JP2013023480A - 液状経腸栄養組成物及びその着色抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱殺菌による着色を抑制した液状経腸栄養組成物、及びその着色抑制方法を提供することを課題とした。
【解決手段】液状経腸栄養組成物の蛋白質源として大豆粉を用いることにより、液状経腸栄養組成物の加熱殺菌による着色を抑制することができる。
【選択図】なし
【解決手段】液状経腸栄養組成物の蛋白質源として大豆粉を用いることにより、液状経腸栄養組成物の加熱殺菌による着色を抑制することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は液状経腸栄養組成物、及びその着色抑制方法に関するものである。
高齢者や各種疾病を持つ入院患者や在宅療養者に対して、栄養補給を目的に使用される製品として、各種流動食や栄養剤が市販されている。これらには栄養素として蛋白質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルが配合されており、蛋白質として、栄養価や消化吸収性の利点、液状化した際の乳化安定性の利点から、カゼインや乳清蛋白質などの乳蛋白質が主に使用されている。
一方、近年、大豆成分の多岐にわたる生理作用に関する報告や乳の品不足といった問題により、蛋白質源として、大豆蛋白質を用いられてきている。例えば、アミノ酸および/またはペプチドからなる窒素源等よりなる乳化液と糖質、ミネラル類等からなる水溶液を配合する技術において、大豆蛋白加水分解物を使用する技術(特許文献1)、濃厚流動食において、大豆蛋白質を使用する技術(特許文献2)、液状経腸栄養組成物に豆乳を使用する技術(特許文献3)、流動食に大豆粉を使用する技術(特許文献4、5)、が開示されている。
しかし、上記流動食は、蛋白質や炭水化物が多く含まれているため、例えばレトルト殺菌などの加熱処理を行うことによりメイラード反応が起こりやすく、加熱前後において色調が大きく変化しやすいという問題がある。流動食を利用するために、レトルト殺菌などの殺菌が必須になってくるが、加熱後における多大な着色は、外観上悪くなることに加えて、風味にも影響を及ぼす場合がある。
特許文献1の技術において、メイラード反応を避ける技術が開示されているものの、メイラード反応を避ける為に窒素源と糖質源とを別々に調製、滅菌しなければならず経腸栄養剤を調製する工程が煩雑になる問題がある。また、特許文献2、3の技術は流動食の凝集抑制に関するもの、特許文献3、4は風味に関するもので、流動食の加熱殺菌による着色抑制に関する記載はない。
このようなことから、本発明は、流動食等の経腸栄養組成物の標準的な栄養成分である蛋白質や炭水化物等の共存下においても、レトルト殺菌等の加熱殺菌による着色を抑制した液状経腸栄養組成物、及びその着色抑制方法を提供することを課題とするものである。
特許文献1の技術において、メイラード反応を避ける技術が開示されているものの、メイラード反応を避ける為に窒素源と糖質源とを別々に調製、滅菌しなければならず経腸栄養剤を調製する工程が煩雑になる問題がある。また、特許文献2、3の技術は流動食の凝集抑制に関するもの、特許文献3、4は風味に関するもので、流動食の加熱殺菌による着色抑制に関する記載はない。
このようなことから、本発明は、流動食等の経腸栄養組成物の標準的な栄養成分である蛋白質や炭水化物等の共存下においても、レトルト殺菌等の加熱殺菌による着色を抑制した液状経腸栄養組成物、及びその着色抑制方法を提供することを課題とするものである。
本発明は、レトルト殺菌等の加熱処理による着色を抑制した液状経腸栄養組成物、及びその着色抑制方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行ったところ、大豆粉を蛋白質源に用いることにより、液状経腸栄養組成物の加熱殺菌による着色を抑制できることを見出し、上記課題を解決するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)大豆粉と、蛋白質素材を含有することを特徴とする液状経腸栄養組成物。
(2)大豆粉が、加熱処理大豆粉である、(1)記載の液状経腸栄養組成物。
(3)液状経腸栄養組成物中の大豆粉の含有量が2重量%以上である、(1)又は(2)記載の液状経腸栄養組成物。
(4)蛋白質素材を含む原料液を加熱殺菌する液状経腸栄養組成物の製造において、原料として大豆粉を添加することを特徴とする、加熱殺菌による液状経腸栄養組成物の着色抑制方法。
(5)大豆粉を含有することを特徴とする、加熱殺菌による蛋白質素材を含む液状経腸栄養組成物の着色抑制剤。
(6)蛋白質素材を含む原料液を加熱殺菌する液状経腸栄養組成物の製造方法において、原料として該蛋白質素材と大豆粉を添加することを特徴とする、液状経腸栄養組成物の製造方法。
である。
(1)大豆粉と、蛋白質素材を含有することを特徴とする液状経腸栄養組成物。
(2)大豆粉が、加熱処理大豆粉である、(1)記載の液状経腸栄養組成物。
(3)液状経腸栄養組成物中の大豆粉の含有量が2重量%以上である、(1)又は(2)記載の液状経腸栄養組成物。
(4)蛋白質素材を含む原料液を加熱殺菌する液状経腸栄養組成物の製造において、原料として大豆粉を添加することを特徴とする、加熱殺菌による液状経腸栄養組成物の着色抑制方法。
(5)大豆粉を含有することを特徴とする、加熱殺菌による蛋白質素材を含む液状経腸栄養組成物の着色抑制剤。
(6)蛋白質素材を含む原料液を加熱殺菌する液状経腸栄養組成物の製造方法において、原料として該蛋白質素材と大豆粉を添加することを特徴とする、液状経腸栄養組成物の製造方法。
である。
本発明により、レトルト殺菌等の加熱による着色を抑制した液状経腸栄養組成物及びその着色抑制方法を提供することができる。
(大豆粉)
本発明における大豆粉の原料として、黄大豆,青大豆,黒大豆などが例示でき、これらを限定なく使用することができるが、色調の点から黄大豆が好ましい。また大豆に含まれる成分の栄養機能を考慮して、育種,遺伝子操作や発芽処理等により、7Sグロブリン,11Sグロブリン,イソフラボン,サポニン,ニコチアナミン,レシチン,オリゴ糖,ビタミン類,ミネラル類などの大豆中の特定の成分が富化された大豆を使用することも可能である。また、上記大豆は、外皮及び胚軸部分を含むものでもよいが、これらを除去したものを使用する方が、風味の点で好ましい。
本発明に使用する大豆粉は、大豆を乾式粉砕あるいは湿式粉砕するなどして得ることができる。大豆を乾式粉砕する方法として、例えば、原料の大豆をジェット式、トルネード式、ハンマー式、カッター式のミルなどの粉砕機で粉砕する方法が挙げられる。
また、大豆を湿式粉砕する場合の粉砕方法として、例えば、原料の大豆に加水後あるいは加水して一定時間浸漬後、回転刃型剪断力により粉砕する方法、磨砕剪断力により粉砕する方法等が挙げられる。回転刃型剪断力により粉砕する方法として、例えば、コミットロール(URSCHEL社製)で粉砕する方法が例示できる。また、磨砕剪断力により粉砕する方法として、例えば、マイコロイダーやグラインダーで粉砕する方法が挙げられる。湿式粉砕して得られた懸濁液はホモゲナイザーなどの均質機によって均質化することができる。湿式粉砕するときの温度は特に限定されないが、例えば10℃〜100℃で行うことができる。
大豆粉の粒子径は、特に制限はないが、風味の点から、平均粒子径は10〜50μmが好ましい。なお、大豆粉の平均粒子径は細胞計数装置で測定する。細胞計数装置として、例えば、コールター社製のコールターカウンター(商品名)が挙げられる。
本発明における大豆粉の原料として、黄大豆,青大豆,黒大豆などが例示でき、これらを限定なく使用することができるが、色調の点から黄大豆が好ましい。また大豆に含まれる成分の栄養機能を考慮して、育種,遺伝子操作や発芽処理等により、7Sグロブリン,11Sグロブリン,イソフラボン,サポニン,ニコチアナミン,レシチン,オリゴ糖,ビタミン類,ミネラル類などの大豆中の特定の成分が富化された大豆を使用することも可能である。また、上記大豆は、外皮及び胚軸部分を含むものでもよいが、これらを除去したものを使用する方が、風味の点で好ましい。
本発明に使用する大豆粉は、大豆を乾式粉砕あるいは湿式粉砕するなどして得ることができる。大豆を乾式粉砕する方法として、例えば、原料の大豆をジェット式、トルネード式、ハンマー式、カッター式のミルなどの粉砕機で粉砕する方法が挙げられる。
また、大豆を湿式粉砕する場合の粉砕方法として、例えば、原料の大豆に加水後あるいは加水して一定時間浸漬後、回転刃型剪断力により粉砕する方法、磨砕剪断力により粉砕する方法等が挙げられる。回転刃型剪断力により粉砕する方法として、例えば、コミットロール(URSCHEL社製)で粉砕する方法が例示できる。また、磨砕剪断力により粉砕する方法として、例えば、マイコロイダーやグラインダーで粉砕する方法が挙げられる。湿式粉砕して得られた懸濁液はホモゲナイザーなどの均質機によって均質化することができる。湿式粉砕するときの温度は特に限定されないが、例えば10℃〜100℃で行うことができる。
大豆粉の粒子径は、特に制限はないが、風味の点から、平均粒子径は10〜50μmが好ましい。なお、大豆粉の平均粒子径は細胞計数装置で測定する。細胞計数装置として、例えば、コールター社製のコールターカウンター(商品名)が挙げられる。
液状経腸栄養組成物中の大豆粉の含有量としては、好ましくは2重量%以上、より好ましくは4重量%以上、さらにより好ましくは5重量%以上が適当である。含有量が少なすぎると、加熱殺菌による着色を十分に抑制することができない。
また、含有量が多すぎると、液状経腸栄養組成物が粉っぽくなったり、加熱時に増粘が生じたりする場合があるため、大豆粉の含有量は20重量%以下が好ましく、より好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下が適当である。
また、含有量が多すぎると、液状経腸栄養組成物が粉っぽくなったり、加熱時に増粘が生じたりする場合があるため、大豆粉の含有量は20重量%以下が好ましく、より好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下が適当である。
(加熱処理大豆粉)
また、大豆粉は、加熱処理大豆粉を用いる方が好ましい。加熱処理大豆粉とは、大豆を乾式粉砕して得られた大豆粉を水または豆乳に分散させた懸濁液を加熱処理したものあるいは大豆を湿式粉砕して得られた懸濁液を加熱処理したものをいう。加熱処理大豆粉を使用することにより、液状経腸栄養組成物の加熱殺菌による着色をより抑制することができる。
また、大豆粉は、加熱処理大豆粉を用いる方が好ましい。加熱処理大豆粉とは、大豆を乾式粉砕して得られた大豆粉を水または豆乳に分散させた懸濁液を加熱処理したものあるいは大豆を湿式粉砕して得られた懸濁液を加熱処理したものをいう。加熱処理大豆粉を使用することにより、液状経腸栄養組成物の加熱殺菌による着色をより抑制することができる。
加熱処理大豆粉を調製するため、まず、大豆を乾式粉砕して得られた大豆粉を水または豆乳に分散させた懸濁液あるいは大豆を湿式粉砕して得られた懸濁液を調製する。
懸濁液を調製する際に加える溶媒として、水や豆乳等が例示できる。
懸濁液中の固形分濃度は特に限定されないが、過度に固形分濃度が高すぎると粘性が増す場合がある。このため、懸濁液中の固形分濃度は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは5重量%〜15重量%、最も好ましくは10重量%〜15重量%に調製するのが適当である。
加える水や豆乳等の温度は、常温(20℃)でも良いが懸濁液の調製を容易にするために40〜90℃程度が望ましい。
懸濁液を調製する際に加える溶媒として、水や豆乳等が例示できる。
懸濁液中の固形分濃度は特に限定されないが、過度に固形分濃度が高すぎると粘性が増す場合がある。このため、懸濁液中の固形分濃度は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは5重量%〜15重量%、最も好ましくは10重量%〜15重量%に調製するのが適当である。
加える水や豆乳等の温度は、常温(20℃)でも良いが懸濁液の調製を容易にするために40〜90℃程度が望ましい。
懸濁液の調製は、いかなる方法でも良く、例えば、乾式粉砕して得られた大豆粉を含む懸濁液の調製の場合、通常の飲料の製造に用いられている溶解タンク等を使用して、溶解攪拌翼を例えば40〜60rpmの回転速度で回転させる等して行うことができる。
また、湿式粉砕して得られた大豆粉を含む懸濁液の場合、湿式粉砕して得られた大豆粉をそのまま、あるいはさらに加水したものを、例えばニーダー等を使用して混合することにより調製することができる。
また、要すれば懸濁液をホモゲナイザーなどの均質機によって均質化することができる。例えば高圧ホモゲナイザーを用いる場合は圧力3〜15MPaが適当である。
また、湿式粉砕して得られた大豆粉を含む懸濁液の場合、湿式粉砕して得られた大豆粉をそのまま、あるいはさらに加水したものを、例えばニーダー等を使用して混合することにより調製することができる。
また、要すれば懸濁液をホモゲナイザーなどの均質機によって均質化することができる。例えば高圧ホモゲナイザーを用いる場合は圧力3〜15MPaが適当である。
次に、懸濁液に対し加熱処理することにより、加熱処理大豆粉が得られる。加熱処理はいかなる方法でも良く、例えば、バッチ式殺菌法、または間接加熱方式あるいは直接加熱方式によるUHT滅菌処理法、スチームインジェクション方式による直接加熱処理方法などが挙げられる。
上記加熱処理の条件としては、120℃以上で行うことが好ましく、より好ましくは120℃〜165℃、さらに好ましくは135℃〜160℃、最も好ましくは140℃〜155℃が適当である。加熱処理時間は、概ね、0.5〜120秒であり、好ましくは、1〜60秒が適当である。
また、懸濁液を加熱処理して得られた加熱処理大豆粉を、必要に応じて再度ホモゲナイザーなどの均質機によって、均質化することができる。
(蛋白質素材)
液状経腸栄養組成物の調製の際、必要な蛋白質源として大豆粉のみを使用した場合、加熱殺菌による着色抑制されたものが得られるが、液状経腸組成物が粉っぽくなる場合があるため、本発明の液状経腸栄養組成物は、大豆粉と蛋白質素材と併用することが好ましい。
蛋白質素材とは、蛋白質素材を含む動植物性原料を加工することにより、蛋白質が濃縮された素材をいい、好ましくは、蛋白質含量が乾燥固形分換算で30重量%以上である。蛋白質素材を含む動植物性原料として、大豆、小麦、とうもろこし、卵、乳、魚、牛や豚等の畜肉等が挙げられる。これらの原料から加工して得られる蛋白質素材として、大豆蛋白質、卵蛋白質、乳蛋白質、魚蛋白質、肉蛋白質、小麦蛋白質、とうもろこし蛋白質等の蛋白質、またはこれらの分解物を例示することができ、これらを単独または混合して使用できる。
大豆蛋白質として、分離大豆蛋白質、アルカリ土類金属結合分離大豆蛋白質、濃縮大豆蛋白質、全脂豆乳、全脂豆乳粉末、脱脂豆乳、脱脂豆乳粉末、脱脂豆乳又は脱脂豆乳粉末のアルカリ土類金属結合物等が例示できる。
乳蛋白質として、カゼイン、カゼインナトリウム等のカゼインの塩、アルブミン、ホエイ蛋白質等が例示できる。
蛋白質素材の中でも、大豆粉との併用において、液状経腸栄養組成物の加熱殺菌による着色抑制効果が高く得られる点で大豆蛋白質、乳蛋白質が好ましい。
蛋白質素材の添加はいかなるタイミングでも良く、例えば、加熱処理大豆粉を調製する際に添加しても良いし、液状経腸栄養組成物を調製する際に添加しても良い。
液状経腸栄養組成物中の蛋白質素材の含有量は、蛋白質素材の固形分換算量で、概ね30重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらにより好ましくは6重量%以下である。また、蛋白質素材に対する、大豆粉の固形分比は、好ましくは、0.4以上、より好ましくは0.7以上、さらにより好ましくは1以上が適当である。蛋白質素材に対する、大豆粉の固形分比が低すぎる場合、本発明の着色抑制効果が得られない場合がある。
液状経腸栄養組成物の調製の際、必要な蛋白質源として大豆粉のみを使用した場合、加熱殺菌による着色抑制されたものが得られるが、液状経腸組成物が粉っぽくなる場合があるため、本発明の液状経腸栄養組成物は、大豆粉と蛋白質素材と併用することが好ましい。
蛋白質素材とは、蛋白質素材を含む動植物性原料を加工することにより、蛋白質が濃縮された素材をいい、好ましくは、蛋白質含量が乾燥固形分換算で30重量%以上である。蛋白質素材を含む動植物性原料として、大豆、小麦、とうもろこし、卵、乳、魚、牛や豚等の畜肉等が挙げられる。これらの原料から加工して得られる蛋白質素材として、大豆蛋白質、卵蛋白質、乳蛋白質、魚蛋白質、肉蛋白質、小麦蛋白質、とうもろこし蛋白質等の蛋白質、またはこれらの分解物を例示することができ、これらを単独または混合して使用できる。
大豆蛋白質として、分離大豆蛋白質、アルカリ土類金属結合分離大豆蛋白質、濃縮大豆蛋白質、全脂豆乳、全脂豆乳粉末、脱脂豆乳、脱脂豆乳粉末、脱脂豆乳又は脱脂豆乳粉末のアルカリ土類金属結合物等が例示できる。
乳蛋白質として、カゼイン、カゼインナトリウム等のカゼインの塩、アルブミン、ホエイ蛋白質等が例示できる。
蛋白質素材の中でも、大豆粉との併用において、液状経腸栄養組成物の加熱殺菌による着色抑制効果が高く得られる点で大豆蛋白質、乳蛋白質が好ましい。
蛋白質素材の添加はいかなるタイミングでも良く、例えば、加熱処理大豆粉を調製する際に添加しても良いし、液状経腸栄養組成物を調製する際に添加しても良い。
液状経腸栄養組成物中の蛋白質素材の含有量は、蛋白質素材の固形分換算量で、概ね30重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらにより好ましくは6重量%以下である。また、蛋白質素材に対する、大豆粉の固形分比は、好ましくは、0.4以上、より好ましくは0.7以上、さらにより好ましくは1以上が適当である。蛋白質素材に対する、大豆粉の固形分比が低すぎる場合、本発明の着色抑制効果が得られない場合がある。
(液状経腸栄養組成物)
本発明の液状経腸栄養組成物は、通常のこの種の組成物と同様に、大豆粉と蛋白質素材の他、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維等の栄養成分を添加し配合して調製される。
本発明の液状経腸栄養組成物は、通常のこの種の組成物と同様に、大豆粉と蛋白質素材の他、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維等の栄養成分を添加し配合して調製される。
糖質としては、グルコース、マルトース、ショ糖、果糖、乳糖、イソマルトース、マルトヘキサオース、マルトデキストリン、デキストリン、デンプン等の、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類を例示することができ、これらを単独または混合して使用できる。
脂質としては、食用油脂であればいかなる油脂でも良いが、例えば、コーン油、大豆油、ごま油、こめ油、糠油、ベニバナ油、ヤシ油、ひまわり油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボガドオイル、へーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、綿実油、荏油、菜種油、パーム油、パーム核油等の植物性油脂及び乳脂肪、牛脂、魚油、鶏油等の動物性油脂が例示できる。また、上記油脂の単独、または混合油、あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂も使用できる。
更に、人体にとって必要であるか又は好ましいものである他の各種の添加物を配合することができる。添加物には、従来からこの種の液状経腸栄養組成物に配合されることがよく知られている、各種ビタミン類、ミネラル類、及び食物繊維が含まれる。上記ビタミン類は、人体にとって必要な種類及び量がそれぞれ知られており、それに基づいて例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ニコチン酸アミド、葉酸、パントテン酸、ビオチン、コリン等を利用できる。
ミネラル類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、塩化第二鉄、クエン酸鉄、亜鉛酵母、銅酵母、セレン酵母等が例示でき、これらを単独または混合して使用できる。
食物繊維としては、ペクチン、グアガム、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム等の高分子水溶性食物繊維、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアガム分解物等の低分子水溶性食物繊維が例示でき、これらを単独または混合して使用できる。
更に、本発明の液状経腸栄養組成物に配合可能な、その他の添加物としては、通常よく知られている香料、甘味料、着色料、乳化剤、安定剤、pH調整剤等が使用できる。
以下に、本発明の液状経腸栄養組成物の製造方法を例示する。
60〜70℃に加熱した温水に大豆粉、好ましくは加熱処理大豆粉を添加し、さらに、蛋白質素材、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維、乳化剤、安定剤等の原材料を添加して混合し、蛋白質素材を含む原料液を調製する。原料液の調製は、いかなる方法でも良く、例えば通常の飲料の製造に用いられている溶解タンクなどを使用して、溶解攪拌翼を例えば40〜60rpmの回転速度で回転させる等して行うことができる。
原料液は、ホモゲナイザーなどの均質機によって均質化することができる。均質化する時のホモ圧は、乳化に十分な圧力であれば特に制限されない。
原料液を加熱殺菌する方法はいかなる方法でもよく、特に制限されないが、例えば、レトルト殺菌、または間接加熱方式あるいは直接加熱方式によるUHT滅菌などが挙げられる。レトルト殺菌は、バッチ式、連続式のいずれの方式でも行うことができる。
また、液状経腸栄養組成物を、必要に応じて殺菌後に再度ホモゲナイザーなどの均質機にて均質化することができる。
(液状経腸栄養組成物の着色抑制の評価方法)
液状経腸栄養組成物の着色抑制の評価は、レトルト殺菌前後の色調の変化度を算出することにより行うが、その指標として色差ΔEを用いる。
具体的には、各条件で調製された液状経腸栄養組成物を、レトルト殺菌機(RCS-40RTG、(株)日阪製作所製)で121℃(設定温度)、15分の条件で処理し、レトルト殺菌前後の液状経腸栄養組成物の色調を色差計を用いてL値、a値、b値を測定する。色差計の測定用光源としてはパルスキセノンランプを用い、反射光除去による測定を行う。また、測定用容器(ターゲットマスク)として測定径がφ30mmのシャーレを用いる。色差計として例えば、コニカミノルタ(株)製のCM-3500dを用いることができる。次に、色差計で得られた各値から色差ΔEを算出する。ΔEの数値が小さい程、着色が抑制されることを意味し、大豆粉を使用していない液状経腸栄養組成物のΔEよりも数値が小さければ着色抑制の効果があると評価する。
なお、ΔEは次式により算出する。
ΔE={(ΔL)2+(△a)2+(Δb)2}1/2
ΔEは、好ましくは25以下、より好ましくは24以下、さらにより好ましくは22以下が適当である。
液状経腸栄養組成物の着色抑制の評価は、レトルト殺菌前後の色調の変化度を算出することにより行うが、その指標として色差ΔEを用いる。
具体的には、各条件で調製された液状経腸栄養組成物を、レトルト殺菌機(RCS-40RTG、(株)日阪製作所製)で121℃(設定温度)、15分の条件で処理し、レトルト殺菌前後の液状経腸栄養組成物の色調を色差計を用いてL値、a値、b値を測定する。色差計の測定用光源としてはパルスキセノンランプを用い、反射光除去による測定を行う。また、測定用容器(ターゲットマスク)として測定径がφ30mmのシャーレを用いる。色差計として例えば、コニカミノルタ(株)製のCM-3500dを用いることができる。次に、色差計で得られた各値から色差ΔEを算出する。ΔEの数値が小さい程、着色が抑制されることを意味し、大豆粉を使用していない液状経腸栄養組成物のΔEよりも数値が小さければ着色抑制の効果があると評価する。
なお、ΔEは次式により算出する。
ΔE={(ΔL)2+(△a)2+(Δb)2}1/2
ΔEは、好ましくは25以下、より好ましくは24以下、さらにより好ましくは22以下が適当である。
以下、本発明の実施例を示し、本発明の技術思想をより具体的に説明する。なお、例中の部及び%はいずれも重量基準を意味する。
(実施例1〜3、比較例1〜2)
表1の配合1(各配合物のカロリーが1kcal/ml以上になるように調製した。なお、大豆粉は脱皮脱胚軸大豆の乾燥粉砕品(固形分濃度=94%、ソイ・フード・ジャパン(株)製)を用い、加熱処理していないものを使用した。)に従い、ホモミキサーにて調合を行い、均質機(APV社製)に供給し、50MPaにて均質化処理を行った。得られた液状経腸栄養組成物をレトルト殺菌機(RCS-40RTG、(株)日阪製作所製)に供給し、121℃(設定温度)、15分にて処理した。レトルト殺菌前後の色調を色差計(CM-3500d、コニカミノルタ(株)製)で測定し、ΔEを算出した結果を表2に示した。
表1の配合1(各配合物のカロリーが1kcal/ml以上になるように調製した。なお、大豆粉は脱皮脱胚軸大豆の乾燥粉砕品(固形分濃度=94%、ソイ・フード・ジャパン(株)製)を用い、加熱処理していないものを使用した。)に従い、ホモミキサーにて調合を行い、均質機(APV社製)に供給し、50MPaにて均質化処理を行った。得られた液状経腸栄養組成物をレトルト殺菌機(RCS-40RTG、(株)日阪製作所製)に供給し、121℃(設定温度)、15分にて処理した。レトルト殺菌前後の色調を色差計(CM-3500d、コニカミノルタ(株)製)で測定し、ΔEを算出した結果を表2に示した。
実施例1〜3は、蛋白質源としてカゼインナトリウムのみを使用している比較例1や、蛋白質源と
して分離大豆蛋白質と豆乳のみを使用している比較例2よりもレトルト殺菌後の着色を抑制する結果
となり、蛋白質源として大豆粉を添加することによる本発明の効果が確認された。また、大豆粉の添
加量が増加することにより、レトルト殺菌後の着色を更に抑制することが確認された。
して分離大豆蛋白質と豆乳のみを使用している比較例2よりもレトルト殺菌後の着色を抑制する結果
となり、蛋白質源として大豆粉を添加することによる本発明の効果が確認された。また、大豆粉の添
加量が増加することにより、レトルト殺菌後の着色を更に抑制することが確認された。
(加熱処理大豆粉の製造例1)
60〜70℃に加熱した豆乳に大豆粉(脱皮脱胚軸大豆の乾式粉砕品;ソイ・フード・ジャパン(株)製)を固形分濃度が15%になるように加え、ホモミキサーで攪拌しながら懸濁液を調製した。この懸濁液をスチームインジェクション方式の直接高温加熱装置に供給し、加熱温度を145℃、加熱時間を36秒にして蒸気による直接加熱処理を行い、加熱処理大豆粉を得た。
60〜70℃に加熱した豆乳に大豆粉(脱皮脱胚軸大豆の乾式粉砕品;ソイ・フード・ジャパン(株)製)を固形分濃度が15%になるように加え、ホモミキサーで攪拌しながら懸濁液を調製した。この懸濁液をスチームインジェクション方式の直接高温加熱装置に供給し、加熱温度を145℃、加熱時間を36秒にして蒸気による直接加熱処理を行い、加熱処理大豆粉を得た。
(加熱処理大豆粉の製造例2)
大豆粉の代わりに、脱皮脱胚軸した大豆1部に水(20℃)4部を加え、3時間浸漬を行い、十分に吸水した脱皮・脱胚軸大豆1部に対し、水(20℃)6部を加えたものをグラインダーを用いて湿式粉砕し、さらに、ホモゲナイザー(APV社製)に供給し、150kgf/cm2で均質化処理し、粒子径20〜30μmの懸濁液を得た。この懸濁液をスチームインジェクション方式の直接高温加熱装置に供給し、加熱温度を145℃、加熱時間を36秒にして蒸気による直接加熱処理を行い、加熱処理大豆粉を得た。この加熱処理大豆粉の固形分濃度は12%であった。
大豆粉の代わりに、脱皮脱胚軸した大豆1部に水(20℃)4部を加え、3時間浸漬を行い、十分に吸水した脱皮・脱胚軸大豆1部に対し、水(20℃)6部を加えたものをグラインダーを用いて湿式粉砕し、さらに、ホモゲナイザー(APV社製)に供給し、150kgf/cm2で均質化処理し、粒子径20〜30μmの懸濁液を得た。この懸濁液をスチームインジェクション方式の直接高温加熱装置に供給し、加熱温度を145℃、加熱時間を36秒にして蒸気による直接加熱処理を行い、加熱処理大豆粉を得た。この加熱処理大豆粉の固形分濃度は12%であった。
(実施例4〜7)
大豆粉として、製造例1で得られた加熱処理大豆粉を使用し、表3の配合2(各配合物のカロリーが1kcal/ml以上になるように調製した。)に従い、ホモミキサーにて調合を行い、均質機(APV社製)に供給し、50MPaにて均質化処理を行った。得られた液状経腸栄養組成物をレトルト殺菌機(RCS-40、(株)日阪製作所製)に供し、121℃(設定温度)、15分にて処理した。レトルト殺菌前後の色調を色差計(CM-3500d、コニカミノルタ(株)製)で測定し、ΔEを算出した結果を表4に示した。
大豆粉として、製造例1で得られた加熱処理大豆粉を使用し、表3の配合2(各配合物のカロリーが1kcal/ml以上になるように調製した。)に従い、ホモミキサーにて調合を行い、均質機(APV社製)に供給し、50MPaにて均質化処理を行った。得られた液状経腸栄養組成物をレトルト殺菌機(RCS-40、(株)日阪製作所製)に供し、121℃(設定温度)、15分にて処理した。レトルト殺菌前後の色調を色差計(CM-3500d、コニカミノルタ(株)製)で測定し、ΔEを算出した結果を表4に示した。
実施例4〜7は、比較例1、2よりもレトルト殺菌後の着色を抑制する結果となり、蛋白質源とし
て加熱処理大豆粉を添加することによる本発明の効果が確認された。また、大豆粉の添加量が増加す
ることにより、レトルト殺菌後の着色を更に抑制することが確認された。
て加熱処理大豆粉を添加することによる本発明の効果が確認された。また、大豆粉の添加量が増加す
ることにより、レトルト殺菌後の着色を更に抑制することが確認された。
また、大豆粉の添加量が同じ場合の、大豆粉の加熱処理がないもの(実施例1〜3)と大豆粉の加熱処理があるもの(実施例5〜7)のΔEを比較すると、表5から明らかなように、大豆粉を加熱処理した場合の方が加熱処理をしていない場合よりも着色を抑制する効果が大きいことが確認された。
(実施例8)
カゼインナトリウムの一部を製造例1で得られた加熱処理大豆粉に変更し、表6の配合3(各配合物のカロリーが1kcal/ml以上になるように調製した。)に従い、ホモミキサーにて調合を行い、均質機(APV社製)に供給し、50MPaにて均質化処理を行った。得られた液状経腸栄養組成物をレトルト殺菌機(RCS-40RTG、(株)日阪製作所製)に供し、121℃(設定温度)、15分にて処理した。レトルト殺菌前後の色調を色差計(CM-3500d、コニカミノルタ(株)製)で測定し、ΔEを算出した結果を表7に示した。
カゼインナトリウムの一部を製造例1で得られた加熱処理大豆粉に変更し、表6の配合3(各配合物のカロリーが1kcal/ml以上になるように調製した。)に従い、ホモミキサーにて調合を行い、均質機(APV社製)に供給し、50MPaにて均質化処理を行った。得られた液状経腸栄養組成物をレトルト殺菌機(RCS-40RTG、(株)日阪製作所製)に供し、121℃(設定温度)、15分にて処理した。レトルト殺菌前後の色調を色差計(CM-3500d、コニカミノルタ(株)製)で測定し、ΔEを算出した結果を表7に示した。
カゼインナトリウムを含む系においても大豆粉を添加することにより、レトルト殺菌後の着色を抑制することが確認された。
(実施例9)
製造例2で得られた加熱処理大豆粉を使用し、表8の配合4(カロリーが1kcal/ml以上になるように調製した。)に従い、ホモミキサーにて調合を行い、均質化処理(APV社製)に供し、50MPaにて均質化処理を行った。得られた液状経腸栄養組成物をレトルト殺菌機((株)日阪製作所製)に供し、121℃(設定温度)、15分にて処理した。レトルト殺菌前後の色調を色差計(CM-3500d、コニカミノルタ(株)製)で測定し、ΔEを算出した結果を表9に示した。
製造例2で得られた加熱処理大豆粉を使用し、表8の配合4(カロリーが1kcal/ml以上になるように調製した。)に従い、ホモミキサーにて調合を行い、均質化処理(APV社製)に供し、50MPaにて均質化処理を行った。得られた液状経腸栄養組成物をレトルト殺菌機((株)日阪製作所製)に供し、121℃(設定温度)、15分にて処理した。レトルト殺菌前後の色調を色差計(CM-3500d、コニカミノルタ(株)製)で測定し、ΔEを算出した結果を表9に示した。
湿式粉砕した大豆粉を加熱処理したものを使用した場合も、カゼインナトリウムのみを使用してい
る比較例1や蛋白質源として分離大豆蛋白質と豆乳のみを使用している比較例2よりもレトルト殺菌後の着色を抑制する結果となり、本発明の効果が確認された。
る比較例1や蛋白質源として分離大豆蛋白質と豆乳のみを使用している比較例2よりもレトルト殺菌後の着色を抑制する結果となり、本発明の効果が確認された。
Claims (6)
- 大豆粉と、蛋白質素材を含有することを特徴とする液状経腸栄養組成物。
- 大豆粉が、加熱処理大豆粉である、請求項1記載の液状経腸栄養組成物。
- 液状経腸栄養組成物中の大豆粉の含有量が2重量%以上である、請求項1又は2記載の液状経腸栄養組成物。
- 蛋白質素材を含む原料液を加熱殺菌する液状経腸栄養組成物の製造において、原料として大豆粉を添加することを特徴とする、加熱殺菌による液状経腸栄養組成物の着色抑制方法。
- 大豆粉を含有することを特徴とする、加熱殺菌による蛋白質素材を含む液状経腸栄養組成物の着色抑制剤。
- 蛋白質素材を含む原料液を加熱殺菌する液状経腸栄養組成物の製造方法において、原料として該蛋白質素材と大豆粉を添加することを特徴とする、液状経腸栄養組成物の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011160748A JP2013023480A (ja) | 2011-07-22 | 2011-07-22 | 液状経腸栄養組成物及びその着色抑制方法 |
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- 2011-07-22 JP JP2011160748A patent/JP2013023480A/ja not_active Withdrawn
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