JP2013010849A - 半導体用接着部材、それを用いたダイシング・ダイボンディング一体型接着部材及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体用接着部材、それを用いたダイシング・ダイボンディング一体型接着部材及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ワイヤボンディング性や凹凸追従性に優れ、積層後のオーバーハング部分のウエハのサポートが可能な半導体用接着部材、それを用いたダイシング・ダイボンディング一体型接着部材、半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 接着剤層と基材層を備える接着部材であって、前記接着剤層が、(A)架橋性官能基を有し、重量平均分子量が10万〜100万でありガラス転移温度が−50℃〜50℃である高分子量成分と、(B)重量平均分子量500以上の多官能エポキシ樹脂と、(C)フェノール樹脂と、を含む熱硬化性樹脂、及び、(D)無機微粒子を含むことを特徴とし、且つ前記接着剤層の厚みが2〜7μmであることを特徴とする半導体用接着部材とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体用接着部材、それを用いたダイシング・ダイボンディング一体型接着部材及び半導体装置の製造方法に関する。
近年、半導体素子としては、ウエハの薄膜化、多段化が進んでいる。
従来の接着部材としては液状接着剤あるいはフィルム状接着剤が使用されるのが一般的であるが、近年の半導体素子の小型化・高性能化に伴い、使用される基板にも小型化・細密化が要求されるようになってきており近年、微細加工が容易であるフィルム状接着剤としての接着フィルムが多く使われている。
この接着フィルムは、個片貼付け方式あるいはウエハ裏面貼付け方式において使用されている。前者の個片貼付け方式の接着フィルムを用いて半導体装置を製造する場合、リール状の接着フィルムをカッティングあるいはパンチングによって個片に切り出した後、その個片を基板に接着し、上記接着フィルム付き基板にダイシング工程によって個片化された半導体素子を接合して半導体素子付き基板を作製し、その後必要に応じてワイヤボンド工程、封止工程等を経ることによって半導体装置が得られることとなる。しかし、上記個片貼付け方式の接着フィルムを用いるためには、接着フィルムを切り出して基板に接着する専用の組立装置が必要であることから、銀ペースト等の液状接着剤を使用する方法に比べて製造コストが高くなるという問題があった。
一方、後者のウエハ裏面貼付け方式の接着フィルムを用いて半導体装置を製造する場合、まず半導体ウエハの裏面に接着フィルムを貼付けさらに接着フィルムの他方の面に半導体ウエハを固定するための粘着フィルムを貼り合わせ、その後、上記ウエハからダイシングによって半導体素子を個片化し、個片化した接着フィルム付き半導体素子を粘着フィルムより剥離しそれを基板に接合し、その後の加熱、硬化、ワイヤボンド等の工程を経ることにより半導体装置が得られることとなる。このウエハ裏面貼付け方式の接着フィルムは、接着フィルム付き半導体素子を基板に接合するため、接着フィルムを個片化する装置を必要とせず、従来の銀ペースト用の組立装置をそのままあるいは熱盤を付加する等の装置の一部を改良することにより使用できる。そのため、接着フィルムを用いた組立方法の中で製造コストが比較的安く抑えられる方法として注目されている。
このウエハ裏面貼付け方式の接着フィルムと共に用いられる粘着フィルムは、感圧型と紫外線硬化型に大別される。前者の感圧型粘着フィルムは通常、ポリ塩化ビニル系やポリオレフィン系のベースフィルムに粘着剤を塗布したものである。この粘着フィルムは、ダイシング工程における切断時にはダイシングソウの回転、あるいはレーザーの照射によって各素子が飛散しないような十分な粘着力が求められ、半導体用基板に接合する時には半導体素子を傷つけることなくベースフィルムより剥離できる程度の低い粘着力が求められる。ところが、上記のような、相反する2つの性能を充分併せ持つ感圧型粘着フィルムがなかったことより、半導体素子のサイズや加工条件毎に粘着フィルムを切替える作業が行われていた。
また素子のサイズや加工条件によって粘着力の制御が必要になることから粘着フィルムの在庫管理が複雑化していた。さらに、近年、特にCPUやメモリの大容量化が進んだ結果、半導体素子が大型化する傾向にあり、またICカードあるいはメモリーカード等の製品にあっては使用されるメモリの薄型化が進んでいる。これらの半導体素子の大型化や薄型化に伴い、接着フィルムを剥離する際に素子が割れてしまう等の問題が生じていた。
一方、後者の紫外線硬化型粘着フィルムはダイシング時には高粘着力を有するものの、接着フィルムを粘着フィルムより剥離する前に紫外線を照射することにより低粘着力になる。そのため、上記感圧型粘着フィルムが有する課題が改善されることより、広く採用されるに至っている。
しかし、接着フィルムを用いた上記のウエハ裏面貼付け方式においては、半導体ウエハのダイシングを行うまでに、接着フィルムを半導体ウエハに貼付する工程と粘着フィルムとしてのダイシングテープを接着フィルムに貼付する工程との2つの貼付工程が必要である。そこで、このプロセスを簡略化するために、接着フィルムとダイシングテープとを貼り合わせ、一枚で両方の機能を併せ持つダイシング・ダイボンディング一体型接着フィルム(ダイボンドダイシングシート)が開発されている(例えば、特許文献1参照)。このようなダイシング・ダイボンディング一体型接着フィルムは、例えば、基材層/接着剤層/粘着剤層の三層構造を有している。
また、このようなダイシング・ダイボンディング一体型接着フィルムを、半導体素子を構成するウエハの形状にあらかじめ加工しておく方法(いわゆるプリカット加工)が知られている(例えば特許文献2参照)。かかるプリカット加工は、使用されるウエハの形状に合わせて樹脂層(接着剤層及び粘着剤層)を打ち抜き、ウエハを貼り付ける部分以外の樹脂層を剥離しておく方法である。
プリカット加工が施されたダイシング・ダイボンディング一体型接着フィルムの構造を以下、説明する。基材層上に接着剤層が積層され、その上にさらに粘着剤層が、基材層側が粘着性を有する面となるようにして積層されている。なお、粘着剤層は接着剤層を覆い、且つ、接着剤層の周囲で基材層に接するように積層されており、これにより、半導体ウエハのダイシングを行う際に、半導体ウエハの外周部のウエハリングに粘着剤層を貼り付けてダイシング・ダイボンディング一体型接着フィルムを固定することができるようになっている。
かかるプリカット加工を施す場合、上記のダイシング・ダイボンディング一体型接着フィルムは一般的に、接着剤層をウエハ形状に合わせてプリカット加工し、それと粘着剤層となるダイシングテープとを貼り合わせた後、このダイシングテープに対してウエハリング形状に合わせたプリカット加工を施すか、又は、あらかじめウエハリング形状にプリカット加工したダイシングテープを、プリカット加工した接着剤層と貼り合わせることによって作製される。
特開平7−45557号公報 実公平6−18383号公報
半導体用接着部材は、従来、接着剤層を半導体用ウエハに貼り合せた後、ダイシングにより半導体素子を個片化し、接着剤層付き半導体素子を基板上に積層し、接着剤層を完全に硬化させ、ワイヤをボンディングした後、封止材でモールドする。図1に示すように、近年の半導体素子の多段化による高容量化に伴い、基板の上に階段状に半導体素子を積層する構造が一般的になってきている。
しかしながら、半導体素子の薄膜化、接着剤層の薄膜化により、図2に示すような積層構造におけるオーバーハング部分が、封止材をモールドする際の圧力等により、破損し、信頼性の低下が懸念されている。
本発明は上記従来技術の有する課題を鑑みてなされたものであり、硬化後の貯蔵弾性率が高く且つ2〜7μmの薄膜にても供給可能な半導体用接着部材を提供することを目的とする。
すなわち本発明は以下の通りである。
(1)接着剤層と基材層を備える接着部材であって、上記接着剤層が、(A)架橋性官能基を有し、重量平均分子量が10万〜100万でありガラス転移温度が−50℃〜50℃である高分子量成分と、(B)重量平均分子量500以上の多官能エポキシ樹脂と、(C)フェノール樹脂と、を含む熱硬化性樹脂、及び、(D)無機微粒子を含む接着剤組成物からなり、
上記熱硬化性樹脂として、上記(A)高分子量成分、上記(B)多官能エポキシ樹脂、及び、上記(C)フェノール樹脂を質量比で、(A):(B):(C)=25〜60:5〜35:25〜60の割合で含み、
上記無機微粒子の配合割合が、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して50〜150質量部であり、平均一次粒径が1μm以下である1種類の以上無機微粒子を含み、
且つ前記接着剤層の厚みが2〜7μmであることを特徴とする半導体用接着部材。
(2)上記フェノール樹脂のガラス転移温度が上記接着剤層の硬化温度に対して低い樹脂であることを特徴とする上記(1)に記載の半導体用接着部材。
(3)上記接着剤層の硬化前の80℃における溶融粘度が6000Pa・s以下である、上記(1)又は(2)に記載の半導体用接着部材。
(4)上記接着剤層の硬化後の貯蔵弾性率が170℃〜300℃の温度領域にて80MPa以上である上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の半導体用接着部材。
(5)上記(1)〜(4)のうちいずれか一つに記載の半導体用接着部材の接着剤層面に、高エネルギー線を照射することで粘着力が低下する粘着剤層を有し、
上記基材層がポリオレフィン系基材の積層からなる剥離基材であるダイシング・ダイボンディング一体型接着部材。
(6)上記(5)に記載のダイシング・ダイボンディング一体型接着部材の上記剥離基材を剥離し、上記接着剤層側の面から半導体ウエハに貼り付けて接着剤層及び粘着剤層付き半導体ウエハを得る貼り付け工程と、
上記接着剤層及び粘着剤層付き半導体ウエハを、上記接着剤層と上記粘着剤層との界面までダイシングし、上記半導体ウエハを所定の大きさの半導体素子に切断するダイシング工程と、
上記粘着剤層に高エネルギー線を照射して上記粘着剤層の上記接着剤層に対する粘着力を低下させた後、上記粘着剤層から上記半導体素子を上記接着剤層とともにピックアップし、接着剤層付き半導体素子を得るピックアップ工程と、
上記接着剤層付き半導体素子における上記半導体素子を、上記接着剤層を介して被着体に接着する接着工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
本発明によれば、ワイヤボンディング性や凹凸追従性に優れ、積層後のオーバーハング部分のウエハのサポートが可能な半導体用接着部材、これを用いて得られるダイシング・ダイボンディング一体型接着部材及びこれを用いる半導体装置の製造方法を提供することができる。
半導体素子の階段状高積層構造を示す図である。 半導体素子が階段状高積層で、かつオーバーハング部を有する積層構造を示す図である。
本発明の半導体用接着部材は、接着剤層と基材層を備え、上記接着剤層が、(A)架橋性官能基を有し、重量平均分子量が10万〜100万でありガラス転移温度が−50℃〜50℃である高分子量成分と、(B)重量平均分子量500以上の多官能エポキシ樹脂と、(C)フェノール樹脂と、を含む熱硬化性樹脂、及び、(D)無機微粒子を含む接着剤組成物からなり、
上記熱硬化性樹脂として、上記(A)高分子量成分、上記(B)多官能エポキシ樹脂、及び、上記(C)フェノール樹脂を質量比で、(A):(B):(C)=25〜60:5〜35:25〜60の割合で含み、
上記無機微粒子の配合割合が、上記熱硬化性樹脂100質量部に対して50〜150質量部であり、平均一次粒径が1μm以下である1種類の以上無機微粒子を含み、
且つ前記接着剤層の厚みが2〜7μmであることを特徴とする。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
先ず、本発明の半導体用接着部材の接着剤組成物について説明する。
本発明の半導体用接着剤組成物は、熱硬化性樹脂及び無機微粒子を含有する接着剤組成物であって、熱硬化性樹脂として、(A)架橋性官能基を有し、重量平均分子量が10万〜100万でありガラス転移温度が−50℃〜50℃である高分子量成分と、(B)重量平均分子量500以上の多官能エポキシ樹脂と、(C)フェノール樹脂と、を質量比で、(A):(B):(C)=25〜60:5〜35:25〜60の割合で含むことを特徴とする。
上記(A)架橋性官能基を有し、重量平均分子量が10万〜100万でありガラス転移温度が−50℃〜50℃である高分子量成分としては、架橋性官能基としてエポキシ基、アルコール性又はフェノール性水酸基、カルボキシル基を有する、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。ただし、重量平均分子量が10万〜100万でありガラス転移温度が−50℃〜50℃であればこれらに限定されるものではない。
本発明で用いる(A)高分子量成分としては、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能性モノマーを含有するモノマーを重合して得た、重量平均分子量が10万〜100万であるエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体等が好ましい。更に、エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エポキシ基含有アクリルゴム等を使用することができ、エポキシ基含有アクリルゴムがより好ましい。
エポキシ基含有アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体等からなるゴムである。
(A)高分子量成分のガラス転移温度Tgは−50℃〜50℃の範囲内であることが必要である。(A)高分子量成分のTgが50℃を超えると、半導体用接着部材の接着剤層の柔軟性が低くなりすぎ、ウエハにラミネートする際の充分な密着性が得られにくくなる傾向にある。一方、(A)高分子量成分のTgが−50℃未満であると、半導体用接着部材の接着剤層の柔軟性が高くなりすぎるため、半導体ウエハダイシング時に接着部材の接着剤層が切断し難くなり、バリの発生によりダイシング性が悪化する場合がある。
また、(A)高分子量成分の重量平均分子量は、10万〜100万の範囲内であることが必要であるが、好ましくは20万以上80万以下である。(A)高分子量成分の重量平均分子量が10万未満であると、接着剤組成物のフィルム成形性が悪化したり、接着部材の接着剤層の接着力や耐熱性の低下を引き起こしたりする場合があり、重量平均分子量が100万を超えると硬化前の接着部材の接着剤層の流動性が低下する場合がある。
なお、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を意味する。
また、本発明で用いる(A)高分子量成分は、半導体ウエハダイシング時に接着部材の接着剤層の切断が容易になり樹脂くずが発生し難くなる点、硬化前の接着部材の接着剤層の流動性が高くなる点、並びに、接着力及び耐熱性が高くなる点から、Tgが−20℃〜40℃であり且つ重量平均分子量が10万〜100万であるものが好ましく、Tgが−10℃〜40℃であり且つ重量平均分子量が20万〜80万であるものがより好ましい。
本発明における(A)高分子量成分として、入手可能なものは、下記のものが挙げられる。エポキシ基含有アクリル共重合体:HTR−860P−3CSP(ナガセケムテックス(株)製、重量平均分子量:800000、Tg:15℃)、HTR−860P−301CHN(ナガセケムテックス(株)製、重量平均分子量:300000、Tg:10℃)等。
(B)重量平均分子量500以上の多官能エポキシ樹脂としては、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂等を使用することができる。
多官能で且つ重量平均分子量500以上であれば、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することができる。
本発明における半導体用接着剤組成物は、多官能エポキシ樹脂(B)として、下記一般式(1)で表わされ、重量平均分子量800以上であるエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
式(1)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、又は、アリール基を示し、lは1〜3の整数を示し、mは2〜4の整数を示す。
本発明における半導体用接着剤組成物は、重量平均分子量500以上の多官能エポキシ樹脂を必須成分として含有するが、硬化物の耐熱性を更に向上させる観点から、上記一般式(1)で表され、重量平均分子量が800〜3000である多官能エポキシ樹脂が含有されることが特に好ましい。
また、上記一般式(1)で表され、重量平均分子量800以上である多官能エポキシ樹脂は、85℃、85%RHの恒温恒湿槽に48時間投入後の吸水率が2質量%以下で、熱重量分析計(TGA)で測定した350℃での加熱質量減少率(昇温速度:5℃/min,雰囲気:窒素)が5質量%未満のものが好ましく使用できる。それにより、PKG(パッケージ)の信頼性を確保することすることができる。
また、本発明における半導体用接着剤組成物においては、Bステージ状態での接着剤層の可撓性を高める観点から、(B)重量平均分子量500以上の多官能エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂として、重量平均分子量500未満のエポキシ樹脂が更に含有されることが好ましく、重量平均分子量400以下のエポキシ樹脂が更に含有されることがより好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型又はビスフェノールF型エポキシ樹脂といった二官能エポキシ樹脂等が好適に用いられる。
本発明における(B)多官能エポキシ樹脂として、入手可能なものは、下記のものが挙げられる。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:YDCN−710−10(東都化成(株)製)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂:YDF−8170C(東都化成(株)製)等。
本発明における半導体用接着剤組成物は、熱硬化性成分として(C)フェノール樹脂を含有するが、フェノール樹脂(C)として、下記一般式(2)で表わされるフェノール樹脂を含有することが好ましい。
(2)
上記式(2)中、繰り返し単位の数を示すnは1〜10の範囲の整数を示す。
また、上記一般式(2)で表されるフェノール樹脂は、85℃、85%RHの恒温恒湿槽に48時間投入後の吸水率が2質量%以下で、熱重量分析計(TGA)で測定した350℃での加熱質量減少率(昇温速度:5℃/min,雰囲気:窒素)が5質量%未満のものが好ましく使用できる。上記フェノール樹脂を用いると、重量減少を抑えることでPKG(パッケージ)の信頼性、分解物のアウトガスなどによる汚染を防ぐことができる。
また、本発明のフェノール樹脂としては下記式(3)で表されるフェノール樹脂を混合してもかまわない。
(3)
上記式(3)中、繰り返し単位の数を示すnは1〜10の整数を示す。
前記フェノール樹脂は、ガラス転移温度が接着剤層の硬化温度に対して低い樹脂であることが好ましい。具体的には、接着剤層の硬化温度は170℃であることから、フェノール樹脂のガラス転移温度はそれより低いことが好ましい。上記一般式(2)で表されるフェノール樹脂、上記一般式(3)で表されるフェノール樹脂は、ガラス転移温度が本発明における接着剤層の硬化温度に対して低い樹脂である。
(C)フェノール樹脂のガラス転移温度を接着剤層の硬化温度以下とすることにより、(B)多官能エポキシ樹脂の硬化収縮を抑制でき、PKG(パッケージ)クラックを防ぐことが可能である。
本発明における(C)フェノール樹脂として、入手可能なものは、下記のものが挙げられる。フェノール樹脂:TD2131(DIC(株)製)等。
本発明における半導体用接着剤組成物の(B)多官能エポキシ樹脂と(C)フェノール樹脂との配合割合は、エポキシ当量と水酸基当量との当量比が0.70/0.30〜0.30/0.70となるように設定するのが好ましく、0.65/0.35〜0.35/0.65となるように設定するのがより好ましく、0.60/0.40〜0.40/0.60となるように設定するのがさらに好ましく、0.60/0.40〜0.50/0.50となるように設定するのが特に好ましい。エポキシ当量と水酸基当量との当量比が上記範囲外であると、接着剤層の硬化性が劣る、又は、硬化前の接着剤層の粘度が高くなり流動性に劣る傾向にある。
本発明における半導体用接着剤組成物には無機微粒子が含有されており、これにより、Bステージ状態における接着部材の接着剤層のダイシング性の向上、接着部材の接着剤層の取扱い性の向上、熱伝導性の向上、溶融粘度の調整、チクソトロピック性の付与、接着力の向上を図ることが可能となっている。
本発明における半導体用接着剤組成物は、上記無機微粒子として、平均一次粒径が1μm以下の無機微粒子を含むことが好ましい。これよりも大きいとフィルム成形性が低下する可能性がある。
本発明で用いる無機微粒子としては、特に制限は無く、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、アンチモン酸化物等が使用できる。また、これらは単体あるいは2種類以上を混合して使用することもできる。
また、上記の無機微粒子のうち、熱伝導性向上の観点からは、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等を用いることが好ましい。また、溶融粘度の調整やチクソトロピック性の付与の点からは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカ等を用いることが好ましい。また、ダイシング性の向上の観点からは、アルミナ、シリカを用いることが好ましい。
無機微粒子の含有割合は、接着部材の接着剤層のダイシング性が向上する点、接着部材の接着剤層の硬化後の貯蔵弾性率が170〜300℃で80MPa以上になりワイヤボンディング性が良好となる点から、熱硬化性樹脂100質量部に対して50〜150質量部であることが必要であり、さらには80〜120質量部であることが好ましい。
詳しくは、無機微粒子の含有量が大きすぎると、フィルム成形性の悪化、硬化前の接着部材の接着剤層の流動性低下、接着剤層の貯蔵弾性率の過剰な上昇、反りが大きくなる等のため、無機微粒子の含有割合は、熱硬化性樹脂100質量部に対して150質量部以下であることが好ましい。一方、無機微粒子の含有量が小さいと、硬化後の貯蔵弾性率が低くなり、サポート効果が低減するだけでなく半導体ウエハダイシング時に樹脂バリが発生しやすくなり、また接着力が低下する傾向にあるため、無機微粒子の含有割合は、熱硬化性樹脂100質量部に対して50質量部以上であることが好ましい。
本発明における半導体用接着剤組成物は、上記無機微粒子として、平均粒径が異なる2種以上の無機微粒子を含んでもよい。この場合、単一の無機微粒子を使用した場合に比べて、成膜前の原料混合物の粘度上昇若しくは低下を防止することが容易となり、良好な成膜性が得られやすくなるとともに、接着部材の接着剤層の硬化後には優れた接着強度を得られやすくなる。
また、本発明における半導体用接着剤組成物は、上記の効果をより確実に得る観点から、平均一次粒径が0.01〜1.0μmの範囲内にある第1の無機微粒子、及び、平均一次粒径が0.005〜0.03μmの範囲内にある第2の無機微粒子を含むことが好ましい。さらには、ビーズミル処理によりシクロヘキサノンへ第1の無機微粒子を分散させた分散液をアセトン中へ滴下し、これを用いて測定した第1の無機微粒子の分散液中の平均一次粒径が0.01〜1.0μmであることが好ましい。また、同様にして測定した第2の無機微粒子の分散液の平均一次粒径が0.05〜0.3μmであることが好ましい。
更に、本発明における半導体用接着剤組成物は、上記の効果をより確実に得る観点から、平均一次粒径が0.01〜1.0μmの範囲内にあり且つ99%以上の粒子が前記の範囲内に分布する第1の無機微粒子、及び、平均一次粒径が0.005〜0.03μmの範囲内にあり且つ99%以上の粒子が粒径0.005〜0.1μmの範囲内に分布する第2の無機微粒子を含むことが好ましい。
本発明の半導体用接着剤組成物は、熱硬化性樹脂及び無機微粒子を上記特定の割合で含有し、且つ、熱硬化性樹脂としての上記(A)〜(C)成分を上記特定の割合で含有することにより、低溶融粘度でありながら優れた接着強度、硬化後の高い貯蔵弾性率を発現することができる。このような本発明における半導体用接着剤組成物によれば、硬化前は良好な流動性により配線基板等の支持部材や半導体チップの凹凸を十分埋め込むことができ、硬化後は有機基板等の支持部材やシリコンチップ等に対して高い接着強度を発揮し得ることから、実装基板の接続信頼性の向上を図ることが可能となる。
また、本発明における半導体用接着剤組成物は、上記(A)〜(C)以外に、熱による重合反応によって高分子量化する熱重合性化合物を含有してもよい。
上記熱重合性化合物としては、例えば、酸多官能(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられ、日本化薬(株)製のKAYARAD DPHA等を用いることができる。
本発明における半導体用接着剤組成物における上記熱重合性化合物の含有割合は、熱硬化性樹脂100質量部に対して3〜10質量部であることが好ましい。これにより、溶融粘度を下げることができ、なおかつ低温での硬化が可能となる。
含有割合が高すぎると硬化前の接着剤層のべたつきが高くなる傾向がある。
上記接着剤層が熱重合性成分を含む場合、接着剤層には更に硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤としては、特に制限はなく、例えば、イミダゾール類等が挙げられる。具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。また、これら硬化促進剤はマイクロカプセル型潜在性硬化剤を用いても良い。これら潜在性硬化剤は例えば旭化成エポキシ(株)製、商品名:ノバキュアHX−3941等があげられる。
この硬化促進剤の添加量は、上記熱重合性成分の総量100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、1質量部以下が最も好ましい。この添加量多いと保存安定性が低下する傾向がある。
また、接着剤層には、異種材料間の界面結合を良くするために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられ、中でも効果が高い点でシラン系カップリング剤が好ましい。
上記カップリング剤の使用量は、その効果や耐熱性及びコストの面から、接着剤層の接着剤組成物全量を基準として0.01〜10質量%とするのが好ましい。
更に、接着剤層には、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性を向上させるために、イオン捕捉剤を添加することもできる。このようなイオン捕捉剤としては特に制限はなく、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤等の、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、ジルコニウム系、アンチモンビスマス系マグネシウムアルミニウム化合物等の無機イオン吸着剤等が挙げられる。
上記イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果や耐熱性、コスト等の点から、接着剤層の接着剤組成物全量を基準として0.1〜10質量%が好ましい。
また、本発明の半導体用接着部材の接着剤層は、硬化前の80℃における溶融粘度は6000Pa・s以下であることが好ましく、5000Pa・s以下であることがより好ましい。硬化前の80℃における溶融粘度が6000Pa・sを超えると、ウエハを積層時に表面凹凸を十分に埋め込むことができない可能性がある。
硬化前の80℃における溶融粘度は、下記のように測定する。
上記硬化の確認で用いたBステージ状態のサンプルフィルムを、サイズ:φ8mm×厚み200μmに裁断して測定用試料とし、ズリ粘度計温度範囲:35〜200℃、昇温速度:5℃/minの条件でせん断方向への荷重をかけて測定したときの80℃の値を測定する。
硬化前の80℃における溶融粘度を6000Pa・s以下とするには無機微粒子の含有量を適宜調整したりすればよい。
ダイシング性が優れる点から、接着剤層の硬化前(Bステージ状態)の35℃における貯蔵弾性率は200〜6000MPaであることが好ましい。更に、この貯蔵弾性率は、ダイシング性に優れ、且つ半導体ウエハとの密着性が優れる点で、1000〜4000MPaであることがより好ましい。
また、良好なワイヤボンディング性を得る観点から、接着剤層の硬化後(Cステージ状態)の170℃〜300℃における貯蔵弾性率は、80MPa以上が好ましく、さらには80〜1000MPaであることが好ましい。170℃〜300℃における貯蔵弾性率が80MPa未満であると、ワイヤボンディング性やオーバーハング部分の強度サポート性が低下する可能性がある。
接着剤層の貯蔵弾性率は、下記のように測定する。
4mm×30mmのサイズに裁断したものを測定用試料とし、これを動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、「DVE−V4」)にて、引張荷重をかけて、周波数10Hz、昇温速度3℃/分の条件で−150℃から300℃まで測定したときの温度35℃の値を測定する。
また、硬化後の170℃〜300℃における貯蔵弾性率は、無機微粒子の含有量を増やす、接着剤層中の多官能エポキシ樹脂の含有量を増やすことで大きくなる傾向がある。硬化後の170℃〜300℃における貯蔵弾性率を80MPa以上とするには、無機微粒子や多官能エポキシ樹脂の含有量を適宜調整すればよい。具体的には、無機微粒子の含有量を多くする、多官能エポキシ樹脂の含有量を多くすると、貯蔵弾性率は上昇する。
接着剤層の硬化後の42アロイに対する接着強度が、1MPa以上であることがより好ましい。この接着強度は、以下の手順で測定された値を意味する。
先ず、接着剤層を400μm厚の半導体ウエハに60℃で貼り付けし、5.0mm角にダイシングする。個片化したサンプルを42アロイのリードフレームに、温度120℃、荷重250gfの条件で5秒間圧着する。次に、サンプルを圧着した基板を、110℃で1時間、及び170℃で1時間のステップキュアにより硬化させ、「Series400(Dage社製)」を用いて250℃のダイシェア強度を測定し、これを接着強度とする。
接着剤層の硬化後の接着強度を1MPa以上とするには、接着剤層の組成を上述のようにすればよい。
本発明の接着部材の基材層としては、特に制限はなく、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、メチルペンテンフィルム等が挙げられる。
本発明の半導体用接着部材は、例えば、以下の方法により作製することができる。先ず、上述の本発明における半導体用接着剤組成物を構成する各成分を有機溶媒中で混合、混練してワニスを調製し、このワニスの層を基材層上に形成させ、加熱により乾燥することにより半導体用接着部材(Bステージ)を得ることができる。また、ワニス層の乾燥後に基材層を除去して、接着剤層のみから構成される半導体用接着部材としてもよい。
上記の混合、混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。上記の加熱乾燥の条件は、使用した溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はないが、通常60℃〜200℃で、0.1〜90分間加熱して行う。
上記ワニスの調製に用いる有機溶媒は、材料を均一に溶解、混練又は分散できるものであれば制限はなく、従来公知のものを使用することができる。このような溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン、トルエン、キシレン等が挙げられる。乾燥速度が速く、価格が安い点でメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等を使用することが好ましい。
接着剤層の厚みは10μm以下であることが好ましい。10μm以上であれば多段に席そうした際に、PKG(パッケージ)全体の厚みが厚くなってしまう。2〜7μmとすることが重要である。
本発明における半導体用接着剤組成物及び半導体用接着部材は、それ自体で用いても構わないが、他の一実施態様として、本発明における半導体用接着剤組成物からなる接着剤層を従来公知のダイシングテープ上に設けてなるダイシング・ダイボンディング一体型接着部材として用いることもできる。この場合、半導体ウエハへのラミネート工程が一回で済むことから、作業を更に効率化することが可能となる。
本発明で使用するダイシングテープとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。また、これらのプラスチックフィルムには、必要に応じてプライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理等の表面処理を行ってもよい。
ダイシングテープは粘着性を有することが好ましく、上述のプラスチックフィルムに粘着性を付与したものを用いてもよいし、上述のプラスチックフィルムの片面に粘着剤層を設けてもよい。この粘着剤層は、液状成分の比率、高分子量成分のTgを調整することによって得られる適度なタック強度を有する樹脂組成物を塗布乾燥することで形成可能である。
ダイシングテープは、高エネルギー線を照射することで粘着力が低下する粘着剤層であることが好ましい。そのような粘着剤層は、樹脂組成物から形成することで得られる。なお、高エネルギー線とは、紫外線、電子線、赤外線等の被照射体の電子軌道に影響を与え、ラジカル、カチオン、アニオン等の重合反応の引き金となりうるエネルギー線を示すが、粘着材層の樹脂組成物の重合反応を誘発させるエネルギー線であればこれに限定されない。
本発明の半導体用接着部材を半導体装置の製造に用いる場合、接着剤層は、ダイシング時には半導体素子が飛散しない粘着力を有し、その後ピックアップ時にはダイシングテープから容易に剥離できることが好ましい。例えば、接着剤層の粘着性が高すぎるとピックアップが困難になることがある。そのため、適宜、接着剤層のタック強度を調節することが好ましい。その方法としては、接着剤層の室温におけるフローを上昇させると粘着強度及びタック強度も上昇する傾向があり、一方、フローを低下させれば粘着強度及びタック強度も低下する傾向があることを利用すればよい。
ダイシングテープ上に接着剤層を設ける方法としては、印刷の他、予め作成した接着剤層をダイシングテープ上にプレス、ホットロールラミネートする方法等が挙げられるが、連続的に製造でき、効率が良い点でホットロールラミネートによって接着剤層を設ける方法が好ましい。
ダイシングテープの膜厚は、特に制限はなく、接着剤層の膜厚や接着シートの用途によって適宜、当業者の知識に基づいて定められるものであるが、経済性がよく、フィルムの取扱い性が良い点で60〜150μmが好ましく、70〜130μmがより好ましい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(B)多官能エポキシ樹脂としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:YDCN−700−10、東都化成(株)製、エポキシ当量:220)10質量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名:YDF−8170C、東都化成(株)製)29質量部、(C)成分としてフェノール樹脂(商品名:TD2131、DIC(株)製)150質量部、(D)無機微粒子としてシリカフィラーのシクロヘキサノン分散液(商品名:SC1030−HLG、(株)アドマテックス製、Nv50%)169質量部を混合した。これにカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:NUC A−189、日本ユニカー(株)製)0.25質量部、及び、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(商品名:NCU A−1160、日本ユニカー(株)製)1質量部を加えた。
このワニスに、(A)高分子量成分としてエポキシ基含有アクリル共重合体(商品名:HTR−860P−3CSP、ナガセケムテックス(株)製、Nv=12%、重量平均分子量:800000、Tg:15℃)235質量部及び、硬化促進剤として1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(商品名:キュアゾール2PZ−CN、四国化成(株)製)0.1質量部を加えて撹拌混合し、接着剤層形成用ワニスを調整した。このワニスを基材層としての離型基材PET(帝人デュポンフィルム(株)製、ピューレックスA31)に乾燥後フィルム厚みが5μmになるように塗布し、実施例1の半導体用接着部材を得た。
(実施例2)
(D)無機微粒子としてシリカフィラーのシクロヘキサノン分散液(商品名:SX008−HEA、(株)アドマテックス製、Nv23%)を360質量部使用した以外は実施例1と同様に乾燥後のフィルム厚みが5μmとなるように作製し、実施例2の半導体用接着部材を得た。
(実施例3)
(A)高分子量成分としてのエポキシ基含有アクリル共重合体として(商品名:HTR−860P−3CSP、ナガセケムテックス(株)製、Nv=12%)122質量部、(商品名:HTR−860P−301CHN、ナガセケムテックス(株)製、Nv=23%)64質量部使用した以外は実施例1と同様に乾燥後のフィルム厚みが5μmとなるように作製し、実施例3の半導体用接着部材を得た。
(比較例1)
(B)多官能エポキシ樹脂としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:YDCN−700−10、東都化成(株)製、エポキシ当量:220)170質量部、(C)成分としてフェノール樹脂(商品名:XLC−LL、三井化学(株)製)150質量部に、(D)無機微粒子としてのシリカフィラーのシクロヘキサノン分散液(商品名:R972、(株)日本アエロジル製)100質量部シクロヘキサノン640質量部を加えて撹拌混合した。この混合溶液をワニスAとした。
上記記載のワニスA90質量部に、(B)多官能エポキシ樹脂としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:YDCN−700−10、東都化成(株)製、エポキシ当量:220)33質量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名:YDF−8170C、東都化成(株)製)90質量部、(C)成分としてフェノール樹脂(商品名:XLC−LL、三井化学(株)製)100質量部に、(D)無機微粒子としてシリカフィラーのシクロヘキサノン分散液(商品名:SC2050、(株)アドマテックス製、Nv=60%)190質量部シクロヘキサノン100質量部を加えて撹拌混合した。
次に、このワニスに、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:NUC A−189、日本ユニカー(株)製)0.2質量部、及び、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(商品名:NCU A−1160、日本ユニカー(株)製)5質量部を加えた。さらにこのワニスに、(A)高分子量成分としてエポキシ基含有アクリル共重合体(商品名:HTR−860P−3、ナガセケムテックス(株)製、Nv=12%)410質量部及び、硬化促進剤として1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(商品名:キュアゾール2PZ−CN、四国化成(株)製)0.5質量部を加えて撹拌混合し、接着剤層形成用ワニスを調整した。これ以降の工程は実施例1と同様にして、半導体用接着部材を得た。
(比較例2)
(D)無機微粒子としてシリカフィラーのシクロヘキサノン分散液(商品名:SC2050−HLG、(株)アドマテックス製、Nv=60%)、(C)成分としてフェノール樹脂(商品名:XLC−LL、三井化学(株)製)を使用した以外は実施例1と同様に比較例2の半導体用接着部材を作製した。
各種の測定は以下の通り行った。
<ダイシェア強度>
上記条件にてえられたチップを42アロイのリードフレーム上120℃−0.1MPa−5secの条件で圧着し、120℃1時間、170℃1時間の熱処理を加えた。この試験片を250℃の熱板上で20sec保持した後、速度:50μm/秒、高さ:50μmの測定条件でチップと有機基板との熱時接着強度を「Series4000」(製品名、Dage社製)により測定した。
<フィルム成形性>
得られたワニスをPETフィルムに塗工する際にCCDカメラにより0.4mm以上の欠点数を検出した。
<ピール強度>
各種サンプルを25mm×50mmに裁断したサンプルの、T字ピール強度を測定した。また、このサンプルに照度:15〜100mW/cmで照射量200mJとなるように紫外線照射し、照射後のT字ピール強度を測定した。
<貯蔵弾性率>
4mm×30mmのサイズに裁断したものを測定用試料とし、これを動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、「DVE−V4」)にて、引張荷重をかけて、周波数10Hz、昇温速度3℃/分の条件で−150℃から300℃まで測定したときの温度35℃の値を測定した。
<溶融粘度>
サンプルサイズφ8mm×200μmに裁断したものを測定用試料とし、これをズリ粘度計温度範囲:35℃〜200℃、昇温速度:5℃/minの条件で測定したときの80℃の値を測定した。
本発明によれば、ワイヤボンディング性や凹凸追従性に優れ、積層後のオーバーハング部分のウエハのサポートが可能な半導体用接着部材、これを用いて得られるダイシング・ダイボンディング一体型接着部材及びこれを用いる半導体装置の製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 接着剤層と基材層を備える接着部材であって、前記接着剤層が、(A)架橋性官能基を有し、重量平均分子量が10万〜100万でありガラス転移温度が−50℃〜50℃である高分子量成分と、(B)重量平均分子量500以上の多官能エポキシ樹脂と、(C)フェノール樹脂と、を含む熱硬化性樹脂、及び、(D)無機微粒子を含む接着剤組成物からなり、
    前記熱硬化性樹脂として、前記(A)高分子量成分、前記(B)多官能エポキシ樹脂、及び、前記(C)フェノール樹脂を質量比で、(A):(B):(C)=25〜60:5〜35:25〜60の割合で含み、
    前記無機微粒子の配合割合が、前記熱硬化性樹脂100質量部に対して50〜150質量部であり、平均一次粒径が1μm以下である1種類の以上無機微粒子を含み、
    且つ前記接着剤層の厚みが2〜7μmであることを特徴とする半導体用接着部材。
  2. 前記フェノール樹脂のガラス転移温度が前記接着剤層の硬化温度に対して低い樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の半導体用接着部材。
  3. 前記接着剤層の硬化前の80℃における溶融粘度が6000Pa・s以下である、請求項1又は2に記載の半導体用接着部材。
  4. 前記接着剤層の硬化後の貯蔵弾性率が170℃〜300℃の温度領域にて80MPa以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体用接着部材。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の半導体用接着部材の接着剤層面に、高エネルギー線を照射することで粘着力が低下する粘着剤層を有し、
    前記基材層がポリオレフィン系基材の積層からなる剥離基材であるダイシング・ダイボンディング一体型接着部材。
  6. 請求項5に記載のダイシング・ダイボンディング一体型接着部材の前記剥離基材を剥離し、前記接着剤層側の面から半導体ウエハに貼り付けて接着剤層及び粘着剤層付き半導体ウエハを得る貼り付け工程と、
    前記接着剤層及び粘着剤層付き半導体ウエハを、前記接着剤層と前記粘着剤層との界面までダイシングし、前記半導体ウエハを所定の大きさの半導体素子に切断するダイシング工程と、
    前記粘着剤層に高エネルギー線を照射して前記粘着剤層の前記接着剤層に対する粘着力を低下させた後、前記粘着剤層から前記半導体素子を前記接着剤層とともにピックアップし、接着剤層付き半導体素子を得るピックアップ工程と、
    前記接着剤層付き半導体素子における前記半導体素子を、前記接着剤層を介して被着体に接着する接着工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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