JP2013019037A - 銅電気めっき方法及びその銅電気めっき方法を用いて成膜された銅めっき被膜を有する金属化樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 銅めっき液に通電して銅めっき被膜を形成する銅電気めっき方法において、銅めっき液への通電時の電流密度を、銅めっき被膜の厚みが2.5μmになるまでは、0.5A/dm2以下として銅めっきを行うと共に、銅めっき液は構成原子に硫黄原子を有する有機化合物を8重量ppm〜30重量ppm含むことを特徴とするものである。
【選択図】図1
Description
しかし、このサブトラクティブ法は、金属層をエッチングにより配線加工するので、配線の断面形状を観察すると、配線の頂上であるトップ幅に比べて配線の底のボトム幅が広くなりポリイミドフィルム表面に裾を拡げた形状となっている。
しかし、セミアディティブ方法は、導電性シード層を除去する工程などを経る必要が有り、サブトラクティブ法に比べて工程が複雑である。
第一に、絶縁フィルムと銅箔(導体層)を接着剤で貼り付けた金属化ポリイミドフィルム(通常「3層金属化ポリイミドフィルム」と呼ばれる)であり、第二に、絶縁フィルムと銅箔(導体層)とを接着剤を使わずに、キャスティング法、ラミネート法、メタライジング法等により直接、複合させた金属化ポリイミドフィルム(通常「2層金属化ポリイミドフィルム」と呼ばれる)である。
この金属層を厚付けする電気めっき法は、乾式めっき法に比べて成膜速度が速く、2層金属化ポリイミドフィルムの生産性向上に寄与している。特許文献2には、ポリイミド系フィルムにニッケル−クロム合金のスパッタ層を形成し、次いで銅めっき層を形成し、さらに電解銅厚付けめっきで厚付け銅めっき層を形成して、半導体キャリアフィルムを製造する技術が開示されている。
このキャスティング法や3層金属化ポリイミドフィルムに用いる銅箔は、電解銅箔や圧延銅箔を用いられるが、特に電解銅箔は、硫酸銅水溶液の電解液を、鉛や白金族を被覆したチタン電極などの不溶性電極と、これに対向して設けられたステンレスやチタン製の陰極回転ドラムの隙間に満たしてこれら電極に通電し、陰極回転ドラムの上に銅を析出させ、これを連続的に巻取ることにより製造されていることが特許文献4に記載されており、電解銅箔は、銅電気めっき法で製造されている。
その一つは、メタライジング法を用いて作製する2層金属化ポリイミドフィルムでは、金属層のうち膜厚のほとんどを占める銅めっき被膜の微細配線への加工性が重要であり、銅めっき被膜を加工しやすい状態で銅電気めっき法により析出させることが望まれている。
したがって、本発明の銅電気めっき方法により形成された銅めっき被膜を備えた金属化樹脂フィルムなどの金属積層体に、配線断面が均一(配線のトップ幅とボトム幅の差が小さい矩形体断面)、且つ微細な配線加工が行いやすいという特徴を付加する効果を有するもので、工業上顕著な効果を奏するものである。
樹脂フィルムにポリイミドフィルム2を用い、ポリイミドフィルム2の少なくとも一方の面には、ポリイミドフィルム側から下地金属層3、銅薄膜層4、本発明の銅めっき方法によって形成された銅めっき被膜1の順に成膜され積層されている。
乾式めっき法には、スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法、真空蒸着法、CVD法等がある。
いずれの方法を用いても良いが、生産効率が高いことから、工業的にはマグネトロンスパッタリング法を一般的に用いる。
これらの処理条件は、特に限定されるものではなく、通常の金属化ポリイミドフィルムの製造方法に適用されている条件でよい。
下地金属層の膜厚が3nm未満では、最終的に得られた金属化ポリイミドフィルムの金属被膜層をエッチングして配線を作製したとき、エッチング液が金属薄膜を浸食してポリイミドフィルムと金属被膜層の間に染み込み、配線が浮いてしまう場合がある。一方、下地金属層の膜厚が50nmを超えると、エッチングして配線を作製する場合、金属薄膜が完全に除去されず、残渣として配線間に残るため、配線間の絶縁不良を発生させる恐れがある。
乾式めっき法は、上記したスパッタリング法、マグネトロンスパッタ法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法、真空蒸着法、CVD法等がいずれも使用でき、下地金属層と銅薄膜層の成膜は同じ方法でも又は異なる方法でも可能である。例えば下地金属層をマグネトロンスパッタリング法で成膜した後、銅薄膜層を蒸着法で設けることもできる。
この銅めっき被膜の厚みは、例えばサブトラクティブ法によって配線パターンを形成する場合、数μm〜12μmが一般的である。なお、電気めっきによる銅層などの金属層の形成に先立って、予め金属薄膜の表面に銅等の金属を無電解めっき法で成膜しておくこともできる。
(1)銅めっき被膜の膜厚が2.5μmまでは、形成した銅めっき被膜の結晶は(111)面に配向する。
(2)双晶粒界を除くグレインサイズが0.5μm〜1.5μmの範囲である。
(3)結晶領域Aよりもグレインサイズの大きな結晶からなる銅めっき被膜である。
(4)銅めっき被膜に含まれる硫黄原子(硫黄原子)の含有率が30重量ppm〜250重量ppmである。
このような要求に対して、本発明による銅めっき被膜のような(111)面に配向した結晶状態で、且つ30重量ppm〜250重量ppmの硫黄原子を含有する銅めっき被膜は、サブトラクティブ法を用いて配線加工した場合に、ボトムの裾広がりを抑え、配線のトップ幅とボトム幅の差を小さくする効果を発揮する。
銅めっき被膜の膜厚が2.5μmを越えれば、電流密度を3〜5A/dm2までに上昇させても、銅めっき被膜の変色は起こりにくい。さらに、2A/dm2以上に設定することが、望ましい。その上限は特に定めていないが、めっき応力が寸法変化、その他基板特性に与える影響を考えた上での時間および設備長さの点を考慮して適正な電流密度とすれば良く、電流密度を高めることで、銅めっき被膜の生産性を向上させることができる。
また、サブトラクティブ法におけるエッチングは、銅めっき被膜の表面(配線の頂上、トップ側)は、エッチングされ易いが、樹脂フィルム側(銅めっき被膜の底面、ボトム側)はエッチングされにくい傾向を示し、結果として配線のボトム側に裾を引く状態(台形状断面)になり易い。
具体的には、結晶領域Aには(111)面に10%以上配向し、グレインサイズ0.5μm〜1.5μmである。ここで、グレインの(111)面の配向の割合は、結晶の(111)面の法線に対し±5°の範囲に配向しているグレインが測定範囲の面積に占める割合である。また、グレインサイズとは、測定した領域での各結晶のグレインの大きさと出現頻度のヒストグラムのピークにあたるグレインの大きさとしている。
本発明による銅めっき被膜の形成による金属化樹脂フィルムの製造は、例えば図3に示すようなロールツーロール方式の連続めっき装置を用いて実施される。
金属薄膜を成膜した金属薄膜付樹脂フィルムFは巻出ロール12から巻き出され、電気めっき槽11内のめっき液18への浸漬を繰り返しながら連続的に搬送される。金属薄膜付樹脂フィルムFは、めっき液18に浸漬されている間に電気めっきにより金属薄膜の表面に銅層が成膜され、所定の膜厚の銅めっき被膜が形成された後、金属化樹脂フィルム基板Sとして巻取ロール15に巻き取れられる。尚、金属薄膜付樹脂フィルムFの搬送速度は、数m〜数十m/分の範囲が好ましい。
電流密度は、0.5A/dm2以下であれば良く、生産効率を考えると電流密度は0.1A/dm2以上が適正と言える。
硫黄原子を持つ有機化合物としてはSPS([BiS(3−sulfopropyl)disulfidedisodium])やその誘導体を添加すればよい。例えば、SPSは、銅めっき液の光沢剤として市販されている。
硫黄原子を持つ有機化合物の含有量が8重量ppm以下では、銅めっき被膜に取り込まれる硫黄原子の量が少なくなる。一方、硫黄原子を持つ有機化合物の濃度が30重量ppmを越えても銅めっき被膜に取り込まれる硫黄原子の量は、30重量ppmの場合とかわらず経済的ではない。
また、銅めっき被膜の硫黄原子の含有量の測定には、公知のD−SIMS(二次イオン重量分析装置:Dinamics−Secondary Ion Mass Spectroscopy)を用いることができる。
また、フレキシブルな樹脂フィルムを基材とした、金属化樹脂フィルムの他に、ガラスエポキシ基材等のリジット基材を枚葉式の電気めっき装置で本発明の電気めっき方法を実施すれば、配線パターンの断面形状がトップ幅とボトム幅の差が小さく、サブトラクティブ法で微細配線が形成された配線基板を得ることができる。
銅めっき被膜についてEBSP法で銅結晶の配向と双晶を除くグレインサイズを、D−SIMSにて硫黄原子の含有量を測定した。測定結果を銅薄膜層側から膜厚2.5μmまでの範囲と、膜厚2.5μmを超えた範囲で分けて解析した。
実施例で用いたEBSP法(電子後方散乱回折像法:Electron Backscattering Pattern)の測定条件、D-SIMS(二次イオン重量分析装置:Dinamics−Secondary Ion Mass Spectroscopy)の測定条件は、以下の通りである。
回折装置として、TSL社製:MSC−2200を用い、加速電圧:15kV、測定ステップ:0.28μmの条件で測定した。また、グレインの(111)面配向の割合は、(111)面の法線方向に±5°の範囲で配向しているグレインを、測定範囲の面積の占有率で算出した。
二次イオン重量分析装置としてCAMECA製ims5f二次イオン重量分析装置を用い、一次イオン条件:Cs+,14.5keV,30nA、照射領域:150μm×150μm、分析領域:φ60μm、二次イオン極性:負(注釈:一般的に、電気的陽性元素(Li、B、Mg、Ti、Cr、Mn、Fe、Ni、Mo、In、Ta等)を分析する場合には酸素イオンを照射して正の二次イオンを検出し、電気的陰性元素(H、C、O、F、Si、S、Cl、As、Te、Au等)を分析する場合には、セシウムイオンを照射して負の二次イオンを検出すると感度よく測定できる)、試料室真空度:8.0×10−8Pa、スパッタ速度:約22Å/sec(注釈:Cu厚とスパッタ時間から、分析した深さまでの平均的なスパッタ速度を求めた。この値を用いて各試料のスパッタ時間を深さに換算)で測定した。
また、サブトラクティブ法による配線加工で用いたエッチング液は、塩化第二鉄水溶液(比重40°ボーメ、温度43℃)であった。
用いる銅めっき液は、温度27℃、pH1以下の硫酸銅溶液であり、SPSを8重量ppm含有させた。
銅めっき被膜の膜厚が銅薄膜層との界面から2.5μmまでは電流密度0.5A/dm2以下で成膜し、その後3A/dm2で、6μm形成した。
得られた金属化ポリイミドフィルムをライン幅12μm、スペース18μm(30μmピッチ)となるようにフォトレジスト膜を配してサブトラクティブ法で配線加工を行い、プリント配線基板を作製した。
また、銅薄膜層側から膜厚2.5μmの銅めっき被膜の硫黄原子の含有率と結晶配向とグレインサイズを測定したところ、硫黄原子の含有率は150重量ppmで、結晶配向は(111)面配向が15%あり、グレインサイズは1.1μmであった。結果を表3に示す。
なお、銅薄膜層側から膜厚2.5μmを超える範囲では、グレインサイズ(双晶粒界を除く)は、5.7μmであった。
図4に、実施例1のEBSP(電子後方散乱回折像)測定チャートを示す。縦軸は、金属化ポリイミドフィルムの膜厚方向で下側が銅薄膜層側で、横軸は金属化ポリイミドフィルムのTD方向(幅方向)である。
配線加工を行った後、断面観察をしたところトップ幅12.0μmの時、ボトム幅は15.2μmとなり、断面観察検査をクリアする良好な結果を得た。
また、銅薄膜層側から膜厚2.5μmの銅めっき被膜の硫黄原子の含有率と結晶配向とグレインサイズを測定したところ、硫黄原子の含有率は160重量ppmで、結晶配向は(111)面配向が11%あり、グレインサイズは0.5μmであった。結果を表3に示す。
なお、銅薄膜層側から膜厚2.5μmを超える範囲では、グレインサイズ(双晶粒界を除く)は、6.1μmであった。
配線加工を行った後、断面観察をしたところトップ幅12.0μmの時、ボトム幅は15.2μmとなり、断面観察検査をクリアする良好な結果を得た。
また、銅薄膜層側から膜厚2.5μmの銅めっき被膜の硫黄原子の含有率と結晶配向とグレインサイズを測定したところ、硫黄原子の含有率は180重量ppmで、結晶配向は111面配向が18%あり、グレインサイズは1.5μmであった。結果を表3に示す。
なお、銅薄膜層側から膜厚2.5μmを超える範囲では、グレインサイズ(双晶粒界を除く)は、5.9μmであった。
銅めっき被膜の膜厚が0.5μmとなるまでは、電流密度を0.5A/dm2以下とし、さらに表2に示すように銅めっき被膜の膜厚が2.5μmとなるまでの電流密度を0.8A/dm2に上昇させて銅電気めっきを行った以外は実施例1と同様の方法で金属化ポリイミドフィルムを製造した。
トップ幅12.1μmの時にボトム幅が17.0μmとなり、実施例1の断面形状より裾広がりの様相を呈し、断面観察検査をクリアすることができなかった。
また、銅薄膜層側から膜厚2.5μmの銅めっき被膜のS濃度と結晶配向とグレインサイズを測定したところ、硫黄原子の含有率は25重量ppmで、結晶配向はランダム配向であり、グレインサイズは4.5μmであった。また、グレインの(111)面への配向は、0.2%であった。結果を表3に示す。
図5に、比較例1のEBSP(電子後方散乱回折像)測定チャートを示す。縦軸は、金属化ポリイミドフィルムの膜厚方向で下側が銅薄膜層側で、横軸は金属化ポリイミドフィルムのTD方向(幅方向)である。
表2の電流密度で銅電気めっきを行った以外は実施例1と同様の方法で金属化ポリイミドフィルムを製造した。
実施例1と同様に断面観察をしたところ、トップ幅12.0μmの時、ボトム幅は17.0μmとなり、実施例1の断面形状より裾広がりの様相を呈し、断面観察検査をクリアすることができなかった。
また、銅薄膜層側から膜厚2.5μmの銅めっき被膜のS濃度と結晶配向とグレインサイズを測定したところ、硫黄原子の含有率は20重量ppmで、結晶配向はランダム配向であり、グレインサイズは5.0μmであった。結果を表3に示す。
表2の電流密度で銅電気めっきを行った以外は実施例1と同様の方法で金属化ポリイミドフィルムを製造した。
実施例1と同様に断面観察をしたところ、トップ幅11.9μmの時、ボトム幅は17.0μmとなり、実施例1の断面形状より裾広がりの様相を呈し、断面観察検査をクリアすることができなかった。
また、銅薄膜層側から膜厚2.5μmの銅めっき被膜のS濃度と結晶配向とグレインサイズを測定したところ、硫黄原子の含有率は23重量ppmで、結晶配向はランダム配向であり、グレインサイズは6.0μmであった。結果を表3に示す。
本発明に係る銅電気めっき方法で銅めっき被膜を成膜して得られた金属化ポリイミドフィルムは、狭ピッチ化の配線加工に適していることが分かる。
また、配線パターンのリード裾部分が広がりを低減して、ファインピッチ基板に適応したフレキシブル配線板として極めて信頼性の高いものが得られる。
2 ポリイミドフィルム(樹脂フィルム)
3 下地金属層
4 銅薄膜層
11 電気めっき槽
12 巻出ロール
13a 反転ロール
14a−1、14a−2、14b−1、14b−2、14c−1、14c−2、14d−1、14d−2 陽極
15 巻取ロール
16a〜16d 給電ロール
17a〜17e ガイドロール
18 めっき液
F 金属薄膜付樹脂フィルム
S 金属化樹脂フィルム基板
Claims (6)
- 銅めっき液に通電して銅めっき被膜を形成する銅電気めっき方法において、
前記通電時の電流密度を、前記銅めっき被膜の厚みが2.5μmになるまでは、0.5A/dm2以下で銅めっきを行い、
前記銅めっき液が、構成原子に硫黄原子を有する有機化合物を8重量ppm〜30重量ppm含むことを特徴とする銅電気めっき方法。 - 前記電流密度を、前記銅めっき被膜の厚みが2.5μmを超えた場合には、2A/dm2以上で銅めっきを行うことを特徴とする請求項1に記載の銅電気めっき方法。
- 前記銅めっき被膜が、長尺体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の銅電気めっき方法。
- 前記銅めっき被膜が、長尺の基材上に成膜されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の銅電気めっき方法。
- 樹脂フィルムの少なくとも一方の面に接着剤を介することなくNiを含む合金からなる下地金属層と、前記下地金属層の表面に乾式めっき法で成膜した銅薄膜層と、前記銅薄膜層の表面に電気めっき法により銅めっき被膜を形成した金属化樹脂フィルムにおいて、
前記銅めっき被膜が、請求項1から4のいずれかに記載の銅電気めっき方法を用いて成膜されたものであることを特徴とする金属化樹脂フィルム。 - 銅めっき被膜であって、被膜底部から頂部に向かって厚み2.5μmまでの領域ではグレインサイズ0.5μm〜1.5μmの(111)面に配向した結晶領域Aで、厚み2.5μmを超える領域では前記結晶領域Aと連続する前記結晶領域Aよりグレインサイズの大きな結晶領域Bとで構成され、硫黄原子を30重量ppm〜250重量ppm含むことを特徴とする銅めっき被膜。
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