JP2021113803A - 放射線撮像装置及び放射線撮像システム - Google Patents

放射線撮像装置及び放射線撮像システム Download PDF

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智啓 保科
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航太 西部
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智之 大池
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玉樹 小林
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Abstract

【課題】DQEの低下を抑制しつつ、MTFを向上させることが可能な放射線撮像装置を提供する。【解決手段】入射した放射線Rを光に変換するシンチレータ120と、光を電気信号に変換するセンサパネル140と、シンチレータ120とセンサパネル140との間に配置された部材130とを備え、部材130の吸収ピーク波長は、シンチレータ120の発光ピーク波長よりも長波長である。【選択図】図1

Description

本発明は、放射線撮像装置及び放射線撮像システムに関するものである。特に、放射線撮像装置としては、医療画像診断装置や分析装置等に用いて好適なものである。
DR(Digital Radiography)は、患者等の被検体を透過したX線等の放射線をセンサにおいて電気信号に変換し、この電気信号に基づく放射線画像をディスプレイ等に表示させるための装置である。特に、間接型と呼ばれるDRでは、入射した放射線は、シンチレータ(蛍光体)において可視光に変換され、この可視光がセンサを構成する光電変換素子において電気信号に変換される。
近年、体内に埋め込まれたステント等の医療機器デバイスの小型化が進み、これに伴い、より細かい物を鮮明に描写できるDRが求められている。言い換えると、被検体の持つコントラストをどれくらい忠実に再現できるかを示すパラメータであるMTF(Modulate Transfer Function)について、高いMTFを有するDRのニーズが高まってきている。この高いMTFを達成する技術として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の技術がある。
特開2011−257143号公報 特許第5911274号公報
DRにおいては、MTFと同様に重要なパラメータの1つに、DQE(Detective Quantum Efficiency)がある。このDQEは、画像のノイズを表すパラメータ(画像の画質を表すパラメータ)であり、上述したMTFと同様に、高ければ高い程、良いDRであると言える。
特許文献1には、シンチレータにおける放射線の入射面側に配置された樹脂層を構成する色材を変えることで、樹脂層(反射層)における光の反射率や吸収率を変更できるようにして、仕様に応じたDRのチューニングを可能とする技術が記載されている。一般的には、反射層の反射率を下げることで、散乱線が低減されるため、MTFが向上する。しかしながら、一方で、反射層の低反射率化によって、DQEも低下してしまうことが知られている。これは、より高線量の放射線を入射させなければ、得られる放射線画像のノイズが大きくなってしまうことを意味しており、また、より高線量の放射線を入射させることは、患者の放射線被ばく線量が増えてしまうという副作用がある。即ち、特許文献1に記載の技術では、DQEの低下を抑制しつつ、MTFを向上させることは困難であるという問題があった。
また、特許文献2には、センサに入射する光のうち、斜め方向から入射する光に関しては、シンチレータとセンサとの間に配置される部材の屈折率を調整することで、光路長を伸ばす技術が記載されている。特許文献2では、このようにすることで、斜め方向から入射する光が吸収されやすく、MTFが向上する効果が期待できる。一方で、特許文献2では、DQEに関しては何ら考慮されていない。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、DQEの低下を抑制しつつ、MTFを向上させることが可能な放射線撮像装置及び放射線撮像システムを提供することを目的とする。
本発明の放射線撮像装置は、入射した放射線を光に変換するシンチレータと、前記光を電気信号に変換するセンサと、前記シンチレータと前記センサとの間に配置された部材(光吸収部材または光反射部材)と、を有し、前記部材の吸収ピーク波長または反射ピーク波長は、前記シンチレータの発光ピーク波長よりも長波長である。
また、本発明は、上述した放射線撮像装置を有する放射線撮像システムを含む。
本発明によれば、DQEの低下を抑制しつつ、MTFを向上させることが可能な放射線撮像装置及び放射線撮像システムを提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る放射線撮像装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態を示し、図1のシンチレータにおける発光スペクトルの一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態を示し、図1のシンチレータの内部における光の伝搬を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態を示し、図3(b)の臨界角における波長依存性の計算結果を示す図である。 本発明の第1の実施形態を示し、図1に示すシンチレータの発光ピーク波長と、図1に示す光吸収部材の吸収ピーク波長との関係の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る放射線撮像装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る放射線撮像装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の第3の実施形態を示し、図7に示すセンサチップの表面に形成されている1つの画素に含まれるフォトダイオードの受光部の拡大図である。 本発明の第3の実施形態に係る放射線撮像装置において、MTF及びDQEの測定結果を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る放射線撮像装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る放射線撮像装置において、図10に示す光吸収部材の構成材料として含める染料として適用可能な「特定波長吸収色素」の吸収スペクトルを示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る放射線撮像装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の第5の実施形態を示し、図12に示す光反射部材の透過率と波長との関係の一例を示す図である。 本発明の第6の実施形態に係る放射線撮像装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の第7の実施形態に係る放射線撮像装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の第8の実施形態に係る放射線撮像システムの概略構成の一例を示す図である。
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。本明細書においては、本発明における光は、可視光及び赤外線を含み、また、本発明における放射線は、X線、α線、β線及びγ線を含む。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮像装置100の概略構成の一例を示す図である。ここで、以下の説明では、図1に示す第1の実施形態に係る放射線撮像装置100を、「放射線撮像装置100−1」として記載する。また、図1に示す放射線撮像装置100−1は、放射線Rの入射方向における断面図を示している。
放射線撮像装置100−1は、図1に示すように、保護層110、シンチレータ120、光吸収部材130、センサパネル140、及び、配線150を有して構成されている。
保護層110は、シンチレータ120を保護する層である。この保護層110は、アルミニウムなどの金属材料を用いることができる。
シンチレータ120は、保護層110を介して入射した、患者等の被検体を透過した放射線Rを、光(例えば、可視光)に変換する蛍光体である。本実施形態のシンチレータ120は、例えば柱状構造を有する蛍光体から構成されている。本実施形態のシンチレータ120を構成する蛍光体としては、例えば、CsI:Tlや、CsI:Na、CsBr:Tl、NaI:Tl、LiI:Eu、KI:Tl等が用いられ、蒸着によってセンサパネル140の上に形成される。また、本実施形態のシンチレータ120を構成する柱状構造を有する蛍光体は、一般的に、吸湿により柱状構造が崩れてしまい、特性が劣化してしまう。よって、本実施形態では、保護層110などで密閉することにより、湿度の浸入を抑制し、特性の劣化を防ぐ。また、輝度確保のために、保護層110におけるシンチレータ120の側に、PET等の有機物の中にTiO2等の反射物質を分散した層または板を配することもできる。
光吸収部材130は、シンチレータ120とセンサパネル140との間に配置され、主として、シンチレータ120によって変換された光の発光ピーク波長よりも長波長側の成分(以下、長波長成分と称する)を吸収する部材である。
センサパネル140は、シンチレータ120によって変換された光であって光吸収部材130を透過した光を、電気信号に変換する構造体である。このセンサパネル140は、例えば、非結晶シリコンを用いたPIN型センサやMIS型センサ等を含み構成されている。センサパネル140には、その上面に、光電変換素子を構成するフォトダイオードを含む画素が2次元アレイ状に配置されている。また、センサパネル140は、フォトダイオードにおいて光から変換された電気信号を処理するアンプ等のCMOS回路を有して構成されている。
配線150は、センサパネル140で得られた電気信号を外部の電気基板に送るため等に設けられた、FPC等の配線である。
図2は、本発明の第1の実施形態を示し、図1のシンチレータ120における発光スペクトルの一例を示す図である。具体的に、図2は、図1のシンチレータ120として、CsI:Tlを用いた場合の発光スペクトルを示している。
図2のように、本実施形態のシンチレータ120として用いる柱状構造を有するCsI:Tlは、例えば550nm付近を発光ピーク波長とし、この発光ピーク波長よりも短波長側は300nmから長波長側は900nmまでのブロードな発光スペクトルを有する。
図3は、本発明の第1の実施形態を示し、図1のシンチレータ120の内部における光の伝搬を説明するための図である。
図3(a)は、シンチレータ120の内部で光が柱状構造を伝搬する様子を示す模式図である。図3(a)において、放射線Rは、シンチレータ120に入射した後、発光点121で光に変換される。図3(a)で示す矢印は、光が柱状構造中を伝搬する様子を示している。
図3(b)は、図3(a)に示すA領域310の拡大図であり、CsI境界における光の振る舞いを示す図である。
図3(b)の上段に示す、CsI境界への光の入射角θが小さい場合、発光ピーク波長よりも短波長側の成分(以下、短波長成分と称する)の光及び長波長成分の光は、CsI境界において、反射と屈折を生じる。即ち、CsIの柱状構造の内部に残留する成分(反射)とCsIの柱状構造の外部に漏れる成分(屈折)との2種類に分かれる。CsIの柱状構造の外部に漏れる成分は、拡散する光であるため、MTFを低下させる要因となっている。この入射角θが小さい場合には、短波長及び長波長に関わらず、このようなCsIの柱状構造の外部に漏れる光が存在している。
次に、図3(b)の下段に示す、CsI境界への光の入射角θが大きい場合について考える。入射角θが或る角度を超えると、図3(b)の下段の左側に示すように、短波長成分の光は、全てCsIの柱状構造の内部に留まる。この現象を全反射と呼び、そのときの入射角θを臨界角θcと呼ぶ。次に、短波長成分における臨界角θcと同じ角度で、長波長成分の光がCsI境界に入射した場合を考える。この場合、短波長成分の光では全反射が生じていた入射角θ(臨界角θc)であっても、図3(b)の下段の右側に示すように、長波長成分の光では、依然として反射・屈折が生じている。この場合、臨界角θcから更に入射角を大きくすることで、長波長成分の光も全反射を起こすようになる。即ち、短波長成分の光と長波長成分の光とでは、臨界角が異なる上、一般的に、長波長成分の光ほど臨界角が大きい。これは、物質の屈折率が波長によって異なるために生じる現象である。
図4は、本発明の第1の実施形態を示し、図3(b)の臨界角θcにおける波長依存性の計算結果を示す図である。一般的に、臨界角θcは、以下の(1)式で表すことができる。
θc=arc sin(n2/n1) ・・・(1)
この(1)式において、n2は空気中における屈折率であり、n1は物質中(今回は、CsI内部)における屈折率である。n2は常に1であり、n1は波長によって異なる。
図4の計算結果から分かるように、波長が長いほど臨界角θcが大きいことが分かる。
図3(a)に示す発光点121から光が全方向に等しく拡散していると仮定すると、臨界角θcが大きいほど、全反射が生じにくいため、CsIの柱状構造の外部に光が漏れやすい。即ち、MTFを劣化させやすい。よって、本実施形態においては、このようなMTF劣化の要因となるような長波長成分の光が、センサパネル140の内部に入射しないように、長波長成分の光を吸収する光吸収部材130を、シンチレータ120とセンサパネル140との間に設ける。このような光吸収部材130の主成分としては、シリコン系樹脂や、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、パラキシリレン、アクリル等の有機物質を含む樹脂が用いられ、例えば、熱硬化型のポリイミド系樹脂が代表的である。そして、光吸収部材130としては、分光吸収特性を持たせるために顔料や染料等を分散させる。この際、顔料は、粒径が大きいため、光を分散させ、MTFを悪化させてしまう可能性があるため、性能面においては、染料の方が好ましいが、求められる仕様及びコストに応じて適宜選択することが好ましい。
図5は、本発明の第1の実施形態を示し、図1に示すシンチレータ120の発光ピーク波長と、図1に示す光吸収部材130の吸収ピーク波長との関係の一例を示す図である。ここで、図5においては、実線で示された特性が、右側の縦軸に示す発光強度(相対発光強度)に係るシンチレータ120の発光スペクトル特性である。具体的に、図5において実線で示されたシンチレータ120の発光スペクトル特性は、CsIの発光スペクトル特性を示している。また、図5においては、点線で示された特性が、左側の縦軸に示す透過率に係る光吸収部材130の分光透過特性である。換言すれば、図5において点線で示された分光透過特性が小さいほど、光吸収部材130の分光吸収特性が大きいことになる。
本実施形態では、図5に示すように、光吸収部材130の吸収ピーク波長502(例えば、670nm付近)は、シンチレータ120の発光ピーク波長501(例えば、540nm付近)よりも長波長となっている。このような構成とすることで、シンチレータ120で放射線Rから光に変換された光のうち、CsIの柱状構造の外部に出やすい光、即ち長波長成分の光が光吸収部材130で吸収され、MTFの劣化を防ぐことができる。また、光吸収部材130においては、短波長成分の光は透過するため、DQEの劣化(低下)を抑制することができる。また、本実施形態においては、光吸収部材130の吸収ピークにおける吸収率は、50%以上であることが好ましい(図5に示す例で言えば、光吸収部材130の吸収ピークにおける透過率は、50%未満であることが好ましい)。これは、光吸収部材130の吸収ピークの吸収率が50%よりも低すぎる場合、仮に吸収ピーク波長502が発光ピーク波長501よりも長波長であったとしても、ほとんどの光が透過してしまうため、実質的に光吸収部材130の役割を果たさないためである。
以上説明したように、第1の実施形態に係る放射線撮像装置100−1では、光吸収部材130の吸収ピーク波長502は、シンチレータ120の発光ピーク波長501よりも長波長であるように構成している。
かかる構成によれば、DQEの低下を抑制しつつ、MTFを向上させることが可能な放射線撮像装置100を提供することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第2の実施形態の説明においては、上述した第1の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1の実施形態と異なる事項について説明を行う。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る放射線撮像装置100の概略構成の一例を示す図である。ここで、以下の説明では、図6に示す第2の実施形態に係る放射線撮像装置100を、「放射線撮像装置100−2」として記載する。また、図6に示す放射線撮像装置100−2は、放射線Rの入射方向における断面図を示している。なお、図6に示す放射線撮像装置100−2において、図1に示す放射線撮像装置100−1と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図6に示す放射線撮像装置100−2は、保護層110に替えて、光吸収部材132をシンチレータ120の側壁にも形成するとともに、新たにシンチレータ基台160を設けたものである。具体的に、図6に示す放射線撮像装置100−2は、シンチレータ基台160にシンチレータ120を接合したものを、光吸収部材132を介してセンサパネル140に貼り合せるタイプ(間接方式)を示している。
この間接方式では、光吸収部材132の主成分は、粘着性を有する必要があり、例えば、アクリル系、エポキシ系、オレフィン系、シリコン系等の樹脂が用いられうる。特に、光吸収部材132の主成分としては、光学的に透過率の高いアクリル系のものがよい。また、光吸収部材132の主成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び加熱溶融固化型ホットメルト樹脂(例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等を主成分としたもの)でもよい。そして、本実施形態の光吸収部材132は、上述した主成分を内部に上述した第1の実施形態と同様に顔料や染料等を混ぜ合わせて、分光吸収特性を持たせる。また、第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様に、光吸収部材132の吸収ピーク波長(図5の波長502に相当)は、シンチレータ120の発光ピーク波長(図5の波長501に相当)よりも長波長であるように構成する。このような構成とすることで、間接方式においても、シンチレータ120で発生した光のうち、MTFの劣化の要因となる光、即ち長波長成分の光を光吸収部材132で吸収して除去できるため、MTFの向上を図ることができる。
第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様に、DQEの低下を抑制しつつ、MTFを向上させることが可能な放射線撮像装置100を提供することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第3の実施形態の説明においては、上述した第1及び第2の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1及び第2の実施形態と異なる事項について説明を行う。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る放射線撮像装置100の概略構成の一例を示す図である。ここで、以下の説明では、図7に示す第3の実施形態に係る放射線撮像装置100を、「放射線撮像装置100−3」として記載する。また、図7に示す放射線撮像装置100−3は、放射線Rの入射方向における断面図を示している。なお、図7に示す放射線撮像装置100−3において、図1に示す放射線撮像装置100−1及び図6に示す放射線撮像装置100−2と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図7に示す放射線撮像装置100−3は、図6に示す放射線撮像装置100−2のセンサパネル140が、複数のセンサチップ143として構成されている。このようなセンサチップ143としては、結晶シリコンを用いたCMOSセンサチップ等が挙げられる。そして、本実施形態では、複数のセンサチップ143を、チップ固定材170を介して基台180に等間隔に並べて配置する。この際、基台180は、表面の平坦性が担保されている物質で構成されていることが好ましく、この場合の物質としては、例えば、金属やガラス等が用いられる。また、基台180の材料選定に当たっては、熱膨張係数も考慮に入れて選択する必要があり、極力、熱膨張を抑えたい場合には、金属であればインバー、ガラスであればテンパックスなどを用いることが好ましい。また、チップ固定材170の材料としては、アクリル系、エポキシ系、オレフィン系、シリコン系等の樹脂が用いられうる。また、チップ固定材170の材料として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び加熱溶融固化型ホットメルト樹脂(例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等を主成分としたもの)でもよい。この他、シンチレータ120を貼り合せる際に、界面における気泡発生抑制のために、クッション性を有するチップ固定材170を用いてもよい。このようなチップ固定材170の材料としては、芯材をポリオレフィン系の発泡材料とし、両面にアクリル系粘着材を貼り合せた材料などがあり、例えば日東電工(株)製の発泡体基材防水両面テープ(No.57115B等)などがある。
図8は、本発明の第3の実施形態を示し、図7に示すセンサチップ143の表面143aに形成されている1つの画素に含まれるフォトダイオードの受光部1431の拡大図である。図7に示すセンサチップ143として適用するCMOSセンサチップは、高感度のため、図8(a)及び図8(b)に示すように、有感部801上に遮光部802を配置して感度の調整を行うことがある。この際、遮光部802の材料としては、Al等の金属が用いられることがある。仕様に応じて、図8(a)及び図8(b)に示すように、遮光部802の開口パターンが用いられる。特に、高周波数側のMTFは、この開口パターンの形状によって値が変化するため、仕様と照らし合わせて、開口パターンを適宜決定する必要がある。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る放射線撮像装置100において、MTF及びDQEの測定結果を示す図である。具体的に、図9は、図7に示す放射線撮像装置100−3において、MTF及びDQEの測定結果を示す図である。この図9の測定において用いた光吸収部材132の分光透過率は、図5において点線で示したとおりである。また、図9の測定においては、本実施形態における光吸収部材132として「カラー粘着材」を使用し、また、比較対象として光吸収部材132の替わりに「透明粘着材」を使用した比較例のデータも示す。今回使用したカラー粘着材の光吸収部材132及び比較対象の透明粘着材の厚みは、ともに25μmであるが、本実施形態においてはこれに限定されるものではない。例えば、シンチレータ120の表面に蛍光体の異常成長による凸部が生じた場合、粘着材の厚みが薄すぎると、センサチップ143を傷つけてしまう恐れがある。また、粘着材の厚みを厚くした場合、シンチレータ120とセンサチップ143との間の距離が開いてしまい、MTFが低下してしまう。以上のことから、本実施形態においては、光吸収部材132の厚みは、10μm〜50μmであることが好ましい。図9に示すように、比較対象の透明粘着材から、本実施形態の光吸収部材132におけるカラー粘着材に変更することで、MTFが25%改善(25%向上)する一方、DQEはわずか5%減という結果になった。よって、高いDQEを保ったまま、MTFの改善(向上)を図ることができた。
第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、光吸収部材132の吸収ピーク波長(図5の波長502に相当)は、シンチレータ120の発光ピーク波長(図5の波長501に相当)よりも長波長であるように構成する。
かかる構成によれば、上述した第1及び第2の実施形態と同様に、DQEの低下を抑制しつつ、MTFを向上させることが可能な放射線撮像装置100を提供することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第4の実施形態の説明においては、上述した第1〜第3の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1〜第3の実施形態と異なる事項について説明を行う。
図10は、本発明の第4の実施形態に係る放射線撮像装置100の概略構成の一例を示す図である。ここで、以下の説明では、図10に示す第4の実施形態に係る放射線撮像装置100を、「放射線撮像装置100−4」として記載する。また、図10に示す放射線撮像装置100−4は、放射線Rの入射方向における断面図を示している。なお、図10に示す放射線撮像装置100−4において、図1に示す放射線撮像装置100−1、図6に示す放射線撮像装置100−2及び図7に示す放射線撮像装置100−3と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図10に示す放射線撮像装置100−4は、図7に示す放射線撮像装置100−3の光吸収部材132の構成材料を替えて、光吸収部材134としたものである。具体的に、第4の実施形態では、光吸収部材134の内部に分散している染料の吸収ピークが第3の実施形態とは異なるものである。光吸収部材134は、シンチレータ120に係るCsIの発光スペクトルの発光ピークよりも長波長側を選択的に吸収できる染料を含むことが好ましく、具体的には波長が700nm〜900nm付近の光を選択的に除去できることが望ましい。このような染料としては、(株)林原の「特定波長吸収色素」が挙げられる。
図11は、本発明の第4の実施形態に係る放射線撮像装置100において、図10に示す光吸収部材134の構成材料として含める染料として適用可能な「特定波長吸収色素」の吸収スペクトルを示す図である。この図11に示す「特定波長吸収色素」の吸収スペクトルは、例えば、インターネット<URL:https://WWW.hayashibara.co.jp/fd/research_and_development/carious.html>を参照することにより得られる。図11に記載の中でも、700nm〜900nmを選択的に吸収できる染料としては、Dye11,12,13が好ましい。このような染料を用いた光吸収部材134は、長波長を選択的に吸収できるため、DQEの劣化(低下)を抑制しつつ、MTFの向上を図ることが可能である。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第5の実施形態の説明においては、上述した第1〜第4の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1〜第4の実施形態と異なる事項について説明を行う。
図12は、本発明の第5の実施形態に係る放射線撮像装置100の概略構成の一例を示す図である。ここで、以下の説明では、図12に示す第5の実施形態に係る放射線撮像装置100を、「放射線撮像装置100−5」として記載する。また、図12に示す放射線撮像装置100−5は、放射線Rの入射方向における断面図を示している。なお、図12に示す放射線撮像装置100−5において、図1に示す放射線撮像装置100−1、図6に示す放射線撮像装置100−2、図7に示す放射線撮像装置100−3及び図10に示す放射線撮像装置100−4と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図12に示す放射線撮像装置100−5は、図1に示す放射線撮像装置100−1の光吸収部材130の構成材料に替えて、光反射部材135としたものである。この光反射部材135の反射ピーク波長は、図5に示す光吸収部材130の吸収ピーク波長502と同様に、図5に示すシンチレータ120の発光ピーク波長501よりも長波長であるものとする。また、光反射部材135は、誘電体多層膜、有機多層膜、または、それらの混合膜によって成るダイクロイックフィルタから構成されうる。このダイクロイックフィルタは、積層する誘電体または有機膜の屈折率、膜厚、積層回数を適切に選択することで、任意の入射角度を有する光を選択的に反射することが可能である。そして、このダイクロイックフィルタを構成する層の数を増やしていくことで、反射率が増加し、かつ急峻な反射率の閾値を有する多層膜を得ることができる。ここで、本実施形態においては、光反射部材135の反射ピークにおける反射率は、50%以上であることが好ましい。
図13は、本発明の第5の実施形態を示し、図12に示す光反射部材135の透過率と波長との関係の一例を示す図である。図13に示す実線1301の波長は、光の入射角度0度、650±10nmで、透過率=50%とした際の例である。光反射部材135として構成されうるダイクロイックフィルタに用いられる材料としては、TiO2、Ta23、SiO2、MgF2、Al23などがあるが、これらに限定されるものではない。また、このダイクロイックフィルタは、光の入射角度が大きくなると、反射率波長特性が短波長側にずれるブルーシフトが生じる。図13に示す点線1302の波長は、実線1301の波長のダイクロイックフィルタに対して、光の入射角度を60度にした際の波形である。この特性を使用することにより、長波長成分であっても、画素への入射角度が小さい光(断面で見た際、画素の直上から発生の光:MTFの劣化影響小)は透過し、一方で入射角度の大きい光(断面で見た際、画素から角度がある場所で発生の光:MTFの劣化影響大)は反射する。これにより、効果的にMTF劣化の要因となる光のみをカットすることができ、DQEの劣化を抑えることができる。
また、光反射部材135のシンチレータ120と接する層とシンチレータ120の接する部分との屈折率が大きく異なると、フレネル反射が生じてしまう。そのため、光反射部材135のシンチレータ120と接する層の屈折率は、シンチレータ120に近い材料を選定することが好ましい。具体的には、シンチレータ120にCsI:TlやCsI:Naを使用するのであれば、それらの屈折率1.78に近い屈折率の材料(例えば、屈折率1.77程度のAl23など)を選定して光反射部材135を構成することが好ましい。第5の実施形態によれば、上述した第1〜第4の実施形態と同様に、DQEの低下を抑制しつつ、MTFを向上させることが可能な放射線撮像装置100を提供することができる。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第6の実施形態の説明においては、上述した第1〜第5の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1〜第5の実施形態と異なる事項について説明を行う。
図14は、本発明の第6の実施形態に係る放射線撮像装置100の概略構成の一例を示す図である。ここで、以下の説明では、図14に示す第6の実施形態に係る放射線撮像装置100を、「放射線撮像装置100−6」として記載する。また、図14に示す放射線撮像装置100−6は、放射線Rの入射方向における断面図を示している。なお、図14に示す放射線撮像装置100−6において、図1に示す放射線撮像装置100−1、図6に示す放射線撮像装置100−2、図7に示す放射線撮像装置100−3、図10に示す放射線撮像装置100−4及び図12に示す放射線撮像装置100−5と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図14に示す放射線撮像装置100−6は、図6に示す放射線撮像装置100−2の光吸収部材132の構成材料に替えて、光学接着部材136とし、この光学接着部材136とセンサパネル140との間に光反射部材135を設けたものである。
一般的に、シンチレータ120にCsI:Tlなどを使用した間接方式の場合、シンチレータ120のセンサパネル140側の先端部は、平らではなく尖った形状となっている。そのため、シンチレータ120で変換した光は、先端部から出る際に散乱し、MTF劣化の要因となる。そこで、光学接着部材136は、シンチレータ120の先端部の形状に馴染み、先端部の形状起因の散乱を軽減できるものである必要がある。そのため、光学接着部材136の屈折率na、シンチレータ120の屈折率nb、光反射部材135の光学接着部材136と接する層の屈折率ncとした際の屈折率の関係は、nb>na>ncとなるように設計することが好ましい。また、光学接着部材136の主成分は、例えば、アクリル系、エポキシ系、オレフィン系、シリコン系等の樹脂が用いられうる。特に、光学接着部材136の主成分としては、光学的に透過率の高いアクリル系のものがよい。また、光学接着部材136としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び加熱溶融固化型ホットメルト樹脂(例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等を主成分としたもの)でもよい。
第6の実施形態によれば、上述した第1〜第5の実施形態と同様に、DQEの低下を抑制しつつ、MTFを向上させることが可能な放射線撮像装置100を提供することができる。
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第7の実施形態の説明においては、上述した第1〜第6の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1〜第6の実施形態と異なる事項について説明を行う。
図15は、本発明の第7の実施形態に係る放射線撮像装置100の概略構成の一例を示す図である。ここで、以下の説明では、図15に示す第7の実施形態に係る放射線撮像装置100を、「放射線撮像装置100−7」として記載する。また、図15に示す放射線撮像装置100−7は、放射線Rの入射方向における断面図を示している。なお、図15に示す放射線撮像装置100−7において、図1に示す放射線撮像装置100−1、図6に示す放射線撮像装置100−2、図7に示す放射線撮像装置100−3、図10に示す放射線撮像装置100−4、図12に示す放射線撮像装置100−5及び図14に示す放射線撮像装置100−6と同様の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
図15に示す放射線撮像装置100−7は、図7に示す放射線撮像装置100−3の光吸収部材132の構成材料に替えて、光学接着部材136とし、この光学接着部材136と複数のセンサチップ143との間に光反射部材135を設けたものである。かかる構成によれば、上述した第1〜第6の実施形態と同様に、DQEの低下を抑制しつつ、MTFを向上させることが可能な放射線撮像装置100を提供することができる。
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第8の実施形態の説明においては、上述した第1〜第7の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1〜第7の実施形態と異なる事項について説明を行う。
図16は、本発明の第8の実施形態に係る放射線撮像システムの概略構成の一例を示す図である。この図16に示す放射線撮像システムには、第1〜第7の実施形態に係る放射線撮像装置100のうちの任意の放射線撮像装置100が含まれている。また、図16に示す放射線撮像システムは、放射線RとしてX線211を適用したX線撮像システムの例を示している。
X線チューブ210から出たX線211は、被検者(又は患者)910の胸部911を透過し、被検者910の体内を通過する。その後、放射線撮像装置100に入射したX線211は、放射線撮像装置100の内部でX線画像(放射線画像)に係る電気信号に変換される。この電気信号は、デジタル信号に変換された後、信号処理手段の一例であるイメージプロセッサ220において画像処理される。その後、イメージプロセッサ220で画像処理された電気信号は、制御室の表示手段の一例であるディスプレイ230において、当該電気信号に基づくX線画像(放射線画像)として表示されて観察できるようになっている。
また、イメージプロセッサ220で画像処理された電気信号は、電話回線等の伝送処理手段240によって遠隔地へ転送でき、別の場所のドクタールーム等の表示手段の一例であるディスプレイ250においてX線画像(放射線画像)として表示もしくは光ディスク等の記録手段に保存することができ、遠隔地の医師が診断することも可能である。また、記録手段となるフィルムプロセッサ260によって、記録媒体となるフィルム261にX線画像(放射線画像)として記録することもできる。
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100:放射線撮像装置、110:保護層、120:シンチレータ、130:光吸収部材、140:センサパネル、150:配線、R:放射線

Claims (9)

  1. 入射した放射線を光に変換するシンチレータと、
    前記光を電気信号に変換するセンサと、
    前記シンチレータと前記センサとの間に配置された部材と、
    を有し、
    前記部材の吸収ピーク波長または反射ピーク波長は、前記シンチレータの発光ピーク波長よりも長波長であることを特徴とする放射線撮像装置。
  2. 前記部材の吸収ピークにおける吸収率または反射ピークにおける反射率は、50%以上であることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像装置。
  3. 前記部材の主成分は、有機物であることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮像装置。
  4. 前記部材は、誘電体多層膜または有機多層膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮像装置。
  5. 前記部材は、粘着性を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
  6. 前記シンチレータは、柱状構造を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
  7. 前記センサは、CMOS回路を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
  8. 前記部材の厚みは、10μm〜50μmであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の放射線撮像装置と、
    前記電気信号を処理する信号処理手段と、
    有することを特徴とする放射線撮像システム。
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