JP2012522061A - アルキレンオキサイドの製造における銀触媒上への塩化銀の生成の制御方法 - Google Patents

アルキレンオキサイドの製造における銀触媒上への塩化銀の生成の制御方法 Download PDF

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Abstract

高効率銀触媒上の塩化銀の生成を制御するための、アルキレンオキサイドの製造プラント及びプロセスが開示され、説明されている。このプロセスは、アルキレン及び有機塩化物気相プロモーターを、高効率銀触媒上で酸素と反応させることを含む。アルキレンオキサイド反応器供給物中の硫黄濃度は、触媒毒として作用する塩化銀の生成を減少させるように制御される。

Description

関連出願に対するクロスリファレンス
本件特許出願は、2009年12月28日出願の米国仮特許出願第61/290,357号(その全部を参照して本明細書に含める)の利益を主張する。
この開示は、一般的に、アルキレンオキサイドの製造プロセス、更に詳しくはアルキレンオキサイドの製造において使用される銀触媒上への塩化銀の生成を減少させる方法に関する。
アルキレンオキサイドは多数の有用性について知られている。例えばエチレンオキサイドは、自動車冷媒として、不凍液として並びにポリエステル繊維及び樹脂、非イオン性界面活性剤、グリコールエーテル、エタノールアミン並びにポリエチレンポリエーテルポリオールを製造する際に使用されるエチレングリコールを製造するために使用される。プロピレンオキサイドは、ポリウレタンポリマー用途において使用されるプロピレングリコール及びポリプロピレンポリエーテルポリオールを製造するために使用される。
銀系触媒を用いる酸素の存在下でのオレフィンの接触エポキシ化によるアルキレンオキサイドの製造は公知である。このようなプロセスにおいて使用される従来の銀系触媒は、典型的には、比較的低い効率又は「選択率」(即ち反応されたアルキレンのより低いパーセントが、所望のアルキレンオキサイドに転化される)をもたらす。或る代表的なプロセスにおいて、エチレンのエポキシ化において従来の触媒を使用するときには、転化されたエチレンの分率として表される、エチレンオキサイドの方への理論的最大効率は、6/7又は85.7%限界値を超える値に到達しない。従って、この限界値は、長い間、下記の反応式の化学量論に基づいて、この反応の理論的最大効率であると考えられてきた。
7C24+6O2 → 6C24O+2CO2+2H2
非特許文献1参照。
或る種の「高効率」又は「高選択率」の最近の銀系触媒は、アルキレンオキサイド製造に対して高度に選択的である。例えばエチレンのエポキシ化において、或る種の最近の触媒を使用するときに、エチレンオキサイドに対する理論的最大効率は、例えば88%又は89%又はそれ以上にまで向けられる、6/7又は85.7%限界値を超える値に到達することができる。本明細書中に使用される用語「高効率触媒」及び「高選択率触媒」は、85.7%よりも高い効率で、対応するアルキレン及び酸素からアルキレンオキサイドを製造することができる触媒を指す。高効率触媒の観察された実際の効率は、プロセス変数、触媒老化等に基づく一定の条件下で、85.7%よりも下に落ちるかも知れない。しかしながら、この触媒が、少なくとも85.7%効率を達成できる場合には、これは高効率触媒であると考えられる。それらの活性成分として、銀、レニウム、少なくとも1種の別の金属及び任意的にレニウムコプロモーター(co-promoter)からなっていてよい、このような高効率触媒は、特許文献1及び幾つかの後の特許公報中に開示されている。本明細書中に使用される用語「プロモーター」は、特別の生成物のための反応の効率を上昇させる物質を指す。ときには、「インヒビター(inhibitor)」又は「モデレーター(moderator)」として参照される「プロモーター」は、アルキレンオキサイドの所望の生成に向かう速度を増加させることにより並びに/又はアルキレンオキサイドの所望の生成に対して、相対的に、二酸化炭素及び水への、オレフィン若しくはアルキレンオキサイドの望ましくない酸化を抑制することにより、触媒の性能を増強する物質を指す。本明細書中に使用される用語「コプロモーター」は、プロモーターと組み合わせたときに、プロモーターの促進効果を増加する物質を指す。更に、プロモーターは、「ドーパント(dopant)」として参照されることもできる。高効率をもたらすこれらのプロモーターの場合に、用語「高効率ドーパント」又は「高選択率ドーパント」を使用することができる。
「プロモーター」は触媒の製造の間に触媒に導入される材料(固相プロモーター)であってよい。更に、「プロモーター」は、エポキシ化反応器供給物に導入される気体状材料(気相プロモーター)であってもよい。一つの例において、有機ハロゲン化物気相プロモーターを、エポキシ化反応器供給物に連続的に添加して、触媒効率を上昇させることができる。銀系エチレンエポキシ化触媒のために、固相及び気相プロモーターの両方が、典型的には、任意の商業的プロセスにおいて必要である。
アルキレンオキサイド製造プロセスにおいて使用されるすべての銀系触媒は、通常の運転の間に、老化関連性能低下を受け、これらを定期的に交換させる必要がある。この老化は、触媒の活性における低下によって現れ、また、効率における低下によって現れるであろう。通常、触媒活性における低下が起こるとき、一定のアルキレンオキサイド製造速度を維持するために、反応器温度を上昇させる。反応器温度は、それが設計限界に達するか若しくは望ましくないほど高くなるまで上昇されるであろうし又は効率は、触媒がその寿命の終わりであると思われ、交換若しくは再生が必要である時点で、望ましくないほど低くなるであろう。現在の産業的実施は、触媒がその有用な寿命の終りであるとき、触媒を廃棄し、置き換えることである。廃棄された触媒から、銀が回収され、プロモーターが回収されるであろう。
気相プロモーターの最適量は、反応条件及び使用される触媒の種類に依存する。従来の触媒は、供給物中の気相プロモーター濃度に関して比較的平らな効率曲線を有する。即ち、この効率は、プロモーター濃度の広い範囲に亘って、殆ど変化せず(即ち供給物中の気相プロモーター濃度における変化に関連する効率における変化は約0.1%/ppmよりも小さい)、この不変性は、触媒の長い運転の間、反応器温度が変化したときに実質的に変わらない(即ち反応器温度における変化に関連する効率における変化は、約0.1%/℃よりも小さい)。しかしながら、従来の触媒は、供給物中の気相プロモーター濃度に関して、即ち供給物中の気相プロモーター濃度が増加することに伴う、殆ど直線的な活性低下曲線を有しており、温度を上昇させなくてはならず又はアルキレンオキサイド製造速度は低下するであろう。従って、従来の触媒を使用するとき、最適効率のために、供給物中の気相プロモーター濃度は、比較的低い運転温度で最大効率を維持することができるレベルで、選択されるであろう。典型的には、供給物中の気相プロモーター濃度は、従来の触媒の全寿命の間、実質的に同じままであろう。その代わりに、反応器温度は、効率への如何なる実質的な影響も無く、所望の製造速度を得るように調節されるであろう。
反対に、高効率触媒は、濃度が最高効率をもたらす値から離れて動くときに、気相プロモーター濃度の関数としての比較的急勾配の効率曲線(即ち気相プロモーター濃度における変化に関連する効率における変化は、効率最大化プロモーター濃度から離れて作動するときに、少なくとも約0.2%/ppmである)を示す傾向がある。従って、プロモーター濃度における小さい変化は、顕著な効率変化になり得る。この効率は、また、反応器圧力及び供給気体組成が、与えられた反応温度及び触媒老化について変化しないで保持されているときに、気相プロモーターの一定濃度(又は供給速度)で顕著な最大値、即ち最適値を示す。更に、この効率曲線及び最適気相プロモーター濃度は、反応器温度の強い関数であり、従って、反応器温度が変化する場合には、例えば触媒活性における低下を補償するために、著しい影響を受ける(即ち反応温度における変化に関連する効率における変化は、選択された温度について、効率最大化プロモーター濃度から離れて作動するときに、少なくとも約0.1%/℃であり得る)。更に、高効率触媒は、供給物中の気相プロモーター濃度における増加と共に顕著な活性上昇を示した。即ち、供給物中の気相プロモーター濃度を増加させることに伴って、温度を低下させなくてはならず又は製造速度は増加するであろう。
一定の環境下で、塩化銀は、高効率銀触媒上に非可逆的に生成して、活性の低下を起こし、一層頻繁な触媒置換を必要とする傾向がある。塩化銀の生成は、有機塩化物プロモーターの添加に起因して起こると予想できるが、一部の場合には、塩化銀生成レベルは、与えられた有機塩化物プロモーター濃度での運転から通常予想されるものよりも大きい。従って、前記の問題点に取り組むアルキレンオキサイドの製造プロセスについての要求が生じた。
欧州特許出願公告第0352850B1号明細書
カーク・オスマーの化学技術百科事典(Kirk-Othmer's Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、第9巻、1994年、第926頁
一つの面に従って、アルキレン、酸素及び少なくとも1種の有機塩化物からなる反応器供給気体からのアルキレンオキサイドの製造において使用される、高効率銀触媒上の塩化銀の生成の制御プロセスが提供される。このプロセスは、原子基準での、反応器供給気体中の硫黄の濃度を、約50部/10億(体積)以下にまで制御することを含む。約40ppbv以下の反応器供給気体硫黄濃度が好ましく、約30ppbv以下の濃度が、なお更に好ましい。約20ppbv以下の硫黄濃度が、なお更に好ましい。約10ppbv以下の硫黄濃度が、なお更に好ましく、約5ppbv以下の硫黄濃度が一層好ましい。或る特に好ましい態様において、原子基準での、反応器供給気体硫黄濃度は約1ppbv以下である。或る代表的態様において、反応器供給気体中の硫黄の濃度を制御する工程は、少なくとも1個のアルキレン供給気体源泉をプロセスに、選択的流動的に連結することを含む。他の例に従って、反応器供給気体中の硫黄の濃度を制御する工程は、硫黄化合物を含有する、アルキレン供給物及び/又はバラスト気体を脱硫することを含んでなる。
別の面に従って、アルキレンオキサイドの製造プロセスが提供される。このプロセスは、少なくとも1種の硫黄含有化合物を含有するアルキレン供給物を用意し、この少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部をアルキレン供給物から除去して、脱硫されたアルキレン供給物を得、この脱硫されたアルキレン供給物を、少なくとも酸素及び少なくとも1種の有機塩化物と一緒にして、約50ppbv以下の(原子基準での)硫黄の濃度を有する反応器供給気体を得、そしてこの反応器供給気体を高効率銀触媒上で反応させて、アルキレンオキサイドを含む反応生成物を得る工程を含んでなる。或る例において、少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部をアルキレン供給物から除去する工程は、少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部を、吸着剤床の上に吸着させることを含む。他の例において、このプロセスは、更に、この吸着剤床温度を調節して、反応器供給気体中の硫黄の濃度を制御することを含む。別の例において、少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部をアルキレン供給物から除去する工程は、少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部を硫化水素に転化し、そしてこの硫化水素の少なくとも一部を吸着剤床の上に吸着させることからなる。追加の例において、少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部をアルキレン供給物から除去する工程はアルキレン供給物を塩基性化合物によってスクラビングすることを含む。
更なる面に従って、脱硫装置及びアルキレンオキサイド反応器を含むアルキレンオキサイドプラントが提供される。この脱硫装置は、アルキレン供給気体入口及び脱硫されたアルキレン気体出口を有する。アルキレンオキサイド反応器は、高効率銀触媒床、脱硫された反応器供給気体入口及びアルキレンオキサイド生成物出口を含んでなり、ここで、脱硫された反応器供給気体入口は、脱硫装置の脱硫されたアルキレン気体出口,酸素源泉及び有機塩化物源泉に流動的に連結されている。このプラントは、約50ppbv以下の原子基準での硫黄濃度を有する反応器供給物を製造するように設計されている。或る態様において、この脱硫装置は、硫化水素吸着剤床に流動的に連結された硫黄転化装置を含み、この硫黄転化装置は、アルキレン供給気体入口を含み、そしてこの硫化水素吸着剤床は、脱硫されたアルキレン気体出口を含む。追加の例において、このアルキレンオキサイドプラントは、更に、重質炭化水素汚染されたアルキレン供給物入口及び汚染除去されたアルキレン生成物出口を含む重質炭化水素汚染物質前処理器を含んでなり、ここで、汚染除去されたアルキレン生成物出口は脱硫装置のアルキレン供給気体入口に流動的に連結されている。
図面を参照して、例示的態様を詳細に示す。図面は幾つかの態様を表すが、図面は必ずしも縮尺したものではなく、或る特徴は、本発明をより良く例示し、説明するために、誇張され、削除され又は部分的に断面表示されているであろう。更に、ここに記載された態様は、例示的であり、包括的であること又は特許請求の範囲を、図面に示され、下記の詳細な説明に開示された正確な形態及び形状に、限定若しくは制限することを意図するものではない。
図1は、脱硫装置を含む,オレフィンをエポキシ化することによるアルキレンオキサイドの製造プロセスの態様を示すプロセスフローダイヤグラムである。
図2aは、硫黄転化装置及び硫化水素吸着剤床を含む,オレフィンをエポキシ化することによるアルキレンオキサイドの製造プロセスの態様を示すプロセスフローダイヤグラムである。
図2bは、重質炭化水素汚染物質前処理器、硫黄転化装置及び硫化水素吸着剤床を含む,オレフィンをエポキシ化することによるアルキレンオキサイドの製造プロセスの態様を示すプロセスフローダイヤグラムである。
図2cは、重質炭化水素汚染物質前処理器及び複数の脱硫装置を含む,オレフィンをエポキシ化することによるアルキレンオキサイドの製造プロセスの態様を示すプロセスフローダイヤグラムである。
図3は、複数のアルキレン供給気体源泉が、図1のアルキレンオキサイド装置への選択的流体連結のために配置されている、アルキレンオキサイド製造プロセスを示すプロセスフローダイヤグラムである。
以下に検討するように、本明細書の開示は、アルキレンオキサイドを製造するのに使用される高効率銀触媒上への塩化銀の生成を減少させる方法を提供する。このアルキレンオキサイドの製造プロセスは、対応するアルキレンを酸素と、有機塩化物気相プロモーターの存在下で反応させることを含む。この方法は、アルキレンオキサイド反応器供給気体中の硫黄の濃度が、塩化銀の生成に影響を与えると言う予想外の発見を利用する。従って、このプロセスは、反応器供給気体中の、等モル硫黄原子基準での、硫黄の濃度を制御することを含む。
本発明の理解を容易にするために、触媒及びプロセス性能に関する或る種の用語を定義することが有用である。固定床反応器内の触媒の「活性」は、一般的に、反応器内の触媒体積の単位当たりの、所望の生成物の方に向かう反応速度として定義される。活性は、利用可能な活性部位の合計数とそれぞれの部位の反応速度との両方に関係している。活性部位の数は、幾つかの方法によって減少させることができる。例えば、これらは、銀粒子の凝集(これは反応のために利用可能な銀の表面積を減少させる)によって減少させることができる。これらは、例えば反応器供給物中の微量の硫黄化合物との反応により無力にすることによっても減少させることができる。活性部位の数は、通常のプロセス構成成分との反応により、例えばプロセス流中の塩化物化合物との反応により、塩化銀化合物(これはエポキシ化反応の方に不活性である)を生成させることによっても減少させることができる。この活性は、また、反応速度が、活性部位の少なくとも幾らかについて(例えば局在化した無力化のために)降下する場合、活性部位の合計数に無関係に、低下するであろう。所定の製造速度を維持するために,活性低下を補償するために、或る反応条件を、利用可能な活性部位の総製造速度を上昇させるように変更しなければならない。例えば反応温度が、この目的のために、活性部位により多くのエネルギーを与えるように,しばしば上昇される。「活性」は、多数の手段によって定量することができ、その一つは、反応器温度を実質的に一定に維持している間の、反応器の入口流中に含有されているアルキレンオキサイドのモル%(入口流中のアルキレンオキサイドのモル%は、典型的には、必ずではないが、ゼロ%に近い)に対する、反応器の出口流中に含有されているアルキレンオキサイドのモル%であり、他のものは、アルキレンオキサイド生成の所定の速度を維持するために必要な温度である。多くの例において、活性は、一定の時間に亘って、特定された一定の温度で生成されたアルキレンオキサイドのモル%の項目で測定される。その代わりに、活性は、アルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイドの特定の一定のモル%の生成を持続するために必要な温度、与えられた他の条件、例えば圧力及び供給物中の合計モル数の関数として測定される。
「選択率(selectivity)」と同義語である、エポキシ化の「効率(efficiency)」は、特定の生成物を形成する転化した又は反応したオレフィンの相対量(分率として又はパーセントで)を指す。例えば「アルキレンオキサイドへの効率」は、アルキレンオキサイドを生成する、転化した又は反応したオレフィンの、モル基準でのパーセントを指す。触媒の有用な寿命の一つの尺度は、その時間の間に、すべての関連する要因を考慮に入れて、許容できる生産性が得られる、反応剤が反応システムを通過することができる時間の長さである。アルキレンオキサイドの「収率」は、全ての与えられた時間について、プロセスによって生成されたアルキレンオキサイドの正味モル数÷プロセスに供給されたオレフィンの正味モル数である。
図1はアルキレンオキサイドを製造するためのプロセス20を例示する。プロセス20は、その中に配置された触媒床を有する管型容器を含む反応器10を含んでいる。オレフィン(即ちアルキレン)供給流12(これは不純物として、飽和炭化水素、例えばエタンを含有することもできる)が、バラスト気体13、酸素供給物15及び気相プロモーター供給物14と一緒になって、反応器入口に隣接する反応器供給物流22を規定する。反応器生成物流24は、アルキレンオキサイド(「AO」)生成物プラス副生成物(例えばCO2、H2O及び少量の飽和炭化水素)、未反応オレフィン、酸素及び不活性物質を含有している。水流30が、アルキレンオキサイド吸収器40に添加され、反応器生成物流24からアルキレンオキサイド生成物を吸収する。正味生成物流16は、水及びアルキレンオキサイドを含み、このアルキレンオキサイドは、続いて、水から分離される。
所望により、正味生成物流16中の未反応オレフィンの量を減少させるために、循環流18を設けることもできる。適切な循環システムの一例を図1に示す。図中に示すように、アルキレンオキサイド吸収器40は未反応オレフィン、飽和炭化水素不純物又は副生物及び二酸化炭素を含むオーバーヘッド気体流を生成する。二酸化炭素は、CO2除去装置50(例えばCO2スクラバー)内で除去され、二酸化炭素流34中でCO2除去装置50から出る。装置50からのオーバーヘッド流19は、CO2除去装置50バイパス流46と一緒にされて、循環流18を規定する。循環流18は、オレフィン供給物12、バラスト気体13、酸素供給物15及び気相プロモーター供給物14と一緒にされて、反応器供給物流22を規定する。パージライン32は、また、飽和炭化水素不純物(例えばエタン)、不活性物質(例えばアルゴン)及び/又は副生成物(及び二酸化炭素)の除去をもたらし、反応器供給物22中のこれらの蓄積を防止するために設置されている。
オレフィン供給流12を構成するオレインは芳香族オレフィン及びジオレフィン(共役しているか又はしていない)を含む、任意のオレフィンであってもよい。しかしながら、好ましいオレフィンは下記の式:
Figure 2012522061
(式中、R1及びR2は、それぞれ、水素及び炭素数1〜6のアルキル基からなる群から選択される)
を有するモノオレフィンである。プロピレン(R1=CH3、R2=H)及びエチレン(R1=R2=H)が更に好ましく、エチレンが最も好ましい。同様に、反応器生成物流24中の好ましいアルキレンオキサイドは、式:
Figure 2012522061
(式中、R1及びR2は、それぞれ、水素及び炭素数1〜6のアルキル基からなる群から選択される)
のものである。プロピレンオキサイド(R1=CH3、R2=H)及びエチレンオキサイド(R1=R2=H)が更に好ましく、エチレンオキサイドが最も好ましい。
酸素供給物(フィード)15は、実質的に純粋な酸素又は酸素に富んでいる流、例えば空気を含んでいてよい。純粋な酸素が使用される場合、バラスト気体又は希釈剤、例えば窒素又はメタンバラスト流13が、また、易燃性考慮によって許容される最大レベルよりも低く酸素濃度を維持するために、含有されていてよい。反応器供給物流22中の酸素の濃度は、広範囲に亘って変化させることができ、実際に、易燃性は、一般的に、酸素濃度のための制限要因である。一般的に、反応器供給物流22中の酸素濃度は、少なくとも約1モル%、好ましくは少なくとも約2モル%であろう。この酸素濃度は、一般的に、約15モル%以下、好ましくは約12モル%以下であろう。バラスト気体13(例えば窒素又はメタン)は、一般的に、反応器供給物流22の全組成物の約50モル%〜約80モル%である。メタンバラスト気体が、そのより高い熱容量のために、窒素よりも好ましく、これは、循環中のより高い酸素濃度の使用を容易にし、従って、活性及び効率の両方を改良する。
反応器供給物流22中のオレフィンの濃度は、広範囲に亘って変化させることができる。しかしながら、これは、好ましくは少なくとも約18モル%、更に好ましくは少なくとも約20モル%である。反応器供給物流22中のオレフィンの濃度は、好ましくは約50モル%以下、更に好ましくは約40モル%以下である。
存在するとき、反応器供給物流22中の二酸化炭素濃度は、反応器10内で使用される触媒の効率、活性及び/又は安定性に、大きな悪影響を有する。二酸化炭素は、反応副生物として生成され、また、他の吸入反応気体と共に不純物として導入することができる。商業的エチレンエポキシ化プロセスにおいて、二酸化炭素の少なくとも一部は、その濃度を循環中の許容できるレベルまで制御するために、連続的に除去される。反応器供給物22中の二酸化炭素濃度は、反応器供給物22の全組成物の、一般的に約5モル%以下、好ましくは約3モル%以下、なお更に好ましくは約2モル%以下である。水もまた、反応副生物であり、供給気体中に、好ましくは、0〜約3モル%以下である濃度で存在するであろう。
気相プロモーターは、一般的に、所望のアルキレンオキサイドを製造するプロセス20の効率及び/又は活性を増大する化合物である。好ましい気相プロモーターには、有機塩化物が含まれる。更に好ましくは、気相プロモーターは、塩化メチル、塩化エチル、二塩化エチレン、塩化ビニル及びこれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種である。塩化エチル及び二塩化エチレンが最も好ましい。一例としてクロロ炭化水素気相プロモーターを使用して、所望のアルキレンオキサイドのためのプロセス20の性能(例えば効率及び/又は活性)を増強するためのプロモーターの能力は、この気相プロプロモーターが、例えば特別の塩素種、例えば原子状塩素又は塩化物イオンを、触媒上又は触媒の上の気相中に堆積させることにより、反応器10内の触媒の表面を塩素化する程度に依存する。しかしながら、塩素原子を欠く炭化水素は、触媒から塩化物を剥がし、従って、気相プロモーターによってもたらされる総性能(例えば効率及び/又は活性)増強を減じると信じられる。この現象の検討は、Berty,“エチレンオキサイドへのエチレンの酸化における塩化炭化水素の抑制剤作用(Inhibitor Action of Chlorinated Hydrocarbons in the Oxidation of Ethylene to Ethylene Oxide)”、Chemical Engineering Communications、第82巻(1989)第229−232頁及びBerty, “エチレンオキサイド合成(Ethylene Oxide Synthesis)”、Applied Industrial Catalysis、第I巻(1983)第207−238頁に記載されている。パラフィン系化合物、例えばエタン及びプロパンは、触媒から塩化物をストリップすることで特に効果的であると信じられる。しかしながら、オレフィン、例えばエチレン又はプロピレンも、触媒から塩化物をストリップするように作用すると信じられる。これらの炭化水素の幾つかは、また、エチレン供給物12中に不純物として導入されるであろうし又は他の理由(例えば再循環流18の使用)のために存在するであろう。典型的には、存在するとき、反応器供給物22中のエタンの好ましい濃度は、0〜約2モル%である。反応器供給物流22中の気相プロモーターと非ハロゲン化非促進炭化水素の競争効果を考えると、触媒を塩化物化する(chloriding)する際の気相種の正味効果を表す「総触媒塩化物化有効度値(overall catalyst chloriding effectiveness value)」を定義することが便利である。有機塩化物気相プロモーターの場合に、総触媒塩化物化有効度は、無次元量Z*として定義することができ、下記の式:
塩化エチル当量(ppmv)
(1) Z*= ―――――――――――――――
エタン当量(モル%)
(式中、塩化エチル当量は、反応器供給物流22中の有機塩化物の濃度で、実質的に同じの、反応器供給物流22中に存在する有機塩化物の触媒塩化物化有効度を与える塩化エチルのppmvでの濃度であり、エタン当量は、反応器供給物流22中の非塩化物含有炭化水素の濃度で、実質的に同じの、反応器供給物流22中の非塩化物含有炭化水素の触媒塩化物化有効度を与えるモル%でのエタンの濃度である)
によって表される。
塩化エチルが、反応器供給物流22中に存在する唯一の気体状塩化物含有プロモーターである場合、塩化エチル当量(即ち式(1)中の分子)は、ppmvでの塩化エチル濃度である。他の塩素含有プロモーター(特に塩化ビニル、塩化メチル又は二塩化エチレン)を単独で又は塩化エチルと一緒に使用する場合、塩化エチル当量は、ppmvでの塩化エチルの濃度+他の気体状塩化物含有プロモーターの濃度(塩化エチルに対して比較したときの、プロモーターとしてのそれらの有効度について補正される)である。非−塩化エチルプロモーターの相対有効度は、塩化エチルを他のプロモーターによって置き換え、塩化エチルによって与えられる同じレベルの触媒性能を得るために必要な濃度を決定することによって、実験的に測定することができる。更なる例示の手段として、1ppmvの塩化エチルによって与えられる触媒性能の項目で当量有効度を実現するために、反応器入口での二塩化エチレンの必要な濃度が0.5ppmvである場合、1ppmvの二塩化エチレンについての塩化エチル当量は2ppmvの塩化エチルであろう。1ppmvの二塩化エチレン及び1ppmvの塩化エチルを有する仮想供給物について、Z*の分子中の塩化エチル当量は3ppmvであろう。別の例として、或る触媒について、塩化メチルは塩化エチルの塩化物化有効度の約10分の1を有することが見出された。従って、このような触媒について、ppmvでの塩化メチルの与えられた濃度についての塩化エチル当量は0.1×(ppmvでの塩化メチル濃度)である。また、或る触媒について、塩化ビニルは塩化エチルと同じ塩化物化有効度を有することが見出された。従って、このような触媒について、ppmvでの塩化ビニルの与えられた濃度についての塩化エチル当量は1.0×(ppmvでの塩化ビニル濃度)である。反応器供給物流22中に2種より多い塩素含有プロモーターが存在するとき(これは商業的エチレンエポキシ化プロセスにおいて事実である)、総塩化エチル当量は、存在するそれぞれの個々の塩素含有プロモーターについての相当する塩化エチル当量の総計である。例えば1ppmvの二塩化エチレン、1ppmvの塩化エチル及び1ppmvの塩化ビニルの仮想供給物について、Z*の分子中の塩化エチル当量は、2×1+1+1×1=4ppmvであろう。
エタン当量(即ち式(1)中の分母)は、反応器供給物流22中に存在するモルパーセントでのエタンの濃度+エタンに対する脱塩素化のためのそれらの有効度について補正された、触媒から塩化物を除去する際に有効な他の炭化水素の濃度である。エタンに対して比較したエチレンの相対有効度は、特定の塩化エチル当量濃度を有し、エタンを有しない以外は同じエチレン濃度を有する同じ供給物に対して比較したとき、エチレン及びエタンの両方を含む供給物のための同じレベルの触媒性能を与える、入口塩化エチル当量濃度を決定することによって、実験的に測定することができる。更なる例示の手段として、30.0モル%のエチレン濃度及び0.30モル%のエタン濃度を含む供給物組成で、6.0ppmの塩化エチル当量のレベルが、エタンを欠く以外は同様の供給物組成で3.0ppm塩化エチル当量と同じレベルの触媒性能を与えることが見出された場合、30.0モル%のエチレンについてのエタン当量は0.30モル%であろう。30.0モル%のエチレン及び0.30モル%のエタンを有する入口反応器供給物流22について、エタン当量は0.6モル%であろう。他の例示として、或る触媒について、メタンが、エタンの脱塩化物化有効度の約500分の1を有することが見出された。従って、このような触媒について、メタンについてのエタン当量は、0.002×(モル%でのメタン濃度)である。30.0モル%のエチレン及び0.1モル%のエタンを有する仮想入口反応器供給物22について、エタン当量は0.4モル%であろう。30.0モル%のエチレン、50モル%のメタン及び0.1モル%のエタンを有する入口反応器供給物22について、エタン当量は0.5モル%であろう。エタン及びエチレン以外の炭化水素の相対有効度は、供給物中のエタンの二つの異なった濃度で、供給物中の関心のある炭化水素を含む供給物について同じ触媒性能を達成するために必要な、入口塩化エチル当量濃度を決定することによって実験的に測定することができる。炭化水素化合物が、非常に小さい脱塩化物化効果を有し、また低濃度で存在することが見出された場合、Z*計算におけるエタン当量濃度へのその寄与は無視することができ、これはこの計算から削除されるであろう。
従って、前記の関係が与えられると、反応器供給物流22が、エチレン、塩化エチル、二塩化エチレン、塩化ビニル及び/又はエタンを含有する場合に、プロセス20の総触媒塩化物化有効度値は、下記:
(ECL+2×EDC+VCL)
(2) Z*= ――――――――――――――――
(C26+0.01×C24
(式中、ECL、EDC及びVCLは、それぞれ、反応器供給物流22中の、塩化エチル(C25Cl)、二塩化エチレン(Cl−CH2−CH2−Cl)及び塩化ビニル(H2C=CH−Cl)のppmvでの濃度であり、C26及びC24は、それぞれ、反応器供給物流22中の、エタン及びエチレンのモル%での濃度である)
のように定義することができる。気体状塩素含有プロモーター及び炭化水素脱塩素化種の相対有効度を、また、このプロセスにおいて使用されつつある反応条件下で測定することも重要である。Z*は、好ましくは約20以下であるレベルで維持されるであろう。これは、最も好ましくは約15以下である。Z*は、好ましくは少なくとも約1である。
気体状塩素含有プロモーターは単一の種(species)として供給することができるが、触媒と接触する際に、他の種が形成され、気相中の混合物に至ることができる。従って、反応気体が、例えば循環流18によって循環される場合、種の混合物が反応器の入口内に見出されるであろう。特に、この入口での循環反応気体は、たとえ塩化エチル又は二塩化エチレンのみが、システムに供給されても、塩化エチル、塩化ビニル、二塩化エチレン及び/又は塩化メチルを含有しているであろう。塩化エチル、塩化ビニル及び二塩化エチレンの濃度は、Z*を計算する際に、考慮しなくてはならない。
入口気体(アルキレン及び酸素及びバラスト気体)並びに気相プロモーターを一緒に混合する順序は、重要ではなく、これらは同時に又は逐次的に混合することができる。プロセスの気体状成分の混合順序は、便利さ及び/又は安全性の理由のために選択することができる。例えば酸素は、一般的に、安全の理由のために、バラスト気体の後で添加する。しかしながら、気相プロモーターは、それが反応器10内の固体触媒に導入されるので、反応器供給物流22中に存在していなくてはならない。
図1の態様において、反応器10は固定床反応器である。しかしながら、任意の適切な反応器、例えば固定床管型反応器、連続攪拌槽反応器(CSTR)及び流動床反応器でも使用することができ、広範囲の種々の反応器が当業者に公知であり、ここで詳細に説明する必要はない。未反応供給物を循環すること、若しくは単一通過システムを使用すること、又は直列配置での反応器を使用することによってエチレン転化率を上昇させるために逐次的反応を使用することの望ましさは、また、当業者によって容易に決定することができる。選択される運転の特定の様式は、通常、プロセス経済性によって指定される。エポキシ化反応は一般的に発熱性である。従って、冷却液システム28(例えば冷却ジャケット又は冷却流体、例えば熱移動流体若しくは沸騰水による水力回路)が反応器10の温度を調節するために設置されている。熱移動流体は、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)のような幾つかの公知の熱移動流体のいずれであってもよい。沸騰水によって冷却された反応器において、冷却液は、反応器の冷却側、最も一般的にはシェル側に、液体水として導入される。それが冷却側を通って流れるとき、水は、プロセス側から熱を除去し、水の一部はスチームに蒸発する。冷却液は、反応器の冷却側から、水及びスチームの混合物として出る。反応器から出るスチームは、それから熱を除去することによって凝縮され、冷却液側の入口に戻し循環される。反応器内の冷却液の温度は、水の沸点によって決定され、次いで、それが作動している圧力によって決定される。この圧力は、反応器の冷却側から出るスチーム−水混合物から一部の圧力を抜くベントバルブの手段によって制御される。典型的には、所望の温度を維持するために必要な圧力を維持するようにベントバルブを自動的に調節することによって、冷却液温度を調節するために、閉ループ制御器が使用される。このエポキシ化反応は、好ましくは少なくとも約200℃、更に好ましくは少なくとも約210℃、最も好ましくは少なくとも約220℃の温度で実施する。300℃以下の反応器温度が好ましく、約290℃以下の反応器温度が更に好ましい。約280℃以下の反応器温度が最も好ましい。反応器圧力は、望ましい質量速度及び生産性に基づいて選択され、一般的に約5atm(506kPa)〜約30atm(3.0MPa)の範囲である。時間基準の気体空間速度(GHSV)は、好ましくは約3000h-1よりも大きく、更に好ましくは約4,000h-1よりも大きく、最も好ましくは約5,000h-1よりも大きい。
反応器10は高効率銀触媒を含んでいる。一般的に、高効率銀系触媒は担持型触媒である。この支持体(「担体」としても知られている)は広範囲の不活性支持体材料から選択することができる。このような支持体材料は、天然の又は人工の無機材料であってよく、これらには、炭化ケイ素、クレー、軽石、ゼオライト、木炭及びアルカリ土類金属炭酸塩、例えば炭酸カルシウムが含まれる。耐熱性支持体材料、例えばアルミナ、マグネシア、ジルコニア及びシリカが好ましい。最も好ましい支持体材料はα−アルミナである。一つの代表的な態様において、銀が、以下に更に検討する1種又はそれ以上の固体プロモーターである触媒担体の上に堆積される。
エチレンオキサイド触媒中に使用するのに適している支持体を製造する多数の公知の方法がある。このような方法の幾つかは、例えば米国特許第4,379,134号明細書、米国特許第4,806,518号明細書、米国特許第5,063,195号明細書、米国特許第5,384,302号明細書、米国特許出願第20030162655号明細書等に記載されている。例えば少なくとも95%の純度のα−アルミナ支持体は、原材料を配合(混合)し、押出し、乾燥し、そして高温度焼成することによって製造することができる。この場合に、出発原材料には、通常、異なった特性を有する1種又はそれ以上のα−アルミナ粉末(単数又は複数)、物理的強度を与えるためのバインダーとして添加することができるクレー型材料及び焼成工程の間のその除去の後で所望の多孔度を与えるために混合物で使用されるバーンアウト材料(通常有機化合物)が含まれる。完成担体中の不純物のレベルは、使用する原材料の純度及び焼成段階の間のそれらの揮発の程度によって決定される。一般的な不純物には、シリカ、アルカリ及びアルカリ土類金属酸化物並びに微量の金属及び/又は非金属含有添加物が含まれるであろう。エチレンオキサイド触媒使用のために特に適切な特性を有する担体を製造するための他の方法は、任意的に、ケイ酸ジルコニウムを、ベーマイトアルミナ(AlOOH)及び/又はγ−アルミナと混合する工程、このアルミナを、酸性成分及びハロゲン化物アニオン(好ましくはフッ化物アニオン)を含有する混合物で解膠して、解膠されたハロゲン化アルミナを提供する工程、この解膠されたハロゲン化アルミナを(例えば押出又はプレスにより)成形して、成形され解膠されたハロゲン化アルミナを提供する工程、この成形され解膠されたハロゲン化アルミナを乾燥して、乾燥成形アルミナを提供する工程並びにこの乾燥成形アルミナを焼成して任意的に変性されたα−アルミナ担体の球状物を提供する工程を含んでなる。
非常に高い純度、即ち少なくとも98重量%のα−アルミナを有し、任意の残りの成分がシリカ、アルカリ金属酸化物(例えば酸化ナトリウム)並びに微量の他の金属含有及び/又は非金属含有添加物若しくは不純物であるアルミナが使用されてきた。同様に、より低い純度、即ち約80重量%のα−アルミナで、残りが無定形及び/又は結晶性アルミナ及び他のアルミナ酸化物、シリカ、シリカアルミナ、ムライト、種々のアルカリ金属酸化物(例えば酸化カリウム及び酸化セシウム)、アルカリ土類金属酸化物、遷移金属酸化物(例えば酸化鉄及び酸化チタン)並びに他の金属及び非金属酸化物の1種又はそれ以上であるアルミナが使用されてきた。更に、担体を製造するために使用される材料は触媒性能を改良するために公知である化合物、例えばレニウム(例えばレニウム酸塩)及びモリブデンを含んでいてよい。
特に好ましい態様において、支持体材料は、少なくとも約80重量%のα−アルミナ及び重量基準で約30ppm(部/100万)よりも少ない酸浸出性アルカリ金属(α−アルミナの重量%及び酸浸出性アルカリ金属の濃度は、担体の重量基準で計算される)を含み、ここで、酸浸出性アルカリ金属はリチウム、ナトリウム、カリウム及びこれらの混合物から選択される。
上記の方法によって製造されたα−アルミナ担体は、好ましくは少なくとも約0.5m2/g、更に好ましくは少なくとも約0.7m2/gの比表面積を有する。この表面積は、典型的には約10m2/gよりも小さく、好ましくは約5m2/gよりも小さい。このα−アルミナ担体は、少なくとも約0.3cm3/g、更に好ましくは約0.4cm3/g〜約10cm3/gの細孔体積及び約1〜約50ミクロンの中央細孔直径(median pore diameter)を有する。球形、円筒、1個又はそれ以上の長軸開口を有する円筒、大塊、タブレット、片、ペレット、環、球、ワゴンホイール(wagon wheel)、サドルリング並びに星形内及び/又は外表面を有するトロイドを含む、種々の担体形状を使用することができる。好ましい態様において、高純度α−アルミナは、好ましくはその多くが少なくとも1個の実質的に平らな主表面を有し、薄板又は小板形状を有する粒子を含む。更に好ましい態様において、粒子は六角板(一部の粒子は2個又はそれ以上の平らな表面を有する)の形状に近似し、(数基準での)その少なくとも50%は、約50ミクロンよりも小さい主寸法を有する。好ましい態様において、α−アルミナ担体は、完成した担体中に実質的にケイ酸ジルコニウムとして存在し、更に好ましくは担体の重量基準で計算して、約4重量%以下の量で存在する、ケイ酸ジルコニウム(ジルコン)を含有している。
アルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの製造のための本発明の触媒は、上記の担体で、当該技術分野で公知であるように、担体に、1種又はそれ以上の銀化合物の溶液を含浸させ、担体の細孔全体に銀を堆積させ、そして銀化合物を還元することによって製造することができる。例えばLiu等の米国特許第6,511,938号明細書及びThorsteinson等の米国特許第5,187,140号明細書(参照して本明細書に含める)参照。
一般的に、担体には、対応するアルキレンオキサイドへの、酸素又は酸素含有気体によるアルキレンの直接酸化に、触媒作用することができる、任意の量の銀である、触媒量の銀を含浸させる。このような触媒を製造する際に、担体に、典型的には、触媒の重量基準で、約5重量%よりも多い、約10重量%よりも多い、約15重量%よりも多い、約20重量%よりも多い、約25重量%よりも多い、好ましくは約27重量%よりも多い、更に好ましくは約30重量%よりも多い量で、銀を担体上に担持させることを可能にするのに充分な、1種又はそれ以上の銀化合物溶液を、(1回又はそれ以上)含浸させる。典型的には、担体上に担持される銀の量は、触媒の重量基準で、約70重量%未満、更に好ましくは約50重量%未満である。
完成した触媒中の銀粒子サイズは重要であるが、好ましい範囲は狭くない。適切な銀粒子サイズは、直径が約10〜約10,000オングストロームの範囲内であってよい。好ましい銀粒子サイズは、直径が約100オングストロームよりも大きくから約5,000オングストロームよりも小さいまでの範囲内である。この銀は、アルミナ担体内に、全体中に及び/又は上に比較的均一に分散されていることが望ましい。
当業者に公知であるように、種々の公知のプロモーター、即ち特定の触媒材料、例えば銀と組合せて存在するとき、触媒性能の1個若しくはそれ以上の面に有利であり又は他の方法で、所望の生成物、例えばエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを製造するための触媒の能力を促進するように作用する材料が存在する。このようなプロモーターは、それ自体、一般的に触媒材料とは考えられていない。触媒中のこのようなプロモーターの存在は、触媒性能への1個又はそれ以上の有利な効果、例えば所望の生成物の製造の速度又は量を増大させること、反応の適切な速度を達成するために必要な温度を低下させること、望まない反応の速度又は量を低下させることなどに寄与することが示されてきた。競争反応が反応器内で同時に起こり、方法全体の有効性を決定する際の重要な要因は、これらの競争反応を超えて有する制御の尺度である。所望の反応のプロモーターと呼ばれる材料は、他の反応、例えば燃焼反応の阻害剤であることができる。顕著なことは、反応全体へのプロモーターの効果が、所望の生成物、例えばエチレンオキサイドの効率的な製造に有利であることである。触媒中に存在する1種又はそれ以上のプロモーターの濃度は、触媒性能への所望の効果、特定の触媒の他の成分、担体の物理的及び化学的特性並びにエポキシ化反応条件に依存して、広範囲に亘って変えることができる。
少なくとも2種類のプロモーター、即ち固体プロモーター及び気体状プロモーターが存在する。固体及び/又は気体状プロモーターが促進量で与えられる。触媒のある種の成分の「促進量」は、該成分を含有しない触媒に対して比較したとき、その触媒の触媒的特性の1個又はそれ以上において改良を与えるために有効に作用する、その成分の量を指す。触媒的特性の例には、とりわけ、運転性(暴走に対する抵抗)、効率、活性、転化率、安定性及び収率が含まれる。個々の触媒的特性の1個又はそれ以上を、「促進量」によって増強させることができ、一方、他の触媒的特性を増強させることができるか若しくはできないか又は減衰させることができることが、当業者によって理解される。更に、異なった触媒的特性は異なった運転条件で増強できることが理解される。例えば運転条件の一つのセットで増強された効率を有する触媒は、条件の異なったセットで運転することができ、この場合には、改良は効率ではなくて活性において現れ、エチレンオキサイドプラントの運転者は原料コスト、エネルギーコスト、副生物除去コストなどを考慮に入れることによって、利益を最大にするために、他の触媒的特性を犠牲にしてでも、ある種の触媒的特性の利点を得るために、運転条件を意図的に変更するであろう。
プロモーターによってもたらされる促進効果は、多くの変数、例えば反応条件、触媒製造技術、支持体の表面積及び細孔構造及び表面化学的特性、触媒の銀及びコプロモーター含有量、触媒上に存在する他のカチオン及びアニオンの存在によって影響を受け得る。他の活性剤、安定剤、プロモーター、増強剤又は他の触媒改良剤の存在も促進効果に影響を与え得る。
エチレンオキサイドを製造するのに使用される触媒用の公知の固体プロモーターの例にはカリウム、ルビジウム、セシウム、レニウム、硫黄、マンガン、モリブデン及びタングステンの化合物が含まれる。エチレンオキサイドを製造する反応の間に、触媒上のプロモーターの特定の形は知ることができない。固体プロモーター組成物の例及びそれらの特徴並びに触媒の一部としてこれらのプロモーターを含有させる方法は、Thorsteinson等の米国特許第5,187,140号明細書、特にその第11〜15欄、Liu等の米国特許第6,511,938号明細書、Chou等の米国特許第5,504,053号明細書、Soo等の米国特許第5,102,848号明細書、Bhasin等の米国特許第4,916,243号明細書、同第4,908,343号明細書及び同第5,059,481号明細書並びにLauritzenの米国特許第4,761,394号明細書、同第4,766,105号明細書、同第4,808,738号明細書、同第4,820,675号明細書及び同第4,833,261号明細書(全部を参照して本明細書に含める)中に記載されている。固体プロモーターは、一般的に、その使用の前に触媒に化学的化合物として添加される。本明細書で使用される用語「化合物」は、表面及び/又は化学結合、例えばイオン結合及び/又は共有結合及び/又は配位結合による、特定の元素と1種又はそれ以上の異なった元素との組合せを指す。用語「イオン性」又は「イオン」は電気的に帯電した化学単位を指し、「カチオン性」又は「カチオン」は正であり、そして「アニオン性」又は「アニオン」は負である。用語「オキシアニオン性」又は「オキシアニオン」は、他の元素と組合せて少なくとも1個の酸素原子を含有する、負に帯電した単位を指す。従って、オキシアニオンは酸素含有アニオンである。イオンは真空中には存在しないが、触媒に化合物として添加されたときに、電荷バランス対イオンと組合せて見出されることが理解される。触媒中にあるとき、プロモーターの形は必ずしも知られておらず、そしてプロモーターは触媒の製造の間に添加された対イオン無しに存在し得る。例えば水酸化セシウムで製造された触媒はセシウムを含有するように分析できるが、完成した触媒中に水酸化物を分析できない。同様に、アルカリ金属酸化物、例えば酸化セシウム又は遷移金属酸化物、例えばMoO3のような化合物は、イオン性ではないが、触媒製造の間に又は使用中にイオン性化合物に転化できる。理解を容易にするために、固体プロモーターは、反応条件下で触媒中のその形に無関係に、カチオン及びアニオンの用語で参照されるであろう。
担体上に製造された触媒には、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属がカチオンプロモーターとして含有されていてよい。アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の例はリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムである。他のカチオンプロモーターには、ランタニド系金属を含む第3b族金属イオンが含まれる。幾つかの例において、プロモーターは、米国特許第4,916,243号明細書(参照して本明細書に含める)に記載されているように、相剰的な効率増強を得るために、カチオンの混合物、例えばセシウムと少なくとも1種の他のアルカリ金属との混合物を含む。本明細書において周期表に対する参照はCRC Handbook of Chemistry and Physics、第46版、内側裏表紙において、Chemical Rubber Company、オハイオ州クリーブランド(Cleveland)により刊行されたものに対するものとすることに注目されたい。
完成触媒中のアルカリ金属プロモーターの濃度の好ましい範囲は狭くなく、広範囲に亘って変化してよい。特定の触媒のための最適アルカリ金属プロモーター濃度は、性能特性、例えば触媒効率、触媒老化の速度及び反応温度に依存するであろう。
完成触媒中のアルカリ金属の濃度(カチオン、例えばセシウムの重量基準)は、約0.0005〜1.0重量%、好ましくは約0.005〜0.5重量%で変化してよい。担体又は触媒の表面上に堆積される又は存在するカチオンプロモーターの好ましい量は、一般的に、全担体材料上で計算される、約10〜約4000、好ましくは約15〜約3000、更に好ましくは約20〜約2500ppm重量のカチオンである。全担体材料の約50〜約2000ppm重量のカチオンプロモーター量がしばしば最も好ましい。アルカリ金属セシウムカチオンを、他のカチオンと共に混合物中に使用するとき、所望の性能を達成するための、セシウムカチオン対任意の他のアルカリ金属及びアルカリ土類金属カチオン(使用する場合)の比は狭くなく、広範囲に亘って変化してよい。セシウムカチオンプロモーター対他のカチオンプロモーターの重量比は約0.0001:1から10,000:1まで、好ましくは約0.001:1から1,000:1まで変化してよい。
本発明で使用することができる幾つかのアニオンプロモーターの例には、ハロゲン化物、例えばフッ化物及び塩化物並びに周期表の第3b族〜第7b族及び第3a族〜第7a族の5〜83の原子番号を有する、酸素以外の元素のオキシアニオンが含まれる。窒素、硫黄、マンガン、タンタル、モリブデン、タングステン及びレニウムのオキシアニオンの1種又はそれ以上が幾つかの応用のために好ましいであろう。
本発明の触媒中に使用するのに適しているアニオンプロモーター又は変性剤の種類は、単なる例として、オキシアニオン、例えば硫酸塩、SO4 -2、リン酸塩、例えばPO4 -3、チタン酸塩、例えばTiO3 -2、タンタル酸塩、例えばTa26 -2、モリブデン酸塩、例えばMoO4 -2、バナジン酸塩、例えばV24 -2、クロム酸塩、例えばCrO4 -2、ジルコン酸塩、例えばZrO3 -2、ポリリン酸塩、マンガン酸塩、硝酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、タングステン酸塩、チオ硫酸塩、セレート(cerates)などを含む。フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物を含むハロゲン化物が存在してもよい。
多くのアニオンが、錯体化学的性質を有し、1種又はそれ以上の形、例えばオルトバナジン酸塩及びメタバナジン酸塩並びに種々のモリブデン酸塩オキシアニオン、例えばMoO4 -2、Mo724 -6及びMo27 -2で存在し得ることがよく認められている。オキシアニオンには、ポリオキシアニオン構造を含有する混合金属含有オキシアニオンが含まれていてもよい。例えばマンガン及びモリブデンは、混合金属オキシアニオンを形成することができる。同様に、アニオン性、カチオン性、元素状又は共有形で与えられる他の金属を、アニオン性構造の中に入れることができる。
オキシアニオン又はオキシアニオンへの前駆体は、担体に含浸する溶液中に使用できるが、触媒の製造の状態の間及び/又は使用の間に、特定のオキシアニオン又は最初に存在する前駆体を、他の形に転換させることができる。実際に、元素をカチオン性形又は共有形に転換させることができる。多くの例において、分析技術は、存在する種を正確に同定するために充分ではないであろう。本発明は使用の間に触媒上に最終的に存在し得る正確な種によって限定されることを意図しない。
或る種の効率が高い触媒で、最も好ましいプロモーターは、種々の形で、例えば金属として、共有化合物として、カチオンとして又はアニオンとして与えることができるレニウムを含む。増強された効率及び/又は活性を与えるレニウム種は、確かではなく、添加された成分又は触媒の製造の間若しくは触媒として使用する間に発生するものであろう。レニウム化合物の例には、レニウム塩、例えばハロゲン化レニウム、オキシハロゲン化レニウム、レニウム酸塩、過レニウム酸塩、レニウムの酸化物及びレニウムの酸が含まれる。しかしながら、過レニウム酸アルカリ金属、過レニウム酸アンモニウム、過レニウム酸アルカリ土類金属、過レニウム酸銀、他の過レニウム酸塩及び七酸化レニウムも、適切に使用できる。七酸化レニウム、Re27は、水中に溶解したときに加水分解して、過レニウム酸、HReO4又は過レニウム酸水素になる。従って、本明細書の目的のために、七酸化レニウムは、過レニウム酸塩、即ちReO4であると考えることができる。同様な化学はモリブデン及びタングステンのような他の金属によって示すことができる。
本発明で使用することができるプロモーターの別の種類には、マンガン成分が含まれる。多くの例において、マンガン成分は触媒の活性、効率及び/又は安定性を増強することができる。増強された活性、効率及び/又は安定性を与えるマンガン種は、確かではなく、添加される成分又は触媒製造の間若しくは触媒として使用する間に発生するものであってよい。マンガン成分には、これらに限定するものではないが、酢酸マンガン、硫酸アンモニウムマンガン、クエン酸マンガン、ジチオン酸マンガン、シュウ酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン及びマンガン酸塩アニオン、例えば過マンガン酸塩アニオンなどが含まれる。ある種の含浸溶液中でマンガン成分を安定化するために、キレート化化合物、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその適当な塩を添加することが必要であろう。
アニオンプロモーターの量は広く、例えば触媒の全重量基準で約0.0005〜2重量%、好ましくは約0.001〜0.5重量%で変化させることができる。使用するとき、レニウム成分は、しばしば、触媒の全重量基準でレニウムの重量として計算して、少なくとも約1、例えば少なくとも約5、例えば約10〜2000、しばしば20〜1000ppmwの量で与えられる。
銀及び1種又はそれ以上の固体プロモーターは、担体上に比較的均一に分散されていることが望ましい。銀触媒材料及び1種又はそれ以上のプロモーターを堆積させるための好ましい手順は、(1)本発明に従った担体に、溶媒又は可溶化剤、銀錯体及び1種又はそれ以上のプロモーターを含む溶液を含浸させる工程並びに(2)その後、含浸担体を処理して、銀化合物を転化させ、そして銀及びプロモーター(単数又は複数)の、担体の外部及び内部細孔表面上への堆積を実施する工程を含む。銀及びプロモーター堆積は、一般的に、担体を含有する溶液を高温度に加熱して、担体内の液体を蒸発させ、そして内部及び外部担体表面上への銀及びプロモーターの堆積を実施することによって達成される。この加熱工程の温度は、任意の銀化合物を金属銀にまで還元するのに充分に高い。担体の含浸は、これが、被覆手順(これは、一般的に、担体の内部表面上への実質的な銀堆積を行うことができない)よりも一層効率的に銀を利用するので、銀堆積のための好ましい技術である。更に、被覆された触媒は、機械的摩擦による銀損失を一層受けやすい。
アルミナ担体の上に堆積された銀及び固体プロモーターの量について分析するために、公知の方法を使用することができる。当業者は、例えば、これらの堆積された任意の成分の量を決定するために物質収支を使用することができる。その代わりに、元素状組成を決定するための任意の適切な分析技術、例えばX線蛍光(XRF)を使用して、堆積された成分の量を決定することができる。
当該技術分野で公知であるように、反応を触媒上で或る期間に亘って実施するとき、この触媒は、いつかは、「老化(age)」し、活性を失い始め、これは、典型的には、所望の反応に触媒作用するために利用可能な活性部位の数が減少することを意味する。このような老化が起こる一つの機構には、触媒表面上の塩化銀の生成が含まれる。塩化銀は、不可逆的に生成し、触媒寿命における減少及び一層頻繁な触媒交換を起こす。排出された触媒上の塩化銀の存在は、任意の適切な分析技術、例えば単独での又はCl種の定量のための元素特異測定、例えばX線蛍光(XRF)と組合せたX線回折(XRD)を使用して又は排出された触媒を浸出し、続いてイオンクロマトグラフィー、滴定等により浸出液を分析して決定することができる。
硫黄は、高効率アルキレンオキサイド触媒を含む、多数の触媒の毒である。典型的なアルキレンオキサイドプロセスにおいて、硫黄はアルキレン供給物及び/又はバラスト気体中に含有されている種々の硫黄含有化合物としてプロセスに入る不純物である。或るアルキレンオキサイドプロセスにおいて、原子基準での反応器供給物中の硫黄の濃度は、プロセスの寿命に亘って、エチレンの量基準で1カップル部/10億(モル量)のように小さくからほぼ50ppb(モル量)まで変化するであろう。任意の与えられた時間で、反応器供給気体中の硫黄の濃度は、もっと高いかも知れない。この硫黄は、制限無しに、硫化物(硫化水素及び二硫化物を含む)、メルカプタン(例えばメチルメルカプタン)、硫黄酸化物(例えばSO2)、チオフェン及び硫化カルボニル(COS)を含む、種々の異なった硫黄含有化合物中に存在するであろう。従って、一つの代表的態様において、反応器供給物22中の硫黄の濃度は、反応器10内の高効率アルキレンオキサイド触媒上の塩化銀の生成を制御するために、制御される。手動及び自動化方法を含む、硫黄濃度を制御するための任意の方法を使用することができる。原子基準での反応器供給物22中の硫黄の濃度は、好ましくは約50ppbv以下に制御される。約40ppbv以下の濃度が好ましく、約30ppbv以下の濃度がなお更に好ましい。約20ppbv以下の濃度がなお更に好ましく、約5ppbv以下の濃度が更に好ましい。或る特に好ましい例において、原子基準での反応器供給気体硫黄濃度は約1ppbv以下である。
新しい(未使用の)触媒が、最初に始動するとき、これは、直ちには、その究極の性能レベルを達成しない。一般的に、始動した直後は、活性及び効率の両方は、この触媒が最終的に得るであろうものよりも幾らか低い。新しい触媒が運転されるとき、活性及び効率は、数日の期間をかけて、これらが定常状態運転条件(この時点で、触媒活性における変化は測定値の標準偏差よりも小さい)に漸近的に近づくまで増加する。運転の最初の数日間の性能におけるこの上昇は、一般的に、触媒の「活性化(activation)」として参照され、この運転期間が完結したとき、触媒は、完全に「活性化された」と言われる。「活性化期間」は、触媒活性化が起こっている間の時間である。用語「活性化期間」は、これに限定されないが、その間に活性化が完結に到達する時間を含む。活性化の正確な機構は充分に確立されていないが、触媒表面上の固相プロモーターの幾らかの再配置又は再分布に起因するであろう。
塩化銀生成へのアルキレン供給物中の硫黄濃度の影響は完全には活性化されていない触媒について更に断言されるべきであると信じられる。或る代表的なプロセスにおいて、アルキレンオキサイドプロセスは、触媒上の塩化銀生成の可能性又は程度を減少させるために、少なくとも約2日間、更に好ましくは少なくとも約6日間の活性化期間の間運転される。他の代表的なプロセスにおいて、活性化の間の反応器供給物中の硫黄濃度は50ppbvよりも高いレベルにまでも変えることができる。別の代表的なプロセスにおいて、活性化の間の(原子基準での)反応器供給物中の硫黄濃度は約50ppbv以下、更に好ましくは約30ppbv以下、なお更に好ましくは約20ppbv以下に制御され、約5ppbv以下及び1ppbv以下の濃度が、それぞれ、更に好ましく、最も好ましい。他の代表的なプロセスにおいて、反応器供給気体中の硫黄濃度は、好ましくは少なくとも約2日間、更に好ましくは少なくとも約4日間、なお更に好ましくは少なくとも約7日間の期間、上記のレベルで維持される。
再び図1を参照して、アルキレン供給物12はアルキレン源泉70、例えばアルキレンオキサイドプロセス20と統合された及び/又は現場にあるオレフィン装置によって供給することができる。アルキレン源泉70は、第三者により又はアルキレンオキサイドプロセス20から離れた場所で運転することもできる。一つの態様において、アルキレン源泉70から受け取ったアルキレン(単数又は複数)から硫黄含有化合物を除去するために、脱硫装置72が設置されている。脱硫装置72は、未処理のアルキレン供給気体流11aを受け取り、それを脱硫処理して、脱硫されたアルキレン供給気体流12を生成する。バルブ74は、脱硫装置72を、アルキレン源泉70に、選択的に、流動的に連結する。バルブ74は手動で又は自動的に操作することができる。更に、バイパスラインを脱硫装置72の周りに設けて、未処理のアルキレン供給気体流11aが、選択的に及び直接的に流動的にプロセス20に連結できるようにすることができる。本明細書中に使用されるとき、用語「脱硫された」は、硫黄除去プロセス(例えば脱硫装置)に付された組成物を指し、ゼロの硫黄含有量を有するこれらの組成物に限定されない。図1に示されるように、脱硫装置72からの脱硫されたアルキレン供給気体12は、反応器供給気体入口流22に流動的に連結されている。介在装置又はプロセスを、脱硫装置72とアルキレンオキサイド反応器10との間に含めることができる。しかしながら、図1の例において、脱硫装置72からの脱硫されたアルキレン供給気体出口流12は、脱硫された反応器供給気体入口流22に直接的に流動的に連結されており、それらの間に介在プロセスは設けられていない。前記のように、脱硫されたアルキレン供給気体12は、反応器10に入る前に、有機塩化物気体状プロモーター流14及び酸素(又は空気)流15プラス、任意的に、バラスト気体13と一緒にされる。アルキレン供給物流量制御器51は、流量計41によって測定されるように、反応器10への脱硫されたアルキレン供給物12の流量を調節する。有機塩化物気体状プロモーター流量制御器36は、流量計44によって測定されるように、有機塩化物気体状プロモーターの流量を調節する。
脱硫装置72は、硫黄含有化合物を所望のレベルまで除去するための任意の公知のプロセスからなっていてよい。一つの態様において、脱硫装置72は、それを通って、流11aからの未処理のアルキレン供給物が通過して、硫黄含有化合物の少なくとも一部分が、吸着剤床に吸着され、脱硫されたアルキレン供給物12から除去される、吸着剤床を含む。硫黄含有化合物のための多数の吸着剤が公知であり、脱硫装置72を構成する吸着剤床内に使用することができる。吸着剤床を構成する吸着剤材料は、好ましくは前記の硫黄含有化合物の1種又はそれ以上を吸着するように選択される。この吸着剤は、物理的及び/又は化学的吸着プロセスによって、硫黄含有化合物を吸着することができる。或る代表的な実施において、吸着剤は、粒状無機材料を含む。或る例において、この無機材料は、好ましくは金属酸化物、更に好ましくは希土類金属酸化物、遷移金属酸化物及び/又はこれらの混合物である無機酸化物である。適切な金属酸化物には、制限無しに、亜鉛、銅、鉄、マンガン、鉛、アルミニウム、バナジウム、カルシウム、バリウム、セリウム、ランタン及びこれらの混合物の酸化物が含まれる。酸化亜鉛が、硫化水素を吸着するために特に適している。アルミナ系吸着剤が、メルカプタン、硫化物、二硫化物及びチオフェンを吸着するために、特に適している。酸化亜鉛吸着剤の場合に、硫化水素は酸化亜鉛と反応して、固体の硫化亜鉛及び水を生成する。
(3) H2S + ZnO → ZnS + H2
硫化水素の除去は化学反応の通り進行する。従って、吸着剤床寸法は公知の反応工学原理を使用して決定することができる。或る例において、酸化亜鉛床は(周囲に対して)上昇した温度で運転される。他の例において、この床温度は少なくとも約200℃、好ましくは少なくとも210℃、更に好ましくは少なくとも約220℃、なお更に好ましくは約230℃、なお更に好ましくは少なくとも約240℃である。幾つかの場合において、この床温度は約250℃以下又はそれ以上の温度で運転される。
硫化水素以外の硫黄含有化合物が未処理のアルキレン供給物11中に存在する場合、酸化亜鉛以外の吸着剤床、例えば前記のアルミナ系吸着剤床が好ましく使用される。適切なアルミナ系吸着剤には、Selexsorb(登録商標)SG、Selexsorb(登録商標)COS、Selexsorb(登録商標)CDX及びUOP SG−731が含まれる。吸着剤の具体的な種類及び形状は、除去されるべき硫黄の種及び源泉70により供給されるアルキレン供給物中のそれらの濃度に基づいて選択される。Selexsorb(登録商標)SGは、BASF Corporationによって供給される滑らかなアルミナ系の球状のプロモーター含浸吸着剤であり、これは硫化物、二硫化物及びチオフェンを含む硫黄含有化合物を吸着する。これは約200m2/gの表面積、約832kg/m3の充填嵩密度を有し、約95重量%のアルミナ及びプロモーターを含有する。Selexsorb(登録商標)COSは、COS、CO2、H2S及びCS2を選択的に吸着する、滑らかな球状のアルミナ系吸着剤である。Selexsorb(登録商標)CDXは、メルカプタン、二硫化物及びチオフェンを含む硫黄系化合物も選択的に吸着する、滑らかな球状のアルミナ系吸着剤である。アルミナ系吸着剤に加えて、或る例において、銅/亜鉛吸着剤を、脱硫を与えるために使用することができる。1種の公知の銅/亜鉛吸着剤は、Actisorb301であり、これはSud-Chemieによって供給される。下記のように、或る例において、組合せ酸化亜鉛/酸化銅床が、脱硫装置72内に使用される。このような一つの例において、組合せ酸化亜鉛/酸化銅床は、好ましくは少なくとも約50℃、更に好ましくは少なくとも約60℃、なお更に好ましくは少なくとも約70℃の温度で運転される。酸化亜鉛/酸化銅床温度は、好ましくは約120℃以下、更に好ましくは約110℃以下、なお更に好ましくは約100℃以下である。
或る実施において、H2S以外の硫黄含有化合物はH2Sに転化させ、次いでH2S吸着床、例えば酸化亜鉛で除去することができる。図2を参照して、脱硫装置72は硫黄転化装置73a及び硫化水素吸着装置73bを含む。アルキレン供給源泉70は硫黄転化装置73aに流動的に連結されている未処理のアルキレン供給物流11aを供給する。硫黄転化装置73aは、非H2S硫黄含有化合物(例えばメルカプタン、硫酸塩及びCOS)を、H2Sに転化させ、硫化水素吸着装置73bの入口に流動的に連結されている生成物流11bを生成する。一つの例において、硫黄転化装置73aは、水素化触媒及び非H2S硫黄含有化合物をH2Sに転化させるための水素の源泉を含んでいてよい。しかしながら、このプロセスは、オレフィン自体が水素化される場合、部分的なオレフィン損失になるであろう。他の例において、硫黄転化装置73aは、下記の反応に従って、COSを加水分解してH2Sを生成するための加水分解触媒を含む。
(4) COS + H2O + CO2 + H2
COSの加水分解を実施するために適している金属酸化物の例には、制限無しに、アルカリ土類金属、例えばLi、Na、K、Cs等、アルカリ土類金属、例えばMg、Ca、Ba等、第IIb族金属、例えばZn、Cd等及び第IV族金属、例えばSn、Pb等から選択された1種又はそれ以上の金属の酸化物が含まれる。このような金属酸化物加水分解触媒は、Nozue等の米国特許第4,511,668号明細書(その内容を、その全部を参照して本明細書に含める)中に記載されている。他の例において、アルミナは、非H2S硫黄含有化合物の存在下で水和されて、この化合物をH2Sに転化させる。
或る代表的なプロセスにおいて、未処理のアルキレン供給物源泉70はアルキレンを油又は他の重質炭化水素汚染物質と共に供給する。脱硫装置72内の硫黄化合物吸着床(単数又は複数)の原形及び運転を維持するために、このような汚染物質を脱硫の前に除去することが望ましいであろう。図2bを参照して、供給物前処理器72aは硫黄転化装置73a及び脱硫装置73bの上流の重質炭化水素汚染物質前処理器71を含む。代替実施において、硫黄転化装置73aは除かれて、脱硫装置73bが重質炭化水素汚染物質前処理器71からの生成物流11b中の所望される硫黄含有化合物を除去するために配置されている。このような重質炭化水素汚染物質を除去するためのプロセスは、当業者に知られており、活性炭床プロセス、フィルター及び汚染物質を凝縮させ、除去する低温度トラップを含んでいる。重質炭化水素汚染物質前処理器としての活性炭床の使用は、これが、一般的に、幾らかの追加の硫黄含有化合物吸着を与えるので、特に有利である。
前記の種類の吸着剤床に加えて、脱硫装置72は酸気体除去プロセス、例えば液体−蒸気接触器(例えばスクラバー)を含んでいてもよい。このスクラバーは、硫化水素を液相の中に除去し、脱硫されたアルキレン供給気体12を生成する液体スクラビング剤を含有している。好ましいスクラビング剤は、制限無しに、アミン化合物及び水酸化ナトリウム(苛性物質)を含む塩基性化合物である。適切なアミン化合物の例には、第一級、第二級及び第三級ヒドロキシアミンを含むヒドロキシアミンが含まれる。適切なアミンスクラビング化合物の具体例には、モノエタノールアミン(MEA)及びジエタノールアミン(DEA)が含まれる。スクラバーは、スクラビング剤がスクラバー容器内に止まっている半回分式システムであってよく又はスクラビング剤及びアルキレン供給気体が、共に、容器を貫通して流れている完全連続流システムであってよい。流量及びスクラビング剤濃度(並びに/又は半回分式システムの場合にスクラビング剤体積)は、好ましくは所望の硫黄含有化合物除去程度を与えるように選択される。スクラバーの温度は脱硫の程度を制御するように調節することもできる。アルキレン供給物源泉70が、それ自身の酸気体除去プロセスと共に現存するオレフィン装置を含む場合、このプロセスは、必要な脱硫をもたらすように調節することができる。しかしながら、オレフィン供給物の典型的な仕様は、高効率銀触媒上の塩化銀生成を防止するために必要な脱硫の程度を要求しない。また、前記の脱硫プロセスの種々の組合せを使用できることが注目されるべきである。従って、一つの例において、H2S及び/又は他の硫黄含有種を除去するために適している、酸気体スクラバー、H2S転化装置及び1種又はそれ以上の脱硫装置(例えば前述の活性炭又は金属酸化物吸着剤床の種々の組合せ)が使用される。更に、異なった硫黄含有化合物のために異なった親和性を有するように、1種又はそれ以上の脱硫装置を用意し、選択することができる。従って、例えば1種の脱硫装置が、一般的に全ての硫黄含有種を吸着し、他方、他の脱硫装置が、特定の硫黄含有種を選択的に吸着することができる。別の例において、前記のプロセスが重質炭化水素汚染物質前処理器と組合せられる。
或る例において、脱硫装置72は少なくとも約220psig、更に好ましくは少なくとも約260psig、なお更に好ましくは少なくとも約280psigの圧力で運転する。他の例において、脱硫装置72は約340psig以下、更に好ましくは約320psig以下、なお更に好ましくは約310psig以下の圧力で運転する。脱硫装置72を構成する吸着剤床又は床群は、好ましくは脱硫の所望の程度をもたらすために十分である、入ってくる気体との接触時間を与えるようなサイズである。一つの例において、それぞれの床は約20cm/秒以下、好ましくは約10cm/秒以下、更に好ましくは約5cm/秒以下の表面速度、即ち流量/吸着無しの流れに対して垂直な容器の面積を与えるようなサイズである。
反応器供給気体硫黄濃度を制御するための他の代表的なプロセスは図2cに示される。図2cのプロセスにおいて、供給物前処理器72aは重質炭化水素汚染物質前処理器71、第一の脱硫装置73a及び第二の脱硫装置73bを含んでいる。重質炭化水素汚染物質前処理器71は、アルキレン供給物から、油又は他の重質炭化水素汚染物質及び任意的に幾らかの硫黄含有種を除去するために配置されている。これは、活性炭床プロセス、フィルター及び汚染物質又はこのような成分の組合せを凝縮させ、除去する低温度トラップを含んでいてよい。しかしながら、図2cの例において、重質炭化水素汚染物質前処理器71は活性炭粒子を含んでいる。
第一の脱硫装置73aは、重質炭化水素汚染物質前処理器生成物流11bを受け取り、少量の硫化水素並びにメルカプタン及びチオフェンを含む全ての他の硫黄種を除去するために配置されている。好ましい実施において、第一の脱硫装置73aは化学吸着プロセスを使用する。1種の適切な化学吸着媒体は、Sud−Chemieによって供給される銅/亜鉛吸着剤触媒であるActisorb301である。或る例において、第一の脱硫装置73aの運転温度を、吸着に有利である温度に調節することが好ましい。特に、第一の脱硫装置73aの温度を、銅/亜鉛触媒による化学吸着を改良するように調節できることが見出された。従って、熱源90(例えば制御可能な加熱媒体、例えばスチームによる加熱コイル)を使用して、第一の脱硫装置73aの温度を選択的に調節することができる。第一の脱硫装置73aが銅/亜鉛Actisorb301吸着剤を含有する一例において、第一の脱硫装置73aの温度は、好ましくは少なくとも約50℃、更に好ましくは少なくとも約60℃、なお更に好ましくは少なくとも約70℃である。この例に従って、第一の脱硫装置73aの温度は、好ましくは約120℃以下、更に好ましくは約110℃以下、なお更に好ましくは約100℃以下である。第一脱硫装置73aの圧力は、一般的に少なくとも約220psig、好ましくは少なくとも約260psig、なお更に好ましくは少なくとも約280psigである。第一の脱硫装置73aの圧力は、一般的に約340psig以下、好ましくは約320psig以下、なお更に好ましくは約310psig以下である。第二の脱硫装置73bの吸着剤床は、第一の脱硫装置73aから生成物流11dを受け取り、好ましくは脱硫の所望の程度をもたらすために充分である、入ってくる気体との接触時間を与えるようなサイズである。一つの例において、この床は、約20cm/秒以下、好ましくは約10cm/秒以下、更に好ましくは約5cm/秒以下の表面速度を与えるようなサイズである。所望により、硫黄転化装置を、供給物前処理器72aに付加することができ又は脱硫装置73a及び73bの1個の代わりに使用することができる。
第一の脱硫装置73aが、硫化水素及び全ての他の硫黄含有種を除去するために配置されているのに対して、第二の脱硫装置73bは、特定の硫黄種を選択的に除去するために配置されている。一例において、第二の脱硫装置73bは、COS硫化水素及びCS2を選択的に吸着するために配置されている。第二の脱硫装置73b内に使用することができる1種の適切な吸着剤はSelexsorb(登録商標)SGである。第一の脱硫装置73aが、例えば化学吸着を改良するために熱源90を含み、第二の脱硫装置73bが物理吸着媒体を使用する場合、第二の脱硫装置73bへの供給物流11dの温度を、物理吸着に有利な温度まで低下させるために、段間(interstage)冷却器92が好ましく設けられている。
或る好ましい態様において、脱硫装置72又は供給物前処理器72aは、反応器供給気体22中の硫黄の濃度を、予定値よりも低く維持するように運転される。このような態様に従って、反応器供給気体22中の部/10億(体積)範囲内の硫黄濃度を検出するために、分析器42が好ましく配置されている。検出された硫黄濃度に基づいて、運転パラメーター(例えば脱硫装置73aの温度)が、反応器供給気体22中の硫黄の濃度を、所望の値よりも下に維持するように調節される。脱硫装置73aに対する調節は、開又は閉ループ方式で行うことができる。しかしながら、一つの態様において、脱硫装置73aには熱源90及び温度制御器(その設定点は反応器供給気体22中の所望の硫黄濃度を維持するように調節することができる)が設けられている。更に、アルキレン供給物源泉70が、硫黄の許容できないほど高い濃度を与える場合、バルブ74を閉じて、アルキレン供給物源泉70をプロセス20から分離することができる。この場合に、下記のように、他のアルキレン供給物源泉が、プロセス20と流体連通状態で好ましく設置される。閉ループ制御が設けられている場合、分析器42によって検出された硫黄の濃度を制御する、組成制御器が設けられる。この組成制御器は、適切な制御器(例えば脱硫装置73a又は調節可能な熱源若しくは冷却源が設けられている任意の他の脱硫装置内の温度制御器)の設定点をリセットするように段階化されていてよい。
反応器供給気体22中の硫黄の濃度を測定するために、分析器42が使用される場合、これは、プロセスラインから分析器42へのサンプルの移動を最小にするために、好ましくはオンライン又はインラインで配置される。このような分析器の使用は、サンプル容器、例えば硫黄含有化合物を吸着する傾向を有し、それによって、プロセス気体中のこのような化合物の測定の正確性を低下させることができるガスボンベのための必要性を排除する。分析器42は、好ましくはガスクロマトグラフ(GC)であり、また好ましくは硫黄含有化合物の吸着に対して不活性又は殆ど不活性である材料から構成されている。適切な材料には、シリカ内張チューブ、電解研磨した配管及びTEFLON(登録商標)が含まれる。硫黄含有化合物を、他の化合物から分離するために、任意の適切なクロマトグラフィーカラム又はカラムの組合せを、GC内で使用することができる。或る種の多孔質層開管(PLOT)カラム、例えばAgilent部品番号19095−UO4が、この目的のために特に適していると見出された。他の種類の分析器、例えば所謂紙テープ分析器も、使用することができる。しかしながら、当業者は他の適切なカラムを知っているであろう。
所望の硫黄検出感度を与えるために、分析器42は、また、好ましくは測定の感度を増強するための炎光光度検出器(FPD)を含む。他の硫黄感度増強コンポーネント、例えば硫黄化学ルミネセンスシステム、低温濃縮システム又は標的シグナル増強システム(targeted signal enhancement system)を、分析器42の中に含めることができる。IFPAC(登録商標)2007(メリーランド州Baltimore)で提示されたR. Aaron Eidt、“Targeted Signal Enhancement(TSE),A Powerful Means of Boosting Process GC Detection Limits by 1-2 Orders of Magnitude,”参照。
或る例示的な実施において、1種又はそれ以上のアルキレンオキサイド供給物源泉が、プロセス20に選択的に流動的に連結されて、反応器供給気体22中の硫黄含有化合物の濃度を制御する。一つの図解を図3に示す。3個のアルキレンオキサイド供給物源泉70、80及び90が、それぞれ独立に、プロセス20に連結され、これらの何れか又は全部が、任意の与えられた時間で、アルキレンオキサイドをプロセス20に供給できるようになっている。供給物源泉70、80及び90は、プロセス20と同じ施設内に設けることができ又はこれらの1個若しくはそれ以上を、プロセス20から遠く離れて設けることができる。更に、供給物源泉70、80及び90の1個又はそれ以上は、プロセス20に選択的に連結される移動式供給物源泉であってよい。更に、供給物源泉70、80及び90の1個又はそれ以上はプロセス20が配置されている施設から遠く離れて配置されていてよい。
それぞれの供給物源泉70、80、90は、それ自体のそれぞれの流体連結バルブ74、84、94を有しており、これらは、対応する供給物源泉70、80及び/又は90をプロセス20に、選択的に及び独立的に、流動的に連結するように、手動により操作することができ又は自動的に操作することができる。或る例示例において、供給物源泉70、80及び/又は90の1個又はそれ以上は、アルキレン供給気体流12の硫黄濃度を制御するように、プロセス20に選択的に連結されている。他の例において、供給物源泉70、80及び/又は90の1個又はそれ以上は、例えば分析器42によって示されるような、反応器供給気体流22中の硫黄の濃度を制御するように、プロセス20に選択的に連結されている。更に、アルキレンオキサイド供給物源泉の1個又はそれ以上は、プロセス20に入る前に、脱硫を受けることができる。一緒にされた供給物源泉は、図1及び2に関して前記したように、プロセス20で脱硫を受けることもできる。バルブ21は、供給物源泉70、80及び90をプロセス20から同時に分離するために使用することができる。
一つの代表的な実施において、バルブ74、84及び94は、それらの対応する供給物源泉が、反応器供給気体22の、約50ppbv以下、好ましくは約40ppbv以下、更に好ましくは約30ppbv以下、なお更に好ましくは約20ppbv以下、なお更に好ましくは約10ppbv以下、なお更に好ましくは約5ppbv以下、特に好ましい例において約1ppbv以下である硫黄濃度を有するアルキレンオキサイド流12を製造するときのみ、開かれている。当業者に明らかであるように、供給物源泉70、80及び/又は90によって与えられるアルキレンオキサイド流12中の実際の硫黄濃度は、バラスト気体13及び酸素15の流量が、反応器供給気体22中の硫黄濃度に影響を与えるので、反応器供給気体流22のものとは異なっていてよい。
実施例1
80ccの銀系、高効率、レニウム促進エチレンオキサイド触媒を、オートクレーブ反応器に装入する。反応器の上流で、エチレン供給物を、環境温度及び約295psig(2030kPaゲージ)の圧力で、Actisorb301の第一床、続いてSelexsorb(登録商標)SGの第二床と接触させることによって脱硫する。床群へのエチレンの流量は、約500〜550scfh(14.1〜15.6標準m3/時)で変化する。それぞれの床は、約48インチ(1.2m)の長さを有する4インチ(10cm)内径パイプから作られている。第一床には、23.0ポンド(10.4kg)のActisorb301が含まれ、第二床には17.0ポンド(7.71kg)のSelexsorb SGが含まれている。この同じ脱硫システムを、実施例2〜5の運転のために使用する。
下記の表1に示されるような実施例1〜5の排出された触媒上に見出される硫酸塩の量及び触媒上に吸着された供給気体硫黄の推定パーセントに基づいて、原子基準での供給気体中の硫黄の量は、第一床及び第二床内のエチレンの脱硫の後で、約15ppbvであると推定される。
この反応器を、標準条件(酸素8モル%、エチレン30モル%、二酸化炭素3モル%、エタン0.5モル%、塩化エチル2ppmv、残りが窒素、温度240℃、圧力275psig(1900kPaゲージ)及び6,600時-1の時間基準の気体空間速度)で始動し、触媒を約6日間活性化させる。活性化期間の終わりに、反応器条件を、AgClの生成に有利な条件(酸素10モル%、エチレン30モル%、二酸化炭素7モル%、エタン0.4モル%、塩化エチル14ppmv、残りが窒素、温度270℃、圧力275psig(1900kPaゲージ)及び8,200時-1の時間基準の気体空間速度)に変える。塩化エチル濃度は、実験の長さを短縮するために、典型的な商業的プロセスにおいて使用されるものよりも高い。しかしながら、この条件は、典型的な商業的反応器運転回数及び有機塩化物濃度で得られるものの代表である結果をもたらすと信じられる。約1日後に、(原子基準での全供給物硫黄濃度を約40ppbvにする)反応器供給物流量基準の硫化水素約0.025ppmv(25ppbv)に対応する、硫化水素0.025モル%、メタン50モル%及び残りのAirgasから得られる窒素を含む気体混合物を反応器供給物に添加する。この反応器を、これらの条件で約20日間運転する。触媒を反応器から取り出し、分析する。排出された触媒は、約1.75重量%のAgClを含有していると見出される。
実施例2
実施例1からの同じエチレンオキサイド触媒のバッチの80ccを、オートクレーブ反応器に装入し、実施例1と同じ方法で始動する。約6日後に、運転条件を、実施例1におけると同じ、AgCl生成のために有利な条件に変更する。しかしながら、この場合に、反応器供給物に硫化水素を添加しない。この反応器を、更に約19日間運転し、運転停止する。触媒を取り出し、分析する。X線蛍光およびX線回折によって分析するとき、AgClは、触媒上に検出されない。
実施例3
実施例1において使用したのと同じエチレンオキサイド触媒のバッチの80ccを、オートクレーブ反応器に装入する。反応器を、実施例1において与えられたAgCl生成のために有利な条件で始動する。ほぼ同時に、反応器供給物流量基準の硫化水素約0.025ppmv(25ppbv)に対応する、硫化水素の少量の供給を反応器に開始する。反応器をこれらの条件で約22日間運転し、運転停止する。触媒を反応器から取り出し、分析する。排出された触媒は約2.7重量%のAgClを含有している。この実施例は、アルキレンオキサイド反応器供給物中に或る濃度の硫黄含有化合物が存在するとき、触媒活性化時間が、塩化銀生成への顕著な影響を有することを示している。
実施例4
実施例1において使用したのと同じエチレンオキサイド触媒のバッチの80ccを、オートクレーブ反応器に装入する。反応器を、供給物への硫化水素添加無しに、実施例1において与えられたAgCl生成のために有利な条件で始動し、次いで、触媒を約4日間活性化させる。活性化期間の終わりに、反応器温度を255℃に変更する。ほぼ同時に、反応器供給物流量基準の硫化水素約0.025ppmv(22ppbv)に対応する、硫化水素の少量の供給を反応器に開始する。反応器をこれらの条件で約2日間運転し、次いで、反応器温度を270℃まで上昇させる。反応器をこれらの条件で更に約20日間維持し、運転停止する。触媒を反応器から取り出し、分析する。排出された触媒は約2.6重量%のAgClを含有している。実施例1との比較において、この実施例は、再び、アルキレンオキサイド反応器供給物中に或る濃度の硫黄含有化合物が存在するとき、触媒活性化時間が、塩化銀生成への顕著な影響を有することを示している。更に、実施例3及び実施例4についてのAgClレベルの比較は、供給物への硫黄含有化合物の意図的な添加を含まない活性化期間の間の特別の条件が、最終的なAgClレベルに著しく影響を与えないことを示している。
実施例5
実施例1からの同じエチレンオキサイド触媒のバッチの80ccを、オートクレーブ反応器に装入し、実施例1と同じ方法で始動する。約5日後に、運転条件を、実施例1におけると同じ、AgCl生成のために有利な条件に変更する。しかしながら、この場合に、反応器供給物に硫化水素を添加しない。この反応器を、更に約18日間運転し、運転停止する。触媒を取り出し、分析する。X線蛍光およびX線回折によって分析するとき、AgClは、触媒上に検出されない。
実施例6及び7
幾何学的サイズにおける認識可能で顕著な差異を有する、ほぼ等しい量、即ち、20ccの、銀系非レニウムエチレンオキサイド触媒及び高効率レニウム促進エチレンオキサイド触媒を、実施例1〜5で使用されたものと同じ一般型の、より小さい逆混合反応器に装入する。これを、実施例1で与えられた同じ方法で始動する。反応器の上流で、エチレン供給物は、Selexsorb(登録商標)CDXのガード床(guard bed)と、環境温度及び340psig(2340kPaゲージ)の圧力で接触することによって脱硫される。この硫黄ガード床は、約25インチ(63.5cm)の長さを有する4.5インチ(11.4cm)内径パイプから作られている。このガード床は、1ガロン(3.8リットル)のSelexsorb(登録商標)CDXを含んでいる。下記の表1中に示されるような触媒上に見出される硫酸塩の量及び触媒上に吸着された供給気体硫黄の推定パーセントに基づいて、原子基準での供給気体中の硫黄の量は、硫黄ガード床内での脱硫の後で約15ppbvであると推定される。約2日後に、運転条件を、実施例1で与えられると同じ、AgCl生成のために有利な条件に変更する。ほぼ同時に、反応器供給物流量基準の二酸化硫黄約0.025ppmv(25ppbv)に対応する、0.05%の二酸化硫黄を含み、Airgasから得られる±2%の相対分析不確実性を有するヘリウムによって釣り合いを取られた気体供給を、反応器に開始する。反応器を約19日間運転し、運転停止する。装入物を反応器から取り出し、2種の触媒を分離する。実施例6、即ち非レニウム触媒は、0.7重量%のAgClを含有しており、一方、実施例7、レニウム促進エチレンオキサイド触媒は、1.76重量%のAgClを含有している。下記の表1に要約されるように、データは、銀系レニウム促進エチレンオキサイド触媒が、硫黄誘導塩化銀生成を一層受け易いことを示している。
実施例8及び9
実施例6及び7と同様に、混合装入物を調製し、反応器に導入する。これを、実施例1におけると同じ方法で始動する。約2日後に、運転条件を、実施例1におけると同じ、AgCl生成のために有利な条件に変更する。しかしながら、この場合に、硫黄化合物、即ち、二酸化硫黄を反応器供給物に添加しない。反応器を約19日間運転し、運転停止する。装入物を、実施例6及び7におけると同じ方法で取り扱う。X線蛍光およびX線回折によって分析するとき、AgClは、触媒上に検出されない。
Figure 2012522061
前記の説明は、本発明の方法及びシステムの代表的態様を例示し、説明するために示した。これは、包括的であること及び本発明を開示された任意の明確な形に限定することを意図しない。本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物で本発明の要素を置換できることが、当業者によって理解されるであろう。更に、本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況及び材料を本発明の技術に適合させるために、多くの修正を行うことができる。従って、本発明は、本発明を実施するために意図された最善の方式として開示された特定の態様に限定されないこと及び本発明は、特許請求の範囲の範囲内に入る全ての態様を含むことが意図される。本発明は、その精神又は範囲から逸脱することなく特別に説明され、例示されたもの以外の他の方法で実施することができる。本発明の範囲は、下記の特許請求の範囲によって単独で限定される。
前記の説明は、本発明の方法及びシステムの代表的態様を例示し、説明するために示した。これは、包括的であること及び本発明を開示された任意の明確な形に限定することを意図しない。本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物で本発明の要素を置換できることが、当業者によって理解されるであろう。更に、本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況及び材料を本発明の技術に適合させるために、多くの修正を行うことができる。従って、本発明は、本発明を実施するために意図された最善の方式として開示された特定の態様に限定されないこと及び本発明は、特許請求の範囲の範囲内に入る全ての態様を含むことが意図される。本発明は、その精神又は範囲から逸脱することなく特別に説明され、例示されたもの以外の他の方法で実施することができる。本発明の範囲は、下記の特許請求の範囲によって単独で限定される。
以下に、本発明及びその関連態様を記載する。
態様1.アルキレン、酸素及び少なくとも1種の有機塩化物を含む反応器供給気体からのアルキレンオキサイドの製造に使用される、高効率銀触媒上の塩化銀の生成を制御するプロセスであって、原子基準での反応器供給気体中の硫黄の濃度を約50ppbv以下に制御することを含んでなるプロセス。
態様2.反応器供給気体中の硫黄の濃度を制御する工程が、少なくとも1個の供給気体源泉をプロセスに、選択的流動的に連結することを含む態様1に記載のプロセス。
態様3.原子基準での反応器供給気体中の硫黄の濃度を、約50ppbv以下に制御する工程を、少なくとも約2日間実施する態様1に記載のプロセス。
態様4.反応器供給気体中の硫黄の濃度を制御する工程が、アルキレン及び硫黄含有化合物を含むアルキレン供給物を用意し、そしてアルキレン供給物を脱硫することを含む態様1に記載のプロセス。
態様5.アルキレン供給物を脱硫する工程が硫黄含有化合物の少なくとも一部を吸着剤床の上に吸着させることを含む態様4に記載のプロセス。
態様6.前記吸着剤床が硫化水素吸着材料を含む態様5に記載のプロセス。
態様7.前記吸着剤床がメルカプタン吸着材料を含む態様5に記載のプロセス。
態様8.前記吸着剤床が硫黄酸化物吸着材料を含む態様5に記載のプロセス。
態様9.前記吸着剤床が硫化カルボニル吸着材料を含む態様5に記載のプロセス。
態様10.アルキレン供給物を脱硫する工程が、硫黄含有化合物の少なくとも一部を硫化水素に転化させ、そしてこの硫化水素の少なくとも一部を吸着剤床の上に吸着させることを含む態様5に記載のプロセス。
態様11.少なくとも1種の硫黄含有化合物を含有するアルキレン供給物を用意し、
前記少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部をアルキレン供給物から除去して、脱硫されたアルキレン供給物を得、
前記脱硫されたアルキレン供給物を、少なくとも酸素及び少なくとも1種の有機塩化物と一緒にして、反応器供給気体を得、
前記反応器供給気体中の硫黄の濃度を、原子基準で、約50ppbv以下に制御し、そして
前記反応器供給気体を高効率銀触媒上で反応させて、アルキレンオキサイドを含む反応生成物を得る
工程を含んでなるアルキレンオキサイドの製造プロセス。
態様12.更に、このアルキレン供給物からの少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部の除去の速度を調節して、反応器供給気体中の硫黄の濃度を制御することを更に含む態様11に記載のプロセス。
態様13.前記少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部をアルキレン供給物から除去する工程が、少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部を、吸着剤床の上に吸着させることを含む態様11に記載のプロセス。
態様14.前記反応器供給気体中の硫黄の濃度を制御する工程が吸着剤床温度を調節することを含む態様13に記載のプロセス。
態様15.アルキレン供給気体入口及び脱硫されたアルキレン気体出口を有する脱硫装置並びに
高効率銀触媒床、反応器供給気体入口及びアルキレンオキサイド生成物出口を含むアルキレンオキサイド反応器
を含んでなり、
前記反応器供給気体入口が、脱硫装置の脱硫されたアルキレン気体出口,酸素源泉及び有機塩化物源泉に流動的に連結されており、前記プラントが原子基準での反応器供給気体中の硫黄の濃度を約50ppbv以下に制御するように設計されているアルキレンオキサイドプラント。
態様16.原子基準での反応器供給気体中の硫黄の濃度が約50ppbvよりも低いように、反応器供給気体中の少なくとも1種の硫黄含有化合物の濃度を制御するように、更に設計されているアルキレンオキサイド反応器供給気体硫黄制御器を含んでなる態様15に記載のアルキレンオキサイドプラント。
態様17.前記脱硫装置が、硫化水素吸着剤床に流動的に連結された硫黄転化装置を含み、硫黄転化装置がアルキレン供給気体入口を含み、そして硫化水素吸着剤床が脱硫されたアルキレン気体出口を含む態様15に記載のアルキレンオキサイドプラント。
態様18.前記高効率銀触媒がレニウム促進されている態様15に記載のアルキレンオキサイドプラント。
態様19.重質炭化水素汚染されたアルキレン供給物入口及び汚染除去されたアルキレン生成物出口を含む重質炭化水素汚染物質前処理器を更に含み(ここで、汚染除去されたアルキレン生成物出口が脱硫装置のアルキレン供給気体入口に流動的に連結されている)態様15に記載のアルキレンオキサイドプラント。
態様20.前記脱硫装置が第一の脱硫装置であり、前記プラントが供給物前処理器を更に含み、前記供給物前処理器が重質炭化水素汚染物質前処理器、第一の脱硫装置及び第二の脱硫装置を含む態様15に記載のアルキレンオキサイドプラント。

Claims (20)

  1. アルキレン、酸素及び少なくとも1種の有機塩化物を含む反応器供給気体からのアルキレンオキサイドの製造に使用される、高効率銀触媒上の塩化銀の生成を制御するプロセスであって、原子基準での反応器供給気体中の硫黄の濃度を約50ppbv以下に制御することを含んでなるプロセス。
  2. 反応器供給気体中の硫黄の濃度を制御する工程が、少なくとも1個の供給気体源泉をプロセスに、選択的流動的に連結することを含む請求項1に記載のプロセス。
  3. 原子基準での反応器供給気体中の硫黄の濃度を、約50ppbv以下に制御する工程を、少なくとも約2日間実施する請求項1に記載のプロセス。
  4. 反応器供給気体中の硫黄の濃度を制御する工程が、アルキレン及び硫黄含有化合物を含むアルキレン供給物を用意し、そしてアルキレン供給物を脱硫することを含む請求項1に記載のプロセス。
  5. アルキレン供給物を脱硫する工程が硫黄含有化合物の少なくとも一部を吸着剤床の上に吸着させることを含む請求項4に記載のプロセス。
  6. 前記吸着剤床が硫化水素吸着材料を含む請求項5に記載のプロセス。
  7. 前記吸着剤床がメルカプタン吸着材料を含む請求項5に記載のプロセス。
  8. 前記吸着剤床が硫黄酸化物吸着材料を含む請求項5に記載のプロセス。
  9. 前記吸着剤床が硫化カルボニル吸着材料を含む請求項5に記載のプロセス。
  10. アルキレン供給物を脱硫する工程が、硫黄含有化合物の少なくとも一部を硫化水素に転化させ、そしてこの硫化水素の少なくとも一部を吸着剤床の上に吸着させることを含む請求項5に記載のそれ。
  11. 少なくとも1種の硫黄含有化合物を含有するアルキレン供給物を用意し、
    前記少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部をアルキレン供給物から除去して、脱硫されたアルキレン供給物を得、
    前記脱硫されたアルキレン供給物を、少なくとも酸素及び少なくとも1種の有機塩化物と一緒にして、反応器供給気体を得、
    前記反応器供給気体中の硫黄の濃度を、原子基準で、約50ppbv以下に制御し、そして
    前記反応器供給気体を高効率銀触媒上で反応させて、アルキレンオキサイドを含む反応生成物を得る
    工程を含んでなるアルキレンオキサイドの製造プロセス。
  12. 更に、このアルキレン供給物からの少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部の除去の速度を調節して、反応器供給気体中の硫黄の濃度を制御することを更に含む請求項11に記載のプロセス。
  13. 前記少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部をアルキレン供給物から除去する工程が、少なくとも1種の硫黄含有化合物の少なくとも一部を、吸着剤床の上に吸着させることを含む請求項11に記載のそれ。
  14. 前記反応器供給気体中の硫黄の濃度を制御する工程が吸着剤床温度を調節することを含む請求項13に記載のプロセス。
  15. アルキレン供給気体入口及び脱硫されたアルキレン気体出口を有する脱硫装置並びに
    高効率銀触媒床、反応器供給気体入口及びアルキレンオキサイド生成物出口を含むアルキレンオキサイド反応器
    を含んでなり、
    前記反応器供給気体入口が、脱硫装置の脱硫されたアルキレン気体出口,酸素源泉及び有機塩化物源泉に流動的に連結されており、前記プラントが原子基準での反応器供給気体中の硫黄の濃度を約50ppbv以下に制御するように設計されているアルキレンオキサイドプラント。
  16. 原子基準での反応器供給気体中の硫黄の濃度が約50ppbvよりも低いように、反応器供給気体中の少なくとも1種の硫黄含有化合物の濃度を制御するように、更に設計されているアルキレンオキサイド反応器供給気体硫黄制御器を含んでなる請求項15に記載のアルキレンオキサイドプラント。
  17. 前記脱硫装置が、硫化水素吸着剤床に流動的に連結された硫黄転化装置を含み、硫黄転化装置がアルキレン供給気体入口を含み、そして硫化水素吸着剤床が脱硫されたアルキレン気体出口を含む請求項15に記載のアルキレンオキサイドプラント。
  18. 前記高効率銀触媒がレニウム促進されている請求項15に記載のアルキレンオキサイドプラント。
  19. 重質炭化水素汚染されたアルキレン供給物入口及び汚染除去されたアルキレン生成物出口を含む重質炭化水素汚染物質前処理器を更に含み(ここで、汚染除去されたアルキレン生成物出口が脱硫装置のアルキレン供給気体入口に流動的に連結されている)請求項15に記載のアルキレンオキサイドプラント。
  20. 前記脱硫装置が第一の脱硫装置であり、前記プラントが供給物前処理器を更に含み、前記供給物前処理器が重質炭化水素汚染物質前処理器、第一の脱硫装置及び第二の脱硫装置を含む請求項15に記載のアルキレンオキサイドプラント。
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