JP2013011302A - ディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造 - Google Patents
ディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013011302A JP2013011302A JP2011144206A JP2011144206A JP2013011302A JP 2013011302 A JP2013011302 A JP 2013011302A JP 2011144206 A JP2011144206 A JP 2011144206A JP 2011144206 A JP2011144206 A JP 2011144206A JP 2013011302 A JP2013011302 A JP 2013011302A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- chamber space
- lubricating oil
- sectional area
- differential
- minimum passage
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H57/00—General details of gearing
- F16H57/04—Features relating to lubrication or cooling or heating
- F16H57/048—Type of gearings to be lubricated, cooled or heated
- F16H57/0482—Gearings with gears having orbital motion
- F16H57/0483—Axle or inter-axle differentials
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H57/00—General details of gearing
- F16H57/04—Features relating to lubrication or cooling or heating
- F16H57/042—Guidance of lubricant
- F16H57/0421—Guidance of lubricant on or within the casing, e.g. shields or baffles for collecting lubricant, tubes, pipes, grooves, channels or the like
- F16H57/0426—Means for guiding lubricant into an axial channel of a shaft
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H57/00—General details of gearing
- F16H57/04—Features relating to lubrication or cooling or heating
- F16H57/0434—Features relating to lubrication or cooling or heating relating to lubrication supply, e.g. pumps ; Pressure control
- F16H57/0441—Arrangements of pumps
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- General Details Of Gearings (AREA)
Abstract
【課題】ディファレンシャルギヤ装置内の各部に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積の関係を変更して、潤滑性能を向上させる。
【解決手段】サイドギヤ18L、18R及びピニオンギヤ20U、20Lを回転可能に支持するケース16と、軸受30Lを介してケース16を回転可能に支持するハウジング28と、ケースとハウジングとの間に形成された第一の室空間36より、一方のドライブシャフト12Lの周りに形成された第二の室空間46へ潤滑油を導く潤滑孔48Lとを有し、ケース16内に第三の室空間50が形成されたディファレンシャルギヤ装置10の潤滑構造において、第二の室空46間より軸受30Lを経て第一の室空間36へ至る潤滑油流通経路の最小通路断面積は、潤滑孔48Lの最小通路断面積よりも小さく、第二の室空間46と第三の室空間50との間及び第三の室空間50に於ける最小通路断面積は、潤滑孔48Lの最小通路断面積よりも大きい。
【選択図】図1
【解決手段】サイドギヤ18L、18R及びピニオンギヤ20U、20Lを回転可能に支持するケース16と、軸受30Lを介してケース16を回転可能に支持するハウジング28と、ケースとハウジングとの間に形成された第一の室空間36より、一方のドライブシャフト12Lの周りに形成された第二の室空間46へ潤滑油を導く潤滑孔48Lとを有し、ケース16内に第三の室空間50が形成されたディファレンシャルギヤ装置10の潤滑構造において、第二の室空46間より軸受30Lを経て第一の室空間36へ至る潤滑油流通経路の最小通路断面積は、潤滑孔48Lの最小通路断面積よりも小さく、第二の室空間46と第三の室空間50との間及び第三の室空間50に於ける最小通路断面積は、潤滑孔48Lの最小通路断面積よりも大きい。
【選択図】図1
Description
本発明は、ディファレンシャルギヤ装置に係り、更に詳細にはディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造に係る。
例えば自動車等の車両の駆動系に組み込まれるディファレンシャルギヤ装置は、互いに噛合する一対のサイドギヤ及び一対のピニオンギヤとこれらのギヤを回転可能に支持するディファレンシャルケースとを有している。一対のサイドギヤ及び一対のピニオンギヤは互いに噛合して回転し、一対のサイドギヤを支持する一対のドライブシャフトはディファレンシャルケースに対し相対的に回転する。またピニオンギヤはディファレンシャルケースにより支持されたピニオンシャフトに対し相対的に回転し、ディファレンシャルケースはそれを収容するディファレンシャルハウジングに対し相対的に回転し、それらの間には軸受が配設されている。よってディファレンシャルギヤ装置の作動時には各相対回転部はそれらの摩擦抵抗が低くなるよう潤滑油によって潤滑されされなければならず、従来種々の潤滑構造が提案されている。
例えばディファレンシャルケースとディファレンシャルハウジングとの間の室空間又は潤滑供給系より潤滑孔を経て一方のドライブシャフトの周りの室空間へ潤滑油を導くよう構成されたディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造がよく知られている。また一方のドライブシャフトの外面又はこれを回転可能に支持するディファレンシャルケースのボス部の内面に螺旋溝が設けられ、螺旋溝によりディファレンシャルケース内へ潤滑油を供給するよう構成された潤滑構造もよく知られている。
特に下記の特許文献1には、潤滑孔及び螺旋溝に加えて、リングプレートを有するディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造が記載されている。リングプレートはディファレンシャルハウジングに設けられた潤滑孔を経てドライブシャフトの周りの室空間へ流入する潤滑油をドライブシャフトとディファレンシャルケースのボス部との間に導く舌部を備えている。
上述如き従来の潤滑構造によれば、潤滑孔及び螺旋溝が設けられていない場合や舌部を備えたリングプレートが設けられていない場合に比して、ドライブシャフトとボス部との間やディファレンシャルケースの内部へ良好に潤滑油を供給することができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
一般にディファレンシャルギヤ装置に於いては、ドライブシャフトは良好に支持される必要があるので、ドライブシャフトとディファレンシャルケースのボス部との間のクリアランスは非常に小さい。同様にドライブシャフトの内端に固定されたサイドギヤの軸部とディファレンシャルケースのボス部との間のクリアランスも小さい。
一般にディファレンシャルギヤ装置に於いては、ドライブシャフトは良好に支持される必要があるので、ドライブシャフトとディファレンシャルケースのボス部との間のクリアランスは非常に小さい。同様にドライブシャフトの内端に固定されたサイドギヤの軸部とディファレンシャルケースのボス部との間のクリアランスも小さい。
従ってドライブシャフトの周りの室空間よりドライブシャフトとディファレンシャルケースのボス部との間を経てディファレンシャルケース内の室空間へ至る潤滑油流通経路の最小通路断面積は潤滑孔の最小通路断面積よりも小さい。そのためドライブシャフトの周りの室空間よりドライブシャフトとディファレンシャルケースのボス部との間を経てディファレンシャルケース内の室空間へ至る潤滑油流通経路の流路抵抗が高く、この潤滑油流通経路を通過する潤滑油の流量が制限される。よってディファレンシャルギヤ装置が厳しい作動条件下にて作動されるような場合には、ドライブシャフトとディファレンシャルケースのボス部との間やサイドギヤの軸部とディファレンシャルケースのボス部との間等の潤滑が不十分になる虞れがある。従って潤滑が不十分になる虞れがある部位に固体潤滑材が混合されためっき処理を行ったり、面粗度が低くなるよう高度に研磨処理を行ったりすることが必要である。
本発明は、従来のディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、ディファレンシャルギヤ装置内の各部に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積の関係を変更してディファレンシャルギヤ装置内に於ける潤滑性能を向上させることである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち互いに整合して隔置された一対のドライブシャフトに固定され互いに対向する一対のサイドギヤと、
前記一対のサイドギヤ間にてそれらに噛合する一対のピニオンギヤと、
前記サイドギヤ及び前記ピニオンギヤをそれぞれの軸線の周りに回転可能に支持し、前記一対のサイドギヤの間の差動回転を許容しつつ前記一対のサイドギヤをそれらの軸線の周りに回転させるディファレンシャルケースと、
前記一対のドライブシャフトの周りに配設された軸受を介して前記ディファレンシャルケースを前記一対のサイドギヤの軸線に一致する軸線の周りに回転可能に支持するディファレンシャルハウジングと、
前記ディファレンシャルケースと前記ディファレンシャルハウジングとの間に形成された第一の室空間と、
一方のドライブシャフトの周りにてオイルシールと前記ディファレンシャルケースと前記ディファレンシャルハウジングと一方の軸受とにより形成された第二の室空間と、
前記ディファレンシャルケースと前記一対のサイドギヤ及び前記一対のピニオンギヤにより形成された第三の室空間と、
前記第二の室空間へ潤滑油を供給する第一の潤滑油供給手段と、
を有するディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造に於いて、
前記第二の室空間より前記一方の軸受を経て前記第一の室空間へ至る潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第一の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも小さく、
前記第二の室空間と前記第三の室空間との間及び前記第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第一の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも大きい、
ことを特徴とするディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造によって達成される。
前記一対のサイドギヤ間にてそれらに噛合する一対のピニオンギヤと、
前記サイドギヤ及び前記ピニオンギヤをそれぞれの軸線の周りに回転可能に支持し、前記一対のサイドギヤの間の差動回転を許容しつつ前記一対のサイドギヤをそれらの軸線の周りに回転させるディファレンシャルケースと、
前記一対のドライブシャフトの周りに配設された軸受を介して前記ディファレンシャルケースを前記一対のサイドギヤの軸線に一致する軸線の周りに回転可能に支持するディファレンシャルハウジングと、
前記ディファレンシャルケースと前記ディファレンシャルハウジングとの間に形成された第一の室空間と、
一方のドライブシャフトの周りにてオイルシールと前記ディファレンシャルケースと前記ディファレンシャルハウジングと一方の軸受とにより形成された第二の室空間と、
前記ディファレンシャルケースと前記一対のサイドギヤ及び前記一対のピニオンギヤにより形成された第三の室空間と、
前記第二の室空間へ潤滑油を供給する第一の潤滑油供給手段と、
を有するディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造に於いて、
前記第二の室空間より前記一方の軸受を経て前記第一の室空間へ至る潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第一の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも小さく、
前記第二の室空間と前記第三の室空間との間及び前記第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第一の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも大きい、
ことを特徴とするディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造によって達成される。
上記構成によれば、第二の室空間より一方の軸受を経て第一の室空間へ至る潤滑油流通経路の最小通路断面積は、第一の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも小さい。よって第二の室空間に潤滑油が充填される状況を確保し、一方のドライブシャフトとそれを回転可能に支持するディファレンシャルケースの支持部との間に確実に潤滑油を供給することができ、これによりそれらの間を良好に潤滑することができる。
また上記構成によれば、第二の室空間と第三の室空間との間及び第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、第一の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも大きい。よって二つの最小通路断面積の大小関係が逆である従来の潤滑構造の場合に比して、第二の室空間と第三の室空間との間及び第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の流通抵抗を低減し、例えば一方のドライブシャフト及びサイドギヤとディファレンシャルケースとの間の潤滑油の流量を増大させることができる。
従って上記構成によれば、従来の潤滑構造の場合に比して、ディファレンシャルギヤ装置内に於ける潤滑油流通経路の流路抵抗を低下させてディファレンシャルギヤ装置内に於ける潤滑性能を向上させることができる。よってディファレンシャルギヤ装置内の相対運動する部位に固体潤滑材が混合されためっき処理を行ったり、面粗度が低くなるよう高度に研磨処理を行ったりすることを省略することができる。
また上記構成に於いて、前記第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第二の室空間と前記第三の室空間との間の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも大きくてよい。
上記構成によれば、二つの最小通路断面積の大小関係が逆である場合に比して、第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の流通抵抗を低減し、例えばサイドギヤとディファレンシャルケースとの間の潤滑油の流量を増大させることができる。
尚二つの最小通路断面積が上記関係にある場合には、これらの最小通路断面積の大小関係が逆である場合に比して、例えばサイドギヤの軸部とディファレンシャルケースとの間のクリアランスが大きくなる。しかし一対のサイドギヤは一対のピニオンギヤと噛合しているので、二つの最小通路断面積の大小関係が本発明に従って設定されてもサイドギヤが過剰にみそすり運動することはない。
上記構成に於いて、前記第二の室空間より前記一方の軸受を経て前記第一の室空間へ潤滑油が流出することを抑制する第一の潤滑油流出抑制手段が設けられていてよい。
この構成によれば、潤滑油が第二の室空間より一方の軸受を経て第一の室空間へ流出することが第一の潤滑油流出抑制手段によって抑制される。よって第一の潤滑油流出抑制手段が設けられていない場合に比して、第二の室空間より第三の室空間へ至る潤滑油の流量を増大させることができ、これによりディファレンシャルギヤ装置内に於ける潤滑性能を一層向上させることができる。
また上記構成に於いて、他方のドライブシャフトの周りにてオイルシールと前記ディファレンシャルケースと前記ディファレンシャルハウジングと他方の軸受とにより形成された第四の室空間と、
前記第四の室空間へ潤滑油を供給する第二の潤滑油供給手段と、
を有し、
前記第四の室空間より前記他方の軸受を経て前記第一の室空間へ至る潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第二の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも小さく、
前記第四の室空間と前記第三の室空間との間及び前記第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第二の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも大きくてよい。
前記第四の室空間へ潤滑油を供給する第二の潤滑油供給手段と、
を有し、
前記第四の室空間より前記他方の軸受を経て前記第一の室空間へ至る潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第二の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも小さく、
前記第四の室空間と前記第三の室空間との間及び前記第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第二の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも大きくてよい。
上記構成によれば、第四の室空間より他方の軸受を経て第一の室空間へ至る潤滑油流通経路の最小通路断面積は、第二の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも小さい。よって第四の室空間に潤滑油が充填される状況を確保し、他方のドライブシャフトとそれを回転可能に支持するディファレンシャルケースの支持部との間に確実に潤滑油を供給することができ、これによりそれらの間を良好に潤滑することができる。
また上記構成によれば、第四の室空間と第三の室空間との間及び第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、第二の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも大きい。よって二つの最小通路断面積の大小関係が逆である従来の潤滑構造の場合に比して、第四の室空間と第三の室空間との間及び第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の流通抵抗を低減し、例えば他方のドライブシャフト及びサイドギヤとディファレンシャルケースとの間の潤滑油の流量を増大させることができる。
また上記構成に於いて、第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、第四の室空間と第三の室空間との間の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも大きくてよい。
上記構成によれば、二つの最小通路断面積の大小関係が逆の場合に比して、第四の室空間の側に於いても第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の流通抵抗を低減し、例えばサイドギヤとディファレンシャルケースとの間の潤滑油の流量を増大させることができる。
また上記構成に於いて、前記第四の室空間より前記他方の軸受を経て前記第一の室空間へ潤滑油が流出することを抑制する第二の流出抑制手段が設けられていてよい。
この構成によれば、潤滑油が第四の室空間より他方の軸受を経て第一の室空間へ流出することが第二の潤滑油流出抑制手段によって抑制される。よって第二の潤滑油流出抑制手段が設けられていない場合に比して、第四の室空間より第三の室空間へ至る潤滑油の流量を増大させることができ、これによりディファレンシャルギヤ装置内に於ける潤滑性能を一層向上させることができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
〔課題解決手段の好ましい態様〕
また上記構成に於いて、一方の軸受及び他方の軸受の少なくとも一方はオイルレスタイプのものであり、流出抑制手段としても機能するようになっていてよい。
また上記構成に於いて、第一の潤滑油流出抑制手段は第二の室空間に配設され潤滑油が第二の室空間より一方の軸受へ流入することを抑制するようになっていてよい。
また上記構成に於いて、第二の潤滑油流出抑制手段は第四の室空間に配設され潤滑油が第四の室空間より他方の軸受へ流入することを抑制するようになっていてよい。
また上記構成に於いて、一方のドライブシャフトの外面若しくは一方のドライブシャフトを回転可能に支持するディファレンシャルケースの支持部の内面に、第二の室空間より第三の室空間へ潤滑油を導く第一の螺旋溝が設けられていてよい。
また上記構成に於いて、他方のドライブシャフトの外面若しくは他方のドライブシャフトを回転可能に支持するディファレンシャルケースの支持部の内面に、第四の室空間より第三の室空間へ潤滑油を導く第二の螺旋溝が設けられていてよい。
また上記構成に於いて、第一の潤滑油供給手段は第二の室空間へ潤滑油を強制的に供給するようになっていてよい。
また上記構成に於いて、第二の潤滑油供給手段は第四の室空間へ潤滑油を強制的に供給するようになっていてよい。
また上記構成に於いて、第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、一方のドライブシャフトに固定された一方のサイドギヤの軸部とディファレンシャルケースとの間の最小通路断面積であってよい。
また上記構成に於いて、第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、他方のドライブシャフトに固定された他方のサイドギヤの軸部とディファレンシャルケースとの間の最小通路断面積であってよい。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。
[第一の実施形態]
[第一の実施形態]
本発明による潤滑構造の第一の実施形態が適用されたディファレンシャルギヤ装置の要部を示す部分断面図である。
図1に於いて、符号10はディファレンシャルギヤ装置を示しており、ディファレンシャルギヤ装置10は図には示されていないプロペラシャフト等より図には示されていない左右の車輪のための一対のドライブシャフト12L、12Rへ駆動力を伝達する。ドライブシャフト12L、12Rは共通の軸線14に整合して互いに隔置されており、ディファレンシャルケース16のボス部16L、16Rに密に嵌合し、これらのボス部により軸線14の周りに回転可能に支持されている。ディファレンシャルケース16内には一対のサイドギヤ18L、18Rと一対のピニオンギヤ20U、20Lとが配置されている。
一対のサイドギヤ18L、18Rは軸線14に整合し且つ互いに対向する状態にてそれぞれドライブシャフト12L、12Rの内端に例えばスプライン結合により固定されている。よって一対のサイドギヤ18L、18Rはそれぞれドライブシャフト12L、12Rと共に軸線14の周りに回転可能である。一対のピニオンギヤ20U、20Lは軸線14に垂直な軸線22に整合し且つ互いに対向する状態にて一対のサイドギヤ18L、18Rの間に位置し、それらのサイドギヤと噛合している。
一対のピニオンギヤ20U、20Lはピニオンシャフト24により軸線22の周りに回転可能に支持されており、ピニオンシャフト24は軸線22に整合して上下方向に延在し両端にてディファレンシャルケース16により支持されている。ピニオンシャフト24はディファレンシャルケース16に設けられた一対の孔に嵌合し、ピン26により軸線22の周りに回転しないよう拘束されている。ディファレンシャルケース16には図1の紙面に垂直な部位に開口部が設けられており、ディファレンシャルケース16の外部よりサイドギヤ18L、18R及びピニオンギヤ20U、20Lにアクセス可能である。
ディファレンシャルケース16はディファレンシャルハウジング28内に収容されている。ディファレンシャルハウジング28はディファレンシャルケース16のボス部16L、16Rの周りに配設されたテーパローラ軸受30L、30Rを介してディファレンシャルケース16を軸線14の周りに回転可能に支持している。ディファレンシャルケース16の外周部にはピニオンシャフト24に対しローラ軸受30Lの側にて径方向外方へ突出するフランジ部16Fが設けられており、フランジ部16Fには軸線14に整合するリングギヤ32がボルトによって固定されている。
特に第一の実施形態に於いては、ローラ軸受30L、30Rは潤滑油の供給量が少なくてよいオイルレスタイプのものである。尚第一の実施形態に於いてディファレンシャルケース16を軸線14の周りに回転可能に支持するための軸受は、通過する潤滑油の量が少ない限り、オイルレスタイプのものでなくてよく、またボール軸受の如き他の型式の軸受であってもよい。
リングギヤ32は図には示されていないプロペラシャフト等により駆動される入力ギヤと噛合しており、ディファレンシャルケース16はリングギヤ32が入力ギヤによって回転駆動されることにより軸線14の周りに回転駆動される。ディファレンシャルケース16の回転はピニオンシャフト24、一対のピニオンギヤ20U、20L、一対のサイドギヤ18L、18Rを介してドライブシャフト12L、12Rへ伝達され、これらのドライブシャフトが軸線14の周りに回転する。
一対のピニオンギヤ20U、20Lが軸線22の周りに回転しなければ、ドライブシャフト12L、12Rは互いに同一の回転速度にて回転する。これに対し一対のピニオンギヤ20U、20Lが軸線22の周りに回転すると、サイドギヤ18L、18Rが差動回転する。よってドライブシャフト12L、12Rは互いに異なる回転速度にて回転し、差動機能が発揮される。
かくして一対のサイドギヤ18L、18R、一対のピニオンギヤ20U、20L、ディファレンシャルケース16は互いに共働して差動歯車装置34を構成している。差動歯車装置34はディファレンシャルケース16が受ける軸線14の周りの回転トルクをドライブシャフト12L、12Rへ伝達すると共にドライブシャフト12L、12Rの相対回転を許容する。
ディファレンシャルケース16とディファレンシャルハウジング28との間には第一の室空間36が形成されており、リングギヤ32及び入力ギヤは第一の室空間36内に配置されている。ディファレンシャルケース16より上方の第一の室空間36には潤滑油供給管38が設けられており、潤滑油供給管38はオイルポンプ40と連通している。オイルポンプ40は後述の潤滑油リザーバより潤滑油を汲み上げ、一定の流量にて高圧の潤滑油を潤滑油供給管38へ供給する。潤滑油供給管38は図1に於いて矢印Aにて示されている如くディファレンシャルケース16の上方よりディファレンシャルケース等に対し潤滑油を噴射し、これによりサイドギヤ18L、18Rとピニオンギヤ20U、20Lとの噛合部等へ潤滑油を供給する。
ドライブシャフト12Lとディファレンシャルハウジング28との間にはディファレンシャルハウジングの外面に近接してオイルシール44が配設されている。オイルシール44はドライブシャフト12L、ディファレンシャルケース16、ローラ軸受30L、ディファレンシャルハウジング28と共働して第二の室空間46を形成している。ディファレンシャルケース16にはローラ軸受30Lに近接して強制潤滑孔48Lが設けられており、強制潤滑孔48Lは第一の室空間36と第二の室空間46とを連通接続している。
強制潤滑孔48Lは第二の室空間46の上方にてドライブシャフト12Lの軸線14に垂直に上下方向に延在しており、図1に於いて矢印Bにて示されている如く上端にて潤滑油供給管38より潤滑油を受け、第二の室空間46へ潤滑油を供給する。従って強制潤滑孔48Lはオイルポンプ40、潤滑油供給管38と共働して第一の潤滑油供給手段を構成している。
一対のサイドギヤ18L、18R及び一対のピニオンギヤ20U、20Lはディファレンシャルケース16の内面より隔置されており、これによりそれらの間には第三の室空間50が形成されている。第三の室空間50はディファレンシャルケース16に設けられた図には示されていない開口部により第一の室空間36と連通接続されている。尚サイドギヤ18Lの軸部は、ガタつくことなくディファレンシャルケース16に対し相対的に回転し得るよう、ボス部16Lと比較的密に嵌合している。
ディファレンシャルケース16のボス部16Lの内面には軸線14の周りに螺旋状に延在する2条の螺旋溝52が設けられている。螺旋溝52はドライブシャフト12Lが車両の前進方向へ回転するとアルキメデスポンプの作用により第二の室空間46内の潤滑油を第三の室空間50へ供給する。尚螺旋溝50と同様の螺旋溝がドライブシャフト12Lの外面に設けられてもよく、ボス部16Lの内面及びドライブシャフト12Lの外面の両方に設けられてもよい。
ドライブシャフト12Lの場合と同様に、ドライブシャフト12Rとディファレンシャルハウジング28との間にはディファレンシャルハウジングの外面に近接してオイルシール54が配設されている。オイルシール54はドライブシャフト12R、ディファレンシャルケース16、ローラ軸受30R、ディファレンシャルハウジング28と共働して第四の室空間56を形成している。
第四の室空間56は潤滑油供給通路42及び強制潤滑孔48Rにより第一の室空間36と連通接続されている。潤滑油供給通路42は潤滑油供給管38より潤滑油を受け、第四の室空間56には潤滑油供給通路42より強制潤滑孔48Rを経て潤滑油が供給される。従って強制潤滑孔48Rはオイルポンプ40、潤滑油供給管38、潤滑油供給通路42と共働して第二の潤滑油供給手段を構成している。
ローラ軸受30Rのアウタレースはディファレンシャルハウジング28に設けられた円筒形の棚部に圧入されており、アウタレースの外端と棚部の端壁との間にはリングプレート58Rが挾圧されている。リングプレート58Rはローラ軸受30Rのインナレースより隔置されており、内周部はディファレンシャルケース16のボス部16Rの外周面より隔置されている。尚リングプレート58Rは省略されてもよく、またリングプレート58Rと同様のリングプレートがローラ軸受30Lに設けられていてもよい。
ディファレンシャルケース16のボス部16Rの内面には螺旋溝52とは逆方向に軸線14の周りに螺旋状に延在する2条の螺旋溝60が設けられている。螺旋溝60はドライブシャフト12Rが車両の前進方向へ回転するとアルキメデスポンプの作用により第四の室空間56内の潤滑油を第三の室空間50へ移動させる。尚螺旋溝60と同様の螺旋溝がドライブシャフト12Rの外面に設けられてもよく、ボス部16Rの内面及びドライブシャフト12Rの外面の両方に設けられてもよい。またサイドギヤ18Rの軸部は、ガタつくことなくディファレンシャルケース16に対し相対的に回転し得るよう、ボス部16Rと比較的密に嵌合している。
第一の室空間36の下方部は潤滑油リザーバ62として機能し、リングギヤ32及びディファレンシャルケース16の一部はリザーバ62に貯留された潤滑油に浸漬された状態に維持される。図1に於いて、Lは第一の室空間36の下方部に貯留された潤滑油の標準的な液面を示している。従ってディファレンシャルケース16が軸線14の周りに回転すると、潤滑油がディファレンシャルケース16及びリングギヤ32によって第一の室空間36の上方部へ跳ね上げられる。
第一の室空間36の圧力は大気圧に維持されるようになっている。また前述の如く第二の室空間46、第三の室空間50、第四の室空間56は第一の室空間36と連通接続されているので、これらの室空間の圧力も大気圧である。
第二の室空間46は強制潤滑孔48Lを経て供給される潤滑油(矢印B)にて部分的に充填され、第二の室空間46内の潤滑油のごく一部はローラ軸受30Lを潤滑すると共に、図1に於いて矢印Cにて示されている如くローラ軸受30Lを経て第一の室空間36の下方部へ移動する。第二の室空間46内の潤滑油の大部分はドライブシャフト12Lとディファレンシャルケース16のボス部16Lとの間を潤滑すると共に、図1に於いて矢印Dにて示されている如く螺旋溝52を経て第三の室空間50へ移動する。
同様に第四の室空間56も図1に於いて矢印Eにて示されている如く潤滑油供給通路42と連通する強制潤滑孔48Rより供給される潤滑油にて部分的に充填される。そして第四の室空間56内の潤滑油のごく一部は矢印Fにて示されている如くローラ軸受30Rを経て第一の室空間36の下方部へ移動する。第四の室空間56内の潤滑油の大部分はドライブシャフト12Rとディファレンシャルケース16のボス部16Rとの間を潤滑すると共に、図1に於いて矢印Gにて示されている如く螺旋溝60を経て第三の室空間50へ移動する。
第三の室空間50へ移動した潤滑油はサイドギヤ18L、18Rの軸部とディファレンシャルケース16との間を潤滑し、ディファレンシャルケース16等が軸線14の周りに回転することによる遠心ポンプの作用により径方向外方へ吸引される。かくして吸引された潤滑油及び潤滑油供給管38により噴射されサイドギヤ18L、18R等を潤滑した潤滑油は、ディファレンシャルケース16の開口部を経て第一の室空間36の下方部へ落下して移動し、これにより潤滑油リザーバ62へ戻る。
図2は第一の実施形態に於ける潤滑油の流動を説明するための模式図である。図2に示されている如く、強制潤滑孔48Lの最小通路断面積をA1とする。第二の室空間46と第三の室空間50との間の潤滑油流通経路、即ちディファレンシャルケース16のボス部16Lとドライブシャフト12Lとの間の最小通路断面積をA2とする。サイドギヤ18Lの軸部とディファレンシャルケース16との間の筒状の間隙空間の潤滑油流通経路の最小通路断面積、即ち第二の室空間46の側に於ける第三の室空間50内の潤滑油流通経路の最小通路断面積をA3とする。
また最小通路断面積A2及びA3のうちの小さい方の値を最小通路断面積A23とする。更に第二の室空間46よりローラ軸受30Lを経て直接第一の室空間36へ至る潤滑油の流出経路の最小通路断面積をA4とする。またオイルポンプ40をポンプPm1とし、螺旋溝52によるポンプをポンプPm2とし、ディファレンシャルケース16内の遠心ポンプの作用によるポンプをポンプPm3とする。
従来のディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造に於いては、最小通路断面積A2及びA3は最小通路断面積A1よりも小さく、従って最小通路断面積A23は最小通路断面積A1よりも小さい。即ち下記の不等式1〜3が成立している。尚螺旋溝52の通路断面積の大きさによって最小通路断面積A2が最小通路断面積A3よりも大きい場合もあれば小さい場合もある。
A1>A2 ……(1)
A1>A3 ……(2)
A1>A23 ……(3)
A1>A3 ……(2)
A1>A23 ……(3)
第一の実施形態に於いては、従来のディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造の場合とは異なり、最小通路断面積A2、A3、A23は最小通路断面積A1よりも大きい値に設定されている。また最小通路断面積A4は最小通路断面積A1、A2、A3、A23はの何れよりも小さい値に設定されている。即ち最小通路断面積A1、A2、A3、A23、A4は下記の不等式4〜7が成立するよう設定されている。尚最小通路断面積A2及びA3は何れが大きくてもよい。
A1<A2 ……(4)
A1<A3 ……(5)
A1<A23 ……(6)
A4<A1 ……(7)
A1<A3 ……(5)
A1<A23 ……(6)
A4<A1 ……(7)
尚上記不等式4の関係は、従来に比してボス部16Lとドライブシャフト12Lとの間のクリアランスを大きくすることなく、強制潤滑孔48Lの最小通路断面積A1との関係で螺旋溝50の通路断面積を設定することにより達成されることが好ましい。また上記不等式5の関係は、従来に比してサイドギヤ18Lの軸部とディファレンシャルケース16との間のクリアランスを大きくすることにより達成されてもよいが、例えば軸部に軸線14に沿って延在する溝が設けられることにより達成されてもよい。
また最小通路断面積A3が最小通路断面積A2よりも大きい場合には、最小通路断面積A2及びA3の大小関係が逆である場合に比して、サイドギヤ18L、18Rの軸部とディファレンシャルケース16との間のクリアランスが大きくなる場合がある。しかしサイドギヤ18L、18Rはピニオンギヤ20U、20Lと噛合しているので、A3がA2よりも大きくされてもサイドギヤ18L、18Rが過剰にみそすり運動することはない。
第一の実施形態によれば、不等式4の関係があるので、第二の室空間46よりローラ軸受30Lを経て直接第一の室空間36へ流出する潤滑油の流量は、強制潤滑孔48Lより第一の室空間36へ流入する潤滑油の流量よりも少ない。よって第二の室空間46の少なくとも下方部が常に潤滑油にて充填された状態を確保し、第二の室空間46を潤滑油溜りとして機能させることができる。従って第二の室空間46に溜まる潤滑油をディファレンシャルケース16のボス部16Lとドライブシャフト12Lとの間に良好に供給し、それらの間及びサイドギヤ18Lの軸部とディファレンシャルケース16との間を良好に潤滑することができる。
また第一の実施形態によれば、最小通路断面積A2、A3、A23は最小通路断面積A1よりも大きい。よって上記不等式1〜3が成立している従来の構造の場合に比して、第二の室空間46よりディファレンシャルケース16のボス部16Lとドライブシャフト12Lとの間を経て第三の室空間50へ至る潤滑油流通経路の流通抵抗を小さくすることができる。従ってこのことによっても従来に比してディファレンシャルケース16のボス部16Lとドライブシャフト12Lとの間及びサイドギヤ18Lの軸部とディファレンシャルケース16との間を良好に潤滑することができる。
尚、強制潤滑孔48Rより第四の室空間56及び螺旋溝60を経て第三の室空間50へ至る潤滑油流通経路、及び強制潤滑孔48Rより軸受30Rを経て第一の室空間36へ至る潤滑油流通経路についても、各最小通路断面積A1〜A4は同様に設定されている。
かくして第一の実施形態によれば、第二の室空間46及び第四の室空間56に常に潤滑油が充填される状況を確保し、ディファレンシャルケース16とドライブシャフト12L、12R及びサイドギヤ18L、18Rの軸部との間を良好に潤滑することができる。
特に第一の実施形態によれば、ローラ軸受30L、30Rはオイルレスタイプのものであるので、特別な手段を要することなく第二の室空間46及び第四の室空間56よりそれぞれローラ軸受30L、30Rを経て直接第一の室空間36へ流出する潤滑油の流量を非常に小さい値にすることができる。
[第二の実施形態]
[第二の実施形態]
図3は本発明による潤滑構造の第二の実施形態が適用されたディファレンシャルギヤ装置の要部を示す部分断面図である。尚図3に於いて図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
この第二の実施形態に於いては、ローラ軸受30L、30Rはオイルレスタイプではない潤滑油を必要とする通常のローラ軸受である。ローラ軸受30Lのアウタレースはディファレンシャルハウジング28に設けられた円筒形の棚部に圧入されており、アウタレースの外端と棚部の端壁との間にはリングプレート58Lが挾圧されている。
リングプレート58L、58Rはそれぞれローラ軸受30R,30Lのインナレースよりごく僅かに隔置されており、内周部はディファレンシャルケース16のボス部16R,16Lの外周面に近接している。よってディファレンシャルケース16が軸線14の周りにディファレンシャルハウジング28に対し相対的に回転しても、リングプレート58L、58Rはローラ軸受30R,30Lのインナレース及びディファレンシャルケース16のボス部16R,16Lに接触しない。リングプレート58L、58Rはそれぞれ潤滑油が第二の室空間46及び第四の室空間50よりローラ軸受30R,30Lを経て第一の室空間36へ潤滑油が流出することを抑制する潤滑油流出抑制手段として作用する。
この第二の実施形態の他の点は上述の第一の実施形態と同様に構成されている。従って各潤滑油流通経路等の最小通路断面積の大小関係も上述の第一の実施形態の場合と同様に設定されている。
従って第二の実施形態によれば、第一の実施形態と同様に、第二及び第四の室空間46、56に潤滑油が充填される状況を確保し、ディファレンシャルケース16のボス部16L、16Rとドライブシャフト12L、12Rとの間を良好に潤滑することができる。
特に第二の実施形態によれば、ローラ軸受30L、30Rは通常のローラ軸受であるので、軸受がオイルレスタイプである場合に比して、潤滑構造を低廉に構成することができる。
尚第一及び第二の実施形態に於いては、最小通路断面積A3は最小通路断面積A2よりも小さくてもよいが、最小通路断面積A3は最小通路断面積A2よりも大きいことが好ましい。最小通路断面積A3が最小通路断面積A2よりも大きい場合には、潤滑油がサイドギヤ18L、18Rの軸部とディファレンシャルケース16との間を通過する際の流通抵抗を低減し、潤滑油の流量を増大させることができる。
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の第一及び第二の実施形態に於いては、ディファレンシャルケース16のボス部16L、16Rの内面には軸線14の周りに螺旋状に延在する2条の螺旋溝52、60が設けられているが、それらの螺旋溝の少なくとも一方が省略されてもよい。
また上述の第一及び第二の実施形態に於いては、最小通路断面積A1、A2、A3、A23、A4は上記不等式4〜7が成立するよう設定されている。しかし螺旋溝52、60が設けられ、それらのポンプとしての機能が十分である場合には、最小通路断面積A1、A2、A3、A23、A4は上記不等式4〜6に代えて下記の不等式8〜10が成立するよう設定されてもよい。
A1>A2 ……(8)
A1<A3 ……(9)
A2<A3 ……(10)
A1>A2 ……(8)
A1<A3 ……(9)
A2<A3 ……(10)
また上述の第一及び第二の実施形態に於いては、本発明の潤滑構造が一対のドライブシャフトに対応してディファレンシャルギヤ装置の左右の両方の領域に適用されているが、本発明の潤滑構造はディファレンシャルギヤ装置の左右の領域の一方にのみ適用されてもよい。
また潤滑油流出抑制手段は第一の実施形態に於いてはオイルレスタイプのローラ軸受30L、30Rであり、第二の実施形態に於いてはリングプレート58L、58Rであるが、潤滑油の流出を抑制できる限り任意の構成のものであってよい。また第一及び第二の潤滑油流出抑制手段の少なくとも一方が省略されてもよい。
また上述の各実施形態に於いては、第一及び第二の潤滑油供給手段はオイルポンプにより高圧の潤滑油を供給するようになっているが、それぞれ強制潤滑孔を経て第二及び第四の室空間へ潤滑油を供給し得る限り任意の構成のものであってよい。
また上述の各実施形態に於いては、ディファレンシャルギヤ装置は自動車用のディファレンシャルギヤ装置であるが、本発明の潤滑構造は自動車用以外のディファレンシャルギヤ装置に適用されてもよい。
10…ディファレンシャルギヤ装置、12L、12R…ドライブシャフト、16…ディファレンシャルケース、18L、18R…サイドギヤ、20U、20L…ピニオンギヤ、28…ディファレンシャルハウジング、30L、30R…ローラ軸受、32…リングギヤ、34…差動歯車装置、36…第一の室空間、38…潤滑油噴射管、40…オイルポンプ、46…第二の室空間、48L、48R…強制潤滑孔、50…第三の室空間、52…螺旋溝、56…第四の室空間、58L、58R…リングプレート、60…螺旋溝
Claims (6)
- 互いに整合して隔置された一対のドライブシャフトに固定され互いに対向する一対のサイドギヤと、
前記一対のサイドギヤ間にてそれらに噛合する一対のピニオンギヤと、
前記サイドギヤ及び前記ピニオンギヤをそれぞれの軸線の周りに回転可能に支持し、前記一対のサイドギヤの間の差動回転を許容しつつ前記一対のサイドギヤをそれらの軸線の周りに回転させるディファレンシャルケースと、
前記一対のドライブシャフトの周りに配設された軸受を介して前記ディファレンシャルケースを前記一対のサイドギヤの軸線に一致する軸線の周りに回転可能に支持するディファレンシャルハウジングと、
前記ディファレンシャルケースと前記ディファレンシャルハウジングとの間に形成された第一の室空間と、
一方のドライブシャフトの周りにてオイルシールと前記ディファレンシャルケースと前記ディファレンシャルハウジングと一方の軸受とにより形成された第二の室空間と、
前記ディファレンシャルケースと前記一対のサイドギヤ及び前記一対のピニオンギヤにより形成された第三の室空間と、
前記第二の室空間へ潤滑油を供給する第一の潤滑油供給手段と、
を有するディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造に於いて、
前記第二の室空間より前記一方の軸受を経て前記第一の室空間へ至る潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第一の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも小さく、
前記第二の室空間と前記第三の室空間との間及び前記第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第一の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも大きい、
ことを特徴とするディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造。 - 前記第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第二の室空間と前記第三の室空間との間の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造。
- 前記第二の室空間より前記一方の軸受を経て前記第一の室空間へ潤滑油が流出することを抑制する第一の潤滑油流出抑制手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造。
- 他方のドライブシャフトの周りにてオイルシールと前記ディファレンシャルケースと前記ディファレンシャルハウジングと他方の軸受とにより形成された第四の室空間と、
前記第四の室空間へ潤滑油を供給する第二の潤滑油供給手段と、
を有し、
前記第四の室空間より前記他方の軸受を経て前記第一の室空間へ至る潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第二の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも小さく、
前記第四の室空間と前記第三の室空間との間及び前記第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第二の潤滑油供給手段の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造。 - 前記第三の室空間に於ける潤滑油流通経路の最小通路断面積は、前記第四の室空間と前記第三の室空間との間の潤滑油流通経路の最小通路断面積よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載のディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造。
- 前記第四の室空間より前記他方の軸受を経て前記第一の室空間へ潤滑油が流出することを抑制する第二の流出抑制手段が設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載のディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011144206A JP5273411B2 (ja) | 2011-06-29 | 2011-06-29 | ディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造 |
US13/533,158 US8739931B2 (en) | 2011-06-29 | 2012-06-26 | Lubricating structure of differential gear unit |
CN201210225332.0A CN102853064B (zh) | 2011-06-29 | 2012-06-29 | 差速器齿轮单元的润滑结构 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011144206A JP5273411B2 (ja) | 2011-06-29 | 2011-06-29 | ディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013011302A true JP2013011302A (ja) | 2013-01-17 |
JP5273411B2 JP5273411B2 (ja) | 2013-08-28 |
Family
ID=47389468
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011144206A Active JP5273411B2 (ja) | 2011-06-29 | 2011-06-29 | ディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US8739931B2 (ja) |
JP (1) | JP5273411B2 (ja) |
CN (1) | CN102853064B (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101566695B1 (ko) | 2013-07-25 | 2015-11-06 | 현대 파워텍 주식회사 | 자동변속기 |
JP6282383B1 (ja) * | 2017-01-27 | 2018-02-21 | 株式会社小松製作所 | アクスル装置 |
KR20200022099A (ko) * | 2018-08-22 | 2020-03-03 | 현대위아 주식회사 | 자동차용 전자식 차동제한장치 |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103267216B (zh) * | 2013-06-02 | 2015-04-29 | 吉林大学 | 一种差速器式动力耦合器润滑系统 |
JP6301725B2 (ja) * | 2014-04-28 | 2018-03-28 | アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 | 動力伝達装置 |
JP6390786B2 (ja) * | 2015-03-27 | 2018-09-19 | アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 | デファレンシャル装置 |
US9797502B2 (en) * | 2016-03-23 | 2017-10-24 | Arvinmeritor Technology, Llc | Axle assembly having a lubricant reservoir |
US20230008955A1 (en) * | 2021-07-09 | 2023-01-12 | Rivian Ip Holdings, Llc | Position-based lubrication control strategy for disconnect differential |
DE102022213497A1 (de) | 2022-12-13 | 2024-06-13 | Zf Friedrichshafen Ag | Antriebsmodul für ein Kraftfahrzeug |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5165427U (ja) * | 1974-11-16 | 1976-05-24 | ||
JPS6061558U (ja) * | 1983-10-05 | 1985-04-30 | トヨタ自動車株式会社 | 最終減速歯車装置 |
JPS62194241U (ja) * | 1986-05-29 | 1987-12-10 | ||
JP2004211769A (ja) * | 2002-12-27 | 2004-07-29 | Honda Motor Co Ltd | デファレンシャル |
JP2009127794A (ja) * | 2007-11-27 | 2009-06-11 | Mazda Motor Corp | 自動変速機 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FI54187C (fi) | 1974-10-23 | 1978-10-10 | Erkki Pietari Niskanen | 4-vaegs -ventil foer tvao vaetskematningslinjer speciellt i mejerier och liknande |
JPS6061558A (ja) | 1983-09-14 | 1985-04-09 | Nippon Suisan Kaisha Ltd | 天然タウリンの製造方法 |
JPS62194241A (ja) | 1986-02-20 | 1987-08-26 | Canon Inc | カメラ用閃光発光装置 |
JP5165427B2 (ja) | 2007-03-23 | 2013-03-21 | 富士フイルム株式会社 | 溶液製膜方法 |
JP2010144904A (ja) | 2008-12-22 | 2010-07-01 | Gkn Driveline Japan Ltd | 回転部材の潤滑構造 |
CN201731037U (zh) * | 2010-07-27 | 2011-02-02 | 高兴龙 | 汽车高转差行星齿轮式差速器 |
-
2011
- 2011-06-29 JP JP2011144206A patent/JP5273411B2/ja active Active
-
2012
- 2012-06-26 US US13/533,158 patent/US8739931B2/en active Active
- 2012-06-29 CN CN201210225332.0A patent/CN102853064B/zh active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5165427U (ja) * | 1974-11-16 | 1976-05-24 | ||
JPS6061558U (ja) * | 1983-10-05 | 1985-04-30 | トヨタ自動車株式会社 | 最終減速歯車装置 |
JPS62194241U (ja) * | 1986-05-29 | 1987-12-10 | ||
JP2004211769A (ja) * | 2002-12-27 | 2004-07-29 | Honda Motor Co Ltd | デファレンシャル |
JP2009127794A (ja) * | 2007-11-27 | 2009-06-11 | Mazda Motor Corp | 自動変速機 |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101566695B1 (ko) | 2013-07-25 | 2015-11-06 | 현대 파워텍 주식회사 | 자동변속기 |
JP6282383B1 (ja) * | 2017-01-27 | 2018-02-21 | 株式会社小松製作所 | アクスル装置 |
WO2018138893A1 (ja) * | 2017-01-27 | 2018-08-02 | 株式会社小松製作所 | アクスル装置 |
US10421357B2 (en) | 2017-01-27 | 2019-09-24 | Komatsu Ltd. | Axle apparatus |
KR20200022099A (ko) * | 2018-08-22 | 2020-03-03 | 현대위아 주식회사 | 자동차용 전자식 차동제한장치 |
KR102094876B1 (ko) * | 2018-08-22 | 2020-03-30 | 현대위아 주식회사 | 자동차용 전자식 차동제한장치 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20130001018A1 (en) | 2013-01-03 |
CN102853064B (zh) | 2014-12-31 |
US8739931B2 (en) | 2014-06-03 |
JP5273411B2 (ja) | 2013-08-28 |
CN102853064A (zh) | 2013-01-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5273411B2 (ja) | ディファレンシャルギヤ装置の潤滑構造 | |
US10138950B2 (en) | Driving force transmission device | |
JP2013119918A (ja) | 動力伝達装置 | |
US11300155B2 (en) | Cage for a tapered roller bearing and tapered roller bearing | |
JPWO2016114007A1 (ja) | 変速機 | |
JP5736778B2 (ja) | 円すいころ軸受及びこれを用いたピニオン軸支持装置 | |
JP2017075627A (ja) | スプライン継手 | |
JP2015048890A (ja) | 車両用差動歯車装置における潤滑構造 | |
JP2765487B2 (ja) | デファレンシャル用軸受の潤滑装置 | |
CN111503251A (zh) | 差速装置的润滑结构 | |
JP2008115971A (ja) | ディファレンシャル装置 | |
JPH1151159A (ja) | 終減速装置用ピニオン軸の軸受装置 | |
JP4878448B2 (ja) | トルク伝達装置 | |
CN102312995B (zh) | 贯通式驱动桥的轴间差速器润滑结构和车辆 | |
JPH0672168A (ja) | トランスフアの潤滑装置 | |
JP2015206448A (ja) | 変速機のベアリング潤滑構造 | |
JP4370907B2 (ja) | 玉軸受 | |
JP2018168982A (ja) | 円すいころ軸受 | |
CN202220846U (zh) | 贯通式驱动桥的轴间差速器润滑结构和车辆 | |
JP4799912B2 (ja) | シール構造 | |
JP2018031447A (ja) | 動力伝達装置 | |
JP2016023796A (ja) | 変速機の潤滑装置 | |
JP2009041589A (ja) | 軸受装置ならびにデファレンシャル | |
JP2008190690A (ja) | ディファレンシャル装置の潤滑構造 | |
JP2767523B2 (ja) | タンデム式駆動軸の潤滑装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130409 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130417 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130430 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5273411 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |