより第二の相13から発生したシンチレーション光16は、屈折や反射を繰り返しながら進行し、光の拡散を抑えながら伝播することになるため、結果として空間分解能が向上する。ところが、線減衰係数が小さい第一の相12の長軸方向と、放射線15の入射方向が一致した場合は、放射線15はほとんど阻止されずシンチレータ構造体14中を通過してしまう。そのため、図2に示すような、第一の相12が第一の主面10から第二の主面11にかけて一定の直径で貫通しているような構成では、第二の主面11から放射線15が透過してしまう。この放射線の漏れは、照射した線量を余すところなく信号として利用し被写体への照射線量を最小に抑えるという点においても、光検出器へのダメージを低減するという点においても好ましくない。
ここで、第二の相13よりも屈折率が小さい第一の相12でシンチレーション光16に変換された光は、単純な幾何光学では第二の相13との界面で反射するような成分が無いために、シンチレータ構造体14内で拡散してしまい、高分解能イメージングという点では信号として用いることができない。これは照射した線量のうち、第一の相12で吸収された線量は損失されていることを意味し、同一のX線画像を得るには一定の線量が必要になるために結果的に被写体への照射線量を増加させる必要が生じてしまう。すなわち、第一の相12が第二の相13に対して有意な量の放射線15を吸収する場合は、光検出器へのダメージを低減するという点においては効果があるが、被写体への照射線量を最小に抑えるという点においては効果が得られなくなることを意味する。以上より、第一の相12は第二の相13に対して放射線15を実質的にほとんど吸収しないことが望ましく、単に第二の相13で発生したシンチレーション光16を反射させる界面を形成する役割のみを担うことが望ましい。
本発明は、線減衰係数が小さい第一の相12の形状に対して前記第一の主面10から任意の方向で入射する放射線の少なくとも一部が、線減衰係数が大きい第二の相13によって遮蔽される形状であることを特徴とするシンチレータ構造体である。さらには、線減衰係数が小さい第一の相12の形状が、第一の主面10または第二の主面11に延びる中心軸を有し、該中心軸が該第一の主面または第二の主面と平行な方向に部分的にずれていることを特徴とする。すなわち、図1で示すように、第一の相12は第一の主面10から第二の主面11にかけて貫通しておらず、放射線15の入射方向に対して第一の相12がずれた構造となっている。ここで、ずれが生じた領域を境界にして放射線が入射する方向から、それぞれ1層目、2層目、・・・、n層目とする。このような多層構造をとることで、シンチレーション光を導光する機能を有しつつ、かつ放射線の吸収量が大きくなるような構造を有するシンチレータ構造体を提供することができる。すなわち、1層目に入射する放射線15のうち、第一の相12の長軸方向と一致して透過する放射線は、その多くが2層目において第二の相13により吸収され、シンチレーション光16に変換される。さらに、1層目と2層目の第一の相12の領域が一致する領域も存在する可能性があり、このような領域から漏れた放射線はさらに下層で吸収されシンチレーション光に変換される。結果として、最終的に放射線15が第二の主面11から出射される可能性は限りなく抑えられ、シンチレータ構造体14中のいずれかの領域で第二の相13に吸収されシンチレーション光16に変換される。図1のようなずれを有する構造体にすることによる発光の伝搬特性の悪化はほとんどなく、図2に示すようなずれを有さない構造体と同等の分解能を有する。
また、図3に示すように、シンチレータ構造体14において、ずれが生じた領域に中間層17が設けられていてもよい。中間層を導入することで分解能に影響を及ぼすようなものではない。さらには、第二の相13を伝播する光が、導入された中間層において屈折や反射を生じないように、中間層17は第二の相13と同じ材料で構成されていることが望ましい。
また、本発明のシンチレータ構造体は、図4(a)に示すように、線減衰係数が小さい第一の相12の形状が、前記第一の主面10または第二の主面11に平行な方向における断面の径が第一の主面側から第二の主面側に向けて小さくなるように、該第一の主面10または第二の主面11の法線方向に延びる柱形状であることを特徴とするシンチレータ構造体である。第二の相13から発生したシンチレーション光16のうち、第一の相12との界面に全反射臨界角以下の角度で入射する光は全反射を生じる。第二の相13から発生したシンチレーション光16は、屈折や反射を繰り返しながら進行する。これにより第二の相13から発生したシンチレーション光16は、屈折や反射を繰り返しながら進行し、光の拡散を抑えながら伝播することになるため、結果として空間分解能が向上する。ここで、第二の主面11にかけて第一の相12が占める体積が小さくなるために、図2に示すような構成に対してはシンチレーション光16の拡散が大きくなるが、放射線の漏れを防ぐという点では有効である。また、図4(b)に示すように、第一の相12の形状については、前記第一の主面10または第二の主面11に平行な方向における断面の径が第一の主面側から第二の主面側に向けて最小になる領域はシンチレータ構造体14の任意の位置であってよい。図4(b)に示す例では、最小になる領域はシンチレータ構造体14の厚さ方向のほぼ中央に位置している。また、断面の径が最小となる節を複数有していても構わない。
また、本発明のシンチレータ構造体のさらに別の実施形態は、前記第一の相12と第二の相13のいずれかの相が、前記第一の主面10側から第二の主面11側に向けて分岐または統合されていることを特徴とするシンチレータ構造体である。図5に第二の相13よりも線減衰係数の小さい第一の相12が途中で分岐するような構成の例を示す。このような構成にすることで、第一の主面10から入射した放射線15のうち、第一の相12を透過してきた放射線は、分岐した領域で第二の相13により吸収され、シンチレーション光16に変換される。放射線15が第二の相13と相互作用せずにシンチレータ構造体14を透過する可能性は限りなく抑えられ、結果としてシンチレータ構造体14中のいずれかの領域で第二の相13に吸収されシンチレーション光16に変換される。
以上に挙げた本発明のシンチレータ構造体は、相分離構造を有する構造体により形成することが可能である。本発明の相分離構造は、共晶となるような材料系を最適組成で一方向性を持たせて溶融凝固する方法であればどのような方法でも可能である。例えば、下記表1に示すようなアルカリハライド材料の組み合わせからなる共晶材料系を用いることが可能であるが、特にこれに限定されるわけではなく、他に酸化物材料などの共晶系においても本発明のシンチレータ構造体となる相分離構造を得ることができる。
相分離構造を溶融凝固により作製する際には、固液界面を平らにするよう温度勾配を制御することが要求される。例えば以下に挙げる作製方法により、相分離構造から成る本発明のシンチレータ構造体を得ることができる。ブリッジマン法では、材料を円筒状の石英管等に封じた試料を縦型に配置し、ヒーターないし試料を一定速度で移動させることにより凝固界面の位置を制御することで、本発明の相分離シンチレータを作製することが可能である。また、チョクラルスキー法のように融液からの結晶引上げでも同様に作製可能である。この場合は、ブリッジマン法における試料容器内での凝固ではないために、容器壁面の影響を受けずに固液界面を形成できる点でより好ましいとも言える。さらに、フローティングゾーン法でも作製可能である。
ここで、温度勾配、成長速度などの条件を一定に保った場合は、図2に示すような、第一の主面から第二の主面にかけて一定の直径を持ち、かつ中間層がない構造となってしまう。本発明のような構造に変調がかかったようなシンチレータ構造体は、試料作製時の温度勾配や成長速度を変化させることで得ることができる。すなわち、図1に示すような構造は、一方向性を持たせて溶融凝固する際に温度を変化させることで、成長してきた第一の相が途切れ、再度成長が開始されることで前述の1層目と2層目が得られる。このようにして変調を導入したい任意の領域においてn回の温度変化を与えることで、前述の1層目からn層目までの変調構造を有するシンチレータ構造体が得られる。この時、材料の組合せによっては、変調を導入する際に図3に示すような、中間層17が導入された構造を得ることができ、中間層17は第二の相13と同じ材料から形成される。図1および図3の模式図では、第一の相12が前記第一の主面10または第二の主面11に垂直な柱状構造体となっているが、必ずしも柱状構造体である必要はない。すなわち、成長してきた第一の相が途切れ、再度成長が開始された場合は、第一の相12が最初に放射状に広がった後、第一の主面10または第二の主面11に垂直な方向に成長が進行したような構造であってもよい。このような構造は相分離によって作製した場合に得られることがある。
また、図6に示すように、上記シンチレータ構造体14の第一の主面10と第二の主面11の少なくとも一つの面に、第一の相または第二の相のいずれかの相18が設けられていてもよい。
光検出器と、上記シンチレータ構造体の第二の主面とを対向するように配置することで放射線検出器として用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
本実施例は、図1(a)に対応し、第一の相12として塩化ナトリウム(NaCl)を、第二の相13としてヨウ化セシウム(CsI)を用い、NaCl柱状構造体がX線の透過方向と垂直方向に部分的にずれた構造体を作製する例について詳細に説明する。CsIとNaClの相図は共晶系であり、CsIに対してNaClを 30mol%含有した試料を溶融し、一方向性に凝固させるとCsI中にNaClの柱状構造体が埋め込まれたような相分離構造体となる。この場合、CsIの屈折率は1.80であり、NaClの屈折率は1.55であるために、CsI側で発生した光のうち、NaClとの界面で全反射条件を満たす成分は反射する。40keVにおける線減衰係数(cm−1)の値はそれぞれ、CsIが103.7、NaClが1.796である。このように、NaClはCsIに対して線減衰係数が約60分の1程度であり、40keV のX線がNaCl柱状構造体に沿って入射した場合はほとんど吸収されず、400μm厚の場合では約96%が透過してしまう。そのため、NaCl柱状構造体に対応する領域はスポット状にX線が透過してしまう。本実施例においては、シンチレータ構造体の中に、NaCl柱状構造体の中心軸が、第一の主面または第二の主面と平行な方向に部分的にずれた多層構造とする。こうすることで、NaCl柱状構造体に沿って透過するX線をCsIに吸収させてシンチレーション光に変換すると共に、X線の漏れを抑制する。
試料作製では、まず、CsIに対してNaClを 30mol%混合した粉末にヨウ化タリウム(TlI)を0.10mol%添加して混合し、石英管に真空封入した試料を用意した。次に、ブリッジマン炉に導入して、800℃まで昇温させ試料全体が溶解した後30分保持してから650℃に保持し、試料を引き下げて試料下部より逐次凝固するようにした。また、試料の引き下げにより、炉の冷却水が循環している領域に突入することで溶解している部分との温度差が30℃/mm以上となるようにしている。引き下げ速度は100μm/minとし、一分毎に温度制御としておよそ3秒間で瞬間的に10℃降下させながら引き下げた。このようにして作製した試料を400μmの厚さで切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)によって構造観察を行ったところ、CsI中にNaClの柱状構造体が埋め込まれたような構造が確認できた。凝固方向に垂直な面の構造観察からNaCl柱状構造体の直径は2μm、周期間隔は5μmであり、NaCl柱状構造体の体積占有率は20%であった。凝固方向に平行な方向には、およそ100μmの深さごとにNaCl柱状構造体が途切れたような構造となっていた。詳細な評価によると、400μm厚のシンチレータ構造体の中に厚さ5μmの中間層が3回導入され、お互いに周期構造がずれた4層構造になっていた。ここで、中間層の厚みは、温度を降下させる時間を変化させることで、ある程度制御可能であり、図1に対応した中間層が実質的に存在しない構造体、及び、図3に対応した中間層が導入された構造体を得ることが可能である。
この試料にX線を入射させた際のX線顕微鏡像を図7に示す。図7は定性的には試料中を透過したX線の漏れを表しており、白い領域程X線が透過してきていることを表す。図7(a)は本実施例の中間層が導入され周期構造がずれた4層構造を有する試料を表しており、図7(b)は比較のために、図2に示すような構造に対応する中間層が導入されていない1層構造から成る試料を表している。図7(b)では、NaCl柱状構造体に沿って入射したX線が白いスポット状として現れており、X線の抜けが確認できる。一方、図7(a)では、入射したX線が試料中を通り抜けることができる領域が存在せず、いずれかの領域で吸収されることから、スポット状のX線の漏れが抑えられていることがわかる。試料を透過するX線量を測定したところ、図7(b)では、入射X線のうち20%が透過しているのに対し、図7(a)では透過量は4%に抑えられていた。CsI単体が400μm厚あったとした場合の漏れ量は2%であることから、本実施例では、ほぼCsI単体と同等のX線吸収量を示していることが確認できた。
空間分解能を評価するため、X線源にタングステン管球を用い、80kV、1mAの条件で得られるX線を2mm厚のタングステン板にあるφ100μm開口を通して試料に照射し、試料底面における光強度分布を計測した。計測は50μmピッチのCCDにて行った。その分布のピーク値を通る断面の強度プロファイルを図8(a)に示す。比較のために、図2に示すような構造に対応する中間層を導入せずに作製した試料における強度プロファイルも図8(b)に示す。ピーク輝度に対する半値幅を算出したところ、図8(a)は194μmであり、図8(b)は190μmであった。これは中間層を導入することによるシンチレーション光の伝搬特性の低下が少ないことを表し、本実施例の試料が導波時の光の散乱が少なく効果的に光を受光面に導波していることを示すものである。
本発明のシンチレータ構造体は光検出器と組み合わせることで、放射線検出器として機能する。すなわち、作製したシンチレータ構造体を、光検出画素が二次元アレイ状に配列した光検出器上に、第二の主面が対向するように配置することで放射線検出器を構成することができる。
上述したごとく、本実施例のように柱状構造体をX線の透過方向と垂直な方向に部分的にずらすことで、試料を透過するX線量を抑制し、かつシンチレーション光の拡散を抑えたシンチレータ構造体が得られる。
以上より、本発明の、放射線によるシンチレーション光を光検出器に導波する機能を有し、かつ放射線の吸収量が大きくなるような構造を有するシンチレータ構造体が得られることを確認した。
本実施例は、図1(b)に対応し、第一の相12としてヨウ化ルビジウム(RbI)を、第二の相13としてヨウ化ナトリウム(NaI)を用い、NaI柱状構造体がX線の透過方向と垂直方向に部分的にずれた構造体を作製する例について詳細に説明する。RbIとNaIの相図は共晶系であり、RbIに対してNaIを 50mol%含有した試料を溶融し、一方向性に凝固させるとRbI中にNaIの柱状構造体が埋め込まれたような相分離構造体となる。この場合、RbIの屈折率は1.61であり、NaIの屈折率は1.85であるために、NaI側で発生した光のうち、RbIとの界面で全反射条件を満たす成分は反射する。ここでは40keVのX線を用いるとすると、40keVにおける線減衰係数(cm−1)の値はそれぞれ、RbIが60.00、NaIが68.94である。このように、RbIはNaIに対して線減衰係数が15%程度小さく、40keV のX線がRbIマトリックス構造体に沿って入射した場合は、NaI柱状構造体を通過するよりも吸収率が低下してしまう。そのため、RbIマトリックス構造体に対応する領域はX線の透過量が増加してしまう。本実施例は、シンチレータ構造体の中に、NaI柱状構造体の中心軸が、第一の主面または第二の主面と平行な方向に部分的にずれた多層構造とする。こうすることで、RbIマトリックス構造体に沿って透過するX線をNaIに吸収させてシンチレーション光に変換すると共に、X線の漏れを抑制する。
試料作製では、NaIに対してRbIを50mol%混合した粉末にヨウ化タリウム(TlI)を0.10mol%添加して混合し、石英管に真空封入した試料を用意した。次に、ブリッジマン炉に導入して、800℃まで昇温させ試料全体が溶解した後30分保持してから665℃に保持し、試料を引き下げて試料下部より逐次凝固するようにした。また、試料の引き下げにより、炉の冷却水が循環している領域に突入することで溶解している部分との温度差が30℃/mm以上となるようにしている。引き下げ速度は100μm/minとし、一分毎に温度制御としておよそ3秒間で瞬間的に10℃降下させながら引き下げた。このようにして作製した試料を400μmの厚さで切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)にて構造観察を行ったところ、RbI中にNaIの柱状構造体が埋め込まれたような構造が確認できた。凝固方向に平行な方向には、およそ100μmの深さごとにNaI柱状構造体が途切れたような構造となっていた。また、実施例1と同様の手法により中間層が導入された構造体を得ることも可能である。
以上より、本発明の、放射線によるシンチレーション光を光検出器に導波する機能を有し、かつ放射線の吸収量が大きくなるような構造を有するシンチレータ構造体が得られることを確認した。
本実施例は、図4において、第一の相12としてNaClを、第二の相13としてCsIを用い、NaCl部位が第一の主面10または第二の主面11に平行な方向における断面の径が第一の主面側から第二の主面側に向けて小さくなるように、第一の主面10または第二の主面11の法線方向に延びる柱形状であることを特徴とするシンチレータ構造体を作製する例について詳細に説明する。
試料作製では、実施例1と同様の手法で試料を引き下げることにより作製した。引き下げ速度は、引き下げ開始時に100μm/minとし、一分毎に100μm引き下げ速度が増加するように、滑らか速度を上昇させながら、最終的に400μm/minとした。このようにして作製した試料を400μmの厚さで切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)にて構造観察を行ったところ、CsI中にNaCl構造体が埋め込まれたような構造が確認できた。凝固方向に垂直な面の構造観察からNaCl柱状構造体は、第一の主面10側で直径2μm、周期間隔は4μmであり、第二の主面11側で直径1μm、周期間隔は2μmであった。図4(a)に示すように、第一の主面から第二の主面にかけて滑らかに直径と周期間隔が変化しているような構造となっていた。このような構造をとることで、第二の主面11にかけて線減衰係数の小さいNaCl部位が占める体積が小さくなるために、図2に示すような構成に対して、放射線の漏れが抑制される。得られた試料を400μm厚で切り出し、実施例1と同様の方法で空間分解能を評価したところ、ピーク輝度に対する半値幅は200μmであった。これは本実施例の試料が導波時の光の散乱が少なく効果的に光を受光面に導波していることを示すものである。
また、図4(b)に示すように、NaCl構造体の形状が、前記第一の主面10または第二の主面11に平行な方向における断面の径が第一の主面側から第二の主面側に向けて最小になる領域はシンチレータ構造体14の任意の位置であってよい。また、複数の最小となる節を有していても構わない。このような構造は引き下げ速度を変調することで得ることができる。すなわち、NaCl柱状構造体の直径、及び周期間隔は引き下げ速度を速くする程小さくすることができ、そのサイズはおおよそ引き下げ速度の平方根に反比例する。例えば、引き下げ速度を100μm/minから400μm/minにし、再び100μm/minにすることで、図4(b)に示すような節を持った構造を得ることができる。このようにして、引き下げ速度を複数回変調することで複数の最小となる節を有する構造体を得ることができる。また、NaCl柱状構造体の直径、及び周期間隔は融液の温度を変化させることでも制御可能である。この場合は融液温度を低くする程、直径と周期間隔は大きくなる。融液温度は、引き下げ装置の設計や材料を封じる石英管の大きさなどにより異なり、それぞれに応じて適宜設定されるものである。
以上より、本発明の、放射線によるシンチレーション光を光検出器に導波する機能を有し、かつ放射線の吸収量が大きくなるような構造を有するシンチレータ構造体が得られることを確認した。
本実施例は、図5において、第一の相12としてNaClを、第二の相13としてCsIを用い、NaCl部位が第一の主面10側から第二の主面11側に向けて分岐または統合されていることを特徴とするシンチレータ構造体を作製する例について詳細に説明する。
試料作製では、実施例1と同様の手法で試料を引き下げることにより作製した。引き下げ速度は、100μm/minから開始し、しばらく保持した後一分間で引き下げ速度を1600μm/minに上昇させた。このようにして作製した試料を、引き下げ速度を変更した領域を含むように400μmの厚さで切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)によって構造観察を行ったところ、CsI中にNaCl構造体が埋め込まれたような構造が確認できた。凝固方向に垂直な面の構造観察からNaCl柱状構造体は、第一の主面10側で直径2μm、周期間隔は4μmであった。引き下げ速度を変更した箇所を境界にして、1本のNaCl柱状構造体はおおよそ2本から4本に分離しており、第二の主面11側では平均として直径500nm、周期間隔は1μmであった。このような構成にすることで、第一の主面から入射した放射線のうち、NaClを透過してきた放射線は、分岐した領域でCsIにより吸収され、シンチレーション光に変換される。このように分岐した構造にすることで放射線がCsIと相互作用せずにシンチレータ構造体を透過して漏れる可能性は限りなく抑えられる。結果として、入射した放射線はシンチレータ構造体のいずれかの領域でCsIに吸収されシンチレーション光に変換される。
得られた試料について、実施例1と同様の方法で空間分解能を評価したところ、ピーク輝度に対する半値幅は195μmであった。これは本実施例の試料が導波時の光の散乱が少なく効果的に光を受光面に導波していることを示すものである。
以上より、本発明の、放射線によるシンチレーション光を光検出器に導波する機能を有し、かつ放射線の吸収量が大きくなるような構造を有するシンチレータ構造体が得られることを確認した。
本実施例は、図6にその一例を示すように、上記の実施例1から実施例4において作製されたシンチレータ構造体において、第一の主面と第二の主面の少なくとも一つの面に、第一の相および第二の相のいずれかの相を設けたシンチレータ構造体を作製する例に関するものである。この場合に設けられる相は、屈折率の高い第二の相を伝播する光が、屈折や反射を生じて拡散しないように、第二の相と同じ材料で構成されていることが望ましい。ここでは、第一の主面側または第二の主面側にCsI相を設けた例について説明する。
まず、実施例1から実施例3において作製された、第一の相12としてNaCl、第二の相13としてCsIからなるシンチレーション構造体について、蒸着法により第一の主面にCsI相を形成する。まず、前記シンチレーション構造体を蒸着装置内の基板ホルダーにセットし成膜領域とした。蒸着源としてCsIを直径20mmの抵抗加熱るつぼに充填し、蒸着源と成膜領域との距離を100mmとした。続いて、蒸着装置内を一旦10−4Pa台まで排気した後、成膜領域を5rpmの速度で回転させながら、200℃に加熱保持し、抵抗加熱るつぼを、700℃に加熱して5分間CsIの蒸着を行ったところで蒸着を終了させた。走査型電子顕微鏡(SEM)によって構造観察を行ったところ、CsIの均一膜が5μm厚で形成されていることが確認された。この時、蒸着時間を変化させることで任意の膜厚に調整可能である。同様にして第二の主面にもCsIを形成することが可能である。
得られた試料の空間分解能を評価するため、ピーク輝度に対する半値幅を算出したところ、195μmであった。これは本実施例の試料が導波時の光の散乱が少なく効果的に光を受光面に導波していることを示すものである。
以上より、本発明の、シンチレーション構造体において、第一の主面と第二の主面の少なくとも一つの面に、第一の相もしくは第二の相のいずれかの相を設けたシンチレータ構造体が得られることを確認した。
本発明のシンチレータ構造体は、光検出器と組み合わせることで発光を光検出器に導波する機能を有し、かつ放射線の漏れを抑制した放射線検出器として用いることができる。特に、X線のような放射線を用いた医療用・産業用・高エネルギー物理用・宇宙用のような計測装置に用いることが可能である。
10 第一の主面
11 第二の主面
12 第一の相
13 第二の相
14 シンチレータ構造体
15 放射線
16 シンチレーション光
17 中間層
18 第一の相、または第二の相
91 第一の主面
92 第二の主面
93 基板
94 光検出器
95 シンチレータ結晶体

Claims (9)

  1. 第一の相と、該第一の相よりも屈折率が大きく、かつ該第一の相の線減衰係数とは異なる線減衰係数を有する第二の相とを有し、互いに同一面上に位置しない第一の主面と第二の主面とを有するシンチレータ構造体であって、該第一の主面と該第二の主面とに該第二の相が露出する部分を有し、該第一の相と該第二の相のうち線減衰係数が小さい相の形状は、該線減衰係数が小さい相に対して該第一の主面から任意の方向で入射する放射線の少なくとも一部が、該線減衰係数が大きい相によって遮蔽される形状であることを特徴とするシンチレータ構造体。
  2. 前記の線減衰係数が小さい相の形状が、前記第一の主面または第二の主面方向に延びる中心軸を有し、該中心軸が該第一の主面または第二の主面と平行方向に部分的にずれていることを特徴とする請求項1に記載のシンチレータ構造体。
  3. 前記のずれが生じた領域に中間層が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシンチレータ構造体。
  4. 前記中間層が、前記第二の相で構成されていることを特徴とする請求項3に記載のシンチレータ構造体。
  5. 前記の線減衰係数が小さい相の形状が、前記第一の主面または第二の主面に平行な方向における断面の径が第一の主面側から第二の主面側に向けて小さくなるように、該第一の主面または第二の主面の法線方向に延びる柱形状であることを特徴とする請求項1に記載のシンチレータ構造体。
  6. 前記第一の相と前記第二の相のいずれかの相が、前記第一の主面側から前記第二の主面側に向けて分岐または統合されていることを特徴とする請求項1に記載のシンチレータ構造体。
  7. 相分離構造を有する構造体から形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のシンチレータ構造体。
  8. 前記第一の主面と前記第二の主面の少なくとも一つの面に、前記第一の相またくは前記第二の相のいずれかの相が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のシンチレータ構造体。
  9. 光検出器と、該光検出器に対向して配置されたシンチレータ構造体とを有する放射線検出器であって、該シンチレータ構造体が請求項1〜8のいずれか一項に記載のシンチレータ構造体であり、該シンチレータ構造体は、該光検出器に該第二の主面が対向するように配置されていることを特徴とする放射線検出器。
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