JP6062670B2 - 相分離構造を有するシンチレータ及びそれを用いた放射線検出器 - Google Patents

相分離構造を有するシンチレータ及びそれを用いた放射線検出器 Download PDF

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Description

本発明は、放射線により発光するシンチレータおよび、そのシンチレータを用いた放射線検出器に関する。
医療現場等で用いられているX線CT(Computed Tomography)装置では、被写体を通過したX線をシンチレータで受け、そのシンチレータが発した光を光検出器で検出している。また、それら検出器は2次元アレイとして配置されており、各々のシンチレータは光のクロストークが生じないように隔壁にて分離されている。そして、その隔壁はX線検出に寄与しないことや、空間分解能を劣化させる観点から、可能な限り薄く形成されることが望まれていた。特許文献1では多数のシンチレータ結晶を接着剤で接合してシンチレータアレイ70を形成し、その後接着剤をエッチングして、それにより生じた空隙に酸化チタン粉末を隔壁材として充填することが行われている(図7)。この場合、隔壁71の厚さを1μm程度と薄くできることが開示されている。
特開2008−145335号公報
しかし、特許文献1では隔壁71を薄く形成できるとしても、その存在をなくすことは出来ない。また、製造工程において、シンチレータのカッティングから隔壁形成のための張り合わせなど、多くの手間が掛かる。本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、従来、シンチレータそのものに光を導波する機能が無かったために散乱面や反射面となる隔壁が必要であったことを根本的に改善すべく、シンチレータそのものに光導波機能を付与することを課題とする。
そこで、本発明の一側面としてのシンチレータは、一方向性を有する複数の柱状晶からなる第一の結晶相と、第一の結晶相の側面を埋める第二の結晶相とを有する相分離構造を有し、前記第二の結晶相が、CsCu〔X1−aで表され、XとYは異なる元素であるとともにI、Br、Clから選択され、かつ0≦a≦1の範囲である材料を有し、前記第二の結晶相が放射線励起にて発光することを特徴とする。
本発明のその他の側面については、以下で説明する実施の形態で明らかにする。
本発明の一側面としてのシンチレータは、一方向性を有する2相からなる相分離構造を有しており、シンチレータそのものに光を導波する機能を付与することができる。このため、従来のシンチレータのカッティングから隔壁形成という製造プロセスを不要とし、光検出器上に本発明のシンチレータを配するだけで放射線検出器を製造することができる。
第一及び第二の実施形態のシンチレータを表す模式図である。 第一及び第二の実施形態のシンチレータを作製する装置の一例を表す模式図である。 第一及び第二の実施形態のシンチレータの光学透過画像である。 CsCu−KCl系シンチレータの発光スペクトルを表す図である。 第一及び第二の実施形態のシンチレータの導波性を表す図である。 第一及び第二の実施形態のシンチレータを用いた放射線検出器の一例を示した図である。 背景技術のシンチレータを表す図である。
以下、図面等を用いて本発明を実施するための形態として、第一及び第二の実施形態を例に挙げて説明する。
[シンチレータの構成]
図1に第一及び第二の実施形態のシンチレータの模式的構造を示す。
本実施形態(第一及び第二の実施形態)の相分離構造を有するシンチレータは、一方向性を有する複数の柱状晶からなる第一の結晶相11と、第一の結晶相11の側面を埋める第二の結晶相12の2相から構成されている。第二の結晶相は、CsCu〔X1−aであらわされ、XとYとは異なる元素であり、I、Br、Clから選択され、かつaは0以上1以下(0≦a≦1)の範囲である材料を有する。ここで、第二の結晶相の全体に対してCsCu〔X1−aを90重量%以上100重量%以下有することが好ましく、さらに好ましくは100重量%である。第一の結晶相11を構成する柱状晶の形状は円柱に限らず、複数の結晶面から構成され、多角形であってもよい。また、柱状晶の直径13は、50nm以上30μm以下の範囲であることが好ましく、さらに、近接する柱状晶間の周期14は、500nm以上50μm以下の範囲であることが好ましい。ただし、本実施形態のシンチレータと検出器ないし検出器アレイとを組み合わせた場合、光検出器の受光部領域上に多数の柱状晶が配置されるような構造サイズを有したものを組み合わせることが好ましい。例えば、受光領域が正方形で一辺が20μmであった場合、柱状晶の直径が5μm、柱状晶の周期が8μmというような構造サイズを有しているなどである。従って、受光領域のサイズに合わせて、上記構造サイズの範囲にとらわれず、構造サイズの小さいものを組み合わせることが好ましい。また、構造体のサイズの範囲は、材料系の選択と製造時の条件で決定されるものであり、傾向については後述する。
さらに、シンチレータの厚さ15に関しては、製法にも依存するが、任意の厚さに調整することが可能である。実質的には、柱状晶の厚さ方向16に渡って真っ直ぐ続いていることが好ましいが、途中で途切れたり、枝分かれや融合が生じたり、直径が揺らいだり、一直線でなく曲がったりした部分が含まれている場合などを排除するものではない。凝固界面の方向を適宜制御することで、あえて柱状晶を曲げることも可能である。図1はあくまでも模式図であり、これにとらわれるものではない。
第一の実施形態としては、第一の結晶相は、NaCl(塩化ナトリウム)、NaBr(臭化ナトリウム)、NaI(ヨウ化ナトリウム)、KCl(塩化カリウム)、のいずれかから選択される材料を有することが好ましい。さらに好ましくは、KClであることが好ましい。NaCl等は、第一の結晶相の全体に対して90重量%以上100重量%以下有することが好ましく、さらに好ましくは100重量%である。
また、第二の結晶相は、CsCuを有することが好ましい。ここで、第二の結晶相の全体に対してCsCuを90重量%以上100重量%以下有することが好ましく、さらに好ましくは100重量%である。上記材料系の選択において好ましい組成比は、以下の表1の通りである。
さらに、第二の実施形態として第一の結晶相は、KBr(臭化カリウム)、NaBr(臭化ナトリウム)、RbBr(臭化ルビジウム)、NaCl(塩化ナトリウム)、KCl(塩化カリウム)のいずれかから選択される材料を有することが好ましい。また、第二の結晶相は、CsCu〔X1−aであらわされ、XとYとは異なる元素であり、I、Br、Clから選択され、かつaは0以上1以下(0≦a≦1)の範囲である材料を有することが好ましい。ここで、第二の結晶相の全体に対してCsCu〔X1−aを90重量%以上100重量%以下有することが好ましく、さらに好ましくは100重量%である。また、第二の結晶相がCsCu(Br1−aで、0<a≦1の範囲の材料を有する場合やCsCu(Cl1−aで0.71≦a≦0.79の範囲の材料を有する場合も含まれる。上記材料系の選択において好ましい組成比は、以下の表2の通りである。
図1に示す模式図のような分離構造を得るためには、概ね表1、及び表2で示した組成で作製することが好ましい。この組成は共晶点に対応している。ただし、上記組成から全く外れてはいけないものではなく、その組成に対して±5mol%の範囲内は許容範囲であり、共晶点であるとみなす。上記組成の近傍(±5mol%)の範囲内であれば、構造形成において各相間が共晶関係にあり、共晶組成近傍では一方向性凝固を行うことで図1のような良質な構造体を得ることができる。その他の組成範囲、つまり5mol%を超えて逸脱している場合では、一般的には一方の相が先に析出し、構造形成の観点からは構造を乱す要因となる。
次に、第一と第二の結晶相には上記以外の材料を添加してもよい。特に、第一の結晶相11を構成する材料に添加するのは、添加組成において第一の結晶相11に固溶し、かつ、第二の結晶相12には固溶しない材料が好ましい。例えば、NaClにNaBrを添加することが挙げられる。
第一の実施形態の相分離構造において、シンチレータ材料であるCsCuを第二の結晶相12に用いた場合、放射線照射によってCsCuは励起され発光を呈する。第一の実施形態では、第一の結晶相11に対してより高い屈折率を有するCsCuから形成される第二の結晶相12が発光することが好ましいが、双方が発光してもよい。
第一の実施形態の一方向性を有するシンチレータの重要な特性として、光を導波するということが挙げられる。上記の第一の結晶相11と第二の結晶相12を構成する材料系について、その屈折率を表3に示す。
この表に示した屈折率は、波長依存性や添加物による変化などがあるため厳密なものではなく、構成材料間に屈折率の差があることを示すためのものである。尚、CsCuの屈折率の文献値はないが、NaI−CsCuにおいてNaIとのコントラストが明確なことから、CsCuの屈折率は1.8以上と推測される。
さらに、第二の実施形態の相分離構造において、シンチレータ材料であるCsCu〔X1−aを第二の結晶相12に用いた場合、放射線照射によってCsCu〔X1−aは励起され発光を呈する。本発明では、第一の結晶相11に対してより高い屈折率を有するCsCu〔X1−aから形成される第二の結晶相12が発光することが好ましいが、双方が発光してもよい。
第二の実施形態の一方向性を有するシンチレータの重要な特性として、光を導波するということが挙げられる。上記の第一の結晶相11と第二の結晶相12を構成する材料系について、その屈折率を表4に示す。
この表に示した屈折率は、波長依存性や添加物による変化などがあるため厳密なものではなく、構成材料間に屈折率の差があることを示すためのものである。尚、CsCuBrの屈折率の文献値はないが、KBr−CsCuBrにおいてKBrとのコントラストが明確なことから、CsCuBrの屈折率は1.7以上と推測される。
スネルの法則によれば、屈折率の異なる材質間では、高屈折率媒質から低屈折率媒質へある角度で入射すると全反射が生じ、それより広角では反射と屈折が生じているはずである。したがって、本実施形態のシンチレータにおいて、表3、及び表4に示すように屈折率の差が生じていることは、高屈折率媒質において全反射により光が広がらない状況があるということを示している。つまり屈折や反射を繰り返し、高屈折率媒質の方が比較的光を閉じ込めて伝播することになる。よって、少なからず屈折率比(=低屈折率の結晶相/高屈折率の結晶相)が1より小さいことが望まれる。また、全反射条件のみを考慮すれば、低屈折率/高屈折率の比が小さいほど光が広がり難いことを表しており、表3、及び、表4からはCsCuとの比でKCl<(KBr=NaCl)<NaBr<NaIの順となることがわかる。ここで、特に本実施形態のうち、高屈折率媒質を構成するCsCuが第二の結晶相12を構成するものにおいては、柱状晶の周りのマトリックスをCsCuが構成する。そのため、柱状晶を構成する第一の結晶相11の組成比率(表1参照)が低い場合(例えばNaI:56mol%に対してNaCl:24mol%)は、柱状晶の体積比率が低くなる。柱状晶の体積比率が低くなると、光が柱状晶の脇を抜けて広がりやすくなる傾向を示す。たとえば、本実施形態の材料系の体積比率を後述する実施例で作成された試料から計算すると、CsCu系においては、大きい順にNaI(45vol%)、KCl(38vol%)、KBr(35vol%)、NaBr(17vol%)、NaCl(4vol%)である。したがって、屈折率比と体積比率の双方の効果の兼ね合いとなり、光の導波の観点では、上記4種類の材料系において、KClが第一の結晶相11を構成する場合がより好ましいと言える。
さらに、表4からはCsCuBr系においては、CsCuBrとの比でKBr,RbBr<NaBrの順となることがわかる。ここで、特に本実施形態のうち、高屈折率媒質を構成するCsCuBrが第二の結晶相12を構成するものにおいては、柱状晶の周りのマトリックスをCsCuBrが構成する。そのため、柱状晶を構成する第一の結晶相11の組成比率(表2参照)が低い場合(例えばRbBr:56mol%に対してNaBr:27mol%)は、柱状晶の体積比率が低くなる。柱状晶の体積比率が低くなると、光が柱状晶の脇を抜けて広がりやすくなる傾向を示す。たとえば、本実施形態の体積比率は、CsCuBr系においては、大きい順にRbBr(40vol%)、KBr(20vol%)、NaBr(9vol%)である。したがって、屈折率比と体積比率の双方の効果の兼ね合いとなり、光の導波の観点では、上記3種類の材料系において、RbBrが第一の結晶相11を構成する場合がより好ましいと言える。
さらに、表4からはCsCuBr2.52.5系においては、CsCuBr2.52.5との比でKBr<NaBrの順となることがわかる。ここで、特に第二の実施形態のうち、高屈折率媒質を構成するCsCuBr2.52.5が第二の結晶相12を構成するものにおいては、つまり柱状晶の周りのマトリックスをCsCuBr2.52.5が構成する。そのため、柱状晶を構成する第一の結晶相11の組成比率(表2参照)が低い場合(例えばNaBr:65mol%に対してKBr:36mol%)は、柱状晶の体積比率が低くなる。柱状晶の体積比率が低くなると、光が柱状晶の脇を抜けて広がりやすくなる傾向を示す。たとえば、本発明の材料系の体積比率は、後述する実施例で作成された試料から計算すると、CsCuBr2.52.5系においては、大きい順にNaBr(38vol%)、KBr(12vol%)である。したがって、屈折率比と体積比率の双方の効果の兼ね合いとなり、光の導波の観点では、上記2種類の材料系において、NaBrが第一の結晶相11を構成する場合がより好ましいと言える。
また、表4からはCsCuCl3.751.25系においては、CsCuCl3.751.25との比でKCl<NaClの順となることがわかる。ここで、特に第二の実施形態のうち、高屈折率媒質を構成するCsCuCl3.751.25が第二の結晶相12を構成するものにおいては、つまり柱状晶の周りのマトリックスをCsCuCl3.751.25構成する。そのため、柱状晶を構成する第一の結晶相11の組成比率(表2参照)が低い場合(例えばKCl:30mol%に対してNaCl:17mol%)は、柱状晶の体積比率が低くなる。柱状晶の体積比率が低くなると、光が柱状晶の脇を抜けて広がりやすくなる傾向を示す。たとえば、本発明の材料系の体積比率は、後述する実施例で作成された試料から計算すると、CsCuCl3.751.25系においては、大きい順にKCl(12vol%)、NaCl(8vol%)である。したがって、屈折率比と体積比率の双方の効果の兼ね合いとなり、光の導波の観点では、上記2種類の材料系において、KClが第一の結晶相11を構成する場合がより好ましいと言える。
ただし、放射線励起による発光効率なども加味して、用途ごとに良し悪しが判定されるべきであるから、屈折率比と組成比から優劣が決定してしまうわけではないので、いずれの材料系も重要であることには違いない。
本実施形態においては、特に屈折率の高いCsCu5、及び、CsCuBr、CsCuBr2.52.5、CsCuCl3.751.25を第二の結晶相として用いていることが好ましい。これにより第一の結晶相屈折率比を大きくとることができる。よって、放射線照射によってCsCu5、及び、CsCuBr、CsCuBr2.52.5、CsCuCl3.751.25で発光した光は効率良く伝搬される為に、第一の結晶相/第二の結晶相の屈折率比が0.8より大きいような材料の組み合わせと比較して、直下に到達する発光量は増加する。さらに、光の広がりが抑えられることから、空間分解能を高めることができる。
このように、本実施形態のシンチレータは、柱状晶と平行な方向で光を導波し、垂直な方向で散乱や反射等により導波しない特性が備わっているのが特徴である。よって、従来のように単結晶群に隔壁を設けることなく、光のクロストークを押さえることができる。
[シンチレータの製造]
本実施形態のシンチレータを作製する方法は、所望の材料系を最適組成にて一方向性を持たせて熔融凝固する方法であれば、いずれの方法でも可能である。特に、固液界面を平らにするよう温度勾配を制御することが要求され、30℃/mm程度ないしそれ以上の温度勾配があることが好ましい。ただし、結晶への熱応力によるクラック等を解消するために、上述した構造の形成に支障ない範囲で温度勾配を低下させてもよい。また、すでに結晶体となった部分を溶融しない程度に再加熱してクラック等を抑制することを行うことも望ましい。また、共晶組織の形成可能な組成範囲というのは、前述したように、共晶組成±5mol%であるが、この範囲と温度勾配と凝固速度の間には材料系固有の相間関係が成り立つ。つまり、いわゆるCoupled Eutectic Zoneと称される範疇で本実施形態の結晶体は作製されるべきである。
図2に示すように、シンチレータを作成する装置におけるブリッジマン法では、材料が酸化しないよう円筒状の石英管等に封じた試料を縦型に配置し、ヒーターないし試料を一定速度で移動させることにより凝固界面の位置を制御できる。よって、ブリッジマン法を用いて本実施形態のシンチレータを作製することが可能である。特に、装置は図2(A)のように、試料23の長さに匹敵するヒーター部21と固液界面の30℃/mmを実現するための水冷部22から構成される。また、図2(B)のように、水冷部22が上下にあり、ヒーター部21が試料23の一部の領域にしか対応していない構成でよい。さらに、これらと同等の手段を講じる製法も可能である。
また、チョクラルスキー法のように、融液からの結晶引上げでも同様にシンチレータを作製可能である。この場合は、ブリッジマン法における試料容器内での凝固ではないために、容器壁面の影響を受けずに固液界面を形成できる点でより好ましいとも言える。さらに、フローティングゾーン法でも作製可能である。
特にブリッジマン法においては、凝固速度は試料の固液界面がなるべく平面になるように設定されなければならないが、熱のやり取りが試料側面からが主であるので、試料の直径に依存する。つまり、試料の直径が大きければ熱の出入りに時間がかかり、凝固速度を低速にしなければ、固液界面はかなり湾曲し、試料のほとんどの領域で第一の結晶相11である柱状晶が曲がって形成されることになる。これは、柱状晶の成長方向が固液界面にほぼ垂直となるからである。さらに、試料サイズに対して凝固速度がより速い場合には、固液界面が平坦でないだけでなく平滑に保つことができず、ミクロに起伏が生じて樹枝状結晶の発生を伴う状況に至るので、これも避けることが重要である。従って、十分固液界面の温度勾配をとると同時に850mm/時以下で行うことが好ましい。より好ましくは、500mm/時以下であり、さらには300mm/時以下である。
また、シンチレータの第一の結晶相11の直径やその周期は、凝固速度に依存し、特に柱状晶の周期に関しては次式の相関がある。周期をλとし、凝固速度をvとすれば、λ・v=一定である。したがって、所望の構造周期があれば、必然的に凝固速度が大まかに制限される関係である。逆に、製法上の制限として、固液界面を平面かつ平滑に制御できる凝固速度があるため、周期λの範囲は500nm以上50μm以下の範囲となる。また、それに対応して柱状晶の直径も50nm以上30μm以下の範囲となる。
ここで、柱状晶の直径とは円形で無い場合もあり、不定形であれば、最短直径が上記範囲に含まれる。また、多数の柱状晶の平均値で、最長直径と最短直径の比が10以下であることが好ましい。この比以上では、ラメラ構造とするのが適切である。しかし、無数の柱状晶の中で幾つかの柱状晶のみが10を超える値を有したとしても、平均値が10以下であれば許容範囲である。また、作製条件上、2相の材料系のモル比率が1:1に近いほどラメラ構造を採りやすいため、ラメラ構造ではなく図1のような柱状構造を構成するように、作製条件や添加材料を選択することが好ましい。
最後に、作製する試料の原材料の仕込み組成について述べる。上記のシンチレータの組成比率は表1に示す値であるが、仕込み組成に関しては±5mol%以上に逸脱していても構わない。つまり、ブリッジマン法の場合は試料全体を熔融した状態から一方向に凝固させるようにすれば、凝固初期に共晶組成から逸脱している分の材料が先に析出することになり、残された融液が共晶組成となるからである。また、チョクラルスキー法では、引上げ初期に共晶組成からの逸脱分が引きあがるため、一度引き上げて融液が共晶組成になってから再度引き上げることも好ましい。結晶体作製後に不要部分は切り離せばよい。
[シンチレータの利用]
本実施形態のシンチレータは、光検出器と組み合わせることで医療用・産業用・高エネルギー物理用・宇宙用の放射線検出器として用いることが可能である。特に、隔壁等を設けずとも光の導波機能を有しているために、検出器に向けて特定の方向に光を導波する必要がある状況に適用することが好ましい。また、隔壁形成が必要なX線CT装置での使用や、X線フラットパネルディテクタ(FPD)のCsI針状結晶の代替においても有効である。この場合、検出器の受光感度特性に適合するように、シンチレータの母材に他の材料を添加したり、発光中心の添加を通して調整することも可能である。
さらに、本実施形態のシンチレータは、検出器上に直接設ける以外に、1層以上の保護層や反射防止等の機能を有した膜や層を介して、接合または配置することも好ましい。
[実施例1]
本実施例は、第一の実施形態のシンチレータの作製に関する。
まず、CsCuに対してNaCl,NaBr,NaI,KClをそれぞれ24mol%,36mol%,56mol%,47mol%混合した粉末を準備し、それらを個別に石英管に真空封じ、試料とした。次に、それらを図2(A)に示した模式図のようなブリッジマン炉に導入し、800℃まで昇温させ、試料全体が溶解した後30分保持してから、各々の試料を引き下げて試料下部より逐次凝固するようにした。また、試料の引き下げにより、炉の冷却水が循環している領域に突入することで、溶解している部分との温度勾配が30℃/mm以上となるようにした。このようにして作製した試料4種を切り出し、透過配置にて光学顕微鏡にて構造観察を行った。その結果、CsCu−KCl系は、凝固方向に垂直面の構造が図3(A)に示すように、良好な構造を形成していた。同様に、CsCu−NaI,CsCu−NaBr,CsCu−NaClの系でも凝固方向に垂直面の構造が図3(B)、(C)、(D)に示すようになっており、良好な構造を形成していた。
また、これら試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、凝固方向に平行方向の構造において、柱状晶が長く伸びていることを確認した。さらに、SEMに付属している組成分析により、各々の試料にて柱状晶はそれぞれKCl,NaI,NaBr,またはNaClで構成されており、その周辺部はCsCuで構成されていることが判明した。このように、多数の柱状晶が一方向性を有して、その周辺部をCsCuが取り囲む構造が形成可能であることが示された。また、図3は、透過光による像であるから、高屈折率媒質のCsCuの領域が明るく観察されており、想定の通り光が導波されていることも確認できた。
この4種の試料において、CsCu部分に対する柱状晶の体積比率を見ると、CsCu−NaI系ではNaIの体積比率はおよそ45vol%であり、CsCu−KCl系ではKClの体積比率はおよそ38vol%、CsCu−NaBr系ではNaBrの体積比率はおよそ17vol%、CsCu−NaCl系ではNaClの体積比率はおよそ4vol%であった。このように、材料系によって、体積比率が異なることが判明し、光の導波の観点から見ると体積比率の高いNaIやKClがより好ましい系であることがわかる。ただし、体積比率の効果は、X線吸収においては逆の作用となるので、あくまで光導波の観点からのものであり、用途に対して適宜、好適な系を選択することが可能である。
以上、作製した試料から選択したCsCu−KCl系試料についてX線励起による発光スペクトルを測定した結果を図4に示す。ここでの発光強度はサンプル形状などに依存する為に絶対的なものではない。CsCu−KCl系において、およそ510nm付近にピークを持つ発光スペクトルを示し、シンチレータとして機能することが示された。CsCu−NaBr系、及びCsCu−NaCl系やCsCu−NaI系において、490nmから510nm付近にピークを持つ発光スペクトルを示し、CsCu−KCl系と同様、シンチレータとして機能することが示された。
以上から、第一の実施形態に係る第二の結晶相がCsCuから構成されるシンチレータが構造として成り立っていることを示された。
[実施例2]
本実施例は、第二の実施形態のうち、第二の結晶相としてCsCuBrを用いたシンチレータの作製に関する。
まず、CsCuBrに対してKBr,NaBr,RbBrをそれぞれ50mol%,27mol%,56mol%混合した粉末を準備し、それらを個別に石英管に真空封じ、試料とした。次に、それらを図2(A)に示した模式図のようなブリッジマン炉に導入し、800℃まで昇温させ、試料全体が溶解した後30分保持してから、各々の試料を引き下げて試料下部より逐次凝固するようにした。また、試料の引き下げにより、炉の冷却水が循環している領域に突入することで、溶解している部分との温度差が30℃/mm以上となるようにした。このようにして作製した試料3種を切り出し、透過配置にて光学顕微鏡にて構造観察を行った。その結果、CsCuBr−KBr系は、凝固方向に垂直面の構造が図3(E)に示すように、良好な構造を形成していた。同様に、CsCuBr−NaBr,CsCuBr−RbBrの系でも凝固方向に垂直面の構造が図3(F)、(G)に示すようになっており、良好な構造を形成していた。
また、これら試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、凝固方向に平行方向の構造において、柱状晶が長く伸びていることを確認した。さらに、SEMに付属している組成分析により、各々の試料にて柱状晶はそれぞれKBr,NaBr,RbBrで構成されており、その周辺部はCsCuBrで構成されていることが判明した。このように、多数の柱状晶が一方向性を有して、その周辺部をCsCuBrが取り囲む構造が形成可能であることが示された。また、図3は、透過光による像であるから、高屈折率媒質のCsCuBrの領域が明るく観察されており、想定の通り光が導波されていることも確認できた。
この3種の試料において、CsCuBr部分に対する柱状晶の体積比率を見ると、CsCuBr−KBr系ではKBrの体積比率はおよそ20vol%であり、CsCuBr−NaBr系ではNaBrの体積比率はおよそ9vol%、CsCuBr−RbBr系ではRbBrの体積比率はおよそ40vol%であった。このように、材料系によって、体積比率が異なることが判明し、光の導波の観点から見ると体積比率の高いRbBrやKBrがより好ましい系であることがわかる。ただし、体積比率の効果は、X線吸収においては逆の作用となるので、あくまで光導波の観点からのものであり、用途に対して適宜、好適な系を選択することが可能である。
以上、作製した上記の3種の試料CsCuBr−KBr系、CsCuBr−NaBr系、CsCuBr−RbBr系について、実施例1と同様に、X線励起による発光スペクトルを測定した、その結果、これらの試料がシンチレータとして機能することが示された。
以上から、第二の実施形態に係る、第二の結晶相がCsCuBrから構成されるシンチレータが構造として成り立っていることを示された。
[実施例3]
本実施例は、第二の実施形態のうち、第二の結晶相としてCsCuBr2.52.5を用いたシンチレータの作製に関する。
また、CsCuBr2.52.5に対してKBr,NaBrをそれぞれ36mol%,65mol%混合した粉末を準備し、それらを個別に石英管に真空封じ、試料とした。次に、それらを図2(A)に示した模式図のようなブリッジマン炉に導入し、800℃まで昇温させ、試料全体が溶解した後30分保持してから、各々の試料を引き下げて試料下部より逐次凝固するようにした。また、試料の引き下げにより、炉の冷却水が循環している領域に突入することで、溶解している部分との温度勾配が30℃/mm以上となるようにした。このようにして作製した試料2種を切り出し、透過配置にて光学顕微鏡にて構造観察を行った。その結果、CsCuBr2.52.5−KBr系は、凝固方向に垂直面の構造が図3(H)に示すように、良好な構造を形成していた。同様に、CsCuBr2.52.5−NaBrの系でも凝固方向に垂直面の構造が図3(I)に示すようになっており、良好な構造を形成していた。
また、これら試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、凝固方向に平行方向の構造において、柱状晶が長く伸びていることを確認した。さらに、SEMに付属している組成分析により、各々の試料にて柱状晶はそれぞれKBr,NaBrで構成されており、その周辺部はCsCuBr2.52.5で構成されていることが判明した。このように、多数の柱状晶が一方向性を有して、その周辺部をCsCuBr2.52.5が取り囲む構造が形成可能であることが示された。また、図3は、透過光による像であるから、高屈折率媒質のCsCuBr2.52.5の領域が明るく観察されており、想定の通り光が導波されていることも確認できた。
この2種の試料において、CsCuBr2.52.5部分に対する柱状晶の体積比率を見ると、CsCuBr2.52.5−KBr系ではKBrの体積比率はおよそ12vol%であり、CsCuBr2.52.5−NaBr系ではNaBrの体積比率はおよそ38vol%であった。このように、材料系によって、体積比率が異なることが判明し、光の導波の観点から見ると体積比率の高いNaBrがより好ましい系であることがわかる。ただし、体積比率の効果は、X線吸収においては逆の作用となるので、あくまで光導波の観点からのものであり、用途に対して適宜、好適な系を選択することが可能である。
以上、作製した上記の2種の試料CsCuBr2.52.5−KBr系、CsCuBr2.52.5−NaBr系について、実施例1、及び実施例2と同様に、X線励起による発光スペクトルを測定した。その結果、これらの試料がシンチレータとして機能することが示された。
以上から、第二の実施形態に係る、第二の結晶相がCsCuBr2.52.5から構成されるシンチレータが構造として成り立っていることを示された。
[実施例4]
本実施例は、第二の実施形態のうち、第二の結晶相としてCsCuCl3.751.25を用いたシンチレータの作製に関する。
まず、CsCuCl3.751.25に対してKCl,NaClをそれぞれ30mol%,17mol%混合した粉末を準備し、それらを個別に石英管に真空封じ、試料とした。次に、それらを図2(A)に示した模式図のようなブリッジマン炉に導入し、800℃まで昇温させ、試料全体が溶解した後30分保持してから、各々の試料を引き下げて試料下部より逐次凝固するようにした。また、試料の引き下げにより、炉の冷却水が循環している領域に突入することで、溶解している部分との温度勾配が30℃/mm以上となるようにした。このようにして作製した試料2種を切り出し、透過配置にて光学顕微鏡にて構造観察を行った。その結果、CsCuCl3.751.25−KCl系は、凝固方向に垂直面の構造が図3(J)に示すように、良好な構造を形成していた。同様に、CsCuCl3.751.25−NaClの系でも凝固方向に垂直面の構造が図3(K)に示すようになっており、良好な構造を形成していた。
また、これら試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、凝固方向に平行方向の構造において、柱状晶が長く伸びていることを確認した。さらに、SEMに付属している組成分析により、各々の試料にて柱状晶はそれぞれKCl,NaClで構成されており、その周辺部はCsCuCl3.751.25で構成されていることが判明した。このように、多数の柱状晶が一方向性を有して、その周辺部をCsCuCl3.751.25が取り囲む構造が形成可能であることが示された。また、図3は、透過光による像であるから、高屈折率媒質のCsCuCl3.751.25の領域が明るく観察されており、想定の通り光が導波されていることも確認できた。
この2種の試料において、CsCuCl3.751.25部分に対する柱状晶の体積比率を見ると、CsCuCl3.751.25−KCl系ではKClの体積比率はおよそ12vol%であり、CsCuCl3.751.25−NaCl系ではNaClの体積比率はおよそ8vol%であった。このように、材料系によって、体積比率が異なることが判明し、光の導波の観点から見ると体積比率の高いKClがより好ましい系であることがわかる。ただし、体積比率の効果は、X線吸収においては逆の作用となるので、あくまで光導波の観点からのものであり、用途に対して適宜、好適な系を選択することが可能である。
以上、作製した上記の2種の試料CsCuCl3.751.25−KCl系、CsCuCl3.751.25−NaCl系について、実施例1、実施例2、及び実施例3と同様に、X線励起による発光スペクトルを測定した。その結果、これらの試料がシンチレータとして機能することが示された。
以上から、第二の実施形態に係る、第二の結晶相がCsCuCl3.751.25から構成されるシンチレータが構造として成り立っていることを示された。
[実施例5]
本実施例は、第二の実施形態のうち、第二の結晶相としてCsCuを用いたシンチレータの作製に関する。
まず、CsCuに対してKBrをそれぞれ62mol%混合した粉末を準備し、それらを個別に石英管に真空封じ、試料とした。次に、それらを図2(A)に示した模式図のようなブリッジマン炉に導入し、800℃まで昇温させ、試料全体が溶解した後30分保持してから、各々の試料を引き下げて試料下部より逐次凝固するようにした。また、試料の引き下げにより、炉の冷却水が循環している領域に突入することで、溶解している部分との温度勾配が30℃/mm以上となるようにした。このようにして作製した試料を切り出し、透過配置にて光学顕微鏡にて構造観察を行った。その結果、CsCu−KBr系は、凝固方向に垂直面の構造が図3(L)に示すように、良好な構造を形成していた。
また、これら試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、凝固方向に平行方向の構造において、柱状晶が長く伸びていることを確認した。さらに、SEMに付属している組成分析により、各々の試料にて柱状晶はそれぞれKBrで構成されており、その周辺部はCsCuで構成されていることが判明した。このように、多数の柱状晶が一方向性を有して、その周辺部をCsCuが取り囲む構造が形成可能であることが示された。また、図3は、透過光による像であるから、高屈折率媒質のCsCuの領域が明るく観察されており、想定の通り光が導波されていることも確認できた。
上記の試料において、CsCu部分に対する柱状晶の体積比率を見ると、CsCu−KBr系ではKBrの体積比率はおよそ35vol%であった。
以上、作製した上記の試料CsCu−KBrについて、実施例1から3、及び実施例4と同様に、X線励起による発光スペクトルを測定した。その結果、これらの試料がシンチレータとして機能することが示された。
以上から、第二の実施形態に係る、第二の結晶相がCsCuから構成されるシンチレータが構造として成り立っていることを示された。
[実施例6]
本実施例は、第二の実施形態に係るシンチレータの作製に関する。
割合aの値がCsCu(Cl1−aとなる範囲でaの値を様々に変化させるように原料粉末を混合したものから、上述の製法で試料を作製する。
表5は、CsCu(Cl1−aに対する組成分析の結果と外観を示している。表5より、ハロゲン元素であるIとClとの和に対するClのモル分率の値が、0.71以上0.79以下の範囲(0.71≦a≦0.79)の場合おいて、透明な結晶が得られることが確認できる。
これより、CsCu(Cl1−aで表され0.71≦a≦0.79の範囲において、相分離構造を形成させることにより、より好適なシンチレータとして用いることが可能である。もちろん不透明であっても、一定の効果は期待できる。
[実施例7]
本実施例は、実施例1、2、3、4、5及び実施例6で説明したシンチレータを用いた放射線検出器に関する。
最初に、基板60上に光検出器61を設置する。そして、厚さ1mmに切り出した本発明によるCsCu−KCl系シンチレータ62を光検出器上に、柱状晶が概ね垂直に配置されるように設置し、放射線検出器(図6)を構成した。なお、図面上にはシンチレータの上に保護層63を設けてある。そして、この放射線検出器のシンチレータにX線を照射すると、隔壁の無い単結晶体に照射した場合には、結晶面内に光が拡散伝播していくのに対して、広がりが抑制されていることが光検出器の出力より確認できた。さらに、シンチレータと光検出器の接合において、樹脂にて各々を接合した場合でも光の広がりが抑制された状態を保持していることが確認できた。よって、本実施形態のシンチレータと光検出器間に保護層などの他の材質の層を介しても、放射線検出器を構成可能であることが判明した。
[実施例8]
ここで、CsCu系の光導波性能について、一般的に光導波機能を利用しているといわれるTlドープしたCsI針状結晶膜を比較例として発光の伝搬特性を評価した。CsCu系の厚さは上記の通り1mmで、比較例のCsI針状結晶膜の厚さは430μmのものを用いた。X線源にはタングステン管球を用い、60kV、1mA、Alフィルター無しの条件で得られるX線を2mm厚のタングステン板にあるφ100μm開口を通して試料に照射し、試料底面における光強度分布を計測した。計測は50μmピッチのCCDにて行った。その分布のピーク値を通る断面の強度プロファイルを図5に示す。図5ではピーク輝度を規格化してその半値幅を算出した。相対的に厚さの薄いCsI針状結晶膜の半値幅が340μmなのに対し、CsCu−KCl系は223μmであった(図5(A))。また、CsCu−NaI系は235μmであった(図5(B))。これから、本発明のCsCu−KCl系、CsCu−NaI系、が良好な相分離構造を示し、導波時の光の散乱が少なく効果的に光を受光面に導波していることが分かる。
以上より、本実施形態のうち、第二の結晶相がCsCuから構成されるシンチレータが光導波機能を有することが確認された。
さらに、本実施形態のうち、第二の結晶相がCsCuBr、CsCuBr2.52.5、CsCuCl3.751.25から構成されるシンチレータが光導波機能を有することが確認された。
本発明のシンチレータは、放射線により発光し、かつ、発光した光を導波する特性を有しているため、従来の隔壁を形成することなく、光検出器と組み合わせて用いることで放射線検出器として有用である。特に、X線等の放射線を用いた医療用・産業用・高エネルギー物理用・宇宙用の計測装置等に用いることが可能である。
11 第一の結晶相
12 第二の結晶相
13 柱状晶の直径
14 近接柱状晶間の周期
15 シンチレータの厚さ
16 柱状晶の厚さ方向
21 ヒーター部
22 水冷部
23 試料
60 基板
61 光検出器
62 CsCu−KCl系シンチレータ
63 保護層
70 シンチレータアレイ
71 隔壁

Claims (10)

  1. 一方向性を有する複数の柱状晶からなる第一の結晶相と、前記柱状晶の側面を埋める第二の結晶相とを有する相分離構造を有し、
    前記第一の結晶相が、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr、RbBrのいずれかを有し、
    前記第二の結晶相が、CsCu〔X1−aで表され、XとYは異なる元素であるとともにI、Br、Clから選択され、かつ0≦a≦1の範囲である材料を有し、及び
    前記第二の結晶相が放射線励起にて発光することを特徴とする、シンチレータ。
  2. 前記第二の結晶相がCsCuを有することを特徴とする、請求項1に記載のシンチレータ。
  3. 前記第一の結晶相が、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBrのいずれかを有することを特徴とする、請求項に記載のシンチレータ。
  4. 前記第二の結晶相が、CsCu(Br1−aで表されるとともに0<a≦1の範囲である材料を有することを特徴とする、請求項1に記載のシンチレータ。
  5. 前記第一の結晶相が、NaCl、NaBr、KCl、KBr、RbBrのいずれかを有することを特徴とする、請求項に記載のシンチレータ。
  6. 前記第二の結晶相が、CsCu(Cl1−aで表されるとともに0.71≦a≦0.79である材料を有することを特徴とする、請求項1に記載のシンチレータ。
  7. 前記第一の結晶相と前記第二の結晶相とが、共晶関係にあることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシンチレータ。
  8. 前記第一の結晶相と前記第二の結晶相との組成比が、共晶点における組成に対して±5mol%の範囲内であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシンチレータ。
  9. 前記相分離構造において、近接する柱状晶間の周期が500nm以上50μm以下であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシンチレータ。
  10. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のシンチレータと、
    前記シンチレータからの光を検出する光検出器と、
    を備えることを特徴とする、放射線検出器。
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