JP2013014285A - 車両用シートの回転連結装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】2つの円盤部材間の軸方向の外れ止めをする外周保持部材を、小さな作業スペースで円盤部材に溶接できるようにする。
【解決手段】車両用シートの回転連結装置(リクライニング装置4)であり、互いに相対回転可能な状態に組まれる円盤形状のラチェット10及びガイド20と、これらの回転止めをするポール30・・と、これらの軸方向の外れ止めをする外周リング70(外周保持部材)とを有する。外周リング70は、ラチェット10の外周部(円筒部12)に軸方向にあてがわれる保持面部71を有し、ガイド20の外周部22に径方向の外側に突出して形成された軸方向に薄肉な薄肉部22aに軸方向に突き当てられた状態として、この薄肉部22aに軸方向にレーザー光が照射されるレーザー溶接により一体的に溶着された構成となっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用シートの回転連結装置に関する。詳しくは、車両用シートを構成する二つの部材同士を互いに相対回転可能な状態に連結する回転止め機能を備えた車両用シートの回転連結装置に関する。
従来、車両用シートのリクライニング装置として、下記特許文献1に開示されたものが知られている。このリクライニング装置は、シートバックに連結される円盤部材と、シートクッションに連結される円盤部材と、を有し、これら円盤部材同士が互いに相対回転可能に軸方向に組み付けられた状態として、互いの外周部間に跨って装着されるリング状の外周保持部材により互いに軸方向に外れ止めされた構成となっている。上記両円盤部材は、一方側の円盤部材上にセットされた外周歯を備えるロック部材を半径方向の外方側に移動させて他方側の円盤部材の内周歯に噛合させることにより、互いの相対回転がロックされる構成とされている。上記外周保持部材は、両円盤部材の外周部間に跨るように径方向の外方側から組み付けられて、一方側の円盤部材を軸方向に外れないように保持した状態として、他方側の円盤部材に溶接されて一体的に結合された状態とされている。
特開2006−204896号公報
しかし、上記特許文献1に記載の従来技術では、外周保持部材と他方側の円盤部材との溶接が、これら両部材に跨って径方向の外方側からレーザー光が照射されるレーザー溶接により行われており、作業スペースが径方向に嵩張る構成となっている。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、2つの円盤部材間の軸方向の外れ止めをする外周保持部材を、小さな作業スペースで円盤部材に溶接できるようにすることにする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用シートの回転連結装置は次の手段をとる。
第1の発明は、車両用シートを構成する二つの部材同士を互いに相対回転可能な状態に連結する回転止め機能を備えた車両用シートの回転連結装置である。この車両用シートの回転連結装置は、互いに相対回転可能な状態に軸方向に組み付けられる二枚の円盤部材と、これら円盤部材の間に組み付けられてこれらの回転止めを行うロック部材と、これら円盤部材の外周部間に跨って組み付けられてこれらの軸方向の外れ止めをする外周保持部材と、を有する。外周保持部材は、一方側の円盤部材の外周部に軸方向にあてがわれる保持面部を有し、他方側の円盤部材の外周部に径方向の外側に突出して形成された軸方向に薄肉な薄肉部に軸方向に突き当てられた状態として、この薄肉部に軸方向にレーザー光が照射されるレーザー溶接により一体的に溶着された構成となっている。
この第1の発明によれば、他方側の円盤部材の外周部に薄肉部を形成し、この薄肉部に外周保持部材を軸方向に突き当てて軸方向のレーザー溶接により一体的に接合するように構成したことにより、外周保持部材の溶接作業を径方向に張り出さない小さな作業スペースで行えるようになる。
第2の発明は、上述した第1の発明において、薄肉部が他方側の円盤部材の外周部上における、一方側の円盤部材が配置された軸方向側の端部に配置形成されているものである。
この第2の発明によれば、外周保持部材が薄肉部と突き当たるまでの軸方向の長さが短くなり、外周保持部材をコンパクトに構成することができる。
第3の発明は、上述した第1の発明において、薄肉部が他方側の円盤部材の外周部上における、一方側の円盤部材が配置された軸方向側とは反対側の端部に配置形成されており、外周保持部材が他方側の円盤部材の外周部に径方向の外側から覆うように嵌め込まれた状態として設けられる構成とされているものである。
この第3の発明によれば、薄肉部を外周保持部材から遠い側の位置に形成して、外周保持部材を他方側の円盤部材の外周部に径方向の外側から覆うように嵌め込んで設ける構成としたことにより、外周保持部材を他方側の円盤部材に対して径方向及び軸方向にそれぞれ位置決めした状態として組み付けることができる。
実施例1のリクライニング装置の構成を表した分解斜視図である。 車両用シートの外観斜視図である。 シートバックフレームとリクライニング装置との連結構造を表した斜視図である。 シートクッションフレームとリクライニング装置との連結構造を表した斜視図である。 リクライニング装置のロック状態を表した図3のV-V線断面図である。 リクライニング装置のアンロック状態を表した断面図である。 図5のVII-VII線断面図である。 別の実施例となるリクライニング装置の構成を示した断面図である。
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
始めに、実施例1の車両用シートの回転連結装置の構成について、図1〜図7を用いて説明する。本実施例の車両用シートの回転連結装置は、図2に示すように、車両用シート1のシートバック2をシートクッション3に対して背凭れ角度調節可能な状態に連結するリクライニング装置4,4として構成されている。詳しくは、上記リクライニング装置4,4は、シートバック2の骨格を成すシートバックフレーム2fの左右両サイドの下端部と、シートクッション3の骨格を成すシートクッションフレーム3fの左右両サイドの後端部と、の間にそれぞれ介在して設けられており、シートバックフレーム2fの各サイド部を、シートクッションフレーム3fの各サイド部に対して、それぞれ、互いに同軸回りに相対回転可能な状態となるように連結している。これにより、シートバック2が、シートクッション3に対して、シート前後方向に傾動回転可能な状態に連結された状態とされている。上記各リクライニング装置4,4は、それらの内部に備えられた回転止め構造(ロック構造)により、上記回転移動を許容した状態となったりロックした状態となったりするように切り替えられるようになっている。ここで、シートバックフレーム2fとシートクッションフレーム3fとがそれぞれ本発明の「車両用シートを構成する部材」に相当する。
詳しくは、各リクライニング装置4,4は、それらの軸心部に挿通された各操作軸4c,4cの軸回転操作に伴って、ロック・アンロックの各状態に切り替えられるようになっており、各操作軸4c,4cがコネクティングロッド4rによって互いに一体的に連結されていることによって、互いのロック・アンロックの各状態への切替え操作が左右で同期して一斉に行われるようになっている。上記各リクライニング装置4,4は、常時は、後述するばね附勢構造によってロックした作動状態に保持されており、シートバック2の背凭れ角度を固定した状態に保持されている。そして、このシートバック2の背凭れ角度の固定状態は、シートクッション3の車両外側(図2の紙面右側)の側部に設けられた解除レバーを引き上げる操作によって、各操作軸4c,4cが一斉に軸回転操作されて解除されるようになっている。この解除操作により、シートバック2がその背凭れ角度位置を自由に調節することができる状態となる。また、上記解除操作をやめることにより、各リクライニング装置4,4が再びそれらのばね附勢構造によってロック状態に戻されて、シートバック2が背凭れ角度を固定された状態に戻される。
ここで、上記シートバックフレーム2fの両サイド部とシートクッションフレーム3fの両サイド部との間には、シートバック2を常時シート前方側に向かって回転附勢するばね(図示省略)が掛着されている。このばね附勢力により、シートバック2は、その背凭れ角度の固定状態が解かれると、着座乗員の背部に当たる位置まで起こし上げられて、着座乗員の背部を前後に傾動させる動きに追従してその背凭れ角度位置を自由に変化させるように動けるようになっている。ここで、上述したシートバック2は、その背凭れ角度位置が上方側に真っ直ぐに起立した位置からシート後方側に傾倒される角度領域内にあるときには、解除レバーの操作をやめることによりその背凭れ角度が固定された状態(ロック状態)に戻されるが、上記起立位置からシート前方側に傾倒される角度領域内に入ることにより、解除レバーの操作をやめても背凭れ角度が固定された状態(ロック状態)には戻されないようになっている。
前者の背凭れ角度が固定状態に戻される角度領域は、後述する各リクライニング装置4,4に設定されたロックゾーンの回転領域となっており、後者の背凭れ角度が固定状態に戻されない角度領域は、後述する各リクライニング装置4,4に設定されたフリーゾーンの回転領域となっている。上記フリーゾーンの回転領域の設定により、車両用シート1に人が座っていない状態で、解除レバーを操作して、シートバック2を上記ばねの附勢力によってシート前方側へと倒し込んでいく時には、シートバック2が上記起立位置を越える位置まで倒し込まれたら、あとは解除レバーから操作の手を離しても、シートバック2をシートクッション3の上面部に畳み込まれる位置まで大きく前に倒し込めるようになっている。
以下、上述した各リクライニング装置4,4の構成について、詳しく説明していく。なお、各リクライニング装置4,4は、互いに左右対称の構成となっており、実質的には同じ構成となっている。したがって、以下ではこれらを代表して、図2の紙面向かって右側に示されている車両外側に配されたリクライニング装置4の構成についてのみ説明することとする。図1に示すように、リクライニング装置4は、円盤形状のラチェット10及びガイド20と、4個のポール30・・(・・は複数を表す。)と、回転カム40と、ヒンジカム50と、渦巻きばね60と、外周リング70と、レリーズプレート80と、フリーゾーンプレート90と、を有し、これらが互いに軸方向に1つに組み付けられて構成されている。ここで、ラチェット10が本発明の「一方側の円盤部材」に相当し、ガイド20が本発明の「他方側の円盤部材」に相当し、各ポール30・・が本発明の「ロック部材」に相当し、外周リング70が本発明の「外周保持部材」に相当する。なお、図1では、ラチェット10及びガイド20の各内側の盤面形状が良く示されるように、ラチェット10とガイド20とが互いに見開き状に向かい合うように並べられた状態で描かれている。
詳しくは、上記ラチェット10は、その円盤部11の外周部に、ガイド20への組み付け方向となる板厚方向に円筒状に突出する円筒部12が形成されている。この円筒部12は、円盤部11の外周部が板厚方向に半抜き加工されることによって押し出されて形成されている。そして、この円筒部12の内周面には、後述する各ポール30・・の外周歯面30a・・を噛合させることのできる内歯を有した内周歯面12aが全周領域にわたって形成されている。上記ラチェット10は、図3に示すように、その円盤部11の外側の盤面が、シートバックフレーム2fの外側の板面に接合されて一体的に連結されている。
詳しくは、上記ラチェット10の円盤部11には、その外側の盤面から円筒状に突出する複数のダボ13a・・やDダボ13bが形成されている。これらダボ13a・・やDダボ13bは、円盤部11の比較的外周縁側に近い位置に、互いに円周方向に等間隔に並んで配置形成されている。このうち、Dダボ13bは、その突出した円筒形状の一部が断面D字状に切り欠かれて形成されており、円筒形状に突出した各ダボ13a・・とは形状が区別されるようになっている。
一方、シートバックフレーム2fには、上述した各ダボ13a・・やDダボ13bをそれぞれ軸方向に嵌合させることのできるダボ孔2a・・やDダボ孔2bがそれぞれ貫通して形成されている。したがって、これらダボ13a・・やDダボ13bを、シートバックフレーム2fに形成されたダボ孔2a・・やDダボ孔2bにそれぞれ嵌合させて、これら嵌合部をそれぞれ溶接して結合することにより、ラチェット10がシートバックフレーム2fに対して強固に一体的に連結された状態とされている(図7参照)。ここで、図1に示すように、上述したラチェット10の円盤部11の軸心部には、前述したリクライニング装置4のロック・アンロックの切換え操作を行う操作軸4c(図2参照)を挿通するための貫通孔14が形成されている。そして、図3に示すように、シートバックフレーム2fにも、この貫通孔14と同軸線上の位置に、同じ目的の貫通孔2cが貫通して形成されている。
次に、図1に戻って、ガイド20の構成について説明する。ガイド20は、ラチェット10とほぼ同径の円盤形状に形成されており、その円盤部21上の円周方向の4箇所の位置に、ラチェット10への組み付け方向となる板厚方向に突出する案内壁21a,21b,21c,21d(以下、案内壁21a〜21dとする。)が形成されている。これら案内壁21a〜21dは、円盤部21の一部が板厚方向に半抜き加工されて形成されており、それらの外周面が、ガイド20の軸心部のまわりに描かれる同一円の円弧を描く形に湾曲して形成されている。これら4つの案内壁21a〜21dの外周面の円弧を繋いで描かれる円形状は、ラチェット10の円筒部12の内周面(内周歯面12a)の円形状よりも僅かに小さくなっている。したがって、上記案内壁21a〜21dを備えたガイド20とラチェット10とを板厚方向(軸方向)に組み付けることにより、ガイド20の各案内壁21a〜21dがラチェット10の円筒部12内に嵌まり込んで、両者が互いに相対回転可能に内外に支え合った状態となって組み付けられるようになっている。
上記したガイド20は、図4に示すように、その円盤部21の外側の盤面が、シートクッションフレーム3fの内側の盤面に接合されて一体的に連結されている。詳しくは、上記ガイド20の円盤部21には、その外側の盤面から円筒状に突出する複数のダボ24a・・やDダボ24bが形成されている。これらダボ24a・・やDダボ24bは、円盤部21の比較的外周縁側に近い位置に、互いに円周方向に等間隔に並んで配置形成されている。このうち、Dダボ24bは、その突出した円筒形状の一部が断面D字状に切り欠かれて形成されており、円筒形状に突出したダボ24a・・とは形状が区別されるようになっている。
一方、シートクッションフレーム3fには、上述した各ダボ24a・・やDダボ24bをそれぞれ軸方向に嵌合させることのできるダボ孔3a・・やDダボ孔3bがそれぞれ貫通して形成されている。したがって、これらダボ24a・・やDダボ24bを、シートクッションフレーム3fに形成されたダボ孔3a・・やDダボ孔3bにそれぞれ嵌合させて、これら嵌合部を溶接して結合することにより、ガイド20がシートクッションフレーム3fに対して強固に一体的に連結されている(図7参照)。ここで、図1に示すように、上述したガイド20の円盤部21の軸心部には、前述したリクライニング装置4のロック・アンロックの切換え操作を行う操作軸4c(図2参照)を挿通するための貫通孔25が形成されている。そして、シートクッションフレーム3fにも、この貫通孔25と同軸線上の位置に、同じ目的を持つ貫通孔3cが貫通して形成されている。この貫通孔3cは、後述する渦巻きばね60もその孔内に通せるように大きく開口した形に形成されている。
図1に戻って、上述したガイド20の円盤部21には、その内側の盤面上に、板厚方向に「十」符号状に凹んだ形のガイド溝23が形成されている。このガイド溝23は、円盤部21が板厚方向に「十」符号状に半抜き加工されて形成されており、その溝形状がクロスする部位の四隅には、前述した各案内壁21a〜21dが立壁状に突出した状態となって形成されている。上述した各ダボ24a・・やDダボ24bは、上記ガイド溝23が形成された部位の外側の盤面上から突出して形成されている。
上述したガイド溝23は、その「十」符号状に凹んだ溝形状のうち、ガイド20の軸心部から図示上下左右方向となる各半径方向に延び出す4つの溝部が、それぞれ、上述した4つのポール30・・をそれぞれ内部に収容することのできるポール溝23a,23b,23c,23d(以下、ポール溝23a〜23dとする。)として形成されている。また、上記各ガイド溝23の溝形状がクロスする部位の四隅に立壁状に突出して形成されている各案内壁21a〜21dは、上記各ポール溝23a〜23d内に収容された各ポール30・・のサイド面にあてがわれて、各ポール30・・を各ポール溝23a〜23d内でそれぞれ半径方向の内外方にのみ移動可能となるように支える支持部として構成されている。また、上記ガイド溝23の溝形状がクロスする中心部の溝部は、後述する回転カム40を内部に収容することのできるカム溝23eとして形成されている。このカム溝23eは、回転カム40をその溝内部で軸回転させることができる大きさに形成されている。上記ガイド20の円盤部21には、その外側の盤面上の2箇所の位置からピン形状に突出するばね掛部26,26が形成されている。これらばね掛部26,26は、後述する渦巻きばね60の外端62を掛着させるための機能部位となっており、その掛着位置を選択できるように円周方向の2箇所の位置に形成されている(図4参照)。
次に、上述した4個の各ポール30・・の構成について説明する。これらポール30・・は、前述したガイド20に形成された各ポール溝23a〜23d内にセットされることにより、各ポール溝23a〜23d内の形状に沿って半径方向の内外方にのみ移動可能となるように円周方向に支持された状態として配設されている。これらポール30・・は、それらの外周面が、前述したラチェット10の円筒部12の内周歯面12aと噛合可能に、それぞれ、円筒部12の内周面形状に即して湾曲した外歯を有した外周歯面30a・・とされて形成されている。
上記構成の各ポール30・・は、図5に示すように、後述する回転カム40によって半径方向の外方側に押圧されてスライド操作されることにより、それらの外周歯面30a・・をラチェット10の円筒部12の内周歯面12aに噛合させた状態となる。これにより、各ポール30・・は、回転カム40の押圧力によってラチェット10に噛合された状態に押し付けられた状態として、ラチェット10に対して回転方向(円周方向)に一体的な状態とされて保持される。
上記各ポール30・・は、ガイド20との関係においては、各案内壁21a〜21dによる円周方向の支えによって、半径方向の内外方にしかスライドすることができないようになっている。したがって、ラチェット10は、上記各ポール30・・が噛合されることにより、これらポール30・・を介してガイド20に対して回転方向に一体的とされた状態、すなわちガイド20に対する回転がロックされた状態となって保持される。これにより、リクライニング装置4が回転ロックされた状態となる。
このリクライニング装置4の回転ロック状態は、図6に示すように、回転カム40が図示時計回り方向に回転操作されて、各ポール30・・が半径方向の内方側に引き込まれてラチェット10との噛合状態から外されることにより解除されるようになっている。ここで、上述した各ポール30・・を回転カム40の回転操作によって半径方向の外方側に押し出す操作は、図1に示すように、回転カム40の外周部に突出形成された肩部42・・や角部44・・によって行われるようになっている。また、各ポール30・・を回転カム40の回転操作によって半径方向の内方側に引き込む操作は、回転カム40に装着されたレリーズプレート80によって行われるようになっている。
詳しくは、上記回転カム40の外周部には、その円周方向の複数箇所において、回転カム40の回転運動によって、各ポール30・・の両脚部32・・をそれぞれ半径方向の内方側から押圧する肩部42・・が形成されている。また、上記各肩部42・・と並んで、回転カム40の外周部上の円周方向の複数箇所には、回転カム40の回転運動によって、各ポール30・・の内周面をそれぞれ半径方向の内方側から押圧する角部44・・が、それぞれ半径方向の外方側に突出した形となって形成されている。これにより、回転カム40は、その回転運動に伴って、上述した各肩部42・・と各角部44・・とによって、各ポール30・・をそれぞれ半径方向の内方側から三点押しして半径方向の外方側に押し出すようになっている。
そして、上記回転カム40の円盤面には、薄い円板形状のレリーズプレート80が回転方向に一体的な状態とされて装着されている。詳しくは、上記レリーズプレート80は、その中心部近傍の円周方向の3箇所に貫通形成された各装着孔81・・が、それぞれ、回転カム40の円盤面上に突出形成された各装着突起45・・に嵌め込まれてセットされることにより、回転カム40に対して回転方向に一体的とされた状態に装着されるようになっている。このレリーズプレート80には、上記回転カム40の回転運動に伴って、各ポール30・・に板厚方向(軸方向)に突出形成された各引掛部31・・にそれぞれ掛合して、各ポール30・・をそれぞれ半径方向の内方側に引き込むように操作する引込孔82・・が貫通形成されている。
これら引込孔82・・は、それらの外周面が、図1の紙面反時計回り方向に向かって半径方向の内方側に傾斜した引込面82a・・として形成されている。これら引込面82a・・は、図6に示すように、レリーズプレート80が図5の状態から回転カム40と一体的に図示時計回り方向に回転操作されることにより、各ポール30・・の引掛部31・・にそれぞれ外周面側から当てがわれて、各ポール30・・をその傾斜面形状の案内によって半径方向の内方側に引き込む構成となっている。ここで、上記各ポール30・・の半径方向の内方側への移動は、それらの脚部32・・が、回転カム40の外周部に凹み形成された各溝部43・・内に入り込むことにより許容されるようになっている。上記レリーズプレート80の中心部には、前述したリクライニング装置4のロック解除の切換え操作を行う操作軸4c(図2参照)を挿通するための丸孔状の貫通孔83が形成されている。
ところで、上記回転カム40は、図5に示すように、常時は、その中心部の貫通孔41内に装着されたヒンジカム50を介して、図示反時計回り方向に回転附勢された状態として、各ポール30・・の各脚部32・・を各肩部42・・に乗り上げさせ、かつ、各ポール30・・の内周面を各角部44・・によって内周側から押圧して、各ポール30・・の外周歯面30a・・をラチェット10の内周歯面12aに押し付けて噛合させた状態となって保持されている。
そして、回転カム40は、図6に示すように、ヒンジカム50が上記附勢力に抗して図示時計回り方向に回転操作されることにより、同方向に押し回されて、レリーズプレート80を介して各ポール30・・を半径方向の内方側に引き込んでラチェット10との噛合状態から外すようになっている。次に、上記回転操作を行うヒンジカム50の構成について説明する。ヒンジカム50は、図1に示すように、上述したガイド20の中心部に形成された貫通孔25内に嵌め込まれて回転可能に軸支された状態として、その軸方向に突出した軸部位及びこの軸部位の外周部に突出形成された操作突起52を、回転カム40の中心部に貫通形成された貫通孔41内に嵌め込んだ状態としてセットされている。詳しくは、上記ヒンジカム50は、その操作突起52を、回転カム40の貫通孔41内の周縁部の一部に凹み形成された操作孔部41a内に入り込ませた状態としてセットされている。
上記ヒンジカム50は、ガイド20との間に掛着された渦巻きばね60の附勢力によって、常時は、ガイド20に対して図1の紙面向かって反時計回り方向に回転附勢された状態とされている。これにより、ヒンジカム50は、常時は、上記操作突起52を介して回転カム40に同方向(図1の紙面向かって反時計回り方向)への回転附勢力を作用させる構成とされている。上記渦巻きばね60は、図4に示すように、予め捩り込まれた状態として、その内端61がヒンジカム50のばね掛部51に掛着されており、外端62がガイド20のばね掛部26に掛着されて設けられている。上記ヒンジカム50には、図2で前述した操作軸4cが軸方向に挿通されて回転方向に一体的に装着された状態とされている。これにより、ヒンジカム50は、図2で前述した操作レバー5の引き上げ操作が行われることによって、図1に示される渦巻きばね60の附勢力に抗した図示時計回り方向に回転操作されるようになっている。
次に、図1に戻って、外周リング70の構成について説明する。外周リング70は、薄い鋼板がリング状に打ち抜かれてその外周部が軸方向に半抜き加工されることにより、図示右奥側の一端に、半径方向の内方側に張り出して軸方向に面を向けるフランジ状の保持面部71が形成され、この保持面部71の外周部に軸方向に円筒状に張り出す囲い部72が形成された、座付きの円筒型形状に形成されている。上記外周リング70は、図7に示すように、上述したラチェット10及びガイド20に対して、その保持面部71がラチェット10の外周部(円筒部12)に軸方向の外側からあてがわれ、囲い部72がガイド20の外周部22に半径方向の外側に突出して形成された薄肉部22aに軸方向に突き当てられた状態として、この薄肉部22aに対してレーザー溶接によりその全周に亘って一体的に溶着されて固定された状態とされている。
ここで、図1に示すように、上記薄肉部22aは、ガイド20の外周部22上の縁側の領域部(ラチェット10と組み付けられる軸方向側の縁部)から半径方向の外側に張り出す環状の形に突出して形成されている。上記環状の薄肉部22aは、図7に示すように、その外径が、ラチェット10の円筒部12の外径よりも大きく設定されており、その軸方向を向いた面上に外周リング70の囲い部72が軸方向に突き当てられるようになっている。上記薄肉部22aは、その軸方向の厚みが2mm以下に設定されており、この薄肉部22aに外周リング70の囲い部72を軸方向に突き当てた状態で、レーザー溶接のレーザー光を軸方向に(図7の紙面右側から)全周に亘って照射することにより、この薄肉部22aと共に囲い部72が深く溶け込まされてこれらが全周に亘って強固に一体的に溶着された状態とされている。これにより、外周リング70は、その保持面部71によりラチェット10をガイド20に対して軸方向に外れないように保持した状態として、ラチェット10とガイド20とを軸方向に組み付けた状態に保持するようになっている。
ところで、図1に示すように、上述したラチェット10には、薄い円板形状のフリーゾーンプレート90が装着されている。このフリーゾーンプレート90は、その円板部の中心部近傍の円周方向の2箇所の位置に装着孔91・・が貫通形成されており、これら装着孔91・・をラチェット10の内側の盤面上に突出形成された各装着突起15・・に嵌合させることにより、ラチェット10に対して回転方向に一体的に装着された状態とされている。また、フリーゾーンプレート90の中心部には、前述したリクライニング装置4のロック解除の切換え操作を行う操作軸4c(図2参照)を挿通するための貫通孔94が貫通して形成されている。
上記フリーゾーンプレート90には、その外周縁近傍の部位に、広い円弧形状に開口した逃がし口92が貫通して形成されている。この逃がし口92は、図1に示す上方側のポール30(ポール溝23aにセットされるポール30)に突出形成された突起部33を内部に受け入れた状態に組み付けられるようになっており、このポール30が回転カム40に押圧されて半径方向の外方側に押し出される移動を逃がすことのできる大きさ形状に形成されている。
しかし、この逃がし口92の外周面上の一部には、同外周面上から半径方向の内方側に棚状に突出する規制面93が形成されている。この規制面93は、図6を参照して分かるように、ラチェット10との一体的な回転移動によって、その円周方向の配置が、図示上方側のポール30(ポール溝23aにセットされるポール30)がロック移動する進行方向先の位置に位置付けられることにより、ポール30のロック移動を突起部33を乗り上げさせることによって阻止する構成となっている。
具体的には、上記規制面93は、上記ポール30がロック移動する際に、ポール30の外周歯面30aがラチェット10の内周歯面12aと噛合する前の移動途中の位置で突起部33と当接し、同ポール30のロック移動の進行を阻止して、リクライニング装置4のロック作動を阻止するようになっている。そして、このポール30のロック移動が阻止されることにより、これに押し出し方向の押圧力をかけている回転カム40の回転移動も制止された状態となり、他の3つのポール30・・のロック移動も止められて、リクライニング装置4がアンロック状態に留められるようになっている。
このように、上記したフリーゾーンプレート90に形成された規制面93が図示上方側のポール30の突起部33と干渉する回転角度領域では、リクライニング装置4のロック作動が阻止されて、リクライニング装置4がアンロック状態に保たれるようになっており、この回転角度領域が、前述したフリーゾーンを構成する回転角度領域として設定されている。また、上記規制面93が図示上方側のポール30の突起部33と干渉することなく、ポール30がラチェット10と噛合する回転角度領域が、リクライニング装置4がロック状態に戻されるロックゾーンとして設定されている。
このように、本実施例のリクライニング装置4の構成によれば、ガイド20の外周部22に突出形成された薄肉部22aに、外周リング70の囲い部72を軸方向に突き当てて、これらを軸方向のレーザー溶接により一体的に接合する構成としたことにより、外周リング70の溶接作業を径方向に張り出さない小さな作業スペースで行えるようになる。また、薄肉部22aがガイド20の外周部22上における、ラチェット10が配置された軸方向側の端部に配置形成されていることにより、外周リング70が薄肉部22aと突き当たるまでの軸方向の長さが短く抑えられ、外周リング70をコンパクトに構成することができる。
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。例えば、図8に示すように、薄肉部22aが、ガイド20(他方側の円盤部材)の外周部22上における、ラチェット10(一方側の円盤部材)が配置された軸方向側とは反対側の端部に配置形成されて、外周リング70(外周保持部材)の囲い部72がガイド20の外周部22に径方向の外側から覆うように嵌め込まれた状態で、薄肉部22aにレーザー溶接されて結合される構成であってもよい。このように、薄肉部22aを外周リング70から遠い側の位置に形成して、外周リング70をガイド20の外周部22に径方向の外側から覆うように嵌め込んで設ける構成としたことにより、外周リング70をガイド20に対して径方向及び軸方向にそれぞれ位置決めした状態として組み付けることができる。また、外周リング70がガイド20により半径方向の内方側から支えられる構成となるため、外周リング70のガイド20に対する結合強度を更に高めることができる。
また、薄肉部は、他方側の円盤部材の外周部上における、軸方向の中間位置に形成されたものであってもよい。これにより、外周保持部材の軸方向の長さがそれほど長くならずとも、外周保持部材を他方側の円盤部材の外周部に径方向の外側から覆うように嵌め込んだ状態で、薄肉部にレーザー溶接して結合することができる。また、薄肉部は、必ずしも、他方側の円盤部材の外周部に対し、円周方向の全域に亘って環状に形成されている必要はなく、円周方向のところどころの箇所に断続的に形成されているものであってもよい。また、外周保持部材を薄肉部にレーザー溶接する箇所を円周方向のところどころの箇所に絞って、薄肉部のレーザー溶接されない部分を厚肉化して、薄肉部の構造強度を高めた構成としてもよい。
また、上記実施例では、本発明の車両用シートの回転連結装置を、シートバック2をシートクッション3に対して背凭れ角度調整可能に連結するリクライニング装置4として適用したものを示した。しかし、本発明の車両用シートの回転連結装置は、シートバックを車体フロアに対して傾動可能に連結したり、シートクッションを車体フロアに傾動可能に連結したりする用途にも適用することができる。また、車両用シートの回転連結装置は、シート本体を車体フロアに対して旋回方向に回転させられるように連結する用途にも適用することができる。また、車両用シートの回転連結装置は、着座者の下腿部を下方側から持ち上げて支持するいわゆるオットマン装置をシートクッションや車体フロアに対して傾動可能に連結する用途にも適用することができる。
また、上記実施例では、ラチェット10がシートバックフレーム2fに連結され、ガイド20がシートクッションフレーム3fに連結された構成を例示したが、ラチェットがシートクッションフレームに組み付けられ、ガイドがシートバックフレームに組み付けられる構成であってもよい。また、本発明の「ロック部材」に相当するポール30・・のロック・アンロックの作動が、半径方向への真っ直ぐなスライド運動によって行われる構成とされたものを示したが、円周方向への移動を伴うような他の形態の運動によって行われるものであってもよい。また、上記実施例では、ポール30・・が円周方向の4箇所に設置された構成を例示したが、ポールの配置個数は、1個〜3個のいずれであっても構わない。
また、車両用シートの回転連結装置は、特開2011−073480号公報等に記載された構成のように、内歯車を有する円盤部材と、外歯車を有する円盤部材と、を互いに内外に噛合させた状態として、これらを互いの噛み合い位置を変化させる態様で相対回転させるタイプの構成であってもよい。これら両歯車間の相対回転は、両歯車間に設けられた楔構造(本発明のロック部材に相当する。)の押し付け力により、一方側の歯車部材が他方側の歯車部材に対して強く押し付けられて係止されるようになっている。
1 車両用シート
2 シートバック
2f シートバックフレーム(車両用シートを構成する部材)
2a ダボ孔
2b Dダボ孔
2c 貫通孔
3 シートクッション
3f シートクッションフレーム(車両用シートを構成する部材)
3a ダボ孔
3b Dダボ孔
3c 貫通孔
4 リクライニング装置(車両用シートの回転連結装置)
4c 操作軸
4r コネクティングロッド
5 操作レバー
10 ラチェット(一方側の円盤部材)
11 円盤部
12 円筒部
12a 内周歯面
13a ダボ
13b Dダボ
14 貫通孔
15 装着突起
20 ガイド(他方側の円盤部材)
21 円盤部
21a〜21d 案内壁
22 外周部
22a 薄肉部
23 ガイド溝
23a〜23d ポール溝
23e カム溝
24a ダボ
24b Dダボ
25 貫通孔
26 ばね掛部
30 ポール(ロック部材)
30a 外周歯面
31 引掛部
32 脚部
33 突起部
40 回転カム
41 貫通孔
41a 操作孔部
42 肩部
43 溝部
44 角部
45 装着突起
50 ヒンジカム
51 ばね掛部
52 操作突起
60 渦巻きばね
61 内端
62 外端
70 外周リング(外周保持部材)
71 保持面部
72 囲い部
80 レリーズプレート
81 装着孔
82 引込孔
82a 引込面
83 貫通孔
90 フリーゾーンプレート
91 装着孔
92 逃がし口
93 規制面
94 貫通孔

Claims (3)

  1. 車両用シートを構成する二つの部材同士を互いに相対回転可能な状態に連結する回転止め機能を備えた車両用シートの回転連結装置であって、
    互いに相対回転可能な状態に軸方向に組み付けられる二枚の円盤部材と、
    当該二枚の円盤部材の間に組み付けられてこれらの回転止めを行うロック部材と、
    当該二枚の円盤部材の外周部間に跨って組み付けられてこれらの軸方向の外れ止めをする外周保持部材と、を有し、
    前記外周保持部材は、一方側の前記円盤部材の外周部に軸方向にあてがわれる保持面部を有し、他方側の前記円盤部材の外周部に径方向の外側に突出して形成された軸方向に薄肉な薄肉部に軸方向に突き当てられた状態として該薄肉部に軸方向にレーザー光が照射されるレーザー溶接により一体的に溶着された構成となっていることを特徴とする車両用シートの回転連結装置。
  2. 請求項1に記載の車両用シートの回転連結装置であって、
    前記薄肉部が他方側の前記円盤部材の外周部上における一方側の前記円盤部材が配置された軸方向側の端部に配置形成されていることを特徴とする車両用シートの回転連結装置。
  3. 請求項1に記載の車両用シートの回転連結装置であって、
    前記薄肉部が他方側の前記円盤部材の外周部上における一方側の前記円盤部材が配置された軸方向側とは反対側の端部に配置形成されており、前記外周保持部材が他方側の前記円盤部材の外周部に径方向の外側から覆うように嵌め込まれた状態として設けられる構成であることを特徴とする車両用シートの回転連結装置。
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