JP2013002590A - 真空装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空槽の外部に動力源を配置して、直線移動力や回転移動力を真空槽内に導入するときに、オーリングの変形によってリークが発生することの無い真空装置を提供する。
【解決手段】真空槽21の開口22に筒状部材11を設け、筒状部材11と開口22に挿通した動力伝達軸12の先端を真空槽21内に挿入し、根本を真空槽21の外部に配置された動力源16に取り付ける。筒状部材11内周面の噴出装置17からベアリングガスを噴出し、筒状部材11と動力伝達軸12とを非接触にして動力源16を動作させて動力伝達軸12を直線移動と回転移動させる。噴出装置17と開口22との間に複数の排気溝を設け、真空槽21に近い排気溝を最も大きな排気コンダクタンスで、真空排気装置15に接続する。開口22に最近の排気溝内の圧力を低くすることができ、真空槽21内を高真空雰囲気にすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空雰囲気内に回転力や直線移動力を導入する動力伝達装置を有する真空装置に関する。
近年の真空を用いた装置では、装置の大型化に伴って動力源の高出力化が求められている。真空を用いた装置において、動力源を真空槽の外側に置いて、動力源からシール機構を介して真空槽内に動力を伝達する構造は、真空槽内の真空度の低下をもたらす原因となるが、真空槽内に配置できる真空対応のモータ等が大出力に対応していないため、動力源を真空槽外に配置しなくてはならない。
真空槽内に動力を導入する従来の真空導入機では、真空槽内への動力伝達をベローズ等を介して行うため、伝達遅延や伝達ロスが発生し、真空槽内に高精度な位置決め装置を配置する場合などには限界があった。
また従来の真空導入機では、一端が真空槽内に挿入された動力伝達軸と軸受とが接触しているため、動力伝達軸と軸受との間の摩擦抵抗が大きく、また動力伝達軸を動かすたびに摩擦により装置の寿命が短くなるという問題があった。
図2は、そのような真空装置110であり、真空槽121に形成された開口122に動力伝達軸112を挿入する場合、軸受筒111の内周面に、ベアリング等の軸受け113と、オーリング等のシール部材1191、1192とを配置しておき、動力伝達軸112を軸受筒111に挿通して、動力伝達軸112を、軸受け113と、オーリング等のシール部材1191、1192とで取り囲んだ状態で、軸受筒111の端部を真空槽121の壁面に気密に固定しておく。
この状態では、動力伝達軸112は、軸受け113を介して、軸受筒111によって保持されており、動力伝達軸112の大気側端部に取り付けられたモータ116を起動して、動力伝達軸112を、中心軸線を中心とする回転移動又は中心軸線に沿った直線移動をすることができる。
シール部材1191、1192は、軸受け113よりも真空槽121側に位置しており、動力伝達軸112と軸受筒111との間の隙間と開口122とを通って大気が真空槽121内に侵入しないように構成されているが、シール部材1191、1192は柔軟性を有する樹脂製であり、動力伝達軸112が回転移動又は直線移動するときに変形し、少量であるが、シール部材1191、1192と動力伝達軸112又は軸受筒111との間を通って開口122から真空槽121内に大気が侵入してしまっていた。
図3(b)は、動力伝達軸112を静止させた状態で、真空槽121内を、低真空状態から高真空状態に真空排気したときの真空槽121内の圧力変化であり、シール部材1191、1192の機能によって真空槽121内への大気の侵入が無いことが分かるが、高真空状態に達した後、動力伝達軸112が回転移動したときは図4(b)のように、直線移動したときは図5(b)のように、真空槽121内の圧力が変動しており、大気の侵入があることが分かる。
特表2008−534877号公報 特開2009−270581号公報 特開2005−517866号公報 特開2003−172261号公報
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、真空槽外より動力を伝達する際、非接触式のシール機構を用いることにより、真空破壊を起こすことなく真空槽外の動力源が生成する動力を真空槽内に導入する技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、壁面に開口が設けられた真空槽と、一端が前記真空槽の壁面に気密に固定され、内部が前記開口を介して前記真空槽内に接続された筒状部材と、前記筒状部材の内周面よりも断面積が小さく、前記筒状部材内に挿入され、前記筒状部材と非接触になれる動力伝達軸と、筒状部材の内周面に、前記動力伝達軸を取り囲んで設けられ、前記動力伝達軸との間に隙間を形成して、供給されたガスを前記隙間に向けて噴出する環状の噴出装置と、前記噴出装置に大気よりも高圧のベアリングガスを供給する圧力ガス供給装置と、前記噴出装置と前記開口の間の部分の前記筒状部材の内周面に、前記動力伝達軸を取り囲んで設けられ、前記動力伝達軸と前記筒状部材の内周面との間の隙間を通過した前記ベアリングガスが到達する複数の環状の排気溝と、一端が各前記排気溝にそれぞれ接続された排気路によって、前記排気溝内を真空排気する真空排気装置に接続される排気路と、前記真空槽の外部に配置され、前記動力伝達軸を前記真空槽に対して静止させることができると共に、前記真空槽に対して前記動力伝達軸の中心軸線上を往復移動させることができる動力源と、を有する真空装置であって、前記排気路のうち、前記真空槽に最近の前記排気溝に接続された前記排気路の排気コンダクタンスが、他の前記排気溝の排気コンダクタンスよりも大きくされた真空装置である。
また、本発明は、前記動力源は前記動力伝達軸を前記中心軸線を中心として回転させることができる真空装置である。
また、本発明は、前記排気路の排気コンダクタンスは、前記真空槽に近い方の前記排気溝に接続された方が大きくされた真空装置である。
また、本発明は、前記排気溝は前記動力伝達軸の長手方向に沿って3つ以上配置された真空装置である。
また、本発明は、前記噴出装置から噴出される前記ベアリングガスは乾燥窒素ガス又はArガスのいずれか一方又は両方である真空装置である。
本発明の真空装置は、筒状部材の内周面の断面形状と、噴出装置の内周面の断面形状は、動力伝達軸の断面形状を大きくした相似形である。
噴出装置から高圧のベアリングガスをベアリング空間に向けて放出すると、ベアリングガスは、筒状部材と動力伝達軸の間の隙間からベアリング空間の外部に流出しようとし、筒状部材を動力伝達軸から離間させる反発力が発生する。
このとき、動力伝達軸と噴出装置との間や、動力伝達軸と筒状部材内周面との間の距離が短くなった部分の反発力は大きくなり、距離が長くなった部分の反発力は小さくなるから、動力伝達軸と噴出装置及び筒状部材とは相対的に移動し、互いの距離が等しく、反発力が均一になるように、噴出装置と筒状部材と動力伝達軸の中心軸線を一致させる。
そうすると、動力伝達軸が、噴出装置や筒状部材とは非接触になり、反発力より小さな力が加わっても、その状態が維持される。
このときは、動力伝達軸と噴出装置の間の隙間であるベアリング空間と、筒状部材の内周面と動力伝達軸の間の隙間も環状になっている。
ベアリング空間から、真空槽の内部側に向かうベアリングガスは、排出溝から真空排気される。
本発明によれば、真空槽内の真空雰囲気を維持しながら、真空槽の外部に配置された動力源から真空槽内に直線移動力や回転移動力を導入して、目的物を移動できるので、大きな力を導入することができる。
本発明の真空導入機の内部構成図 従来の真空導入機の内部構成図 動力伝達軸を静止させた状態で真空槽内を真空排気したときの真空槽内の圧力の経時変化を示すグラフ (a):本発明の真空装置の測定結果 (b):比較例の真空装置の測定結果 動力伝達軸をその中心軸線の周りに回動させたときの真空槽内の圧力の経時変化を示すグラフ (a):本発明の真空装置の測定結果 (b):比較例の真空装置の測定結果 動力伝達軸をその中心軸線に沿って往復移動させたときの真空槽内の圧力の経時変化を示すグラフ (a):本発明の真空装置の測定結果 (b):比較例の真空装置の測定結果
図1は、真空雰囲気中で、処理対象物に対する真空処理を行う本発明の真空装置10を示している。
この真空装置10は、真空槽21と、動力伝達装置5とを有している。
動力伝達装置5は、筒状部材(ここでは円筒)11と、動力伝達軸12と、動力源(ここではモータである)16と、気体ベアリング装置6と、軸用排気装置7とを有している。筒状部材11は円筒形状であっても多角筒形状であってもよい。
筒状部材11は、内部中空の円筒形形状であり、筒状部材11は、真空槽21の壁面に設けられた開口22と内部が連通するように、その一端が真空槽21の外壁面に気密に固定されている。
動力伝達軸12は、断面円形であり、その断面直径は、筒状部材11の内周面の直径よりも小さくされ、筒状部材11に挿通されている。動力伝達軸12は、一端が開口22から真空槽21の内部に挿入され、他端は、筒状部材11からはみ出しており、はみ出した部分は動力源16に取り付けられている。動力伝達軸12と筒状部材11と、後述する噴出装置17とは、動力伝達軸12が回転と直線移動を行う場合は、断面の形状が円形である。
気体ベアリング装置6は、圧力ガス供給装置(コンプレッサー)13と、噴出装置17とを有している。
筒状部材11の内周面には、環状であって、動力伝達軸12の周囲を取り囲むベアリング溝18が設けられている。噴出装置17も環状であり、動力伝達軸12を取り囲むようにベアリング溝18の内部に配置されている。噴出装置17は筒状部材11に固定されている。
噴出装置17とベアリング溝18の底面との間には、環状の隙間である供給空間19が形成されている。筒状部材11には、貫通孔26aが形成されており、その一端の開口はベアリング溝18の底面に露出され、他端の開口は筒状部材11の外周面に露出されている。
貫通孔26aの、筒状部材11の外周側面に位置する開口は、配管26bによって、圧力ガス供給装置13に接続されている。
圧力ガス供給装置13は、大気圧よりも高い圧力のベアリングガスを供給する装置であり、ベアリングガスは、配管26bと貫通孔26aとを通って供給空間19に供給される。従って、貫通孔26aと配管26bによって、ベアリングガスが通ってベアリング溝18の供給空間19の部分に供給される給気路26が形成されている。
噴出装置17の内周面は、動力伝達軸12の断面直径よりも大きく形成されており、噴出装置17と動力伝達軸12との間にも、その間の隙間であるベアリング空間20が形成されている。
環状の噴出装置17の外周面と内周面は、それぞれ供給空間19とベアリング空間20に露出しており、噴出装置17の外周面と内周面には、それぞれ開口が複数個形成されている。外周面の複数の開口と内周面の複数の開口は、噴出装置17内部の複数の細孔によってそれぞれ接続されており、外周面に接する供給空間19と、内周面に接するベアリング空間20との間は、複数の細孔によって接続されている。
給気路26を通過して圧力ガス供給装置13から高圧のベアリングガスが外周面側の供給空間19に供給されると、その供給空間19の圧力は上昇し、外周面上の細孔の開口が導入口となり、内周面上の細孔の開口が噴出口となり、ベアリングガスは細孔を通過してベアリング空間20に供給され、筒状部材11と動力伝達軸12の間の隙間を通って、ベアリング空間20の外部に流出しようとする。
軸用排気装置7は、真空排気装置15と、筒状部材11の内周面に形成された複数の排気溝141〜143とを有しており、各排気溝141〜143は、ベアリング空間20と開口22の間に配置されている。また、各排気溝141〜143は、互いに離間しており、また、ベアリング溝18と開口22とからも離間している。
軸用排気装置7は、筒状部材11に設けられ、一端が排気溝141〜143にそれぞれ接続された貫通孔271〜273と、筒状部材11の外周上に配置された貫通孔271〜273の他端と真空排気装置15との間を接続する配管281〜283とを有している。
なお、後述するように、軸用排気装置7の真空排気装置15は、真空槽21を真空排気する真空排気装置25とは別の装置である。
排気溝141〜143は環状であり、動力伝達軸12は、排気溝141〜143が巻き回された状態であり、動力伝達軸12は、噴出装置17の環と各排気溝141〜143の環の中に挿通された状態であり、動力伝達軸12が後述するように、回転移動や往復移動をしても、噴出装置17と各排気溝141〜143とに、動力伝達軸12が挿通された状態が維持されるようになっている。
各排気溝141〜143は、各貫通孔271〜273と配管281〜283とによって、真空排気装置15に接続されており、従って、各貫通孔271〜273と、各貫通孔271〜273にそれぞれ接続された配管281〜283とによって、排気溝141〜143を真空排気装置15にそれぞれ接続する排気路291〜293が構成されている。
各排気溝141〜143は、幅、深さがそれぞれ同じに形成されている。また、各排気路291〜293は、真空排気装置15によって、真空排気速度で真空排気されている。
噴出装置17とベアリング溝18の底面との間は、大気圧よりも高圧であり、ここでは、0.5M(5×105)Pa程度の圧力である。各排気溝141〜143は、真空排気装置15の真空排気によって排気されており、少なくとも、真空槽21に最近の排気溝143は、大気圧よりも低圧な真空雰囲気にされている。
ベアリング溝18と排気溝141との間と、隣接する排気溝141〜143の間と、排気溝143と開口22の間とは、動力伝達軸12の外周面と筒状部材11の内周面との間に形成された隙間によって接続されており、噴出装置17と動力伝達軸12との間のベアリング空間20に噴出装置17から噴出されたベアリングガス(ここでは乾燥窒素ガス)は、先ず、ベアリング溝18と排気溝141との間に位置する、動力伝達軸12と筒状部材11との間に形成された隙間を所定の流速で流れて、ベアリング溝18に最近の排気溝141に流入する。
排気溝141に流入したベアリングガスは、真空排気装置15によって排気されるが、排気溝141内から排気されずに残ったベアリングガスは残留ガスとなって、流入した排気溝141よりも真空槽21の開口22に近い次段の排気溝142内に流入する。
その排気溝142内でも、真空排気装置15によって流入したベアリングガスは排気され、残留ガスは、更に次段の排気溝143内に流入する。
このように、複数の排気溝141〜143が設けられていると、各排気溝141〜143内には、直前のベアリング溝18又は直前の排気溝141、142からベアリングガスが流入し、流入したベアリングガスは、真空排気装置15により、その排気溝141〜143内から排気され、残留ガスは、直後の排気溝142、143又は真空槽21内に流入する。
本発明では、各排気路291〜293の排気コンダクタンス(排気溝141〜143と真空排気装置15の間の各排気路291〜293の排気コンダクタンス)は、開口22に最も近い排気溝143に接続された排気路293の排気コンダクタンスが最も大きくされ、開口22から遠くなるほど、排気コンダクタンスは小さくなるようにされている。この例では、真空排気装置15が同じ排気速度で、各排気路291〜293内を真空排気しており、各排気溝141〜143のうち、開口22に最近の排気溝143内の圧力が最も低くなり、開口22から遠くなる程、排気溝142、141の圧力が高くされる。要するに、排気溝141〜143は、真空槽21の開口22に近い程圧力が低くなるようにされている。
真空槽21には、各排気溝141〜143を真空排気する真空排気装置15とは別の真空排気装置25が接続されており、真空槽21内は、開口22に最近の排気溝143内の圧力よりも低い圧力に真空排気されるようになっている。
噴出装置17から気体が所定圧力以上の圧力で噴出されていると、動力伝達軸12の外周表面は、噴出装置17の内周表面と一定距離離間するようになる。このとき、筒状部材11の内周面と、動力伝達軸12の外周面との間も一定距離離間し、その結果、動力伝達軸12は筒状部材11の内周面上に浮いて、筒状部材11とは非接触の状態になる。
真空槽21が真空排気されたとき、動力伝達軸12には、大気側の部分と真空槽21内の部分の圧力差によって、真空槽21内に吸引する力が加わるが、動力源16は、動力伝達軸12が筒状部材11や噴出装置17とは非接触でも、動力伝達軸12を把持し、動力伝達軸12を真空槽21に対して静止させ、動力伝達軸12が真空槽21内に移動しないようにすることができる。
また、動力源16は、動力伝達軸12が筒状部材11及び噴出装置17と非接触の状態で、動力伝達軸12を、中心軸線31を中心とした回転移動と、中心軸線31に沿った往復の直線移動とのいずれか一方又は両方の移動をさせることができる。
この真空装置10では、動力伝達軸12の真空槽21内に位置する先端部分には、基板ホルダが設けられており、基板ホルダに保持された目的物(処理対象物)に所望方向を向かせて、中心軸線31の延長線上の真空槽21内の所望場所に位置させることができるようになっている。基板ホルダに限らず、真空槽21内に配置すべき装置、例えば測定装置を設けて、動力伝達軸12の回転移動と往復移動によって、位置や向きを変更することもできる。
動力伝達軸12が回転移動や直線移動するとき、動力伝達軸12と筒状部材11との間は非接触が維持されており、動力伝達軸12が筒状部材11の内周面と接触することはなく、オーリングが変形してリークが生じることもない。
なお、噴出装置17は、カーボン製多孔質体であり、噴出装置17から噴出させるベアリングガスには、乾燥窒素ガス又はArガスのいずれか一方のガス又は混合したガスを安価に用いることができる。
本発明の真空装置10と、比較例の真空装置110の動力伝達軸12、112を静止させた状態で真空槽21、121内を真空排気したときの、排気時間と真空槽21、121内の圧力との関係を測定した。
本発明の真空装置10の測定結果を図3(a)に示し、比較例の真空装置110の結果を同図(b)に示す。
図2に示した従来の真空装置110では真空排気を開始してから4000秒後に8.1×10-5Paに到達した。一方、本発明の装置10では真空排気を開始してから7200秒後に1.2×10-4Paに到達している。動力伝達軸12、112が静止していた場合、比較例の方が真空排気を行いやすいことが分かるが、本発明の軸用排気装置7によっても実用上の真空排気速度が得られている。
次に、動力伝達軸12をその中心軸線31の周りに回動させたときの真空槽21内の圧力の経時変化を計測した。
図4(a)は本発明の真空装置10の測定結果、同図(b)は比較例の測定装置110の測定結果を示している。
本発明の真空装置10では真空槽21内の圧力は変動しなかった。リークレートは1.25×10-6Pa・m3/secであった。
比較例の真空装置110では、動力伝達軸112のシール部材1191、1192であるオーリングが歪み、Oリングの長さ方向に部分的な伸縮が生じ、リークが発生していた。リークレートは1×10-4Pa・m3/secであった。
次に、動力伝達軸12をその中心軸線31に沿って往復移動させたときの真空槽21内の圧力の経時変化を計測した。
図5(a)は本発明の真空装置10の結果を示し、同図(b)は比較例の真空装置110の結果を示している。
動力伝達軸12が直線移動すると、真空槽21内の容積が変動し、圧力はそれに伴って変動する。
本発明の真空装置10では、容積の変動による圧力変動は認められるが、リークによる変動は生じていない。リークレートは3.7×10-6Pa・m3/secであった。
比較例の真空装置110では、容積の変動による圧力変動よりも大きな変動が認められており、特に、動力伝達軸112の往復移動に関し、動力伝達軸112が真空槽121内に押し込まれるときにリークが発生していた。リークレートは1×10-4Pa・m3/secであった。
以上は、複数の排気溝141〜143に接続された排気路291〜293のうち、開口22に最も近い排気路293の排気コンダクタンスが、最も大きかったが、開口22に近い排気路ほど、排気コンダクタンスが大きくなるようにすると、更に、噴出装置17から噴出させた気体の真空槽21内へのリークは減少する。
なお、噴出装置17から噴出する気体は、アルゴンやN2ガスなど、真空槽21内で行われている目的物の真空処理に対して影響を与えないガスが望ましいが、本発明の真空装置10には、真空槽21の外部に配置された動力源16から真空槽内に直線往復移動力や回転移動力を導入する装置であれば、真空槽21内で真空処理を行わず、例えば目的物の搬出入や、目的物の搬送を行う真空装置や、真空処理の対象ではない目的物を移動させる装置等も含まれる。
10……真空装置
11……筒状部材
12……動力伝達軸
13……圧力ガス供給装置
141〜143……排気溝
15……真空排気装置
16……動力源
17……噴出装置
21……真空槽
22……開口
291〜293……排気路

Claims (5)

  1. 壁面に開口が設けられた真空槽と、
    一端が前記真空槽の壁面に気密に固定され、内部が前記開口を介して前記真空槽内に接続された筒状部材と、
    前記筒状部材の内周面よりも断面積が小さく、前記筒状部材内に挿入され、前記筒状部材と非接触になれる動力伝達軸と、
    筒状部材の内周面に、前記動力伝達軸を取り囲んで設けられ、前記動力伝達軸との間に隙間を形成して、供給されたガスを前記隙間に向けて噴出する環状の噴出装置と、
    前記噴出装置に大気よりも高圧のベアリングガスを供給する圧力ガス供給装置と、
    前記噴出装置と前記開口の間の部分の前記筒状部材の内周面に、前記動力伝達軸を取り囲んで設けられ、前記動力伝達軸と前記筒状部材の内周面との間の隙間を通過した前記ベアリングガスが到達する複数の環状の排気溝と、
    一端が各前記排気溝にそれぞれ接続された排気路によって、前記排気溝内を真空排気する真空排気装置に接続される排気路と、
    前記真空槽の外部に配置され、前記動力伝達軸を前記真空槽に対して静止させることができると共に、前記真空槽に対して前記動力伝達軸の中心軸線上を往復移動させることができる動力源と、
    を有する真空装置であって、
    前記排気路のうち、前記真空槽に最近の前記排気溝に接続された前記排気路の排気コンダクタンスが、他の前記排気溝の排気コンダクタンスよりも大きくされた真空装置。
  2. 前記動力源は前記動力伝達軸を前記中心軸線を中心として回転させることができる請求項1記載の真空装置。
  3. 前記排気路の排気コンダクタンスは、前記真空槽に近い方の前記排気溝に接続された方が大きくされた請求項1又は2のいずれか1項記載の真空装置。
  4. 前記排気溝は前記動力伝達軸の長手方向に沿って3つ以上配置された請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の真空装置。
  5. 前記噴出装置から噴出される前記ベアリングガスは乾燥窒素ガス又はArガスのいずれか一方又は両方である請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の真空装置。
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