JP2012521759A5 - - Google Patents

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抗FGFR3抗体およびこれを用いた方法
(関連出願についての相互参照)
本出願は、2009年3月25日に出願の米国特許出願第61/163222号の優先権を主張し、この内容は出典明記によって本明細書中に援用される。
(発明の分野)
本発明は、概して分子生物学の分野に関する。特に本発明は、抗FGFR3抗体およびその使用に関する。
線維芽細胞増殖因子(FGF)およびそのレセプター(FGFR)は、胚発生、組織恒常性および代謝の間に重要な役割を果たす(1−3)。ヒトにおいては、22つのFGF(FGF1−14、FGF16−23)とチロシンキナーゼドメインを有する4つのFGFレセプター(FGFR1−4)がある。FGFRは、細胞外リガンド結合領域とともに、2又は3の免疫グロブリン様ドメイン(IgD1−3)、単回膜貫通領域および細胞質、スプリット(split)チロシンキナーゼドメインからなる。FGFR1、2および3はそれぞれ、IIIbおよびIIIcと称される2つの主要なオルターナティブスプライスアイソフォームを有する。これらのアイソフォームは、IgD3の後半のおよそ50アミノ酸が異なり、異なった組織分布およびリガンド特異性を有する。一般に、IIIbアイソフォームは上皮細胞にみられるのに対して、IIIcは間葉系細胞に発現される。ヘパラン硫酸プロテオグリカンに呼応してFGFを結合すると、FGFRは、二量化して、特定のチロシン残基でリン酸化される。これにより、FGFR基質2α(FRS2α)などの重要なアダプタータンパク質の動員が促され、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MAPK)およびPI3K−AKT経路(1、3、4)を含む複数のシグナル伝達カスケードの活性化が引き起こされる。その結果、FGF及びその同族レセプターは、系統に依存する様式で、増殖、分化、移動および生存を含む細胞過程の多くの系統を制御する。
異常に活性化されたFGFRは特定のヒトの悪性腫瘍に関連していた(1、5)。特に、t(4;14)(p16.3;q32)染色体転座は、多発性骨髄腫患者のおよそ15〜20%に生じ、FGFR3の過剰発現を引き起こし、全体の生存率の低下と相関している(6−9)。FGFR3は培養物中の骨髄腫細胞株への化学的抵抗性の付与と関連しており(10)、これは、従来の化学療法に対してt(4;14)+患者の臨床効果が劣ることと一致している(8)。突然変異的に活性化されたFGFR3の過剰発現は、造血性細胞および線維芽細胞(11−14、15)、トランスジェニックマウスモデル(16)およびマウスの骨髄移植モデル(16、17)において腫瘍化転換を十分に誘導する。したがって、FGFR3は、多発性骨髄腫の潜在的治療的標的として提唱されている。実際、FGFRを標的とする様々な小分子インヒビターは、FGFR3に選択的ではなく、特定の他のキナーゼに対して交差阻害活性を有するにもかかわらず、培養物中及びマウスモデルのFGFR3陽性骨髄腫細胞に対して細胞障害性を示した(18−22)。
FGFR3過剰発現は、膀胱癌の高分画においても報告されている(23、24)。さらに、FGFR3内の体細胞活性化突然変異は、60〜70%の乳頭および16〜20%の筋肉浸潤性膀胱カルチノーマにおいて同定された(24、25)。細胞培養実験において、RNA干渉(11、26)又はFGFR3単鎖Fv抗体断片は膀胱癌細胞増殖を阻害した(27)。最近の研究では、FGFR3抗体−毒素コンジュゲートが、腫瘍へのFGFR3媒介毒素運搬により膀胱癌細胞株の移植片増殖を低減することが示された(28)。しかしながら、FGFR3シグナル伝達が実際に膀胱腫瘍のインビボ増殖の発癌作動機構であるかどうかは不明なままである。さらに、膀胱癌においてFGFR3を標的とする治療的可能性はインビボモデルに基づいては決定されなかった。FGFR3および抗FGFR3抗体に関する出版物には、米国特許公開2005/0147612;Rauchenberger et al, J Biol Chem 278 (40): 38194-38205 (2003);国際公開2006/048877;Martinez-Torrecuadrada et al, (2008) Mol Cancer Ther 7(4): 862-873;国際公開2007/144893;Trudel et al. (2006) 107(10): 4039-4046;Martinez-Torrecuadrada et al (2005) Clin Cancer Res 11 (17): 6280-6290;Gomez-Roman et al (2005) Clin Cancer Res 11:459-465;Direnzo, R et al (2007) Proceedings of AACR Annual Meeting, Abstract No. 2080;国際公開2010/002862が含まれる。
治療薬として開発されるのに適した臨床特性を有する薬剤が継続して求められていることは明白である。本明細書において記述される発明は、この必要性を満たし他の利点を提供する。
特許出願及び出版物を含み、本明細書中に引用されるすべての文献は出典明記によってその全体が援用される。
本発明は、様々なFGFR3結合剤(例えば抗体およびその断片)の同定にある程度基づく。FGFR3は重要かつ有益な治療的標的を示し、本発明はFGFR3への薬剤の結合に基づく組成物および方法を提供する。本明細書において記述するように、本発明のFGFR3結合剤は、FGFR3シグナル伝達経路の発現および/または活性と関係している病的状態を標的とする際に用いられる、重要な治療用及び診断用薬剤を提供する。したがって、本発明は、FGFR3結合に関連した方法、組成物、キットおよび製造品を提供する。
本発明はFGFR3に結合する抗体を提供する。一態様では、本発明は、FGFR3を結合する単離された抗体を特徴とする。いくつかの実施態様では、抗体は、FGFR3 IIIbアイソフォームおよび/またはFGFR3 IIIcアイソフォームを結合する。いくつかの実施態様では、抗体は、変異したFGFR3(例えば一又は複数のFGFR3 IIIb R248C、S249C、G372C、Y375C、K652E、および/または一又は複数のFGFR3 IIIc R248C、S249C、G370C、Y373C、K650E)を結合する。いくつかの実施態様では、抗体は、単量体FGFR3(例えば単量体FGFR3 IIIbおよび/またはIIIcアイソフォーム)を結合する。いくつかの実施態様では、抗体は、例えば二量体FGFR3型と比較して単量体FGFR3型を安定化させるなどして、単量体FGFR3の形成を促進する。
一態様では、本発明は、単離された抗FGFR3抗体であって、この抗体の完全長IgG型は1×10−7以上の強さのKdでヒトFGFR3を結合する抗体を提供する。当分野で確立されているように、そのレセプターに対するリガンドの結合親和性は様々なアッセイの何れかを用いて決定され、様々な定量値で表される。したがって、一実施態様では、結合親和性は、Kd値として表され、固有の結合親和性を(例えば、最小の結合活性効果によって)反映する。一般に、そして、好ましくは、無細胞又は細胞関連の環境の何れであっても、結合能はインビトロで測定される。例えば、Biacore、ラジオイムノアッセイ(RIA)およびELISAなどの本明細書中に記載の物を含め、当分野で公知の多くのアッセイの何れかを用いて、結合親和性の測定値を得ることができる。いくつかの実施態様では、抗体の完全長IgG型は、1×10−8以上の強さのKdで、1×10−9以上の強さのKdで、又は1×10−10以上の強さのKdでヒトFGFR3を結合する。
一般に、本発明の抗FGFR3抗体はアンタゴニスト抗体である。ゆえに、一態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3活性(例えばFGFR3-IIIbおよび/またはFGFR3-IIIc活性)を阻害する。いくつかの実施態様では、抗FGFR3抗体(一般に二価の様式のもの)は、実質的なFGFR3アゴニスト機能を備えていない。いくつかの実施態様では、抗FGFR3アンタゴニスト抗体(一般に二価の様式のもの)は、ほとんどないしは全くFGFR3アゴニスト機能を備えていない。一実施態様では、本発明の抗体(一般に二価の様式のもの)は、統計学的に有意であるバックグラウンドレベルを上回るFGFR3アゴニスト活性レベルを表さない。
一態様では、FGFR3に対する抗体の結合は、レセプターの他のユニットとのレセプターの二量体化を阻害し、それによって、(少なくともある程度レセプター二量体化の欠如により)レセプターの活性化が阻害される。阻害は直接的ても間接的でもよい。
一態様では、本発明は、実質的なアポトーシス活性を保有しない(例えば、例えば移行上皮癌細胞又は多発性骨髄腫細胞、例としてt(4;14)転座のようなFGFR3転座を含む多発性骨髄腫細胞などの細胞のアポトーシスを誘導しない)抗FGFR3抗体を提供する。いくつかの実施態様では、抗FGFR3抗体は、ほとんどないしは全くアポトーシス機能を備えていない。いくつかの実施態様では、FGFR3抗体は、統計学的に有意であるバックグラウンドレベルを上回るアポトーシス機能を表さない。
一態様では、本発明は、実質的なFGFR3下方制御を誘導しない抗FGFR3抗体を提供する。いくつかの実施態様では、抗FGFR3抗体は、ほとんどないしは全くレセプター下方制御を誘導しない。いくつかの実施態様では、FGFR3抗体は、統計学的に有意であるバックグラウンドレベルを上回るレセプター下方制御を誘導しない。
一態様では、本発明は、エフェクター機能を備えている抗FGFR3抗体を提供する。一実施態様では、エフェクター機能は抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)を含む。一実施態様では、抗FGFR3抗体(いくつかの実施態様ではネイキッド抗FGFR3抗体)は細胞、いくつかの実施態様では多発性骨髄腫細胞(転座、例えばt(4;14)転座を含む多発性骨髄腫細胞など)を殺すことが可能である。いくつかの実施態様では、抗FGFR3抗体は、細胞につきおよそ10000以上のFGFR3分子(例えば、細胞につきおよそ11000、およそ12000、およそ13000、およそ14000、およそ15000、およそ16000、およそ17000、およそ18000以上のFGFR3分子)を発現する細胞を殺すことが可能である。他の実施態様では、細胞は、細胞につきおよそ2000、およそ3000、およそ4000、およそ5000、およそ6000、およそ7000、およそ8000以上のFGFR3分子を発現する。
一態様では、本発明の抗FGFR3抗体は、恒常的なFGFR3活性を阻害する。いくつかの実施態様では、恒常的FGFR3活性は、リガンド依存性のFGFR3恒常的活性である。いくつかの実施態様では、恒常的FGFR3活性は、リガンド非依存性の恒常的FGFR3活性である。
一態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3-IIIbR248Cに対応する突然変異を含むFGFR3を阻害する。ここで使用するように、「FGFR3−IIIbR248Cに対応する突然変異を含む」なる用語は、FGFR3−IIIbR248CおよびFGFR3−IIIcR248C、並びにFGFR3−IIIb R248に対応する位置にRからCへの突然変異を含む他のFGFR3型を包含すると理解される。当分野の技術者は、例えばFGFR3−IIIc配列をFGFR3−IIIb配列を整列配置してFGFR3−IIIb内のR248位に対応するFGFR3内の位置を同定するなど、それぞれのFGFR3配列間の対応する残基を同定するためにどのようにFGFR3配列を整列配置するかを理解する。いくつかの実施態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3−IIIbR248Cおよび/またはFGFR3−IIIcR248Cを阻害する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3−IIIbK652Eに対応する突然変異を含むFGFR3を阻害する。便宜上、「FGFR3−IIIbK652Eに対応する突然変異を含む」なる用語は、FGFR3−IIIbK652EおよびFGFR3−IIIcK650E、並びにFGFR3−IIIb K652に対応する位置にKからEへの突然変異を含む他のFGFR3型を包含すると理解される。当分野の技術者は、例えばFGFR3−IIIc配列をFGFR3−IIIb配列を整列配置してFGFR3−IIIb内のK652位に対応するFGFR3内の位置を同定するなど、それぞれのFGFR3配列間の対応する残基を同定するためにどのようにFGFR3配列を整列配置するかを理解する。いくつかの実施態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3−IIIbK652Eおよび/またはFGFR3−IIIcK650Eを阻害する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3−IIIbS249Cに対応する突然変異を含むFGFR3を阻害する。便宜上、「FGFR3−IIIbS249Cに対応する突然変異を含む」なる用語は、FGFR3−IIIbS249CおよびFGFR3−IIIcS249C、並びにFGFR3−IIIb S249に対応する位置にSからCへの突然変異を含む他のFGFR3型を包含すると理解される。いくつかの実施態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3−IIIbS249Cおよび/またはFGFR3−IIIcS249Cを阻害する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3−IIIbG372Cに対応する突然変異を含むFGFR3を阻害する。便宜上、「FGFR3−IIIbG372Cに対応する突然変異を含む」なる用語は、FGFR3−IIIbG372CおよびFGFR3−IIIcG370C、並びにFGFR3−IIIb G372に対応する位置にGからCへの突然変異を含む他のFGFR3型を包含すると理解される。いくつかの実施態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3−IIIbG372Cおよび/またはFGFR3−IIIcG370Cを阻害する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3−IIIbY375Cに対応する突然変異を含むFGFR3を阻害する。便宜上、FGFR3−IIIbY375Cに対応する突然変異を含む」なる用語は、FGFR3−IIIbY375CおよびFGFR3−IIIcY373C、並びにFGFR3−IIIb S249に対応する位置にSからCへの突然変異を含む他のFGFR3型を包含すると理解される。いくつかの実施態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3−IIIbY375Cおよび/またはFGFR3−IIIcY373Cを阻害する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、(a) FGFR3−IIIbK652Eと、(b) FGFR3−IIIbR248C、FGFR3−IIIbY375C、FGFR3−IIIbS249CおよびFGFR3IIIb G372Cの一又は複数を阻害する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、(a) FGFR3−IIIcK650Eと、(b) FGFR3−IIIcR248C、FGFR3−IIIcY373C、FGFR3−IIIcS249CおよびFGFR3IIIc G370Cの一又は複数を阻害する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、(a) FGFR3−IIIbR248Cと、(b) FGFR3−IIIbK652E、FGFR3−IIIbY375C、FGFR3−IIIbS249CおよびFGFR3−IIIbG372Cの一又は複数を阻害する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、(a) FGFR3−IIIcR248Cと、(b) FGFR3−IIIcK650E、FGFR3−IIIcY373C、FGFR3−IIIcS249CおよびFGFR3−IIIcG370Cの一又は複数を阻害する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、(a) FGFR3−IIIbG372Cと、(b) FGFR3−IIIbK652E、FGFR3−IIIbY375C、FGFR3−IIIbS249CおよびFGFR3−IIIbR248Cの一又は複数を阻害する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、(a) FGFR3−IIIcG370Cと、(b) FGFR3−IIIcK650E、FGFR3−IIIcY373C、FGFR3−IIIcS249CおよびFGFR3−IIIcR248Cの一又は複数を阻害する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3−IIIbR248C、FGFR3−IIIbK652E、FGFR3−IIIbY375C、FGFR3−IIIbS249CおよびFGFR3−IIIbG372Cを阻害する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3−IIIcR248C、FGFR3−IIIcK650E、FGFR3−IIIcY373C、FGFR3−IIIcS249CおよびFGFR3−IIIcG370Cを阻害する。
一態様では、本発明は、
(a)
(i) RASQDVDTSLA(配列番号:87)である配列A1−A11を含むHVR−L1、
(ii) SASFLYS(配列番号:88)である配列B1-B7を含むHVR−L2、
(iii)QQSTGHPQT(配列番号:89)である配列C1−C9を含むHVR−L3 、
(iv) GFTFTSTGIS(配列番号:84)である配列D1-D10を含むHVR−H1、
(v) GRIYPTSGSTNYADSVKG(配列番号:85)である配列E1−E18を含むHVR−H2、
(vi) ARTYGIYDLYVDYTEYVMDY(配列番号:86)である配列F1-F20を含むHVR−H3、から選択される少なくとも1、2、3、4又は5の高頻度可変領域(HVR)と、
(b) 少なくとも1の変異HVRであって、この変異HVR配列が配列番号:1−18、48−131および140−145に示される配列の少なくとも1残基(少なくとも2残基、少なくとも3以上の残基)の修飾を含む変異HVRと
を含んでなる単離された抗FGFR3抗体を提供する。修飾は、置換、挿入又は欠失であることが望ましい。
いくつかの実施態様では、HVR−L1変異体は、以下の位置:A5(V又はD)、A6(V又はI)、A7(D、E又はS)、A8(T又はI)、A9(A又はS)およびA10(V又はL)のいずれかの組合せで1〜6(1、2、3、4、5又は6)の置換を含む。いくつかの実施態様では、HVR−L2変異体は、以下の位置:B1(S又はG)、B4(F又はS又はT)およびB6(A又はY)のいずれかの組合せで1〜2(1又は2)の置換を含む。いくつかの実施態様では、HVR−L3変異体は、以下の位置:C3(G又はS又はT)、C4(T又はY又はA)、C5(G又はS又はT又はA)、C6(A又はH又はD又はT又はN)、C7(Q又はP又はS)およびC8(S又はY又はL又はP又はQ)のいずれかの組合せで1〜6(1、2、3、4、5又は6)の置換を含む。いくつかの実施態様では、HVR−H1変異体は、以下の位置:D3(S又はT)、D5(W又はY又はS又はT)、D6(S又はG又はT)のいずれかの組合せで1〜3(1、2又は3)の置換を含む。いくつかの実施態様では、HVR−H2変異体は、以下の位置:E2(R又はS)、E6(Y又はA又はL又はS又はT)、E7(A又はQ又はD又はG又はY又はS又はN又はF)、E8(A又はD又はG)、E9(T又はS)、E10(K又はF又はT又はS)、E11(Y又はH又はN又はI)のいずれかの組合せで1〜6(1、2、3、4、5又は6)の置換を含む。
一態様では、本発明は、
(a)
(i) XがV又はDであり、XがV又はIであり、XがD、E又はSであり、XがT又はIであり、XがA又はSであり、XがV又はLである、配列RASQXA(配列番号:146)を含むHVR−L1、
(ii) XがS又はGであり、XがA又はYである、配列XASFLXS(配列番号:147)を含むHVR−L2、
(iii)XがG、S又はTであり、XがT、Y又はAであり、XがG、S、T又はAであり、XがA、H、D、T又はNであり、XがQ、P又はSであり、XがS、Y、L、P又はQである、配列QQXT(配列番号:148)を含むHVR−L3、
(iv) XがS又はTであり、XがW、Y、S又はTであり、XがS、G又はTである、配列GFXFXTGIS(配列番号:149)を含むHVR−H1、
(v) XがY、A、L、S又はTであり、XがA、Q、D、G、Y、S、N又はFであり、XがA、D又はGであり、XがT又はSであり、XがK、F、T又はSであり、XがY、H、N又はIである、配列GRIYPXYADSVKG(配列番号:150)を含むHVR−H2、
(vi) 配列ARTYGIYDLYVDYTEYVMDY(配列番号:151)を含むHVR−H3
から選択される少なくとも1、2、3、4又は5の高頻度可変領域(HVR)
を含む単離された抗FGFR3抗体を提供する。
いくつかの実施態様では、HVR−L1は、XがV又はDであり、XがD、E又はSであり、XがT又はIであり、XがA又はSである、配列RASQXVXVA(配列番号:152)を含む。いくつかの実施態様では、HVR−L3は、XがS、G又はTであり、XがY、T又はAであり、XがT又はGであり、XがT、H又はNであり、XがP又はSであり、XがP、Q、Y又はLである、配列QQXT(配列番号:153)を含む。いくつかの実施態様では、HVR−H2は、XがT又はLであり、XがN、Y、S、G、A又はQであり、XがN又はHである、配列GRIYPXGSTXYADSVKG(配列番号:154)を含む。
他の態様では、本発明は、1、2、3、4、5又は6のHVRを含む単離された抗FGFR3抗体であり、この各々のHVRは配列番号:1−18、48−131及び140−145から選択される配列を含むか、からなるか又は基本的にからなり、配列番号:1、7、13、48、54、60、66、72、78、84、90、96、102、108、114、120、126又は143はHVR−H1に対応し、配列番号:2、8、14、49、55、61、67、73、79、85、91、97、103、109、115、121、127又は144はHVR−H2に対応し、配列番号:3、9、15、50、56、62、68、74、80、86、92、98、104、110、116、122、128又は145はHVR−H3に対応し、配列番号:4、10、16、51、57、63、69、75、81、87、93、99、105、111、117、123、129又は140はHVR−L1に対応し、配列番号:5、11、17、52、58、64、70、76、82、88、94、100、106、112、118、124、130又は141はHVR−L2に対応し、配列番号:6、12、18、53、59、65、71、77、83、89、95、101、107、113、119、125、131又は142はHVR−L3に対応するものである抗FGFR3抗体を特徴とする。
一態様では、本発明は、配列番号:1、7、13、48、54、60、66、72、78、84、90、96、102、108、114、120、126又は143の配列を含むHVR−H1を含む抗FGFR3抗体を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号:2、8、14、49、55、61、67、73、79、85、91、97、103、109、115、121、127又は144の配列を含むHVR−H2を含む抗FGFR3抗体を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号:3、9、15、50、56、62、68、74、80、86、92、98、104、110、116、122、128又は145の配列を含むHVR−H3を含む抗FGFR3抗体を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号:4、10、16、51、57、63、69、75、81、87、93、99、105、111、117、123、129又は140の配列を含むHVR−L1領域を含む抗FGFR3抗体を提供する
一態様では、本発明は、配列番号:5、11、17、52、58、64、70、76、82、88、94、100、106、112、118、124、130又は141の配列を含むHVR−L2領域を含む抗FGFR3抗体を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号:6、12、18、53、59、65、71、77、83、89、95、101、107、113、119、125、131又は142の配列を含むHVR−L3領域を含む抗FGFR3抗体を提供する。
一態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:1、2、3を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:4、5、6を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:7、8、9を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:10、11、12を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:13、14、15を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:16、17、18を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様において、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:48、49、50を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:51、52、53を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:54、55、56を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:57、58、59を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:60、61、62、63を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:63、64、65を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様において、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:66、67、68を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:69、70、71を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:72、73、74を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:75、76、77を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:78、79、80を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:81、82、83を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:84、85、86を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:87、88、89を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:90、91、92を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:93、94、95を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:96、97、98を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:99、100、101を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:102、103、104を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:105、106、107を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:108、109、110を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:111、112、113を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:114、115、116を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:117、118、119を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:120、121、122を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:123、124、125を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:126、127、128を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:129、130、131を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、順に各々配列番号:140、141、142を含むHVR−H1、HVR−H2、HVR−H3を含む重鎖可変領域、及び/又は、順に各々配列番号:143、144、145を含むHVR−L1、HVR−L2およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域を含んでなる。
配列番号:1−18、48−131および140−145のアミノ酸配列は、図1に示す個々のHVR(すなわちH1、H2又はH3)に関して番号をつけられ、その番号付けは後述するカバット番号付けシステムと一致している。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:132を含む重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:133を含む軽鎖可変領域と重鎖可変領域とを含む。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:132を含む重鎖可変領域と配列番号:133を含む軽鎖可変領域とを含む。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:134を含む重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:135を含む軽鎖可変領域と重鎖可変領域とを含む。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:139を含む軽鎖可変領域と重鎖可変領域とを含む。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:134を含む重鎖可変領域と配列番号:135を含む軽鎖可変領域とを含む。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:136を含む重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:137を含む軽鎖可変領域と重鎖可変領域とを含む。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:136を含む重鎖可変領域と配列番号:137を含む軽鎖可変領域とを含む。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:138を含む重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:139を含む軽鎖可変領域と重鎖可変領域とを含む。
他の態様では、抗FGFR3抗体は、配列番号:138を含む重鎖可変領域と配列番号:139を含む軽鎖可変領域とを含む。
一態様では、本発明は、
(a) 配列SASSSVSYMH(配列番号:155)、SASSSVSYMH(配列番号:156)又はLASQTIGTWLA(配列番号:157)を含むHVR−L1、
(b) 配列TWIYDTSILAS(配列番号:158)、RWIYDTSKLAS(配列番号:159)又はLLIYAATSLAD(配列番号:160)を含むHVR−L2、
(c) 配列QQWTSNPLT(配列番号:161)、QQWSSYPPT(配列番号:162)又はQQLYSPPWT(配列番号:163)を含むHVR−L3、
(d) 配列GYSFTDYNMY(配列番号:164)、GYVFTHYNMY(配列番号:165)又はGYAFTSYNMY(配列番号:166)を含むHVR−H1、
(e) 配列WIGYIEPYNGGTSYNQKFKG(配列番号:167)、WIGYIEPYNGGTSYNQKFKG(配列番号:168)又はWIGYIDPYIGGTSYNQKFKG(配列番号:169)を含むHVR−H2、そして、
(f) 配列ASPNYYDSSPFAY(配列番号:170)、ARGQGPDFDV(配列番号:171)又はARWGDYDVGAMDY(配列番号:172)を含むHVR−H3
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5及び/又は6の高頻度可変領域(HVR)配列を含む抗FGFR3抗体を提供する。
一態様では、本発明は、
(a) 配列SASSSVSYMH(配列番号:155)を含むHVR−L1、
(b) 配列TWIYDTSILAS(配列番号:158)を含むHVR−L2、
(c) 配列QQWTSNPLT(配列番号:161)を含むHVR−L3、
(d) 配列GYSFTDYNMY(配列番号:164)を含むHVR−H1、
(e) 配列WIGYIEPYNGGTSYNQKFKG(配列番号:167)を含むHVR−H2、および
(f) 配列ASPNYYDSSPFAY(配列番号:170)を含むHVR−H3
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5及び/又は6の高頻度可変領域(HVR)配列を含む抗FGFR3抗体を提供する。
一態様では、本発明は、
(a) 配列SASSSVSYMH(配列番号:156)を含むHVR−L1、
(b) 配列RWIYDTSKLAS(配列番号:159)を含むHVR−L2、
(c) 配列QQWSSYPPT(配列番号:162)を含むHVR−L3、
(d) 配列GYVFTHYNMY(配列番号:165)を含むHVR−H1、
(e) 配列WIGYIEPYNGGTSYNQKFKG(配列番号:168)を含むHVR−H2、および
(f) 配列ARGQGPDFDV(配列番号:171)を含むHVR−H3
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5及び/又は6の高頻度可変領域(HVR)配列を含む抗FGFR3抗体を提供する。
一態様では、本発明は、
(a) 配列LASQTIGTWLA(配列番号:157)を含むHVR−L1、
(b) 配列LLIYAATSLAD(配列番号:160)を含むHVR−L2、
(c) 配列QQLYSPPWT(配列番号:163)を含むHVR−L3、
(d) 配列GYAFTSYNMY(配列番号:166)を含むHVR−H1、
(e) 配列WIGYIDPYIGGTSYNQKFKG(配列番号:169)を含むHVR−H2、および、
(f) 配列ARWGDYDVGAMDY(配列番号:172)を含むHVR−H3
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5及び/又は6の高頻度可変領域(HVR)配列を含む抗FGFR3抗体を提供する。
一態様では、本発明は、(a) (i) 配列SASSSVSYMHを含むHVR−L1(配列番号:155)、(ii) 配列TWIYDTSILAS(配列番号:158)を含むHVR−L2及び(iii) 配列QQWTSNPLT(配列番号:161)を含むHVR−L3を含む軽鎖と、(b) (i) 配列GYSFTDYNMY(配列番号:164)を含むHVR−H1、(ii) 配列WIGYIEPYNGGTSYNQKFKG(配列番号:167)を含むHVR−H2及び(iii) 配列ASPNYYDSSPFAY(配列番号:170)を含むHVR−H3を含む重鎖とを含んでなる抗FGFR3抗体を提供する。
一態様では、本発明は、(a) (i) 配列SASSSVSYMH(配列番号:156)を含むHVR−L1、(ii) 配列RWIYDTSKLAS(配列番号:159)を含むHVR−L2及び(iii) 配列QQWSSYPPT(配列番号:162)を含むHVR−L3を含む軽鎖と、および/または、(b) (i) 配列GYVFTHYNMY(配列番号:165)を含むHVR−H1、(ii) 配列WIGYIEPYNGGTSYNQKFKG(配列番号:168)を含むHVR−H2及び(iii) 配列ARGQGPDFDV(配列番号:171)を含むHVR−H3を含む重鎖とを含んでなる抗FGFR3抗体を提供する。
一態様では、本発明は、(a) (i) 配列LASQTIGTWLA(配列番号:157)を含むHVR−L1、(ii) 配列LLIYAATSLAD(配列番号:160)を含むHVR−L2及び(iii) 配列QQLYSPPWT(配列番号:163)を含むHVR−L3を含む軽鎖と、および/または、(i) 配列GYAFTSYNMY(配列番号:166)を含むHVR−H1、(ii) 配列WIGYIDPYIGGTSYNQKFKG(配列番号:169)を含むHVR−H2及び(iii) 配列ARWGDYDVGAMDY(配列番号:172)を含むHVR−H3を含む重鎖とを含んでなる抗FGFR3抗体を提供する。本発明の抗体のいくつかの実施態様は、ヒト化4D5抗体(huMAb4D5-8)(ハーセプチン(登録商標)、Genentech, Inc., South San Francisco, CA, USA)(米国特許第6407213号およびLee et al., J. Mol. Biol. (2004), 340(5): 1073-1093にも示される)の軽鎖可変ドメインを含む。その配列を以下の配列番号:173に示す。
Figure 2012521759
(HVR残基を下線で示す)。
一実施態様では、huMAb4D5-8軽鎖可変ドメイン配列は、位置30、66および91(それぞれ上の太字/斜体で示すAsn、ArgおよびHis)の一又は複数で修飾される。特定の実施態様では、修飾したhuMAb4D5-8配列は、位置30のSer、位置66のGlyおよび/または位置91のSerを含む。したがって、一実施態様では、本発明の抗体は、以下の配列番号:174に示す配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
Figure 2012521759
(HVR残基を下線で示す)。
huMAb4D5-8に関して置換した残基は太字/斜体で示す。
本発明の抗体は、FGFR3への結合活性が実質的に保持されるならば、任意の適切なフレームワーク可変ドメイン配列を含んでよい。例えば、いくつかの実施態様では、本発明の抗体は、ヒトのサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークコンセンサス配列は、位置71、73および/または78に置換を含む。これらの抗体のいくつかの実施態様では、位置71はAであり、73はTであり、および/または、78はAである。一実施態様では、これらの抗体は、huMAb4D5-8(ハーセプチン(登録商標)、Genentech, Inc., South San Francisco, CA, USA)(米国特許第6407213号及び同第5821337号およびLee et al., J. Mol. Biol. (2004), 340(5): 1073-1093にも示される)の重鎖可変ドメインフレームワーク配列を含む。一実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。特定の実施態様では、これらの抗体は米国特許第6407213号及び同第5821337号に示す、huMAb4D5-8の軽鎖HVR配列を含む。一実施態様では、これらの抗体は、huMAb4D5-8(ハーセプチン(登録商標)、Genentech, Inc., South San Francisco, CA, USA)(米国特許第6407213号及び同第5821337号およびLee et al., J. Mol. Biol. (2004), 340(5): 1073-1093にも示される)の軽鎖可変ドメイン配列を含む。
一実施態様では、本発明の抗体は重鎖可変ドメインを含み、そのフレームワーク配列は配列番号:19および203−205、20および206−208、21および209−211、22および212−214、23および215−217、24および218−220、25および221−223、26および224−226、27および227−229、28および230−232、29および233−235、30および236−238、31および239−241、32および242−244、33および245−247、34および248−250、35および251−253、36および254−256、および/または37および257−259の配列を含み、HVR H1、H2及びH3配列はそれぞれ配列番号:13、14および/または15である。他の実施態様では、フレームワーク配列は、配列番号:19および203−205、20および206−208、21および209−211、22および212−214、23および215−217、24および218−220、25および221−223、26および224−226、27および227−229、28および230−232、29および233−235、30および236−238、31および239−241、32および242−244、33および245−247、34および248−250、35および251−253、36および254−256、および/または37および257−259の配列を含み、HVR H1、H2及びH3配列は、それぞれ配列番号:48、49及び/又は50である。さらに他の実施態様では、フレームワーク配列は、配列番号:19および203−205、20および206−208、21および209−211、22および212−214、23および215−217、24および218−220、25および221−223、26および224−226、27および227−229、28および230−232、29および233−235、30および236−238、31および239−241、32および242−244、33および245−247、34および248−250、35および251−253、36および254−256、および/または37および257−259の配列を含み、HVR H1、H2及びH3配列は、それぞれ配列番号:84、85および/または86である。さらなる実施態様では、フレームワーク配列は、配列番号:19および203−205、20および206−208、21および209−211、22および212−214、23および215−217、24および218−220、25および221−223、26および224−226、27および227−229、28および230−232、29および233−235、30および236−238、31および239−241、32および242−244、33および245−247、34および248−250、35および251−253、36および254−256、および/または37および257−259の配列を含み、HVR H1、H2及びH3配列は、それぞれ配列番号:108、109および/または110である。
特定の実施態様では、本発明の抗体は軽鎖可変ドメインを含み、そのフレームワーク配列は配列番号:38および260−262、39および263−265、40および266−268および/または41および269−271の配列を含み、HVR L1、L2及びL3配列は、それぞれ配列番号:16、17および/または18である。他の実施態様では、本発明の抗体は軽鎖可変ドメインを含み、そのフレームワーク配列は配列番号:38および260−262、39および263−265、40および266−268および/または41および269−271の配列を含み、HVR L1、L2及びL3配列はそれぞれ配列番号:51、52および/または53である。他の実施態様では、本発明の抗体は軽鎖可変ドメインを含み、そのフレームワーク配列は配列番号:38および260−262、39および263−265、40および266−268および/または41および269−271の配列を含み、HVR L1、L2及びL3配列はそれぞれ配列番号:87、88及び/又は89である。さらに他の実施態様では、本発明の抗体は軽鎖可変ドメインを含み、そのフレームワーク配列は配列番号:38および260−262、39および263−265、40および266−268および/または41および269−271の配列を含み、HVR L1、L2及びL3配列はそれぞれ配列番号:111、112および/または113である。
他の態様では、本発明の抗体は、配列番号:132の配列を含む重鎖可変ドメインおよび/または配列番号:133の配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。他の態様では、本発明の抗体は、配列番号:134の配列を含む重鎖可変ドメインおよび/または配列番号:135の配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。他の態様では、本発明の抗体は、配列番号:136の配列を含む重鎖可変ドメインおよび/または配列番号:137の配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。他の態様では、本発明の抗体は、配列番号:138の配列を含む重鎖可変ドメインおよび/または配列番号:139の配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
一態様では、本発明は、以下のアミノ酸配列:LAVPAANTVRFRCPA(配列番号:179)および/またはSDVEFHCKVYSDAQP(配列番号:180)を含むか、から基本的になるか、からなるポリペプチドを結合する抗FGFR3抗体を提供する。
いくつかの実施態様では、抗体は、成熟したヒトFGFR3アミノ酸配列のアミノ酸番号164−178および/または269−283を含むか、から基本的になるか、からなるポリペプチドを結合する。
一実施態様では、本発明の抗FGFR3抗体は、配列LAVPAANTVRFRCPA(配列番号:179)および/またはSDVEFHCKVYSDAQP(配列番号:180)と、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%の配列同一性又は類似性を有するアミノ酸配列を特異的に結合する。
一態様では、本発明の抗FGFR3抗体は、FGFR3 IIIbポリペプチドの残基154、155、158、159、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、177、202、205、207、210、212、214、216、217、241、246、247、248、278、279、280、281、282、283、314、315、316、317および/または318、、又はFGFR3 IIIcポリペプチドの相当する残基の少なくとも1、2、3、4ないしはすべて以下の任意の数に結合する。当業者は、それぞれのFGFR3配列間の対応する残基を同定するためにFGFR3配列をどのように整列配置するかを理解する。2以上の残基の組合せは、FGFR3 IIIbポリペプチドの残基154、155、158、159、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、177、202、205、207、210、212、214、216、217、241、246、247、248、278、279、280、281、282、283、314、315、316、317および/または318、又はFGFR3 IIIcポリペプチドの相当する残基の何れかを含みうる。いくつかの実施態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3 IIIbポリペプチドの残基158、159、169、170、171、173、175、205、207および/または315、又はFGFR3 IIIcポリペプチドの相当する残基の少なくとも1、2、3、4ないしはすべて以下の任意の数に結合する。いくつかの実施態様では、抗FGFR3抗体は、FGFR3 IIIbポリペプチドの残基158、170、171、173、175および/または315、又はFGFR3 IIIcポリペプチドの相当する残基の少なくとも1、2、3、4ないしはすべて以下の任意の数に結合する。
一態様では、本発明は、FGFR3への結合について上記いずれかの抗体と競合する抗FGFR3抗体を提供する。一態様では、本発明は、上記いずれかの抗体と同じか又は類似するFGFR3上のエピトープに結合する抗FGFR3抗体を提供する。
公知、そして以下により詳細に記述されるように、文脈及び当分野で公知の様々な定義に応じて、抗体の高頻度可変領域を正確に示すアミノ酸位/境界は異なってもよい(以下に記載する)。可変ドメイン内のいくつかの位置は、一判断基準の下で高頻度可変領域内にあるとみなされるが、他の判断基準の下では高頻度可変領域の外であるとみなされる点において、ハイブリッド高頻度可変位置と考えられうる。これらの一又は複数の位置もまた、伸長した高頻度可変領域内にみられうる(さらに後述する)。
いくつかの実施態様では、抗体はモノクローナル抗体である。他の実施態様では、抗体はポリクローナル抗体である。いくつかの実施態様では、抗体は、キメラ抗体、親和性成熟抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体からなる群から選択される。ある実施態様では、抗体は抗体断片である。いくつかの実施態様では、抗体は、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')又はscFvである。
いくつかの実施態様では、FGFR3抗体は、Fc領域を含む一アーム抗体であり(すなわち、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインが単一の抗原結合アームを形成する)、このときFc領域は第一および第二のFcポリペプチドを含み、第一および第二のFcポリペプチドは、複合体で存在し、前記抗原結合アームを含むFab分子と比較して前記抗体断片の安定性を増加させるFc領域を形成する。例として国際公開2006/015371を参照のこと。
一実施態様では、抗体は、キメラ抗体、例えば異種性の非ヒト、ヒト、又はヒト化の配列(例えばフレームワークおよび/または定常ドメイン配列)に融合させた非ヒトドナー由来の抗原結合配列を含む抗体である。一実施態様では、非ヒトドナーはマウスである。さらなる実施態様では、抗原結合配列は合成されるもので、例えば突然変異誘発(例えばファージディスプレイスクリーニングなど)によって得られる。特定の実施態様では、本発明のキメラ抗体は、マウスのV領域およびヒトのC領域を有する。一実施態様では、マウスの軽鎖V領域は、ヒトのカッパ軽鎖に融合する。他の実施態様では、マウスの重鎖V領域は、ヒトのIgG1 C領域に融合する。
本発明のヒト化抗体は、フレームワーク領域(FR)内にアミノ酸置換を有するものや、融合させたCDR内に変異を有する親和性成熟変異体が含まれる。CDR又はFR内の置換されたアミノ酸は、ドナー又はレシピエント抗体に存在するものに限定しない。他の実施態様では、本発明の抗体はさらに、CDCおよび/またはADCC機能の亢進およびB細胞殺傷を含むエフェクター機能の改善を引き起こすFc領域内のアミノ酸残基の変化を含む。本発明の他の抗体には、安定性を改善する特定の変化を有するものが含まれる。他の実施態様では、本発明の抗体はさらに、エフェクター機能の低減、例えばCDCおよび/またはADCC機能の低減および/またはB細胞殺傷の低減を引き起こすFc領域内のアミノ酸残基の変化を含む。いくつかの実施態様では、本発明の抗体は、ナチュラルキラー(NK)細胞上のヒトの補体因子C1qおよび/またはヒトのFcレセプターへの結合の減少(例えば結合の欠如)を特徴とする。いくつかの実施態様では、本発明の抗体は、ヒトのFcγRI、FcγRIIAおよび/またはFcγRIIIAへの結合の減少(例えば結合の欠如)を特徴とする。いくつかの実施態様では、本発明の抗体は、IgGクラス(例えばIgG1又はIgG4)であり、E233、L234、G236、D265、D270、N297、E318、K320、K322、A327、A330、P331および/またはP329(EUインデックスに従った番号付け)に少なくとも一の突然変異を含む。いくつかの実施態様では、抗体は突然変異L234A/L235A又はD265A/N297Aを含む。
抗体がFc領域を含む場合、それに付着する糖質は変更しうる。例えば、抗体のFc領域に付着するフコースを欠く成熟した糖質構造を有する抗体は、米国特許公開2003/0157108(Presta, L.)に記述される。米国特許公開2004/0093621(Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd)も参照のこと。抗体のFc領域に付着する糖質にバイセクティング(bisecting)N‐アセチルグルコサミン(GlcNAc)を有する抗体は、国際公開2003/011878、Jean-Mairet et al.、及び米国特許第6602684号、Umana et al.に挙げられる。抗体のFc領域に付着するオリゴ糖に少なくとも一のガラクトース残基を有する抗体は、国際公開1997/30087、Patel et al.に報告される。変更した糖質がFc領域に付着している抗体については、国際公開1998/58964(Raju, S.)及び国際公開1999/22764(Raju, S.)も参照のこと。修飾したグリコシル化を有する抗原結合分子については米国特許第2005/0123546(Umana et al.)も参照のこと。一態様では、本発明は、本明細書に示す何れかの抗原結合配列を含むFGFR3結合ポリペプチドであって、FGFR3、例えばヒトおよび/またはカニクイザルおよび/またはマウスのFGFR3に特異的に結合するFGFR3結合ポリペプチドを提供する。
本発明の抗体は、FGFR3(例えばFGFR3−IIIbおよび/またはFGFR3−IIIc)を結合(例えば特異的に結合)し、いくつかの実施態様では、FGFR3シグナル伝達(例えばFGFR3リン酸化)および/または任意の生物学上関連するFGFR3および/またはFGFR3リガンドの生体経路の破壊、および/または腫瘍、細胞増殖性疾患又は癌の治療及び/又は予防;および/またはFGFR3発現および/または活性(例えばFGFR3発現および/または活性の増加)と関係している疾患の治療又は予防の一又は複数の態様を調整(例えば阻害)しうる。いくつかの実施態様では、FGFR3抗体は、FGFR3(例えばヒト又はマウスのFGFR3)からなるか又は基本的にからなるポリペプチドに特異的に結合する。いくつかの実施態様では、抗体は1×10−7M以上の強さのKdでFGFR3を特異的に結合する。
いくつかの実施態様では、本発明の抗FGFR3抗体は、米国特許公開2005/0147612に記載の抗FGFR3抗体(例えば抗体MSPRO2、MSPRO12、MSPRO59、MSPRO11、MSPRO21、MSPRO24、MSPRO26、MSPRO28、MSPRO29、MSPRO43、MSPRO55)、Rauchenberger et al, J Biol Chem 278 (40): 38194-38205 (2003)に記載の抗体;PCT公開番号WO2006/048877に記載の抗体(例えば抗体PRO−001)、Martinez-Torrecuadrada et al, Mol Cancer Ther (2008) 7(4): 862-873に記載の抗体(例えばscFvαFGFR33C)、Direnzo, R et al (2007) Proceedings of AACR Annual Meeting, Abstract No. 2080に記載の抗体(例えばD11)、又は国際公開2010/002862に記載の抗体(例えば抗体15D8、27H2、4E7、2G4、20B4)ではない。
一態様では、本発明は、本発明の一又は複数の抗体と担体を含む組成物を提供する。一実施態様では、担体は薬学的に許容可能である。
他の態様では、本発明は、本発明のFGFR3抗体をコードする核酸を提供する。
さらに他の態様では、本発明は、本発明の核酸を含むベクターを提供する。
更なる態様では、本発明は、本発明の一又は複数の核酸と担体を含む組成物を提供する。一実施態様では、担体は薬学的に許容可能である。
一態様では、本発明は、本発明の核酸又はベクターを含む宿主細胞を提供する。ベクターは、任意の種類、例えば発現ベクターなどの組換えベクターであってよい。任意の様々な宿主細胞が使われてよい。一実施態様では、宿主細胞は原核細胞、例えば大腸菌である。他の実施態様では、宿主細胞は、真核細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類の細胞である。
更なる態様では、本発明は、本発明の抗体の作製方法を提供する。例えば、本発明は、抗FGFR3抗体(本明細書で定義するように、完全長抗体およびその断片を含む)の作製方法であって、抗体をコードする本発明の組み換えベクターを適切な宿主細胞において発現させることと、抗体を回収することを含む方法を提供する。いくつかの実施態様では、前記方法は、核酸が発現されるように抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することを含む。いくつかの実施態様では、前記方法はさらに、宿主細胞培養物から抗体を回収することを含む。いくつかの実施態様では、抗体は、宿主細胞培養液から回収される。いくつかの実施態様では、前記方法はさらに、回収した抗体を薬学的な担体、賦形剤又は担体と組合せ、ヒト化抗体を含む薬学的製剤を調製することを含む。
一態様では、本発明は、容器と、容器に内包される組成物とを具備し、この組成物が本発明の一又は複数のFGFR3抗体を含むものである製造品を提供する。一実施態様では、組成物は本発明の核酸を含む。他の実施態様では、抗体を含む組成物はさらに担体を含有し、いくつかの実施態様ではそれは薬学的に許容可能なものである。一実施態様では、本発明の製造品はさらに、組成物(例えば抗体)を個体に投与するための指示書(例えば本明細書に記載の何れかの方法のための指示)を具備する。
他の態様では、本発明は、本発明の一又は複数の抗FGFR3抗体を含有する組成物を収容する第一容器と、バッファを収容する第二容器とを具備するキットを提供する。一実施態様では、バッファは薬学的に許容可能である。一実施態様では、抗体を含有する組成物はさらに担体を含み、いくつかの実施態様ではそれは薬学的に許容可能なものである。他の実施態様では、キットはさらに、個体に組成物(例えば抗体)を投与するための指示を具備する。
更なる態様では、本発明は本発明の抗FGFR3抗体の医薬としての使用を提供する。
更なる態様では、本発明は、FGFR3活性化および/または発現(実施態様によっては過剰発現)と関係している病的状態などの疾患を治療または予防する際に使用するための、本発明の抗FGFR3抗体を提供する。いくつかの実施態様では、疾患は、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患である。いくつかの実施態様では、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患は、多発性骨髄腫又は膀胱癌(例えば移行上皮癌)、乳癌又は肝癌である。
更なる態様では、本発明は、骨格疾患などの疾患を治療または予防する際に使用するための、本発明の抗FGFR3抗体を提供する。いくつかの実施態様では、疾患は、軟骨発育不全症、軟骨異栄養症、矮小発育症、致死性骨異形成症(TD;臨床型TD1およびTDII)又は頭蓋骨癒合症症候群である。
更なる態様では、本発明は、細胞増殖を低減する際に使用するための、本発明の抗FGFR3抗体を提供する。
更なる態様では、本発明は、細胞を殺す際に使用するための、本発明の抗FGFR3抗体を提供する。いくつかの実施態様では、細胞は多発性骨髄腫細胞である。いくつかの実施態様では、細胞はADCCで殺される。いくつかの実施態様では、抗体はネイキッド抗体である。いくつかの実施態様では、細胞はFGFR3を過剰発現する。
更なる態様では、本発明は、多発性骨髄腫細胞などの細胞を枯渇させる際に使用するための、本発明の抗FGFR3抗体を提供する。いくつかの実施態様では、細胞はADCCで殺される。いくつかの実施態様では、抗体はネイキッド抗体である。いくつかの実施態様では、細胞はFGFR3を過剰発現する。
更なる態様では、本発明は、FGFR3活性化および/または発現(実施態様によっては過剰発現)と関係している病的状態などの疾患の治療的及び/又は予防的な処置のための医薬の調製における、本発明の抗FGFR3抗体の使用を提供する。いくつかの実施態様では、疾患は、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患である。いくつかの実施態様では、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患は、多発性骨髄腫又は膀胱癌(例えば移行上皮癌)、乳癌又は肝癌である。いくつかの実施態様では、疾患は、骨格疾患、例えば軟骨発育不全症、軟骨異栄養症、矮小発育症、致死性骨異形成症(TD;臨床型TD1およびTDII)、又は頭蓋骨癒合症症候群である。
一態様では、本発明は、FGFR3活性化および/または発現(実施態様によっては過剰発現)と関係している病的状態などの疾患の治療的及び/又は予防的な処置のための医薬の調製における、本発明の核酸の使用を提供する。いくつかの実施態様では、疾患は、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患である。いくつかの実施態様では、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患は、多発性骨髄腫又は膀胱癌(例えば移行上皮癌)、乳癌又は肝癌である。いくつかの実施態様では、疾患は、骨格疾患、例えば軟骨発育不全症、軟骨異栄養症、矮小発育症、致死性骨異形成症(TD;臨床型TD1およびTDII)、又は頭蓋骨癒合症症候群である。
他の態様では、本発明は、FGFR3活性化および/または発現(実施態様によっては過剰発現)と関係している病的状態などの疾患の治療的及び/又は予防的な処置のための医薬の調製における、本発明の発現ベクターの使用を提供する。いくつかの実施態様では、疾患は、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患である。いくつかの実施態様では、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患は、多発性骨髄腫又は膀胱癌(例えば移行上皮癌)、乳癌又は肝癌である。いくつかの実施態様では、疾患は、骨格疾患、例えば軟骨発育不全症、軟骨異栄養症、矮小発育症、致死性骨異形成症(TD;臨床型TD1およびTDII)、又は頭蓋骨癒合症症候群である。
さらに他の態様では、本発明は、FGFR3活性化および/または発現(実施態様によっては過剰発現)と関係している病的状態などの疾患の治療的及び/又は予防的な処置のための医薬の調製における、本発明の宿主細胞の使用を提供する。いくつかの実施態様では、疾患は、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患である。いくつかの実施態様では、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患は、多発性骨髄腫又は膀胱癌(例えば移行上皮癌)、乳癌又は肝癌である。いくつかの実施態様では、疾患は、骨格疾患、例えば軟骨発育不全症、軟骨異栄養症、矮小発育症、致死性骨異形成症(TD;臨床型TD1およびTDII)、又は頭蓋骨癒合症症候群である。
更なる態様では、本発明は、FGFR3活性化および/または発現(実施態様によっては過剰発現)と関係している病的状態などの疾患の治療的及び/又は予防的な処置のための医薬の調製における、本発明の製造品の使用を提供する。いくつかの実施態様では、疾患は、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患である。いくつかの実施態様では、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患は、多発性骨髄腫又は膀胱癌(例えば移行上皮癌)、乳癌又は肝癌である。いくつかの実施態様では、疾患は、骨格疾患、例えば軟骨発育不全症、軟骨異栄養症、矮小発育症、致死性骨異形成症(TD;臨床型TD1およびTDII)、又は頭蓋骨癒合症症候群である。
一態様では、本発明も、FGFR3活性化および/または発現(実施態様によっては過剰発現)と関係している病的状態などの疾患の治療的及び/又は予防的な処置のための医薬の調製における、本発明のキットの使用を提供する。いくつかの実施態様では、疾患は、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患である。いくつかの実施態様では、癌、腫瘍および/または細胞増殖性疾患は、多発性骨髄腫又は膀胱癌(例えば移行上皮癌)、乳癌又は肝癌である。いくつかの実施態様では、疾患は、骨格疾患、例えば軟骨発育不全症、軟骨異栄養症、矮小発育症、致死性骨異形成症(TD;臨床型TD1およびTDII)、又は頭蓋骨癒合症症候群である。
更なる態様では、本発明は、細胞増殖の阻害のための医薬の調製における本発明の抗FGFR3抗体の使用を提供する。更なる態様では、本発明は細胞殺傷のための医薬の調製における本発明の抗FGFR3抗体の使用を提供する。いくつかの実施態様では、細胞は多発性骨髄腫細胞である。いくつかの実施態様では、細胞はADCCで殺される。いくつかの実施態様では、抗体はネイキッド抗体である。いくつかの実施態様では、細胞はFGFR3を過剰発現する。
更なる態様では、本発明は、多発性骨髄腫細胞などの細胞を枯渇させるための医薬の調製における本発明の抗FGFR3抗体の使用を提供する。いくつかの実施態様では、細胞はADCCで殺される。いくつかの実施態様では、抗体はネイキッド抗体である。いくつかの実施態様では、細胞はFGFR3を過剰発現する。
本発明は、発現及び/又はシグナル伝達の増加又は望ましくない発現及び/又はシグナル伝達といったFGFR3の発現および/またはシグナル伝達と関係している疾患を調節するために有用な方法および組成物を提供する。
本発明の方法を用いて任意の適切な病理学的状態に作用させることができる。例示的な疾患は、本明細書に記載され、非小細胞肺癌、卵巣癌、甲状腺癌、精巣癌、子宮体癌、頭頸部癌、脳癌(例えば神経芽細胞腫又は髄膜腫)、皮膚癌(例えばメラノーマ、基底細胞癌又は扁平上皮癌)、膀胱癌(例えば移行上皮癌)、乳癌、胃癌、結腸直腸癌(CRC)、肝細胞癌、子宮頸癌、肺癌、膵癌、前立腺癌、および血液学的な悪性腫瘍(例えばT細胞急性リンパ芽球性白血病(T−ALL)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、B細胞悪性腫瘍、ホジキンリンパ腫、および多発性骨髄腫)からなる群から選択される癌が含まれる。いくつかの実施態様では、疾患は浸潤性移行上皮癌である。いくつかの実施態様では、疾患は多発性骨髄腫である。他の例示的な疾患には、骨格疾患、例えば軟骨発育不全症、軟骨異栄養症、矮小発育症、致死性骨異形成症(TD;臨床型TD1およびTDII)、又は頭蓋骨癒合症症候群である。
ある実施態様では、癌は、FGFR3を発現し、FGFR3を増幅し、FGFR3を転座させ、および/または、FGFR3を変異させた。ある実施態様では、癌は活性化されたFGFR3を発現する。ある実施態様では、癌は、転座したFGFR3(例えばt(4;14)転座)を発現する。ある実施態様では、癌は、恒常的にFGFR3を発現する。いくつかの実施態様では、恒常的なFGFR3は、チロシンキナーゼドメインおよび/または膜近傍ドメインおよび/またはリガンド-結合ドメインに突然変異を含む。ある実施態様では、癌は、リガンド非依存性FGFR3を発現する。いくつかの実施態様では、癌は、リガンド依存性FGFR3を発現する。
いくつかの実施態様では、癌は、FGFR3−IIIbS248Cに対応する突然変異を含むFGFR3を発現する。いくつかの実施態様では、癌は、FGFR3−IIIbS248Cおよび/またはFGFR3−IIIcS248Cを発現した。
いくつかの実施態様では、癌は、FGFR3−IIIbK652Eに対応する突然変異を含むFGFR3を発現する。いくつかの実施態様では、癌は、FGFR3−IIIbK652Eおよび/またはFGFR3−IIIcK650Eを発現した。
FGFR3は、FGFR3−IIIbS249Cに対応する突然変異を含む。いくつかの実施態様では、癌は、FGFR3−IIIbS249Cおよび/またはFGFR3−IIIcS249Cを発現する。
一態様では、癌は、FGFR3−IIIbG372Cに対応する突然変異を含むFGFR3を発現する。いくつかの実施態様では、癌は、FGFR3−IIIbG372Cおよび/またはFGFR3−IIIcG370Cを発現する。
一態様では、癌は、FGFR3−IIIbY375Cに対応する突然変異を含むFGFR3を発現する。いくつかの実施態様では、癌は、FGFR3−IIIbY375Cおよび/またはFGFR3−IIIcY373Cを発現する。
いくつかの実施態様では、癌は、(a) FGFR3−IIIbK652Eおよび(b) FGFR3−IIIbR248C、FGFR3−IIIbY375C、FGFR3−IIIbS249CおよびFGFR3IIIbG372Cの一又は複数を発現する。
いくつかの実施態様では、癌は、(a) FGFR3−IIIbR248Cおよび(b) FGFR3−IIIbK652E、FGFR3−IIIbY375C、FGFR3−IIIbS249CおよびFGFR3−IIIbG372Cの一又は複数を発現する。
いくつかの実施態様では、癌は、(a) FGFR3−IIIbG372Cおよび(b) FGFR3−IIIbK652E、FGFR3−IIIbY375C、FGFR3−IIIbS249CおよびFGFR3−IIIbR248Cの一又は複数を発現する。
いくつかの実施態様では、癌は、FGFR3−IIIbR248C、FGFR3−IIIbK652E、FGFR3−IIIbY375C、FGFR3−IIIbS249CおよびFGFR3−IIIbG372Cを発現する。
ある実施態様では、癌は、コントロール試料(例えば正常組織の試料)又はレベルと関連してホスホ-FGFR3、ホスホ-FRS2および/またはホスホ-MAPKの増加したレベルを発現する。
いくつかの実施態様では、癌は、細胞につきおよそ10000以上のFGFR3分子(例えば11000、12000、13000、14000、15000、16000、17000、18000以上のFGFR3レセプター)を(例えば細胞表面上に)発現する。いくつかの実施態様では、癌は、およそ13000のFGFR3分子を発現する。他の実施態様では、癌は、およそ5000、6000、7000、8000又はそれ以上のFGFR3分子を発現する。いくつかの実施態様では、癌は、およそ4000、3000、2000、1000又はそれ以下のFGFR3分子を発現する。いくつかの実施態様では、癌は、およそ1000未満のFGFR3分子を発現する。
一実施態様では、本発明の方法で標的とされる細胞は癌細胞である。例えば、癌細胞は、乳癌細胞、結腸直腸癌細胞、肺癌細胞(例えば非小細胞肺癌細胞)、甲状腺癌細胞、多発性骨髄腫細胞、精巣癌細胞、乳頭カルシノーマ細胞、大腸癌細胞、膵臓癌細胞、卵巣癌細胞、子宮頚癌細胞、中枢神経系癌細胞、骨原性肉種細胞、腎臓カルシノーマ細胞、肝細胞癌細胞、膀胱癌細胞(例えば移行上皮癌細胞)、胃カルシノーマ細胞、頭頸部扁平上皮癌細胞、メラノーマ細胞、白血病細胞、多発性骨髄腫細胞(例えばt(4:14) FGFR3転座を含む多発性骨髄腫細胞)および大腸腺腫細胞からなる群から選択されるものであってよい。一実施態様では、本発明の方法で標的とされる細胞は、過剰増殖性および/または過形成性細胞である。他の実施態様では、本発明の方法で標的とされる細胞は、形成異常細胞である。さらに他の実施態様では、本発明の方法で標的とされる細胞は、転移性細胞である。
一態様では、本発明は、被検体の細胞増殖の阻害方法であって、被検体に抗FGFR3抗体の有効量を投与して細胞増殖を低減することを含む方法を提供する。
一態様では、本発明は、被検体の細胞の殺傷方法であって、被検体に抗FGFR3抗体の有効量を投与して、細胞を殺すことを含む方法を提供する。いくつかの実施態様では、細胞は多発性骨髄腫細胞である。いくつかの実施態様では、細胞はADCCで殺される。いくつかの実施態様では、抗体はネイキッド抗体である。いくつかの実施態様では、細胞はFGFR3を過剰発現する。
一態様では、本発明は、被検体の細胞(例えば多発性骨髄腫)の枯渇方法であって、被検体に抗FGFR3抗体の有効量を投与して、細胞を殺すことを含む方法を提供する。いくつかの実施態様では、細胞はADCCで殺される。いくつかの実施態様では、抗体はネイキッド抗体である。いくつかの実施態様では、細胞はFGFR3を過剰発現する。
一態様では、本発明は、骨格疾患を治療又は予防するための方法を提供する。いくつかの実施態様では、疾患は、軟骨発育不全症、軟骨異栄養症、矮小発育症、致死性骨異形成症(TD;臨床型TD1およびTDII)、又は頭蓋骨癒合症症候群である。
本発明の方法は、他の処理工程を更に含んでよい。例えば、一実施態様では、方法は、標的とした細胞および/または組織(例えば癌細胞)が放射線治療又は化学療法剤にさらされる工程を更に含む。
一態様では、本発明は、他の治療薬(例えば抗脈管形成剤、他の抗体、化学療法剤、細胞障害性剤、免疫抑制剤、プロドラッグ、サイトカイン、細胞障害性放射線療法、副腎皮質ステロイド、制吐剤、癌ワクチン、鎮痛剤又は増殖阻害性剤)の有効量と組み合わせて抗FGFR3抗体の有効量の投与を含む方法を提供する。例えば、抗FGFR3抗体は、様々な腫瘍性又は非腫瘍性状態を治療するために抗癌剤又は抗血管新生剤と組み合わせて用いられる。ある例では、抗FGFR3抗体が、ベルケイド、レブリミド、タモキシフェン、レトロゾール、エキセメスタン、アナストロゾール、イリノテカン、セツキシマブ、フルベストラント、ビノレルビン、ベバシズマブ、ビンクリスチン、シスプラチン、ゲムシタビン、メトトレキセート、ビンブラスチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ペメトレキセド、5‐フルオロウラシル、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメサゾン、メルファラン、プレドニゾン、ビンクリスチンおよび/またはサリドマイドと組み合わせて用いられる。
治療される特定の癌指標に従い、本発明の併用療法は、他の治療薬、例えば化学療法剤、又は放射線療法又は手術などの他の療法と組み合わされうる。多くの公知の化学療法剤が、本発明の併用療法において使われてよい。好ましくは、特定の指標の治療のための標準物質である化学療法剤が使われるであろう。併用して用いられる各々の治療薬の用量又は頻度は、他の薬剤(一又は複数)を用いない場合の相当薬剤の用量又は頻度と同じか又はそれより少ないのが好ましい。
他の態様では、本発明は、検出可能な標識を含む、本明細書中に記載の何れかの抗FGFR3抗体を提供する。
他の態様では、本発明は、本明細書中に記載の何れかの抗FGFR3抗体とFGFR3の複合体を提供する。いくつかの実施態様では、複合体はインビボ又はインビトロである。いくつかの実施態様では、複合体は癌細胞を含む。いくつかの実施態様では、抗FGFR3抗体は検出可能に標識される。
抗FGFR3抗体の重鎖および軽鎖のHVRループ配列。図は、重鎖HVR配列、H1、H2およびH3と、軽鎖HVR配列、L1、L2およびL3を示す。配列番号付けは以下の通りである: クローン184.6(HVR−H1は配列番号:1であり、HVR−H2は配列番号:2であり、HVR−H3は配列番号:3であり、HVR−L1は配列番号:4であり、HVR−L2は配列番号:5であり、HVR−L3は配列番号:6である)。クローン184.6.1(HVR−H1は配列番号:7であり、HVR−H2は配列番号:8であり、HVR−H3は配列番号:9であり、HVR−L1は配列番号:10であり、HVR−L2は配列番号:11であり、HVR−L3は配列番号:12である)。クローン184.6.58(HVR−H1は配列番号:13であり、HVR−H2は配列番号:14であり、HVR−H3は配列番号:15であり、HVR−L1は配列番号:16であり、HVR−L2は配列番号:17であり、HVR−L3は配列番号:18である)。クローン184.6.62(HVR−H1は配列番号:48であり、HVR−H2は配列番号:49であり、HVR−H3は配列番号:50であり、HVR−L1は配列番号:51であり、HVR−L2は配列番号:52であり、HVR−L3は配列番号:53である)。クローン184.6.21(HVR−H1は配列番号:54であり、HVR−H2は配列番号:55であり、HVR−H3は配列番号:56であり、HVR−L1は配列番号:57であり、HVR−L2は配列番号:58であり、HVR−L3は配列番号:59である)。クローン184.6.49(HVR−H1は配列番号:60であり、HVR−H2は配列番号:61であり、HVR−H3は配列番号:62であり、HVR−L1は配列番号:63であり、HVR−L2は配列番号:64であり、HVR−L3は配列番号:65である)。クローン184.6.51(HVR−H1は配列番号:66であり、HVR−H2は配列番号:67であり、HVR−H3は配列番号:68であり、HVR−L1は配列番号:69であり、HVR−L2は配列番号:70であり、HVR−L3は配列番号:71である)。クローン184.6.52(HVR−H1は配列番号:72であり、HVR−H2は配列番号:73であり、HVR−H3は配列番号:74であり、HVR−L1は配列番号:75であり、HVR−L2は配列番号:76であり、HVR−L3は配列番号:77である)。クローン184.6.92(HVR−H1は配列番号:78であり、HVR−H2は配列番号:79であり、HVR−H3は配列番号:80であり、HVR−L1は配列番号:81であり、HVR−L2は配列番号:82であり、HVR−L3は配列番号:83である)。クローン184.6.1.N54S(HVR−H1は配列番号:84であり、HVR−H2は配列番号:85であり、HVR−H3は配列番号:86であり、HVR−L1は配列番号:87であり、HVR−L2は配列番号:88であり、HVR−L3は配列番号:89である)。クローン184.6.1.N54G(HVR−H1は配列番号:90であり、HVR−H2は配列番号:91であり、HVR−H3は配列番号:92であり、HVR−L1は配列番号:93であり、HVR−L2は配列番号:94であり、HVR−L3は配列番号:95である)。クローン184.6.1.N54A(HVR−H1は配列番号:96であり、HVR−H2は配列番号:97であり、HVR−H3は配列番号:98であり、HVR−L1は配列番号:99であり、HVR−L2は配列番号:100であり、HVR−L3は配列番号:101である)。クローン184.6.1.N54Q(HVR−H1は配列番号:102であり、HVR−H2は配列番号:103であり、HVR−H3は配列番号:104であり、HVR−L1は配列番号:105であり、HVR−L2は配列番号:106であり、HVR−L3は配列番号:107である)。クローン184.6.58.N54S(HVR−H1は配列番号:108であり、HVR−H2は配列番号:109であり、HVR−H3は配列番号:110であり、HVR−L1は配列番号:111であり、HVR−L2は配列番号:112であり、HVR−L3は配列番号:113である)。クローン184.6.58.N54G(HVR−H1は配列番号:114であり、HVR−H2は配列番号:115であり、HVR−H3は配列番号:116であり、HVR−L1は配列番号:117であり、HVR−L2は配列番号:118であり、HVR−L3は配列番号:119である)。クローン184.6.58.N54A(HVR−H1は配列番号:120であり、HVR−H2は配列番号:121であり、HVR−H3は配列番号:122であり、HVR−L1は配列番号:123であり、HVR−L2は配列番号:124であり、HVR−L3は配列番号:125である)。クローン184.6.58.N54Q(HVR−H1は配列番号:126であり、HVR−H2は配列番号:127であり、HVR−H3は配列番号:128であり、HVR−L1は配列番号:129であり、HVR−L2は配列番号:130であり、HVR−L3は配列番号:131である)。クローン184.6.1.NS D30E(HVR−H1は配列番号:143であり、HVR−H2は配列番号:144であり、HVR−H3は配列番号:145であり、HVR−L1は配列番号:140であり、HVR−L2は配列番号:141であり、HVR−L3は配列番号:142である)。アミノ酸位は後述するカバット番号付けシステムに従って番号を付す。 抗FGFR3抗体184.6.1.N54S、184.6.58および184.6.62の重鎖可変領域のアミノ酸配列と軽鎖可変領域を示す。 抗FGFR3抗体1G6、6G1および15B2の高頻度可変領域。 本発明を実施する際に使用される、例示的なアクセプターヒトコンセンサスフレームワーク配列を表す。配列識別子は以下の通りである。可変重鎖(VH)コンセンサスフレームワーク(図3A、3B)。ヒトVHサブグループIコンセンサスフレームワークからカバットCDRを除いたもの(配列番号:19および203−205)。ヒトVHサブグループIコンセンサスフレームワークから伸長した高頻度可変領域を除いたもの(配列番号:20および206−208、21および209−211、22および212−214)。ヒトVHサブグループIIコンセンサスフレームワークからカバットCDRを除いたもの(配列番号:23および215−217)。ヒトVHサブグループIIコンセンサスフレームワークから伸長した高頻度可変領域を除いたもの(配列番号:24および218−220、25および221−223、26および224−226)。ヒトVHサブグループIIコンセンサスフレームワークからヒトVHサブグループIIIコンセンサスフレームワークとカバットCDRを除いたもの(配列番号:27および227−229)。ヒトVHサブグループIIIコンセンサスフレームワークから伸長した高頻度可変領域を除いたもの(配列番号:28および230−232、29および233−235、30および236−238)。ヒトVHアクセプターフレームワークからカバットCDRを除いたもの(配列番号:31および239−241)。ヒトVHアクセプターフレームワークから伸長した高頻度可変領域を除いたもの(配列番号:32および242−244、33および2245−247)。ヒトVHアクセプター2フレームワークからカバットCDRを除いたもの(配列番号:34および248−250)。ヒトVHアクセプター2フレームワークから伸長した高頻度可変領域を除いたもの(配列番号:35および251−253、36および254−256、37および257−259)。 可変軽鎖(VL)コンセンサスフレームワーク。ヒトVLκサブグループIコンセンサスフレームワーク(配列番号:38および260−262)。ヒトVLκサブグループIIコンセンサスフレームワーク(配列番号:39および263−265)。ヒトVLκサブグループIIIコンセンサスフレームワーク(配列番号:40および266−268)。ヒトVLκサブグループIVコンセンサスフレームワーク(配列番号:41および269−271)。 huMAb4D5-8軽鎖のフレームワーク領域配列(配列番号:42-45)および重鎖のフレームワーク領域配列(配列番号:46、47、175、176)を示す。上付/太字の数はカバットによるアミノ酸位を示す。 huMAb4D5-8軽鎖の修飾/変異フレームワーク領域配列(配列番号:42、43、177、45)および重鎖の修飾/変異フレームワーク領域配列(配列番号:46、47、178および176)を示す。上付/太字の数はカバットによるアミノ酸位を示す。 膀胱癌細胞RT112のFGFR3ノックダウンは、増殖を阻害し、インビトロでG1細胞周期静止を誘導し、インビトロで腫瘍増殖を抑制する。3つの異なるFGFR3 shRNAをTet誘導発現ベクターにクローニングした。FGFR3 shRNA又はコントロールshRNAを安定して発現するRT112細胞をピューロマイシン選別によって得た。(A) ドキシサイクリン(Dox、0、0.1および1μg/ml、左から右に)のある場合又はない場合で処置した選択クローンにおけるFGFR3発現を示す代表的なブロット。(B) RT112安定細胞による[H]-チミジン取込み。RT112安定クローンを1μg/mlドキシサイクリンの有無の下で培養させた後、[H]-チミジン(1ウェルにつき1μCi)とともに16時間インキュベートした。取り込まれた[3H]-チミジンの数は、ドキシサイクリン誘導のない細胞のものに規準化した。誤差バーはSEMを表す。(C) RT112安定細胞のDNA蛍光フローサイトメトリー棒グラフ。コントロールshRNA又はFGFR3 shRNA4を発現するRT112クローンを、1μg/mlのドキシサイクリンの有無の下で72時間培養し、核をプロピジウムヨウ素(PI)にて染色した。FGFR3 shRNA2および6について類似の結果が得られた(図16)。 (D) マウスにおけるコントロールshRNA(処置群につきn=9)又はFGFR3 shRNA4(処置群につきn=11)を発現するRT112細胞の増殖。マウスに、5%スクロースのみ又は1mg/mlのドキシサイクリンを添加したものを投与し、腫瘍サイズを週に2回計測した。誤差バーはSEMを表す。FGFR3 shRNA2および6について類似の結果が得られた(図16)。下パネル:コントロールshRNA又はFGFR3 shRNA4安定細胞異種移植片組織から抽出した腫瘍溶解物におけるFGFR3タンパク質の発現。 R3MabはFGF/FGFR3相互作用を遮断する。(A) R3MabによるヒトFGFR3の選択的結合。ヒトFGFR1-4 Fcキメラタンパク質を固定し、R3Mabとともにインキュベートした。抗ヒトFab抗体を使用して特異的な結合を検出した。(B−C) R3MabによるヒトFGFR3−IIIb(B)又はIIIc(C)に対するFGF1結合のブロック。ビオチン化したFGF1特異的ポリクローナル抗体を用いて特異的結合が検出された。(D−E) R3MabによるヒトFGFR3−IIIb(D)又はIIIc(E)に対するFGF9結合のブロック。ビオチン化したFGF9特異的ポリクローナル抗体を用いて特異的な結合が検出された。誤差バーは、平均の標準誤差(SEM)を表し、記号より小さい場合もある。 R3Mabは、野生型及び変異したFGFR3により作動されるBa/F3細胞増殖を阻害する。(A) 野生型ヒトFGFR3−IIIbを発現するBa/F3細胞の生存に対するR3Mabの阻害効果。細胞を、FGF1がない培地(FGF1なし)、又は10ng/mlのFGF1と10μg/mlヘパリン単独を含む培地(FGF1)、又はコントロール抗体(コントロール)又はR3Mabを併用した培地中で培養した。細胞生存率は、抗体とともに72時間インキュベートした後にCellTiter-Glo(Promega)にて評価した。(B) Ba/F3−FGFR3−IIIbWT安定細胞におけるR3MabによるFGFR3およびMAPKリン酸化の阻害。細胞は、コントロールAb(Ctrl)、R3Mabの漸減量(それぞれ1、0.2、0.04μg/ml)を含むPBS、又はPBS単独(Mock)とともに3時間プレインキュベートした後に、15ng/mlのFGF1と10μg/mlヘパリン(+)又はヘパリン単独(−)にて10分間処理した。溶解物をイムノブロットし、FGFR3及びp44/42 MAPKのリン酸化をそれぞれpFGFRY653/654およびpMAPKThr202/Tyr204に対する抗体にて評価した。(C) 公開されたデータ(32)を基に、膀胱癌におけるFGFR3突然変異ホットスポットと頻度の略図(示した配列番号はFGFR3 IIIbアイソフォームアミノ酸配列に基づく)。TM、膜貫通領域;TK1およびTK2、チロシンキナーゼドメイン1および2。 (D−H) 癌関連FGFR3変異を発現するBa/F3細胞の生存率に対するR3Mabの阻害効果。G372CはIIIcアイソフォーム由来であり、その他はIIIbアイソフォーム由来である。すべての変異体の配列番号付けはFGFR3 IIIbアイソフォームアミノ酸配列に基づく(G372C変異体を含む、これはFGFR3 IIIcアイソフォームアミノ酸配列に基づくとG370Cとなる)。細胞生存率は、(A)に記載のように抗体とともに72時間インキュベートした後に評価した誤差バーはSEMを表す。 R3Mab Fab断片とヒトFGFR3−IIIbのIgD2−D3との間の複合体のR3Mabのエピトープマッピングと結晶構造。(A) R3Mabに対するヒトFGFR3の13ペプチドスパニングIgD2−D3の結合によって決定されるエピトープ。各々ビオチン化したペプチドは、ストレプトアビジンをコートしたマイクロタイターウェルで捕獲し、R3Mabとともにインキュベートした。ヤギ抗ヒトIgG抗体を使用して特異的に結合したR3Mabを検出した。(B) ヒトFGFR3のペプチド3(LAVPAANTVRFRCPA (配列番号:179))と11(SDVEFHCKVYSDAQP (配列番号:180))の、ヒトFGFR1の細胞外セグメント(ペプチド3:HAVPAAKTVKFKCPS (配列番号:181);ペプチド11:SNVEFMCKVYSDPQP (配列番号:182))との配列アライメント。一次FGF2-FGFR1相互作用、ヘパリン結合およびレセプター-レセプター会合に関与するFGFR1残基をそれぞれ、太字、斜体および下線を付した書体で示す。FGFR1残基の機能的割当は、Plotnikov et al.(34)に基づく。 (C) ヒトFGFR3 IgD2−D3と複合体化したR3Mab Fab(リボン−螺旋、軽鎖−灰色、重鎖−黒色で示す)の構造(分子表面−白色で示す)。リガンド結合および二量体化に関与するレセプター残基を、Plotnikov et al.(34)に基づいてそれぞれ灰色/陰影線及び濃い灰色に色分けする。(D) 結晶構造の拡大図は、FabのCDR−H3及び−H2が、FGFR3のIgD2およびIgD3との主要な相互作用部位を構成することを示す。(E) FGFR3−IIIc−FGF1複合体(PDBコード1RY7)のFGFR3−IIIb−Fab複合体との重ね合わせ。FGFR3−IIIcおよびFGF1をそれぞれ灰色及び濃い灰色に色分けする。FGFR3−IIIbを白色で、Fabの軽鎖を淡い灰色で、重鎖を濃い灰色で示す。IgD2は重ね合わせのアンカーとして用いた。R3Mabが結合した場合にFGFR3−IIIbのIgD3がなす構造および新規な立体構造のウェル上のIgD2を示す。(F) FGFR3−IIIc−FGF1複合体(PDBコード1RY7)のFGFR3−IIIb−Fab複合体との重ね合わせの他の略図。FGFR3−IIIcおよびFGF1の分子表面を、それぞれ灰色/網状および濃い灰色/ドット状で示す。FGFR3−IIIbを白色で、Fabの軽鎖を灰色で、重鎖を黒色で示す。IgD2は重ね合わせのアンカーとして用いた。R3Mabが結合した場合にFGFR3−IIIbのIgD3がなす構造および新規な立体構造のウェル上のIgD2を示す。 R3Mabは、野生型または変異したFGFR3S249Cを発現する膀胱癌細胞における増殖、クローン増殖およびFGFR3シグナル伝達を阻害する。(A) 膀胱癌細胞株RT112におけるR3Mabによる[H]-チミジン取込みの阻害。誤差バーはSEMを表す。(B) 処置培地単独(Mock)又はコントロール抗体(Ctrl)と比較した、膀胱癌細胞株RT112におけるR3Mab(15μg/ml)によるFGF1活性化FGFR3シグナル伝達の遮断。細胞溶解物を抗FGFR3抗体にて免疫沈降し、抗ホスホチロシン抗体(4G10)にてFGFR3リン酸化について評価した。溶解物をイムノブロットして、AKT(pAKTS473)およびp44/42 MAPK(pMAPKThr202/Tyr204)のリン酸化を検出した。(C) 処置培地単独(Mock)又はコントロール抗体(Ctrl)と比較した、膀胱癌細胞株UMUC-14(FGFR3S249Cを持つ)におけるR3Mab(10μg/ml)によるクローン増殖の阻害。(D) 12ウェルの複製物から、1ウェルにつき直径120μmより大きなコロニー数を示す(C)の試験の定量。誤差バーはSEMを表す。Mock又はCtrlに対してP<3.4×10−9。(E) R3Mab(15μg/ml)によるUMUC-14細胞におけるFGFR3リン酸化の阻害。(B)のようにFGFR3リン酸化を分析した。この細胞株におけるFGFR3の恒常的リン酸化を示す。 R3Mabは、単量体状態の方へ二量体−単量体平衡を促すことによって、ジスルフィド結合したFGFR3S249C二量体の定常状態レベルを低減する。(A) UMUC-14細胞におけるFGFR3S249C二量体に対するR3Mabの効果。細胞はR3Mab(15μg/ml)又はコントロール抗体(Ctrl)とともに3時間インキュベートし、全細胞溶解物を非還元及び還元条件下にてイムノブロットにて分析した。(B) UMUC-14細胞におけるFGFR3S249C二量体−単量体平衡に対する遊離スルフヒドリルブロッカーDTNBの効果。UMUC-14細胞はDTNBの濃度を上げながら3時間処理し、(A)のように細胞溶解物を分析した。(C) インビトロでの精製組換えFGFR3S249C二量体に対するR3Mabの効果。IgD2−D3から成るFGFR3S249C二量体は、サイズ排除カラムにより精製し、PBS(Mock)、コントロール抗体(Ctrl)又はR3Mabとともに37℃でインキュベートした。試料は、非還元条件下でのイムノブロット分析のために示した時間に採取した。FGFR3二量体−単量体は、抗FGFR3ハイブリドーマ抗体6G1(A−C)を使用して検出した。 R3Mabは、膀胱癌細胞の異種移植片増殖およびBa/F3−FGFR3S249Cの同種異系移植片増殖を阻害する。(A) ベヒクルコントロールと比較した、既に定着したRT112膀胱癌異種移植片の増殖に対するR3Mabの効果。1群につきn=10。(B) R3MabによるRT112腫瘍組織におけるFGFR3シグナル伝達の阻害。異なる実験において、15mg/kgのコントロール抗体(Ctrl)又はR3Mabにて48時間又は72時間処理したRT112異種移植片腫瘍は、回収し(1群につきn=3)、ホモジナイズし、イムノブロットによってFRS2およびMAPKの活性化について分析した。(C) 既に定着したBa/F3−FGFR3S249C同種異系移植片の増殖に対するR3Mabの効果。1群につきn=10。 (D) 既に定着したUMUC-14膀胱癌異種移植片の増殖に対するR3Mabの効果(1群につきn=10)。(E) UMUC-14腫瘍組織におけるFGFR3S249C二量体及びシグナル伝達に対するR3Mabの効果。30mg/kgのコントロール抗体(Ctrl)又はR3Mabにて24時間又は72時間処理したUMUC-14異種移植片腫瘍は、回収し(1群につきn=3)、ホモジナイズし、FGFR3S249C二量体−単量体並びにイムノブロットによるMAPK活性化について分析したFGFR3二量体−単量体は、腫瘍溶解物のマウスIgGからの干渉を回避するために抗FGFR3ウサギポリクローナル抗体sc9007を使用して検出した。誤差バーはSEMを表す。 ADCCは、t(4;14)陽性多発性骨髄腫モデルにおけるR3Mabの抗腫瘍有効性に寄与する。(A−B) 既に定着したOPM2(A)およびKMS11(B)の骨髄腫異種移植片の増殖に対するR3Mabの効果。1群につきn=10。(C−F) 細胞培養物中のR3Mabによって誘導される、骨髄腫細胞株OPM2(C)およびKMS11(D)、又は膀胱癌細胞株RT112(E)およびUMUC-14(F)の細胞溶解性。 (C−F) 細胞培養物中のR3Mabによって誘導される、骨髄腫細胞株OPM2(C)およびKMS11(D)、又は膀胱癌細胞株RT112(E)およびUMUC-14(F)の細胞溶解性。骨髄腫又は膀胱癌細胞は、R3Mab又はコントロール抗体の存在下で新しく単離したヒトPBMCとともにインキュベートした。細胞障害性は、上清に放出されるLDHを測定することによって決定した。(G−H) 既に定着したOPM2(G)およびKMS11(H)の骨髄腫異種移植片の増殖に対するR3Mab又はそのDANA変異体の効果。1群につきn=10。誤差バーはSEMを表し、記号より小さい場合がある。 siRNAによるFGFR3のノックダウンは膀胱癌細胞株の細胞増殖を阻害する。6〜7つの異なるFGFR3 siRNAsと3つの非特異的コントロールsiRNAを、Genentechにおいて設定し、合成した。膀胱癌細胞株RT112(A)、SW780(B)、RT4(C)およびUMUC-14(D)は、96ウェルプレートに播き(1ウェルにつき3000細胞)、終夜をかけて接着させ、RNAiMax(Invitrogen)と複合体化させた25nMのsiRNAを過渡的に形質移入させた。形質移入の72時間後に、[H]-チミジン(1ウェルにつき1μCi)を培養物(A、CおよびD)に加え、さらに16時間インキュベートした。取り込まれた[H]-チミジンはTopCountにて定量化した。データは、RNAiMax単独(Mock)を形質移入した細胞からのものに対して規準化した。誤差バーはSEMを表す。下パネル:siRNA形質移入細胞におけるFGFR3発現を示す代表的なブロット。(B) 細胞生存率は、形質移入の96時間後にCellTiter-Glo(Promega)にて測定した。誤差バーはSEMを表す。 膀胱癌細胞株RT112のFGFR3ノックダウンは、インビトロでG1細胞周期静止を誘導し、インビボで腫瘍増殖を抑制する。3つの異なるFGFR3 RNAを設定し、Tet誘導性shRNA発現レトロウイルスベクターにクローニングした。FGFR3 shRNA又はコントロールshRNAを発現するRT112安定クローンは、ピューロマイシン選別にて決定した。(A) 1μg/mlのドキシサイクリンの有無により72時間処理した後に、FGFR3 shRNA2又はshRNA6を発現するRT112安定細胞から得たプロピジウムヨウ素(PI)染色核のDNA蛍光フローサイトメトリーヒストグラム。 (B) nu/nuマウスにおけるFGFR3 shRNA2−4(1処理群につきn=11)又はFGFR3shRNA6−16(1処理群につきn=10)を発現するRT112安定細胞の増殖。腫瘍保持マウスに5%スクロースのみ(●)又は5%スクロースと1mg/mlのドキシサイクリン(■)を与え、腫瘍は週に2回カリパスにて測定した。誤差バーはSEMを表す。 野生型および変異したFGFR3によって促されるBa/F3細胞増殖に対する抗FGFR3ハイブリドーマ抗体16G、6G1および15B2の効果。抗FGFR3ハイブリドーマ抗体は、BALB/cマウスをヒトFGFR3−IIIb/Fc又はヒトFGFR3−IIIc/Fcキメラにて免疫化することによって生成した。融合したハイブリドーマ細胞は、ClonaCell(登録商標)ハイブリドーマ選別キット(StemCell Technologies, Inc., Vancouver, BC, Canada)のメディウムDのヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン選別を使用して選択した。ハイブリドーマ抗体は、ELISAによってFGFR3−IIIbおよびFGFR3−IIIcへの結合能について、FACSによって細胞表面FGFR3の認識能について連続的にスクリーニングした。次いで、選別したハイブリドーマは限界希釈によってクローニングした。16G、6G1および15B2のクローンを用いて、図9Aに記載したのと同様に、野生型又は変異したFGFR3を発現するBa/F3細胞の増殖に対する効果を評価する。誤差バーはSEMを表す。 ペプチドマッピングおよび結晶構造解析によって決定されるR3Mabエピトープの比較。(A) ヒトFGFR3の細胞外IgD2−D3セグメントと複合体化したR3Mab Fab断片の構造によって明らかとなったエピトープ。Fabの重鎖および軽鎖が接触するFGFR3残基はそれぞれ黒色及び灰色に色分けした。(B) FGFR3に対するペプチド3および11の位置。 R3Mabは、野生型又は変異したFGFR3S249Cを含む膀胱癌細胞の増殖およびFGFR3シグナル伝達を阻害する。(A) 膀胱癌細胞株RT4におけるR3Mabによる細胞生存率の阻害。細胞生存率は、抗体とともに96時間インキュベートした後にCellTiter-Glo(Promega)にて評価した。誤差バーはSEMを表す。(B) 膀胱癌細胞株RT4におけるR3Mab(15ug/ml)によるFGF1活性化FGFR3シグナル伝達の遮断。(C) 膀胱癌細胞株RCC-97-7(FGFR3S249Cを含む)におけるR3Mabによる[H]-チミジン取込みの阻害。誤差バーはSEMを表す。(D) R3Mab(15ug/ml)によるTCC−97−7細胞のFGFR3リン酸化の阻害。(E) コントロール抗体(Ctrl)と比較した、R3Mab(15ug/ml)とともに3時間インキュベートした後のTCC−97−7細胞のFGFR3S249C二量体の減少。 UMUC-14細胞におけるR3MabおよびFGFR3S249C二量体の内部移行に対するエンドサイトーシスインヒビターの効果。(A) R3Mabの内部移行に対するエンドサイトーシスインヒビターの効果。様々なエンドサイトーシスインヒビター又はDMSOにて37℃で1時間予め処理したUMUC-14細胞は、R3Mab(15ug/ml)とともに37℃で3時間インキュベートして、内部移行させた。低pH洗浄を行い、細胞表面R3Mabを取り除き、内部移行した抗体を可視化した。細胞を固定し、Alexa488標識抗ヒトIgGにて染色した。共焦点電子顕微鏡法を使用して撮像した。(B) R3Mabにて処理したUMUC-14細胞におけるFGFR3S249C二量体に対するエンドサイトーシスインヒビターの効果。様々なエンドサイトーシスインヒビター又はDMSOにて37℃で1時間予め処理したUMUC-14細胞は、mock(レーン1)、コントロール抗体(レーン2)又はR3Mab(15ug/ml、レーン3)とともに37℃で3時間インキュベートした。細胞溶解物は、イムノブロットによって非還元又は還元条件下でFGFR3タンパク質について分析した。クロルプロマジン(クラトリンが媒介するエンドサイトーシスのインヒビター)およびゲニステイン(エンドサイトーシスのパンインヒビター)はR3Mab内部移行を遮断したが、FGFR3S249C二量体のR3Mab誘導性減少に対しては効果を示さなかったことを注記する。 非還元条件下での単量体および二量体のFGFR3S249Cに対する異なる抗FGFR3抗体の検出感度。UMUC-14細胞は、R3Mab(レーン1)、コントロールIgG1(レーン2)又はPBS(レーン3)にて3時間処理した後に細胞溶解し、細胞溶解物は還元又は非還元の条件下でイムノブロット分析を行った。6G1(Genentechで生成されるマウスハイブリドーマ抗体)は、FGFR3S249C二量体および単量体を両方検出したのに対して、sc9007(ウサギポリクローナル抗体、Santa Cruz Biotechnology)又はsc13121(マウスハイブリドーマ抗体、Santa Cruz Biotechnology)は選択的に二量体FGFR3S249Cを検出したことを注記する。 t(4;14)+多発性骨髄腫細胞の増殖に対するR3Mabの効果。(A) UTMC-2細胞による[H]-チミジン取込みに対するR3Mabの阻害効果。UTMC-2細胞は、25ng/mlのFGF9と5ug/mlのヘパリン又はヘパリン単独(FGF9なし)の存在下でR3Mab又はコントロール抗体を含む培地中で生育させた。6日間のインキュベートの後に、[H]-チミジンを添加して16時間インキュベートした。データは、FGF9および抗体の非存在下で生育させた細胞からのものに対して規準化した。(B−C) OPM2(B)およびKMS11(C)細胞による[H]-チミジン取込みに対するR3Mabの効果。1.5%FBS培地中で生育させた細胞は、R3Mab又はコントロール抗体にて6日間処理した。データは処理していない細胞からのものに対して規準化した。誤差バーSEMを表す。 骨髄腫および膀胱癌細胞におけるFGFR3の細胞表面発現レベル。(A) FACS分析によって評価した骨髄腫細胞および膀胱癌細胞における細胞表面FGFR3発現。細胞は、ヒトFGFR3に対するフィコエリトリンコンジュゲートマウスmAb(FAB766P、R&D Systems)又はフィコエリトリンコンジュゲートアイソタイプコントロールマウスIgG1(BD Pharmingen)にて染色した。 (B) 骨髄腫細胞および膀胱癌細胞におけるFGFR3密度のスキャッチャード分析。R3Mabは、放射ヨウ素標識し、過剰な非標識抗体と懸濁して細胞とともにインキュベートした。室温で2時間インキュベートした後、細胞は、遠心分離法にてペレット化し、2回洗浄した。特異的に結合した125Iを決定した。レセプター密度および結合親和性(Kd)は2つの結合実験からの平均を表す。 膀胱カルシノーマ細胞の異種移植片増殖に対するR3Mab又はそのDANA変異体の効果。(A) 既に定着したRT112腫瘍の増殖に対するR3Mab及びそのDANA変異体(各々50mg/kg)の効果。(B) 既に定着したUMUC-14腫瘍の増殖に対するR3Mab及びそのDANA変異体(各々50mg/kg)の効果。誤差バーはSEMを表す。
(本発明の詳細な説明)
本明細書中の発明は、発現及び/又は活性の増加又は望ましくない発現及び/又は活性といった、FGFR3の発現及び/又は活性と関連する病的状態の治療又は予防などに有用である抗FGFR3抗体を提供する。いくつかの実施態様では、本発明の抗体を用いて腫瘍、癌、及び/又は細胞増殖性疾患を治療する。
他の態様では、本発明の抗FGFR3抗体は、様々な組織及び細胞種でのFGFR3の検出といった、FGFR3の検出及び/又は単離のための試薬として有用である。
本発明はさらに、抗FGFR3抗体の製造方法及び使用方法と、抗FGFR3抗体をコードするポリヌクレオチドを提供する。
一般的な技術
本明細書中に記載又は引用される技術及び手順は、一般に十分に理解されるものであり、当業者によって、従来の方法論を用いて共通して実施されるものである。その例として、以下の文献に記載される方法論が広く利用されている。Sambrook 等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3rd. edition (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (F. M. Ausubel, 等 編集, (2003))、the series METHODS IN ENZYMOLOGY (Academic Press, Inc.): PCR 2: A PRACTICAL APPROACH (M. J. MacPherson, B. D. Hames 及び G. R. Taylor 編集 (1995))、Harlow and Lane, 編集 (1988) ANTIBODIES, A LABORATORY MANUAL、及びANIMAL CELL CULTURE (R. I. Freshney, 編集 (1987))。
定義
「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、抗体の診断又は治療的な使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様では、タンパク質は、(1)ローリー法で測定した場合95%を越える抗体、最も好ましくは99重量%を超えるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分なほど、あるいは、(3)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)により均一になるまで充分なほど精製される。抗体の自然環境の少なくとも一の成分が存在しないため、単離された抗体には、組換え細胞内のインサイツでの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一の精製工程により調製される。
「単離された」核酸分子は、同定され、核酸の天然源に通常付随している少なくとも一の汚染核酸分子から分離された核酸分子である。単離された核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。故に、単離された核酸分子は、天然の細胞中に存在する核酸分子とは区別される。しかし、単離された核酸分子は、例えば、核酸分子が天然の細胞のものとは異なった染色体位置にある核酸(例えば抗体コード核酸)を通常発現する細胞に含まれる核酸分子を含む。
「Kabatに記載の可変ドメイン残基番号付け」又は「Kabatに記載のアミノ酸位番号付け」なる用語及びその異なる言い回しは、Kabat 等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)の抗体の編集の軽鎖可変ドメイン又は重鎖可変ドメインに用いられる番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを用いると、実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFR又はCDR内の短縮又は挿入に相当する2、3のアミノ酸又は付加的なアミノ酸を含みうる。例えば、重鎖可変ドメインには、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えばKabatによる残基82a、82b及び82cなど)と、H2の残基52の後に単一アミノ酸の挿入(Kabatによる残基52a)を含んでもよい。残基のKabat番号は、「標準の」Kabat番号付け配列によって抗体の配列の相同領域でアライメントすることによって与えられる抗体について決定してもよい決定した。
ここで用いる「実質的に類似」又は「実質的に同じ」なる句は、当業者が2つの数値(一般的には、本発明の抗体に関連するものと参照/比較抗体に関連する他のもの)の差異に、該値(例えばKd値)によって測定される生物学的性質上わずかに又は全く生物学的及び/又は統計学的有意差がないと認められるほど、2つの数値が十分に高く類似していることを意味する。前記2つの値間の差異は、参照/比較抗体の値の好ましくは約50%未満、好ましくは約40%未満、好ましくは約30%未満、好ましくは約20%未満、好ましくは約10%未満である。
一般的に「結合親和性」は、分子(例えば抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば抗原)との間の非共有結合的な相互作用の総合的な強度を意味する。特に明記しない限り、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば抗体と抗原)間の1:1相互作用を反映する内因性結合親和性を意味する。一般的に、分子XのそのパートナーYに対する親和性は、解離定数(Kd)として表される。望ましくは、Kdは1×10−7、1×10−8、5×10−8、1×10−9、3×10−9、5×10−9、又はさらに1×10−10以上の強さである。親和性は、本明細書中に記載のものを含む当業者に公知の共通した方法によって測定することができる。低親和性抗体は抗原にゆっくり結合して素早く解離する傾向があるのに対し、高親和性抗体は抗原により密接により長く結合したままとなる。結合親和性の様々な測定方法が当分野で公知であり、それらの何れかを本発明のために用いることができる。以下に具体的な例示的実施態様を記載する。
一実施態様では、本発明の「Kd」又は「Kd値」は、段階的な力価の非標識抗原の存在下で、最小濃度の(125I)-標識抗原にてFabを均衡化して、抗Fab抗体コートプレートと結合した抗原を捕獲することによって抗原に対するFabの溶液結合親和性を測定する以下のアッセイで示されるような(Chen,等, (1999) J. Mol Biol 293:865-881)、所望の抗体のFab型(バージョン)とその抗原を用いて実行される放射性標識した抗原結合アッセイ(RIA)で測定される。アッセイの条件を決めるために、ミクロタイタープレート(Dynex)を5μg/mlの捕獲抗Fab抗体(Cappel Labs)を含む50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)にて一晩コートして、その後2%(w/v)のウシ血清アルブミンを含むPBSにて室温(およそ23℃)で2〜5時間、ブロックする。非吸着プレート(Nunc#269620)に、100pM又は26pMの[125I]抗原を段階希釈した所望のFabと混合する(例えば、Presta等, (1997) Cancer Res. 57: 4593-4599の抗VEGF抗体、Fab-12の評価と一致する)。ついで所望のFabを一晩インキュベートする;しかし、インキュベーションは確実に平衡状態に達するまでに長時間(例えば65時間)かかるかもしれない。その後、混合物を捕獲プレートに移し、室温で(例えば1時間)インキュベートする。そして、溶液を取り除き、プレートを0.1%のTween20を含むPBSにて8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルの閃光物質(MicroScint-20; Packard)を加え、プレートをTopcountγ計測器(Packard)にて10分間計測する。最大結合の20%か又はそれ以下濃度のFabを選択してそれぞれ競合結合測定に用いる。他の実施態様によると、〜10反応単位(RU)の固定した抗原CM5チップを用いて25℃のBIAcoreTM-2000又はBIAcoreTM-3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)にて表面プラズモン共鳴アッセイを行ってKd又はKd値を測定する。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。抗原を10mM 酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入した。抗原の注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、2倍の段階希釈したFab(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流量で0.05%Tween20(PBST)を含むPBSに注入した。いくつかの実施態様では、表面プラスモン共鳴アッセイ法に以下の変更が用いられる:およそ400RUを達成するように抗体をCM5バイオセンサーチップに固定し、動態学的測定のために、標的タンパク質の2倍段階希釈物(例えばFGFR3−IIIb又は-IIIc)(67nMから開始)をおよそ30ul/分の流速で25℃のPBSTバッファに注入する。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model) (BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(Kon)と解離速度(Koff)を算出した。平衡解離定数(Kd)をKoff/Kon比として算出した。例として、Chen, Y.,等, (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照。上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が10−1−1を上回る場合、分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定することができる。
また、本発明の「結合速度」又は「会合の速度」又は「会合速度」又は「kon」は、〜10反応単位(RU)の固定した抗原CM5チップを用いて25℃のBIAcoreTM-2000又はBIAcoreTM-3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)を用いた前述と同じ表面プラズモン共鳴アッセイにて測定される。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。抗原を10mM 酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入した。その後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。抗原の注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、2倍の段階希釈したFab(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流量で0.05%Tween20(PBST)を含むPBSに注入した。いくつかの実施態様では、表面プラスモン共鳴アッセイ法に以下の変更が用いられる:およそ400RUを達成するように抗体をCM5バイオセンサーチップに固定し、動態学的測定のために、標的タンパク質の2倍段階希釈物(例えばFGFR3−IIIb又は-IIIc)(67nMから開始)をおよそ30ul/分の流速で25℃のPBSTバッファに注入する。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model) (BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(Kon)と解離速度(Koff)を算出した。平衡解離定数(Kd)をKoff/Kon比として算出した。例として、Chen, Y.,等, (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照。しかし、上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が10−1−1を上回る場合、分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定するのが好ましい。
ここで使用される「ベクター」という用語は、それが結合している他の核酸を輸送することのできる核酸分子を意味するものである。一つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、これは付加的なDNAセグメントが結合されうる円形の二重鎖DNAループを意味する。他の型のベクターはファージベクターである。他の型のベクターはウイルスベクターであり、付加的なDNAセグメントをウイルスゲノムへ結合させうる。所定のベクターは、それらが導入される宿主細胞内において自己複製することができる(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクターとエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、宿主ゲノムと共に複製する。更に、所定のベクターは、それらが作用可能に結合している遺伝子の発現を指令し得る。このようなベクターはここでは「組換え発現ベクター」(又は単に「組換えベクター」)と呼ぶ。一般に、組換えDNA技術で有用な発現ベクターはしばしばプラスミドの形をとる。本明細書では、プラスミドが最も広く使用されているベクターの形態であるので、「プラスミド」と「ベクター」を相互交換可能に使用する場合が多い。
ここで交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを意味し、DNA及びRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド又は塩基、及び/又はそれらの類似体(アナログ)、又はDNAもしくはRNAポリメラーゼにより、もしくは合成反応によりポリマー中に取り込み可能な任意の基質とすることができる。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体を含み得る。存在するならば、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立ての前又は後になされ得る。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分により中断されてもよい。ポリヌクレオチドは合成後に、例えば標識との結合により、さらに修飾されてもよい。他のタイプの修飾には、例えば「キャップ(caps)」、類似体との自然に生じたヌクレオチドの一又は複数の置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非荷電連結(例えばホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミダート、カルバマート等)及び荷電連結(ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート等)を有するもの、ペンダント部分、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply-L-リジン等)を含むもの、インターカレータ(intercalators)を有するもの(例えばアクリジン、ソラレン等)、キレート剤を含むもの(例えば金属、放射性金属、ホウ素、酸化的金属等)、アルキル化剤を含むもの、修飾された連結を含むもの(例えばアルファアノマー核酸等)、並びにポリヌクレオチド(類)の未修飾形態が含まれる。さらに、糖類中に通常存在する任意のヒドロキシル基は、例えばホスホナート基、ホスファート基で置き換えられてもよく、標準的な保護基で保護されてもよく、又は付加的なヌクレオチドへのさらなる連結を調製するように活性化されてもよく、もしくは固体又は半固体支持体に結合していてもよい。5'及び3'末端のOHはホスホリル化可能であり、又は1〜20の炭素原子を有するアミン又は有機キャップ基部分で置換することもできる。また他のヒドロキシルは標準的な保護基に誘導体化されてもよい。さらにポリヌクレオチドは当該分野で一般的に知られているリボース又はデオキシリボース糖類の類似形態のものをさらに含み、これらには例えば2'-O-メチル-、2'-O-アリル、2'-フルオロ又は2'-アジド-リボース、炭素環式糖の類似体、アルファ-アノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロース類又はリキソース類、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及び非塩基性ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドが含まれる。一又は複数のホスホジエステル連結は代替の連結基で置き換えてもよい。これらの代替の連結基には、限定されるものではないが、ホスファートがP(O)S(「チオアート」)、P(S)S(「ジチオアート」)、「(O)NR(「アミダート」)、P(O)R、P(O)OR'、CO又はCH(「ホルムアセタール」)と置き換えられた実施態様のものが含まれ、ここでそれぞれのR及びR'は独立して、H又は、エーテル(-O-)結合を含んでいてもよい置換もしくは未置換のアルキル(1-20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアラルジル(araldyl)である。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。先の記述は、RNA及びDNAを含むここで引用される全てのポリヌクレオチドに適用される。
ここで使用される場合、「オリゴヌクレオチド」とは、短く、一般的に単鎖であり、また必ずしもそうではないが、一般的に約200未満のヌクレオチド長さの、一般的に合成のポリヌクレオチドを意味する。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」なる用語は、相互に排他的なものではない。ポリヌクレオチドについての上述した記載はオリゴヌクレオチドと等しく、十分に適用可能である。
ここで同定したGDMポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」とは、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした後の、特定のGDMポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を測定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2プログラム用の完全なソースコードが下記の表Aに提供されている配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用することによって得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作成され、ソースコードは米国著作権庁, ワシントンD.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN-2プログラムはジェネンテック社、サウス サン フランシスコ, カリフォルニアから公的に入手可能であり、例えば国際公開2007/001851に提供されたソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX(登録商標)V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。
アミノ酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Aと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Bと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2のA及びBのアラインメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。
いくつかの実施態様では、2以上のアミノ酸配列は、少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%の同一性である。いくつかの実施態様では、2以上のアミノ酸配列は、少なくとも95%、97%、98%、99%又はさらに100%の同一性である。特に断らない限りは、ここでの全ての%アミノ酸配列同一性値は、直ぐ上のパラグラフに示したようにALIGN-2コンピュータプログラムを用いて得られる。
本願明細書において用いられるように、「FGFR3」なる用語は、特別に又は文脈上別途示されない限り、任意の(天然に生じるもの又は合成のもののいずれにせよ)天然の又は変異形のFGFR3ポリペプチド(例えばFGFR3-IIIbアイソフォーム又はFGFR3-IIIcアイソフォーム)を指す。「天然の配列」なる用語は、特に天然に生じる切断型(例えば、細胞外ドメイン配列又は膜貫通サブユニット配列)、天然に生じる変異型(例えば、選択的スプライシング型)及び天然に生じる対立遺伝子変異体が含まれる。「野生型FGFR3」なる用語は、一般に、天然に生じるFGFR3タンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。「野生型FGFR3配列」なる用語は、一般に、天然に生じるFGFR3においてみられるアミノ酸配列を指す。
本明細書中で使用する「FGFR3リガンド」(「FGF」と互換性を持って称される)なる用語は、特別に又は文脈上別途示さない限り、任意の天然の又は変異体の(天然であっても合成であっても)FGFR3リガンド(例えば、FGF1、FGF2、FGF4、FGF8、FGF9、FGF17、FGF18、FGF23)ポリペプチドを指す。「天然の配列」なる用語は、具体的には、天然に生じた切断型(例えば、細胞外ドメイン配列又は膜貫通サブユニット配列)、天然に生じる変異型(例えば、オルタナティブスプライス型)及び天然に生じる対立遺伝子変異型を包含する。「野生型FGFR3リガンド」なる用語は、一般に、天然に生じるFGFR3リガンドタンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。「野生型FGFR3リガンド配列」なる用語は、一般に、天然に生じるFGFR3リガンドに見られるアミノ酸配列を指す。
「FGFR3活性化」は、FGFR3レセプターの活性化又はリン酸化を指す。通常、FGFR3活性化により、シグナル伝達が生じる(例えば、FGFR3レセプター又は基質ポリペプチドのチロシン残基をリン酸化するFGFR3レセプターの細胞内キナーゼドメインによって生じる)。FGFR3活性化は、対象のFGFR3レセプターにFGFRリガンドが結合することにより媒介されうる。FGFR3へのFGFR3リガンド(例えばFGF1又はFGF9など)の結合により、FGFR3のキナーゼドメインが活性化され、このことによりFGFR3のチロシン残基のリン酸化、及び/又は他の基質ポリペプチド(一又は複数)のチロシン残基のリン酸化が生じる。
本明細書中で用いる「恒常的」なる用語は、例えばレセプターキナーゼ活性に用いられると、リガンド又は他の活性化分子の存在に依存しないレセプターの恒常的なシグナル伝達活性を指す。レセプターの性質によって、すべての活性が恒常的であってもよいし、レセプターの活性が他の分子(例えばリガンド)の結合によってさらに活性化されてもよい。レセプターの活性化を引き起こす細胞の現象は当業者に周知である。例えば、活性化には、例えば二量体化、三量体化など高次のレセプター複合体への多量体化が含まれる。複合体は、単一種のタンパク質、すなわちホモ複合体を含んでよい。あるいは、複合体は、少なくとも2の異なるタンパク質種、すなわちヘテロ複合体を含んでよい。例えば、複合体形成は、細胞の表面上のレセプターの正常型又は変異型の過剰発現によって生じうる。また、複合体形成は、レセプター内の特定の突然変異又は複数の突然変異によって生じうる。
ここで用いる「リガンド非依存性」なる用語は、例えばレセプターシグナル伝達活性に対して用いられると、リガンドの存在に依存しないシグナル活性を指す。リガンド非依存的なキナーゼ活性を有するレセプターは、キナーゼ活性の他の活性化を起こすために、そのレセプターへのリガンドの結合を必ずしも妨げるわけでない。
ここで用いる「リガンド依存性」なる用語は、例えばレセプターシグナル伝達活性に対して用いられると、リガンドの存在に依存するシグナル伝達活性を指す。
「遺伝子増幅」なる語句は、遺伝子又は遺伝子断片の複数のコピーが特定の細胞又は細胞株において形成されるプロセスを指す。複製された領域(増幅されたDNAのストレッチ)は、しばしば「アンプリコン」と称される。通常は、生成されるメッセンジャーRNA(mRNA)の量、即ち遺伝子発現レベルも、発現される特定遺伝子の作成されたコピー数に比例して増加する。
「チロシンキナーゼインヒビター」は、FGFR3レセプターなどのチロシンキナーゼのチロシンキナーゼ活性をある程度阻害する分子である。
「FGFR3の発現、増幅又は活性化を示す」癌又は生体試料は、診断試験において、FGFR3を発現(過剰発現を含む)する、FGFR3遺伝子を増幅した、及び/又はFGFR3の活性化又はリン酸化を示すものである。
「FGFR3活性化を示す」癌又は生体試料は、診断試験において、FGFR3の活性化又はリン酸化を示すものである。このような活性化は、直接的に(例えばFGFR3のリン酸化をELISAで測定することによって)或いは間接的に決定することができる。
「恒常的なFGFR3活性化を示す」癌又は生体試料は、診断試験において、FGFR3の恒常的な活性化又はリン酸化を示すものである。このような活性化は、直接的に(例えばFGFR3のリン酸化をELISAで測定することによって)或いは間接的に決定することができる。
「FGFR3増幅を示す」癌又は生体試料は、診断試験において、FGFR3遺伝子を増幅したものである。
「FGFR3転座を示す」癌又は生体試料は、診断試験において、FGFR3遺伝子を転座したものである。FGFR3転座の例はt(4;14)転座であり、それはいくつかの多発性骨髄腫腫瘍に起こる。
本明細書において「ホスホ-ELISAアッセイ」は、リン酸化されたFGFR3、基質又は下流のシグナル伝達分子を検出するために、一又は複数のFGFR3、基質又は下流のシグナル分子のリン酸化が試薬、通常抗体を使用した酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)において評価されるアッセイである。いくつかの実施態様では、リン酸化したFGFR3又はpMAPKを検出する抗体が用いられる。アッセイは、好ましくは新鮮又は凍結生体試料からの細胞溶解物に実行してよい。
「リガンド非依存性のFGFR3の活性化を示す」癌又は生物学的試料は、診断検査において、FGFR3のリガンド非依存性の活性化又はリン酸化を示すものである。このような活性化は直接的に(例えばFGFR3のリン酸化をELISAで測定することによって)又は間接的に測定されうる。
「リガンド依存性のFGFR3の活性化を示す」癌又は生物学的試料は、診断検査において、FGFR3のリガンド依存性の活性化又はリン酸化を示すものである。このような活性化は直接的に(例えばFGFR3のリン酸化をELISAで測定することによって)又は間接的に測定されうる。
「リガンド非依存性のFGFR3活性化を示す」癌又は生物学的試料は、診断検査において、FGFR3のリガンド依存性の活性化又はリン酸化を示すものである。このような活性化は直接的に(例えばFGFR3のリン酸化をELISAで測定することによって)又は間接的に測定されうる。
「FGFR3過剰発現又は増幅」を有する癌細胞は、同じ組織タイプの非癌細胞と比較してFGFR3タンパク質又は遺伝子の有意に高いレベルを有するものである。このような過剰発現は、遺伝子増幅によって、または、増加した転写ないし翻訳によって生じうる。FGFR3過剰発現又は増幅は、細胞の表面上に存在するFGFR3タンパク質の増加したレベルを評価することによる診断又は予後アッセイにおいて(例えば免疫組織化学アッセイ;IHCによって)決定されうる。あるいは又はさらに、例えば、蛍光インサイツハイブリダイゼーション;(FISH;1998年10月公開の国際公開98/45479参照)、サザンブロッティング、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術、例えばリアルタイム定量PCR(qRT-PCR)により、細胞のFGFR3コード化核酸のレベルを測定してもよい。上記のアッセイとは別に、種々のインビボアッセイは、熟練技術者に入手可能である。例えば、患者の体内にある細胞を、例えば、放射活性アイソトープのような検出可能な標識で場合によって標識した抗体に曝してもよく、患者の細胞への抗体の結合は、例えば、放射活性の外部スキャンニングによって、又は以前に抗体へ曝した患者から取り出した生検を分析することによって、評価することができる。
本明細書で使用される「変異」なる用語は、特定のタンパク質又は核酸(遺伝子、RNA)のアミノ酸配列又は核酸配列が、それぞれ野生型のタンパク質又は核酸とは異なることを意味する。変異したタンパク質又は核酸は、遺伝子の、一方の対立遺伝子(ヘテロ接合性)又は両方の対立遺伝子(ホモ接合性)に発現されるか、又はそのような対立遺伝子に見られ、体細胞性又は生殖系列でありうる。本発明では、変異は通常体細胞性である。変異には、挿入、欠失、及び点変異(単一のヌクレオチド/アミノ酸多形を含む)のような配列再構成が含まれる。
「阻害する」とは、基準より活性、機能及び/又は量を減少させる又は低減させることである。
薬剤が対象のポリペプチド(例えばFGF1又はFGF9などのFGFRリガンド)の少なくとも一の機能的な活性を模倣する場合に、薬剤は「アゴニスト活性又は機能」を所有する。
本細書において使われる「アゴニスト抗体」は、対象のポリペプチド(例えばFGF1又はFGF9などのFGFRリガンド)の少なくとも一の機能的な活性を模倣する抗体である。
タンパク質の「発現」とは、遺伝子にコードされた情報のメッセンジャーRNA(mRNA)への転換と、それに続くタンパク質への変換とを指す。
ここで、対象のタンパク質(例えばFGFレセプター又はFGFレセプターリガンド)を「発現する」試料又は細胞は、タンパク質をコードするmRNA、又はその断片を含むタンパク質が、試料又は細胞中に存在することが確認されているものである。
「イムノコンジュゲート」(「抗体−薬剤コンジュゲート」又は「ADC」と互換可能)は、化学療法剤、薬剤、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、又は動物を起源とする酵素的に活性な毒素又はその断片)、或いは放射性同位元素(例えばラジオコンジュゲート)といった一又は複数の細胞障害剤を意味する。
本明細書で使用される「Fc領域」なる用語は、概して、C末端ポリペプチド配列がインタクト抗体のパパイン消化によって取得されうる免疫グロブリン重鎖のC末端ポリペプチド配列を含んでなる二量体複合体を指す。Fc領域は、天然Fc配列又は変異Fc配列を含むことができる。免疫グロブリン重鎖のFc配列の境界は変化しうるが、通常、ヒトIgG重鎖Fc配列はおよそCys226の位置又はおよそPro230の位置のアミノ酸残基からFc配列のカルボキシル末端まで伸びると定義される。免疫グロブリンのFc配列は、通常、二つの定常ドメイン、即ちCH2ドメインとCH3ドメインとを含み、場合によってはCH4ドメインを含む。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによれば残基447)は、例えば、抗体の精製中に又は抗体をコードする核酸を組み換え遺伝子操作することによって、取り除かれてもよい。したがって、本発明によるFc領域を有する抗体を含んでなる組成物は、K447を有する抗体、すべてのK447残基が除去された抗体、又はK447残基を有する抗体と有さない抗体との混合物を含みうる。
ここでの「Fcポリペプチド」は、Fc領域を形成するポリペプチドの一つを意味する。Fcポリペプチドは、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4サブタイプ、IgA、IgE、IgD又はIgMなどの任意の好適な免疫グロブリンから得ることができる。いくつかの実施態様では、Fcポリペプチドは、野生型のヒンジ配列の一部又はすべてを(一般的にはそのN末端に)含有してなる。いくつかの実施態様では、Fcポリペプチドは、機能的ヒンジ配列又は野生型ヒンジ配列を含有していない。
「ブロッキング」抗体又は抗体「アンタゴニスト」は、それが結合する抗原の生物機能を抑制又は低減するものである。好ましいブロッキング抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物活性を完全に抑制する。
「ネイキッド抗体」は、異種性分子(例えば細胞障害性部分又は放射標識)にコンジュゲートしていない抗体である。
指定された抗体の「生物学的特性」を有する抗体は同じ抗原に結合する他の抗体とは区別されるその抗体の生物学的特性の一又は複数を保有するものである。
対象の抗体が結合する抗原上のエピトープに結合する抗体をスクリーニングするために、Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow and David Lane (1988)に記載のものなどの常套的な交差遮断(cross-blocking)アッセイを行ってもよい。
本発明のアミノ酸配列を含む抗体又はポリペプチドの半減期を増大させるために、例えば米国特許第5739277号に記載のように、抗体(特に抗体断片)へサルベージレセプター結合エピトープ接着させることができる。例えば、サルベージレセプター結合エピトープをコードする核酸分子は、操作した核酸分子によって発現される融合タンパク質が本発明のポリペプチド配列とサルベージレセプター結合エピトープを含むように、本発明のポリペプチド配列をコードする核酸のフレーム内に連結させることができる。ここで使用される場合の「サルベージレセプター結合エピトープ」なる用語は、IgG分子のインビボ血清半減期を増加させる原因であるIgG分子(例えば、IgG、IgG、IgG又はIgG)のFc領域のエピトープを意味する(例えば、Ghetie, V等, (2000) Ann. Rev. Immunol. 18:739-766, 表1)。Fc領域内に置換を有する抗体および血清半減期が増大した抗体については、国際公開00/42072、国際公開02/060919; Shields, R.L., ら, (2001) JBC 276(9):6591-6604;Hinton, P.R., (2004) JBC 279(8):6213-6216)にも記載されている。他の実施態様では、例えば他のポリペプチド配列に接着させることによっても血清半減期が増大しうる。例えば、血清アルブミンが抗体又はポリペプチドに結合するように、抗体又は本発明の方法に有用な他のポリペプチドをFcRnレセプター又は血清アルブミン結合ペプチドに結合する血清アルブミン又は血清アルブミンの一部に接着させることができ、例としてこのようなポリペプチド配列は国際公開01/45746に開示されている。好適な実施態様では、接着した血清アルブミンペプチドはアミノ酸配列DICLPRWGCLW(配列番号:183)を含む。他の実施態様では、Fabの半減期はこれらの方法によって増大する。血清アルブミン結合ペプチド配列については、Dennis, M.S., ら., (2002) JBC 277(38):35035-35043も参照のこと。
「断片」とは、好ましくは、参照核酸分子又はポリペプチドの全体の長さの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又はそれ以上を含むポリペプチド又は核酸分子の一部を意味する。断片は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100、200、300、400、500、600又はそれ以上のヌクレオチド、ないしは10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、190、200アミノ酸又はそれ以上を含みうる。
本明細書において使われる、本発明の抗体に関する「わずか又は全くアゴニスト機能がない」という語句は、例えば被検体への投与により抗体が生物学上有意な量のアゴニスト活性を誘発しないことを意味する。当分野においてよく理解されるように、本発明の抗体と参照相対物とが比較される限りにおいて、活性の量は量的又は質的に決定されうる。活性は、例えば本明細書中に記載のものを含み、当分野で知られた任意のアッセイ又は技術によって測定又は検出されうる。本発明の抗体およびその参照相対物の活性の量は、並行して又は別に実行して決定されうる。いくつかの実施態様では、本発明の二価抗体は実質的なアゴニスト機能を備えていない。
「アポトーシス」及び「アポトーシス活性」という用語は広義に使用され、典型的には、細胞質の凝集、原形質膜の微絨毛の喪失、核の分節化、染色体DNAの分解又はミトコンドリア機能の喪失を含む一又は複数の特徴的な細胞変化を伴う、哺乳動物における細胞死の規則的又はコントロールされた形態を称す。この活性は、当該技術で知られた技術、例えば細胞生死判別アッセイ、FACS分析又はDNA電気泳動法、そしてより詳細にはアネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の拡大、細胞断片化、及び/又は膜ベジクル(アポトーシス体と呼ばれる)の生成により、決定し測定することができる。
「抗体」及び「イムノグロブリン」なる用語は互換性をもって広義な意味で使われ、モノクローナル抗体(例えば完全長又は無傷のモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、単価抗体、多価抗体、多特異性抗体(例えば所望の生物学的活性を示す限りの二重特異性抗体)及び本明細書で記載される抗体断片が含まれる。抗体はヒト、ヒト化及び/又は親和性成熟したものであり得る。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体の中で配列が広範囲に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方の相補性決定領域(CDR)又は高頻度可変領域と呼ばれる3つのセグメントに濃縮される。可変ドメインのより高度に保持された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を結合し、ある場合にはその一部を形成するループ結合を形成する、3つのCDRにより連結されたβシート配置を主にとる4つのFRをそれぞれ含んでいる。各鎖のCDRは、FRによって近接して結合され、他の鎖のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat等, Sequence of Proteins ofImmunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, BEthesda, MD. (1991))。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関連しているものではないが、種々のエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞性細胞毒性への抗体の関与を示す。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。ペプシン処理はF(ab')断片を生じ、それは2つの抗原結合部位を持ち、抗原を交差結合することができる。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体断片である。二本鎖のFv種において、この領域は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖の可変ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv種において、一つの重鎖及び一つの軽鎖の可変ドメインはフレキシブルなペプチドリンカーによって共有結合されて、軽鎖及び重鎖が「二量体」構造類似体内で二本鎖Fv種内のものに結合しうる。この配置において、各可変ドメインの3つのCDRは相互に作用してV-V二量体表面に抗原結合部位を形成する。集合的に、6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
またFab断片は、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常領域(CH1)を有する。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1領域のカルボキシ末端に数個の残基が付加している点でFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が一つの遊離チオール基を担持しているFab'に対するここでの命名である。F(ab')抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生産された。また、抗体断片の他の化学結合も知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(イムノグロブリン)の「軽鎖」には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に区別される型の一つが割り当てられる。
イムノグロブリンの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、イムノグロブリンは異なるクラスが割り当てられる。イムノグロブリンには5つの主なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、更にそれらは、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgA等のサブクラス(アイソタイプ)に分かれる。イムノグロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。イムノグロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配位はよく知られている。「抗体断片」は完全な抗体の一部のみを含んでなるものであり、その一部は、完全な(インタクトな)抗体に存在する場合のその一部に通常関連する機能の少なくとも一、好ましくはその機能のほとんどないしはすべてを保持することが好ましい。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2及びFv断片;ダイアボディ;線形抗体;単鎖抗体分子;及び、抗体断片から形成される多特異性抗体が含まれる。一実施態様では、抗体断片は完全な抗体の抗原結合部位を含んでなるために、抗原結合能を有する。他の実施態様では、抗体断片は、例えばFc領域を含んでなるものは、完全な抗体に存在する場合のFc領域に通常関連する生物学的な機能、例えばFcRn結合、抗体半減期の調節、ADCC機能及び補体結合の少なくとも一を保持する。一実施態様では、抗体断片は、完全な抗体と実質的に類似したインビボ半減期を有する一価性抗体である。例えば、このような抗体断片は、インビボ安定性を断片に与えることができるFc配列に結合した抗原結合アームを含んでもよい。
本願明細書において、用いられる「高頻度可変領域」、「HVR」又は「HV」なる用語は、配列中の高頻度に可変している及び/又は構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。通常、抗体は、VH(H1、H2、H3)の3つと、VL(L1、L2、L3)の3つの計6つの高頻度可変領域を含んでなる。多くの高頻度可変領域が描写されており、本願明細書において、包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列多様性に基づいており、最も一般的に用いられるものである(Kabat 等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))。Chothiaは、代わりに構造的ループの位置を指す(Chothia 及びLesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。AbM高頻度可変領域は、KabatCDRとChothia構造ループとが組み合わさったものであり、Oxford Molecular's AbM抗体モデリングソフトウェアにより使用されている。「接触」高頻度可変領域は、利用できる複雑な結晶構造の分析に基づくものである。これら高頻度可変領域の残基を以下に示す。
カバットループ AbM Chothia 接触
L1 L24-L34 L24-L34 L26-L32 L30-L36
L2 L50-L56 L50-L56 L50-L52 L46-L55
L3 L89-L97 L89-L97 L91-L96 L89-L96
H1 H31-H35B H26-H35B H26-H32 H30-H35B
(カバット番号付け)
H1 H31-H35 H26-H35 H26-H32 H30-H35
(Chothia番号付け)
H2 H50-H65 H50-H58 H53-H55 H47-H58
H3 H95-H102 H95-H102 H96-H101 H93-H101
高頻度可変領域は、次のような「拡大高頻度可変領域」を含むことができる、即ち、VLの24−36又は24−34(L1)、46−56又は50−56(L2)及び89−97(L3)と、VHの26−35(H1)、50−65又は49−65(H2)及び93−102、94−102、又は95−102(H3)である。可変ドメイン残基には、これら各々を規定するために、上掲のKabat等に従って番号を付した。
本願明細書において、定められるように、「フレームワーク」又は「FR」残基は高頻度可変領域残基以外のその可変ドメイン残基である。
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形とは、非ヒト免疫グロブリンから得られた最小配列を含むキメラ抗体である。多くの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類のような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性をさらに洗練するために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、全て又はほとんど全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに一致し、全て又はほとんど全てのFRがヒト免疫グロブリン配列である、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、状況に応じて免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む。さらなる詳細は、Jones等, Nature 321, 522-525(1986);Riechmann等, Nature 332, 323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2, 593-596(1992)を参照のこと。また、以下の概説文献及びここに挙げる引用文献も参照のこと:Vaswani及びHamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1:105-115 (1998);Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995);Hurle and Gross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994)。
「キメラ」抗体(免疫グロブリン)は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種由来の抗体あるいは特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか相同であり、鎖の残りの部分が他の種由来の抗体あるいは他の抗体クラスあるいはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか相同である「キメラ」抗体、並びにそれが所望の生物的活性を有する限りそれら抗体の断片を有する(アメリカ特許番号4,816,567、及び、Morrison 等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。本明細書中で用いられるヒト化抗体は、キメラ抗体のサブセットである。
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のV及びVドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般的に、scFvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFvが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。scFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)のPluckthunを参照のこと。
「抗原」は、抗体が選択的に結合しうる予め決められた抗原である。標的抗原は、ポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン又は他の天然に生じる化合物ないしは合成化合物であってもよい。標的抗原はポリペプチドであることが望ましい。
「ダイアボディ」なる用語は、二つの抗原結合部位を持つ小さい抗体断片を指し、その断片は同一のポリペプチド鎖(V−V)内で軽鎖可変ドメイン(V)に重鎖可変ドメイン(V)が結合してなる。非常に短いために同一鎖上で二つのドメインの対形成が可能であるリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、二つの抗原結合部位を創製する。ダイアボディーは、例えば、EP404,097;WO93/11161;及びHollinger等, Proc.Natl.Acad.Sci. USA 90:6444-6448 (1993)に更に詳細に記載されている。
「ヒト抗体」は、ヒトにより生成される抗体のアミノ酸残基に対応するアミノ酸残基を有するもの、及び/又は本明細書中に開示したヒト抗体をつくるためのいずれかの技術を使用して、つくられたものである。この定義におけるヒト抗体は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特別に除く。
「親和性成熟」抗体は、その1つ以上のCDRに1つ以上の変更を有する抗体であって、そのような変更を有しない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性を向上させる。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対して、ナノモル単位の、さらにはピコモル単位の親和性を有する。親和成熟抗体は、当技術分野において既知の方法により生産できる。Marks他は、Bio/Technology, 10:779-783(1992年)において、VHドメインとVLドメインのシャフリングによる親和成熟を開示している。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダムな突然変異誘発が、Barbas他、Proc Nat. Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994);Schier他、Gene, 169:147-155 (1995);Yelton他、J. Immunol., 155:1994-2004 (1995);Jackson他, J. Immunol., 154(7):3310-9 (1995);及びHawkins他, J. Mol. Biol., 226:889-896 (1992)に開示されている。
抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に帰する生物学的活性を意味し、抗体のアイソタイプにより変わる。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞障害;Fcレセプター結合性;抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC);貪食作用;細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター)のダウンレギュレーション;及びB細胞活性化が含まれる。
「抗体依存性細胞媒介性細胞障害」又は「ADCC」とは、ある種の細胞障害細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球及びマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcRs)と結合した分泌Igにより、これらの細胞障害エフェクター細胞が抗原-担持標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒により標的細胞を死滅させることを可能にする細胞障害性の形態を意味する。抗体は細胞障害細胞を「備えて」おり、これはこのような死滅には絶対に必要なものである。ADCCを媒介する主要な細胞NK細胞はFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcRの発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991) の464頁の表3に要約されている。対象の分子のADCC活性をアッセイするために、米国特許第5500362号又は同第5821337号に記載されているようなインビトロADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイにおいて有用なエフェクター細胞には、末梢血液単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK細胞)が含まれる。代わりとして、もしくは付加的に、対象の分子のADCC活性は、例えば、Clynes等, (USA) 95:652-656 (1998)において開示されているような動物モデルにおいて、インビボで評価することが可能である。
「ヒトエフェクター細胞」とは、一又は複数のFcRsを発現し、エフェクター機能を実行する白血球のことである。その細胞が少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行することが望ましい。ADCCを媒介するヒト白血球の例として、末梢血液単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞障害性T細胞及び好中球が含まれるが、PBMCとNK細胞が好適である。エフェクター細胞は天然源、例えば血液から単離してもよい。
「Fcレセプター」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合するレセプターを記載するものである。好適なFcRは天然配列ヒトFcRである。さらに好適なFcRは、IgG抗体(ガンマレセプター)と結合するもので、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスのレセプターを含み、これらのレセプターの対立遺伝子変異体、選択的にスプライシングされた形態のものも含まれる。FcγRIIレセプターには、FcγRIIA(「活性型レセプター」)及びFcγRIIB(「阻害型レセプター」)が含まれ、主としてその細胞質ドメインは異なるが、類似のアミノ酸配列を有するものである。活性型レセプターFcγRIIAは、細胞質ドメインにチロシン依存性免疫レセプター活性化モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based activation motif ;ITAM)を含んでいる。阻害型レセプターFcγRIIBは、細胞質ドメインにチロシン依存性免疫レセプター阻害性モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif ;ITIM)を含んでいる(Daeron, Annu. Rev. immunol. 15:203-234 (1997)を参照)。FcRsに関しては、 Ravetch and Kinet, Annu.Rev. Immunol. 9:457-492 (1991); Capel等, Immunomethods 4:25-34 (1994); 及びde Haas等, J.Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995) に概説されている。将来的に同定されるものも含む他のFcRsはここでの「FcR」という言葉によって包含される。また、該用語には、母性IgGの胎児への移送を担い(Guyer等, J. Immunol. 117:587 (1976) Kim等, J. Immunol.24:249 (1994))、免疫グロブリンのホメオスタシスを調節する新生児性レセプターFcRnも含まれる。国際公開公報00/42072(Presta) にFcRへの結合を向上又は減弱させた抗体変異型が述べられている。この特許公開の内容はここに出典明記により具体的に組み込まれる。Shields等, J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)も参照のこと。
FcRnへの結合の測定方法は公知である(例としてGhetie 1997, Hinton 2004を参照)。インビボでのヒトFcRnへの結合とヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えばヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウス又は形質転換されたヒト細胞株、又はFc変異形ポリペプチドを投与された霊長類動物においてアッセイすることができる。
「補体依存性細胞障害」もしくは「CDC」は、補体の存在下で標的を溶解することを意味する。典型的な補体経路の活性化は補体系(Clq)の第1補体が、同族抗原と結合した(適切なサブクラスの)抗体に結合することにより開始される。補体の活性化を評価するために、CDCアッセイを、例えばGazzano-Santoro等, J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載されているように実施することができる。
Fc領域アミノ酸配列を変更してC1q結合能力が増大又は減少したポリペプチド変異体は、米特許第6194551号B1及び国際公開公報99/51642に記述される。それらの特許文献の内容は、出典明記によって、特別に本願明細書に組み込まれるものとする。またIdusogie 等 J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)を参照のこと。
「Fc領域含有ポリペプチド」なる用語は、Fc領域を含む抗体もしくはイムノアドヘンシンのようなポリペプチドを指す。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムに従うと残基447)は、例えば、ポリペプチドの精製中又はポリペプチドをコードする核酸を組み換え操作することによって除去してもよい。したがって、本発明のFc領域を有するポリペプチドを含んでなる組成物は、K447を有するポリペプチド集団、すべてのK447が除去されたポリペプチド集団、又はK447残基を有するポリペプチドとK447残基を有さないポリペプチドの混合集団を包含しうる。
本願明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークから得られるVL又はVHフレームワークのアミノ酸配列を含有するフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「から得られる」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含有するか、又は既存のアミノ酸配列変化を含有してもよい。既存のアミノ酸変化が存在する場合、好ましくは5つのみ、好ましくは4つ以下、又は3つ以下の既存のアミノ酸変化が存在する。既存のアミノ酸変化がVH中に存在する場合、好ましくは、それらの変化は位置71H、73H及び78Hの内の3つ、2つ又は1つのみである、例えば、それらの位置のアミノ酸残基は、71A、73T及び/又は78Aであってよい。一実施態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選別において、最も共通して生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。通常、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列は、可変ドメイン配列のサブグループから選別する。通常、Kabat等によると、配列のサブグループはサブグループである。一実施態様では、VLについて、Kabat等によると、前記サブグループはサブグループκIである。一実施態様では、VHについて、Kabat等によると、前記サブグループはサブグループIIIである。
「VHサブグループIIIコンセンサスフレームワーク」は、Kabat等の可変重鎖サブグループIIIのアミノ酸配列から得られるコンセンサス配列を含有する。一実施態様では、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は、以下の配列のそれぞれの少なくとも一部又は全部を含む。
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS (配列番号:184)-H1-WVRQAPGKGLEWV (配列番号:185)-H2-RFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYC (配列番号:186)-H3-WGQGTLVTVSS (配列番号:187)。
「VLサブグループIコンセンサスフレームワーク」は、Kabat等の可変軽鎖κサブグループIのアミノ酸配列から得られたコンセンサス配列を含んでなる。一実施態様では、VHサブグループIコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は、以下の配列のそれぞれの少なくとも一部又は全部を含む。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC (配列番号:188)-L1-WYQQKPGKAPKLLIY (配列番号:189)-L2-GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC (配列番号:190)-L3-FGQGTKVEIK (配列番号:191)。
ここで用いる「抗体変異体」又は「抗体変異」は、抗体のアミノ酸配列変異体であってその種依存的抗体の一又は複数のアミノ酸残基が変更しているものを指す。このような変異体は、必然的に種依存的抗体と100%未満の配列同一性又は類似性がある。ある実施態様では、抗体変異体は、種依存性抗体の重鎖又は軽鎖の可変ドメインの何れかのアミノ酸配列と、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性又は類似性があるアミノ酸配列を有するであろう。この配列に対する同一性又は類似性は、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入し最大の配列同一性パーセントを達成した後に種依存的抗体残基と同一(つまり同じ残基)又は類似(つまり共通の側鎖特性に基づく同じグループのアミノ酸残基、下を参照)である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセントとしてここで定義される。可変ドメインの外側の抗体配列中へのN末端、C末端、又は内部の伸展、欠失、又は挿入は何れも配列同一性又は類似性に影響を及ぼすものとはみなされない。
「疾病」又は「疾患」は、本発明の物質/分子又は方法を用いた治療によって利益を得る任意の症状である。これには、問題とする疾患に哺乳動物がかかりやすくなる病理学的症状を含む慢性及び急性の疾病又は疾患を含む。限定的なものではなく、ここで治療する疾患の例には、悪性及び良性の腫瘍;癌腫、芽腫及び肉腫が含まれる。
「治療」は、治療的処置および予防又は防止的な手段の両方を指す。治療を必要とするものには、良性、前癌性又は非転移性の腫瘍を既に有しているもの、並びに癌の発生又は再発が予防されるべきものも含まれる。
「治療上の有効量」なる用語は、哺乳動物の疾患又は疾病を治療又は予防するための治療薬の量を指す。癌の場合、薬剤の治療上の有効量は、癌細胞の数を減少;原発性腫瘍サイズを低減;周辺臓器への癌細胞浸潤の阻害(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止);腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止);ある程度の腫瘍増殖の阻害;及び/又は疾患が関与する一又は複数の症状のある程度の軽減をしうる。ある程度、薬剤は、増殖を妨げ及び/又は現存の癌細胞を殺し得、細胞分裂停止性及び/又は細胞障害性である。癌治療に対しては、インビボにおける効力は、例えば生存期間、病状の進行時間(TTP)、応答速度(RR)、応答期間、及び/又は生活の質の評価により測定される。
「癌」及び「癌性」なる用語は、一般的に制御不能な細胞増殖に特徴がある哺乳動物の生理学的状態を指すか又は記述する。良性及び悪性の癌はこの定義に含まれる。「初期癌」又は「初期腫瘍」とは、侵襲性あるいは転移性でないか、又はステージ0、I、又はIIの癌として分類される癌を意味する。癌の例には、カルチノーマ、リンパ腫、芽細胞腫(髄芽細胞腫および網膜芽細胞腫を含む)、肉腫(脂肪肉腫および滑液細胞肉腫を含む)、神経内分泌腫瘍(カルチノイド腫瘍、ガストリノーマおよび膵島細胞癌を含む)、中皮腫、シュワン細胞腫(聴神経腫瘍を含む)、髄膜腫、腺癌、メラノーマおよび白血病又はリンパ性悪性腫瘍を含むが、これらに限定されるものではない。このような癌のより具体的な例には、扁平細胞癌(例えば上皮扁平細胞癌)、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞性癌、消化系癌を含む胃(gastric、stomach)癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝腫瘍、乳癌(転移性乳癌を含む)、大腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮カルチノーマ、唾液腺カルチノーマ、腎臓又は腎癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝臓癌、肛門部のカルチノーマ、陰茎カルチノーマ、精巣癌、食道癌、胆道の腫瘍、並びに頭頸部癌、及び多発性骨髄腫が含まれる。
「前癌性」なる用語は、典型的に癌に進行する又は癌に発達する症状ないし成長を指す。「前癌性の」成長は、細胞周期調節、細胞性増殖又は分化のマーカーによって測定されうる、異常な細胞周期調節、増殖又は分化によって特徴が示される細胞を有する。
「形成異常」は、組織、臓器又は細胞の任意の異常な成長ないしは発達を意味する。好ましくは、形成異常は高いグレードであるか、前癌性である。
「転移」とは、その原発性部位から体の他の場所への癌の蔓延を意味する。癌細胞は、原発性腫瘍から切り離れ、リンパ管および血管へ浸透し、血流を循環し、身体の至る所の正常組織の離れた病巣で成長しうる(転移)。転移は局所又は遠位でありうる。転移は経時的な過程であり、原発性腫瘍から切り離れ、血流を駆けめぐり、遠位部位に止まる腫瘍細胞に付随するものである。新たな部位で、細胞は、血液供給を確立し、成長して生命を脅かす体積を形成しうる。
腫瘍細胞内の刺激性分子および阻害性分子の経路はこの作用を制御するものであり、腫瘍細胞と遠位部位の宿主細胞との間の相互作用も有意である。
「非転移性」とは、良性である癌、又は原発部位に止まり、リンパ管や血管系ないしは原発部位以外の組織に浸透しない癌を意味する。一般的に、非転移性癌は、ステージ0、I又はIIの癌、場合によってステージIIIの癌のいずれかの癌である。
「原発性腫瘍」又は「原発性癌」は元の癌を意味し、被検体の身体の他の組織、臓器又は部位に位置する転移性病巣を意味しない。
「良性腫瘍」又は「良性癌」は、元の部位に限局したままである腫瘍を意味し、遠位の部位への浸潤、侵入又は転移の能力を有さない。
「腫瘍量」は、体内の癌細胞の数、腫瘍のサイズ、又は癌の量を意味する。また、腫瘍量(tumor burden)は腫瘍負荷(tumor load)とも称される。
「腫瘍数」は腫瘍の数を意味する。
「被検体」は、哺乳類、例えば限定するものではないが、ヒト又はヒト以外の哺乳動物、例としてウシ、ウマ科、イヌ、ヒツジ又はネコを意味する。被検体はヒトであることが望ましい。
「抗癌療法」なる用語は、癌を治療する際に有用な療法を指す。抗癌治療剤の例には、限定するものではないが、例えば、手術、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞障害剤、放射線療法に用いる薬剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン薬剤、および癌を治療するための他の薬剤、抗CD20抗体、血小板由来増殖因子インヒビター(例えばGleevecTM(メシル酸イマチニブ))、COX-2インヒビター(例えばセレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、以下の標的ErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFR−β、BlyS、APRIL、BCMA又はVEGFレセプター(一又は複数)、TRAIL/Apo2および他の生理活性かつ有機化学的薬剤などの一又は複数に結合するアンタゴニスト(例えば中和抗体)が含まれる。また、その組合せが本発明に包含される。
ここで用いられる「細胞障害性剤」は、細胞の機能を阻害又は抑制し、および/又は細胞破壊を起こす物質を意味する。この用語は、放射性同位元素(例えば、I131、I125、Y90およびRe186)、化学治療薬、および細菌、真菌、植物又は動物由来の酵素活性毒素又はその断片を意味する。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、癌の治療に有用な化学的化合物が含まれる。化学療法剤の例には、チオテパおよびシクロスホスファミド(CYTOXAN(登録商標))のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)およびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類およびメチラメラミン類;アセトゲニン(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)およびブラタシノン(bullatacinone));カンプトセシン(合成類似体トポテカン(topotecan)を含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)およびバイゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin);デュオカルマイシン(duocarmycin )(合成類似体、KW−2189およびCBI−TM1を含む); エレトロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);クロランブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード;ニトロスレアス(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン、ラニムスチン;エネジイン(enediyne) 抗生物質等の抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンオメガI1、例えば、Agnew Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)を参照のこと;ダイネミシンA(dynemicinA)を含むダイネミシン(dynemicin);クロドロネート(clodronate)などのビスホスホネート(bisphosphonates);エスペラマイシン(esperamicin); 同様にネオカルチノスタチン発光団および関連色素蛋白エネジイン(enediyne) 抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン (モルフォリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCなどのマイトマイシン(mitomycins)、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)のような抗-代謝産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸類似体;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)のようなピリミジン類似体;カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)のようなアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル(eniluracil);アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシン(maytansine)およびアンサマイトシン(ansamitocin)のようなメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products, Eugene, OR);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特に、T-2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリデンA(roridin A)およびアングイデン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばタキソール(登録商標)パクリタキセル、(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、ABRAXANETM クレモフォール(Cremophor)を含まない、アルブミン設計のナノ粒子形状のパクリタキセル(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Illinois)およびタキソテア(登録商標)ドキセタキセル、(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;GEMZAR(登録商標)ゲンシタビン(gemcitabine);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチンおよびカルボプラチンのようなプラチナ類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);ミトキサントン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン;ナベルビン(Navelbine);ノバントロン(novantrone);テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);イリノテカン(カンプトサル(Camptosar)、CPT-11)(5−FUおよびリューコボリンとのイリノテカンの治療処方を含む);トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド類;カペシタビン(capecitabine);コンブレタスタチン(combretastatin);VELCADE ボルテゾミブ;REVLIMID レナリドミド;リューコボリン(leucovorin)(LV);オキサリプラチン(oxaliplatin)、オキサリプラチン治療処方(FOLFOX)を含む;PKC−αのインヒビター、Raf、H−Ras、EGFR(例として、エルロチニブ(erlotinib)(TarcevaTM))および細胞増殖を減少させるVEGF−A、並びに上述したものの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。
また、この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤、抗エストロゲンおよび選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)など、例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、およびFARESTON・トレミフェン(Fareston);アロマターゼ酵素を阻害するアロマターゼ阻害物質、それらは副腎でのエストロゲン産生を調節するものであり、例えば4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)メゲストロールアセテート、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタイン(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ゾロゾール(vorozole)、FEMARA(登録商標)レトロゾールおよびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾール;;および抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン;並びにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に不粘着性細胞増殖に関係するシグナル伝達経路の遺伝子の発現を抑制するもの、例えばPKC−alpha、ラルフおよびH−Ras;リボザイム、例えばVEGF発現インヒビター(例えばANGIOZYME(登録商標)リボザイム)およびHER2発現インヒビター;遺伝子治療ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチンおよびVAXID(登録商標)ワクチン)などのワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1インヒビター;ABARELIX(登録商標)rmRH;ビノレルビン(Vinorelbine)およびエスペラミシン(Esperamicins)(米国特許第4675187号を参照)並びに上記のものの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。
この出願で用いられる用語「プロドラッグ」は、親薬剤に比較して腫瘍細胞に対する細胞障害性が低く、酵素的に活性化又はより活性な親形態に変換される製薬的活性物質の前駆体又は誘導体形態を意味する。例えば、Wilman, 「Prodrugs in Cancer Chemotherapy」, Biochemical Society Transactions, 14, :375-382, 615th Meeting, Belfast (1986)、およびStella 等, 「Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」、Directed Drug Delivery, Borchardt等(編), 247-267項, Humana Press (1985)参照。本発明のプロドラッグは、限定するものではないが、ホスファート含有プロドラッグ、チオホスファート含有プロドラッグ、スルファート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ又は任意に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、より活性のある細胞毒のない薬剤に転換可能な5-フルオロシトシンおよび他の5-フルオロウリジンプロドラッグを含む。限定はしないが、本発明で使用されるプロドラッグ形態に誘導体化可能な細胞障害性剤の例には、前記の化学療法剤が含まれる。
「放射線療法」とは、正常に機能する能力を制限するため又は全く細胞を破壊するために、細胞に十分な損傷を誘導する有向性のγ線又はβ線の使用を意味する。治療の用量および治継続期間を決定するためには公知の多くの方法があることは明らかであろう。典型的な治療は、1回の投与として、1日当たり10〜200単位(グレイ)の典型的な用量として施される。
「生体試料」(「試料」又は「組織ないし細胞試料」と交換可能に称される)は、個体から入手した様々な種類の試料を包含し、診断アッセイ又はモニタリングアッセイに用いられうる。この定義には、血液及び生体起源の他の液体試料、生検標本や組織培養物やそれらに由来する細胞などの固形組織試料、及びこれらのプロジェニーが包含される。また、この定義には、入手後何らかの方法、例えば試薬で処理する、可溶化する、又はタンパク質やポリヌクレオチドなどの特定の成分について濃縮する、又は切片化のために半流動性基質ないしは固形基質に包埋することによって操作してある試料が含まれる。「生体試料」なる用語は臨床試料を包含し、培養物中の細胞、細胞上清物、細胞溶解物、血清、血漿、体液、及び組織試料も含む。生体試料の供給源は、新鮮な、凍結された及び/又は保存されていた臓器や組織試料又は生検又は吸引による固形組織;血液又は血液成分;大脳脊髄液、羊水、腹水又は間質液などの体液;被検体の妊娠期又は発生期の任意の時期の細胞であってもよい。いくつかの実施態様では、生体試料は原発性腫瘍又は転移性腫瘍から得られる。生体試料は、防腐剤、抗凝血物質、バッファ、固定液、栄養分、抗生物質など天然の組織にはもともと混在していない化合物を含んでもよい。
本明細書中の組織試料の「切断部分」とは、組織試料の一部又は一片、例えば組織試料から切り出した組織又は細胞の一薄片を意味する。組織試料の複数の切断部分は採取され、本発明の分析に供されうることが理解される。いくつかの実施態様では、組織試料の同じ切断部分は形態学的及び分子的レベルで分析されるか、タンパク質及び核酸の両方に関して分析される方法を含む。
本明細書中で用いられる「標識」なる言葉は、核酸プローブや抗体などの試薬に直接的又は間接的にコンジュゲートないしは融合され、コンジュゲートないしは融合した試薬の検出を容易にする化合物又は組成物を指す。標識自体が検出可能なもの(例えば放射性標識又は蛍光性標識)であってよく、酵素標識の場合、検出可能な基質化合物ないしは組成物の化学的変化を触媒するものであってもよい。
本発明の組成物及び方法
本発明は、医薬組成物を含む組成物であって、抗FGFR3抗体を含んでなる組成物、及び、抗FGFR3抗体をコードする配列を含むポリヌクレオチドを包含する。本明細書で用いられるように、組成物は、FGFR3に結合する一又は複数の抗体、及び/又はFGFR3に結合する一又は複数の抗体をコードする配列を含む一又は複数のポリヌクレオチドを含有する。さらに、これらの組成物は、適切な担体、例えばバッファなどの薬学的に受容可能な賦形剤を含みうる。これは当分野で周知である。
また、本発明は、単離された抗体及びポリヌクレオチドの実施態様を包含する。また、本発明は、実質的に純粋な抗体及びポリヌクレオチドの実施態様を包含する。
また、本発明は、抗FGFR3抗体(本明細書に記載のもの又は当分野で知られるもの)を使用した、疾患、例えば多発性骨髄腫又は移行段階カルチノーマ(例えば浸潤性移行段階カルチノーマ)の治療方法を包含する。
組成物
本発明の抗FGFR3抗体は望ましくはモノクローナルである。また、本明細書中で提供される抗FGFR3抗体のFab、Fab'、Fab'-SH及びF(ab')断片も本発明の範囲内に包含される。これらの抗体断片は、従来の方法、例えば酵素消化により作製されるか、組換え体技術により生成されてもよい。このような抗体断片は、キメラでもよいし、ヒト化のものでもよい。これらの断片は、後述する診断目的及び治療目的のために有用である。
モノクローナル抗体は実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を意味する、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、わずかながら存在しうる天然に生じる突然変異体を除いて同一のものである。よって、「モノクローナル」との修飾詞は、別個の抗体の混合物ではなく、抗体の特性を示すものである。
本発明の抗FGFR3モノクローナル抗体は、Kohler等, Nature, 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製でき、又は組換えDNA法(米国特許第4816567号)によって作製することができる。
ハイブリドーマ法においては、マウス又はその他の適当な宿主動物、例えばハムスターを免疫化し、免疫化に用いられるタンパク質と特異的に結合する抗体を生産するか又は生産することのできるリンパ球を誘導する。一般的に、FGFR3への抗体は、FGFR3とアジュバントを複数回皮下(sc)又は腹腔内(ip)に注射することにより動物内に生じる。FGFR3は当分野で公知の方法を用いて調製されうる。その方法のいくつかは本明細書中でさらに記載される。例えば、ヒト及びマウスのFGFR3の組み換え産生は以下に記載される。一実施態様では、動物を、免疫グロブリン重鎖のFc部位に融合したFGFR3で免疫化する。好適な実施態様では、動物を、FGFR3−IgG1融合タンパク質で免疫化する。通常、動物は、一リン酸化リピドA(MPL)/トレハロースジクリノミコレート(trehalose dicrynomycolate)(TDM) (Ribi Immunochem. Research, Inc., Hamilton, MT)によりFGFR3の免疫原性コンジュゲート又は誘導体に対して免疫化され、該溶液は複数の部位の皮下に注射される。2週後に、動物を追加免役する。7〜14日後、動物から採血して、血清を抗FGFR3力価について検定する。力価がプラトーになるまで動物を追加免役する。
別法として、リンパ球をインビトロで免疫することもできる。次に、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融剤を用いて骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice,59-103頁(Academic Press, 1986))。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親の骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する一又は複数の物質を好ましくは含む適当な培地に蒔き、増殖させる。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含有するであろう(HAT培地)。
好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベルの生産を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性である細胞である。これらの中でも、好ましい骨髄腫株化細胞は、マウス骨髄腫系、例えば、ソーク・インスティテュート・セル・ディストリビューション・センター、San Diego, California USAから入手し得るMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍、及びアメリカ培養細胞系統保存機関、Rockville, Maryland USAから入手し得るSP-2又はX63-Ag8-653細胞から誘導されたものである。ヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫株化細胞もまたヒトモノクローナル抗体の産生のために開示されている(Kozbor, J.Immunol., 133:3001 (1984);Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,51-63頁(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
ハイブリドーマ細胞が生育している培地を、FGFR3に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降又はインビトロ結合検定、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定(ELISA)によって測定する。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunsonほか, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード分析法によって測定することができる。
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が確定された後、該クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。この目的に対して好適な培地には、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地が包含される。加えて、該ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができる。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-SEPHAROSE、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーのような常套的な免疫グロブリン精製法により、培地、腹水、又は血清から好適に分離される。
本発明の抗FGFR3抗体は、所望される活性を有する合成抗体クローンをスクリーニングするために、コンビナトリアルライブラリを用いて同定することができる。原則として、合成抗体クローンを、ファージコートタンパク質と融合した抗体可変領域(Fv)の種々の断片を表示するファージを有するファージライブラリをスクリーニングすることによって選択される。このようなファージライブラリは、所望される抗原に対するアフィニティークロマトグラフィーによって選別される。所望される抗原と結合することができるFv断片を発現するクローンは抗原へ吸収され、それによって、ライブラリの非結合クローンから分離される。次いで、この結合クローンは、抗原から溶出させることが可能であり、抗原吸収/溶出の付加的サイクルによってさらに濃縮することができる。本発明の任意の抗FGFR3抗体は、興味の対象であるファージクローンを選択するために適切な抗原スクリーニング手法を設計し、続いて、興味の対象であるファージクローンからのFv配列、及びKabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3に記載の適切な定常領域(Fc)配列を用いての全長抗FGFR3抗体クローンの構築によって得ることができる。
抗体の抗原結合ドメインは、約110アミノ酸の2つの可変(V)領域である軽(VL)及び重(VH)鎖で形成され、その双方には、3つの超可変ループ又は相補鎖決定領域(CDR)が存在する。可変ドメインは、Winter等,Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455(1994)に記載のように、VH及びVLが短くて柔軟なペプチドを介して共有結合している一本鎖Fv(scFv)断片として、又は定常ドメインと融合して非共有的に相互作用しているFab断片のいずれかとしてファージ上に機能的に表示することができる。ここで用いられているように、scFvコード化ファージクローン、及びFabコード化ファージクローンは、総称して「Fvファージクローン」又は「Fvクローン」と呼ぶ。
VH及びVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって分離してクローンし、ファージライブラリにおいてランダムに組み換えられることが可能であり、それは、Winter等,Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455(1994)に記載のように抗原結合クローンについて探索することが可能である。免疫化したソースからのライブラリは、ハイブリドーマを構成する必要がなく、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、天然レパートリーをクローニングして、Griffiths等,EMBO J, 12: 725-734(1993)に記載のようにどんな免疫化もせずに、幅広い非自己及びまた自己抗原に対するヒト抗体の単一のソースを提供することが可能である。最終的には、天然ライブラリは、また、Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol. 227: 381-388(1992)に記載のように、幹細胞からの再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、及びランダム配列を有するPCRプライマーを利用して高度可変CDR3領域をコードし、インビトロでの再配列を完成させることによって合成的に作製することができる。
繊維状ファージは、マイナーコートタンパク質pIIIへの融合によって、抗体断片を表示するのに用いられる。この抗体断片は、一本鎖Fv断片として表示することが可能であり、そのVH及びVLドメインは、例えば、Marks等,J. Mol. Biol. 222: 581-597(1991)に記載のような、又は、例えば、Hoogenboom等,Nucl. Acids. Res., 19: 4133-4137(1991)に記載のような、1つの鎖はpIIIと融合し、もう一方の鎖は、幾つかの野生型コートタンパク質を置換することによってファージ表面上に表示されるようになるFabコートタンパク質構造のアセンブリがある細菌宿主細胞のペリプラズムへ分泌されるFab断片のように、柔軟なポリペプチドスペーサーによって同じポリペプチド鎖上に連結されている。
一般的に、抗体遺伝子断片をコードする核酸は、ヒト又は動物から収集した免疫細胞から得られる。抗FGFR3クローンに有利になるように偏ったライブラリが望ましい場合には、個体をFGFR3で免疫化して抗体応答を生成させ、そして、脾臓細胞及び/又は他の末梢血リンパ球(PBL)である循環B細胞を、ライブラリ構築のために回収する。好ましい実施態様では、FGFR3免疫化により、FGFR3に対するヒト抗体を産生するB細胞が生じるように、抗FGFR3クローンに好ましいヒト抗体遺伝子断片ライブラリは、機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子アレイを有する(及び、機能的な内因性抗体産生系を欠く)トランスジェニックマウスにおける抗FGFR3抗体応答を生成することによって得られる。ヒト抗体産生トランスジェニックマウスの作製は以下に記載する。
抗FGFR3反応細胞集団のさらなる濃縮は、適切なスクリーニング手法を利用してFGFR3特異的膜結合抗体を発現するB細胞を単離すること、例えば、FGFR3アフィニティクロマトグラフィーによる細胞分離、又は蛍光色素標識FGFR3への細胞の吸着とその後の蛍光標示式細胞分取器(FACS)によって得ることができる。
あるいは、非免疫化供与体からの脾臓細胞及び/又はB細胞又は他のPBLの利用によって可能性のある抗体レパートリーのより良い表示が提供され、また、FGFR3が免疫原ではない任意の動物(ヒト又は非ヒト)種を利用した抗体ライブラリの構築が可能となる。インビトロの抗体遺伝子コンストラクトを取り込むライブラリに関しては、幹細胞を個体から収集して非再配列の抗体遺伝子セグメントをコードする核酸を提供する。対象の免疫細胞は、種々の動物種、例えばヒト、マウス、ラット、ウサギ目、オオカミ、犬科、ネコ科、ブタ、ウシ、ウマ、及びトリ種等から得ることができる。
抗体可変遺伝子セグメント(VH及びVLセグメントを含む)をコードする核酸を、興味の対象の細胞から回収して増幅した。再配列したVH及びVL遺伝子ライブラリの場合では、その所望するDNAは、Orlandiら,Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 86: 3833-3837 (1989)に記載されているように、リンパ球からのゲノムDNA又はmRNAを単離し、再配列したVH及びVL遺伝子の5'及び3'末端と一致するプライマーによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うことによって得ることが可能であり、よって発現のための多様なV遺伝子レパートリーを作製することができる。このV遺伝子は、Orlandi等, (1989)及びWardら,Nature, 341: 544-546(1989)に記載のように、成熟Vドメインをコードするエクソンの5'末端のバックプライマーとJセグメントに基づいた前方向プライマーにより、cDNA及びゲノムDNAから増幅することが可能である。しかしながら、cDNAからの増幅のためには、バックプライマーは、また、Jonesら,Biotechnol., 9:88-89(1991)に記載のようにリーダーエクソンに、前方向プライマーは、Sastryら,Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 86:5728-5732(1989)に記載のように定常領域内に基づくことが可能である。相補性を最大にするために、Orlandiら(1989)又はSastryら(1989)に記載のように、縮重をプライマーへ取り込むことが可能である。好ましくは、例えば、Marksら,J. Mol. Biol., 222: 581-597(1991)の方法に記載のように、又はOrumら,Nucleic Acids Res., 21: 4491-4498(1993)の方法に記載のように、免疫細胞の核酸試料に存在するすべての入手可能なVH及びVL配列を増幅するために、各V遺伝子ファミリーを標的にしたPCRプライマーを用いて、そのライブラリの多様性を最大にする。発現ベクターへの増幅DNAのクローニングに関しては、希な制限部位を、Orlandiら(1989)に記載のように、又はClacksonら,Nature, 352: 624-628(1991)に記載のようにタグ付加したプライマーによるさらなるPCR増幅によって、PCRプライマー内の1つの末端へタグとして導入することができる。
合成的に再配列したV遺伝子のレパートリーは、V遺伝子セグメントからインビボで誘導することができる。殆どのヒトVH遺伝子セグメントはクローニング及び配列決定(Tomlinson等, J. Mol. Biol. 227: 776-798(1992)に報告されている)、そしてマッピングがされている(Matsudaら,Nature Genet., 3: 88-94(1993));これらクローニングされたセグメント(H1及びH2ループのすべての主要なコンホメーションを含む)は、Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol. 227: 381-388(1992)に記載のように、多様な配列と長さのH3ループをコードするPCRプライマーによる多様なVH遺伝子レパートリーを作製するのに用いられる。VHレパートリーは、また、Barbas等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 4457-4461(1992)に記載されているように、単一の長さの長いH3ループに焦点を合わせたすべての配列多様性をともなって作製することができる。ヒトVκ及びVλセグメントはクローニング及び配列決定がなされ(Williams及びWinter, Eur. J. Immunol., 23: 1456-1461(1993))、合成軽鎖レパートリーを作製するのに利用することができる。VH及びVLフォールドの範囲及びL3及びH3の長さに基づく合成的V遺伝子レパートリーは、相当に構造的多様性を有する抗体をコードする。DNAをコードするV遺伝子の増幅に続いて、生殖系のV遺伝子セグメントは、Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol. 227: 381-388(1992)の方法に従ってインビトロで再配列することができる。
抗体断片のレパートリーは、幾つかの方法でVH及びVL遺伝子レパートリーを共に組み合わせることによって構築することができる。各レパートリーを異なるベクターで作製し、そのベクターを、例えばHogrefe等, Gene, 128: 119-126(1993)に記載のようにインビトロで、又はコンビナトリアル・インフェクション、例えばWaterhouse等, Nucl. Acids Res., 21: 2265-2266(1993)に記載のloxP系によってインビボで作製することが可能である。このインビボの組み換え手法では、大腸菌の形質転換効率によって強いられるライブラリの大きさの限界を克服するために、二本鎖種のFabフラグメントが利用される。ナイーブのVH及びVLレパートリーは、1つはファージミドへ、そして他はファージベクターへと個別にクローニングされる。この2つのライブラリは、その後、各細胞が異なる組み合わせを有し、そのライブラリの大きさが、存在する細胞の数(約1012クローン)によってのみ限定されるように、ファージミド含有細菌のファージ感染によって組み合わせられる。双方のベクターは、VH及びVL遺伝子が単一のレプリコンへ組み換えられ、ファージビリオンへ共にパッケージされるように、インビボの組み換えシグナルを有する。これら巨大なライブラリは、良好な親和性(約10-8MのK -1)の多くの多様な抗体を提供する。
別法として、このレパートリーは、例えばBarbas等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 7978-7982(1991)に記載のように同じベクターへ連続してクローニング、又は、Clakson等, Nature, 352: 624-628(1991)に記載のようにPCR後に、クローニングすることでアセンブリすることができる。PCRアセンブリは、また、柔軟なペプチドスペーサーをコードしているDNAとVH及びVL DNAを連結させて、単鎖のFv(scFv)レパートリーを形成することに利用することができる。さらに他の技術では、「細胞内でのPCRアセンブリ」は、Embleton等, Nucl. Acids Res., 20: 3831-3837(1992)に記載のように、PCRによってリンパ球内のVH及びVL遺伝子を組み合わせて、その後、連結した遺伝子のレパートリーをクローニングするのに利用される。
ナイーブのライブラリ(天然又は合成のいずれか)によって産生された抗体は中度の親和性(約10〜10M-1のKd -1)である可能性があるが、Winterら(1994), 上掲に記載のように第二番目のライブラリから構築して遊離することによって、親和性成熟をもインビトロで模倣することが可能である。例えば、Hawkins等, J. Mol. Biol. 226: 889-896(1992)の方法、又はGram等, Proc. Natl. Acad. Sci USA, 89: 3576-3580(1992)の方法においてエラー・プローンポリメラーゼ(Leung等, Technique, 1:11-15(1989)で報告されている)を利用することによって、突然変異をインビトロでランダムに導入することができる。さらには、1つ又はそれより多いCDRをランダムに変異させることによって、例えば、選択した個々のFvクローンにおいて、対象のCDRまで及ぶランダム配列を有するプライマーによるPCRを利用して、そしてより高い親和性クローンをスクリーニングすることで親和性成熟をおこなうことが可能である。国際公開第9607754号(1996年3月14日に公開)は、免疫グロブリン軽鎖の相補性決定領域へ突然変異生成を誘導して軽鎖遺伝子のライブラリを作製する方法を記載している。その他の有効な手法は、Marks等, Biotechnol. 10: 779-783(1992)に記載のように、非免疫化供与体から得られた天然で発生するVドメイン変異体のレパートリーによるファージディスプレイによって選択されたVH又はVLドメインを組み換えること、及び数回のチェーン・シャッフリングにおいてより高い親和性についてスクリーニングすることである。この技術は、10-9Mの範囲の親和性の抗体及び抗体断片の産生を可能にする。
FGFR3核酸およびアミノ酸配列は当分野で知られている。FGFR3をコードする核酸配列は、FGFR3の所望の領域のアミノ酸配列を使用して設計されうる。周知であるように、FGFR3には2つの主要なスプライスアイソフォーム、つまりFGFR3 IIIbおよびFGFR3 IIIcがある。FGFR3配列は当分野において周知であり、UniProKB/Swiss-Prot受託番号P22607(FGFR3 IIIc)又はP22607_2(FGFR3 IIIb)の配列を含んでよい。FGFR3突然変異が同定されており、当分野において周知であり、(UniProKB/Swiss-Prot受託番号P22607(FGFR3 IIIc)又はP22607_2(FGFR3 IIIb)に示される配列に関して)以下の突然変異が含まれる:
FGFR3−IIIb FGFR3 IIIc
R248C R248C
S249C S249C
G372C G370C
Y375C Y373C
G382R G380R
K652E K650E
FGFR3をコードする核酸は、当分野で公知の様々な方法によって調製できる。これらの方法には、Engels 等, Agnew. Chem. Int. Ed. Engl., 28: 716-734 (1989)に記載の何れかの方法、例えばトリエステル、亜リン酸エステル、ホスホラミダイト及びH-ホスホン酸塩方法による化学的な合成法が含まれるがこれに限定されるものではない。一実施態様では、発現宿主細胞に好ましいコドンが、FGFR3コード化DNAの設定に用いられる。これに対して、FGFR3をコードするDNAは、ゲノムないしcDNAのライブラリから単離できる。
FGFR3をコードするDNA分子の構築に続いて、そのDNA分子は、プラスミド等の発現ベクターの発現コントロール配列と作用可能に連結し、このコントロール配列は、そのベクターで形質転換した宿主細胞によって認識される。一般的に、プラスミドベクターは、その宿主細胞と適合する種から誘導された複製及びコントロール配列を有する。このベクターは、通常は、形質転換細胞で表現型の選択を提供することが可能なタンパク質をコードする配列だけでなく複製部位を有する。原核宿主細胞及び真核宿主細胞での発現に好適なベクターは当分野で公知であり、さらにそのいくつかを本明細書に記載する。酵母菌などの原核生物、又は哺乳動物などの多細胞生物由来の細胞が用いられうる。
場合によっては、FGFR3をコードするDNAは宿主細胞によって培地中への発現産物の分泌を生じさせる分泌リーダー配列に作用可能に結合される。分泌リーダー配列の例には、stII、エコチン(ecotin)、lamB、ヘルペスGD、lpp、アルカリホスファターゼ、インベルターゼ、及びアルファ因子が含まれる。ここでの使用にまた適しているのはプロテインAの36アミノ酸リーダー配列である(Abrahmsen等, EMBO J., 4:3901(1985))。
宿主細胞はこの発明の上述の発現又はクローニングベクターでトランスフェクトされ、好ましくは形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように変性された一般的な培養液中で培養される。
トランスフェクションとは、実際に任意のコード化配列が発現するかどうか分からない宿主細胞による発現ベクターの取り込みを意味する。トランスフェクションの多くの方法は、通常の技能を有する技術者に知られており、例えば、CaPO沈降法及び電気穿孔法がある。一般に成功したトランスフェクションは、宿主細胞内で該ベクターの働きの兆候が現れた時に認識される。
形質転換とは、DNAが染色体外成分として又は染色体組み込みによってのいずれかで複製可能となるように、生物にDNAを導入することを意味する。用いる宿主細胞によって、その細胞に適した基本的な技術を用いて形質転換は行われる。形質転換法は当分野で公知であり、そのいくつかをさらに本明細書中に記載する。
FGFR3を産生するために用いる原核生物宿主細胞は、一般的に、上掲のSambrook等に記載のように培養することが可能である。
FGFR3を産生するために使用される哺乳動物宿主細胞は、様々な培地で培養することができる。その培地は当分野で周知であり、そのいくつかを本明細書中に記載する。
この開示で言及している宿主細胞には、宿主動物内の細胞だけでなくインビトロ培養物の細胞が含まれる。
FGFR3の精製は、当分野で認識される方法を用いて実施される。そのいくつかを本明細書中に記載する。
ファージディスプレイクローンのアフィニティークロマトグラフィー分離での利用のために、例えば、アガロースビーズ、アクリルアミドビーズ、ガラスビーズ、セルロース、種々のアクリルコポリマー、ヒドロキシルメタクリルゲル、ポリアクリル及びポリメタクリルコポリマー、ナイロン、中性及びイオン性担体等の適切な基質へ精製したFGFR3を付着させることが可能である。基質へのFGFR3タンパク質の付着は、Methods in Enzymology, 44巻(1976)に記載されている方法によって完遂することができる。アガロース、デキストラン又はセルロース等の多糖類基質へタンパク質リガンドを付着させるために広く用いられている技術には、ハロゲン化シアンによる担体の活性化、それに続く、活性化基質へのペプチドリガンドの第1級脂肪族又は芳香族アミンのカップリングが含まれる。
あるいは、FGFR3は、吸収プレートのウェルをコーティングするために利用すること、吸収プレートへ付着させた宿主細胞上で発現させるか又はセルソーティングで利用すること、又はストレプトアビジンでコーティングしたビーズによる捕獲のためにビオチンとコンジュゲートすること、又はファージディスプレイライブラリをパニングするためのあらゆる他の当該分野の方法において利用することが可能である。
吸着剤との少なくともファージ粒子の一部分の結合に適した条件下で、ファージライブラリの試料を固定化FGFR3と接触させる。通常は、pH、イオン強度、温度等を含む条件を選択して、生理学的条件を模倣する。固相と結合したファージを洗浄し、その後、例えばBarbas等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 7978-7982(1991)に記載されているように酸で、又は例えばMarks等, J. Mol. Biol. 222: 581-597(1991)に記載にされているようにアルカリで、又は例えばClackson等, Nature, 352: 624-628(1991)の抗原競合法に類似の手法であるFGFR3抗原競合によって溶出する。ファージは、1回目の選択で20〜1,000倍に濃縮することが可能である。さらには、この濃縮したファージを細菌培養液で生育させ、さらなる回の選択に供することが可能である。
選択の効率は多くの要因に依存し、それには、洗浄の間の解離の動力学、そして単一のファージ上の複数の抗体断片が同時に抗原と関われるかどうかということが含まれる。一次解離定数(及び弱い結合親和性)を有する抗体は、短い洗浄、多価ファージディスプレイ及び固相の抗原の高いコーティング密度の利用によって保持することが可能である。高い密度は、多価相互作用を介してファージを安定化するだけでなく、解離したファージの再結合に有利に作用する。遅い解離動力学(及び良好な結合親和性)を有する抗体の選択は、Bass等, Proteins, 8: 309-314(1990)及び国際公開第92/09690号に記載されているような長い洗浄と単価ファージディスプレイの利用、そしてMarks等, Biotechnol., 10: 779-783(1992)に記載されているような抗原の低度のコーティング密度によって促進することが可能である。
親和性に僅かな違いがあったとしても、FGFR3に対する異なる親和性のファージ抗体の中で選択することは可能である。しかしながら、選択した抗体のランダム変異(例えば、上記の幾つかの親和性成熟の技術で行われているような)は、多くの変異を生じやすく、その殆どが抗原と結合し、僅かがより高い親和性である。FGFR3を限定すると、希な高い親和性のファージが競合して除かれることが可能である。すべてのより高い親和性の変異を保持するために、ファージは、過度のビオチン化FGFR3とインキュベートすることが可能であるが、FGFR3に対する標的モル濃度親和定数よりも低いモル濃度のビオチン化FGFR3とインキュベートできる。次いで、高親和性結合ファージをストレプトアビジンでコーティングした常磁性体ビーズによって捕獲することが可能である。そのような「平衡捕獲」は、結合の親和性に従い、親和性の低い過度のファージから、僅かに2倍高い親和性の変異体クローンの単離を可能にする感度で抗体を選択することを可能にする。固相と結合したファージを洗浄するのに用いる条件を操作して、解離定数を基礎として識別することも可能である。
抗FGFR3クローンは活性選択されうる。一実施態様では、本発明は、FGFR3レセプターとそのリガンド(例えばFGF1及び/又はFGF9)との結合をブロックするFGFR3抗体を提供する。このようなFGFR3抗体に対応するFvクローンは、(1) 上記のようなファージライブラリからFGFR3クローンを単離して、場合によって、好適な宿主細胞で個体集団を成長させることによって、ファージクローンの単離した母集団を増幅する、(2) 望ましいブロック活性及び非ブロック活性のそれぞれについて第二タンパク質とFGFR3を選択する、(3) 固定されたFGFR3に抗FGFR3ファージクローンを吸着する、(4) 過剰量の第二タンパク質を用いて、第二タンパク質の結合決定基と共有するかオーバーラップするFGFR3−結合決定基を認識する任意の望ましくないクローンを溶出する、そして、(5) 工程(4)の後に吸着されたまま残ったクローンを溶出する、ことによって選別できる。場合によって、所望のブロック/非ブロック特性を有するクローンを、本明細書に記載の選別手順を一又は複数回繰り返すことによって、さらに濃縮できる。
ハイブリドーマ由来のモノクローナル抗体をコードするDNA又は本発明のファージディスプレイFvクローンは、常法を用いて(例えば、ハイブリドーマの対象の領域をコードする重鎖及び軽鎖又はファージDNA鋳型を特異的に増幅するように設定したオリゴヌクレオチドプライマーを用いることにより)即座に分離されて、配列決定される。ひとたび分離されたならば、DNAを発現ベクター中に入れ、ついでこれを、この状況以外では抗体タンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞のような宿主細胞中に形質移入し、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を獲得することができる。抗体をコードするDNAの細菌での組み換え発現に関する概説論文には、Skerra等, Curr. Opinion in Immunol., 5:256-262(1993)及びPluckthun, Immunol. Revs. 130: 151-188(1992)が含まれる。
本発明のFvクローンをコードするDNAは、重鎖及び/又は軽鎖定常領域をコードする公知のDNA配列(例えば好適なDNA配列は上掲のカバット等から得ることができる)と組み合わせて、完全長ないし一部の重鎖及び/又は軽鎖をコードするクローンを形成できる。このために、何れかのアイソタイプの定常領域、例えばIgG、IgM、IgA、IgD及びIgE定常領域を用いることができることが理解されるであろう。このような定常領域は任意のヒト又は動物種から得ることができる。ある動物(例えばヒト)種の可変ドメインDNAから得て、次いで「ハイブリッド」である完全長重鎖及び/又は軽鎖のコード配列を形成するために他の動物種の定常領域DNAに融合したFvクローンは、本明細書で用いられる「キメラ」及び「ハイブリッド」抗体の定義に含まれる。好適な実施態様では、ヒト可変DNAから得たFvクローンをヒト定常領域DNAに融合して、すべてのヒト、完全長ないし一部の重鎖及び/又は軽鎖のコード配列を形成する。
また、本発明のハイブリドーマ由来の抗FGFR3抗体をコードするDNAは、例えば、ハイブリドーマクローン由来の相同的マウス配列の代わりにヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード化配列を置換すること(例えばMorrison等, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 81:6851(1984)の方法)によって修飾することができる。ハイブリドーマ又はFvクローン由来の抗体ないし抗体断片をコードするDNAは、免疫グロブリンコード化配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード化配列の全て又は一部を共有結合させることによってさらに修飾することができる。そのように、「キメラ」又は「ハイブリッド」抗体は、本発明のFvクローン又はハイブリドーマクローン由来の抗体の結合特異性を有するように調製される。
抗体断片
本発明は抗体断片を包含する。特定の場合では、全抗体よりも抗体断片の利用に利点がある。より小さいサイズの断片によりクリアランスが速くなり、固形腫瘍へのアクセスが改善されうる。
抗体断片を生産するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、完全な抗体のタンパク分解性消化を介して誘導されていた(例えば、Morimoto等, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992)及びBrennan等, Science, 229:81(1985)を参照されたい)。しかし、これらの断片は現在は組換え宿主細胞により直接生産することができる。例えば、Fab、Fv及びScFv抗体断片はすべて、大腸菌で発現され、分泌されるため、この断片の大規模産生が容易となる。抗体断片は上述において検討した抗体ファージライブラリーから分離することができる。別法として、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合してF(ab')断片を形成することができる(Carter等, Bio/Technology 10:163-167(1992))。他のアプローチ法では、F(ab')断片を組換え宿主細胞培養から直接分離することができる。サルベージレセプター結合エピトープ残基を含有する、インビボ半減期が増加したFab及びF(ab')断片は米国特許第5869046号に記載される。抗体断片の生産のための他の方法は当業者には明らかであろう。他の実施態様では、選択抗体は単鎖Fv断片(scFV)である。国際公開93/16185;米国特許第5571894号;及び米国特許第5587458号を参照のこと。Fv及びsFvは、定常領域が欠けている完全な結合部を有する唯一の種である;したがって、それらは、インビボでの使用の間の非特異的結合を減らすために適する。sFv融合タンパク質は、sFvのアミノ末端又はカルボキシ末端の何れかで、エフェクタータンパク質の融合物を得るために構築されうる。上掲のAntibody Engineering, ed. Borrebaeckを参照。また、抗体断片は、例えば米国特許第5641870号に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。このような直線状の断片は単特異的又は二重特異的であってもよい。
ヒト化抗体
本発明はヒト化抗体を包含する。非ヒト抗体をヒト化する様々な方法は従来からよく知られている。例えば、ヒト化抗体には非ヒト由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入されている。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と呼ばれる。ヒト化は、本質的にはヒト抗体の該当する高頻度可変領域配列を置換することによりウィンターと共同研究者の方法(Jonesほか, Nature, 321:522-525 (1986)、Riechmannほか, Nature, 332:323-327 (1988)、Verhoeyenほか, Science, 239:1534-1536(1988))を使用して実施することができる。よって、このような「ヒト化」抗体は、完全なヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の該当する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4816567号)である。実際には、ヒト化抗体は、典型的にはいくつかの高頻度可変領域残基及び場合によってはいくらかのFR残基が齧歯類抗体の類似部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。
抗原性を低減するには、ヒト化抗体を生成する際に使用するヒトの軽重両方の可変ドメインの選択が非常に重要である。「ベストフィット法」では、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対してスクリーニングする。次に齧歯動物のものと最も近いヒト配列をヒト化抗体のヒトフレームワーク領域として受け入れる(Sims等, J. Immunol., 151:2296 (1993);Chothia等, J. Mol. Biol., 196:901(1987))。他の方法では、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用できる(Carter等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);Presta等, J. Immunol., 151:2623(1993))。
更に、抗体を、抗原に対する高親和性や他の好ましい生物学的性質を保持してヒト化することが重要である。この目標を達成するべく、ある方法によって、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解し、表示するコンピュータプログラムは購入可能である。これら表示を見ることで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基のありそうな役割の分析、すなわち候補免疫グログリンの抗原との結合能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、例えば標的抗原に対する親和性が高まるといった、望ましい抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、高頻度可変領域残基は、直接的かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている。
ヒト抗体
本発明のヒト抗FGFR3抗体は、上記のように、ヒト由来のファージディスプレイライブラリから選択したFvクローン可変ドメイン配列を公知のヒト定常ドメイン配列と結合することによって構築することができる。あるいは、本発明のヒトモノクローナル抗FGFR3抗体は、ハイブリドーマ法によって作製することができる。ヒトモノクローナル抗体の生産のためのヒトミエローマ及びマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株は,例えば,Kozbor, J. Immunol. 133, 3001(1984);Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.51-63(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);及びBoerner 等, J. Immunol., 147: 86 (1991)によって記載されている。
免疫化することで、内因性免疫グロブリンの生産なしに、ヒト抗体の完全なレパートリーを生産することが可能なトランスジェニック動物(例えばマウス)を生産することが現在は可能である。例えば、キメラ及び生殖細胞系変異体マウスでの抗体重鎖結合領域(J)遺伝子のホモ接合体欠失は、内因性抗体の生産の完全な阻害をもたらすことが記載されている。そのような生殖細胞系変異体マウスでのヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子配列の転移は、抗原の挑戦によってヒト抗体の生産を引き起こす。例えば、Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 2551-255(1993);Jakobovits等, Nature 362, 255-258(1993)を参照のこと。
また、遺伝子シャフリングは、ヒト抗体が開始非ヒト、例えば齧歯類の抗体と類似した親和性及び特性を有している場合、非ヒト、例えば齧歯類の抗体からヒト抗体を得るために使用することもできる。「エピトープインプリンティング」とも呼ばれるこの方法により、上記のファージディスプレイ技術により得られた非ヒト抗体断片の重鎖可変領域遺伝子又は軽鎖可変領域遺伝子の何れかをヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置換し、非ヒト鎖/ヒト鎖scFvないしFabキメラの集団を作成する。抗原を選択することにより、ヒト鎖が初めのファージディスプレイクローンにおいて一致した非ヒト鎖の除去により破壊された抗原結合部位を回復する、非ヒト鎖/ヒト鎖キメラscFvないしFabが単離される、つまり、エピトープがヒト鎖のパートナーの選択をつかさどる(インプリントする)。残りの非ヒト鎖を置換するためにこの工程を繰り返すと、ヒト抗体が得られる(1993年4月1日公開のPCT特許出願WO93/06213を参照)。伝統的なCDR移植による非ヒト抗体のヒト化と異なり、この技術により、非ヒト起源のFR又はCDR残基を全く持たない完全なヒト抗体が得られる。
二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒト抗体ないしヒト化抗体である。この場合、結合特異性の一つはFGFR3に対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するものである。例示的な二重特異性抗体は、FGFR3の2つの異なるエピトープに結合しうる。また、二重特異性抗体はFGFR3を発現する細胞に細胞障害剤を局在化するためにも使用されうる。これらの抗体はFGFR3結合アーム及び細胞障害剤(例えば、サポリン(saporin)、抗インターフェロン-α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセート又は放射性同位体ハプテン)と結合するアームを有する。二重特異性抗体は完全長抗体又は抗体断片(例えばF(ab')二重特異性抗体)として調製することができる。
二重特異性抗体を作製する方法は当該分野において既知である。二重特異性抗体の伝統的な組み換え産生は二つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づき、ここで二つの重鎖は異なる特異性を持っている(Millstein等, Nature, 305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生し、そのうちただ一つが正しい二重特異性構造を有する。通常、アフィニティークロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の方法が1993年5月13日に公開の国際公報93/08829及びTraunecker等、EMBO J. 10:3655-3659(1991)に開示されている。
異なったより好適なアプローチ法では、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗原−抗体結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合させる。該融合は好ましくは、少なくともヒンジの一部、CH2及びCH3領域を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。軽鎖の結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)を、融合の少なくとも一つに存在させることが望ましい。免疫グロブリン重鎖の融合、望まれるならば免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを、別個の発現ベクター中に挿入し、適当な宿主生物に同時形質移入する。これにより、コンストラクトに使用される三つのポリペプチド鎖の等しくない比率が最適な収率をもたらす態様において、三つのポリペプチド断片の相互の割合の調節に大きな融通性が与えられる。しかし、少なくとも二つのポリペプチド鎖の等しい比率での発現が高収率をもたらすとき、又はその比率が特に重要性を持たないときは、2又は3個全てのポリペプチド鎖のためのコード化配列を一つの発現ベクターに挿入することが可能である。
このアプローチ法の好適な実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)とからなる。二重特異性分子の半分にしか免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすることが分かった。このアプローチ法は、国際公報94/04690に開示されている。二重特異性抗体を産生する更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
他のアプローチ法によれば、一対の抗体分子間の界面を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロダイマーのパーセントを最大にすることができる。好適な界面は抗体定常ドメインのC3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの一又は複数の小さいアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖と同じ又は類似のサイズの相補的「キャビティ」を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置き換えることにより第2の抗体分子の界面に作り出す。これにより、ホモダイマーのような不要の他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大させるメカニズムが提供される。
二特異性抗体とは架橋抗体や「ヘテロ抱合抗体」を含む。例えば、ヘテロ抱合体の一方の抗体がアビジンと結合し、他方はビオチンと結合していても良い。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせること(米国特許第4676980号)及びHIV感染の治療(国際公報91/00360、国際公報92/00373及び欧州特許第03089号)等の用途が提案されている。ヘテロ抱合抗体は適当な架橋方法によって生成できる。当技術分野においては、適切な架橋剤は周知であり、それらは複数の架橋法と共に米国特許第4676980号などに記されている。
抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等, Science, 229:81 (1985) は完全な抗体をタンパク分解性に切断してF(ab')断片を産生する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルヒド形成を防止する。産生されたFab'断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換される。Fab'-TNB誘導体の一つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab'-チオールに再転換し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作られた二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
最近の進歩により大腸菌からFab'-SH断片を直接回収することが容易となっており、これにより化学的にカップリングされて二重特異性抗体にを形成する。Shalaby 等, J. Exp. Med., 175: 217-225 (1992)は、完全なヒト化二重特異性抗体F(ab')分子の産生について記述している。各々のFab'断片は大腸菌から別々に分泌されて、インビトロで化学的にカップリングされて、二重特異性抗体を形成する。したがって、形成された二重特異性抗体は、HER2を過剰発現する細胞及び正常ヒトT細胞に結合するだけでなく、ヒト胸部腫瘍の標的に対するヒト細胞毒性リンパ球の溶解活性を引き起こすことができた。
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し分離する様々な方法もまた記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して生産された。Kostelny等, J.Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab'部分に結合させられた。抗体ホモダイマーはヒンジ領域で還元されてモノマーを形成し、ついで再酸化させて抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法はまた抗体ホモダイマーの生産に対して使用することができる。Hollinger等, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作成する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするのに十分に短いリンカーにより軽鎖可変ドメイン(V)に重鎖可変ドメイン(V)を結合してなる。従って、一つの断片のV及びVドメインは他の断片の相補的V及びVドメインと強制的に対形成させられ、2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーを使用する他の二重特異性抗体断片製造方策もまた報告されている。Gruber等, J.Immunol., 152:5368 (1994)を参照されたい。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tutt等, J.Immunol. 147:60(1991)。
多価抗体
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により、二価抗体よりも早くインターナリゼーション(及び/又は異化)されうる。本発明の抗体は、3又はそれ以上の結合部位を有する多価抗体(IgMクラス以外のもの)であり得(例えば四価抗体)、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現により容易に生成することができる。多価抗体は二量化ドメインと3又はそれ以上の抗原結合部位を有する。好ましい二量化ドメインはFc領域又はヒンジ領域を有する(又はそれらからなる)。このシナリオにおいて、抗体はFc領域と、Fc領域のアミノ末端に3又はそれ以上の抗原結合部位を有しているであろう。ここで、好ましい多価抗体は3ないし8、好ましくは4の抗原結合部位を有する(又はそれらからなる)。多価抗体は少なくとも1つのポリペプチド鎖(好ましくは2つのポリペプチド鎖)を有し、ポリペプチド鎖(類)は2又はそれ以上の可変ドメインを有する。例えば、ポリペプチド鎖(類)はVD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを有し、ここでVD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域のポリペプチド鎖の一つであり、X1及びX2はアミノ酸又はポリペプチドを表し、nは0又は1である。例えば、ポリペプチド鎖(類)は:VH-CH1-柔軟なリンカー-VH-CH1-Fc領域鎖;又はVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を有し得る。ここで多価抗体は、好ましくは少なくとも2つ(好ましくは4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに有する。ここで多価抗体は、例えば約2〜約8の軽鎖可変ドメインポリペプチドを有する。ここで考察される軽鎖可変ドメインポリペプチドは軽鎖可変ドメインを有し、場合によってはCLドメインを更に有する。
抗体変異体
いくつかの実施態様では、ここに開示する抗体のアミノ酸配列の修飾を考える。例えば、抗体の結合親和性及び/又は生物学的特性を向上することができれば望ましい。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体の核酸に適切なヌクレオチド変化を導入して、又はペプチド合成により調製される。そのような修飾は、抗体のアミノ酸配列内の残基の、例えば、欠失型、又は挿入或いは置換を含む。最終構成物が所望する特徴を有していれば、欠失、挿入又は置換をどのように組合せてもよい。アミノ酸変化は、配列ができるときに被検体の抗体アミノ酸配列に導入されうる。
突然変異誘発に好ましい位置である抗体の特定の残基又は領域の同定に有益な方法は、Cunningham及びWellsによりScience, 244:1081-1085 (1989年)に開示されているように、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここで、標的となる残基又は残基の組が同定され(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電した残基)、中性の、又は負に荷電したアミノ酸(最も好ましくはアラニン又はポリアラニン)で置換され、アミノ酸の抗原との相互作用に影響を与える。次いで、置換に対する機能的感受性を示しているそれらアミノ酸位置を、置換の部位において、又は置換の部位のために、さらなる、又は他の変異体を導入することにより精製する。このように、アミノ酸配列変異体を導入する部位は予め決定されるが、突然変異自体の性質は予め決定する必要は無い。例えば、任意の部位における突然変異の機能を分析するために、標的コドン又は領域においてalaスキャンニング又はランダム突然変異誘発を実行し、発現した免疫グロブリンを所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列挿入には、1残基から100以上の残基を有するポリペプチドまでの長さに亘るアミノ−末端融合及び/又はカルボキシ−末端融合、ならびに、単一又は多重アミノ酸残基の配列内挿入を含む。端末挿入の例には、N−末端メチオニル残基を持つ抗体、又は細胞障害性ポリペプチドに融合した抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体には、抗体の血清半減期を増加させるポリペプチド又は(例えばADEPTのための)酵素の抗体のN−末端又はC−末端への融合が含まれる。
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N結合又はO結合の何れかである。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を意味する。アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(ここでXはプロリンを除く任意のアミノ酸)のトリペプチド配列は、アスパラギン側鎖への糖鎖部分の酵素的結合のための認識配列である。従って、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列の何れかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が作出される。O結合グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンに、糖類N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースの一つが結合することを意味するが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンもまた用いられる。
抗体へのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を、それが一又は複数の上述したトリペプチド配列(N結合グリコシル化部位のもの)を含むように変化させることによって簡便に達成される。該変化は、元の抗体の配列への一又は複数のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれによる置換によってもなされる(O-結合グリコシル化部位の場合)。
抗体がFc領域を含有する場合、それに接着する炭水化物を変更してもよい。例えば、抗体のFc領域に接着するフコースを欠損する成熟炭水化物構造の抗体は、米国公開特許第2003/0157108号(Presta, L.)に記載される。米国公開特許第2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd.)も参照のこと。抗体のFc領域に接着した炭水化物内のN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を二分する抗体は、国際公報第03/011878号、Jean-Mairet 等、及び米国特許第6602684号、Umana 等に参照されている。抗体のFc領域に接着するオリゴサッカライド内の少なくとも一のガラクトース残基を有する抗体は、国際公報第97/30087号、Patel 等に報告される。また、抗体のFc領域に接着する変更された炭水化物を有する抗体については、国際公報第98/58964号(Raju, S.)及び国際公報第99/22764号(Raju, S.)も参照のこと。また、修飾されたグリコシル化を有する抗原結合分子については、米国公開特許第2005/0123546号(Umana 等)を参照。
本明細書中の好適なグリコシル化変異形はFc領域を含有し、Fc領域に接着される炭水化物構造はフコースを欠いている。このような変異形は改善されたADCC機能を有する。場合によって、Fc領域は、更にADCCを改善する一つ以上のアミノ酸置換、例えばFc領域の位置298、333及び/又は334の置換(Eu残基番号付け)を更に含む。「脱フコース化」又は「フコース欠失」抗体に関する文献の例には以下のものを含む:米国公開番号2003/0157108;国際公報2000/61739;国際公報2001/29246;米国公開番号2003/0115614;米国公開番号2002/0164328;米国公開番号2004/0093621;米国公開番号2004/0132140;米国公開番号2004/0110704;米国公開番号2004/0110282;米国公開番号2004/0109865;国際公報2003/085119;国際公報2003/084570;国際公報2005/035586;国際公報2005/035778;;国際公報2005/053742;Okazaki 等 J. Mol. Biol. 336:1239-1249 (2004);及びYamane-Ohnuki 等 Biotech. Bioeng.87: 614 (2004)。脱フコース化抗体を産生する細胞株の例として、タンパク質フコース化欠失Lec13 CHO細胞 (Ripka 等 Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国公開番号2003/0157108, Presta, L;及び国際公報2004/056312, Adams 等, 特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例としてα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8,-ノックアウトCHO細胞 (Yamane-Ohnuki 等 Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004))などがある。
他の型の変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、抗体分子において少なくとも一つのアミノ酸(少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4以上)残基に異なる残基が挿入されている。置換突然変異について最も関心ある部位は高度可変領域を含むが、FR交互変化も考慮される。保存的置換は、「好ましい置換」と題して表1に示す。これらの置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表1に「例示的置換」と名前を付けた又はアミノ酸の分類を参照して以下に更に記載するような、より実質的な変化を導入して、生成物をスクリーニングしてよい。
Figure 2012521759
抗体の生物学的性質における実質的な修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又は螺旋配置、(b)標的部位の分子の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持するそれらの効果において実質的に異なる置換を選択することにより達成される。天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいて群に分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性の親水性:cys、ser、thr、asn、gln;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:his、lys、arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly、pro; 及び
(6)芳香族:trp、tyr、phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。
ある型の置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体)の一又は複数の高頻度可変領域残基の置換を含む。一般的に、さらなる発展のために選択され、得られた変異体は、それらが作製された親抗体と比較して向上した生物学的特性を有している。そのような置換変異体を作製する簡便な方法は、ファージディスプレイを使用する親和性突然変異を含む。簡潔に言えば、幾つかの高頻度可変領域部位(例えば6−7部位)を突然変異させて各部位における全ての可能なアミノ酸置換を生成させる。このように生成された多価抗体は、繊維状ファージ粒子から、各粒子内に充填されたM13の遺伝子III産物への融合物としてディスプレイされる。ファージディスプレイ変異体は、ついで、ここに開示されるようなそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾のための候補となる高頻度可変領域部位を同定するために、アラニンスキャンニング突然変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する高頻度可変領域残基を同定することができる。別法として、又はそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して抗体と抗原の接点を特定するのが有利である場合もある。このような接触残基及び隣接残基は、ここに述べた技術に従う置換の候補である。そのような変異体が生成されると、変異体のパネルにここに記載するようなスクリーニングを施し、一又は複数の関連アッセイにおいて優れた特性を持つ抗体を更なる開発のために選択する。
抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、この分野で知られた種々の方法によって調製される。これらの方法は、限定するものではないが、天然源からの単離(天然に生じるアミノ酸配列変異体の場合)又は初期に調製された抗体の変異体又は非変異体のオリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及びカセット突然変異誘発による調製を含む。
本発明の免疫グロブリンポリペプチドのFc領域内に一以上のアミノ酸修飾を導入してFc領域変異型を生成することが望ましい。Fc領域変異体は、ヒンジシステイン修飾を含む、一以上のアミノ酸位置でのアミノ酸修飾(例えば、置換)を有するヒトFc領域配列(例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4 Fc領域)を含みうる。
当分野での記載や教示に従って、ある実施態様では、本発明の方法を用いた抗体が野生型の対応抗体と比較して例えばFc領域内に一以上の変異を有することを考慮する。にもかかわらず、この抗体はその野生型対応物と比較して治療的有用性を示す実質的に同じ特徴を維持している。例えば、国際公開99/51642などに記載のようにC1q結合及び/又は補体依存性細胞障害(CDC)を変更する(すなわち改良又は減少する)結果となるFc領域内に特定の変異を生じさせることが考えられる。また、Fc領域変異型の他の例に関するDuncan & Winter Nature 322:738-40 (1988);米国特許第5648260号;米国特許第5,624,821号;及び国際公開公報94/29351を参照。国際公開公報00/42072(Presta)及び国際公開公報2004/056312(Lowman)は、FcRへの結合が改善したか、減退した抗体変異体を開示している。これらの特許文献の内容は出典明記によって、本明細書に特別に組み込まれる。また、Shields 等 J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)を参照のこと。半減期が増加して、胎児への母性IgGの移送を担う(Guyer 等, J. Immunol. 117:587 (1976)及びKim 等, J. Immunol. 24:249 (1994))新生児Fcレセプター(FcRn)への結合が改善している抗体は、米国特許公開2005/0014934A1 (Hinton 等)に開示されている。これらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を向上させる一又は複数の置換を有するFc領域を含んでなる。Fc領域アミノ酸配列が変更されてC1q結合能力が増加したか減少したポリペプチド変異体は、米国特許第6194551号B1、国際公開公報99/51642に開示される。これらの特許文献の内容は出典明記によって、本明細書に特別に組み込まれる。また、Idusogie 等 J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)を参照のこと。
抗体誘導体
本発明の抗体は当該分野において知られ直ぐに利用できる更なる非タンパク質性部分を含むように更に修飾することができる。好ましくは、抗体の誘導体化に適した部分は水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーの非限定的な例には、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーかランダムコポリマー)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物が含まれる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは水中におけるその安定性のために製造の際に有利であろう。ポリマーは任意の分子量であってよく、分枝状でも非分枝状でもよい。抗体に結合するポリマーの数は変化してもよく、一を超えるポリマーが結合する場合、それらは同じでも異なった分子でもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、限定されるものではないが、その抗体誘導体が定まった条件下での治療に使用されるかどうか、改善される抗体の特定の性質又は機能を含む考慮事項に基づいて決定することができる。
所望の特性を有する抗体のスクリーニング
本発明の抗体は当該分野で知られている様々なアッセイによってその物理的/化学的性質及び生物学的機能について特徴付けることができる(そのいくつかはここで開示される)。いくつかの実施態様では、抗体は、FGF(例えばFGF1及び/又はFGF9)結合の低減又はブロック、FGFR3活性化の低減又はブロック、FGFR3下流分子のシグナル伝達の低減又はブロック、リガンド(例えばFGF1、FGF9)へのFGFR3結合の破壊又はブロック、FGFR3二量体化の低減又はブロック、単量体FGFR3の形成の促進、単量体FGFR3への結合、及び/又は腫瘍、細胞増殖性疾患又は癌の治療及び/又は予防;及び/又はFGFR3の発現及び/又は活性(例えばFGFR3の発現及び/又は活性の増加)と関連する疾患の治療又は予防の何れか一又は複数に特徴がある。いくつかの実施態様では、抗体は、FGFR3活性化の増加、FGFR3下流分子のシグナル伝達の増加、アポトーシスの活性、FGFR3下方制御、およびエフェクター機能(例えばADCC活性)について選別される。
精製された抗体は、限定されるものではないが、N末端シークエンシング、アミノ酸解析、非変性サイズ排除高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析、イオン交換クロマトグラフィー及びパパイン消化を含む一連のアッセイによって更に特徴付けることができる。
本発明の特定の実施態様では、ここで生産された抗体はその生物学的活性について分析される。ある実施態様では、本発明の抗体はその抗原結合活性について試験される。当該分野で知られ、ここで使用することができる抗原結合アッセイには、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、「サンドウィッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、蛍光イムノアッセイ、及びプロテインAイムノアッセイのような技術を用いた任意の直接的又は競合的結合アッセイが制限なく含まれる。抗原結合及び他のアッセイは以下の実施例の項で解説する。
細胞増殖を阻害する抗FGFR3抗体が望ましい場合、候補抗体は細胞増殖の阻害を測定する、インビトロおよび/またはインビボアッセイにおいて試験されてよい。アポトーシスを促進するかまたは促進しない抗FGFR3抗体が望ましい場合、候補抗体はアポトーシスを測定するアッセイにおいて試験されてよい。癌細胞の成長および/または増殖を調べるため、又は、癌細胞のアポトーシスを決定するための方法は当分野で周知であり、いくつかをここに記載し例示する。細胞成長および/または増殖ないしはアポトーシスを決定するための例示的な方法には、例えば、BrdU取込みアッセイ、MTT、[3H]-チミジン取込み(例えばTopCountアッセイ(PerkinElmer))、細胞生存率アッセイ(例えばCellTiter-Glo(Promega))、DNA断片化アッセイ、カスパーゼ活性化アッセイ、トリパンブルー除去、クロマチン形態アッセイなどが含まれる。
一実施態様では、本発明は、エフェクター機能を備えている抗体を意図する。ある実施態様では、抗体のFc活性が測定される。インビボ及び/又はインビトロ細胞障害アッセイを行って、CDC及び/又はADCC活性の減少/枯渇を確認することができる。例えば、Fcレセプター(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠損している(すなわちADCC活性をほとんど欠損している)が、FcRn結合能は維持していることを確認することができる。ADCCに関与している第一細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現しており、その一方で単核細胞はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現している。造血系細胞でのFcR発現については、Ravetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991)の464頁の表3に要約されている。対象とする分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの例は、米国特許第5500362号又は同第5821337号に記載されている。ADCC活性を検出するためのアッセイも本明細書中に例示する。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、又は加えて、対象とする分子のADCC活性は、例えばClynes 等. PNAS (USA) 95:652-656 (1998)に開示されているような動物モデル内でインビボに評価することができる。また、C1q結合アッセイを行って、抗体がC1qに結合できない、つまりCDC活性を欠損していることを確認してもよい。補体活性化を評価するために、例えばGazzano-Santoro等, J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載のように、CDCアッセイを行ってもよい。また、FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期測定を、当分野で公知の方法を用いて行うことができる。その例を実施例の項目に記載する。
単量体FGFR3を結合する抗FGFR3抗体が望ましい場合、候補抗体は、単量体FGFR3への結合と単量体FGFR3の形成の促進を測定するアッセイ(例えばインビトロアッセイ)において試験されてよい。このようなアッセイは当分野で知られており、いくつかのアッセイはここに記載し例示される。
FGFR3二量体化を阻害する抗FGFR3抗体が望ましい場合、例えば本明細書中に記述され例証されるように、候補抗体は二量体化アッセイにおいて試験されてよい。
いくつかの実施態様では、候補抗体のFGFR3アゴニスト機能が決定される。FGFR3抗体のアゴニスト機能又は活性を評価する方法は当分野で知られており、そのいくつかもここに記載され例証される。
いくつかの実施態様では、FGFR3レセプター下方制御を促進するFGFR3抗体の能力は、例えばここに記載され例証される方法を用いて決定される。一実施態様では、FGFR3抗体は、適切な試験細胞、例えば膀胱癌細胞株(例えばRT112)とともにインキュベートされ、適切な期間の後に、細胞溶解物が回収され、総FGFR3レベルが調べられる。また、候補FGFR3抗体とインキュベートした後に、FACS分析を用いて表面FGFR3レセプターレベルを調べてよい。
ベクター、宿主細胞及び組換え方法
本発明の抗体の組み換え生成のために、コードする核酸を単離して、更なるクローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製ベクターに挿入する。抗体をコードするDNAは従来の手順で簡単に単離し、配列決定される(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いて)。多くのベクターが利用可能である。用いる宿主細胞にある程度依存してベクターを選択する。一般的に、好適な宿主細胞は原核生物又は真核生物(一般的に哺乳動物)由来の細胞である。IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE定常領域を含め、任意のアイソタイプの定常領域がこの目的のために使われてもよく、このような定常領域はヒト又は動物種の何れかから得られうることは理解されるであろう。
a. 原核生物の宿主細胞を用いた抗体生成
i. ベクターの構築
本発明の抗体のポリペプチド成分をコードしているポリヌクレオチド配列は標準的な組換え技術を使用して得ることができる。所望のポリヌクレオチド配列はハイブリドーマ細胞のような抗体産生細胞から単離し配列決定することができる。あるいは、ポリヌクレオチドはヌクレオチド合成機又はPCR法を使用して合成することができる。ひとたび得られると、ポリペプチドをコードしている配列は原核生物宿主中で異種ポリヌクレオチドを複製し、発現することが可能な組換えベクター中に挿入される。当該分野において入手でき知られている多くのベクターを本発明の目的のために使用することができる。適切なベクターの選択は、主として、ベクターに挿入される核酸のサイズとベクターで形質転換される特定の宿主に依存する。各ベクターは、機能(異種性ポリヌクレオチドの増幅又は発現ないしその両方)及び属する特定の宿主細胞への適合性に応じて、様々な成分を含む。一般的に、限定するものではないが、ベクター成分には複製起源、選択マーカー遺伝子、プロモータ、リボゾーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種性核酸挿入及び転写終末配列が含まれる。
一般には、レプリコン及び宿主細胞と適合性のある種に由来するコントロール配列を含んでいるプラスミドベクターが、宿主細胞と関連して使用される。そのベクターは、通常、複製開始点並びに形質転換細胞において表現型の選択を提供可能なマーキング配列を有する。例えば、一般的に大腸菌は、大腸菌種由来のプラスミドであるpBR322を用いて形質転換する。pBR322はアンピシリン(Amp)及びテトラサイクリン(Tet)耐性のコード遺伝子を含んでいるため、形質転換細胞を容易に同定することができる。pBR322、その誘導体又は他の微生物プラスミド又はバクテリオファージも外来性タンパク質を発現する微生物によって使用可能なプロモータを含むか、含むように変更される。特定の抗体の発現に使用されるpBR322誘導体の例はCarter等の米国特許第5648237号に詳細に記載されている。
また、レプリコン及び宿主微生物と適合性のあるコントロール配列を含んでいるファージベクターを、これらの宿主との関連でトランスフォーミングベクターとして使用することができる。例えば、λGEM.TM.-11のようなバクテリオファージを、大腸菌LE392のような感受性の宿主細胞を形質転換するために使用できる組換えベクターを作製する際に利用することができる。
本発明の発現ベクターは各ポリペプチド成分をコードする2又はそれ以上のプロモータ−シストロン(翻訳単位)対を含みうる。プロモーターはその発現を調節するシストロンの上流(5')に位置している非翻訳配列である。原核生物のプロモーターは典型的には誘導性と構成的との二つのクラスのものがある。誘導性プロモーターは、例えば栄養分の有無又は温度の変化のような、培養条件の変化に応答してその調節下でシストロンの転写レベルを増大させるように誘導するプロモーターである。
様々な潜在的宿主細胞によって認識されるプロモータが非常にたくさん公知となっている。選択したプロモーターを、制限酵素消化によって供給源DNAからプロモータを除去し、本発明のベクター内に単離したプロモータを挿入することによって軽鎖又は重鎖をコードするシストロンDNAに作用可能に連結することができる。天然プロモーター配列と多くの異種プロモーターの双方を、標的遺伝子の増幅及び/又は発現を生じさせるために使用することができる。ある実施態様では、天然の標的ポリペプチドプロモーターと比較して、一般的に発現する標的遺伝子をより多く転写させ、効率をよくするので、異種プロモーターが有用である。
原核生物宿主での使用に好適なプロモーターには、PhoAプロモーター、βガラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系及びハイブリッドプロモーター、例えばtac又はtrcプロモーターが含まれる。しかし、細菌中で機能性である他のプロモーター(例えば他の既知の細菌又はファージプロモーター)も好適である。そのヌクレオチド配列は発表されており、よって当業者は、任意の必要とされる制限部位を供給するリンカー又はアダプターを使用して標的軽鎖及び重鎖をコードするシストロンにそれらを作用可能に結合させることができる(Siebenlist等 (1980) Cell 20:269)。
本発明の一態様では、組換えベクター内の各シストロンは、膜を貫通して発現されるポリペプチドの転写を誘導する分泌シグナル配列成分を含む。一般に、シグナル配列はベクターの成分でありうるか、ベクター中に挿入される標的ポリペプチドDNAの一部でありうる。この発明の目的のために選択されるシグナル配列は宿主細胞によって認識されプロセシングされる(つまりシグナルペプチダーゼにより切断される)ものでなければならない。異種ポリペプチドに天然のシグナル配列を認識せずプロセシングする原核生物宿主細胞に対しては、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ippあるいは熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA及びMBPからなる群から選択される原核生物シグナル配列によって置換される。一実施態様では、発現系の双方のシストロンに使用されるシグナル配列はSTIIシグナル配列又はその変異体である。
他の態様では、本発明による免疫グロブリンは宿主細胞の細胞質内で産生されるので、各シストロン内に分泌シグナル配列の存在は必要でない。この点において、免疫グロブリン軽鎖及び重鎖は発現され、折り畳まれ、集合して細胞質内に機能的免疫グロブリンを形成する。ジスルフィド結合形成に好適な細胞質条件を示し、発現したタンパク質サブユニットを好適に折り畳み、集合することができる宿主系が存在する(例として大腸菌trxB系)。Proba及びPluckthun Gene, 159:203 (1995)。
本発明の抗体を発現するのに適した原核生物宿主細胞には、古細菌及び真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物が含まれる。有用な細菌の例には、エシェリキア属(例えば大腸菌)、バシラス属(例えば枯草菌)、エンテロバクター属、シュードモナス種(例えば緑膿菌)、ネズミチフス菌、霊菌(Serratia marcescans)、クレブシエラ属、プロテウス属、赤痢菌、根粒菌、ビトレオシラ(Vitreoscilla)又はパラコッカス(Paracoccus)が含まれる。一実施態様では、グラム陰性菌が使用される。一実施態様では、大腸菌細胞が本発明の宿主として使用される。大腸菌株の例として、遺伝子型W3110 ΔfhuA (ΔtonA) ptr3 lac Iq lacL8 ΔompTΔ(nmpc-fepE) degP41 kanR を有する33D3株(米国特許第5,639,635号)を含むW3110株 (Bachmann, Cellular and Molecular Biology, vol. 2 (Washington, D.C.: American Society for Microbiology, 1987), 1190-1219頁;ATCC寄託番号27,325)及びその誘導体が含まれる。また、大腸菌294 (ATCC 31,446), 大腸菌B, 大腸菌λ 1776 (ATCC 31,537)及び大腸菌RV308(ATCC 31,608) など、他の株及びその誘導体も好適である。この例は限定的なものでなく例示的なものである。定義した遺伝子型を有する上記の何れかの細菌の誘導体の構築方法は当業者に公知であり、例として, Bass等, Proteins, 8:309-314 (1990)に記載されている。一般的に、細菌細胞中でのレプリコンの複製能を考慮して適した細菌を選択することが必要である。pBR322、pBR325、pACYC177、又はpKN410のようなよく知られたプラスミドを使用してレプリコンを供給する場合、例えば、大腸菌、セラシア属、又はサルモネラ種を宿主として好適に用いることができる。典型的に、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌しなければならず、望ましくは更なるプロテアーゼインヒビターを細胞培養中に導入することができる。
ii. 抗体産生
上述した発現ベクターで宿主細胞を形質転換又は形質移入し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように修飾された通常の栄養培地中で培養する。
形質転換とは、DNAを原核生物宿主中に導入し、そのDNAを染色体外要素として、又は染色体組込みによって複製可能にすることを意味する。使用される宿主細胞に応じて、形質転換はそのような細胞に適した標準的技術を使用してなされる。塩化カルシウムを用いるカルシウム処理は実質的な細胞壁障害を含む細菌細胞のために一般に使用される。形質転換のための他の方法はポリエチレングリコール/DMSOを用いる。さらに別の方法はエレクトロポレーションである。
本発明のポリペプチドを生産するために使用される原核生物細胞は当該分野で知られ、選択された宿主細胞の培養に適した培地中で増殖させられる。好適な培地の例には、ルリア培地(LB)プラス必須栄養分サプリメントが含まれる。ある実施態様では、培地は発現ベクターを含む原核生物細胞の増殖を選択的に可能にするために、発現ベクターの構成に基づいて選択される選択剤をまた含む。例えば、アンピシリンがアンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞の増殖用培地に加えられる。
炭素、窒素及び無機リン酸源の他に任意の必要なサプリメントを、単独で、又は複合窒素源のような他のサプリメント又は培地との混合物として導入される適切な濃度で含有させられうる。場合によっては、培養培地はグルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリトリトール及びジチオトレイトールからなる群から選択される一又は複数の還元剤を含みうる。
原核生物宿主細胞は適切な温度で培養される。例えば、大腸菌の増殖に対しては、好適な温度は約20℃から約39℃、より好ましくは約25℃から約37℃の範囲、更により好ましくは約30℃である。培地のpHは、主として宿主生物に応じて、約5から約9の範囲の任意のpHでありうる。大腸菌に対しては、pHは好ましくは約6.8から約7.4、より好ましくは約7.0である。
本発明の発現ベクターに誘導性プロモータが用いられる場合、プロモータの活性に適する条件下でタンパク質発現を誘導する。本発明の一態様では、ポリペプチドの転写制御のためにPhoAプロモータが用いられる。したがって、形質転換した宿主細胞を誘導のためにリン酸限定培地で培養する。好ましくは、リン酸限定培地はC.R.A.P培地である(例として、Simmons等, J. Immunol. Methods (2002), 263:133-147を参照)。様々な他の誘導因子は用いるベクターコンストラクトに応じて当業者に知りうるように用いてよい。
一実施態様では、発現された本発明のポリペプチドは宿主細胞の細胞膜周辺中に分泌され、そこから回収される。タンパク質の回収は、一般的には浸透圧ショック、超音波処理又は溶解のような手段によって典型的には微生物を破壊することを含む。ひとたび細胞が破壊されると、細胞片又は全細胞を遠心分離又は濾過によって除去することができる。タンパク質は、例えばアフィニティー樹脂クロマトグラフィーによって更に精製することができる。あるいは、タンパク質は培養培地に輸送しそこで分離することができる。細胞を培養物から除去することができ、培養上清は濾過され、生成したタンパク質の更なる精製のために濃縮される。発現されたポリペプチドを更に単離し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)及びウェスタンブロットアッセイ法のような一般的に知られている方法を使用して同定することができる。
本発明の一側面では、抗体産生は発酵法によって多量に受け継がれる。組換えタンパク質の生産には様々な大規模流加発酵法を利用することができる。大規模発酵は少なくとも1000リットルの容量、好ましくは約1000から100000リットルの容量である。これらの発酵槽は、酸素と栄養分、特にグルコース(好ましい炭素/エネルギー源)を分散させる撹拌翼を使用する。小規模発酵とは一般におよそ100リットル以下の容積で、約1リットルから約100リットルの範囲でありうる発酵槽での発酵を意味する。
発酵法では、タンパク質の発現の誘導は、典型的には、細胞が適切な条件下にて、初期定常期に細胞があるステージで、所望の密度、例えば約180−220のOD550まで増殖したところで開始される。当該分野で知られ上述されているように、用いられるベクターコンストラクトに応じて、様々なインデューサーを用いることができる。細胞を誘導前の短い時間の間、増殖させてもよい。細胞は通常約12−50時間の間、誘導されるが、更に長い又は短い誘導時間としてもよい。
本発明のポリペプチドの生産収量と品質を改善するために、様々な発酵条件を変更することができる。例えば、分泌される抗体ポリペプチドの正しい組み立てとフォールディングを改善するために、例えばDsbタンパク質(DsbA、DsbB、DsbC、DsbD及び/又はDsbG)又はFkpA(シャペロン活性を持つペプチジルプロピルシス、トランス-イソメラーゼ)のようなシャペロンタンパク質を過剰発現する更なるベクターを用いて宿主原核細胞を同時形質転換させることができる。シャペロンタンパク質は細菌宿主細胞中で生産される異種性タンパク質の適切な折り畳みと溶解性を容易にすることが実証されている。Chen等 (1999) J Bio Chem 274:19601-19605;Georgiou等, 米国特許第6083715号;Georgiou等, 米国特許第6027888号;Bothmann及びPluckthun (2000) J. Biol. Chem. 275:17100-17105;Ramm及びPluckthun (2000) J. Biol. Chem. 275:17106-17113;Arie等 (2001) Mol. Microbiol. 39:199-210。
発現された異種タンパク質(特にタンパク分解を受けやすいもの)のタンパク質分解を最小にするために、タンパク質分解酵素を欠くある種の宿主株を本発明に用いることができる。例えば、原核生物宿主細胞株を改変して、プロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、プロテアーゼV、プロテアーゼVI及びその組合せのような既知の細菌プロテアーゼをコードしている遺伝子に遺伝子突然変異を生じさせることができる。幾つかの大腸菌プロテアーゼ欠損株が利用でき、例えば、上掲のJoly等 (1998);Georgiou等, 米国特許第5264365号;Georgiou等, 米国特許第5508192号;Hara等 (1996) Microbial Drug Resistance 2:63-72に記載されている。
ある実施態様では、タンパク質溶解性酵素を欠損した、一以上のシャペロンタンパク質を過剰発現するプラスミドで形質転換した大腸菌株を本発明の発現系の宿主細胞として用いる。
iii. 抗体精製
当分野で公知の標準的なタンパク質精製方法を用いることができる。以下の方法は好適な精製手順の例である:免疫親和性又はイオン交換カラムによる分画化、エタノール沈降法、逆相HPLC、シリカ又はDEAEなどの陽性交換樹脂によるクロマトグラフィ、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈降法及び、例えばSephadex G-75を用いたゲル濾過法。
一態様では、固形層に固定したプロテインAを本発明の完全長抗体産物の免疫親和性精製法に用いる。プロテインAは抗体のFc領域に高い親和性で結合する黄色ブドウ球菌から単離した41kDの細胞壁タンパク質である。Lindmark等 (1983) J. Immunol. Meth. 62:1-13。プロテインAを固定した固形層は、ガラス又はシリカ表面、より好ましくは孔を調節したガラスカラム又はケイ酸カラムを含むカラムが好ましい。ある方法では、カラムは非特異的な混入物の接着を防ぐためにグリセロールなどの試薬でコートされている。
精製の初めの工程では、上記に記載のように細胞培養物からの調製物をプロテインA固定固形層に適応し、プロテインAに対象とする抗体を特異的に結合させる。ついで、固形層を洗浄して、固形層に非特異的に結合した混入物を除去する。最後に、対象とする抗体を溶出により固形層から除去する。
b. 真核生物の宿主細胞を用いた抗体の生成
一般的に、ベクターは、限定するものではないが、以下の一以上を含む:シグナル配列、複製起点、一以上のマーカ遺伝子、エンハンサー因子、プロモータ及び転写終末因子。
(i) シグナル配列成分
真核生物の宿主細胞に用いるベクターは、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいは対象とするポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドを含んでいてもよい。好ましく選択された異種シグナル配列は宿主細胞によって認識され加工される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。哺乳動物細胞での発現においては、哺乳動物のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用できる。
このような前駆体領域のDNAは、多価抗体をコードするDNAに読み取り枠を一致させて結合される。
(ii) 複製開始点
一般には、哺乳動物の発現ベクターには複製開始点成分は不要である。例えば、SV40開始点は典型的にはただ初期プロモーターを有しているために用いられる。
(iii) 選択遺伝子成分
発現及びクローニングベクターは、選択可能マーカーとも称される選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)必要があれば栄養要求性欠陥を補い、又は(c)複合培地から得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。
選択方法の一例では、宿主細胞の成長を抑止する薬物が用いられる。異種性遺伝子で首尾よく形質転換した細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を生産し、よって選択工程を生存する。このような優性選択の例は、薬剤ネオマイシン、ミコフェノール酸及びハイグロマイシンを使用する。
哺乳動物細胞に適切な選択可能なマーカーの他の例は、抗体核酸を捕捉することのできる細胞成分を同定することを可能にするもの、例えばDHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネインI及びII、好ましくは、霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等々である。
例えば、DHFR選択遺伝子によって形質転換された細胞は、先ず、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトリキセート(Mtx)を含む培地において形質転換物の全てを培養することで同定される。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、DHFR活性に欠陥のあるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)株化細胞である(例として、ATCC CRL-9096)。
あるいは、抗体をコードするDNA配列、野生型DHFRタンパク質、及びアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼ(APH)のような他の選択可能マーカーで形質転換あるいは同時形質転換した宿主細胞(特に、内在性DHFRを含む野生型宿主)は、カナマイシン、ネオマイシンあるいはG418のようなアミノグリコシド抗生物質のような選択可能マーカーの選択剤を含む培地中での細胞増殖により選択することができる。米国特許第4965199号を参照のこと。
(iv) プロモーター成分
発現及びクローニングベクターは通常は宿主生物体によって認識され抗体ポリペプチド核酸に作用可能に結合しているプロモーターを含む。真核生物のプロモーター配列が知られている。実質的に全ての真核生物の遺伝子が、転写開始部位からおよそ25ないし30塩基上流に見出されるATリッチ領域を有している。多数の遺伝子の転写開始位置から70ないし80塩基上流に見出される他の配列は、Nが任意のヌクレオチドであるCNCAAT領域である。大部分の真核生物遺伝子の3'末端には、コード配列の3'末端へのポリA尾部の付加に対するシグナルであるAATAAA配列がある。これらの配列は全て真核生物の発現ベクターに適切に挿入される。
哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからの抗体ポリペプチドの転写は、例えば、ポリオーマウィルス、伝染性上皮腫ウィルス、アデノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシ乳頭腫ウィルス、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス及びサルウィルス40(SV40)のようなウィルスのゲノムから得られるプロモーター、異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターによって、このようなプロモーターが宿主細胞系に適合し得る限り、調節される。
SV40ウィルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点を更に含むSV40制限断片として簡便に得られる。ヒトサイトメガロウィルスの最初期プロモーターは、HindIIIE制限断片として簡便に得られる。ベクターとしてウシ乳頭腫ウィルスを用いて哺乳動物宿主中でDNAを発現させる系が、米国特許第4419446号に開示されている。この系の変形例は米国特許第4601978号に開示されている。あるいは、ラウス肉腫ウィルス長末端反復をプロモーターとして使用することができる。
(v) エンハンサーエレメント成分
より高等の真核生物によるこの発明の抗体ポリペプチドをコードしているDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによってしばしば増強される。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100−270塩基対)、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウィルスエンハンサーが含まれる。真核生物プロモーターの活性化のための増強要素については、Yaniv, Nature, 297:17-18 (1982)もまた参照のこと。エンハンサーは、抗体ポリペプチドコード配列の5'又は3'位でベクター中にスプライシングされうるが、好ましくはプロモーターから5'位に位置している。
(vi) 転写終末成分
また、真核生物宿主細胞に用いられる発現ベクターは、典型的には、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列を含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDNA又はcDNAの5'、時には3'の非翻訳領域から一般に取得できる。これらの領域は、抗体をコードしているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。一つの有用な転写終結成分はウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。国際公開第94/11026号とそこに開示された発現ベクターを参照のこと。
(vii) 宿主細胞の選択及び形質転換
ここに記載のベクター中のDNAをクローニングあるいは発現させるために適切な宿主細胞は、脊椎動物の宿主細胞を含む本明細書中に記載の高等真核生物細胞を含む。培養(組織培養)中での脊椎動物細胞の増殖は常套的な手順になっている。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Graham等, J. Gen Virol., 36:59 (1977));ハムスター乳児腎細胞(BHK, ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980));サルの腎細胞 (CV1 ATCC CCL70); アフリカミドリザルの腎細胞(VERO-76, ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞 (HELA, ATCC CCL2);イヌ腎細胞 (MDCK, ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞 (BRL3A, ATCC CRL1442);ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL75);ヒト肝細胞 (Hep G2, HB8065);マウス乳房腫瘍細胞 (MMT060562, ATCC CCL51);TRI細胞(Mather等, Annals N.Y. Acad. Sci., 383:44-68 (1982));MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌株(HepG2)である。
宿主細胞は、抗体生産のために上述の発現又はクローニングベクターで形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適切に修飾された常套的栄養培地で培養される。
(viii) 宿主細胞の培養
本発明の抗体を産生するために用いられる宿主細胞は種々の培地において培養することができる。市販培地の例としては、ハム(Ham)のF10(シグマ)、最小必須培地((MEM),(シグマ)、RPMI-1640(シグマ)及びダルベッコの改良イーグル培地((DMEM),シグマ)が宿主細胞の培養に好適である。また、Ham等, Meth. Enz. 58:44 (1979), Barnes等, Anal. Biochem. 102:255 (1980), 米国特許第4767704号;同4657866号;同4927762号;同4560655号;又は同5122469号;国際公開第90/03430号;国際公開第87/00195号;又は米国再発行特許第30985号に記載された何れの培地も宿主細胞に対する培地として使用できる。これらの培地には何れもホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインシュリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCINTM薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は等価なエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について過去に用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
(ix) 抗体の精製
組換え技術を用いる場合、抗体は細胞内で生成され、又は培地内に直接分泌される。抗体が細胞内に生成された場合、第1の工程として、宿主細胞か溶解された断片の何れにしても、粒子状の細片が、例えば遠心分離又は限外濾過によって除去される。抗体が培地に分泌された場合は、そのような発現系からの上清を、一般的には先ず市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmicon又はPelliconの限外濾過装置を用いて濃縮する。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を上記の任意の工程に含めて、タンパク質分解を阻害してもよく、また抗生物質を含めて外来性の汚染物の成長を防止してもよい。
細胞から調製した抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製でき、アフィニティクロマトグラフィーが好ましい精製技術である。アフィニティーリガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体中に存在する免疫グロブリンFc領域の種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖に基づく抗体の精製に用いることができる(Lindmark等, J. immunol. Meth. 62: 1-13 (1983))。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に推奨されている(Guss等, EMBO J. 5: 16571575 (1986))。アフィニティーリガンドが結合されるマトリクスはアガロースであることが最も多いが、他の材料も使用可能である。孔制御ガラスやポリ(スチレンジビニル)ベンゼン等の機械的に安定なマトリクスは、アガロースで達成できるものより早い流速及び短い処理時間を可能にする。抗体がC3ドメインを含む場合、Bakerbond ABXTM樹脂(J.T. Baker, Phillipsburg, NJ)が精製に有用である。イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンでのクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂上でのSEPHAROSETMクロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラム)、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿法も、回収される多価抗体に応じて利用可能である。
予備的精製工程に続いて、目的の抗体及び混入物を含む混合液をpH約2.5−4.5、好ましくは低塩濃度(例として、約0−0.25M塩)の溶出緩衝液を用いて低pH疎水性作用クロマトグラフィを行う。
イムノコンジュゲート
また、本発明は、化学療法剤、薬剤、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、糸状菌、植物又は動物由来の酵素活性性毒素、又はその断片)、又は放射性同位体(すなわち放射性コンジュゲート)などの細胞毒性剤にコンジュゲートした本明細書中に記載の何れかの抗FGFR3抗体を含む、イムノコンジュゲート(「抗体−薬剤コンジュゲート」又は「ADC」と交換可能に称される)を提供する。
細胞障害性又は細胞分裂停止性の薬剤、すなわち癌治療における腫瘍細胞を殺す又は阻害するための薬剤の局部運搬に抗体−薬剤コンジュゲートを用いると(Syrigos及びEpenetos (1999) Anticancer Research 19:605-614; Niculescu-Duvaz and Springer (1997) Adv. Drg Del. Rev. 26:151-172;米国特許第4,975,278号)、腫瘍への薬剤成分の標的とする運搬とそこでの細胞内集積が可能となるものであり、この非コンジュゲート薬物作用剤の全身性投与により正常細胞並びに除去しようとする腫瘍細胞への毒性が容認できないレベルとなりうる(Baldwin等, (1986) Lancet pp. (Mar. 15, 1986):603-05; Thorpe, (1985) 「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review,」 in Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, A. Pincheraら. (ed.s), pp. 475-506)。これによって、最小限の毒性で最大限の効果を求める。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体はこの方策に有用であるとして報告されている(Rowland等, (1986) Cancer Immunol. Immunother., 21:183-87)。この方法に用いる薬物には、ダウノマイシン、ドキソルビジン、メトトレキサート及びビンデジンが含まれる(Rowland等, (1986)、上掲)。抗体−毒素コンジュゲートに用いる毒素には、ジフテリア毒素などの細菌性毒素、ゲルダナマイシン(Mandlerら(2000) Jour. of the Nat. Cancer Inst. 92(19):1573-1581;Mandlerら(2000) Bioorganic & Med. Chem. Letters 10:1025-1028;Mandlerら(2002) Bioconjugate Chem. 13:786-791)、メイタンシノイド(EP 1391213;Liu等, (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623)、及びカリケアマイシン(Lode等, (1998) Cancer Res. 58:2928;Hinman等, (1993) Cancer Res. 53:3336-3342)などのリシン、小分子毒素などの植物毒が含まれる。該毒素は、チューブリン結合、DNA結合又はトポイソメラーゼ阻害を含む機能によりその細胞障害性及び細胞分裂停止性の効果に影響しうる。ある種の細胞障害性剤は、大きな抗体又はタンパク質レセプターリガンドにコンジュゲートした場合に、不活性又は活性が低減する傾向がある。
ゼバリン(ZEVALIN)(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan), Biogen/Idec)は正常及び悪性のBリンパ球の細胞表面上にみられるCD20抗原に対するマウスIgG1κモノクローナル抗体と111In又は90Y放射性同位体とがチオウレアリンカーキレート剤にて結合した抗体−放射性同位体コンジュゲートである(Wiseman等, (2000) Eur. Jour. Nucl. Med. 27(7):766-77;Wiseman等, (2002) Blood 99(12):4336-42;Witzig等, (2002) J. Clin. Oncol. 20(10):2453-63;Witzig等, (2002) J. Clin. Oncol. 20(15):3262-69)。ゼバリンはB細胞非ホジキン性リンパ球(NHL)に対して活性を有するが、投与によってほとんどの患者に重症で長期の血球減少を引き起こす。カリケアマイシンに連結したhuCD33抗体からなる抗体薬剤コンジュゲートであるマイロターグ(MYLOTARG)(登録商標)(ゲムツズマブオゾガミシン(gemtuzumab ozogamicin), Wyeth Pharmaceuticals)は、急性骨髄性白血病の治療用注射剤として2000年に認可された(Drugs of the Future (2000) 25(7):686;米国特許第4970198号;同第5079233号;同第5585089号;同第5606040号;同第5693762号;同第5739116号;同第5767285号;同第5773001号)。ジスルフィドリンカーSPPを介してメイタンシノイド薬剤分子DM1と連結しているhuC242抗体からなる抗体薬剤コンジュゲートであるカンツズマブメルタンシン(Cantuzumab mertansine)(Immunogen, Inc.)は、CanAgを発現する癌、例として大腸、膵臓、胃などの治療用に第II相試験へと進んでいる。メイタンシノイド薬剤分子DM1と連結している抗前立腺特異的膜抗原(PSMA)モノクローナル抗体からなる抗体薬剤コンジュゲートであるMLN−2704(Millennium Pharm., BZL Biologics, Immunogen Inc.)は、前立腺癌の潜在的治療の開発段階にある。アウリスタチン(auristatin)ペプチド、アウリスタチンE(AE)及びモノメチルアウリスタチン(MMAE)、ドラスタチン(dolastatin)の合成類似体は、キメラモノクローナル抗体cBR96(癌細胞上のルイスYに特異的)及びcAC10(血液系悪性腫瘍上のCD30に特異的)(Doronina等, (2003) Nature Biotechnology 21(7):778-784)にコンジュゲートしており、治療的開発段階にある。
免疫複合体(イムノコンジュゲート)の生成に有用な化学治療薬を本明細書中(例えば、上記)に記載した。用いることのできる酵素活性毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)インヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)が含まれる。例として1993年10月28日に公開の国際公開公報93/21232を参照のこと。放射性コンジュゲート抗体の生成には、様々な放射性ヌクレオチドが利用可能である。例としては、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reが含まれる。抗体及び細胞障害性薬の複合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCL等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレート等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トリエン2,6-ジイソシアネート等)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン等)を用いて作成できる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238: 1098 (1987)に記載されているように調製することができる。カーボン-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への抱合のためのキレート剤の例である。国際公開94/11026参照。
抗体のコンジュゲートと一又は複数の小分子毒素、例えばカリケアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウロスタチン、トリコセン(trichothene)及びCC1065、及び毒性活性を有するこれらの毒素の誘導体が、ここで考察される。
i. メイタンシン及びメイタンシノイド
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは一又は複数のメイタンシノイド分子と結合している本発明の抗体(完全長又は断片)を含んでなる。
メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害するように作用する分裂阻害剤である。メイタンシンは、最初、東アフリカシラブMaytenus serrataから単離されたものである(米国特許第3896111号)。その後、ある種の微生物がメイタンシノイド類、例えばメイタンシノール及びC-3メイタンシノールエステルを生成することが発見された(米国特許第4151042号)。合成メイタンシノール及びその誘導体及び類似体は、例えば米国特許第4,137,230号;同4,248,870号;同4,256,746号;同4,260,608号;同4,265,814号;同4,294,757号;同4,307,016号;同4,308,268号;同4,308,269号;同4,309,428号;同4,313,946号;同4,315,929号;同4,317,821号;同4,322,348号;同4,331,598号;同4,361,650号;同4,364,866号;同4,424,219号;同4,450,254号;同4,362,663号;及び同4,371,533号に開示されている。
メイタンシノイド薬剤成分は、(i) 発酵又は化学修飾、発酵産物の誘導体化によって調製するために相対的に利用可能である(ii) 抗体に対する非ジスルフィドリンカーによる共役に好適な官能基による誘導体化に従う、(iii) 血漿中で安定、そして(iv) 様々な腫瘍細胞株に対して有効であるため、抗体薬剤コンジュゲートの魅力的な薬剤成分である。
メイタンシノイドを含有するイムノコンジュゲート、その作製方法及びそれらの治療用途は、例えば米国特許第5208020号、同5416064号、欧州特許第0425235 B1号に開示されており、その開示は出典を明示してここに取り込まれる。Liu等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623(1996)には、ヒト結腸直腸癌に対するモノクローナル抗体C242に結合するDM1と命名されたメイタンシノイドを含有するイムノコンジュゲートが記載されている。前記コンジュゲートは培養された結腸癌細胞に対して高い細胞障害性を有することが見出されており、インビボ腫瘍成長アッセイにおいて抗腫瘍活性を示す。Chari等, Cancer Research, 52:127-131(1992)には、メイタンシノイドが、ジスルフィド結合を介して、ヒト結腸癌株化細胞の抗原に結合するマウス抗体A7、又はHER-2/neuオンコジーンに結合する他のマウスモノクローナル抗体TA.1に結合しているイムノコンジュゲートが記載されている。TA.1-メイタンシノイドコンジュゲートの細胞障害性はヒト乳癌株化細胞SK-BR-3におけるインビトロで試験され、細胞当たり3×10HER-2表面抗原が発現した。薬剤コンジュゲートにより、遊離のメイタンシノイド剤に類似した細胞障害度が達成され、該細胞障害度は、抗体分子当たりのメイタンシノイド分子の数を増加させることにより増加する。A7-メイタンシノイドコンジュゲートはマウスにおいては低い全身性細胞障害性を示した。
抗体-メイタンシノイドコンジュゲートは、抗体又はメイタンシノイド分子のいずれの生物学的活性もほとんど低減することなく、メイタンシノイド分子に抗体を化学的に結合させることにより調製される。例えば、米国特許第5208020号(この開示内容は出典明記により特別に組み込まれる)を参照。1分子の毒素/抗体は、裸抗体の使用において細胞障害性を高めることが予期されているが、抗体分子当たり、平均3−4のメイタンシノイド分子が結合したものは、抗体の機能又は溶解性に悪影響を与えることなく、標的細胞に対する細胞障害性を向上させるといった効力を示す。メイタンシノイドは当該技術分野でよく知られており、公知の技術で合成することも、天然源から単離することもできる。適切なメイタンシノイドは、例えば米国特許第5208020号、及び他の特許、及び上述した特許ではない刊行物に開示されている。好ましいメイタンシノイドは、メイタンシノール、及び種々のメイタンシノールエステル等の、メイタンシノール分子の芳香環又は他の位置が修飾されたメイタンシノール類似体である。
例えば、米国特許第5208020号又は欧州特許第0425235 B1号、Chari等, Cancer Research, 52:127-131(1992)、及び2004年10月8日に出願の米国特許出願番号10/960602(これらの開示内容は出典明記により特別に組み込まれる)に開示されているもの等を含め、抗体-メイタンシノイドコンジュゲートを作製するために、当該技術で公知の多くの結合基がある。リンカー成分SMCCを含んでなる抗体-メイタンシノイドコンジュゲートは、2004年10月8日に出願の米国特許出願番号10/960602に開示されるように調製されうる。結合基には、上述した特許に開示されているようなジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定性基、光不安定性基、ペプチターゼ不安定性基、又はエステラーゼ不安定性基が含まれるが、ジスルフィド及びチオエーテル基が好ましい。更なる結合基を本願明細書中に記載し、例示する。
抗体とメイタンシノイドとのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。特に好ましいカップリング剤には、ジスルフィド結合により提供されるN-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノアート(SPP)及びN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)(Carlsson等, Biochem. J. 173:723-737[1978])が含まれる。
リンカーは結合の種類に応じて、種々の位置でメイタンシノイド分子に結合し得る。例えば、従来からのカップリング技術を使用してヒドロキシル基と反応させることによりエステル結合を形成することができる。反応はヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、ヒドロキシル基で修飾されたC-15位、及びヒドロキシル基を有するC-20位で生じる。好ましい実施形態において、結合はメイタンシノール又はメイタンシノールの類似体のC-3位で形成される。
ii. アウリスタチン類及びドラスタチン類
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは、ドラスタチン又はドロスタチンペプチジル類似体及び誘導体、アウリスタチン(auristatin) (米国特許第5635483号;同第5780588号)にコンジュゲートした本発明の抗体を含んでなる。ドラスタチン及びアウリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解及び核と細胞の分割を妨げ(Woyke 等 (2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12): 3580-3584)、抗癌活性(米国特許第5663149号)及び抗真菌性活性(Pettit 等 (1998) Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965)を有することが示されている。ドラスタチン又はアウリスタチン薬剤成分は、ペプチジル薬剤分子のN(アミノ)末端又はC(カルボキシル)末端により抗体に接着しうる(国際公開公報02/088172)。
例示的なアウリスタチンの実施態様は、N末端連結モノメチルアウリスタチン薬剤成分DE及びDFを含み、2004年11月5日に出願の米国継続特許番号10/983340、"Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands"に開示される。この開示内容は出典明記によってその全体が特別に組み込まれる。
一般的に、ペプチドベースの薬剤成分は、2以上のアミノ酸及び/又はペプチド断片間でペプチド結合を形成することによって調製されうる。このようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の分野において周知の液相合成方法に従って調製することができる(E. Schroder and K. Lubke, "The Peptides", volume 1, pp 76-136, 1965, Academic Pressを参照)。アウリスタチン/ドラスタチン薬剤成分は、米国特許第5635483号;同第5780588号;Pettit 等 (1989) J. Am. Chem. Soc. 111: 5463-5465;Pettit 等 (1998) Anti-Cancer Drug Design 13:243-277;Pettit, G.R., 等 Synthesis, 1996, 719-725;及びPettit 等 (1996) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 5:859-863の方法に従って調製されうる。また、Doronina (2003) Nat Biotechnol 21(7): 778-784; "Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands"、2004年11月5日に出願の米国継続特許出願10/983340も参照のこと。これらは出典明記によってその全体が本願明細書中に組み込まれる(例えば、リンカー及びモノメチルバリン化合物、例えばMMAE及びリンカーにコンジュゲートしたMMAFの調整方法を開示している)。
iii. カリケアマイシン
他の実施態様では、イムノコンジュゲートは、一又は複数のカリケアマイシン分子と結合した本発明の抗体を含んでなる。抗生物質のカリケアマイシンファミリーはサブ-ピコモルの濃度で二重鎖DNA破壊を生じることができる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許第5712374号、同5714586号、同5739116号、同5767285号、同5770701号、同5770710号、同5773001号、同5877296号(全て、American Cyanamid Company)を参照のこと。使用可能なカリケアマイシンの構造類似体には、限定するものではないが、γ 、α 、α 、N-アセチル-γ 、PSAG及びθ (Hinman等, Cancer Research, 53:3336-3342(1993)、Lode等 Cancer Research, 58:2925-2928(1998)及び上述したAmerican Cyanamidの米国特許)が含まれる。抗体が結合可能な他の抗腫瘍剤は、葉酸代謝拮抗薬であるQFAである。カリケアマイシン及びQFAは双方共、細胞内に作用部位を有し、原形質膜を容易に通過しない。よって抗体媒介性インターナリゼーションによるこれらの薬剤の細胞への取込により、細胞障害効果が大きく向上する。
iv. 他の細胞障害剤
本発明の抗体と結合可能な他の抗腫瘍剤には、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリスチン及び5-フルオロウラシル、米国特許第5053394号、同5770710号に記載されており、集合的にLL-E33288複合体として公知の薬剤のファミリー、並びにエスペラマイシン(esperamicine)(米国特許第5877296号)が含まれる。
使用可能な酵素活性毒及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、アレウライツ・フォルディイ(Aleurites fordii)プロテイン、ジアンシン(dianthin)プロテイン、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)プロテイン(PAPI、PAPII及びPAP-S)、モモルディカ・キャランティア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン、サパオナリア(sapaonaria)オフィシナリスインヒビター、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセンス(tricothecenes)が含まれる。例えば、1993年10月28日公開の国際公開第93/21232号を参照のこと。
本発明は、抗体と核酸分解活性を有する化合物(例えばリボヌクレアーゼ又はDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNアーゼ)との間に形成されるイムノコンジュゲートをさらに考察する。
腫瘍を選択的に破壊するため、抗体は高い放射性を有する原子を含有してよい。放射性コンジュゲートした抗体を生成するために、種々の放射性同位体が利用される。例には、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体が含まれる。コンジュゲートが検出に使用される場合、それはシンチグラフィー研究用の放射性原子、例えばtc99m又はI123、又は核磁気共鳴(NMR)映像(磁気共鳴映像、mriとしても公知)用のスピン標識、例えばヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含有し得る。
放射-又は他の標識が、公知の方法でコンジュゲートに導入される。例えば、ペプチドは生物合成されるか、又は水素の代わりにフッ素-19を含む適切なアミノ酸前駆体を使用する化学的なアミノ酸合成により合成される。標識、例えばtc99m又はI123、Re186、Re188及びIn111は、ペプチドのシステイン残基を介して結合可能である。イットリウム-90はリジン残基を介して結合可能である。IODOGEN法(Fraker等(1978) Biochem. Biophys. Res. Commun. 80:49-57)は、ヨウ素-123の導入に使用することができる。他の方法の詳細は、「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」(Chatal, CRC Press 1989)に記載されている。
抗体と細胞障害剤のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレン-トリアミン五酢酸(MX-DTPA)が抗体に放射性ヌクレオチドをコンジュゲートするためのキレート剤の例である。国際公開第94/11026号を参照されたい。リンカーは細胞中の細胞障害剤の放出を容易にするための「切断可能リンカー」であってよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ過敏性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカーが使用され得る(Chari等, Cancer Research, 52:127-131(1992);米国特許第5208020号)。
本発明の化合物は、限定するものではないが、架橋剤:市販されている(例えば、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL., U.S.Aより)BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、及びスルホ−SMPB、及びSVSB (succinimidyl-(4-ビニルスルホン)安息香酸塩)にて調製したADCが特に考えられる。2003-2004 Applications Handbook and Catalogの467-498頁を参照。
v. 抗体薬剤コンジュゲートの調製
本発明の抗体薬剤コンジュゲート(ADC)において、抗体(Ab)を、リンカー(L)を介して、一つ以上の薬剤部分(D)、例えば抗体につき約1〜約20の薬剤部分にコンジュゲートする。式IのADCはいくつかの手段、当業者に公知の有機化学反応、状態及び試薬を用いて調製されうる:(1) 共有結合の後に薬剤部分Dと反応してAb-Lを形成するための、二価のリンカー試薬を用いた抗体の求核基の反応;及び(2) 共有結合の後に抗体の求核基と反応してD-Lを形成するための、二価のリンカー試薬を用いた薬剤部分の求核基の反応、が含まれる。ADCを調製するための更なる方法は本願明細書中に記載される。
Ab−(L−D)p I
リンカーは、一つ以上のリンカー成分から成ってもよい。例示的なリンカー成分は、6-マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン-シトルリン(「val-cit」)、アラニン-フェニルアラニン(「ala-phe」)、p-アミノベンジルオキシカルボンイル(「PAB」)、N-スクシンイミジル4(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(「SMCC」)、及びN-スクシンイミジル(4-イオド-アセチル)アミノ安息香酸エステル(「SIAB」)を含む。更なるリンカー成分は当分野で公知であり、そのいくつかは本願明細書において、記述される。また、"Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands"、2004年11月5日に出願した米出願番号10/983340を参照。その内容は出典明記により本願明細書に組み込まれる。
いくつかの実施態様では、リンカーはアミノ酸残基を含みうる。例示的なアミノ酸リンカー成分には、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド又はペンタペプチドなどがある。例示的なジペプチドは、バリン-シトルリン(vc又はval-cit)、アラニン-フェニルアラニン(af又はala-phe)を含む。例示的なトリペプチドは、グリシン-バリン-シトルリン(gly-val-cit)及びグリシン-グリシン-グリシン(gly-gly-gly)を含む。アミノ酸リンカー成分を含んでなるアミノ酸残基は、天然に生じるもの、並びに微量のアミノ酸及び非天然に生じるアミノ酸類似体、例えばシトルリンを含む。アミノ酸リンカー成分は設定され、特に酵素、例えば腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C及びD又はプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断の選択性に最適化できる。
抗体上の求核基には、限定するものでなく、以下のものを含む:(i) N末端アミン基、(ii) 側鎖アミン基、例えばリシン、(iii) 側鎖チオール基、例えばシステイン、及び(iv) 抗体がグリコシル化される糖水酸基又はアミノ基。アミン、チオール及び水酸基は、求核であり、反応して、リンカー部分上の求電子性の群及びリンカー試薬により共有結合を形成することができる:(i) 活性エステル、例えばNHSエステル、HOBtエステル、ハロギ酸及び酸ハロゲン化物;(ii) アルキル及びベンジルハライド、例えばハロアセトアミド;(iii) アルデヒド、ケトン、カルボキシル及びマレイミド群、が含まれる。特定の抗体は、還元しうる鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、還元剤、例えばDTT(ジチオトレイトール)による処置によって、リンカー試薬を用いたコンジュゲート反応を行ってもよい。ゆえに、各々のシステイン架橋は、理論的には、2の反応性のチオール求核基を形成する。チオールにアミンを転換させる2-イミノチオラン(トラウトの試薬)を用いてリシンを反応させることによって抗体に付加的な求核基を導入することができる。反応性のチオール基は、1、2、3、4又はそれ以上のシステイン残基を導入する(例えば、一又は複数の非天然のシステインアミノ酸残基を含んでなる変異体抗体を調製する)ことによって抗体に導入されてよい。
また、本発明の抗体薬剤コンジュゲートは、抗体を修飾して求電子性の部分を導入する(リンカー試薬又は薬剤上の求核置換基と反応させることができる)ことによって生成してもよい。グリコシル化された抗体の糖質を、例えば過ヨウ素酸塩酸化剤を用いて酸化して、リンカー試薬又は薬剤部分のアミン基と反応するアルデヒド又はケトン基を形成させてもよい。生じたイミンシッフ塩基群が安定結合を形成するか、又は例えば安定アミン結合を形成させるホウ化水素試薬によって、還元してもよい。一実施態様では、ガラクトースオキシダーゼ又はナトリウムメタ過ヨウ素酸塩の何れかによるグリコシル化抗体の炭水化物部分の反応により、薬剤(Hermanson, Bioconjugate Techniques)上の適当な基と反応することができるタンパク質のカルボニル(アルデヒド及びケトン)基が生じうる。他の実施態様では、N末端セリン又はスレオニン残基を含んでいるタンパク質はナトリウムメタ過ヨウ素酸塩と反応して、第一のアミノ酸の代わりにアルデヒドを生成する(Geoghegan & Stroh, (1992) Bioconjugate Chem. 3:138-146;米国特許第5362852号)。このようなアルデヒドは、薬剤部分又はリンカー求核基と反応することができる。
同様に、薬剤部分上の求核基には、限定するものではないが、以下のものを含む:反応して、リンカー部分及びリンカー試薬上の求電子性の基と共有結合することができるアミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボン酸エステル及びアリールヒドラジド基:(i) 活性エステル(例えばNHSエステル、HOBtエステル、ハロギ酸及び酸ハロゲン化物);(ii) アルキル及びベンジルハライド、例えばハロアセトアミド;(iii) アルデヒド、ケトン、カルボキシル及びマレイミド基、が含まれる。
別法として、抗体及び細胞障害剤を含有する融合タンパク質は、例えば組換え技術又はペプチド合成により作製される。DNAの長さは、コンジュゲートの所望する特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域により離間しているか、又は互いに隣接しているコンジュゲートの2つの部分をコードする領域をそれぞれ含有する。
他の実施態様において、腫瘍の事前ターゲティングに利用するために、「レセプター」(例えばストレプトアビジン)に抗体をコンジュゲートし、ここで抗体-レセプターコンジュゲートを個体に投与し、続いて清澄剤を使用し、循環から非結合コンジュゲートを除去し、細胞障害剤(例えば放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートする「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
抗FGFR3抗体の使用方法
本発明は、治療薬の活性から有利な効果を提供することを意図した特定の治療計画の一部としてのFGFR3抗体の使用を特徴とする。本発明は、様々な段階における様々な種類の癌の治療に特に有用である。
癌という用語は、増殖異常の集合を包含し、限定しないが、前癌性の増殖、良性腫瘍、及び悪性腫瘍を含んでいる。良性腫瘍は、原発部位に局在したままであり、遠隔部位への浸潤能、侵入能、又は転移能を有していない。悪性腫瘍は周辺の他の組織に侵入してそれらの組織を損傷する。悪性腫瘍は、通常は血流を介して又はリンパ節が位置するリンパ系を介して、原発部位を離れて身体の他の部分へ広がる(転移する)能力を獲得することができる。原発腫瘍は、腫瘍が生じた組織の種類により分類され、転移性腫瘍は、癌細胞が由来する組織によって分類される。時間の経過に伴い、悪性腫瘍の細胞は異常性となって、正常細胞とは外観を異にする。このような癌細胞の外観の変化は腫瘍悪性度と呼ばれ、癌細胞は、高分化型(低悪性度)、中程度に分化型、低分化型、又は未分化型(高悪性度)と表わされる。高分化型細胞は、極めて正常な外観を有し、それらの細胞の起源である正常細胞に類似している。未分化細胞は、異常性が高いためにもはやそれら細胞の起源を決定することができない細胞である。
癌ステージ分類システムは、解剖学的に癌がどの程度まで広がっているかを表わして、同じステージグループ内において、患者に対して同じような予後及び治療を付与しようとするものである。幾つかの試験を実行することにより、癌のステージ分類を補助することができ、そのような試験には、組織診と、胸部レントゲン検査、マンモグラフィ、骨スキャン、CTスキャン、及びMRIスキャンのような特定の画像化とが含まれる。患者の全体的な健康状態を評価し、癌が特定の器官に広がっているかどうかを検出するために、血液検査及び臨床評価も使用される。
癌のステージ分類を行うために、アメリカ癌合同委員会(the American Joint Committee on Cancer)は、まず、癌、特に固形腫瘍を、TNM分類システムを用いて文字により分類している。これは、癌を、文字T(腫瘍の大きさ)、N(触知可能なリンパ節)、及び/又はM(転移)で表わすものである。T1、T2、T3、及びT4は、原発病巣が大きくなっていることを表わし、N0、N1、N2、N3は、徐々にリンパ節の合併症が進行していることを表わし、M0及びM1は遠隔転移の有無を示している。
第2のステージ分類法は、全病期分類(Overall Stage Grouping)又はローマ数字式分類(Roman Numeral Staging)として知られ、原発病巣の大きさとリンパ節への伝播と遠隔転移の存在を組み合わせて、癌を段階0〜IVに分類するものである。このシステムでは、症例は、ローマ数字I〜IVにより示される4つのステージにグループ分けされるか、又は「再発性」と分類される。乳癌の腺管上皮内癌又は非浸潤性小葉癌といった幾つかの症例の場合、ステージ0は「上皮内」又は「Tis」と呼ばれる。高悪性度の腺腫もステージ0に分類される。概して、ステージIの癌は小さく局在化した癌であり、通常治癒可能であるが、ステージIVは、通常、手術不可能な癌又は転移性の癌を表わす。ステージII及びIIIの癌は、通常、局所的に進行しており、及び/又は局所的リンパ節の関与を示している。一般に、ステージの番号が大きい程、腫瘍の大きさ、及び/又は近くのリンパ節及び/又は原発腫瘍に隣接する器官への伝播を含め、疾病が広範囲に亘ることを示す。このようなステージは正確に規定されているが、定義は、各種の癌によって異なっており、当業者に周知である。
NCIの監視、疫学、及び遠隔成績プログラム(SEER)のような多くの癌の記録では、略式のステージ分類を使用する。このシステムは、すべての種類の癌に使用されている。これは、癌の症例を以下の5つの主要なカテゴリにグループ分けするものである。
上皮内: それが生じた細胞の層にのみ存在する早期癌
限局: 転移の証拠は無く、それが生じた器官に限定されている癌
隣接転移:最初の(原発)部位を越えて近くのリンパ節又は器官及び組織に広がった癌
遠隔転移:原発部位から遠隔器官又は遠隔リンパ節に広がった癌
不明: ステージを示す十分な情報がない症例を表わすために使用される。
加えて、原発腫瘍が除去されてから数か月又は数年後に、癌が再発することは珍しくない。可視の腫瘍が全て根絶された後に再発する癌は、再発性癌と呼ばれる。原発腫瘍の領域において再発する疾病は、局所的に再発性であり、転移として再発する癌は遠隔再発と呼ばれる。
腫瘍は固形腫瘍であるか、或いは非固形腫瘍又は軟組織腫瘍でありうる。軟組織腫瘍の例には、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、成人急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、成熟B細胞急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、前リンパ球性白血病、又はヘアリーセル白血病)、或いはリンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、又はホジキン病)が含まれる。固形腫瘍には、血液、骨髄、又はリンパ系以外の身体組織のあらゆる癌が含まれる。固形腫瘍は更に、上皮細胞を起源とするものと、非上皮細胞を起源とするものとに分けられる。上皮細胞固形腫瘍の例には、胃腸管、大腸、乳房、前立腺、肺、腎、肝、膵臓、卵巣、頭頚部、口腔、胃の腫瘍、十二指腸、小腸、大腸、肛門、胆嚢、大陰唇、上咽頭、皮膚、子宮、雄性生殖器、尿路、膀胱、及び皮膚の腫瘍が含まれる。非上皮起源の固形腫瘍には、肉腫、脳腫瘍、及び骨腫瘍が含まれる。腫瘍の他の例は定義の項に記載される。
幾つかの実施態様では、本発明の患者に対し、例えば治療前、及び/又は治療中、及び治療後に診断試験を行う。一般に、診断試験が実施される場合、治療を必要とする患者から試料を採取することができる。対象が癌に罹患している場合、試料は腫瘍試料、又はその他生物学的試料でありえ、例えば、限定しないが、血液、尿、唾液、腹水、又は血清及び血漿のような派生物などを含む生物学的流体である。
本明細書において、生物学的試料は、固定された試料、例えばホルマリン固定されてパラフィン包埋された(FFPE)試料であるか、又は凍結された試料である。
mRNA又はタンパク質の発現を決定する種々の方法は、限定しないが、遺伝子発現プロファイリング、定量的リアルタイムPCR(qRT−PC)を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、マイクロアレイ分析、SAGE法、MassARRAY、大規模並行シグネチャー配列決定(MPSS)による遺伝子発現分析、プロテオミクス、免疫組織化学(IHC)などを含む。好ましくは、mRNAは定量される。このようなmRNA分析は、好ましくは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の技術を使用して、又はマイクロアレイ分析により実行される。PCRを使用する場合、PCRの好ましい形態は定量的リアルタイムPcR(qRT−PCR)である。一実施態様では、上記遺伝子のうちの一又は複数の発現は、例えば同じ腫瘍種類の他の試料と比較して、中央値以上である場合に陽性発現とみなされる。中央値発現レベルは、基本的に、遺伝子発現の測定と同時に決定することができるか、又は事前に決定することができる。
RNA源として固定パラフィン包埋組織を用いる遺伝子発現プロファイリングの典型的なプロトコールのステップは、mRNAの単離、精製、プライマーの伸張、及び増幅を含み、様々な出版物の記事に記載されている(例えば、Godfrey ら J. Molec. Diagnostics 2: 84-91 (2000); Spechtら、Am. J. Pathol. 158: 419-29 (2001))。簡単に説明すると、典型的なプロセスは、厚さ約10マイクログラムのパラフィン包埋腫瘍組織の試料を切断することから開始される。次いでRNAを抽出し、タンパク質及びDNAを除去する。RNA濃度の分析後に、必要に応じてRNA修復ステップ及び/又は増幅ステップを含み、遺伝子に特異的なプロモーターを用いてRNAを逆転写し、その後PCRを行う。最後に、データを分析することにより、試験した腫瘍試料において特定された特徴的な遺伝子発現に基づいて、患者が受けることができる最善の治療オプションを特定する。
遺伝子又はタンパク質の発現の検出は、直接的に又は間接的に決定することができる。
(直接的に又は間接的に)癌におけるFGFR3の発現又は転座又は増幅を決定することができる。様々な診断/予後判定アッセイがこのために利用可能である。一実施態様では、FGFR3過剰発現は、IHCによって分析することができる。腫瘍生検由来のパラフィン包埋組織切片に対してIHCアッセイを行い、次のようなFGFR3タンパク質染色強度基準と合致させてもよい:
スコア0:染色が観察されないか、又は膜染色が腫瘍細胞の10%未満で観察される。
スコア1+:わずかに/弱く認知できる程度の膜染色が10%を上回る腫瘍細胞に検出される。細胞膜の一部のみが染色される。
スコア2+:弱いないしは中程度の完全な膜染色が腫瘍細胞の10%を越えて観察される。
スコア3+:中程度から強い完全な膜染色が10%を上回る腫瘍細胞に観察される。
幾つかの実施態様では、FGFR3の過剰発現に関して0又は1+スコアを呈する腫瘍は、FGFR3を過剰発現しないことを特徴としうるものであるのに対し、2+又は3+スコアを呈する腫瘍は、FGFR3の過剰発現を特徴としうる。
幾つかの実施態様では、FGFR3を過剰発現する腫瘍は、細胞1つ当たりに発現されるFGFR3分子のコピーの数に対応する免疫組織化学的スコアにより評価することができ、生化学的に定量化することができる。すなわち:
0=0〜90コピー/細胞
1+=少なくとも約100コピー/細胞
2+=少なくとも約1000コピー/細胞
3+=少なくとも約10000コピー/細胞
或いは、又は加えて、FISHアッセイを、ホルマリン固定、パラフィン包埋された腫瘍組織に実施して、腫瘍において(ある場合には)FGFR3増幅又は転座の存在及び/又は範囲を決定することができる。
FGFR3活性は、直接的に(例えば、ホスホ−ELISA試験、又はリン酸化したレセプターを定量化する他の方法により)、或いは間接的に(例えば、活性化した下流のシグナル伝達経路成分の検出、レセプター二量体(例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体)の検出、遺伝子発現プロファイルの検出などにより)、定量化することができる。
同様に、恒常的なFGFR3活性化及び/又はリガンド非依存性又はリガンド依存性FGFR3は、直接的又は間接的に(例えば、恒常的活性と相関するレセプター変異の検出、恒常的活性と相関するレセプター増幅の検出などにより)、定量化することができる。
核酸突然変異の検出のための方法は当分野で公知である。しばしば、必ずしもそうではないが、突然変異が存在するかどうかの決定のために望ましい量の材料を得るために、試料中の標的核酸を増幅する。増幅技術は公知技術である。例えば、増幅された産物は、突然変異が予測される特定のアミノ酸配列位置/核酸配列位置を含む限り、対象とするタンパク質をコードするすべての核酸配列を包含してもよいし、しなくてもよい。
一例では、変異の存在は、試料からの核酸を、突然変異した核酸をコードする核酸に特異的にハイブリダイズすることができる核酸プローブと接触させ、該ハイブリダイゼーションを検出することによって決定することができる。一実施態様では、プローブは例えば放射性同位元素(H、32P、33P等)、蛍光剤(ローダミン、フルオレセン等)又は発色剤で検出可能に標識される。いくつかの実施態様では、プローブはアンチセンスオリゴマー、例えばPNA、モルホリノ-ホスホロアミデート類、LNA又は2'-アルコキシアルコキシである。プローブは約8ヌクレオチドから約100ヌクレオチド、又は約10から約75、あるいは約15から約50、又は約20から約30でありうる。他の態様では、本発明の核酸プローブは試料中においてFGFR3突然変異を同定するためのキットとして提供され、該キットは、FGFR3をコードする核酸中の突然変異の部位に隣接して又は特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む。該キットはキットを使用してハイブリダイゼーション試験の結果に基づいてFGFR3アンタゴニストでFGFR3突然変異を含む腫瘍を有する患者を治療するための指示書を更に含みうる。
また、突然変異は、野生型FGFR3をコードする対応する核酸の電気泳動移動度と増幅された核酸の電気泳動移動度とを比較することによって検出することができる。移動度の相違は、増幅された核酸配列での突然変異の存在を示すものである。電気泳動移動度は、例えばポリアクリルアミドゲル上での、任意の適切な分子分離技術により測定されうる。
また、核酸を、酵素突然変異検出法(Enzymatic Mutation Detection (EMD))(Del Tito等, Clinical Chemistry 44:731-739, 1998)を使用して突然変異の検出について分析することができる。EMDはバクテリオファージリゾルベースTエンドヌクレアーゼVIIを使用し、これは、点突然変異、挿入及び欠失などの核酸変異から生じる塩基対ミスマッチによって引き起こされる構造的歪みを検出し切断するまで二本鎖DNAに沿ってスキャンする。例えばゲル電気泳動によってリゾルベース切断により形成された2つの短い断片の検出は突然変異の存在を示している。EMD法の利点は、増幅反応から直接アッセイされた点突然変異、欠失及び挿入を同定する単一のプロトコールであり、試料を精製する必要がなく、ハイブリダイゼーション時間を短縮し、信号対雑音比を増大させることである。20倍までの過剰な正常核酸及び4kbのサイズまでの断片を含む混合試料をアッセイすることができる。しかしながら、EMDスキャンは突然変異陽性試料中に生じる特定の塩基変化を同定せず、必要ならば特異的な突然変異を同定するために更なる配列決定手順を必要とする。CELI酵素は米国特許第5869245号に実証されているようにリゾルベースTエンドヌクレアーゼVIIと同様にして使用することができる。
突然変異を検出するための他の簡便なキットは、ヘモクロマトーシスを引き起こすHFE、TFR2及びFPN1遺伝子における多重突然変異の検出のためのヘマクロマトーシスストリップアッセイ(Haemochromatosis StripAssayTM)(Viennalabs http://www.bamburghmarrsh.com/pdf/4220.pdf)に類似したリバースハイブリダイゼーションテストストリップである。そのようなアッセイは、PCRによる増幅に続く配列特異的ハイブリダイゼーションに基づいている。単一突然変異アッセイに対しては、マイクロプレートベースの検出系を適用することができる一方、多重突然変異アッセイに対しては、ストリップは「マクロ-アレイ」として使用することができる。キットは試料調製、増幅及び突然変異検出のための直ぐに使用できる試薬を含みうる。多重増幅プロトコルは利便性を提供し、非常に限られた体積の試料の試験を可能にする。直接的なストリップアッセイ(StripAssay)態様を使用して、20及びそれ以上の突然変異の試験を、高価な装置を用いないで5時間未満で完了させることができる。DNAが試料から単離され、標的核酸がインビトロで増幅され(例えばPCR)、一般的には単一(「多重(multiplex)」)増幅反応においてビオチン標識される。増幅産物は、プローブが平行線又はバンドとして固定されているストリップのような固体担体上に固定されたオリゴヌクレオチドプローブ(野生型及び変異型特異的)に選択的にハイブリダイズされたものである。結合したビオチン標識単位複製配列はストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ及び有色基質を使用して検出される。そのようなアッセイは本発明の突然変異の全て又は任意のサブセットを検出することができる。特定の突然変異プローブバンドに対しては3種のシグナル伝達パターンの一つが可能である:(i) 正常な核酸配列を示す野生型プローブに対してのみのバンド、(ii) ヘテロ接合遺伝子型を示す野生型及び突然変異双方のプローブに対するバンド、及び(iii) ホモ接合突然変異遺伝子型を示す突然変異プローブだけに対するバンド。従って、ある態様では、本発明は、本発明の突然変異を検出する方法であって、増幅産物がリガンドを含むように、試料から標的のFGFR3核酸配列を単離及び/又は増幅し、増幅産物を、リガンドに対する検出可能な結合対を含むプローブであって本発明の突然変異体に特異的にハイブリダイズ可能なプローブに接触させ、ついで上記増幅産物に対する上記プローブのハイブリダイゼーションを検出する方法が更に提供される。一実施態様では、リガンドはビオチンであり、結合対はアビジン又はストレプトアビジンを含む。一実施態様では、結合対は、有色基質で検出可能なストレプトアビジン-アルカリ性である。一実施態様では、プローブは例えばストリップ上に固定されており、そこで、異なった突然変異に相補的であるプローブが互いに分離される。あるいは、増幅された核酸は、放射性同位元素で標識され、その場合、プローブは検出可能な標識を含む必要はない。
野生型遺伝子の改変は、挿入、逆位、削除、及び/又は点変異といった突然変異の全ての形態を包含する。一実施態様では、突然変異は体細胞性である。体細胞性突然変異は、特定の組織、例えば腫瘍組織においてのみ発生し、生殖系列細胞に遺伝しないものである。生殖系列細胞突然変異は、あらゆる身体組織において見られる。
標的核酸を含有する試料は、当分野で周知な、腫瘍の特定の種類や位置に適した方法によって入手できる。組織生検は、腫瘍組織の代表的な部分を得るために用いることが多い。これに対して、腫瘍細胞は、対象とする腫瘍細胞を含むことがわかっている又は含むと思われる組織/体液の形態で間接的に入手できる。例えば、肺癌病変の試料は、切除術、気管支鏡検査法、細針吸引、気管支のブラッシングによって、又は、痰、肋膜体液又は血液から入手してもよい。突然変異遺伝子又は遺伝子産物は、腫瘍から、又は、他の体試料、例えば尿、痰又は血清から検出できる。腫瘍試料中の突然変異標的遺伝子ないし遺伝子産物の検出のための上記に記載の同じ技術を他の体試料に応用できる。癌細胞は腫瘍からはがれて、このような体試料中に出現する。このような体試料のスクリーニングによって、癌などの疾患の診断を簡単かつ迅速に行うことができる。加えて、治療の経過は、突然変異標的遺伝子ないし遺伝子産物についてこのような体試料を試験することによって、より容易にモニタリングすることができる。
腫瘍細胞の組織調製物を濃縮する方法は公知技術である。例えば、組織は、パラフィン切片又はクリオスタット切片から単離してもよい。また、癌細胞は、フローサイトメトリ又はレーザー捕獲顕微解剖によって正常細胞から切り離してもよい。正常細胞から腫瘍を分離するためのこれら並びに他の技術は公知技術である。腫瘍組織が正常細胞と非常に混濁している場合、突然変異の検出はより難しいが、混入及び/又は偽陽性/陰性の結果を最小化する技術が公知である。そのいくつかを以下に記述する。例えば、試料は、対象とする腫瘍細胞と結合するが対応する正常細胞とは結合しない、又はその逆も可であることがわかっているバイオマーカー(突然変異を含む)の存在について評価してもよい。
標的核酸中の点突然変異の検出は、当該分野でよく知られている技術を使用して標的核酸を分子クローニングし、核酸を配列決定することによって達成することができうる。あるいは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、腫瘍組織からのゲノムDNA調製物から直接的に標的核酸配列を増幅させることができる。ついで、増幅された配列の核酸配列を決定し、それから突然変異を同定することができる。増幅技術は当該分野でよく知られており、Saiki等, Science 239:487, 1988;米国特許第4683203号;及び米国特許第4683195号に記載されている。
適切なプライマーの設計及び選択は、従来技術において確立されていることに注意されたい。
また、当該分野で知られているリガーゼ連鎖反応を、標的核酸配列を増幅させるために使用することができる。例としてWu等, Genomics, Vol. 4, pp.560-569 (1989)を参照。さらに、対立遺伝子特異的PCRとして知られている技術を使用することができる。例としてRuano及びKidd, Nucleic Acids Research, Vol. 17, p. 8392, 1989を参照。この技術によれば、特定の標的核酸突然変異にその3'末端でハイブリダイズするプライマーが使用される。特定の突然変異が存在していない場合は、増幅産物は観察されない。欧州特許出願公開第0332435号及び Newton等, Nucleic Acids Research, Vol. 17, p.7, 1989に開示されたAmplification Refractory Mutation System (ARMS) もまた使用することができる。遺伝子の挿入及び欠失もまたクローニング、配列決定及び増幅によって検出することができる。また、遺伝子又は周りのマーカー遺伝子に対する制限酵素断片長多型(RFLP)プローブを、多型断片における対立遺伝子の改変又は挿入をスコア付けするために使用することができる。一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)解析もまた対立遺伝子の塩基変化変異体を検出するために使用することができる。例としてOrita等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol. 86, pp. 2766-2770, 1989,及びGenomics, Vol. 5, pp. 874-879, 1989を参照。また、当該分野で知られているような挿入及び欠失を検出する他の方法を使用することができる。
野生型遺伝子の改変は野生型遺伝子発現産物の改変に基づいて検出することもできる。そのような発現産物にはmRNA並びにタンパク質産物の双方が含まれる。点突然変異は、mRNAから作製されたcDNAの分子クローニングによって又はmRNAを増幅し配列決定することによって、検出することができる。クローン化cDNAの配列は当該分野でよく知られたDNA配列決定法を使用して決定することができる。cDNAはまたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって配列決定することもできる。
ミスマッチは、100%相補的ではないハイブリダイズした核酸二本鎖である。完全な相補性の欠如は欠失、挿入、逆位、又は置換又はフレームシフト突然変異によりうる。ミスマッチの検出は標的の核酸中における点突然変異を検出するために使用することができる。これらの技術は配列決定よりも感受性が低いが、より簡便に多数の腫瘍試料に対して実施することができる。ミスマッチ切断技術の一例はリボヌクレアーゼ保護法であり、これは、Winter等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 82, p.7575, 1985及びMeyers等, Science, Vol. 230, p.1242, 1985に詳細に記載されている。例えば、本発明の方法は、ヒトの野生型標的核酸に相補的である標識されたリボプローブの使用を伴いうる。リボプローブと腫瘍試料由来の標的核酸は一緒にアニール(ハイブリダイズ)され、続いて二本鎖RNA構造中の幾らかのミスマッチを検出することができる酵素リボヌクレアーゼAで消化される。ミスマッチがリボヌクレアーゼAによって検出される場合、それはミスマッチ部位で切断される。よって、アニールされたRNA調製物が電気泳動ゲルマトリックスで分離されると、ミスマッチがリボヌクレアーゼAによって検出され切断された場合、リボプローブとmRNA又はDNAに対する完全長二本鎖RNAよりも小さいRNA産物が見られる。リボプローブは標的核酸mRNA又は遺伝子の完全長である必要はないが、標的核酸の一部であり、変異していると思われる部位を含むものである。リボプローブが標的核酸mRNA又は遺伝子のセグメントのみを含む場合、多くのこれらプローブを使用してミスマッチに対する全標的核酸配列をスクリーニングすることが望ましい。
同様な形で、DNAプローブを用いて、酵素的又は化学的切断などを介して、ミスマッチを検出することができる。例としてCotton等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 85, 4397, 1988;及びShenk等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 72, p. 989, 1975を参照のこと。あるいは、ミスマッチは、マッチした二本鎖に対するミスマッチの二本鎖の電気泳動移動度における変化によって検出することができる。例としてCariello, Human Genetics, Vol. 42, p.726, 1988を参照のこと。リボプローブかDNAプローブの何れかを用いて、突然変異を含みうる標的核酸mRNA又はDNAはハイブリダイゼーション前に増幅させることができる。標的核酸のDNAの変化は、例えば欠失及び挿入のように特に変化が全体的な再配列である場合は、サザンハイブリダイゼーションを使用して検出することもできる。
また、増幅された標的核酸のDNA配列を、対立遺伝子特異的プローブを使用してスクリーニングすることもできる。これらのプローブは核酸オリゴマーであり、その各々が既知の突然変異を有する標的核酸遺伝子の領域を含む。例えば、一つのオリゴマーは、標的遺伝子配列の一部に対応する、約30ヌクレオチド長でありうる。そのような一連の対立遺伝子特異的プローブの使用によって、標的核酸増幅産物をスクリーニングし、標的遺伝子中における過去に同定された突然変異の存在を同定することができる。増幅された標的核酸配列との対立遺伝子特異的プローブのハイブリダイゼーションは例えばナイロンフィルターで実施することができる。ストリンジェントなハイブリダイズ条件下での特定のプローブのハイブリダイゼーションは、対立遺伝子特異的プローブにおけるものと同じ突然変異が腫瘍組織に存在していることを示している。
野生型標的遺伝子の改変はまた対応する野生型タンパク質の改変についてスクリーニングすることによっても検出することができる。例えば、標的遺伝子産物と免疫反応性であるモノクローナル抗体、その例として遺伝子産物(タンパク質)の特定の変異した位置に結合することがわかっている抗体を用いて組織をスクリーニングすることができる。例えば、用いる抗体が、欠失したエキソンに結合する抗体又は、標的タンパク質の欠失した部位を含んでなる立体配位的なエピトープに結合する抗体でありうる。同種抗原の欠如が突然変異を示すであろう。また、突然変異対立遺伝子の産物に特異的な抗体を突然変異遺伝子産物の検出に使用することができる。抗体はファージディスプレイライブラリーから同定することができる。そのような免疫学的アッセイは当該分野で知られている任意の簡便な形態で行うことができる。これらには、ウェスタンブロット、免疫組織化学的アッセイ及びELISAアッセイが含まれる。改変されたタンパク質を検出するための任意の手段を、野生型標的遺伝子の改変を検出するために使用することができる。
プライマー対はポリメラーゼ連鎖反応などの核酸増幅技術を用いて標的核酸のヌクレオチド配列の決定のために有用である。一本鎖DNAプライマーの対は標的配列を刺激増幅するために標的核酸配列内又は該標的核酸配列を囲む配列にアニーリングすることができる。対立遺伝子特異的プライマーもまた使用することができる。このようなプライマーは特定の突然変異標的配列にのみアニールし、よって鋳型としての突然変異標的配列の存在下でのみ産物を増幅する。引き続いての増幅された配列のクローニングを容易にするために、プライマーはその末端に付属した制限酵素部位配列を有しうる。そのような酵素及び部位は当該分野でよく知られている。そのプライマー自体は、当該分野でよく知られている技術を使用して合成することができる。一般に、プライマーは、商業的に入手できるオリゴヌクレオチド合成機を使用して作製することができる。特定のプライマーの設定は十分に当業者の技量の範囲内である。
核酸プローブは多くの目的のために有用である。それらはゲノムDNAへのサザンハイブリダイゼーションにおいて、また上で既に検討した点突然変異を検出するためのリボヌクレアーゼ保護法において使用することができる。プローブは標的核酸増幅産物を検出するために使用することができる。それらはまた他の技術を使用して野生型遺伝子又はmRNAとのミスマッチを検出するために使用することもできる。ミスマッチは酵素(例えばS1ヌクレアーゼ)か、化学物質(例えばヒドロキシルアミン又は四酸化オスミウム及びピペリジン)か、又は完全にマッチしたハイブリッドと比較した場合のミスマッチハイブリッドの電気泳動移動度の変化の何れかを使用して検出することができる。これらの技術は当該分野で知られている。Novack等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.83, p.586, 1986を参照。一般に、プローブはキナーゼドメイン外の配列に相補的である。一連の核酸プローブを用いて、標的核酸中の突然変異を検出するためのキットを構成することができる。そのキットにより、対象とする標的配列の広い領域へのハイブリダイゼーションが可能になる。プローブは互いにオーバーラップしていてもよいし又は近接していてもよい。
リボプローブをmRNAとのミスマッチを検出するために使用する場合、それは標的遺伝子のmRNAに相補的である。よって、リボプローブは、センス鎖に相補的であるため、対応する遺伝子産物をコードしていない点でアンチセンスプローブである。リボプローブは一般に放射性、比色性、又は蛍光定量物質で標識され、これは当該分野で知られている任意の手段によって達成することができる。リボプローブがDNAとのミスマッチを検出するために使用される場合、それは何れの極性でも、センス又はアンチセンスでもありうる。同様に、DNAプローブを、ミスマッチを検出するために使用することもできる。
場合によっては、癌はFGFR3を過剰発現してもよいし、しなくてもよい。レセプターの過剰発現は、細胞表面上に存在するレセプタータンパク質のレベルの上昇を(例えば免疫組織化学アッセイ;IHCにより)評価することにより、診断又は予後判定アッセイにおいて決定することができる。或いは又は加えて、例えば蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH、1998年10月に公開の国際公開第98/45479号参照)、サザンブロッティング、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術、例えば定量的リアルタイムPCR(RT-PCR)によって、細胞内のレセプターコード化核酸のレベルを測定してもよい。上記のアッセイを除き、技術者は様々なインビボアッセイを利用することができる。例えば、場合によって、検出可能な標識、例えば放射性同位体で標識した抗体に患者の体内の細胞を曝し、例えば放射能の外的スキャンによって、又は前もって抗体に曝される患者から採取した生検を分析することによって、患者の細胞に対する抗体の結合を評価してもよい。
化学療法剤
本発明の併用療法は、更に、一又は複数の化学療法剤を含むことができる。併用投与は、別個の製剤又は単一の医薬的製剤を用いた同時投与又は同時発生的投与と、好ましくは両方(又は全て)の活性剤の生物学的活性が同時に発揮される期間を提供する、順序を問わない継続的投与とを含む。
投与される場合、化学療法剤は普通、そのような薬剤に既知の用量で投与されるか、場合によっては薬剤の併用作用又は代謝拮抗性の化学療法剤の投与に起因する有害な副作用により用量が低減される。このような化学療法剤の調製及び投与計画は、製造者の指示に従って、又は当業者の経験的決定により、使用することができる。
併用可能な様々な化学療法剤は本明細書中に開示した。
いくつかの実施態様では、組み合わせる好ましい化学療法剤は、レナリドミド (REVLIMID)、プロテアソームインヒビター(例えばボルテゾミブ (VELCADE)及びPS342)、boraタキソイド(ドセタキセル及びパクリタキセルを含む)、ビンカ(例えばビノレルビン又はビンブラスチン)、白金化合物(例えばカルボプラチン又はシスプラチン)、アロマターゼ阻害剤(例えばレトロゾール、アナストロゾール、又はエキセメスタン)、抗エストロゲン(例えばフルベストラント又はタモキシフェン)、エトポシド、チオテパ、シクロホスファミド、メトトレキサート、リポソームドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、カペシタビン、ゲムシタビン、メルタリン(melthalin)、ドキソルビシン、ビンクリスチン、COX-2インヒビター(たとえばセレコキシブ)又はステロイド(例えばデキサメサゾンおよびプレドニゾン)からなる群より選択される。いくつかの実施態様(例えば、t(4;14)+多発性骨髄腫の治療に伴う実施態様)では、デキサメサゾンとレナリドミド、又はデキサメサゾン、又はボルテゾミブ、又はビンクリスチン、ドキソルビシンとデキサメタゾン、又はサリドマイドとデキサメタゾン、又はリポソームドキソルビシン、ビンクリスチンとデキサメタゾン、又はレナリドミドとデキサメサゾン、又はボルテゾミブとデキサメタゾン、又はボルテゾミブ、ドキソルビシン、とデキサメタゾンが組み合わされる。いくつかの実施態様(例えば膀胱癌を伴う実施態様)では、ゲムシタビンとシスプラチン、又はタキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)、又はペメトレキセド、又はメトトレキセート、ビンブラスチン、ドキソルビシンとシスプラチン、又はカルボプラチン、又は5-フルオロウラシルと組み合わせたマイトマイシンC、又はシスプラチン、又はシスプラチンと5-フルオロウラシルが組み合わされる。
製剤、用量、及び投与
本発明に使用される治療薬の製剤、用量、及び投与は、良質な医療慣行(good medical practice)に則って決定される。この文脈で考慮すべき要素には、治療対象となる特定の障害、特定の治療対象、個々の患者の臨床的状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与計画、併用される薬剤同士の相互作用、及び医療従事者に既知のその他の要素が含まれる。
治療的製剤は、従来技術に既知の標準的方法を用いて、所望の純度を有する有効成分と、任意の生理学的に許容可能な担体と、賦形剤又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences (第20版)、A. Gennaro編, 2000, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA)とを混合することにより調製される。許容可能な担体には、生理食塩水又はリン酸塩のようなバッファと、クエン酸塩及びその他の有機酸;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミンなどのタンパク質と、ゼラチン又は免疫グロブリン;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリシンのようなアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコースを含むその他の炭水化物、マンノース、又はデキストリン;EDTAのようなキレート剤;マンニトール又はソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような塩形成対イオン;及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM、又はPEGのような非イオン性界面活性剤が含まれる。
随意で、しかし好ましくは、製剤は、製薬的に許容可能な塩、好ましくは塩化ナトリウムを、好ましくはほぼ生理的濃度で含んでいる。随意で、本発明の製剤は、製薬的に許容可能な保存料を含むことができる。幾つかの実施態様では、保存料の濃度は0.1〜2.0%(典型的にv/vで)である。適切な保存料には、薬剤的従来技術において既知のものが含まれる。ベンジルアルコール、フェノール、m−クレゾール、メチルパラベン、及びプロピルパラベンが好ましい保存料である。場合によっては、本発明の製剤は、製薬的に許容可能な界面活性剤を0.005〜0.02%の濃度で含むことができる。
本明細書における製剤は、治療される特定の徴候に必要な二つ以上の活性化合物、好ましくは互いに逆に作用しない相補的活性を有する化合物を含むこともできる。このような分子は、適切には、意図された目的に有効な量で併用される。
有効成分は、例えばコアセルベーション技術により、又は界面重合、例えばそれぞれコロイド性薬剤送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子及び名のカプセル)又はマクロエマルシンの、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルにより、マイクロカプセルに封入された形態に調製することもできる。このような技術は、上掲のRemington’s Pharmaceutical Sciencesに開示されている。
徐放性製剤を調整してもよい。徐放性製剤の適切な例として、抗体を含む固形疎水性ポリマーの半透性基質を上げることができ、この基質は、有形物、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形態である。徐放性基質の例には、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリル酸)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3773919号)、Lグルタミン酸及びγエチル−L−グルタミンの共重合体、非分解性エチレン−ビニルアセテート、LUPRON DEPOTTM(乳酸−グリコール酸共重合体及びリュープロリド酢酸塩からなる注射可能な微粒子)のような、分解性の乳酸−グリコール酸の共重合体、並びにポリ−D−(−)3−ヒドロキシブチル酸が含まれる。エチレンビニルアセテート及び乳酸−グリコール酸のようなポリマーは、100日に亘る分子の放出を可能にし、一方、特定のハイドロゲルは、それよりも短期間に亘ってタンパク質を放出する。カプセル封入された抗体は、体内に長時間留まるとき、37℃で水分に曝されることにより、変性又は凝集し、その結果生物学的活性を失い、場合によっては免疫原生が変化する。関与する機序に応じて、安定化のために合理的な戦略を講じることができる。例えば、凝集の機序が、チオ−ジスルフィド交換により分子間S−S結合の形成であることが発見された場合、スルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液の凍結、水分含有率の制御、適切な添加剤の使用、及び特定のポリマー基質組成物の開発により、安定化させることができる。
本発明の治療薬は、ヒト患者に対し、ボーラスとしての静脈内投与、或いは、一定の時間に亘る持続点滴、筋肉内投与、口腔内投与、脳脊髄内投与、皮下投与、関節内投与、髄膜内投与、くも膜下腔内投与、経口投与、局所投与、又は吸入といった既知の方法に従って、投与することができる。治療的適用のために、エキソビボ戦略も使用することができる。エキソビボ戦略では、対象から採取した細胞に、FGFR3アンタゴニストをコードするポリヌクレオチドを形質移入又は形質導入する。次いで、形質移入又は形質導入された細胞を対象に戻す。細胞は、限定しないが、造血性細胞(例えば、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、T細胞、又はB細胞)、繊維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、又は筋細胞を含む、広範な種類のあらゆる細胞とすることができる。
例えば、FGFR3アンタゴニストが抗体である場合、この抗体は、非経口的投与、皮下投与、腹腔内投与、肺内投与、及び鼻腔内投与、局所的免疫抑制治療に望ましい場合は病巣内投与を含む任意の適切な手段により投与される。非経口注入には、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、又は皮下投与が含まれる。加えて、抗体は、特に抗体の用量を減らしながら、パルス注入により適切に投与される。好ましくは、投薬は、投与期間の長短に応じて、注射により、最も好ましくは静脈内注入又は皮下注入により、行われる。
別の実施例では、FGFR3アンタゴニスト化合物は、障害又は腫瘍の位置が許す場合、局所的に、例えば直接的注入により投与され、注入は周期的に反復可能である。また、FGFR3アンタゴニストは、局所的再発又は転移を防止又は低減するために、患者の全身に、又は腫瘍細胞に直接、例えば腫瘍の外科的切除後に、腫瘍又は腫瘍病床に対して送達することができる。
併用療法における治療薬の投与は、所定の期間(通常は、選択される組み合わせに応じて、数分、数時間、数日、又は数週)に亘って行うことができる。併用療法は、このような治療薬を連続して、即ち各治療薬を異なる時間に投与する投与方法、並びに、このような治療薬、又は少なくとも二つの治療薬をほぼ同時に投与する投与方法を包含する。
治療薬は、同じ経路又は異なる経路により投与することができる。例えば、組み合わせた抗FGFR3抗体を静脈内注により投与してもよいし、組み合わせた化学療法剤を経口投与してもよい。別の方法では、例えば、特定の治療薬に応じて、両方の治療薬を経口投与するか、又は両方の治療薬を静脈内注入することができる。治療薬を投与する順番は、特定の薬剤に応じて変更することもできる。
例えば、一又は複数の別個の投与を行うか、又は連続注入を行うかに関係なく、疾病の種類及び重症度に応じて、患者に投与される各治療薬の初回の候補用量は、約1μg/kg〜100mg/kgである。典型的な一日当たりの用量は、上記要素に応じて、約1μg/kg〜約100mg/kg以上に亘りうる。数日間以上に亘って反復投与する場合、状態に応じて、上記方法によって測定した場合に癌が治療されるまで治療を持続する。しかしながら、他の投与計画も有用でありうる。
本出願では、遺伝子療法によるFGFR3抗体の投与を考慮する。例えば、1996年3月14日に公開された、細胞内抗体を生成するための遺伝子療法の使用に関する国際公開第96/07321号を参照されたい。
製造品
本発明の他の態様では、上記の疾患の治療、予防及び/又は診断に有用な物質を含む製造品が提供される。該製造品は容器と該容器上又は該容器に付随するラベル又はパッケージ挿入物を具備する。好適な容器には、例えば、ビン、バイアル、シリンジ等々が含まれる。容器は、様々な材料、例えばガラス又はプラスチックから形成されうる。容器は、症状を治療、予防及び/又は診断するために有効な組成物単独又は他の組成物と組み合わせる組成物を収容し、滅菌アクセスポートを有しうる(例えば、容器は皮下注射針が貫通可能なストッパーを有するバイアル又は静脈内投与溶液バッグでありうる)。組成物中の少なくとも一つの活性剤は本発明の抗体である。ラベル又はパッケージ挿入物は、組成物が癌などの選択された症状の治療に使用されることを示す。更に、製造品は、(a)本発明の抗体を含有する組成物を中に収容する第一の容器と、(b)更なる細胞障害剤を含有する組成物を中に収容する第二の容器とを具備する。本発明のこの実施態様における製造品は、第一及び第二の抗体組成物を特定の症状、例えば癌の治療に使用することができることを示しているパッケージ挿入物を更に含んでよい。あるいは、もしくはさらに、製造品は、薬学的に許容されるバッファー、例えば注射用の静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー液及びデキストロース溶液を含む第二の(又は第三の)容器を更に具備してもよい。更に、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業上及び使用者の見地から望ましい他の材料を含んでもよい。
後述は、本発明の方法及び組成物の実施例である。上述した概要に基づいて、他に様々な実施態様が実施可能であることを理解されたい。
材料および方法
細胞株および細胞培養
細胞株RT4はアメリカ培養細胞系統保存機関から入手した。細胞株RT112、OPM2およびBa/F3は、ドイツ微生物及び細胞培養物保存機関(DSMZ, (Germany))から購入した。多発性骨髄腫細胞株KMS11は川崎医科大学(日本)のオオツキタケミ医師よりご提供頂いた。膀胱癌細胞株TCC−97−7は、セントジェームズ大学病院(Leeds, UK)のMargaret Knowles博士から譲り受けた。UMUC-14細胞株は、H.B. Grossman博士(現在Texas M.D. Anderson癌センター大学、テキサス州)から入手した。細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)(Sigma)、100U/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシンおよびL−グルタミンを添加したRPMI培地にて、5%CO、37℃の条件下で維持した。
FGFR3S249C二量体化試験
UMUC-14細胞は、システインを含まない培地中で生育させ、R3Mab又はDTNBにて3時間処理し、細胞溶解物を還元又は非還元条件下でイムノブロット分析を行った。インビトロ二量体化試験のために、FGFR3−IIIbS249C(残基143−374)を、pAcGP67Aベクターにクローニングし、T.niプロ細胞に発現させた。組換えタンパク質は、Ni-NTAカラムの後にSuperdexS200カラムにより精製した。二量体FGFR3S249Cは、25mM トリス(pH7.5)および300mM NaClにて溶出した。R3Mab(1μM)は、FGFR3S249C二量体(0.1μM)とともに37℃かつ以下の条件下でインキュベートした:100mM KHPO4(pH7.5)、25μM DTT、1mM EDTAおよび0.75mg/ml BSA。示した時点に反応の一定量を採取し、β-メルカプトエタノールを含まない試料バッファを添加することによって反応を止めた。二量体-単量体をイムノブロットにて分析した。
異種移植片試験
すべての試験はジェネンテクの施設内動物取扱委員会の承認を得た。雌nu/nuマウス又はCB17重症複合免疫不全症(SCID)マウス(6〜8週齢)は、Charles River Laboratory (Hollister, CA)から購入した。雌胸腺欠損ヌードマウスは、国立癌研究所-フレデリック癌センターから入手した。マウスは特定病原体感染防止条件下で維持した。RT112 shRNA安定細胞(7×10)、RT112(7×10)、Ba/F3−FGFR3S249C(5×10)、OPM2(15×10)、又は、KMS11細胞(20×10)は、HBSS/マトリゲル(1:1v/v、BD Biosciences)中0.2mlの体積でマウスの脇側に皮下移植した。UMUC-14細胞(5×10)はマトリゲルなしで移植した。腫瘍はカリパスを使用して週2回測定し、腫瘍体積は以下の式を使用して算出した:V=0.5a×b2、このa及びbはそれぞれ腫瘍の長さおよび幅である。平均腫瘍体積が150〜200mmに達したところで、マウスをランダムに10匹の群に分け、HBSSに希釈したコントロールヒトIgG1又はR3Mab(0.3〜50mg/kg)を週2回腹膜内(i.p)投与した。コントロール動物はベヒクル(HBSS)単独を与えた。
統計学
集積したデータは平均+/−SEMで表した。2群間の比較のために不対のスチューデントt検定(両側)を用いた。p<0.05の値は、すべての実験において統計学的に有意であるとみなした。
FGFR3 shRNA安定細胞の生成
記述される(1)ように、3つの独立したFGFR3 shRNAをpHUSHベクターにクローニングした。試験に使用するFGFR3 shRNAの配列は以下の通りである:shRNA2:5'GATCCCCGCATCAAGCTGCGGCATCATTCAAGAGATGATGCCGCAGCTTGATGCTTTTTTGGAAA(配列番号:192);shRNA4:5'-GATCCCCTGCACAACCTCGACTACTA TTCAAGAGATAGTAGTCGAGGTTGTGCATTTTTTGGAAA-3'(配列番号:193);shRNA6:5'-GATCCCCAACCTCGACTACTACAAGATTCAAGAGATCTTGTAGTAGTCGAGGTTTTTTTTGGAAA-3'(配列番号:194)。すべてのコンストラクトは配列決定によって確認した。EGFPコントロールshRNAは、我々の以前の研究(50)に記述した。shRNAを含有するレトロウイルスは、VSV−G (Clontech Laboratories)とpHUSH-FGFR3 shRNAコンストラクトをGP2−293パッケージ細胞(Clontech Laboratories, Mountain View, CA)に同時形質移入することによって作製し、形質移入の72時間後にウイルス上清を回収し、形質導入実験のために遠心分離法にて細胞片を清浄化した。
RT112細胞は、テトラサイクリンを含まないFBSを含むRPMI1640培地(Clontech Laboratories)中で維持し、4μg/mlポリブレンの存在下でレトロウイルス上清を導入した。感染の72時間後に、2μg/mlのピューロマイシン(Clontech Laboratories)を培地に加え、shRNAを発現する安定クローンを選択した。安定細胞を単離し、0.1又は1μg/mlのドキシサイクリン(Clontech Laboratories)にて4日間処理し、FGFR3タンパク質発現の誘導ノックダウンをウェスタンブロット解析にて評価した。記述される(51)ように細胞周期分析を行った。
FGFR3に特異的なファージ抗体の選別
選択した相補性決定領域(H1、H2、H3、L3)内に合成多様性を有するヒトファージ抗体ライブラリで、ヒトIgGレパートリの天然の多様性を模倣するものをパニングに用いた。Fab断片は、M13バクテリオファージ粒子の表面上に二価で表出した(52)。ヒトのFGFR3−IIIbおよびIIIcのHisタグ付加IgD2−D3を抗原として用いた。96ウェルMaxiSorpイムノプレート(Nunc)を、FGFR3−IIIb-Hisタンパク質又はFGFR3−IIIC-Hisタンパク質(10μg/ml)にて4℃で終夜をかけてコートし、1%BSAを添加したPBSTバッファ(0.05%ツイーン20を含むPBS)にて1時間かけてブロックした。抗体ファージライブラリを添加して、室温(RT)で終夜インキュベートした。プレートはPBSTバッファにて洗浄し、結合したファージは50mM HClおよび500mM NaClにて30分間溶出し、等量の1M トリス塩基にて中和した。回収したファージは大腸菌XL−1ブルー細胞中で増幅された。その後の選別ラウンドでは、ファージ抗体のインキュベート時間を2時間に減らし、プレート洗浄のストリンジェンシーを徐々に上げた(53)。FGFR3のIIIbおよびIIIcアイソフォームに結合する固有かつ特異的なファージ抗体は、ファージELISAおよびDNA配列決定によって識別した。スクリーニングした400クローンのうち、4つを選択し、個別のクローンのVL及びVH領域をそれぞれLPG3およびLPG4ベクターにクローニングすることによって完全長IgGに再編成し、哺乳動物細胞に過渡的に発現させ、プロテインAカラムにて精製した(54)。親和性成熟のためにクローン184.6を選択した。
親和性成熟のために、M13バクテリオファージの表面上に一価性Fabを表出するファジミド(52)を、ファージAbの軽鎖(VL)および重鎖(VH)可変ドメインを融合させるためのライブラリ鋳型として用いた。停止コドンはCDR-L3に組み込んだ。記述される(53)ように、親和性成熟のためにソフトランダム化方策を適用した。CDRループ、H1/H2/L3、H3/L3又はL1/L2/L3の2つの異なる組合せをランダム化のために選択した。親和性成熟したクローンを選択するために、ファージライブラリを、FGFR3 IIIb又はIIIc-Hisタンパク質に対して分類し、記述される(52)ように、第一ラウンドではプレート分類を行い、その後溶液相分類を4ラウンド行った。5ラウンドのパニングの後、記述される(55)ように、ハイスループット単一点競合ファージELISAを用いて迅速に高親和性クローンをスクリーニングした。FGFR3−Hisの非存在下のものに対して10nM FGFR3−His存在下での450nmの吸光度の比率が低いクローンを、以降の特徴付けのために選択した。
クローン184.6.1、184.6.21、184.6.49、184.6.51、184.6.58、184.6.62および184.6.92は、Ba/F3−FGFR3−IIIb、Ba/F3−FGFR3−IIIcおよびBa/F3−FGFR3−S249C細胞株の生存度を有意に低減し、クローン184.6.52はBa/F3−FGFR3−S249C細胞株の生存度を有意に低減した。阻害活性の増加は、アッセイした細胞株に応じて、親クローン184.6よりおよそ50倍(クローン184.6.52)からおよそ100倍(クローン184.6.1、184.6.21、184.6.49、184.6.51、184.6.58、184.6.62および184.6.92)である。FGFR3−IIIbおよびFGFR3−IIIcに対するクローン184.6.1、184.6.58および184.6.62の結合動態は、以下の通りにBIAcoreを使用して決定した:
FGFR3−IIIb KD(M) FGFR3−IIIc KD(M)
184.6 3.80E-08 1.10E-07
184.6.1 2.64E-10 1.44E-09
184.6.58 1.90E-10 8.80E-10
184.6.62 1.20E-10 2.24E-09
また、クローン184.6.1、184.6.58および184.6.62は、Ba/F3−FGFR3細胞、RT112細胞およびOPM2細胞のFGFR3下流シグナル伝達の阻害の改善を示した。
クローン184.6.1を選択した。配列修飾であるN54SをHVR H2の残基54に導入して製造可能性を向上させ、クローン184.6.1N54Sを作製した。クローン184.6.1および184.6.1N54Sは、Ba/F3細胞生存率アッセイにおいて類似の結合動態(Biacoreアッセイにて測定)と類似の活性を表した。更なるHVR H2変異体を作製した。N54Sはクローン184.6.58に導入し、N54G、N54A又はN54Qはクローン184.6.1および184.6.58に導入した。これらのクローンは、Ba/F3細胞生存率アッセイにおいて親クローン184.6.1又は184.6.58に相当する活性を示した。
他の配列修飾であるD30Eをクローン184.6.1N54SのHVR L1に導入して、クローン184.6.1NSD30Eを作製した。クローン184.6.1NSD30Eおよびクローン184.6.1N54Sは、BA/F3細胞生存率アッセイにおいて親クローン184.6.1又は184.6.58に相当する結合動態と活性を示した。
ここで使用する「R3Mab」は、抗FGFR3抗体クローン184.6.1N54S、184.6.1又は184.6を指す。以下の図に示す結果を導く実験以外では、「R3Mab」と示す図及び実験においてクローン184.6.1N54Sを用いた(使用した抗体は括弧に示す):図9B(クローン184.6.1)、10(クローン184.6)、11A及びB(クローン184.6)、13(クローン184.6.1)、14A(クローン184.6.1)、14B、GおよびH(クローン184.6)、19(クローン184.6.1)、そして、22BおよびC(クローン184.6.1)。
抗体結合親和性を決定するためのBIAcore/表面プラズモン共鳴法(SRP)分析
FGFR3に対するR3Mabの結合親和性は、以下の変更を加えて、記述される(52)ように、BIAcoreTM-3000計測器を使用してBiacore/SRPにより測定した。R3Mabは、およそ400反応単位(RU)に達するようにCM5バイオセンサーチップ上に直接コートした。動態学的測定のために、FGFR3−IIIb又はIIIc-Hisタンパク質の2倍段階希釈物(67nMから始める)を、30μl/分の流量で25℃でPBSTバッファに注入した。会合速度(Kon、mol/sあたり)および解離速度(Koff、sあたり)は、単一の1対1ラングミュア結合モデル(BIAcore評価ソフトバージョン3.2)を使用して算出した。平衡解離定数(Kd、molあたり)は、Koff/Konの比率として算出した。
FGFR3に対するマウスハイブリドーマ抗体の結合親和性は、以下の通りにBiacore/SRPによって測定した。ヒトのFGFR3−IIIb又はIIIcは、およそ50RUの応答単位(RU)を達成するように、BIACORETM CM5センサーチップの3つの異なるフローセル(FC)、FC2、FC3およびFC4上へカップリングさせた。製造業者によって提供されるプロトコールを使用して、アミノ基によるランダムなカップリングによって固定化を行った。センサーグラムは、30μl/分の流量で2倍に増加する、250nMから0.48nMの段階溶液を注入することによって、25℃でのこれら表面に対するハイブリドーマ由来抗FGFR3マウスIgG又はFab断片の結合について記録した。各注入の間に、10mMのグリシン-HCl、pH1.7をバッファとして用い、センサーチップを再生させた。参照セル(FC1)からのシグナルは、FC2、FC3およびFC4で観察されたセンサーグラムから減算した。反応速度定数は、製造業者が提供するBIAcore評価ソフト(バージョン3.2)を用いて1:1ラングミュア結合モデルに従って、データの非線形回帰フィッティングにより算出した。
ELISA結合試験
ヒトのFGFR1-IIIb、IIIc、FGFR2-IIIbおよびIIIc、FGFR3−IIIbおよびIIIcの細胞外ドメイン(ECD)およびFGFR4をコードするcDNAを、pRKベースのベクターにクローニングし、ヒトFGFR−ヒトFcキメラタンパク質を生成した。過渡的にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を形質移入させることによって組換えタンパク質を生成し、プロテインA親和性クロマトグラフィにて精製した。ヒトFGFRに対する抗体の結合を試験するために、Maxisorp 96ウェルプレート(Nunc)は、2μg/mlのFGFR ECD−ヒトFcキメラタンパク質50μlにて4℃で終夜かけてコートした。リン酸塩緩衝食塩水(PBS)/3%BSAにてブロックした後、FGFR3抗体を加え、室温で2時間インキュベートした。特異的に結合したFGFR3抗体は、HRPコンジュゲート抗ヒトFabおよびTMBペルオキシダーゼ色素発生基質(KPL, Gaithersburg, MD)を使用して検出した。
FGF/FGFR3相互作用に対するFGFR3への抗体の効果を試験するために、FGFR3−Fcキメラタンパク質を、抗ヒト免疫グロブリンFcγ断片-特異的抗体(Jackson Immunoresearch, West Grove, PA)にてコートしたMaxisorpプレート上に捕獲させた。洗浄後、漸増濃のFGFR3抗体をプレートに添加し、30分間インキュベートした。次いで、FGF1又はFGF9およびヘパリンを加えて室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄して、ビオチン化FGF1特異的ポリクローナル抗体(BAF232)又はビオチン化FGF9抗体(BAF273、R&D Systems)とともに1時間インキュベートし、その後ストレプトアビジン-HRPおよびTMBにて検出した。
Ba/F3−FGFR3安定細胞の生成
完全長ヒトFGFR3 IIIb又はIIIcをコードするcDNAを、pQCXIPベクター(Clontech Laboratories, Mountain View, CA)にクローニングし、pQCXIP-FGFR3−IIIb又はIIIcを生成した。特定の突然変異、すなわちR248C、S249C、G372C、Y375CおよびK652Eは、QuickChange(Stratagene, La Jolla, CA)によりcDNAに導入した。野生型又は変異型FGFR3を発現するBa/F3安定細胞を生成するために、様々なpQCXIP-FGFR3コンストラクトを、VSV−Gプラスミド(Clontech Laboratories)によりパッケージ細胞GP2-293に同時形質移入した。2μg/mlのピューロマイシンにて2週間かけて選別した後、野生型又は変異型FGFR3を発現する細胞を、フィコエリトリンコンジュゲート抗ヒトFGFR3 mAb(FAB766P、R&D Systems)にて染色し、機能的アッセイのために蛍光標示式細胞分取器(FACS)似て選別した。96ウェルマイクロタイタープレートの細胞増殖アッセイに、以下の細胞密度を用いた:野生型FGFR3−IIIbおよびFGFR3−K652Eを発現する細胞には5000の細胞/ウェル;残りは10000の細胞/ウェル。細胞は、10%ウシ胎児血清、10ng/ml FGF1さらに10μg/ml ヘパリンを添加したRPMI1640(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)に播いた。R3Mabは示した濃度で添加し、FGFR3−IIIb実験では2000〜0.49ng/ml(4倍の階段希釈)、FGFR3−IIIc実験では5000〜1.2ng/ml(4倍の階段希釈)のマウスハイブリドーマFGFR3抗体を添加した。72時間のインキュベートの後、細胞生存率をCellTiter-Glo (Promega, Madison, WI)にて評価した。
細胞増殖アッセイ
RT112、RT4およびTCC−97−7細胞の増殖アッセイのために、3000細胞/ウェルを96ウェルマイクロタイタープレートに播き、終夜をかけて接着させた。次いで培地を、示した濃度のコントロール又はR3Mabを有する低血清培地(0.5%FBS)と交換した。4日間インキュベートした後、1μCiの[メチル-H]チミジン(PerkinElmer, Waltham, MA)を各ウェルに添加し、更に16時間インキュベートした。細胞は、パッカードFiltermate回収器を使用してUniFiltersへ移し、増殖する細胞のゲノムDNAに取り込まれる[H]-チミジンをTopCount(PerkinElmer)を使用して測定した。場合によって、細胞生存率は、抗体とともに4日間インキュベートした後にCellTiter-Glo(Promega)にて評価した。値は4つの平均+/−SEとして表した。
クローン増殖アッセイ
細胞コロニー形成能に対するR3Mabの効果は、すでに記述されているプロトコール(50)に従って評価した。簡単にいえば、400のUMUC-14細胞は、10%ウシ胎児血清を添加したDMEM培地を含む6ウェルプレートに播き、終夜をかけて接着させた。次いで、0.1%BSA培地に希釈したR3Mab抗体又はコントロール抗体は、10μg/mlの終濃度になるように加えた。等量の0.1%BSA培地単独(Mock)を他のコントロールとして使いた。コントロール群の細胞が十分に大きなコロニーを形成するまで、細胞はおよそ12日間インキュベートした。コロニーは0.5%クリスタルバイオレットにて染色し、コロニーの数およびサイズをGelCount(Oxford, UK)を使用して数量化した。直径120μmより大きなコロニー数は平均+/−SEM(n=12)として表した。
免疫沈降およびイムノブロッティング分析
FGFR3シグナル伝達に対する抗体の効果を調べるために、細胞は、処置を開始する前に無血清培地中で終夜をかけて飢餓状態にした。細胞は、0.1%BSA(w/v)、RPMI1640培地に希釈した抗体、または0.1%BSA培地単独(Mock)とともにインキュベートした。37℃で3時間の後に、FGF1(15ng/mlの終濃度)およびヘパリン(5〜10μg/mlの終濃度)を試料の半分に添加した。コントロールとして、同量のヘパリン単独を残りの半分に加えた。インキュベートを10分間続けた。吸引によって上清を取り除き、細胞は、氷温のPBSにて洗浄し、1mMのオルトバナジウム酸ナトリウムおよび完全プロテアーゼインヒビター反応混液(Roche Applied Science, Indianapolis, IN)を添加したRIPAバッファ(Upstate, Charlottesville, VA)に溶解した。溶解物は、遠心分離法によって不溶性物質を取り除いた。
FGFR3は、ウサギポリクローナル抗体(sc-123、Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)を使用して免疫沈降し、ナトリウムドデシル-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)およびウエスタンブロットにて分析した。リン酸化されたFGFR3はホスホチロシンに対するモノクローナル抗体(4G10、Upstate)にて評価した。総FGFR3はFGFR3に対するモノクローナル抗体(sc-13121、Santa Cruz Biotechnology)によって探索した。FGFR3シグナル伝達経路のリン酸化および活性化は以下の抗体を使用して探索した:抗FGFRY653/654、抗FRS2αY196、抗ホスホp44/42 MAPKT202/Y204、抗総p44/42 MAPKおよび抗AKTS473は、Cell Signaling Technology (Danvers, MA)から入手し、抗総FRS2α(sc-8318)はSanta Cruz Biotechnology (Santa Cruz, CA)から購入した。ブロットは、化学発光基質(ECL Plus, Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)を使用して視覚化した。
抗体エピトープマッピング
R3Mabのエピトープを決定するために、13の重なり合うペプチド(各々15アミノ酸の長さ)を、ヒトFGFR3の細胞外ドメインの残基138〜310をカバーするように合成した。ペプチドは、C末端でビオチン化し、終夜をかけてストレプトアビジンプレート(Pierce, Rockford, IL)に捕獲させた。PBS/3%BSAにてブロックした後、プレートは、R3Mabとともにインキュベートし、HRPコンジュゲート抗ヒトIgG(Jackson Immunoresearch)及びTMBペルオキシダーゼ色素発生基質(KPL, Gaithersburg, MD)を用いて検出した。
マウス抗ヒトFGFR3ハイブリドーマ抗体1G6、6G1および15B2をELISAアッセイにて試験し、それらの結合エピトープを同定した。1G6、6G1および15B2はヒトFGFR3 IgD2−IgD3(IIIbおよびIIIcアイソフォームの両方)に結合するのに対して、5B8はヒトFGFR3−IIIbのIgD2−IgD3を結合するのみである。競合アッセイでは、1G6、6G1および15B2はおのおの競合してヒトFGFR3を結合したことから、1G6、6G1および15B2が重なり合うエピトープを有することを示唆する。ハイブリドーマ抗体のいずれもがファージ抗体184.6と競合しなかったことから、ハイブリドーマ抗体が184.6とは異なるエピトープ(一又は複数)を有することを示唆する。
マウス抗FGFR3抗体1G6、6G1および15B2の調製および分子クローニング
BALB/cマウスは、一リン酸化リピドA/トレハロースジコリノミコレートアジュバント(Corixa, Hamilton, MT)に再懸濁した2.0μgのFGFR3−IIIb(rhFGFR3(IIIB)/FCキメラ(R&D Systems、カタログ#1264-FR、ロット#CYH025011)、又は2.0μgのFGFR3−IIIc(rhFGFR3(IIIc)/Fcキメラ、R&D Systems、カタログ#766-FR、ロット#CWZ055041)を、週に2回各々の後足蹠に投与して12回免疫化した。最終抗原投与の3日後に、電気的融合(Hybrimune, Cyto Pulse Sciences, Glen Burnie, Maryland)により、膝窩リンパ節をマウス骨髄腫細胞株P3X63Ag.U.1と融合した。融合したハイブリドーマ細胞は、ClonaCell(登録商標)ハイブリドーマ選別キット(StemCell Technologies, Inc., Vancouver, BC, Canada)のメディウムDのヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)選別を使用して融合していない膝窩節又は骨髄腫細胞から選択した。はじめにELISAによって培養物上清をFGFR3−IIIbおよびFGFR3−IIIcと結合する能力についてスクリーニングし、次に対象のハイブリドーマを、形質移入したFGFR3−IIIb Ba/F細胞およびコントロールBa/Fに対するFACSによってその染色能についてスクリーニングした。次いで選択したハイブリドーマは限界希釈にてクローニングした。
RNeasyミニキット(Qiagen, Germany)を用いてマウス抗ヒトFGFRIIIモノクローナル抗体1G6および15B2を生産するハイブリドーマ細胞から総RNAを抽出した。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)ドメインは以下の変性プライマーによるRT−PCRを使用して増幅した:
1G6:
軽鎖(LC)フォワード:5'-GTCAGATATCGTKCTSACMCARTCTCCWGC-3'(配列番号:195)
重鎖(HC)フォワード:5'-GATCGACGTACGCTGAGATCCARYTGCARCARTCTGG-3'(配列番号:196)
6G1:
軽鎖(LC)フォワード:5'-GTCAGATATCGTGCTGACMCARTCTCC-3'(配列番号:197)
重鎖(HC)フォワード:5'-GATCGACGTACGCTGAGATCCARYTGCARCARTCTGG-3'(配列番号:198)
15B2:
軽鎖(LC)フォワード:5'-GTACGATATCCAGATGACMCARTCTCC-3'(配列番号:199)
重鎖(HC)フォワード:5'-GATCGACGTACGCTGAGATCCARYTGCARCARTCTGG-3'(配列番号:200)
3つすべてのクローンの軽鎖および重鎖リバースプライマーは以下のとおりである:
軽鎖リバース:5'-TTTDAKYTCCAGCTTGGTACC-3'(配列番号:201)
重鎖リバース:5'-ACAGTGGGCCCTTGGTGGAGGCTGMRGAGACDGTGASHRDRGT-3'(配列番号:202)。
フォワードプライマーは、VLおよびVH領域のN末端アミノ酸配列に特異的であった。LCおよびHCのリバースプライマーは、定常軽鎖(CL)および定常重鎖ドメイン1(CH1)の領域にそれぞれアニールするように設定し、これらは種間で高く保存されている。
増幅されたVLは、ヒトκ定常ドメインを含むpRK哺乳動物細胞発現ベクター(Shields et al, (2000) J. Biol. Chem. 276:659)にクローニングした。増幅されたVHは、完全長ヒトIgG1定常ドメインをコードするpRK哺乳動物細胞発現ベクターに挿入した。重鎖および軽鎖の配列は従来法を使用して決定した。
結晶化、構造測定および分子構造精密化
ヒトFGFR3−IIIb ECD(残基143−374)は、pAcGP67Aベクター(BD Bioscience, San Jose, CA)にクローニングし、T.niプロ細胞で生産させ、Ni-NTAカラムの後にサイズ排除クロマトグラフィを用いて精製した。R3Mab Fabは、大腸菌で発現させ、プロテインGアフィニティーカラム、SPセファロースカラムおよびSuperdex75カラムにより順に精製した。Fab−FGFR3複合体は、過剰量のFGFR3 ECDとともにFabをインキュベートすることによって生成し、次いでその複合体を脱グリコシル化し、20mM TrisCl pH7.5および200mM NaClバッファのSuperdex-200サイズカラムにより精製した。複合体含有分画をプールし、20mg/mlまで濃縮し、結晶化実験に使用した。構造測定に使用する結晶は、蒸気拡散法を使用して4℃で以下の条件:0.1M カコジル酸ナトリウム pH6.5、40%MPDおよび5%PEG8000で大きくした。データは、HKL2000およびScalepack(56)を使用して処理した。構造は、プログラムPhaser(57)および1RY3(FGFR3)と1N8Z(Fab断片)の座標を用いた分子置換により解析した。モデルはプログラムCoot(58)を用いて完了し、構造はプログラムRefmac(59)にて20.4%/24.3%のR/Rfreeへ精密化した。座標および構造因子は受入コード3GRWによりタンパク質データバンクに寄託し、2009年3月25日に出願のUSSN第61/163222号にも開示される。その内容は出典明記によってここに援用される。
ADCCアッセイ
ヒトのPBMCは、ヘパリンで凝血防止した血液のフィコール勾配遠心分離法によって単離し、ADCCは、標的として多発性骨髄腫細胞株OPM2又はKMS11ないしは膀胱癌細胞株RT112又はUMUC−14を、エフェクター細胞としてPBMCを、1:100の標的:エフェクター比率で用いて測定した。標的細胞(10000細胞/ウェル)は、R3Mab又はコントロールヒトIgG1にて37℃で4時間かけて処理した。細胞障害性は、製造業者の指示(Promega, Madison, WI)に従ってCytoTox-ONE 均一メンブラン完全性アッセイを使用してLDH放出を測定することによって決定した。結果は、式:細胞障害性(%)=[(実験上の細胞溶解−実験上の自然発生的な細胞溶解)/(標的最大細胞溶解−標的自然発生的な細胞溶解)]×100を使用して特異的な細胞溶解の割合として表す。式中、自然発生的な細胞溶解は抗体がない場合の非特異的な細胞溶解であり、標的最大細胞溶解は1%トリトンX−100によって誘導される。
結果
FGFR3の誘導可能なshRNAノックダウンはインビボで膀胱癌増殖を低減する
インビボの膀胱腫瘍増殖についてのFGFR3の重要性を評価する前段階として、発明者等はインビトロでのFGFR3ノックダウンの効果を調べた。いくつかのFGFR3小干渉(si)RNAは、WT(RT112、RT4、SW780)又は変異型(UMUC-14、S249C突然変異)のFGFR3を発現する膀胱癌細胞株のFGFR3を効率良く下方制御した。4つすべての細胞株でのFGFR3ノックダウンは、培養物中の増殖を有意に抑制した(図15)。次に、発明者等は、ドキシサイクリン誘導FGFR3 shRNAを発現するRT112安定細胞株を生成した。ドキシサイクリンによって3つの独立したFGFR3 shRNAを誘導するとFGFR3発現が減少したのに対し、EGFPを標的とするコントロールshRNAの誘導は効果を示さなかった(図7A)。外因性FGFの非存在下では、ドキシサイクリン処置により、異なるFGFR3 shRNAを発現する細胞による[H]-チミジン取込みが減少したがコントロールshRNAでは減少しなかったことから(図7B)、FGFR3ノックダウンが増殖を阻害することが確認された。さらに、指数的に成長するRT112細胞の分析から、ドキシサイクリンによる72時間の処置によってFGFR3をノックダウンすると、細胞周期のS及びG2期の細胞の割合が顕著にかつ特異的に減少し、同時にG1期の細胞が増加したことが明らかとなった(図7C)。2つの他のFGFR3 shRNAによっても同様な効果が観察された(図16A)。標準以下のジプロイドDNAを含む細胞の有意な数は検出されなかったことから、アポトーシスレベルは変化しないことが示唆される。したがって、RT112細胞の増殖に対するFGFR3ノックダウンの阻害作用は、主に細胞周期進行の減衰による。
次に、発明者等は、マウスにおいて定着したRT112腫瘍異種移植片の増殖に対するFGFR3ノックダウンの効果を評価した。FGFR3ノックダウンは腫瘍増殖を実質的かつ特異的に抑制した(図7D、上パネルおよび図16B)。45日目の腫瘍試料の分析から、コントロールshRNAと比較して、FGFR3 shRNAのドキシサイクリン誘導による有効なFGFR3ノックダウンが確認された(図7D、下パネル)。これらの結果は、FGFR3がRT112膀胱癌細胞の増殖にとってインビトロ及びインビボの両方においてきわめて重要であることを示す。
ブロック用抗FGFR3モノクローナル抗体の生成
さらに腫瘍増殖におけるFGFR3の重要性を調べ、治療的標的としてのこのレセプターの能力を調べるために、発明者等は、ファージディスプレイ手法を使用して拮抗性抗FGFR3モノクローナル抗体(R3Mabともいう)を発達させた。発明者等は、リガンド結合とFGFR3による二量体化の両方をブロックする能力、及びWT FGFR3だけでなくこのレセプターの最も一般的な癌関連突然変異体を阻害する固有の能力に基づいて、この特定の抗体を選択した(下記参照)。R3MabはFGFR3の細胞外IgD2及びIgD3ドメインを標的とする。FGFR3の細胞外IgD2及びIgD3ドメインはFGF結合に必要かつ十分である(4)。R3Mabは、ヒトFGFR3のIIIbおよびIIIcアイソフォームを結合したが、FGFR1、FGFR2又はFGFR4への検出可能な結合を示さなかった(図8A)。Biacore分析は、R3Mabがネズミ科、カニクイザルおよびヒトのFGFR3−IIIcに対して類似する見かけの親和性があったことを示した(データは示さない)。ヒトFGFR3に対するR3Mabの親和性を表2に示す。
Figure 2012521759
次に、発明者等は、FGF1およびFGF9へのFGFR3結合をブロックするR3Mabの能力を試験した。R3Mabは、FGFR3−IIIb及び−IIIcへのFGF1の結合を強く阻害し、その最大半量阻害濃度(IC50)はそれぞれ0.3nMおよび1.7nMであった(図8B、C)。同様に、R3Mabは、FGFR3−IIIb及び−IIIcへのFGF9結合をに効率良くブロックし、そのIC50はそれぞれ1.1nMおよび1.3nMであった(図8D、E)。
R3MabはWT FGFR3およびその最も一般的な癌関連変異体を阻害する
R3MabがWT又は変異型FGFR3によって促される細胞増殖を阻害するか否かを調べるために、発明者等は、マウスのプロB細胞Ba/F3内の異所性FGFR3発現がインターロイキン(IL)-3非依存的、FGF1依存的な増殖及び生存をもたらすという所見を利用した(29)。FGF1およびIL−3の非存在下では、WT FGFR3を安定して発現するBa/F3細胞は生存可能でなかったのに対し、FGF1は大いにそれらの増殖を亢進した(図9A)。R3Mabは、用量依存的様式でFGF1刺激Ba/F3−FGFR3細胞増殖を特異的に遮断した(図9A)。次に、発明者等は、これらの細胞におけるFGFR3シグナル伝達に対するR3Mabの影響を評価した。FGF1はFGFR3のリン酸化と活性化及びp44/42 MAPKの同時活性化を誘導したのに対し、R3Mabは両分子の活性化を効果的に抑制した(図9B)。
膀胱癌では、FGFR3の体細胞活性化突然変異は、IgD2とIgD3間のリンカー領域、細胞外膜近傍ドメイン又はキナーゼドメイン内にクラスター化している(図9C)。細胞外ミスセンス置換は、多くの場合不対のシステインを引き起こし、FGFR3のリガンド非依存性二量体化が生じる。これらの突然変異によって、おそらく細胞質のキナーゼドメインの方向に対して差動性の影響があるために、有意に異なるレベルの恒常的FGFR3活性化が生じる(30、31)。最も頻度が高い突然変異は、S249C、Y375C、R248C、G372CおよびK652Eであり、これらは合わせて膀胱癌(32)のすべてのFGFR3突然変異の98%を占める。発明者等は、最適な治療薬は、特定の癌において過剰発現しているWT FGFR3タンパク質だけでなく、最も一般的な腫瘍関連FGFR3変異体も遮断すべきであると結論付けた。さらにR3Mabを評価するために、発明者等は、各々の5の最も一般的なFGFR3変異体変異体を安定して発現しているBa/F3細胞株を生成した。すべての変異体は細胞表面に類似するレベルで発現され、システイン変異体はリガンドなしで自発的に二量体化した(データは示さない)。異なるシステイン変異体を発現する細胞株は、FGF1に対して可変性の増殖応答を示し、これは以前の所見と一致していた(30、31)。既に報告される(33)ように、FGFR3R248Cを発現する細胞は恒常的、リガンド非依存性の増殖を表し、FGF1には応答性でない(図9D)。同様に、最も頻度の高い突然変異であるFGFR3S249Cは、リガンド非依存性の増殖をもたらした(図9E)。注目すべきことに、R3Mabは、どの変異体が促す恒常的増殖であっても抑制した(図9D、E)。膜近傍ドメイン突然変異FGFR3G372C(図9F)又はFGFR3Y375C(図9G)を発現する細胞は増殖のためにFGF1を必要とし、それらの増殖はR3Mabによって完全に遮断された。FGFR3K652Eを発現する細胞は、弱いリガンド非依存性の増殖と、FGF1に応答した有意な増殖を示した(33)。R3Mabは、FGFR3K652Eの弱い基礎活性に影響しなかったが(データは示さない)、この変異体によって媒介されるリガンド誘導性増殖をほとんど無効にした(図9H)。ゆえに、R3Mabは、FGFR3のWTおよび一般的な癌関連変異体を阻害する固有の能力を有する。さらに、R3Mabは検出可能なアゴニスト活性を示さなかった。
別の取り組みとして、発明者等は、複数のマウス抗ヒトFGFR3ハイブリドーマ抗体を生成し、特徴付けした。ハイブリドーマ抗体はいずれも発明者等が試験した癌関連FGFR3変異体を全く阻害せず(図17)、それらはR3Mabとエピトープが重なっていなかった。
さらに、すべてのハイブリドーマ抗体は、癌関連のFGFR3変異体であるR248CおよびS249Cの増殖を強く刺激し、そして、変異体Y375CおよびG370Cの増殖をいくらか刺激する、アゴニスト活性を示した。試験するFGFR3変異体に応じて、ハイブリドーマ抗体は、以下のような異なるレベルのアンタゴニストおよびアゴニスト活性を示した。
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ゆえに、ハイブリドーマ抗体は、様々なFGFR3変異体によって促されるBa/F3細胞増殖に対して予測不可能な差動的効果を示した。
マウス抗ヒトFGFR3ハイブリドーマ抗体の特徴付け
マウス抗ヒトFGFR3ハイブリドーマ抗体は、以下の通りにさらに特徴付けされた。
(1) ヒトFGFR3−IIIbおよびIIIcアイソフォームへのFGF1結合を阻害する、抗FGFR3マウスハイブリドーマ抗体の能力を試験するためのアッセイにおいて、抗体1G6、6G1および15B2は、用量依存的様式でヒトのFGFR3−IIIbおよびIIIcアイソフォームへのFGF1の結合を遮断することができた。およそ2000〜0.49ng/mlの抗体濃度範囲を試験したところ、抗体1G6、6G1および15B2は、0.69、0.87および0.72nMのIC50値でFGFR3−IIIbへのFGF1結合を遮断した。およそ5000〜1.2ng/mlの抗体濃度範囲を試験したところ、抗体1G6、6G1および15B2は、それぞれ0.57、3.4および0.7nMのIC50値でFGFR3−IIIcへのFGF1結合を遮断した。
(2) ヒトのFGFR3−IIIbおよびIIIcアイソフォームへのFGF9結合を阻害する、抗FGFR3マウスハイブリドーマ抗体の能力を試験するためのアッセイにおいて、抗体1G6、6G1および15B2は、用量依存的様式でヒトのFGFR3−IIIbおよびIIIcアイソフォームへのFGF1の結合を効果的に遮断した。およそ2000〜0.49ng/mの抗体濃度範囲を試験したところ、抗体1G6、6G1および15B2はそれぞれ0.13、0.16および0.07nMのIC50値でFGFR3−IIIbへのFGF9結合を遮断した。およそ5000〜1.2ng/mlの抗体濃度範囲を試験したところ、抗体1G6、6G1および15B2はそれぞれ0.13、0.11および0.07nMのIC50値でFGFR3−IIIcへのFGF9結合を遮断した。
(3) 完全長抗FGFR3マウスハイブリドーマ抗体1G6、6G1および15B2の結合親和性はBiacore分析を使用して決定した。この分析の結果を表3に示す。
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(4) ヒトのFGFR3−IIIb又はIIIcによって促されるBa/F3細胞増殖を阻害する、抗FGFR3マウスハイブリドーマ抗体の能力を試験するためのアッセイにおいて、抗体1G6、6G1および15B2は、用量依存的様式でヒトのFGFR3−IIIb又はIIIcによって促されるBa/F3細胞増殖を遮断することができた。およそ0.01〜100ug/mlの抗体濃度範囲を試験したところ、抗体1G6、6G1および15B2は、それぞれ3〜5nM、3nMおよび6〜8nMのIC50値でFGFR3−IIIbによって促されるBa/F3細胞増殖を遮断し、それぞれ10〜35nM、24nMおよび60nMのIC50値でFGFR3−IIIcによって促されるBa/F3細胞増殖を遮断した。
(5) ヒトFGFR3−IIIbを発現するBa/F3細胞のFGF1誘導性シグナル伝達を阻害する、抗FGFR3マウスハイブリドーマ抗体の能力を試験するためのアッセイにおいて、およそ0.25〜6.75ug/mlの抗体濃度範囲を試験したところ、抗体1G6、6G1および15B2は用量依存的様式でヒトFGFR3−IIIbを発現するBa/F3細胞のFGF1誘導性シグナル伝達を遮断することができた。この実験には25ng/mlのFGF1を用いた。FGF1の非存在下では、抗体処置はFGFR3活性化に対して影響がなかった。
(6) ヒトFGFR3−IIIcを発現するBa/F3細胞のFGF1誘導性シグナル伝達を阻害する、抗FGFR3マウスハイブリドーマ抗体の能力を試験するためのアッセイにおいて、およそ0.25〜6.75ug/mlの抗体濃度範囲を試験したところ、抗体1G6、6G1および15B2は用量依存的様式でヒトFGFR3−IIIcを発現するBa/F3細胞のFGF1誘導性シグナル伝達を遮断することができた。この実験には25ng/mlのFGF1を用いた。FGF1の非存在下では、抗体処置はFGFR3活性化に対して影響がなかった。
R3MabとFGFR3との相互作用のための構造基準
FGFR3との相互作用のR3Mabの機序をより深く理解するために、発明者等は、FGFR3−IIIb IgD2及びD3の領域にわたっている13の重なり合うペプチドのパネルを合成し、R3Mabへのそれらの結合を試験した。ペプチド3(残基164−178)および11(残基269−283)はR3Mabへの特異的な結合を示し、ペプチド3は強い相互作用を有していた(図10A)ことは、FGFR3上の対応する領域がR3Mabによる認識のために重要であることを示唆する。FGF2と複合体化したFGFR1の以前の結晶学的試験から、FGF及びヘパリンへの直接結合並びにレセプター二量体化に関与する重要なレセプター残基が同定された(34)。FGFR1の機能的に重要な部位とFGFR3ペプチド3および11のアラインメントにより、これらのペプチドが、直接のFGF2結合、レセプター二量体化、並びにヘパリンとの相互作用に必須な対応するFGFR1残基を包含することが明らかとなった(図10B)。これらのデータは、FGFR3上のR3Mabのエピトープがリガンド会合およびレセプター-レセプター相互作用に関与するレセプター残基とオーバーラップすることを示す。
次に発明者等は、R3MabのFab断片とヒトFGFR3−IIIbの細胞外IgD2−D3領域の間の複合体を結晶化させ、2.1Å分解能のX線構造を決定した(図10C、D;表4)。この複合体において、溶媒にアクセス可能な表面領域のおよそ1400Å2および1500Å2はそれぞれ、FGFR3およびFabに埋没されている。埋没した界面のおよそ80%がIgD2を含むのに対し、残りはリンカーおよびIgD3領域を伴う。複合体のFab側では、埋没した界面のおよそ40%は相補性決定領域(CDR)-H3、20%はCDR-H2、20%はCDR-L2を伴っており、他のCDRおよびフレームワーク残基はわずかに寄与している。特に、CDR-H3のアミノ酸(AA)は2つのβ鎖を形成し、これはIgD2のβシートを伸展する(図10D)。様々な二量体FGF:FGFR複合体において以前に同定されているように(例えば、PDBコード1CVS(34);及び、図10C、灰色/斜交平行模様及び濃い灰色の領域)、Fabは、FGFR3のFGF結合部位を構成するAA、並びにレセプター二量体化界面を形成する残基と相互作用する。結晶学によって同定される相互作用界面は、ペプチドに基づくデータと十分に一致していた(図18A、B)。まとめると、これらの結果から、R3Mabがどのようにリガンド結合を阻害しているかが明らかとなり、さらにFGFR3に対するR3Mabの結合がレセプター二量体化を妨げうることが示唆される。R3Mabと接触するFGFR3アミノ酸を表5に示す。この構造についての結晶学的座標は受入コード3GRWでタンパク質データバンクに受託されている。
Figure 2012521759
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発明者等は、R3Mab-FGFR3構造を、FGF1と複合体になったFGFR3−IIIcの既に公開されている構造と比較した(4、35)(図10E、10F)。抗体−レセプターとリガンド−レセプター複合体を重ね合わせると、FGFR3−IIIcとFGFR3−IIIbを区別する領域を除き、個々のレセプタードメイン内に主要な立体配座的相違はないことが明らかとなった。しかしながら、IgD2と比較したときのIgD3の定位は大きく異なっていた(図10E、白と灰色;図10F、白と灰色の網模様)。IgD2およびIgD3の相対的位置がリガンド結合に重要であるので、R3Mab結合によりIgD3が取る選択的立体構造により、FGFR3とのリガンド相互作用を妨げるための更なるメカニズムがあるかもしれない。
R3Mabは、膀胱癌細胞の内在性WTおよび変異型FGFR3を阻害する
R3Mabが膀胱癌細胞においてFGFR3機能を抑制しうるか否かを評価するために、発明者等は最初にWT FGFR3を発現するRT112およびRT4細胞株を調べた。R3Mabは、RT112細胞による[H]-チミジン取込みを強く阻害し(図11A)、RT4細胞増殖の中程度ではあるが有意な抑制を示した(図19A)。FGFR3活性化に対するR3Mabの効果を調査するために、発明者等は、RT112細胞におけるFGFR3のリン酸化を調べた。Ba/F3−FGFR3細胞の結果(図9B)と一致して、R3MabはFGF1誘導性FGFR3リン酸化を顕著に低減した(図11B)。次に発明者等は、FGFR3シグナル伝達の3つの下流メディエーターであるFRS2、AKTおよびp44/42 MAPKのリン酸化を調べた。FGF1はRT112細胞においてこれら分子を強く活性化したのに対して、R3Mabはこの活性化を有意に低減した(図11B)。同様に、R3Mabは、RT4細胞におけるFGFR3とMAPKのFGF1誘導性リン酸化を抑制した(図19B)。
次に発明者等は、R3Mabがヒトの膀胱癌細胞の内在性変異型FGFR3の活性化を阻害することができるか否かを調査した。S249Cは、膀胱癌において最も頻度の高いFGFR3突然変異である(図9C)。2つの入手可能な細胞株であるUMUC-14およびTCC−97−7は、変異したFGFR3S249C対立遺伝子を持つ(文献 36、データは示さない)。R3Mabは培養中のUMUC-14細胞の指数的増殖に影響しなかったが(データは示さない)、これらの細胞のクローン増殖を有意に低減した(図11C)。具体的には、R3Mabは、直径120μmより大きなコロニーの数をコントロール抗体と比較しておよそ77%低減した(図11D)。さらに、R3Mabは、培養中のTCC−97−7細胞による[H]-チミジン取込みを阻害した(図19C)。
S249C突然変異は、FGFR3のリガンド非依存的活性化を起こすことが報告されている(26、30)。実際、FGFR3S249CはUMUC-14細胞およびTCC−97−7細胞のFGF1処理に関係なく恒常的にリン酸化されたのに対して、R3Mabは両細胞株においてコントロール抗体と比較してFGFR3S249Cの恒常的リン酸化を低減した(図11E、19D)。
R3MabはFGFR3S249Cによる二量体形成を阻害する
膀胱癌細胞の恒常的FGFR3S249Cシグナル伝達および増殖を阻害するR3Mabの能力は驚くべきであったことから、この変異体はジスルフィド結合した、リガンド非依存的二量体化を経ると考えられる(26、30)。R3MabがFGFR3S249Cをどのように阻害するかを調べるために、発明者等は、UMUC-14細胞におけるこの変異体のオリゴマー状態に対するR3Mabの効果を調べた。還元条件下で、FGFR3S249Cは、およそ97kDaの単一バンドとして移動し、これは単量体のサイズと一致している(図12A)。非還元条件下で、コントロール抗体にて処理した細胞では、FGFR3S249Cの大きな分画が、FGF1の添加にかかわらずおよそ200kDaのバンドとして出現した。このバンドは恒常的二量体状態を示す(図12A)。R3Mab処理は、実質的に二量体の量を減少させ、同時に単量体を増加させた(図12A)。FGF1処理とは関係なく常に、R3Mabは、TCC−97−7細胞におけるFGFR3S249C二量体のレベルを低減した(図19E)。
R3Mabは膀胱癌細胞におけるFGFR3S249C二量体レベルをどのように低下させるのであろうか。一つの仮説は、抗体が誘導するFGFR3内部移行によりFGFR3S249C二量体を、エンドソーム又はライソソームにより輸送を破壊する可能性である。発明者等は、エンドサイトーシスによる薬理的介入によってこの可能性を試験した。FGFR3S249C内部移行を実質的に遮断したにもかかわらず(図20A、B)、R3Mabは、様々なエンドサイトーシスインヒビターによって前処理したUMUC-14細胞の二量体の量を減少させた。ゆえに、R3Mabによる二量体破壊はエンドサイトーシスとは無関係である。他の仮説は、細胞性FGFR3S249Cが単量体−二量体が動的に平衡して存在する可能性である。したがって、単量体FGFR3S249Cに対するR3Mabの結合は、二量体形成を妨げることができ、このことにより単量体状態の方へ平衡が移る。この可能性を調べるために、発明者等は、非細胞浸透剤5,5'ジチオビス2−ニトロ安息香酸(DTNB)を使用した。この試薬は不対システインの遊離スルフヒドリル基と選択的に反応し、その基を遮断する(37)。DTNBによるUMUC-14細胞の処理により、二量体を犠牲にしてFGFR3S249C単量体の集積が引き起こされたことから(図12B)、FGFR3S249Cが単量体と二量体が動的に平衡した状態で存在することを示す。
R3Mabがこの平衡に影響するか否かを試験するために、発明者等は、FGFR3S249CのIgD2−D3ドメインを含む可溶性組換えタンパク質を生成し、サイズ排除クロマトグラフィにて二量体を単離した。発明者等は、非常に低い濃度の還元剤(25μMのDTT)の存在下で、バッファ又は抗体とともに二量体をインキュベートし、非還元条件下でのSDS-PAGEによってレセプターのオリゴマー状態を分析した。R3Mabは、mock又は抗体コントロールと比較して、およそ50kDaではなく、単量体のFGFR3S249Cを表すおよそ25kDaのバンドの出現を有意に促進した(図12C)。実際、二量体の減少は、R3Mabの存在下では2時間で実質的に完全となった。これらの結果は、R3Mabが、FGFR3S249Cの単量体と二量体の平衡状態を単量体の方へ移動することを示す。
R3MabはFGFR3下方制御を促進しない
発明者等は、FGFR3抗体処理細胞でのFGFR3内部移行と分解を分析することによって、FGFR3下方制御に対するR3Mab(クローン184.6.1)および抗FGFR3ハイブリドーマ抗体の効果を調べた。野生型FGFR3(RT112)又は変異型FGFR3(TCC97-7ではS249C)を発現する膀胱癌細胞株は、R3Mab又はハイブリドーマ抗体1G6又は6G1にて4〜24時間処理し、次いで、細胞溶解物を総FGFR3レベルのウエスタンブロット分析のために回収した。R3 Mabによる処理はFGFR3レベルを低減しなかったのに対して、ハイブリドーマmab 1G6および6G1による処理はFGFR3レベルを有意に低減した。これらの結果は、R3 MabはFGFR3下方制御を促進しなかったのに対して、mab 1G6および6G1はFGFR3レセプター内部移行と下方制御を促進したことを示唆した。異なる実験において、表面FGFR3レベルをFACS分析を使用して調べた。UMUC-14細胞(FGFR3 S249C突然変異を含む)をR3Mab(クローン184.6.1)にて24時間処理すると、細胞表面FGFR3レベルはわずかに増加した。これらの結果は、R3Mab処理がFGFR3下方制御を促進しなかったことを示す。
R3Mabは複数の腫瘍モデルにおいて増殖とFGFR3シグナル伝達を阻害する
次に発明者等は、インビボでの膀胱癌細胞の増殖に対するR3Mabの効果を調べた。発明者等は、nu/nuマウスにRT112細胞(WT FGFR3を発現するもの)を注射し、腫瘍をおよそ150mmの平均体積にまで大きくし、ベヒクル又はR3Mabを週2回動物に投薬した。27日目のコントロールと比較して、5又は50mg/kgのR3Mab処置はそれぞれ、腫瘍増殖をおよそ41%又は73%抑制した(図13A)。処置後48時間又は72時間に収集した腫瘍溶解物の分析は、R3Mabがリン酸化FRS2のレベルを顕著に低減したことを示した(図13B)。興味深いことに、総FRS2αタンパク質レベルはR3Mab処置腫瘍においても低かったことから、FGFR3阻害はさらにFRS2αの下方制御も引き起こすことが示唆される。また、R3Mabは、総MAPKレベルに影響することなく、腫瘍のリン酸化MAPKの量を下げた(図13B)。ゆえに、R3Mabは、WT FGFR3によるシグナル伝達を遮断すると同時にRT112腫瘍異種移植片の増殖を阻害する。
次に発明者等は、変異型FGFR3を発現する異種移植片の増殖に対するR3Mabの効果を調査した。R3Mab処置は、Ba/F3−FGFR3S249C腫瘍の進行を大きく低減した(図13C)。さらに、R3Mabは、UMUC-14膀胱カルチノーマ異種移植片の増殖を有意に阻害した(図13D)。R3Mabが生体内でFGFR3S249C活性化に影響を与えるかどうか評価するために、我々は、治療の後、24時間又は72時間集められる腫瘍溶解物のFGFR3S249C二量体のレベルを評価した。非還元条件下での、FGFR3S249C二量体の量は、コントロール群と比較してR3Mab処置腫瘍では実質的により低かったのに対して、還元条件下で検出される量で見ると、総FGFR3S249Cレベルはほとんど変化を示さなかった(図13E)。細胞培養物での結果に反して、腫瘍溶解物ではFGFR3S249C単量体の見かけの蓄積が観察されなかった(図13Eと12A)。これは、この試験で用いたウサギポリクローナル抗FGFR3抗体による非還元条件下での単量体FGFR3についての弱い検出感度によるものであるかもしれない(図21)。重要なことに、R3MabもUMUC-14腫瘍におけるMAPKのリン酸化および活性化を有意に阻害したことから(図13E)、R3MabはインビボでのFGFR3S249Cの活性を阻害することが示唆される。発明者等は、いずれのインビボ試験においても有意な体重喪失ないし他の全体的な異常を観察しなかった。さらに、マウスに行った安全性試験では、ヒト及びマウスのFGFR3の両方に対して同じ親和性で結合するR3Mabは、膀胱を含むいずれの臓器においても認められる毒性を示さなかった(データは示さない)。まとめると、これらのデータは、R3Mabに複数回曝すとマウスに十分な耐性ができることを示す。
多発性骨髄腫異種移植片モデルのR3Mabの抗腫瘍活性はADCCを伴う
R3Mabが多発性骨髄腫の治療的能力を持つか否かを評価するために、発明者等はまず、培養中の3つのt(4;14)+細胞株の増殖および生存に対するR3Mabの効果を試験した。UTMC-2細胞はWT FGFR3を持つが、OPM2およびKMS11はそれぞれK650EおよびY373C置換を持つ(7)。培養物では、R3Mabは、UTMC-2細胞のFGF9誘導性増殖を完全に抑止した(図22A)。R3Mabは、OPM2細胞の増殖を緩やかに阻害したが、KMS11細胞の増殖に対しては外見上効果を示さなかった(図22B、C)。UTMC-2細胞はマウスにおいて腫瘍を形成しないので、発明者等はOPM2およびKMS11腫瘍に対するR3Mabの有効性を評価した。R3Mabは、両細胞株の異種移植片腫瘍増殖をほぼ完全に無効化した(図14A、B)。
インビトロ及びインビボでのOPM2およびKMS11腫瘍細胞に対するR3Mabの活性の明らかな相違から、R3Mabは、これらFGFR3過剰発現腫瘍に対してFc媒介性免疫エフェクター機能を支持する可能性が示唆された。両細胞株は、補体経路の2つのインヒビターであるCD55およびCD59を高いレベルで発現する(データは示さない)。したがって、補体依存性細胞障害能は観察されなかった(データは示さない)。次いで、発明者等はADCCに注目した。抗体が標的細胞上のその抗原と結合し、そのFc領域を経て、免疫エフェクター細胞に発現されるFcγレセプター(FcγR)を係合する場合に、ADCCが生じる(38)。インビトロでADCCを試験するために、発明者等は、R3Mab又はコントロール抗体の存在下で、新たに単離したヒト末しょう血単核細胞(PBMC)とともにKMS11又はOPM2細胞をインキュベートした。R3Mabは、両骨髄腫細胞株に対して有意なPBMC細胞溶解活性を媒介した(図14C、D)。それに反して、R3Mabは、膀胱癌RT112又はUMUC-14細胞の細胞溶解を支持しなかった(図14E、F)。スキャッチャード分析によって測定されるように、多発性骨髄腫細胞は、膀胱カルチノーマ細胞株より実質的に多い細胞−表面FGFR3を発現する(細胞につきおよそ5〜6倍のレセプター;図23A、B)。
インビボでのR3Mabの活性へのADCCの寄与を調べるために、発明者等は、既に特徴付けしたD265A/N297A(DANA)突然変異を抗体のFcドメインに導入した。抗体のFcドメイン内のこの二重置換はFcγRへの結合を無効にし(39)、これが免疫エフェクター細胞の動員を妨げる。DANA突然変異は、インビトロでのFGFR3へのR3Mab結合もFGFR3活性の阻害も変更せず、マウスでのR3Mabの薬物動態も変化させなかった(データは示さない)。しかしながら、OPM2又はKMS11異種移植片に対するインビボ活性を実質的に無効化した(図14G、H)。それに反して、DANA突然変異は、RT112およびUMUC-14膀胱癌異種移植片に対するR3Mabの抗腫瘍活性を変更しなかった(図24A、B)。まとめると、これらの結果は、Fc依存的なADCCが、OPM2およびKMS11多発性骨髄腫異種移植片に対するR3Mabの有効性において重要な役割を果たすことを示唆する。
更なる異種移植片試験
R3Mab(クローン184.6.1N54S)は以下の通りにさらに特徴付けした。
(a) R3Mabは、基本的に上述のように、肝癌細胞株(Huh7)に基づいて腫瘍異種移植片モデルを使用してインビボ有効性について試験した。5mg/kgおよび30mg/kgの抗体濃度で試験すると、R3Mabはインビボで有意に腫瘍増殖を阻害した。腫瘍増殖は、コントロール動物の腫瘍増殖と比較しておよそ50%阻害された。
(b) R3Mabは、基本的に上述のように、FGFR3を発現した乳癌細胞株(Cal-51)に基づいて腫瘍異種移植片モデルを使用してインビボ有効性について試験した。この有効性試験の結果は、およそ1mg/kg〜100mg/kgの抗体濃度で試験すると、R3Mab抗体はインビボの腫瘍を阻害することが可能であったことを示した。腫瘍増殖は、コントロール動物の腫瘍増殖と比較しておよそ30%阻害された。
考察
予後の悪いt(4;14)+多発性骨髄腫患者とFGFR3過剰発現との間の関連および幾つかの実験モデルにおける活性型FGFR3の形質転換活性は、FGFR3を決定的な発癌駆動体として確立し、したがって、この血液悪性腫瘍における潜在的な治療標的として確立している。対照的に、膀胱癌腫におけるFGFR3の高頻度の変異および/または過剰発現の報告にもかかわらず、この上皮悪性腫瘍におけるFGFR3シグナル伝達の重要な役割は、インビボで確立されていない。さらに、膀胱癌におけるFGFR3の治療可能性は、未だ見出されていない。我々は、FGFR3による遺伝的または薬理学的介入が、マウスにおいて幾つかのヒト膀胱癌異種移植片の増殖を阻害することを示す。これらの結果は、FGFR3機能は、この設定において腫瘍増殖に決定的であることを実証し、このレセプターの発癌駆動体および膀胱癌における治療標的としての潜在的重要性を明示する。FGFR3機能の遮断は、WTまたは変異FGFR3いずれかの異種移植片発現の増殖を同様に阻害し、そのことにより、このレセプターの両方の形態が、膀胱腫瘍進行に有意に寄与し得ることを示唆する。膀胱癌におけるよりもずっと頻度が低いが、FGFR3変異または過剰発現は、他の充実性悪性腫瘍においても見出されていて、これらとしては、子宮頸癌(40)、肝細胞癌(41)および非小細胞肺癌(42、43)が挙げられ、さらなる種類の上皮癌に対するFGFR3の寄与の可能性を示唆する。
多様な悪性腫瘍におけるFGFR3の明らかな関与は、このレセプターを、標的治療の興味深い候補と考えられる。FGFR3キナーゼ活性を阻害し得る低分子化合物は記載されているが、FGFRファミリー内のキナーゼドメインの近密な相同性は、FGFR3選択的インヒビターの開発を妨げる。報告されたインヒビターの選択性の欠如は、特定の癌の種類の生物学に対するFGFR3の相対的な寄与を見分けることを困難にする;さらに、最大投薬レベルをキャッピングし、したがってFGFR3の最適阻害を限定することにより、安全性の義務を保持し得る。したがって、FGFR3の選択的かつ特異的標的化を達成するために、我々は、抗体ベースの戦略に立ち返る。我々は、最適な治療抗体は、WTをブロックし得るのみならず、FGFR3の癌関連突然変異にも打ち勝つことを証明する。さらに、FGFR3の二量体化はその活性化に決定的であるので、リガンド結合をブロックするのみならずレセプター二量体化を妨害する抗体が、より優れている場合がある。さらなる望ましい特性としては、Fc-媒介型エフェクター機能を支持する能力、および全長抗体の天然のフレームワークによって与えられる長い血清半減期が挙げられる。我々は、抗体分子を同定するための我々のスクリーニングおよび操作の努力に集中した。これは、これらの特徴全てを合わせて、R3Mabの発生へと導いた。結合研究は、R3Mabが、リガンドと競合してFGFR3のIIIbアイソフォームとIIIcアイソフォームとの両方と相互作用する能力を実証した。形質移入されたBaF/3細胞株によるさらなる実験は、R3MabがWTと蔓延している癌関連FGFR3変異体との両方をブロックする顕著な能力を確認した。さらに、R3Mabは、幾つかの膀胱癌の異種移植片モデル(この疾患における最も一般的なレセプターの変異体であるWTFGFR3またはFGFR3S249Cのいずれかを発現する)において、有意な抗腫瘍活性を働かせた。薬理動態学研究は、これらのモデルにおける抗腫瘍活性R3Mabは、FGFR3シグナル伝達の阻害に基づき、このことは、下流のメディエータFRS2αおよびMAPKの低減したリン酸化によって明らかである。これらのデータは、我々のFGFR3 shRNA研究によって実証されたとおり、FGFR3は膀胱癌進行に必要であるという結論をさらに補強する。
膀胱癌におけるFGFR3変異は、充実性悪性腫瘍におけるタンパクキナーゼの最も頻繁な発癌性改変の1つを表し、これは、メラノーマにおけるB-Rafの一般的な変異(45)を思い起こさせる。FGFR3における変異の活性化のほとんどは、不対のシステインを生じ、これは、リガンド非依存性レセプター二量体化および種々の程度の構成的活性化を導く。一価の抗FGFR3 Fabフラグメントを用いた以前の研究は、特定のFGFR3変異体に対する差次的阻害活性を示した(46);しかし、この可変の効果の分子基盤は、調査されていない。一価の抗体フラグメントと比較して、二価の抗体は、抗原のクラスター形成を誘導する能力を有し、レセプターチロシンキナーゼの場合には、レセプターオリゴマー化および活性化を引き起こし得る。全長の、二価の構造にもかかわらず、R3Mabは、WT FGFR3および広範な範囲のFGFR3変異体(リガンド依存的(FGFR3G372C、FGFR3Y375C)、構成的活性型(FGFR3R248C、FGFR3S249C)、またはその両方(FGFR3K652E)である改変体を含む)の普遍的な阻害を示す。これらの結果は、以下の疑問を引き起こす:いかにしてR3MabはWTと種々のFGFR3変異体(ジスルフィド結合改変体を含む)との両方に対して拮抗するのか?
FGFR1との配列アラインメントに基づき、R3Mabによって認識されるペプチドエピトープは、リガンドおよびヘパリンへの結合ならびにレセプター二量体化に関与するFGFR3残基と重なっている。この結論は、R3MabとFGFR3の細胞外領域との複合体の結晶学研究によって確認された。X線構造は、この抗体が、リガンド-レセプター相互作用ならびにレセプター-レセプター接触のために決定的であるIgD2およびIgD3の領域と結合する。したがって、R3Mabは、リガンド結合およびレセプター二量体化の妨害について、WT FGFR3の両方をブロックし得る。R3Mabは、FGFR3K652Eを阻害するために類似のメカニズムを使用し得る。FGFR3K652Eは、低い構成活性を有するが、リガンドに完全な活性化を要求する。さらに、R3Mab結合は、IgD2に関して、FGFR3 IgD3の相対的な配向を変える。この知見は、この抗体が、シグナル伝達に貢献しない構造を強いることによって、レセプター活性を阻害し得るという形式的な可能性(さらなる研究を必要とする概念)を惹起する。
いかにしてR3Mabが不対システインを有するFGFR3改変体をブロックするのかに関する識見をより得るために、我々は、最も一般的な変異体であるFGFR3S249Cを、より詳細に分析した。遊離のスルフヒドリルブロッカーDTNBによる実験は、FGFR3S249Cのモノマー状態とダイマー状態との間の動的平衡を示した。外因性の酸化還元調節因子によって調整される酸価状態と還元状態との間の類似の平衡が、NMDAレセプターについて報告されている(46)。FGFR3S249Cを発現している膀胱癌細胞のR3Mabと一緒のインキュベーションは、レセプターダイマーの量を低下させ、同時にモノマーのレベルを上昇させる。さらに、FGFR3S249Cの精製IgD2-D3フラグメントは、溶液中にダイマーを形成した;R3Mabと共にインキュベートした場合、ダイマーは、着実に消滅し、一方、モノマーFGFR3S249Cが蓄積した。構造分析と考えあわせると、これらの結果は、R3MabがモノマーFGFR3S249Cを捕捉し、その二量体化を阻害することを示唆する。時間経過と共に、R3Mabは、モノマー状態に向かう平衡に映り、構成的レセプター活性をブロックする。このメカニズムはまた、いかにしてR3MabがFGFR3の他のシステイン変異体を阻害するかを説明し得る。
本研究の別の重要な知見は、インビボにおけるt(4;14)+多発性骨髄腫細胞株OPM2およびKMS11に対するR3Mabの強力な抗腫瘍活性であった。対照的に、R3Mabは、培養におけるこれらの細胞の増殖または生存に対し、中程度から最小限までの影響を有した。OPM2細胞およびKMS11細胞は、FGFR3の比較的高い細胞表面レベルを発現する(RT112膀胱癌腫細胞およびUMUC-14膀胱癌腫細胞よりも5?6倍高い)。これらの高い抗原密度は、R3MabがFcγR-保有免疫エフェクター細胞の効率的な漸加およびADCCの活性化を支持することを許容し得る。実際、ヒトPBMCの存在下で、R3Mabは、OPM2細胞およびKMS11細胞の細胞溶解を媒介するが、RT112膀胱癌細胞またはUMUC-14膀胱癌細胞にはしなかった。さらに、FcγR結合ができないR3MabのDANA変異体版は、インビボでKMS11またはOPM2の増殖に影響を有さなかったが、R3Mabに類似のRT112腫瘍およびUMUC-14腫瘍の増殖はなお抑制する。合わせると、これらのデータは、R3Mabが抗腫瘍活性の二重メカニズムを有することを示す:(a)低い表面レベルのWTまたは変異体FGFR3を発現する細胞において、リガンド依存性シグナル伝達または構成的シグナル伝達をブロックする;(b)比較的高い表面FGFR3レベルを発現する細胞において、ADCCを誘導する。
我々の結果はまた、幾つかの新たな疑問を惹起する。第1に、本研究で試験された膀胱癌細胞株は、R3Mabに対して何故変動する感受性を示したのか分からない。このような差次的な反応は、標的治療において一般的であるが、個々の腫瘍の異なった遺伝的構造の反映であり得る。実際、Her2-陽性乳癌細胞は、抗-Her2抗体に対して変動する感受性を示し(48)、これは、抗-EGFR抗体に対する種々の癌細胞が示す(49)のと同様である。この文脈において、WTおよび変異体FGFR3を有する、膀胱癌についてのさらなるインビボモデルの開発が、動物におけるFGFR3分子に対する感受性を評価するために、緊急に必要である。さらに、予測的なバイオマーカーの解明は、FGFR3-標的治療より最適な利益を得ることができる患者を同定することを助け得る。第2に、R3Mabは我々が試験したモデルにおいて腫瘍回帰を誘導しないので、未来の研究は、R3Mabが確立した治療剤と恊働できるか否かを探求しなければならない。
結論において、我々の知見は、膀胱癌増殖に重要であるとしてWTおよび変異体FGFR3の両方に関係し、したがって、血液性悪性腫瘍から上皮性悪性腫瘍まで、インビボでのこのレセプターの発癌性の関与を拡張する。さらに、我々の結果は、WTおよび変異体FGFR3の両方が、腫瘍において完全長の抗体に効果的に標的化され得、この完全長の抗体は、リガンド結合、レセプター二量体化およびシグナル伝達をブロックする能力と、ADCCによる腫瘍細胞溶解を促進させる能力とを合わせることを実証する。これらの結果は、本レセプターに関連する多様な悪性腫瘍における抗体ベースのFGFR3-標的治療を調査するための、強力な理論的根拠を提供する。
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前述の本発明は、理解を明確にするために図と実施例とを挙げてある程度詳細に記述されているが、この記述及び実施例は本発明の範囲を制限するように解釈されるものではない。

Claims (24)

  1. (i) XがV又はDであり、XがV又はIであり、XがD、E又はSであり、XがT又はIであり、XがA又はSであり、XがV又はLである、配列RASQXA(配列番号:146)を含むHVR−L1、
    (ii) XがS又はGであり、XがA又はYである、配列XASFLXS(配列番号:147)を含むHVR−L2、
    (iii)XがG、S又はTであり、XがT、Y又はAであり、XがG、S、T又はAであり、XがA、H、D、T又はNであり、XがQ、P又はSであり、XがS、Y、L、P又はQである、配列QQXT(配列番号:148)を含むHVR−L3、
    (iv) X がS又はTであり、X がW、Y、S又はTであり、X がS、G又はTである、配列GFX FX TGIS(配列番号:149)を含むHVR−H1、
    (v) X がY、A、L、S又はTであり、X がA、Q、D、G、Y、S、N又はFであり、X がA、D又はGであり、X がT又はSであり、X がK、F、T又はSであり、X がY、H、N又はIである、配列GRIYPX YADSVKG(配列番号:150)を含むHVR−H2、及び、
    (vi) 配列ARTYGIYDLYVDYTEYVMDY(配列番号:151)を含むHVR−H3、
    を含む、単離された抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
  2. (i) HVR−L1が、XがV又はDであり、XがD又はSであり、XがT又はIであり、XがA又はSである、配列RASQXVXVA(配列番号:152)を含み、
    (ii) HVR−L3が、X がS、G又はTであり、X がY、T又はAであり、X がT又はGであり、X がT、H又はNであり、X がP又はSであり、X がP、Q、Y又はLである、配列QQX T(配列番号:153)を含み、及び/又は、
    (iii) HVR−H2が、X がT又はLであり、X がN、Y、S、G、A又はQであり、X がN又はHである、配列GRIYPX GSTX YADSVKG(配列番号:154)を含む、
    請求項に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
  3. (i) HVR−L1が配列RASQDVDTSLA(配列番号:87)を含み、
    (ii) HVR−L2が配列SASFLYS(配列番号:88)を含み、
    (iii)HVR−L3が配列QQSTGHPQT(配列番号:89)を含み、
    (iv) HVR−H1が配列GFTFTSTGIS(配列番号:84)を含み、
    (v) HVR−H2が配列GRIYPTSGSTNYADSVKG(配列番号:85)を含み、そして、
    (vi) HVR−H3が配列ARTYGIYDLYVDYTEYVMDY(配列番号:86)を含む、
    請求項1に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
  4. (i) HVR−L1が配列RASQDVSTAVA(配列番号:51)を含み、
    (ii) HVR−L2が配列SASFLYS(配列番号:52)を含み、
    (iii)HVR−L3が配列QQTYTTSLT(配列番号:53)を含み、
    (iv) HVR−H1が配列GFTFTSTGIS(配列番号:48)を含み、
    (v) HVR−H2が配列GRIYPLYGSTHYADSVKG(配列番号:49)を含み、そして、
    (vi) HVR−H3が配列ARTYGIYDLYVDYTEYVMDY(配列番号:50)を含む、
    請求項2に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
  5. 抗体が、配列番号:132を含む重鎖可変領域と配列番号:133を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
  6. (i) 配列番号:134を含む重鎖可変領域と配列番号:135を含む軽鎖可変領域、又は、
    (ii) 配列番号:136を含む重鎖可変領域と配列番号:137を含む軽鎖可変領域
    を含む、請求項1に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
  7. 抗体が、以下の性質の一又は複数を含む、請求項1から6のいずれか一に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
    (a)1×10 −8 以上の強さのKdでヒトFGFR3を結合する、
    (b)アミノ酸配列LAVPAANTVRFRCPA(配列番号:179)および/またはSDVEFHCKVYSDAQP(配列番号:180)と、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%の配列同一性又は類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを結合する、
    (c)FGFR3レセプターと該レセプターの他のユニットとの二量体化を阻害し、これによってレセプターの活性化が阻害される、及び、
    (d)(a) FGFR3−IIIb R248C と、(b) 一又は複数のFGFR3−IIIb K652E 、FGFR3−IIIb Y375C 、FGFR3−IIIb S249C およびFGFR3−IIIb G372C を阻害する。
  8. 抗体が、以下の性質の一又は複数を含む、請求項1から6のいずれか一に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
    (a)抗体依存性細胞媒介細胞障害活性を有する、
    (b)実質的なFGFR3下方制御を誘導しない、
    (c)抗体の二価の様式が実質的なアゴニスト機能を備えていない、
    (d)FGFR3 IIIbの残基154、155、158、159、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、177、202、205、207、210、212、214、216、217、241、246、247、248、278、279、280、281、282、283、314、315、316、317および/または318の少なくとも1、2、3、4又はすべての数以下の任意の数に結合する。
  9. 抗体がフレームワーク配列を含み、該フレームワーク配列の少なくとも一部がヒトコンセンサスフレームワーク配列である、請求項1からのいずれか一に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
  10. 抗体がヒトκサブグループコンセンサスフレームワーク配列及び/又は重鎖ヒトサブグループIIIコンセンサスフレームワーク配列を含む、請求項に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
  11. 抗体がFc領域内のアミノ酸残基に変化を含み、これによってエフェクター機能が低減される、請求項1から6のいずれか一に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
  12. 抗体がIgG1クラスであり、変異D265A/N297A(EUインデックスによる番号付け)を含む、請求項11に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
  13. 抗体がモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体および抗体断片からなる群から選択される、請求項1からのいずれか一に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体。
  14. 請求項1からのいずれか一に記載の抗体をコードするポリヌクレオチド。
  15. 請求項14に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  16. 請求項15に記載のベクターを含むインビトロの宿主細胞。
  17. 抗FGFR3抗体の製造方法であって、ポリヌクレオチドが発現するように、請求項1からのいずれか一に記載の抗体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養し、場合によって、培養物から抗体を回収することを含む方法。
  18. 請求項1からのいずれか一に記載の抗体と薬学的に許容可能な担体とを含有してなる薬学的製剤。
  19. 細胞増殖を阻害する、及び/又は、癌細胞を枯渇させるための、請求項1から6のいずれか一に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体の使用。
  20. を治療するための、請求項1からのいずれか一に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体の使用
  21. 癌が、固形腫瘍、多発性骨髄腫、膀胱癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、甲状腺癌、頭頸部癌、肝癌、乳癌、胃癌、移行上皮癌及び結腸直腸癌からなる群から選択される、請求項20に記載の使用。
  22. 癌が、FGFR3活性化及び/又はFGFR3過剰発現と関連している、請求項20に記載の使用。
  23. 骨格疾患を治療又は予防するための、請求項1から6のいずれか一に記載の抗FGFR3アンタゴニスト抗体の使用。
  24. 骨格疾患が、軟骨発育不全症、軟骨異栄養症、矮小発育症、致死性骨異形成症及び頭蓋骨癒合症症候群からなる群から選択される、請求項23に記載の使用。
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