JP2011032381A - 接着剤組成物、それを用いたダイボンドフィルム、ダイボンドダイシング一体型フィルム、半導体搭載用支持部材及び半導体装置 - Google Patents

接着剤組成物、それを用いたダイボンドフィルム、ダイボンドダイシング一体型フィルム、半導体搭載用支持部材及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ウェハへの密着力に優れ、ダイシング工程で発生する切削屑がウェハ裏面に侵入するのを防ぎ、密着力低下に起因する不具合を防止し半導体装置の信頼性を損なわない接着部材を提供できる接着剤組成物、及びそれを用いたダイボンドフィルム、ダイボンドダイシング一体型フィルム、半導体搭載用支持部材及び半導体装置を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の混合物(A)100質量部に対し、2質量%以下の反応性基含有モノマーを含む、重量平均分子量が10万以上のアクリル共重合体(B)100〜1500質量部、及び、無機フィラー(C)100〜600質量部を含む、接着剤組成物、及びそれを用いたダイボンドフィルム、ダイボンドダイシング一体型フィルム、半導体搭載用支持部材及び半導体装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤組成物、それを用いたダイボンドフィルム、ダイボンドダイシング一体型フィルム、半導体搭載用支持部材及び半導体装置に関する。
近年、電子機器の小型化に伴い、これに搭載する半導体装置は基板への高密度実装が要求されるようになり、小型化・軽量化が進むと共に、CSP(チップサイズ半導体装置)と呼ばれる小型半導体装置の開発が進められ、半導体素子の接着部材としては高信頼性、作業性の観点から、フィルム状接着剤(以下、ダイボンドフィルムという)が用いられるようになっている。
ダイボンドフィルムの使用方法の一つとしてウェハ裏面貼り付け方式が挙げられる。これはまず、半導体ウェハの裏面にダイボンドフィルムを貼り付け、次にこのダイボンドフィルムの他面にダイシングフィルムを貼り付け、その後上記ウェハ側からダイシングによって半導体素子を個片化し、個片化したダイボンドフィルム付き半導体素子をピックアップし、それを支持部材に接合、加熱硬化、ワイヤボンド、樹脂封止等の工程を経ることにより半導体装置が得られる(特許文献1)。
更に近年、半導体装置の高容量化が進むことにより、半導体装置内の各部材の薄型化が要求され、ダイボンドフィルムにおいても厚さ7μm未満の薄膜化が求められるようになっている。しかしながら、ダイボンドフィルムを薄膜化することにより接着成分の絶対量が減り、ウェハへの密着力が低下することが問題となる可能性がある。
国際公開第2005/088700号
薄膜化したダイボンドフィルムを用いる半導体装置作製工程において、ダイボンドフィルムのウェハへの密着力が低下することで、ウェハ表面からのダイボンドフィルムの剥離やダイシング工程で発生する切削屑がウェハ裏面に侵入するといった不具合が生じ、半導体装置の信頼性を損なう可能性がある。本発明は、かかる従来技術における問題点に鑑み、ウェハへの密着力に優れ、ダイシング工程で発生する切削屑がウェハ裏面に侵入するのを防ぎ、密着力低下に起因する不具合を防止し半導体装置の信頼性を損なわない接着部材を提供できる接着剤組成物、及びそれを用いたダイボンドフィルム、ダイボンドダイシング一体型フィルム、半導体搭載用支持部材及び半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討の結果、接着剤組成物に含まれるアクリル共重合体中に含まれる反応性基含有モノマーの量を調整することで、ウェハへの密着力を向上することが出来、密着力低下に起因する不具合を防止できることを見出し本発明を完成するに至った。
本発明は、(1)エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の混合物(A)100質量部に対し、2質量%以下の反応性基含有モノマーを含む、重量平均分子量が10万以上のアクリル共重合体(B)100〜1500質量部、及び、無機フィラー(C)100〜600質量部
を含む、接着剤組成物に関する。
また、本発明は、(2)前記接着剤組成物を厚さ5μmのフィルムに製膜し、該フィルムをドライポリッシュ処理したウェハ面に70℃、速度10mm/秒、20秒間の条件でラミネートした時の、フィルムとウェハ間の25℃、剥離速度50mm/秒における90°剥離強度が90N/m以上である前記(1)記載の接着剤組成物に関する。
また、本発明は、(3)前記アクリル共重合体(B)が、2質量%以下のグリシジル(メタ)アクリレートを含む、重量平均分子量が10万以上のエポキシ基含有アクリル共重合体である前記(1)又は(2)記載の接着剤組成物に関する。
また、本発明は、(4)前記エポキシ樹脂の軟化点が50℃以上である前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の接着剤組成物に関する。
また、本発明は、(5)前記フェノール樹脂の吸水率が2質量%以下である前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の接着剤組成物に関する。
また、本発明は、(6)前記フェノール樹脂の350℃における加熱質量減少率が5質量%未満である前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の接着剤組成物に関する。
また、本発明は、(7)前記アクリル共重合体(B)が、エポキシ樹脂と非相溶である前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の接着剤組成物に関する。
また、本発明は、(8)前記無機フィラー(C)の平均粒径が0.005〜5μmである前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の接着剤組成物に関する。
また、本発明は、(9)前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の接着剤組成物をフィルム状に成形して得られるダイボンドフィルムに関する。
また、本発明は、(10)前記(9)記載のダイボンドフィルムをダイシングシートと一体化してなるダイボンドダイシング一体型フィルムに関する。
また、本発明は、(11)支持部材の半導体素子搭載面に前記(9)記載のダイボンドフィルムを備えた半導体搭載用支持部材に関する。
また、本発明は、(12)半導体素子と支持部材を前記(9)記載のダイボンドフィルムを介して接着することを特徴とする半導体装置に関する。
本発明によれば、ウェハへの密着力に優れ、ダイシング工程で発生する切削屑がウェハ裏面に侵入するのを防ぎ、密着力低下に起因する不具合を防止し半導体装置の信頼性を損なわない接着部材を提供できる接着剤組成物、及びそれを用いたダイボンドフィルム、ダイボンドダイシング一体型フィルム、半導体搭載用支持部材及び半導体装置を提供することができる。
[接着剤組成物]
本発明の接着剤組成物は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の混合物(A)100質量部に対し、2質量%以下の反応性基含有モノマーを含む、重量平均分子量が10万以上のアクリル共重合体(B)100〜1500質量部、及び、無機フィラー(C)100〜600質量部を含むものである。
本発明では、前記アクリル共重合体(B)中に含まれる反応性基含有モノマーの量が2質量%以下であるアクリル共重合体(B)を用いることが重要であり、該アクリル共重合体(B)を含む上記組成の接着剤組成物を使用する接着部材は、ウェハへの密着性に優れ、密着力低下に起因する不具合を防止でき半導体装置の信頼性を確保できるのである。本発明の接着剤組成物は、近年ダイボンドフィルムに求められている厚さ7μm未満の薄膜化フィルムに成形しても、上記効果を奏することができる。
以下に、本発明の接着剤組成物で用いられる各成分について説明する。
エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の混合物(A)
本発明の(A)成分は、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合物である。エポキシ樹脂としては、硬化して接着作用を呈するものであれば特に制限は無く、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂などの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができ、他にも、多官能エポキシ樹脂や複素環含有エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することができる。
耐熱性の観点から、環球式で測定した軟化点が50℃以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えば、油化シェルエポキシ株式会社製、商品名:エピコート1001、1002、1003、1055、1004、1004AF、1007、1009、1003F、1004F、ダウケミカル日本株式会社製、商品名:D.E.R.661、662、663U、664、664U、667、642U、672U、673MF、668、669等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、東都化成株式会社製、商品名:YDF−2004等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:EPPN−201等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ株式会社製、商品名:エピコート180S65、チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名:アラルダイト ECN1273、1280、1299、東都化成株式会社製、商品名:YDCN−701、702、703、704、日本化薬株式会社製、商品名:EOCN−1020、102S、103S、104S、住友化学工業株式会社製、商品名:ESCN−195X、200L、220等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ株式会社製、商品名:Epon 1031S、エピコート 1032H60、157S70、日本化薬株式会社製、商品名:EPPN 501H、502H等の多官能エポキシ樹脂、チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名:アラルダイトPT810等の複素環含有エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
本発明で使用されるフェノール樹脂は、硬化して接着作用を呈するフェノール硬化樹脂となるものであれば特に制限は無く、一般的なフェノール樹脂を用いることができる。本発明では、吸湿後の接着力の観点から、温度85℃、湿度85%の恒温恒湿槽に48時間投入後の吸水率が2質量%以下であるフェノール樹脂が好ましい。
また、低揮発性で、プロセス内で高温に晒されても安定して使用することが出来るという点から、熱重量分析計(TGA)で測定した350℃での加熱質量減少率(昇温速度:5℃/分、雰囲気:窒素)が5質量%未満であるものが好ましい。このようなフェノール樹脂として代表的なものに、三井化学株式会社製、商品名:ミレックスXLC−シリーズ、XLシリーズなどがあり、例えば、フェノール化合物と2価の連結基であるキシリレン化合物を、無触媒又は酸触媒の存在下に反応させて得ることができる。
前記フェノール樹脂の製造に用いられるフェノール化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−n−プロピルフェノール、m−n−プロピルフェノール、p−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、o−n−ブチルフェノール、m−n−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−イソブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p−イソブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−キシレノール、2,4,6−トリメチルフェノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、o−アリルフェノール、p−アリルフェノール、o−ベンジルフェノール、p−ベンジルフェノール、o−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール等が例示される。これらのフェノール化合物は、単独用いてもよく、二種類以上を混合して用いてもよい。特に好ましくは、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等が挙げられる。
前記フェノール樹脂の製造に用いられる2価の連結基であるキシリレン化合物としては、次に示すキシリレンジハライド、キシリレンジグリコール及びその誘導体が用いることができる。すなわち、α,α′−ジクロロ−p−キシレン、α,α′−ジクロロ−m−キシレン、α,α′−ジクロロ−o−キシレン、α,α′−ジブロモ−p−キシレン、α,α′−ジブロモ−m−キシレン、α,α′−ジブロモ−o−キシレン、α,α′−ジヨード−p−キシレン、α,α′−ジヨード−m−キシレン、α,α′−ジヨード−o−キシレン、α,α′−ジヒドロキシ−p−キシレン、α,α′−ジヒドロキシ−m−キシレン、α,α′−ジヒドロキシ−o−キシレン、α,α′−ジメトキシ−p−キシレン、α,α′−ジメトキシ−m−キシレン、α,α′−ジメトキシ−o−キシレン、α,α′−ジエトキシ−p−キシレン、α,α′−ジエトキシ−m−キシレン、α,α′−ジエトキシ−o−キシレン、α,α′−ジ−n−プロポキシ−p−キシレン、α,α′−n−プロポキシ−m−キシレン、α,α′−ジ−n−プロポキシ−o−キシレン、α,α′−ジ−イソプロポキシ−p−キシレン、α,α′−ジイソプロポキシ−m−キシレン、α,α′−ジイソプロポキシ−o−キシレン、α,α′−ジ−n−ブトキシ−p−キシレン、α,α′−ジ−n−ブトキシ−m−キシレン、α,α′−ジ−n−ブトキシ−o−キシレン、α,α′−ジイソブトキシ−p−キシレン、α,α′−ジイソブトキシ−m−キシレン、α,α′−ジイソブトキシ−o−キシレン、α,α′−ジ−tert−ブトキシ−p−キシレン、α,α′−ジ−tert−ブトキシ−m−キシレン、α,α′−ジ−tert−ブトキシ−o−キシレンを挙げることが出来る。これらの内の一種類を単独で、あるいは二種以上を混合して用いられる。中でも好ましいのはα,α′−ジクロロ−p−キシレン、α,α′−ジクロロ−m−キシレン、α,α′−ジクロロ−o−キシレン、α,α′−ジヒドロキシ−p−キシレン、α,α′−ジヒドロキシ−m−キシレン、α,α′−ジヒドロキシ−o−キシレン、α,α′−ジメトキシ−p−キシレン、α,α′−ジメトキシ−m−キシレン、α,α′−ジメトキシ−o−キシレンである。
上記フェノール化合物とキシリレン化合物の反応は、無触媒または酸触媒の存在下に行なわれる。酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸類;ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機カルボン酸類;トリフロロメタンスルホン酸等の超強酸類;アルカンスルホン酸型イオン交換樹脂のような強酸性イオン交換樹脂類;パーフルオロアルカンスルホン酸型イオン交換樹脂の様な超強酸性イオン交換樹脂類(Du Pont社製、商品名:ナフィオン);天然および合成ゼオライト類;活性白土(酸性白土)類等が用いられる。
反応は、50〜250℃において実質的に原料であるキシリレン化合物が消失し、且つ反応組成が一定になるまで行なわれる。反応時間は原料や反応温度にもよるが、おおむね1時間〜15時間程度であり、実際には、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)等により反応組成を追跡しながら決定すればよい。尚、例外的に、α,α’−ジクロロ−p−キシレンのようなハロゲノキシレン誘導体を用いる場合は、対応するハロゲン化水素ガスを生じながら無触媒にて反応が進行するため、酸触媒は必要としない。その他の場合は、酸触媒の存在下において反応が進行し、対応する水またはアルコールが生じる。尚、フェノール化合物とキシリレン化合物との反応モル比は、通常フェノール化合物を過剰に用い、反応後、未反応フェノール化合物を回収する。この時フェノール化合物の量により平均分子量が決定し、フェノール化合物がより多く過剰にあるほど平均分子量の低いフェノール樹脂が得られる。尚、フェノール化合物部分がアリールフェノールであるフェノール樹脂の場合は、アリール化されていないフェノール樹脂にアリールハライドを反応させ、アリールエーテルを経て、クライゼン転移によりアリール化する方法により得ることができる。
本発明において、混合物(A)中のエポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合量は、エポキシ基当量と水酸基当量の当量比(エポキシ基当量/水酸基当量)で、0.70/0.30〜0.30/0.70となることが好ましく、0.65/0.35〜0.35/0.65となることがより好ましく、0.60/0.40〜0.40/0.60となることがさらに好ましく、0.55/0.45〜0.45/0.55となることが特に好ましい。前記当量比が上記範囲外である場合は、接着剤層の硬化性に劣る可能性がある。
アクリル共重合体(B)
本発明の(B)成分は、2質量%以下の反応性基含有モノマーを含む、重量平均分子量が10万以上のアクリル共重合体である。
本発明では、前記アクリル共重合体中(B)に含まれる反応性基含有モノマーの量が2質量%以下であることが重要であり、それによってウェハへの密着性に優れ、密着力低下に起因する不具合を防止でき半導体装置の信頼性を確保できる。特に接着剤組成物を厚さ7μm未満の薄膜化フィルムに成形した場合でも、上記効果を奏することができるので、近年の薄膜化フィルムの要求に充分応えることができる。
前記アクリル共重合体中(B)に含まれる反応性基含有モノマーの量は、接着力向上の観点から、好ましくは1〜2質量%である。反応性基含有モノマーの量が0質量%では、パッケージ作製時にダイボンドフィルムの剥離が発生してしまう。
前記反応性基としては、カルボン酸基、アミノ基、水酸基又はエポキシ基などが好ましいが、カルボン酸基は、橋架け反応が進行しやすく、ワニス状態でのゲル化、Bステージ状態での硬化度の上昇により接着力が低下しやすい可能性があるため、これらを生ずることがないか、あるいは生じる場合でも期間が長い点で、エポキシ基が特に好ましい。
前記反応性基含有モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。ここで、グリシジル(メタ)アクリレートとは、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートを示す。アクリル共重合体中には、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートから選ばれる少なくとも一種が含まれていればよいが、グリシジルアクリレートとグリシジルメタクリレートの両方が含まれていることがより好ましい。
前記アクリル共重合体(B)の重量平均分子量は10万以上であり、それによって、フィルム状にしたときの強度、可とう性及びタック性を適度に制御することが可能となる。前記重量平均分子量は、好ましくは30万〜300万、より好ましくは50万〜200万である。重量平均分子量が300万を超えると、フロー性が小さく配線の回路充填性が低下する可能性がある。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
本発明のアクリル共重合体(B)は、アクリル共重合体を得る重合反応において、反応性基含有モノマーが残存するように重合して得るか、又はアクリル共重合体を得た後、反応性基含有モノマーを添加することによっても得ることができる。なお、アクリル共重合体を得るための重合方法は特に制限が無く、パール重合、溶液重合等を使用することができる。
本発明において好ましいアクリル共重合体(B)は、2質量%以下のグリシジル(メタ)アクリレートを含む、重量平均分子量が10万以上のエポキシ基含有アクリル共重合体であり、市販品としては、帝国化学産業株式会社製、商品名:HTR―860P等が挙げられる。
本発明におけるアクリル共重合体(B)、特にエポキシ基含有モノマーを含むアクリル共重合体は、前記(A)成分中のエポキシ樹脂と非相溶である(相溶しない)ものが好ましい。ここでエポキシ樹脂と非相溶であるとは、エポキシ樹脂と分離して二つ以上の相に分かれる性質をいう。本発明では、硬化後(Cステージ)に、エポキシ樹脂と分離して二つ以上の相に分かれ、海島構造を形成することが好ましい。アクリル共重合体(B)の相溶性は、該エポキシ樹脂と該アクリル共重合体(B)を含むワニス(成分比=1:1)から調製したフィルム(50μm)の可視光(600nm)透過率から定義する。透過率が50%以上を「相溶」とし、50%未満を「非相溶(相溶しない)」とする。本発明におけるアクリル共重合体(B)は、該透過率が30%未満であるものが更に好ましい。
アクリル共重合体(B)の配合量は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の混合物(A)100質量部に対し、100〜1500質量部であり、好ましくは450〜1100質量部である。前記配合量が100質量部未満だと、弾性率の低減及び成形時のフロー性抑制効果が少なくなり、1500質量部を超えると、高温での取り扱い性が低下する。
無機フィラー(C)
本発明において(C)成分の無機フィラーは、特に制限が無く、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカなどを使用することができ、これらは、1種又は2種以上を併用することもできる。熱伝導性向上のためには、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が含有されていることが好ましい。溶融粘度の調整やチキソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカなどが含有されていることが好ましい。
無機フィラー(C)の配合量は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の混合物(A)100質量部に対し、100〜600質量部であり、好ましくは300〜500質量部である。前記配合量が100質量部未満だと、ダイシング工程含め、作業性に問題が出る可能性があり、600質量部を超えると接着性が低下する可能性がある。また、無機フィラー(C)の配合量は、接着剤組成物100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。前記配合量が1質量部未満だと、半導体装置作製工程であるダイシング工程でバリが発生し、不具合が発生する可能性がある。一方、40質量部を超えると、接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題を起こす可能性がある。
無機フィラー(C)の平均粒径は、特に限定されないが、0.005μm〜5μmが好ましく、0.005μmより小さい場合や5μmより大きい場合にはいずれも接着性が低下する傾向がみられる。また、粒径の異なる無機フィラーを二種類以上使用しても良く、それによって無機フィラー充填量を調整することが可能となる。なお、平均粒径は、光散乱法により測定できる。
その他の成分
本発明の接着剤組成物は、前記(A)、(B)及び(C)成分を含むものであるが、これらに加えて、更に硬化促進剤、カップリング剤、イオン捕捉剤などを添加することもできる。
硬化促進剤としては、特に制限が無く、各種イミダゾール類を用いることができる。イミダゾール類としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用することもできる。
硬化促進剤の添加量は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の混合物(A)100質量部に対し、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.2〜3質量部であることがより好ましい。前記添加量が0.1質量部未満だと硬化性が劣る傾向があり、5質量部を超えるとフィルムの保存安定性が低下する傾向がある。
本発明の接着剤組成物には、異種材料間の界面結合を良くするために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、特に限定されず、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系などが挙げられるが、シラン系カップリング剤が最も好ましい。
シラン系カップリング剤としては、特に制限は無く、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリロイルシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノプロピル−トリメトキシシラン、3−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル−プロピルトリメトキシシラン、アミルトリクロロシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン類;3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン等の尿素結合含有シラン類;トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、エトキシシランイソシアネート等のイソシアネート基含有シラン類;3−クロロプロピル−メチルジメトキシシラン、3−クロロプロピル−ジメトキシシラン、3−シアノプロピル−トリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン;などを使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。
チタン系カップリング剤としては、特に制限は無く、例えば、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(n−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアエチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタンチリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テタラプロピルオルソチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、ステアリルチタネート、クレジルチタネートモノマー、クレジルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、テトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートなどを使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。
アルミニウム系カップリング剤としては、特に制限は無く、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム=モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノ−エチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノ−エチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート化合物;アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレート;などを使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。
カップリング剤の添加量は、その効果や耐熱性及びコストの観点から、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の混合物(A)100質量部に対し、0.1〜10質量部とすることが好ましい。
更に、本発明の接着剤組成物には、吸湿時の絶縁信頼性をよくするために、イオン捕捉剤を添加することもできる。イオン捕捉剤としては、特に制限が無く、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤などを使用することができ、ジルコニウム系化合物、アンチモンビスマス系化合物、マグネシウムアルミニウム系化合物等の無機イオン吸着剤を使用することもできる。
イオン捕捉剤の添加量は、添加による効果や耐熱性、コストなどの観点から、接着剤組成物100質量部に対して、1〜10質量部とすることが好ましい。
本発明の接着剤組成物を厚さ5μmのフィルムに製膜し、該フィルムをドライポリッシュ処理したウェハ面に70℃、速度10mm/秒、20秒間の条件でラミネートした時の、フィルムとウェハ間の25℃、剥離速度50mm/秒における90°剥離強度は、90N/m以上であることが好ましく、100N/m以上であることがより好ましい。前記ウェハ密着力が90N/m未満では、ウェハ表面からのダイボンドフィルムの剥離、ダイシング工程で発生する切削屑がウェハ裏面に侵入し、半導体装置の信頼性を損なう可能性がある。
[ダイボンドフィルム]
本発明のダイボンドフィルムは、本発明の接着剤組成物を溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし、支持体フィルム上に塗布した後、加熱処理などにより溶剤を除去することによって接着剤層をフィルム状に成形して得ることができる。
前記支持体フィルムとしては、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルムを使用することができ、これらプラスチックフィルムは表面を離型処理して使用することもできる。支持体フィルムは、使用時に剥離して接着剤層のみを使用することもできるし、支持体フィルムとともに使用し、後で除去することもできる。
前記ワニス化の溶剤としては、特に制限は無いが、フィルム作製時の揮発性等を考慮し、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−エトキシエタノール、トルエン、キシレン、ブチルセルソルブ、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノールなど比較的低沸点の溶媒を使用するのが好ましい。また、塗膜性を向上させるなどの目的で、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノンなど比較的高沸点の溶媒を加えることもできる。
本発明の接着剤組成物からのワニスの製造には、無機フィラーの分散性を考慮して、らいかい機、3本ロール、ボールミル及びビーズミルなどを使用するのが好ましく、これらを組み合せて使用することもできる。また、無機フィラーと低分子量物をあらかじめ混合した後、高分子量物を配合することによって、混合する時間を短縮することも可能となる。また、ワニスとした後、真空脱気等によってワニス中の気泡を除去することもできる。
支持体フィルムへのワニスの塗布方法としては、既知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法などが挙げられる。
ダイボンドフィルムの厚みは、7μm以下が好ましく、5μm〜7μmがより好ましい。前記厚みが7μmを超えると半導体装置高容量化の観点から、多段積層化に対応できなくなる惧れがある。一方、5μmより薄いと応力緩和効果が乏しくなる傾向がある。また、本発明のダイボンフィルムにおける接着剤層は、所望の厚さを得るために、2枚以上を貼り合わせることもできる。
[ダイボンドダイシング一体型フィルム]
本発明において、ウェハへのラミネート工程が一回で済み、作業の効率化が可能となる点で、ダイボンドフィルムとダイシングテープを張り合わせたダイボンドダイシング一体型フィルムとして用いることが好ましい。前記ダイボンドダイシング一体型フィルムは、ダイボンドフィルムの接着剤層面をダイシングテープの粘着剤層面に積層することで得ることができる。
ダイシングシートにおける粘着剤層としては、特に制限はないが、放射線照射で硬化する放射線重合性化合物、又は加熱で硬化する熱硬化性化合物を含有してなることが好ましく、一般的には主にアクリル系樹脂が使われ、放射線重合性化合物としてはアクリル酸、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート等の共重合体や、アクリレート系オリゴマー等が挙げられ、熱硬化性化合物としてはグリシジル(メタ)アクリレート等の共重合体が挙げられる。
ダイボンドフィルムの接着剤層面をダイシングテープの粘着剤層面に積層する方法としては、印刷の他、予め作成したダイボンドフィルムの接着剤層面をダイシングテープの粘着剤層面にプレス、ホットロールラミネートする方法が挙げられるが、連続的に製造でき、効率が良い点でホットロールラミネート方法が好ましい。積層に先立って、ダイボンドフィルムを予めウェハ形状に形成することが好ましい。ウエハ形状に形成する方法としては、予め別のフィルム上にワニスを塗工、乾燥しフィルム状接着剤を形成し、これをウェハ形状に打ち抜き加工する方法が挙げられる。
ダイボンドダイシング一体型フィルム全体の厚みは50μm〜200μmであることが好ましい。厚すぎると巻き取り時に原反が分厚くなりすぎてしまう点と、薄すぎるとダイシングソウがフィルムを突き抜けてしまう可能性がある点から、70μm〜150μmであることがより好ましい。
[半導体搭載用支持部材]
本発明の半導体搭載用支持部材は、支持部材の半導体搭載面に本発明のダイボンドフィルムを備えることで得られる。
半導体搭載用支持部材としては、ダイパットを有するリードフレーム、セラミック基板や有機基板など基板材質に限定されることなく用いることができる。セラミック基板としては、アルミナ基板、窒化アルミ基板などを用いることができる。有機基板としては、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含漬させたFR−4基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂を含漬させたBT基板、さらにはポリイミドフィルムを基材として用いたポリイミドフィルム基板などを用いることができる。
基板上には配線が形成されていてもよく、配線の形状としては、片面配線、両面配線、多層配線のいずれの構造でも良く、必要に応じて電気的に接続された貫通孔、非貫通孔を設けても良い。さらに、配線が半導体装置の外部表面に現れる場合には、保護樹脂層を設けることが好ましい。
本発明のダイボンドフィルムを支持部材の半導体搭載面に張り付ける方法としては、本発明のダイボンドフィルムを所定の形状に切断し、その切断されたダイボンドフィルムを、支持部材の半導体搭載面に熱圧着する方法が一般的ではあるが、これに限定するものではない。
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、半導体素子と支持部材を本発明のダイボンドフィルムを介して接着したものである。
本発明の半導体装置の構造としては、半導体素子と支持部材とが本発明のダイボンドフィルムを介して接着されていれば特に制限はない。例えば、半導体素子の電極と支持部材とがワイヤボンディングで接続されている構造、半導体素子の電極と支持部材とがテープオートメーテッドボンディング(TAB)のインナーリードボンディングで接続されている構造等があるが、これらに限定されるものではなく、何れの場合でも効果がある。半導体素子としては、IC、LSI、VLSI等一般の半導体素子を使用することができる。
支持部材としては、セラミック基板や有機基板など基板材質に限定されることなく用いることができる。セラミック基板としては、アルミナ基板、窒化アルミ基板などを用いることができる。有機基板としては、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含漬させたFR−4基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂を含漬させたBT基板、さらにはポリイミドフィルムを基材として用いたポリイミドフィルム基板などを用いることができる。基板上には配線が形成されていてもよく、配線の形状としては、片面配線、両面配線、多層配線いずれの構造でも良く、必要に応じて電気的に接続された貫通孔、非貫通孔を設けても良い。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
エポキシ樹脂としてYDCN−703(東都化成株式会社製商品名、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210、軟化点75〜85℃)55質量部、フェノール樹脂としてミレックスXLC−LL(三井化学株式会社製商品名、キシリレン基含有フェノール樹脂、水酸基当量175、吸水率1.8質量%、350℃における加熱質量減少率4質量%)45質量部、無機フィラーとしてアエロジルR972(日本アエロジル株式会社製商品名、シリカ、平均粒径0.016μm)30質量部及びS0−C2(アドマファイン株式会社製商品名、比重:2.2g/cm)400質量部からなる組成物に、シクロヘキサノンを加えて攪拌混合し、更にビーズミルを用いて90分混練した。
これにシランカップリング剤としてNUC A−1160(日本ユニカー株式会社製商品名、γ―ウレイドプロピルトリエトキシシラン)10質量部、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレート 1.0質量%を含むアクリルゴムHTR−860P(帝国化学産業株式会社製商品名、重量平均分子量100万)を1000質量部、硬化促進剤としてキュアゾール2PZ−CN(四国化成株式会社製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)0.1質量部を加え、12時間攪拌した後、真空脱気してワニスを得た。
得られたワニスを厚さ38μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、加熱乾燥(140℃で5分)後の膜厚が5μmのBステージ状態の塗膜を形成し、キャリアフィルムを備えたダイボンドフィルム1を作製した。
(実施例2)
実施例1のHTR−860Pのグリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレート含有量を2質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイボンドフィルム2を作製した。
(比較例1)
実施例1のHTR−860Pのグリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレート含有量を3質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイボンドフィルム3を作製した。
(比較例2)
実施例1のHTR−860Pのグリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレート含有量を3.5質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、ダイボンドフィルム4を作製した。
(ダイボンドダイシング一体型フィルムの作製)
実施例及び比較例で作製したダイボンドフィルム1〜4の接着剤層面を、ダイシングテープ(古河電気工業株式会社製、品名:DC、膜厚110μm)の粘着剤層面と貼り合わせを行った後、所定の寸法にプリカットを行い、ダイボンドダイシング一体型フィルム1〜4を作製した。
(ウェハ密着力測定)
実施例及び比較例で作製した膜厚5μmのダイボンドフィルム1〜4を、シリコンウェハ(ウェハ厚み:400μm)のドライポリッシュ処理面に、70℃、速度10mm/秒、20秒間の条件でラミネートを行った。ラミネート後、ダイボンドフィルムとウェハ間の、25℃、剥離速度50mm/秒における90°剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
(ダイシングテスト)
上記で作製した一体型フィルム1〜4を、シリコンウェハ(ウェハ厚み:75μm)のドライポリッシュ処理面に、70℃、速度10mm/秒、20秒間の条件でラミネートを行った。ラミネート後、ダイシングソー(株式会社ディスコ製、DF6361)を用いて、表1に示すダイシング条件でチップサイズが10mm×10mmになるようダイシングを行った。ダイシング後、ダイシング時に発生した切削屑がチップ裏面へ侵入しているかについて目視で観察した。切削屑がチップ裏面に侵入していない「○」、チップ裏面の4辺の一部に侵入している「△」、チップ裏面の4辺全部に侵入している「×」で表2に表した。
Figure 2011032381
Figure 2011032381
表2の結果より、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートの含有量が2質量%以下のアクリル共重合体を含む接着剤組物を用いた実施例1及び2のダイボンドフィルムは、ウェハへの密着力に優れ、ダイシング工程で発生する切削屑がウェハ裏面に侵入するのを防ぎ、密着力低下に起因する不具合を防止することが出来るので、信頼性に優れる半導体装置を得ることができる。これに対し、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートの含有量が2.0質量%を超えるアクリル共重合体を含む接着剤組物を用いた比較例1及び2のダイボンドフィルムは、ウェハへの密着力が低下し、ダイシング工程で発生する切削屑がウェハ裏面に侵入するため、半導体装置の信頼性が損なわれる場合がある。

Claims (12)

  1. エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の混合物(A)100質量部に対し、
    2質量%以下の反応性基含有モノマーを含む、重量平均分子量が10万以上のアクリル共重合体(B)100〜1500質量部、
    及び、無機フィラー(C)100〜600質量部
    を含む、接着剤組成物。
  2. 前記接着剤組成物を厚さ5μmのフィルムに製膜し、該フィルムをドライポリッシュ処理したウェハ面に70℃、速度10mm/秒、20秒間の条件でラミネートした時の、フィルムとウェハ間の25℃、剥離速度50mm/秒における90°剥離強度が90N/m以上である請求項1記載の接着剤組成物。
  3. 前記アクリル共重合体(B)が、2質量%以下のグリシジル(メタ)アクリレートを含む、重量平均分子量が10万以上のエポキシ基含有アクリル共重合体である請求項1又は2記載の接着剤組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂の軟化点が50℃以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  5. 前記フェノール樹脂の吸水率が2質量%以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  6. 前記フェノール樹脂の350℃における加熱質量減少率が5質量%未満である請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  7. 前記アクリル共重合体(B)が、エポキシ樹脂と非相溶である請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  8. 前記無機フィラー(C)の平均粒径が0.005〜5μmである請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物をフィルム状に成形して得られるダイボンドフィルム。
  10. 請求項9記載のダイボンドフィルムをダイシングシートと一体化してなるダイボンドダイシング一体型フィルム。
  11. 支持部材の半導体素子搭載面に請求項9記載のダイボンドフィルムを備えた半導体搭載用支持部材。
  12. 半導体素子と支持部材を請求項9記載のダイボンドフィルムを介して接着することを特徴とする半導体装置。
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