JP2012518695A - 改良型繊維強化ポリエステル組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
i)(A)6.0未満のMz/Mw、1.70未満のPET相対溶液粘度(RSV)(7.2重量部の2,4,6トリクロロフェノールと10重量部のフェノールで構成された溶媒125グラム中に1グラムのポリマーを希釈させることにより25℃で決定されたもの)、および1.9未満のPBTの相対粘度(100グラムのメタクレゾール中に1グラムのポリマーを希釈させることにより25℃で決定されたもの)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)および/またはポリブチレンテレフタレート(PBT)と、
(B)強化用繊維と、
を含むポリマー組成物を配合するステップと;
ii) 固相縮合(Solid Phase Condensation)条件下でステップi)で得た配合ポリマー組成物を加熱し、こうしてPETのRSVを少なくとも1.70までそしてPBTのRSVを少なくとも1.90まで増大させ、その間、固体状態後PETおよび/またはPBTのz平均分子質量対重量平均分子質量の比(Mz/Mw)をステップi)のために使用されたPETおよび/またはPBTと実質的に同じに維持するステップと、
を含む方法が提供されている。
(A)40〜95wt%のPETおよび/またはPBTそして最終的にはさらなるポリマー成分、および
(B)5〜60wt%の強化用繊維、
を含む、好ましくはブレーキブースターに適した繊維強化熱可塑性ポリマー組成物であって、
PETおよび/またはPBTが6.0未満のz平均分子質量対重量平均分子質量比(Mz/Mw)を有し、前記PETが少なくとも1.70の相対溶液粘度(RSV)(7.2重量部の2,4,6トリクロロフェノールと10重量部のフェノールで構成された溶媒125グラム中に1グラムのポリマーを希釈させることにより25℃で決定されたもの)を有しかつPBTが、1.9未満の相対粘度(100グラムのメタクレゾール中に1グラムのポリマーを希釈させることにより25℃で決定されたもの)を有する繊維強化熱可塑性ポリマー組成物が提供されている。
強化用繊維は、少なくとも10/1の長さ/直径または縦横比L/Dを有するガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維および針状鉱物充填材を含む。このような針状鉱物充填材の一例は、珪灰石である。強化用繊維は好ましくはガラス繊維である。
・ 皮膜形成剤
・ 結合剤
・ 潤滑剤
・ その他の添加剤
[強化繊維含有量]
本発明の好ましい実施形態において、ポリマー組成物は20〜50wt%、より好ましくは30〜45wt%、そしてさらに一層好ましくは33〜38wt%の強化用繊維を含む。その利点は、ポリマー組成物の高い強度および剛性、低い相対密度および容易な加工挙動の間でよりバランスよく折り合いがついていることにある。本発明の特別な実施形態において、ポリマー組成物は、25〜60wt%の平均強化繊維含有量を有し、この平均強化繊維含有量は、ポリマー組成物の異なるロット間そして1つのロットから取られた複数の試料間、ひいてはこれらの組成物から成形された異なる部品間の0.6%以下の標準偏差を示す。生産された状態のロットの典型的サイズは約5000〜25000kgである。
RSVは、成形されたポリマー組成物の加工性と機械的特性の間のバランスに対する指標として使用される。一般に、RSVが高くなれば、強度および靭性は改善される結果となり、一方RSVが低くなると、組成物のメルトフローおよび結晶化速度は促進される。ポリマー組成物の機械的特性は同様に、ポリマー組成物のポリマー成分と強化用繊維の間の相互作用によっても大きく左右される。したがって、PETおよび/またはPBTが十分低いRSVを有して、優れた機械的特性という形で現れる複合構成要素間の優れた結合を確保するために十分なポリエステル−ガラス繊維接触が存在する強化用繊維の均一分散を可能にすることが望ましい。
ポリマー組成物は、ポリマー成分であるPETおよび/またはPBT以外に、例えばポリマー成分の合計重量に対して30wt%未満の量で1つ以上のさらなるポリマー成分を含んでいてよい。このようにして、機能的特性、例えば機械的、電気的特性および/または防火性を増強させることが可能である。好ましくは、ポリマー組成物は、ポリマー成分の合計重量に対して少なくとも80wt%、さらに一層好ましくは少なくとも95wt%そして最も好ましくは少なくとも98wt%のPETおよび/またはPBTを含む。好ましくは、ポリマー組成物はPETを含む。好ましくは、ポリマー組成物は、ポリマー成分の合計重量に対して少なくとも80wt%、さらに一層好ましくは少なくとも95wt%そして最も好ましくは少なくとも98wt%のPETを含む。特殊な実施形態においては、ポリマー組成物は、ポリマー成分としてPETおよび/またはPBTのみ、より好ましくはPETのみを含む。
本発明に係る方法のステップi)において、任意の慣習的配合プロセスを使用してよい。適切には、ポリマー組成物は、溶融混合装置内でさまざまな構成要素を溶融ブレンドすることにより配合される。適切な溶融混合装置は、例えば押出し機、特に二軸スクリュー押出し機、最も好ましくは同時回転スクリューを伴うものである。
ステップi)における配合の後に得られたポリマー組成物は、好ましくはポリエステルポリマーの融点に近いがそれより低い温度(例えば約50℃〜10℃未満)で、かつ減圧下または不活性ガス流下で、熱処理に付される。ポリエステルがPETである実施形態については熱処理は好ましくは、ポリエステルの融点に応じて160℃〜245℃、より好ましくは170℃〜240℃の温度にポリエステル組成物を加熱し維持する。より高い温度の利点は、RSVを得るために必要とされる時間がより短縮されるという点にある。
[材料]
CE−A 組成物の合計重量に対して0.1wt%の核形成剤、すなわちUnivar Benelux社製安息香酸ナトリウムE221と、0.35wt%のParacera C40、カルナバワックス(Carnaubawax、Paramelt B.V.社製離型剤)とを含む、DSM Engineering Plastics B.V.,The Netherlandsから入手可能な1.72のRSVを有するPET
CE−B 2.35のRSVが達成されるまでSSPCを受けたCE−A
CE−C PET組成物の合計重量に対して35wt%のガラス繊維と配合されたCE−A
CE−D PET組成物の合計重量に対して(PET組成物中で使用するために設計された)ガラス繊維を35wt%含み、1.90のRSVを有する固体状態後縮合された市販のPETであるArnite(商標)AV2 370/B
E−1 PET組成物の合計重量に対して35wt%のガラス繊維と配合されたCE−A。ガラス繊維は、PPG社からChop Vantage(登録商標)HP3540という商標名で入手可能である(ポリアミドとの使用向け)。
E−2 PET組成物の合計重量に対して35wt%のガラス繊維と配合されたCE−A。ガラス繊維は、PPG社からChop Vantage(登録商標)HP3420という商標名で入手可能である(ポリフェニレンスルフィドとの使用向け)。
[相対溶液粘度測定法]
135℃で2,4,6トリクロロフェノールおよびフェノールの混合物中に溶解させたPET化合物を用いて、ISO1628−5に基づく方法で、RSVを決定した(25℃で測定された125gの溶媒中の1gのポリマー)。溶媒混合物の質量比は、7.2重量部の2,4,6トリクロロフェノール対10重量部のフェノールである。
PET化合物の分子質量および分子質量分布は、サイズ排除クロマトグラフィで決定した。
射出成形されたISO527タイプの1Aのテストバーについて、切欠き引張り試験を実施する。図1中の図面にしたがってテストバーの狭い断面の半分の位置に対面切欠きを機械加工する。切欠きは、深さが2mmであり、これは切欠きの場所での横断面が10×4mmから6×4mmまで削減されていることを意味する。切欠きの半径は0.25mmである。引張りバーの試験は、ISO527規格にしたがって行う。引張り試験速度は5mm/分である。試験中、力と変位の測定値を記録する。破断時の力を、その材料の破損耐性の尺度として直接使用する。
旋回流試験を、直径22mmのスクリューを伴うEngel45B射出成形機を使用して実施した。(厚み(t)2mm、幅15mmの)らせん形状(図2参照)の製品を予備乾燥した(窒素で真空下にて120℃、10時間)グラニュールから生産した。温度設定値は260〜270℃であり、金型温度は130℃であった。20mm/秒の射出速度を適用した。流動挙動(α)を、流動長(L)対厚み(t)の比に対する(流れ変換器PM−1において測定された)圧力(P)で表現した。すなわち、
α=P/(L/t)
[配合によるPET組成物の調製]
Berstorff製のZE40A UTX 2軸スクリュー押出し機上で、ポリマー組成物を調製した。バレル温度を260〜280℃に設定し、スクリュー速度は300RPMであり、歩留りは180kg/時であった。PET、核形成剤および離型剤などの構成要素を、プレブレンドとしてホッパーに計量した、サイドフィーダーを介してポリマーメルト内にガラス繊維を導入した。押出し加工したストランドを水中で冷却し造粒した。
比較例CE−Bを以下の通りに製造した:
Buechi製のRotavapor R151上で、ポリマー組成物の熱処理を実施した。10L入りのグラスフラスコに2kgのPETグラニュールを投入し、乾燥した純粋窒素で通気した。その後、圧力を100Paまで減少させ、油浴中で回転フラスコを加熱した。グラニュールの温度を215℃〜235℃まで上昇させた。1.90という標的RSVを達成するまで、約10時間〜25時間、グラニュールをこれらの条件に維持した。
回転式乾燥機100リットルユニット内で、ポリマー組成物の熱処理を実施した。乾燥機に45kgのPETグラニュールを投入し、圧力を80mbarまで減少させ、乾燥純粋窒素で通気し、温度を当初120℃まで上昇させた。120℃で1時間後に、圧力を400Paまで減少させ、温度を135℃まで上昇させた。1時間後に、グラニュールの温度を205℃まで上昇させ、その間圧力を4mbarに保ち、窒素で通気した。標的RSVが達成させるまで約4〜20時間、グラニュールをこれらの条件に維持した。この期間の後、試料を室温まで冷却し、その後RSVを測定した。
ISO527規格にしたがった引張りテストバーを、260〜270℃の温度設定値および140℃の金型温度で、Engel80E射出成形機上で予備乾燥された(窒素流を用い真空下で120℃、10時間)グラニュールから射出成形した。
[配合およびSSPCの効果]
分子量分布(Mn、MwおよびMz)に対する配合およびSSPCの効果を査定し、結果を表1にまとめた。強化も配合もされていないPET(比較実験A(CE−A))とガラス繊維を配合して(CE−C)を生産すると、結果としてRSVは減少し(1.72から1.52まで)、Mw/MnおよびMz/Mwの増加により特徴づけされるように分子量分布は拡がった。この結果は一部には、配合およびガラス繊維との反応(↑Mz/Mw)中のポリマーが幾分か劣化した(↓RSV)せいである。繊維で強化されたPET(CE−C)の熱処理が効果を表わすにつれて、RSVが1.90に達してSSPCが中止されるまで(Mw/Mn=5.7、Mz/Mw=11.2)(CE−D)、分子量分布の拡大が続いた。これとは対照的にCE−Aの熱処理はRSVを2.35まで増大させることになり(CE−B)、Mz/Mw値は実質的に同じにとどまった。したがって、CE−Dで実証されているように、CE−C中に使用されるガラス繊維が配合およびSSPCステップ中にPETと反応したという結論を下すことができた。
2つのガラス繊維(実施例1および2(E−1&E−2))をPETと配合し、RSV粒度が約1.90に達するまでSSPCに付した。結果は、Mz/Mwが30%未満しか増加しない(すなわち実質的に同じである)ことを示した。
Mz/Mwにより特徴づけされる分子量分布が実質的に同じにとどまっていたガラス繊維強化PET組成物は、流動特性のわずかな劣化を結果としてもたらす(図3)が、破断時の力の改善は比例してさらに大きくなる(図4)。正味の効果は、従来の調合物に比べた機械的特性と流動特性の両方の改善を同時に達成できるという点にある。これらの結果は、特に現在CE−D中に使用されているガラス繊維グレードが、具体的にPETおよびPBT樹脂における使用に向けられたものであり、一方HP3540グレードのガラス繊維はポリアミド樹脂における使用に具体的に向けられているということを考えると、意外である。
Claims (10)
- 固体状態後縮合された繊維強化ポリマー組成物の生産方法であって、
i)(A)6.0未満のMz/Mw、1.70未満のPET相対溶液粘度(RSV)(7.2重量部の2,4,6トリクロロフェノールと10重量部のフェノールで構成された溶媒125グラム中に1グラムのポリマーを希釈させることにより25℃で決定されたもの)、および1.90未満のPBTについての相対粘度(100グラムのメタクレゾール中に1グラムのPBTを希釈させることにより25℃で決定されたもの)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)および/またはポリブチレンテレフタレート(PBT)と、
(B)強化用繊維と、
を含むポリマー組成物を配合するステップと;
ii) 固相縮合条件下でステップi)で得た前記配合ポリマー組成物を加熱し、こうして前記PETの前記RSVを少なくとも1.70までそして前記PBTの前記RSVを少なくとも1.90まで増大させ、その間、前記固体状態後PETおよび/またはPBTのz平均分子質量対重量平均分子質量の前記比(Mz/Mw)をステップi)のために使用された前記PETおよび/またはPBTと実質的に同じに維持するステップと、
を含む方法。 - ステップi)で使用される前記PETおよび/またはPBTのMz/Mwの増大が、ステップii)のあと、100%未満である、請求項1に記載の方法。
- ステップi)で使用される前記PETおよび/またはPBTのMz/Mwの増大が、ステップii)のあと、50%未満である、請求項1に記載の方法。
- 組成物の合計重量に対して、
(A)40〜95wt%のPETおよび/またはPBTと;
(B)5〜60wt%の強化用繊維と、
を含む繊維強化熱可塑性ポリマー組成物であって、
前記PETおよび/またはPBTが6.0未満のz平均分子質量対重量平均分子質量比(Mz/Mw)を有し、前記PETが少なくとも1.70の相対溶液粘度(RSV)(7.2重量部の2,4,6トリクロロフェノールと10重量部のフェノールで構成された溶媒125グラム中に1グラムのポリマーを希釈させることによって得られた溶液から25℃で決定されたもの)を有しかつ前記PBTが、少なくとも1.90の相対粘度(100グラムのメタクレゾール中に1グラムのPBTを希釈させることにより25℃で決定されたもの)を有する繊維強化熱可塑性ポリマー組成物。 - 前記強化用繊維がガラス繊維である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法または請求項4に記載のポリマー組成物。
- 前記PETの前記相対溶液粘度が2.10未満である、請求項1〜3および5のいずれか一項に記載の方法および請求項4および5のいずれか一項に記載の組成物
- 前記組成物がPETを含む、請求項1〜3、5および6のいずれか一項に記載の方法および請求項4〜6のいずれか一項に記載の組成物。
- 請求項1〜3および5〜7のいずれか一項に記載の方法を用いて得られた組成物および請求項4〜7のいずれか一項に記載の組成物に由来する成形品。
- 前記成形品が自動車、電子または電気構成要素である、請求項8に記載の成形品。
- 前記成形品がブレーキブースターである、請求項8に記載の成形品。
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