JP2013029356A - 放射線検出素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】個々の針状結晶は光学的に分離した理想形でないため、針状結晶の成長方向と平行でない方向へ漏れ光となる。その一部や伝搬光の一部が散乱され、FOPに結合して受光される。そのため、解像度の向上は限界が見られる。X線励起で生じた全発光量に占める漏れ光成分の割合は多く、その光の大部分はFOP中の光吸収ガラスで吸収され、最終的に光センサに入射する発光量は低下し、S/N比の向上も限界が生じる。
【解決手段】同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する相分離構造からなるシンチレータ結晶体と、同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する光学部材と、光検出器とからなり、かつ、該光学部材の一方の主面が該シンチレータ結晶体のいずれかの主面と、該光学部材の他方の主面が該光検出器の受光面と、それぞれ接続し、該光学部材において導波モードに結合しない光が少ない、あるいは一部を吸収する放射線検出素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射線により発光を呈する材料であるシンチレータを用いたイメージング検出素子に関するものである。
医療現場等でX線撮影に用いられているフラットパネルディテクタ(FPD)などでは、被写体を通過したX線をシンチレータで受け、そのシンチレータが発した光を受光素子で検出している。シンチレータ結晶部分には、発光した光を受光素子に効率よく伝達させるために、蒸着法にて作製されたヨウ化セシウムの針状結晶が用いられている。針状結晶は受光素子に対して垂直に配向しているため、各々の結晶間には空気からなる間隙が自然に形成される。ヨウ化セシウムの屈折率(約1.8)と空気の屈折率(1.0)の比により、高屈折率のヨウ化セシウム針状結晶中で光が全反射し、効果的に受光素子に導光するとされている。
より高い解像度のX線撮影画像を得るための一つの方法として、特許文献1が開示されている。すなわち、入射光を伝搬するコアガラスと、各コアの外周部を覆いかつ隣り合うコアの間を充填するクラッドガラスとからなるファイバーオプティックプレート(以下、「FOP」ともいう)上に、前記針状結晶を形成してシンチレーションファイバープレートとすることにより、空間解像度を向上する試みである。
さらに、特許文献2のように、コアガラスから漏れた光およびクラッドガラスに入射された光を吸収するため、クラッドガラス中に光吸収ガラスを配置することで、解像度と信号対雑音比(以下S/N比)とを向上する試みも開示されている。
特開昭63−215987号公報 特開平9−145940号公報
しかしながら、従来からの針状結晶は実際のところ、蒸着初期の結晶粒が非常に小さいため、間隙はほとんど見られない。また、針状結晶間が非常に近接することにより融着が起こる場合もある。そのため、全反射して導波すべき光が針状結晶の成長方向と平行でない方向へ散乱等で漏れ光となっている。さらに、その一部や伝搬光の一部が散乱され、FOPに結合して受光されてしまう。そのため、解像度の向上には限界が見られる。
また、上記のように、個々の針状結晶が光学的に分離した理想形となっていないため、X線励起で生じた全発光量に占める漏れ光成分の割合は多くなり、その光の大部分はFOP中の光吸収ガラスにより吸収される。よって、最終的にFOPを通して光センサに入射する発光量は低下することになり、S/N比の向上にも限界が生じる。
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、従来よりも優れた解像度およびS/N比を実現する放射線検出素子を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する相分離構造からなるシンチレータ結晶体(以下、「相分離シンチレータ」ともいう)と、同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する光学部材と、光検出器とからなり、かつ、該光学部材の一方の主面が該シンチレータ結晶体のいずれかの主面と、該光学部材の他方の主面が該光検出器の受光面と、それぞれ接続し、該光学部材において導波モードに結合しない光が少ない、あるいは一部を吸収することを特徴とする放射線検出素子が提供される。
前記相分離シンチレータとは、近年我々が見出した新しいシンチレータであり、図2に示すように、シリンダー材料(コア材料)21とマトリックス材料(クラッド材料)22との相分離現象を利用して、シンチレータ自身に導光作用を付加したものである。相分離シンチレータは、シリンダー材料とマトリックス材料との屈折率差によって、シリンダー材料の成長方向、すなわち一軸方向へより高い導光特性を有するため、X線励起で生じた発光の漏れ光は減少する。該相分離シンチレータと光導波性を有する光学部材とを組み合わせて用いることで、生じた全発光量に占める漏れ光成分の割合がより少なくなり、高解像度が実現可能となる。
光導波性を有する光学部材としては、光ファイバーの束で構成され、上記光ファイバー間に光吸収部材が配置されているFOPを用いることで、前記光吸収部材により、漏れ光成分をさらに少なくすることが可能となって、より優れた解像度およびS/N比を実現することができる。
また、上記シンチレータ結晶体および上記光学部材はいずれも屈折率の異なる2相から構成されており、上記光学部材における屈折率比(低屈折率相の屈折率/高屈折率相の屈折率)が上記シンチレータ結晶体における屈折率比(低屈折率相の屈折率/高屈折率相の屈折率)より小さく、上記光学部材の低屈折率相内に上記光吸収部材が配置されている場合、漏れ光成分が大幅に少なくなるため、より一層のS/N比の向上が可能である。
さらに、上記シンチレータ結晶体における高屈折率媒質の屈折率をn、低屈折率媒質の屈折率をn、上記光学部材における高屈折率媒質の屈折率をn、低屈折率媒質の屈折率をnとしたとき、式1が成り立つ場合、漏れ光成分自体がほとんど生じなくなるため、もっとも優れたS/N比を実現できる。
Figure 2013029356
本発明によれば、各々屈折率の異なる2相から構成される、相分離シンチレータおよび光学部材を組み合わせれば、X線励起で生じた全発光量に占める漏れ光成分の割合を少なくすることが可能になる放射線検出素子を得ることができる。これにより、光の利用効率が向上し、光検出層に到達する受光量が増えるため、高い解像度とS/N比を実現できるようになる。
本発明に係る放射線検出素子の断面図である。 本発明に係る相分離シンチレータの説明図である。 本発明に係る光学部材の説明図である。 本発明に係る、(A)相分離シンチレータの高屈折率相の屈折率が光学部材の高屈折率相の屈折率よりも大きい場合、(B)相分離シンチレータの高屈折率相の屈折率が光学部材の高屈折率相の屈折率よりも小さい場合の発光伝搬の説明図である。 本発明の実施例に係るブリッジマン炉の説明図である。 本発明の比較例に係る放射線検出素子の断面図である。 本発明の実施例および比較例に係る発光の伝搬特性の評価測定系の説明図である。 本発明の実施例および比較例に係る発光伝搬プロファイルである。 本発明の放射線検出器の概要を表す図である。
以下、図面等を用いて本発明を実施するための形態を説明する。尚、本発明を実施するための形態としては、様々な形態(様々な構成や、様々な材料)があるが、全ての実施形態に共通することは、2つの結晶相を有し、一方の結晶相と、一方の結晶相よりも屈折率が大きい他方の結晶相との2相を備える相分離構造を有するシンチレータ結晶体が、互いに同一面上に位置しない第一の主面と第二の主面とに他方の結晶相が露出する部分を有し、他方の結晶相の第一の主面に露出する部分と第二の主面に露出する部分とがつながっていることである。これによって、高屈折率の結晶相内の光は、高屈折率相の周りに位置する低屈折率の結晶相によって全反射され、結果、高屈折率結晶内を導波されながら進む。その際、高屈折率の結晶相は、第一の主面と第二の主面とに露出するとともに、この露出部がつながっているため、導波(光ガイディング)は、第一の主面または第二の主面に向けて行われる。これらは換言すると、シンチレータ結晶体内で生じた光は、より屈折率の大きい他方の結晶相内に閉じ込められながら(つまり光が広がることなく)、第一の主面または第二の主面に向けて進行するといえる。このようにして、本発明の全ての実施形態は、シンチレータ結晶体自体が、導波機能(光ガイディング機能)を有する。尚、ここで、例えば第一の主面101とは、光検出器に対向する面であり、第二の主面102とは、X線等の放射線が入射する面である(図9参照)。これによって、シンチレータ結晶体103で発生した光を光検出器104に向けて導波(光ガイディング)することが可能となり、光の利用効率の優れたシンチレータ結晶体103の提供と、これを用いた、高輝度、高解像度の放射線検出器105の提供が可能となる。なお、106は基板である。
尚、以下に説明する各実施形態においては、低屈折率相である一方の結晶相も、第一の主面と第二の主面とに露出する部分を有し、これら露出部がつながっている構成が好ましい。これによって、高屈折率相である他方の結晶相内の光を、より確実に、第一の主面または第二の主面に、広がることなく導波(光ガイディング)することが可能となる。
また、低屈折率相である一方の結晶相が、高屈折率相である他方の結晶相中に位置している構成が好ましい。これによって、シンチレータ結晶体における低屈折率相である一方の結晶相が占める割合を抑えながら、十分な導波機能(光ガイディング機能)を得ることができる。
本発明に係る放射線検出素子の断面図の構成を図1に示す。
本発明の放射線検出素子は、基板10上に複数の画素11a、11bがあり、画素11aと画素11aに隣接する画素11bとは画素境界12で分かれており、各々の画素には受光部13がある。また、図1に示すように、基板10より順に受光部13を含む光検出層14、保護層15、下地層16、光学部材17、相分離シンチレータ18、反射層19が構成される。シンチレータ結晶体は、同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する相分離構造からなる。光学部材は、同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する。光学部材の一方の主面はシンチレータ結晶体のいずれかの主面と接続する。また、光学部材の他方の主面は光検出器の受光面と接続する。光学部材において、導波モードに結合しない光は少ない、あるいは一部を吸収する。各構成部材間の接着性を向上するために、各構成部材間、例えば、シンチレータ結晶体のいずれかの主面と光学部材の一方の主面との間や、光学部材の他方の主面と光検出器の受光面との間には、各構成部材の接続を担う接続層20が少なくとも一層挿入されても、光導波性を著しく低下させなければ構わない。
尚、実際の放射線検出素子においては、光検出層14の受光部13の他に、画素毎に配置されるTFT(Thin Film Transistor)など、図示していないものも数多く含まれている。しかし、本発明を簡潔に説明する為、本質的な部分以外については割愛している。
ここで、保護層15とは光検出層14を機械的・電気的に保護する目的で配置するものであり、単層・複数層から構成されていてよい。また、下地層16は、光学部材17がアルカリハライド系材料で構成される場合、保護層15を超えて光検出層14へのハロゲン成分の拡散等による劣化を防ぐために配置してもよい。
また、同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する相分離構造からなる相分離シンチレータ18からの光を受光部13に向かわせるために、相分離シンチレータ18を挟んで光検出層14の反対側に反射層19を設けることが好ましい。
相分離シンチレータは、例えば図2に示すように、屈折率の異なる、シリンダー材料21とマトリックス材料22から構成される。両材料の屈折率差によって、シリンダー材料21の成長方向、すなわち一軸方向へより高い光導波性を有する。両材料の少なくとも一相の材料がシンチレーション特性を有すれば、様々な組み合わせが可能である。例えば、CsI−NaCl相分離シンチレータの場合、NaClがシリンダー材料、CsIがマトリックス材料である。例えばCsI側にTlやInなどの発光中心物質を添加することで、シンチレーション特性によって生じた発光は一軸方向へ効率良く導光することができる。
また、シリンダー材料がシンチレーション特性を有する例として、NaI−RbI相分離シンチレータがある。NaIがシリンダー材料、RbIがマトリックス材料であり、NaI側に例えばTlやInなどの発光中心物質を添加することで、シンチレーション特性によって生じた発光は一軸方向へ効率良く導光することができる。
同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する光学部材は、例えば図3に示すように、屈折率の異なる2相から構成される。光学部材がFOPである場合、下記で述べるシリンダー材料31およびマトリックス材料32は、コアガラスおよびクラッドガラスからなる光ファイバーの束が集まって構成される。なお、コアガラスの断面形状は、六角形以外にも多角形や円形、あるいは曲線で囲まれた形状であっても構わない。ここで、コアガラスは高屈折率、クラッドガラスは低屈折率であり、両ガラスの屈折率差によって、光ファイバーの成長方向、すなわち一軸方向への光導波性を有する。さらに、光ファイバー間、すなわち低屈折率相内としてのクラッドガラス中に光吸収部材33を配置することにより、漏れ光を少なくできるため、より優れた解像度およびS/N比を実現することができる。つまり、光学部材において、導波モードに結合しない光が少ない、あるいは一部を吸収することができる。
また、上記FOPは、3mmの厚さでのX線透過率が0.25%であり、光検出層へのダメージを低減することができる。
また、光学部材が相分離する材料からなる場合、屈折率の異なる、シリンダー材料31とマトリックス材料32から構成され、様々な組み合わせが可能である。この場合にも、両材料の屈折率差によって、シリンダーの成長方向、すなわち一軸方向への導光特性を有する。さらには、両材料のうち低屈折率側に光吸収部材33を配置することにより、漏れ光を低減してもよい。ここで、光吸収材料は、漏れ光成分を減らす効果があれば良いので、他にも波長変換材料により、光検出層の感度外の波長の光に変換させる構成でも構わない。
また、上記相分離する材料の密度が高い場合、光学部材の厚さが薄くてもX線透過による光検出層へのダメージをFOPと同程度に低減することができる。
次に、同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する相分離構造からなる相分離シンチレータと同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する光学部材との屈折率の関係について説明する。相分離シンチレータおよび光学部材はいずれも屈折率の異なる2相から構成される。光学部材における屈折率比(低屈折率相の屈折率/高屈折率相の屈折率)が相分離シンチレータにおける屈折率比(低屈折率相の屈折率/高屈折率相の屈折率)より小さい場合、光学部材の臨界角は相分離シンチレータの臨界角より小さくなる。ここで、臨界角とは、屈折率が大きい材料から小さい材料に光が入る際に全反射が起きる最小の入射角のことである。臨界角がより小さければ、全反射が多い、つまり導波モードに結合しない光が少ない、すなわち、漏れ光の発生自体を少なくすることができるため、光の利用効率が向上する。
以下、相分離シンチレータがCsI−NaCl相分離材料(屈折率比0.876)である場合を例に挙げてさらに説明する。光学部材としてファイバーオプティックプレート(FOP)を用いる場合、PbOの含有量を増やすことによって屈折率を増加させることが可能である。例としてPbO含有率と屈折率の関係を表1に示す。
Figure 2013029356
そこで例えば、PbOを82重量%含有するコアガラスと、PbOを55重量%含有するクラッドガラスとで構成されるFOPを用いれば、屈折率比は0.858となり、CsI−NaCl相分離シンチレータの屈折率比より小さくなり、好ましい。また、光学部材としてNaI−NaCl相分離材料を用いれば、屈折率比は0.838であり、この場合もCsI−NaCl相分離シンチレータの屈折率比より小さくなり、好ましい。
さらに、各材料の屈折率が式1を満たすときについて以下に述べる。なお、図4(A)は、相分離シンチレータの高屈折率相41の屈折率が光学部材の高屈折率相43の屈折率よりも大きい場合を示している。また、図4(B)は、相分離シンチレータの高屈折率相41の屈折率が光学部材の高屈折率相43の屈折率よりも小さい場合の発光伝播を示している。
相分離シンチレータの高屈折率相41中で生じる発光のうち、相分離シンチレータの高屈折率相41と低屈折率相42との境界面に対して、臨界角48以上で入射する光を伝搬光45、臨界角以下の入射角47で入射する光を伝搬光46とする。
伝搬光45は、高屈折率相41中を導波モード、すなわち、全反射を繰り返しながら伝搬し、相分離シンチレータの高屈折率相41と光学部材の高屈折率相43との間で屈折を生じる。しかしながら、式1を満たしていれば、光学部材の高屈折率相43中においても、伝搬光45は、光学部材の高屈折率相43と低屈折率相44との境界面に対して、臨界角以上の入射角49で入射する。その結果、導波モードを維持できるため、光の損失を大幅に低減できることになって、より好ましい。
Figure 2013029356
はシンチレータ結晶体における高屈折率媒質の屈折率、nは低屈折率媒質の屈折率、nは前記光学部材における高屈折率媒質の屈折率、nは低屈折率媒質の屈折率である。
また、横方向へ広がって伝わる一例である伝搬光46は、最終的には光学部材の低屈折率相44中に配置された光吸収部材により吸収される。
上記のような構成とすることで、導波モードを維持し、光の損失を低減して、光の利用効率が向上するため、光検出層に到達する光量が増す。また、全反射で導波される光が散乱等により漏れ光になることがないため、優れた解像度およびS/N比を実現することができる。つまり、光学部材において、導波モードに結合しない光が少ない、あるいは一部を吸収することができる。
表2に本発明で好ましい材料構成の一例について示す。
Figure 2013029356
ここで、従来技術では針状結晶の不完全性から散乱要因が内在しており、全反射で導波されるべき光が散乱等により漏れ光となり、受光されるべき成分が光学部材の低屈折率相44に吸収され、受光量が著しく減る。また、散乱された全反射成分や伝搬光46は、光学部材44に吸収されるべき成分であるが、その一部が散乱され光学部材に結合してしまい、その成分は受光され空間分解能の劣化をもたらす。
以上のように、本発明の構成、特にお互いに導波特性に優れた、相分離シンチレータと光学部材とからなる構成を用いれば、漏れ光成分の割合を少なくでき、また光の利用効率も向上できる。そのため、従来よりも優れた解像度およびS/N比を有する放射線検出素子を実現することができる。
以下、本発明の放射線検出素子の実施例および比較例について詳細を説明する。
[比較例]
以下に、針状結晶シンチレータと光学部材とからなる放射線検出素子の比較例を示す。
図6は、本発明の比較例に係る放射線検出素子の断面図である。まず、カーボン基板62上にスパッタリング成膜装置を用い、反射層としてAl反射膜を膜厚50nmまで成膜した。その後、針状結晶シンチレータ61の膜を以下の方法で膜厚400μmまで成長させた。CsIとTlIの粉末を別々の蒸着ボートに投入し、CsIのボートを700℃、TlIのボートを300℃に加熱することで共蒸着を行った。その他のパラメータは、Arのガス圧が0.8Pa、基板温度が200℃の条件とした。
上記針状結晶シンチレータ膜面と、光学部材である市販のファイバーオプティックプレート(FOP)の片面とを光学接着剤を用いて貼り合わせた後、FOPのもう一方の面と市販のフラットパネル光センサ面とを光学接着剤を用いて貼り合わせた。
このようにして作製した放射線検出素子に対して、X線励起による発光の伝搬特性を評価した。図7は、発光の伝搬特性の評価測定系の説明図である。X線源71、シャッター72およびAlフィルター73を備えるX線照射装置内で、X線を直径100μmの開口を有するタングステンマスク74を通してスポット状に照射できるように放射線検出素子75を配置し、検出光の広がりを評価した。その結果、図8に示す発光伝搬プロファイルを得た。なお、グラフ縦軸は発光輝度を規格化している。プロファイルの半値幅は248μmであり、すその部分では漏れ光成分が見られた。
[実施例1]
以下に、相分離シンチレータと光学部材(FOP)とからなる放射線検出素子の実施例を示す。
まず、CsI(マトリックス材料)に対して、NaCl(シリンダー材料)を31.5mol%およびInI(発光中心)を0.1mol%混合した粉末を準備し、石英管に真空封じし、試料とした。次に、試料53を図5のようなブリッジマン炉に導入し、ヒーター部51で800℃まで昇温させ、試料全体が溶融した後、30分保持してから、融液温度を表1にある共晶温度490℃より20℃高い温度まで降温した。その後、試料を約10mm/時の速度で引き下げて試料下部より逐次凝固するようにした。
また、試料の引き下げにより、炉の冷却水が循環している水冷部52の領域に試料が突入することで、試料が溶融している部分と凝固している部分との境界である固液界面での温度差が30℃/mm以上となるようにした。このようにして、一方向に沿って試料を凝固させることで、図2に示すような相分離構造体を生成した。このようにして作製した相分離シンチレータを組成分析の可能な走査型電子顕微鏡(日立製S−5500)で観察したところ、シリンダー材料21がNaClであり、マトリックス材料22がCsIであった。
CsI−NaCl相分離シンチレータをシリンダー材料の成長方向と垂直になる方向に厚さ400μmで切り出し、平板状に両面を研磨した後、片面に反射層としてAl反射膜を50nmの厚さまで成膜した。
その後、Al反射膜を成膜していない面と、FOP光学部材と、フラットパネル光センサ面とを光学接着剤を用いて貼り合わせた。
このようにして作製した放射線検出素子に対して、比較例と同様にX線励起による発光の伝搬特性を評価した結果、図8に示す発光伝搬プロファイルを得た。プロファイルの半値幅は106μmであり、比較例と比べて高い解像度が得られた。また、すその部分の漏れ光成分も低減されているため、S/N比の向上を確認できた。
[実施例2]
以下に、相分離シンチレータと光学部材(FOP)とからなる放射線検出素子の実施例を示す。
まず、RbI(マトリックス材料)に対して、NaI(シリンダー材料)を49.7mol%およびTlI(発光中心)を0.1mol%混合した粉末を準備し、石英管に真空封じし、試料とした。次に、試料53を図5のようなブリッジマン炉に導入し、ヒーター部51で800℃まで昇温させ、試料全体が溶融した後、30分保持してから、融液温度を表1にある共晶温度505℃より20℃高い温度まで降温した。その後、試料を約10mm/時の速度で引き下げて試料下部より逐次凝固するようにした。
また、試料の引き下げにより、炉の冷却水が循環している水冷部52の領域に試料が突入することで、試料が溶融している部分と凝固している部分との境界である固液界面での温度差が30℃/mm以上となるようにした。このようにして、一方向に沿って試料を凝固させることで、図2に示すような相分離構造体を生成した。このようにして作製した相分離シンチレータを組成分析の可能な走査型電子顕微鏡(日立製S−5500)で観察したところ、シリンダー材料21がNaIであり、マトリックス材料22がRbIであった。
NaI−RbI相分離シンチレータをシリンダー材料の成長方向と垂直になる方向に厚さ400μmで切り出し、平板状に両面を研磨した後、片面に反射層としてAl反射膜を50nmの厚さまで成膜した。
その後、Al反射膜を成膜していない面と、FOP光学部材と、フラットパネル光センサ面とを光学接着剤を用いて貼り合わせた。
このようにして作製した放射線検出素子に対して、比較例と同様にX線励起による発光の伝搬特性を評価したところ、実施例1と同様に高い分解能とS/N比の向上を確認した。
[実施例3]
以下に、相分離シンチレータと光学部材(相分離材料)とからなる放射線検出素子の実施例を示す。
実施例1と同様にしてCsI−NaCl相分離シンチレータを作製した。その後、シリンダー材料の成長方向と垂直になる方向に厚さ400μmで切り出し、平板状に両面を研磨し、片面に反射層としてAl反射膜を50nmの厚さまで成膜した。
次に、CsBr(マトリックス材料)に対して、NaF(シリンダー材料)を6.0mol%混合した粉末を準備し、石英管に真空封じし、試料とした。次に、試料53を図5のようなブリッジマン炉に導入し、ヒーター部51で800℃まで昇温させ、試料全体が溶融した後、30分保持してから、融液温度を表1にある共晶温度595℃より20℃高い温度まで降温した。その後、試料を約10mm/時の速度で引き下げて試料下部より逐次凝固するようにした。
また、試料の引き下げにより、炉の冷却水が循環している水冷部52の領域に試料が突入することで、試料が溶融している部分と凝固している部分との境界である固液界面での温度差が30℃/mm以上となるようにした。このようにして、一方向に沿って試料を凝固させることで、図2に示すような相分離構造体を生成した。このようにして作製した相分離シンチレータを組成分析の可能な走査型電子顕微鏡(日立製S−5500)で観察したところ、シリンダー材料21がNaFであり、マトリックス材料22がCsBrであった。
その後、CsBr−NaF相分離光学部材をシリンダー材料の成長方向と垂直になる方向に厚さ1mmで切り出し、平板状に両面を研磨した。
CsI−NaCl相分離シンチレータのAl反射膜を成膜していない面と、CsBr−NaF相分離光学部材と、フラットパネル光センサとを光学接着剤を用いて貼り合わせた。
このようにして作製した放射線検出素子に対して、比較例と同様にX線励起による発光の伝搬特性を評価したところ、実施例1と同様に高い分解能とS/N比の向上を確認した。
10 基板
11a、11b 画素
12 画素境界
13 受光部
14 光検出層
15 保護層
16 下地層
17 光学部材
18 相分離シンチレータ
19 反射層
20 接続層

Claims (5)

  1. 同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する相分離構造からなるシンチレータ結晶体と、同一面上にない2つの主面を結ぶ方向に光導波性を有する光学部材と、光検出器とからなり、かつ、該光学部材の一方の主面が該シンチレータ結晶体のいずれかの主面と、該光学部材の他方の主面が該光検出器の受光面と、それぞれ接続し、該光学部材において導波モードに結合しない光が少ない、あるいは一部を吸収することを特徴とする放射線検出素子。
  2. 前記光学部材が、光ファイバーの束で構成され、前記光ファイバー間に光吸収部材が配置されている請求項1に記載の放射線検出素子。
  3. 前記シンチレータ結晶体および前記光学部材はいずれも屈折率の異なる2相から構成されており、前記光学部材における屈折率比(低屈折率相の屈折率/高屈折率相の屈折率)が前記シンチレータ結晶体における屈折率比(低屈折率相の屈折率/高屈折率相の屈折率)より小さく、前記光学部材の低屈折率相内に前記光吸収部材が配置されている請求項1に記載の放射線検出素子。
  4. 前記シンチレータ結晶体における高屈折率媒質の屈折率をn、低屈折率媒質の屈折率をn、前記光学部材における高屈折率媒質の屈折率をn、低屈折率媒質の屈折率をnとしたとき、以下の式1が成り立つ請求項1に記載の放射線検出素子。
    Figure 2013029356
  5. 前記シンチレータ結晶体と前記光学部材との間、および前記光学部材と前記光検出器との間の少なくとも一方に、接続を担う層が少なくとも一層挿入されている請求項1に記載の放射線検出素子。
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