本発明は、式I:
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩を提供する、ここで:
炭素qq'〜炭素rr'二重結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
炭素ss'〜炭素tt'二重結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
Re及びRfは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル(たとえば、アルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、またはシリルから選択され、好ましくは水素、アシル(たとえばアルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル及びアルコキシカルボニルから選択され、最も好ましくは水素である;
Eは分岐アルコキシ、たとえばイソプロポキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、3-メチルブトキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、または1,1,2-トリメチルプロポキシであり、好ましくはイソプロポキシである;
Rh及びRiは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール、またはヘテロアリールから選択され、好ましくは水素またはアルキルであり、最も好ましくは水素である;
R
5は、以下の(i)〜(iv)から選択される:
(i)CH
2CH(R
6)CH
2、ここでR
6は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシルまたはアルコキシである;
(ii)CH
2C(R
6R
7)CH
2、ここでR
6及びR
7はそれぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール、若しくはフルオロであるか、またはR
6及びR
7は一緒に結合して炭素環若しくは複素環を形成する;
(iii)CH
2OCH
2、CH
2C(O)CH
2、CH
2、若しくはCH
2CH
2;または
(iv)R
5は炭素環、複素環、アリール、若しくはヘテロアリール環であり、好ましくは(CH
2)
3である;及び
R
8及びR
9は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アリール、若しくはヘテロアリールから選択されるか、またはR
8及びR
9は一緒に結合して炭素環若しくは複素環を形成し、好ましくは水素及びアルキルから選択され、最も好ましくは水素である。
たとえば、本発明は式Ia:
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩を提供する、ここで:
Re及びRfは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル(たとえば、アルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、またはシリルから選択され、好ましくは水素、アシル(たとえばアルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル及びアルコキシカルボニルから選択され、最も好ましくは水素である;
Eは分岐アルコキシ、たとえばイソプロポキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、3-メチルブトキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、または1,1,2-トリメチルプロポキシであり、好ましくはイソプロポキシであり;
Rh及びRiは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール、またはヘテロアリールから選択され、好ましくは水素またはアルキルから選択され、最も好ましくは水素である;
R
5は、以下の(i)〜(iv)から選択される:
(i)CH
2CH(R
6)CH
2、ここでR
6は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシルまたはアルコキシである;
(ii)CH
2C(R
6R
7)CH
2、ここでR
6及びR
7はそれぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール、若しくはフルオロであるか、またはR
6及びR
7は一緒に結合して炭素環若しくは複素環を形成する;
(iii)CH
2OCH
2、CH
2C(O)CH
2、CH
2、若しくはCH
2CH
2;または
(iv)R
5は炭素環、複素環、アリール、若しくはヘテロアリール環であり、好ましくは(CH
2)
3である;及び
R
8及びR
9は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アリール、若しくはヘテロアリールから選択されるか、またはR
8及びR
9は一緒に結合して炭素環若しくは複素環を形成し、好ましくは水素及びアルキルから選択され、最も好ましくは水素である。
式Iaの特定の好ましい態様では、-ORf及び-OReを保持する炭素の立体化学は、式Ia':
特定の態様では、式Iの化合物は、式II:
及びその薬学的に許容可能な塩により表され、ここで:
炭素qq'〜炭素rr'二重結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
炭素ss'〜炭素tt'二重結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
Re、Rf、R
5、及びEは上記定義の通りである。
たとえば、本発明は、式IIa:
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩を提供する、ここで:
Re、Rf、R
5、及びEは上記定義の通りである。
特定の態様では、式IまたはIIの化合物は、式III:
及びその薬学的に許容可能な塩により表され、ここで:
Re、Rf、及びEは上記定義の通りである。
式I〜IIIの特定の態様では、EはO-Rを表し、ここでRは、酸素原子に結合している位置で分岐しているアルキル基、好ましくは低級アルキル基を表す。そのようなR部分としては、-CH(CH3)2(イソプロピル)、-CH(CH2CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)(sec-ブチル)、及び-C(CH3)3(tert-ブチル)が挙げられる。
式I、II、及びIIIの典型的な化合物としては、化合物1001:
特定の態様では、有効量の上記化合物(たとえば本発明の化合物、たとえば式I〜IIIのいずれかの化合物)のいずれかと、一つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、ヒト患者で使用するのに好適な医薬品を提供する。特定の態様では、本医薬品は、本明細書に記載の症状または疾患の処置または予防に使用することができる。特定の態様では、本医薬品は、ヒト患者で使用するのに好適な十分に低いパイロジェン活性をもつ。
上記構造のいずれかの化合物は、本明細書に開示の任意の疾患または症状の処置用薬剤の製造に使用することができる。
骨代謝
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者の骨量減少の処置または予防法を提供する。特定の態様では、骨量減少が関連する疾患としては、例えば強直性脊椎炎、腎性骨ジストロフィー(たとえば透析を受けている患者)、骨粗しょう症、グルココルチコイド-誘発性骨粗しょう症、ページェット病、異常に高い骨代謝回転、歯周炎、歯周病、骨折、リウマチ性関節炎、変形性関節炎、プロテーゼ周囲骨溶解(periprosthetic osteolysis)、骨形成不全、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症、多発性骨髄腫、微小重力に伴う骨量減少、ランゲルハンス細胞組織球症(LHC)、腎尿細管疾患に伴う骨量減少、または寝たきりの状態に伴う骨量減少のいずれか一つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者の骨粗しょう症を処置または予防する方法を提供する。特定の態様では、骨粗しょう症は薬によって誘発される骨粗しょう症である。特定の態様では、薬によって誘発される骨粗しょう症は、グルココルチコイド誘発性骨粗しょう症である。
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者の糖尿病性骨減少症の処置または予防法を提供する。
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者の転移性骨疾患を処置または予防する方法を提供する。本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者の骨転移疾患の発生を低下させる方法を提供する。本発明はさらに、本発明の化合物を投与することを含む、患者の骨転移疾患の発症を遅延させる方法を提供する。特定の態様では、本発明の化合物は、化学療法または放射線治療と共同して(conjointly)投与する。
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者の歯周炎を処置または予防する方法を提供する。
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者の歯肉炎を処置または予防する方法を提供する。
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者の強直性脊椎炎の処置または予防法を提供する。
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者(たとえば透析を受けている患者)の腎性骨ジストロフィーの処置または予防法を提供する。
一態様において、骨量減少の処置または予防法は、骨量減少の処置で有用な追加の薬剤と共同して、本発明の化合物を投与することを含むことができる。特定の態様では、本発明の化合物は、ビスホスホネート(たとえば、イバンドロネート、ゾレンドロネート、リセドロネート、エチドロネート、またはアレンドロネート)、ステロイド、たとえばアナボリックステロイド(たとえば、テストステロン、キンボロン、オキシメトロン、ナンドロロンヘキシルフェニルプロピオネート、オキサンドロロン、テストステロンウンデカノエート、ミボレロン、ダノゾール、ナンドロロンデカノエート、トレンボロンシクロヘキシルメチルカーボネート、メテノロンアセテート、メテノロンエナンテート、メステロロン、ジヒドロテストステロン、メタンドロステノロン、ナンドロロンウンデカノエート、ボルデノンウンデシレネート、ホルメボロン、トレンボロンアセテート、フルオキシメステロン、ナンドロロンラウレート、ドロスタノロンプロピオネート、クロステボルアセテート、トレストロンアセテート、メタンドリオールジプロピオネート、メチルテストステロン、フラザボル、ボラステロン、ノルエタンドロロン、メピチオスタン、テトラヒドロゲストリノン、トレンボロンエナンテート、及びスタノゾロール)、エストロゲン(たとえばエストラジオール、エストリオール、エストロン、エキリン、またはエキレニン)、エストロゲン活性をもつ物質(たとえば、キセノエストロゲン、植物エストロゲン類、またはマイコエストロゲン(mycoestrogen)、選択的エストロゲン受容体調節薬(たとえば、ラロキシフェン)、またはホルモン処置(たとえば、カルシトニンまたはテリパラチド)と共同して投与することができる。特定の態様では、本発明の化合物は、成長因子または骨若しくは結合組織の成長に正の効果を与える他の治療薬、たとえばオステオプロテゲリン、インターロイキン、MMP阻害薬、ベータグルカン、インテグリンアンタゴニスト、カルシトニン、プロトンポンプ阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、インスリン様成長因子-1、血小板由来成長因子、上皮細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子-アルファ、トランスフォーミング増殖因子-ベータの阻害薬、骨形成タンパク質、上皮小体ホルモン、オステオプロテゲリン、線維芽細胞増殖因子、ビタミンD、ビトロネクチン、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、またはプロテアーゼ阻害剤、たとえばメタロプロテアーゼ阻害剤、あるいはカルシウム、フッ化物、マグネシウム、ホウ素、またはその組み合わせなどの骨形成に有用であることが公知の要素と共同して投与することができる。
一態様において、転移性骨疾患を処置または予防する方法は、化学療法薬と共同して本発明の化合物を投与することを含むことができる。本発明の化合物と共同的に投与しえる化学療法薬としては、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カンポテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コルヒチン、シクロホスホアミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエンエストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドコルチゾン、フルオロウラシル、フルオロキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イフォスアミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、リュープロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトーテン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、及びビノレルビンが挙げられる。
多くの併用療法がガンの処置のために開発されてきた。特定の態様では、本発明の化合物は、併用療法で共同的に投与することができる。本発明の化合物と共同して投与しえる併用療法の例としては、表1に挙げられるものがある。
特定の態様では、本発明の化合物はガン治療の非化学的方法と共同して投与することができる。特定の態様では、本発明の化合物は、放射線療法と共同して投与することができる。特定の態様では、本発明の化合物は、手術、熱切除(thermoablation)、集中超音波治療、または凍結療法と共同して投与することができる。
特定の態様では、本発明の種々の化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらにそのような組み合わせは、上記の薬剤など骨代謝の処置に適した他の薬剤などの他の治療薬と共同して投与することができる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形(single dosage form);(b)上記化学療法薬の一つ以上の単一剤形;及び(c)前記本発明の化合物と前記化学療法薬を投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)骨量減少などの上記症状のいずれかを処置または予防するためなどの、医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、上記のような骨量減少の処置または予防に好適な薬剤(ビスホスフォネートなど)と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、上記のような骨量減少の処置または予防に好適な薬剤(ビスホスフォネートなど)を含む第二の医薬製剤(一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)骨粗しょう症進行の処置若しくは阻害(inhibit)、歯周炎の進行の処置若しくは阻害、転移性骨疾患の進行の処置若しくは阻害、骨転移疾患の発生の低減、または骨転移疾患の発症を遅延するために医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、上記のような化学療法薬と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットは、さらに上記のような化学療法薬を含む第二の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)上記のような骨量減少の処置または予防に好適な薬剤(たとえばビスホスフォネート)を含む第一の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)前記第一の医薬製剤と、骨量減少の処置若しくは予防、骨粗しょう症進行の処置若しくは阻害、歯周炎の進行の処置若しくは阻害、転移性骨疾患の進行の処置若しくは阻害、骨転移疾患の発生の低減、または骨転移疾患の発症を遅延するために本発明の化合物を含む第二の医薬製剤とを投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)上記のような化学療法薬を含む第一の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)骨量減少の処置若しくは予防、骨粗しょう症進行の処置若しくは阻害、歯周炎の進行の処置若しくは阻害、転移性骨疾患の進行の処置若しくは阻害、骨転移疾患の発生の低減、または骨転移疾患の発症を遅延するために本発明の化合物と共に第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
粘膜炎
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む粘膜炎の処置または予防法を提供する。本出願の目的に関しては、粘膜炎は、ガン及び関連する疾患の処置のために放射線または薬剤(化学療法)を投与することによってまたは投与することに伴って誘発された粘膜傷害をさす。粘膜炎は通常、口から肛門の消化管に沿ったどの場所の粘膜でも潰瘍、組織壊死及び萎縮として生じる。たとえば、本発明の方法は、放射線治療及び/または化学療法に伴う潰瘍及び組織壊死を処置するのに使用することができる。
本発明は、本発明の化合物の投与を含む、化学療法または放射線治療により誘発された粘膜炎の進行を予防する方法を提供する。特定の態様では、本発明の化合物は、化学療法または放射線治療と共同して投与する。
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、治療により誘発された粘膜炎の発生を低下することにより、生存率を向上させる方法を提供する。生死にかかわる重篤な粘膜炎、WHOスケールのグレード4の割合は、未処置患者の平均発生率60%から処置を受けた患者で20%未満に減少すると予想される。
一態様において、粘膜炎を処置または予防する方法は、粘膜炎の処置で有用な追加の薬剤と共同して本発明の化合物を投与することを含むことができる。特定の態様では、本発明の化合物は、抗菌剤と共同して投与することができる。特定の態様では、本発明の化合物は、成長因子と共同して投与することができる。特定の態様では、本発明の化合物は、セラミド合成を予防する薬剤、セラミド活性を遮断する薬剤、またはセラミドを分解させる薬剤と共同して投与することができる。
一態様において、粘膜炎を処置または予防する方法は、化学療法薬と共同して本発明の化合物を投与することを含むことができる。本発明の化合物と共同して投与しえる化学療法薬としては、上記のような任意の好適な化学療法薬または併用療法薬が挙げられる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらに、このような組み合わせは、上記薬剤などの粘膜炎の処置または予防に好適な他の薬剤などの他の治療薬と共同して投与することができる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;(b)上記化学療法薬の一つ以上の単一剤形;及び(c)前記本発明の化合物と前記化学療法薬を投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)粘膜炎の処置若しくは予防、化学療法若しくは放射線治療により誘発された粘膜炎の進行の予防、または治療により誘発された粘膜炎の発生を低下させることにより生存率を改善するためなどの、医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、キットはさらに、上記のように粘膜炎の処置若しくは予防に好適な薬剤(たとえば抗菌薬、成長因子、セラミド合成を阻害する薬剤、セラミド活性を遮断する薬剤またはセラミドを分解する薬剤)と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、上記のように粘膜炎を処置するのに好適な薬剤(たとえば抗菌薬、成長因子、セラミド合成を阻害する薬剤、セラミド活性を遮断する薬剤またはセラミドを分解する薬剤)を含む第二の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形として)を含む。
特定の態様では、本キットはさらに、上記のような化学療法薬と共同して、本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、上記のような化学療法薬を含む第二の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)上記のような粘膜炎を処置または予防するのに好適な薬剤(たとえば抗菌薬、成長因子、セラミド合成を阻害する薬剤、セラミド活性を遮断する薬剤またはセラミドを分解する薬剤)を含む第一の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)粘膜炎の処置若しくは予防、化学療法若しくは放射線治療により誘発された粘膜炎の進行を予防、または治療により誘発された粘膜炎の発生を低下させることにより生存率を改善するためなどの、本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)上記のような化学療法薬を含む第一の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)粘膜炎の処置若しくは予防、化学療法若しくは放射線治療により誘発された粘膜炎の進行を予防、または治療により誘発された粘膜炎の発生を低下させることにより生存率を改善するためなどの、本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
心血管疾患
本発明は、患者の心血管疾患を処置または予防する方法であって、本発明の化合物を前記患者に投与することを含む方法を提供する。特定の態様では、本方法は、スタチンを含めた任意選択の共同投与を含む。
心血管疾患とは、心循環系(心臓を含む)の一つ以上の病態をさす。心循環系及び従属する臓器の疾患としては、以下のもののいずれか一つ以上が挙げられるが、これらに限定されない:
心筋の疾患(心筋症または心筋炎)、たとえば特発性心筋症、代謝性心筋症、たとえば糖尿病性心筋症、アルコール性心筋症、薬物性心筋症、虚血性心筋症、及び高血圧性心筋症;
主要な血管、たとえば大動脈、冠動脈、頚動脈、脳血管動脈、腎動静脈、腸骨動脈、大腿動脈及び膝窩動脈のアテローム疾患(atheromatous disorders)(大血管の病患);
小さな血管、たとえば網膜動脈、糸球体細動脈、神経の脈管、心臓の細動脈及び眼の関連毛細血管床、腎臓、心臓、並びに中枢及び末梢神経系の毒性、薬剤誘発性及び代謝性(高血圧及び/または糖尿病性を含むが、これらに限定されない)疾患(微小血管疾患);
主要血管、たとえば大動脈、冠動脈、頚動脈、脳血管動脈、腎動脈、腸骨動脈、大腿骨動脈、膝窩動脈のアテローム病変のプラーク破壊。
本発明の化合物で処置することができる他の疾患としては、再狭窄、たとえば冠動脈インターベンション後のもの、並びに高密度及び低密度コレステロールの異常値に関連する疾患が挙げられる。
特定の態様では、本発明は、血管系の病気または血管疾患を処置する方法を提供する。特定の態様では、血管疾患としては、自己免疫性要素、たとえば自己免疫反応により生じるものを含む任意の血管系の病気または血管疾患を含むことができる。典型的な血管系の病気としては、レイノー病及び現象、前部ブドウ膜炎、脈管炎、閉塞性血管障害、アテローム形成、動脈硬化症、動脈炎(たとえば、高安動脈炎、側頭動脈縁/巨細胞性動脈炎)、筋肉血管内膜肥厚(自然または血管形成術後の)、血管の内膜及び/または筋肉層の炎症性及び自己免疫性肥厚、炎症性の血管病変、アテローム硬化性心疾患、再かん流傷害、心伝導障害、心筋炎及び心筋梗塞症の一つ以上が挙げられる。
特定の態様では、本発明は、心臓発作または律動不整の患者の処置または予防法であって、前記患者に本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。特定の態様では、本発明は患者の心臓死を予防する方法であって、本発明の化合物を前記患者に投与することを含む方法を提供する。特定の態様では、スタチンとの任意選択の共同投与を含む。
本発明の化合物は炎症を消散させることができる。心血管疾患の幾つかの側面、特にアテローム性動脈硬化血管壁プラークの形成は炎症と密接に関連すると考えられている。今日、CRPなどの炎症の血清マーカーは、高いLDLレベルと同様に心血管疾患の危険性の前兆であると考えられている。従って、本発明の化合物は、心血管疾患の処置または予防に有用である。特定の態様では、本発明の化合物は、動脈炎及び/またはアテローム性動脈硬化症の処置または予防に有用である。
本発明の化合物が心血管疾患の処置または予防に有効である別のメカニズムは、活性アテローム性動脈硬化血管壁プラークのある心血管疾患で通常見られる急性期反応の即時効果である、HDLの構造的及び機能修飾を阻害することによる。従って、本発明の化合物は、HDLレベルを増加し(若しくはHDLレベルの低下を予防し)、HDLのLDL掃去効果を修復する。これにより、血清LDL/HDL比を低下させ、改善することができる。
HDLレベルを増加させることに加えて、スタチンは心血管疾患の危険性を低め、心血管疾患を処置するその能力に寄与する抗-炎症活性も示す。しかしながら、スタチンの完全な抗-炎症能力は、高い用量が必要であるため、単剤療法として臨床的に使用することができず、そのため処置を限定する有害事象、特に肝臓毒性の割合が高く、深刻なレベルとなることがある。
好都合に、そして意外にも、スタチンと本発明の化合物との組み合わせで心血管疾患を処置または予防することにより、スタチン単独の高用量に関連する危険性を回避しつつ、二種類の化合物の血清HDL上昇特性と抗-炎症特性の両方を相互に増強する。
本発明の化合物がスタチン(すなわちHMG-CoAレダクターゼ阻害剤)と共同して投与される本発明の方法において、スタチンは当業界で公知の任意のスタチンから選択することができる。前記共同投与に好適なスタチンとしては、メバスタチン((2S)-2-メチルブタン酸(1S,7S,8S,8aR)-1,2,3,7,8,8a-ヘキサヒドロ-7-メチル-8-[2-[(2R,4R)-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2H-ピラン-2-イル]エチル]-1-ナフタレニルエステル)、アトルバスタチン((βR,δR)-2-(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸)、フルバスタチン((3R,5S,6E)-rel-7-[3-(4-フルオロフェニル)-1-(1-メチルエチル)-1H-インドール-2-イル]-3,5-ジヒドロキシ-6-ヘプタン酸)、ロバスタチン(2(S)-2-メチル-ブタン酸(1S,3R,7S,8S,8aR)-1,2,3,7,8,8a-ヘキサヒドロ-3,7-ジメチル-8-[2-[(2R,4R)-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2H-ピラン-2-イル]エチル]-1-ナフタレニルエステル)、プラバスタチン((βR,δR,1S,2S,6S,8S,8aR)-1,2,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-β,β,6-トリヒドロキシ-2-メチル-8-[(2S)-2-メチル-1-オキソブトキシ]-1-ナフタレンヘプタン酸)、シムバスタチン(2,2-ジメチル-ブタン酸(1S,3R,7S,8S,8aR)-1,2,3,7,8,8a-ヘキサヒドロ-3,7-ジメチル-8-[2-[(2R,4R)-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2H-ピラン-2-イル]エチル]-1-ナフタレニルエステル)、ロスバスタチン((3R,5S,6E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-(1-メチルエチル)-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]-5-ピリミジニル]-3,5-ジヒドロキシ-6-ヘプタン酸)、エプタスタチン、ピタバスタチン((3R,5S,6E)-7-[2-シクロプロピル-4-(4-フルオロフェニル)-3-キノリニル]-3,5-ジヒドロキシ-6-ヘプタン酸)、セリバスタチン((3R,5S,6E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-5-(メトキシメチル)-2,6-ビス(1-メチルエチル)-3-ピリジニル]-3,5-ジヒドロキシ-6-ヘプタン酸)、ベリバスタチン((R*,S*-(E)-7-(4-(4-フルオロフェニル)スピロ(2H-1-ベンゾピラン-2,1′-シクロペンタン)-3-イル)-3,5-ジヒドロキシ-エチルエステル)、ダルバスタチン((4R,6S)-rel-6-[(1E)-2-[2-(4-フルオロ-3-メチルフェニル)-4,4,6,6-テトラメチル-1-シクロヘキサン-1-イル]エテニル]テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-,2H-ピラン-2-オン)、グレンバスタチン(glenvastatin)((4R,6S)-6-[(1E)-2-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(1-メチルエチル)-6-フェニル-3-ピリジニル]エテニル]テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン)、RP61969([2S-[2a(E),4β]]-;4-(4-フルオロフェニル)-2-(1-メチルエチル)-3-[2-(テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2H-ピラン-2-イル)エテニル]-1(2H)-イソキノリノン)、SDZ-265859、BMS-180431((3R,5S,6E)-rel-9,9-ビス(4-フルオロフェニル)-3,5-ジヒドロキシ-8-(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)-6,8-ノナジエン酸)、CP-83101((3R,5S,6E)-rel-3,5-ジヒドロキシ-9,9-ジフェニル-6,8-ノナジエン酸メチルエステル)、ジヒドロメビノリン((2S)-2-メチル-ブタン酸(1S,3S,4aR,7S,8S,8aS)-1,2,3,4,4a,7,8,8a-オクタヒドロ-3,7-ジメチル-8-[2-[(2R,4R)-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2H-ピラン-2-イル]エチル]-1-ナフタレニルエステル)、及びL-669262(2,2-ジメチル-ブタン酸(1S,7R,8R,8aR)-1,2,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-3,7-ジメチル-6-オキソ-8-[2-[(2R,4R)-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2H-ピラン-2-イル]エチル]-1-ナフタレニルエステル)が挙げられるが、これらに限定されない。
たとえば、本発明の方法で使用するのに好適なスタチンは、式200:
{式中、R
201はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはアラルキルから選択される;
R
202、R
203及びR
204は独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニルまたはアルキニルから選択される;
R
205及びR
206は独立して水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アラルキル、アルコキシまたはアラルコキシ(aralkoxy)から選択される;及び
R
240は水素、R
241またはMから選択される;
R
241は、生理学的に許容可能な及び加水分解可能なエステル基であり;及び
Mは薬学的に許容可能なカチオンである}のスタチンまたはそのエナンチオマー若しくは塩若しくは水和物が挙げられる。
本発明の方法で使用するのに好適な他のスタチンとしては、式201:
A-B
{式中、Aは以下のものから選択される:
C1及びC2は単結合または二重結合により結合する;
R
207は、CO
2R
215、CONR
211R
212若しくはCH
2OR
213から選択されるか、またはR
207及びR
209はラクトンを形成することができる;
R
215は、H若しくはカチオン性塩部分から選択されるか、またはCO
2R
215は薬学的に許容可能な塩部分を形成する;
R
208、R
209及びR
210は独立してH、C(O)R
214またはC(O)NR
211R
212から選択される;
R
211及びR
212は独立して、H、アルキル、アルケニルまたはアルキニルから選択される;
R
213はHまたはC(O)R
214から選択される;及び
R
214はアルキル、アルケニルまたはアルキニルから選択される}のスタチンが挙げられる。
本発明の方法で使用するのに好適な他のスタチンとしては、式202:
R
216はOH、C
6H
5CO
2またはR
221CO
2から選択される;
R
221は分岐若しくは直鎖C
1-C
5アルキル、C
2-C
5アルケニル、またはC
2-C
5アルキニルであり;
R
217、R
218及びR
219は独立してH、C
1-C
5アルキル、C
2-C
5アルケニル、C
2-C
5アルキニルまたはC
1-C
5アシルから選択される;及び
R
220はHまたはCH
3から選択される}のスタチンが挙げられる。
本発明の方法で使用するのに好適な他のスタチンとしては、式203:
{式中、R
227は-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-または-CH
2-CH(CH
3)-であり;
R
223は1-ナフチル;2-ナフチル;シクロヘキシル;ノルボルネニル;2-、3-、または4-ピリジニル;フェニル、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシルで置換されたフェニル;トリフルオロメチル;1〜4個の炭素原子のアルキル、アルケニル、若しくはアルキニル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、または2〜8個の炭素原子のアルカノイルオキシであり;
R
224またはR
225のいずれかは-CONR
228R
229であり、ここでR
228及びR
229は独立して水素;1〜6個の炭素原子のアルキル、アルケニル、若しくはアルキニル;2-、3-、若しくは4-ピリジニル;フェニル;フッ素、塩素、臭素、シアノ、トリフルオロメチル、若しくは3〜8個の炭素原子のカルボアルコキシで置換されたフェニル;及びR
224またはR
225のもう一方は、水素;1〜6個の炭素原子のアルキル、アルケニル、若しくはアルキニル;シクロプロピル;シクロブチル;シクロペンチル;シクロヘキシル;フェニル;または、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシルで置換されたフェニル;トリフルオロメチル;1〜4個の炭素原子のアルキル、アルケニル、若しくはアルキニル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、若しくは2〜8個の炭素原子のアルカノイルオキシである;及び
R
226は、1〜6個の炭素原子のアルキル、アルケニル、若しくはアルキニル;シクロプロピル;シクロブチル;シクロペンチル;シクロヘキシル;またはトリフルオロメチルである}のスタチン;またはラクトン環の開環から誘導されるヒドロキシル酸、及びその薬学的に許容可能な塩が挙げられる。
本発明の方法で使用するのに好適な他のスタチンとしては、式204:
であり、もう一方は、非対称炭素原子を含まない一級若しくは二級C
1-6アルキル、アルケニル、若しくはアルキニル、C
3-6シクロアルキルまたはフェニル-(CH
2)
m-であり;
R
234は、水素、C
1-3アルキル、C
2-C
4アルケニル、C
2-C
4アルキニル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、C
1-3アルコキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フェノキシまたはベンジルオキシから選択される;
R
235は、水素、C
1-3アルキル、C
2-C
3アルケニル、C
2-C
3アルキニル、C
1-3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フェノキシまたはベンジルオキシから選択される;
R
236は、水素、C
1-2アルキル、C
2アルケニル、C
2アルキニル、C
1-2アルコキシ、フルオロまたはクロロから選択される;
mは、1、2または3から選択され、ただし、R
234が水素であるとき、R
235及びR
236は両方とも水素でなければならず、R
235が水素であり、R
234及びR
235のせいぜい一つ(not more than one)がトリフルオロメチルであり、R
234及びR
235のうちせいぜい一つがフェノキシであり、R
234及びR
235のうちせいぜい一つがベンジルオキシであるとき、R
236は水素でなければならない;
R
232は水素、、C
1-3アルキル、C
2-C
4アルケニル、C
2-C
4アルキニル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、C
3-6シクロアルキル、C
1-3アルコキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フェノキシまたはベンジルオキシから選択される;
R
233は水素、C
1-3アルキル、C
2-C
3アルケニル、C
2-C
3アルキニル、C
1-3アルコキシ、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フェノキシまたはベンジルオキシから選択される、ただし、R
232が水素であり、R
232及びR
233のせいぜい一つがトリフルオロメチルであり、R
232及びR
233のせいぜい一つがフェノキシであり、R
232及びR
233のせいぜい一つがベンジルオキシであるとき、R
233は水素でなければならない;
R
237は、-(CH
2)n-または-CH=CH-から選択され、ここでnは0、1、2または3である;
R
238は以下のものから選択される:
R
239は、水素、またはC
1-3アルキル、C
2-C
3アルケニル、若しくはC
2-C
3アルキニルから選択される;
R
240は水素、R
241またはMから選択される;
R
241は生理学的に許容可能で加水分解可能なエステル基である;及び
Mは薬学的に許容可能なカチオンである}のスタチンが挙げられる。
本発明の方法での使用に好適な他のスタチンとしては、式205:
から選択される}のスタチンまたは、その閉環ラクトン、塩またはエステルが挙げられる。
本発明の方法での使用に好適な他のスタチンとしては、式206:
{式中、R
243はHまたはCH
3から選択される;
R
244は、1,1-ジメチルプロピル;C
3-10シクロアルキル;C
2-10アルケニル;C
1-10CF
3-置換アルキル;フェニル;ハロフェニル;フェニル-C
1-3アルキル;置換フェニル-C
1-3アルキル(ここで前記置換基はハロ、C
1-3アルキルまたはC
1-3アルコキシである)から選択される;
X、Y及びZの点線は、あり得る二重結合を表し、どれかが存在するとき、前記二重結合はXとZの組み合わせであるか、X、Y若しくはZだけである}のスタチン;または式206aの対応するジヒドロキシ酸:
または前記酸の薬学的に許容可能な塩、前記酸のC
1-4アルキルエステル、あるいは前記酸のフェニルジメチルアミノ-、またはアセチルアミノ-置換-C
1-4アルキルエステルが挙げられる。
本発明の方法での使用に好適な他のスタチンとしては、式207:
{式中、R
245は低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくはアラルキルであり、そのそれぞれは一つ以上の置換基をもつことができる;
R
246及びR
247は独立して水素、低級アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールから選択され、前記低級アルキル、アルケニル、アルキニル及びアリールは一つ以上の置換基をもつことができる;
R
248は水素、低級アルキル、アルケニル、アルキニル、または非毒性の薬学的に許容可能な塩を形成し得るカチオンであり;
R
249は、硫黄、酸素若しくはスルホニル、または置換基を持っていてもよいイミノである;及び
点線は二重結合の有無を表す}のスタチン、または対応する閉環ラクトンが挙げられる。
様々なスタチンの合成は、米国特許第US RE37314E号、米国特許US4444784号、米国特許US4346227号、米国特許US5354772号、米国特許US4681893及び米国特許US2005/0228042号に説明されている。
別の態様では、本発明は、患者における血清HDL濃度を上昇させる(若しくは血清HDL濃度の低下を予防する)または患者における血清LDL/HDL比を低下させる方法を提供し、前記方法は、スタチンと組み合わせて本発明の化合物を前記患者に投与することを含む。本方法において処置すべき患者は、189mg/dlを超える、好ましくは200mg/dlより高い、最も好ましくは240mg/dlより高い総血清コレステロールレベル;及び/または130mg/dlを超える、好ましくは160mg/dlを超える、最も好ましくは189mg/dlより高い血清LDL濃度を有することができる。血清コレステロール及び/またはLDLレベルに加えて、考慮すべき他の因子は、冠動脈疾患及び危険因子の有無、たとえば年齢(男性に関しては45歳以上、女性に関しては55歳以上)、冠動脈性心疾患の家系、喫煙、高血圧、血清HDLコレステロールレベル、または糖尿病の有無である。
特定の態様では、本発明は、患者におけるトリグリセリドレベルを低下させる方法を提供し、前記方法は、場合によりスタチンと組み合わせて、本発明の化合物を前記患者に投与することを含む。
特定の態様では、本発明の方法で処置すべき患者は、コレステロール-低下薬を既に受けていてもよい。好ましい一態様では、患者は、上記のスタチンの一つなどのスタチンを既に摂取しており;本発明の化合物と共同してその薬剤を摂取し続けるだろう。あるいは、予め投与されたコレステロール-低下薬の代わりに本発明の化合物を使用することができる。
関連する態様では、本発明は、血清HDLにおける所望の上昇、血清LDL/HDL比または血清総コレステロールレベルにおける低下、及び/またはトリグリセリドレベルにおける低下を達成するのに必要なスタチン用量を低下させる方法を提供する。特定のスタチンには副作用が伴うため、有力な(potent)血清脂質-低下特性を維持しつつ、スタチン用量を低下させることは非常に望ましい。公知の副作用としては、肝機能の悪化、筋肉痛、衰弱、筋圧痛、筋疾患が挙げられる。スタチンの他の副作用としては、認知低下、記憶障害、鬱、興奮(irritability)、非筋肉痛(non-muscle pain)、末梢神経障害、睡眠障害、性的機能不全、疲労、めまい、腫れ、息切れ、視力変化(vision changes)、体温調節の変化、体重変化、空腹感、胸部肥大、血糖変化、乾燥肌、発疹、血圧の変化、吐き気、胃のむかつき、出血、及び耳鳴りまたは他のノイズが挙げられる。
この態様において、スタチン用量は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%またはそれ以上減らす。スタチン用量における実際の減少量は、投与される本発明の化合物の性質、投与される本発明の化合物の量、及び所望の血清脂質及び/またはトリグリセリドレベルの減少、並びに疾患または症状を処置する際に通常考慮される本出願のほかの場所で説明される他の因子に依存する。本方法で投与される本発明の化合物量は、上記因子、並びに投与されるスタチンの性質及び量にも依存する。特定の態様では、本方法で投与される本発明の化合物量は、抗炎症効果を生み出すのに必要な本発明の化合物の用量の5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、40%未満、50%未満、60%未満、70%未満、80%未満、または90%未満である。他の態様では、投与される本発明の化合物量は、抗炎症効果を生み出すのに必要な本発明の化合物の用量の110%を超え、120%を超え、130%を超え、140%を超え、150%を超え、160%を超え、170%を超え、180%を超え、190%を超え、またはさらに200%を超える。
一態様において、本発明に従って心血管疾患を処置または予防する方法は、心血管疾患を処置するのに好適な別の薬剤、たとえばシクロオキシゲナーゼ阻害剤、トロンボキサン受容体拮抗剤、プロスタサイクリン模倣薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、血管拡張剤、脳保護薬(cerebral protecting drug)、脳代謝賦活薬、抗凝血剤、抗血小板薬、血栓溶解薬、降圧薬、カルシウムチャネル遮断薬、抗狭心症薬、利尿薬、心筋保護液、強心剤、抗不整脈薬、繊維素溶解薬、硬化液、血管収縮物質、酸化窒素供与体、カリウムチャネル遮断薬、ナトリウムチャネル遮断薬、脂質異常症治療薬、免疫抑制剤、またはナトリウム利尿薬を患者に共同して投与する追加の段階を含むことができる。
シクロオキシゲナーゼ阻害剤の例としては、セレコキシブ、ロフェコキシブ、メロキシカム、バルデコキシブ、アスピリンまたはインドメタシンが挙げられるが、これらに限定されない。
トロンボキサン受容体拮抗剤の一例としては、イフェトロバンがある。
血管拡張剤の例としては、ベンシクラン、シンナリジン、シチコリン、シクランデレート、シクロニカート、エブマモニン(ebumamonine)、フェノキセジル(phenoxezyl)、フルナリジン、イブジラスト、イフェンプロジル、ロメリジン、ナフォロール、ニカメート(nikamate)、ノセルゴリン(nosergoline)、ニモジピン、パパベリン、ペンチフィリン、ノフェドリン(nofedoline)、ビンカミン、ビンポセチン、ビチジル(vichizyl)、ペントキシフィリン、プロスタサイクリン誘導体(たとえばプロスタグランジンE1及びプロスタグラジンI2)、エンドセリン受容体遮断薬(たとえばボセンタン)、ジルチアゼム、ニコランジル、及びニトログリセリンが挙げられる。
脳保護薬の例としては、ラジカル掃去剤(たとえばエダラボン、ビタミンE、及びビタミンC)、グルタミン酸拮抗薬、AMPA拮抗薬、カイニン酸拮抗薬、NMDA拮抗薬、GABA作動薬、成長因子、オピオイド拮抗薬、ホスファチジルコリン前駆体、セロトニン作動薬、Na+/Ca2+チャネル阻害薬、及びK+チャネル開口薬が挙げられる。
脳代謝賦活薬の例としては、アマンタジン、チアプリド、及びガンマ-アミノ酪酸が挙げられる。
抗凝血剤の例としては、ヘパリン(たとえばヘパリンナトリウム、ヘパリンカリウム、ダルテパリンナトリウム、ダルテパリンカルシウム、ヘパリンカルシウム、パルナパリンナトリウム、レビパリンナトリウム、及びダナパロイドナトリウム)、ワルファリン、エノキサパリン、アルガトロバン、バトロキソビン、及びクエン酸ナトリウムが挙げられる。
抗血小板薬の例としては、塩酸チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール、イコサペント酸エチル、サルポグレラート塩酸塩、塩酸ジラゼプ、トラピジル、非ステロイド系抗炎症薬(アスピリンなど)、ベラプロストナトリウム、イロプロスト、及びインドブフェンが挙げられる。
血栓溶解薬の例としては、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、組換え体tPA、組織型プラスミノーゲン活性化因子(たとえばアルテプラーゼ、チソキナーゼ、ナテプラーゼ(nateplase)、パミテプラーゼ(pamiteplase)、モンテプラーゼ(monteplase)、及びラテプラーゼ(rateplase))、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、アニソイル化(anisoylated)プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性剤複合体(APSAC、Eminase、Beecham Laboratories)、動物唾液腺プラスミノーゲン活性剤、及びナサルプラーゼが挙げられる。
降圧薬の例としては、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(たとえばカプトプリル、アラセプリル、リシノプリル、イミダプリル、キナプリル、テモカプリル、デラプリル、ベナゼプリル、シラザプリル、トランドラプリル、エナラプリル、セロナプリル、フォシノプリル、イマダプリル、モベルトプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、スピラプリル、ゾフェノプリル、ペントプリル、ランドラプリル及びかかる化合物の塩)、アンジオテンシンII拮抗薬(たとえばロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、エプロサルタン及びイルベサルタン)、カルシウムチャネル遮断薬(たとえばアラニジピン、エフォニジピン、ニカルジピン、バミジピン、ベニジピン、マニジピン、シルニジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ニフェンジピン、ニルバジピン、フェロジピン、アムロジピン、ジルチアゼム、ベプリジル、クレンチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、プレニルアミン、セモチアジル、テロジリン、ベラパミル、シルニジピン、エルゴジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、ニモジピン、シンアリジン、フルナリジン、リドフラジン、ロメリジン、ベンシクラン、エタフェノン及びペルヘキシリン)、β-アドレナリン受容体遮断薬(プロパノロール、ピンドロール、インデノロール、カルテオロール、ブニトロロール、アテノロール、アセブトロール、メトプロロール、チモロール、ニプラジロール、ペンブトロール、ナドロール、チリソロール、カルベジロール、ビソプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ボピンドロール、ベバントロール、ラベタロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、ベフノロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフェラロール、ブプランドロール、ブチリジン、ブトフィロロール、カラゾロール、セタモロール、クロラノロール、ジレバロール、エパノロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプロラノロール、モプロロール、ナドキソロール、ネビボロール、オキシプレノロール、プラクトール、プロネタロール、ソタロール、スフィナロール、タリンドロール、テルタロール、トリプロロール、キシベノロール、及びエスモロール)、α-受容体遮断薬(たとえばアモスラロール、プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシン、ブナゾシン、ウラピジル、フェントラミン、アロチノロール、ダピラゾール、フェンスピリド、インドラミン、ラベタロール、ナフトピジル、ニセルゴリン、タムスロシン、トラゾリン、トリマゾシン、及びヨヒムビン)、交感神経阻害薬(たとえばクロニジン、グアンファシン、グアナベンズ、メチルドーパ、及びレセルピン)、ヒドララジン、トドララジン、ブドララジン、及びカドララジンが挙げられる。
抗狭心症薬の例としては、硝酸塩薬剤(たとえば硝酸アミル、ニトログリセリン、及びイソソルビド)、β-アドレナリン受容体遮断薬(上記例示)、カルシウムチャネル遮断薬(上記例示)、トリメタジジン、ジピリダモール、エタフェノン、ジラゼプ、トラピジル、ニコランジル、エノキサパリン、及びアスピリンが挙げられる。
利尿薬の例としては、チアジド系利尿薬(たとえばヒドロクロロチアジド、メチルクロチアジド、ベンドロフルアジド、クロロチアジド、トリクロルメチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロルチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド及びペンフルチジド)、ループ利尿薬(たとえばフロセミド、エタクリン酸、ブメタニド、ピレタニド、アゾセミド、及びトラセミド)、K+保持性利尿薬(スピロノラクトン、トリアムテレン、アミロリド、及びカンレノ酸カリウム)、浸透圧性利尿薬(たとえばイソソルビド、D-マンニトール、及びグリセリン)、非チアジド利尿薬(たとえばメチクラン、トリパミド、クロルタリドン、及びメフルシド)、及びアセタゾラミドが挙げられる。
強心剤の例としては、ジギタリス製剤(たとえばジギトキシン、ジゴキシン、メチルジゴキシン、デスラノシド、ベスナリノン、ラナトシドC、及びプロシラリジン)、キサンチン製剤(たとえばアミノフィリン、コリンテオフィリン、ジプロフィリン、及びプロキシフィリン)、カテコールアミン製剤(たとえばドーパミン、ドブタミン、及びドカルパミン)、PDE III阻害剤(たとえばアムリノン、オルプリノン、及びミルリノン)、デノパミン、ユビデカレノン、ピモベンダン、レボシメンダン、アミノエチルスルホン酸、ベスナリノン、カルペリチド、及びコルフォルシンダロペートが挙げられる。
抗不整脈薬の例としては、アジマリン、ピルメノール、プロカインアミド、シベンゾリン、ジイソピラミド、キニジン、アピリンジン、メキシレチン、リドカイン、フェニロイン、ピルシカイニド、プロパフェノン、フレカイニド、アテノロール、アセブトロール、ソタロール、プロプラノロール、メトプロロール、ピンドロール、アミオダロン、ニフェカラント、ジルチアゼム、ベプリジル、モリシジン、トカイニド、エンカイニド、プロパフェノン、エスモロール、アルチジリド、ブレチリウム、クロフィリウム、イソブチリド、ソタロール、アジミリド、ドフェチリド、ドロネダロン、エルセンチリド、イブチリド、テジサミル、トレセチリド、ジギタリス、アデノシン、塩化ニッケル及びマグネシウムイオン並びにベラパミルが挙げられる。
脂質異常症治療薬の例としては、アトルバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチンナトリウム、フルバスタチンナトリウム、クリノフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラート、コレスチミド、コレスチラミン、メバスタチン((2S)-2-メチルブタン酸(1S,7S,8S,8aR)-1,2,3,7,8,8a-ヘキサヒドロ-7-メチル-8-[2-[(2R,4R)-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2H-ピラン-2-イル]エチル]-1-ナフタレニルエステル)、フルバスタチン((3R,5S,6E)-rel-7-[3-(4-フルオロフェニル)-1-(1-メチルエチル)-1H-インドール-2-イル]-3,5-ジヒドロキシ-6-ヘプタン酸)、ロバスタチン(2(S)-2-メチル-ブタン酸(1S,3R,7S,8S,8aR)-1,2,3,7,8,8a-ヘキサヒドロ-3,7-ジメチル-8-[2-[(2R,4R)-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2H-ピラン-2-イル]エチル]-1-ナフタレニルエステル)、プラバスタチン((βR,δR、1S,2S,6S,8S,8aR)-1,2,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-β,β,6-トリヒドロキシ-2-メチル-8-[(2S)-2-メチル-1-オキソブトキシ]-1-ナフタレンヘプタン酸)、ロスバスタチン((3R,5S,6E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-6-(1-メチルエチル)-2-[メチル(メチルスルホニル)アミノ]-5-ピリミジニル]-3,5-ジヒドロキシ-6-ヘプテン酸)、エプタスタチン、ピタバスタチン((3R,5S,6E)-7-[2-シクロプロピル-4-(4-フルオロフェニル)-3-キノリニル]-3,5-ジヒドロキシ-6-ヘプテン酸)、セリバスタチン((3R,5S,6E)-7-[4-(4-フルオロフェニル)-5-(メトキシメチル)-2,6-ビス(1-メチルエチル)-3-ピリジニル]-3,5-ジヒドロキシ-6-ヘプテン酸)、ベリバスタチン((R*,S*-(E)-7-(4-(4-フルオロフェニル)スピロ(2H-1-ベンゾピラン-2,1′-シクロペンタン)-3-イル)-3,5-ジヒドロキシ-エチルエステル)、ダルバスタチン((4R,6S)-rel-6-[(1E)-2-[2-(4-フルオロ-3-メチルフェニル)-4,4,6,6-テトラメチル-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-、2H-ピラン-2-オン)、グレンバスタチン((4R,6S)-6-[(1E)-2-[4-(4-フルオロフェニル)-2-(1-メチルエチル)-6-フェニル-3-ピリジニル]エテニル]テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-2H-ピラン-2-オン)、RP 61969([2S-[2a(E),4β]]-;4-(4-フルオロフェニル)-2-(1-メチルエチル)-3-[2-(テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2H-ピラン-2-イル)エテニル]-1(2H)-イソキノリノン)、SDZ-265859、BMS-180431((3R,5S,6E)-rel-9,9-ビス(4-フルオロフェニル)-3,5-ジヒドロキシ-8-(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)-6,8-ノナジエン酸)、CP-83101((3R,5S,6E)-rel-3,5-ジヒドロキシ-9,9-ジフェニル-6,8-ノナジエン酸メチルエステル)、ジヒドロメビノリン((2S)-2-メチル-ブタン酸(1S,3S,4aR,7S,8S,8aS)-1,2,3,4,4a,7,8,8a-オクタハイドロ-3,7-ジメチル-8-[2-[(2R,4R)-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2H-ピラン-2-イル]エチル]-1-ナフタレニルエステル)、及びL-669262(2,2-ジメチル-ブタン酸(1S,7R,8R,8aR)-1,2,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-3,7-ジメチル-6-オキソ-8-[2-[(2R,4R)-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2H-ピラン-2-イル]エチル]-1-ナフタレニルエステル)が挙げられる。
免疫抑制剤の例としては、アザチオプリン、ミゾリビン、シクロスポリン、タクロリムス、グスペリムス、及びメトトレキセートが挙げられる。
一態様において、本発明に従って心血管疾患を処置または予防する方法は、たとえば物理的介入(たとえば、経皮経管冠動脈形成拡張術、冠動脈手術、または血管手術)を含む治療計画の一部として、心血管の処置または予防のための非化学的手段と共同して本発明の化合物を投与することを含み得る。そのような特定の態様では、物理的介入を含む治療計画はさらに、上記列記のような心血管疾患の処置または予防に好適な別の薬剤を共同的に投与することを含み得る。
本発明に従った心血管疾患を処置または予防する方法は、スタチン、本発明の化合物、及び場合によりさらにスタチンを含む組成物の一部として、または別の剤形として上記薬剤の一つ以上を共同して投与することを含み得ると理解すべきである。さらに、心血管疾患の処置において本発明に従った本発明の化合物及びスタチンの両方を含む組成物を使用することは、別のスタチンの個別投与も共同投与をも除外するものではない。
本発明に従った患者における、血清HDL濃度の上昇、血清LDL/HDL比の低下、総血清コレステロール濃度の低下、及び/またはトリグリセリドレベルの低下のための方法はさらに、スタチン以外の別の活性成分を患者に投与することを含むことができる。そのような追加の活性成分は、非スタチンコレステロール低下薬、たとえば胆汁酸抑制薬(sequestrants)(コレセベラム、コレスチラミン及びコレスチポール)、ナイアシン、フィブラート系薬(ゲムフィブロジル、プロブコール及びクロフィブラート)から選択することができる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の別の化合物と共同して投与することができる。さらに、そのような組み合わせは、上記列記の試薬のような他の治療薬などの、心血管疾患の処置または予防に好適な他の薬剤などの他の治療薬と共同して投与することができる。
特定の態様では、本発明は、以下のもの:
(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;
(b)上記のスタチンの一つ以上の単一剤形;及び
(c)本発明の化合物とスタチンの投与に関する使用説明書
を含むキットを提供する。
本発明は、以下のもの:
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)たとえば心血管疾患を処置または予防する、血清HDL濃度上昇(または血清HDL濃度の低下を予防)、血清LDL/HDL比を低下、及び/またはトリグリセリドレベルの低下のための医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、上記のような心血管疾患の処置または予防、血清HDL濃度の上昇(または血清HDL濃度の低下の予防)、血清LDL/HDL比の低下、及び/またはトリグリセリドレベルの低下に好適な薬剤(たとえば心血管疾患の処置に好適なスタチンまたは別の薬剤、たとえばシクロオキシゲナーゼ阻害剤、トロンボキサチン受容体拮抗体、プロスタサイクリン模倣薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、血管拡張剤、脳保護薬、脳代謝賦活薬、抗凝血剤、抗血小板薬、血栓溶解薬、降圧薬、カルシウムチャネル遮断薬、抗狭心症薬、利尿薬、心筋保護液、強心剤、抗不整脈薬、繊維素溶解薬、硬化液、血管収縮物質、酸化窒素供与体、カリウムチャネル遮断薬、ナトリウムチャネル遮断薬、脂質異常症治療薬、免疫抑制剤、またはナトリウム利尿薬)と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、上記のような心血管疾患の処置または予防、血清HDL濃度の上昇(または血清HDL濃度の低下の予防)、血清LDL/HDL比の低下、及び/またはトリグリセリドレベルの低下に好適な薬剤(たとえば心血管疾患の処置に好適なスタチンまたは別の薬剤、たとえばシクロオキシゲナーゼ阻害剤、トロンボキサチン受容体拮抗薬、プロスタサイクリン模倣薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、血管拡張剤、脳保護薬、脳代謝賦活薬、抗凝血剤、抗血小板薬、血栓溶解薬、降圧薬、カルシウムチャネル遮断薬、抗狭心症薬、利尿薬、心筋保護液、強心剤、抗不整脈薬、繊維素溶解薬、硬化液、血管収縮物質、酸化窒素供与体、カリウムチャネル遮断薬、ナトリウムチャネル遮断薬、脂質異常症治療薬、免疫抑制剤、またはナトリウム利尿薬)を含む第二の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、:
(a)心血管疾患の処置または予防、血清HDL濃度の上昇(または血清HDL濃度の低下の予防)、血清LDL/HDL比の低下、及び/またはトリグリセリドレベルの低下に好適な薬剤(たとえば心血管疾患の処置に好適なスタチンまたは別の薬剤、たとえばシクロオキシゲナーゼ阻害剤、トロンボキサン受容体拮抗薬、プロスタサイクリン模倣薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、血管拡張剤、脳保護薬、脳代謝賦活薬、抗凝血剤、抗血小板薬、血栓溶解薬、降圧薬、カルシウムチャネル遮断薬、抗狭心症薬、利尿薬、心筋保護液、強心剤、抗不整脈薬、繊維素溶解薬、硬化液、血管収縮物質、酸化窒素供与体、カリウムチャネル遮断薬、ナトリウムチャネル遮断薬、脂質異常症治療薬、免疫抑制剤、またはナトリウム利尿薬)を含む第一の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)心血管疾患の処置または予防、血清HDL濃度の上昇(または血清HDL濃度の低下の予防)、血清LDL/HDL比の低下、及び/またはトリグリセリドレベルの低下などのための、本発明の化合物と共に第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)上記のスタチンを含む第一の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)心血管疾患の処置または予防、血清HDL濃度の上昇(または血清HDL濃度の低下の予防)、血清LDL/HDL比の低下、及び/またはトリグリセリドレベルの低下などのための、本発明の化合物と共に第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
一般的な炎症性疾患
本発明は、炎症性疾患の患者に本発明の化合物を投与することを含む、患者において炎症性疾患を処置または予防するための方法を提供する。
本発明の化合物の投与によって処置または予防し得る炎症性疾患の例としては、肺、関節、結合組織、眼、鼻、腸、腎臓、肝臓、皮膚、中枢神経系、血管系及び心臓の炎症が挙げられるが、これらに限定されない。特定の態様では、本発明により処置できる炎症性疾患としては、白血球または他の免疫エフェクター細胞の罹患組織への侵入による炎症が挙げられる。本発明により処置し得る炎症性症状の他の関連する例としては、ウイルス、バクテリア、菌及び寄生生物などを含む感染性因子により生じる炎症が挙げられるが、これらに限定されない。
炎症性肺疾患としては、喘息、成人呼吸窮迫症候群、気管支炎、肺炎症、肺線維症、及び嚢胞性線維症(加えてまたはその代わりに胃腸管または(単数または複数種類の)他の組織を含み得る)が挙げられるが、これらに限定されない。炎症性関節疾患としては、リウマチ性関節炎、リウマチ様脊椎炎、若年性リウマチ性関節炎、変形性関節炎、通風性関節炎及び他の関節炎の症状が挙げられる。炎症性要素をもつ眼の疾患としては、以下のものに限定されないが、ブドウ膜炎(虹彩炎を含む)、結膜炎、強膜炎、乾性角結膜炎、及び網膜疾患、たとえば糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜色素変性症、並びに乾燥及び湿潤加齢性黄斑変性症が挙げられるが、これらに限定されない。炎症性腸疾患としては、クローン病、潰瘍性大腸炎及び遠位性腸炎(distal proctitis)が挙げられる。
炎症性皮膚疾患としては、細胞増殖に伴う症状、たとえば乾癬、湿疹及び皮膚炎(たとえば湿疹性皮膚炎、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎、アレルギー性または刺激性接触皮膚炎、温熱性湿疹、光アレルギー性皮膚炎、光毒性皮膚炎、植物性光皮膚炎、放射線皮膚障害、及び鬱滞性皮膚炎)が挙げられるが、これらに限定されない。他の炎症性皮膚炎としては、皮膚硬化症、潰瘍及び外傷に起因するびらん、熱傷、水疱性疾患、または皮膚若しくは粘膜の虚血、魚鱗癬の幾つかの形態、表皮水疱症、瘢痕ケロイド、ケロイド、内因性老化の皮膚変化、光老化、皮膚の機械的剪毛により生じた摩擦による水疱形成及びコルチコステロイド剤の局所使用により生じた皮膚萎縮が挙げられるが、これらに限定されない。追加の炎症性皮膚疾患としては、粘膜の炎症、たとえば口唇炎、荒れた唇、及び鼻の炎症、粘膜炎並びに外陰膣炎が挙げられる。
内分泌系の炎症性疾患としては、自己免疫性甲状腺炎(橋本病)、I型糖尿病並びに、副腎皮質の急性及び慢性炎症が挙げられるが、これらに限定されない。心血管系の炎症性疾患としては、冠状動脈障害、抹消血管疾患、心筋炎、脈管炎、狭窄症の血管開通術、アテローム性動脈硬化症及びII型糖尿病に伴う血管の病気が挙げられるが、これらに限定されない。
腎臓の炎症性疾患としては、糸球体腎炎、間質性腎炎、ループス腎炎、ヴェグナー病に後発する腎炎、急性腎炎に後発する急性腎不全、グッドパスチャー症候群、後閉塞性症候群(post-obstructive syndrome)及び管状虚血(tubular ischemia)が挙げられるが、これらに限定されない。
肝臓の炎症性疾患としては、肝炎(ウイルス感染、自己免疫反応、薬物療法、毒物、環境要因から生じるもの、または原発性疾患の二次的な反応)、胆道閉鎖症、原発性胆汁性肝硬変及び原発性硬化性胆管炎が挙げられるが、これらに限定されない。
中枢神経系の炎症性疾患としては、多発性硬化症及び神経変性病、たとえばアルツハイマー病、パーキンソン病、またはHIV感染に伴う認知症が挙げられるが、これらに限定されない。
他の炎症性疾患としては、歯周病、慢性炎症における組織壊死、内毒素性ショック、平滑筋の増殖性疾患、移植片対宿主拒絶反応、虚血再かん流障害後の組織損傷、及び移植手術後の組織拒絶反応が挙げられる。
本発明はさらに、本発明の化合物を患者に投与することを含む、患者において手術後の創傷治癒に関連した炎症を処置または予防する方法を提供する。
本発明の化合物は、上記の疾患などの炎症性要素をもつ任意の疾患の処置または予防に使用し得ることに注目すべきである。さらに、上記炎症性疾患は、包括的ではなく例示を意味する。
当業者は、追加の炎症性疾患(たとえば、傷害、発作、感染、遺伝病による全身または局所的な免疫不均衡または免疫機能障害、あるいは被験者の生理機能に対して環境的に酔わせたり混乱させたりするもの(an environmental intoxicant or perturbant to the subject's physiology))は、本発明の化合物により処置または予防できることを理解するだろう。従って、本発明の方法は、これらに限定されないが、上記のものなどを含む炎症性要素をもつ任意の疾患を処置または予防するために使用することができる。
本発明はまた、本発明の化合物の有効量を投与することによる、関節炎、炎症性大腸炎、ブドウ膜炎、眼の炎症、ぜんそく、肺の炎症、嚢胞性線維症、乾癬、動脈炎、心血管疾患、多発性硬化症、または神経変性病を処置または予防する方法を提供する。
本発明は、本発明の化合物の有効量を投与することにより、虚血を処置する方法も提供する。特定の態様では、虚血は、心虚血、脳虚血、腸管虚血(たとえば、虚血性大腸炎または腸間膜虚血)、または皮膚虚血である。
本発明は、グルココルチコイドと共同して本発明の化合物を患者に投与することを含む、患者において炎症性疾患を処置または予防する方法を提供する。
本発明は、グルココルチコイドと共同して本発明の化合物を患者に投与することを含む、炎症性疾患(たとえば、上記の炎症性疾患のいずれか)を処置または予防する方法を提供する。
本発明の化合物は、炎症を消散することができる。グルココルチコイドは、炎症を処置する役割が公知である。しかしながら、グルココルチコイドの完全な抗炎症性能力は、高用量及び長期にわたる投与計画を伴う治療を制限する有害事象の割合及び重大性のため、単剤療法として臨床的に制約されていることが多い。たとえば、グルココルチコイドの投与により、クッシング病によく似た副作用がでることがある。グルココルチコイド使用に伴うこれら及び他の副作用としては、食欲増加及び体重増加、胸、顔、上背及び胃の脂肪蓄積、水分と塩分の保持による腫れ及び浮腫、高血圧、糖尿病、傷の回復が遅い、骨粗しょう症、白内障、にきび、筋衰弱、皮膚が薄くなる、感染症に対する感受性増大、胃潰瘍、発汗増加、気分変動、精神的問題、たとえば鬱、及び副腎の抑制及び副腎クリーゼが挙げられる。好都合には、本発明の化合物とグルココルチコイドとの組み合わせによる炎症性疾患の処置により、高用量のグルココルチコイド単独に関連する作用を低下させつつ、両方の種類の化合物の抗炎症特性を増進する。
グルココルチコイドを本発明の化合物と共同して投与する本発明の方法において、グルココルチコイドは当業界で公知の任意のグルココルチコイドから選択することができる。共同投与に好適なグルココルチコイドとしては、アルクロメタゾン、アミシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブタソニド、シクルソニド、クロベタゾール、クロベタソン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコルト、デソニド、デスオキシメタゾン、デスオキシコルトン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、フルクロロン、フルドキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルプレドニデン、フルチカゾン、ホルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン/コルチゾル、ヒドロコルチゾンアセポナート、ヒドロコルチゾンブテプラート、ヒドロコルチゾンブチラート、ロテプレドノール、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニドゾロンアセポナート、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾン/プレドニゾロン、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、ウロベタソール、モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド半水化物、モメタゾンフロエート一水和物、デソキシメタゾン、二酢酸ジフロラゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ジフルオロコルトロン、フルオロコルチゾン、フルメタゾン、フルニソリド、フルオロコルトロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、コルチゾル、6a-メチルプレドニゾロン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、フルクロロンアセトニド、フルシノロンアセトニド、安息香酸ベタメタゾン、フルオコリチンブチル、ジプロピオン酸ベタメタゾン、フルオコルトロン製剤、吉草酸ベタメタゾン、酢酸フルプレドニデン、フルランドレノロン、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタゾール、ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酢酸メチルプレドニゾロン、吉草酸ジフルコルトロン、ピバル酸フルメタゾン、若しくはトリアムシノロンアセトニドまたはその薬学的に許容可能な塩が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の態様では、本発明の方法により処置すべき患者は、(グルココルチコイド以外の)抗炎症薬を既に投与されていてもよい。好ましい態様において、患者は上記グルココルチコイドの一つのようなグルココルチコイドを既に投与されており、本発明の化合物と共同してその薬剤を続けて摂取する。あるいは、本発明の化合物は、予め投与した抗炎症薬の代替品として使用することができる。
関連する態様では、本発明は、所望の抗炎症作用を達成するのに必要なグルココルチコイド用量を減らす方法を提供する。特定のコルチコイドには副作用があるため、強力な抗炎症特性を維持しつつグルココルチコイドの用量を減らすことは非常に望ましい。グルココルチコイドの副作用としては、食欲増加及び体重増加、胸、顔、上背及び胃の脂肪蓄積、水分と塩分の保持による腫れ及び浮腫、高血圧、糖尿病、傷の回復が遅い、骨粗しょう症、白内障、にきび、筋衰弱、皮膚が薄くなる、感染症に対する感受性増大、胃潰瘍、発汗増加、気分変動、精神的問題、たとえば鬱、及び副腎の抑制及び副腎クリーゼが挙げられる。
この態様において、グルココルチコイド用量は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%以上減らせる。グルココルチコイドの実際の減少量は、投与される本発明の化合物の性質及び量、及び所望の炎症における減少並びに、疾患または症状を処置する際に通常考慮される本出願のほかの場所で説明される他の因子に依存する。本方法で投与される本発明の化合物量は、上記因子、並びに投与されるグルココルチコイドの性質及び量にも依存する。特定の態様では、本方法で投与される本発明の化合物量は、グルココルチコイドと共に共同して投与せずに抗炎症作用を生み出すのに必要な本発明の化合物の用量の5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、40%未満、50%未満、60%未満、70%未満、80%未満、または90%未満である。
一態様において、本発明に従って炎症性疾患を処置または予防する方法は、別の抗炎症薬、たとえば非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、肥満細胞安定剤、またはロイコトリエン調整剤(modifier)を患者に共同して添加する追加の段階を含むことができる。
特定の態様では、炎症性疾患の処置で本発明に従ってグルココルチコイドと本発明の化合物を含む組成物を使用することは、別のコルチコステロイドの個別投与も共同投与をも排除するものではない。
特定の態様では、炎症性疾患の処置で本発明に従って本発明の化合物とグルココルチコイドの両方を含む組成物を使用することは、別のグルココルチコイドの個別投与も共同投与も排除するものではない。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、グルココルチコイドを共同投与しつつ、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらに、そのような組み合わせは、他の抗炎症薬剤などの他の治療薬と共同して投与することができる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;(b)上記のグルココルチコイドの一つ以上の単一剤形;及び(c)本発明の化合物とグルココルチコイドを投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)炎症性疾患などの上記疾患または症状を処置または予防するためなどの、医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、上記グルココルチコイドと共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、上記グルココルチコイドを含む第二の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一製剤として)を含む。
特定の態様では、本キットはさらに、上記の炎症性疾患の処置または予防に好適な薬剤(たとえば非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、肥満細胞安定剤、またはロイコトリエン調節剤)と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、上記の炎症性疾患の処置または予防に好適な薬剤(たとえば非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、肥満細胞安定剤、またはロイコトリエン調節剤)を含む第二の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)上記の炎症性疾患の処置または予防に好適な薬剤(たとえば非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、肥満細胞安定剤、またはロイコトリエン調節剤)を含む第一の医薬製剤;及び
(b)炎症性疾患を処置または予防するためなどの、本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)上記グルココルチコイドを含む第一の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)炎症性疾患を処置または予防するためなどの、本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
代謝性疾患
本発明は、本発明の化合物を患者に投与することを含む、患者の炎症性要素(inflammatory component)をもつ複合疾患を処置または予防する方法を提供する。特定の態様では、炎症性要素をもつ複合疾患とは、2型糖尿病または肥満である。
本発明は、本発明の化合物を患者に投与することを含む、患者の代謝障害を処置または予防する方法を提供する。特定の態様では、代謝障害は、摂食障害、脂質異常症、高トリグリセリド血症、高血圧、または代謝異常症候群から選択される。
本発明はさらに、本発明の化合物を患者に投与することを含む、1型糖尿病の処置または予防法を提供する。特定の態様では、本発明は、本発明の化合物を患者に投与することを含む、1型糖尿病を進行させる危険性のある患者を処置する方法を提供する。特定の態様では、本発明は、本発明の化合物を患者に投与することを含む、1型糖尿病の一つ以上の前兆、たとえば極度の口渇;頻尿;眠気または昏睡;尿糖;突然の視力変化;食欲増進;急激な体重減少;息がフルーツ様、甘いまたはワインのような匂い;重く苦しい呼吸;意識もうろう;または無意識を示す患者を処置する方法を提供する。
本発明はさらに、本発明の化合物を患者に投与することを含む、2型糖尿病の処置または予防法を提供する。特定の態様では、本発明は、本発明の化合物を患者に投与することを含む、2型糖尿病を進行させる危険性のある患者を処置する方法を提供する。特定の態様では、本発明は、本発明の化合物を患者に投与することを含む、2型糖尿病の一つ以上の前兆、たとえば極度の口渇;頻尿;眠気または昏睡;尿糖;突然の視力変化;食欲増進;急激な体重減少;息がフルーツ様、甘いまたはワインのような匂い;重く苦しい呼吸;意識もうろう;または無意識を示す患者を処置する方法を提供する。
本発明はさらに、本発明の化合物を患者に投与することを含む、患者の脂質-またはブドウ糖によって引き起こされた毒性からランゲルハンス島のベータ細胞を保護、たとえばその成長及び/または生存を促進するための方法を提供する。
特定の態様では、本発明に従って2型糖尿病などの炎症性要素をもつ複合疾患を処置若しくは予防、または1型糖尿病を処置するための方法は、これらに限定されないが、スルホニルウレア(たとえばクロロプロパミド、トルブタミド、グリブリド、グリピジド、アセトヘキサミド、トラザミド、グリクラジド、グリキドンまたはグリメピリド)、肝臓によって産生されるブドウ糖量を下げる薬剤(たとえばメトホルミン)、メグリチニド(たとえばレパリニドまたはナテグリニド)、腸から糖質の吸収を低下させる薬剤(たとえばアカルボースなどのアルファグルコシダーゼ阻害剤)、血糖コントロールを作用する薬剤(たとえばプラムリンチドまたはエクセナチド)、DPP-IV阻害剤(たとえばシタグリプチン)、インスリン治療または上記のものの組み合わせなどの糖尿病の別の処置を患者に共同して投与する追加の段階を含む。
特定の態様では、本発明に従って肥満などの炎症性要素をもつ複合疾患を処置または予防するための方法は、これらに限定されないが、オルリスタット、シブトラミン、フェンジメトラジン、フェンテルミン、ジエチルプロピオン、ベンズフェタミン、マジンドール、デキストロアンフェタミン、リモナバント、セチリスタット、GT 389-255、APD356、パラムリンチド/AC137、PYY3-36、AC 162352/PYY3-36、オキシントモジュリン、TM 30338、AOD 9604、オレオイル-エストロン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、シュードエフェドリンまたは、その薬学的に許容可能な塩を含む、肥満の別の処置を患者に共同的に投与する追加の段階を含むことができる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらに、そのような組み合わせは、上記の薬剤のような、代謝障害の処置または予防に好適な他の薬剤などの他の治療薬と共同して投与することができる。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば一つ以上の単一製剤);及び
(b)炎症性要素をもつ複合疾患(たとえば2型糖尿病若しくは肥満)の処置または予防、代謝障害(たとえば摂食障害、脂質異常症、高トリグリセリド血症、高血圧、若しくは代謝異常症候群)の処置または予防、1型糖尿病の処置または予防、1型糖尿病の進行する危険性のある患者の処置、1型糖尿病の前兆を示す患者の処置、または脂質-若しくはブドウ糖によって引き起こされた毒性からランゲルハンス島のベータ細胞を保護する(たとえばその成長及び/または生存を促進する)ためなどの、医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、上記のような糖尿病の処置または予防に好適な薬剤(スルホニルウレア(たとえばクロロプロパミド、トルブタミド、グリブリド、グリピジド、アセトヘキサミド、トラザミド、グリクラジド、グリキドンまたはグリメピリド)、肝臓によって産生されるブドウ糖量を下げる薬剤(たとえばメトホルミン)、メグリチニド(たとえばレパリニドまたはナテグリニド)、腸から糖質の吸収を低下させる薬剤(たとえばアカルボースなどのアルファグルコシダーゼ阻害剤)、血糖コントロールを作用する薬剤(たとえばプラムリンチドまたはエクセナチド)、DPP-IV阻害剤(たとえばシタグリプチン)、インスリン治療または上記のものの組み合わせ)と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、上記のような糖尿病を処置または予防するのに好適な薬剤(スルホニルウレア(たとえばクロロプロパミド、トルブタミド、グリブリド、グリピジド、アセトヘキサミド、トラザミド、グリクラジド、グリキドンまたはグリメピリド)、肝臓によって産生されるブドウ糖量を下げる薬剤(たとえばメトホルミン)、メグリチニド(たとえばレパグリニドまたはナテグリニド)、腸から糖質の吸収を低下させる薬剤(たとえばアカルボースなどのアルファグルコシダーゼ阻害剤)、血糖コントロールを作用する薬剤(たとえばパラムリンチドまたはエクセナチド)、DPP-IV阻害剤(たとえばシタグリプチン)、インスリン治療または上記のものの組み合わせ)を含む第二の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一製剤として)を含む。
特定の態様では、本キットはさらに、上記の肥満の処置または予防に好適な薬剤と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、上記肥満の処置または予防に好適な薬剤を含む医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)上記肥満の処置または予防に好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)炎症性要素をもつ複合疾患(たとえば2型糖尿病または肥満)の処置または予防、代謝障害 (たとえば摂食障害、脂質異常症、高トリグリセリド血症、高血圧、または代謝異常症候群)の処置または予防、1型糖尿病の処置または予防、1型糖尿病の進行する危険性のある患者の処置、1型糖尿病の前兆を示す患者の処置、または脂質-若しくはブドウ糖によって引き起こされた毒性からランゲルハンス島のベータ細胞を保護する(たとえばその成長及び/または生存を促進する)ための本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)上記糖尿病の処置または予防に好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形);及び
(b)炎症性要素をもつ複合疾患(たとえば2型糖尿病または肥満)の処置または予防、代謝障害(たとえば摂食障害、脂質異常症、高トリグリセリド血症、高血圧、または代謝異常症候群)の処置または予防、1型糖尿病の処置または予防、1型糖尿病の進行する危険性のある患者の処置、1型糖尿病の前兆を示す患者の処置、または脂質-若しくはブドウ糖によって引き起こされた毒性からランゲルハンス島のベータ細胞を保護する(たとえばその成長及び/または生存を促進する)ための本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
眼疾患
本発明は、本発明の化合物(たとえば上記式I〜IIIのいずれか一つの化合物)を眼疾患の患者に投与することを含む、患者の眼疾患を処置または予防する方法を提供する。
本発明はさらに、患者の眼疾患(たとえばドライアイ)を処置または予防する方法であって、式IVの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を前記患者に投与することを含む、前記方法を提供する:
{式中、Xは、-C≡C-、-C(R
7)=C(R
7)-、-(シクロプロピル)-、-(シクロブチル)-、-(シクロペンチル)-、及び-(シクロヘキシル)-から選択される;
R
1は、-OR
a、-N(R
a)-SO
2-R
c及び-N(R
a)(R
b)から選択される、ここでR
a及びR
bのそれぞれは独立してH、C
1-C
6-アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキルから選択され、R
cは、C
1-C
6-アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキルから選択される;
R
2は、-CH
2-、-C(O)-、-SO
2-、-PO(OR)-、及びテトラゾールから選択される;
Rは、水素及びアルキルから選択される;
R
3は、炭素環、複素環、-(CH
2)
n-、CH
2C(O)CH
2、及び-CH
2-O-CH
2から選択され、ここで:
nは1〜3の整数である;
R
3のいずれかの水素原子は場合により及び独立して、ハロ、(C
1-C
5)-アルキル、パーフルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、またはO-(C
1-C
5)-アルキルにより置換される;及び
R
3の通常の炭素原子に結合している任意の二つの水素原子は場合によりこれらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環または複素環を形成する;
R
4a及びR
4bのそれぞれは独立して、水素、ハロ、-OH、-O-(C
1-C
5)-アルキル、-O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C
1-C
5)-アルキル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-ヘテロアリール、-O-C(O)-O-(C
1-C
5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、-O-C(O)-O-ヘテロアリール、及び-O-C(O)-N(R
a)(R
b)から選択される、ここで任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、場合によりハロ、(C
1-C
5)-アルキル、O-(C
1-C
5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ及びニトロから選択される最高3個までの置換基で置換される;
R
5a及びR
5bのそれぞれは独立して水素、ハロ、(C
1-C
5)-アルキル、パーフルオロアルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択される、好ましくは水素、ハロ及び(C
1-C
5)-アルキルから選択される;
R
6は、-フェニル、-(C
1-C
5)-アルキル、-(C
3-C
7)-シクロアルキル、-C≡C-フェニル、-C≡C-(C
3-C
7)-シクロアルキル、-C≡C-(C
1-C
5)-アルキル、及び-O-フェニルから選択され、ここでフェニルは場合により、ハロ、(C
1-C
5)-アルキル、O-(C
1-C
5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基により置換される、
及び
(a)Xは-C(R
7)=C(R
7)-若しくは-(シクロプロピル)-であるか;または
(b)R
4a及びR
4bのぞれぞれは水素若しくはハロであるか;または
(c)R
5a及びR
5bのそれぞれはハロであるか;または
(d)R
2は-CH
2-であるとき、R
6はさらに-C≡CHから選択される;
R
7はそれぞれ独立して水素及び(C
1-C
5)-アルキルから選択されるか、またはR
7の二つの場合は場合によりこれらが結合している炭素と一緒になって、5-若しくは6-員環を形成する;
R
10a及びR
10bのそれぞれは独立して、水素、(C
1-C
5)-アルキル、パーフルオロアルキル、O-(C
1-C
5)-アルキル、アリール及びヘテロアリールから選択されるか、または
R
10a及びR
10bはこれらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環若しくは複素環を形成する;
それぞれの二重結合は、独立してE-若しくはZ-配置である}。
特定の態様では、R1は-OMであり、ここでMは、アンモニウム、テトラ-アルキルアンモニウム、Na、K、Mg、及びZnから選択されるカチオンである。
特定の態様では、R2及びR1は一緒になって:
特定の態様では、Xは-C≡C-である。特定の態様では、Xは-C(R7)=C(R7)-、-(シクロプロピル)-、-(シクロブチル)-、-(シクロペンチル)-、または-(シクロヘキシル)-である。特定の態様では、Xは-C(R7)=C(R7)-である。特定の態様では、Xは-C≡C-、-(シクロプロピル)-、-(シクロブチル)-、-(シクロペンチル)-、または-(シクロヘキシル)-である。特定の態様では、Xは-(シクロプロピル)-である。特定の態様では、Xは-C≡C-または-C(R7)=C(R7)-である。特定の態様では、Xは-(シクロプロピル)-、-(シクロブチル)-、-(シクロペンチル)-、または-(シクロヘキシル)-であり、R4aを保持しているオレフィン及び炭素は、-(シクロプロピル)-、-(シクロブチル)-、-(シクロペンチル)-、または-(シクロヘキシル)-環系上の隣接する炭素に結合している。
特定の態様では、R4bは水素である。特定の態様では、R4bはハロ、-OH、-O-(C1-C5)-アルキル、-O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-ヘテロアリール、-O-C(O)-O-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、-O-C(O)-O-ヘテロアリール、または-O-C(O)-N(Ra)(Rb)であり、ここで任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリール場合により、ハロ、(C1-C5)-アルキル、O-(C1-C5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基で置換される。特定の態様では、R4bはフルオロである。特定の態様では、R4bは水素、-OH、-O-(C1-C5)-アルキル、-O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-ヘテロアリール、-O-C(O)-O-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、-O-C(O)-O-ヘテロアリール、または-O-C(O)-N(Ra)(Rb)であり、ここで任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、場合によりハロ、(C1-C5)-アルキル、O-(C1-C5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基で置換される。特定の態様では、R4bは、-OH、-O-(C1-C5)-アルキル、O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、O-C(O)-アリール、O-C(O)-ヘテロアリール、及び-O-C(O)-N(Ra)(Rb)から選択される。特定の態様では、R4bは水素、ハロ、-O-C(O)-O-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、または-O-C(O)-O-ヘテロアリールであり、ここで任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリールは場合により、ハロ、(C1-C5)-アルキル、O-(C1-C5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基で置換される。特定の態様では、R4bは、水素、ハロ、-OH、または-O-(C1-C5)-アルキルから選択される。特定の態様では、R4bは-O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-ヘテロアリール、-O-C(O)-O-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、-O-C(O)-O-ヘテロアリール、または-O-C(O)-N(Ra)(Rb)であり、ここで任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、場合により、ハロ、(C1-C5)-アルキル、O-(C1-C5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基で置換される。特定の態様では、R4bは-OH、-O-(C1-C5)-アルキル、-O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-ヘテロアリール、-O-C(O)-O-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、-O-C(O)-O-ヘテロアリール、及び-O-C(O)-N(Ra)(Rb)から選択され、ここで任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリールは場合により、ハロ、(C1-C5)-アルキル、O-(C1-C5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基で置換される。特定の態様では、R4bは水素またはハロから選択される。
特定の態様では、R4bは(R)配置である。特定の態様では、R4bは(S)配置である。
特定の態様では、R4aは水素である。特定の態様では、R4aはハロ、-OH、-O-(C1-C5)-アルキル、-O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-ヘテロアリール、-O-C(O)-O-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、-O-C(O)-O-ヘテロアリール、または-O-C(O)-N(Ra)(Rb)であり、ここで任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、場合によりハロ、(C1-C5)-アルキル、O-(C1-C5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基で置換される。特定の態様では、R4aはフルオロである。特定の態様では、R4aは水素、-OH、-O-(C1-C5)-アルキル、-O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-ヘテロアリール、-O-C(O)-O-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、-O-C(O)-O-ヘテロアリール、または-O-C(O)-N(Ra)(Rb)であり、ここで任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリールは場合により、ハロ、(C1-C5)-アルキル、O-(C1-C5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基で置換される。特定の態様では、R4aは、-OH、-O-(C1-C5)-アルキル、O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、O-C(O)-アリール、O-C(O)-ヘテロアリール、及び-O-C(O)-N(Ra)(Rb)から選択される。特定の態様では、R4aは水素、ハロ、-O-C(O)-O-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、または-O-C(O)-O-ヘテロアリールであり、ここで任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ、(C1-C5)-アルキル、O-(C1-C5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基で置換される。特定の態様では、R4aは水素、ハロ、-OH、または-O-(C1-C5)-アルキルから選択される。特定の態様では、R4aは-O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-ヘテロアリール、-O-C(O)-O-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、-O-C(O)-O-ヘテロアリール、または-O-C(O)-N(Ra)(Rb)であり、ここで任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリールは場合により、ハロ、(C1-C5)-アルキル、O-(C1-C5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基で置換される。特定の態様では、R4aは、-OH、-O-(C1-C5)-アルキル、-O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-ヘテロアリール、-O-C(O)-O-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、-O-C(O)-O-ヘテロアリール、及び-O-C(O)-N(Ra)(Rb)から選択され、ここで任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリールは場合により、ハロ、(C1-C5)-アルキル、O-(C1-C5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基で置換される。特定の態様では、R4aは水素またはハロから選択される。
特定の態様では、R4aは(S)配置である。特定の態様では、R4aは(R)配置である。
特定の態様では、R4aは-OHであり、R5aは、水素または(C1-C5)-アルキルから選択される。特定の態様では、R4aは-OH、-O-(C1-C5)-アルキル、-O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-ヘテロアリール、-O-C(O)-O-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、-O-C(O)-O-ヘテロアリール、及び-O-C(O)-N(Ra)(Rb)から選択され、R5aは水素または(C1-C5)-アルキルから選択される。特定の態様では、R5aはフルオロである。特定の態様では、R5aは水素及び(C1-C5)-アルキルから選択される。
特定の態様では、R4bは-OHであり、R5bは水素または(C1-C5)-アルキルから選択される。特定の態様では、R4bは、-OH、-O-(C1-C5)-アルキル、-O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-ヘテロアリール、-O-C(O)-O-(C1-C5)-アルキル、-O-C(O)-O-アリール、-O-C(O)-O-ヘテロアリール、及び-O-C(O)-N(Ra)(Rb)から選択され、R5bは水素または(C1-C5)-アルキルから選択される。特定の態様では、R5bはフルオロである。特定の態様では、R5bは水素及び(C1-C5)-アルキルから選択される。
特定の態様では、R2は-CH2-である。特定の態様では、R2は-C(O)-である。
特定の態様では、RaはH及びC1-C6-アルキルから選択される。特定の態様では、Raは、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキルから選択される。
特定の態様では、Rbは、H及びC1-C6-アルキルから選択される。特定の態様では、Rbは、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキルから選択される。
特定の態様では、Rcは、C1-C6-アルキル、アリール、またはヘテロアリールである。特定の態様では、Rcはアリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキルから選択される。
R3が、炭素環、複素環、-(CH2)n-、及びCH2C(O)CH2から選択される特定の態様では、R3の任意の水素原子は場合により及び独立して、ハロ、(C1-C5)-アルキル、パーフルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、またはO-(C1-C5)-アルキルにより置換される。R3が-CH2-O-CH2である特定の態様では、R3の任意の水素原子は場合により及び独立して、ハロ、(C1-C5)-アルキル、パーフルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはO-(C1-C5)-アルキルにより置換される。特定の態様では、R3は、-(CH2)n-及び-CH2-O-CH2から選択され、ここでnは1〜3の整数であり、R3の最高2個までの水素原子は場合により及び独立して(C1-C5)-アルキルにより置換される。特定の態様では、R3は、炭素環、複素環、及びCH2C(O)CH2から選択され、ここでnは1〜3の整数であり;R3の任意の水素原子は場合により及び独立して、ハロ、(C1-C5)-アルキル、パーフルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、またはO-(C1-C5)-アルキルにより置換される;R3の通常の炭素原子に結合した任意の2個の水素原子は場合によりこれらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環または複素環を形成する。
特定の態様では、R10aは水素である。特定の態様では、R10aは、(C1-C5)-アルキル、パーフルオロアルキル、O-(C1-C5)-アルキル、アリール及びヘテロアリールから選択されるか、またはR10aはこれらが結合しているR10b及び炭素原子と一緒になって炭素環若しくは複素環を形成する。
特定の態様では、R10bは水素である。特定の態様では、R10bは、(C1-C5)-アルキル、パーフルオロアルキル、O-(C1-C5)-アルキル、アリール及びヘテロアリールから選択されるか、またはR10bはこれらが結合しているR10a及び炭素原子と一緒になって炭素環若しくは複素環を形成する。
特定の態様では、R1は-ORaである。特定の態様では、R1は、-N(Ra)-SO2-Rc及び-N(Ra)(Rb)から選択される。特定の態様では、R1は-N(Ra)-SO2-Rcである。特定の態様では、R1は、-ORa及び-N(Ra)(Rb)から選択される。特定の態様では、R1は-N(Ra)(Rb)である。特定の態様では、R1は-ORa、及び-N(Ra)-SO2-Rcから選択される。
特定の態様では、R7は水素である。特定の態様では、R7は、(C1-C5)-アルキルであるか、R7の二つの場合は場合によりこれらが結合している炭素原子と一緒になって、5-または6-員環を形成する。
特定の態様では、Xは-C≡C-であり、R4bは水素である。
特定の態様では、Xは-C≡C-であり、R4aは水素である。
特定の態様では、Xは-C≡C-であり、R4aはフルオロであり、及びR5aはフルオロである。
特定の態様では、Xは-C≡C-であり、R4bはフルオロであり、及びR5bはフルオロである。
特定の態様では、Xは-C≡C-であり、R4a及びR4bのそれぞれは独立して、-OH、-O-(C1-C5)-アルキル、O-アリール、O-ヘテロアリール、-O-C(O)-(C1-C5)-アルキル、O-C(O)-アリール、O-C(O)-ヘテロアリール、及び-O-C(O)-N(Ra)(Rb)から選択される。
特定の態様では、Xは-C≡C-であり、R2は-CH2-である。
特定の態様では、Xは-(シクロプロピル)-、-(シクロブチル)-、-(シクロペンチル)-、及び-(シクロヘキシル)-である。特定の態様では、Xは-(シクロプロピル)-である。
特定の態様では、Xは-C(R7)=C(R7)-である。
特定の態様では、Ra及びRbのそれぞれは独立してH及びC1-C6-アルキルから選択され;RcはC1-C6-アルキルであり;R3は、-(CH2)n-及び-CH2-O-CH2から選択され、ここでnは1〜3の整数であり、R3の最高2個までの水素原子は場合により及び独立して(C1-C5)-アルキルにより置換され;R4a及びR4bのそれぞれは独立して水素、ハロ、-OH、-O-(C1-C5)-アルキルから選択され;並びにR10a及びR10bのそれぞれは水素である。
特定の態様では、それぞれの二重結合はE-配置である。特定の態様では、それぞれの二重結合はZ-配置である。特定の態様では、一つの二重結合はE-配置であり、一つの二重結合はZ-配置である。
特定の態様では、本発明は、上記の任意の組み合わせを包含する。当業者は、本明細書に開示の化合物の可変領域のそれぞれの可能な残基、たとえばR1、R2、R3、R4a、R4b、R5a、R5b、R6、R7、R10a、R10b、Ra、Rb、Rc、n及びXの全ての特定の組み合わせは、本発明の範囲内であることを理解するだろう。一例として、R4aの種々の特定の態様のいずれもが、Xの種々の特定の態様のいずれかとを組み合わせることができる。
特定の態様では、化合物は、以下のもののいずれかから選択される。
本発明は、さらに、患者の眼疾患(たとえばドライアイ)を処置または予防する方法であって、式V:
の化合物または、上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩を前記患者に投与することを含む、前記方法を提供する{式中、R
1は、-OR
a、-N(R
a)-SO
2-R
c及び-N(R
a)(R
b)から選択され、ここでR
a及びR
bのそれぞれは独立してH、C
1-C
6-アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキルから選択され、R
cはC
1-C
6-アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキルから選択され;
R
2は、-C(O)-、-SO
2-、-PO(OR)-、及びテトラゾールから選択され;
Rは、水素及びアルキルから選択され;
R
3は、-(CH
2)
n-及び-CH
2-O-CH
2から選択され、ここでnは1〜3の整数であり;場合によりR
3の最高2個までの水素原子は独立してハロ、(C
1-C
5)-アルキル、またはO-(C
1-C
5)-アルキルにより置換される;
R
5a及びR
5bのそれぞれは独立して、水素、(C
1-C
5)-アルキル、パーフルオロアルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択され、好ましくは水素及び(C
1-C
5)-アルキルから選択され;
R
6は、-C≡CH、-フェニル、-(C
1-C
5)-アルキル、-(C
3-C
7)-シクロアルキル、-C≡C-フェニル、-C≡C-(C
3-C
7)-シクロアルキル、-C≡C-(C
1-C
5)-アルキル、及び-O-フェニルから選択され、ここでフェニルは場合により、ハロ、(C
1-C
5)-アルキル、O-(C
1-C
5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基で置換される;
R
8及びR
9のそれぞれは独立して、水素、-(C
1-C
5)-アルキル、-アリール、-ヘテロアリール、-C(O)-(C
1-C
5)-アルキル、-C(O)-アリール、-C(O)-ヘテロアリール、-C(O)-O-(C
1-C
5)-アルキル、-C(O)-O-アリール、-C(O)-O-ヘテロアリール、及び-C(O)-N(R
a)(R
b)から選択され、ここで任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリールは場合により、ハロ、(C
1-C
5)-アルキル、O-(C
1-C
5)-アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、エステル、アルコキシカルボニル、アシル、チオエステル、チオアシル、チオエーテル、アミノ、アミド、アシルアミノ、シアノ、及びニトロから独立して選択される最高3個までの置換基で置換される;
R
10a及びR
10bのそれぞれは独立して、水素、(C
1-C
5)-アルキル、パーフルオロアルキル、O-(C
1-C
5)-アルキル、アリール及びヘテロアリールから選択されるか、または
R
10a及びR
10bはこれらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環または複素環を形成する;及び
ここで各二重結合は独立してE-またはZ-配置である}。
特定の態様では、R1は-OMであり、ここでMは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、及びZnから選択されるカチオンである。
特定の態様では、R2及びR1は一緒になって:
特定の態様では、R2は-C(O)-である。特定の態様では、R1は-ORaであり、ここでRaは水素またはC1-C6-アルキルである。特定の態様では、R3は-(CH2)n-であり、ここでnは3である。特定の態様では、R6は-C≡CHである。特定の態様では、R5aは水素である。特定の態様では、R5bは水素である。特定の態様では、R10aは水素である。特定の態様では、R10bは水素である。特定の態様では、R2は-C(O)-であり、R1は-ORaであり、ここでRaはC1-C6-アルキルであり、R3は-(CH2)n-であり、ここでnは3であり、R6は-C≡CHであり、R5aは水素であり、R5bは水素であり、R10aは水素であり、及びR10bは水素である。
特定の態様では、化合物は以下のもののいずれかから選択される:
本発明はさらに、患者の眼疾患(たとえばドライアイ)を処置または予防する方法を提供し、式VIIの化合物:
及びその薬学的に許容可能な塩を前記患者に投与することを含む、前記方法を提供する{式中、Re及びRfは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル(たとえば、アルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、またはシリルから選択される;
Eは、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、またはアリールアミノであり;
Rh及びRiは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから選択される;
R
5は以下の(i)〜(iv)から選択される:
(i)CH
2CH(R
6)CH
2、ここでR
6は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシルまたはアルコキシである;
(ii)CH
2C(R
6R
7)CH
2、ここでR
6及びR
7はそれぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール、若しくはフルオロであるか、またはR
6及びR
7は一緒に結合して炭素環若しくは複素環を形成する;
(iii)CH
2OCH
2、CH
2C(O)CH
2、若しくはCH
2CH
2;または
(iv)R
5は炭素環、複素環、アリール、若しくはヘテロアリール環である;及び
R
8及びR
9は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アリール、若しくはヘテロアリールから選択されるか、またはR
8及びR
9は一緒に結合して炭素環若しくは複素環を形成する}。
特定の態様では、式VIIの化合物は、式VIII:
{式中、Re、Rf、R
5、及びEは上記定義の通りである}の化合物及びその薬学的に許容可能な塩により表される。
特定の態様では、式VIIまたはVIIIの化合物は、式IX:
{式中、Re、Rf、及びEは上記定義の通りである}の化合物及びその薬学的に許容可能な塩により表される。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式Aの化合物が挙げられる:
{式中、W'及びY'のそれぞれは、最高20個までの原子を含む環または最高20個までの原子の鎖から独立して選択される結合またはリンカーであり、但し、W'及びY'は独立して一つ以上の窒素、酸素、硫黄またはリン原子を含むことができ、但し、W'及びY'は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリルまたはスルホニルから選択される一つ以上の置換基を含むことができ、但し、W'及びY'は独立して一つ以上の融合炭素環、複素環、アリールまたはヘテロアリール環を含むことができ、及びただし、o'が0であり、及びV
1が:
であるとき、Y'は炭素原子を介してV
1に結合する;
V
1は:
から選択され、ここでq'が0であり、及びV
3が結合であるとき、n'は0または1であり;またはn'は1である;
V
2は、結合:
から選択され、ここでL'は-C(R
1003)(R
1004)-から選択され、ここでR
1003及びR
1004のそれぞれは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択されるか、あるいはR
1003及びR
1004は一緒に結合して炭素環または複素環を形成する;
V
3が:
であるとき、L'はさらにW'から選択され;n'は0または1である;
V
3は結合または:
から選択され、ここでR
1001及びR
1002はそれぞれの場合に独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルコキシ、またはハロから選択され、ここで前記アルキル-またはアリール-含有部分は場合により、最高3個までの独立して選択された置換基により置換されている;
R
a'及びR
b'はそれぞれの場合に独立して-OR'または-N(R')
2から選択されるか、あるいは隣接するR
a'及びR
b'は一緒になってシスまたはトランス配置をもつエポキシド環を形成し、ここでそれぞれのR'は独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、シリル、アルコキシアシル、アミノアシル、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、または保護基から選択される;あるいは;
V
1が:
であるとき、R
1002及びR
b'は両方とも水素であり;
X'は-CN、-C(NH)N(R'')(R'')、-C(S)-A'、-C(S)R"、-C(O)-A'、-C(O)-R"、-C(O)-SR"、-C(O)-NH-S(O)
2-R''、-S(O)
2-A'、-S(O)
2-R''、S(O)
2N(R'')(R'')、-P(O)
2-A'、-PO(OR'')-A'、-テトラゾール、アルキルテトラゾール、または-CH
2OHから選択され、ここで
A'は、-OR''、-N(R'')(R'')または-OM'から選択され;
それぞれのR''は独立して水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは検出可能なラベルの分子から選択され、ここで任意のアルキル-、アリール-またはヘテロアリール-含有部分は場合により、最高3個までの独立して選択された置換基により置換されており;及び
M'はカチオンであり;
G'は、水素、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミドまたは検出可能なラベル分子から選択され、ここで任意のアルキル-、アリール-またはヘテロアリール-含有部分は場合により最高3個までの独立して選択された置換基により置換されている;
o'は0、1、2、3、4、または5であり;
p'は0、1、2、3、4、または5であり;
q'は0、1、または2であり;及び
o'+p'+q'は、1、2、3、4、5または6であり;
ここでV
2が結合であるとき、q'は0であり、及びV
3は結合であり;
V
3が:
であり;
任意の非環式二重結合はシス若しくはトランス配置であるか、場合により三重結合により置換される;及び
存在する場合には、化合物の一部分:
により置換されるか、または存在する場合には、化合物の一部分:
により置換され、ここでQ'は、一つ以上の置換基を表し、それぞれのQ'は、独立してハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシまたはアミノカルボニルから選択される}。
特定の態様では、V1は、
特定の態様では、V2は、
特定の態様では、q'が0であり、V3が結合であるとき、n'は0または1であり;さもなければn'は1である。
特定の態様では、p'は、0、1、2、3、または5である。
特定の態様では、q'は、0または1である。
特定の態様では、V1が
であるとき、o'は0または1であり、p'は1または2であり、o'+p'は1または2であり、V
2は
特定の態様では、V1が
であるとき、o'は3、4または5であり、p'は0、1または2であり、o'+p'は4または5であり、及びV
2は結合である。
特定の態様では、V2が結合である場合、o'は0、3、4または5であり;p'は0、1、2または5であり、o'+p'は4または5であり、q'は0であり、及びV3は結合である。
特定の態様では、W'及びY'はそれぞれ独立して、結合あるいは、アルケニル、アルキニル、アリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アミノ、若しくはオキソから独立して選択される一つ以上の置換基で場合により置換された低級アルキルまたはヘテロアルキルから選択される。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式1:
{式中、炭素a'及びb'は二重結合または三重結合により結合される;
炭素c'及びd'は二重結合または三重結合により結合される;
Re、Rf、及びRgは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル(たとえば、アルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、またはシリルから選択される;
Rh、Ri及びRjは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから選択される;
Iは、-C(O)-E、-SO
2-E、-PO(OR)-Eから選択され、ここでEは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、またはアリールアミノから選択され;及びRは水素またはアルキルである;
J、L及びHは、最高20個までの原子を含む環または最高20個までの原子の鎖から独立して選択されるリンカーである、但し、J、L及びHは、独立して一つ以上の窒素、酸素、硫黄またはリン原子を含むことができ、但し、J、L及びHは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル及びスルホニルから選択される一つ以上の置換基を含むことができ、但し、J、L及びHは、一つ以上の融合炭素環、複素環、アリールまたはヘテロアリール環も含むことができ、但しリンカーJは炭素原子を介して隣接C(R)OR基に結合される;
Gは、水素、アルキル、パーフルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、またはカルボキサミドから選択される}のものまたはその薬学的に許容な塩が挙げられる。
特定の態様では、化合物の薬学的に許容可能な塩は、Eを誘導体化することにより形成され、ここでEは-OMであり、ここでMは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、及びZnから選択されるカチオンである。
特定の態様では、式1の化合物は、式2:
{式中、E、Re、Rf、及びRgは上記定義の通りである}により表される。
特定の態様では、化合物の薬学的に許容可能な塩は、Eを誘導体化することにより形成され、ここでEは-OMであり、ここでMは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、及びZnから選択されるカチオンである。
式2の典型的な化合物としては、式2a:
特定の態様では、式1の化合物は、化合物3:
{式中、E、Re、Rf、及びRgは上記定義の通りである}により表される。
特定の態様では、化合物の薬学的に許容可能な塩は、Eを誘導体化することにより形成され、ここでEは-OMであり、ここでMは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、及びZnから選択されるカチオンである。
式3の典型的な化合物としては、化合物3a:
式1のさらなる典型的な化合物としては、化合物X:
及びその薬学的に許容可能な塩及びエステルが挙げられる。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式4:
{式中、AはHまたは-OP
4であり;
P
1、P
2及びP
4はそれぞれ独立して保護基または水素原子であり;
R
1及びR
2はそれぞれ独立して、置換若しくは非置換、分岐若しくは非分岐のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基、置換若しくは非置換アリール基、置換若しくは非置換、分岐若しくは非分岐アルキルアリール基、ハロゲン原子、水素原子であり;
Zは、-C(O)OR
d、-C(O)NR
cR
c、-C(O)H、-C(NH)NR
cR
c、-C(S)H、-C(S)OR
d、-C(S)NR
cR
c、-CNであり、好ましくはカルボン酸、エステル、アミド、チオエステル、チオカルボキサミドまたはニトリルであり;
存在する場合には、それぞれのR
aは、独立して水素、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、(C3-C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4-C11)シクロアルキルアルキル、(C5-C10)アリール、フェニル、(C6-C16)アリールアルキル、ベンジル、2-6員のヘテロアルキル、3-8員のヘテロサイクリル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4-11員のヘテロサイクリルアルキル、5-10員のヘテロアリール及び6-16員のヘテロアリールアルキルから選択され;
存在する場合には、それぞれのR
bは、=O、-OR
d、(C1-C3)ハロアルキルオキシ、-OCF
3、=S、-SR
d、=NR
d、=NOR
d、-NR
cR
c、ハロゲン、-CF
3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO
2、=N
2、-N
3、-S(O)R
d、-S(O)
2R
d、-S(O)
2OR
d、-S(O)NR
cR
c、-S(O)
2NR
cR
c、-OS(O)R
d、-OS(O)
2R
d、-OS(O)
2OR
d、-OS(O)
2NR
cR
c、-C(O)R
d、-C(O)OR
d、-C(O)NR
cR
c、-C(NH)NR
cR
c、-C(NR
a)NR
cR
c、-C(NOH)R
a、-C(NOH)NR
cR
c、-OC(O)R
d、-OC(O)OR
d、-OC(O)NR
cR
c、-OC(NH)NR
cR
c、-OC(NR
a)NR
cR
c、-[NHC(O)]
nR
d、-[NR
aC(O)]
nR
d、-[NHC(O)]
nOR
d、-[NR
aC(O)]
nOR
d、[NHC(O)]
nNR
cR
c、-[NR
aC(O)]
nNR
cR
c、-[NHC(NH)]
nNR
cR
c及び-[NR
aC(NR
a)]
nNR
cR
cから独立して選択される好適な基であり;
存在する場合には、それぞれのR
cは、独立して保護基またはR
aであるか、あるいは二つのR
cはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により一つ以上の追加のヘテロ原子を含み、場合により同一または異なるR
aまたは好適なR
b基で置換された5〜8-員のヘテロサイクリルまたはヘテロアリールを形成する;
それぞれのnは独立して0〜3の整数であり;
それぞれのR
dは独立して保護基またはR
aである}の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられる。
式4の典型的な化合物としては、化合物4a:
、及びその薬学的に許容可能な塩及びエステルが挙げられる。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式5:
のもの、またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中、
炭素ii'〜炭素jj'結合の立体化学はシスまたはトランスである;
P
3は、保護基または水素原子である;及び
P
1、P
2、R
1及びZは上記式4の定義の通りである。
特定の態様では、炭素ii'〜炭素jj'結合の立体化学は、トランスである。
式5の典型的な化合物としては、化合物5a:
及びその薬学的に許容可能な塩及びエステルが挙げられる。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式6:
のものまたはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中:
炭素gg'〜炭素hh'結合の立体化学は、シスまたはトランスである;
それぞれのXは水素を表すか、両方のX基は一緒になって、3-員環が形成するように、一つの置換若しくは非置換メチレン、酸素原子、置換若しくは非置換N原子、または硫黄原子を表す;及び
P
1、P
2、P
3、R
1及びZは上記定義の通りである。
特定の態様では、炭素gg'〜炭素hh'結合の立体化学は、トランスである。
式6の典型的な化合物としては、化合物6a:
及びその薬学的に許容可能な塩及びエステルが挙げられる。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式7:
またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中:
炭素e'及びf'は、二重結合または三重結合により結合され、炭素e'が二重結合を介して炭素f'に結合しているとき、立体化学はシスまたはトランスであり;
炭素g'及びh'は、二重結合または三重結合により結合され、炭素g'が二重結合を介して炭素h'に結合しているとき、立体化学はシスまたはトランスであり;
mは0または1であり;
T’は水素、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、(C5-C14)アリール、(C6-C16)アリールアルキル、5-14員のヘテロアリール、6-16員のヘテロアリールアルキル、または-CH=CHCH
2CH
3であり;
Tは-(CH
2)
q-または-(CH
2)
q-O-であり、ここでqは0〜6の整数であり;
Z’は、場合により同一若しくは異なるハロゲン原子の1、2、3、4、5若しくは6個で置換された(C1-C6)アルキレン、-(CH
2)
p-O-CH
2-または-(CH
2)
m-S-CH
2-であり、ここでpは0〜4の整数である;
R
11、R
12及びR
13はそれぞれ独立して、置換若しくは非置換、分岐若しくは非分岐アルキル、アルケニル、またはアルキニル基、置換若しくは非置換アリール基、置換若しくは非置換、分岐若しくは非分岐アルキルアリール基、C
1-4アルコキシ、ハロゲン原子、-CH
2R
14、-CHR
14R
14、-CR
14R
14R
14、または水素原子であり;
R
14はそれぞれの場合に独立して、-CN、-NO
2またはハロゲンから選択される;
P
1、P
2、P
3、及びZは上記定義の通りである。
特定の態様では、炭素e'及びf'はシス二重結合により結合される。
特定の態様では、炭素g'及びh'は二重結合により結合される。
特定の態様では、炭素e'及びf'はシス二重結合により結合され、炭素g'及びh'は二重結合により結合される。
式7の典型的な化合物としては、化合物7a:
及びその薬学的に許容可能な塩及びエステルが挙げられる。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式8:
のもの、またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中:
炭素i'〜炭素j'結合の立体化学は、シスまたはトランスである;
mは0または1であり;
D’はCH
3、-CH=CHCH
2Uまたは-CH=CHCH
2CH
2Aであり;
Uは、分岐若しくは非分岐、置換若しくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、及びアリールオキシカルボニルオキシ基であり;
AはHまたは-OP
4であり;
P
1、P
2、P
4、R
1、R
2及びZは上記定義の通りである。
特定の態様では、炭素i'〜炭素j'結合の立体化学は、シスである。
式8の典型的な化合物としては、化合物8a:
及びその薬学的に許容可能な塩及びエステルが挙げられる。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式9:
またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中:
炭素k'及びl'は二重結合または三重結合により結合され、炭素k'が二重結合を介して炭素l'に結合するとき、立体化学はシスまたはトランスであり;
炭素m'〜炭素n'二重結合の立体化学は、シスまたはトランスであり;
mは0または1であり;
Dは-CH
3または-CH=CHCH
2CH
3であり;
P
1、P
2、P
3、R
1、X、及びZは上記定義の通りである。
特定の態様では、炭素m'〜炭素n'二重結合の立体化学は、シスである。
特定の態様では、炭素k'及びl'はシス二重結合により結合される。
特定の態様では、炭素m'〜炭素n'二重結合の立体化学は、シスであり、炭素k'及びl'はシス二重結合により結合される。
式9の典型的な化合物としては、化合物9a:
及びその薬学的に許容可能な塩及びエステルが挙げられる。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式10:
またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中:
P
1、P
2、P
3、R
1及びZは、上記定義の通りであり;及び
Qは一つ以上の置換基を表し、存在する場合にはそれぞれのQは、ハロゲン原子または、分岐若しくは非分岐、置換若しくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシまたはアミノカルボニル基である。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式11:
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中、
P
1、P
2、P
3、R
1、及びZは、上記定義の通りである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式12:
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中、
P
1、P
2、P
3、Q、R
1、及びZは、上記定義の通りである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式13:
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中、
P
1、P
2、R
1、R
2、U、及びZは、上記定義の通りである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式14:
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中、
P1、P2、R1、R2、Q、及びZは、上記定義の通りである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式15:
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中、
P
1、P
2、及びZは、上記定義の通りである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式16:
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中、
P
1及びZは、上記定義の通りである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式17:
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中、
炭素o'及びp'は、単結合または二重結合(たとえば、シスまたはトランス二重結合)により結合され;
炭素q'及びr'は、単結合または二重結合(たとえば、シスまたはトランス二重結合)により結合され;及び
P1、P2、及びZは、上記定義の通りである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式18:
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩であり、式中、
炭素s'〜炭素t'二重結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
炭素u'〜炭素v'二重結合の立体化学はシスまたはトランスであり;及び
P
1、P
2、R
1、R
2、及びZは、上記定義の通りである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式19:
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中、
炭素w'及びx'は単結合または二重結合により結合され;
炭素y'及びz'は単結合または二重結合により結合され;及び
P
1、P
2、及びZは、上記定義の通りである。
式4〜19の特定の態様では、存在する場合には、それぞれのRbは、=O、-ORd、(C1-C3)ハロアルキルオキシ、-OCF3、=S、-SRd、=NRd、=NORd、-NRcRc、ハロゲン、-CF3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)Rd、-S(O)2Rd、-S(O)2ORd、-S(O)NRcRc、-S(O)2NRcRc、-OS(O)Rd、-OS(O)2Rd、-OS(O)2ORd、-OS(O)2NRcRc、-C(O)Rd、-C(O)ORd、-C(O)NRcRc、-C(NH)NRcRc、-C(NRa)NRcRc、-C(NOH)Ra、-C(NOH)NRcRc、-OC(O)Rd、-OC(O)ORd、-OC(O)NRcRc、-OC(NH)NRcRc、-OC(NRa)NRcRc、-[NHC(O)]nRd、-[NRaC(O)]nRd、-[NHC(O)]nORd、[NHC(O)]nNRcRc、-[NRaC(O)]nNRcRc、-[NHC(NH)]nNRcRc及び-[NRaC(NRa)]nNRcRcから独立して選択される好適な基である。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式20:
の化合物または上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中、
それぞれのPは独立してHまたは保護基から選択され;及び
RはH、C
1-6アルキル(たとえば、メチル、エチル、グリセロールである)、C
2-6アルケニルまたはC
2-6アルキニルである。
式21の典型的な化合物としては、化合物21a:
及びその薬学的に許容可能な塩及びエステルが挙げられる。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式29:
及びその薬学的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物が挙げられ、式中、
D
1-E
1及びF
1-G
1は独立してシス若しくはトランスの-C=C-または-CoC-である;
R
101、R
102及びR
103は、独立して水素、(C1-C4)直鎖または分岐アルキル、(C2-C4)アルケニル、(C2-C4)アルキニル、(C1-C4)アルコキシ、-CH
2R
104、-CHR
104R
104及び-CR
104R
104R
104から選択される;
それぞれのR
104は独立してCN、-NO
2及びハロゲンから選択される;
W
1は-R
105、-OR
105、-SR
105及び-NR
105R
105から選択される;
それぞれのR
105は、独立して水素、場合により同一若しくは異なるR基の一つ以上で置換された(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニルまたは(C2-C6)アルキニル、場合により同一若しくは異なるR基の一つ以上で置換された(C5-C14)アリール、場合により同一若しくは異なるR基の一つ以上で置換されたフェニル、場合により同一若しくは異なるR基の一つ以上で置換された(C6-C16)アリールアルキル、場合により同一若しくは異なるR基の一つ以上で置換された5-14員のヘテロアリール、場合により同一若しくは異なるR基の一つ以上で置換された6-16員のヘテロアリールアルキル及び検出可能なラベル分子から選択される;
A
1は、同一または異なるハロゲン原子の1、2、3、4、5若しくは6個で場合により置換された(C1-C6)アルキレン、-(CH
2)
m-O-CH
2-及び-(CH
2)
m-S-CH
2-から選択され、ここでmは0〜4の整数である;
X
1は-(CH
2)
n-及び-(CH
2)
n-O-から選択される、ここでnは0〜6の整数である;
Y
1は、水素、場合により同一若しくは異なる一つ以上のR
100基で置換された(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、または(C2-C6)アルキニル、場合により同一若しくは異なる一つ以上のR
100基で置換された(C5-C14)アリール、場合により同一若しくは異なる一つ以上のR
100基で置換されたフェニル、場合により同一若しくは異なる一つ以上のR
100基で置換された(C6-C16)アリールアルキル、場合により同一若しくは異なる一つ以上のR
100基で置換された5-14員のヘテロアリール、場合により同一若しくは異なる一つ以上のR
100基で置換された6-16員のヘテロアリールアルキル及び検出可能なラベル分子により選択される;
それぞれのR
100は独立して負の電荷を持った基、=O、-OR
a1、(C1-C3)ハロアルキルオキシ、=S、-SR
a1、=NR
a1、=NONR
a1、-NR
c1R
c1、ハロゲン、-CF
3、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO
2、=N
2、-N
3、-S(O)R
a1、-S(O)
2R
a1、-S(O)
2OR
a1、-S(O)
2NR
c1R
c1、-OS(O)R
a1、-OS(O)
2R
a1、-OS(O)
2OR
a1、-OS(O)
2NR
c1R
c1、-C(O)R
a1、-C(O)OR
a1、-C(O)NR
c1R
c1、-C(NH)NR
c1R
c1、-OC(O)R
a1、-OC(O)OR
a1、-OC(O)NR
c1R
c1、-OC(NH)NR
c1R
c1、-NHC(O)R
a1、-NHC(O)OR
a1、-NHC(O)NR
c1R
c1及び-NHC(NH)NR
c1R
c1から選択される;
それぞれのR
a1は独立して、水素、(C1-C4)アルキル、(C2-C4)アルケニルまたは(C2-C4)アルキニルから選択される;及び
それぞれのR
c1は独立してR
a1であるか、あるいはR
c1R
c1はこれが結合している窒素原子と一緒になって5または6員の環を形成する。
式29の化合物の特定の態様では、X1-Y1が-CH2CH3であるとき、R101、R102またはR103の少なくとも一つは水素以外である。
特定の態様では、式29の化合物は、式30:
及びその薬学的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物により表され、式中、
D
1-E
1及びF
1-G
1は独立してシス若しくはトランスの-C=C-または-CoC-であり;及び
R
101、R
102、R
103、R
104、W
1、R
105、A
1、X
1、n、Y
1、R
100、R
a1、及びR
c1は上記定義の通りである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式31〜37:
及びその薬学的に許容可能な塩、水和物及び溶媒和物が挙げられ、式中、
R
106は-OH、-OCH
3、-OCH(CH
3)
2または-NHCH
2CH
3であり;及び
R
107は:
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式38:
{式中、炭素aa'及びbb'は、二重結合または三重結合により結合される;
炭素cc'及びdd'は、二重結合または三重結合により結合される;
Re、Rf、及びRgは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル(たとえば、アルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、またはシリルから選択される;
Eはヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、またはアリールアミノであり;
Rh、Ri及びRjは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから選択される;
R
4は、水素、アルキル、パーフルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシから選択される;
R
5は、以下の(i)〜(iv)から選択される:
(i)CH
2CH(R
6)CH
2、ここでR
6は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシルまたはアルコキシである;
(ii)CH
2C(R
6R
7)CH
2、ここでR
6及びR
7はそれぞれ独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アリール、若しくはフルオロであるか、またはR
6及びR
7は一緒に結合して炭素環若しくは複素環を形成する;
(iii)CH
2OCH
2、CH
2C(O)CH
2、若しくはCH
2CH
2;または
(iv)R
5は、炭素環、複素環、アリール若しくはヘテロアリール環である;及び
R
8及びR
9は独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アリール若しくはヘテロアリールから選択されるか、またはR
8及びR
9は一緒に結合して、炭素環若しくは複素環を形成する}の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が挙げられる。
特定の態様では、R8及びR9は水素である。
特定の態様では、本化合物の薬学的に許容可能な塩は、Eを誘導体化することにより形成され、ここでEは-OMであり、ここでMは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、及びZnから選択されるカチオンである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式39〜44:
の化合物及びその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中、
Re、Rf、E、Ri、R
5、R
8及びR
9は、上記定義の通りである。
式39、41、及び43の化合物の典型的な化合物としては、
及びその薬学的に許容可能な塩及びエステルが挙げられる。
特定の態様では、化合物の薬学的に許容可能な塩は、Eを誘導体化することにより形成され、ここでEは-OMであり、ここでMは、アンモニウム、テトラ-アルキルアンモニウム、Na、K、Mg、及びZnから選択されるカチオンである。そのような化合物の例としては、化合物Z:
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式46:
またはその薬学的に許容可能な塩及びプロドラッグが挙げられ、式中:
それぞれの:
は独立して二重または三重結合を表す;
R
1、R
2、及びR
3はそれぞれ独立してOR、OX
1、SR、SX
2、N(R)
2、NHX
3、NRC(O)R、NRC(O)N(R)
2、C(O)OR、C(O)N(R)
2、SO
2R、NRSO
2R、C(O)R、またはSO
2N(R)
2である;
それぞれのRは独立して、水素または、C
1-6脂肪族、3-8員の飽和、部分不飽和、または窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子をもつアリール環から選択される場合により置換された基から選択される;
同一窒素上の二つのRは窒素と一緒になって、窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子をもつ5-8員のヘテロサイクリルまたはヘテロアリール環を形成する;
それぞれのX
1は独立して好適なヒドロキシル保護基である;
それぞれのX
2は独立して好適なチオール保護基である;
それぞれのX
3は独立して好適なアミノ保護基である;及び
R
4はNRC(O)R、NRC(O)N(R)
2、C(O)OR、C(O)N(R)
2、SO
2R、NRSO
2R、C(O)R、またはSO
2N(R)
2である。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式47:
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグが挙げられ、式中、
炭素kk'〜炭素ll'二重結合の立体化学はシスまたはトランスである;
炭素mm'〜炭素nn'二重結合の立体化学はシスまたはトランスである;
炭素oo'〜炭素pp'二重結合の立体化学はシスまたはトランスである;
Y'は、結合または、最高20個までの原子を含む環若しくは最高20個までの原子の鎖から選択されるリンカーであり、但し、Y'は一つ以上の窒素、酸素、硫黄若しくはリン原子を含むことができ、但しY'は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、またはスルホニルから独立して選択される一つ以上の置換基を含むことができ、但し、Y'は、一つ以上の融合炭素環、複素環、アリールまたはヘテロアリール環を含むことができる;
Z'は、-CN、-C(NH)N(R'')(R'')、-C(S)-A'、-C(S)R"、-C(O)-A'、-C(O)-R"、-C(O)-SR"、-C(O)-NH-S(O)
2-R''、-S(O)
2-A'、-S(O)
2-R''、S(O)
2N(R'')(R'')、-P(O)
2-A'、-PO(OR'')-A'、-テトラゾール、アルキルテトラゾール、または-CH
2OHから選択され、ここで
A'は、-OR''、-N(R'')(R'')または-OM'から選択され;
それぞれのR''は独立して水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは検出可能な分子から選択され、ここで任意のアルキル-、アリール-またはヘテロアリール-含有部分は、最高3個までの独立して選択された置換基により置換されており;及び
M'はカチオンである。
特定の態様では、式47の化合物は、式48:
またはその薬学的に許容可能な塩及びエステルにより表され、式中、
炭素kk'〜炭素ll'二重結合の立体化学はシスまたはトランスである;
炭素mm'〜炭素nn'二重結合の立体化学はシスまたはトランスである;
炭素oo'〜炭素pp'二重結合の立体化学はシスまたはトランスである。
特定の態様では、炭素kk'〜炭素ll'二重結合の立体化学はトランスである。
特定の態様では、炭素mm'〜炭素nn'二重結合の立体化学はトランスである。
特定の態様では、炭素oo'〜炭素pp'二重結合の立体化学はシスである。
特定の態様では、炭素kk'〜炭素ll'二重結合の立体化学はトランスであり、炭素mm'〜炭素nn'二重結合の立体化学はトランスであり、及び炭素oo'〜炭素pp'二重結合の立体化学はシスである。
特定の態様では、式47の化合物は、化合物48a:
またはその薬学的に許容可能な塩またはエステルである。
特定の態様では、式47の化合物は、式48d:
またはその薬学的に許容可能な塩またはエステルであり、ここで:
炭素kk'〜炭素ll'二重結合の立体化学はシスまたはトランスである;
炭素mm'〜炭素nn'二重結合の立体化学はシスまたはトランスである;
炭素oo'〜炭素pp'二重結合の立体化学はシスまたはトランスである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物としては、式49:
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグがあり、ここで:
Y'は、結合または、最高20個までの原子を含む環若しくは最高20個までの原子の鎖から選択されるリンカーであり、但し、Y'は一つ以上の窒素、酸素、硫黄若しくはリン原子を含むことができ、但し、Y'は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、若しくはスルホニルから独立して選択される一つ以上の置換基を含むことができ、但し、Y'は一つ以上の融合炭素環、複素環、アリール若しくはヘテロアリール環を含むことができる;
Z'は、-CN、-C(NH)N(R'')(R'')、-C(S)-A'、-C(S)R"、-C(O)-A'、-C(O)-R"、-C(O)-SR"、-C(O)-NH-S(O)
2-R''、-S(O)
2-A'、-S(O)
2-R''、S(O)
2N(R'')(R'')、-P(O)
2-A'、-PO(OR'')-A'、-テトラゾール、アルキルテトラゾール、または-CH
2OHから選択され、ここで
A'は、-OR''、-N(R'')(R'')または-OM'から選択され;
それぞれのR''は独立して水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは検出可能なラベル原子から選択され、ここで任意のアルキル-、アリール-またはヘテロアリール-含有部分は、場合により最高3個までの選択された置換基で置換されている;及び
M'はカチオンであり;及び
R
a'及びR
b'はそれぞれの場合に独立して、-OR'から選択されるか、または隣接するR
a'及びR
b'は一緒になってシス若しくはトランス配置をもつエポキシド環を形成し、ここでそれぞれのR'は独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、シリル、アルコキシアシル、アミノアシル、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、または保護基から選択される。
式49の典型的な化合物としては、化合物49a:
またはその薬学的に許容可能な塩またはエステルが挙げられる。
上記化合物(たとえば式Aまたは式1〜49の化合物)は、炎症または炎症性疾患の処置または予防に有用であることが知られている。そのような化合物は、以下の特許及び特許出願に開示されている:米国特許出願第US2003/0191184号、PCT国際特許出願国際公開第WO2004/014835号、同第WO2004/078143号、米国特許第US6670396号、米国特許出願第US2003/0236423号、同第US2005/0228047号、同第US2005/0238589号及び同第US2005/0261255号。これらの化合物は、本発明の方法及び組成物で使用するのに好適である。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な追加の化合物は、上記式Aまたは式1〜49若しくはI〜IIIの化合物のいずれかに対して化学的に類似の変形である化合物である。「化学的に類似の変形(chemically similar variant)」なる用語は、様々な部分を公知のバイオスター(biostere)で置換すること;上記化合物の一つの末端基を上記任意の他の化合物の対応する末端基で置換すること、化合物中の任意の二重結合の幾何学的位置(orientation)の変更、任意の化合物中の任意の二重結合を三重結合で置換すること、及び上記化合物の一つにある一つ以上の置換基を任意の他の化合物の対応する置換基で置換することが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適なリポキシン化合物としては、式50:
のもの及びその薬学的に許容可能な塩が挙げられ、式中、XはR
301、OR
301、またはSR
301であり;
R
301は、以下のものであり:
(a)水素原子;
(b)直鎖若しくは分岐であってもよい、1から8個までを含む(inclusive)炭素原子のアルキル;
(c)3〜10個の炭素原子のシクロアルキル;
(d)7〜12個の炭素原子のアラルキル;
(e)フェニル;
(f)置換フェニル:
式中、Z
iZ
ii、Z
iii、Z
iv及びZ
vはそれぞれ独立して、-NO
2、-CN、-C(=O)-R
301、-SO
3H、水素原子、ハロゲン、メチル、-OR
x(式中、R
xは、直鎖または分岐であってもよい1から8個までを含む炭素原子である)、及びヒドロキシルから選択され、ここでZ
iZ
ii、Z
iii、Z
ivまたはZ
vのいずれかがC(=O)-R
301であるとき、前記Z
iZ
ii、Z
iii、Z
ivまたはZ
vは別のC(=O)-R
301で置換されていない;
(g)検出可能なラベル分子;または
(h)2から8個までを含む炭素原子の直鎖または分岐鎖アルケニル;
Q
1は、(C=O)、SO
2または(CN)であり、但し、Q
1がCNであるとき、Xは存在しない;
Q
3及びQ
4はそれぞれ独立してO、SまたはNHであり;
R
302及びR
303の一方は水素原子であり、他方は:
(a)H;
(b)直鎖または分岐であってもよい、1から8個までの炭素原子のアルキル;
(c)3から6個までの炭素原子のシクロアルキル;
(d)直鎖または分岐であってもよい、2から8個までの炭素原子のアルケニル;または
(e)R
kQ
2R
l{式中、Q
2は-O-または-S-であり;ここでR
kは、直鎖または分岐であってもよい、0から6個までの炭素原子のアルキレンであり、ここでR
lは0から8個までの炭素原子のアルキルであり、但し、R
lが0であるとき、R
lは水素原子である;
R
304は
(a)H;
(b)直鎖または分岐であってもよい、1から6個までの炭素原子のアルキルであり;
R
305は:
であり、式中、Z
iZ
ii、Z
iii、Z
iv及びZ
vは上記定義の通りである;
R
306は
(a)H;
(b)直鎖または分岐であってもよい、1から4個までの炭素原子のアルキルであり;
ここで、Y
301は-OH、メチル、-SH、直鎖若しくは分岐であってもよい、2から4個までの炭素原子のアルキル、1から4個までの炭素原子のアルコキシ、または(CH)
p(Z)
q(ここで、p+q=3、p=0〜3、q=0〜3及びZはシアノ、ニトロ若しくはハロゲンである)である;及び
TはOまたはSである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適なリポキシン化合物としては、式51、52、53または54:
の化合物が挙げられ、式中、それぞれのR
307は独立して水素及び、1〜20個の炭素原子をもつ直鎖、分岐、環式、飽和若しくは不飽和アルキルから選択され;
R
308、R
309、R
310、R
319、及びR
320は独立して以下のものから選択される:
(a)水素;
(b)1〜20個の炭素原子をもつ、直鎖、分岐、環式、飽和若しくは不飽和アルキル;
(c)1〜20個の炭素原子をもつ置換アルキル、ここで前記アルキルは、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシ、カルボキサミド、カルボアルコキシ、アリール、及びヘテロアリールから選択される一つ以上の置換基で置換されている;
(d)置換アリールまたはヘテロアリール、ここで前記アリールまたはヘテロアリールは、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、及びカルボキサミドから選択される一つ以上の置換基で置換されている;及び
(e)Z-Y、ここで:
Zは、1〜20個の炭素原子をもつ直鎖、分岐、環式、飽和若しくは不飽和アルキル;置換低級アルキル(ここで前記アルキルは、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシ、カルボキサミド、カルボアルコキシ、アリール、及びヘテロアリールから選択される一つ以上の置換基で置換されている);並びに置換アリールまたはヘテロアリール(ここで前記アリールまたはヘテロアリールは、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、及びカルボキサミドから選択される一つ以上の置換基で置換されている)から選択される;及び
Yは、水素;アルキル;シクロアルキル;カルボキシル;カルボキサミド;アリール;ヘテロアリール;置換アリールまたはヘテロアリール(ここで前記アリールまたはヘテロアリールは、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、及びカルボキサミドから選択される一つ以上の置換基で置換されている)から選択される;及び
R
311〜R
318は独立して以下のものから選択される:
(a)水素;
(b)ハロ;
(c)1〜20個の炭素原子をもつ直鎖、分岐、環式、飽和または不飽和アルキル;
(d)1〜20個の炭素原子をもつ置換アルキル、ここで前記アルキルは、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシ、カルボキサミド、カルボアルコキシ、アリール、及びヘテロアリールから選択される一つ以上の置換基で置換されている;
(e)置換アリールまたはヘテロアリール、ここで前記アリールまたはヘテロアリールは、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、及びカルボキサミドから選択される一つ以上の置換基で置換されている;または
R
308〜R
320は、独立して炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、またはリポキシン骨格をもつ環を形成する;または
R
307〜R
320のいずれか二つはこれらが結合している原子、場合により1〜6個の酸素原子、1〜6個の窒素原子、または1〜6個の酸素原子と1〜6個の窒素原子の両方と一緒になって、3〜20個の原子を含む環を形成する。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適なリポキシン化合物としては、式55:
のものが挙げられる、式中、R
401は以下のものから選択される:
X
10はR
411、OR
411、またはSR
411であり;
R
411は以下のものである:
(a)水素原子;
(b)直鎖または分岐であってもよい、1から8個までを含む炭素原子のアルキル;
(c)3〜10個の炭素原子のシクロアルキル;
(d)7〜12個の炭素原子のアラルキル;
(e)フェニル;
(f)置換フェニル:
式中、Z
iZ
ii、Z
iii、Z
iv及びZ
vはそれぞれ独立して、-NO
2、-CN、-C(=O)-R
411、-SO
3H、水素原子、ハロゲン、メチル、-OR
x(式中、R
xは、直鎖または分岐であってもよい、1から8個までを含む炭素原子である)及びヒドロキシルから選択され;ここでZ
iZ
ii、Z
iii、Z
ivまたはZ
vのいずれか一つはC(=O)-R
411であり、前記Z
iZ
ii、Z
iii、Z
ivまたはZ
vは、別のC(=O)-R
411で置換されていない;
(g)検出可能なラベル分子;または
(h)2から8個までを含む炭素原子の、直鎖または分岐鎖アルケニル;
Q
1は(C=O)、SO
2または(CN)であり;
Q
3はO、SまたはNHであり;
R
412及びR
413の一方は水素原子であり、他方は以下のものから選択される:
(a)H;
(b)直鎖または分岐でありえる1から8個までを含む炭素原子のアルキル;
(c)3から6個までの炭素原子を含むシクロアルキル;
(d)直鎖または分岐でありえる2から8個までの炭素原子を含むアルケニル;または
(e)R
431Q
2R
432(式中、Q
2は-O-または-S-であり、R
431は、直鎖または分岐でありえる0から6個までの炭素原子を含むアルキレンであり、及びR
431は直鎖または分岐でありえる、0から8個までの炭素原子を含むアルキルである);
R
413a及びR
413bはそれぞれ独立して以下のものである:
(a)H;
(b)直鎖または分岐でありえる1から8個までの炭素原子を含むアルキル;
(c)3から6個までの炭素原子を含むシクロアルキル;
(d)直鎖または分岐でありえる2から8個までの炭素原子を含むアルケニル;または
(e)R
431Q
2R
432(式中、R
431、Q
2、及びR
432は上記定義の通りである);
R
414は以下のものである:
(a)H;
(b)直鎖または分岐でありえる1から6個までの炭素原子を含むアルキル;
R
415は以下のものである:
(a)直鎖または分岐でありえる1から9個までの炭素原子を含むアルキル;
(b)-(CH
2)-R
i;
ここでn=0〜4でありR
iは以下のものである:
(i)3から10個までを含む炭素原子のシクロアルキル;
(ii)フェニル;または
(iii)置換フェニル:
式中、Z
i〜Z
vは上記定義の通りである;
(b)R
431Q
2R
432、式中、R
431、Q
2、及びR
432は上記定義の通りである;
(c)-C(R
iii)(R
iv)-R
i、
式中、R
iii及びR
ivはそれぞれ独立して以下のものである:
(i)水素原子;
(ii)(CH)
p(Z)
q、ここでZ、p、及びqは上記定義の通りである;
(e)直鎖または分岐の、1から8個までの炭素原子と1から6個までのハロゲン原子を含むハロアルキル;
R
416は以下のものである:
(a)H;
(b)直鎖または分岐の1から4個までの炭素原子を含むアルキル;
(c)ハロゲン;
Y
401またはY
402の一方は-OH、メチル、または-SHであり、ここで他方は以下のものから選択される:
(a)H;
(b)(CH)
p(Z)
q、ここでp+q=3、p=0〜3、q=0〜3及び、それぞれのZは、独立してシアノ、ニトロまたはハロゲンである;
(c)直鎖または分岐の2から4個までの炭素原子を含むアルキル;または
(d)1から4個までの炭素原子を含むアルコキシ、
あるいはY
401及びY
402は一緒になって以下のものである:
(d)=NH;または
(e)=O;
Y
403またはY
404の一方は-OH、メチル、または-SHであり、他方は以下のものから選択される:
(a)H;
(b)(CH)
p(Z)
q、ここでZ、p、及びqは上記定義の通りである;
(c)直鎖または分岐の2から4個までの炭素原子を含むアルキル;または
(d)1から4個までの炭素原子を含むアルコキシ、
あるいはY
401及びY
402は一緒になって以下のものである:
(a)=NH;または
(b)=O;
Y
405またはY
406の一方は-OH、メチル、または-SHであり、他方は以下のものから選択される:
(a)H;
(b)(CH)
p(Z)
q、ここでZ、p、及びqは上記定義の通りである;
(c)直鎖または分岐の2から4個までの炭素原子を含むアルキル;または
(d)1から4個までの炭素原子を含むアルコキシ、
あるいはY
401及びY
402は一緒になって以下のものである:
(a)=NH;または
(b)=O;
R
421は以下のものである:
(a)H;または
(b)1〜8個の炭素原子のアルキル;
R
422及びR
423はそれぞれ独立して以下のものである:
(a)H;
(b)ヒドロキシル、若しくはチオール;
(c)メチル若しくはハロメチル;
(d)ハロゲン;または
(e)1〜3個の炭素原子のアルコキシ;
R
424及びR
425はそれぞれ独立して以下のものである:
(a)H;
(b)ヒドロキシル、若しくはチオール;
(c)メチル若しくはハロメチル;
(d)ハロゲン;
(e)1〜3個の炭素原子のアルコキシ;または
(f)直鎖または分岐でありえる2から4個までの炭素原子のアルキル若しくはハロアルキル;及び
R
426は以下のものである:
(a)置換フェニル:
ここでZ
i〜Z
vは上記定義の通りである;
(b)置換フェノキシ:
ここでZ
i〜Z
vは上記定義の通りである;または
(c)
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適なリポキシン化合物としては、式56:
のものが挙げられる、式中、Eは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、または-OMであり、ここでMは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、並びにナトリウム、カリウム、マグネシウム及び亜鉛のカチオンから選択されるカチオンである;
Wは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、またはスルホンアミドであり;
R
501-R
503のそれぞれは独立して、水素、アルキル、アリール、アシルまたはアルコキシアシルから選択される;
nは0、1または2であり;
mは1または2であり;及び
フェニル環上の二つの置換基は、オルト、メタまたはパラである。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適なリポキシン化合物としては、式57:
のものが挙げられ、式中、
Iは、-C(O)-E、-SO
2-E、-PO(OR)-E(式中、Eはヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、若しくは-OMであり、Mはアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、及びZnから選択されるカチオンであり、及びRはヒドロキシルまたはアルコキシである)から選択される;
J'及びK'は、最高(up to)20個までの原子の鎖及び最高20個までの原子を含む環から独立して選択されるリンカーであり、但し、J'及びK'は独立して一つ以上の窒素、酸素、硫黄またはリン原子を含むことができ、但し、J'及びK'は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、及びスルホニルから選択される一つ以上の置換基を含むことができ、但し、J'及びK'は、一つ以上の融合炭素環、複素環、アリールまたはヘテロアリール環も含むことができ、但し、リンカーJ'及びK'は炭素原子またはC-へテロ原子結合を介して隣接するC(R)OR基と結合し、ここで前記へテロ原子は酸素、硫黄、リンまたは窒素である;
Gは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、及びカルボキサミドから選択され;
Re、Rf及びRgは独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、シリル、アルコキシアシル及びアミノアシルから選択される;
R
601、R
602及びR
603は独立して、水素、アルキル、アリール及びヘテロアリールから選択され、但し、R
601、R
602及びR
603は独立してリンカーJ'またはK'に結合することができる;
R
604及びR
605は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、フルオロから選択され、但し、R
604及びR
605は一緒に結合して炭素環、複素環または芳香環を形成することができ、但し、R
604及びR
605は結合と置き換わって三重結合を形成することができる。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な他の化合物は、本明細書中、参照として含まれる国際特許出願第WO2006055965号、WO2007090162号、及びWO2008103753号に開示されているオキシリピンである。そのような化合物の例は、表2に示す式58〜132のものがある。これらの化合物としては、長鎖オメガ-6脂肪酸、ドコサペンタエン酸(DPAn-6)(化合物58〜73)及びドコサテトラエン酸(DTAn-6)(化合物74〜83)、及びDPAn-6のオメガ-3対応物(counterpart)、ドコサペンタエン酸(DPAn-3)(化合物84〜97)が挙げられる。さらなる化合物としては、ドコサノイド98〜115、γ-リノレン酸(GLA)(化合物116〜122)、及びステアリドン酸(SDA)(化合物123〜132)がある。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適な他のオキシリピン化合物としては、表2に示された化合物の類似体が挙げられる。そのような化合物としては、一つ以上の二重結合が三重結合により置換されている類似体、一つ以上のカルボキシ基がエステル、アミド若しくは塩に誘導体化されている類似体、ヒドロキシ保持炭素が(たとえば、置換若しくは非置換、分岐若しくは非分岐アルキル、アルケニル、またはアルキニル基、置換若しくは非置換アリール基、置換若しくは非置換、分岐若しくは非分岐アルキルアリール基、ハロゲン原子で)三級アルコール(またはそのエーテル、エステル、若しくは他の誘導体)にさらに誘導体化されているもの、一つ以上のヒドロキシル基が誘導体化されてエステルまたは保護化アルコールを形成しているもの、あるいは上記変形のいずれかの組み合わせをもつものが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の方法及び組成物で使用するのに好適なさらなるオキシリピン化合物としては、以下のもの:ドコサペンタエン酸(DPAn-6)の単離ドコサノイド;DPAn-6のモノヒドロキシ、ジヒドロキシ、及びトリヒドロキシ誘導体;ドコサペンタエン酸(DPAn-3)の単離ドコサノイド;DPAn-3のモノヒドロキシ、ジヒドロキシ、及びトリヒドロキシ誘導体;ドコサペンタエン酸(DTAn-6)の単離ドコサノイド;またはDTAn-6のモノヒドロキシ、ジヒドロキシ、及びトリヒドロキシ誘導体が挙げられる。
特定の態様では、本発明は眼疾患(たとえばドライアイ)を処置または予防するための方法であって、眼に局所的に投与する、点眼薬のような本明細書中に記載の水溶液として、上記化合物のいずれかの一つ以上(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)の有効量を投与することを含む、前記方法を提供する。そのような特定の態様では、眼疾患を処置または予防する方法は、1日当たり処置すべき眼ごとに、6ナノモルを超える上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)、たとえば上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)を最高550ナノモル/処置すべき眼/日、たとえば6〜400ナノモル、6〜300ナノモル、6〜250ナノモル、6〜200ナノモル、6〜150ナノモル、または6〜100ナノモル投与することを含む。そのような特定の態様では、眼疾患を処置または予防する方法は、1日当たり処置する眼ごとに7ナノモルを超える上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)、たとえば8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、または50ナノモル/処置する眼/日を超える上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)、たとえば最高100、150、200、250、300、400、または最高550ナノモル/処置する眼/日を投与することを含む。たとえば眼疾患を処置または予防する方法は、上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)7〜550ナノモル、たとえば上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)7〜400ナノモル、7〜300ナノモル、7〜250ナノモル、7〜200ナノモル、7〜150ナノモル、または7〜100ナノモル/処置する眼/日を投与することを含む。特定の態様では、眼疾患を処置または予防する方法は、上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)10〜550ナノモル/処置する眼/日、たとえば上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)10〜400ナノモル、10〜300ナノモル、10〜250ナノモル、10〜200ナノモル、10〜150ナノモル、または10〜100ナノモル/処置する眼/日を投与することを含む。特定の態様では、眼疾患を処置または予防する方法は、上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)15〜550ナノモル、たとえば上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)15〜400ナノモル、15〜300ナノモル、15〜250ナノモル、15〜200ナノモル、15〜150ナノモル、または15〜100ナノモル/処置する眼/日を投与することを含む。特定の態様では、眼疾患を処置または予防する方法は、上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)の用量を、1日から任意の好適な投与計画の間にわたって上述のように投与することを含みえる。好適な投与計画としては、その期間にわたる正味の効果が、上記のように総用量/眼/日を投与することであるように、1日1回投与、1日2回投与、1日3回投与、1日4回投与、及び任意の好適な投与回数を含むことができる。特定の態様では、好適な投与計画としてはさらに、その期間にわたる正味の効果が、上記のように少なくとも総用量/眼/日を投与することであるように、2日に1回、たとえば1日おき、または3日に1回、たとえば2日おきを含むことができる。
特別な例として、本発明は眼疾患(たとえばドライアイ)を処置または予防する方法であって、たとえば点眼薬などの眼に局所適用する本明細書に記載の水溶液などとして、有効量の化合物1001を投与することを含む前記方法を提供する。そのような特定の態様では、眼疾患を処置または予防する方法は、2マイクログラム/処置する眼/日を超える化合物1001、たとえば最高175マイクログラム/処置する眼/日、たとえば化合物1001を2〜150マイクログラム、2〜125マイクログラム、2〜100マイクログラム、2〜75マイクログラム、2〜50マイクログラム、または2〜25マイクログラム/処置する眼/日を投与することを含む。そのような特定の態様では、眼疾患を処置または予防する方法は、2.5マイクログラム/処置する眼/日を超える化合物1001、たとえば3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、または20マイクログラム/処置する眼/日を超える化合物1001、たとえば最高25、50、75、100、125、150、または最高175マイクログラム/処置する眼/日を投与することを含む。特定の態様では、眼疾患を処置または予防する方法は、化合物1001を2.5〜175マイクログラム/処置する眼/日、たとえば2.5〜150マイクログラム、2.5〜125マイクログラム、2.5〜100マイクログラム、2.5〜75マイクログラム、2.5〜50マイクログラム、または2.5〜25マイクログラム/処置する眼/日の化合物1001を投与することを含む。特定の態様では、眼疾患を処置または予防する方法は、3〜175マイクログラム/処置する眼/日の化合物1001、たとえば3〜150マイクログラム、3〜125マイクログラム、3〜100マイクログラム、3〜75マイクログラム、3〜50マイクログラム、または3〜25マイクログラム/処置する眼/日の化合物1001を投与することを含む。特定の態様では、眼疾患を処置または予防する方法は、4〜175マイクログラム/処置する眼/日の化合物1001、たとえば4〜150マイクログラム、4〜125マイクログラム、4〜100マイクログラム、4〜75マイクログラム、4〜50マイクログラム、または4〜25マイクログラム/処置する眼/日の化合物1001を投与することを含む。特定の態様では、眼疾患を処置または予防する方法は、5〜175マイクログラム/処置する眼/日の化合物1001、たとえば5〜150マイクログラム、5〜125マイクログラム、5〜100マイクログラム、5〜75マイクログラム、5〜50マイクログラム、または5〜25マイクログラム/処置する眼/日の化合物1001を投与することを含む。特定の態様では、眼疾患を処置または予防する方法は、1日から任意の好適な投与計画の間にわたって上述のように化合物1001の用量を投与することを含みえる。好適な投与計画としては、その期間にわたる正味の効果が、上記のように化合物1001の総用量/眼/日を投与することであるように、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、及び任意の好適な投与回数を含むことができる。特定の態様では、好適な投与計画としてはさらに、その期間にわたる正味の効果が、上記のように少なくとも化合物1001の総用量/眼/日を投与することであるように、2日に1回、たとえば1日おき、または3日に1回、たとえば2日おきを含むことができる。
特定の態様では、本発明は、ヒト患者で眼疾患(たとえばドライアイ)を処置または予防するのに好適な医薬製剤であって、点眼薬などの眼に局所投与するのに好適な水溶液の状態などで、上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)の一つ以上と一つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、前記医薬製剤を提供する。特定の態様では、医薬製剤は、上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)を90マイクロモル濃度を超える濃度、上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)のたとえば90マイクロモル濃度〜7000マイクロモル濃度、たとえば90〜5000マイクロモル濃度、90〜3000マイクロモル濃度、90〜2000マイクロモル濃度、または90〜1000マイクロモル濃度の濃度である。特定の態様では、医薬製剤は、上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)を100マイクロモル濃度を超える濃度、たとえば上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)を150マイクロモル濃度を超え、200マイクロモル濃度を超え、250マイクロモル濃度を超え、300マイクロモル濃度を超え、350マイクロモル濃度を超え、400マイクロモル濃度を超え、450マイクロモル濃度を超え、500マイクロモル濃度を超え、550マイクロモル濃度を超え、600マイクロモル濃度を超え、650マイクロモル濃度を超え、700マイクロモル濃度を超え、750マイクロモル濃度を超え、または800マイクロモル濃度を超える濃度、たとえば最高1000マイクロモル濃度、最高2000マイクロモル濃度、最高3000マイクロモル濃度、最高5000マイクロモル濃度、または最高7000マイクロモル濃度までの濃度である。たとえば、医薬製剤は、上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)を100マイクロモル濃度〜7000マイクロモル濃度の濃度、たとえば上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)を100〜5000マイクロモル濃度、100〜3000マイクロモル濃度、100〜2000マイクロモル濃度、または100〜1000マイクロモル濃度の濃度であることができる。特定の態様では、医薬製剤は、上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)を150マイクロモル濃度〜7000マイクロモル濃度の濃度、たとえば上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)を150〜5000マイクロモル濃度、150〜3000マイクロモル濃度、150〜2000マイクロモル濃度、または150〜1000マイクロモル濃度の濃度である。特定の態様では、医薬製剤は、上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)を90マイクロモル濃度〜7000マイクロモル濃度の濃度、たとえば上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)を250〜5000マイクロモル濃度、250〜3000マイクロモル濃度、250〜2000マイクロモル濃度、または250〜1000マイクロモル濃度の濃度である。
特定の例として、本発明は、点眼薬など眼に局所投与するのに好適な水溶液として、化合物1001と一つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、ヒト患者において眼疾患(たとえばドライアイ)を処置または予防するのに好適な医薬製剤を提供する。特定の態様では、医薬製剤は、化合物1001を30マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)を超える濃度、たとえば化合物1001を30μg/mL〜2000μg/mL、たとえば30μg/mL〜1500μg/mL、30μg/mL〜1000μg/mL、30μg/mL〜750μg/mL、30μg/mL〜500μg/mL、30μg/mL〜400μg/mL、または30μg/mL〜350μg/mLの濃度である。特定の態様では、医薬製剤は、化合物1001を40μg/mLを超える濃度、たとえば化合物1001を50μg/mLを超え、60μg/mLを超え、70μg/mLを超え、75μg/mLを超え、100μg/mLを超え、125μg/mLを超え、150μg/mLを超え、175μg/mLを超え、200μg/mLを超え、225μg/mLを超え、または250μg/mLを超える濃度、たとえば最高350μg/mL、最高400μg/mL、最高500μg/mL、最高750μg/mL、最高1000μg/mL、最高1500μg/mL、または最高2000μg/mLまでの濃度である。たとえば、医薬製剤は、化合物1001を40μg/mL〜2000μg/mLの濃度、たとえば化合物1001を40μg/mL〜1500μg/mL、40μg/mL〜1000μg/mL、40μg/mL〜750μg/mL、40μg/mL〜500μg/mL、40μg/mL〜400μg/mL、または40μg/mL〜350μg/mLの濃度である。特定の態様では、医薬製剤は、化合物1001を50μg/mL〜2000μg/mLの濃度、たとえば化合物1001を50μg/mL〜1500μg/mL、50μg/mL〜1000μg/mL、50μg/mL〜750μg/mL、50μg/mL〜500μg/mL、50μg/mL〜400μg/mL、または50μg/mL〜350μg/mLの濃度である。特定の態様では、医薬製剤は、化合物1001を60μg/mL〜2000μg/mLの濃度、たとえば60μg/mL〜1500μg/mL、60μg/mL〜1000μg/mL、60μg/mL〜750μg/mL、60μg/mL〜500μg/mL、60μg/mL〜400μg/mL、または60μg/mL〜350μg/mLの濃度でありえる。特定の態様では、医薬製剤は、化合物1001の75μg/mL〜2000μg/mLの濃度、たとえば75μg/mL〜1500μg/mL、75μg/mL〜1000μg/mL、75μg/mL〜750μg/mL、75μg/mL〜500μg/mL、75μg/mL〜400μg/mL、または75μg/mL〜350μg/mLの濃度である。
たとえば点眼薬としてなど眼に局所投与するような本明細書中に記載の水溶液などとして、上記化合物のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)の一つ以上の有効量を投与することを含む眼疾患(たとえばドライアイ)を処置または予防する方法の特定の態様では、化合物1001が好ましい化合物である。
上記医薬製剤のいずれかの特定の態様では(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物、たとえば化合物1001と、一つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む上記医薬製剤のいずれか)、医薬製剤は眼に局所適用するのに好適な水溶液であり、ここで溶液のpH範囲は5.5〜7.4、たとえば5.5〜7.0、または5.5〜6.5、または5.5〜6.0である。上記製剤のいずれか(たとえば式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物、たとえば化合物1001と、一つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む上記医薬製剤のいずれか)の特定の態様では、医薬製剤は眼に局所適用するのに好適な水溶液であり、ここで溶液のpH範囲は5.0〜7.4、たとえば5.0〜7.0、または5.0〜6.5、たとえば5.0〜6.0、または5.0〜5.5である。上記の特定の態様では、溶液はさらに、一つ以上の界面活性剤、一つ以上の緩和剤(demulscent)、及び/または一つ以上の乳化剤、たとえばポリソルベート80、プルーロニク(pluronic)F-147、チロキシポール(tyloxapol)、ポリビニルピロリドン(たとえば平均分子量360,000をもつポリビニルピロリドン、たとえばポリビニルピロリドンK-90、Chemical Abstracts Service Registry No.9003-39-8号)、鉱油またはひまし油を含む。特定の態様では、医薬製剤は実質的に防腐剤を含まない。
本発明の特定の態様では、上記医薬製剤(たとえば上記濃度をもつもの)は、眼疾患の処置または予防用の任意の好適な投薬計画を使用して投与することができる。水性点眼液の好適な投薬計画としては、病気の眼に1日1回、2回、3回または4回、前記医薬製剤を投与することが挙げられる。特定の態様では、水性点眼液の好適な投薬計画としてはさらに、2日に1回、たとえば1日おき、または3日に1回、たとえば2日おきに病気の眼に投与することが挙げられる。特定の態様では、上記医薬製剤(たとえば上記の濃度をもつもの)を投与する任意の特定の場合は、病気の眼に1滴以上の医薬製剤を投与することを含む。そのような特定の態様では、上記医薬製剤(たとえば上記濃度をもつもの)を投与する特定の場合は、病気の眼に、2、3、4、または5滴の医薬製剤を投与することを含みえる。本発明はさらに、上記のものの任意且つ全ての組み合わせを企図する。
本発明の化合物の投与により処置しえる眼疾患の例としては、AIDSに関連した網膜疾患;加齢に関連した黄斑変性;アルカリ浸食性角結膜炎(alkaline erosive keratoconjunctivitis);アレルギー性角膜炎;前部乏血性視神経症;前部ブドウ膜炎(虹彩毛様体炎);ベーチェット病;眼瞼炎;脂漏性眼瞼炎;小管炎;白内障;中心性漿液性脈絡網膜症;脈絡膜炎;慢性ブドウ膜炎;コーツ病;結膜炎(たとえば、感染性結膜炎、新生児結膜炎、非感染性結膜炎、及びアレルギー性結膜炎);コンタクトレンズにより誘発された角結膜炎;接触湿疹;角膜潰瘍(たとえば、モーレン潰瘍、慢性リウマチ性関節炎または結合組織病(collagen disease)後の角膜潰瘍、テリエン角膜ジストロフィ、カタル性角膜潰瘍、感染性角膜潰瘍);結晶性網膜障害(crystalline retinopathy);毛様体炎;浮腫(たとえば、類嚢胞黄斑浮腫);涙腺炎;涙嚢炎;変性近視;変性網膜分離症;糖尿病性角膜症;糖尿病黄斑浮腫;糖尿病性網膜症;乾性眼症候群(たとえば涙器系のドライアイまたは角膜のドライアイ);加齢に伴う乾性黄斑変性;眼内炎;上強膜炎;滲出性黄斑浮腫;フックスのジストロフィ;巨細胞動脈炎;巨大乳糖結膜炎;緑内障(たとえば、原発性開放隅角緑内障、原発性閉塞角緑内障、二次性開放隅角緑内障、続発性閉塞角緑内障、及び小児緑内障);緑内障手術の失敗(glaucoma surgery failure);移植片対眼の宿主疾患(ドライアイのことが多い);帯状疱疹(帯状疱疹);高血圧性網膜症;白内障手術後の炎症;虹彩角膜内皮症候群;虹色細胞炎(iridocytis);虹彩炎;角膜炎(たとえば、感染性角膜炎、非感染性角膜炎、及び神経麻痺性角膜炎);乾性角結膜炎(keratoconjunctiva sicca);角結膜炎性疾患;円錐角膜;角膜症;格子状ジストロフィ;地図-点-指紋状ジストロフィ;壊死性角膜炎;、眼球血管膜または角膜網膜を含む新生血管病、たとえば血管新生緑内障、角膜血管新生(炎症性、移植、虹彩の発生的形成不全)、混合硝子体切除及び水晶体切除後の新血管形成、視神経の新血管形成、及び眼の貫通及び打撲傷による血管新生;非感染性ブドウ膜炎;眼ヘルペス;酒さ;眼の感染症(たとえば、角膜ヘルペス、細菌性角膜炎、細菌性結膜炎、真菌性角膜炎、アカントアメーバ角膜炎(acanthamebic keratitis)、感染性眼内炎、感染性角膜潰瘍、ブドウ球菌、腸球菌、腸球菌(euterococci)、桿菌、コリネバクテリウム、クラミジア、及びナイセリアによる結膜または角膜の炎症);眼科類天疱瘡;乳糖ドルーゼン;視神経炎;全ブドウ膜炎;乳糖浮腫;乳糖炎;扁平部炎;永続的黄斑浮腫(persistent macular edema);水晶体過敏症;後部ブドウ膜炎(網脈絡膜炎:chorioentinitis);手術後の炎症(たとえば、角膜のレーシック術後の炎症);増殖性糖尿病性網膜症;増殖性鎌状赤血球性網膜症;増殖性硝子体網膜症;網膜動脈閉塞症;網膜はく離;網膜血管炎;網膜静脈閉塞症;網膜色素変性;早熟の網膜症;ルベオーシス虹彩炎;強膜炎;スティーブンス・ジョンソン症候群(多発性紅斑);交換性眼炎;側頭動脈炎;中毒性網膜症;ブドウ膜炎(たとえば、前部ブドウ膜炎または後部ブドウ膜炎);春期結膜炎;ビタミンA不足誘発性角膜軟化症;硝子体炎;及び加齢に伴う湿潤黄斑変性が挙げられるが、これらに限定されない。
ドライアイを生じる疾患としては、ライリー・デイ症候群、シャイ・ドレーガー症候群、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、アミロイドシス、放射線治療の後遺症、兎眼、ビタミンA欠乏症、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、マイボーム腺炎、眼内手術の後遺症、コンタクトレンズ疾患、糖尿病性角膜上皮症、VDT手術によるドライアイ、移植片対宿主拒絶反応などが挙げられる。角膜感染性疾患により生じる疾患としては、ウイルス性上皮症などが挙げられる。幹細胞枯渇症候群(Stem cell depletion syndrome)としては、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、熱傷または薬品熱傷、緑内障のためのイドクスウリジン(IDU)及び治療薬の薬物毒性などが挙げられる。
本発明は、患者の眼においてCOX-2またはTNFを予防する方法であって、本発明の化合物を前記患者に投与することを含む前記方法を提供する。本発明はさらに、患者の眼において杯状細胞消失から保護する方法であって、本発明の化合物を前記患者に投与することを含む前記方法を提供する。
本明細書に記載の化合物は、角膜の炎症性メディエータ、たとえばTNF、IL-1a、IL-1b、IL-6、及びIL-8も阻害することができる。従って、これらの化合物は、ドライアイ疾患、加齢に伴う黄斑変性、未熟児の網膜症、ブドウ膜炎、及び緑内障の処置に有用でありえる。
本明細書に記載の化合物は、角膜におけるCOX-2も阻害することができる。従ってこれらの化合物はドライアイ疾患の処置に有用でありえる。
本明細書に記載の化合物は、杯細胞消失から保護することができる。従って、これらの化合物は、ドライアイ疾患、加齢に伴う黄班変性、未熟児の網膜症、網膜色素変性症及び緑内障の処置に有用でありえる。本明細書に記載の化合物は、ドライアイ処置に関する二つの評価項目の涙液産生及び浅上皮細胞(superficial epithelial cell)の密度も増加誘導することができる。
本明細書に記載の化合物は、血管漏出も減少することができる。従って、これらの化合物は加齢に伴う黄斑変性の処置に有用でありえる。
本明細書に記載の化合物は、CD11b+細胞も抑制することができる。ドライアイの動物モデルは、CD11b+細胞が増加すると角膜の白血球が増加することを示唆している。従って、これらの化合物は、ドライアイにより誘発された白血球の到達を低下させることによる、ドライアイの処置にも有用でありえる。
本明細書に記載の化合物は、色素網膜上皮の破壊も予防することができる。従って、これらの化合物は、加齢に伴う黄斑変性、未熟児網膜症、網膜色素変性及び緑内障の処置に有用でありえる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、眼疾患の処置または予防に好適な他の薬剤と共同して投与することができる。たとえば、以下の薬剤または薬剤の種類は、本発明の化合物と共同して投与することができる:ドキソサイクリン;ドコサヘキサエン酸;血管新生阻害剤、たとえばVEGF阻害剤、たとえばペガプタニブナトリウム、ベバシズマブ、ラニビズマブ、AV-951、バンダデタニブ、サマキサニブ、CBO-P11、アキシチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ、及びTIMP3;麻酔剤及び鎮痛剤、たとえばリドカイン及び関連化合物並びにベンゾジアゼパム及び関連化合物;抗がん剤、たとえば5-フルオロウラシル、アドリアマイシン及び関連化合物;消炎剤、たとえば6-マンノースホスフェート;抗菌剤、たとえばフルコナゾール及び関連化合物;抗ウイルス薬、たとえばトリナトリウムホスホモノホルメート(trisodium phosphomonoformate)、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、DDI、DDC、及びAZT;細胞輸送/移動性切迫剤(mobility impending agent)、たとえばコルヒチン、ビンクリスチン、サイトカラシンB、及び関連化合物;抗緑内障薬、たとえばベータ-遮断薬:チモロール、ベタキソール、アテナロールなど;プロスタグランジン、たとえばラタノプロスト及びトラボプロストなど;免疫反応調節剤、たとえばムラミルジペプチド及び関連化合物;ペプチド及びタンパク質、たとえばシクロスポリン、インスリン、成長ホルモン、インスリン関連成長因子、神経成長因子(場合により、デコサヘキサン酸(decosahexanoic acid)との組み合わせで)、熱ショックタンパク質及び関連化合物;エストロゲン処置;コルチコステロイド、たとえばデキサメタゾン、デキサメタゾン21-ホスフェート、フルオロメトロン、メドリゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリミノロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニゾロン21-ホスフェート、プレドニゾロンアセテート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、プレドニカルベート、デフラザコルト、ハロメタゾン、チキソコルトール、プレドニリデン(21-ジエチルアミノアセテート)、プレドニバル、パラメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、マジプレドン(mazipredone)、イソフルプレドン、ハロプレドンアセテート、ハルシノニド、ホルモコルタール、フルラニドレノリド、フルプレドニゾロン、フルプレドニジンアセテート、フルペロロンアセテート、フルコルトロン、フルコルチンブチル、フルシノニド、フルシノロン、フルシノロンアセトニド、フルニソリド、フルメタゾン、フルドコルチゾン、フルクロリニド、フルオロメタロン、エノキソロン、ジフルプレドネート、ジフルコルトロン、ジフロラゾンジアセテート、デソキシメタゾン(デスオキシメタゾン)、デソニド、デシノロン、コルチバゾール、コルチコステロン、コルチゾン、クロプレドノール、クロロトロン、クロベタゾン、クロベタゾール、クロロプレドニゾン、カフェストール、ブデソニド、ベクロメタゾン、アンシノニド、アロプレグナンアセトニド、アルクロメタゾン、21-アセトキシプレグネノロン、トラロニド、ジフロラゾンアセテート、デアシルコルチバゾール、RU-26988、ブデソニド、及びデアシルコルチバゾールオキセタノン。上記コルチコステロイドは全て公知化合物である。上記化合物に関する更なる情報は、本明細書中、その全体が参照として含まれるメルクインデックス、第13版(2001)及びその中に参照される刊行物に知見することができる。特定の態様では、コルチコステロイドはフルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン及び関連化合物、並びにその任意の組み合わせ;及びカルボン酸アンヒドラーゼ阻害剤から選択される。
本発明の化合物と共同して投与しえる薬剤及び薬剤種の更なる例としては、以下のものが挙げられる:DE-104;PF-04217329;PF-03187207;AL37807;OPC-12759;化学療法薬、たとえばマイトマイシンC;プロスタグランジンの合成構造類似体、たとえばビマトプロスト;アルファ2アゴニスト、たとえばブリモニジン;カルボン酸アンヒドラーゼ阻害剤、たとえばドルゾラミドHCl;プロスタグランジン誘導体及び類似体、たとえばタフルプロスト及びトラボプロスト;NMDAアンタゴニスト、たとえばメマンチン;ヒアルロン酸(たとえば、ヒアルロン酸ナトリウム);コルチコステロイド、たとえばロテプレドノールエタボネート、ジフルプレドネート及びリメキソロン;抗生物質、たとえばドキシサイクリン;ムチンを増加させる薬剤、たとえばエカべト及びレバミピド;滑剤、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウムとグリセリンの組み合わせ;A3アデノシン受容体アゴニスト、たとえばCF-101;免疫調節薬、たとえばサリドマイド;TNFαアンタゴニスト、たとえばエタネルセプト;タンパク質キナーゼC-b阻害剤、たとえばルボキシスタウリン;免疫抑制剤、たとえばシロリムス;PARP阻害剤、たとえばAG-014699;神経保護的血栓溶解剤、たとえばミクロプラスミン;ヒアルロニダーゼ;酸化剤、たとえばカルバミド;ソマトスタチン類似体、たとえばオクトレオチドアセテート;アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、たとえばカンデサルタンシレキセチル;寛解導入抗リウマチ薬、たとえばレフノミド;AEB071;TNFアンタゴニスト、たとえばアダリムマブ;CD11アンタゴニスト、たとえばエファリツマブ;カルシネウリン阻害剤、たとえばLX211;インターフェロン、たとえばインターフェロンα-2a;ヒトアルファフェトプロテイン、たとえばMM-093。
上記薬剤に加えて、局所または全身的な生理的または薬学的薬効を生み出すために、他の薬剤は眼及び周囲組織に投与するのに好適である。そのような薬剤は、本発明の化合物と共同して投与することができる。そのような薬剤の例としては、以下のものが挙げられる:神経保護薬、たとえばニモジピン及び関連化合物;抗生物質、たとえばテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、及びエリスロマイシン;抗菌剤、たとえばスルホンアミド、スルファセトアミド、スルファメチゾール及びスルフィソキサゾール;抗ウイルス薬、たとえばイドクスウリジン;他の抗菌薬、たとえばニトロフラゾン及びプロピオン酸ナトリウム;抗アレルギー薬、たとえばアンタゾリン、メタピリリン、クロロフェニルアミン、ピリラミン、及びプロフェンピリダミン;充血除去薬(decongestant)、たとえばフェニルエフリン、ナファゾリン及びテトラヒドラゾリン;縮瞳薬及びアンチコリンエステラーゼ、たとえばピロカプリン、サリチル酸エセリン、カルバコール、ジイソプロピルフルオロホスフェート、ホスホリンヨーダイド、及びデメカリウムブロミド;散瞳薬、たとえば硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン及びヒドロキシアンフェタミン;交感神経作用薬、たとえばエピネフリン;及びプロドラッグ、たとえばDesign of Prodrugs、Hans Bundgaard編、Elsevier Scientific Publishing Co.、アムステルダム、1985年に記載のもの。他の薬剤に関しては、Remington's Pharmaceutical Sciences(Remington's Pharmaceutical Sciences.Mack Publishing Company、Easton、Pa.、USA 1985)などの任意の標準的な薬学テキストを参照することができる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、眼疾患の処置または予防に好適な非化学的方法と共同して投与することができる。特定の態様では、本発明の様々な化合物は、レーザー処置(たとえば、光凝固術または光線力学的療法)、装置を使用する黄班移動手術(たとえば、酒石酸ブリモニジン移植)と共同して投与することができる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらに、そのような組み合わせは、上記の薬剤などの眼疾患の処置または予防に好適な他の薬剤などの、他の治療薬と共同して投与することができる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;(b)眼疾患の処置若しくは予防に好適な薬剤または上記の局所若しくは全身の生理学的若しくは薬学的薬効を生み出すために眼及びその周囲組織に投与するのに好適な薬剤の一つ以上の単一剤形;及び(c)本発明の化合物と、眼疾患の処置若しくは予防に好適な薬剤または局所若しくは全身の生理学的または薬学的薬効(beneficial effect)を生み出すために眼及びその周囲組織に投与するのに好適な薬剤を投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)眼疾患の処置若しくは予防、眼のCOX-2若しくはTNFを阻止する、または眼の杯細胞消失から保護するためなどの医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、眼疾患の処置若しくは予防に好適な薬剤、上記の局所若しくは全身の生理学的若しくは薬学的薬効を生み出すために眼及びその周囲組織に投与するのに好適な薬剤、または上記眼疾患の処置若しくは予防に好適な非化学的方法と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、上記の局所若しくは全身の生理学的若しくは薬学的薬効を生み出すために眼及びその周囲組織に投与するのに好適な薬剤を含む、第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)眼疾患の処置若しくは予防に好適な薬剤、または上記の局所若しくは全身の生理学的若しくは薬学的薬効を生み出すために眼及びその周囲組織に投与するのに好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)眼疾患を処置若しくは予防、眼のCOX-2若しくはTNFを阻止する、または眼の杯細胞消失から守るためなどの、本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
本発明はさらに、眼疾患の処置の必要な眼に、式I〜IXのいずれか一つの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物を含む点眼薬を送達するためのパッケージ化医薬品(a packaged pharmaceutical)を提供する。そのような特定の態様において、パッケージ化医薬品は、眼に1日1回、2回、3回、若しくは4回、1、2、3、4若しくは5滴、点眼薬を投与する、あるいは2日に1回、たとえば1日おき、若しくは3日に1回、たとえば2日おきに1回投与することにより、上記の1日分の用量のいずれか(たとえば、モル濃度または重量のいずれか)で点眼薬を送達するように構成されている。当業者は、所望の用量を提供するために、(たとえば、表面張力及び/または溶液粘度を変動させることにより及び/またはパッケージの液滴を分配する部分の物理的形状を変えることによって)液滴の体積、溶液の濃度、及び投薬計画(投与する液滴の数、頻度)を変動させるかを理解するだろう。
特定の態様では、パッケージ化医薬品は、封止された使い捨て容器に封入された水溶液(たとえば、点眼薬)を含み、たとえばそれぞれの容器は、少なくとも1.5ナノモルの式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物、たとえば少なくとも2、3、若しくは6ナノモルの式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物を、眼に局所投与するのに好適な水性医薬品に含む。そのような特定の態様では、それぞれの容器は、1.5ナノモル〜550ナノモル、たとえば1.5〜400ナノモル、または1.5〜100ナノモルの式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物を眼に投与するのに好適な水性医薬品に含む。特定の態様では、パッケージ化医薬品は、封止された使い捨て容器に包装された水溶液(たとえば、点眼薬)を含み、たとえばそれぞれの容器は、少なくとも0.5マイクログラムの化合物1001、たとえば少なくとも0.7、1、若しくは2マイクログラムの化合物1001を眼に局所投与するのに好適な水性医薬品中に含む。そのような特定の態様では、それぞれの容器は、0.5マイクログラム〜150マイクログラムの化合物1001、たとえば0.5〜100マイクログラム、または0.5〜25マイクログラムの化合物1001を眼に局所投与するのに好適な水性医薬品中に含む。特定の態様では、包装された医薬品は、封止された使い捨て容器に包装された水溶液(たとえば、点眼薬)を含み、それぞれの容器は、90マイクロモル濃度を超える濃度の式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物、たとえば100、150、200、若しくは250マイクロモルを超える式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物を、眼に局所投与するのに好適な水性医薬品として含む。そのような特定の態様では、それぞれの容器は、90マイクロモル濃度〜7000マイクロモル濃度の濃度、たとえば90マイクロモル濃度〜2000マイクロモル濃度、または90マイクロモル濃度〜1000マイクロモル濃度の濃度の式I〜IXのいずれかの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物溶液を、眼に局所投与するのに好適な水性医薬品として含む。たとえば特定の態様では、パッケージ化医薬品は、封止された使い捨て容器に包装された水溶液(たとえば、点眼薬)を含み、たとえばそれぞれの容器は、眼に局所投与するのに好適な水性医薬品として、30μg/mLを超える濃度の化合物1001、たとえば40、50、60、または75μg/mLを超える濃度の化合物1001の溶液を含む。そのような特定の態様では、それぞれの容器は、30μg/mL〜2000μg/mLの濃度、たとえば30μg/mL〜1000μg/mL、または30μg/mL〜350μg/mLの濃度の化合物1001の溶液を、眼に局所投与するのに好適な水性医薬品として含む。
さらなる態様では、パッケージ化医薬品は、眼疾患の処置の必要な眼に複数回分の用量(multidose)を投与するのに好適な容器に包装された式I〜IXのいずれか一つの化合物、式Aの化合物、式1〜49のいずれか一つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物を含む、水性の防腐剤無添加溶液(たとえば、点眼薬)を含む。そのような特定の態様では、防腐剤無添加の溶液を複数回用量投与するのに好適な容器は連続使用の間に溶液の無菌状態(sterility)を保持するように設計される。好適な分配装置は、米国特許出願第2009/294347号に開示されているものが挙げられる。
免疫機能
本発明は、患者の免疫機能を抑制及び/または免疫反応を抑制するための方法であって、本発明の化合物を前記患者に投与することを含む、前記方法を提供する。
本発明は、患者の自己免疫疾患または自己免疫異常を処置または予防する方法であって、本発明の化合物を前記患者に投与することを含む、前記方法を提供する。
特定の態様では、自己免疫疾患または自己免疫異常は、患者自身の免疫系が患者組織の一つ以上に損傷を与えるような種類のものである。特定の態様では、自己免疫疾患または自己免疫異常は、患者の体内の何かまたは患者の環境中の何かによって引き起こされることがある。
特定の態様では、本発明の自己免疫疾患または自己免疫異常は、惹起要因に続くものでありえる。たとえば、自己免疫疾患または自己免疫異常は、感染及び/または他の惹起要因により生じるものでありえる。潜在的な惹起要因としては、老齢、感染(たとえば寄生虫感染)、ステロイド剤治療、ミョウバン(alum)の繰り返されるワクチン接種、妊娠及び/またはガンを含みえる。
特定の態様では、自己免疫疾患または自己免疫異常は、臓器特異的であっても臓器非特異的であってもよい。そのような自己免疫疾患または自己免疫異常の例としては、多発性硬化症、関節炎(たとえば、リウマチ性関節炎若しくは若年性関節炎)、クローン病、潰瘍性結腸炎及び再生不良性貧血(SLEまたは狼瘡)、皮膚筋炎、悪性貧血、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、チャーグ・ストラウス症候群、円盤ループス、線維筋痛、グレーブス病、重症筋無力症、乾癬、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、皮膚硬化症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、甲状腺炎、ブドウ膜炎、白斑、ウェグナー肉芽腫症、移植片拒絶、及び血管障害が挙げられる。
自己免疫疾患または自己免疫異常が移植片拒絶である特定の態様では、移植片拒絶は、慢性移植片拒絶であってもよい。移植片拒絶の処置のために本発明の化合物を投与する本発明の特定の態様では、未処置の拒絶反応により移植片喪失を導く場合には、本発明の化合物の投与により移植片(たとえば、同種移植片(allograft)または異種移植片(xenograft))に対する免疫反応を調節する。従って、本発明の化合物は、移植手術の前、その間及び/またはその後に投与される慣用の免疫抑制剤の代わりに、またはそれに加えて使用することができる。特定の態様では、移植片拒絶は、自然または人工細胞、島細胞、組織(たとえば、自然または人工皮膚組織)、角膜、骨髄、臓器(たとえば腎臓、肝臓、膵臓、肺、若しくは心臓)、レンズ、またはペースメーカーを移植する際の反応である。
本発明はさらに、患者の免疫系を活性化することにより媒介される病気、続発症(sequela)または病的な状態を処置または予防する方法であって、本発明の化合物を前記患者に投与することを含む、前記方法を提供する。特定の態様では、免疫系の活性化により媒介される病気、続発症及び病的な状態としては、毛細血管漏出、肺不全、敗血症、内毒素性ショック、または組織損傷の続発症が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、免疫機能を調節、免疫反応を抑制、自己免疫疾患若しくは自己免疫異常を処置、または免疫系の活性化により媒介される疾病、続発症若しくは病的な状態を処置するのに好適な他の薬剤と共同して投与することができる。たとえば、以下の免疫抑制剤は、本発明の化合物と共同して投与することができる:シクロスポリン、シクロスポリンA、タクロリムス、ラパマイシン、エバロリムス、FK-506、シクロホスファミド、アザチオプレン、メトトレキセート、ブレキナール、レフルノミド、ミゾリビン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、15-デオキシスペルグアリン、トリアムシノロンアセトニド、デカドロン、ダクリツマブ、バシリキシマブ、酢酸グラチラマー、インフリキシマブ、ムロモナブ、オクトレオチド、ムラミル酸(muramylic acid)ジペプチド誘導体、レバミソール、ニリダゾール、オキシスラン、フラジール及びシロリムス。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらにそのような組み合わせは、上記のような免疫機能を調節、免疫反応を抑制、自己免疫疾患若しくは自己免疫異常を処置若しくは予防、または免疫系の活性化により媒介される疾病、続発症若しくは病的な状態を処置するのに好適な他の薬剤などの他の治療薬と共同して投与することができる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;(b)上記のような免疫機能を調節、免疫反応を抑制、自己免疫疾患若しくは自己免疫異常を処置若しくは予防、または免疫系の活性化により媒介される疾病、続発症若しくは病的な状態を処置若しくは予防するのに好適な薬剤の一つ以上の単一剤形;及び(c)本発明の化合物と、上記のような免疫機能を調節、免疫反応を抑制、自己免疫疾患若しくは自己免疫異常を処置若しくは予防、または免疫系の活性化により媒介される疾病、続発症若しくは病的な状態を処置若しくは予防するのに好適な薬剤とを投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)免疫機能を阻害、免疫反応を抑制、自己免疫疾患若しくは自己免疫異常を処置若しくは予防、または免疫系の活性化により媒介される疾病、続発症若しくは病的な状態を処置若しくは予防するためなどの医薬製剤を投与するためなどの使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、上記のような免疫機能を調節、免疫反応を抑制、自己免疫疾患若しくは自己免疫異常を処置若しくは予防、または免疫系の活性化により媒介される疾病、続発症若しくは病的な状態を処置若しくは予防するのに好適な薬剤と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、上記のような免疫機能を調節、免疫反応を抑制、自己免疫疾患若しくは自己免疫異常を処置若しくは予防、または免疫系の活性化により媒介される疾病、続発症若しくは病的な状態を処置若しくは予防するのに好適な薬剤を含む、第二の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)上記のような免疫機能を調節、免疫反応を抑制、自己免疫疾患若しくは自己免疫異常を処置若しくは予防、または免疫系の活性化により媒介される疾病、続発症若しくは病的な状態を処置するのに好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)免疫機能を阻害、免疫反応を抑制、自己免疫疾患若しくは自己免疫異常を処置若しくは予防、または免疫系の活性化により媒介される疾病、続発症若しくは病的な状態を処置若しくは予防するためなどの、本発明の化合物と共に第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
肺疾患
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者の肺疾患を処置または予防する方法を提供する。特定の態様では、肺疾患は、肺の炎症、気道炎症、喘息、慢性気管支炎、気管支拡張、非-嚢胞性線維症-関連気管支拡張、嚢胞性線維症、好酸球性肺疾患(たとえば、寄生虫感染症、特発性好酸球性肺炎、及びチャーグ・ストラウス脈管炎)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、気道のアレルギー性炎(たとえば、鼻炎及び副鼻腔炎)、細気管支炎、閉塞性細気管支炎、器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎、好酸球性肉芽腫、ウェグナー肉芽腫症、サルコイドーシス、過敏性肺炎、特発性肺線維症、結合組織病の肺症状(pulmonary anifestations)、急性若しくは慢性肺障害、成人性呼吸促迫症候群、肺炎、肺気腫、肺疾患、または慢性閉塞性肺疾患から選択することができる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらにそのような組み合わせは、他の治療薬、たとえば本明細書に開示の症状などの肺疾患の処置または予防に好適な他の薬剤と共同して投与することができる。肺疾患の処置に好適な典型的な薬剤としては、コルチコステロイド(たとえば、プレドニゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、フルチカゾンプロピオネート、及び他の好適なコルチコステロイド)、ベータ-アゴニスト(たとえば、アルブテロール、メタプロテレノール、ピルブテロール、ホルモテロール、テルブタリン、イソエタリン、レバルブテロール、キシナホ酸サルメテロール、及び他の好適なベータ-アゴニスト)、及び抗コリン剤(たとえば、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、及び他の好適な抗コリン剤)が挙げられる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;(b)肺疾患の処置または予防に好適な薬剤の一つ以上の単一剤形;及び(c)肺疾患の処置または予防に好適な薬剤と本発明の化合物を投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)上記状態、たとえば肺疾患を処置または予防するためなどの、医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、肺疾患を処置または予防するのに好適な薬剤と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、肺疾患を処置または予防するのに好適な薬剤を含む第二の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形として)を含む。
特定の態様では、本キットはさらに、肺疾患を処置または予防するのに好適な薬剤と共同して本発明の化合物をそれぞれ含む一つ以上の単一剤形を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、肺疾患を処置または予防するのに好適な薬剤の一つ以上の単一剤形を含む。
本発明は、
(a)肺疾患を処置または予防するのに好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)上記症状を処置または予防するため、たとえば肺疾患を処置または予防するための本発明の化合物と共に第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
胃腸症状
本発明は、患者の胃腸症状を処置または予防する方法であって、本発明の化合物を患者に投与することを含む、前記方法を提供する。特定の態様では、胃腸の症状は、胃腸炎、潰瘍性大腸炎、クロストリジウム・ディフィシーレ大腸炎、顕微鏡的大腸炎またはリンパ球性大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群、感染性腸炎、抗生物質起因性大腸炎、大腸ポリープ、家族性ポリープ病、家族性ポリープ症候群、ガードナー症候群、ヘリコバクター・ピロリ、非特異性下痢、腸ガン、遠位直腸炎(distal proctitis)、異常な結腸筋収縮に伴う炎症状態(たとえば、痙攣性結腸及び粘液結腸炎)、アレルギー性腸疾患(たとえば、小児脂肪便症)、食道炎、または膵炎から選択することができる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらにそのような組み合わせは、胃腸の症状、たとえば本明細書に記載の症状の処置または予防に好適なそのような他の薬剤と共同して投与することができる。胃腸の症状を処置または予防するのに好適な典型的な薬剤としては、免疫抑制剤(たとえば、コルチコステロイド)、ヒスタミン-2受容体アンタゴニスト(たとえば、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン及びラニチジン)、スクラルファート、プロスタグランジン(たとえば、ミソポストール)、及びプロトンポンプ阻害薬(たとえば、オメプラゾール、ランソラプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、及びラベプラゾール)から選択することができる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;(b)胃腸の症状を処置または予防するのに好適な一つ以上の単一剤形;及び(c)胃腸の症状を処置または予防するのに好適な薬剤と本発明の化合物を投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)上記の症状、たとえば胃腸の症状を処置または予防するためなどの、医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、胃腸の症状を処置または予防するのに好適な薬剤と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、胃腸の症状を処置または予防するのに好適な薬剤を含む第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)胃腸の調子を処置または予防するのに好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)上記症状、たとえば胃腸の症状を処置または予防するためなどの、本発明の化合物と共に第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
リウマチ疾患
本発明は、患者のリウマチ疾患を処置または予防するための方法であって、本発明の化合物を患者に投与することを含む、前記方法を提供する。特定の態様では、前記リウマチ疾患は、リウマチ性疾患、リウマチ性関節炎、変形性関節炎、関節の炎症性症状(たとえば、リウマチ性関節炎、リウマチ様脊椎炎、変形性関節炎、通風性関節炎)、強直性脊椎炎、狼瘡、乾癬性関節炎、筋肉痛(myalgias)、または慢性腰痛症から選択することができる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらにそのような組み合わせは、他の治療薬、たとえばリウマチ様疾患、たとえば本明細書に開示のような症状などの処置または予防に好適な他の薬剤と共同して投与することができる。リウマチ疾患の処置または予防に好適な典型的な薬剤としては、非ステロイド系抗炎症薬、たとえばサリチル酸塩(たとえば、アスピリン、アモキシプリン、ベノリラート、コリンマグネシウムサリチル酸、ジフルニサール、ファイスラミン、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸サリシル)、アリールアルカン酸(たとえば、ジクロフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、ブロムフェナク、エトドラク、インドメタシン、ナブメトン、スリンダク、及びトルメチン)、2-アリールプロピオン酸(たとえば、イブプロフェン、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、チアプロフェン酸、及びスプロフェン)、N-アリールアントラニル酸(たとえば、メフェナミム酸及びメクロフェナム酸)、ピラゾリジン誘導体(たとえば、フェニルブタゾン、アザプロパゾン、メタミゾール、オキシフェンブタゾン、及びスルフィンピラゾン)、オキシカム(たとえば、ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、及びテノキシカム)、COX-2阻害剤(たとえば、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブ)並びにスルホンアニリド(たとえば、ニメスリド)、コルチコステロイド(たとえば、プレドニゾン、コルチゾン、ソルメドロール、及びヒドロコルチゾン)、疾患修飾性抗リウマチ薬(たとえば、レフルノミド、経口金(oral gold)、スルファサラジン、ミコフェノラート、シクロホスファミド、アザチオプリン、クロラムブシル、リウマトレックス、ミノサイクリン、ゴールド・ショット(gold shot)、カプリミン及びキネプロックス(quineprox))、鎮痛薬(たとえば、アセトアミノフェン、コデイン、プロポキシフェン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、モルヒネ、オキシコドン、ペンタゾシン、トラマドール、及びヒドロコドン)並びに生物反応修飾物質(たとえば、エタネルセプト、アダリムマブ、アナキンラ、アバタセプト、エファリズマブ、インフリキシマブ、リツキシマブ、及びナタリズマブ)が挙げられる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;(b)リウマチ疾患の処置または予防に好適な薬剤の一つ以上の単一剤形;及び(c)リウマチ疾患の処置または予防に好適な薬剤と本発明の化合物を投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)たとえばリウマチ疾患などの、上記症状を処置または予防するためなどの医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、リウマチ疾患を処置または予防するのに好適な薬剤と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、リウマチ疾患を処置または予防するのに好適な薬剤を含む第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)リウマチ疾患を処置または予防するのに好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)リウマチ疾患などの上記症状を処置または予防するためなどの、本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
皮膚疾患
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者の皮膚疾患の処置または予防法を提供する。特定の態様では、皮膚疾患は、皮膚硬化症、乾癬、じんましん、脈管炎、脂漏性皮膚炎、膿疱性皮膚症、湿疹、皮膚炎、外傷から生じる潰瘍及びびらん、熱傷、水疱性障害、または皮膚若しくは粘膜の虚血、魚鱗癬、表皮水疱症、瘢痕ケロイド及びケロイド、内因性老化及び紫外線老化の皮膚変化、皮膚の機械的剪断により生じるに摩擦水疱形成、コルチコステロイドの局所使用により生じる皮膚萎縮、粘膜炎症(たとえば口唇炎、荒れた唇、鼻の炎症、若しくは外陰膣炎)、ふけ、日焼け、ウルシ、アトピー性皮膚炎、にきび、または酒さから選択することができる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらに、そのような組み合わせは、本明細書に開示の症状などの、皮膚疾患の処置または予防に好適な他の薬剤などの、他の治療薬と共同して投与することができる。皮膚疾患の処置または予防に好適な典型的な薬剤としては、免疫抑制剤、たとえばシクロスポリンまたはカルシノイリン阻害剤(たとえば、タクロリムス若しくはピメクロリムス)、コルチコステロイド(たとえば、プレドニゾン及びジプロピオン酸ベタメタゾン)、抗ヒスタミン剤(たとえば、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、及びシプロヘプタジン)、サリチル酸、アントロリン、カルシポトリエン、及びタザロテンが挙げられる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;(b)皮膚疾患の処置または予防に好適な薬剤の一つ以上の単一剤形;及び(c)皮膚疾患の処置または予防に好適な薬剤と本発明の化合物を投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)皮膚疾患などの上記症状を処置または予防するためなどの、医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、皮膚疾患を処置または予防するのに好適な薬剤と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、皮膚疾患を処置または予防するのに好適な薬剤を含む第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)皮膚疾患の処置または予防に好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)皮膚疾患などの上記症状を処置または予防するためなどの、本発明の化合物と共に第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
神経学的疾患
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者の神経学的疾患を処置または予防する方法を提供する。特定の態様では、神経学的疾患は、HIV感染に伴う神経変性及び痴呆、鬱、アルツハイマー病、パーキンソン病、嗜癖、アルコールに関連する疾患、決定解析(decision analysis)、神経変性疾患、痴呆、神経疾患、神経筋障害、精神系疾患、脳損傷、精神的外傷、神経細胞の炎症(neuronal inflammation)、または多発性硬化症から選択することができる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらに、そのような組み合わせは、本明細書に開示の症状などの神経学的疾患の処置または予防に好適な他の薬剤などの、他の治療薬と共同して投与することができる。神経学的疾患の処置に好適な典型的な薬剤としては、甲状腺ホルモン補充、コリンエステラーゼ阻害剤(たとえば、ドネペジル及びタクリン)、抗精神病薬(たとえば、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、アリピプラゾール、トリフルロペラジン、フルペンチキソール、ロキサピン、ペルフェナジン、クロルプロマジン、ハロペリドール、フルフェナジンデカノエート、及びチオリダジン)、抗不安薬、たとえばベンゾジアゼピン(たとえば、ロラゼパム、クロナゼパム、アルプラゾラム、及びジアゼパム)及び非-ベンゾジアゼピン(たとえば、ブスピロン)、アルツハイマー病の処置用の薬剤、たとえばアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(たとえば、ドネペジル、リバスチグミン、及びグランタミン)またはNMDA受容体アンタゴニスト(たとえば、メマンチン)、抗鬱薬、たとえば選択的セロトニン再取り込み阻害薬(たとえば、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラム、シタロプラム、及びセルタラリン)、セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(たとえば、ベンラフキシン及びデュロキセチン)、ノルアドレナリン作動性及び特異的ノルアドレナリン作動性抗鬱剤(たとえば、ミラタザピン)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(たとえば、レボキセチン)、ノルエピネフリン及びドーパミン再取り込み阻害剤(たとえば、ブプロピオン)、三環系抗鬱薬(たとえば、アミトリプチリン及びデシプラミン)、及びモノアミンオキシダーゼ阻害剤(たとえば、フェネルジン、モクロベミド、及びセレジリン)、多発性硬化症の処置用の薬剤、たとえばインターフェロン(たとえば、インターフェロンベータ-1a及びインターフェロンベータ-1b)、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、及びコルチコステロイド(たとえば、メチルプレドニソロンまたは、上記のコルチステロイドのいずれか)、並びにパーキンソン病の処置用薬剤、たとえばレボドパ、カルビドパ、ベンセラジド、トルカポン、エンタカポン;ドーパミンアゴニスト、たとえばブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、カベルゴリン、アポモルフィン、及びリスリド;MAO-B阻害剤、たとえばセレジリン及びラサジリン、またはその組み合わせが挙げられる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;(b)神経学的疾患の処置または予防に好適な薬剤の一つ以上の単一剤形;及び(c)神経学的疾患の処置または予防に好適な薬剤と本発明の化合物とを投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)上記の症状、たとえば神経学的疾患を処置するためなどの医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、神経学的疾患の処置または予防に好適な薬剤と共同して本発明の化合物を含む医薬組成物を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、神経学的疾患を処置または予防するのに好適な薬剤を含む第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)神経学的疾患の処置または予防に好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)上記症状、たとえば神経学的疾患を処置または予防するためなどの、本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
ガン
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者のガンを処置または予防する方法を提供する。特定の態様では、ガンは、乳ガン、大腸ガン、白血病、リンパ腫、肺ガン、または前立腺ガンから選択することができる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらにそのような組み合わせは、上記のような化学療法薬または併用治療などの、ガンを処置または予防するのに好適な薬剤などの他の治療薬と共同して投与することができる。
特定の態様では、本発明の化合物は、ガンの処置または予防の非化学的方法と共同して投与することができる。特定の態様では、本発明の化合物は、放射線治療と共同して投与することができる。特定の態様では、本発明の化合物は、手術、熱焼勺(thermoablation)、収束超音波治療(focused ultrasound therapy)、または冷凍療法と共同して投与することができる。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)ガンを処置または予防するためなどの、医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、上記のような化学療法薬と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、上記のような化学療法薬を含む第二の医薬製剤(たとえば一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)化学療法薬を含む第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)ガンを処置または予防するためなどの、本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
感染状態
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者において感染状態を処置または予防する方法を提供する。特定の態様では、感染状態は、細菌感染、寄生虫病、グラム陰性細菌感染症、ネズミチフス菌感染症、経口感染症、真菌感染症、またはウイルス感染から選択することができる。
本発明はさらに、本発明の化合物を投与することを含む、患者における感染症に関連した炎症を処置または予防する方法を提供する。そのような特定の態様では、本発明の化合物は、ヒト上皮細胞(たとえば、殺菌性透過性増加タンパク質)により発現される抗微生物ペプチドの産生を刺激及び増加することができる。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらにそのような組み合わせは、本明細書に開示の症状などの感染性疾患の処置または予防に好適な他の薬剤などの、他の治療薬と共同して投与することができる。感染状態を処置または予防するのに好適な典型的な薬剤としては、アミノグリコシド(たとえば、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、及びパロモマイシン)、アンサマイシン(たとえば、ゲルダナマイシン及びハービマイシン)、カルバセフェム(たとえば、ロラカルベフ)、カルバペネム(たとえば、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム、及びメロペネム)、セファロスポリン(たとえば、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファレキシン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフジニル、及びセフェピム)、グリコペプチド(たとえば、バンコマイシン)、マクロライド(たとえば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、及びスペクチノマイシン)、モノバクタム(たとえば、アズトレオナム)、ペニシリン(たとえば、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ナフシリン、ペニシリン、ピペラシリン、及びチカルシリン)、ポリペプチド(たとえば、バシトラシン、コリスチン、及びポリミキシンB)、キノロン(たとえば、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、及びトロバフロキサシン)、スルホンアミド(たとえば、メフェニド、プロントシル、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニリミド、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、及びトリメトプリム)、テトラサイクリン(たとえば、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、及びテトラサイクリン)、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコアマイシン、エタンブトール、ホスフォマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メタロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジナミド、キヌプリシン、ダルフォプリスチン、リファムピン、及びチニダゾールが挙げられる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;(b)感染状態の処置または予防に好適な薬剤の一つ以上の単一剤形;及び(c)感染状態の処置または予防に好適な薬剤と本発明の化合物を投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)上記症状、たとえば感染状態を処置または予防するなどの、医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、感染状態の処置または予防に好適な薬剤と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、感染状態を処置または予防するために好適な薬剤を含む第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)感染状態を処置または予防するのに好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)上記症状、たとえば感染状態を処置または予防するためなどの、本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
アポトーシス疾患
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者のアポトーシスを抑制(inhibit)する方法を提供する。本発明はさらに、本発明の化合物を投与することを含む、患者のアポトーシスから発症する症状を処置または予防する方法を提供する。特定の態様では、アポトーシスから発症する症状は、冠状動脈梗塞損傷、慢性炎症における組織壊死、平滑筋増殖異常(たとえば、血管形成術後の再狭窄)、動脈平滑筋の収縮に関連する炎症(たとえば、冠動脈れん縮、虚血誘発性心筋障害、脳攣縮、または脳虚血及び関連疾患、たとえば脳卒中)、血栓形成に伴う症状(たとえば、冠状動脈血栓症、静脈炎、または静脈血栓症)、及び神経変性病から選択することができる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;(b)アポトーシスから発症する症状を処置または予防するのに好適な薬剤の一つ以上の単一剤形;及び(c)アポトーシスを抑制する、またはアポトーシスから発症する症状を処置若しくは予防するのに好適な薬剤と本発明の化合物を投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)アポトーシスを抑制、またはアポトーシスから発症する症状を処置若しくは予防するためなどの、医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、アポトーシスを抑制する、またはアポトーシスから発症する症状を処置若しくは予防するのに好適な薬剤と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、アポトーシスを抑制する、またはアポトーシスから発症する症状を処置若しくは予防するのに好適な薬剤を含む第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)アポトーシスを抑制、またはアポトーシスから発症する症状を処置若しくは予防するのに好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)アポトーシスを抑制、またはアポトーシスから発症する症状を処置若しくは予防するためなどの、本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
血管新生
本発明は、本発明の化合物を投与することを含む、患者の血管新生を抑制する方法を提供する。特定の態様では、本発明の化合物は、充実性腫瘍転移に必要な血管新生を制限する。血管新生及び新血管新生(neovasculartization)は充実性腫瘍成長の必須段階なので、血管新生の抑制は、さらなる成長の予防、遅延、さらには充実性腫瘍の退行に非常に有用である。本発明の化合物で処置しえる典型的な新形成としては、胃腸腫瘍及び膠腫が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の態様では、(たとえば本発明の化合物を投与することによって)血管新生を抑制することにより処置または予防できる追加の疾患及び疾病としては、糖尿病に伴う網膜症、リウマチ性関節炎、変形性関節炎、黄斑変性、緑内障、ケロイド形成、潰瘍性大腸炎、クローン病及び乾癬が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の態様では、本発明の様々な化合物は、本発明の一つ以上の他の化合物と共同して投与することができる。さらにそのような組み合わせは、siRNA、アプタマー、アンギオスタチン、エンドスタチン、及びベバシズマブなどを含むが、これらに限定されない血管形成阻害剤などの、血管形成を抑制または、血管形成により発症する症状の処置若しくは予防に好適な他の薬剤などの、他の薬剤と共同して投与することができる。
特定の態様では、本発明は、(a)本発明の化合物の一つ以上の単一剤形;(b)血管形成の抑制、または血管形成から発症する症状の処置若しくは予防に好適な薬剤の一つ以上の単一剤形;及び(c)血管形成を抑制、または血管形成から発症する症状の処置若しくは予防に好適な薬剤を投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)血管形成を抑制、または血管形成から発症する症状の処置若しくは予防のためなどの、医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、血管形成を抑制、または血管形成から発症する症状の処置若しくは予防に好適な薬剤と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、血管形成を抑制、または血管形成から発症する症状を処置若しくは予防するのに好適な薬剤を含む、第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形として)を含む。
本発明は、
(a)血管形成を抑制、または血管形成から発症する症状を処置若しくは予防するのに好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)血管形成を抑制、または血管形成から発症する症状を処置若しくは予防するためなどの、本発明の化合物と共に前記第一の医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
単独で、または最適投薬計画(therapeutic regimen)の一部として投与する場合、特定の態様では、本発明は、特定の原発性疾患、損傷、障害、または症状を処置または予防するために本発明の化合物の投与を企図する。特定の態様では、本発明は、原発性疾患、損傷、障害または症状に続発する(secondary)症候を処置または予防するために本発明の化合物を投与することを企図する。
臓器保存
本発明は、臓器を取り出す前に臓器提供者(organ donor patient)に本発明の化合物を投与することを含む、臓器障害を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進するための方法を提供する。本発明は、幹細胞を取り出す前に幹細胞提供者に本発明の化合物を投与することを含む、幹細胞損傷及び/または死の低減若しくは予防、または幹細胞生存及び/または保存を促進するための方法を提供する。特定の態様では、本発明の化合物は、臓器を取り出す前の24時間未満、たとえば臓器及び/または幹細胞を取り出す前の12時間、8、6、4または2時間未満で、臓器及び/または幹細胞提供者に投与する。特定の態様では、本発明の化合物は、臓器及び/または幹細胞を取り出す直前(たとえば、臓器及び/または幹細胞を取り出す前の1時間未満、たとえば臓器及び/または幹細胞を取り出す前の30、15、または10分未満)に臓器及び/または幹細胞提供者に投与することができる。特定の態様では、臓器及び/または幹細胞提供者はヒトである。
特定の態様では、臓器及び/または幹細胞提供者は、脳死により特徴付けられる。特定の態様では、「脳死」とは、脳幹機能を含む脳機能の完全停止として定義され、たとえば、脳に全く酸素も血流もないこと、または脳がいかなる方法によっても機能せず、再び機能することはないこととして定義される。
特定の態様では、臓器及び/または幹細胞提供者は、たとえば薬理学的介入が好適であるまたは、好適であったかもしれない、慢性、遺伝性または感染性の肉体的病(physical ailment)をもつものとしては診断されない。特定の態様では、臓器及び/または幹細胞提供者は、糖尿病、ガン、高血圧、腎臓疾患または心血管疾患、たとえばアテローム性動脈硬化症とも心臓疾患とも現在も及び/または以前も診断されない。
特定の態様では、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行させる、または臓器保存及び/または生存を促進する方法は、臓器を取り出す前に臓器提供者に本発明の化合物を投与することを含み、臓器提供者から臓器を取り出す段階をさらに含む。そのような特定の態様では、臓器は腎臓、肝臓若しくは肝葉または肺若しくは肺の一部、膵臓の一部、腸の一部、心臓、角膜または組織(たとえば、皮膚、血液、骨髄、骨幹細胞、または臍帯血)の一つ以上から選択される。
特定の態様では、幹細胞損傷及び/または死を低減若しくは予防させる、または幹細胞生存及び/または保存を促進する方法は、幹細胞を取り出す前に幹細胞提供者に本発明の化合物を投与することを含み、幹細胞提供者から幹細胞を取り出す段階をさらに含む。
特定の態様では、臓器及び/または幹細胞提供者は、任意の好適な臓器及び/または幹細胞提供者である。特定の態様では、臓器及び/または幹細胞提供者は、非ヒト動物である。たとえば、臓器及び/または幹細胞提供者は、ブタまたは霊長類、たとえば遺伝的に改変した動物であってもよい。そのような特定の態様では、臓器及び/または幹細胞提供者は、動物の臓器及び/または細胞の表面上のタンパク質が、ヒト免疫系と適合性であるように認識されるように遺伝的に改変された動物である。たとえば、臓器及び/または幹細胞提供者は、動物の臓器及び/または細胞上のタンパク質がヒト免疫系によりヒトとして認識されるので、臓器及び/または細胞は移植されたときに攻撃を受けないように遺伝的に改変された動物であってもよい。特定の態様では、臓器提供者はブタである。
本発明は、臓器移植前に臓器移植者(organ recipient)に本発明の化合物を投与することを含む、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進するための方法を提供する。
特定の態様では、臓器移植前に臓器移植者に本発明の化合物を投与することを含む、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進するための方法は、さらに臓器移植者から一つ以上の臓器を取り出す段階を含む。そのような特定の態様では、本発明の化合物は、臓器除去プロセスの間の任意の時点で臓器移植者に投与する。そのような特定の態様では、臓器移植者から一つ以上の臓器を取り出す段階は、臓器移植者に本発明の化合物を投与する前に発生する。特定の態様では、臓器移植者から一つ以上の臓器を取り出す段階は、臓器移植者に本発明の化合物を投与するのと同時に発生する。特定の態様では、臓器移植者から一つ以上の臓器を取り出す段階は、臓器移植者に本発明の化合物を投与するのに続いて発生する。
特定の態様では、臓器移植前に臓器移植者に本発明の化合物を投与することを含む臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進する方法は、さらに臓器移植者に一つ以上の臓器を移植する段階を含む。
本発明はさらに、幹細胞移植前に幹細胞移植者に本発明の化合物を投与することを含む、幹細胞損傷及び/または死を低減または予防及び/または幹細胞保存及び/または生存を促進するための方法を提供する。
特定の態様では、幹細胞移植前に幹細胞移植者に本発明の化合物を投与することを含む、幹細胞損傷及び/または死を低減または予防及び/または幹細胞保存及び/または生存を促進するための方法はさらに、幹細胞移植者に幹細胞を移植する段階を含む。
本発明はさらに、本発明の化合物と臓器とを接触させることを含む、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進させるための方法を提供する。
特定の態様では、臓器は、本発明の化合物で生体外(ex vivo)で接触させる。特定の態様では、臓器は、臓器の血液供給を直接経る以外の方法で本発明の化合物と接触する(たとえば、臓器は、その循環系の外で本発明の化合物と接触する)。特定の態様では、臓器は、臓器が被験者の体内にまだある間、被験者の体内から臓器を取り出す間、臓器を被験者の体から取り出した後、臓器が移植者に移植される間、臓器が移植者に移植された後、またはその任意の組み合わせの際に本発明の化合物と接触する。
本発明はさらに、幹細胞と本発明の化合物とを接触させることを含む、幹細胞損傷及び/または死を低減または予防、または幹細胞保存及び/または生存を促進するための方法を提供する。
特定の態様では、幹細胞は、生体外で本発明の化合物と接触する(たとえば、体外培養及び/または操作の期間中、たとえば細胞増殖及び/または分化のための体外培養及び/または操作の間、幹細胞の低温保存のプロセスの間、低温保存化幹細胞の解凍プロセスの間、またはこの任意の組み合わせ)。そのような特定の態様では、本発明の化合物は、好適な培地の成分(たとえば、幹細胞の体外培養及び/または操作、低温保存、または低温保存化幹細胞の解凍に好適な任意の培地)として存在する。
特定の態様では、幹細胞は、幹細胞が患者の体内にいまだに存在する間、幹細胞を患者の体から取り出す間、幹細胞を患者の体から取り出した後、体外培養及び/または操作プロセスの間(たとえば、増殖及び/または分化)、幹細胞の低温保存プロセスの間、低温保存化幹細胞の解凍プロセスの間、幹細胞を移植者に移植する間、幹細胞を移植者に移植した直後、またはこれらの任意の組み合わせで本発明の化合物と接触する。
本発明はさらに、臓器を保存溶液と接触させることを含む、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進させるための方法であって、前記保存溶液は本発明の化合物を含む、前記方法を提供する。
特定の態様では、保存溶液は、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進させるのに十分な量で本発明の化合物を含む。特定の態様では、保存溶液は、1nM〜1M、たとえば1μM〜1mMの濃度で本発明の化合物を含む。特定の態様では、臓器保存溶液はさらに、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ホスフェート、サルフェート、ブドウ糖、クエン酸塩、マンニトール、ヒスチジン、トリプトファン、アルファ-ケトグルタル酸、ラクトビオネート、ラフィノース、アデノシン、アロプリノール、グルタチオン、グルタメート、インスリン、デキサメタゾン、ヒドロキシエチルスターチ、バクトリム、トレハロース、グルコネート、またはその組み合わせを含む。特定の態様では、臓器保存溶液は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、またはその組み合わせを含む。特定の態様では、臓器保存溶液は、細胞、凝固因子、DNAなどの核酸、及び/または血漿タンパク質を含まないか、または実質的に含まない。特定の態様では、臓器保存溶液は無菌(sterile)である。特定の態様では、臓器保存溶液は水溶液を含む。特定の態様では、臓器保存溶液は、パーフルオロカーボン、たとえばパーフルオロハイドロカーボンまたはパーフルオロアルキルアミンを含む。典型的なパーフルオロカーボンは、本明細書中、化合物が参照として含まれる、Transplantation、74(12)巻、1804-1809頁、2002年12月27日及びAm.Assoc.of Nurse Anesthetists Journal、74(3)巻:205〜211頁、2007年6月に記載されている。
本発明の方法が、臓器と保存溶液とを接触させることを含み、前記保存溶液は本発明の化合物を含む、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進させる方法である特定の態様では、保存溶液は当業界で公知の任意の好適な保存溶液であってもよい。そのような保存溶液の例としては、ユニバーシティ・オブ・ウイスコンシン(University of Wisconsin)溶液、クレブス・ヘンセレイト(Krebs-Henseleit)溶液、セルシオ(Celsior)溶液、セントトーマス・ホスピタル(St.Thomas Hospital)2溶液、リンガー-乳酸塩溶液、コリンズ溶液、ユーロ・コリンズ(Euro-Collins)溶液、スタンフォード(Stanford)溶液、ロス・マーシャル(Ross-Marshall)クエン酸溶液、リン酸緩衝の蔗糖溶液、キョウト(Kyoto)ET溶液、またはブレツェンダー(Bretschneider)ヒスチジン・トリプトファン・ケトグルタレート(HTK)溶液が挙げられるが、これらに限定されない。
臓器は、移植プロセスの間の任意の点で本発明の化合物を含む保存溶液と接触(または投与)することができる。たとえば本発明の化合物を含む保存溶液は、臓器が被験者の体内にいまだにある間、被験者の体から臓器を取り出す間、被験者の体から臓器を取り出した後、移植者に臓器を移植する間、移植者に臓器を移植した直後、またはその任意の組み合わせで、臓器を洗い流す(flush)、臓器を連続的にかん流させる、または臓器の血管内を断続的にかん流させることによって投与することができる。特定の態様では、本発明の化合物を含む臓器保存溶液は、臓器提供者または臓器移植者の体内でありえる心血管系により臓器が血液かん流される間、臓器の血液供給に直接投与される。
特定の態様では、臓器は、腎臓、肝臓若しくは肝臓の葉、心臓、肺若しくは肺の部分、皮膚、腸若しくは腸の部分、角膜、膵臓若しくは膵臓の部分、組織(たとえば、血液、骨髄、血液幹細胞、または臍帯血)、またはその任意の組み合わせなどの、移植に好適な任意の臓器であってもよい。
本発明の特定の態様では、幹細胞は成人幹細胞または胚性幹細胞から選択される。典型的な幹細胞としては、全能性幹細胞、多能性幹細胞(pluripotent stem cell)、多能性幹細胞(multipotent stem cell)、単能性幹細胞、造血幹細胞、脂肪由来幹細胞、内皮幹細胞(endothelial stem cell)、筋肉幹細胞、骨髄間質細胞(たとえば、間葉系幹細胞)、神経幹細胞、皮膚幹細胞、及び濾胞性幹細胞が挙げられるが、これらに限定されない。胚性幹細胞としては、体細胞核移植を使用して製造した胚性幹細胞、並びに受精によって産生した内細胞塊由来の胚性幹細胞が挙げられる。好適な幹細胞としては、誘導多能性幹細胞が一つ以上の再プログラミング因子を発現するために組み込みベクターまたは非-組み込みベクターを使用して産生されたのか、及び/または誘導多能性幹細胞が、一つ以上の再プログラミング因子を過剰発現する作用を模倣する小さな分子を使用して産生されたのかにかかわらず、多能性幹細胞(pluripotent stem cell)も含む。
特定の態様では、本発明の化合物は、臓器を再かん流傷害から保護することによって、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存を促進する。
特定の態様では、本発明の化合物は、アポトーシスを減少させることまたはアポトーシスから保護することによって、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、幹細胞損傷及び/または死を低減若しくは予防、臓器保存を促進、または幹細胞保存及び/または生存を促進する。
本発明は、臓器移植者の生存を促進する方法であって、
臓器を取り出す前に、臓器提供者に本発明の化合物を投与する;
臓器移植前に臓器移植者に本発明の化合物を投与する;
体外で臓器と本発明の化合物とを接触させる;
体外で臓器と保存溶液とを接触させる、ここで前記保存溶液は本発明の化合物を含む;
またはその任意の組み合わせを含む、前記方法を提供する。
本発明は、幹細胞移植者の生存を促進する方法であって、
幹細胞を取り出す前に、幹細胞提供者に本発明の化合物を投与する;
幹細胞移植前に幹細胞移植者に本発明の化合物を投与する;
体外で(たとえば好適な培地中)幹細胞と本発明の化合物とを接触させる;
またはその任意の組み合わせを含む、前記方法を提供する。
本発明は、臓器移植手順を容易にする及び/または臓器移植手順の成功を高める方法であって、
臓器を取り出す前に、臓器提供者に本発明の化合物を投与する;
臓器移植前に臓器移植者に本発明の化合物を投与する;
体外で臓器と本発明の化合物とを接触させる;
体外で臓器と保存溶液とを接触させる、ここで前記保存溶液は本発明の化合物を含む;
またはその任意の組み合わせを含む、前記方法を提供する。
本発明は、幹細胞移植手順を容易にする及び/または幹細胞移植手順の成功を高める方法であって、
幹細胞を取り出す前に、幹細胞提供者に本発明の化合物を投与する;
幹細胞移植前に幹細胞移植者に本発明の化合物を投与する;
体外で(たとえば好適な培地中、たとえば幹細胞の低温保存及び/または低温保存化幹細胞の解凍プロセスの間、または体外培養及び/または操作の間)幹細胞と本発明の化合物とを接触させる;
またはその任意の組み合わせを含む、前記方法を提供する。
臓器及び/または幹細胞移植手順の成功は、たとえば移植手順に伴う副作用及び/または症状の低減により、臓器及び/または幹細胞移植手順後の入院期間の短縮により、臓器及び/または幹細胞移植と通常の身体の機能回復の間の時間の短縮(たとえば、透析、人工呼吸の使用の必要性、心肺バイパス法機械または他の人工器官、たとえば人工心臓などの使用の中断)により、または臓器及び/または幹細胞移植後の平均余命の延長により、評価することができる。特定の態様では、臓器移植手順の成功は、たとえば(たとえば、続く移植及び/または他の(単数または複数種類の)治療的介入により評価されうるように)未処置臓器と比較して、移植後の臓器の生存性及びまたは機能寿命(functional longevity)の延長として評価することができる。上記のどれかがあれば、臓器及び/または幹細胞移植手順の成功において増大として考えることができる。
本発明は、生体外で臓器生存性(organ viability)を延長する方法であって、
臓器を取り出す前に、臓器提供者に本発明の化合物を投与する;
体外で臓器と本発明の化合物とを接触させる;
体外で臓器と保存溶液とを接触させる、ここで前記保存溶液は本発明の化合物を含む;
またはその任意の組み合わせを含む、前記方法を提供する。
本発明は、体外で幹細胞生存性を延長する方法であって、
幹細胞を取り出す前に、幹細胞提供者に本発明の化合物を投与する;
体外で(たとえば好適な培地中、たとえば幹細胞の低温保存及び/または低温保存化幹細胞の解凍プロセスの間、または体外培養及び/または操作の間、たとえば幹細胞増殖及び/または分化の間)幹細胞と本発明の化合物とを接触させる;
またはその任意の組み合わせを含む、前記方法を提供する。
本発明は、幹細胞低温保存及び/または低温保存化幹細胞の解凍の成功を促進する方法であって、
幹細胞を取り出す前に、幹細胞提供者に本発明の化合物を投与する;及び
体外で(たとえば好適な培地中、たとえば幹細胞の低温保存及び/または低温保存化幹細胞の解凍プロセスの間)幹細胞と本発明の化合物とを接触させる;
の一つ以上の段階を含む、前記方法を提供する。
全体として患者の身体は、多くの特定の臓器よりもずっと低レベルの化学療法、生物学的療法及び放射線治療に通常耐えるだけである。従って、長期にわたって確実な生体外臓器生存性により、生体外治療に対する機会を提供するなど、臓器移植という状況以外にも利益をもたらすだろう。従って、本方法により臓器を身体から取り出し、分離して処置することができ、身体の他の部分への損傷の危険性を軽減できるだろう。
本発明は、本発明の化合物を注入した臓器を提供する。特定の態様では、臓器は生体外である。たとえば、本発明は、本発明の化合物を注入した生体外臓器を提供する。特定の態様では、臓器は、1nMを超える濃度の本発明の化合物、たとえば1nM〜1M、1mM〜1M、または10mM〜1Mの濃度を含む。特定の態様では、臓器の内腔は、1nMを超える濃度の本発明の化合物、たとえば1nM〜1M、1mM〜1M、または10mM〜1Mなどの濃度の流体を含む。
本発明はさらに、臓器保存溶液と接触、好ましくは部分的に若しくは完全に浸漬させた臓器を提供し、ここで前記臓器保存溶液は、本発明の化合物を含む。特定の態様では、臓器保存溶液はさらに、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ホスフェート、サルフェート、ブドウ糖、クエン酸塩、マンニトール、ヒスチジン、トリプトファン、アルファ-ケトグルタル酸、ラクトビオネート、ラフィノース、アデノシン、アロプリノール、グルタチオン、グルタメート、インスリン、デキサメタゾン、ヒドロキシエチルスターチ、バクトリム、トレハロース、グルコネート、またはその組み合わせを含む。特定の態様では、臓器保存溶液は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、またはその組み合わせを含む。特定の態様では、臓器保存溶液は、細胞、凝固因子、DNA、または血漿タンパク質を含まないか、実質的に含まない。特定の態様では、臓器保存溶液は無菌である。特定の態様では、臓器保存溶液は、1nMを超える濃度、たとえば10nM、100nM、1mM、10mMまたは100mMを超える濃度の本発明の化合物を含む。特定の態様では、臓器保存溶液は、水溶液を含む。特定の態様では、臓器保存溶液は、パーフルオロカーボンを含む。
本発明は、本発明の化合物を含む臓器保存溶液を提供する。特定の態様では、臓器保存溶液はさらに、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ホスフェート、サルフェート、ブドウ糖、クエン酸塩、マンニトール、ヒスチジン、トリプトファン、アルファ-ケトグルタル酸、ラクトビオネート、ラフィノース、アデノシン、アロプリノール、グルタチオン、グルタメート、インスリン、デキサメタゾン、ヒドロキシエチルスターチ、バクトリム、トレハロース、グルコネート、またはその組み合わせを含む。特定の態様では、臓器保存溶液は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、またはその組み合わせを含む。特定の態様では、臓器保存溶液は、実質的に細胞、凝固因子、DNA、及び/または血漿タンパク質を含まないか、実質的に含まない。特定の態様では、臓器保存溶液は無菌である。特定の態様では、臓器保存溶液は、1nMを超える濃度、たとえば10nM、100nM、1mM、10mMまたは100mMを超える濃度の本発明の化合物を含む。特定の態様では、臓器保存溶液は水溶液を含む。特定の態様では、臓器保存溶液は、パーフルオロカーボンを含む。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進させるために、臓器を取り出す前に臓器提供者に医薬製剤を投与するための使用説明書、及び/または幹細胞損傷及び/または死を低減若しくは予防、または幹細胞保存及び/または生存を促進するために、幹細胞を取り出す前に幹細胞提供者に医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進させるために、臓器移植前に臓器提供者に医薬製剤を投与するための使用説明書、及び/または幹細胞損傷及び/または死を低減若しくは予防、または幹細胞保存及び/または生存を促進するために、幹細胞移植前に幹細胞提供者に医薬製剤を投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
本発明は、
(a)本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進させるための、臓器と医薬製剤とを接触させるための使用説明書、及び/または幹細胞損傷及び/または死を低減若しくは予防、または幹細胞保存及び/または生存を促進するための、幹細胞と医薬製剤とを接触させるための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本キットはさらに、上記のような第二の治療薬と共同して本発明の化合物を含む医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形)を投与するための使用説明書を含む。特定の態様では、本キットはさらに、上記のような第二の治療薬を含む第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形)を含む。特定の態様では、本キットはさらに、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進するのに好適な第二の薬剤を含む第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形)を含む。特定の態様では、本キットはさらに、幹細胞損傷及び/または死を低減若しくは予防、または幹細胞保存及び/または生存を促進するのに好適な第二の薬剤を含む第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形)を含む。
本発明は、
(a)免疫機能を調節、免疫反応を抑制、自己免疫疾患若しくは自己免疫障害を処置、または上記のような免疫系の活性化により媒介される疾患、続発症若しくは病状を処置するのに好適な治療薬、あるいは臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進するのに好適な薬剤、あるいは幹細胞損傷及び/または死を低減若しくは予防、または幹細胞保存及び/または生存を促進するのに好適な薬剤を含む第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形);及び
(b)前記第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形)と、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進するための本発明の化合物を含む第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形)とを投与するための使用説明書、及び/または前記第一の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形)と、幹細胞損傷及び/または死を低減若しくは予防、または幹細胞保存及び/または生存を促進するための本発明の化合物を含む第二の医薬製剤(たとえば、一つ以上の単一剤形)とを投与するための使用説明書
を含むキットを提供する。
特定の態様では、本発明は、本発明の化合物の製剤、または本明細書に記載のキットを製造する、及び臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進する、あるいは幹細胞損傷及び/または死を低減若しくは予防、または幹細胞保存及び/または生存を促進するためのキットまたは製剤を使用する恩恵をヘルスケア提供者にマーケティングすることにより、医薬事業を実施する方法に関する。
特定の態様では、本発明は、本発明の化合物の製剤または本明細書に記載のキットを販売するための流通機構を提供する、及び臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進するため、あるいは幹細胞損傷及び/または死を低減若しくは予防、または幹細胞保存及び/または生存を促進するために医薬品を使用するための患者または医師に使用指導書(instruction material)を提供することにより、医薬事業を実施する方法に関する。
特定の態様では、本発明は、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進するため、あるいは幹細胞損傷を低減若しくは予防、または幹細胞保存及び/または生存を促進するための本発明の化合物の用量及び好適な製剤を決定する、動物において効能及び毒性に関して同定された製剤の治療的プロフィール分析を実施する、及び許容可能な治療プロフィールをもつものとして同定した製剤を販売するための流通機構を提供することにより、医薬事業を実施する方法を含む。特定の態様では、本方法はさらに、ヘルスケア提供者に製剤をマーケティングするための販売グループを提供することを含む。
特定の態様では、本発明は、臓器損傷を低減、予防若しくは逆行、または臓器保存及び/または生存を促進するため、あるいは幹細胞損傷及び/または死の低減若しくは予防、または幹細胞保存及び/または生存を促進するために本発明の化合物の用量及び好適な製剤を決定する、及び製剤の更なる開発及び販売のための権利を第三者にライセンス供与することにより、医薬事業を実施する方法に関する。
定義
「血管形成(angiogenesis)」は、組織かん流のためになる新規脈管構造の形成または既存の血管床の全ての増進として定義される。これには、既存の血管から内皮細胞を生じることにより新しい血管が形成すること、または組織の血液かん流を促進するためにサイズ、成熟(maturity)、方向または流動特性を変更させるために既存の血管を改造する(remodel)ことが挙げられる。
本明細書中で使用するように、「コルチコステロイド」なる用語は、本明細書に記載されるような炎症性疾患の処置に使用される、副腎皮質から単離されたか、または合成的に製造された副腎皮質コルチコステロイドホルモン及びその誘導体のいずれかをさす。コルチコステロイドとしては、天然、合成または半合成であるものが挙げられ、そのような化合物は、コレステロール、ジヒドロキシコレステロール、スチグマステロール及びラノステロール構造に知見されるような、四つの融合環のステロイド核の存在によって特徴付けられる。
本明細書中で使用する「LASIK」なる用語は、レーザー原位置角膜切開反転術(LAser in SItu Keratomileusis)の頭字語である。これは、その屈折力(optical power)を変えるために角膜を再形成する屈折矯正手術の一つである。具体的には、角膜のディスクをフラップとして持ち上げ、次いでエキシマレーザーを使用して角膜組織の中間層を再形成して、外科的に平坦化する。LASIK手術は、近視、遠視、及び乱視を矯正するために使用することができる。
本明細書中で使用するように、「免疫抑制剤」は、抗原/アレルゲンの存在に対して身体が免疫学的反応を引き起こす能力を抑制する薬剤をさす。たとえば、病気を撃退したり、移植臓器を拒絶したりする能力である。これらの薬剤の別の用語は、拒絶反応抑制剤である。移植後の臓器拒絶反応だけでなく、クローン病、リウマチ性関節炎、狼瘡、多発性硬化症、乾癬、並びに本明細書に記載の他の疾患及び疾病などの免疫学的病因の多くの他の疾患も処置するのに使用される。
本明細書中で使用する「移植片(graft)」なる用語は、身体の部分、臓器、組織または細胞をさす。移植片は、肝臓、腎臓、心臓または肺などの一つ以上の臓器の全て若しくは一部;身体の部分、たとえば骨若しくは骨格マトリックス;皮膚、腸、内分泌線などの組織;または種々のタイプの前駆幹細胞(progenitor stem cell)を含むことができる。
「アシル」なる用語は、当業界で承認されており(art-recognized)、一般式:ヒドロカルビルC(O)-、好ましくはアルキルC(O)-により表される基をさす。
「アシルアミノ」なる用語は当業界で承認されており、アシル基で置換されたアミノ基をさし、たとえば、式:ヒドロカルビルC(O)NH-により表すことができる。
「アシルオキシ」なる用語は当業界で承認されており、一般式:ヒドロカルビルC(O)O-、好ましくはアルキルC(O)O-により表される基をさす。
「アルコキシ」なる用語は、それに結合した酸素をもつアルキル基、好ましくは低級アルキル基をさす。代表的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert-ブトキシなどが挙げられる。
「アルコキシアルキル」なる用語は、アルコキシ基で置換されたアルキル基をさし、一般式:アルキル-O-アルキルにより表すことができる。
本明細書中で使用する「アルケニル」なる用語は、少なくとも一つの二重結合を含む脂肪族基をさし、「非置換アルケニル」及び「置換アルケニル」の両方を包含するものとし、後者はアルケニル基の一つ以上の炭素原子の上で水素を置換する置換基をもつアルケニル部分をさす。そのような置換基は、一つ以上の二重結合に含まれているか、または含まれていない一つ以上の炭素上であってもよい。さらにそのような置換基としては、安定性がひどく高い場合を除いて、以下に記載のようなアルキル基に関して企図されるもの全てが挙げられる。たとえば、一つ以上のアルキル、カルボサイクリル、アリール、ヘテロサイクリル、またはヘテロアリール基によるアルケニル基の置換が企図される。
「アルキル」なる用語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル-置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル-置換アルキル基を含む飽和脂肪族基の基をさす。好ましい態様では、直鎖または分岐鎖アルキルは、主鎖に30個以下の炭素原子(たとえば、直鎖に関してはC1-C30、分岐鎖に関してはC3-C30)をもち、より好ましくは20個以下の炭素原子をもつ。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造に3〜10個の炭素原子をもち、より好ましくは環構造に5、6または7個の炭素原子をもつ。
さらに、本明細書、実施例及び請求の範囲で使用するように「アルキル(または「低級アルキル」)」なる用語は、「非置換アルキル」及び「置換アルキル」の両方を包含するものとし、後者は炭化水素主鎖の一つ以上の炭素上で水素を置換している置換基をもつアルキル部分をさす。他に記載しないかぎり、そのような置換基としては、たとえばハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(たとえば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル若しくはアシル)、チオカルボニル(たとえば、チオエステル、チオアセテート、若しくはチオホルメート)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロサイクリル、アラルキル、または芳香族若しくは芳香族複素環部分を挙げることができる。当業者には、好適な場合には炭化水素鎖上で置換された部分は、それ自身置換されることができることを理解するだろう。たとえば、置換アルキルの置換基としては、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネート及びホスフィネートを含む)、スルホニル(サルフェート、スルホンアミド、スルファモイル及びスルホネートを含む)、及びシリル基、並びにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート及びエステルを含む)、-CF3、-CNなどの置換及び非置換形を挙げることができる。代表的な置換アルキルは以下の記載の通りである。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル-置換アルキル、-CF3、-CN、などでさらに置換されることができる。
化学的部分、たとえばアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシと組み合わせて使用される場合、「Cx-y」なる用語は、鎖中にxからy個の炭素を含む基を包含するものとする。たとえば「Cx-yアルキル」なる用語は、置換若しくは非置換の、飽和炭化水素基、たとえばハロアルキル基、たとえばトリフルオロメチル及び2,2,2-トリフルオロエチルなどの主鎖にxからy個の炭素を含む、直鎖アルキル及び分岐鎖アルキル基をさす。C0アルキルとは、基が末端にある場合には水素を、内部にある場合には結合である。「C2-yアルケニル」及び「C2-yアルキニル」なる用語は、上記のアルキルと長さ及び考えられる置換であるが、それぞれ少なくとも一つの二重結合または三重結合を含む、置換若しくは非置換の不飽和脂肪族基類似体をさす。
本明細書中で使用される「アルキルアミノ」なる用語は、少なくとも一つのアルキル基で置換されたアミノ基をさす。
本明細書中で使用される「アルキルチオ」なる用語は、アルキル基で置換されたチオール基をさし、一般式:アルキルS-で表すことができる。
本明細書中で使用される「アルキニル」なる用語は、少なくとも一つの三重結合を含む脂肪族基をさし、「非置換アルキニル」及び「置換アルキニル」の両方を含むものとし、後者は、アルキニル基の一つ以上の炭素上の水素を置換している置換基をもつアルキニル部分をさす。そのような置換基は、一つ以上の三重結合に含まれるか、または含まれていない一つ以上の炭素上でおきうる。さらに、そのような置換基としては、安定性が非常に高い場合を除いて、上記のアルキル基に関して企図される全てのものが挙げられる。たとえば、一つ以上のアルキル、カルボサイクリル、アリール、ヘテロサイクリル、またはヘテロアリール基によるアルキニル基の置換基が企図される。
本明細書中で使用される「アミド」なる用語は、基:
をさし、ここでそれぞれのR
10は独立して、水素若しくはヒドロカルビル基を表し、または二つのR
10はこれらが結合しているN原子と一緒になって、環構造に4〜8個の原子をもつ複素環を完成する。
「アミン」及び「アミノ」なる用語は当業界で承認されており、非置換及び置換アミン及びその塩の両方をさし、たとえば式:
により表すことができる部分であり、式中、それぞれのR
10は独立して水素若しくはヒドロカルビル基を表し、または二つのR
10はこれらが結合しているN原子と一緒になって、環構造に4〜8個の原子をもつ複素環を完成する。
本明細書中で使用される「アミノアルキル」なる用語は、アミノ基で置換されたアルキル基をさす。
本明細書中で使用される「アラルキル」なる用語は、アリール基で置換されたアルキル基をさす。
本明細書中で使用される「アリール」なる用語としては、環のそれぞれの原子が炭素である置換若しくは非置換の単環の芳香族基が挙げられる。好ましくは、環は5-〜7-員の環であり、より好ましくは6-員の環である。「アリール」なる用語としては、二つ以上の炭素が二つの隣接している環に対して共通である二つ以上の環式環(cyclic ring)をもつ多環式環系も挙げられ、ここで環の少なくとも一つは芳香族であり、たとえば他方の環式環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール及び/またはヘテロサイクリルでありえる。アリール基としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどが挙げられる。
「カルバメート」なる用語は、当業界で承認されており、基:
をさし、ここでR
9及びR
10は独立して水素若しくはヒドロカルビル基、たとえばアルキル基を表すか、またはR
9及びR
10は(単数または複数種類の)介在原子と一緒になって、環構造に4〜8個の原子をもつ複素環を完成する。
本明細書中で使用される「炭素環(carbocycle)」、「カルボサイクリル」及び「炭素環(carbocyclic)」なる用語は、環のそれぞれの原子が炭素である、非芳香族の飽和または不飽和環をさす。好ましくは、炭素環(carbocycle ring)は、3〜10個の原子、より好ましくは5〜7個の原子を含む。
本明細書中で使用される「カルボサイクリルアルキル(carbocyclylalkyl)」なる用語は、炭素環で置換されたアルキル基をさす。
「カーボネート」なる用語は当業界で承認されており、基:-OCO2-R10(式中、R10はヒドロカルビル基を表す)をさす。
本明細書中で使用される「カルボキシ」なる用語は、式:-CO2Hにより表される基をさす。
本明細書中で使用される「エステル」なる用語は、基:-C(O)OR10(式中、R10はヒドロカルビル基を表す)をさす。
本明細書中で使用される「エーテル」なる用語は、酸素を介して別のヒドロカルビル基に結合したヒドロカルビル基をさす。従って、ヒドロカルビル基のエーテル置換基は、ヒドロカルビル-O-であってもよい。エーテルは、対称であっても非対称であってもよい。エーテルの例としては、複素環-O-複素環及びアリール-O-複素環が挙げられるが、これらに限定されない。エーテルとしては、「アルコキシアルキル」基が挙げられ、これは一般式:アルキル-O-アルキルにより表すことができる。
本明細書中で使用される「ハロ」及び「ハロゲン」なる用語は、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びヨードが挙げられる。
本明細書中で使用される「ヘトアラルキル(hetaralkyl)」及び「ヘテロアラルキル」なる用語は、ヘタリール(hetaryl)基で置換されたアルキル基をさす。
本明細書中で使用される「ヘテロアルキル」なる用語は、二つのヘテロ原子が隣接しない、炭素原子と少なくとも一つのヘテロ原子の飽和または不飽和鎖をさす。
「ヘテロアリール」及び「ヘトアリール(hetaryl)」なる用語として、置換若しくは非置換の芳香族単環構造、好ましくは5-〜7-員環、より好ましくは5-〜6-員環が挙げられ、その環構造は、少なくとも一つのヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、より好ましくは1または2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロアリール」及び「ヘトアリール」なる用語は、二つ以上の炭素が二つの隣接する環に共通している二つ以上の環式環をもつ多環式環系も含み、ここで環の少なくとも一つが芳香族複素環であり、たとえば他方の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/またはヘテロサイクリルでありえる。ヘテロアリール基としては、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジンなどが挙げられる。
本明細書中で使用される「ヘテロ原子」なる用語は、炭素や水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄である。
「ヘテロサイクリル」、「複素環(heterocycle)」、及び「複素環式(heterocyclic)」なる用語は、置換若しくは非置換の非芳香族環構造、好ましくは3-〜10-員環、より好ましくは3-〜7-員環をさし、その環構造は、少なくとも一つのヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、より好ましくは1または2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロサイクリル」及び「複素環」はまた、二つ以上の炭素が二つの隣接する環に対して共通している、二つ以上の環式環をもつ多環式環系も含み、ここで前記環の少なくとも一つは複素環であり、たとえば他方はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/またはヘテロサイクリルでありえる。ヘテロサイクリル基としては、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが挙げられる。
本明細書中で使用される「ヘテロサイクリルアルキル」なる用語は、複素環基で置換されたアルキル基をさす。
本明細書中で使用される「ヒドロカルビル(hydrocarbyl)」なる用語は、=O置換基も=S置換基も持たず、通常、少なくとも一つの炭素-水素結合と主な炭素主鎖をもつが、場合によりヘテロ原子を持つことができる、炭素原子を介して結合した基をさす。従って、メチル、エトキシエチル、2-ピリジル、及びトリフルオロメチルなどの基は本発明の目的に関してヒドロカルビルとみなすが、アセチル(結合炭素上に=O置換基をもつ)及びエトキシ(炭素ではなく、酸素を介して結合している)などの基はみなさない。ヒドロカルビル基としては、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される「ヒドロキシアルキル」なる用語は、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基をさす。
アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシなどの化学部分と組み合わせて使用する際、「低級(lower)」なる用語は、置換基に10個以下、好ましくは6個以下の非-水素原子がある基を含むものとする。「低級アルキル」とはたとえば、10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子を含むアルキル基をさす。特定の態様では、これらがヒドロキシアルキル及びアラルキルなどの列挙(この場合、たとえばアルキル置換基中の炭素原子を数える場合、アリール基の中の原子は数えない)において、他の置換基と組み合わせようと、単独で使用しようと、本明細書中で定義したアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ置換基は、それぞれ低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、または低級アルコキシである。
「多環(polycyclyl)」、「多環(polycycle)」、及び「多環式(polycylic)」なる用語は、二つ以上の原子が二つの隣接する環に対して共通している二つ以上の環(たとえば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/またはヘテロサイクリル)をさし、たとえば、前記環は「融合環」である。多環の環はそれぞれ、置換されていても非置換であってもよい。特定の態様では、多環のそれぞれの環は、環に3〜10個の原子、好ましくは5〜7個の原子を含む。
「シリル」なる用語は、ケイ素部分に結合した3つのヒドロカルビル部分をもつケイ素部分である。
「置換された」なる用語は、主鎖の一つ以上の炭素上の水素を置換している基をもつ部分をさす。「置換」または「〜で置換された」とは、そのような置換が置換された原子と置換基との許容価数に従っているということ、及び転位、環化、脱離などによって自然に変形を受けないなど、置換によって安定な化合物となるという暗黙の但し書きを包含するものと理解されよう。本明細書中で使用するように、「置換された」なる用語は、有機化合物の全ての許容される置換基を包含するものと企図される。広い側面において、許容可能な置換基としては、有機化合物の非環式及び環式、分岐及び非分岐の、炭素環及び複素環、芳香族及び非芳香族置換基が挙げられる。許容可能な置換基は、好適な有機化合物に対して一つ以上、及び同一または異なっていてもよい。本発明の目的に関して、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基及び/またはヘテロ原子の価数を満足する、本明細書に記載の有機化合物の任意の許容可能な置換基をもつことができる。置換基としては、本明細書に記載の任意の置換基が挙げられ、たとえばハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(たとえばカルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、若しくはアシル)、チオカルボニル(たとえばチオエステル、チオアセテート、若しくはチオホルメート)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロサイクリル、アラルキル、または芳香族若しくは芳香族複素環部分が挙げられる。当業者には、炭化水素鎖上で置換された部分は、それぞれの場合に応じて、それ自体を置換しえることは理解されよう。「非置換」と特記しない限り、本明細書で化学部分を参照するときは、置換変形(substituted variant)も包含するものと理解される。たとえば、「アリール」基または部分は、置換及び非置換変形の両方を暗黙のうちに包含する。
「サルフェート」なる用語は当業界で承認されており、基:-OSO3H、またはその薬学的に許容可能な塩をさす。
「スルホンアミド」なる用語は当業界で承認されており、一般式:
(式中、R
9及びR
10は独立して、水素若しくはヒドロカルビル、たとえばアルキルを表すか、またはR
9及びR
10は(単数または複数の)介在原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子をもつ複素環を完成する)により表される基をさす。
「スルホキシド」なる用語は当業界で承認されており、基:-S(O)-R10(式中、R10はヒドロカルビルを表す)をさす。
「スルホネート」なる用語は当業界で承認されており、基:SO3H、またはその薬学的に許容可能な塩をさす。
「スルホン」なる用語は当業界で承認されており、基:-S(O)2-R10(式中、R10はヒドロカルビルを表す)をさす。
本明細書中で使用される「チオアルキル」なる用語は、チオール基で置換されたアルキル基をさす。
本明細書中で使用される「チオエステル」なる用語は、基:-C(O)SR10または-SC(O)R10(式中、R10はヒドロカルビルを表す)をさす。
本明細書中で使用される「チオエーテル」なる用語は、酸素が硫黄で置換されているエーテルと等価である。
「尿素」なる用語は当業界で承認されており、一般式:
{式中、R
9及びR
10は独立して水素若しくはヒドロカルビル、たとえばアルキルを表すか、またはR
9はそれぞれの場合、R
10及び(単数または複数種類の)介在する原子と一緒になって、環構造に4〜8個の原子をもつ複素環を完成する}により表すことができる。
「保護基」なる用語は、分子の反応性官能基に結合している場合、官能基の反応性を遮蔽、低減または抑制する原子の群をさす。通常、保護基は、合成の経過の間で所望により選択的に除去することができる。保護基の例は、Greene及びWuts、Protective Groupss in Organic Chemistry、第三版、1999年、John Wiley & Sons、NY及びHarrisonら、Compendium of Synthetic Organic Methods、第1-8巻、1971-1996、John Wiley & Sons、NY.に知見することができる。代表的な窒素保護基としては、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、トリメチルシリル(TMS)、2-トリメチルシリル-エタンスルホニル(TES)、トリチル及び置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロ-ベラトリルオキシカルボニル(NVOC)などが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なヒドロキシル保護基としては、ヒドロキシル基がアシル化(エステル化)またはアルキル化されているもの、たとえばベンジル及びトリチルエーテル、並びにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(たとえば、TMS若しくはTIPS基)、グリコールエーテル、たとえばエチレングリコール及びプロピレングリコール誘導体並びにアリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
「ヘルスケア提供者」なる用語は、ヒト、コミュニティに対してヘルスケアサービスを提供する個人または組織等をさす。「ヘルスケア提供者」の例としては、医師、病院、高齢者継続ケアコミュニティー、高度看護施設、急性看護施設(subacute care facilities)、クリニック、多専門クリニック、独立外来センター、在宅医療サービス組織、及びHMOが挙げられる。
「処置(treating)」なる用語は、疾患、疾病及び/または症状にかかり易いかもしれないが、まだそうとは診断されていない細胞、組織、系、動物またはヒトで発生する疾患、疾病または症状を予防すること;疾患、疾病または症状を安定化させること、即ちその進行を停止させること;及び疾患、疾病及び/または症状の一つ以上の徴候を緩和する、即ち、疾患、疾病及び/または症状の退行を生じさせることをさす。
本明細書中で使用するように、疾病または症状を「予防(prevent)」する治療とは、統計見本において、未処置対照サンプルに対して処置サンプルにおける疾患若しくは症状の発生を低減する、または未処置対照サンプルに対して疾患若しくは症状の一つ以上の徴候の発現を遅延若しくは重篤度を低減させる化合物をさす。
本明細書中で使用するように、「炎症性成分をもつ複合疾患」とは、個体の生物学的機能にとって重要な特定の組織または臓器で初期病変/機能障害が二次的に全身的な代謝異常及び/または組織ストレスを生じる、または身体の恒常性にとって極めて重要な幾つかの臓器で機能障害を生じる免疫系の活性化を促進する疾患である。
薬学的組成物
本発明の組成物及び方法は、処置の必要な個体を処置するのに使用することができる。特定の態様では、個体は、ヒトなどの哺乳類または、非ヒト哺乳類である。ヒトなどの動物に投与する際、組成物または化合物は、好ましくは、例えば本発明の化合物と薬学的に許容可能なキャリヤとを含む医薬組成物として投与する。薬学的に許容可能なキャリヤは当業界で公知であり、たとえば水溶液、たとえば水若しくは生理学的緩衝塩水若しくは他の溶媒、またはビヒクル、たとえばグリコール、グリセロール、オイル、たとえばオリーブオイルまたは注射可能な有機エステルが挙げられる。好ましい態様では、そのような薬学的組成物をヒトに投与する場合には、水溶液は発熱物質を含まないか、または発熱物質を実質的に含まない。賦形剤は、たとえば薬剤を持続放出するために、または一つ以上の細胞、組織若しくは臓器を選択的にターゲットとするために選択することができる。薬学的組成物は、錠剤、カプセル(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)、顆粒、粉末、シロップ、座薬、注射などの単位剤形とすることができる。組成物は、経皮送達系、たとえば皮膚用パッチ剤とすることもできる。組成物は、点眼薬などの局所投与に好適な溶液としても存在することができる。
薬学的に許容可能なキャリヤは、本発明の化合物などの化合物を安定化またはその吸収を高めるように作用する生理学的に許容可能な薬剤を含み得る。そのような生理学的に許容可能な薬剤としては、炭水化物、たとえばブドウ糖、蔗糖若しくはデキストラン、酸化防止剤、たとえばアスコルビン酸若しくはグルタチオン、キレート化剤、低分子量タンパク質または他の安定剤若しくは賦形剤が挙げられる。生理学的に許容可能な薬剤などの薬学的に許容可能なキャリヤの選択は、組成物の投与経路などに依存する。薬学的組成物(製剤)は、たとえば本発明の化合物を含むことができる、リポソームまたは他のポリマーマトリックスでありえる。リン脂質または他の脂質を含むようなリポソームは、比較的製造及び投与が簡単な無毒の、生理学的に許容可能で代謝可能なキャリヤである。
「薬学的に許容可能な」なる成句は、妥当な医学的判断の範囲内で、相応の損益比と相応の、過度の毒性、刺激、アレルギー反応も他の問題も合併症もなく、ヒト及び動物の組織と接触させるのに好適な化合物、材料、組成物及び/または剤形をさす。
本明細書中で使用する「薬学的に許容可能なキャリヤ」なる成句は、液体若しくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料などの、薬学的に許容可能な材料、組成物またはビヒクルを意味する。それぞれのキャリヤは、製剤の他の成分と適合可能で、且つ患者に対して有害ではない意味で「許容可能」でなければならない。薬学的に許容可能なキャリヤとして機能しえる材料の数例としては、以下のものが挙げられる:(1)糖類、たとえば乳糖、ブドウ糖及び蔗糖;(2)スターチ、たとえばコーンスターチ及びジャガイモスターチ;(3)セルロース、及びその誘導体、たとえばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロース;(4)粉末化トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、たとえばココアバター及び座薬用ワックス;(9)油、たとえばピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ごま油、オリーブ油、コーン油及び大豆油;(10)グリコール、たとえばプロピレングリコール;(11)ポリオール、たとえばグリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;(12)エステル、たとえばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、たとえば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンガー液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸塩緩衝液;及び(21)医薬製剤で使用される他の無毒の適合性物質。
薬学的組成物(製剤)は、たとえば経口的に(たとえば、水性若しくは非水性溶液若しくは懸濁液としての水薬1回分(drench)、錠剤、カプセル(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)、ボルーズ(丸塊:boluse)、粉末、顆粒、舌に投与するためのペースト);口腔粘膜を介する吸収(たとえば、舌下);肛門的、直腸内または膣内(たとえばペッサリー、クリーム若しくはフォームとして);非経口(筋肉内、静脈内、皮下若しくは鞘内、たとえば滅菌溶液若しくは懸濁液として);経鼻的に;腹腔内に;皮下;経皮的に(たとえば皮膚に適用したパッチ剤として);及び局所的(たとえば、皮膚に適用したクリーム、軟膏若しくはスプレー、または点眼液として)などの任意の多くの投与経路によって被験者に投与することができる。化合物は吸入用に配合することもできる。特定の態様では、化合物は、単に滅菌水に溶解または懸濁させることができる。これに好適な投与経路及び組成物の詳細については、たとえば米国特許第6,110,973号、同第5,763,493号、同第5,731,000号、同第5,541,231号、同第5,427,798号、同第5,358,970号、及び同第4,172,896号、並びに本明細書中に引用の特許に知見することができる。
製剤は、好都合には単位剤形で示され、薬剤学の分野で公知の任意の方法により製造することができる。単一剤形を製造するためにキャリヤ物質と混合し得る活性成分量は、処置すべき宿主、特定の投与モードに依存して変動する。単一剤形を製造するためにキャリヤ物質と混合し得る活性成分量は、通常、治療効果を生み出す化合物量である。通常、100パーセントのうち、この量は、約1〜約99パーセントの活性成分、好ましくは5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント〜約30パーセントを変動する。
これらの製剤または組成物を製造する方法としては、本発明の化合物などの活性化合物と、キャリヤと、場合により一つ以上の補助的な成分(accessory ingredient)と結合させる(association)段階を含む。通常、製剤は、本発明の化合物と、液体キャリヤ、若しくは微細粉末化固体キャリヤ、またはその両方と均一及び密接に結合させ、次いで必要により製品に成形することにより調製する。
経口投与に好適な本発明の製剤は、カプセル(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)、サシェ、ピル、錠剤、ドロップ(lozenge)(フレーバーベースを使用、通常蔗糖及びアカシア若しくはトラガカントを使用)、粉末、顆粒、または水溶液若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として、または水中油若しくは油中水エマルションとして、またはエリキシル若しくはシロップとして、またはトローチ(pastille)として(不活性ベース、たとえばゼラチン及びグリセリン、または蔗糖及びアカシアを使用)及び/または口内洗浄液などの形状であることができ、それぞれ活性成分として本発明の化合物の所定量を含む。組成物または化合物は、丸薬、舐剤またはペーストとしても投与することができる。
経口投与用の固体剤形(カプセル(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)、錠剤、ピル、糖衣錠、粉末、顆粒など)を製造するには、活性成分を一つ以上の薬学的に許容可能なキャリヤ、たとえばクエン酸ナトリウムまたはリン酸ジカルシウム、及び/または以下のいずれかと混合する:(1)充填剤若しくは増量剤、たとえばスターチ、乳糖、蔗糖、ブドウ糖、マンニトール、及び/またはケイ酸;(2)バインダー、たとえばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、蔗糖及び/またはアカシア;(3)保湿剤、たとえばグリセロール;(4)崩壊剤、たとえば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム;(5)溶液抑制剤(solution retarding agent)、たとえばパラフィン;(6)吸収促進剤、たとえば四級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、たとえばセチルアルコール及びグリセロールモノステアレート;(8)吸収剤、たとえばカオリン及びベントナイト・クレー;(9)滑剤、たとえばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びその混合物;並びに(10)着色剤。カプセル(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)、錠剤及びピルの場合には、医薬組成物は、緩衝剤も含むことができる。同様のタイプの固体組成物も、乳糖(lactoseまたはmilk sugar)などの賦形剤、並びに高分子量ポリエチレングリコール等を使用してソフト及びハード-充填ゼラチンカプセルに充填剤として使用することができる。
錠剤は、場合により一つ以上の補助的な成分と共に、圧縮または成型によって製造することができる。圧縮錠剤は、バインダー(たとえば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(たとえば、ナトリウムスターチグリコレート若しくは架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤または分散剤を使用して製造することができる。成型錠剤は、好適な機械で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化化合物の混合物を成型することによって製造することができる。
医薬組成物の錠剤、及び他の個体剤形、たとえば糖衣錠、カプセル(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)、ピル、及び顆粒は、場合により医薬製剤界で公知の腸溶性コーティング及び他のコーティングなど、コーティング及びシェルで刻み目をつけたり製造したりすることができる。これらは、所望の放出プロフィールを提供するために種々の割合でヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/またはミクロスフィアを使用して、その中に活性成分を持続放出または徐放性を提供するように配合することができる。これらは、細菌保持フィルターを通して濾過することにより、または使用直前に殺菌水若しくは他の殺菌の注射可能な媒体に溶解することができる殺菌の固体組成物の形状の殺菌剤を配合することにより、殺菌することができる。これらの組成物は、場合により乳白剤も含むことができ、(単数または複数種類の)活性成分だけ、または選択的に胃腸管の特定の位置で、場合により遅延様式で放出する組成物であってもよい。使用し得る包埋組成物の例としては、ポリマー材料及びワックスが挙げられる。活性成分は、それぞれの場合で上記賦形剤の一つ以上とマイクロカプセル化形にすることもできる。
経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容可能なエマルション、ミクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、当業界で一般的に使用される不活性希釈剤、たとえば水または他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、たとえばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に綿実油、落花生、トウモロコシ、胚芽(germ)、オリーブ、ひまし油及びごま油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにその混合物が挙げられる。
不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、補助薬(アジュバント)、たとえば湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、フレーバー剤、着色料、香料及び保存料を含むことができる。
活性化合物に加えて、懸濁液は、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶質セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天及びトラガカント、並びにその混合物などの懸濁化剤を含むことができる。
直腸、膣または尿道投与用の医薬組成物の製剤は、座薬として存在することができ、これは、ココアバター、ポリエチレングリコール、座薬用ワックス若しくはサリチレートなどを含む一つ以上の好適な非刺激性賦形剤またはキャリヤと一つ以上の活性化合物とを混合することにより製造することができ、これは室温では固体であるが、体温では液体であるので、活性化合物を直腸または膣腔で融解する、座薬として提示することができる。
口に投与するための医薬組成物の製剤は、口内洗浄液、またはマウススプレー、または経口軟膏として提示することができる。
あるいは、またはこれに加えて、組成物は、カテーテル、ステント、ワイヤまたは他の腔内デバイスを介して送達するために配合することができる。そのようなデバイスを介する送達は、膀胱、尿道、尿管、直腸、または腸への送達に特に有用である。
膣投与に好適な製剤としては、好適であると当業界で公知のキャリヤなどを含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム若しくはスプレー製剤も挙げられる。
局所または経皮投与用の剤形としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤が挙げられる。活性化合物は、薬学的に許容可能なキャリヤ、及び任意の保存剤、緩衝剤、または必要により噴射剤と殺菌条件下で混合することができる。
軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、活性化合物に加えて、賦形剤、たとえば動物及び植物脂肪、油、ワックス、パラフィン、スターチ、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、またはその混合物を含むことができる。
粉末及びスプレーは、活性化合物に加えて、賦形剤、たとえば乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含むことができる。スプレーはさらに、慣用の噴射剤、たとえばクロロフルオロハイドロカーボン及び揮発性非置換ハイドロカーボン、たとえばブタン及びプロパンを含むことができる。
経皮パッチは、本発明の化合物を身体に制御放出を提供するという利点を加える。そのような剤形としては、適当な媒体に活性化合物を溶解または分散させることにより製造することができる。吸収促進剤も使用して皮膚を横切って化合物の流れ(flux)を高めることもできる。そのような流れの速度は、速度制御膜を提供すること、またはポリマーマトリックス若しくはゲルに化合物を分散させることのいずれかにより制御することができる。
眼用製剤、眼用軟膏、粉末、溶液なども、本発明の範囲内に入るものとして企図される。代表的な眼用製剤は、その内容が本明細書中、参照として含まれる、米国特許公開第2005/0080056号、同第2005/0059744号、同第2005/0031697号及び第2005/004074号並びに、米国特許第6,583,124号に記載されている。所望により、液体眼用製剤は、涙液、水性体液若しくは硝子体液と似た特性をもつか、そのような液体と適合性である。好ましい投与経路は、局所投与(local administration)(たとえば、局所投与(topical administration)、たとえば点眼薬、またはインプラントを介した投与)である。
本明細書中で使用する「非経口投与」及び「非経口で投与」なる成句は、経口及び局所投与以外の投与形態、通常、注射によるものを含み、これらに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内及び胸骨内(intrasternal)注射並びに輸液が挙げられる。
非経口投与に好適な医薬組成物は、一つ以上の活性化合物と、一つ以上の薬学的に許容可能な殺菌、等張の水溶液若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液若しくはエマルション、または使用直前に殺菌の注射可能な溶液または懸濁液に再構築できる滅菌粉末とを組み合わせて含み、これは製剤を酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬、所定の移植者の血液または懸濁化剤若しくは増粘剤と等張にするための溶質を含むことができる。
本発明の医薬組成物で使用し得る好適な水性及び非水性キャリヤの例としては、水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びその好適な混合物、植物油、たとえばオリーブ油及び注射可能な有機エステル、たとえばオレイン酸エチルが挙げられる。好適な流動性は、レシチンなどのコーティング材料を使用することにより、分散液の場合には所望の粒径を維持することにより、及び界面活性剤を使用することにより保持することができる。
これらの組成物は、アジュバント、たとえば保存料、湿潤剤、乳化剤及び分散剤も含むことができる。微生物の作用を抑制するには、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを配合することによって確保することができる。等張剤、たとえば糖、塩化ナトリウムなどを組成物に配合することも望ましい。さらに、注射可能な薬学的形態を持続的に吸収することは、アルミニウムモノステアレート及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を配合することによってもたらすことができる。
薬剤の効果を持続させるために、皮下または筋肉注射によって薬剤を吸収するのを遅らせることが望ましい場合がある。これは、水溶性の低い結晶質またはアモルファス材料の液体懸濁液を使用することにより達成することができる。薬剤の吸収速度は、その溶解速度に依存し、順に結晶サイズ及び結晶形に依存する。あるいは、非経口投与された剤形の遅延吸収は、薬剤を油ビヒクルに溶解または懸濁させることによって達成される。
注射可能なデポー形(depot form)は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマーにかかる化合物のマイクロカプセル封入マトリックスを形成することにより製造する。薬剤対ポリマーの割合、及び使用する特定のポリマーの性質に依存して、薬剤放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能な製剤は、身体の組織と適合性のリポソームまたはミクロエマルションに薬剤を封入することによっても製造する。
本発明の方法で使用するためには、活性化合物は、それ自体または薬学的に許容可能なキャリヤと組み合わせて、たとえば0.1〜99.5%(より好ましくは、0.5〜90%)の活性成分を含む医薬組成物として提供することができる。
導入方法は、再充填可能なまたは生分解可能なデバイスによっても提供することができる。様々な持続放出ポリマーデバイスが、近年、タンパク質性生物薬剤を含む薬剤の制御放出に開発され、生体内で試験されてきた。生分解性ポリマー及び非生分解性ポリマーの両方を含む様々な生体適合性ポリマー(ヒドロゲルを含む)は、特定のターゲット部位で化合物の持続放出用インプラントを形成するのに使用することができる。
医薬組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、患者に毒性であることなく、特定の患者、組成物及び投与モードに対する所望の治療的反応を達成するのに有効である活性成分量を得るために変更することができる。
選択された用量レベルは、使用される特定の化合物若しくは化合物、またはそのエステル、塩またはアミドの組み合わせの活性、投与経路、投与時間、使用される(単数または複数種類の)特定の化合物の排出速度、処置期間、使用される(単数または複数種類の)特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬剤、化合物及び/または材料、処置される患者の年齢、性別、体重、症状、総体的な健康及び以前の病歴並びに医薬業界で公知の因子を含む、種々の因子に依存する。
当業界で通常の技術をもつ医師または獣医師は、必要な医薬組成物の治療的有効量を容易に決定及び処方することができる。たとえば医師または獣医師は、所望の治療的効果が達成されるように必要な量よりも低いレベルで医薬組成物または化合物の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで、その用量を徐々に増加させることができるだろう。「治療的に有効な量」とは、所望の治療的効果を生じさせるのに十分な化合物の濃度を意味する。通常、化合物の有効量は、被験者の体重、性別、年齢及び病歴により変動することは理解されよう。治療的な量に影響を与える他の因子としては、患者の症状の重篤度、処置される疾患、化合物の安定性、及び所望により本発明の化合物と共に投与される別のタイプの治療薬が挙げられるが、これらに限定されない。より多い総容量は、薬剤を複数回投与することにより送達することができる。効能及び用量を決定するための方法は、当業者に公知である(本明細書中、参照として含まれるIsselbacherら(1996年)Harrison’s Principles of Internal Medicine 第13版、1814〜1882頁)。
通常、本発明の組成物及び方法で使用される活性組成物の好適な1日分の用量は、治療的効果を生み出すのに有効な最低の用量である化合物量である。そのような有効な用量は、通常、上記の因子に依存する。
所望により、活性化合物の有効な一日分の用量は、1日を通して、場合により単位剤形で、好適な間隔で個別に1、2、3、4、5、6またはそれ以上の副投与量(sub-dose)として投与することができる。本発明の特定の態様では、活性化合物は1日(daily)2または3回投与する。好ましい態様では、活性化合物は1日1回投与する。
この治療を受ける患者は、通常、そのような必要のある霊長類、特にヒト並びに他の動物、たとえばウマ、ウシ、ブタ及びヒツジ;並びにブタ及びペットなどの任意の動物である。
特定の態様では、本発明の化合物は、別のタイプの治療薬と共同してまたは単独で使用することができる。本明細書中で使用するように、「共同投与(conjoint administration)」なる成句は、予め投与した治療的化合物が体内でいまだに有効である間(たとえば、二つの化合物が患者において同時に有効であり、これは二つの化合物の相乗効果を含むことができる)、第二の化合物を投与するように、二種以上の異なる治療的化合物の任意の投与形態をさす。たとえば、異なる治療化合物は、同一製剤若しくは別々の製剤中のいずれかで、併用して若しくは連続のいずれかで投与することができる。特定の態様では、異なる治療的化合物は、互いに1時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、または1週間以内で投与することができる。従って、そのような処置を受ける個体は、異なる治療的化合物の混和効果(combined effect)から恩恵を受けることができる。
本発明は、本発明の組成物及び方法において本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩の使用を含む。特定の態様では、本発明の企図される塩としては、アルキル、ジアルキル、トリアルキルまたはテトラ-アルキルアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。特定の態様では、本発明の企図される塩としては、L-アルギニン、ベンダミン(benenthamine)、ベンザチン、ベタイン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2-(ジエチルアミノ)エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、ヒドラバミン、1H-イミダゾール、水酸化リチウム、L-リジン、水酸化マグネシウム、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン、及び水酸化亜鉛塩が挙げられるが、これらに限定されない。特定の態様では、本発明の企図される塩としては、Na、Ca、K、Mg、Znまたは他の金属塩が挙げられるが、これらに限定されない。
薬学的に許容可能な酸付加塩は、たとえば水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミドなどとの種々の溶媒和物としても存在することができる。そのような溶媒和物の混合物も製造することができる。そのような溶媒和物の供給源は、結晶化の溶媒由来、製造若しくは結晶化の溶媒中に固有、またはそのような溶媒和物に対して付随的でありえる。
湿潤化剤、乳化剤及び滑剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、並びに着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味料、フレーバー剤及び芳香剤、防腐剤並びに酸化防止剤も組成物中に配合することができる。
薬学的に許容可能な酸化防止剤の例としては、(1)水溶性酸化防止剤、たとえばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性酸化防止剤、たとえばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなど;及び(3)金属キレート化剤、たとえばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
特定の態様では、本発明は、本発明の化合物の製剤、または本明細書に記載のキットを製造し、本明細書に記載の疾患または症状のいずれかを処置若しくは予防するためのキットまたは製剤を使用する利点をヘルスケア事業者にマーケティングすることにより、医薬品事業を実施するための方法に関する。
特定の態様では、本発明は、本発明の化合物の製剤または本明細書に記載のキットを販売するための流通機構を提供し、本明細書に記載の疾患または症状のいずれかを処置若しくは予防するための製剤を使用するための患者または医師に対して使用説明書を提供することにより、医薬品事業を実施するための方法に関する。
特定の態様では、本発明は、本明細書に記載の疾患または症状のいずれかを処置または予防するための本発明の化合物の好適な製剤及び用量を決定し、動物における効能及び毒性に対して特定の製剤の治療的プロフィール分析を実施し、許容可能な治療プロフィールをもつものとして特定の製剤を販売するための流通機構を提供することにより、医薬品事業を実施するための方法に関する。特定の態様では、本方法はさらに、ヘルスケア事業者に製剤をマーケティングするための販売グループを提供することを含む。
特定の態様では、本発明は、本明細書に記載の疾患または症状のいずれかを処置または予防するための本発明の化合物の好適な製剤及び用量を決定し、製剤のさらなる開発及び販売のための権利を第三者に許諾することにより、医薬品事業を実施するための方法に関する。
実施例1.ダッチベルト種ウサギ(Dutch-belted Rabbit)における眼PK(分布)研究
眼の表面に局所的に投与したときの、ダッチベルト種ウサギの眼組織における、化合物1001:
健康で、若い成体ダッチベルト種ウサギ(オス/メス;少なくとも1.5kg)を、研究開始前の少なくとも7日間、順応させた。研究開始前に、ウサギの眼は、研究の完全性に影響を与えるような欠陥がないことを確認するためによく調べた。実験は資格のある観察者により実施した。
動物には、それぞれの眼に30μL用量を送達するピペッターシステムを使用して局所眼経路により服用させた。それぞれの動物は、T=0で服用させた。右目には化合物1001を300μg/mLの服用濃度で、左目には化合物1002を300μg/mL濃度で与えた。表3に記載された間隔で、動物を犠牲にした。
動物は注射可能なバルビツールを過剰量使用して安楽死させ、それぞれの動物から眼を回収した。それぞれの眼に対して新しい、または新しく清浄した装置を使用して、眼を解剖して、以下の組織を分析用に単離した:結膜、房水、角膜、レンズ、硝子体、虹彩/毛様体、網膜/脈絡膜、視神経、及び強膜。それぞれの組織は液体窒素中でスナップ冷凍(snap freeze)し、さらなる分析用に−80℃で保存した。
眼組織の分析:
理論に束縛されるつもりはないが、化合物1001及び1002は両方とも代謝されて、その対応するカルボン酸、化合物1003:
{式中、MはH(化合物45)または薬学的に許容可能なカチオン、たとえばアンモニウム、テトラ-アルキルアンモニウム、Na(化合物Z)、K、Mg、及びZnである}になる。理論に束縛されるつもりはないが、化合物1003またはその(単数または複数種類の)代謝物は主に、化合物1001に関連した生物学的活性に関与すると考えられている。化合物1003は、眼組織(角膜、網膜)からホモジェナイゼーション、続いてISを含む4部のアセトニトリルを使用したタンパク質沈殿により抽出した。得られた上清を窒素下で乾燥し、移動相A中濃縮溶液として再構築した。化合物1003は、ISを含む5部のアセトニトリルを使用して、房水/硝子体液からタンパク質沈殿により抽出した。得られた上清を窒素下で乾燥し、移動相A中濃縮溶液として再構築した。
移動相Aをウサギ角膜(〜80mg)に加えて、5%固体の最終w/v濃度を得た。角膜は、均質な懸濁液が得られるまでホモジェナイズした。ブランクのホモジェネートに関しては、多数の角膜をプールし、ホモジェナイズした。
移動相Aをウサギ網膜(〜75mg)に加えて、7%固体の最終w/v濃度を得た。網膜は、均質な懸濁液が得られるまでホモジェナイズした。ブランクのホモジェネートに関しては、多数の網膜をプールし、ホモジェナイズした。
標準用スパイク溶液は、化合物1003の0.100〜4000ng/mLの濃度範囲に及ぶエタノール中のそのナトリウム塩(たとえば、MはNaである)(エタノールに溶解)として化合物1003を希釈することにより調製した。二つの標準曲線を抽出し、次いでひとつはサンプル前、一つをサンプル後に分析した。
1容積のホモジェネート(100μL)に、1/10容積(10μL)のエタノールをサンプル及びブランクに添加し、1/10容積(10μL)のスパイク溶液を標準に添加した。12.5ng/mLのIS(400μL)を含む4容積のアセトニトリルを添加し、サンプルを緩やかに〜1分間攪拌し、3200rcfで10分間、遠心分離した。上清(〜400μL)を取り出し、60℃、窒素下で乾燥し、5mMの酢酸アンモニウム100μL中で再構築した。
あるいは、標準は、化合物1003の0.0100〜4000ng/mLの濃度範囲に及ぶブランクホモジェネートに直接そのナトリウム塩(たとえば、MはNaである)として化合物1003を希釈することにより調製した。これにより、1/10容積(10μL)のエタノールを続く抽出液中のサンプル及びブランクに加えることを排除した。
ホモジェナイズ/抽出/乾燥/再構築サンプル中の化合物1003は、内部標準としてD4-PGE2を使用してLC/MS/MSにより分析した。以下の方法を使用して、アプライド・バイオシステムス(Applied Biosystems)API-4000質量分析計で検出した。
面積対化合物1003濃度の線形標準曲線は、1/x
2重み付け(weighting)により作った。
眼液の分析:
化合物1003は、ISを含む5部のアセトニトリルでタンパク質沈殿により房水/硝子体液から抽出した。得られた上清は、窒素下で乾燥し、移動相A中、濃縮溶液として再構築した。
標準用スパイク溶液は、化合物1003の0.040〜4000ng/mLの濃度範囲に及ぶエタノール中のそのナトリウム塩(たとえば、MはNaである)(エタノールに溶解)として化合物1003を希釈することにより製造した。二つの標準曲線を抽出し、次いでひとつはサンプル前、一つをサンプル後に分析した。
1容積の房水または硝子体液(120μL)に、1/4容積(30μL)のエタノールをサンプル及びブランクに添加し、1/4容積(30μL)のスパイク溶液を標準に添加した。25ng/mLのIS(600μL)を含む5容積のアセトニトリルを添加し、サンプルを緩やかに〜1分間攪拌し、3200rcfで10分間、遠心分離した。上清(〜450μL)を取り出し、60℃、窒素下で乾燥し、5mMの酢酸アンモニウム90μL中で再構築した。
あるいは、標準は、化合物1003の0.0100〜1000ng/mLの濃度範囲に及ぶブランク房水/硝子体液に直接そのナトリウム塩(たとえば、MはNaである)として化合物1003を希釈することにより調製した。これにより、1/4容積(30μL)のエタノールの、続く抽出液中のサンプル及びブランクへの添加を排除した。
抽出/乾燥/再構築サンプル中の化合物1003は、内部標準としてD4-PGE2を使用してLC/MS/MSにより分析した。以下の方法を使用して、アプライド・バイオシステムス(Applied Biosystems)API-4000質量分析計で検出した。
化合物1003濃度に対する面積比の線形標準曲線は、1/x
2重み付け(weighting)により作った。
図1は、上記プロトコルを使用して化合物1001及び1002を投与した際に、同程度の化合物1003が房水(図1a)、硝子体(図1b)、及び角膜(図1c)で観察されたことを示す。
プロドラッグ化合物1001または1002のいずれかを投与した後の眼の薬物動態パラメーター(測定した化合物1003に関して)を表4に示す。化合物1001投与後の化合物1003のピークレベルは角膜では〜12mMであり、半減期は〜1時間であり、硝子体ではピークは〜15nMであり、半減期はやや長く1.3時間であった。
実施例2.化学的安定性の研究
化合物1001及び1002の化学的安定性は、経時におけるこれらの化合物の純度をHPLC分析することにより測定した。パーセント面積(%面積)を使用した活性成分の純度アッセイ及びパーセント面積(%面積)として報告された不純物は、以下の条件を使用してHPLCにより測定した。
サンプル希釈液は、水/無水エタノール(90/10v/v)で調製した。
化合物1001及び1002の参照溶液は、約10mg(±2mg)の化合物1001または1002の1mg/mLストック溶液を1mLの琥珀色容量フラスコに秤量することにより調製した。約0.5mLのサンプル希釈液を添加し、溶液を回転して混合した。サンプルをサンプル希釈液で所定容積まで希釈して、よく混合した。化合物1001の参照溶液は、光を遮断して5℃±3℃で貯蔵して最高7日間まで安定であった。化合物1002の参照溶液は、光を遮断して5℃±3℃で貯蔵して最高3日間まで安定であった。
化合物1001の眼用製剤(プロピレングリコール中52mg/mL溶液の0.994g)または化合物1002の眼用製剤(プロピレングリコール中50mg/mL溶液の1.034g)は、0.2M水酸化ナトリウム溶液(適量:q.s.)、塩化ナトリウム(0.327g)、ポリソルベート80(0.5%w/v)、及び精製水(適量〜100)を含んだリン酸カリウム緩衝液(25mM、pH5.5、0.34g)中500μg/mL用量強度(dose strength)で調製した。化合物1001及び1002のサンプル溶液は、1mLの琥珀色容量フラスコに500μg/mL化合物製剤約20mgを正確に秤量してそれぞれ調製した。約0.5mLのサンプル希釈液を添加し、溶液を回転させて混合した。溶液をサンプル希釈液で所定の容積まで希釈して、よく混合した。
以下の等式を使用して、それぞれのサンプルにおいて化合物1001または化合物1002純度アッセイ(%面積)を計算した。
類似体含有量(%面積)=(類似体の面積/全てのピークの総面積>0.10%面積)×100。
不純物>0.10%面積は統合して、小数点第二位までの%面積として報告した。
表5及び6は、それぞれ化合物1001及び1002の5℃における8週間にわたる化学的安定性研究の結果を示す。化合物1001は、経時でより高いパーセント純度(少ない不純物)により示されるように、化合物1002よりも優れた化学的安定性を示した。
実施例3:ドライアイにおける化合物1001の研究
本研究の目的は、多重中央、二重盲験、無作為化、プラセボ対照研究におけるドライアイの前兆及び徴候に関してプラセボ(ビヒクル−アクティブ:vehicle minus active)に対し化合物1001の効能を比較することであり、100人のヒト患者を三つのアクティブ処置群またはプラセボに等しく無作為化し、全ての処置群は、ドライアイの徴候を悪化させる同一湿度、温度及び風の条件に曝露した。
無作為化前の慣らし運転期間の14日間の間(たとえば、−14日〜0日)、全ての患者は、1日二回両側に二回プラセボを受けた(BID)。無作為化処置の時点(たとえば、0日)、患者は、90分間、ドライアイを悪化させる同一湿度、温度及び風条件に曝露し、その後、以下の基準:角膜中央染色曝露<2.5または>3.0に基づいて患者を階層化した。無作為化する条件を満たす患者は、両方の眼に約30μLの液滴として以下の処置の一つをBID投与する:(1)化合物1001を用量A(26.4μg/mL)眼用溶液;(2)化合物1001を用量B(87.8μg/mL)眼用溶液;(3)化合物1001を用量C(275.6μg/mL)眼用溶液;(4)プラセボ眼用溶液(ビヒクル−アクティブ)。
訪問スケジュールの概要。約6週間にわたって5回の訪問を以下のように決めた。1回目の訪問=−14(Day −14)±1日;2回目の訪問=0日(Day0);3回目の訪問=14日(Day 14)±2日;4回目の訪問=28日(Day 28)±2日;5回目の訪問=29日(Day 29)±1時間。
ORA眼の不快感スケール(Ocular Discomfort Scale)を使用するドライアイの徴候を悪化させるための条件(90分間曝露の間)における平均の眼の不快感の主要評価項目を統計的にまとめ(n、平均、標準偏差、中央値、最小及び最大)、プラセボに対して最適用量を比較する片側t-検定で分析し、p-値<0.025を有意とみなした。
4回目の訪問(たとえば、28日)で、患者はドライアイの徴候を悪化させる同一湿度、温度及び風の条件に90分間曝露された。この曝露の間の眼の不快感を、ORA眼の不快感スケールを使用して測定し、眼の不快感スコアは、曝露の間の全ての点における平均である。眼の不快感は、5回目の訪問(たとえば29日)で再び測定した。ORA眼の不快感スケールにおけるスコアは以下の通りである:スコア0は全く不快感なしを示す;スコア1は断続的に気づくことを示す(intermittent awareness);スコア2は、常に気づくことを示す;スコア3は断続的に不快であることを示す(intermittent discomfort);及びスコア4は常に不快であることを示す。
図2は、ビヒクルまたは用量A、BまたはCでの化合物1001の局所投与28日後における環境で測定した眼の不快感を示す。ビヒクルと比較して眼の不快感における変化は、化合物1001を用量Cで投与したときに約27%改善したことを示した。
図3は、ビヒクルまたは用量A、BまたはCでの化合物1001の局所投与29日後(たとえば最後の処置の24時間後)における環境で測定した眼の不快感を示す。ビヒクルと比較した眼の不快感における変化は、用量Cで化合物1001を投与したときに約36%改善したことを示し、このことは、化合物1001の投与で見られた効果が最後の処置後24時間持続していたことを示す。
ざらざら感(grittiness)、乾燥度の徴候を、0〜5の視覚的アナログスケールで28日で環境中で測定した。図4は、化合物1001を用量Cで局所投与したときに、ビヒクルと比較してざらざら感と乾燥度の両方で有意な変化があったことを示す。
実施例4:合成プロトコル
全ての非水反応(nonaqueous reaction)は、乾燥窒素雰囲気下で実施した。試薬は商業的供給源から購入して、そのまま使用した。反応用の溶媒は、テキスト中に特記しない限り、試薬グレードであった。プロトン及びカーボン核磁気共鳴(NMR)スペクトルはBruker AV-300分光計で、プロトンについては300MHzで、カーボンについては75MHzで、CDCl3、DMSO-d6、またはCD3ODを溶媒として使用して得た。テトラメチルシランはプロトンスペクトルについての内部標準として使用し、溶媒ピークはカーボンスペクトルに関して参照ピークとして使用した。マススペクトルは、Finnigan LCQ Duo LC-MSイオントラップエレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析計で得た。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、ワットマンNo.4500-101シリカゲルプレート(250μm層厚)上で実施した。TLCプレートの視覚化は、紫外線(254nm)またはヨウ素染色を使用して実施した。Corning pHメーター430装置を使用してpHを測定した。
化合物2002の合成:
コンデンサ、添加漏斗、及び温度プローブのついた清浄な、乾燥した100-Lジャケット付フラスコに、慎重に塩化アルミニウム(1285g、9.64mol)続いてジクロロメタン(55L)を添加した。この混合物を攪拌し、0〜5℃に冷却した。ジクロロメタン(10L)中のグルタル酸無水物(1000g、8.76mol)とビス(トリメチルシリル)アセチレン(1643g、9.64mol)の溶液を、温度を0〜5℃に保持しつつ、混合物に慎重に滴下添加した。添加完了後、反応混合物を室温で一晩攪拌した。12〜20時間後、反応混合物を分析して、グルタル酸無水物の存在を1H-NMR(CDCl3)でチェックした。サンプルは、バイアル中の反応混合物のサンプル(0.25mL)にジクロロメタン(0.5mL)と1M HCl(0.25mL)を添加することにより1H-NMR分析用に調製した。このジクロロメタンは真空下で分離除去した。残渣をCDCl3で希釈し、1H-NMR分析用に提出した。反応は、3重量%未満のグルタル酸無水物が残っているときに、完了したものとみなした。ついで温度を10℃未満に保持しながら、反応混合物をゆっくりと1M HCl溶液(12L)に添加した。透明な溶液が観察されるまで、混合物を30から60分攪拌した。二相を分離し、有機相を塩水(12L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、フリットガラス漏斗上で充填セライト床を通して濾過し、ジクロロメタンで十分に洗浄した。濾液を35〜40℃で真空下で濃縮すると、化合物2002(1,700g、91%)が暗褐色油状物として得られ、これはさらに精製することなく、次段階で使用した。
化合物2003の合成:
コンデンサ及び温度プローブのついた清浄な、乾燥した12-L4つ口丸底フラスコに、粗な酸2002(1000g)、p-TsOH・H2O(89.5g、0.1当量)、及び2-プロパノール(6L)を充填した。反応混合物を65℃で24時間加熱し、この時点で転換率はHPLCにより約90%であった。反応混合物を冷却し、2-プロパノールを50〜55℃で真空下で濃縮した。得られた残渣をMTBE(3L)に添加し、飽和NaHCO3(3×500mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、フリットガラス漏斗上で充填セライト床を通して濾過し、MTBEで十分に洗浄した。濾液を40〜45℃で真空下で濃縮すると、粗なエステル2003(1,160g、96%)が暗褐色油状物として得られ、これをさらに精製することなく、次段階で使用した。
化合物2005の合成:
メカニカルスターラー、温度プローブ及び窒素入口(inlet)のついた清浄な、窒素フラッシュした、12L丸底フラスコに、化合物2003(433g、1.7mol)、無水イソプロピルアルコール(4.3L)、及び化合物2010(20.4g、0.034mol)を充填した。室温で1時間攪拌した後、化合物2004への転換率は、TLC分析(20% EtOAc/ヘプタン)により完了したとみなした。塩化アンモニウム(109g、2.03mol)を添加し、続いてフッ化テトラブチルアンモニウム(2.03L、THF中1M溶液)を流れで添加(streamwise addition)した。一晩攪拌した後、化合物2005への転換率は、TLC分析により完了したとみなした。反応混合物を元の容積の約1/10まで真空下で濃縮し、物質はMTBE(4.3L)と飽和塩化アンモニウム水溶液(2L)との間で分配した。相を分離し、水性相をMTBE(2L)で抽出した。混和した有機相を塩水(2L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮すると暗色油状物となった。クロマトグラフィーにより精製すると、橙色油状物の化合物2005(216g、純粋画分として70%及び28g、混合画分として9%)が得られた。
化合物2007の合成:
窒素フラッシュした、2-L、3つ口、丸底フラスコに、塩化ルテニウム水和物(12g、0.058mol)と無水エタノール(0.6L)、続いてp-メンタ-1,5-ジエン(96mL)を添加した。混合物を還流下4時間攪拌した。懸濁液を冷却し、0〜5℃で30分間攪拌し、濾過した。固体を無水エタノール(3×1床容積)で洗浄すると、暗赤色固体状の化合物2007(10.4g、58%)が得られた。濾液を濃縮して75mLとし、冷蔵庫に一晩貯蔵した。固体を濾過し、無水エタノール(3×1床容積)で洗浄すると、暗赤色固体の化合物2007(2g、11%)が得られた。
化合物2009の合成:
温度プローブ、マグネチックスターラーバー、窒素入口及び添加漏斗を備えた2-L、3つ口、丸底フラスコに、(1S,2S)-(−)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン(20g、0.094mol)及びジクロロメタン(160mL)を添加した。混合物を0〜3℃に冷却し、水酸化ナトリウム1M溶液(160mL)を、温度を5℃未満に保持しながら滴下添加した。この混合物に、ジクロロメタン(320mL)中の塩化トルエンスルホニル(17.9g、0.094mol)の溶液を2時間で滴下添加した。二相混合物をさらに1時間0〜5℃で攪拌し、TLC(50%EtOAc/ヘプタン、UV)により反応が完了したとみなした。相を分離し、有機相を水(2×320mL)及び塩水(320mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮すると粗な固体となった。この固体を70〜80℃でトルエン(200mL)に溶解し、この温度を維持しながら、ヘプタン(300mL)を少しずつ添加した。得られたスラリーを冷却し、20〜25℃で1時間攪拌し、次いで0〜5℃で10分間攪拌した。固体を濾過し、ヘプタン中トルエン50%溶液で洗浄(3×1床容積)すると、白色粉末状の化合物2009(30.24g、88%)が得られた。
化合物2010の合成:
温度プローブ、メカニカルスターラー、添加漏斗及び窒素入口を備えた1-L、窒素フラッシュした、3つ口、丸底フラスコに、化合物2007(10.4g、0.017mol)、化合物2009(12.5g、0.034mol)、水酸化カリウム(14.14g、0.252mol)、及び無水ジクロロメタン(217mL)を添加した。この混合物を20〜25℃で10分間攪拌し、次いで温度を30℃未満に保持しながら水(217mL)を滴下添加した。得られた混合物を15分間攪拌し、相分離した。有機相を水(217mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した。濾液を水素化カルシウム(4.2g)上で少しずつ乾燥し、固体をセライトで濾過し、無水ジクロロメタンで洗浄した。濾液を真空下で濃縮すると、紫色固体の化合物2010(20g、98%)が得られた。
化合物2012の合成:
マグネチックスターラー、温度プローブ、及び窒素入口を備えた添加漏斗のついた3つ口、22-L、丸底フラスコに、(S)-(−)-グリシドール(1.0kg、13.5mol)及びDCM(3.0L)を充填した。イミダゾール(1.01kg、14.8mol)及びDMAP(84g、680mmol)を添加し、反応物を0℃に冷却した。DCM(2.0L)中のTBDMSCl(2.04kg、13.5mol)の溶液を、内部温度を10℃未満に保持しながら添加した。反応物を0℃で2時間攪拌し、TLC(9:1=ヘプタン/EtOAc)により分析すると、反応が完了していることが判明した。溶離液としてDCMを使用して2バッチでシリカゲルプラグ(シリカゲル:それぞれ6kg)により反応混合物を精製すると、無色油状物として所望の生成物(2.2kg、86%収率)が得られた。1H-NMRスペクトルは、化合物2012の規定構造と一致した。
化合物2013の合成:
メカニカルスターラー、温度プローブ及び、窒素入口のついた添加漏斗付の複数の口がついた、72-L、丸底フラスコにTHF(5.5L)を充填した。n-ヘキシルリチウム(ヘキサン中2.3M、5.3L、12.3mol)を、内部温度を30℃未満に保持しながら添加した。溶液を−20℃に冷却し、<−50℃でTMSアセチレン(1.98L、1.2当量)を添加した。反応物を<−55℃で1時間攪拌し、化合物2012(2.2kg、11.66mol)の溶液を<−55℃で75分かけて添加し、続いて<−55℃で110分かけてBF3・Et2O(1.44L、1.0当量)を添加した。反応物を<−60℃で16時間攪拌し、TLC分析(9:1=ヘプタン/EtOAc)により、反応が完了したことが判明した。これを75%飽和塩水溶液(11L、5容積)でクエンチし、MTBE(11L、5容積)で希釈した。有機層を濃縮乾涸させると、無色油状物が得られた(3.43kg、>100%収率)。1H-NMRスペクトルは、化合物2013の規定構造と一致した。
化合物2014の合成:
メカニカルスターラー、温度プローブ及び、窒素入口のついた添加漏斗つきの複数の口のついた、72-L、丸底フラスコに、粗な2013(3.43kg)及びDCM(6.6L)を充填した。イミダゾール(1.19kg、17.5mol)及びDMAP(70g、580mmol)を添加し、反応物を0℃に冷却した。TBDPSCl(4.17kg、15.2mol)は、内部温度を10℃未満に保持しながら添加した。反応物を周囲温度で18時間攪拌し、TLC(9:1=ヘプタン/EtOAc)により分析すると、反応が完了したことが判明した。反応混合物を濃縮乾涸させ、ヘプタン(11L)で希釈し、水洗(2×11L)した。有機層を濃縮乾涸させると、薄茶色油状物の所望の生成物2014(8.21kg、>100収率)が得られた。1H-NMRスペクトルは、化合物2014の規定構造と一致した。
化合物2015の合成:
メカニカルスターラー、温度プローブ及び窒素入口のついた複数の口つきの、72-L、丸底フラスコに、粗な化合物2014(8.21kg、約11.7mol)及びDCM(15.3L)を充填した。反応混合物を0℃に冷却し、MeOH(15.3L)中のCSA(2.72kg、11.7mol)の溶液を<10℃で添加した。反応物を0℃で2時間攪拌し、TLC(9:1=ヘプタン/EtOAc)で分析すると、反応が完了していたことが判明した。反応物をTEA(1.18kg、11.7mol)でクエンチし、濃縮乾涸させた。残渣をヘプタン(18.5L)で希釈し、水洗(2×18.5L)した。ヘプタンを使用して4つのバッチでシリカゲルプラグにより有機層を精製して(シリカゲル:それぞれ5kg)、不純物を溶離し、4:1のヘプタン/EtOAcを使用して所望の生成物を溶離した。生成物を含む画分を濃縮乾涸させると薄茶色油状物になった(3.38kg、三段階で70%収率)。1H-NMRスペクトルは、化合物15の規定構造と一致した。
化合物2016の合成:
マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル及び、窒素入口を備えた複数の口のついた、72-L、丸底フラスコに、化合物2015(3.38kg、8.2mol)及びDCM(16L)を充填した。これを0℃に冷却し、DMSO(1.93L)及びTEA(3.79L)を添加した。SO3・pyr(3.93kg、24.6mol)を、内部温度を10℃未満に保持しながら添加した。反応物を0℃で3時間攪拌し、TLC(9:1=ヘプタン/EtOAc)で分析すると、反応が完了していたことが判明した。反応物を10%クエン酸(2×5容積)で洗浄し、有機層を濃縮乾涸させた。残渣を、溶離液としてヘプタン中2%EtOAcを使用してシリカゲルプラグ(シリカゲル:それぞれ7kg)で4つのバッチで精製すると、黄色油状物の所望の生成物が得られた(2.0kg、59%収率)。混合した画分を合わせ、濃縮乾涸させると黄色油状物が得られた(0.38kg、11%収率)。1H-NMRスペクトルは、化合物2016の規定構造と一致した。
化合物2017の合成:
マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル及び窒素入口を供えた、三つ口、22-L、丸底フラスコに、化合物2016(2.0kg、重量分析により化合物2017を1.42kgを含む、3.48mol)及びACN(7.1L)を充填した。反応混合物を30℃に加熱し、Ph3PCHCHO(1.38kg、68.6mmol)を、内部温度を<35℃に保持しながら、数回に分けて添加した。反応物を30℃に15時間、加熱し、1H-NMRで分析すると、反応が完了していたことが判明した。これを濃縮乾涸させ、残渣をDCM(0.71mL)に溶解した。得られた溶液をヘプタン(1.42L)で希釈し、溶離液として10:1=ヘプタン/EtOAcを使用して二つのバッチでシリカゲルプラグで精製すると、薄黄色油状物の所望の生成物が得られた(1.87kg、88%収率)。1H-NMRスペクトルは、化合物2017の規定構造と一致した。
化合物2018の合成:
5-L、3つ口、丸底フラスコを真空下(1〜10トール)でヒートガンで3回加熱し、アルゴンパージした。無水塩化クロム(100g、0.814mol)を添加し、フラスコを再び真空下で3回加熱した。無水テトラヒドロフラン(1000mL)を添加し、得られたスラリーを周囲温度で2時間攪拌した。スラリーは約30〜35℃に発熱し、この間、緑色になった。別のフラスコでは、化合物2017(57g、0.131mol)をトルエンと3回共沸させた。ヨードホルム(102g、0.273mol)及び無水テトラヒドロフラン(700mL)を窒素下で化合物2017に添加すると黄色溶液を形成した。次いで溶液を、内部温度を5℃未満に保持しながら、窒素下、30分でカニューレで塩化クロムのスラリーに添加した。30分後、TLCは反応の完了を示した。温度を15℃未満に保持しながら、反応物をチオ硫酸ナトリウム(10重量%、570mL)と飽和重炭酸ナトリウム(570mL)の混合物で少しずつクエンチした。MTBE(2000mL)を添加した。二相を分離し、有機相を塩水で洗浄し(1140mL)、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮すると、緑がかった残渣として粗な2018が得られた。E/Z-比は1H-NMR分析から8.8:1であった。粗な物質は、冷蔵庫中、ジエチルアミン(400mL)中で一晩保存した。
化合物2019の合成:
窒素下、3-L、3つ口、丸底フラスコを脱気し、窒素パージした。このフラスコに、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.4g、6mmol)とヨウ化銅(2.5g、13mmol)を添加した。無水テトラヒドロフラン(55mL)中の化合物2005(24g、131mol)の脱気溶液を、周囲温度でカニューレにより窒素下で添加した。ジエチルアミン(400mL)及び無水テトラヒドロフラン(800mL)中の化合物2018(0.131mol)の脱気溶液をカニューレにより窒素下で添加した。反応混合物を一晩、室温で攪拌したままにした。この時点で、反応はHPLC分析により完了していた。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)でクエンチし、次いで濃縮して残渣を得た。MTBE(700mL)を添加し、混合物を10分間スラリー化した。固体をフリットガラス漏斗上のセライト充填床で濾過した。濾液を飽和塩化アンモニウム水溶液(300mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮すると、粗な茶色油状の2019(89g、>100%)が得られ、これは1H-NMR分析によりE/Z比が6.3:1であり、これをシリカゲルのカラムクロマトグラフィー、続いてCombiFlashクロマトグラフィーで精製した。
化合物1001の合成:
5-L、3つ口、丸底フラスコに、中間体2019(284.4g、0.46mol)、塩化アンモニウム(74.2g、1.39mol)、及びTHF(850mL)を充填した。混合物を攪拌し、氷浴を使用して5℃に冷却した。攪拌している混合物に、THF(1.4L)中の1Mのフッ化テトラブチルアンモニウムを、反応温度が10℃未満であるように、添加漏斗を介して15分で添加した。混合物を2時間攪拌し、この時点でTLC分析(40%酢酸エチル/ヘプタン)から出発物質は何も残っていないことが判明した。反応混合物をtert-ブチルメチルエーテル(1.4L)と飽和塩化アンモニウム(1.4L)で希釈し、層を分離した。有機層を飽和塩化アンモニウム(1.4L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮すると油状物(271.4g)が得られた。この油状物を20%ヘプタン/酢酸エチル(200mL)中に懸濁させ、溶液が形成するまでジクロロメタンをゆっくりと添加した(約20mL)。混合物を20%酢酸エチル/ヘプタン(16L)、30%酢酸エチル/ヘプタン(8L)、40%酢酸エチル/ヘプタン(20L)、及び50%酢酸エチル/ヘプタン(16L)で溶離するシリカゲル(2kg)上で精製した。純粋な画分を合わせ、濃縮すると、1001(128.3g、91%収率)が得られた。HPLC 97.7%(AUC)、tR=13.3分;1H-NMRスペクトルは、図5に示すように化合物1001の規定構造と一致した。
化合物1002の合成:
MeOH(350mL)中の1001(35g、115mmol)の溶液に、p-TsOH・H2O(4.38g、23mmol)を添加した。得られた溶液を室温で22時間攪拌し、EtOAc(700mL)で希釈した。混合物を5%重炭酸ナトリウム水溶液(3×100mL)で洗浄した。混和した水溶液をEtOAc(3×200mL)で抽出した。有機層を混和し、塩水(150mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で濃縮した。油性残渣をカラムクロマトグラフィー(2:3=EtOAc/n-ヘプタン)で精製すると、薄黄色油状物として1002(22.8g、71.7%、98.1%(AUC)HPLCによる)が得られた。1H-NMRスペクトルは、図6に示すように、化合物1002の規定構造と一致した。
化合物Zの合成:
5-L、3つ口、丸底フラスコに1001[335g、1.1mol]、THF(5容積)、及び水(5容積)を充填した。LiOH(52.7g、2.2mol)を添加し、反応物を室温で4時間攪拌し、TLCで分析すると、反応が完了したことが判明した。反応混合物をMTBE(2×5容積)で抽出し、水性層を2N HCl(900mL)を使用してpH4.4に調節した。これをMTBE(6×5容積)で抽出し、混合した有機層を水洗(5容積)し、Na2SO4上で乾燥し、エタノール(10容積)で希釈し、濃縮すると5容積になった。得られたエタノール溶液を0℃に冷却し、6N NaOH(1当量)を添加した。反応物を1時間攪拌し、濃縮乾涸させ、真空下で18時間乾燥すると、茶色油状物が得られた(277g、88%収率)。HPLC 99.2%(AUC)、tR=10.1分。1H-NMRスペクトルは、化合物Zの規定構造と一致し、残渣エタノールの存在を示した。茶色油状物(277g)を水(2容積)に溶解し、40℃で濃縮乾涸させ、さらに18時間真空乾燥させると、茶色油状の所望の化合物Z(279g)が得られた。HPLC 99.0%(AUC)、tR=9.9分。1H-NMRスペクトルは、図7に示すように化合物Zの規定構造と一致した。
参照として含まれるもの
本明細書中で述べた全ての刊行物及び特許は、個々の刊行物または特許が具体的及び個別に参照として含まれると記載するかのように、その全体が参照として含まれる。不一致の場合には、本明細書中の定義を含む本出願が支配する。
等価物
本発明の具体的な態様について記載してきたが、上記明細書は例示的なものであって、限定的なものではない。当業者には、本明細書及び以下の請求の範囲を再検討すれば、本発明の多くの変形が明らかであろう。本発明の全ての範囲は、等価物の全ての範囲及び明細書と共に、かかる変形と共に請求の範囲を参照して決定すべきである。