JP2013022777A - 圧着シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 剥離可能な接着剤を用いた紙片を利用し、個人情報などを隠蔽することができ、その隠蔽した紙片を圧着シートから剥がす際に、紙片が材破することなく、また、その紙片材破を防止する接着抑制の印刷もすることなく、さらに圧着シートのコーナーに切り欠きの加工する際、製造上の不具合が生じ無い圧着シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 感圧接着部を有する基材が、折り部又は切り離し部で連接され、該基材が折り部で折られて、重なり、又は切り離し部で切り取られて、切り取られた基材同士が重なり、感圧接着部により剥離可能に接着する圧着シートで、前記基材の一部に、頂点A,B,Cからなり、頂点Bを基材角部とする三角形状のコーナーカット部を有し、該コーナーカット部で切り取られて残存した部分で、該コーナーカット部の少なくとも前記頂点A,Cの鈍角を挟む辺近傍の感圧接着部を構成する感圧接着剤が劣化している構成とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧着シート及びその製造方法に関し、更に詳しくは、感圧接着部を有する基材が、折り部または切り離し部で連接され、該基材が折り部で折られて、重なり、または切り離し部で切り取られて、切り取られた基材同士が重なり、感圧接着部により剥離可能に接着する圧着シート及びその製造方法に関するものである。
個人情報等が印刷された圧着可能なシートがある。このシート(圧着シート)は、シートを構成する基材の少なくとも一部に粘着剤が塗布されており、その粘着剤面にデザイン等の印刷や個人情報等が印刷されており、折り返して圧着することにより剥離可能に接着することができる。
上記の圧着シートは、特許文献1、2に示されるように、ダイレクトメールや、はがき、封書などに利用されている。このような圧着シートでは、圧着して接着したものを、開封する際の剥がし易さを確保するために、剥がし始める箇所のコーナー部に、接着抑制部として、剥離紙を設ける、あるいはシリコーン油を塗布することで、圧着後の接着力を弱くすることで、剥離の時の基材の破れを防止していた。また、圧着シートのコーナーに切り欠きを設け、折り畳まれた状態で、そのコーナー部分の段差の部分から剥がすと、剥がしやすくなることが示されている。
しかし、上記の接着抑制部を設けることは、剥離紙を設ける工程、あるいはシリコーン油の塗布工程などの製造上での負荷が大きく、問題である。また圧着シート上に地紋や、固定情報を印刷して形成する時に使用するインキ等により、上記の接着抑制部を印刷して形成することが考えられるが、上記の地紋、固定情報の印刷がない場合には、接着抑制部を形成できない問題がある。
また、一方で、コーナーに切り欠きを設ける場合、その切り欠きを、刃型で加工する際に、基材に粘着剤が塗布されているため、切り欠きの抜けが悪かったり、抜いたカスが、圧着シート上に付着したりする問題があった。さらに、圧着された状態でのコーナーの切り欠きの段差部分で剥がそうとする際、爪でシートをめくる手間がかかり、剥がし易いものとは到底いえないものである。
特開2000−79964号公報 特開2005−74997号公報
したがって、本発明は、剥離可能な接着剤を用いた紙片を利用して、個人情報などを隠蔽することができ、その隠蔽した紙片を圧着シートから剥がす際に、紙片が材破することなく、また、その紙片材破を防止する接着抑制の印刷もすることなく、さらに圧着シートのコーナーに切り欠きの加工する際、製造上の不具合が生じ無い圧着シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は感圧接着部を有する基材が、折り部または切り離し部で連接され、該基材が折り部で折られて、重なり、または切り離し部で切り取られて、切り取られた基材同士が重なり、感圧接着部により剥離可能に接着する圧着シートにおいて、前記の基材の一部に、頂点A,B,Cからなり、頂点Bを基材角部とする三角形状のコーナーカット部を有し、該コーナーカット部で切り取られて残存した部分において、該コーナーカット部の少なくとも前記の頂点A,Cの鈍角を挟む辺近傍の感圧接着部を構成する感圧接着剤が劣化していることを特徴とする。
これにより、上記圧着シートは、圧着シートの構成要素である紙片(感圧接着部を有する基材において、折り部または切り離し部を境にして分かれた部分)を利用して、容易に個人情報などを隠蔽することができる。またその隠蔽した紙片を圧着シートから剥がす際に、剥がし始める箇所である、コーナーカット部の三角形の少なくとも頂点A、Cの鈍角を挟む辺近傍で、感圧接着部を構成する感圧接着剤が劣化しているので、その接着強度が低下し、紙片が材破することなく、剥がしやすくなっている。
また、本発明は、前記の感圧接着剤の劣化している箇所が、前記の頂点A,Cを結ぶ辺を含むことを特徴とする。これにより、感圧接着剤の劣化している箇所が、広がって、隠蔽した紙片を圧着シートから剥がす際の紙片の材破防止性をより高めることができる。
また、本発明の圧着シートの製造方法は、基材上に、感圧接着部と、折り部または切り離し部を形成し、その後に前記基材の一部に、レーザー照射により、頂点A,B,Cからなり、頂点Bを基材角部とする三角形状のコーナーカット部を形成し、該レーザー照射により、該コーナーカット部で切り取られて残存した部分における、該コーナーカット部の少なくとも前記の頂点A,Cの鈍角を挟む辺近傍の感圧接着部を構成する感圧接着剤を劣化させて、その後に基材を折り部で折り重ねて、または切り離し部で基材を切り取り、切り取られた基材同士を重ねて、加圧することにより、剥離可能に接着させ、前記コーナーカット部の劣化させた感圧接着剤の接着力を低下させるようにしたことを特徴とする。
このように、本発明では、圧着シートの構成要素である紙片(感圧接着部を有する基材において、折り部または切り離し部を境にして分かれた部分)を、感圧接着部を構成する感圧接着剤により接着させて、情報を隠蔽し、その隠蔽した紙片を圧着シートから剥がす際、コーナーカット部の形成の時のレーザー照射により発生した熱を伝導させて、コーナーカット部の三角形の少なくとも頂点A、Cの鈍角を挟む辺近傍の感圧接着部を構成する感圧接着剤が熱劣化して、感圧接着剤同士の接着力が低下し、剥がす際の紙片の材破を防止している。圧着シートにコーナーカット部を加工する際、刃型で加工する方法ではなく、レーザー照射により、対象物と非接触により加工しているので、コーナーカット部である切り欠きの抜けが悪かったり、接着剤が残存する影響による抜いたカスが、圧着シート上に付着したりする問題がない。
また、レーザー照射により、切り欠きの切削加工をしているので、すなわちレーザー照射を含むレーザー加工機のコントローラの電子制御により、加工を行なうので、加工する位置、加工の大きさが一定ではなく、自在に変化させた設定にすることができ、コーナーカットの位置の設計上の変更にも自在に対応でき、実用性が非常に高いものである。
また、本発明の圧着シートの製造方法は、前記の感圧接着剤の劣化させる箇所が、前記の頂点A,Cを結ぶ辺を含むことを特徴とする。これにより、感圧接着剤の劣化している箇所が、広がって大きくなり、隠蔽した紙片を圧着シートから剥がす際の紙片の材破防止性をより高めることができる。
本発明の圧着シートは、上記構成をとることにより、剥離可能な接着剤を用いた紙片(感圧接着部を有する基材における折り部または切り離し部を境にして分かれた部分)を利用して、個人情報などを隠蔽することができ、その隠蔽した紙片を圧着シートから剥がす際に、紙片が材破することを防止できた。また本発明の圧着シートの製造方法によれば、上記の紙片の材破を防止する印刷をすることがないので、製造効率が良い。さらに圧着シートのコーナーに切り欠きの加工をする際、刃型で加工することはしないので、つまり、対象物と非接触により加工するので、切り欠きの抜けが悪かったり、抜いたカスが、接着剤が残存する影響による、圧着シート上に付着したりする製造上の不具合を防止した。
本発明の圧着シートである一つの実施形態を示す平面図である。 図1に示した圧着シートのコーナーカット部を含む概略の部分断面図である。 本発明の圧着シートである他の実施形態を示す平面図である。 本発明の圧着シートのコーナーカット部の感圧接着剤の熱劣化領域の数例を示した概略図である。 本発明の圧着シートの製造方法で適用するコーナーカット部の形成の際に使用されるレーザー加工装置の一例を示す概略図である。
次に、本発明の実施の形態について、詳述する。以下の実施の形態で示される圧着シート及びその製造方法は、本発明の実施例でもある。
図1は本発明の圧着シートである一つの実施形態を示す平面図であり、図1(1)は、感圧接着部を有する基材が、折り部2で連接された圧着シート1の折られる前の状態を示す圧着シートの概略の平面図であり、圧着シートの両端には、後処理で使用するプリンター等の搬送でピン送りとして利用するためのマージナルパンチ7の加工が施されている。折り部2は圧着シートのセンターにあり、感圧接着部を有する基材において、折り部2を境にして分かれた部分、つまり紙片9と紙片10が隣接した形態となっている。
図1(1)で、圧着シート1の感圧接着部の設けられた面に、「郵便はがき」の表示部6がある。この図示した圧着シート1は折り部2で、矢印で示すように、紙片9と紙片10の双方の感圧接着部同士が接するように、折られて、重なって、接着して、図1(2)に示すような形態になる。
図1(1)では、紙片10の隅に、部分的に拡大させた図で示すように、頂点A、B、Cからなる三角形(△ABC)のコーナーカット部3を有し、つまり頂点A,B,Cからなり、頂点Bを直角三角形の直角をなす頂点とした基材角部とする三角形状のコーナーカット部3を有し、紙片9と紙片10の双方の感圧接着部同士が接するように、折られて、重なって、図1(2)に示すような形態になる。さらに郵便はがきとして利用する際に、マージナルパンチ7を含む端を切断(シートカット)して破棄するものである。その切断後の郵便はがきの形態で、配達されて受け取った人が、感圧接着部により、接着した郵便はがきの紙片9、10同士を剥がしやすくするために、最初に剥がす位置に、上記コーナーカット部3を有している。すなわち、コーナーカット部3では、紙片同士が接着していなく、一方の紙片しか残存していなく、さらに、コーナーカット部3の頂点A、Cの鈍角(α、β)を挟む辺近傍の感圧接着剤が劣化している(図4参照)ので、感圧接着剤同士の接着力が低下し、剥がし易くなっている。上記で示した図1は、2つ折りタイプの圧着シートである。
図2は、図1(1)に示した圧着シートのX−Xで切断した概略の断面図であり、感圧接着部5を有する基材4において、隅の位置にコーナーカット部3を有し、圧着シートが折り畳まれて、接着したはがきの形態で、そのコーナーカット部3の周辺の接着された部分を剥がし始める位置である、頂点A、Cの鈍角を挟む辺近傍の感圧接着部5の感圧接着剤が劣化している。図では劣化した領域を分かり易く、感圧接着部5の領域を示す斜線部と明確に区分して、破線の斜線で示したが、レーザー照射により発生した熱が伝導して、コーナーカット部3の頂点A、Cの鈍角を挟む辺近傍8(以下、コーナーカット部の周辺とする)の感圧接着剤が熱劣化した領域であり、劣化していない領域との境は、直線的(平面的)なものではないと思われる。
図2で示したコーナーカット部3の周辺8における感圧接着剤の熱劣化領域は、レーザー照射条件で、例えばレーザービーム径、パワーを変化させることにより、大きさを変化させることができる。その大きさの違いはあっても、コーナーカット部の周辺の感圧接着剤が熱劣化しているので、感圧接着剤同士の接着力が低下し、剥がし易くなり、剥離時にコーナーカット部の周辺での紙片の破れを防止している。
図3は、本発明の圧着シートである他の実施形態を示す平面図であり、図3(1)は、感圧接着部を有する基材が、折り部2と折り部2´で連接された圧着シート1の折られる前の状態を示す圧着シートの概略の平面図であり、圧着シートの両端には、後処理で使用するプリンター等の搬送でピン送りとして利用するためのマージナルパンチ7の加工が施されている。折り部2、折り部2´を境にして、紙片9、紙片10、紙片11が順に隣接した形態となっている。
図3(1)で、圧着シート1の感圧接着部の設けられた面に、「郵便はがき」の表示部6がある。この図示した圧着シート1は折り部2で、矢印で示すように、紙片9と紙片10の双方の感圧接着部同士が接するように、折られ、さらに折り部2´で、矢印で示すように、紙片10(紙片9と接着した)と紙片11の双方の感圧接着部同士が接するように、折られ、重なって、接着し、図3(2)に示すような形態になる。この形態は、いわゆる3つ折り(Z折り)タイプの圧着シート(はがき)である。
図3では、紙片11の隅に、頂点A、B、Cからなる三角形(△ABC)のコーナーカット部3を有し、紙片9と紙片10の双方の感圧接着部同士が接するように、折られて、さらに紙片10(紙片9と接着した)と紙片11の双方の感圧接着部同士が接するように、折られ、重なって、図3(2)に示すような形態になる。さらに郵便はがきとして利用する際に、マージナルパンチ7を含む両端を切断(シートカット)して破棄するものである。その切断後の郵便はがきの形態で、配達されて受け取った人が、感圧接着部により、接着した郵便はがきの紙片10、11同士を剥がしやすくするために、最初に剥がす位置に、上記コーナーカット部3を有している。すなわち、コーナーカット部3では、紙片同士が接着していなく、一方の紙片しか残存していなく、さらに、コーナーカット部3の頂点A、Cの鈍角を挟む辺近傍の感圧接着剤が劣化しているので、感圧接着剤同士の接着力が低下し、剥がし易くなっている。
また、図4は、本発明の圧着シートのコーナーカット部の感圧接着剤の熱劣化領域の数例を示した概略図である。図4(1)では、コーナーカット部3の△ABCで切り取られて残存した辺ACの端から端までの連続した線と平行な領域が、感圧接着剤の熱劣化領域8である。三角形ABCの頂点Aの鈍角αを挟む辺である辺ACの感圧接着剤は劣化しており、三角形ABCの頂点Aの鈍角αを挟む辺である辺ABの延長線上の感圧接着剤は幅Lの箇所で劣化しているものである。同様に、三角形ABCの頂点Cの鈍角βを挟む辺である辺ACの感圧接着剤は劣化しており、三角形ABCの頂点Cの鈍角βを挟む辺である辺BCの延長線上の感圧接着剤は幅Mの箇所で劣化しているものである。
図4(2)では、コーナーカット部3の△ABCで切り取られて残存した部分で、三角形ABCの頂点Aの鈍角αを挟む辺である辺ACのAからの一定長さ分(N)に沿って、また辺ABの延長線上の幅Oに沿った感圧接着剤の箇所8が劣化している。また、三角形ABCの頂点Cの鈍角βを挟む辺である辺ACのCからの一定長さ分(P)に沿って、また辺BCの延長線上の幅Qに沿った感圧接着剤の箇所8が劣化している。
図4(3)では、コーナーカット部3の△ABCで切り取られて残存した辺ACの端から端までの連続した線と平行な領域が、感圧接着剤の熱劣化領域8である。さらに、三角形ABCの頂点Aの鈍角αを挟む辺である辺ABの延長線上の感圧接着剤は幅Rの箇所で劣化しているものである。同様に、三角形ABCの頂点Cの鈍角βを挟む辺である辺ACの感圧接着剤は劣化しており、三角形ABCの頂点Cの鈍角βを挟む辺である辺BCの延長線上の感圧接着剤は幅Sの箇所で劣化しているものである。図4では3例を示したが、この例に限らず、感圧接着部により、接着した圧着シートの紙片同士を剥がしやすくするために、剥がし始める位置に、熱により劣化した領域、すなわち接着性を抑制した領域が設けられていればよい。
上記で説明した図1、3では、いずれも感圧接着部を有する基材が、折り部2で連接された圧着シートのものであるが、これに限らず、感圧接着部を有する基材が、切り離し部で連接され、その切り離し部で切り取られて、切り取られた基材同士で感圧接着部同士が接するように、重なり、感圧接着部により接着する圧着シートであってもよい。その重ねて接着させる際に、切り取られた紙片同士は、その切り取られた部分の端同士の位置が合うようにすれば、容易に位置合わせができる。
以下に、本発明の圧着シートを構成する要素について、詳しく説明する。
(基材)
圧着シートの基材4として、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、セルロース繊維紙等の紙類、または基材内部に微細空隙(ミクロボイド)を有するフィルム(いわゆる合成紙)を使用することができる。
但し、圧着シートに所定の印刷を施し、またレーザー照射によるコーナーカット部の形成加工できる所定の厚さを確保する必要がある。例えば、厚さが20〜300μmのものが好ましい。上記の基材の中でも、紙類が特に好ましい。それは、折り部で折って重ねて、感圧接着部を接着させる際の折適性、接着適性が良好であるからである。
(感圧接着部)
感圧接着部5は、その使用する感圧接着部が基材と接触しても接着せずに、感圧接着部同士が加圧接触してはじめて接着し、しかも再剥離ができるように調整されたものであるが、本発明の圧着シートでは、レーザー照射の熱により、発生した熱が伝導して、感圧接着部を構成する感圧接着剤は、熱劣化するものである。そして、その熱劣化により、感圧接着剤同士の接着力が低下するものである。上記の熱劣化する領域は、レーザー照射により直接照射された部分は切削除去されているので、詳細にはレーザー照射で照射された箇所に隣接して、切削除去された箇所と接した残存部分であり、レーザー照射条件(ビーム径、パワー、走査速度等)と、使用する感圧接着剤の種類が、熱による物性変化(接着力低下など)が変動し、その感圧接着部の熱劣化の領域は変動する。
上記の感圧接着剤としては、以下に説明する接着主剤と、充填剤を含有させたものが使用できる。その接着主剤としては、天然ゴムを無硫黄加硫し、メタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックス、天然ゴムにメタアクリル酸メチルやスチレンモノマー等をグラフト共重合させて得られた天然ゴムラテックスが挙げられる。この天然ゴムラテックスは、レーザー照射により発生した熱の影響で、劣化する。この劣化とは、レーザー照射前と照射後で、感圧接着剤の性質や状態が変化して、感圧接着剤同士の接着力が低下することを意味している。
上記の感圧接着剤の熱による劣化は、レーザー照射により発生する熱によって、天然ゴムの架橋密度が変化するため、あるいは天然ゴム中に浸透した酸素が反応して酸化が起こるため、接着剤同士の接着強度が低下するものと考えられる。
感圧接着剤に含有する充填剤としては、例えば、クレー、一次または二次凝集体を形成しているカルサイト系沈降性炭酸カルシウム、二次凝集体を形成しているアラゴナイト系沈降性炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、スチレンビーズ、シリカ、合成微粒子シリカ、アミノ表面改質シリカ、ワックス表面処理シリカ、球状シリカ、通常のカルシウムや、亜鉛、マグネシウム、アルミニウムもしくはチタン等の金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、珪酸塩、またはこれらの混合物等が挙げられる。好適には、クレーと炭酸カルシウムである。
感圧接着剤には、上記の接着主剤、充填剤、その他、必要に応じて分散剤、印刷適性向上剤等の添加剤なども目的に応じて併用することができる。
基材への感圧接着剤の塗工は、従来既知の塗工方法により塗工することができる。例えば、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ダイコーター等の一般的なコーターによって塗工されるが、塗工量は固形分で3〜15g/m2の範囲で調整されるのが望ましい。塗工量が3g/m2の未満であると、所望の接着力が得られず意図しない剥離が生じやすくなり、15g/m2を超えると、接着力が強くなりすぎて、剥離することができなくなったり、塗工時に塗工ロールに、接着剤の粕が付着したりして、操業上および品質上のトラブルが生じやすくなる。
図1、3を参照し、圧着シート1の折り部2で折り、紙片10と紙片11の表面の感圧接着部同士が重ね合わされて圧着されて接着し、圧着シートに記録された個人情報などが隠蔽できる。また図示してはいないが、基材の表面に記載あるいは記入された個人情報が、郵便配達中などの取扱い中に、それらの個人情報が透けて見えないように、基材の感圧接着部の設けられた面と反対面や、基材と感圧接着部との間に、地紋印刷が施されることが好ましい。
以下に、圧着シートの製造方法について、説明する。
圧着シートの基材に対し、感圧接着部5と、表示部6を形成する。その感圧接着部5と表示部6との形成する順序は、特に限定するものではない。尚、基材の一方の全面に、感圧接着部が塗工されたものを、入手する場合は、表示部の形成は後で行なうことになる。この表示部の形成は、グラビア印刷やオフセット印刷等の印刷で形成する、またはインクジェット記録、電子写真記録などのプリンターで、圧着シートに個人情報など可変データを記録する際に、「郵便はがき」や「連絡票」などの表示を行なうための記録も兼ねて行なうことも可能である。
次に、圧着シートの所定の箇所に、折り部または切り離し部を、ミシン加工により、形成する。その際に、連続シートの基材を用いて、長尺の形態で連続的に加工することが大量生産上、好ましく、その連続シートの搬送方向で、両端にマージナルパンチ7を、一対のロール表面に、ピンとダイスを取り付けて、ロール同士が基材を間に挟んで、回転することで、マージナルパンチを打ち抜いて加工することが好ましい。
次に、前記基材の隅である所定の位置に、レーザー照射により、基材(感圧接着部を含め)を切削して、コーナーカット部を形成する。そのコーナーカット部は三角形(△ABC)の形状であり、折り部または切り離し部で連接された基材が、折り部で折られ、重なり、または切り離し部で切り取られ、切り取られた基材同士が重なり、感圧接着部により接着した圧着シートの形態から、その紙片同士の接着を剥がし始める位置に対応して、そのコーナーカット部の位置が決定される。
上記のコーナーカットの形成する加工のレーザー照射の際に、そのレーザー照射により発生した熱が伝導して、コーナーカット部の周辺の感圧接着剤を熱劣化させ、感圧接着剤同士の接着力を低下させている。その際、レーザー照射条件のレーザービーム径、パワーなどを変化させることにより、図4の(1)〜(3)で示したようなコーナーカット部の感圧接着剤の熱劣化する領域の大きさや形状を変化させることができる。
(レーザー照射による切削加工)
レーザー照射手段としては、レーザー光として、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー、ルビーレーザーなどを用い、特にYAGレーザーは、波長が短く、微小なスポットに集光できるため、より微細な加工が可能であり、好ましく用いられる。 レーザー照射手段により、任意の形状、大きさで、対象物を切削して、コーナーカット部の加工をすることができる。
本発明で適用するレーザー照射手段の例を、説明すると、まず、レンズによりレーザー光を集光して、印刷物に基材の面へ照射する。その際に、レーザー光の照射条件(ビーム径、パワー、走査速度等)を調整することにより、コーナーカットの加工する大きさを制御でき、そのコーナーカット部の周辺の感圧接着剤の熱劣化する領域の大きさも調整することができる。このように、本発明ではレーザー照射を行なうことで、簡単に、精度が高く、再現性良く、圧着シートと非接触で、加工ができる。
本発明のレーザー照射手段は、約0.9〜11μmの赤外線領域のレーザー光線を使用することが好ましく、レーザー光を照射された部分は、加熱されることになる。レーザー光を照射された部分は、局所的に加熱され、その部分の融点を越えた状態の液相時に、その部分を吹き飛ばすことにより切削される。
このようなレーザー照射による切削加工は、以下に説明するレーザー加工装置により、行なうことができる。レーザー加工装置は、図5にその一例を示すように、レーザーヘッド21と加工光学系(レンズ)22と、レーザー電源23とから構成されるレーザー発振器20、被加工物である圧着シート30を搭載し、水平面内(XY平面内)に移動可能なXYテーブル24、レーザーヘッド21と加工光学系(レンズ)22を上下方向(Z軸方向)に移動させるZテーブル25、XYテーブル24の水平面内の移動動作とZテーブル25の上下方向の移動動作とレーザー発振器20の発振動作とを自動または手動で制御するメインコントローラ26を備える。このようなレーザー加工装置15のメインコントローラの制御により、図1、3、4に示すような、位置と大きさで、コーナーカット部3を形成することができる。尚、圧着シートの端や、最終製品の圧着シートには存在しないが、圧着シートを製造する途中での製品の端などに、検知マークを形成しておき、その検知マークをレーザー照射による切削加工を開始する検知信号として利用することができる。
(検知マーク)
本発明の圧着シートの製造方法におけるレーザー照射によるコーナーカット部の加工では、全て所定の箇所に加工する必要性があるために、圧着シートに予め検知マークを形成しておき、そのマークを検出して、レーザー照射する位置を調整することが好ましい。この検知マークは、表示部の形成時と同時、ないし直後に形成され、その後に、レーザー照射による切削加工を行なう場合の基準となるものである。
検知マークの形状や色は、検知器によって検知可能であればよく、限定されるものではない。また、検知マークの位置は、圧着シートの利用する用途で、悪い影響が出ないように、設定できる。検知マークの形状においては、例えば、楕円、四角形、その他、丸形やバーコード等の形状でもよい。検知マークの色は、検知器で検知可能であればよく、例えば、光透過型検知器であれば、隠蔽性の高い銀色、黒色などがあげられる。また、光反射型検知器であれば、反射性の高い金属光沢の色調などがあげられる。検知マークの形成方法は、インクジェット記録、電子写真記録などのプリンターを使用した記録方法や、グラビア印刷やオフセット印刷方法などが挙げられる。
本発明の圧着シートは、郵便はがきの用途を中心にして説明したが、そのはがき用途に限らず、アンケート用紙等を手渡し等で、配布して、その後に、記入した用紙が回収されて利用する用途などにも適用できる。
1 圧着シート
2 折り部
3 コーナーカット部
4 基材
5 感圧接着部
6 表示部
7 マージナルパンチ
8 熱劣化領域
9、10、11 紙片
15 レーザー加工装置
20 レーザー発振器
21 レーザーヘッド
22 加工光学系
23 レーザー電源
24 XYテーブル
25 Zテーブル
26 メインコントローラ
30 圧着シート

Claims (4)

  1. 感圧接着部を有する基材が、折り部または切り離し部で連接され、該基材が折り部で折られて、重なり、または切り離し部で切り取られて、切り取られた基材同士が重なり、感圧接着部により剥離可能に接着する圧着シートにおいて、前記の基材の一部に、頂点A,B,Cからなり、頂点Bを基材角部とする三角形状のコーナーカット部を有し、該コーナーカット部で切り取られて残存した部分において、該コーナーカット部の少なくとも前記の頂点A,Cの鈍角を挟む辺近傍の感圧接着部を構成する感圧接着剤が劣化していることを特徴とする圧着シート。
  2. 前記の感圧接着剤の劣化している箇所が、前記の頂点A,Cを結ぶ辺を含むことを特徴とする請求項1に記載する圧着シート。
  3. 基材上に、感圧接着部と、折り部または切り離し部を形成し、その後に前記基材の一部に、レーザー照射により、頂点A,B,Cからなり、頂点Bを基材角部とする三角形状のコーナーカット部を形成し、該レーザー照射により、該コーナーカット部で切り取られて残存した部分における、該コーナーカット部の少なくとも前記の頂点A,Cの鈍角を挟む辺近傍の感圧接着部を構成する感圧接着剤を劣化させて、その後に基材を折り部で折り重ねて、または切り離し部で基材を切り取り、切り取られた基材同士を重ねて、加圧することにより、剥離可能に接着させ、前記コーナーカット部の劣化させた感圧接着剤の接着力を低下させるようにしたことを特徴とする圧着シートの製造方法。
  4. 前記の感圧接着剤の劣化させる箇所が、前記の頂点A,Cを結ぶ辺を含むことを特徴とする請求項3に記載する圧着シートの製造方法。
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