JP2012522190A - フライホイール - Google Patents

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Abstract

【解決手段】本発明は、エネルギー貯蔵用のフライホイールの製造方法に関し、特に、製造中にフライホールを精密にバランス取りする方法に関する。この方法は、複合材料構造を有するフライホイールに関して特に有用であり、またフライホイールの構造的完全性を同時に保証するのに適している。
【選択図】図16

Description

本発明は、フライホイール、およびエネルギーを貯蔵するフライホイールを構成する方法に関する。
運動エネルギーのかたちでエネルギーを貯蔵する、例えば車両で用いられるフライホイールが知られている。この場合、車両の減速時に車両の制動システム内で熱に変換されるようなエネルギーを貯蔵するためにフライホイールを使用することが知られている。この貯蔵されたエネルギーは、必要に応じて車両を加速するために利用することができる。
図1による既知のタイプのフライホイールは、中心に金属支持部(1)を有し、金属支持部がシャフトなどの中心サポートに取り付けられる。少なくとも一つの複合材料リング(2)が中心支持部上に取り付けられる。このタイプのフライホイールにおける複合材料リングは、カーボンファイバーで巻き付けられたフィラメントである。フライホイールが回転すると、リングに作用する遠心力のために、リングが直径方向に広がる傾向にある。リングは、フライホイールが回転するときの遠心力に対抗するために高いフープ強度を有する。しかしながら、外側のリングの中心支持部に対するはめ合いが緩くなり、潜在的に(危険なことに)中心支持部から外れる可能性がある。加えて、半径方向の応力により複合材料リングが破壊する可能性がある。
リングが伸びようとする傾向に対抗するために、典型的にリングは中心支持部の外形よりも小さな内径に加工され、締まりばめによって中心支持部に取り付けられる。この直径の不一致により、リングが中心支持部に対して内向きの力を及ぼすプレロードが生じる。この内向きのプレロードは、フライホイールが回転していないときに最大となるので、フライホイールの静止時に中心支持部がプレロード力に耐えうる十分な構造強度を有することが要求される。二つ以上の複合材料リングが互いに押し付けられ、さらに中心支持部に取り付けられることが知られている。プレロードは、互いに押し付けられるリングの数とともに、フライホイールの中心に向けて増加する。結果として、このプレロード力に対抗するために、フライホイールの中心支持部には大量の材料が必要になる。フライホイールの中心近くにあるこの材料は、フライホイールの回転慣性を非常に非効率に増加させるに過ぎない。さらに、複合材料リングよりもハブの剛性が高い場合、フライホイールの速度が増加しプレロードが減少すると、増大した質量がハブの管理問題を引き起こす。
さらに、既知のシステムでは、複合材料リングの最大応力定格を越えるとリングが破壊してしまう。上述のタイプのフライホイールでは、中心支持部がプレロードにより複合材料リングに外向きの力を及ぼす。この力は、フライホイールの回転時にリングに作用する遠心力と同一の方向である。そのため、複合材料リングよりもハブの剛性が小さい場合、フライホイールが最大速度で回転しているとき、リングは、プレロード力と遠心力の合計に十分対抗するほどの強度がなければならない。したがって、この既知のタイプのフライホイールにおける別の問題は、プレロードがフライホイールの最大回転速度を低下させることである。
既知のシステムに伴う別の問題は、フライホイールが例えば車両のトランスミッションに結合される場合、高い過渡トルクレベル(例えば、車両のギアボックス比が急激に変更すると、フライホイールの急速な加減速が要求される)をすべりなしにフライホイールに伝達するために、通常はスプラインカップリングが必要とされることである。
2007年12月7日に出願された英国特許出願0723996.5に記載されたタイプのフライホイールは、駆動伝達要素と、質量要素を備えるリムとを有するフライホイールを提供することで、上述の制限を克服している。リムと駆動伝達要素とは、巻線によって結合されている。しかしながら、フライホイールの回転速度が増加したときにフライホイールの部品内の応力を示唆するこの種のフライホイールがあると望ましい。
英国特許出願0902840.8は、警告リングまたは指標リングをフライホイールに組み込むことによって、上述したフライホイール部品内の応力の示唆を提供する。リングとフライホイールの間に残留応力が生まれるように、締まりばめを用いて指標リングをフライホイールに取り付けることができる。締まりばめまたはプレロードの水準と、リングとリングが取り付けられるフライホイールの部分との比剛性は、フライホイールが予め定められたトリガ速度でまたはこれを越えて回転するときに、遠心力がプレロードに実質的に打ち勝ち、リングと支持部材とを少なくとも部分的に分離させるように選択される。こうしてリングがフライホイール上で移動できるようになり、「バランスの崩れた」状態を生み出し、その結果、フライホイール部品内の応力の示唆として検出可能な振動を生ずる。
既存のフライホイールについての別の問題は、フライホイールの回転質量を精密にバランス取りする必要があることである。回転するフライホイールに貯蔵される運動エネルギーはω(ωはフライホイールの角速度)に比例し、フライホイールの最大回転速度を増加させることで、所与の質量のフライホイールにより多くのエネルギーを貯蔵することが可能になる。これによって、この種のフライホイールのエネルギー貯蔵密度が増加する。しかしながら、回転速度が増加すると、フライホイールの構造的完全性を証明するアセンブリのバランスがより重要な意味を持つようになる。さらに、フライホイールのバランス取りのコストは、必要となるバランスの精度水準とともに概して増加する。
英国特許出願0723996.5および0902840.8に記載されているタイプのような複合材料フライホイールのバランス取りをするときの別の問題は、複合材料の構造的完全性に重大な影響を与えることなく複合材料部品(すなわち、質量を負担するリム)に対して実行可能である機械加工/処理の量が限られていることである。このため、複合材料リムから離れた場所でフライホイールから材料を除去しなければならないので、バランス取り過程の単純さに影響が及ぶ。
別の問題は、フライホイールのバランスを取るための既存の方法は、一般に、フライホイールの材料の機械加工、研削および/または穴開けを伴うことである。(上述したように)複合材料フライホイールの材料の機械加工および洗浄、研削および/または穴開けは複合材部分の構造的完全性を傷つける可能性があるだけでなく、このような機械加工は、達成可能なバランス取りの精度を少なくとも以下の二つの態様で制限する。第1に、バランス取り操作の精度は、機械加工操作中にフライホイールが取り付けられる旋盤軸の精度と、旋盤軸へのフライホイール質量の取り付け精度とによって制限される。第2に、バランス取りの精度は、機械加工/研削/穴開けプロセスで除去可能である材料の最小厚さによって制限される。最小厚さはオペレータの技能および/または(工作機械がコンピュータ数値制御の場合は)CNC装置の精度によって影響を受けうる。フライホイールから除去される材料は(フライホイールのエネルギー貯蔵密度を最大化するために)必然的に高密度であるので、これはより深刻である。
したがって、簡単にかつ迅速にこの種のフライホイールを高精度にバランス取りする方法を見つけることが望ましい。また、その方法は、同時にフライホイールの構造的完全性を証明することが望ましい。そのような方法があれば、時間、製造コスト、資本コストを節約し、フライホイールの性能および信頼性を向上させるだろう。
既存のフライホイールは、真空を含むチャンバ内部でフライホイールの回転質量が回転するように構成されることがある。真空の中で回転質量を動作させると、空気抵抗(ウィンデージ(windage)としても知られる)に起因する損失が低下するので、有利である。しかしながら、回転するフライホイール質量へおよび質量からエネルギーを伝達するために、カップリング手段が必要である。一部の既存のフライホイールは、真空チャンバ内の回転シールを貫通する回転シャフトを用いて、エネルギー源からフライホイールエネルギー貯蔵手段にトルクを結合する。しかしながら、回転シールは漏れが不可避であり、漏れにも関わらず真空を維持するために真空チャンバに結合される環境管理システムを必要とするので、回転シールは決して完全ではない。さらに、シールは経年によっておよび回転速度の増加につれて「漏れやすく」なり、また速度が高くなると急速に摩耗する。したがって、回転シールの使用は望ましくない。このような環境管理システムの質量、容積およびコストは望ましくない。
真空チャンバの壁を通してトルクを伝達するために、フライホイールとともに磁気カップリングを使用することができ、これによって回転シールの必要性が排除される。しかしながら、永久磁石を用いるこの種の磁気カップリングのトルク伝達能力ではトルク伝達能力が不足することが既に分かっている。
これは、所与の磁極強度に対して、二つの回転部材の磁極間を通過する磁束が二つの部材間の「空隙」によって制限されることが少なくとも一部の原因であることが分かっている。事実、空隙は、外側回転部材と真空壁の間の空隙と、真空壁自体と、真空壁と内側回転部材の間の真空隙間とを含む。真空チャンバの壁は、大気圧を十分に支えられるように構造的な強度が必要であるので、必然的にその厚さは重要であり、その結果、内側回転部材と外側回転部材の間の「空隙」が大きくなる。
既存の構成は、磁気強度を増やしてトルク結合能力を高めるために電磁極を採用することで、この制限されたトルク結合能力を克服しようとしてきた。しかしながら、電磁極を使用するにはエネルギー変換が必要であり、これはエネルギー貯蔵フライホイールの効率を低下させる(電磁石は動作に電力が必要であり、これをフライホイールに貯蔵されるエネルギーから供給しなければならないため)。さらに、電磁石カップリングに関連する追加の制御電子装置およびパワーエレクトロニクスが、この種の電磁カップリングを含むフライホイールエネルギー貯蔵システムのサイズと重量を顕著に増大させ、これによって、質量および容積の両方の観点で、この種のフライホイールエネルギー貯蔵システムのエネルギー貯蔵密度をさらに低下させる。したがって、質量、容積およびエネルギーの観点で効率的である、真空チャンバ内で動作するエネルギー貯蔵フライホイールにエネルギーを結合する方法が必要とされる。
既存のフライホイールの別の問題点は、フライホイール自体が高角速度で回転可能でなければならない一方、フライホイールを(エンジンまたはトランスミッションなどの)エネルギー源またはシンク、および真空チャンバの外側にある関連部品に常に結合する駆動シャフトが、空気抵抗(または「ウィンデージ」)に関連する損失を被ることである。
磁気歯車は磁石(例えば永久磁石)配列と固定磁極片とを使用して、回転部材、例えば駆動シャフト同士の間でトルクを伝達する。それらは、従来の機械歯車と比べると摩耗が少ない。しかしながら、それらのトルク伝達能力は互いに対しての磁石の回転位置に依存しているので、シャフトが回転すると伝達能力が変化する。例えば、角度位置に対するトルク伝達能力をグラフ上にプロットすると、トルク曲線に大きな山と谷が表れることがある。これは「コギング」として知られており、望ましくない一連の特性につながる。
第1に、トルク曲線の山と谷は、かみ合い位置とともに変化する「同期外れ(pull-out)」トルクを有する磁気歯車の原因となる。すなわち、歯車がかみ合いから外れてスリップする前に必要なトルクが、回転かみ合い位置に応じて変化する。したがって、所与の水準のトルクを伝達するためのこのような歯車対は、トルク曲線の(図26の約20Nmのところで示されている)一つの谷によって表されるような最小のトルク結合能力が設計トルク操作数値よりも大きくなるように設計されなければならない。このため、磁石配列は適切により大きなサイズでなければならず、これは通常、特定のかみ合い位置で過度のトルク結合能力が生じることになり、非効率である。このように、磁石配列は、トルク曲線が平均トルク取り扱い能力に近接する場合に必要となるよりも、通常は大きなサイズにされる。これによって磁石のコストおよびサイズが増加し、そのような磁気歯車を含むフライホイールのエネルギー貯蔵密度を低下させる。
さらに、磁気歯車の入力軸と出力軸の間の角度オフセットは、付与されるトルクと、所与のかみ合い位置におけるトルク結合能力とにしたがって変化するので、トルク結合能力がかみ合い位置とともに変化する場合、軸にねじり振動が発生することになる。このようなねじり振動は、関連する機械部品の寿命を低下させたり、故障の原因となったり、および/またはかみ合わせ不良になったりすることがある。ねじり振動の周期が機械システムの共振と一致するような回転速度である場合、これは特に深厚な問題である。したがって、トルク曲線内の山と谷の間の変動を軽減または排除できると有利である。これによって、平均トルク結合能力に対して最小トルク結合能力が大きく近づくので、より小型で安価な磁石配列を使用できるようになる。軸のねじり振動が軽減され、より安価で軽量で小型の部品を使用できるようになる。このような小型で安価で軽量の部品を採用するフライホイールエネルギー貯蔵システムは、さらに高いエネルギー貯蔵密度を有する。
本発明は特許請求の範囲で示される。
本発明の第1の態様では、添付の特許請求の範囲の請求項1で規定されるフライホイールのバランスを取る方法が提供される。
本発明の第2の態様では、添付の特許請求の範囲の請求項16で規定される装置が提供される。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
既知のフライホイールの説明である。 本発明の一実施形態の等角図である。 図2の実施形態の断面図である。 シャフト構造の図である。 巻線パターンの詳細図である。 シャフトでの巻線の図である。 代替的なリムでの巻き付け方法を示す図である。 警告リングが組み込まれたフライホイールの断面図である。 図8の実施形態の側面図である。 警告リングが組み込まれた別の実施形態の図である。 図10の実施形態の側面図である。 警告リングを有するさらに別の実施形態の図である。 図12の実施形態の側面図である。 警告リングが組み込まれたさらに別の実施形態の図である。 真空チャンバの内部に構成されたフライホイールの図である。 図15のフライホイール断面図である。 磁気カップリングの一種を示す図である。 カップリング要素を有する磁気カップリングを示す図である。 遊星磁気歯車カップリングを示す図である。 図18Aのカップリングの一部の拡大図である。 一連の三つの位置を通って回転するときの図18Aのカップリングの一部の連続図である。 一連の三つの位置を通って回転するときの図18Aのカップリングの一部の連続図である。 一連の三つの位置を通って回転するときの図18Aのカップリングの一部の連続図である。 真空チャンバ壁に組み込まれたときの、図18Aに示したような磁気カップリングの断面図である。 ねじれた(staggered)磁極を含む磁気歯車カップリングを示す図である。 ねじれた磁極を含む遊星磁気歯車カップリングを示す図である。 広がったカップリング要素を含む遊星磁気歯車カップリングを示す図である。 ねじれカップリング要素と広がりカップリング要素とを含む逆回転磁気歯車アップリングを示す図である。 遊星磁気歯車カップリングを含むフライホイールの断面図である。 トルクカップリング能力対ギアかみ合い位置の二本の曲線を示すグラフである。
概要として、本明細書で述べる装置および方法は、フライホイールエネルギー貯蔵デバイスに関する。デバイスの構築に使用される材料が慣性上効率的な態様で配置され、支持構造が張力を受ける。質量要素を備えるリムは、例えば圧縮締まりばめによって内面に保持されるのではなく、駆動伝達要素の周りを通る巻線によって外面の適切な位置に保持される。
他の実施形態では、支持要素がリムを取り囲んで遠心力に対抗し、またねじりコンプライアンスを有するかまたは弾性のあるシャフトなどの駆動伝達要素を設けることができる。
巻線は以下で述べるように多くの方法で構成することができ、また巻線にプレテンションを与えることができる。駆動伝達要素は、巻き付けられたカーボンファイバーで構成される中空のシャフトであってもよい。リムは円周支持部材(支持要素とも呼ばれる)を備えてもよく、また支持部材の半径方向内側に取り付けられた質量要素を備えてもよい。
実施の形態では、例えば巻き付けられたカーボンファイバーと樹脂などの複合材料でリムが構成されてもよい。質量要素は、強化要素の中に圧入されたり成型されたリングであってもよい。代替的に、質量要素は、鋳造、ドリル、プレス、または強化要素の内側への接着取り付けによってリムの中に組み込まれた一つ以上の高密度要素であってもよく、これらがチェーン状に連結されていてもよい。
駆動伝達要素は例えば中空のシャフトであってもよく、巻き付けられたカーボンファイバー複合材料で形成されてもよい。複合材料は、シャフトの曲げおよびシャフトのねじりの両方がファイバー長さの変化を生じるような方向に配向されたファイバーを用いて巻き付けられてもよい。したがって、これらの変形は、長さの変化に抵抗するファイバーの自然傾向によって抵抗を受ける。これにより、ねじり動作に対してコンプライアンスを有するようにシャフトを形成することができる。
警告リングまたは指標リングをフライホイールのリムに取り付けることができる。警告リングまたは他の部品のうち少なくとも一方が、十分に大きな遠心力の下で他方に対して移動、膨張、収縮、変形または歪むように、フライホイールを構成することができる。これは、例えば組立体を不釣り合いにするなどして組立体の回転に影響を与えうるものであり、これを監視または検出することで過負荷を示唆することができる。
警告リングまたは指標リングはフライホイールに組み込まれて回転時に異なる挙動をするので、フライホイールが望ましくない回転速度に達すると、検出器が異なる挙動の結果、例えばフライホイールの不釣り合いを検出することができる。
指標リングは締まりばめでフライホイールに取り付けられてもよく、支持部材または駆動伝達要素(例えばシャフト)のいずれかによって支持される。リングは、円周方向に巻かれたファイバー(例えばカーボンファイバー)で構築されてもよいし、またはフープ(hoop)状で十分な強度を持ち、最大設計フライホイール速度で損傷することなく回転可能であり、後述する適切な剛性を有する別の材料であってもよい。支持部材に取り付けられる場合、支持部材の半径方向内側または外側にリングを配置することができる。リングを支持部材の半径方向内側に配置するとき、リングは、支持部材の剛性と実質的に等しいかまたはそれ以上の剛性を有する。リングを支持部材の半径方向外側に配置するとき、リングは、支持部材の剛性と実質的に等しいかまたはそれ以下の剛性を有する。支持部材は円周方向に巻かれたファイバー、例えばカーボンファイバーを備える。駆動伝達要素(例えばシャフト)に取り付けられる場合、リングは、駆動伝達要素の剛性と実質的に等しいかまたはそれ以下の剛性を有する。
フライホイールが静止しているとき、締まりばめのためにリングとその取り付け部(例えば支持部材)との間にプレロードが生じる。フライホイールが予め定められたトリガ速度でまたはこれを越えて回転するときに、遠心力が実質的にプレロードに打ち勝ってリングと支持部材とが分離するように、プレロードの水準およびリングとリング取り付け部との比剛性が選択される。一般に、剛性の小さい部品は、より剛性が大きい部品よりも伸張し「成長(grow)」する傾向がある。しかしながら、注目すべきは、リングとその取付部とが実質的に等しい剛性を有する場合、それにも関わらず二つの部品は回転時に分離する傾向にあることである。なぜなら、回転軸から半径が大きい位置にある部品にはより大きな力が働くからである。半径方向の位置と材料の剛性とを組み合わせることで、所望の所定速度で分離するように調節することができる。所定速度は、フライホイールの損傷が予想される速度よりも小さくなるように選択される。リングは圧入によって取付部に固定され、この結果、接触境界で不均一な応力分布が発生する。
図2および図7を参照すると、高い慣性を効率的に得るために、例えば比較的重い材料のリングで構成される質量要素(10)を備えるリム(50)が、中央回転軸(20)を与えるシャフト(60)などの駆動伝達要素から、フライホイール(30)のサイズと比較して大きな半径に配置される。質量要素(10)は、慣性を効率的に与えるために高い密度を有する。適切な材料は、例えば鉛、鋼鉄であってもよいが、他の材料も使用可能である。質量要素(10)は、フライホイール(30)の回転時に応力を受けるが、この応力は遠心力によって引き起こされる。
質量要素の半径方向外側には外側円周支持部材(40)が配置される。支持部材(40)は高いフープ強度を有し、フライホイール(30)の回転時に質量要素(10)に作用する遠心力に対抗することができる。支持部材(40)は、フープに高い強度を与えるために、円周方向に巻かれたカーボンファイバー複合材料であることが好ましい。図示の実施形態では、支持部材(40)と質量要素(10)が効率的に接合されてリム(50)を形成するように、わずかな締め付けのプレロードで支持部材(40)が質量要素(10)の上に押し付けられている。プレロードはフライホイールの静止時に二つの要素を締まりばめで保持する機能を有するに過ぎないので、プレロードは小さくてよい。代替的に、二つの要素は接着剤または類似物で接合されてもよい。質量をフライホイールのリムの近傍に集中させる効率的な質量配置によって、所与のエネルギー貯蔵能力に対して軽量のフライホイールが得られる。図2に示した質量要素は連続リングであるが、代替的に、質量要素が別々のリング部分であってもよいし、または不連続の質量要素であってもよい。例えば、図7に示す代替的な構成では、支持部材(40)の受け入れ穴の中に、リングとしてまたは不連続要素として質量が挿入されるか成形されてもよい。
図2、5および6を参照すると、巻線がリム(50)をシャフト(60)に結びつけている。シャフト(60)からリム(50)に延びる実質的または部分的な半径方向部分(80)と、リム(50)の周りに延びる実質的に軸方向の部分(90)とを含むように、巻線が構成される。図示の実施形態では、巻線は、以下のように進行する巻線操作で巻き付けられたフィラメントである。すなわち、シャフト(60)からリム(50)への半径方向部分、「スリング」を形成するためにリム(50)の上を通る軸方向部分、そしてリム(50)からシャフト(60)へと戻る半径方向部分が繰り返し形成される。巻線(87)は、いくつかの操作の間にシャフト(60)の円周を少なくとも部分的に通過してもよいが、巻線操作の繰り返し過程の全てで通過する必要はない。巻線(80、90)は、遠心力によってリム(50)が伸びるとわずかに伸張し、リムに対抗力を生じさせる。これによって巻線(80、90)は、質量要素(10)に作用する遠心力に抵抗し、またリム(50)の半径方向の伸びに抵抗することで、リム(50)の支持部材(40)を補助する。巻線(80、90)は、カーボン、グラスファイバー、ケブラー、ザイロンまたはナイロンを含むファイバーで作られてもよいし、応力の小さい金属ワイヤで作られてもよい。結果として、中心支持部またはスポークなどの、より重い取付部を配置する必要がなくなる。
質量要素が延性のある材料または展性のある材料である実施形態では、以下の方法による製造の間、支持部材(10)と巻線(80、90)に対してプレテンションを与えることができる。駆動伝達要素(60)とリム(50)とが巻線によって結合され、リム(50)が質量要素(10)と外側支持部材(40)とを含むフライホイールが、本明細書で上述した方法で組み立てられる。この段階では、内側に加えられるプレロードは必要ないか、または無視できる程度である。続いて、質量要素(10)にかかる遠心力がフライホイールの最大引張強度以下の力を発生させるような十分に高い角速度でフライホイールが回転される。その結果、質量要素(10)が外側に押し戻され、その円周が増加する。質量要素(10)の円周の増加は、質量要素(10)と支持部材(40)の間の締まりばめを強固にし、これによって支持部材(40)を引き延ばしプレテンションが与えられ、また巻線(80、90)を引き延ばしプレテンションが与えられる。遠心力下での質量要素(10)の変形傾向が支持部材(40)の変形傾向よりも大きくなるように、質量要素(10)のヤング率は支持部材(40)のヤング率よりも小さな低から中程度である。この操作の結果、支持部材(40)と巻線(80、90)の両方にプレテンションが与えられる。このようにすると、巻線を追加する前に締まりばめによって質量要素(10)を支持部材(40)にフィットさせることで支持部材(40)のみにプレロードが与えられる結果と比較して、支持部材(40)と巻線(80、90)の両方にプレテンションが与えられる。他の実施形態では、上述の方法を用いて支持部材のみにプレテンションを与えることができる。
他の実施形態では、水銀などの極めて低いヤング率を有する材料が質量要素(10)を構成する。鉛などの密度の高い液体を使用すると、質量要素(10)が自動で平衡を保つフライホイールが実現する。支持部材(40)は、支持部材(40)の半径方向内側に質量要素(10)を拘束する。
質量要素(10)の構成に用いられる適切な延性材料または展性材料は、それらの降伏強度の第1点と比較して大きな最大引張強度を有しており、材料の最大引張強度を越えるというリスクを冒すことなく、上述の製造工程の間にその材料の降伏点を越えうる十分に大きな延性領域を定義する。降伏強度対最大引張強度の適切な比率は、約1:2である。質量要素(10)に用いられる材料は、フライホイールの他の部分(例えば、外側支持部材(40)と巻線(80、90))の破壊が避けられるような適度のフライホイール速度で越えることができるような、十分に低い降伏第1点を有している。材料は以下のような特性も有している。すなわち、プレロード過程を生じさせる遠心力によって質量要素(10)に十分大きな円周方向の変形が生じ、通常動作中に遭遇する典型的な回転速度で回転しているときに、支持部材(40)と巻線(80,90)の変形が、質量要素(10)に作用する遠心力と十分に対抗できるプレロードを生じさせるような特性である。
質量要素(10)に延性がなく上述の方法を用いてプレロードが与えられない実施形態では、質量要素の最大引張強度が支持部材(40)の最大引張強度と近く、質量要素(10)の降伏強度が支持部材(40)の最大引張強度と可能な限り近いことが好ましい。
図5を参照して、シャフト(60)からリム(50)までの巻線部分(80)の角度は、シャフト(60)とリム(50)の間でのトルク伝達特性を決定するように選択されてもよい。使用される角度は、i)シャフト円周に対する接線と、ii)シャフト円周に対して直角の間で選択されてもよい。シャフト(60)に対して直角に近い角度を選択すると、質量要素(40)に作用する遠心力に対抗するという巻線(80)の貢献が強化される。シャフト円周に対する接線に近い角度が選択されると、リム(50)とシャフト(60)との間での巻線(80)のトルク伝達性能が強化される。巻線のなす貢献を最適化するために、上述の角度範囲内で妥協した角度を選択することができる。巻線(80、90)は引っ張られているときにのみトルクを伝達することができるので、半径方向巻線部分(80)を時計回り方向(85)および反時計周り方向(86)の両方で構成することができる。この結果、フライホイールが加速されているか減速されているかに応じて、時計回り巻線部分(85)または反時計回り巻線部分(86)のいずれかが引っ張られた状態になる。さらに、引っ張り支持の強度を変えるために、その周囲に巻線が配置されるシャフトに沿った軸方向部分を変更することができる。
図2を参照して、巻線(80、90)の巻数と、その結果としての強度を変更することができる。同様に、カーボン支持部材(40)内のファイバーの巻数も、その強度を変えるために変更することができる。質量要素(10)に作用する遠心力に対する反作用は、支持部材(40)からの反作用と巻線(80、90)からの反作用の組み合わせである。それぞれの要素からの相対的な貢献は、巻線(80、90)の巻数と、支持部材(40)の巻数とを変えることで変更することができる。一態様では、支持部材(40)を完全に取り除いて、質量要素に作用する遠心力に対して巻線(80、90)のみによって対抗させてもよい。さらに、巻線は全周で連続的に延びてもよいし、あるいは個々のファイバーまたはファイバー群の間が円周方向にあるギャップで中断されてもよい(「スポーク(spoke)状の」構成となる)。例えば、質量要素が複数の不連続な要素である場合、リム(90)における巻線と不連続な質量要素とを揃えるようにしてもよい。
図3を参照して、シャフト(60)であってよい駆動伝達要素上のキャリア部(70)によって、リム(50)が少なくとも一時的に支持される。キャリア部は、フライホイール全体の質量を低下させ質量を周縁部に集中させるために、軽量の材料で作られることが好ましい。キャリア部は、例えば、木、ろう、樹脂、または他の軽量材料で作られてもよい。キャリア部によって、製造中に巻線を付けている間に駆動伝達要素上にリムを取り付けることが可能になる。巻線をリムおよび駆動伝達要素に貼り付けた後、腐食、溶解、融解または昇華によってキャリア部を取り除いてもよいし、取り除き可能としてもよい。
巻線とキャリア部はリムと比較すると軽量であるので、フライホイールの質量の大半がリムの近傍に位置し慣性的に効率が最も高くなるように、質量要素を備えるリムを有するフライホイールを構成することができる。キャリア部(70)は、シャフト(60)および/またはリム(50)に接着されてもよい。
図4を参照して、シャフト(60)は中実であってもよいが、その質量を減らすために中空であることが好ましい。シャフトは、ねじりコンプライアンスを有しつつ軸方向に堅くなるように編まれたカーボンファイバー複合材料であることが好ましい。しかしながら、シャフトは、ガラス繊維、鋼鉄、チタン、他の金属または複合材料などの他の材料で作られてもよい。ファイバー複合材料のシャフトの場合、ファイバーの編みパターンは、曲げおよびねじりに対する抵抗の度合いに影響を及ぼすように変更したり、またシャフトのねじりコンプライアンスを微調整するよう変更したりすることができる。シャフトは、その上にプレスされるか接着された一つ以上の軸受け面(65)有していてもよい。一つ以上の軸受け面(65)が駆動カップリング(66)を含んでいてもよいし、あるいは別の駆動カップリングをシャフト上に接着するかプレスしてもよい。シャフトのねじりコンプライアンスは、駆動カップリングのピークトルクレベルを制限する効果を有している。したがって、スプライン駆動カップリングよりもピークトルク処理能力が低い駆動カップリング(例えば、摩擦カップリングや磁気カップリング)の使用が可能になる。
図3および図6を参照することで、フライホイールの製造をさらに理解することができる。巻線(80、90)は、「ウェットワインディング(wet winding)」プロセスによって形成することができる。このプロセスでは、例えば樹脂または接着剤を使用するバインダーを用いる。巻線(80、90)を形成するファイバーに樹脂または接着剤を含浸させ、樹脂または接着剤がまだ「濡れて」いる間に、すなわち樹脂または接着剤が硬化していない状態で巻線を巻き付ける。代替的に、巻線(80、90)が支持部材(40)にくっつくように、巻線(80、90)を形成する過程の前にまたはその過程の間に、支持部材(40)に樹脂または接着剤をコーティングしてもよい。同様に、巻線(80、90)がシャフト(60)にくっつくように、巻線過程の前にまたはその過程の間に、シャフト(60)に樹脂または接着剤をコーティングしてもよい。これらの技術により、シャフト(60)とリム(50)の間でのトルク伝達が強化される。代替的に、巻線(80、90)、シャフト(60)およびリム(50)の間で締まりばめを使用してもよい。
図7を参照して、巻線(80、90)と支持部材(40)を別々の巻かれた要素として述べてきた。しかしながら、例えば巻線(80、90)のターンと支持部材(40)のターンとを交互に配置することによって、両方の要素を組み合わせることが可能である。また、最初に支持部材(40)を形成し、支持部材を通る穴を形成し、その後に支持部材(40)内の穴(45)を通して巻線部分(80、90)を有する巻線(80、90)を形成することも可能である。支持部材(40)に接触する巻線(90)の部分内で応力を分散するために、支持部材(40)の形状は半球状またはパラボラ状であってもよい。任意のなめらかな断面外形形状が適切であると考えられる。
図2ないし図5を参照して、キャリア部(70)へのアクセスを維持するように、リム(80、90)の巻線部分の間に空間を残してもよい。キャリア部(70)は、巻線(80、90)が形成された後に、適切な位置に残されてもよいし、あるいは爆破、腐食、溶解、融解または昇華によって取り除かれてもよい。キャリア部は、例えばセラミック、樹脂、ろうまたはこの動作を可能とする他の適切な材料で作られてもよい。キャリア部(70)を取り除くことで、慣性的に効率の悪い質量の比率がさらに低い、さらに軽量のフライホイールが実現される。キャリア部を取り除いた場合、巻線は、駆動伝達要素上のリムを支持する唯一の実体手段となる。
代替的なアプローチでは、フライホイールは、フープ強度を与える円周方向支持部材と、巻線の代わりに従来の中心支持部を用いて取り付けられたリングとを備えるように構成することができる。
使用時に、フライホイールは、エネルギーの貯蔵または安定などの他の目的のために車両または任意の他の適切な設定に取り付けることができる。また、フライホイールは、駆動伝達要素を介して、必要に応じてモータ、エンジン、発電機などの駆動供給部品または駆動受け取り部品に対して結合または分離することができる。
警告リングまたは指標リング(800)を有するフライホイール(30)の第1実施形態を示す図8および図9を参照すると、支持要素(40)の外周に警告リング(800)が取り付けられていることが分かる。警告リング(800)は、締まりばめを用いて支持要素(40)の半径方向外側に取り付けられ、典型的に適所に押し込まれている。警告リング(800)と支持要素(40)との間の締まりばめにより、フライホイール(30)の静止時に二つの部品の間にプレロード力が発生する。支持要素(40)への警告リング(800)の組み付けにより、二つの部品の間に不均一な残留応力が発生する。巻線(80)は、警告リング(800)、支持要素(40)および質量要素(10)の周りを通過する。フライホイールは、回転時の振動を避けるために精密にバランスが取られている。製造時に、警告リングを適所に有した状態で釣り合いが取れるように、警告リングが組み付けられた後にバランス取り操作が実行される。
図8および図9に示すように、巻線(80)は警告リング(800)と支持要素(40)の周りを通過する。こうして、巻線は、支持要素(40)から離れようとする警告リングの傾向に対抗して、支持要素(40)と接触した状態に警告リング(800)を保持する。しかしながら、警告リング(800)、巻線(80)および支持要素(40)の剛性を適切に選択することによって、遠心力下で警告リング(800)が支持要素(40)から離れて半径方向に移動(すなわち増大)できるようにすることができる。(図10および11に示すような)別の実施形態では、支持要素(40)の外側および巻線(80)の半径方向外側に、警告リング(800)が押し付けられる。
図8ないし11に示す実施形態では、動作時にフライホイールが回転すると、支持要素(40)が増大する量よりも大きな量だけ(遠心力下で)警告リング(800)が半径方向に増大するように、警告リング(800)は支持要素(40)よりも小さなヤング率を有する(剛性が低い)。その結果、遠心力が十分な大きさになると分離する。警告リング(800)の周りを巻線が通過する図8および図9の実施形態では、フライホイールの回転時に、警告リング(800)と巻線(80)が支持要素(40)よりも増大するように、警告リング(800)と巻線(80)の剛性が共に十分小さくなっている。警告リング(800)は質量要素(10)を実質的に支持しないので、警告リング(800)は、支持要素(40)と比較して相対的に小さな強度を有する軽量のリングであるだけでよい。
警告リングが膨張すると、警告リング(800)と支持要素(40)の間のプレロードが緩和する。(締まりばめによるプレロードの量および警告リングと支持要素の剛性比によって予め定められた)トリガとなる回転速度または遠心力の大きさになると、プレロードが克服され、警告リング(800)と支持要素(40)は少なくとも部分的に分離する。この分離は、例えば不均一に生じる傾向がある。その理由は、締まりばめは接触境界において不均一な応力分布を有しているので、中心を外れた移動および回転質量内の不釣り合いを生じさせるからである。さらに、支持要素(40)に対する警告リング(800)の移動によって、警告リング(800)と支持要素(40)の間の不均一な残留応力が少なくとも一部解放される。この移動により、(製造時に精密にバランス取りされた)フライホイールが、少なくともわずかにバランスのずれた状態になる。残留応力の解放により生じるこの不釣り合いは永続的なものであり(すなわち、フライホイールの再バランス取りを行うステップを少なくとも実行するか、これに加えて、不均一な残留応力を回復させて、プレロードが再び克服されるときにフライホイールのバランスをずらす能力が回復するように、支持要素から警告リングを取り外し再取付をする選択的なステップを再バランス取りの前に実行することによって、フライホイールを少なくとも部分的に再製造しない限り、不釣り合いは永続的である)、機械的な「ヒューズ」が動作した証拠とみなすことができる。
この結果生じる不釣り合いにより、フライホイールの回転時に振動が発生し、この振動を振動センサで検出して、過度のフライホイール速度であることの示唆を与えることができる。この示唆は、例えばフライホイール速度センサから導かれるあらゆる示唆とは別個のものである。適切な振動センサの例は、圧電式の加速度計である。こうして、メインのフライホイール速度センサが故障した場合でも、フライホイール速度が過度であることを示す独立かつ別個の示唆が提供される。さらに、示唆が永続的であるので、フライホイールがある時点でその設計速度を上回って動作したことがあり、将来のある時点で故障する可能性があることを表している。
図10および図11に示す第2実施形態では、警告リング(800)は巻線(80)の外側を通過し、同様の効果が得られるように剛性比が選択される。
図12および図13に示す別の実施形態では、警告リング(800)は、支持要素(40)の半径方向内側に締まりばめによって取り付けられる。この実施形態では、支持要素(40)と警告リング(800)の間に質量要素(10)が挟まれるが、別の実施形態では、上述したように質量要素(10)を支持要素(40)に組み込むことができ、または質量要素(10)と支持要素(40)の間に警告リングを間置することができる。これらの実施形態では、警告リング(800)は支持要素(40)よりも高いヤング率を有する(剛性が高い)。
動作時にフライホイールが回転すると、支持要素(40)は、警告リング(800)よりも大きな量だけ半径方向に増大する(遠心力下で)。上述の実施形態と同様に、警告リング(800)と支持要素(40)の間のプレロードは遠心力によって克服され、警告リング(800)の移動が可能になる。支持要素(40)が半径方向に増大して支持要素内の空間が警告リング(800)の外径よりも大きくなると、警告リング(800)は支持要素(40)内で中心をずれて移動可能になり、不釣り合いが生じる。さらに、(支持要素の中心に警告リングを押し込む製造時の圧入組み立て動作により残留する)不均一な残留応力の影響下で、遠心力がプレロードに打ち勝つと、警告リング(800)は支持要素の内側を移動する。これによってフライホイールが永続的に不釣り合いの状態になり、振動が起こる。上述したように、センサによって振動を検出して警告表示として使用することができる。
さらに別の実施形態では、警告リング(800)は、プレロードを生み出す締まりばめを用いて駆動伝達要素(例えばシャフト)内に圧入される。上記と同様に、フライホイールは精密にバランス取りされている。警告リング(800)はシャフト(60)よりも剛性が小さく、フライホイールの回転時にシャフトよりも半径方向に大きく増大する。所定の速度でプレロードが克服され、シャフト上で警告リング(800)が移動できるようになる。この結果、不釣り合いが生じ、この不釣り合いを機械的損傷の前に検出することができる。
上述したように、フライホイール速度がトリガ速度を超えると不釣り合いになる意図的な製造を行い、これによって生じる振動を検出することで、フライホイールがその最大安全動作速度を上回って動作中であるかまたは動作したことがあることを警告する。この警告は、主要なフライホイール速度監視システムとは別個に判定することができる。そのため、主要な速度監視システムが故障した場合にフライホイール速度の超過を示唆する第2のフェールセーフ表示を提供する。過負荷を意味する不釣り合いのレベルを検出器に設定することによって、または警告リングおよび/または他のリム部品の相対的な特性を修正することによって、またはこれらの任意の組み合わせによって、過負荷の検出を作動させられることに注意されたい。警告リングの全てまたは一部が分離するとき、または相対的な移動/寸法の変化が分離可能な不釣り合いまたはしきい値を上回る不釣り合いを作り出すのに十分であるとき、速度超過を示唆するようにシステムを調整することができる。
警告リング(800)が巻線(80)によって包囲される実施形態は、フライホイールがトリガ速度よりも速い速度で動作する場合、支持要素(40)から警告リングが緩まる結果、警告リング(800)が巻線(80)の内部に収納され、警告リング(800)が完全に分離するという危険がないという利点を有する。
上述した構成の結果、より強力で、安全かつ効率的なフライホイールが得られることが理解されるだろう。
このようなフライホイールの釣り合いを取る方法について説明する。図15を参照して、真空チャンバ(1550)の内部にフライホイール(30)を配置することができる。抵抗(または「ウィンデージ」)に関連する摩擦損失/過熱を軽減することができるので、真空中でのフライホイールの操作は有利である。製造中にフライホイールに対して実行される釣り合い操作、および/またはフライホイールの組立に用いられる方法における不適切さの結果、フライホイールリム(50)は表面の凹凸(1630)を必然的に有している。上述したように、これらの凹凸のためにフライホイール(30)の回転バランスが不完全になることが分かっている。
図示の実施形態では、真空チャンバ内でフライホイールが回転可能となるように、フライホイールはベアリングによって真空チャンバ(1550)内で支持されている。真空チャンバは、大気圧と真空チャンバ内の圧力との間の圧力差によって生じる力に耐えられる封止チャンバである。真空チャンバの壁は、チャンバ内の真空に抗して大気圧を支えるのに十分な強度となるように十分な厚さに作られている。真空チャンバは、少なくとも一つの気体入口(1520)と気体出口(1510)とを含む。選択的に、気体入口と気体出口は単一ポートとして組み合わされてもよい。気体入口と気体出口はそれぞれ、真空チャンバの内部と連通する。
カップリング(1566、1567)は第1部材と第2部材からなり、回転駆動シャフト(1570)とフライホイールシャフト(60)の間でトルクを結合するように構成される。第1部材(1566)はフライホイールシャフト(60)と結合され、第2部材(1567)は駆動シャフト(1570)に結合される。フライホイールシャフト(60)はベアリングに支持され、既に述べたような手段によってフライホイールリム(50)に接続される。フライホイールリム(50)は、製造時に機械加工、穴開け、または研削によって精密にバランス取りされることが好ましい。本実施形態におけるフライホイールリム(50)は、上述したように、円周方向に巻かれたファイバーと樹脂とを用いて構成される複合材料である。リムは放射状のファイバーによってシャフト(60)に結合され、フライホイールシャフト(60)からフライホイールリム(50)にトルクを伝達することができる。
駆動シャフト(1570)は真空チャンバの外側でベアリングによって支持され、回転可能である。フライホイールシャフト(60)と駆動シャフト(1570)は、両者の間に配置された真空ハウジング(1550)の壁と近接して二つのカップリング部材(1566、1567)が配置されるように支持される。カップリング部材(1566、1567)と真空チャンバ壁(1550)の間の「空隙」を最小化するように、カップリング部材が配置される。「空隙」という用語は、二つのカップリング部材(1566、1567)の間の隙間全体を一般に述べるために用いられる。真空チャンバは、任意の周知の方法(例えば鋳造、機械加工など)で作成することができる。
図16を参照して、入口ポート(1520)および出口ポート(1510)にはバルブ(1610、1620)が組み込まれるかまたは取り付けられる。操作時に、真空チャンバ(1550)の内部を大気から選択的に封止するように、または真空チャンバ(1550)の内側と大気の間を連通可能とするように、バルブを開閉することができる。出口ポートを(図示しない)真空ポンプに接続することができる。
使用時に、真空チャンバ(1550)の内側から大気圧である入口ポート(1520)を分離するように入口弁(1620)を閉じることによって、大気圧から真空チャンバが封止される。出口弁は、典型的に、高真空を作り出すことができる真空ポンプに接続される。真空ポンプに接続される出口ポート(1510)を真空チャンバ(1550)の内側と連通させるように、出口弁(1610)が開弁される。続いて、真空チャンバ(1550)が高真空となるまで真空ポンプが駆動される。好ましくは、この真空は1mbar、典型的には10−2mbarより低い。続いて、カップリング(1566、1567)を介して駆動シャフト(1570)からフライホイールシャフト(60)にトルクを付加することによって、フライホイール(30)を回転させる。これは順にフライホイールリム(50)を回転させる。音速(マッハ1)を越える速度でリム(50)の表面が移動するような速度でフライホイールが回転する。フライホイールの表面速度は「先端速度(tip speed)」とも呼ばれる。上述したように、この動作の前に、(費用制約内で)実用的に高い程度まで、または機械的損傷の危険なしにそのような速度でフライホイールを回転させるのに必要な高い程度まで、研削、穴開けまたは機械加工などの機械的操作によってフライホイールのバランス取りがなされている。
次に、少なくともマッハ1の周囲速度でフライホイールが回転している間、ある量の気体を真空チャンバに進入させるように入口弁(1620)が開弁される。この気体は、窒素などの無反応気体であることが好ましく、また、アセンブリ内への湿気の進入を避けるために、乾燥気体、すなわち相当量の水蒸気を含まないことが好ましい。気体が単純な空気以外の何かである場合、最初に入口ポートをその気体の適切な供給源に接続する必要がある。収容される気体の量は、10−1mbarよりも実質的に高い圧力、例えば0.5barと等しい圧力まで真空を実質的に減少させるのに十分である。1barは良く機能する。気体進入の速度は重要でないことが分かっている。
真空チャンバ(1550)内に気体を収容すると、表面の凹凸(1630)と真空チャンバ(1550)の壁との間の気体に衝撃波が生じる。衝撃波および表面の凹凸(1630)と気体との間の摩擦が、表面の凹凸(1630)を蒸発、融解、昇華、腐食または摩耗して凹凸の大きさを減らす。これによって、フライホイール(30)の釣り合いが、機械加工、穴開けまたは研削のみによって得られる程度よりも高次の釣り合いへと改善される。
さらに、フライホイールは、最大安全動作速度に合わせて通常は設計される。製造中に、このようなフライホイールは、設計された最大回転速度に耐えることが証明されなければならない。これは、通常、設計速度に2の平方根を乗じた値と等しい速度でフライホイールを回転させることによって行われる。特に複合材料のフライホイール構成タイプでは、この大きな速度での回転をフライホイールが持ちこたえた場合、寿命が続く限り常に設計速度での動作を耐え抜くであろうことを安全に保証することができる。この証明操作と上述のバランス取り操作とを組み合わせるとさらに有利である。
気体収容の速度は重要であるかどうか分かっていない。気体収容後、フライホイールを減速して停止させることができるが、10秒から60秒の間、典型的には15秒間、少なくともマッハ1の先端速度でフライホイールを回転させ続ける。これは、表面の凹凸を除去しつつ、フライホイールリムの過熱を避けるのに十分な長さであることが分かっている。一実施形態において、フライホイールが停止に至るまでに要する時間は約3分である。真空チャンバ全体で気体密度は均質ではない。フライホイール部品と気体との反応を避けるために無反応性の気体が好ましい。マッハ1を越える先端速度でフライホイールが回転すると、発生する超音速の衝撃波によって、亜音速のフライホイール速度を用いる場合よりも遙かに好ましい釣り合い効果が実現される。
実施形態では、真空を分離する回転シールが必要となるのを避けるために、例えば磁気カップリングを使用することが望ましい。図17Aは、二つの回転シャフト(60、1570)を結合するための従来技術の磁気カップリングを示す。シャフトはそれぞれ、交互の磁極配列を有するカップリング部材(1766、1767)と結合されている。二つの配列は互いに近接して配置され、その結果、空隙(できるだけ小さいことが好ましい)を介して一方から他方へと磁束が通過できるようになっている。こうして、一方のシャフトから他方のシャフトへとトルクを有効に伝達することができる。
これは、トルクを伝達するために二つのカップリング要素(1766、1767)を接触させる必要がないので、フライホイールの用途において特に有用となり得る。真空チャンバ(1550)の壁をカップリング要素(1766、1767)の間に配置することができ、これによって、真空チャンバ(1550)の内側のフライホイール(30)と、真空チャンバの外側の駆動シャフト(1570)との間でトルクを結合することができる。これにより、上述したように、回転シールを用いることなく真空チャンバを封止可能となる。損失に関連する空気抵抗(ウィンデージ)を避けることができるので、真空中でのフライホイールの運動は有益である。フライホイールが超音速で動作する場合はさらに重要なものとなる。真空は、超音速衝撃波および/または空気との摩擦による過熱を回避する。しかしながら、真空チャンバ壁の厚さはカップリング要素(1766、1767)の間の空隙の一部を形成するので、カップリング要素の一方から他方への磁束の通過しやすさは減少し、したがって磁束密度が減少し、結果としてトルク結合能力も減少する。以下の実施形態は、この問題を解決する。
図17Bを参照して、カップリング要素(1766、1767)の間にカップリング要素(1730)が配置される。磁気カップリング要素(1730)は(400を越える)高い比透磁率を有しており、したがって動作時に、第1部材(1766)の磁極(1710、1720)から第2部材(1767)の磁極(1740、1750)へと、またはその逆へと、磁気カップリング要素(1730)を通じて容易に磁束が通過する。カップリング要素は磁場に対して事実上「透明」である。カップリング要素(1730)は、高透磁率の材料、例えば軟鉄である。カップリング要素(1730)は、できるだけ大きな電気抵抗を有するべきである。これにより、誘起される渦電流と、電気抵抗に関連する抵抗加熱に起因する損失が減少する。明瞭さのために単一のカップリング要素(1730)が図示されているが、第1部材と第2部材(1766、1767)の間に複数のカップリング要素が配置される。最も広く間隔の空いた磁極(1710、1720、1740、1750)を有する部材(1766、1767)の少なくとも二つのN−S極ペアに広がるように、十分な数のカップリング部材が存在する。カップリング要素間の間隔は、カップリング要素(例示的な材料はプラスチック)よりもかなり低い透磁率を有する。このように構成されると、使用時に、各部材(1766、1767)の磁極から各カップリング要素(1730)を介して磁束が結合され、これによって第1部材と第2部材(1766、1767)の間でトルクが結合される。注目すべきは、使用時に、第1部材と第2部材が反対向きに回転する図17Aとは異なり、図17Bの部材は同一方向に回転することである。図17Bの第1部材と第2部材の表面は、実際に互いに反対向きに移動する。
真空封入されるフライホイール応用形態に図17Bのカップリングを組み込む場合、カップリング要素(1730)は真空チャンバ(1550)の壁の中に組み込まれる。これは、真空チャンバの壁の厚さが、第1部材と第2部材(1766、1767)の磁極間の全体の「空隙」に寄与しないという点で有利である。全体の「空隙」は、第1部材の磁極表面と真空チャンバの壁面との間の空隙と、真空チャンバの壁の厚さと、真空チャンバの壁と第2部材の磁極との間の空隙の和から、カップリング要素の厚さを減じたものである。したがって、カップリング要素は全体の空隙を顕著に減少させる。空隙が小さくなると磁束に対する抵抗が小さくなり、その結果、使用時の第1部材と第2部材の磁極間の磁束密度が大きくなり、したがってトルク結合能力が増大する。これは、真空チャンバの壁を通した磁気カップリングを使用する従来の構成に対して有利である。
所与の容積の磁性材料に対して高い磁気密度を呈するので、磁極(1710、1720、1740、1750)は希土類磁石である。磁石はより小さく、軽く、コンパクトで、より大きなトルクを伝達することができる。希土類磁石は耐圧縮力に優れていることが分かっており、したがって高速で回転するフライホイールの内周に配置するのに適している。
図18Aを参照すると、図17Bに示した磁気カップリングの同心配置実施形態が示されている。図18Aは、第2部材(1767)の同心外側に第1部材(1766)があり、両者の間に真空ハウジング(1550)が同心に配置されることを示す断面図である。真空ハウジング(1550)にはカップリング要素(1730)が組み込まれている。この同心配置実施形態では、第1部材と第2部材とが反対向きに回転する。図17Bの実施形態と共通して、部材の表面は互いに対して反対方向に移動する。
第1部材と第2部材の間の真空ハウジングの円周に等間隔配置するために必要なカップリング要素の数は、第1部材(1766)のN極/S極ペアの数に、第2部材(1767)のN極/S極のペアの数を加えたものに等しい。カップリング要素は、真空ハウジングの円周周りの特定領域に閉じ込められてもよいし、または円周に均一に分布されてもよい。カップリング要素を特定領域に閉じ込める場合、カップリング要素(1730)は、いくつかの要素が省略されることを除き、カップリング要素の全数が真空チャンバの壁の周りで等間隔に配置されるように、互いに間隔を空けて配置される。真空チャンバの壁の周囲にカップリング要素を対称的に配置して、結果として生じる合力を避けるように、理想的にはその位置が選択される。必要となるカップリング要素の最小数は、第1部材および第2部材のうちより大きな磁極間隔を有する方の二つのN極/S極ペアに広がる数である。この最小数は、部材間でトルクを伝達可能であることを保証し、第1部材と第2部材の相対的な回転方向が良好に規定される。
裏打ちの鉄(1890)が、カップリング要素と反対の磁極側に配置され、第1部材と第2部材のいずれかの磁極ペア間での磁束の伝達を助ける。さらに、裏打ちの鉄は永久磁石の寿命を延ばす。
このような同心磁気歯車カップリングは、標準的な機械加工技術を使用して、また図17Bに示した実施形態について説明した材料を使用して作成することができる。
第1部材と第2部材(1766、1767)は、同数のN極/S極のペアを有してもよいし、異なる数のN極/S極のペアを有してもよい。図示の実施形態では、第2部材は、第1部材よりもN極/S極のペアの数が少ない。動作時に、m個のN極/S極ペアを有する第1部材(1766)が反時計回りに回転すると、n個のN極/S極ペアを有する第2部材(1767)が時計回りに回転する。第2部材は、第1部材の回転速度にn/mを乗じた速度で回転する。図18Bは、真空チャンバの壁(1550)に埋め込まれたカップリング要素(1730)を介して第1部材と第2部材の磁極の間を通過する磁束線(1880)を示す。
図19Aないし19Cは、三つの位置を経た第1部材と第2部材の連続回転を示す。図19Aは、第1の位置にあるときの第1部材と第2部材の磁極間の磁束線を示す。図19Bは、上部部材が時計回りにわずかに回転し、底部部材が反時計回りにわずかに回転した様子を示す。磁束線はこれにしたがって位置を移動しており、特に磁束線(1880)が伸張している。図19Cは、上部部材が時計回りにさらに回転し、底部部材が反時計回りにさらに回転した様子を示す。磁束線(1880)は破れるほど遠くに伸びて、代わりに最も左のカップリング要素(1895)を介した通過に切り替わって新たな磁束線(1890)を形成している。磁束線がこのように一つの経路から別の経路に切り替わるとき、第1部材から第2部材に伝達されるトルクは、磁束の変化率と等しい。
希土類磁石を用いることによるさらなる利点は、単位サイズ当たりの磁束密度が大きいことから生じる。特にこのように使用されるとき、第1部材および/または第2部材の周縁に多数の磁極ペアを配置することができ、これによって磁束の変化率が増加し、トルク結合能力が増大するからである。
また、所与の強度に対する希土類磁石のサイズが比較的小さいために、第1部材上の磁極ペア数と第2部材上の磁極ペア数の比率を大きくすることができる。その理由は、小さなサイズに多数の磁石を詰め込むことができ、これによってコンパクトなサイズで高いギア比が実現されるからである。これは、空気中で運動する駆動シャフトと関連部品とがより低速で運動することができる点で、真空チャンバ(1550)を利用するフライホイール応用形態では特に有利である。これによって、ウィンデージおよび空気抵抗に関連する損失が低下する一方、真空チャンバ(1550)内のフライホイールが磁気カップリングによって駆動されてより高速で運動し、フライホイールのエネルギー貯蔵密度を増大させる。
既存のシステムは、真空チャンバ内のフライホイールを高速で回転させる一方、エネルギー源/シンクにつながる駆動シャフトを低角速度で空気中で回転させることを可能にするギアボックスを採用する。しかしながら、ギアボックスは摩擦損失を受け、コスト、複雑度、エネルギー貯蔵システムのサイズを増大させる。
図20は、フライホイール(30)の一実施形態を示す。フライホイールはリム(質量の大半を含む)(50)を有しており、シャフト(60)に取り付けられ、第1要素(1766)と結合され、真空チャンバ(1550)内に収容されている。真空チャンバはカップリング要素(1730)を含む。この実施形態では、駆動シャフト(1570)が第2要素(1767)と結合されている。駆動シャフトとフライホイールシャフトはベアリング(2010)上に支持される。第1部材と第2部材(1766、1767)はそれぞれ磁極(1710、1720、1740、1750)を有する。こうして、第1部材、第2部材および磁極を介してフライホイールに結合された駆動シャフトによって、フライホイールを真空中で高速で駆動することができる。第1部材と第2部材上の磁極ペア数が異なることによって生じるギアリング効果のために、空気中で運動する駆動シャフトはより低速で運動することが可能になり、これによって損失に関連する「ウィンデージ」または空気抵抗が低下する。
さらに、カップリング要素(1730)は磁極間の空隙を減少させ、第1要素と第2要素間で高レベルのトルクを結合するために永久磁石を使用することを可能にし、例えば仮に電磁石を使用する場合には必要となるエネルギー変換の必要性をなくしている。カップリング要素(1730)を使用することで、より効率的な構成となるために永久磁石の限定的な磁界強度でも十分な強度になるため、電磁石が不要となる。
上述した手法によると、回転シールの使用が完全に排除される。これによって、真空チャンバ(1550)内の真空を維持する環境管理装置の必要性が排除される。漏れの可能性がある回転シールを用いることなく真空チャンバが完全に封止されるので、チャンバ内の真空を永久に維持することができる。関連する環境管理装置(例えば真空ポンプ、潤滑ポンプ、関連する配管工事およびシステム、制御システム/電子装置)を取り除くことで、フライホイール貯蔵システムの重量がさらに低下し、エネルギー貯蔵密度が向上する。さらに、このより単純なシステムの信頼性が改善されコストが低下する。これによって、非常に効率的なフライホイールエネルギー貯蔵デバイスが提供される。
このカップリングは、オーバートルク状況が発生した場合、オーバートルク状況が存在しつつもカップリングは害を及ぼすことなくスリップし、その後悪影響を与えることなく通常の機能を再開するという利点を有する。さらに、アーンショウの定理(Enshaw's Law)のために、ねじりエネルギーのみがカップリングを介して伝達される。したがってカップリングは、振動に関しては軸方向および半径方向で孤立している。代替的な実施形態では、シャフトにより駆動されるかまたはシャフトを駆動可能な第3部材でカップリング要素を支持することで、さらなるギア比を実現することができる。
回転シールの排除によって、回転シールがある場合にシールの分解速度(回転速度が増加すると悪化する)が原因で実現可能である速度よりも高速でフライホイールを回転させることが可能になり、さらに、エネルギー貯蔵密度が増大する。(回転シールの必須構成である)シール潤滑流体における剪断に起因する寄生損失も、シールの排除によって減少する。
上述したように、図17Bを参照して、磁気歯車は、第1部材と第2部材(1766、1767)の回転かみ合い位置とともに変化するトルク結合能力を発揮することができる。これは、第1部材と第2部材(1766、1767)が互いに移動するとき、第1の経路(1880)から第2の経路(1890)へと(図19Cに示すように)磁束が切り替わる結果であることが分かっている。磁気歯車カップリングのトルク結合能力が変動する別の原因は、第1部材と第2部材(1766、1767)が互いに移動するとき、(一連の図19Aないし19Cに示すように)磁束経路長が変化することによるものである。磁束経路が長くなると磁気リラクタンスも大きくなり、これによって磁束密度が減少する。また、トルクは磁束の変化率に比例するので、その角度かみ合い位置における磁気歯車のトルク結合能力も同様に減少する。
図26を参照すると、特定の物理的実装について、入力シャフトの角度に対するトルク結合能力の変化を、トルク結合能力の大きな除外を表す曲線として観察することができる(約20Nm〜50Nmの間)。
かみ合い角度に対するトルク結合能力の変動(すなわち「コギング」)は、部材の各磁極を「分割部分」(2110、2111、2112、2113、2120、2121、2122、2123)に分けることによって減少させることができる。分割部分は、分割配列を形成するように移動方向に配置される。分割配列は、図21に示すように、移動方向と直交する軸に沿って並んで配置される。各分割配列は別の分割配列に対して移動方向にオフセットしており、相対位置の広がりをカバーしている。位置の広がりは、最も広い磁極間隔を有する部材のN極/S極ペアの距離を少なくともほぼカバーするべきである。位置のある範囲にわたり分割配列の相対位置が広がって(または「ずれて(staggered)」)いるので、各分割配列の磁極を、カップリング要素および他の部材の磁極とそれぞれ同時に完全に位置合わせすることは不可能である。こうして、「完全な整列」が防止される。一方または両方の部材の磁極を分割しずらすことによって、および/またはカップリング要素を分割し各分割カップリング要素部分の位置をずらすことによって、部材および/またはカップリング要素の完全な整列を防止することができる。
図21に示す実施形態では、第1部材(1766)上に四つの分割配列がある。完全な整列を防止するこの配置の結果は、図19Aないし図19Cを再び参照して、一つのカップリング要素から別のカップリング要素に、または一つの分割磁極から別の分割磁極に磁束線(1880、1890)が切り替わる位置(本実施形態では角度位置)が、各分割配列間で変化するということである。図21に示す実施形態のように、四つの分割配列が存在し、それらの分割配列が磁極とカップリング要素の完全な整列を防止すべく移動方向にオフセット(本実施形態では回転方向にオフセット)している場合、(完全な整列が可能である場合には磁界全体における遷移を引き起こすであろう)わずかな移動に対して、切り替わる磁束は分数に過ぎなくなる(本実施形態では1/4)。しかしながら、本実施形態では、アセンブリの特定の移動距離(例えば全回転)に対するこのような遷移は4倍になる。したがって、その移動に対するトルク伝達は全体では同一になるが、より連続的なものになり「コギング」を低下させる。明瞭さのために、図17Bには単一のカップリング部材のみが示されている。図21に示すように、このカップリング部材もカップリング部分(2130〜2133)に分割することができる。このようにカップリング部材を分割することで、部材の分割配列間の相互作用が減少するが、「コギング」の減少は必ずしも達成する必要はない。
次に図22を参照すると、本発明の遊星実施形態が示されている。今回は、磁極(ペア)の第1配列が移動方向に配置された第1部材を有している。カップリング要素(2130)は、第1(回転)部材と第2(回転)部材の間に同心に配置される。カップリング要素も複数のカップリング部分(本実施形態では三つのカップリング部分)に分割されている。明瞭さのために単一のカップリング要素が示されているが、複数のカップリング要素を使用して、第1部材の回りに同心のバレルを形成する。第2部材は、第1部材とカップリング要素の外側に同心に配置される。第2部材は、移動方向に配置された、N極とS極のペアである磁極の第2配列を内周に有している。磁極の第2配列は複数の分割配列(本実施形態では三つの分割配列)に分割され、(移動方向と直交する)回転軸に沿って並んで配置される。使用時に、第1部材と第2部材は反対向きに回転する。一つの部材が回転すると、第1配列の磁極と第2配列の磁極との間でカップリング要素を通して磁束が結合し、他の部材が反対向きに回転される。その逆もある。
図21および図22から、軸長(軸は相対移動方向と直交する)に沿って第1および/または第2の磁極配列を(分割配列に)分割し、各分割配列の移動方向にオフセットさせる代わりに、またはこれに加えて、選択的にまたは代替的に、図示の軸長に沿って各カップリング要素(2130)をカップリング部分(2130、2131、2132)に分割し、これらのカップリング部分をオフセットさせてもよいことが理解されるだろう。図19Cに示すように磁束が一つの経路から別の経路に切り替わる位置を多様化するために、これらの構成の一つまたは組み合わせを組み込むことができる。この戦略を、磁極ずらし(staggering the poles)またはカップリング要素ずらし(staggering the coupling elements)と称してもよい。磁極ずらしおよび/またはカップリング要素ずらしの結果、位置に対してプロットしたときのトルク結合能力の変動が減少する。これは、トルクカップリング能力が比較的小さな変動(約25〜35Nm)を示す曲線として図26に示されている。これは、以下の理由のために、従来の磁気歯車カップリングに対して性能が改善されていることを表している。
図26に示すように、改善された磁気歯車の最小トルクカップリング能力は、25Nmよりも大きくそれ未満にはならない。(対照的に、従来技術の磁気歯車のトルクカップリング能力は、いくつかの角度かみ合い位置において20Nm未満に低下する。)したがって、所与の設計トルク能力に対して、依然としてトルク結合能力を発揮しつつ、改善された磁気歯車で使用される磁石のサイズを小さくすることができる。トルク結合能力の変動の減少によって、より小さく、軽量で安価な磁石を用いてこのような改良型磁気歯車を設計することが可能になる。
本明細書で説明する改良型磁気歯車のさらなる利点は、トルク結合能力の変動が小さいので、改良型磁気歯車カップリングにトルクを付与したとき、従来技術の磁気歯車カップリングよりも、角度オフセットすなわち「すべり(slippage)」(付与されるトルクとトルク結合能力に比例する)が一定になる。これによって、この変動により引き起こされるねじり振動が減少する。ねじり振動が減少すると、部品に損傷を与える可能性がある深刻な共振を引き起こしにくく、関連するコストの意味合いを改良するための部品強度を必要とせず、またはかみ合いを外れたスリップおよび整列の喪失を引き起こしにくくなる。
さらなる実施形態が図23に示される。これによると、カップリング要素(2330)は、第1部材および第2部材の移動方向に直交する軸に沿って(この実施形態では、第1および第2部材の回転軸に沿って)正弦波状の経路をたどり、第1および第2部材の移動方向におけるその位置が軸に沿って変化するようになっている。カップリング要素の形状は、軸に沿ってその両端の間で対称的であり、発生する軸方向の力が釣り合って相殺されるようになっている。これによって、図19Cに示すように、磁束線が位置を切り替える位置が軸方向位置とともに変化する。明瞭さのために単一のカップリング要素(2330)のみが図示されている。しかしながら、既に述べたように、複数のカップリング要素が通常は使用される。
さらに、図18Aないし図23は、互いに平行であるかまたは互いに同心である第1および第2部材を有する回転実施形態を一般に示しているが、図24に示すように、第1部材と第2部材の真横向きの配列も実現可能である。このような真横実施形態では、カップリング要素(2430)が湾曲していてもよいし、またはカップリング要素が位置ずれした複数の部分(2431〜2436)に分割されてもよい。カップリング要素および/または第1部材と第2部材の磁極が分割されていてもよい。今回は、回転軸に沿って沿って分割される代わりに、放射方向に分割される。
図22および図23をさらに参照して、第1部材と第2部材(1766、1767)の一方または両方が展開されて平坦面を形成してもよい。このような実施形態は、ラックアンドピニオン、または互いに対して滑動可能な一組の軌道と類似しており、カップリング要素はその間に配置される。このような実施形態では、第1および/または第2部材、および/またはカップリング要素が、移動方向と直交しかつ部材間の表面と平行である方向にずらされている。
図25は、円周回りの配列として配置された磁極(1740)を有する第2部材(1767)と駆動シャフト(1570)とが結合された、実用的な実施形態の断面図を示す。第2部材(1740)の磁極は、(回転方向と直交する)回転軸と平行な方向に、複数の分割部分(本実施形態では8つ)に分割されている。この結果、第2部材上に分割磁極の複数の分割配列が配置される。この実施形態では、それぞれが第2部材の周りに周方向に配置された8つの分割配列が存在し、各分割配列が回転軸に沿って並んでいる。各分割配列は、互いに対してオフセット配置されている。この実施形態では、部材のN極−S極ペア間の距離と少なくとも等しい角度範囲に広がるように、各分割配列が互いに対してわずかに回転している。第2部材(1767)と分割磁極(1740)の間に、裏打ちの鉄片(2580)が同心状に配置される。
第2部材とその磁極配列の外側には、装置の軸端回りに延出してトロイダル形状を形成し、その内周壁内にカップリング要素(2130、2131)を組み込んだ真空チャンバ(1550)の壁が同心状に位置する。これにより、フライホイールの非常に効率的なパッケージングと、容易な製造および封止が可能となる。カップリング要素は第1および第2部材の間に同心状に位置しており、第2部材の周縁で第1部材の内側にバレル形状を形成するアレイ状に配置される。カップリング要素はそれぞれ軸長に沿って分割され、カップリング要素毎に複数のカップリング部分(本実施形態ではカップリング要素当たり8つのカップリング部分)を形成している。こうして、カップリング要素によって形成されるバレルがリングに分割され、好ましくは各リングが別のリングに対してオフセット(本実施形態では回転方向にオフセット)される。代替的に、カップリング要素を分割する代わりに、内側の真空チャンバ壁のバレル内に依然として位置するが、バレル長さを横切るときに移動方向におけるそれらの位置が(例えば、山形パターンまたは正弦波パターンで)変化するように、カップリング要素を成形することができる。
さらに外側に同心状に、リムと磁極の間に間挿された裏打ち鉄片(2590)を用いて、複合材料フライホイールリム(50)の内側で第1部材(1766)の磁極(2110、2111)が支持される。第1部材の磁極(2110、2111)はそれぞれ、装置の軸長に沿って磁極毎に複数(本実施形態では8つ)の分割磁極に分割される。分割磁極はリム(50)の内面周りに配置され分割配列(本実施形態では8つ)を形成する。第1および第2部材(1766、1767)は、回転可能となるようにベアリング(2010)上に支持される。これによって、真空チャンバ(1550)内で第1部材(1766)が回転可能になり、真空チャンバの同心内側であるが真空の外部で(例えば空気中で)第2部材が回転可能になり、真空チャンバの壁(1550)によって第1部材から第2部材が分離される。
使用時に、真空チャンバは高真空を保持することが好ましい。図示しないが、第1部材と第2部材は、放射状に配置された異なる数のN極/S極ペアを有しており、それらの間でギア比が生じる。使用時に、これによって(空気中で動作する)第2部材(1767)が、真空中で動作する第1部材(1766)よりも相対的に低速で回転可能となる。これによって、第2部材が回転するときに空気抵抗(またはウィンデージ)に関連する損失が低下する。また、フライホイールを真空中に収容することで、超音速衝撃波および摩擦加熱が回避されるので、第1部材およびフライホイール部品に対する超音速の使用が可能になる。
真空チャンバ(1550)は回転シールを有しておらず、したがって漏れなしで(回転シールの使用時には不可避であり、回転速度が大きくなると悪化する)完全に封止することができる。これによって、真空ポンプ、制御電子装置、配管作業などの真空の維持に関連する装置の必要性が排除される。回転シールの排除により、フライホイールの回転速度を高めることが可能になり、また引き摺りの排除により損失を低下することができる。これによって、フライホイールのエネルギー貯蔵密度が増大し、この種のフライホイールの関連コストが低下する。構成の簡潔さが高まることで、また使用時に摩耗する(高回転速度では特に急速に摩耗する)回転シールを排除することで、信頼性も改善される。
さらに、本実施形態に上述した「アンチコギング」構成を組み込むことで、より小さな永久磁石を使用することができ(平均トルク結合能力に対して最小トルク結合能力がより接近することに起因する)、これに関連してコストと重量が低下するという利点がある。これによって、フライホイールのエネルギー貯蔵密度が増大する。磁石が小さくなることで、所与のサイズのフライホイール内により多数のN極/S極ペアを詰め込むことが可能になるので、発生するギア比を大きくすることができる。このギア比の向上は、装置の空気側において、空気抵抗またはウィンデージに関連する損失をさらに低下させ、フライホイールの効率およびそのエネルギー貯蔵密度をさらに向上させる。上述したアンチコギング構成のさらなる利点は、騒音の振動および激しさが改善され、また、これらの構成によってもたらされるねじり振動の低下のために部品の耐用年数が延びることである。これにより、さらに安価な材料またはより少量の材料を使用するために部品の仕様を再規定することが可能になる。これによって、コストおよび/または重量の利点がもたらされる。ねじり振動に耐える必要がなく、製造中の加工または処理が容易である材料を使用できることで、製造効率も獲得することができる。
上述した構成の結果、より強力で、安全で、軽量で、効率が高く、かつ効果的なエネルギー貯蔵用のフライホイールが得られることが理解されるだろう。

Claims (17)

  1. 相対的に密度の高い外側リムを有するフライホイールのバランスを取る方法であって、
    気体流入手段を有し少なくとも部分的な真空を収納する真空チャンバ内でフライホイールを回転させるステップと、
    前記フライホイールの回転中に、前記気体流入手段を制御して予め定められた量の気体を前記真空チャンバ内に流入させるステップと、
    を含む方法。
  2. 前記フライホイールリムが複合材料リムであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記フライホイールが表面の凹凸を有することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記リムの表面が実質的に音速でまたは音速を越えて移動するように前記フライホイールを回転させることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  5. 熱が材料状態を変化させることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 気体の流入時に、前記表面の凹凸と前記真空チャンバの壁との間の気体に超音波衝撃波が発生することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記真空チャンバの壁と前記フライホイールリムとの間の空隙が狭く、好ましくは約10mmであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記気体が不活性であり、好ましくは窒素であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記フライホイールが最初に従来の方法でバランス取りされることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記真空が1mbarの圧力よりも優れていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
  11. 気体流入時の圧力変化が、前記真空チャンバの圧力を約0.5barよりも高めるのに十分であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記フライホイールの内側部分が亜音速で移動するように前記速度が選択されることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の方法。
  13. 気体の流入後に、予め定められた期間、音速と実質的に等しいかまたは音速を上回るリム表面速度で前記フライホイールが回転し続けることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記期間が約10秒から60秒の間であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 流入する気体が無視できる量の水蒸気しか含まないことを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の方法。
  16. 相対的に密度の高い外側リムを有するタイプのフライホイールのバランスを取る装置であって、
    前記フライホイールを回転可能に取り付ける手段を有する真空チャンバと、
    前記フライホイールリムの表面が実質的に音速でまたは音速を超えて移動するような予め定められた回転速度で前記フライホイールを回転させる駆動手段と、
    前記真空チャンバ内に真空を閉じ込め、前記フライホイールの回転中に予め定められた量の気体を前記真空チャンバ内に流入させる制御が可能であるバルブ手段と、
    を含む装置。
  17. 図面を参照して明細書で実質的に説明された装置および方法。
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