ミスト捕集装置1は、従来のものと同様に金属等の加工の際に発生するミスト(たとえば、オイルミスト)を捕集する装置であり、図1、図2、図7、図17等で示すように、筐体3とミスト捕集部材(たとえば、ミスト捕集ディスク)5とオイルパン部6と清掃用孔7と清掃用扉(清掃用孔用扉)9とを備えている。
筐体3には、空気吸入孔11と空気排出孔13とが設けられている。空気吸入孔11は、筐体3の外部から筐体3の内部に空気を入れるために、筐体3の一端部側(たとえば側面)に設けられている。空気排出孔13は、筐体3の内部から筐体3の外部に空気を排出するために筐体3の他端部側(たとえば上面)に設けられている。
また、ミスト捕集装置1には、空気流生成手段15が設けられている。空気流生成手段15は、ミスト捕集装置1での空気の流れを生成するものである。ミスト捕集装置1での空気の流れによって、筐体3の空気吸入孔11から吸い込んだ空気が筐体3の内部を流れ筐体3の空気排出孔13から排出されるようになっている。
ミスト捕集ディスク5は、筐体3の内部で筐体3に対し水平方向に延びた軸を中心にして回転自在になっている。また、ミスト捕集ディスク5は、空気吸入孔11から入って筐体3の内部を流れ空気排出孔13から排出される空気中のミストを、回転することで捕集するようになっている。
オイルパン部6は、ミスト捕集ディスク5の下側で筐体3の下部に設けられている。また、オイルパン部6は、ミスト捕集ディスク5で捕集されることで凝集され液体状もしくは流動体状になり、ミスト捕集ディスク5から離れて落下してくるミスト集合体を受けて一時的に溜めることができるようになっている。
清掃用孔7は、オイルパン部6とミスト捕集ディスク5とを清掃しまた点検するために、筐体3のたとえば側面に設けられている。
ミスト捕集装置1のオペレータは、清掃用孔7を通して、オイルパン部6のほぼ全体を見ることができ、しかも、ミスト捕集装置1のオペレータが、清掃用孔7から手や器具を筐体3の内部に差し込んで、オイルパン部6の全体を清掃し点検することができるようになっている。また、ミスト捕集装置1のオペレータは、清掃用孔7から手や器具を筐体3の内部に差し込んで、ミスト捕集ディスク5を筐体3から分離し、筐体3の外部に取り出すことができるようになっており、逆に、ミスト捕集ディスク5を筐体3内に設置することができるようになっている。清掃用扉9は、清掃用孔7を開閉するために筐体3に設けられている。
ミスト捕集装置1では、清掃用扉9を閉じてミスト捕集装置1を稼動したとき、筐体3内の空間のうちでオイルパン部6が設けられている部位が陰圧になる(大気圧よりの空気圧力が僅かに低くなる)ように構成されている。
また、ミスト捕集装置1では、ミスト捕集ディスク5とオイルパン部6との間に(ミスト捕集ディスク5の下方に)、障害物(たとえば、邪魔板)17が設けられている。邪魔板17は、ミスト捕集ディスク5の回転によって発生する空気の流れ(ミスト捕集ディスク5の回転の遠心力等で発生する空気の流れ)がオイルパン部6に直接到達することを防止するためのものである。
邪魔板17を設けたことで、たとえば、ミスト捕集ディスク5の真上から真下に向かって平行光線を照射すると、平行光線が邪魔板17で遮られて、ミスト捕集ディスク5の影がオイルパン部6に映らないようになっている。また、邪魔板17を設けたことで、ミスト捕集ディスク5の回転による遠心力でミスト捕集ディスク5から離れたミスト集合体がオイルパン部6に直接到達することも防止されるようになっている。すなわち、ミスト捕集ディスク5の回転による遠心力でミスト捕集ディスク5の外周から離れて飛び出すミスト集合体のうちで、下方に向かうミスト集合体の総てが、邪魔板17にぶつかってから、オイルパン部6に落下するようになっている。
空気流生成手段15は、上述したように、空気吸入孔11から入って筐体3の内部を流れ空気排出孔13から排出される空気の流れを生成するものであり、送風機(ファン;たとえば遠心ファン)19によって構成されている。
ファン19は、羽根部21が筐体3の内部であってミスト捕集ディスク5のたとえば下流側(筐体3の内部を流れる空気流の下流側;図17では右側)に設けられている。羽根部21を回転駆動するモータ23は筐体3の外部に設けられている。
筐体3の内部空間は、ミスト捕集ディスク5が設けられている空間(上流側空間)27と、羽根部21が設けられている空間(下流側空間)29とに、ベルマウス26とベルマウス支持部材28とによって仕切られている。なお、ベルマウス26とベルマウス支持部材28とは、詳細は後述する仕切り部材25(図2、図17等参照)とは異なる仕切り部材を構成している。
ベルマウス26には、上流側空間27から下流側空間29に空気を流すための貫通孔32が形成されている。羽根部21とミスト捕集ディスク5とは、モータ23の回転出力軸33の回転中心軸を回転中心にして回転するように構成されている。ベルマウス26とこの貫通孔32は、モータ23の回転出力軸33の回転中心軸と同軸で設けられている。
このようにして、ベルマウス26とベルマウス支持部材28が設けられていることで、清掃用扉9を閉じてファン19を稼動すると、上流側空間27が陰圧になり、下流側空間29のうちの羽根部21の外側の部位が陽圧になる。なお、オイルパン部6は、上流側空間27の下部にのみ設けられている。
ミスト捕集装置1には、整流部材(整流板)35が設けられている。整流部材35は、筐体3の内部で空気吸入孔11とミスト捕集ディスク5との間に設けられている。整流部材35は、ミスト捕集ディスク5のところにおける空気の流速分布をほぼ均一に(均一化)するようになっている。
空気吸入孔11の断面積(空気吸入孔11で空気が流れる方向から見た面積)は、ミスト捕集ディスク5の面積(空気吸入孔11で空気が流れる方向から見た面積)よりも小さくなっている。したがって、整流部材35を設けてないと、ミスト捕集ディスク5での空気の流速分布が不均一になる。しかし、整流部材35を設けることで、ミスト捕集ディスク5での空気の流速分布が、完全に均一にならないまでも、ほぼ均一になる。
筐体3の側面には、整流部材35を筐体3に設置しまた筐体3から取り外すための貫通孔37が設けられており(図6等参照)、この貫通孔37を通して整流部材35を出し入れすることで、整流部材35が、筐体3に対して容易に着脱自在になっている。また、整流部材35には、プレフィルタ(図示せず)が設置可能になっている。なお、プレフィルタは、整流部材35に対して容易に着脱自在になっている。
捕集ディスク5は、平板状(たとえば、円形な平板状)に形成されており、中心を通り厚さ方向に延びた軸を中心にして回転するようになっている。そして、回転中心軸と平行に流れる空気が捕集ディスク5に衝突することで、空気中のミストが捕集され、捕集されたミストが凝集され、上述したように、液体状もしくは流動体状のミスト集合体になる。また、捕集ディスク5は、回転によって発生する遠心力で捕集したミスト集合体を外周から外側へ飛ばすようになっている。
捕集ディスク5の、ミストを捕集する部位は、♯65〜♯100のメッシュ(メッシュ材)39で構成されており(図10等参照)、ミストを捕集するときには、捕集ディスク5の回転速度が、空気の流速(空気流生成手段15によって生成され捕集ディスク5の回転中心軸と平行に流れる空気の流速)よりも速く、空気の流速に対して1.67倍〜5.7倍の値になっている。
メッシュ39は、たとえば、メッシュを構成している素線の線径が0.18mmであり1インチあたりの目の数が65である金網で構成されているか、メッシュを構成している素線の線径が0.14mmであり1インチあたりの目の数が80である金網で構成されているか、もしくは、メッシュを構成している素線の線径が0.11mmであり1インチあたりの目の数が100である金網で構成されているか、もしくは、メッシュを構成している素線の線径が0.18mm〜0.11mmの中間値であり1インチあたりの目の数が65〜100の中間値である金網で構成されている。
ミスト捕集ディスク5は、図10〜図13で示すように、メッシュ39と上流側板(上流側ディスク)41と下流側板(下流側ディスク)43とを備えている。上流側板41は、平板状に形成されており、空気の流れの上流側に位置している。下流側板43も平板状に形成されており、上流側板41よりも下流側に位置している(空気の流れの下流側に位置している)。
メッシュ39は、上流側板41と下流側板43とで挟み込まれることで、上流側板41とメッシュ39と下流側板43とが一体化している。なお、ミスト捕集ディスク5では、上流側板41の厚さ(たとえば1.0mm)が下流側板43の厚さ(たとえば1.5mm)よりも薄くなっている。
上流側板41と下流側板43とには貫通孔45,47が形成されており、これらの貫通孔45,47のところでメッシュ39が現れている。そして、空気がメッシュ39の間隙部を通ることで空気中のミストの捕集がなされるようになっている。
ミスト捕集ディスク5をこの厚さ方向から見ると、下流側板43の貫通孔47が上流側板41の貫通孔45の内側に存在している(貫通孔包含状態になっている)。
貫通孔包含状態とは、下流側板43の貫通孔47が上流側板41の貫通孔45よりも小さく形成されており、下流側板43の貫通孔47の外周と上流側板41の貫通孔45の外周がお互いに接することなく、下流側板43の貫通孔47が上流側板41の貫通孔45の内側に位置している状態を含むことは勿論である。
この他に、貫通孔包含状態は、下流側板43の貫通孔47の外周の一部が上流側板41の貫通孔45の外周の一部に重なっていて、下流側板43の貫通孔47の外周の他部が上流側板41の貫通孔45の内側に存在している場合も含む。ただし、下流側板43の貫通孔47と上流側板41の貫通孔45が同形状でお互いが重なっている場合は除かれる。なお、貫通孔包含状態の具体例については後述する。
また、ミスト捕集ディスク5では、メッシュ39がミスト捕集ディスク5の回転中心軸から離れた外周側のみにたとえば環状に配置されている。
ミスト捕集ディスク5の回転時における周速は、上述したように、筐体3の内部を流れる空気の流速よりも速くなっている。
詳しく説明する。モータ23として2ポールの誘導電動機を60Hzの交流電源で使用しており、滑り率を5%程度とすると、ミスト捕集ディスク5の回転数は、3400rev/minになる。ミスト捕集ディスク5におけるメッシュ39の内径(上流側板41、下流側板43の中央部83,89の外径)D1が225mmであるので、メッシュ39の内径D1のところでは、ミスト捕集ディスク5の周速(周速度)が、40m/secになる。
また、ミスト捕集ディスク5におけるメッシュ39の外径(上流側板41、下流側板43の外側環状部の内径)D2が320mmであるので、メッシュ39の外径D2のところでは、ミスト捕集ディスク5の周速(周速度)が、57m/secになる。一方、メッシュを通過する空気の流速は、10m/sec〜20m/secである。なお、ミスト捕集ディスク5の外径D3は330mmである。
したがって、60Hzの交流電源で使用した場合には、捕集ディスク5の回転速度が空気の流速に対して、40m/sec÷20m/secで2倍になり、57m/sec÷10m/secで5.7倍になる。
なお、ミスト捕集装置1を50Hzの交流電源で使用してもよい。この場合、滑り率を5%程度とすると、ミスト捕集ディスク5の回転数は、2840rev/minになる。ミスト捕集ディスク5におけるメッシュ39の内径D1が225mmであるので、メッシュ39の内径D1のところでは、ミスト捕集ディスク5の周速(周速度)が、33.4m/secになる。ミスト捕集ディスク5におけるメッシュ39の外径D2が320mmであるので、メッシュ39の外径D2のところでは、ミスト捕集ディスク5の周速(周速度)が、47.6m/secになる。
50Hzの交流電源で使用した場合には、捕集ディスク5の回転速度が空気の流速に対して、33.4m/sec÷20m/secで1.67倍になり、47.6m/sec÷10m/secで4.76倍になる。
したがって、ミスト捕集装置1を60Hzもしくは50Hzの交流電源で使用した場合、捕集ディスク5の回転速度が空気の流速に対して、上述した1.67倍〜5.7倍になる。
なお、ミスト捕集ディスク5の回転時における周速が、さらに広範囲である、筐体3の内部を流れる空気の流速の1倍よりも大きく10倍以下になっていてもよい。
ミスト捕集装置1についてさらに詳しく説明する。ここで、説明の便宜のために、水平な一方向をX軸方向とし、水平な他の一方向であってX軸方向に直交する方向をY軸方向とし、X軸方向とY軸方向とに直交する方向(上下方向)をZ軸方向とする。
筐体3は、たとえば、平板状の素材を所定形状にした後に曲げ加工することで、外形と内部空間とが直方体状になっている。
空気吸入孔11は、円形状に形成されており、X軸方向の一端部側の平板状の壁部49の中央部で壁部49に形成されている。また、筐体3には、円筒状の筒状材51が一体的に設けられている。筒状材51は、空気吸入孔11を囲んでいるとともに、壁部49からX軸方向の一端側に(筐体3の外側に)突出している(図1(a)(b)等参照)。
整流部材35を着脱するための貫通孔37は、細長い矩形状に形成されており、Y軸方向の一端部側の平板状の壁部53に形成されている。貫通孔37は、長手方向がZ軸方向になり、幅方向がX軸方向になるようにして、X軸方向の一端部側に設けられている。さらに、貫通孔37は、Z軸方向では、壁部53の高さ寸法よりも僅かに小さくなっている(図6、図7等参照)。
空気排出孔13は、矩形状に形成されており、Z軸方向の上端部側の平板状の壁部55に形成されている。空気排出孔13は、壁部55のX軸方向の他端部側であってY軸方向の一端部側に設けられている(図1(d)等参照)。なお、空気排出孔13は、下流側空間29のところに位置しており、上流側空間27のところには位置していない(図17等参照)。
また、筐体3のX軸方向の他端部側の平板状の壁部57は、モータ設置板59で構成されている(図1(a)、図8、図9等参照)。モータ設置板59は、筐体3の本体部(モータ設置板59以外の部位)に対して、ボルト等の締結具で固定されており、筐体3の本体部に対して容易に着脱自在になっている。
筐体3の本体部からモータ設置板59を取り外した状態では、筐体3のX軸方向の他端部には、矩形状の開口部が形成されるようになっている(図8参照)。
清掃用孔7は、矩形状に形成されており、Y軸方向の一端部側の平板状の壁部53に形成されている。清掃用孔7は、長手方向がZ軸方向になり、幅方向がX軸方向になるようにして、整流部材35を着脱するための貫通孔37から離れて、X軸方向の中間部に設けられている。さらに、清掃用孔7は、上流側空間27のところ(整流部材35よりも下流側のところ)に位置しており、下流側空間29のところには位置していない(図7等参照)。
ベルマウス26とベルマウス支持部材28とは平板状の素材を適宜加工することで形成されている。ベルマウス26は、中心に円形状の貫通孔32を備えた円板状に形成されている(図15参照)。また、貫通孔32の外周部には、円筒状の筒状部34が形成されている。
ベルマウス26とベルマウス支持部材28とが筐体3に設置された状態では、筒状部34は、下流側(羽根部21側)に突出している(図17参照)。
また、筐体3の内部であって、ミスト捕集ディスク5とベルマウス26との間には、仕切り部材25が設けられている。仕切り部材25を設けたことで、上流側空間27が第1の空間27Aと第2の空間27Bとに仕切られている(図17参照)。
仕切り部材25は、矩形な平板状に形成されており、X軸方向とY軸方向とに展開して(厚さ方向がZ軸方向になるようにして)、筐体3に一体的に設けられている。オイルパン部6は、上述したように、上流側空間27(第1の空間27A、第2の空間27B)内の下部に形成されている。また、オイルパン部6は、底部が傾斜している。
仕切り部材25の中央には円形状の貫通孔31が形成されており、ファン19を稼動したときに、貫通孔31を通って、空気が第1の空間から第2の空間27Bに流れるようになっている。なお、貫通孔31は、ミスト捕集ディスク5の回転中心軸と同軸になっている。
邪魔板17は、細長い矩形状に形成されており、厚さ方向がZ軸方向になり、幅方向がX軸方向になるようにして、仕切り部材25から第1の空間27Aに突出し仕切り部材25に一体的に設けられている。また、邪魔板17は、Y軸方向では、仕切り部材25の全長にわたって設けられている(図2、図3等参照)。
整流部材35は、平板状の素材を適宜の形態にした後、折り曲げ加工することで生成されおり、矩形な平板状の本体部61とこの本体部61の4辺から起立している側壁部63とを備えて形成されている。そして、本体部61と側壁部63とで囲まれている内部空間内にプレフィルタを着脱自在に設置することができるようになっている(図14参照)。
本体部61のほぼ全域には、長円状の多数の貫通孔65が所定の間隔をあけて行列状に並んでいる。そして、ファン19を稼動すると、空気吸入孔11とプレフィルタと貫通孔65とを通って、筐体3の上流側空間27内に空気が流れ込むようになっている。
また、整流部材35は、貫通孔37を通して筐体3内部に挿入され、筐体3に一体的に設置されるようになっている。また、整流部材35は、貫通孔37を通して筐体3から取り外されるようになっている。
モータ設置板59の中央には、貫通孔67が形成されている(図17等参照)。モータ23の筐体は、ボルト等の締結具によってモータ設置板59に一体的に設置されるようになっている。モータ23がモータ設置板59に設置された状態では、モータ23の回転出力軸33が貫通孔67を貫通して突出している。
また、モータ設置板59にはブラケット69がボルト等の締結具を用いて一体的に設置されている。そして、ブラケット69が、モータ設置板59と共に、モータ23の重量を支持するようになっている(図2等参照)。
なお、モータ23とブラケット69とが設置されたモータ設置板59を筐体3の本体部に設置した状態では、筐体3の外部でX軸方向の他端部側にモータ23の筐体(本体)とブラケット69とが突出している。また、モータ23の回転出力軸33は、下流側空間29内に突出している。
モータ23の回転出力軸33には、円柱状の回転出力軸延長部材71が、回転出力軸33と同軸で、一体的に設けられている。回転出力軸延長部材71は、ベルマウス26の貫通孔32と仕切り部材25の貫通孔31とを通って、下流側空間29から上流側空間27にわたって延びている。ただし、整流部材35までは到達していない(図2等参照)。
回転出力軸延長部材71には、ファン19の羽根部21とミスト捕集ディスク5とが同軸で一体的に設けられている。なお、ファン19の羽根部21は、下流側空間29内に存在しており、ミスト捕集ディスク5は、上流側空間27の第1の空間27A内であって仕切り部材25側で仕切り部材25から僅かに離れて設けられている。たとえば、ミスト捕集ディスク5と仕切り部材25との間の距離(図2や図17で示す左右方向の距離)は、1mm〜5mm程度になっている。
ここで、モータ23と回転出力軸延長部材71とモータ設置板59と羽根部21とミスト捕集ディスク5とブラケット69を筐体3の本体部に設置する手順について説明する。
まず、モータ設置板59と筐体3の本体部をパッキンを介して接続し、モータ設置板59にモータ23とブラケット69とを設置する。
続いて、モータ23の回転出力軸33に回転出力軸延長部材71を設置し、回転出力軸延長部材71に羽根部21を設置する。
続いて、モータ設置板59を筐体3の本体部に設置し、清掃用孔7を通してミスト捕集ディスク5を回転出力軸延長部材71に設置する。
なお、図2では、モータ23の回転出力軸33に回転出力軸延長部材71が設置されており、回転出力軸延長部材71に羽根部21とミスト捕集ディスク5とが設置されているが、回転出力軸33に羽根部21を直接設けるようにしてもよい。この場合であっても、ミスト捕集ディスク5は、回転出力軸延長部材71を介して回転出力軸33に設けられるものとする。さらには、モータ23として、回転出力軸33が規格品よりも長く突出している仕様のものを採用し、回転出力軸延長部材71を使用することなく、回転出力軸33に、羽根部21とミスト捕集ディスク5とを直接設置するようにしてもよい。
ところで、筐体3には、脚部73とミスト集合体排出部(ミスト集合体排出孔)75と指入れ防止網77とが設けられている(図1等参照)。
脚部73は、ミスト捕集装置1を設置するときに使用されるものであり、筐体3の下側で筐体3から突出している。ミスト集合体排出部75はオイルパン部6に溜まったミスト集合体を、筐体3の外部に排出するためのものである。指入れ防止網77は、作業者の指が誤って羽根部に接触することを防ぐためのものである。
なお、指入れ防止網77のところにフィルタ(図示せず)を設けてもよい。フィルタは、下流側空間29から排出される空気を浄化するためのものである。フィルタを設置することで、ミスト捕集ディスク5で除去しきれない極僅かなミストが、空気排出孔13を通って筐体3の外部に排出されることが防止される。
仕切り部材25の下端は貫通している。これにより、第2の空間27Bの下部(オイルパン部6の一部)にミスト集合体が溜まったとして、この溜まったミスト集合体が第1の空間27Aの下部(オイルパン部6の他部)に流れ、ミスト集合体排出部75から排出されるようになっている。
また、X軸方向から見たとき、羽根部21とミスト捕集ディスク5と空気吸入孔11とはお互いが同軸になっているが、羽根部21の中心の位置とミスト捕集ディスク5の中心の位置と空気吸入孔11の中心の位置とが異なっていてもよい。
清掃用扉9は、図6、図7等で示すように、2重扉になっている。すなわち、清掃用扉9は、内蓋79と外蓋81とで構成されている。内蓋79は、ボルト(蝶ボルト等の素手で回転させて着脱することができるボルト)によって、筐体3に着脱されるようになっている。外蓋81は、内蓋79によって閉ざされた清掃用孔7を、さらに外側から閉ざすものである。外蓋81は蝶番によって筐体3に支持されており、Z軸方向の延びた軸を回動中心にして、筐体3に対して回動するようになっている。
なお、外蓋81が閉じられている状態を、図示しないマイクロスイッチ等の検出器で検出可能にしてもよい。そして、外蓋81が閉じられていないときには、インターロックによってモータ23が稼動しないようにしてもよい。
ミスト捕集ディスク5の上流側板(上流側ディスク)41は、図11等で示すように、中央部83と外側環状部85と桟部87とで一体成形されている。中央部83は、円板状(円形な平板状)に形成されている。
外側環状部85は、中央部83と同じ厚さの平板状で内径が中央部83の外径よりも大きな円環状に形成されている。外側環状部85の外径は外側環状部85の内径よりも当然に大きくなっている。また、外側環状部85は、中央部と同軸になっており、厚さ方向が中央部83の厚さ方向と一致し、厚さ方向では中央部83と同じ箇所に位置している。
桟部87は、中央部83や外側環状部85と同じ厚さの平板状に形成されている。桟部87は、中央部83と外側環状部85との間で中央部83と外側環状部85とをお互いにつないでいる。桟部87は、この厚さ方向が中央部83や外側環状部85の厚さ方向と一致し、厚さ方向では中央部83と同じ箇所に位置している。
また、上流側ディスク41の桟部87は、細長い矩形状に形成されており、上流側ディスク41の中央部83の外周から中央部83の径方向に延びて中央部83から離れる方向に突出している。上流側ディスク41の桟部87は複数(たとえば4つ)設けられており、各桟部87は、上流側ディスク41の中央部83の外周を等配する位置(たとえば4等配する位置)に設けられている。なお、上流側ディスク41の桟部87の幅方向は中央部83や外側環状部85の周方向とほぼ一致している。
このように構成されていることで、上流側ディスク41は、円形な平板状の素材の外周側に、お互いが同形状である4つの扇状の貫通孔45を、中央部83や外側環状部85の円周を4等配するように設けた形状になっている。扇状の貫通孔45は、大きい扇形から小さい扇形を除去した形状に形成されている。大きい扇形は、中心角が90°であって半径が外側環状部85の内径(直径)の半分になっている。小さい扇形は、中心角が90°であって半径が中央部83の外径(直径)の半分になっている。大きい扇形の中心角の位置と小さい扇形の中心角の位置とはお互いに一致しており、大きい扇形の中心と小さい扇形の中心と円形な平板状の素材の中心(中央部83や外側環状部85の中心)とはお互いが一致している。
平板状の素材に打ち型を用いた打ち抜き加工を施すことで、上流側ディスク41が上述した形状に形成されている。
ミスト捕集ディスク5の下流側板(下流側ディスク)43は、図12等で示すように、中央部89と外側環状部91と第1の桟部93と第2の桟部95とで一体成形されている。中央部89は、外径が上流側ディスク41の中央部83と同じ大きさの円板状(円形な平板状)に形成されている。
外側環状部91は、中央部89と同じ厚さの平板状で、内径が上流側ディスク41の外側環状部85の内径と同じ値であり、外径が上流側ディスク41の外側環状部85の外径と同じ値である円環状に形成されている。
外側環状部91は、中央部89と同軸になっており、厚さ方向が中央部89の厚さ方向と一致し、厚さ方向では中央部89と同じ箇所に位置している。
第1の桟部93と第2の桟部95とは、中央部89と外側環状部91との間で中央部89と外側環状部91とをお互いにつないでいる。第1の桟部93と第2の桟部95とは、中央部89や外側環状部91と同じ厚さの平板状に形成されており、厚さ方向が中央部89や外側環状部91の厚さ方向と一致し、厚さ方向では中央部89や外側環状部91と同じ箇所に位置している。
下流側ディスク43の第1の桟部93と第2の桟部95とは、上流側ディスク41の桟部87と同形状に形成されている。また、下流側ディスク43の第1の桟部93と第2の桟部95とは、下流側ディスク43の中央部89の外周から中央部89の径方向に延びて中央部89から離れる方向に突出している。下流側ディスク43の第1の桟部93と第2の桟部95とは、複数(たとえば8つ)設けられており、下流側ディスク43の各桟部93,95は、下流側ディスク43の中央部89の外周を等配する位置(たとえば8等配する位置)に設けられている。なお、下流側ディスク43の桟部93,95の幅方向は中央部89や外側環状部91の周方向とほぼ一致している。また、下流側ディスク43の第1の桟部93と第2の桟部95とは、交互に設けられている。
このように構成されていることで、下流側ディスク43は、上流側ディスク41と同様にして、円形な平板状の素材の外周側に、お互いが同形状である8つの扇状の貫通孔47を設けた形状になっている。平板状の素材に打ち型を用いた打ち抜き加工を施すことで、下流側ディスク43が上述した形状に形成されている。
メッシュ39は、図13等で示すように、外径が各ディスク41,43の外径(各ディスク41,43の外側環状部85,91の外径)と等しいか、またはやや小さく、内径が各ディスク41,43の中央部83,89の外径よりも小さい平板状の円環状に形成されている。
そして、ミスト捕集ディスク5は、上流側ディスク41とメッシュ39と下流側ディスク43とを、この順に、お互いの中心が一致し、お互いの厚さ方向が一致するようにして、重ね合わせて、たとえばリベット99(図10、図16等参照)を用いて一体化することで、上流側ディスク41と下流側ディスク43とでメッシュ39を挟み込んだ円形な平板状に形成されている。
なお、リベット99の挿入方向は、図10(b)で示すように、下流側板43から上流側板41へ向かう方向になっている。
ミスト捕集ディスク5をこの厚さ方向から見ると、図11で示すように、上流側ディスク41の桟部87の総てと下流側ディスク43の第1の桟部93の総てとがお互いに重なっており、上流側ディスク41の中央部83の総てと下流側ディスク43の中央部89の総てとがお互いに重なっており、上流側ディスク41の外側環状部85の総てと下流側ディスク43の外側環状部91の総てとがお互いに重なっており、下流側ディスク43の第2の桟部95が、上流側ディスク41の桟部87と下流側ディスク43の第1の桟部93とから離れて存在している。これにより、上述した貫通孔包含状態が形成されている。
さらに説明すると、メッシュ39の外周側の部位(円環状の部位)は、上流側ディスク41の外側環状部85と下流側ディスク43の外側環状部91とで挟まれており、メッシュ39の内周側の部位(円環状の部位)は、上流側ディスク41の中央部83と下流側ディスク43の中央部89とで挟まれている。また、メッシュ39の中間部(外周側の部位と内周側の部位との間の円環状の部位)の一部が、上流側ディスク41の桟部87と下流側ディスク43の第1の桟部93とで挟まれている。
また、下流側ディスク43の第2の桟部95のところでは、メッシュ39が第2の桟部95にのみ係合している。すなわち、メッシュ39の下流側の面の一部が、下流側ディスク43の第2の桟部95に接触して支持されている。
メッシュ39の中間部(外周側の部位と内周側の部位との間の円環状の部位)の他の部位には、下流側ディスク43の貫通孔47(上流側ディスク41の貫通孔45)のところに位置している。したがって、メッシュ39の中間部(桟部87,93,95のところを除く)を通って空気が流れるようになっている。
また、ミスト捕集ディスク5には、鍔部が形成されている筒状のフランジ部材97が設けられており、このフランジ部材97を介して、ミスト捕集ディスク5が、回転出力軸延長部材71に一体的に設置されるようになっている(図10(b)、図2等参照)。なお、フランジ部材97はボルト等の締結具によって、ミスト捕集ディスク5に一体的に設置されるようになっている。また、フランジ部材97は、キーやセットスクリュを用いて、回転出力軸延長部材71に一体的に設置されるようになっている。
なお、前述したように、上流側ディスク41や下流側ディスク43は、素材をこの厚さ方向の一方の側から他方の側に向かって打ち抜き加工することで生成されるのであるが、ミスト捕集ディスク5では、上流側ディスク41や下流側ディスク43における打ち抜き方向の下流側の面が、メッシュ39に面して接触しているものとする(図10(d)参照)。これにより、上流側ディスク41や下流側ディスク43で、メッシュ39を一層堅固に保持することができるようになっている。
ミスト捕集ディスク5が回転出力軸延長部材71に設置された状態では、すでに理解されるように、ミスト捕集ディスク5の中心軸と回転出力軸延長部材71の回転中心軸とはお互いに一致しており、ミスト捕集ディスク5の厚さ方向がX軸方向になっている。
ところで、空気吸入孔11の内径は、メッシュ39の内径(上流側ディスク41の中央部83や下流側ディスク43の中央部89の外径)よりも小さくなっている。なお、中央部83,89の外径は、225mmになっている。また、ミスト捕集ディスク5の外径はたとえば330mmになっており、メッシュ39の外径(上流側ディスク41の外側環状部85の内径や下流側ディスク43の外側環状部91の内径)は、たとえば、320mmになっている。
また、X軸方向から見ると、ミスト捕集ディスク5は、整流部材35よりも小さく、整流部材35の内側に位置している。
仕切り部材25の貫通孔31の内径は、メッシュ39の外径(外側環状部85,91の内径)よりも小さく、メッシュ39の内径(中央部83,89の外径)よりも大きく、たとえば、316mmになっている。また、ベルマウス26の貫通孔32の内径は、仕切り部材25の貫通孔31の内径よりも小さく、たとえば、130mmになっている。
ファン19の羽根部21の内径(空気吸入部の内径)は、ベルマウス26の貫通孔32の内径とほぼ等しいか、僅かに大きいか、もしくは僅かに小さくなっている。ファン19の羽根部21の外径は、ミスト捕集ディスク5の外径とほぼ等しいか、僅かに大きいか、もしくは僅かに小さくなっている。
ここで、ミスト捕集装置1の動作を説明する。
回転出力軸延長部材71にミスト捕集ディスク5が設置され、清掃用扉9を閉じた状態で、モータ23を稼動すると、空気吸入孔11から入って筐体3の内部を流れ空気排出孔13から排出される空気の流れが生成される。
この空気の流れについて詳しく説明すると、空気吸入孔11から入った空気は、整流部材35の多数の貫通孔65を通り、筐体3内をミスト捕集ディスク5に向かって流れる。
ミスト捕集ディスク5まで流れてきた空気は、ミスト捕集ディスク5のメッシュ39にぶつかる。このとき、メッシュ39がX軸を中心にして回転しているので、メッシュ39の素線(特に、ミスト捕集ディスク5の周方向と直交等、交わる方向に延伸している素線)によって、空気の流れ(X軸方向の流れ)がせん断され、空気中のミストのほぼ総てが捕捉(捕集)され、ミスト集合体になる。
メッシュ39で捕集され集合体になったミストは、ミスト捕集ディスク5の回転による遠心力で、ミスト捕集ディスク5の外周からミスト捕集ディスク5の外側に離れる。この離れたミスト集合体は、筐体3の内面や邪魔板17にぶつかり、この後、重力で落下し、オイルパン部6に溜まる。
ミストが捕捉された空気は、仕切り部材25の貫通孔31とベルマウス26の貫通孔32とを通って、下流側空間29へ流れる。なお、上流側空間27から下流側空間29へ流れる空気のほぼ総てが、メッシュ39を通るのである。
下流側空間29まで流れてきた空気は、ファン19の羽根部21を通って、空気排出孔13から、筐体3の外部に排出される。
ここで、ミスト捕集装置1の試験結果について説明する。
図23は、ミスト捕集装置1の試験結果を示す図であり、丸付き数字1〜16で示す16種類の試験結果を示している。
図23で示すディスク仕様の「変化点」は、メッシュ39の形態、上流側板41、下流側板43の形態、上流側板41とメッシュ39と下流側板43との接合形態の変化を示している。丸付き数字8の「柱」は、「桟部」のことであり、丸付き数字9〜16の「内側塞ぎ部」は、上流側ディスク41、下流側ディスク43の中央部83,89を示しており、数字は、中央部の外径D1を示している。また、ディスク仕様の「板厚(上流/下流)」は、上流側ディスク41、下流側ディスク43の板厚を示している。図23で示す効率は、ミストの粒径毎の捕集率を示している。
図23の丸付き数字13で示すものが、上述した実施形態で採用しているミスト捕集ディスク5である。図23の丸付き数字12〜16で示すものが、ミストの捕集効率が良好になっているが、筐体3内を流れる空気の圧損を考慮して、丸付き数字13で示す仕様のミスト捕集ディスク5が採用されたものである。
図24〜図28は、図23の示す試験結果を得るためのミスト捕集ディスクの形態を示す図である。
図24(a)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字1〜3で示す試験で使用したものであり、メッシュの形態が異なっている点(♯65、80、100を採用している。)、中央部の外径D1が160mmになっている点、上流側板41と下流側板43の厚さが1.5mmになっている点、上流側板41、メッシュ39、下流側板43をスポット溶接で接合してある点、下流側板の桟部が8箇所に設けられている点、上流側板には桟部が設けられていない点、下流側板に円環状の桟部101が形成されている点が、図23で示す丸付き数字13で示すミスト捕集ディスク5と異なっている。
図24(b)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字4で示す試験で使用したものであり、図23で示す丸付き数字3で示す試験で使用したミスト捕集ディスクを上流側と下流側とを入れ替えて使用したものである。
図24(c)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字5で示す試験で使用したものであり、上流側板と下流側板との両方に8箇所の桟部が設けられている点、上流側板と下流側板との両方に円環状の桟部101が形成されている点、上流側板41、メッシュ39、下流側板43をリベットで接合してある点が、図24(a)で示したものと異なっている。なお、図24(c)で示すミスト捕集ディスクは、♯100のメッシュを使用している。
図25(a)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字6で示す試験で使用したものであり、上流側板41と下流側板43の厚さが1.0mmになっている点が、図24(c)で示したものと異なっている。
図25(b)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字7で示す試験で使用したものであり、上流側板41の厚さが1.0mmになっており、下流側板43の厚さが1.5mmになっている点が、図25(a)で示したものと異なっている。
図25(c)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字8で示す試験で使用したものであり、上流側板41の桟部が4箇所にしか形成されていない点が、図25(b)で示したものと異なっている。
図26(a)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字9で示す試験で使用したものであり、中央部の外径D1が190mmになっている点、円環状の桟部101を上流側板41、下流側板43から削除した点が、図25(c)で示したものと異なっている。
図26(b)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字10で示す試験で使用したものであり、中央部の外径D1が200mmになっている点が、図26(a)で示したものと異なっている。
図26(c)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字11で示す試験で使用したものであり、中央部の外径D1が210mmになっている点が、図26(a)で示したものと異なっている。
図27(a)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字12で示す試験で使用したものであり、中央部の外径D1が220mmになっている点が、図26(a)で示したものと異なっている。
図27(b)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字13で示す試験で使用したものであり、中央部の外径D1が225mmになっている点が、図26(a)で示したものと異なっている。
図27(c)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字14で示す試験で使用したものであり、中央部の外径D1が230mmになっている点が、図26(a)で示したものと異なっている。
図28(a)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字15で示す試験で使用したものであり、中央部の外径D1が234mmになっている点が、図26(a)で示したものと異なっている。
図28(b)で示すミスト捕集ディスクは、図23で示す丸付き数字16で示す試験で使用したものであり、中央部の外径D1が245mmになっている点が、図26(a)で示したものと異なっている。
ミスト捕集装置1によれば、オイルパン部6とミスト捕集ディスク5とを清掃しまた点検するための清掃用孔7が設けられているので、ミストによる汚れ等が付着したり溜まったりする部位の清掃・点検が容易になっており、メンテナンスがしやすくなっている。
また、清掃用孔7や清掃用扉9を筐体3の側面に設けてあるので、ミスト捕集装置1を金属加工機の上側の高いところに設置してあっても、清掃用扉9を開き清掃用孔7を通してオイルパン部6とミスト捕集ディスク5とを清掃・点検することが容易になっている。
また、ミスト捕集装置1によれば、筐体3内の空間のうちでオイルパン部6が設けられている部位が陰圧になるので、捕集しオイルパン部6に溜まったミスト集合体を、オイルパン部6の外部に排出することが容易になる。
すなわち、オイルパン部6が設けられている部位が、陰圧と陽圧(大気圧よりも僅かに高い空気圧力)とにさらされていると、オイルパン部を2つに分離(陰圧にさらされる部位と陽圧にさらされる部位とに分離)しておく必要がある。2つに分離しておかないと、オイルパン部に溜まったミスト集合体が、陰圧にさらされる部位側に流れるだけでなく、陽圧によって陰圧にさらされる部位に溜まったミスト集合体が再び空気中にミストとして戻ってしまうおそれがあるからである。なお、前述したように、陰圧にさらされる部位は、上流側空間27(ファン19の羽根部21の上流側に位置する部位)であり、陽圧にさらされる部位は、下流側空間29の一部(ファン19の羽根部21の下流側に位置する部位)である。
しかし、ミスト捕集装置1では、ミスト捕集ディスク5が設置されている筐体3内の空間が、ベルマウス26とベルマウス支持部材28とを隔てて、上流側空間27と下流側空間29とに分離されており、しかも、ミスト捕集ディスク5が設置されている筐体3内の空間(上流側空間27)の下部にのみオイルパン部6が形成されているので、オイルパン部6が設けられている部位が陰圧になり、捕集しオイルパン部6に溜まったミスト集合体を、オイルパン部6の外部に排出することが容易になる。
また、ミスト捕集装置1によれば、ミスト捕集ディスク5とオイルパン部6との間に邪魔板17が設けられているので、ミスト捕集ディスク5の回転による遠心力でミスト捕集ディスク5から離れたミスト集合体がオイルパン部6に直接到達することが防止され、オイルパン部6に溜まったミスト集合体が波立つ等して空気中に再びミストとして戻ることが防止される。
また、ミスト捕集装置1によれば、ファン19のモータ23が筐体3の外部に設けられているので、筐体3を小型化することができ、重量を軽くすることができる。また、ファン19の羽根部21とミスト捕集ディスク5とが、1つのモータ23の回転出力軸に設置されて同じ回転数で回転するようになっているので、構成が簡素化されており、重量を軽減されている。これにより、金属加工機上部への設置が容易になっている。
また、ミスト捕集装置1によれば、筐体3の内部を流れる空気の流速分布をミスト捕集ディスク5のところでほぼ均一にする整流部材35が設けられているので、ミスト捕集ディスク5のよるミストの捕集を一層効率良く行うことができる。
また、ミスト捕集装置1によれば、ミスト捕集ディスク5のメッシュ39の線経(メッシュ開口率)と、ミスト捕集ディスク5の回転速度と空気の流速とを、多岐にわたる試験(実験)を繰り返してもとめた適宜の比率にしてあるので、従来の捕集ディスク式よりもミストを効率良く捕集することができる。
また、ミスト捕集装置1によれば、上流側板41では桟部87の数が少なく、下流側板43では桟部93,95の数が多くなっているので、メッシュ39による空気中のミストの捕集効率の低下(桟部のよる低下)を抑えつつ、メッシュ39を空気の流れに対して十分な剛性で支持することができる。
また、ミスト捕集装置1によれば、上流側板41が薄く(メッシュ39を挟み込んで固定する程度の剛性を得ることができる厚さ)、下流側板43が厚くなっているので、メッシュ39による空気中のミストの捕集効率の低下(上流側板41桟部による低下)を抑えつつ、メッシュ39を空気の流れに対して十分な剛性で支持することができる。また、上流側板41が薄くなっている分だけ、ミスト捕集ディスク5を軽量化できる。
また、ミスト捕集装置1によれば、メッシュ39が回転中心軸から離れた外周側のみに配置されているので、ミスト捕集ディスク5の回転速度が速くなっており、効率よくオイルミストを捕集できる。
ところで、図24〜図28に示した態様以外の態様で、ミスト捕集ディスク5を変形してもよい。
たとえば、図18(図16に対応した図)で示すように、上流側板41に斜面103を形成してもよい。斜面103は、メッシュ39が現れている側(貫通孔45側)に傾斜している。すなわち、上流側板41の厚さが、桟部87の幅方向の両側で、貫通孔45に近づくにしたがって次第に薄くなっていてもよいし(図18(a)参照)、外側環状部85の内周側で、貫通孔45に近づくにしたがって次第に薄くなっていてもよい(図18(b)、(c)参照)。
また、図19で示すように、リベット99がサラビスの頭部のように、上流側板41や下流側板43に埋没していてもよい。
また、図20や図21で示すように、メッシュ39の素線の延伸方向を適宜変更してもよい。図20で示すメッシュ39は、素線同士がお互いに直交しているものであり、上述したミスト捕集ディスク5に採用されている。
図21で示すメッシュ39は、ミスト捕集ディスク5の径方向で放射状に延伸している素線105Aと、ミスト捕集ディスク5の周方向に延伸している素線105Bとで構成されている。この場合、素線105Aと素線105Bとの断面形状(長手方向に対して直交する平面による断面の形状)は、同一形状(たとえば直径が等しい円形状)になっているが、径方向に延びている素線105Aの直径を、周方向に延びている素線105Bの直径より大きくしてもよいし、径方向の延びている素線105Aの断面形状を矩形等の非円形状にしてもよい。
さらに、図22で示すように、上流側板41において桟部を削除してもよい。そして、平ワッシャ107を用いて、メッシュ39を固定するようにしてもよい。