JP2012531609A - キャピラリー電気泳動による糖化ヘモグロビンの分析およびアッセイ、緩衝組成物およびキャピラリー電気泳動のためのキット - Google Patents

キャピラリー電気泳動による糖化ヘモグロビンの分析およびアッセイ、緩衝組成物およびキャピラリー電気泳動のためのキット Download PDF

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Abstract

本発明は、N末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を含む少なくとも1つのグロビン鎖を含み、生体試料に含有されている糖化ヘモグロビンのキャピラリー電気泳動による分析のための方法であって、1つまたは複数の糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成し、前記ヘモグロビンにアルカリ性pHを有する複数の負電荷を伝達することができる少なくとも1つの化合物を含む緩衝組成物の実施を含む前記方法に関する。たとえば、前記化合物は、3,4-または3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸、好ましくは3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸でありうる。前記方法は、特に、他のヘモグロビン、特に他のマイナー画分を含んでいてもよい生体試料中に存在するHbA1cヘモグロビンを分離しアッセイするために使用することができる。本発明は、前記分析に有用な緩衝組成物、ならびにキャピラリー電気泳動により糖化ヘモグロビンを分析しアッセイするためのキットにも関する。

Description

本出願は、キャピラリー電気泳動による糖化ヘモグロビン、特にヘモグロビンA1cの分析およびアッセイの分野に関する。
本発明は、1つまたはいくつかのヘモグロビン、特に1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビンを含む生体試料のキャピラリー電気泳動による分析のための方法、ならびに前記分析のための適切な緩衝組成物、ならびにキャピラリー電気泳動による糖化ヘモグロビンの分析のおよびアッセイのためのキットに関する。
ヘモグロビン(Hb)は一般に、4つのサブユニットを含み、各サブユニットがヘム部分にコンジュゲートされたポリペプチド鎖により構成される球状分子である。このポリペプチド鎖はまとめて、ヘモグロビン分子の「グロビン部分」と呼ばれる。
ヒトヘモグロビンはすべて、2つの同一鎖の2つの群をなす4つのポリペプチド鎖により構成されている。成人では、通常3種類のヘモグロビン、すなわち、大多数を占め(HbAは一般に成人におけるヘモグロビンのほぼ97%に相当する)、2本のアルファ鎖と2本のベータ鎖(ヘモグロビンα2β2)により構成されるヘモグロビンA(HbA)、2本のアルファ鎖と2本のデルタ鎖(ヘモグロビンα2δ2)により構成されるヘモグロビンA2(HbA2、一般に成人におけるヘモグロビンのほぼ1〜3%に相当する)、および2本のアルファ鎖と2本のガンマ鎖(ヘモグロビンα2γ2)により構成されるが、痕跡量しか存在せず(一般に成人におけるヘモグロビンの1%未満)限定された細胞集団(「F細胞」)に限られたままである胎児ヘモグロビン(HbF)が存在する。
ヘモグロビンは小数種(minor species)として知られる種を含有しており、それは糖化ヘモグロビンである。
糖化ヘモグロビン(グリコシル化ヘモグロビンまたはグリコヘモグロビンとしても知られる)は、グロビンのアミン官能基(NH2)上のオース(ose)、主にグルコースの結合により修飾されたヘモグロビン分子のセットに相当し、ヘモグロビンのNH2基は還元糖由来のアルデヒド基と縮合する。この反応は、非酵素的であるが、次にアマドリ転位により安定化される。潜在的糖化部位は、ヘモグロビンの4つのグロビン鎖(α鎖およびヘモグロビンの種類によって決まるβ、δまたはγ鎖)のN末端アミノ酸ならびにヘモグロビンのグロビン鎖における遊離のアミノ-イプシロン基(特にリジン残基のアミノ-イプシロン基)である。
多くの形態の糖化ヘモグロビンが存在し、その形態は結合オースの数、グロビン鎖の性質および前記鎖上に結合しているオースに、ならびにグロビン鎖上の前記オースの位置に依拠している。
用語「全糖化ヘモグロビン」は、任意のNH2残基上の糖化ヘモグロビンの分子を検討する際に使用される。
用語「ヘモグロビンA1(HbA1)」は、1分子のオースがタンパク質の1つまたは2つのベータ鎖のN末端アミノ酸に結合しているヘモグロビンAの分子を表すのにとっておく。A1画分は、不均一であり、特にマイナー画分A1a、A1bおよび特にA1cを含む。ヘモグロビンA1a(HbA1a)には、N末端アミノ酸に結合しているオースがフルクトース1-6二リン酸であるヘモグロビンA1a1(HbA1a1)、およびN末端アミノ酸に結合しているオースがグルコース-6-リン酸であるヘモグロビンA1a2(HbA1a2)が挙げられる。ヘモグロビンA1b(HbA1b)の場合、N末端アミノ酸に結合しているオースはピルビン酸である。最後に、ヘモグロビンA1c(HbA1c)のベータ鎖のN末端アミノ酸に結合しているオースはグルコースであり、HbA1cは、1分子のグルコースをβ鎖のN末端バリンのNH2基と縮合させ、すでに形成されている不安定なアルジミン(不安定HbA1cまたはpreA1cと呼ばれる)の転位(アマドリ転位)に由来する安定なケトアミンを形成することにより得られる。
最後に、用語ヘモグロビンA0(HbA0)は一般に、非糖化Aヘモグロビンおよびβ鎖のN末端位のアミノ酸に結合しているオースを含まない糖化Aヘモグロビンを包含する。
タンパク質糖化(糖化ヘモグロビンおよび、他の多くのヘモグロビンの中でも特にヘモグロビンA1cを含む)は、血液中の極めて高濃度の糖により引き起こされる(糖尿病の場合と同じである)。タンパク質の糖化は、タンパク質の機能を変えて細胞病変、組織病変および血管老化を引き起こし、動脈硬化、腎不全、糖尿病網膜症および白内障などのいくつかの疾患の発症に関与している。ヘモグロビンは、糖化されると、酸素をうまく輸送しなくなる。
ヘモグロビンのグループおよびサブグループのすべてに含まれており、HbA1cは、患者の糖尿病状態の持続性マーカーとして働くために特に興味深い。HbA1cの形成は血糖(血液中のグルコース濃度)に依存している。HbA1cは、通常120日である赤血球の寿命の間ずっと介在している。したがって、HbA1cの血中濃度は、アッセイに先行する2〜3か月間にわたり平均血糖を示す。HbA1cの血中濃度が上昇すると、その期間中、長期高血糖を示す。HbA1cの血中濃度は、血液グルコースのレベルの短期変動に影響されない。したがって、2つの日付間のHbA1cレベルを測定することにより、糖尿病の進展をモニターすることが可能である。
糖尿病患者では、目的は、血糖の良好な平衡を特徴付ける数値にできる限り近いHbA1cレベルを得ることである。正常血糖を有する非糖尿病ヒトにおける基準値は、Aヘモグロビンの全濃度(糖化ヘモグロビンと非糖化ヘモグロビン)と比べて、血液中4%〜6%HbA1cである(すなわち、20〜42mmol/moles; Panteghiniら、2007年)。
したがって、糖化ヘモグロビンの検出、特にHbA1cレベルの増加の検出は、糖尿病(1型もしくは2型)を診断する、または特に糖尿病(1型もしくは2型)に対する治療の効果を評価するために、糖尿病患者をモニターするのには明らかに興味深い。
しかし、その結果を解釈するのは困難である場合がある。なぜならば、多くの要因、特に異常なヘモグロビンの存在がその結果をゆがめることがあるからである。
実際、ある種の患者において、特に文字S、C、D、E、HおよびJにより示される「異常」またはバリアントと呼ばれるヘモグロビンに遭遇する。ヘモグロビンAは、部分的にまたは完全に、1つまたはいくつかの異常ヘモグロビンに置き換わっている。異常ヘモグロビンは、特にある種のグロビン鎖の合成の減少、および/またはあるアミノ酸の別のアミノ酸による置換によるα、β、γもしくはδ鎖の構造の改変に由来する。したがって、たとえば、β鎖における改変により、SまたはCヘモグロビンが生じうる(β鎖における6位のグルタミン酸がそれぞれバリンまたはリジンで置換されているα2β2ヘモグロビン)。
これらの異常ヘモグロビンも糖化に感受性である。したがって、HbA1c同様に、β鎖上のN末端バリンに結合している1分子のグルコースを含むヘモグロビンS1c(HbS1c)およびC1c(HbC1c)が存在する(Abrahamら、1984年)。
糖化ヘモグロビン、特にヘモグロビンHbA1cの分析およびアッセイのための方法は、2つの広い範疇に分類しうる。
第一の範疇、すなわち主要な範疇には、免疫アッセイまたは親和性クロマトグラフィーなどの方法が挙げられる。この範疇は、ヘモグロビンに結合している糖分子の構造上の特徴に基づいている。例として、Wilsonら、1993年による出版物および米国特許第6,162,645号は、親和性クロマトグラフィーによるヒト血液試料中で見出される糖化ヘモグロビンのアッセイのための方法を記載している。前記方法は、ポリアニオン化合物(たとえば、ポリアクリル酸)を介してボロン酸、フェニルボロン酸、ホウ酸または類似のボロネート(boronate)化合物に連結された固体正電荷相の使用に基づいている。分析される血液試料がその固相と一緒にインキュベートされると、その試料中に存在する糖化ヘモグロビン分子のグルコース残基はボロネート化合物と複合体を形成する。したがって、糖化ヘモグロビン分子は固相上にグラフト(graft)される。次に、非固定化ヘモグロビンの割合と比べた固相上に固定化された糖化ヘモグロビンの割合を定量することが可能である。そのアッセイは、蛍光の消滅を測定することにより(Wilsonら、1993年)、またはヒトヘモグロビンに対して向けられた標識抗体を使用することにより(米国特許第6,162,645号)実施される。
糖化ヘモグロビンの分析およびアッセイのための方法の第二の範疇には、イオン交換クロマトグラフィーまたは電気泳動が挙げられる。この範疇は、分子の物理化学的特徴を利用し、糖化タンパク質と非糖化タンパク質間に存在する電荷差に基づいている。
糖化ヘモグロビンのアッセイを可能にし、文献に記載されている様々な分析法のうち、電気泳動法はいくつかの範疇に分かれる。すなわち、ゲル分析には、ポリアクリルアミドゲル等電点焦点分析(polyacrylamide gel isoelectric focusing analysis) (Beccaria、1978年; Simon、1982年; Stickland、1982年; Bosisio、1994年)およびアガロースゲル分析(米国特許第5,246,558号;米国特許第4,222,836号; Menard、1980年)が挙げられる。キャピラリー電気泳動分析には、等電点電気泳動(isoelectric focusing)分析(Molteni、1994年; Hempe、1994年)、抗A1c抗体を使用する自由溶液(free solution)分析(米国特許第5,431,793号)、ネイキッド(naked)キャピラリーを使用する自由溶液分析(米国特許第5,599,433号)およびダイナミックコーティング(dynamic coating)を使用する自由溶液分析(欧州特許第0733900 A2号、米国特許第5,611,903号)が挙げられる。
生体試料の電気泳動による分析は、試料中に存在する様々なタンパク質、特に様々なヘモグロビンを分離することが可能であり、生体試料中の対象の1つまたはいくつかのタンパク質の量および/または割合の決定を可能にする。キャピラリー電気泳動では、電解質で充填されたキャピラリーでは、生体試料のタンパク質は電場の効果の下で、その質量およびその電荷の作用として陽極から陰極に向かって移動する。したがって、タンパク質は一連のピーク(画分とも呼ばれる)を含む電気泳動移動プロファイル(electrophoretic migration profile)を生み出し、ピークのそれぞれが1つまたはいくつかのタンパク質に対応する。HbS、HbCおよびHbEなどの異常ヘモグロビンは、HbAの電気泳動移動度とは異なる電気泳動移動度を有する。さらに、ベータ鎖のN末端アミノ酸に結合しているオース残基のせいで、HbA1は低下した等電点を有し、その結果、その他のHbA0種のヘモグロビンの電荷とはわずかに異なる電荷を有する。したがって、電気泳動フィールドでは、またはイオン交換樹脂では、HbA1の移動速度はHbA0の移動速度とは異なっており、このために異なる電荷を有するHbA0からのHbA1の分離が可能になる。
キャピラリー電気泳動の利点は、分析するのに必要な生体試料はごく少量で済むという事実にもある。さらに、この技法による分離は、分離中試料を過度に熱くすることなく高電圧を使用することが可能であるために、非常に迅速でありうる。
等電点電気泳動による分析(Molteni、1994年; Hempe、1994年)は、被膜キャピラリーにおいて実施される。コーティングにはメチルセルロースが使用される。使用される陰極液は水酸化ナトリウム(NaOH)であり、陽極液はリン酸(H3PO4)である。両性電解質を使用することにより、この分析は、そのピークがHbAのピークに非常に近い(Δpl<0.10)HbA1cを含む、ヘモグロビンの様々なバリアントの分離を可能にする。この方法は申し分なく機能するが、日常的に実施するのは簡単ではなく、特に両性電解質のpH範囲に関しては大きな精度を必要とする(HbA1cの等電点(pl)はHbA0の等電点に非常に近い)。
抗HbA1c抗体を使用する自由溶液分析(米国特許第5,431,793号)は、抗HbA1cモノクローナル抗体を用いる反応を受けさせる試料を使用して、ホウ酸緩衝液中、塩基性pH(8〜10のpH)で実施される。さらに正確には、第一の電気泳動図は、抗HbA1c抗体との前反応なしで作業試料を使用して作製される。単一ピークが得られ、面積xはヘモグロビンのすべて(HbA1cを含む)を含有する。第二の電気泳動図は、すでに抗HbA1c抗体と接触させている作業試料を分析することにより得られる。非結合抗HbA1c抗体、抗HbA1c抗体/HbA1c複合体および前記抗体と複合体を形成していないヘモグロビンはこのように分離される。次に、HbA1cの量は、第一の電気泳動図のピークと抗HbA1c抗体と複合体を形成していないヘモグロビンに関する面積yの第二の電気泳動図のピーク間のピーク下の面積の差、すなわち、量x-yにより決定される。この方法はこのように実行が長く複雑であることが判明している。
ネイキッドキャピラリーを使用する自由溶液分析法(米国特許第5,599,433号)は、ヘモグロビンに結合している糖錯化剤(ホウ酸)および塩基性pH(9〜12のpH)の双性イオン緩衝液(CAPS)を必要とする。記載される条件下で得られるプロファイル(本出願の図1に示されている)は、HbA1(米国特許第5,599,433号にはHbA1cを表すピークとして記載されている)およびHbA0を表すピークの分離はかなり小さいことを示している(実施例1参照)。さらに、精製されたマイナー画分の分析では、HbA1a、A1b画分はHbA1cと同時移動(co-migration)して、最終アッセイ結果を妨げていることを示している(本出願の実施例2および図2参照)。実際、その技法はHbA0とHbA1の画分を分離するが、HbA1画分それ自体を分離しない。
ダイナミックダブルコーティング(dynamic double coating)を用いるキャピラリー分析のための技法(欧州特許第0733900 A2号;米国特許第5,611,903号)は、市販されているキャピラリー電気泳動(Analis CEofix(商標)HbA1cキット)に基づく唯一の試験において使用される。この技法は、ポリカチオンを含有する「イニシエータ(initiator)」(溶液中、pH4.6)を用いてキャピラリーを最初に洗浄し、キャピラリーの壁を前記ポリカチオンで被膜することからなる。次に第二の洗浄は、これはポリカチオンと相互作用をすることにより第二の被膜層を提供する効果を有するポリアニオンを含有する分析緩衝液(pH4.6)を用いて実施される。次に、キャピラリーの内部壁上に存在する負電荷の量はネイキッドキャピラリーの場合よりもはるかに高く、はるかに高い電気浸透フラックス(electroosmotic flux)をもたらす。分析される様々な形態のヘモグロビン(糖化A1ヘモグロビンを含む)間で得られる分解能は満足のいくものであり、分析時間も短い。実際的観点から、このダブルコートは、キット製造業者が提供している正確な手順を使用して各分析間で再適用しなければならないが、この手順は常用の分析に適応されていないモノキャピラリー装置(P/ACE、Beckman)について記載されているだけである。
米国特許第6,162,645号 米国特許第5,246,558号 米国特許第4,222,836号 米国特許第5,431,793号 米国特許第5,599,433号 欧州特許第0733900 A2号 米国特許第5,611,903号
したがって、他のヘモグロビン、バリアント、妨害形(不安定形、アセチル化形、カルバミル化形)から、ならびに他のヘモグロビンを含有する生体試料中に存在する他のマイナー画分(特にHbA1aおよびHbA1b)から糖化ヘモグロビン、特にHbA1cを効果的に分離することができる試薬および簡単な実行法の必要性が存在する。理想的には、そのような方法は、得られた電気泳動プロファイルから直接、糖化ヘモグロビン、特にHbA1cの半定量的または定量的アッセイをもたらすことが可能である。
本発明は、特に他のヘモグロビン(糖化および/もしくは非糖化)を含む生体試料中に含有される、N末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を含む少なくとも1つのグロビン鎖を含む1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビンの半定量的または定量的分析を実施することを可能にする代替のキャピラリー電気泳動法を提示する。本発明の前記方法は、前記糖化ヘモグロビンに結合しているグルコース分子の構造上の特徴と試料の様々なヘモグロビン間に存在する電荷差の両方を利用する。
本発明者らは、特定の緩衝組成物を使用することにより、少なくとも1つのグロビン鎖上で、特にベータ鎖上で、N末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を含む、糖化ヘモグロビンの大きく改良された分離、さらに特定すると、HbA1cの大きく改良された分離を実現することが可能であることを明らかにした。
本発明の方法の利点の1つは、前記緩衝組成物が使用されるために、1つまたはいくつかの種類の対象の糖化ヘモグロビン(少なくとも1つのグロビン鎖上のN末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を含む1つまたはいくつかの種類のヘモグロビン、たとえばHbA1c)に対応する電気泳動ピークが、前記緩衝組成物がなければ得られると考えられるピークの位置に関して、前記緩衝組成物が生体試料中に存在すると移動されることである。この移動は、試料のその他のタンパク質、特にその他のヘモグロビン(糖化および/または非糖化)の分離を妨害しない。これにより、他のマイナーHbA1(特にHbA1aおよびHbA1b)からのHbA1cの分離が特に可能になる。結果として、分析の結果は信頼して読み取ることが可能であり、1つのグルコースが少なくとも1つのグロビン鎖のN末端位のアミノ酸に結合している1つまたはいくつかのグルコース残基を含む対象の1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビン(たとえば、ヘモグロビンA1c)の正確なアッセイを可能にすることになる。
本発明の方法は、このように、診断法を確立することを目的とする、または特に抗糖尿病治療の有効性を評価するために糖尿病患者をモニターする好ましい方法を構成する。
したがって、本出願は、1つまたはいくつかのヘモグロビンを含む生体試料に含有される1つまたはいくつかのグルコース残基を含む糖化ヘモグロビン(1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビン)のキャピラリー電気泳動による分析のための方法であって、生体試料の糖化ヘモグロビン(1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビン)のグルコース残基(1つまたはいくつかの残基)と特異的に複合体を形成し、前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pH(すなわち、7を超えるpH)でいくつかの負電荷を与えることもできる少なくとも1つの化合物を含む緩衝組成物を使用することを含む前記方法を提供する。
本出願の状況で使用される用語「いくつかの」は、少なくとも2つ、すなわち2または2を超える、たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10または10を超えるを意味する。
本出願の状況で使用される用語「少なくとも1つ」は、1つまたはいくつかを意味する。
本出願の状況で使用される用語「ヘモグロビン」は、正常であれ異常であれ、ヘモグロビンの任意の形態または画分(マイナー画分を含む)の他にも前記ヘモグロビンの多くのバリアント(ヘモグロビンの少なくとも1000のバリアントがすでに記載されている)を意味する。
本出願の状況で使用される用語「糖化ヘモグロビン」は、1つまたはいくつかの糖、特に1つまたはいくつかのグルコース、グルコース-6-リン酸、フルクトース1-6二リン酸もしくはピルビン酸を、1つまたはいくつかのグロビン鎖(どのようなグロビン鎖でも)に結合させることにより改変される任意のヘモグロビンを意味する。前記糖はグロビン鎖上のN末端位のアミノ酸におよび/または遊離アミノ酸基を有するアミノ酸(たとえば、リジン)に結合していてもよい。
本出願で使用される用語「グロビン鎖」は、当業者には公知の任意のグロビン鎖、特に、正常であれ異常であれ、アルファ(α)、ベータ(β)、デルタ(δ)およびガンマ(γ)鎖、または前記鎖のうちの1つのバリアントから選択される鎖を意味する。特定の実施形態によれば、前記「グロビン鎖」は、ベータ鎖、たとえば、A1ヘモグロビン、特にA1c、SまたはCのベータ鎖である。
本発明の実施形態において「糖化ヘモグロビン」に言及する場合、前記実施形態は、本出願において言及される各特定種の糖化ヘモグロビンへの特定の適用であることは理解されるべきである。
他の方法で示されなければ、本出願において示される各実施形態は、その他の記載された実施形態とは独立して、および/またはその他の記載された実施形態のいずれとでももしくはいくつかと組み合わせて適用可能である。
本発明のキャピラリー電気泳動分析法は、1つまたはいくつかのグルコース残基を含み、1つまたはいくつかのグロビン鎖上に、特にベータ鎖上に、N末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を必ず含む少なくとも1つの糖化ヘモグロビンを含む生体試料に適応可能である。これらのヘモグロビンは、本出願においては「N末端位で糖化されたヘモグロビン」と呼ぶ。
前記方法により、他の糖化ヘモグロビン(すなわち、グロビン鎖がN末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を欠いている糖化ヘモグロビン)から、または分析される生体試料中に存在しうる非糖化ヘモグロビンから1つまたはいくつかのN末端位で糖化されたヘモグロビンを分離することが可能になる。
特定の実施形態によれば、ベータ鎖上のN末端位のアミノ酸はバリンである。
好ましい実施形態では、本発明の分析法は、ヘモグロビンA1cを含む生体試料の分析を目的とする。特に、前記分析法は、分析される生体試料に存在しうる他のヘモグロビンからまたはその他のヘモグロビン(異なった糖化もしくは非糖化)から、特にマイナー画分、たとえば、HbA1aから、およびHbA1bからヘモグロビンA1cを分離するのに適している。
特定の実施形態によれば、本発明の分析法は、分析される生体試料に存在しうるその他のヘモグロビン(異なった糖化もしくは非糖化)から、ヘモグロビンS1cおよび/またはヘモグロビンC1cを分離することが可能である。
用語「緩衝組成物」は、少量の酸もしくは塩基を添加しても、または希釈してもほぼ同一のpHを保持する組成物、特に溶液を意味する。
用語「複合体を形成すること(to complexまたはcomplexing)」は、会合(化学的または単に物理的)が、官能基を介して2つの実体間で、特に2つの分子(たとえば、小分子と巨大分子)間で起こることを示すために本出願においては使用される。
好ましい実施形態では、これら2つの実体のうちの一方(グルコース残基と複合体を形成することができる化合物)は、シスジオール基と、特に他方の実体(糖化ヘモグロビン)由来のグルコース残基の2つの近接するヒドロキシル基と結合する(たとえば、それと反応する)。
「実施例」のセクションにおいて見られるように、本出願における「1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成し、前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHで負電荷を与える」は、本発明の状況において使用される化合物が、別の糖(たとえば、グルコース-6-リン酸、フルクトース1-6二リン酸、またはピルビン酸)によりN末端位において糖化されたヘモグロビンに対応する電気泳動移動ゾーンを超えて、好ましくは試料の他のヘモグロビンに対応する電気泳動移動ピークのゾーンの外側に、グルコースによりN末端位において糖化されたヘモグロビンに対応する電気泳動移動ピークを移動させることを可能にすることを意味する。したがって、ベータ鎖、特にそのA1aおよびA1b画分のN末端アミノ酸に結合しているどんなグルコース残基を含まないマイナー画分は、本発明の方法に従ったHbA1cの分析を妨害しない。
例として、本発明の状況において1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与える化合物の能力は、以下の試験を使用して実証しうる。すなわち、糖化ヘモグロビンの様々な精製された画分、特にA0およびA1c画分またはA0、A1bおよびA1a画分を含有する標準試料(たとえば、Exocell、USA製の「HbA1a、HbA1b混合物」、「A1c」および「A0」)が、以下の緩衝組成物:200mMのCHES、20mMのプトレシン、10〜120mM(たとえば、30mMもしくは50mM)の試験化合物、必要であれば2.5g/lの塩化ナトリウム、水および必要であればpHを9より大きな値、たとえば、9.4に調整する塩基を含有するキャピラリー電気泳動キャピラリーに導入される。次に、ネイキッドキャピラリー自由溶液キャピラリー電気泳動が、たとえば、Capillaries(登録商標)(Sebia)装置を波長415nmで使用して実施される。次に、得られた電気泳動プロファイルが調べられ、HbA1cに対応するピークとHbA0に対応するピーク間(または、使用される試料の種類に応じて、HbA1cに対応するピークとHbA0、HbA1bおよびHbA1aに対応するピーク間)の分離が完全であれば、試験化合物は、本発明の意味においてグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができると見なされる。これとは対照的に、HbA1cに対応するピークとHbA1bに対応するピーク(または、使用される試料の種類に応じて、HbA1cに対応するピークとHbA0、HbA1bもしくはHbA1aに対応するピーク)が重なっているまたは重複しているならば、試験化合物は本発明を実施するのに適切ではないと見なされる。
上に示される試験における試験化合物の濃度は、表示のためにのみ与えられており、濃度10〜120mMの試験化合物が、上で示される試験の状況においてHbA1cに対応するピークと試料のその他のヘモグロビンに対応するピーク間に十分な分離をもたらすことができなければ、HbA1cに対応するピークの最適な分離を得るためにこの濃度範囲を超えることができる。
グルコース残基と特異的に複合体を形成し、本発明の意味におけるアルカリ性pHで負電荷を与えることができるどんな化学化合物でも(すなわち、一般に有機分子)、どんな抗体、ポリペプチド、ペプチドでも、または他のどんな化合物でも、本発明の状況において使用しうる。適切な抗体は、当業者に公知のいかなる方法を使用して産生してもよく、たとえば、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体でも、キメラ抗体でもまたは抗体の断片、たとえば、Fab断片でもよい。
「実施例」のセクションで見られるように、ホウ酸は、信頼性のある分析、特に糖化ヘモグロビン、特にHbA1cの信頼性のあるアッセイを実施することができないので、本発明の意味においてグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化学化合物ではない。適切な化学化合物の例は、以下にさらに詳細に定義されている。
グルコース残基と特異的に複合体を形成することができる化合物と複合体化された各グルコース残基は、化合物の異なる分子と相互作用する。
特定の実施形態によれば、本発明の緩衝組成物中に十分な量で存在する場合には、前記化合物は特に、糖化ヘモグロビンのN末端グルコース残基と特異的に複合体を形成することができる、すなわち、N末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を含むグロビン鎖(特に、ベータ)ごとに前記グルコース残基と特異的に複合体を形成することができる。前記化合物は、このように、A1cヘモグロビンの、またはS1cもしくはC1cヘモグロビンのベータ鎖上のN末端位に結合している各グルコース残基と特異的に複合体を形成することができる。
特定の実施形態によれば、本発明の緩衝組成物中に十分な量で存在する場合には、前記化合物は、グルコースによりN末端位で糖化されたヘモグロビンのすべてのグルコース残基と特異的に複合体を形成することができる。
特定の実施形態によれば、本発明の緩衝組成物中に十分な量で存在する場合には、前記化合物は、グロビン鎖上のその位置とは無関係に、ヘモグロビンのグルコース残基のすべてと特異的に複合体を形成することができる。したがって、前記化合物が本発明の緩衝組成物中に十分な量で存在する場合には、数xのグルコース残基を含むヘモグロビン分子は、数xの前記化合物の分子と結合することが可能である。
生体試料の糖化ヘモグロビンの1つまたはいくつかのグルコース残基と特異的に複合体を形成することにより、前記化合物は、前記糖化ヘモグロビンまたは前記複数の糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHでいくつかの負電荷を与える、すなわち、これらの糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHで負電荷を過充電(surcharge)することを可能にする。
前記化合物は、それにより複合体化した同じヘモグロビンの各グルコース残基にアルカリ性pHでいくつかの負電荷を与える。アルカリ性pHでこのように負電荷を与えるために、少なくとも1つのグルコース残基を含むヘモグロビンの電気泳動移動性は、それが前記化合物と複合体を形成した結果として改変される。これは、分析される生体試料中に存在する1つまたはいくつかのグルコース残基を含む糖化ヘモグロビンに対応する電気泳動ピークの移動により電気泳動プロファイル上にはっきり表される。
生体試料中に存在する少なくとも1つのグルコース残基を含むヘモグロビンのすべては、グルコースと複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与える化合物と複合体を形成する(当然ではあるが、前記化合物が、これらのヘモグロビンのそれぞれと複合体を形成するのに十分な量で存在するという条件で)。しかし、異なるヘモグロビン、特に少なくとも1つのグルコース残基を含む異なるヘモグロビンはすべて、異なる等電点を有する(そのグロビン鎖の性質、それらのグロビン鎖上のグルコース残基の数および位置、ならびに前記ヘモグロビンに結合しうる他の糖の数、性質および位置のために)。各グルコース残基と前記化合物の複合体化により与えられるアルカリ性pHでの負電荷のせいで、ヘモグロビンが前記化合物と複合体を形成している形態になっている場合は、これらの様々なヘモグロビン間の電荷の差ははるかに顕著である。
このように、そのグロビン鎖のうちの少なくとも1つ上(特にベータ鎖上)のN末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を含む糖化ヘモグロビンは、その他のヘモグロビン(特に糖化もしくは非糖化)よりもグルコースを少なくとも1つ多く有している。特に、ヘモグロビンA1cは、ベータ鎖上にヘモグロビンA1のその他のマイナー画分よりグルコースを少なくとも1つ多く有する。結果として、本発明に従って複合体化している場合、N末端位で糖化されたこれらのヘモグロビンは、その他のヘモグロビン(グロビン鎖のN末端アミノ酸に結合しているグルコース残基を含まない糖化ヘモグロビンまたは非糖化ヘモグロビン)よりも、前記化合物によりアルカリ性pHで負電荷を高負荷されている。
したがって、グルコースを含む様々なヘモグロビン間に、および/またはグルコースを含む1つもしくはいくつかのヘモグロビンと分析される生体試料中に存在するその他のヘモグロビン間に存在する電気泳動移動性の差を増加することにより、N末端位で糖化された1つまたはいくつかのヘモグロビンと前記試料中に存在しうるその他のヘモグロビン間に、特にヘモグロビンA1cと前記試料中に存在しうるヘモグロビンA1ヘモグロビンのその他のマイナー画分間でより良好な分離が実現される。
したがって、本発明の方法は、N末端位で糖化されたヘモグロビンを、特にHbA1cを、他のヘモグロビンから、ある種のバリアントから、および他のヘモグロビンを含有する生体試料中に存在する他のマイナー画分から効果的に分離することが可能である。さらに、不安定な、アセチル化されたまたはカルバミル化された形態などの従来の妨害分子は本発明の方法を使用するHbA1cのアッセイを妨害しない。特に、本発明の方法は、電気泳動分離段階中に、複合体化により与えられるアルカリ性pHでの負電荷の不在下で、ヘモグロビンA1cの同時移動から、ならびに生体試料中に存在するヘモグロビンA1の他のマイナー画分(HbA1aおよびHbA1bを含む)により生じうる干渉を回避することを可能にする。
次に、N末端位で糖化された分離されたヘモグロビンは、分析される生体試料中に存在しうる他のまたはその他のヘモグロビンの存在下でアッセイしうる。したがって、例として、HbA1cは、ヘモグロビンA1の他のマイナー画分の存在下で、特にそのアッセイを妨害する分析される生体試料中に存在するこれら他のマイナー画分のないHbA1aおよび/またはHbA1bの存在下でアッセイしうる。
本出願における用語「アッセイすること(to assay)」または「アッセイする(assay)」は、対象のヘモグロビンもしくは複数のヘモグロビンの量が、おそらく、分析される生体試料の1つもしくはいくつかの他のヘモグロビンの存在下で決定されるおよび/またはヘモグロビンの全量に関してもしくは前記試料中に存在するある種のヘモグロビンの量に関して対象の前記ヘモグロビンの割合が決定されることを意味する。
本発明の状況において実施されるアッセイは、半定量的でありうる。したがって、所与のヘモグロビンの百分率は、前記試料中に存在する別のヘモグロビンまたはその他のヘモグロビンの量に関して測定される。したがって、HbA1cの場合、一般にHbA1cの百分率は1つまたはいくつかの他のAヘモグロビンの量に関して測定され、一般にHbA1cに対応する電気泳動ピークの面積は、HbA0に対応するピークの面積により、または総計(HbA1cに対応するピークの面積+HbA0に対応するピークの面積)により、総計(HbAピークのすべての面積)により、または総計(HbA1cに対応するピークの面積+HbA0に対応するピークの面積+HbA2に対応するピークの面積)により、または電気泳動プロファイルの全表面積によってさえ割られる。
前記アッセイは、定量的でもありえ、次に結果は前記試料中に存在する別のヘモグロビンまたは他の複数のヘモグロビン1モルあたりの所与のヘモグロビンのミリモル(mmole)で、たとえば、HbAのモルあたりHbA1cのミリモルで表される。
本発明の特定の実施形態によれば、糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成し、前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHで負電荷を与える化合物は、いくつかの官能基、特に2つまたは2を超える官能基を含む。
前記官能基のうちの少なくとも1つは、たとえば、グルコース残基のシスジオール基と、特に2つの近接するヒドロキシル基と相互作用をすることにより、グルコース残基(特にグロビン鎖上のN末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基)と特異的に複合体を形成する。例として、この(これらの)基は、ボロネート基、特に本出願において定義されているボロネート基でありうる。
前記グルコース複合体形成(complexing)基は、糖化ヘモグロビンに複合体化グルコース残基あたりアルカリ性pHで1個の負電荷、すなわち、複合体化ヘモグロビン分子あたりアルカリ性pHで1個またはいくつかの負電荷(前記ヘモグロビン分子がグルコース残基を1個だけ含む場合は1個の負電荷、および前記ヘモグロビン分子がグルコース残基をn個含む場合はn個の負電荷)を与えうる。
前記化合物のその他の残りの官能基、すなわち、その他の残りの官能基のうちの1つまたはその残りの官能基(すなわち、グルコースと複合体を形成しない官能基)は、糖化ヘモグロビンに1分子の前記ヘモグロビンのグルコースの複合化した残基ごとにアルカリ性pHで1個またはいくつかの負電荷を与える。
したがって、本発明のこの特定の実施形態では、本発明に従ってグルコース残基と特異的に複合体を形成する化合物の各分子は、糖化ヘモグロビンのグルコース残基(特にN末端位で糖化されたヘモグロビンのN末端グルコース残基)と複合体を形成することができる少なくとも1つの官能基、およびグルコースと複合体を形成しないが、前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHで1個またはいくつかの追加の負電荷を与えるために前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHで負電荷を過充電することを可能にする少なくとも1つの官能基を含む。グルコースと複合体を形成することができる官能基も、アルカリ性pHで負電荷を与えうる。
本発明の特定の実施形態によれば、グルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与える化合物(さらに正確には、前記化合物の各分子)は、糖化ヘモグロビン分子に、特にN末端位で糖化されたヘモグロビンに、前記糖化ヘモグロビン分子のグルコースの複合体化した残基ごとに、アルカリ性pHでいくつかの負電荷を与える。好ましくは、複合体化したグルコース残基ごとに、前記化合物は、1個の糖化ヘモグロビン分子にアルカリ性pHで少なくとも2個(特に、2個、3個、4個、5個または6個)の負電荷を与える。
本発明の特定の実施形態によれば、グルコース残基と特異的に複合体を形成する前記官能基または前記官能基のうちの少なくとも1つは、アルカリ性pHで負に荷電される。
本発明の特定の実施形態によれば、糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成し、前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物は、アルカリ性pHでイオン化できる1つまたはいくつかの基(特に、アニオン性基(anionisable))を含む。前記化合物は様々な種類でありうる。たとえば、前記化合物は、1つまたはいくつかのカルボキシレート、カルボキシル、スルホネートおよび/またはスルホニルを含みうる。前記化合物は、特に、ポリカルボン酸、特にジカルボン酸またはトリカルボン酸でもよい。前記化合物は、ポリスルホン酸、特にジスルホン酸またはトリスルホン酸でもよい。
本発明の特定の実施形態によれば、糖化ヘモグロビン分子に、前記糖化ヘモグロビン分子の複合体化したグルコース残基ごとにアルカリ性pHで1個またはいくつかの負電荷を与える基、複数の基のうちの1つまたは複数の基は、本出願において定義されるアルカリ性pHでイオン化できる1つまたはいくつかの基、特に1つまたはいくつかの(特に2つまたは3つの)カルボキシレート、カルボキシル、スルホネートおよび/またはスルホニル基を含むまたはからなる。
本発明の特定の実施形態によれば、グルコース残基と特異的に複合体を形成する基、複数の基のうちの1つまたは複数の基は、1つまたはいくつかのボロネート基を含むまたはからなる。
本出願では、用語「ボロネート基」は、式
を有する基を意味し、D1およびD2は、ヒドロキシル基および水溶液中で特にアルカリ性pHで加水分解されてヒドロキシル基を生成しやすい基から、互いに独立して選択される。
本発明の特定の実施形態では、前記ボロネート基は、基-B(OH)2、(ボロニル基(boronyl group)としても知られる)または電離型、特に-B(OH)- 3である。
本発明の特定の実施形態では、糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成し、前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物は、
(i)一般式RB(OH)2(ボロン酸としても知られる化合物)またはRB(OH)- 3(式中、基Rは、少なくとも1つのアリールおよび/またはアルキル(直鎖状、分枝状または環状)および/またはアラルキルおよび/またはその組合せを含み、前記基Rは、糖化ヘモグロビンに、ボロネート基と複合体化されたグルコース残基ごとにアルカリ性pHで1個またはいくつかの負電荷を与える)を有するボロネート化合物、または
(ii)前記ボロネート化合物の塩
である。
したがって、アルカリ性pHでは、ボロネート化合物またはその塩のボロニルまたはボロネートにより与えられるアルカリ性pHでの負電荷に加えて、基Rは、糖化ヘモグロビンに、ボロニルまたはボロネート基と複合体化するグルコース残基ごとに1個またはいくつかの追加の負電荷を与える。
本出願の状況では、用語「一般式RB(OH)2を有する化合物」は、それと平衡な任意のイオン形態、特にRB(OH)- 3、または媒体の条件に応じてそれと平衡になることができる任意の形態も意味する。
本出願の状況では、用語「塩」は、任意の塩、特にナトリウム塩、リチウム塩またはカリウム塩を意味する。
本発明のボロネート化合物の基Rには、アリール、アルキル、アラリル官能基またはその組合せのうちの1つに加えて、他の官能基および/またはヘテロ原子も挙げられる。
特定の実施形態によれば、本発明のボロネート化合物またはその塩のボロニルまたはボロネート基と複合体化するグルコース残基ごとに、基Rはアルカリ性pHで2個またはそれ以上(好ましくは2個)の負電荷を与える。
特定の実施形態によれば、基Rは1つまたはいくつかのアリール、アルキル(直鎖状、分枝状または環状)および/またはアラルキルおよび/またはその組合せからなる。
特定の実施形態によれば、本発明のボロネート化合物の基Rに存在するアリール、アルキル、アラルキルもしくは他の官能基および/またはヘテロ原子またはその組合せは置換されうる。
本出願において使用される用語「置換される」は、一置換、または対照的に多置換、特に二置換、三置換、四置換、五置換もしくは六置換を意味しうる。
前記置換基は、本出願において定義される、アルカリ性pHでイオン化できる基(特に、アニオン性基)でありうる。前記基Rは、1つまたはいくつかのヘテロ原子または他の官能基を含みうる。
本発明の特定の実施形態によれば、ボロネート化合物の基Rは、糖化ヘモグロビン分子に、複合体化したグルコース残基ごとにアルカリ性pHで1個またはいくつかの負電荷を与える。好ましくは、複合体化したグルコース残基ごとに、ボロネート化合物の基Rは糖化ヘモグロビン分子にアルカリ性pHで1個、2個、3個または4個の負電荷を与える。
上に定義されるボロネート化合物は、特にボロン酸、特にフェニルボロン酸を含む。
本発明の特定の実施形態によれば、糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成し、前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物は、多置換フェニルボロネート、特に、たとえば、カルボキシルキ基および/またはスルホニル基で二置換されている二置換フェニルボロネートである。
本発明の特定の実施形態によれば、ボロネート化合物またはその塩の基Rは、二価酸、特にジカルボン酸である。本発明の特定の実施形態によれば、ボロネート化合物は、ジカルボキシフェニルボロン酸であり、好ましくは、3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸および3,4-ジカルボキシフェニルボロン酸から選択される。
したがって、例として、用いられるボロネート化合物は、3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸(3,5-dCPBA)でよい。この化合物は、特に、供給業者Combi-blocks Inc.(San Diego、USA)から、商標名3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸で、およびApollo Scientific Ltd(Cheshire、United Kingdom)から、商標名3,5-ジカルボキシベンゼンボロン酸で市販されている。
本発明の緩衝組成物中の、糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成し、前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物の濃度は、通常、タンパク質の全量に関して、特に生体試料中に存在するすべてのヘモグロビンの全量に関して、または生体試料中に存在するグルコースを含むすべてのヘモグロビンの全量に関して化学量論的に過剰である。したがって、緩衝組成物中のこの化合物の量は、試料またはその試料のアリコットが緩衝組成物に希釈されている場合は、試料中に存在するヘモグロビンのすべてのグルコース残基が前記化合物と複合体を形成するのに必要な量よりも多い。したがって、分析される生体試料中に存在するグルコースを含む糖化ヘモグロビンの分子ごとに、この糖化ヘモグロビン分子中に存在するグルコース残基と少なくとも同じ数のその化合物分子が緩衝組成物中に存在する。これにより、対象の糖化ヘモグロビンまたは複数の糖化ヘモグロビンの、分析される生体試料中にも存在するその他のヘモグロビンからの完全な分離を実現することができる。
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の緩衝組成物中の、糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成し、前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物の濃度は、0.10〜100mMの範囲、好ましくは10〜60mMの範囲、さらに好ましくは20〜50mMの範囲、たとえば、30mMまたは50mMである。
本出願において使用される語句「x〜yの範囲で」は、限界xおよびyはx〜yの指示される範囲に含まれることを意味する。
特定の実施形態によれば、本発明の緩衝組成物は、
8.0〜11.0の範囲のpKaを有する緩衝化合物、および/または
流動遅延剤(flow retardant)、および/または
塩基、および/または
塩、および/または
適切な希釈溶液、たとえば、水
をさらに含む。
したがって、本発明の緩衝組成物は、(i)糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成し、前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物、ならびに(ii)8.0〜11.0の範囲のpKaを有する緩衝化合物、流動遅延剤、塩基、塩、適切な希釈溶液(たとえば、水)およびその混合物から選択される化合物のうちの1つまたはいくつか、特にすべてを含むまたはからなる。
前記緩衝化合物は、好ましくは、双性イオン化合物である。前記緩衝化合物は、特に、AMP、AMPD、AMPSO、ビシン、CABS、CAPS、CAPSO、CHES、HEPBS、メチルアミン、TABS、TAPS、タウリン、トリシンおよびTrisから選択してよく、特にCAPS、CAPSOまたはCHES、好ましくはCHESが選択される。これらの化合物は、標的pH(pH8〜11)で高い緩衝力(buffering power)を有し、ヘモグロビンの良好な集束を得るのに特に適している。
本発明の緩衝組成物中の緩衝化合物の濃度は、一般に20〜500mMの範囲、好ましくは50〜400mMの範囲、さらに好ましくは100〜350mMの範囲または150〜300mMの範囲、たとえば、約200mMまたは約300mMである。
流動遅延剤は、様々なヘモグロビン間の分離の良好な分解能を得るために電荷の差の効果を強化することを目的とする。この種の化合物は、様々な画分の移動を遅延しその分離を増加することが可能である電気浸透フラックスを減少することにより作用する。使用される流動遅延剤は、脂肪族ジアミン、特に1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン(プトレシン)、1,5-ジアミノペンタン(カダベリン)、1-6-ジアミノヘキサン、スペルミンおよびDETAから選択される脂肪族ジアミン、または前記脂肪族ジアミンの誘導体、またはその混合物でもよい。
本明細書で使用される用語「誘導体」は、脂肪族ポリアミン、環状ポリアミン、塩(たとえば、ナトリウム塩)またはそれらの混合物のうちの1つを意味する。
本発明の特定の実施形態によれば、流動遅延剤は、プトレシン、その誘導体およびその混合物から選択される。
本発明の特定の実施形態によれば、流動遅延剤はプトレシンである。特に、プトレシンは純粋な形態であり、塩を添加してもよい。
本発明の別の特定の実施形態によれば、流動遅延剤はプトレシン塩酸塩(またはプトレシン-2HCl)である。
本発明の緩衝組成物では、流動遅延剤の濃度は、都合よくは0.10〜40mMの範囲、好ましくは10〜30mMの範囲、さらに好ましくは15〜25mMの範囲、たとえば、20mMである。
緩衝組成物に添加してもよい塩基により、前記組成物のpHを調整することが可能になる。特に、水酸化物ファミリーに属する塩基、特に水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化フランシウム、モノ、ジ、トリまたはテトラアルキル水酸化アンモニウム、およびその混合物から選択される塩基を使用しうる。
本発明の特定の実施形態によれば、緩衝組成物に添加してもよい塩基は水酸化ナトリウムである。
都合よくは、そのpHが9.0またはそれ以上、好ましくは9.0〜11.0の範囲、さらに好ましくは9.0〜10.0の範囲、たとえば、9.3〜9.5の範囲、さらに好ましくは9.4または9.5のpHになるのに十分な塩基が緩衝組成物に添加される。9を超えるアルカリ性pHであれば、負電荷ヘモグロビン画分を生成することが可能である(ヘモグロビンの等電点は6.05〜7.63の範囲である)。
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の緩衝組成物中に存在してもよい塩は、ナトリウム塩、好ましくは塩化ナトリウムである。緩衝組成物は、たとえば、2.5g/lの塩化ナトリウムを含みうる。
本発明の特定の実施形態によれば、緩衝組成物がプトレシン、特に純粋なプトレシンを含む場合、前記緩衝組成物は、塩(特にナトリウム塩)、好ましくは塩化ナトリウム、たとえば2.5g/lの塩化ナトリウムをさらに含む。
本発明の別の特定の実施形態によれば、緩衝組成物はプトレシン塩酸塩を含み、塩化ナトリウムは含まず、好ましくはいかなる塩も含まない。
本発明の特定の実施形態によれば、緩衝組成物は、
200mMのCAPSO、
10mMのプトレシン(たとえば、プトレシン-2HClもしくは純粋なプトレシンと塩化ナトリウムのどちらか)、
50mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸、
水、および
必要であれば、そのpHを、たとえば、9もしくは10よりも大きな値に、好ましくは10.2の値に調整する塩基、たとえば水酸化ナトリウム、
または、さらに好ましくは、
200mMのCAPSO、
15mMのプトレシン(たとえば、プトレシン-2HClもしくは純粋なプトレシンと塩化ナトリウムのどちらか)、
100mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸、
水、および
必要であれば、そのpHを、たとえば、9もしくは10よりも大きな値に、好ましくは10.2の値に調整する塩基、たとえば水酸化ナトリウム、
またはさらに好ましくは、
200mMのCHES、
20mMのプトレシン(たとえば、プトレシン-2HClもしくは純粋なプトレシンと塩化ナトリウムのどちらか)、
30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸、
水、および
必要であれば、そのpHを、たとえば、9よりも大きな値に、好ましくは9.4の値に調整する塩基、たとえば水酸化ナトリウム
を含むまたはからなる。
本発明の別の特定の実施形態によれば、緩衝組成物は、上に示される成分を上に示される濃度で、および1つまたはいくつかの塩、特にナトリウム塩、特に塩化ナトリウム、たとえば2.5g/lの塩化ナトリウムを含むまたはからなる。
実施例のセクションで例証されるように、そのような緩衝組成物であれば、ヘモグロビンHbA1cの分析される生体試料中に存在するその他のヘモグロビンからの完全な分離の他にも自由溶液キャピラリー電気泳動の分野では他に類のない方法での様々なマイナー画分(HbA1a、HbA1bおよびHbA1cを含む)の相互分離を実現することができる。
本出願で使用される用語「生体試料」は、赤血球を含む任意の体液を意味する。前記体液は、健康なもしくは病気のヒト患者(たとえば、糖尿病患者)由来でもよく、または動物起源、特に非ヒト哺乳動物(健康もしくは病気でも)由来でもよい。前記体液(ヒトもしくは非ヒト哺乳動物)は、たとえば、血液、特に正常もしくは非正常血液、洗浄された、デカントされた(decanted)、遠心分離された、溶血された試料でも、全血の試料でもよい。生体試料は、合成または精製由来でもよい。
本発明は、血液試料の分析において、特に糖尿病患者由来のまたは糖尿病非ヒト哺乳動物由来の血液試料の分析のために特に適用される。
特定の実施形態によれば、前記生体試料は、いくつかのヘモグロビン、特に少なくとも1つのグロビン鎖上(たとえば、ベータ鎖上)のN末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を含むいくつかの糖化ヘモグロビン、さらに特定するとヘモグロビンA1cを含むまたはからなる。
使用される生体試料は、キャピラリー電気泳動による分析に先立って、適切な希釈溶液、たとえば、溶血溶液および/または分析緩衝液、特に本発明の緩衝組成物を用いて希釈されうる。好ましくは、前記分析は溶血血液の試料を使用して実施される。
別の特定の実施形態によれば、生体試料は最初、溶血溶液に希釈され、次に本発明の緩衝組成物に希釈される。
本出願で使用される用語「溶血溶液」は、赤血球の溶血、すなわち、赤血球の破壊を引き起こし、したがって、ヘモグロビンを遊離させることができる溶液を指す。その組成に応じて、溶血溶液は、随意にわずかな追加の機械的作用(ボルテックス、攪拌など)を用いることにより、赤血球の全溶解を実施することが可能である。溶血溶液は、通常1g/Lの濃度で使用される、Triton X100などの、細胞溶解のための通常の添加物を含みうる。溶血溶液は、糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成し、前記糖化ヘモグロビンに本出願において定義されるアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物を含んでもよい。
例として、溶血溶液は、Sebia製の溶血溶液Capillaries(登録商標) Hemoglobin(e)、Sebia製の溶血溶液MINICAP(登録商標) Hemoglobin(e)、Sebia製の溶血溶液Hydragel(登録商標)HbA1c、純水、界面活性剤が補充された水、特にTriton X100が補充された水(たとえば、1g/LのTriton X100)およびその混合物により構成される群から選択してよい。
特定の実施形態によれば、本発明のキャピラリー電気泳動による分析のための方法は、
a)本発明の緩衝組成物および生体試料を電気泳動キャピラリーに導入する段階と、
b)前記生体試料の成分をキャピラリー電気泳動により分離する段階と
を含む。
これら2つの段階に先行して、一般に、たとえば、溶血溶液での生体試料の希釈のための段階を行う。この希釈段階は、特に試料支持体(support)、たとえば、Capillaries(登録商標)(Sebia)希釈セグメントにおいてまたはMINICAP(登録商標)(Sebia)試料カップにおいて実施しうる。
段階a)では、本発明の緩衝組成物および生体試料は、同じ電気泳動キャピラリーに別々に(同時にまたは同時ではなく)導入してもよく、次に前記混合物が前記キャピラリー内で生成される。例として、先ず本発明の緩衝組成物を、次に試料を電気泳動キャピラリーに導入することが可能である。
代わりに、生体試料を段階a)において、本発明の緩衝組成物との混合物の形態で電気泳動キャピラリーに導入してもよい。
使用されるキャピラリー電気泳動装置の種類に応じて、実施される分析の数の関数として、単一のキャピラリーまたは並行したいくつかのキャピラリーが使用される。単一のキャピラリーが使用される場合、このキャピラリーは、一般に、いくつかの分析を実施するために、数回連続して使用される。当然ではあるが、いくつかのキャピラリーが使用される場合、必要であればいくつかの電気泳動移動を連続して実施することが可能であり、その間いくつかのキャピラリーが並行して使用される。
キャピラリー電気泳動により生体試料の成分を分離するための段階は、特に、他のタンパク質からの、特に生体試料中に存在しうる他のヘモグロビンからの対象の1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビンの分離を可能にするのに十分な電圧でキャピラリーに電場を適用することからなる。
液体キャピラリー電気泳動を実施するための条件は、試料および緩衝組成物をキャピラリーに導入し、電気泳動移動により試料の成分を分離する段階のために当業者により一般に使用される条件である。適用される電場は、たとえば、約400V/cmでよい。前記段階は通常、キャピラリーを洗浄液で洗浄する、分析のために使用される緩衝組成物で洗浄する、随意に試料を1回またはそれ以上の回数希釈する、試料をキャピラリーに導入する、移動および検出を含む。これらの段階は自動装置により実施されてもよい。
キャピラリー電気泳動を実施するための条件は、たとえば、Sebia社製のCapillaries(登録商標)自動装置またはSebia社製のMINICAP(登録商標)を使用するのに適した条件である。
生体試料の成分を分離するための段階の後に、通常、1つまたはいくつかのタンパク質、特に生体試料中に存在する1つまたはいくつかのヘモグロビン、さらに特定すると、生体試料中に存在する1つまたはいくつかの対象の糖化ヘモグロビン、たとえば、ヘモグロビンA1cの検出のための段階が続く。
この検出段階は特に、たとえば、ヘモグロビンに特異的である約415nmの波長で吸光度を測定することにより実施しうる。ヘモグロビンは約200nmの波長で分析されうるが、特に血漿タンパク質による妨害を回避するためには、好ましくは415nmの波長で分析される。
本発明の文脈において、電気泳動分離の結果は、実施例に例証されるように、検出されるヘモグロビンの量に比例する検出シグナルから生じる電気泳動プロファイルの形で提示されうる。したがって、本発明の方法は一般に、検出シグナルから電気泳動図を作製するための段階をさらに含む。
上で示されるように、対象のヘモグロビンは、分析される生体試料中に存在する場合は、定量されうる。この目的のために、前記ヘモグロビンに対応するピークの表面積が決定される。
したがって、前記方法は通常、特に電気泳動図から、生体試料中に存在する1つもしくはいくつかのヘモグロビンの量、ならびに/または生体試料中に存在するタンパク質の総量、ヘモグロビンの総量および/もしくはある種のヘモグロビンの量に対する(たとえば、HbAもしくはHbA0の量に対する)、生体試料中に存在する1つもしくはいくつかのヘモグロビンの割合を決定するための段階も含む。特に、生体試料中に存在するすべてのヘモグロビンの総量に関してまたはある種のヘモグロビンの量に関して、たとえば、A、Sおよび/またはCヘモグロビンそれぞれの総量に関して、生体試料中に存在する糖化ヘモグロビンA1c、S1cおよび/またはC1cの割合を決定することが可能である。
本発明の一特定の実施形態では、このアッセイは電気泳動プロファイルから直接入手しうる。
本発明の特定の実施形態によれば、分析法は、1つまたはいくつかの標準化されたキャリブレーター(たとえば、1つまたはいくつかの参照生体試料)に関して分析される生体試料中に存在する1つまたはいくつかのヘモグロビンの定量化のための段階も含む。これにより前記結果の標準化が可能になる。
したがって、アッセイ中に高レベルの精度を得るためには、各キャピラリーは一般に、電気泳動装置を始動させるたびに、参照生体試料(たとえば、必要であれば精製された、糖化ヘモグロビンの既知の濃度の異なる天然および/または合成画分を含有する標準試料)を使用してキャリブレーションされる。例として、HbA1cをアッセイするためには、少なくとも2つのキャリブレーター、たとえば、既知の高濃度のHbA1cを含む第一のキャリブレーターおよび既知の低濃度のHbA1cを含む第二のキャリブレーターが一般に使用される。次に、電気泳動装置の各キャピラリーを用いて、各キャリブレーター中に存在するHbA1cの量が測定される。これにより、キャピラリーごとに回帰曲線(少なくとも2点にわたって)を確立することが可能になり、したがって様々なキャピラリーを使用して実施される測定を正規化することが可能になる。これにより、キャリブレーターについてこの方法により決定されるHbA1cの値を使用することにより、標準法に関して得られる結果の標準化も可能になる。
本発明の特定の実施形態によれば、実施されるキャピラリー電気泳動は、自由溶液キャピラリー電気泳動であり、特にネイキッドキャピラリー自由溶液キャピラリー電気泳動である。
キャピラリーに使用される材料の観点から、キャピラリー電気泳動に対して正常である材料が用いられる。専門家であれば、キャピラリーの性質とそのサイズを分析の必要条件に適応させることができるであろう。
例として、特定の実施形態において、電気泳動キャピラリーは石英ガラス製である。
本発明は、グルコースを含む1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビン、さらに正確にはそれぞれが1つまたはいくつかのグロビン鎖上に(たとえば、ベータ鎖上に)N末端位のアミノ酸に結合している1つまたはいくつかのグルコース残基を含む1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビンを、生体試料中に存在する他のタンパク質から、特に少なくとも1つの他のヘモグロビンから、好ましくはその他のヘモグロビンから分離し、適切な場合には前記糖化ヘモグロビンをアッセイするための本発明に従ったキャピラリー電気泳動分析法の使用にも関する。
本発明は、ヘモグロビン、特に1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビン、さらに特定すると1つまたはいくつかのグロビン鎖上に(たとえば、ベータ鎖上に)1つまたはいくつかのグルコースを含む1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビンを含む生体試料のキャピラリー電気泳動分析に適した緩衝組成物にも関する。前記緩衝組成物は、糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成し、前記ヘモグロビンにアルカリ性pHでいくつかの負電荷も与えることができる少なくとも1つの化合物を含む。
前記緩衝組成物は、特に、本出願において示される生体試料のキャピラリー電気泳動のための方法を実施するのに使用される緩衝組成物である。
特に、本発明の特定の実施形態によれば、前記緩衝組成物は、グルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることが可能な化合物として、ポリカルボキシボロン酸、特にジカルボン酸またはトリカルボン酸、たとえば、3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を含む。
本発明の別の特定の実施形態によれば、前記緩衝組成物は、グルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物に加えて、
流動遅延剤、および/または
8.0〜11.0の範囲のpKaを有する緩衝組成物、および/または
塩基、および/または
塩(特にナトリウム塩、たとえば、塩化ナトリウム)、および/または
適切な希釈液、たとえば、水
を含む。
これらの様々な成分は本出願において定義されている通りでよい。
本発明の特定の実施形態によれば、緩衝組成物は、9.0もしくはそれ以上のpH、好ましくは9.0〜11.0の範囲のpH、さらに好ましくは9.0〜10.0の範囲のpH、たとえば、9.3〜9.5の範囲のpH、さらに好ましくは9.4のpHを有する。そのようなpHは、特に、上で定義される塩基の十分な量を与えることにより得られる。
本発明の緩衝組成物は、分析緩衝組成物のための通常の方法で、すなわち、希釈される液体の形態のまたは固体の形態の成分を容認できる支持体に与えることにより調製される。通常、支持体は、蒸留されたまたは脱塩された水である。
本発明は、本発明の緩衝組成物、および適切な場合には、電気泳動分析を実施するための使用説明書を含むキットにも関する。言い換えると、本発明のキットは、本発明の緩衝組成物および包装材料および適切な場合には使用説明書を含む、またはからなりうる。
したがって、本発明のキットは特に、本出願において定義される糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物を含む。前記化合物に加えて、前記キットが他の化合物、特に、8.0〜11.0の範囲のpKaを有する緩衝組成物、流動遅延剤、塩基、塩(特にナトリウム塩、たとえば、塩化ナトリウム)、適切な希釈液(たとえば、水)およびその混合物から選択される1つまたはいくつかの化合物を含み、前記キットの様々な化合物は、即時調合のために包装されてもよく、またはこれとは対照的に、特に同じ組成物に、混合物の形態で一緒に包装されてもよい。代わりに、前記キットのある種の化合物は別々に包装されてもよく、他の化合物は特に混合物の形態で一緒に包装されてもよい。
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の緩衝組成物は1つまたはいくつかのパーツで提供され、分析前に使用者により再構成される。したがって、たとえば前記組成物の成分のすべてまたは一部の成分が混合物の形態で包装されている場合に生じる可能性がある安定性に関する問題を克服することが可能である。
本発明のキットは、キャピラリーを洗浄するための1つもしくはいくつかの溶液ならびに/あるいは分析される生体試料を希釈するのに適した1つもしくはいくつかの希釈セグメントおよび/または1つもしくはいくつかの溶液(たとえば、溶血溶液、特に本出願において定義される溶血溶液)ならびに/あるいは各キャピラリーをキャリブレーションすることを可能にする1つもしくはいくつかの基準生体試料(たとえば、必要であれば精製される、天然および/または合成糖化画分)も含みうる。
本発明は、本出願において定義される緩衝組成物の使用、ならびに/または1つもしくはいくつかのヘモグロビンを含む生体試料に含有される1つもしくはいくつかのグルコース残基を含む(1つもしくはいくつかの)糖化ヘモグロビン、特にA1c、S1cおよびC1cヘモグロビンのキャピラリー電気泳動による分析のための本発明のキットにも関する。
本発明は、本出願において定義される緩衝組成物、ならびに/または本発明のキット、ならびに/または糖化ヘモグロビン(1つもしくはいくつかの糖化ヘモグロビン)のグルコース残基(1つもしくはいくつか)と特異的に複合体を形成し、このもしくはこれらの糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHでいくつかの負電荷を与え、少なくとも1つのグロビン鎖上に(たとえば、ベータ鎖上に)N末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を含む1つもしくはいくつかの糖化ヘモグロビンをキャピラリー電気泳動により分離し、さらに特定すると、ヘモグロビンA1cを生体試料中に存在する他のタンパク質から、特に少なくとも1つの他のヘモグロビンから、好ましくはその他のヘモグロビンからキャピラリー電気泳動により分離し、適切な場合にはそれによって分離された前記ヘモグロビンをアッセイすることができる化合物の使用にも関する。
特に、本発明の緩衝組成物、本発明のキットおよび/または本出願において定義される糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物は、たとえば、ヒトもしくは非ヒト哺乳動物における糖尿病を診断するための、ならびに/または、特に糖尿病に対する治療の有効性を評価するために、および/もしくは糖尿病の対象に糖尿病治療を適応させるために、ヒトもしくは非ヒト哺乳動物(特に糖尿病の対象)の血糖バランスをモニターするための、本発明の方法の状況における使用に適している。次いで分析した生体試料は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物に由来する。
本出願において使用される用語「糖尿病」は、1型および/または2型糖尿病を指す。
本発明は、診断用キットの製造のための、本発明の緩衝組成物、本発明のキット、および/または本出願において定義される糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物の使用にも関する。前記診断用キットは、特に、ヒトもしくは非ヒト哺乳動物における糖尿病を診断するために、および/またはヒトもしくは非ヒト哺乳動物、特に糖尿病の対象の血糖バランスをモニターするために使用されうる。前記キットにより、糖尿病に罹っているヒトもしくは非ヒト哺乳動物における糖尿病に対する治療の有効性を評価すること、および/または糖尿病の対象における糖尿病に対する治療を適応させることがこのようにして可能になりうる。
HbA1cレベルは一般に、非糖尿病のヒトでは4%〜6%(すなわち、血液中のヘモグロビンのモルあたり20〜42ミリモルのHbA1c)の範囲であり、糖尿病患者(治療なし)では7%を超える。
6%〜7%の範囲のHbA1cレベル(すなわち、血液中のヘモグロビンのモルあたり42〜53ミリモルのHbA1cの濃度)の場合には、抗糖尿病治療を開始することが推奨される。
血液中のヘモグロビンのモルあたり64ミリモルのHbA1cの濃度に相当する閾値の8%(PanteghiniおよびJohn、2007年)を超えると、患者は糖尿病合併症(微小血管障害、大血管障害など)の1つを発症する危険が増加する。その場合には、患者の糖尿病治療を修正することが推奨される。
本発明の他の特徴および利点は、本発明を例示する以下の実施例および図から明らかになる。
米国特許第5,599,433号に記載され、100mMのCAPSおよび300mMのボロン酸を含有する分析緩衝液(pH:11.00、温度:24℃、電圧:6.1kV、すなわち190V/cm、注入:50ミリバール20秒)を使用して正常なヒト血液試料からCE Agilent上で得られる電気泳動図。 米国特許第5,599,433号に記載され、100mMのCAPSおよび300mMのボロン酸を含有する分析緩衝液(pH:11、温度:24℃、電圧:6.1kV、すなわち190V/cm、注入:50ミリバール20秒)を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分を含有する基準試料からCE Agilent上で得られるA1a、A1bおよびA1cについての標準電気泳動プロファイル。 200mMのCAPSOおよび10mMのプトレシンを含有するがホウ酸化合物もボロネート化合物も含有しない緩衝組成物(pH:10.20、温度:24℃、電圧:6.1kV、すなわち190V/cm、注入:50ミリバール20秒)を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分を含有する基準試料からCE Agilent上で得られるA1a、A1bおよびA1cについての標準電気泳動プロファイル。 200mMのCAPSO、10mMのプトレシンおよび50mMのホウ酸を含有する緩衝組成物(pH:10.20、温度:24℃、電圧:6.1kV、すなわち190V/cm、注入:50ミリバール20秒)を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分を含有する基準試料からCE Agilent上で得られるA1a、A1bおよびA1cについての標準電気泳動プロファイル。 200mMのCAPSO、10mMのプトレシンおよび50mMの3-カルボキシフェニルボロン酸を含有する緩衝組成物(pH:10.20、温度:24℃、電圧:6.1kV、すなわち190V/cm、注入:50ミリバール20秒)を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分を含有する基準試料からCE Agilent上で得られるA1a、A1bおよびA1cについての標準電気泳動プロファイル。 200mMのCAPSO、10mMのプトレシンおよび50mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を含有する緩衝組成物(pH:10.20、温度:24℃、電圧:6.1kV、すなわち190V/cm、注入:50ミリバール20秒)を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分を含有する基準試料からCE Agilent上で得られるA1a、A1bおよびA1cについての標準電気泳動プロファイル。 200mMのCAPSO、15mMのプトレシンおよび100mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を含有する緩衝組成物(pH:10.20、温度:30℃、電圧:10kV、すなわち310V/cm、注入:50ミリバール20秒)を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分を含有する基準試料からCE Agilent上で得られるA1a、A1bおよびA1cについての標準電気泳動プロファイル。 200mMのCHES、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物を使用して、糖化ヘモグロビンのHbA0および/または異なる精製された画分を含有する基準試料からCE Agilent上で得られる標準電気泳動プロファイルA0、A1a、A1bおよびA1c。石英ガラスキャピラリー、非被膜(温度:34℃、電圧:17.3kV、すなわち520V/cm、注入:50ミリバール20秒)。 200mMのCHES、20mMのプトレシンおよび30mMの3,4-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物を使用して、糖化ヘモグロビンのHbA0および/または異なる精製された画分を含有する基準試料からCE Agilent上で得られる標準電気泳動プロファイルA0、A1a、A1bおよびA1c。石英ガラスキャピラリー、非被膜(温度:34℃、電圧:17.3kV、すなわち520V/cm、注入:50ミリバール20秒)。 200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分を含有する基準試料からCapillaries(登録商標)(Sebia)上で得られるA1a、A1bおよびA1cについての標準電気泳動プロファイル。石英ガラスキャピラリー、非被膜(温度:34℃、電圧:9.4kV、すなわち520V/cm、注入20ミリバール6秒)。 (A)200mMのCAPSO緩衝液、10mMのプトレシンおよび50mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を10.2のpHでまたは(B)200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物を使用して、溶血溶液(水+1g/LのTriton X100)に6分の1まで希釈された正常なヒト血液試料からCapillaries(登録商標)(Sebia)上で得られる電気泳動図。石英ガラスキャピラリー、非被膜(温度:34℃、電圧:9.4kV、すなわち520V/cm、注入8ミリバール6秒)。 A1cとA0ヘモグロビンの分離に対する緩衝組成物中の3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸の濃度の影響についての研究(温度:30℃、電圧:10kV、すなわち310V/cm)。 200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物、ならびに石英ガラスキャピラリー、非被膜(温度:34℃、電圧:9.4kV、すなわち520V/cm、注入8ミリバール6秒)を使用して、溶血溶液(水+1g/LのTriton X100)に6分の1まで希釈された、バリアントHbEを含む正常なヒト血液試料からCapillaries(登録商標)(Sebia)上で得られる電気泳動図。 200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物、ならびに石英ガラスキャピラリー、非被膜(温度:34℃、電圧:9.4kV、すなわち520V/cm、注入8ミリバール6秒)を使用して、溶血溶液(水+1g/LのTriton X100)に6分の1まで希釈された対照AFSCからCapillaries(登録商標)(Sebia)上で得られる電気泳動図。 200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物、ならびに石英ガラスキャピラリー、非被膜(温度:34℃、電圧:9.4kV、すなわち520V/cm、注入8ミリバール6秒)を使用して、溶血溶液(水+1g/LのTriton X100)に6分の1まで希釈された、Fおよびバーツ(Bart's)バリアントを含む正常血液のプールからCapillaries(登録商標)(Sebia)上で得られる電気泳動図。 200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物、ならびに石英ガラスキャピラリー、非被膜(温度:34℃、電圧:9.4kV、すなわち520V/cm、注入8ミリバール6秒)を使用して、溶血溶液(水+1g/LのTriton X100)に6分の1まで希釈された、HbDバリアントを含む正常なヒト血液試料からCapillaries(登録商標)(Sebia)上で得られる電気泳動図。 Capillaries(登録商標)(Sebia)分析計を使用するキャピラリー電気泳動によって発明者らにより得られた結果とVariant II Turbo(登録商標)(Bio-Rad)分析計を用いたHPLCにより得られた結果の比較。 Hydrasys(登録商標)(Sebia)自動装置上で実施されたHbA1cのアガロースゲル。トラック1と2:弱い(5.0%)A1cキャリブレーターと強い(10.8%)A1cキャリブレーター。トラック3〜9: 0g/L(基準;トラック3)、1g/L(トラック4)、5g/L(トラック5)、10g/L(トラック6)、20g/L(トラック7)、30g/L(トラック8)および50g/L(トラック9)の濃度のグルコースと一緒に37℃で3時間インキュベートされた正常全血。 図18Aの試料を用いたCapillaries(登録商標)(Sebia)分析計により得られたキャピラリー電気泳動プロファイル。しかし、ゲル中に目に見える差が存在しなかった(図18A)ので、1g/Lのグルコースを含有する試料について分析は実施されなかった。前記試料は、200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物、ならびに石英ガラスキャピラリー、非被膜(温度:34℃、電圧:9.4kV、すなわち520V/cm、注入8ミリバール6秒)を使用して、溶血溶液(水+1g/LのTriton X100)に6分の1まで希釈された。 図18Aおよび18Bにおいて示される血液の分析のために、アガロースゲル上でCapillaries(登録商標)(Sebia)分析計を用いて得られたHbA1cについての値を集約した表を示す。
A.装置および方法
キャピラリー電気泳動
分離の原則は、負電荷のヘモグロビン画分(ヘモグロビンの等電点は6.07〜7.63の範囲である)を得るための、アルカリ性pH(pH>9)での自由溶液キャピラリー電気泳動である。
生体試料のキャピラリー電気泳動は、内径25ミクロン、有効長16cmおよび全長18cmの8個の石英ガラスキャピラリーを備えたキャピラリー電気泳動装置(Capillaries(登録商標)(Sebia)キャピラリー電気泳動システム)上で、または内径25ミクロン、有効長24cmおよび全長32cmの1個の石英ガラスキャピラリーを備えたキャピラリー電気泳動装置(Agilent Technologies社製3DCEキャピラリー電気泳動システム)上で実施された。
検出は425nmの波長で実施された。血液試料は溶血溶液(水中TritonX100 1g/L)に希釈され水圧注入により注入された。キャピラリーは各分析前に0.25M水酸化ナトリウムを用いて洗浄され、次に緩衝組成物を用いて洗浄された。
緩衝組成物
キャピラリー電気泳動が実施される緩衝組成物は、水、8〜11の範囲のpKaを有する緩衝化合物(場合に応じてCAPS、CAPSOまたはCHES)、pHを目的の値に調整することが可能な塩基、任意の流動遅延剤(プトレシン)、および任意のホウ酸化合物(ホウ酸)またはボロネートを含んでいた。
3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸(3,5-dCPBA)は、Combi-blocks Inc社(San Diego、USA)およびApollo Scientific Ltd社(Cheshire、United Kingdom)から入手した。
3,4-ジカルボキシフェニルボロン酸(3,4-dCPBA)は、BoroChem SAS社(Caen、France)により合成された。
B.結果
(実施例1)
キャピラリー電気泳動は、米国特許第5,599,433号に記載され、100mMのCAPSおよび300mMのボロン酸、pH11を含有する分析緩衝液を使用して、溶血溶液(脱塩された水に溶解された1g/LのTriton X100)に6分の1まで希釈された正常なヒト血液(ヘモグロビンHbA0、HbA1およびHbA2を含む)から実施された。得られた電気泳動図は図1に示されている。ヘモグロビンのピーク間の分離は不十分である。
(実施例2)
キャピラリー電気泳動は、米国特許第5,599,433号に記載され、100mMのCAPSおよび300mMのボロン酸、pH10.20を含有する分析緩衝液を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分(画分A0およびA1cまたは画分A0、A1bおよびA1a)を含有する標準試料(Exocell、USA)から実施された。得られたA1a、A1bおよびA1cの標準電気泳動プロファイルは図2に示されている。HbA1cとHbA1a、A1bヘモグロビン間の分離は明らかに不十分であり、HbA1cの電気泳動ピークはHbA1a/HbA1bピークと重なっている。
(実施例3)
キャピラリー電気泳動は、200mMのCAPSOおよび10mMのプトレシン(pH 10.20)を含有するがホウ酸化合物もボロネート化合物も含有しない緩衝組成物を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分(画分A0およびA1cまたは画分A0、A1bおよびA1a)を含有する標準試料(Exocell、USA)から実施された。得られたA1a、A1bおよびA1cの標準電気泳動プロファイルは図3に示されている。HbA1cに対応するピークはHbA0のピークと同時移動した。
(実施例4)
キャピラリー電気泳動は、200mMのCAPSO、10mMのプトレシンおよび50mMのホウ酸(pH 10.20)を含有する緩衝組成物を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分(画分A0およびA1cまたは画分A0、A1bおよびA1a)を含有する標準試料(Exocell、USA)から実施された。得られたA1a、A1bおよびA1cについての標準電気泳動プロファイルは図4に示されている。HbA1cに対応するピークはHbA0とHbA1a/HbA1bに対応するピークの間にあり、他のHbA1に対応するピークに近すぎて、HbA1cの信頼できるアッセイをすることができない。
(実施例5)
キャピラリー電気泳動は、200mMのCAPSO、10mMのプトレシンおよび50mMの3-カルボキシフェニルボロン酸(pH 10.20)を含有する緩衝組成物を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分(画分A0およびA1cまたは画分A0、A1bおよびA1a)を含有する標準試料(Exocell、USA)から実施された。得られたA1a、A1bおよびA1cについての標準電気泳動プロファイルは図5に示されている。HbA1cに対応するピークはHbA1bとHbA1aに対応するピークの間にある。
(実施例6)
キャピラリー電気泳動は、200mMのCAPSO、10mMのDABおよび50mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸(pH 10.20)を含有する緩衝組成物を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分(画分A0およびA1cまたは画分A0、A1bおよびA1a)を含有する標準試料(Exocell、USA)から実施された。得られたA1a、A1bおよびA1cについての標準電気泳動プロファイルは図6に示されている。HbA1cに対応するピークはHbA1bとHbA1aに対応するピークの後にある。
(実施例7)
キャピラリー電気泳動は、200mMのCAPSO、15mMの流動遅延剤(プトレシン)および100mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸(pH 10.20)を含有する緩衝組成物を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分(画分A0およびA1cまたは画分A0、A1bおよびA1a)を含有する標準試料(Exocell、USA)から実施された。得られたA1a、A1bおよびA1cについての標準電気泳動プロファイルは図7に示されている。HbA1cに対応するピークはHbA1bとHbA1aに対応するピークの後にあり、これらのピークからはっきり区別され、ヘモグロビンHbA1cとヘモグロビンHbA1aおよびHbA1b間の分離は良好である。
(実施例8)
キャピラリー電気泳動は、200mMのCHES、20mMの流動遅延剤(プトレシン)および30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を(9.40のpHで)含有する緩衝組成物を使用して、糖化ヘモグロビンのHbA0および/または異なる精製された画分(画分A0およびA1cまたは画分A0、A1bおよびA1a)を含有する標準試料から実施された。得られた標準電気泳動プロファイルA0、A1a、A1bおよびA1cは図8に示されている。HbA1cに対応するピークはHbA0、HbA1bおよびHbA1aに対応するピークの後にあり、これらのピークからはっきり区別され、ヘモグロビンHbA1cとHbA1aおよびHbA1bヘモグロビン間の分離は良好である。
(実施例9)
キャピラリー電気泳動は、200mMのCHES、20mMの流動遅延剤(プトレシン)および30mMの3,4-ジカルボキシフェニルボロン酸を(9.40のpHで)含有する緩衝組成物を使用して、糖化ヘモグロビンのHbA0および/または異なる精製された画分(画分A0およびA1cまたは画分A0、A1bおよびA1a)を含有する標準試料から実施された。得られた標準電気泳動プロファイルA0、A1a、A1bおよびA1cは図9に示されている。HbA1cに対応するピークはHbA0、HbA1bおよびHbA1aに対応するピークの後にあり、これらのピークからはっきり区別され、ヘモグロビンHbA1cとHbA1aおよびHbA1bヘモグロビン間の分離は良好であることが分かるであろう。
実施例8と9の電気泳動プロファイルを比較することにより、3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸はその他の画分と比べてHbA1cの分離に関してわずかに良好な結果をもたらすことが可能であり、3,4-ジカルボキシフェニルボロン酸は集束に関してわずかに良好な結果が得られることを可能にしたことが分かるであろう。
(実施例10)
キャピラリー電気泳動は、200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物を使用して、糖化ヘモグロビンの異なる精製された画分(画分A0およびA1cまたは画分A0、A1bおよびA1a)を含有する標準試料(Exocell、USA)からCapillaries(登録商標)(Sebia)上で実施された。得られたA1a、A1bおよびA1cについての標準電気泳動プロファイルは図10に示されている。HbA1cに対応するピークはHbA1bおよびHbA1aに対応するピークの後にあり、これらのピークからはっきり区別され、ヘモグロビンHbA1cとHbA1aおよびHbA1bヘモグロビン間の分離は良好であることが分かるであろう。
(実施例11)
キャピラリー電気泳動による分析は、200mMのCAPSO緩衝液、10mMのプトレシンおよび50mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を10.20のpHで、または200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物のどちらかを使用して、溶血溶液(水+1g/LのTriton X100)に6分の1まで希釈された正常なヒト血液で実施された。石英ガラスキャピラリー、非被膜を使用するCapillaries(登録商標)(Sebia)上で得られた電気泳動図はそれぞれ図11Aと11Bに示されている。どちらの場合も、ヘモグロビンHbA1cのその他のヘモグロビン型からの完全な分離が観察される。
(実施例12)
A1cとA0ヘモグロビン間の分離に対する緩衝組成物中の3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸の濃度の影響について調査された。使用された緩衝組成物は200mMのCAPSO、15mMのプトレシンおよび0〜120mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を含有していた。結果は図12に示されている。A1c/A0分離は3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸の濃度とともに増加した。
(実施例13)
キャピラリー電気泳動は、溶血溶液(水+1g/LのTriton X100)に6分の1まで希釈された4つの異なる試料:すなわちHbEバリアントを含む正常なヒト血液(図13)、AFSC対照(図14)、Fおよびバーツバリアントを含む正常な血液のプール(図15)ならびにHbDバリアントを含む正常なヒト血液(図16)を使用してCapillaries(登録商標)(Sebia)上で実施された。キャピラリー電気泳動は、石英ガラスキャピラリー、非被膜を使用して、200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物において実施された。
図13〜16は、ヘモグロビンの主要バリアント(E、F、S、C、Dおよびバート)からのHbA1c画分に対する妨害が存在しないことを示している。しかし、バーツヘモグロビンの場合、分解能はHbバートとHbA1c画分間では完全ではないことに注意されたい。結果として、Hbバートの存在下でHbA1cをアッセイすることができるためには、これら2つの画分は適切な積分法を使用して定量化することができるほうがよい。これが可能でない場合には、使用者が予想されるピーク上にショルダー(shoulder)があるこの種のプロファイルを観察したら、使用者にこのことに対して注意を喚起することが必要になる。
(実施例14)
Capillaries(登録商標)(Sebia)分析計を使用する本発明の方法によるキャピラリー電気泳動によって得られる結果は、標準技法のうちの1つ:すなわち、Variant II Turbo(登録商標)(Bio-Rad)分析計を用いたHPLCで得られる結果と比較された。
キャピラリー電気泳動は、200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物において、溶血溶液(水+1g/LのTriton X100)に6分の1まで希釈された全血から実施された。
図17は、キャピラリー電気泳動による分析のためのこの新規の技法とBio-Rad社製のVariant II Turbo(登録商標)を用いたHPLCによるHbA1cの分析との極めて良好な相関関係を示している。2つのキャリブレーター(弱いA1cと強いA1c)を使用するECデータのキャリブレーション後、本発明の方法により得られた値は標準法により得られた値に極めて近かった。
(実施例15)
本発明の方法を使用するHbA1cのアッセイに対するHbA1cの不安定な画分の妨害が存在しないことを実証する研究
本発明の分析法の状況において使用されるグルコースと複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与える化合物は血液グルコースと相互作用(この相互作用は仮説に基づいており、実証されてはいない)をすることができるという仮説を立てて、HbA1cの血液の結果に対する遊離グルコースの何らかの妨害の研究が以下の通りに実施された。不安定型のHbA1c(分子の転位(アマドリ転位)前に得られる型)を作製するために正常血液は濃度が異なるグルコース(0〜50g/L)と一緒に37℃で3時間インキュベートされた。インキュベーションが実施されると、血液試料は遠心分離され、得られたペレットは生理的水中で再構成され、次に、溶血溶液(15μLのペレット+25μLの生理的水+160μLの溶血溶液(水+1g/L Triton X100))は、200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで含有する緩衝組成物を使用して、Sebia社製のHydrasys(登録商標)自動装置(HbA1cゲル)を使用し、およびCapillaries(登録商標)(Sebia)法を使用して平行して分析された。
Hydrasys(登録商標)自動装置上での分析により得られたHbA1cゲル(図18A参照)は、HbA1cと同じレベルにまで、血液とのインキュベーション中にグルコースの濃度が増加すると同時に増加する濃度で移動するHbA1cの不安定な画分の形成を確証した。ゲル中、Sebia社により定義された正常な使用条件下では、特に溶血溶液の酸性pHのせいで、不安定な画分は現れなかったことに注意すべきである。
これとは対照的に、同じ血液試料で本発明の緩衝組成物(200mMのCHES緩衝液、20mMのプトレシンおよび30mMの3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸を9.40のpHで)を用いたCapillaries(登録商標)(Sebia)で実施された分析により、調査された範囲(0〜50g/L)では、インキュベートされたグルコースの濃度とは無関係に、前記アッセイは遊離グルコースの存在により攪乱されず、HbA1cのプロファイルと値は変化しないことが明らかにされた(図18Bおよび18C参照)。
(参考文献)

Claims (27)

  1. ヘモグロビンを含む生体試料に含有される、N末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を含む、少なくとも1つのグロビン鎖、特にベータ鎖を含む1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビンのキャピラリー電気泳動による分析のための方法であって、生体試料の糖化ヘモグロビンのグルコース残基、特に糖化ヘモグロビンにおけるN末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつ前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHでいくつかの負電荷を与えることができる少なくとも1つの化合物を含む緩衝組成物を使用することを含む、方法。
  2. ヘモグロビンを含む生体試料に含有されるヘモグロビンA1cのキャピラリー電気泳動による分析のための、請求項1に記載の方法。
  3. 生体試料の糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる前記化合物が、2つまたは2つを超える官能基を含み、前記官能基のうちの少なくとも1つが1つまたはいくつかのグルコース残基と特異的に複合体を形成し、その他の残りの官能基、すなわち、その他の残りの官能基のうちの1つまたはその他の官能基のうちのすべてが前記糖化ヘモグロビンにアルカリ性pHで1つまたはいくつかの負電荷を与える、請求項1または2に記載の方法。
  4. 生体試料の糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる前記化合物が、アルカリ性pHでアニオン性基である1つまたはいくつかの基、特に1つまたはいくつかのカルボキシレート、カルボキシル、スルホネートおよび/またはスルホニルを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 生体試料の糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる前記化合物が、1つ(または複数)のボロニルおよび/またはボロネート基を含み、特に、
    (i)一般式RB(OH)2またはRB(OH)- 3(式中、基Rは、少なくとも1つのアリールおよび/またはアルキル(直鎖状、分枝状または環状)および/またはアラルキルおよび/または他の官能基もしくはヘテロ原子および/またはその組合せを含み、前記基Rは、糖化ヘモグロビンに、ボロネート基と複合体化したグルコース残基ごとにアルカリ性pHで1つまたはいくつかの負電荷を与える)を有するボロネート化合物、または
    (ii)前記ボロネート化合物の塩
    である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ボロネート化合物が、多置換フェニルボロネート、特に、たとえば、カルボキシルおよび/またはスルホニル基で二置換されているフェニルボロネート、さらに特定すると、基Rが二価酸、好ましくはジカルボン酸である化合物である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記ボロネート化合物が、ジカルボキシフェニルボロン酸であり、好ましくは3,4-ジカルボキシフェニルボロン酸および3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸から選択され、さらに好ましくは3,5-ジカルボキシフェニルボロン酸である、請求項5または6に記載の方法。
  8. 生体試料の糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物の緩衝組成物中の濃度が、生体試料中に存在するすべてのヘモグロビンの総量と比べて、または生体試料中に存在するグルコースを含むすべてのヘモグロビンの総量と比べて、タンパク質の総量に関して化学量論的に過剰である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 生体試料の糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物の緩衝組成物中の濃度が、0.10〜100mMの範囲、好ましくは10〜60mM、さらに好ましくは20〜50mMの範囲、たとえば、30mMである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記緩衝組成物が、流動遅延剤、特に、脂肪族ジアミン、さらに特定すると、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン(プトレシン)、1,5-ジアミノペンタン(カダベリン)、1-6-ジアミノヘキサン、スペルミンおよびDETAから選択される脂肪族ジアミン、または前記脂肪族ジアミンの誘導体、たとえば、脂肪族ポリアミン、環状ポリアミン、または脂肪族ジアミン塩またはそれらの混合物のうちの1つである流動遅延剤、さらに特定すると、プトレシンまたは誘導体である流動遅延剤をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記緩衝組成物中の流動遅延剤の濃度が、0.10〜40mMの範囲、好ましくは10〜30mMの範囲、さらに好ましくは15〜25mMの範囲、たとえば、20mMである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記緩衝組成物が、
    8.0〜11.0の範囲のpKaを有する緩衝化合物、および/または
    塩基、および/または
    塩、特に、ナトリウム塩、たとえば、塩化ナトリウム、および/または
    適切な希釈溶液、たとえば、水
    をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記緩衝化合物が、双性イオン化合物、特に、AMP、AMPD、AMPSO、ビシン、CABS、CAPS、CAPSO、CHES、HEPBS、メチルアミン、TABS、TAPS、タウリン、トリシンおよびTrisから選択される化合物、たとえば、CHES、CAPSまたはCAPSOである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記緩衝組成物中の緩衝化合物の濃度は、20〜500mMの範囲、好ましくは50〜400mMの範囲、さらに好ましくは150〜300mMの範囲、たとえば、200mMである、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記緩衝組成物が、9またはそれ以上のpH、好ましくは9.0〜11.0の範囲、さらに好ましくは9.0〜10.0の範囲のpH、たとえば、9.4のpHを有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. a)前記緩衝組成物および生体試料を電気泳動キャピラリーに導入する段階と、
    b)前記生体試料の成分をキャピラリー電気泳動により分離する段階と
    を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記生体試料の成分を分離するための段階の後に、生体試料中に存在する1つまたはいくつかのヘモグロビンの検出のための段階が続く、請求項16に記載の方法。
  18. 検出されるヘモグロビンの量に比例する検出シグナルから電気泳動図を作製するための段階をさらに含む、請求項16または17に記載の方法。
  19. 特に請求項18において規定される電気泳動図から、生体試料中に存在する1つもしくはいくつかのヘモグロビンの量、および/または生体試料中に存在するタンパク質の総量、ヘモグロビンの総量もしくはある種のヘモグロビンの量に対する、生体試料中に存在する1つもしくはいくつかのヘモグロビンの割合を決定するための段階をさらに含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 1つまたはいくつかの標準化されたキャリブレーターと比べた生体試料中に存在する1つまたはいくつかのヘモグロビンの定量化のための段階をさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記生体試料が、血液試料、特に、洗浄された、デカントされた、遠心分離された、または全血の正常または非正常血液試料であり、適切な場合には前記試料は溶血されている、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記生体試料が、溶血溶液、特に
    溶血溶液Capillaries(登録商標)Hemoglobin(e)、
    溶血溶液Hydragel(登録商標)HbA1c
    溶血溶液MINICAP(登録商標)Hemoglobin(e)、
    純水、
    界面活性剤が補充された水、特に、Tritonが補充された水、および
    それらの混合物
    により構成される群から選択される溶血溶液に希釈されている、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 1つまたはいくつかのヘモグロビンを含む生体試料に含有される、少なくとも1つのグロビン鎖上で、特にベータグロビン鎖上で、N末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を含む、1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビンのキャピラリー電気泳動による分析に適した、請求項1から15のいずれか一項において規定される緩衝組成物。
  24. 請求項23に記載の緩衝組成物および適切な場合には使用説明書を含むキット。
  25. ヒトもしくは非ヒト哺乳動物における糖尿病の診断において使用するための、および/または、ヒトもしくは非ヒト哺乳動物における血糖バランスをモニターするための、請求項1から7のいずれか一項において規定される、生体試料の糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物、および/または請求項1から15のいずれか一項において規定され、もしくは請求項23に記載の緩衝組成物、および/または請求項24に記載のキット。
  26. 請求項25に記載の使用のための、生体試料の糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物であって、
    (i)一般式RB(OH)2もしくはRB(OH)- 3(式中、基Rは、少なくとも1つのアリールおよび/またはアルキル(直鎖状、分枝状または環状)および/またはアラルキルおよび/または他の官能基もしくはヘテロ原子、および/またはそれらの組合せを含み、前記基Rは、糖化ヘモグロビンに、ボロネート基と複合体化したグルコース残基ごとにアルカリ性pHで1つまたはいくつかの負電荷を与える)を有するボロネート化合物、または
    (ii)前記ボロネート化合物の塩
    である化合物。
  27. 生体試料中に存在する他のタンパク質由来の、特に、少なくとも1つの他のヘモグロビン、好ましくはその他のヘモグロビン由来の、N末端位のアミノ酸に結合しているグルコース残基を含む少なくとも1つのグロビン鎖を含む、1つまたはいくつかの糖化ヘモグロビンのキャピラリー電気泳動による分離のための、請求項1から7のいずれか一項において規定される、生体試料の糖化ヘモグロビンのグルコース残基と特異的に複合体を形成でき、かつアルカリ性pHで負電荷を与えることができる化合物、および/または請求項1から15のいずれか一項において規定され、もしくは請求項23に記載の緩衝組成物、および/または請求項24に記載のキットの使用。
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