JP2015087212A - 放射線検出器 - Google Patents

放射線検出器 Download PDF

Info

Publication number
JP2015087212A
JP2015087212A JP2013225134A JP2013225134A JP2015087212A JP 2015087212 A JP2015087212 A JP 2015087212A JP 2013225134 A JP2013225134 A JP 2013225134A JP 2013225134 A JP2013225134 A JP 2013225134A JP 2015087212 A JP2015087212 A JP 2015087212A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scintillator
optical sensor
phase
radiation detector
composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013225134A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6289033B2 (ja
Inventor
良太 大橋
Ryota Ohashi
良太 大橋
安居 伸浩
Nobuhiro Yasui
伸浩 安居
田 透
Toru Den
透 田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2013225134A priority Critical patent/JP6289033B2/ja
Publication of JP2015087212A publication Critical patent/JP2015087212A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6289033B2 publication Critical patent/JP6289033B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Measurement Of Radiation (AREA)
  • Apparatus For Radiation Diagnosis (AREA)

Abstract

【課題】X線画像の検出時間内にシンチレータを光センサに対して移動し、欠陥領域の影響を低減するように平均化した発光を光センサで受光することで、X線画像の画質を向上した放射線検出器を提供すること。【解決手段】シンチレータと、該シンチレータからの発光を検出する光センサを有した放射線撮像装置であって、検出時間内に該シンチレータが該光センサに対して移動することを特徴とする放射線検出器。【選択図】図1

Description

本発明は、放射線による励起で発光を呈する材料であるシンチレータと、その発光を受光する光センサから成る放射線検出素子に関し、シンチレータを移動する機能を有す放射線検出器に関する。
医療現場などで用いられているX線撮像装置では、被写体を通過したX線をシンチレータで受け、そのシンチレータからの発光を光センサで検出し、X線画像を形成している。X線画像には、画素の1つが他の素子と感度が異なる点状欠陥や、画素の感度が線状に異なる線状欠陥が現れることがある。このような欠陥の原因としては、光センサの画素不良によるものと、シンチレータが構造的に欠損したことによるもの2つに大別される。光センサの画素不良が原因となる欠陥においては、画像処理において欠陥を目立たなくする工夫が、特許文献1などで行われている。一方で、シンチレータが構造的に欠損したことが原因となる欠陥は、蒸着法に起因するスプラッシュや異物により引き起こされる。この場合においても、同様の画像処理により欠陥を目立たなくすることは可能である。
特開2006−234557号公報
しかしながら、シンチレータの欠陥領域が光センサの一画素のサイズよりも著しく大きな場合、あるいは欠陥領域が高密度で存在する場合、さらには、シンチレータが完全に欠損しているような欠陥領域が存在する場合は、画像処理だけでは補正することができずX線画像の画質劣化を生じてしまうという課題があった。
本発明の目的は、欠陥領域が大きい場合や高密度で存在する場合にも、X線画像の画質を向上できる放射線検出器を提供することである。
本発明に係る放射線検出器は、シンチレータと、該シンチレータからの発光を検出する光センサと、検出時間内に該シンチレータが該光センサに対して移動させる移動手段とを有する。
本発明によれば、X線画像の検出時間内にシンチレータを光センサに対して移動し、欠陥領域の影響を低減するように平均化した発光を光センサで受光することで、X線画像の画質を向上した放射線検出器を提供することができる。
本発明の第一の放射線検出器の模式図である。 本発明の第二の放射線検出器の模式図である。 本発明の第二の放射線検出器の複合シンチレータの模式図である。 複合シンチレータから出射される発光の分布と、検出時間内における複合シンチレータの移動距離との関係を示す模式図である。 複合シンチレータから出射される発光の分布と、検出時間内における複合シンチレータの移動距離との関係を示す模式図である。 放射線検出器を用いたX線画像の撮像結果である。 複合シンチレータの光学顕微鏡の透過像である。 複合シンチレータと放射線検出器を用いたX線撮像結果である。
以下、図面などを用いて本発明を実施するための形態を説明する。
図1に本発明の第一の放射線検出器の模式図を示す。ここでは、シンチレータ101からの発光102を、光センサ103で受光する放射線検出器が例示されている。放射線104は被写体105を透過して減衰し、シンチレータ101に入射することにより発光102を示す。この発光102の強度分布を二次元アレイ状に配列した画素から成る光センサ103で読み取ることで、X線画像を得ることができる。ここで、シンチレータ101に欠陥領域106が存在する場合は、その領域から発生する発光102は異常値を示し、大幅に減衰したり、散乱により拡散したり、あるいは完全に消失したりする。よってシンチレータ101と光センサ103の位置関係が検出時間内に固定である場合は、欠陥領域106に相当する光センサの各画素は正常なX線画像を得ることができない。隣接画素から補間するなどの画像処理により、欠陥を目立たなくすることは可能である。しかしながら、欠陥領域106ではシンチレータ101が正常な物性値(発光量、体積、密度、構造など)を有していない為に放射線104に対する応答感度が正常領域に比べて異なっており、画像処理だけでは原理的に正常なX線画像を得ることはできない。
本発明の放射線検出器では、移動手段107によって、検出時間内にシンチレータ101を光センサ103に対して一定の方向に一定の距離を動かす(図1では方向Dに移動距離Lの長さ動かす)。このとき、光センサ103の各画素において欠陥領域106を含まない正常領域からの発光が必ず検出されるようにするとよい。これにより、欠陥領域106の影響を低減するように検出時間で平均化した発光を光センサで受光することができ、X線画像の画質を向上することができる。すなわち、光センサ103の各画素は、正常な応答を示すシンチレータ101からの発光102を検出時間内に一度は検出することが可能となり、撮像後に光センサ103で検出される発光102の強度に分布がある場合であっても、同じ検出時間内に得られた画像間での画像処理による強度補正により正常なX線画像に回復することが可能となる。
移動手段107の構成は、シンチレータ101を光センサ103と平行に移動することができれば特に限定されることはない。このとき、移動手段107を、シンチレータ101と光センサ103の間の距離を保ったままシンチレータ101を移動させることができるように構成すると、シンチレータ101の移動による検出感度のずれを抑制することができる。
検出時間とは、放射線がシンチレータに照射され、かつ光センサがシンチレータからの発光を検出している時間と定義される。ただし放射線の照射時間、または光センサの検出時間が連続でなく、パルス状である場合はその積算時間であってもよい。
光センサ103の各画素において欠陥領域106を含まない正常領域からの発光が必ず検出されるように、移動する距離Lは少なくとも欠陥領域よりも長いことが望ましい。欠陥領域としては、予め予測された値を用いてもよいし、コンピュータなどの処理手段108によって検出された発光102の分布から導いてもよい。スプラッシュによる点状の欠陥は、およそ5μmから500μmの直径の範囲にある場合が多く、この場合の移動距離はそれぞれの欠陥の直径よりも長くすることが望ましい。しかしながら、欠陥の直径以下の移動距離であっても、X線画像の画質は向上する為、これらに限定されるものではない。
移動する方向は、光センサ103の各画素において欠陥領域106を含まない正常領域からの発光が必ず検出されるように移動するのであれば、必ずしも一方向の移動である必要はなく、xy方向の任意の組み合わせの方向への連続した直線移動、あるいは超音波移動のような往復移動であってもよく、さらにはシンチレータを回転することによる回転移動であってもよく、以上の移動方法の組み合わせであってもよい。特に欠陥領域の形状が線状である場合は、その方向と一致した方向のみに移動すると、欠陥の影響が残り易くなってしまう為、少なくとも、線状欠陥の方向と一致しない方向へ移動する成分を有することが望ましい。
本発明ではシンチレータ101は光センサ103に対して移動することから、両者は直接接着されなくてもよい。シンチレータ101と光センサ103の距離が光センサの画素サイズの数倍程度と短い場合は、発光102が隣接画素へ漏れることによる画像のボケが無視できることから、両者は空気層、あるいは潤滑材などを介して配置し、自由に移動できるようにしてもよい。また、光センサ103にファイバオプティクプレート(FOP)などが設けられている場合は、その表面に潤滑材などを介してシンチレータ101を配置し自由に移動できるようにしてもよい。シンチレータ101と光センサ103の距離が離れている場合は、シンチレータ101と光センサ103の間にレンズを配置して発光102を結像してもよい。レンズとしては大きな一枚のレンズを用いてもよいし、光センサ103上に画素毎に設けられたマイクロレンズによってシンチレータの表面に焦点を合わせて結像してもよい。
ここで、用いるシンチレータの発光寿命に対して移動距離/検出時間であらわされる移動速度が速い場合は、X線が入射した際に発生する発光のうち発光寿命が遅い成分が、シンチレータが移動することで光センサの画素以上の距離を空間的に拡がり、X線画像がボケてしまうようになる為、移動距離の上限を設ける必要がある。空間的な拡がりを光センサの一画素のサイズ(Hと表す)までは許容されるとすると、検出時間をT1、発光寿命をT2、と表わすと、移動速度×発光寿命≦画素サイズで表わされ、L/T1×T2≦Hの関係がある。よって、移動距離はL≦H×T1/T2、とする必要がある。
これは、発光寿命がマイクロ秒オーダー以下であるような高速応答を示すシンチレータを用いる場合は、実質的に気にするようなものではない。例えば、シンチレータとして寿命が1マイクロ秒であるTl添加CsI針状膜を用い、画素サイズが20μmである場合は、検出時間が100ミリ秒と長い場合は、L≦2000mmとなり、検出時間が1ミリ秒と短かい場合であっても、移動距離L≦20mmとなり十分な移動距離をとることができる。以上のように、発光寿命がマイクロ秒オーダー以下であるような高速応答を示すシンチレータである場合は、移動時の発光寿命によるX線画像のボケは実質的に気にするようなものではない。
一方で、発光寿命がミリ秒オーダーの遅い応答を示すシンチレータを用いる場合は、移動距離の上限に注意を要する場合がある。例えば、シンチレータとして1ミリ秒程度と寿命が長いGdS:Tbを用い、画素サイズが20μmである場合は、検出時間が100ミリ秒と長い場合は、L≦2mmとなり、検出時間が1ミリ秒と短かい場合は、移動距離L≦20μmとなる為、移動距離の上限値に注意する必要がある。
ただし、これらの上限値は光センサの一画素からのボケを生じないようにするように定められたものであり、多画素分のボケを許容する場合は、それだけ上限値の制限は緩和される。
図2に本発明の第二の放射線検出器の模式図を示し、図3にこのとき用いることができるシンチレータの斜視図を示す。図2は、放射線検出器の側面からの図であり、ここでは、シンチレータが一方向性を有する複数の第一の相203と、第一の相の側面を覆う第二の相204から成る複合シンチレータ201から構成される放射線検出器が例示されている。第一の相203と第二の相204とを異なる屈折率に設定して、X線入射によりシンチレータから発生した光が全反射により導波するように構成することができる。このとき、相対的に屈折率の高い相をシンチレータとして機能させ、相対的に屈折率の低い相はシンチレータとして機能させない構成にすることができる。放射線104が複合シンチレータ201に入射することにより発生した発光202は、第一の相203と第二の相204との界面で反射を繰り返しながら複合シンチレータ201中を導波し、光取り出し面301から発光202として取り出される。発光は第一の相203と第二の相204の屈折率の大きい相の中を導波される。
図3(a)に示す例では、複合シンチレータ201は第一の相203とそれよりも屈折率が小さい第二の相204を含み、円柱の形状を有しシンチレータとして機能する第一の相203と、その側面を覆う第二の相204から成る。第一の相203で発生した発光のうち、第一の相203と第二の相204の境界面に臨界角度以上で入射する発光202は、全反射を繰り返しながら複合シンチレータ201中を伝搬し、光取り出し面301から出射される。図3(b)に示す例では、複合シンチレータ201は第一の相203とそれよりも屈折率が大きい第二の相204を含み、円柱の形状を有する第一の相203と、その側面を覆いシンチレータとして機能する第二の相204から成る。第二の相204で発生した発光のうち、第一の相203と第二の相204の境界面に臨界角度以上で入射する発光202は、全反射を繰り返しながら複合シンチレータ201中を伝搬し、光取り出し面301から出射される。
ここで、第一の相203の直径302は、300nm以上30μm以下の範囲であることが好ましい。すなわち、導波する発光の波長よりも構造周期が小さい場合は光が反射せずに透過してしまう成分が多くなってしまう為、第一の相203の直径は発生する光の波長よりも大きいことが望ましい。本発明では、特に300nmからの紫外域に発光を有するようなシンチレータを用いることもある為、第一の相203の直径302は300nm以上であることが望ましい。
また、第一の相203の直径302が複合シンチレータ201の厚さ303と同等以上のサイズになると光を閉じ込める効果が低下してしまう為、第一の相203の直径302の上限値は厚さ303よりも小さいことが望ましい。本発明では、特に10μm以上の厚さを持つ複合シンチレータ201を用いる為に、第一の相203の直径302が10μm以下であることが望ましい。以上より、第一の相203の直径は、300nm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。また、第一の相203の形状は円柱以外にも多角柱であってもよい。第一の相203は、厚さ方向に沿って直線的に連続していることが好ましいが、第一の相203が、途中で途切れたり、枝分かれしたり、複数の結晶相が一体化したり、結晶相の直径が変化したり、直線的でなく非直線部分が含まれたりしてもよい。
複合シンチレータ201の形態として共晶相分離構造を利用することができる。本発明においての相分離構造を有する複合シンチレータ201は、一方向性を有する多数の柱状形態をなす第一の相203と、第一の相の側面を埋める第二の相204の2相から構成されている。ここで、屈折率の大小関係により、第一の相203の屈折率が第二の相204の屈折率よりも大きい第二の構成と、第二の相204の屈折率が第一の相203の屈折率よりも大きい第一の構成がある。共晶相分離構造が得られる材料系としては、表1に示す以下のような材料系が挙げられる。
また、上記材料系にて低屈折率相のみをエッチングする手段を用いることで屈折率差の大きい複合シンチレータを形成することも可能である。エッチングについては、気相中でプラズマや化学反応を利用したエッチング手段、ないし溶液による溶解によるエッチング手段等を用いることができる。
さらには、CsI針状膜のように、第一の相がCsI、第二の相が空気であるなるような形態を有するシンチレータについても、本発明を適用することができる。
このような共晶相分離構造から成る複合シンチレータ201は、第一の相203に構造ムラが存在する場合がある。ここでの構造ムラとは、主に以下に挙げる二種類を意味する。一つは第一の相203の直径302がシンチレータの領域毎にわずかに異なることにより生じるものであり、もう一つは第一の相203の分布密度にムラがあることにより生じるものである。以上の構造ムラは多くの場合同時に存在し、複合シンチレータ201内を導波する発光202の強度に分布を生じる。その結果、図2に示すように複合シンチレータ201から出射される発光202は、領域毎にその強度が異なることになる。本発明者らによる検討の結果、共晶相分離構造から成る複合シンチレータ201から出射される発光202はおよそ数十μmの周期Pを有する間隔の縞状の強度分布を示すことがわかった。この強度分布により、X線画像に細かな縞状の輝度ムラが現れ、高周波成分の画質を劣化させてしまう。
そこで図2に示す本発明の第二の放射線検出器においては、コンピュータなどの処理手段108(ここでは抽出手段としてはたらく)によって、初めに複合シンチレータ201からの発光202から縞状の輝度ムラに直交する方向Dと周期Pを抽出する。このとき、処理手段108は発光202の分布を画像化することによって縞状の輝度ムラを抽出してもよいし、発光強度の分布から直接輝度ムラを抽出してもよい。このように抽出された輝度ムラから、方向Dと周期Pを求めることができる。
その上で、図4に示すように検出時間内に複合シンチレータ201を方向Dと略平行の方向に移動することで縞状の輝度ムラの影響を低減しX線画像の画質を向上することが可能となる。図4は4周期分移動(L=4P)した場合の例である。図4の上の2つの模式図は、撮像開始時の発光強度の分布と撮像終了時の分布を示しており、山の上に示す数字は同一位置を表すものであり、周期Pのそれぞれの山が距離L=4Pだけ方向Dに移動しており、図4の下図は検出時間内に光センサに入射する光の積算強度を示すものである。図5に示すように複合シンチレータ201の方向Dと略平行の方向への移動距離Lが周期Pの倍数に一致ないように移動すると、撮像開始時の強度の山と撮像終了時の山が一致しないため、輝度ムラをより効率よく除去することができる。図5は4周期半分移動(L=4.5P)した場合の例である。図中の表記は図4と同様の意味である。この場合は、撮像開始時の強度の山と撮像終了時の谷が一致しており、輝度ムラは改善され、均一な強度のX線画像が得られる。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、以下に限定されるものではない。
本実施例は、シンチレータの形態としてTl添加CsI針状膜を用い、検出時間内にシンチレータを光センサに対して移動する放射線検出器に関するものである。
まず、蒸着源としてCsIとTlIを用いて、一般的な二元蒸着法によりTl添加CsI柱状膜を作製した。初めに、直径20mmの抵抗加熱るつぼを2つ用意し、一方のるつぼにCsIを100g、他方のるつぼにTlIを5g別々に充填し、この2つのるつぼを蒸着源として、基体上の50mm×50mmの成膜領域に向けて蒸着を行った。この際、膜厚と発光中心濃度の均一性を確保するために、蒸着源と成膜領域との距離を200mmとした。蒸着装置内を一旦10−4Pa台まで排気した後、Arガスを導入して0.2Paに調整した。成膜領域を5rpmの速度で回転させながら、200℃に加熱保持し、CsIを730℃に加熱し、かつTlIを300℃に加熱して蒸着を行い、膜厚が500μmとなったところで蒸着を終了させてTl添加CsI柱状膜を作製した。得られたCsI柱状膜はX線照射により波長550nmにピークを有する発光を示し、その発光寿命は約1マイクロ秒であった。
得られたCsIを走査型電子顕微鏡で観察したところ、ほとんどの領域において直径約5μmのCsIの柱状結晶となっていたが、一部の領域はCsI柱状結晶が異常成長、あるいは欠損した領域となっていた。作製したシンチレータの一面を光取り出し面とし、これに対向するように一画素が20×20μmから成る光センサを配置し、X線を100ミリ秒照射し、その間の光センサからの信号を読みだすことでX線画像を取得した。
図6(a)に検出時間内のシンチレータと光センサの位置関係を固定して取得した場合のX線画像の一部を示す。CsIが異常成長した領域において直径およそ140μmの点状の輝度の異常領域が存在した。この異常領域ではCsIシンチレータが正常な物性値(発光量、体積、密度、構造など)を有していない為にX線に対する応答感度が正常領域に比べて異なっている。異常領域に対応する光センサの画素は正常な領域のシンチレータのX線応答が示すような発光を得ることができない為、画像処理による輝度補正などを行っても正常なX線画像を得ることは困難であった。
X線を100ミリ秒照射する検出時間内にCsIシンチレータを光センサに対して1mm直線状に移動して撮像したX線画像を図6(b)に示す。この場合は、光センサの各画素において欠陥領域を含まない正常領域からの発光が必ず検出される為、必要に応じて画像処理による輝度補正を施すことで、光センサの全ての画素において、正常なX線画像を取得することができ、点状の輝度の異常領域を除去することができた。これによりシンチレータの構造欠陥や不均一性に伴うX線感度や輝度のばらつきが除去された均一なX線画像を得ることが可能となった。
以上により、シンチレータと、該シンチレータからの発光を検出する光センサを有した放射線撮像装置において、検出時間内に該シンチレータが該光センサに対して移動することで、シンチレータの構造欠陥や不均一性に伴うX線感度や輝度のばらつきが除去された均一なX線画像が得られた。
本実施例は、シンチレータの形態として共晶相分離構造から成る複合シンチレータを用い、検出時間内にシンチレータを光センサに対して移動する放射線検出器に関するものである。
複合シンチレータとしてCsIとNaClから成る共晶相分離構造を用いた。まず、共晶系相図であるCsIとNaClを用い、CsIに対してNaClを 30mol%混合した粉末にヨウ化タリウム(TlI)を0.10mol%添加して混合し、石英管に真空封入した試料を用意した。次に、ブリッジマン炉に導入して、800℃まで昇温させ試料全体が溶解した後30分保持してから650℃に保持し、試料を引き下げて試料下部より逐次凝固するようにした。引き下げ速度は100μm/minとした。このようにして作製した試料を5mm×5mm×厚さ200μmで切り出し、両面を研磨して試料とした。試料を走査型電子顕微鏡で観察したところ、CsI相中に直径約2μmのNaCl柱状構造体が埋め込まれたような複合シンチレータとなっていることが確認された。X線照射により波長550nmにピークを有する発光を示し、その発光寿命は約1マイクロ秒であった。
作製したCsIとNaCl共晶相分離構造から成る複合シンチレータには、作製条件によりNaCl柱状構造体に構造ムラが存在する場合がある。ここでの構造ムラには、NaCl柱状構造体の直径が領域によりわずかに異なった分布を有することにより生じるものと、NaCl柱状構造体の密度に分布があることにより生じるものがある。以上の構造ムラは多くの場合同時に存在し、複合シンチレータ内を導波する光の強度に分布を生じる。
本実施例で作製したCsIとNaCl共晶相分離構造から成る複合シンチレータを用いた場合に生じる構造ムラに伴う導波する光の強度の分布の一例を図7に示す。図7は光学顕微鏡で透過像を観察したものであり、高屈折率材料であるCsI側を光は導波する為、NaCl柱状構造体が暗く、CsIの方が明るく見える。上述したようなNaCl柱状構造体の構造ムラにより、試料を透過する光の強度に縞状の強度分布を生じていた。本実施例においては、この縞状の強度分布の周期をPとし、それに直交する方向をDとした。このような光の導波ムラを有する複合シンチレータを用い、これに対向するように一画素が20×20μmから成る光センサを配置し、X線を100ミリ秒照射し、その間の光センサからの信号を読みだすことでX線画像を取得した。
図8(a)に検出時間内のシンチレータと光センサの位置関係を固定して取得した場合のX線画像を示す。ここでは、10lp/mmの鉛のラインチャートを被写体として用いた。図7に示したような、透過する光の強度に縞状の強度分布が生じるようなムラは、結果として、X線画像に同様に縞状の強度分布として現れる。このような縞状の輝度ムラは数十μm周期の高密度で現れ、このようなムラが生じた領域では光の異常伝播が起きている為、画像処理により正常な画像に回復することは困難であった。結果として、10lp/mmの像は、縞状の方向(方向Dに直交する方向)に流れていまい、明瞭なX線画像を得ることはできなかった。
縞状の輝度ムラの周期Pと方向Dは複合シンチレータの全領域においてほぼ一定であり、X線画像中に一方向に形成されることから、X線画像をフーリエ変換などによる画像処理を施すことで周期Pと方向Dを抽出することができた。図8(a)における、周期Pは56μmであり、図のようにθを定義すると方向Dは43度となった。
図8(b)にX線を100ミリ秒照射する検出時間内に複合シンチレータを、光センサに対して方向Dと平行方向に移動し、その移動距離Lが周期Pの4周期半分移動である252μm(L=4.5P=56×4.5μm)移動した場合のX線画像を示す。撮像開始時の強度の山と撮像終了時の谷が一致しており、輝度ムラは改善され10lp/mmのラインチャートが明瞭に解像したX線画像が得られた。
また、複合シンチレータが、複数の複合シンチレータの集合体などで形成されている場合は、周期Pと方向Dが領域によって異なる。その場合は、全ての領域においてその周期Pと方向Dを抽出し、それらに対して複数回組み合わせた移動とすることで、全領域のX線画像を補正することが可能となる。
以上により、複合シンチレータと、複合シンチレータからの発光を検出する光センサを有した放射線撮像装置において、縞状の輝度ムラに直交する方向に複合シンチレータを移動することで、均一なX線画像を得ることができた。
本発明の複合シンチレータは、医療用・産業用・高エネルギー物理用・宇宙用等の放射線検出器として用いることが可能である。
101 シンチレータ
102 シンチレータからの発光
103 光センサ
104 放射線
105 被写体
106 欠陥領域
201 複合シンチレータ
202 複合シンチレータからの発光
203 第一の相
204 第二の相
301 光取り出し面
302 第一の相の直径
303 複合シンチレータの厚さ
D 移動方向
P 周期
L 移動距離

Claims (7)

  1. シンチレータと、該シンチレータからの発光を検出する光センサと、検出時間内に該シンチレータを該光センサに対して移動させる移動手段とを有することを特徴とする放射線検出器。
  2. 前記光センサは画素を有し、該画素のサイズをH、検出時間をT1、発光寿命をT2、と表わしたときに、前記移動手段は、前記シンチレータの動く距離LがL≦H×T1/T2となるように動かすことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
  3. 前記シンチレータは、一方向性を有する複数の第一の相と、該第一の相の側面を覆う第二の相から成る複合シンチレータを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の放射線検出器。
  4. 前記複合シンチレータは共晶相分離構造を含むことを特徴とする請求項3に記載の放射線検出器。
  5. 前記複合シンチレータにより形成される発光の縞状の輝度ムラの周期Pと、該周期Pに直交する方向Dを抽出する抽出手段をさらに有し、前記移動手段は該複合シンチレータを方向Dと略平行の方向に移動させることを特徴とする請求項3または4に記載の放射線検出器。
  6. 前記複合シンチレータを移動する距離は周期Pの倍数に一致しないことを特徴とする請求項5に記載の放射線検出器。
  7. 放射線が入射したシンチレータの発光を光センサで検出する放射線検出方法であって、検出時間内にシンチレータを光センサに対して動かすことを特徴とする、放射線検出方法。
JP2013225134A 2013-10-30 2013-10-30 放射線検出器 Active JP6289033B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013225134A JP6289033B2 (ja) 2013-10-30 2013-10-30 放射線検出器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013225134A JP6289033B2 (ja) 2013-10-30 2013-10-30 放射線検出器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015087212A true JP2015087212A (ja) 2015-05-07
JP6289033B2 JP6289033B2 (ja) 2018-03-07

Family

ID=53050150

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013225134A Active JP6289033B2 (ja) 2013-10-30 2013-10-30 放射線検出器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6289033B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS537589A (en) * 1976-07-09 1978-01-24 Toshiba Corp X-ray fluorescent membrane
JP2002072377A (ja) * 2000-08-23 2002-03-12 Fuji Photo Film Co Ltd 放射線画像情報読取装置
JP2013024597A (ja) * 2011-07-15 2013-02-04 Canon Inc 複合シンチレータの製造方法
WO2013096050A1 (en) * 2011-12-22 2013-06-27 Saint-Gobain Ceramics & Plastics, Inc. Image storage device including storage phosphor powder, method of forming image storage device, and computed radiography apparatus

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS537589A (en) * 1976-07-09 1978-01-24 Toshiba Corp X-ray fluorescent membrane
JP2002072377A (ja) * 2000-08-23 2002-03-12 Fuji Photo Film Co Ltd 放射線画像情報読取装置
JP2013024597A (ja) * 2011-07-15 2013-02-04 Canon Inc 複合シンチレータの製造方法
WO2013096050A1 (en) * 2011-12-22 2013-06-27 Saint-Gobain Ceramics & Plastics, Inc. Image storage device including storage phosphor powder, method of forming image storage device, and computed radiography apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP6289033B2 (ja) 2018-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9068111B2 (en) Scintillator having a phase separation structure and radiation detector using the same
US6921909B2 (en) Pixellated micro-columnar films scintillator
US9110176B2 (en) Radiation detecting element
US9360566B2 (en) Radiation detector
US9304212B2 (en) Scintillator panel and manufacturing method therefor and radiation detector and manufacturing method therefor
JP2011017683A (ja) 放射線画像検出器及びその製造方法
JP5901169B2 (ja) シンチレータ構造体および放射線検出器
US8618489B2 (en) Scintillator crystal having phase-separated structure
CN103543461B (zh) 辐射检测器及其制造方法
JP2011232197A (ja) シンチレータパネル及び放射線画像検出装置
JP2013024731A (ja) 放射線検出装置
JP6289033B2 (ja) 放射線検出器
JP2020531183A (ja) モノリシックシンチレータを有する多層検出器
US20160154123A1 (en) Scintillator crystal and radiation detector using the same
JP5645584B2 (ja) 放射線センサー
US10725186B2 (en) Scintillator plate, radiation detector, and radiation measurement system
JP6622572B2 (ja) 放射線計測システム、及びトールボット干渉計
JP6949479B2 (ja) シンチレータプレート、放射線検出器及び放射線計測システム
JP2010256067A (ja) シンチレータ構造
JP6192314B2 (ja) シンチレータ結晶体および放射線検出器
JP2015017902A (ja) 放射線検出器
CN117836614A (zh) 放射线成像装置和放射线成像方法
JP2016217875A (ja) 放射線撮像システム
JP2018075173A (ja) X線撮像装置
JP2018185237A (ja) 放射線検出器及び放射線計測システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161028

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170803

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171002

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20171214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180206

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6289033

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151