JP2013000655A - 高分子水処理膜及び水処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的強度及び透水性等を確保しながら、水処理効率をさらに向上させた高分子水処理膜、効率的な水処理及びメンテナンスを実現することができる水処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】塩化ビニルモノマー及び親水性モノマーに由来する構成単位を含む塩化ビニル系共重合体からなる層と、塩化ビニル系樹脂からなる層との積層構造を有する中空糸膜からなる高分子水処理膜及びこの高分子水処理膜を分離膜として用いる水処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子水処理膜及び水処理方法に関する。
従来から、例えば、河川水及び地下水の除濁、工業用水の清澄、排水及び汚水処理、海水淡水化の前処理等の水の精製のために、高分子水処理膜が利用されている。
このような高分子水処理膜は、通常、水処理装置において分離膜として利用されており、例えば、ポリスルホン(PS)系、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)系、ポリエチレン(PE)系、酢酸セルロース(CA)系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ポリビニルアルコール(PVA)系、ポリイミド(PI)系等の種々の高分子材料によって形成された、中空糸状の多孔質膜が利用されている。特に、ポリスルホン系樹脂は、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性等の物理的及び化学的性質に優れ、また製膜も容易な点から、多用されている。
一般に、高分子水処理膜に要求される性能としては、目的とする分離特性に加え、優れた透水性を有すること、物理的強度に優れていること、各種化学物質に対する安定性(つまり、耐薬品性)が高いこと、ろ過時に汚れが付着しにくい(つまり、耐汚染性が優れている)こと等が挙げられる。
例えば、長期の使用によっても汚染しにくく、その透水性も比較的高い酢酸セルロース系の中空糸分離膜が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この酢酸セルロース系分離膜は、機械的強度が小さく、耐薬品性も十分でない。従って、分離膜が汚染した場合は、物理的又は薬品による化学的手段による洗浄を行うことが極めて困難であるという問題がある。
また、物理的強度及び耐薬品性の双方に優れた、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる中空糸膜による高分子水処理膜が提案されている(特許文献2参照)。この高分子水処理膜は、曝気槽に直接浸漬して用いることも可能であり、汚染した場合であっても種々の化学薬品を用いて洗浄することが可能となる。
しかし、ポリフッ化ビニリデンは親水性が比較的小さい傾向があり、耐汚染性が低い。
また、機械的強度及び耐薬品性に優れた、塩化ビニル系樹脂を用いることが考えられるが、塩化ビニル系樹脂では、耐汚染性が不十分である。
そこで、塩化ビニル系樹脂による多孔質膜の耐汚染性を改善するために、塩化ビニル系樹脂にセルロース誘導体である親水性高分子をブレンドして不織布に塗布するタイプの多孔質高分子膜が提案されている(特許文献3参照)。
また、塩化ビニル系樹脂にエチレンジアミン−ポリオキシアルキレン重合体をブレンドした多孔質膜が提案されている(特許文献4参照)。
しかし、親水性高分子をブレンドした場合、多孔質膜を製造する際の相分離をコントロールしにくく、均一な膜が得られず、性能が安定しないという問題がある。
さらに、近年の排水処理では、浸漬型MBR(膜分離活性汚泥法)が多く用いられている(特許文献5及び6参照)。この浸漬型MBRは、生物処理水槽中に浸漬した中空糸状又は平膜状の水処理膜を用いて吸引ろ過により処理水を行なう方法であり、膜の外面に汚れが堆積することによるろ過効率の低下を防止するために、常時ばっ気によって膜表面の洗浄が行われている。
しかし、浸漬型MBRでの必要なばっ気動力は多大な電力コストを伴い、ランニングコストの増大を招く。
これに対して、生物処理水槽に併設した中空糸膜の内部に生物処理水を流し、内圧によるろ過を行う内圧式(槽外式)MBRが提案されている。この内圧式MBRで用いられる水処理膜のモジュールでは、大小さまざまな固形分を含む生物処理水に起因するモジュール端面での固形分の堆積による閉塞が発生しないよう、内径が5〜10mm程度のチューブラー状の水処理膜が用いられている。
しかし、水処理膜の内径を大型化することによって処理時の内圧及び逆洗時の外圧への耐性が低下する。そのため、水処理膜を厚膜にする、支持体を内部又は外部に挿入するなどの方策が採用されている。一方、これらの方策を採用すると、処理水量に対する設置面積効率が低下したり、支持体と膜とが剥離したりという新たな課題を招く。
特開平8−108053号公報 特開2003−147629号公報 特開2000−229227号公報 特開2009−112895号公報 特開2000−051885号公報 特開2004−313923号公報
近年の高分子水処理膜では、上述したような機械的強度、耐薬品性及び透水性の改善、汚れによる目詰まりが発生することによる透水量の低下の防止に対して強い要求があり、さらには、目詰まりによる膜の損傷及び目詰まり解消のための薬洗・逆洗・ばっ気などのメンテナンスに伴うコストの増大を阻止し、大口径化における厚膜化、支持体挿入による設置面積効率低下、ろ過および逆洗時の耐圧性不足を抑制することが、水処理装置の長期的な運転に対する主要な課題となっている。
従って、これらの課題を回避するために、高分子水処理膜自体の防汚性、さらには大口径化時の耐圧性を向上させることが熱望されている。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、機械的強度及び透水性等を確保しながら、水処理効率をさらに向上させた高分子水処理膜、効率的な水処理及びメンテナンスを実現することができる水処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、機械的強度、耐薬品性及び透水性を確保しながら、さらに防汚性を高めることができる高分子水処理膜について鋭意検討を行った結果、ポリ塩化ビニル系樹脂に対して親水性を向上させるモノマーを共重合させることによって塩化ビニル系樹脂との親和性を高めた共重合体と、強度及び耐薬品性に優れた塩化ビニル系樹脂とを用いることにより、高い透水性能及び分離性能を有しながら、親水化によって汚れに対する耐性が向上し、薬洗・逆洗などのメンテナンスの必要頻度を減少させることができ、さらに、耐汚染性に優れた大口径の中空糸膜を得ることができることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の高分子水処理膜は、
塩化ビニルモノマー及び親水性モノマーに由来する構成単位を含む塩化ビニル系共重合体からなる層と、塩化ビニル系樹脂からなる層との積層構造を有する中空糸膜からなることを特徴する。
また、本発明の水処理方法は、上述した高分子水処理膜を分離膜として用いることを特徴とする。
本発明によれば、機械的強度及び透水性を確保しながら、水処理効率をさらに向上させた高分子水処理膜、効率的な水処理及びメンテナンスを実現することができる水処理方法を提供することができる。
本発明の高分子水処理膜を備えた水処理モジュールを用いた内圧式ろ過方法を説明するための概念図である。 本発明の高分子水処理膜を備えた水処理ユニットを用いた内圧式MBRを説明するための概念図である。
本発明の高分子水処理膜は、少なくとも2層が積層構造を有する中空糸膜からなる。
ここでの積層構造を構成する層としては、塩化ビニルモノマーと親水性モノマーとに由来する構成単位を含む塩化ビニル系共重合体(A)からなる層と、塩化ビニル系樹脂(B)からなる層とが挙げられる。これらの層は、少なくとも各1層積層されていればよく、いずれか又は双方が2層以上積層されていてもよい。
(A)塩化ビニル系共重合体
塩化ビニル系共重合体としては、少なくとも塩化ビニルモノマーと親水性モノマーとに由来する構成単位を含む共重合体を意味する。ただし、さらに、これら塩化ビニル又は親水性モノマーと共重合可能な、後述する他のモノマー(X)、架橋性モノマー(Y)、モノマー(Z)等を構成単位として含んでいてもよい。
親水性モノマーとしては、塩化ビニルと共重合が可能なモノマーであって、親水性を有する官能基を有しているモノマーを指す。
親水性を有する官能基としては、その官能基を有するモノマー中に、水分子との間で水素結合を作り得る官能基を指し、例えば、カルボキシル基、水酸基、スルホニル基、アミノ基、アミド基、アンモニウム基、ピリジル基、イミノ基、ベタイン構造、エステル構造、エーテル構造、スルホ基、リン酸基等が挙げられる。
親水性モノマーにおける親水性を有する官能基は、塩化ビニル系共重合体の分子中に含有されている限り、その側鎖に置換/結合していてもよいが、主鎖に置換/結合していることが好ましい。
親水性モノマーは、同一のモノマーのみを用いてもよいし、異なるモノマーを組み合わせて用いてもよい。つまり、塩化ビニル系共重合体においては、1種のみの親水性モノマーが含有されていてもよいし、2種以上の親水性モノマーが含有されていてもよい。また、1つの親水性モノマーに、親水性を有する官能基の異同にかかわらず、2つ以上の親水性を有する官能基が置換/結合していてもよい。
親水性モノマーとしては、例えば、
(1)アミノ基、アンモニウム基、ピリジル基、イミノ基、ベタイン構造等のカチオン性基含有ビニルモノマー及び/又はその塩(以下、「カチオン性モノマー」と記載することがある)、
(2)水酸基、アミド基、エステル構造、エーテル構造等の親水性の非イオン性基含有ビニルモノマー(以下、「非イオン性モノマー」と記載することがある)、
(3)カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等のアニオン性基含有ビニルモノマー及び/又はその塩(以下、「アニオン性モノマー」と記載することがある)
(4)その他のモノマー等が挙げられる。
具体的には、
(1)カチオン性モノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の炭素数2〜44のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド;
ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等の総炭素数2〜44ジアルキルアミノ基を有するスチレン;
2−又は4−ビニルピリジン等のビニルピリジン;
N−ビニルイミダゾール等のN−ビニル複素環化合物類;
アミノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;等のアミノ基を有するモノマーの酸中和物、又は
これらのモノマーをハロゲン化アルキル(炭素数1〜22)、ハロゲン化ベンジル、アルキル(炭素数1〜18)もしくはアリール(炭素数6〜24)スルホン酸又は硫酸ジアルキル(総炭素数2〜8)等により4級化したもの;
ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル型4級アンモニウム塩;
N−(3−スルホプロピル)−N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−スルホプロピル)−N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−カルボキシメチル)−N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−カルボキシメチル−N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等のベタイン構造を有するビニルモノマー等のモノマーが例示される。
これらのカチオン性基の中でも、アミノ基及びアンモニウム基含有モノマーが好ましい。
(2)非イオン性モノマーとしては、ビニルアルコール;
N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド;
グリセリンモノ(メタ)アクリレート等の炭素数1〜8の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(炭素数1〜8、好ましくはポリエチレングリコール)等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、アリルエーテル、ビニルエーテル、スチリルエーテル(反応性を確保するために、ポリアルキレングリコールの平均重合度は4〜140であることが好ましく、4〜100がより好ましい);
(メタ)アクリルアミド;
N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド;
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のジアルキル(総炭素数2〜8)(メタ)アクリルアミド;
ジアセトン(メタ)アクリルアミド;
N−ビニルピロリドン等のN−ビニル環状アミド;
片末端アルキルエーテルまたはアリールエーテルであるポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、アリルエーテル、ビニルエーテル又はスチリルエーテル(アルキル基は、炭素数が1〜20であり、アリール基が置換されていてもよい(ここでのアリール基は、炭素数6〜12が挙げられ、具体的には、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル等が挙げられる):アリール基は、なかでもフェニル基が好ましく、炭素数1〜14のアルキル基が置換されていてもよい:アルキレン基は、直鎖又は分岐のいずれでもよく、炭素数1〜20であり、ポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチレングリコールの水素は、炭素数1〜18のアルキル基で置換されていてもよい。ただし、置換されているエチレングリコール単位は全体の50%以下であることが好ましい。反応性を確保するために、ポリアルキレングリコールの平均重合度は4〜140であることが好ましく、4〜100がより好ましい:スチリル基は、α位及び/又はβ位が炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン化アルキル基で置換されていてよく、芳香環上に炭素数1〜20のアルキル基を有していてもよい。);
N−(メタ)アクロイルモルホリン等の環状アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド等が例示される。
なかでも、ビニルアルコール、(メタ)アクリルアミド系モノマー及び上記のヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)基を有する(メタ)アクリル酸エステル、上記の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、片末端アルキルエーテルまたはアリールエーテルであるポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、アリルエーテル、ビニルエーテル、スチリルエーテル、N−ビニルピロリドンが好ましい。
(3)アニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の重合性の不飽和基を有するカルボン酸モノマー及び/又はその酸無水物(1つのモノマー中に2つ以上のカルボキシル基を有する場合);
スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−アルキル(炭素数1〜4)プロパンスルホン酸等の重合性の不飽和基を有するスルホン酸モノマー;
片末端がスルホ基(−SO3H)であるポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、アリルエーテル、ビニルエーテル、スチリルエーテル(スチリル基は、α位及び/又はβ位が炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン化アルキル基で置換されていてよく、芳香環上に炭素数1〜20のアルキル基を有していてもよい。ポリエチレングリコールの水素は、炭素数1〜18のアルキル基で置換されていてもよい。ただし、置換されているエチレングリコール単位は全体の50%以下であることが好ましい。)
ビニルホスホン酸、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜4)リン酸等の重合性の不飽和基を有するリン酸モノマー等が例示される。
アニオン性基は、塩基性物質により任意の中和度に中和されてもよい。この場合、ポリマー中の全てのアニオン性基又はその一部のアニオン性基は、塩を生成する。ここで、塩における陽イオンとしては、アンモニウムイオン、総炭素数3〜54のトリアルキルアンモニウムイオン(例えば、トリメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン)、炭素数2〜4のヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、総炭素数4〜8のジヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、総炭素数6〜12のトリヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等が例示される。
中和は、モノマーを中和しても、ポリマーにしてから中和してもよい。
(4)上述したビニルモノマー以外にも、無水マレイン酸、マレイミド等の水素結合可能な活性部位を有するモノマーであってもよい。
また、塩化ビニル系共重合体を構成するモノマー材料として、上述した親水性モノマー又は塩化ビニルと共重合可能なものであれば、さらに他のモノマー(X)を用いることができる。
このような他のモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、キシリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシ(メタ)アクリレート、2−フェノキシ(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、上述した親水性モノマーにおいて親水性官能基を有さないビニルモノマー等が挙げられる。
さらに、塩化ビニル系共重合体を構成するモノマー材料として、架橋性モノマー(Y)を用いてもよい。
架橋性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;
N−メチルアリルアクリルアミド、N−ビニルアクリルアミド、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスアクリルアミド酢酸等のアクリルアミド類;
ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルエチレン尿素等のジビニル化合物;
ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルアンモニウム塩、ペンタエリスリトールのアリルエーテル化体、分子中に少なくとも2個のアリルエーテル単位を有するスクローゼのアリルエーテル化体等のポリアリル化合物;
ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
また、塩化ビニル系共重合体にさらなる柔軟性又は耐薬品性等を付与するために、塩化ビニル系共重合体を構成するモノマー材料として、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、エチレン、プロピレン、フッ化ビニリデン等のモノマー(Z)を用いてもよい。
なお、親水性モノマーとして、水酸基を有するモノマーに由来する場合には、例えば、水酸基を有するモノマーに由来する構成単位がビニルアルコールに由来する構成単位であってもよい。言い換えると、塩化ビニル系共重合体は、共重合された塩化ビニルと酢酸ビニルとにおいて、酢酸ビニル単位が加水分解により変換したビニルアルコールに由来する構成単位を含むことができる。
同様に、親水性モノマーとして、カルボキシル基を有するモノマーに由来する場合には、水酸基を有するモノマーに由来する構成単位が(メタ)アクリル酸エステルの様なα−β不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位であってもよい。たとえば、塩化ビニル系共重合体は、共重合された塩化ビニルとアクリル酸エチルとにおいて、アクリル酸エチル単位が加水分解により変換したα−β不飽和カルボン酸単位とを含むことができる。
塩化ビニル系共重合体は、重合度が250〜5000程度であることが適している。特に、親水性モノマーがポリアルキレングリコール含有モノマー単位である場合、重合度は、500〜5000であることがより好ましく、その他の親水性モノマーである場合、250〜3000が好ましく、500〜1300がより好ましい。重合度は、例えば、JIS K 6720−2に準拠した測定法により測定することができる。親水性モノマーがポリアルキレングリコール含有モノマーである場合に上記範囲がその他のモノマーの場合より大きいのは、前者のモノマーは側鎖が嵩高いため、測定される重合度が大きめになるためである。重合度が小さすぎると、作成した水処理膜の強度に乏しく、大きすぎると、製膜溶液が高粘度になること、高温に加熱しなければ製膜に必要な濃度が得られないことがある。
塩化ビニル系共重合体における塩化ビニルモノマーに由来する構成単位の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル系共重合体を構成する塩化ビニルモノマーに由来する構成単位と親水性モノマーに由来する構成単位との合計に対して、40〜99質量%程度、40〜90質量%程度、40〜85質量%程度であることが好ましく、40〜80質量%程度であることがより好ましい。親水性モノマーに由来する構成単位は、1〜60質量%程度であることが好ましく、10〜60質量%程度であることがより好ましく、15〜60質量%程度、さらに20〜60質量%程度がさらに好ましい。なお、後述する塩化ビニル系樹脂(B)が、その構成単位として含まれている場合は、塩化ビニル系樹脂(B)に含有されている親水性モノマーに由来する構成単位の含有量よりも多いことが好ましい。
このように、塩化ビニル系共重合体において、塩化ビニルモノマーに由来する構成単位を比較的多く、例えば、40質量%以上とすることにより、塩化ビニル系樹脂からなる層への接着に必要な強度を確保することができるとともに、親水性の付与により、耐汚染性を改善することができる。
塩化ビニル系共重合体は、実質的に塩化ビニルモノマーに由来する構成単位と親水性モノマーに由来する構成単位とのみからなる共重合体であることが好しいが、上述したように、他のモノマー(X)、(Y)及び/又は(Z)を用いてもよい。この場合には、これら他のモノマー(X)、(Y)及び(Z)の含有量は、例えば、塩化ビニル系共重合体を構成する塩化ビニルモノマーに由来する構成単位と親水性モノマーに由来する構成単位との合計に対して、それぞれ、60質量%程度以下であることが好ましい。
(B)塩化ビニル系樹脂
塩化ビニル系樹脂とは、(a)塩化ビニルモノマーの単独重合体、(b)塩化ビニルモノマーと、その他のモノマー、例えば、塩化ビニルモノマーと共重合可能であって、かつ不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、(c)塩化ビニルモノマーと共重合可能であって、かつ不飽和結合を有するモノマーの重合体に、塩化ビニルモノマーがグラフト重合したグラフト共重合体、(d)これらの(共)重合体における塩化ビニルモノマーに由来する構成単位が塩素化されたものからなる(共)重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
なお、塩化ビニルモノマーに由来する構成単位が塩素化されたものは、塩化ビニル系樹脂において、塩素化塩化ビニルモノマーに由来する構成単位を含むものであることを意味し、塩化ビニルモノマーに由来する構成単位の塩素化は、重合前に行われていてもよいし、重合した後に行われていてもよい。
塩化ビニル系樹脂における塩化ビニルモノマーに由来する構成単位は、例えば、塩化ビニル系樹脂を構成する塩化ビニルモノマーに由来する構成単位と上述したモノマーに由来する構成単位との合計に対して、50重量%以上であることが好ましく、50〜99質量%程度であることがより好ましい。ここでの質量計算では、塩化ビニル系樹脂中に、当該共重合体樹脂にブレンドされる他の成分を含まない。
塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、上述した他のモノマー(X)で例示した(メタ)アクリル酸誘導体;
エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;
塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニルビニル類;
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、アクリロニトリル等が挙げられる。
さらに、上述したモノマー(Z)を用いてもよい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
塩化ビニルにグラフト共重合する重合体としては、塩化ビニルにグラフト重合させることができるものであれば特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
さらに、上述した架橋性モノマー(Y)を用いてもよい。
また、特に、上述した塩化ビニル系共重合体との親和性を得るために、上述した親水性モノマーが共重合されていてもよい。この場合、親水性モノマーに由来する構成単位は、塩化ビニル系樹脂を構成するモノマーに由来する構成単位の合計に対して、20質量%未満が好ましく、15質量%以下がより好ましく、さらに10質量%以下がさらに好ましい。別の観点から、親水性モノマーに由来する構成単位は、上述した塩化ビニル系共重合体(A)における親水性モノマーに由来する構成単位の含有量よりも少ないことが好ましい。
なお、塩化ビニル系樹脂には、上述した(共)重合体のほか、上述した塩化ビニルモノマー以外のモノマーの(共)重合体など他の(共)重合体がブレンドされていてもよい。この場合の他の(共)重合体は、塩化ビニル系樹脂に対して、50質量%以下が好ましい。
本発明の高分子水処理膜を構成する塩化ビニル系共重合体及び塩化ビニル系樹脂には、製膜時における成形性、熱安定性等を向上させる目的で、添加剤、例えば、滑剤、熱安定剤、製膜助剤等をブレンドしてもよい。
滑剤としては、ステアリン酸、パラフィンワックス等が挙げられる。
熱安定剤としては、一般に塩化ビニル系樹脂の成形に用いられる錫系、鉛系、Ca/Zn系の各安定剤が挙げられる。
製膜助剤としては、各種重合度のポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の親水性高分子が挙げられる。
これらの添加剤を添加する場合には、塩化ビニル系共重合体又は塩化ビニル系樹脂の重量に対して、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。
塩化ビニル系樹脂は、重合度が250〜3000程度であることが好ましく、500〜1300であることがより好ましい。重合度が低すぎると、紡糸する際の溶液粘度が低下し、製膜作業が困難となり、また、作成した水処理膜の強度が乏しくなる傾向がある。一方、重合度が高すぎると、粘度が高くなりすぎることに起因して、製膜された水処理膜に気泡の残留をもたらす傾向がある。ここでの重合度はJIS K 6720−2に準拠して測定した値を意味する。
重合度を上記の範囲に調整するためには、反応時間、反応温度等の当該分野において公知の条件を適宜調節することが好ましい。
塩化ビニル系共重合体及び塩化ビニル系樹脂の製造方法は、特に限定されず、従来公知の任意の重合方法を利用することができる。例えば、塊状重合方法、溶液重合方法、乳化重合方法、懸濁重合方法等が挙げられる。
特に、塩化ビニルモノマー又は構成単位の塩素化の方法としては、特に限定されるものではなく、当該分野で公知の方法、例えば、特開平9−278826号公報、特開2006−328165号公報、国際公開WO/2008/62526号等に記載の方法を使用することができる。また、塩素化塩化ビニル系樹脂としての塩素含有率は、58〜73.2%であるものが適しており、60〜73.2%であるものが好ましく、67〜71%であるものがより好ましい。
本発明の高分子水処理膜は、上述したように、少なくとも2層の積層構造を有する。塩化ビニル系共重合体からなる層は、少なくとも1層はろ過を受ける液側に配される。塩化ビニル系共重合体からなる層の厚みは中空糸膜の肉厚の0.25%〜20%かつ0.05mm〜0.3mmの範囲であることが好ましい。塩化ビニル系共重合体の厚みが小さすぎると対汚染性が不足するおそれがあり、大きすぎると膜の耐圧性が低下するおそれがある。
このような、高分子水処理膜は、熱誘起相分離法、非溶媒相分離法、延伸法など、当該分野で公知の方法のいずれを利用して製造することができる。なかでも、非溶媒相分離法によって製造することが好ましい。
また、この高分子水処理膜を中空糸膜に成形する場合は、多層ノズルを用いて紡糸する方法、一旦、塩化ビニル系樹脂からなる中空糸膜を作製し、その表面に塩化ビニル系共重合体を溶液化したものをコート(塗布、スプレー等)する方法等を用いることが適している。
本発明の高分子水処理膜は、その形状が中空糸膜状であることが好ましい。この場合、例えば、中空糸膜の内径は0.3mm〜8mm程度、肉厚が0.1mm〜2mm程度が挙げられる。
また、高分子水処理膜は、多数の微細孔を有する多孔質膜であることが好ましい。その微細孔の平均孔径は、例えば、0.001〜10μm程度、好ましくは0.01〜1μm程度が挙げられる。空隙率は、例えば、10〜90%程度、好ましくは20〜80%程度が挙げられる。ここでの空隙率は、見かけ密度(形状を電子顕微鏡等により測定し、体積を計算。質量は天秤により測定)÷真密度(自動密度計により測定)によって算出することができる。別の観点から、孔の大きさ及び密度は、上述した内径、肉厚、得ようとする特性等によって適宜調整することができ、例えば、後述する透過水量を実現することができる程度であることが適している。
本発明の高分子水処理膜は、膜間差圧100kPaにおける純水の透過水量が100L/(m2・h)程度以上が好ましく、200L/(m2・h)程度以上であることがさらに好ましい。
また、上述した高分子水処理膜を用いて水を浄化することにより、水処理を行うことができる。水処理方法自体は、当該分野で公知のいずれの方法を適用してもよい。
本発明の高分子水処理膜によれば、透過水量と引張強度とのバランスを適切に図ることができ、分離膜として既存の水処理装置に好適に利用することができる。よって、水の精製を目的とする好適な水処理方法が可能となる。
さらに、近年採用が増えている浸漬型MBR(膜分離活性汚泥法)で使用する、つまり、高分子水処理膜の内部に活性汚泥を通して水を分離することができる。この場合、中空糸形状の水処理膜よりなるユニットを活性汚泥処理層に浸漬させ、膜を透過させる向きに処理水が流入するようにユニットに負圧をかけることにより、処理水を吸引ろ過して水処理することができる。
また、とくに大口径化した場合は内圧式MBRでの使用が有利である。例えば、高分子水処理膜の中空内部に活性汚泥を通して水を分離する方法に用いてもよい。
一例を示すと、図2において、矢印Aに示したように、排水が嫌気槽21及び活性汚泥槽22と順次送られ、活性汚泥槽22で所定の浄化が行われた後、矢印Bに示したように、処理水を含む活性汚泥をポンプで引抜するとともに、複数の中空糸水処理膜23を円筒状ケースの中に収容し、端部を封止材14で封止された水処理モジュール20を用い、中空糸水処理膜23の中空内部に処理水を含む活性汚泥を0.3MPa以上の圧を負荷して通水し、中空糸処理膜を通して分離された矢印Dに示す処理水と、活性汚泥とに分離する方法が例示される。なお、分離された活性汚泥は、矢印Cに示すように活性汚泥槽22に戻され、再利用される。活性汚泥の濃度は3000ppm〜10000ppmが好ましい。
以下、本発明の高分子水処理膜及び水処理方法を、実施例に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、これら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
共重合体溶液(A1)の作製
塩化ビニルモノマーとメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの重合度約9)とを重量比50:50で含む共重合体樹脂を懸濁重合法により製造した。共重合樹脂の重合度は800であった。
得られた共重合樹脂を20重量%と、製膜助剤としてポリエチレングリコール400を10重量%とを、ジメチルアセトアミド70重量%に溶解して、共重合体溶液(A1)を得た。
塩素化塩化ビニル樹脂溶液(B1)の作製
塩素化塩化ビニル樹脂として積水化学工業株式会社製、HA31K(塩素化度67%、重合度800)を25重量%と、製孔助剤としてポリエチレングリコール400を20重量%とを、ジメチルアセトアミドに溶解して、塩素化塩化ビニル樹脂溶液(B1)を得た。
中空糸膜の作製
三層中空糸ノズルの中央より水、その外側よりA1、最外層よりB1を連続的に吐出させ、水浴層にて相分離させることによって内側に塩化ビニル系共重合体、外側に塩化ビニル系樹脂が積層した多孔質の中空糸膜を得た。
得られた中空糸膜の外径は5.4mm、内径は4.7mm、内側層の厚みは0.1mm、外側層の厚みは0.6mmであった。
また、引張破断強度は35N/本、引張破断伸び50%であった。
なお、引張破断強度及び引張破断伸びは、引張試験機(島津製作所社製)を用いて、つかみ具間距離50mmで中空糸膜試験片を、100mm/分で引張った際の破断点の強度及びその伸びを測定することによって、求めた。
中空糸膜単糸を用いて図1に示すような水処理モジュールを作製し、透水試験を行った。
この水処理モジュール10は、複数の中空糸水処理膜13を円筒状ケースの中に収容し、中空糸水処理膜13両端部がそれぞれ封止材14で封止されるとともに、円筒状ケースの両端の導水/排水口16a、16bにそれぞれ連結している。そして、処理すべき水が収容された水槽11からポンプを利用して水処理モジュール10に通水し、中空糸処理膜を通して分離された処理水をろ過水槽15に排出させる。また、水処理モジュール10に通水されたがろ過されない水を、濃縮層12へと排出させる。
この透水試験において、純水を用い、処理時の内水圧を0.5MPaとしても、膜構造が変形することなく水処理膜としての性能を発揮させることができた。また、逆洗時の外水圧を0.3MPaとしても、膜構造が変形することなく、洗浄に支障のない性能を発揮させることができた。
純水透水性能は210L/m2・hr・atmであった。
また、100ppm濃度のγグロブリン水溶液を用いて、処理時の内水圧を0.05MPaでろ過したところ、純水透水性能と比較した相対透水率は、約80%であった。
比較例1
実施例1の塩素化塩化ビニル樹脂25重量%と、製孔助剤としてポリエチレングリコール400を20重量%とを、ジメチルアセトアミドに溶解し、中空糸ノズルより連続的に吐出させ、水浴層にて相分離させることによって多孔質の中空糸膜を得た。
また、引張破断強度は33N/本、引張破断伸び50%であった。
この中空糸膜単糸を用いて実施例1と同様に純水による透水試験を行った結果、処理時の内水圧0.5MPaで、膜構造が変形することなく水処理膜としての性能を発揮させることができた。また、逆洗時の外水圧0.3MPaの条件においても膜構造が変形することなく、洗浄に支障のない性能を発揮させることができた。
純水透水性能は200L/m2・hr・atmであった。
100ppm濃度のγグロブリン水溶液を0.05MPaでろ過したところ純水透水性能と比較した相対透水率は、約20%であった。
実施例2
共重合樹脂溶液(A2)の作製
実施例1の共重合樹脂を16重量%と、製膜助剤としてポリエチレングリコール400を10重量%とを、ジメチルアセトアミド74重量%に溶解させた。
塩素化塩化ビニル樹脂溶液(B2)の作製
塩素化塩化ビニル樹脂として積水化学工業株式会社製、HA31K(塩素化度67%、重合度800)を20重量%と、製孔助剤としてポリエチレングリコール400を20重量%とを、ジメチルアセトアミドに溶解した。
中空糸膜の作製
三層中空糸ノズルの中央より水、その外側にB2、最外層よりA2を連続的に吐出させ、水浴層にて相分離させることによって外側に親水性樹脂が積層された多孔質の中空糸膜を得た。
得られた中空糸状の膜は、内径0.8mm、外径1.4mm、親水性樹脂層厚みは0.05mmであった。さらに、引張破断強度は、8.0N/本であった。
中空糸膜単糸の片末端を封止し、反対側に受水トラップを介して吸引ポンプを接続し、その中空糸膜を純水に浸漬し0.05MPaで吸引ろ過したところ、純水透水性能は440L/m2・hr・atmであった。
また、100ppm濃度のγグロブリン水溶液を同様にろ過したところ純水透水性能と比較した相対透水率は、約80%であった。
比較例2
実施例1の親水性樹脂溶液(A1)を中空糸ノズルより連続的に吐出させ、水浴層にて相分離させることによって多孔質の中空糸膜を得た。得られた中空糸状の膜は、内径0.8mm、外径1.4mmであった。さらに、引張破断強度は、2.0N/本であった。
実施例2同様に純水をろ過したところ、純水透水性能は400L/m2・hr・atmであった。
また、100ppm濃度のγグロブリン水溶液をろ過したところ純水透水性能と比較した相対透水率は80%であった。
実施例3
共重合樹脂溶液(A3)の作製
塩化ビニルモノマーに由来する構成単位とメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの重合度約23)モノマーに由来する構成単位とを重量比60:40で含む共重合体樹脂を懸濁重合法により製造した。共重合樹脂の重合度は1100であった。共重合樹脂を14重量%と、製膜助剤としてポリエチレングリコール400を8重量%とを、ジメチルアセトアミド78重量%に溶解させた。
中空糸膜の作製
三層中空糸ノズルの中央より水、その外側よりA3、最外層より実施例1に用いたB1を連続的に吐出させ、水浴層にて相分離させることによって内側に親水性樹脂が積層された多孔質の中空糸膜を得た。
得られた中空糸膜の外径は5.4mm、内径は4.7mm、親水性樹脂層厚みは0.07mmであった。
引張破断強度は33N/本、引張破断伸び54%であった。
実施例1と同様に純水による透水試験を行った結果、処理時の内水圧0.5MPaで、膜構造が変形することなく水処理膜としての性能を発揮させることができた。また、逆洗時の外水圧0.3MPaの条件においても膜構造が変形することなく、洗浄に支障のない性能を発揮させることができた。
純水透水性能は210L/m2・hr・atmであった。
100ppm濃度のγグロブリン水溶液を0.05MPaでろ過したところ純水透水性能と比較した相対透水率は、約75%であった。
実施例4
共重合樹脂溶液(A4)の作製
塩化ビニルモノマーに由来する構成単位とN−ビニル−2−ピロリドンモノマーに由来する構成単位とを重量比80:20で含む共重合体樹脂を懸濁重合法により製造した。共重合樹脂の重合度は650であった。共重合樹脂を20重量%と、製膜助剤としてポリエチレングリコール400を10重量%とを、ジメチルアセトアミドに溶解させた。
中空糸膜の作製
三層中空糸ノズルの中央より水、その外側よりA4、最外層より実施例1に用いたB1を連続的に吐出させ、水浴層にて相分離させることによって内側に親水性樹脂が積層された多孔質の中空糸膜を得た。
得られた中空糸膜の外径は5.6mm、内径は4.7mm、親水性樹脂層厚みは0.18mmであった。
引張破断強度は33N/本、引張破断伸び50%であった。
実施例1と同様に純水による透水試験を行った結果、処理時の内水圧0.5MPaで、膜構造が変形することなく水処理膜としての性能を発揮させることができた。また、逆洗時の外水圧0.3MPaの条件においても膜構造が変形することなく、洗浄に支障のない性能を発揮させることができた。
純水透水性能は200L/m2・hr・atmであった。
100ppm濃度のγグロブリン水溶液を0.05MPaでろ過したところ純水透水性能と比較した相対透水率は、約65%であった。
上記結果から、本発明による高分子水処理膜は、耐汚染性と引張強度とのバランスに優れており、例えば、引っ張り強度があり、グロブリンによる透水低下も低減されていることから、両者のバランスに優れており、水処理効率のさらなる向上や膜の洗浄頻度を低減させることができる。また、各層とも塩化ビニル系樹脂を用いているために両者の親和性が高く、十分接着しており、長期間剥離することなく使用に耐えることができる。さらに、実施例1、3および4のように水処理膜として十分な耐内外水圧強度0.3MPa以上の機械的強度と、100L/m2・hr・atm以上の透水性等を確保しながら、耐汚染性に優れた大口径の中空糸膜を得ることができる。その結果、効率的な水処理を行うことができる水処理方法を実現することができる。
本発明は、水処理装置の態様等にかかわらず、河川水及び地下水の除濁、工業用水の清澄、排水及び汚水処理、海水淡水化の前処理等の水の精製等のために使用される水処理膜、精密濾過膜等として、広範に利用することができる。
10、20 水処理モジュール
11 水槽
12 濃縮水槽
13、23 中空糸水処理膜
14、24 封止材
15 ろ過水槽
16a、16b 導水/排水口
21 嫌気槽
22 活性汚泥槽

Claims (5)

  1. 塩化ビニルモノマー及び親水性モノマーに由来する構成単位を含む塩化ビニル系共重合体からなる層と、塩化ビニル系樹脂からなる層との積層構造を有する中空糸膜からなることを特徴する高分子水処理膜。
  2. 前記塩化ビニル系共重合体における親水性モノマーは、塩化ビニルモノマーに由来する構成単位及び親水性モノマーに由来する構成単位の合計に対して20〜60質量%で含有される請求項1に記載の高分子水処理膜。
  3. 前記塩化ビニル系樹脂は、構成単位として塩素化塩化ビニルモノマーを含む請求項1又は2に記載の高分子水処理膜。
  4. 積層構造が、多層ノズルを用いた紡糸法によって一体的に形成されてなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の高分子水処理膜を分離膜として用いることを特徴とする水処理方法。
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