JP2012518422A - マイコバクテリアによる感染の診断方法およびそのための試薬 - Google Patents
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Abstract
本発明は、結核菌群の1以上のマイコバクテリアの存在を特異的に検出する方法であって、試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、M.アウィウム群のilvC核酸を検出しない条件下で検出することを含む方法を提供する。本発明はまた、結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸の特異的検出を用いて、対象の結核を診断および治療する方法を提供する。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
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本出願は、2009年2月26日に出願された豪州特許出願第2009900876号の優先権を主張し、この内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本出願は、2009年2月26日に出願された豪州特許出願第2009900876号の優先権を主張し、この内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、結核菌(M.tuberculosis)群の1以上のマイコバクテリアの検出と、結核菌群のマイコバクテリアによるヒトなどの動物対象の感染の診断および予後診断と、このような感染、特に結核と関連する状態の診断とに関する。より特には、本発明は、感染した対象における結核菌のケトール−酸レダクトイソメラーゼ(KARI)mRNAおよびそのコードされたタンパク質(配列番号1)の発現と、新規の診断および予後診断方法のためのならびに感染の治療(therapy)および/または結核の治療(treatment)の効力のモニタリングのための試薬とに関する。
結核(TB)は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)による感染または結核菌群の1以上の生物によって通常引き起こされる慢性の感染性疾患である。本明細書で使用される場合、「結核菌群」という用語は、結核菌、ウシ型結核菌(M.bovis)、マイコバクテリウム・アフリカヌム(M.africanum)、マイコバクテリウム・カネッティ(M.canetti)およびネズミ型結核菌(M.microti)からなる群から選択される1以上の生物を意味する。当業者は、結核菌群が、例えば、農業用動物におけるパラ結核として知られる無関係な疾患の原因病原体である、M.アウィウムやM.イントラセルラーレをはじめとする、いわゆる、M.アウィウム群と異なることも知っている。
結核(TB)は、発展途上国で主要な疾患であるだけでなく、世界の先進地域でも増加している問題であり、毎年約800万件の新症例と300万人の死亡が発生している。感染はかなりの期間にわたって無症状であることがあるが、この疾患は、ほとんどの場合、肺の急性炎症として現れ、発熱と喀痰を伴う咳とを引き起こす。治療しないで放置すると、結核菌感染は、肺の原発感染部位を越えて、体の任意の器官に進むことがあり、一般に、深刻な合併症と死をもたらす。
TBの急増する世界的発生の問題は、ヘルスケア産業の多くの従事者によってしばしば記載されており、その分野の当業者には周知である。結核菌感染の治療には、複数の薬物を用いる何ヶ月もの治療が必要とされるので、そのような大規模な治療は、低コンプライアンスと、多剤耐性(MDR)および広範囲薬剤耐性(XDR)TBの出現とをもたらすことがある。
問題はHIV感染により悪化する。結核の発生は、末期のAIDS患者で特に一般的であり、その大多数はそれに罹る。実際、HIV感染は、精製タンパク質誘導体(PPD)−ツベルクリン陽性対象で活動性結核の発症の最も重要な危険因子であり、HIV感染免疫抑制状態の個体での結核感染の獲得の危険は、HIV非感染の個体と比較して著しく高い可能性がある。HIV−1と結核菌による同時感染は、おそらく、CD4+ T細胞の欠乏および免疫不全または免疫抑制をもたらすウイルス複製およびウイルス負荷の増加を誘発することによって、対象におけるHIV無症状期間の短縮および生存期間の短縮をもたらす可能性も高い(Corbett et al 2003;Ho,Mem.Inst.Oswaldo Cruz,91,385−387,1996)。
結核の大きな世界的負担にもかかわらず、症例検出も相変わらず問題である。TB患者全体の約半分は、今も診断や適切な治療を受けていないと推定されている(WHO Report 2007,WHO/HTM/TB/2007.376,Geneva Switzerland)。こうしたデータから、急性感染の早期の正確な診断、および潜伏感染の診断が、結核の管理に必要であることは明白である。
従来の結核診断は、抗酸菌検出のための喀痰塗抹顕微鏡検査、培養、ツベルクリン皮膚試験、および胸部X線に相変わらず頼っており、これらは全て、いくつかの限界があることが分かっている。活動性結核感染の検出において、顕微鏡検査は迅速かつ安価あるが、感度が低く、喀痰塗抹試料中での桿菌の可視化を必要とする。培養はより感度が高いが、結果に数週間かかることがあり、10〜20%の偽陽性発生率がある。これらの検査は1世紀近く使用されているが、特に、開発途上国やHIVが流行している場所で結核を管理するのには不十分である。
結核の診断検査の開発は、数々の困難により妨げられてきた。本発明まで、結核菌群の1以上の細菌による感染の検出で使用するのに適したバイオマーカーの同定が問題になっていた。これは、任意の特定のインビボ環境で結核菌のどの結核菌タンパク質が最も大量に発現されているかが明確でなかったためである。さらに、様々な環境での発現が、感染マーカーおよび潜伏感染と比較して活動性感染を区別するマーカーの同定を複雑化した。実験用のシステムと実験株の使用とは、この欠点に対処しない。さらに、結核菌群の他のマイコバクテリアの検出に有用なマーカーを同定するのは困難であった。候補マーカーが同定されても、TBの診断は、現行の検査に感度が欠け、また、臨床試料の大規模コホート全体での再現性がないためにさらに複雑になる。DNAおよびrRNA標的配列の増幅に依存する分子検査は、急性感染の検査として、または感染マーカーとして好適ではなかった。さらに、mRNAの検出に基づく分子検査は、タンパク質検出に基づく検査と同じ障害に直面し、特に、臨床試料の保存中のメッセージの安定性という困難な事態をさらに伴う。したがって、当技術分野では、一般的なマイコバクテリアタンパク質にわたる臨床試料中の、結核菌群の1以上の細菌を検出するための、必要な感度や選択性を提供する試薬が必要とされている。
高レベルで発現される好適なバイオマーカーの同定における進歩は、当技術分野においていくつかの障害に直面している。結核菌ゲノムの配列決定は、この生物によって理論的に発現され得る結核菌タンパク質およびmRNAを同定するための厖大な研究努力を促進したが、任意の特定のタンパク質またはmRNAが、ヒトまたは他の動物対象の感染の時は言うまでもなく、インビボで生物によって発現されると結論するには、配列データ単独では不十分である。結核菌のゲノム中のオープンリーディングフレームの単なる解明は、コードされた任意の特定のタンパク質がこの細菌で実際に発現され、かつそのようなタンパク質を抗原またはmRNAに基づく診断として使用し得ることを示さない。例えば、特定のタンパク質または結核菌のタンパク質をコードするmRNAが抗原に基づく検査、または核酸増幅検査(NAAT)における診断試薬としての効力を有すると結論するには、この細菌の感染サイクルの間のタンパク質発現を反映するタンパク質またはmRNAが試料中に存在し、かつ利用可能でなければならない。さらに、臨床試料の保存中のmRNAの既知の不安定性のために、mRNA検出に基づく診断検査が、実際の検出、および臨床試料の大規模コホート全体での再現性の点において、特に至難の業となっている。
培養で結核菌を増殖させる能力は、発現された結核タンパク質をインビトロで同定するための好都合なモデルを提供した。しかしながら、培養環境は、結核菌がインビボで見出される、ヒトマクロファージ、肺または肺外部位の環境と著しく異なる。さらに、結核菌は、細胞間病原体でもあり、細胞内病原体でもある。最近の証拠から、インビトロでの生物の発現プロファイルがインサイチュでの生物の発現プロファイルを正確に反映し得ないほど、細胞内寄生虫のタンパク質発現プロファイルが環境信号によって著しく変動することが示されている。これは、その細胞内状態のときの結核菌に同様に当てはまる。
結核桿菌による感染または潜伏感染の再活性化は、感染部位への単球およびマクロファージの動員を含む宿主応答を誘導する。より多くの免疫細胞が集積するに従い、マクロファージの細胞傷害産物によって破壊された免疫細胞および宿主組織を含む肉芽腫の結節が形成される。疾患の進行に伴い、マクロファージ酵素がタンパク質、脂質および核酸の加水分解を引き起こし、周囲組織の液状化および肉芽腫形成をもたらす。最終的には、病巣が破裂し、桿菌が周囲の肺、血液またはリンパ系に放出される。
この感染周期の間、桿菌は4つの異なる宿主環境、すなわち、肺胞マクロファージ、乾酪性肉芽腫、細胞外肺、および例えば腎臓もしくは腹膜腔、リンパ、骨または脊椎などの肺外部位に曝露される。
桿菌はこれらの全ての環境において様々な程度で複製することができると考えられているが、各部位での環境条件についてはほとんど知られていない。4つの宿主環境は全て異なっており、各環境での結核菌の発現プロファイルが異なることが示唆される。
したがって、対数期培養からの結核菌タンパク質の同定は、インビボの各環境でどのタンパク質またはmRNAが発現されるかを必ずしも示唆するわけではない。同様に、インビトロで増殖させたマクロファージでの結核菌タンパク質の同定は、乾酪性肉芽腫、高曝気肺、または酸素含有量の低い肺外部位での結核菌のタンパク質またはmRNA発現プロファイルを必ずしも反映するわけではない。
さらに、宿主内の結核菌感染は、宿主免疫系が感染マクロファージの破壊を通して桿菌を封入および破壊しようと絶えず努力する動的事象と理解することができる。その結果として、結核桿菌は、細胞内の増殖、破壊(この場合、細胞内細菌タンパク質と分泌細菌タンパク質の両方が曝露および破壊される)、ならびに急速な細胞外増殖の周期を経る。宿主および病原体の相互作用は多くの因子の結果であって、これはインビトロで再現することができない。
結核菌群メンバーに特異的なDNA、およびrRNA標的配列の増幅のための系が記載されているが、そのような検査は、核酸標的が持続するため、患者の治療応答のモニタリングには好適でなかった。これは、細菌DNAおよびrRNAの安定性が、増幅可能なDNAおよびrRNA標的が患者の中で持続することができることを意味するためである。これらの核酸種の持続は、死んだまたは休止した桿菌が肺病変から剥がれ落ちることを反映すると考えられ、結果として、急性感染の優れた指標とならない。このような核酸に基づく検査はまた、塗抹または培養による確認なしでは、成功を収めていないかまたはWHOによって独立型の検査として推奨されていない。
いくつかの核酸増幅検査(NAAT)は、結核菌遺伝子および仮想コード配列の同定に基づいて現われた。DNA、rRNAおよびmRNA標的に基づく全ての利用可能なNAATの最近のメタ分析により、利用可能な検査の実際の性能は最適ではないことが示されている(Ling et al PLoS ONE 3(2):e1536,Feb.2008)。呼吸器標本におけるNAATの感度および特異性の推定値にはかなりのばらつきがあり、感度は特異性よりも低くかつ一貫性がなく、診断精度の要約測定値は、臨床的に有意義であるとみなされない。メタ分析研究により、NAATは非生菌の検出に今も問題があり、かつ偽陽性の結果を生じさせるので、現在利用されているNAATを肺TB診断用の従来の検査の代わりにするよう推奨することができないことも、治療進行をモニタリングする有用性を示していないことも確認されている。
結核菌および/またはそれと関連する疾患状態による感染を費用効率高くかつ迅速に決定する診断および予後診断試薬の診断精度(特に感度)を改善する必要性が明らかに存在し続けている。
分子生物学、微生物学、プロテオミクス、ウイルス学、組換えDNA技術、溶液中でのペプチド合成、固相ペプチド合成、および免疫学の従来技術は、例えば、以下のテキストに記載されている。
1. Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, New York, Second Edition (1989), whole of VoIs I, II, and III;
2. DNA Cloning: A Practical Approach, VoIs. I and II (D. N. Glover, ed., 1985), IRL Press, Oxford, whole of text;
3. Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach (M. J. Gait, ed., 1984) IRL Press, Oxford, whole of text, and particularly the papers therein by Gait, ppl−22; Atkinson et al., pp35−81; Sproat et al, pp 83−115; and Wu et al., pp 135−151;
4. Nucleic Acid Hybridization: A Practical Approach (B. D. Hames & S. J. Higgins, eds., 1985) IRL Press, Oxford, whole of text;
5. Immobilized Cells and Enzymes: A Practical Approach (1986) IRL Press, Oxford, whole of text;
6. Perbal, B., A Practical Guide to Molecular Cloning (1984);
7. Methods hi Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan, eds., Academic Press, Inc.), whole of series;
8. J.F. Ramalho Ortigao, “The Chemistry of Peptide Synthesis” In: Knowledge database of Access to Virtual Laboratory website (Interactiva, Germany);
9. Sakakibara, D., Teichman, J., Lien, E. Land Fenichel, R.L. (1976). Biochem. Biophys. Res. Commun. 73 336−342
10. Merrifield, R.B. (1963). J. Am. Chem. Soc. 85, 2149−2154.
11. Barany, G. and Merrifield, R.B. (1979) in The Peptides (Gross, E. and Meienhofer, J. eds.), vol. 2, pp. 1−284, Academic Press, New York.
12. Wunsch, E., ed. (1974) Synthese von Peptiden in Houben−Weyls Metoden der Organischen Chemie (Muler, E., ed.), vol. 15, 4th edn., Parts 1 and 2, Thieme, Stuttgart.
13. Bodanszky, M. (1984) Principles of Peptide Synthesis, Springer− Verlag, Heidelberg.
14. Bodanszky, M. & Bodanszky, A. (1984) The Practice of Peptide Synthesis, Springer−Verlag, Heidelberg.
15. Bodanszky, M. (1985) Int. J. Peptide Protein Res. 25, 449−474.
16. Handbook of Diagnostic testal Immunology, VoIs. I−IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds., 1986, Blackwell Scientific Publications).
17. Wilkins M. R., Williams K. L., Appel R. D. and Hochstrasser (Eds) 1997 Proteome Research: New Frontiers in Functional Genomics Springer, Berlin.
1. Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, New York, Second Edition (1989), whole of VoIs I, II, and III;
2. DNA Cloning: A Practical Approach, VoIs. I and II (D. N. Glover, ed., 1985), IRL Press, Oxford, whole of text;
3. Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach (M. J. Gait, ed., 1984) IRL Press, Oxford, whole of text, and particularly the papers therein by Gait, ppl−22; Atkinson et al., pp35−81; Sproat et al, pp 83−115; and Wu et al., pp 135−151;
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6. Perbal, B., A Practical Guide to Molecular Cloning (1984);
7. Methods hi Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan, eds., Academic Press, Inc.), whole of series;
8. J.F. Ramalho Ortigao, “The Chemistry of Peptide Synthesis” In: Knowledge database of Access to Virtual Laboratory website (Interactiva, Germany);
9. Sakakibara, D., Teichman, J., Lien, E. Land Fenichel, R.L. (1976). Biochem. Biophys. Res. Commun. 73 336−342
10. Merrifield, R.B. (1963). J. Am. Chem. Soc. 85, 2149−2154.
11. Barany, G. and Merrifield, R.B. (1979) in The Peptides (Gross, E. and Meienhofer, J. eds.), vol. 2, pp. 1−284, Academic Press, New York.
12. Wunsch, E., ed. (1974) Synthese von Peptiden in Houben−Weyls Metoden der Organischen Chemie (Muler, E., ed.), vol. 15, 4th edn., Parts 1 and 2, Thieme, Stuttgart.
13. Bodanszky, M. (1984) Principles of Peptide Synthesis, Springer− Verlag, Heidelberg.
14. Bodanszky, M. & Bodanszky, A. (1984) The Practice of Peptide Synthesis, Springer−Verlag, Heidelberg.
15. Bodanszky, M. (1985) Int. J. Peptide Protein Res. 25, 449−474.
16. Handbook of Diagnostic testal Immunology, VoIs. I−IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds., 1986, Blackwell Scientific Publications).
17. Wilkins M. R., Williams K. L., Appel R. D. and Hochstrasser (Eds) 1997 Proteome Research: New Frontiers in Functional Genomics Springer, Berlin.
本発明に至る研究において、本発明者らは、1以上の結核菌群のマイコバクテリアによるTB感染のバイオマーカーであって、すなわち、タンパク質レベルおよび/またはRNAレベルで、好ましくは細菌量と相関するレベルで、かつ臨床試料および臨床株中で発現されるものを同定すること、および/またはマイコバクテリアの包括的な検出とは対照的な結核菌群の特定のマイコバクテリアの検出のための試薬を提供すること、および/または従来の検査と比較して、臨床試料(保存試料を含む)中での検出の感度および/または選択性が改善された検査を開発すること、および/または臨床試料(保存試料を含む)のパネル全体で結核菌群の生物を再現性よく検出する能力を有する検査を開発することを目指してきた。
本発明は、様々なインビボ環境で結核菌群の生物によって発現される様々なタンパク質の発見、それによる、結核菌および結核菌群の他の生物の高度に発現されるおよび/または高度に免疫原性のタンパク質の同定に一部基づくものである。このようなタンパク質は、いくつかの特許出願に記載されており、それらは全て、参照により本明細書に組み込まれる(国際刊行物:WO2006/01792号、WO2007/087679号、WO2007/131291号、WO2007/140545号、WO2007/131293号、WO2007/131292号、WO2006/000045号)。プロテオミクスの手法を用いて、インビボで発現され、かつ喀痰、胸水、血漿および血清をはじめとする、罹患患者のコホートの体液中に存在する結核菌群タンパク質が同定された。結核菌群タンパク質は、結核と診断された患者(例えば、結核菌または結核菌群の他の生物に感染した患者)のコホートから事前に得られた免疫グロブリン含有試料(特にIgG)の二次元電気泳動によりインビボで同定された。ペプチド断片が同定され、ペプチド断片のアミノ酸配列がトリプシン消化した断片の質量分析により決定され、ケトール−酸レダクトイソメラーゼ(Ketol−Acid Reducto Isomerase)(KARI)タンパク質(配列番号1)のアミノ酸配列と一致することが示された。特に、マッチしたペプチドは、KARIタンパク質配列の一領域と一致した。配列番号1のKARIタンパク質をコードする核酸は、結核菌またはホモログのilvC遺伝子によってコードされている。
本発明者らは、これらの発見を用いて、上記のように臨床試料中に存在することが分かっている、いくつかの事前に同定された結核マーカーを用いる核酸増幅検査を開発した。発現された結核バイオマーカーを検出するための比較定量的リアルタイムRT−PCRアッセイにおいて、本発明者らは、ilvC転写産物が最も信頼できるものであり、最も多い転写産物コピー数が臨床試料中で検出できることを見出した。ilvCの転写産物レベルは、患者における感染の重症度とも相関した。
これらの発見により、ハイブリダイゼーションに基づく診断検査(例えば、FISH)と、核酸増幅(NAA)に基づく診断検査とを生み出す手段が与えられた。この核酸増幅(NAA)に基づく診断検査には、NASBAに基づくプラットフォーム(例えば、PCRに基づく検査および温度サイクリングを必要としない等温増幅方法)と、リアルタイムで行なわれる増幅方法(例えば、リアルタイムPCRおよびリアルタイムRT−PCRおよびリアルタイム等温法およびリアルタイムNASBA)と、プライマーに結合する標識レポーター(例えば、SYBRグリーンIおよび/またはIIに基づくもの)を援用して、またはアンプリコンに結合するプローブ(例えば、スコーピオンプローブ、TaqManプローブおよび分子ビーコン)を用いて行なわれるような検査とが含まれる。これらの検査は、例えば、対象における結核菌および/または他の結核菌群の生物の検出に基づく、結核菌群の生物による感染の特異的検出、および結核の診断または感染もしくは治療のモニタリングあるいは感染もしくはそれと関連する疾患状態の予後診断に有用である。このようなNAAに基づく診断および予後診断は、臨床試料中のilvC転写産物(ilvC−NAA)の特異性および感度が高い検出に基づく。例えば、本発明者らは、反応液中で少なくとも約103個のilvCコードRNAのコピーを検出することができる。例えば、治療的介入の効力を決定するために、このような診断および予後検査を結核またはそれと関連する感染症の治療的治療とともに使用し得ることも当業者には明白であろう。
したがって、本発明は、結核菌群の1以上のマイコバクテリアの存在を特異的に検出する方法であって、本明細書に記載の検出手段を用いて、生物学的試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアの核酸を検出することを含む方法を提供する。例えば、本方法は、M.アウィウム群の核酸を検出しない条件下でこの検出手段を用いて行なわれる。
一実施例では、本発明は、結核菌群の1以上のマイコバクテリアの存在を特異的に検出する方法であって、M.アウィウム群のilvC核酸を検出しない条件下で試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を検出することを含む方法を提供する。
一実施例では、検出は、標準的な核酸ハイブリダイゼーションまたはその変化形、例えば、FISH、もしくは核酸増幅を含まない任意の他の方法によって行なわれる。これは、ilvCが、結核菌群のマイコバクテリアの特異的検出のためのバイオマーカーとして、かつ許容可能な感度レベルで、好適な条件下で好都合に利用され得るということを示す点において本発明の精神に一致する。
したがって、検出されるilvC核酸は、結核菌ilvCDNAまたはRNAの配列を含み得る。結核菌群の生物は、結核菌、ウシ型結核菌、M.アフリカヌム、M.カネッティおよびネズミ型結核菌またはそれらの組合せから個々にまたはまとめて選択され得る。結核菌群の生物は、結核菌およびウシ型結核菌またはそれらの組合せから選択される。結核菌群の生物は、結核菌または結核菌の臨床株もしくは臨床分離株であり得る。結核菌群の生物はウシ型結核菌であり得る。M.アウィウム群のマイコバクテリアは、M.アウィウムまたはM.イントラセルラーレであり得ることが当業者には知られているであろう。
特に好ましい実施例では、結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を検出するための本発明の方法は、いくつかのNASBAに基づくアッセイのうちのいずれか1つ、例えば、等温増幅もしくは温度サイクリングを必要としない他の増幅、または、温度サイクリングを必要とする増幅反応、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR、例えば、標準的なPCRまたは逆転写酵素を介するPCR(RT−PCR))、などの増幅反応を行なうことを含む。本明細書に提供される実施例は、温度サイクリングを必要とする方法だけでなく、温度サイクリングを利用しない方法も明確に支援する。したがって、この文脈での「増幅」という用語は、別途特に示さない限り、温度サイクリングとは無関係な全ての増幅方法を包含するとみなされるべきである。本明細書で特に記述されていない増幅アッセイフォーマットを除外すべきではない。
例えば、結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を検出することは、1以上のilvC核酸を増幅し、それにより、増幅されたilvC核酸を生成させることと、増幅された核酸を検出することとを含み得、ここで、増幅されたilvC核酸の検出は、試料中の1以上の該結核菌群のマイコバクテリアの存在を示す。この実施例において、M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を検出することは、増幅反応、例えば、温度サイクリングを必要とする増幅反応または温度サイクリングを必要としない増幅反応を行ない、それにより、配列番号2の長さが少なくとも12もしくは15もしくは20もしくは40もしくは50の連続するヌクレオチドの配列または結核菌群の1以上のマイコバクテリアに由来するそれに相同な配列を含むilvC核酸を検出することを含む。本明細書で使用される場合、「長さが少なくとも20または40または50の連続するヌクレオチドの配列を含むilvC核酸を検出する」という用語は、プライマーまたはプローブに特異的にハイブリダイズしている試料のilvC核酸中の最小領域を指す。あるいは、またはさらに、M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を検出することは、増幅反応、例えば、温度サイクリングを必要とする増幅反応または温度サイクリングを必要としない増幅反応を行ない、それにより、配列番号2の長さが少なくとも50もしくは60もしくは70もしくは80もしくは90もしくは100もしくは110もしくは120もしくは130もしくは140もしくは150もしくは160もしくは170もしくは180もしくは190もしくは200の連続するヌクレオチドのアンプリコンまたは結核菌群の1以上のマイコバクテリアに由来するそれに相同な配列を生成させることを含む。当業者は、「アンプリコン」という用語が増幅された核酸を指すことを知っている。
あるいは、またはさらに、M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を検出することは、
(i)配列番号2の位置420から位置600または配列番号2に相補的なその位置420から位置600までの配列;
(ii)配列番号2の位置40から位置180または配列番号2に相補的なその位置40から位置180までの配列;
(iii)配列番号2の位置880から位置1000または配列番号2に相補的なその位置880から位置1000までの配列
からなる群から選択される配列番号2の領域由来の、配列番号2の少なくとも約18の連続するヌクレオチドの配列を各々含む、1つまたは複数のプライマーを用いて、増幅反応、例えば、温度サイクリングを必要とする増幅反応または温度サイクリングを必要としない増幅反応を行なうことを含む。例えば、フォワードプライマーは、配列番号19、27、29、31、および35からなる群から選択される。別の実施例では、リバースプライマーは、配列番号20、28、30、32、36、37、38、39および40からなる群から選択される。
(i)配列番号2の位置420から位置600または配列番号2に相補的なその位置420から位置600までの配列;
(ii)配列番号2の位置40から位置180または配列番号2に相補的なその位置40から位置180までの配列;
(iii)配列番号2の位置880から位置1000または配列番号2に相補的なその位置880から位置1000までの配列
からなる群から選択される配列番号2の領域由来の、配列番号2の少なくとも約18の連続するヌクレオチドの配列を各々含む、1つまたは複数のプライマーを用いて、増幅反応、例えば、温度サイクリングを必要とする増幅反応または温度サイクリングを必要としない増幅反応を行なうことを含む。例えば、フォワードプライマーは、配列番号19、27、29、31、および35からなる群から選択される。別の実施例では、リバースプライマーは、配列番号20、28、30、32、36、37、38、39および40からなる群から選択される。
あるいは、またはさらに、M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を検出することは、増幅反応、例えば、温度サイクリングを必要とする増幅反応または温度サイクリングを必要としない増幅反応を、約30回未満の増幅サイクルで、例えば、約12回の増幅サイクルから約27回の増幅サイクルまたは約14回の増幅サイクルから約20回の増幅サイクルで、行なうことを含む。
あるいは、またはさらに、M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を検出することは、約2ng/ml未満のインプット核酸に対して、増幅反応、例えば、温度サイクリングを必要とする増幅反応または温度サイクリングを必要としない増幅反応を行なうことを含む。「インプット核酸」とはPCR反応に含まれる核酸を意味し、必ずしもilvC核酸を意味するものではない。
結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸は、いくつかの増幅プラットフォームのうちのいずれか1つにおいて、場合により、定量手段を用いて検出される。1つの例示的な定量手段は、1つまたは複数の増幅プライマーと、増幅プライマーの核酸産物にハイブリダイズし、それにより検出可能なシグナルを生じさせることができる配列を含む標識プローブとを用いて、増幅反応、例えば、温度サイクリングを必要とする増幅反応または温度サイクリングを必要としない増幅反応を行なうことを含む。別の実施例では、増幅反応、例えば、温度サイクリングを必要とする増幅反応または温度サイクリングを必要としない増幅反応は、1つまたは複数の増幅プライマーと、増幅プライマーのうちの少なくとも1つに結合することができる標識プローブとを用いて行なわれる。
本発明は、いくつかの異なる試料タイプのうちのいずれか1つにおいて結核菌群のマイコバクテリアを検出するのに有用である。例えば、試料は、任意の結核菌群の生物の培養細胞を含み得る。あるいは、試料は、喀痰および/または気管支肺胞洗浄液(BAL)および/またはリンパ節生検および/または血液もしくはその画分、例えば、血清、血漿、血清画分または血漿画分を含み得る。あるいは、試料は尿を含み得る。結核菌群のマイコバクテリアを含むことが知られている他の試料を除外すべきではない。
本明細書の任意の実施例による本発明の方法は、少なくとも約104コピーのilvC核酸を約60分未満で、好ましくは少なくとも約103コピーのilvC核酸を約60分未満で検出することができる。あるいは、またはさらに、本明細書の任意の実施例による本発明の方法は、少なくとも約104CFU/mlの結核菌群のマイコバクテリアを検出することができる。
本発明の方法は、多検体フォーマット、例えば、マルチプレックス増幅反応、例えば、温度サイクリングを必要とする増幅反応または温度サイクリングを必要としない増幅反応、例えば、マルチプレックスNASBAまたはマルチプレックスPCRにも適しており、結核菌群のマイコバクテリアのilvC核酸の特異的検出が、ilvC核酸以外の結核菌群の1以上のマイコバクテリアの1以上の核酸検出によって補完される。例えば、ilvC核酸以外の核酸は、結核菌群のマイコバクテリアの16s rRNAであり得る。あるいは、またはさらに、1以上のilvC核酸以外の核酸は、例えば、それにより、配列番号4、6、8、10、12、14および16からなる群から選択される配列の長さが少なくとも20もしくは30もしくは40もしくは50もしくは60もしくは70もしくは80もしくは90もしくは100もしくはそれを上回る連続するヌクレオチド、またはそれらに相補的な配列を検出するための、BSX、S9、Rv1265、EF−Tu、P5CR、TetR様タンパク質およびグルタミン合成酵素からなる群から選択されるタンパク質をコードする核酸、またはそれらに相補的な核酸であり得る。本発明はまた、該核酸が試料中に存在するときに、1以上のilvC核酸以外の核酸に由来する各々長さが少なくとも50または60または70または80または90または100の連続するヌクレオチドの1以上のアンプリコンを生成させ得る。これらの核酸の組合せが検出されるフォーマットも本発明に包含される。
本発明の方法は、結核菌群のマイコバクテリアのilvC核酸の特異的検出が、結核菌群の1以上のマイコバクテリアの1以上のタンパク質、例えば、ilvC核酸によってコードされるKARIタンパク質および/またはBSXおよび/またはS9および/またはRv1265および/またはEF−Tuおよび/またはP5CRおよび/またはTetR様タンパク質および/またはグルタミン合成酵素の検出によって補完される、マルチプラットフォームフォーマット、例えば、NAAに基づくプラットフォームと抗原に基づくプラットフォームの組合せにも適している。このアッセイフォーマットでは、本明細書の任意の実施例によって記載されるようなタンパク質を検出するために、抗原に基づくアッセイを利用することが特に好ましい。
本発明はまた、生物学的試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアの存在を検出する方法であって、
(i)対象から生物学的試料を準備することと、
(ii)該試料から核酸を単離することと、
(iii)インビトロ核酸増幅アッセイにおいて1以上のilvC核酸を増幅し、増幅された核酸を生成させることと、
(iv)増幅された核酸を検出することと、
を含み、ここで、増幅された核酸の陽性検出は、該試料中の1以上の該結核菌群のマイコバクテリアの存在を示す、方法を提供する。
(i)対象から生物学的試料を準備することと、
(ii)該試料から核酸を単離することと、
(iii)インビトロ核酸増幅アッセイにおいて1以上のilvC核酸を増幅し、増幅された核酸を生成させることと、
(iv)増幅された核酸を検出することと、
を含み、ここで、増幅された核酸の陽性検出は、該試料中の1以上の該結核菌群のマイコバクテリアの存在を示す、方法を提供する。
別の実施例では、本発明はまた、生物学的試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアの存在を検出する方法であって、増幅プライマーおよびプローブ、例えば、分子ビーコンまたはTaqManプローブまたはスコーピオンプローブの存在下で1以上のilvC核酸を増幅し、それにより、プローブがilvC核酸にハイブリダイズするときに、検出可能なシグナルを生じさせることを含み、ここで、検出可能なシグナルは、該試料中の1以上の該結核菌群のマイコバクテリアの存在を示す、方法を提供する。
ilvC核酸(ilvC−NAA)を検出するための、本明細書中の任意の実施形態によって記載される1以上のNAAに基づくアッセイは、感染または疾患の早期診断に有用であり、種々の臨床試料中のilvC核酸の存在を検出することによって結核菌群のマイコバクテリアによる活動性感染または過去の感染を検出する手段を提供する。
別の実施例では、本発明は、対象における結核菌群の1以上のマイコバクテリアによる感染を診断するためのプロセスであって、対象由来の生物学的試料に対して本発明の任意の実施例による方法を行ない、それにより、試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、M.アウィウム群のilvC核酸を検出しない条件下で検出することを含み、ここで、結核菌群の1以上のマイコバクテリアの1以上のilvC核酸の検出が感染を示す、プロセスを提供する。本発明のこのプロセスは、活動性感染または潜伏感染の診断に特に適している。
別の実施例では、本発明は、対象における結核を診断するためのプロセスであって、対象由来の生物学的試料に対して本発明の任意の実施例による方法を行ない、それにより、試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、M.アウィウム群のilvC核酸を検出しない条件下で検出することを含み、ここで、結核菌群の1以上のマイコバクテリアの1以上のilvC核酸の検出が結核を示す、プロセスを提供する。本発明のこのプロセスは、肺結核または肺外結核の診断に特に適している。本発明のこのプロセスはまた、結核または結核もしくは結核菌感染と関連する状態のための他の臨床検査、例えば、対象における結核の1以上の臨床症状の診断および/または対象における免疫抑制の1以上の臨床症状の診断および/または対象におけるHIV感染の診断と組み合わせて特に有用である。
別の実施例では、本発明は、対象における結核または結核菌群の1以上のマイコバクテリアによる感染を診断する方法であって、該対象由来の生物学的試料中に存在する結核菌群の1以上のマイコバクテリアの1以上のilvC核酸を検出することを含み、試料中の該ilvC核酸の存在が感染を示す、方法を提供する。
したがって、本発明のさらなる実施例は、対象における結核または結核菌群の1以上のマイコバクテリアによる感染を診断する方法であって、プローブ(例えば、分子ビーコンまたはTaqManプローブまたはスコーピオンプローブ)の存在下でポリメラーゼ連鎖反応を行なうことによって、該対象由来の生物学的試料中に存在する結核菌群の1以上のマイコバクテリアの1以上のilvC核酸を検出することを含み、ここで、試料中の該ilvC核酸の存在は、プローブの蛍光によって検出され、かつ該蛍光は感染を示す、方法を提供する。
別の実施例では、本発明は、結核または結核菌群の1以上のマイコバクテリアによる感染を治療するためのプロセスであって、
(i)対象由来の試料に対して本発明の任意の実施例による方法を行ない、それにより、試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアを検出することと、
(ii)治療有効量の薬学的組成物を対象に投与し、それにより、対象の肺、血液またはリンパ系における病原菌の数を減少させることと、
を含むプロセスを提供する。
(i)対象由来の試料に対して本発明の任意の実施例による方法を行ない、それにより、試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアを検出することと、
(ii)治療有効量の薬学的組成物を対象に投与し、それにより、対象の肺、血液またはリンパ系における病原菌の数を減少させることと、
を含むプロセスを提供する。
本発明はまた、結核または結核菌群の1以上のマイコバクテリアによる感染を治療する方法であって、
(i)本明細書に記載の任意の実施形態による診断方法を行ない、それにより対象由来の生物学的試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアの存在を検出することと、
(ii)治療有効量の薬学的組成物を投与して、対象の肺、血液またはリンパ系における病原菌の数を減少させることと、
を含む方法を提供する。
(i)本明細書に記載の任意の実施形態による診断方法を行ない、それにより対象由来の生物学的試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアの存在を検出することと、
(ii)治療有効量の薬学的組成物を投与して、対象の肺、血液またはリンパ系における病原菌の数を減少させることと、
を含む方法を提供する。
本発明はまた、結核または結核菌群の1以上のマイコバクテリアによる感染を治療する方法であって、
(i)本明細書に記載の任意の実施形態による診断方法を行ない、それにより、第1の薬学的組成物で治療されている対象由来の生物学的試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアの存在を検出することと、
(ii)治療有効量の第2の薬学的組成物を投与して、対象の肺、血液またはリンパ系における病原菌の数を減少させることと、
を含む方法を提供する。
(i)本明細書に記載の任意の実施形態による診断方法を行ない、それにより、第1の薬学的組成物で治療されている対象由来の生物学的試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアの存在を検出することと、
(ii)治療有効量の第2の薬学的組成物を投与して、対象の肺、血液またはリンパ系における病原菌の数を減少させることと、
を含む方法を提供する。
本発明はまた、対象における結核を治療する方法であって、本明細書に記載されたような診断方法または予後診断方法を行なうことを含む方法を提供する。一実施形態では、本発明は、
(i)対象由来の生物学的試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリア感染の存在を検出することと、
(ii)治療有効量の薬学的組成物を投与して、対象の肺、血液またはリンパ系における病原菌の数を減少させることと、
を含む予防方法を提供する。
(i)対象由来の生物学的試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリア感染の存在を検出することと、
(ii)治療有効量の薬学的組成物を投与して、対象の肺、血液またはリンパ系における病原菌の数を減少させることと、
を含む予防方法を提供する。
本発明はまた、生物学的試料中の結核菌群の1以上のマイコバクテリアを検出するためのキットであって、
(i)NAAに基づく検出用の1以上のプライマーと、
(ii)本発明の方法を用いる核酸の増幅に好適な試薬(例えば、緩衝液および/または1以上のデオキシヌクレオチドおよび/またはポリメラーゼおよび/または対照プライマー)ならびに増幅産物の定量に好適な試薬と、
を含むキットを提供する。場合により、キットは使用説明書とともにパッケージングされる。
(i)NAAに基づく検出用の1以上のプライマーと、
(ii)本発明の方法を用いる核酸の増幅に好適な試薬(例えば、緩衝液および/または1以上のデオキシヌクレオチドおよび/またはポリメラーゼおよび/または対照プライマー)ならびに増幅産物の定量に好適な試薬と、
を含むキットを提供する。場合により、キットは使用説明書とともにパッケージングされる。
別の実施例では、本発明は、抗原に基づく検出に好適な試薬をさらに含むキットであって、
(i)結核菌群の1以上のマイコバクテリアの単離されたもしくは組換えの免疫原性KARIタンパク質、または本明細書に記載の任意の実施形態による免疫原性KARIペプチドもしくは免疫原性KARI断片もしくはそれらのエピトープ、または該ペプチドもしくはエピトープもしくは断片の組合せもしくは混合物、または該免疫原性KARIタンパク質、ペプチド、断片もしくはエピトープを含む融合タンパク質またはタンパク質凝集体に特異的に結合する、1以上の単離された抗体またはその免疫反応性断片と、
(ii)抗原抗体複合体の形成を検出するための手段と
をさらに含むキットを提供する。場合により、キットは使用説明書とともにパッケージングされている。
(i)結核菌群の1以上のマイコバクテリアの単離されたもしくは組換えの免疫原性KARIタンパク質、または本明細書に記載の任意の実施形態による免疫原性KARIペプチドもしくは免疫原性KARI断片もしくはそれらのエピトープ、または該ペプチドもしくはエピトープもしくは断片の組合せもしくは混合物、または該免疫原性KARIタンパク質、ペプチド、断片もしくはエピトープを含む融合タンパク質またはタンパク質凝集体に特異的に結合する、1以上の単離された抗体またはその免疫反応性断片と、
(ii)抗原抗体複合体の形成を検出するための手段と
をさらに含むキットを提供する。場合により、キットは使用説明書とともにパッケージングされている。
別の実施例では、本発明は、抗体に基づく検出に好適な試薬をさらに含むキットであって、
(i)結核菌群の1以上のマイコバクテリアの単離されたもしくは組換えの免疫原性KARIタンパク質、または本明細書に記載の任意の実施形態による免疫原性KARIペプチドもしくは免疫原性KARI断片もしくはそれらのエピトープ、または該ペプチドもしくはエピトープもしくは断片の組合せもしくは混合物と、
(ii)抗原抗体複合体の形成を検出するための手段と
をさらに含むキットを提供する。場合により、キットは使用説明書とともにパッケージングされている。
(i)結核菌群の1以上のマイコバクテリアの単離されたもしくは組換えの免疫原性KARIタンパク質、または本明細書に記載の任意の実施形態による免疫原性KARIペプチドもしくは免疫原性KARI断片もしくはそれらのエピトープ、または該ペプチドもしくはエピトープもしくは断片の組合せもしくは混合物と、
(ii)抗原抗体複合体の形成を検出するための手段と
をさらに含むキットを提供する。場合により、キットは使用説明書とともにパッケージングされている。
定義
本明細書は、パテントイン(PatentIn)バージョン3.3を用いて準備されるヌクレオチドおよびアミノ酸配列情報を含む。各ヌクレオチド配列は、数字表示 <210>とそれに続く配列識別子(例えば、<210>1、<210>2、<210>3など)によって配列表に中に同定されている。配列(DNA、タンパク質(PRT)など)の長さおよび種類、各ヌクレオチド配列の供給源生物は、それぞれ、数字表示フィールド<211>、<212>および<213>で提供された情報によって示されている。
本明細書は、パテントイン(PatentIn)バージョン3.3を用いて準備されるヌクレオチドおよびアミノ酸配列情報を含む。各ヌクレオチド配列は、数字表示 <210>とそれに続く配列識別子(例えば、<210>1、<210>2、<210>3など)によって配列表に中に同定されている。配列(DNA、タンパク質(PRT)など)の長さおよび種類、各ヌクレオチド配列の供給源生物は、それぞれ、数字表示フィールド<211>、<212>および<213>で提供された情報によって示されている。
本明細書におけるヌクレオチド配列は、用語「配列番号」と、それに続く配列識別子によって定義される(例えば、配列番号1は、配列表中の<400>1と命名された配列を指す)。
本明細書で参照したヌクレオチド残基の命名は、IUPAC−IUB生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨されるものであり、その場合、Aはアデニンを表し、Cはシトシンを表し、Gはグアニンを表し、Tはチミンを表し、Yはピリミジン残基を表し、Rはプリン残基を表し、Mはアデニンまたはシトシンを表し、Kはグアニンまたはチミンを表し、Sはグアニンまたはシトシンを表し、Wはアデニンまたはチミンを表し、Hはグアニン以外のヌクレオチドを表し、Bはアデニン以外のヌクレオチドを表し、Vはチミン以外のヌクレオチドを表し、Dはシトシン以外のヌクレオチドを表し、Nは任意のヌクレオチド残基を表す。
本明細書で使用される場合、「ケトール−酸レダクトイソメラーゼ」または「KARI」という用語は、配列番号1または本出願の配列番号1に示すものと実質的に同じ配列との少なくとも約80%の同一性を含むかもしくは有するおよび/または結核菌のilvC遺伝子によってコードされる配列と少なくとも約80%同一な配列を含むかもしくは有する結核菌タンパク質組成物であって、結核菌群の1以上のマイコバクテリアまたは該1以上のマイコバクテリアに感染した対象由来の臨床マトリックスと交差反応する免疫原性ペプチドを産生するか、またはそのような抗体を調製する目的に好適であり、かつ任意の他の機能性(例えば、タンパク質翻訳における役割)を必要としない組成物を意味すると解釈する。本発明までは、配列番号1に示す結核菌タンパク質は、インビボで発現されること、または免疫原性もしくは他の生物と免疫学的に非交差反応性であることが示されておらず、KARIタンパク質に関する情報は、配列番号1のポリペプチドをコードする結核菌ゲノム中のオープンリーディングフレームのバイオインフォマティック解析に由来した。
本明細書で使用される場合、「に由来する」という用語は、特定された整数が、必ずしもその源から直接ではないにしても、特定の源から得られ得ることを示すと解釈するものとする。
文脈上、他の意味に解すべき場合を除き、または具体的に反対のことを記述しない限り、単数形の整数、工程または要素として本明細書に記載された本発明の整数、工程または要素は、記載された整数、工程または要素の単数形と複数形の両方を明確に包含する。
任意の単一の実施形態に関して、特に、任意のタンパク質または結核菌の診断、予後診断または治療におけるその使用に関して本明細書に記載された本発明の実施形態は、本明細書に記載された本発明の任意の他の実施形態において準用されると解釈するものとする。
個々の対象について本明細書に記載された診断実施形態は、個体群、人種集団もしくは亜集団の疫学、または特定のMHC拘束を有する個体の診断もしくは予後診断において明確に準用される。本発明の全てのこのようなバリエーションは、本明細書に記載の内容に基づいて、当業者によって容易に導き出される。
結核菌の検出もしくは同定に対する本明細書中の言及および/または結核もしくは結核菌による感染の診断、予後診断もしくはモニタリングに対する言及は、結核菌群のいずれか1種または複数種の生物の検出にまで明確に及ぶが、文脈上、他の意味に解すべき場合を除き、パラ結核および/またはM.アウィウム群の1以上の生物の診断にまでは及ばない。例えば、本明細書に記載されているように、本発明は、結核菌KARIおよび断片ならびにM.アウィウムおよびM.イントラセルラーレのうちの1つまたは複数と交差反応する抗体を、結核を検出するためのおよび/または結核菌群の1以上のマイコバクテリアを検出するための1以上の代用アッセイの使用と組み合わせた(しかし、パラ結核を診断するためのおよび/またはM.アウィウム群の1以上のマイコバクテリアを検出するための代用アッセイとは組み合わせていない)マイコバクテリアの包括的なスクリーニングとして使用することを包含する。
本明細書の全体を通じて、文脈上、他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などのバリエーションは、記載した工程もしくは要素もしくは整数または工程もしくは要素もしくは整数の群の包含を意味するが、任意の他の工程もしくは要素もしくは整数または工程もしくは要素もしくは整数の群の排除を意味しないと理解するものとする。
当業者であれば、本明細書に記載された本発明が具体的に記載されたもの以外のバリエーションおよび修正を受け入れる余地があるということを理解するであろう。本発明は、全てのこのようなバリエーションおよび修正を含むことが理解されるべきである。本発明はまた、本明細書において、個別的にまたは集合的に言及されているかまたは示されている、工程、特徴、組成物および化合物の全て、ならびに該工程または特徴の任意のおよび全ての組合せまたはいずれか2つ以上を含む。
本発明は、本明細書に記載された具体的な実施例による範囲に限定されるものではない。機能的に同等な産物、組成物および方法は、明確に、本明細書に記載されたような、本発明の範囲内にある。
本発明は、別途示さない限り、分子生物学、微生物学、プロテオミクス、ウイルス学、組換えDNA技術、溶液中でのペプチド合成、固相ペプチド合成、および免疫学の従来技術を用いて、過度の実験を行なうことなく実施される。このような従来技術を教示する下記のテキスト1〜17は、参照により本明細書に組み込まれる。
検出手段
本方法の検出手段は、例えば、従来の方法、および/または当技術分野で公知の他の核酸増幅方法と比較して、高い感度および/または高い特異性および/または高い再現性を提供する。
本方法の検出手段は、例えば、従来の方法、および/または当技術分野で公知の他の核酸増幅方法と比較して、高い感度および/または高い特異性および/または高い再現性を提供する。
「高い感度」という用語は、試料中のilvC核酸の約100%の検出;または試料中のilvC核酸の約99%の検出;または試料中のilvC核酸の約98%の検出;または試料中のilvC核酸の約97%の検出;または試料中のilvC核酸の約96%の検出;または試料中のilvC核酸の約95%の検出;または試料中のilvC核酸の約94%の検出;または試料中のilvC核酸の約93%の検出;または試料中のilvC核酸の約92%の検出;または試料中のilvC核酸の約91%の検出;または試料中のilvC核酸の約90%の検出;または試料中のilvC核酸の約89%の検出;または試料中のilvC核酸の約88%の検出;または試料中のilvC核酸の約87%の検出;または試料中のilvC核酸の約86%の検出;または試料中のilvC核酸の約85%の検出;または試料中のilvC核酸の約80〜約84%の検出を意味すると解釈する。
一実施例では、検出手段は、既知の方法よりも約15〜20倍高い感度でilvC核酸を検出する。別の実施例では、本発明の方法は、既知の方法よりも約20〜30倍高い感度でilvC核酸を検出する。別の実施例では、本発明の方法は、既知の方法よりも約30〜50倍高い感度でilvC核酸を検出する。別の実施例では、本発明の方法は、既知の方法よりも約2〜15倍感度高い感度でilvC核酸を検出する。別の実施例では、本発明の方法は、既知の方法よりも約5〜10倍高い感度でilvC核酸を検出する。
「高い特異性」という用語は、ilvC核酸検出についての約100%の特異性;またはilvC核酸検出についての約99%の特異性;またはilvC核酸検出についての約98%の特異性;またはilvC核酸検出についての約97%の特異性;またはilvC核酸検出についての約96%の特異性;またはilvC核酸検出についての約95%の特異性;またはilvC核酸検出についての約80%〜約95%の特異性;またはilvC核酸検出についての約80%〜約85%の特異性を意味すると解釈する。
一実施例では、本明細書に記載の任意の実施形態による検出手段は、出発鋳型1μg当たり少なくとも約1コピーの鋳型を再現性よく検出する。別の実施例では、本明細書に記載の任意の実施形態による本発明の方法は、出発鋳型1μg当たり約1〜2000コピーの鋳型を再現性よく検出する。別の実施例では、本明細書に記載の任意の実施形態による本発明の方法は、出発鋳型1μg当たり約1〜1000コピーの鋳型を検出する。別の実施例では、本明細書に記載の任意の実施形態による本発明の方法は、出発鋳型1μg当たり1〜500コピーの鋳型を検出する。別の実施例では、本明細書に記載の任意の実施形態による本発明の方法は、出発鋳型1μg当たり約1〜400コピーの鋳型を検出する。別の実施例では、本明細書に記載の任意の実施形態による本発明の方法は、出発鋳型1μg当たり約1〜300コピーの鋳型を検出する。別の実施例では、本明細書に記載の任意の実施形態による本発明の方法は、出発鋳型1μg当たり約1〜200コピーの鋳型を検出する。別の実施例では、本明細書に記載の任意の実施形態による本発明の方法は、出発鋳型1μg当たり約1〜100コピーの鋳型を検出する。別の実施例では、本明細書に記載の任意の実施形態による本発明の方法は、出発鋳型1μg当たり約1〜50コピーの鋳型を検出する。
本発明の方法で利用される検出手段は、例えば、検出可能なシグナルを生じさせることによってインプット核酸を検出するために、プローブまたはペプチド核酸(PNA)またはロックされた核酸(LNA)プローブ)を利用する、核酸ハイブリダイゼーションを含み得る。あるいは、本発明の方法で利用される検出手段は、1以上のプライマーと、場合により本明細書に記載の1以上のプローブとを用い、それによりインプット核酸に由来するilvC核酸を含むアンプリコンを生成させる増幅反応、例えば、温度サイクリングを必要とする増幅反応または温度サイクリングを必要としない増幅反応を含み得る。
インプット核酸または鋳型
本明細書の任意の実施例に記載されるような核酸増幅に基づくアッセイは、同じ対象由来の多様な試料において、高い感度および/または高い選択性および再現性で、臨床試料中のilvC核酸(ilvC−NAA)を検出および/または定量するためのものである。ilvC−NAAに基づく検査はまた、臨床試料の大規模コホート全体で再現性のある結果、例えば、感染および/または疾患進行の重症度と相関するilvC転写産物レベルを提供する。例えば、これは、増幅された核酸の検出と定量とによって達成し得る。
本明細書の任意の実施例に記載されるような核酸増幅に基づくアッセイは、同じ対象由来の多様な試料において、高い感度および/または高い選択性および再現性で、臨床試料中のilvC核酸(ilvC−NAA)を検出および/または定量するためのものである。ilvC−NAAに基づく検査はまた、臨床試料の大規模コホート全体で再現性のある結果、例えば、感染および/または疾患進行の重症度と相関するilvC転写産物レベルを提供する。例えば、これは、増幅された核酸の検出と定量とによって達成し得る。
「鋳型」は任意のilvC核酸であると解釈され、かつ一本鎖または二本鎖のゲノムDNA、mRNAまたはcDNAをはじめとする、その中に任意のヌクレオチド類似体を含むまたは含まないDNA、RNAまたはRNA/DNAを含み得る。しかしながら、鋳型は、ilvC遺伝子のmRNA転写産物から生成されたcDNAであることが好ましい。
一実施例では、鋳型は、配列番号1に示すようなKARIタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号1に示すようなKARIタンパク質に少なくとも80%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号1に示すようなKARIタンパク質に80%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号1に示すようなKARIタンパク質に85%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号1に示すようなKARIタンパク質に90%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号1に示すようなKARIタンパク質に95%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。
別の実施例では、鋳型は、配列番号2に示すようなヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号2に示すようなコード配列に少なくとも80%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号2に示すようなコード配列に少なくとも80%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号2に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号2に示すようなコード配列に少なくとも90%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号2に示すようなコード配列に少なくとも95%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号2に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。
記述されたタンパク質および上記のコード配列は、例示されたタンパク質および配列表によって例示されたコード配列のホモログを含み、その場合、該ホモログは、結核菌群の1種または複数種の細菌、例えば、結核菌および/またはウシ型結核菌および/またはM.アフリカヌムおよび/またはM.カネッティおよび/またはネズミ型結核菌によって発現されることがこの文脈において理解されるべきである。
別の実施例では、本発明による結核菌または結核菌群のilvC核酸の特異的増幅は、標準的な25μlの反応液中、プライマーまたはプローブの寄与分を除いた、約10ng未満または約5ng未満または4ng未満または3ng未満または2ng未満または1ng未満または約500pg未満または約100pg未満または約50pg未満の核酸濃度を利用する。標準的な25μlの反応液中の好ましい核酸濃度は、プライマーまたはプローブの寄与分を除いた、約10pgまたは15pgまたは20pgまたは25pgまたは30pgまたは35pgまたは40pgまたは45pgまたは50pg(例えば、約35pg〜約45pg)である。(プライマーまたはプローブの寄与分を除いた)より低濃度のインプット核酸は、本明細書に記載の特定のプライマーペアについてのM.アウィウム配列の増幅などの非特異的増幅効果を低下させ得る。当業者であれば、過度の実験または努力を伴うことなく、様々な反応条件についてのこれらの核酸濃度を調整することができるであろう。
プライマー設計
当業者には知られているように、「プライマー」は、それに含まれる1以上のリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド類似体を有するDNA、RNAまたはDNA/RNAを含むように、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドおよびそれらの類似体の任意の組合せを含み、かつ核酸鋳型にアニーリングして、酵素(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼ)の結合部位として働き、それにより、5’から3’の方向に特定の核酸の複製開始部位を提供することができる核酸分子である。プライマーのヌクレオチド配列は、通常、増幅される鋳型核酸のヌクレオチド配列に実質的に相補的であるか、またはアニーリングが起こり、そこから5’から3’の方向に伸長するのに十分な相補的領域を少なくとも含む。しかしながら、当業者には明白であるように、非相補性の程度は、プライマーが伸長を開始する能力にそれほど悪影響を及ぼすものではない。本発明の方法での使用に好適なプライマーを設計および/または作成するための好適な方法は当技術分野で公知であり、かつ/または本明細書に記載されている。プライマーは、通常、長さ約12〜50ヌクレオチドの短い合成核酸であるが、必ずしもそうであるわけではない。好ましくは、第1のプライマーまたは第1のプライマーセットの各々のプライマーは、核酸鋳型の鎖にアニーリングすることができる長さが少なくとも約12〜15のヌクレオチドを含む。プライマーはまた、鋳型の鎖にアニーリングすることができる長さが少なくとも約20または25または30のヌクレオチドを含み得る。
当業者には知られているように、「プライマー」は、それに含まれる1以上のリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド類似体を有するDNA、RNAまたはDNA/RNAを含むように、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドおよびそれらの類似体の任意の組合せを含み、かつ核酸鋳型にアニーリングして、酵素(例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼ)の結合部位として働き、それにより、5’から3’の方向に特定の核酸の複製開始部位を提供することができる核酸分子である。プライマーのヌクレオチド配列は、通常、増幅される鋳型核酸のヌクレオチド配列に実質的に相補的であるか、またはアニーリングが起こり、そこから5’から3’の方向に伸長するのに十分な相補的領域を少なくとも含む。しかしながら、当業者には明白であるように、非相補性の程度は、プライマーが伸長を開始する能力にそれほど悪影響を及ぼすものではない。本発明の方法での使用に好適なプライマーを設計および/または作成するための好適な方法は当技術分野で公知であり、かつ/または本明細書に記載されている。プライマーは、通常、長さ約12〜50ヌクレオチドの短い合成核酸であるが、必ずしもそうであるわけではない。好ましくは、第1のプライマーまたは第1のプライマーセットの各々のプライマーは、核酸鋳型の鎖にアニーリングすることができる長さが少なくとも約12〜15のヌクレオチドを含む。プライマーはまた、鋳型の鎖にアニーリングすることができる長さが少なくとも約20または25または30のヌクレオチドを含み得る。
当業者には明白であるように、核酸鋳型にアニーリングすることができるヌクレオチドの数は、プライマーがアニーリングするストリンジェンシーに関連する。好ましくは、本発明の方法で使用されるプライマーは、中程度から高いストリンジェンシー条件下で核酸鋳型にアニーリングする。
一実施形態では、本発明のプライマーが鋳型核酸にアニーリングするストリンジェンシーを実験的に決定する。別の実施例では、プライマーが鋳型核酸にアニーリングする条件をコンピュータで決定する。別の実施例では、Breslauer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci. USA,53:3746−3750,1986に記載されている最近隣法は、プライマーのTmを決定するのに有用である。プライマーのTmを決定するための他の例示的な方法は本明細書に記載されている。
ilvC核酸の特異的検出および感度の高い検出のためのプライマーの設計が本明細書に記載されている。例えば、本明細書で例示されるようなBLAST検索を行なうことによって、プライマーおよび推定上の増幅産物をスクリーニングし、特異性を保証し得る。したがって、結核菌群全体での高い相同性を有するが、他のマイコバクテリアとの大きな相同性を示さないプライマーを開示する。一実施形態では、プライマーが鋳型核酸の鎖の領域に対して全体で少なくとも約80%の同一性を有する配列を含むように、プライマーを設計する。より好ましくは、配列同一性の程度は、少なくとも約80%または85%または90%または95%または98%または99%または100%である。例えば、プライマーまたはプライマーの領域は、対象となる鋳型(例えば、ilvC配列または他の結核菌群配列)の鎖の領域に対して少なくとも約80%の同一性を有する配列を含み得る。
一実施形態では、プライマーは、鋳型核酸(例えば、本発明の単一検体NAAに基づくアッセイの場合、ilvC転写産物)、または多検体検査で記載されているような他の転写産物のうちのいずれか1つ(例えば、BSX転写産物)の鎖に対して全体で少なくとも約80%の同一性を有する配列を含むように設計される。より好ましくは、鋳型に対する配列同一性の程度は、少なくとも約85%または90%または95%または98%または99%である。例えば、プライマーまたはプライマーの領域は、核酸の鋳型の鎖に対して少なくとも約80%の同一性を有する配列を含み得る。
本発明のプライマーの具体的な組成が、対象となる核酸の配列に依存することは明らかである。特に、配列は、核酸の鋳型へのプライマーのアニーリングと増幅反応の開始とを可能にするのに十分であるだけでよい。
この文脈において、「アニーリング」という用語または同様の用語は、相補的ヌクレオチド残基間の塩基対形成を促進するかまたは許容することが当技術分野で知られている温度または他の反応条件を用いて、プライマーと増幅される核酸(すなわち、鋳型または一次増幅産物)が互いに塩基対形成して、二本鎖または部分二本鎖核酸を形成することを意味すると解釈するものとする。当業者に知られているように、二重鎖を形成する能力および/または形成された二重鎖の安定性は、プライマーと増幅される核酸の間の相補的領域の長さ、相補的領域におけるアデニンとチミンの含有量パーセンテージ(すなわち、「A+T含有量」)、二重鎖の融解温度(Tm)に対するインキュベーション温度、および増幅が行なわれる緩衝液または他の溶液の塩濃度をはじめとする、1以上の因子に左右される。通常、アニーリングを促進するために、プライマーと増幅される核酸は、そのA+T含有量と長さから予測されるプライマーTmよりも少なくとも約1〜5℃低い温度でインキュベートされる。二重鎖形成は、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Hames and Higgins,Nucleic Acid Hybridization:A Practical Approach,IRL Press,Oxford(1985);Berger and Kimmel,Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology,第152巻,Academic Press,San Diego CA(1987);またはAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,ISBN 047150338(1992)に記載されているように、反応緩衝液中の塩(例えば、NaCl、MgCl2、KCl、クエン酸ナトリウムなど)の量を増加させることによって、またはインキュベーション期間を長くすることによって強化するかまたは安定化することもできる。
プライマーは、通常、5’から3’の方向に伸長するので、少なくとも3’末端ヌクレオチドが、鋳型核酸中の関連するヌクレオチドに相補的であることが好ましい。より好ましくは、プライマーの3’末端の少なくとも3または4または6または8または10個の連続するヌクレオチドが鋳型核酸中の関連するヌクレオチドに相補的である。プライマーの3’末端の相補性により、伸長するプライマー末端が、例えば、ポリメラーゼによる鋳型核酸の増幅を開始することができることが保証される。
非相補的な領域は、プライマーの予想Tmを減少させ、かつ非鋳型核酸の増幅と関連する可能性があるので、本発明のプライマーは、鋳型核酸の鎖と同一でない多数の連続するヌクレオチドを含まないことが好ましい。好ましくは、プライマーは、鋳型核酸の鎖と同一でないわずか6または5または4または3または2個の連続するヌクレオチドを含む。より好ましくは、鋳型核酸の鎖と同一でないいかなるヌクレオチドも非連続的である。
2つのヌクレオチド配列が、本明細書に記載された特定の同一性限界パーセンテージの範囲に含まれるかどうかを決定するために、当業者であれば、配列の並列比較または多重アラインメントを行なう必要があることを知っているであろう。このような比較またはアラインメントでは、アラインメントの実施に用いられるアルゴリズムによって、非同一の残基の位置決めにおいて相違が生じ得る。この文脈において、この文脈において、2以上のヌクレオチド配列間の同一性パーセンテージに対する言及は、当業者に公知の任意の標準アルゴリズムを用いて決定したときの、該配列間の同一の残基の数を表すと解釈するものとする。例えば、ヌクレオチド配列を整列させ、BESTFITプログラムまたはComputer Genetics Group,Inc.,University Research Park,Madison,Wisconsin,United States of America(Devereaux et al,Nucl. Acids Res.12,387−395,1984)の他の適当なプログラムを用いてその同一性を計算し得る。
あるいは、一般に用いられかつ自由に利用可能な配列比較ルゴリズム一式は、National Center for Biotechnology Information(NCBI) Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul et al.J.Mol.Biol.215:403−410,1990)によって提供されており、これは、NCBI,Bethesda,Md.をはじめとする、いくつかの供給源から入手可能である。BLASTソフトウェア一式には、既知のヌクレオチド配列を種々のデータベース由来の他のポリヌクレオチド配列と整列させるのに用いられる、「blastn」をはじめとする様々な配列解析プログラムが含まれる。2つのヌクレオチド配列の直接的な対比較に用いられる「BLAST 2Sequences」と呼ばれるツールも利用可能である。
本明細書で使用される場合、「NCBI」という用語は、アメリカ合衆国政府の国立衛生研究所の国立医学図書館にある国立生物工学情報センター(Bethesda,MD,20894)のデータベースを意味すると解釈するものとする。
通常、プライマーは、核酸鋳型にアニールするかまたは核酸鋳型に相補的である少なくとも約10個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約12個のヌクレオチドまたは少なくとも約15個もしくは20個のヌクレオチドを含むか、またはこれらのヌクレオチドからなる。しかしながら、より長いプライマーも、増幅反応、例えば、長い核酸領域(例えば、1000bpを超えるもの)を増幅する反応で用いられる。したがって、本発明はさらに、核酸鋳型にアニールするかまたは核酸鋳型に相補的である少なくとも約25個または30個または35個のヌクレオチドを含むプライマーを意図する。
あるいは、例えば、ロックされた核酸(LNA)またはペプチド核酸(PNA)などの1以上の修飾された塩基を含むプライマーは、核酸鋳型にアニールするかまたは核酸鋳型に相補的である少なくとも約8個のヌクレオチドの領域を含みさえすれば十分である。好ましくは、相補的ヌクレオチドは連続的である。
当業者には明白であるように、核酸鋳型にアニーリングすることができるヌクレオチドの数は、プライマーがアニーリングするストリンジェンシーに関連する。好ましくは、本発明のプライマーは、中程度から高いストリンジェンシー条件下で核酸鋳型にアニーリングする。
一実施形態では、本発明のプライマーが核酸鋳型にアニーリングするストリンジェンシーを実験的に決定する。通常、このような方法は、様々な条件下で1以上のプライマーを用いる増幅反応の実施ともたらされる特異的増幅のレベルの決定とを必要とする。
あるいは、本発明のプライマーを検出可能マーカー(例えば、放射性ヌクレオチドまたは蛍光マーカー)で標識し、好適にストリンジェントな条件下で標的核酸にアニーリングしたプライマーのレベルを決定する。
ストリンジェンシーのレベルを定義するために、中程度のストリンジェンシーのアニーリング条件は、通常、
(i)約42℃〜約55℃のインキュベーション温度と、
(ii)プライマーの予想Tmよりも約15℃〜10℃低いインキュベーション温度と、
(iii)約2mM〜3mMのMg2+濃度と、
からなる群から選択される条件を用いて達成される。
(i)約42℃〜約55℃のインキュベーション温度と、
(ii)プライマーの予想Tmよりも約15℃〜10℃低いインキュベーション温度と、
(iii)約2mM〜3mMのMg2+濃度と、
からなる群から選択される条件を用いて達成される。
高いストリンジェンシーのアニーリング条件は、通常、
(i)約55℃を超える、好ましくは約65℃を超えるインキュベーション温度と、
(ii)プライマーの予想Tmよりも約10℃〜1℃低いインキュベーション温度と、
(iii)約1mM〜1.9mMのMg2+濃度と、
からなる群から選択される条件を用いて達成される。
(i)約55℃を超える、好ましくは約65℃を超えるインキュベーション温度と、
(ii)プライマーの予想Tmよりも約10℃〜1℃低いインキュベーション温度と、
(iii)約1mM〜1.9mMのMg2+濃度と、
からなる群から選択される条件を用いて達成される。
アニーリングのストリンジェンシーを高めるための代わりのまたはさらなる条件は、当業者に明白であろう。例として、例えば、グリセロール(5〜10%)、DMSO(2〜10%)、ホルムアミド(1〜5%)、ベタイン(0.5〜2M)またはテトラメチルアンモニウムクロリド(TMAC、>50mM)などの試薬は、プライマーと核酸鋳型のアニーリング温度を変化させることが知られている(Sarkar et al.,Nucl.Acids Res.18:7465;1990,Baskaran et al.Genome Res.6:633−638,1996;およびFrackman et al.,Promega Notes 65:27,1998)。
増幅反応のストリンジェンシーを変化させるための条件は当業者に理解されている。さらに明確にすることだけが目的で、核酸分子間のアニーリングに影響を及ぼすパラメータへの言及は、Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,ISBN 047150338,1992)に見られ、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。
あるいは、プライマーが核酸鋳型にアニーリングする条件はコンピュータで決定される。例えば、プライマーの予想融解温度(すなわち、Tm)(すなわち、プライマーが変性して、特定の核酸から離れる温度)を決定するための方法は、当技術分野で公知である。
例えば、Wallace et al.,(Nucleic Acids Res.6,3543,1979)の方法は、G、C、TおよびA含有量に基づいてプライマーのTmを推定する。特に、記載された方法は、2(A+G)+4(G+C)という式を用いて、プローブまたはプライマーのTmを決定する。
あるいは、Breslauer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci. USA,83:3746−3750,1986に記載されている最近隣法は、プライマーのTmを決定するのに有用である。最近隣法では、以下の式が用いられる。
式中、ΔH0はらせん形成の標準エンタルピーであり、ΔS0はらせん形成の標準エントロピーであり、Ctはトータルの鎖濃度であり、nは対称性因子(これは、自己相補的な鎖の場合は1であり、非自己相補的な鎖の場合は4である)を示し、かつRは気体定数(1.987)である。
Ryuchlik et al.,Nucl Acids Res.18:6409−6412,1990には、オリゴヌクレオチドのTmを決定するための別の式が記載されている。
式中、dHはらせん形成のエンタルピーであり、dSはらせん形成のエントロピーであり、Rはモル気体定数(1.987cal/℃ mol)であり、「c」は、核酸モル濃度(実験的に決定される、W.Rychlik et.al.,前掲書)であり(デフォルト値は、統一的な熱力学的パラメータに対して0.2μM)、[K+]は塩モル濃度である(デフォルト値は50mMである)。
最近隣法を用いてオリゴヌクレオチドのTmを決定するための好適なソフトウェアは当技術分野で公知であり、かつ、例えば、US Department of Commerce,Northwest Fisheries Service Center and Department of Molecular Genetics and Biochemistry,University of Pittsburgh School of Medicineから入手可能である。
あるいは、より長いプライマー(すなわち、少なくとも約200個のヌクレオチドを含むプライマー)の場合、Meinkoth and Wahl(Anal Biochem,138:267−284,1984)の方法が、プライマーのTmを決定するのに有用である。この方法では、以下の式が用いられる。
(数3)
81.5+16.6(log10M)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/塩基対長
式中、MはNa+のモル濃度であり、かつ%formはホルムアミドのパーセンテージである(50%に設定)。
(数3)
81.5+16.6(log10M)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/塩基対長
式中、MはNa+のモル濃度であり、かつ%formはホルムアミドのパーセンテージである(50%に設定)。
PNAを含むかまたはPNAからなるプライマーの場合、Tmは、以下の式(Giesen et al.,Nucl.Acids Res.,26:5004−5006に記載)を用いて決定される。
(数4)
Tmpred=c0+c1 *TmnnDNA+c2 *fpyr+c3 *長さ
式中、TmnnDNAは、SantaLucia et al.Biochemistry,35:3555−3562,1995に記載されているΔH0値およびΔS0値を当てはめた対応するDNA/DNA二重鎖に対して最近隣モデルを用いて計算したときの融解温度である。fpyrはピリミジン含有率を表し、長さはPNA配列の塩基長である。定数は、c0=20.79、c1=0.83、c2=−26.13およびc3=0.44である。
(数4)
Tmpred=c0+c1 *TmnnDNA+c2 *fpyr+c3 *長さ
式中、TmnnDNAは、SantaLucia et al.Biochemistry,35:3555−3562,1995に記載されているΔH0値およびΔS0値を当てはめた対応するDNA/DNA二重鎖に対して最近隣モデルを用いて計算したときの融解温度である。fpyrはピリミジン含有率を表し、長さはPNA配列の塩基長である。定数は、c0=20.79、c1=0.83、c2=−26.13およびc3=0.44である。
LNAを含むプライマーのTmを決定するための好適なプログラムは、例えば、Exiqon,Vedbaek,Germanyから入手可能である。
プライマーが変性して、鋳型核酸から離れる提案された/推定された温度と似ている(例えば、5℃の範囲内もしくは10℃の範囲内)かまたはこれに等しい温度は、高いストリンジェンシーであると考えられる。中程度のストリンジェンシーは、プローブまたはプライマーの計算Tmの10℃〜20℃または10℃〜15℃の範囲内であると考えられるべきである。
好ましくは、本発明のプライマーは、標的核酸に選択的にアニーリングする。「選択的にアニーリングする」という用語は、標的核酸がプローブにアニーリングして、バックグラウンドを有意に上回るシグナル(すなわち、高いシグナル対ノイズ比)を生じさせる条件下でプローブが用いられることを意味する。アニーリングの特異性のレベルは、例えば、プライマーを用いて増幅反応を行ない、生成された異なるアンプリコンの数を検出することによって決定される。「異なるアンプリコン」とは、異なるヌクレオチド配列および/または分子量の増幅された核酸が生成されることを意味する。分子量が異なるアンプリコンが、例えば、ゲル電気泳動を用いて容易に同定されることは明らかである。標的核酸に選択的にアニーリングするプライマーは、任意の他のアンプリコンよりも大きいレベルでアンプリコンを生成させる。1つのアンプリコンだけが検出可能なレベルで生成されるのが好ましい。
本発明のプライマーの選択的アニーリングを決定する別の技術は、アッセイされている試料由来の既知のヌクレオチド配列(例えば、鋳型核酸が得られる生物または細胞由来の既知配列のデータベース)の検索を行なうことを含む。この技術を用いて、プライマーの配列に似ているかまたは相補的な配列を同定する。このような技術は、選択的アニーリングを保証しないものの、核酸中の複数の部位にアニーリングすることができ、かつ多数のアンプリコンを生成させる(すなわち、非選択的アニーリング)可能性があるプライマー(プライマーセット)の決定に有用である。
核酸鋳型に選択的にアニーリングすることができることが予測されているかまたはそのようにできることが示されているプライマーまたはプライマー配列を、場合により、本発明の方法におけるプライマーとしての使用に相応しくする1以上の追加の特徴についても解析する。例えば、プライマーを解析して、二次構造を形成する可能性が低い(すなわち、プライマーは自己相補的な領域を含まない)ことを保証する。
さらに、プライマーが1以上の他のプライマーを含む反応液中で使用されることが提案される場合、全てのプライマーを評価して、互いにアニーリングし、「プライマーダイマー」を形成するその能力を決定し得る。自己二量体化および/またはプライマーダイマー形成が可能なプライマーを決定するための方法は当技術分野で公知であり、かつ/または上に記載されている。
増幅反応での使用に好適なプライマーを設計および/または選択するための方法は当技術分野で公知であり、かつ例えば、Innis and Gelfand(1990)(Optimization of PCRs.pp.3−12:PCR Protocols(Innis,Gelfand,Sninsky and White,編);Academic Press,New York)およびDieffenbach and Dveksler(編)(PCR Primer:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratories,NY,1995)に記載されている。このような方法は、例えば、本発明のプライマーの標的特異的配列の設計に特に適している。本明細書で使用される場合、標的は、対象となる鋳型の少なくとも1個のヌクレオチドにまたがる領域を意味すると解釈する。
通常、プライマーは以下の基準を満たすことが推奨される。
(i)プライマーは、長さが少なくとも約17〜28塩基の標的配列にアニーリングする領域を含む;
(ii)プライマーは約50〜60%の(G+C)を含む;
(iii)プライマーの3’末端は、GもしくはC、またはCGもしくはGCである(これにより、末端の「開裂(breathing)」が防がれ、増幅の開始効率が高まる);
(iv)プライマーは、約55〜約80℃のTmを有することが好ましい;
(v)プライマーは、プライマーの3’末端に3以上の連続するCおよび/またはGを含まない(アニーリングの安定性のために、GまたはCリッチ配列での誤プライミングを促進する可能性があるので);
(vi)プライマーの3’末端は、反応液中の別のプライマーと相補的であるべきではない;および
(vii)プライマーは、自己相補的な領域を含まない。
(i)プライマーは、長さが少なくとも約17〜28塩基の標的配列にアニーリングする領域を含む;
(ii)プライマーは約50〜60%の(G+C)を含む;
(iii)プライマーの3’末端は、GもしくはC、またはCGもしくはGCである(これにより、末端の「開裂(breathing)」が防がれ、増幅の開始効率が高まる);
(iv)プライマーは、約55〜約80℃のTmを有することが好ましい;
(v)プライマーは、プライマーの3’末端に3以上の連続するCおよび/またはGを含まない(アニーリングの安定性のために、GまたはCリッチ配列での誤プライミングを促進する可能性があるので);
(vi)プライマーの3’末端は、反応液中の別のプライマーと相補的であるべきではない;および
(vii)プライマーは、自己相補的な領域を含まない。
1以上のプライマー、またはプライマーの領域を設計することができるいくつかのソフトウェアプログラムが利用可能である。例えば、プログラムは、以下からなる群から選択される。
(i)Center for Genome Research,Cambridge,MA,USAから入手可能なPrimer3は、既知の鋳型配列に基づいて増幅反応で用いられる1以上のプライマーを設計する;
(ii)Biosoft International,Palo Alto,CA,USAから入手可能なPrimer Premier 5は、プライマーを設計および/または解析する;
(iii)Fred Hutchinson Cancer Research Centre,Seattle,Washington,USAから入手可能なCODEHOPは、多数のタンパク質アラインメントに基づいてプライマーを設計する;および
(iv)Institute of Biotechnology,University of Helsinki,Finlandから入手可能なFastPCRは、1以上の既知の配列に基づいて、マルチプレックス反応で用いられるプライマーを含む、多数のプライマーを設計する。
(i)Center for Genome Research,Cambridge,MA,USAから入手可能なPrimer3は、既知の鋳型配列に基づいて増幅反応で用いられる1以上のプライマーを設計する;
(ii)Biosoft International,Palo Alto,CA,USAから入手可能なPrimer Premier 5は、プライマーを設計および/または解析する;
(iii)Fred Hutchinson Cancer Research Centre,Seattle,Washington,USAから入手可能なCODEHOPは、多数のタンパク質アラインメントに基づいてプライマーを設計する;および
(iv)Institute of Biotechnology,University of Helsinki,Finlandから入手可能なFastPCRは、1以上の既知の配列に基づいて、マルチプレックス反応で用いられるプライマーを含む、多数のプライマーを設計する。
本発明のプライマーを設計する場合、使用される増幅反応の種類と同様に、鋳型核酸の組成(すなわち、ヌクレオチド配列)を考慮する。
ilvC核酸の特異的検出および感度の良い検出のためのプライマーを設計する際に、上記の基準を利用する。次に、プライマーおよび推定上の増幅産物を、本明細書で例示されているようなBLAST検索を行なうことによってスクリーニングし、特異性を保証してもよい。このようにして、結核菌群全体での高い相同性を有し、他のマイコバクテリアには大きな相同性を示さないプライマーを設計し得る。同じ方法を、例えば、BSX、S9などの転写産物を検出する多検体検査用のプライマーを設計するために使用し得ることが当業者には明白であろう。
プライマー合成
設計および/または解析に続いて、特異的プライマーを生成および/または合成する。本発明のプライマーを生成/合成するための方法は当技術分野で公知である。例えば、オリゴヌクレオチド合成は、Gait(編)(Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press,Oxford,1984)に記載されている。例えば、プローブまたはプライマーは、生物学的合成によって(例えば、制限エンドヌクレアーゼを用いた核酸の消化によって)または化学的合成によって入手し得る。短い配列(最大約100ヌクレオチド)の場合、化学合成が好ましい。
設計および/または解析に続いて、特異的プライマーを生成および/または合成する。本発明のプライマーを生成/合成するための方法は当技術分野で公知である。例えば、オリゴヌクレオチド合成は、Gait(編)(Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press,Oxford,1984)に記載されている。例えば、プローブまたはプライマーは、生物学的合成によって(例えば、制限エンドヌクレアーゼを用いた核酸の消化によって)または化学的合成によって入手し得る。短い配列(最大約100ヌクレオチド)の場合、化学合成が好ましい。
一実施形態では、デオキシヌクレオチドを含むヌクレオチド(例えば、DNAベースのオリゴヌクレオチド)は、標準的な固相ホスホルアミダイト化学を用いて生成される。本質的に、この方法は、保護ヌクレオシドホスホルアミダイトを用いて、短いオリゴヌクレオチド(すなわち、最大約80ヌクレオチド)を生成させる。通常、最初の5’保護ヌクレオシドをその3’水酸基によってポリマー樹脂に付着させる。次に、5’水酸基を脱保護し、配列中の後ろのヌクレオシド−3’−ホスホルアミダイトを脱保護された基に結合させる。次に、結合したヌクレオシドを酸化してホスホトリエステルを形成させることにより、ヌクレオチド間結合を形成させる。脱保護、結合および酸化の工程を繰り返すことにより、所望の長さおよび配列のオリゴヌクレオチドが得られる。オリゴヌクレオチド合成の好適な方法は、例えば、Caruthers,M.H.,et al.,“Methods in Enzymology,” 第154巻,pp.287−314(1988)に記載されている。
オリゴヌクレオチド合成のための他の方法としては、例えば、ホスホトリエステル法およびホスホジエステル法(Narang,et al.Meth.Enzymol 68:90,1979)ならびに支持体上での合成(Beaucage,et al Tetrahedron Letters 22:1859−1862,1981)、ならびに”Synthesis and Applications of DNA and RNA,” S.A.Narang,編,Academic Press,New York,1987、およびその中に含まれる参考文献に記載されている他の方法が挙げられる。
より長い配列の場合、例えば、J.Messing(1983) Methods Enzymol,101,20−78に記載されているような、一本鎖DNAに対するM13の使用などの、分子生物学で利用される標準的な複製方法が有用である。
あるいは、標準的な技術を用いて、各プライマーが所望のプライマーの部分と別のプライマーへのアニーリングを可能にする領域とを含む、複数のプライマーを生成させる。次に、これらのプライマーを、プライマーをアニーリングさせ、ポリメラーゼを用いて完全なプライマーのコピーを合成することを可能にする重複伸長法で用いる。このような方法は、例えば、Stemmer et al.,Gene 164,49−53,1995に記載されている。
上で論じたように、本発明のプライマー、または本発明の方法で用いられるプライマーはまた、1以上の核酸類似体を含み得る。例えば、プライマーは、リン酸エステル類似体および/またはペントース糖類似体を含む。あるいは、またはさらに、本発明のプライマーは、リン酸エステルおよび/または糖リン酸エステル結合が、N−(2−アミノエチル)−グリシンアミドおよび他のアミド(例えば、Nielsen et al.,Science 254:1497−1500,1991;WO92/20702号;および米国特許出願第5,719,262号参照);モルホリノ(例えば、米国特許出願第5,698,685号参照);カルバマート(例えば、Stirchak & Summerton,J.Org.Chem.52:4202,1987に記載されているもの);メチレン(メチルイミノ)(例えば、Vasseur et al.,J.Am.Chem.Soc.114:4006,1992に記載されているもの);3’−チオホルムアセタール(例えば、Jones et al.,J.Org.Chem.58:2983,1993参照);スルファマート(例えば、米国特許出願第5,470,967号に記載されているもの);一般にPNAと呼ばれる、2−アミノエチルグリシン(例えば、WO92/20702号参照)などの他の種類の結合と置き換えられているポリヌクレオチドを含む。リン酸エステル類似体としては、限定するものではないが、(i)C1−C4アルキルホスホナート、例えば、メチルホスホナート;(ii)ホスホルアミダート;(iii)C1−C6アルキル−ホスホトリエステル;(iv)ホスホロチオアート;および(v)ホスホロジチオアートが挙げられる。このような修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチド結合を含むプライマーを生成させるための方法は当技術分野で公知であり、上で参照した文書で論じられている。
例えば、本発明のプローブまたはプライマーは、1以上のLNAおよび/またはPNA残基を含む。1以上のLNAまたはPNA残基を含むプローブまたはプライマーは、実質的に同じ配列を含むが、LNAまたはPNA残基を含まないプローブまたはプライマーよりも高い温度で核酸鋳型にアニーリングすることが事前に示されている。さらに、LNAをプローブまたはプライマーに組み入れることにより、プローブまたはプライマーのレベルが限定的である反応で生成されるシグナルが増加することが示されている(Latorra et al.,Mol.Cell Probes 17:253−259,2003)。
LNAを含むオリゴヌクレオチドを合成するための方法は、例えば、Nielsen et al.,J.Chem.Soc.Perkin Trans.,1:3423,1997;Singh and Wengel,Chem.Commun.1247,1998に記載されている。PNAを含むオリゴヌクレオチドを合成するための方法は、例えば、Egholm et al.,Am.Chem.Soc,114:1895,1992;Egholm et al.,Nature,365:566,1993;およびOram et al.,Nucl.Acids Res.,21:5332,1993に記載されている。
ilvC核酸を増幅するための例示的なプライマー
本発明はまた、結核菌または結核菌群の生物由来のilvC遺伝子またはmRNA配列を極めて特異的に増幅する際に用いられる増幅プライマーのセットを提供する。一実施例では、フォワードプライマーは、配列番号19に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号20に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号28に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号30に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号31に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号32に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号20に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号30に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号32に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号20に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号32に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号31に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号20に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号36に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号37に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号38に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号39に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号40に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号37に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号38に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号39に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号40に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号37に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号38に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号39に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号40に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号31に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号37に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号31に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号38に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号31に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号39に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号31に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号40に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号35に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号20に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号35に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号37に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号35に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号38に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号35に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号39に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号35に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号40に示すようなヌクレオチド配列を有する。
本発明はまた、結核菌または結核菌群の生物由来のilvC遺伝子またはmRNA配列を極めて特異的に増幅する際に用いられる増幅プライマーのセットを提供する。一実施例では、フォワードプライマーは、配列番号19に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号20に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号28に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号30に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号31に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号32に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号20に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号30に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号32に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号20に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号32に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号31に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号20に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号36に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号37に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号38に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号39に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号27に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号40に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号37に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号38に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号39に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号40に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号37に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号38に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号39に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号29に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号40に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号31に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号37に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号31に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号38に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号31に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号39に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号31に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号40に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号35に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号20に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号35に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号37に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号35に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号38に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号35に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号39に示すようなヌクレオチド配列を有する。別の実施例では、フォワードプライマーは、配列番号35に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号40に示すようなヌクレオチド配列を有する。
別の実施例では、本発明は、結核菌または結核菌群の生物由来のilvC遺伝子またはmRNA配列を極めて特異的に増幅するためのプライマーペアを提供し、ここで、該プライマーペアは、
(a)配列番号19および配列番号20と、
(b)配列番号20ならびに配列番号27、29、31および35から選択されるプライマーと、
からなる群から選択される。
(a)配列番号19および配列番号20と、
(b)配列番号20ならびに配列番号27、29、31および35から選択されるプライマーと、
からなる群から選択される。
別の実施例では、本発明は、結核菌または結核菌群の生物由来のilvC遺伝子またはmRNA配列を極めて特異的に増幅するためのプライマーペアを提供し、ここで、該プライマーペアは、
(a)配列番号27ならびに配列番号28、30および32から選択されるプライマーと、
(b)配列番号29ならびに配列番号30および32から選択されるプライマーと、
(c)配列番号31および配列番号32と、
からなる群から選択される。
(a)配列番号27ならびに配列番号28、30および32から選択されるプライマーと、
(b)配列番号29ならびに配列番号30および32から選択されるプライマーと、
(c)配列番号31および配列番号32と、
からなる群から選択される。
別の実施例では、本発明は、結核菌または結核菌群の生物由来のilvC遺伝子またはmRNA配列を極めて特異的に増幅するためのプライマーペアを提供し、ここで、該プライマーペアは、
(a)配列番号27ならびに配列番号28および30から選択されるプライマーと、
(b)配列番号29および配列番号30と、
からなる群から選択される。
(a)配列番号27ならびに配列番号28および30から選択されるプライマーと、
(b)配列番号29および配列番号30と、
からなる群から選択される。
別の実施例では、本発明は、結核菌または結核菌群の生物由来のilvC遺伝子またはmRNA配列を極めて特異的に増幅するためのプライマーペアを提供し、ここで、該プライマーペアは、
(a)配列番号29ならびに配列番号30および32から選択されるプライマーと、
(b)配列番号31および配列番号32と、
からなる群から選択される。
(a)配列番号29ならびに配列番号30および32から選択されるプライマーと、
(b)配列番号31および配列番号32と、
からなる群から選択される。
別の実施例では、本発明は、結核菌または結核菌群の生物由来のilvC遺伝子またはmRNA配列を極めて特異的に増幅するための、および場合により、分子ビーコンとともに使用するためのプライマーペアを提供し、ここで、該プライマーペアは、
(a)配列番号32および配列番号38と、
(b)配列番号32および配列番号39と、
(c)配列番号32および配列番号40と、
(d)配列番号35および配列番号38と、
(e)配列番号35および配列番号39と、
(f)配列番号35および配列番号40と、
からなる群から選択される。
(a)配列番号32および配列番号38と、
(b)配列番号32および配列番号39と、
(c)配列番号32および配列番号40と、
(d)配列番号35および配列番号38と、
(e)配列番号35および配列番号39と、
(f)配列番号35および配列番号40と、
からなる群から選択される。
別の実施例では、本発明は、結核菌または結核菌群の生物由来のilvC遺伝子またはmRNA配列を極めて特異的に増幅するための、および場合により、分子ビーコンとともに使用するためのプライマーペアを提供し、ここで、該プライマーペアは、
(a)配列番号32および配列番号38と、
(b)配列番号32および配列番号40と、
(c)配列番号35および配列番号38と、
(d)配列番号35および配列番号39と、
からなる群から選択される。
(a)配列番号32および配列番号38と、
(b)配列番号32および配列番号40と、
(c)配列番号35および配列番号38と、
(d)配列番号35および配列番号39と、
からなる群から選択される。
当業者には知られているように、本発明のプライマーの長さは、5’末端および/または3’末端への1以上のヌクレオチドの付加によって、または5’末端および/または3 ’末端からの1以上のヌクレオチドの欠失によって変化し得る。一実施例では、本発明は、本明細書で例示されるプライマーの1以上の変異体プライマーの使用を明確に包含し、ここで、この変異体プライマーは、配列番号19、20または27〜32のうちのいずれか1つまたは複数と比べて5’末端および/または3’末端に1または2または3または4または5個の追加のヌクレオチドを含み、但し、ilvC特異的配列の増幅が変異体プライマーを用いて起こり得るように、該配列番号への3’末端付加は、該配列番号のすぐ下流にある配列番号2のヌクレオチド配列または配列番号2に相補的な配列と連続していることを条件とする。あるいは、またはさらに、変異体プライマーはまた、該配列番号のすぐ下流にある配列番号2のヌクレオチド配列または配列番号2に相補的な配列と連続している該配列番号への5’末端付加を含み得るが、そのような連続性の要件は、通常、ilvC特異的配列の増幅が変異体プライマーを用いて起こるために必要とされない。別の実施例では、本発明は、本明細書で例示されるプライマーの1以上の変異体プライマーの使用を明確に包含し、ここで、この変異体プライマーは、配列番号19、20または27〜32または35〜40のうちのいずれか1つまたは複数と比べて5’末端および/または3’末端から除去された1または2または3または4または5個のヌクレオチドを有する。
核酸配列に基づく増幅(NASBA)
核酸配列に基づく増幅(NASBA)は、温度サイクリングの非存在下で、例えば、等温条件下で(例えば、約41℃の一定温度で)RNAを検出するための任意のプライマー依存的で、均一な増幅プロセスを指す。NASBAは、特定のRNA配列の最大約100倍またはそれより多くの増幅をもたらすことができ、かつゲノムDNAのバックグラウンドにおいてRNAを増幅する独特の可能性を提供する。RNAの検出は、遺伝子発現もしくは細胞生存をモニタリングするために用いることができるし、またはウイルス複製および産生を予想する兆候となることができる。検出限界を超えるRNAの増幅は、RNA標的が試料中に高コピー数で存在する場合に、容易に達成される。
核酸配列に基づく増幅(NASBA)は、温度サイクリングの非存在下で、例えば、等温条件下で(例えば、約41℃の一定温度で)RNAを検出するための任意のプライマー依存的で、均一な増幅プロセスを指す。NASBAは、特定のRNA配列の最大約100倍またはそれより多くの増幅をもたらすことができ、かつゲノムDNAのバックグラウンドにおいてRNAを増幅する独特の可能性を提供する。RNAの検出は、遺伝子発現もしくは細胞生存をモニタリングするために用いることができるし、またはウイルス複製および産生を予想する兆候となることができる。検出限界を超えるRNAの増幅は、RNA標的が試料中に高コピー数で存在する場合に、容易に達成される。
簡潔に述べると、RNA鋳型は、第1のプライマーが鋳型の3’末端でその相補的部位に付着し、次に、逆転写酵素が相補的DNAを合成し、RNアーゼH酵素がRNA/DNAハイブリッドのRNA鋳型を分解し、第2のプライマーがDNA鎖の5’末端に付着し、それによりT7 RNAポリメラーゼが、次に第2のサイクルのための鋳型として働く相補的RNA鎖を生成させるような条件下で反応混合物に提供される。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
一実施例では、検出手段は、PCR増幅アッセイフォーマットを含み得る。本明細書で使用される場合、「PCR」または「ポリメラーゼ連鎖反応」という用語は、(i)二本鎖核酸(例えば、増幅される核酸「鋳型」または「鋳型」と相補「プライマー」のハイブリッド)の変性;(ii)一本鎖「鋳型」中のその相補的配列へのプライマーのアニーリング;および(iii)ポリメラーゼ活性、例えば、熱安定性ポリメラーゼ(例えば、Taq)の活性による5’から3’方向へのプライマーを伸長と、それによる一本鎖鋳型に相補的な新たに合成された鎖を含む二本鎖核酸の生成からなる多数のサイクルを利用する増幅反応を意味すると解釈するものとする。二本鎖鋳型中の相補鎖に(すなわち、各々の変性した一本鎖鋳型に)アニーリングすることができる2つのプライマーを利用することによって、多数のコピーの鋳型が各サイクルで生成され、それにより、鋳型が増幅される。
一実施例では、検出手段は、PCR増幅アッセイフォーマットを含み得る。本明細書で使用される場合、「PCR」または「ポリメラーゼ連鎖反応」という用語は、(i)二本鎖核酸(例えば、増幅される核酸「鋳型」または「鋳型」と相補「プライマー」のハイブリッド)の変性;(ii)一本鎖「鋳型」中のその相補的配列へのプライマーのアニーリング;および(iii)ポリメラーゼ活性、例えば、熱安定性ポリメラーゼ(例えば、Taq)の活性による5’から3’方向へのプライマーを伸長と、それによる一本鎖鋳型に相補的な新たに合成された鎖を含む二本鎖核酸の生成からなる多数のサイクルを利用する増幅反応を意味すると解釈するものとする。二本鎖鋳型中の相補鎖に(すなわち、各々の変性した一本鎖鋳型に)アニーリングすることができる2つのプライマーを利用することによって、多数のコピーの鋳型が各サイクルで生成され、それにより、鋳型が増幅される。
PCRの多くのフォーマットが当技術分野で公知であり、かつ例えば、ワンアームド(one−armed)(またはシングルプライマー)PCR、逆転写酵素を介するPCR(RT−PCR)、ネステッドPCR、タッチアップおよびループ組込みプライマー(TULIP)PCR、タッチダウンPCR、競合PCR、迅速競合PCR(RC−PCR)、マルチプレックスPCR、LAMP、RT−LAMPおよびLAMP−ELISA−ハイブリダイゼーションをはじめとする、本明細書に記載されているような任意の実施形態での使用が意図されている。他の実施例では、RT−PCR増幅は、増幅プライマーと分子ビーコンとを含む反応液中で行なわれ、ここで、この分子ビーコンは、増幅プライマーの核酸産物にハイブリダイズし、それによりシグナル(例えば、蛍光シグナル)を生じさせることができる配列を含む。
PCRの方法は当技術分野で公知であり、かつ例えば、Dieffenbach(編)and Dveksler(編)(PCR Primer:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratories,NY,1995)に記載されている。通常、PCRのために、少なくとも約8個、より好ましくは少なくとも約15または20個のヌクレオチドを含む2つの非相補的核酸プライマーを鋳型核酸の異なる鎖にアニーリングさせ、鋳型の増幅された核酸を、ポリメラーゼ、好ましくは熱安定性DNAポリメラーゼを用いて酵素的に増幅する。
PCRに必要な試薬は当技術分野で公知であり、かつこれには、例えば、1以上のプライマー(本明細書に記載)、好適なポリメラーゼ、デオキシヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチド、緩衝液が含まれる。好適な試薬は、例えば、Dieffenbach(編) and Dveksler(編)(PCR Primer:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratories,NY,1995)に記載されている。
例えば、本発明の方法で用いられる好適なポリメラーゼとしては、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、T7ポリメラーゼ、SP6ポリメラーゼ、T3ポリメラーゼ、シーケナーゼ(Sequenase)(商標)、クレノー断片、Taqポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ誘導体、Taqポリメラーゼ変異体、Pfuポリメラーゼ、Pfxポリメラーゼ、AmpliTaq(商標)FSポリメラーゼ、最小限の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するかもしく3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有さない熱安定性DNAポリメラーゼ、または上記のポリメラーゼのいずれかの酵素活性のある変異体もしくは断片が挙げられる。好ましくは、本発明の方法で用いられるポリメラーゼは熱安定性ポリメラーゼである。
一実施形態では、2以上のポリメラーゼの混合物を用いる。例えば、PfxまたはPfuポリメラーゼとTaqポリメラーゼの混合物は、高いGC含有量を含む鋳型の増幅または大きい鋳型の増幅に有用であることがこれまでに示されている。
本発明の実施に有用なポリメラーゼの好適な市販源は当業者には明白であり、これには、例えば、Stratagene(La Jolla,CA,USA)、Promega(Madison,WI,USA)、Invitrogen(Carlsbad,CA,USA)、Applied Biosystems(Foster City,CA,USA)およびNew England Biolabs(Beverly,MA,USA)が含まれる。
本発明による結核菌または結核菌群のilvC核酸の特異的増幅は、約25または30または35または40または45または50回の増幅サイクル、およびより好ましくは28または29または30または31または32または33または34または35を上回る増幅サイクルを利用し得る。場合により、より多数の増幅サイクルを用いる場合、例えば、増幅産物を分別し、かつ結核菌ilvC核酸または結核菌群ilvC核酸を含まない産物を除外することによって、非特異的増幅産物、例えば、プライマーダイマーおよび/またはM.アウィウム核酸を除外する。標準的な手段を用いて、例えば、増幅産物の融解曲線を作成し、結核菌または結核菌群核酸産物のTmを示す融解曲線を有する増幅産物を選択することによって、および/またはゲル電気泳動を行なって増幅産物を分別し、結核菌または結核菌群核酸産物のTmを示すサイズ/長さを有する電気泳動図中の核酸断片を選択することによって、特異的増幅産物と非特異的増幅産物を分別し、非特異的増幅産物を除外する。
別の実施例では、本発明による結核菌または結核菌群のilvC核酸の特異的増幅は、例えば、本明細書に記載の特定のプライマーペアについて、M.アウィウム配列の増幅などの非特異的増幅を減らすために、より少ない数の増幅サイクルを利用する。例えば、標準的な増幅プロトコルは、30回未満のサイクルまたは29回未満のサイクルまたは28回未満のサイクルまたは27回未満のサイクルまたは26回未満のサイクルまたは25回未満のサイクルを利用し得る。あるいは、またはさらに、少なくとも約12回のサイクルまたは少なくとも約13回のサイクルまたは少なくとも約14回のサイクルまたは少なくとも約15回のサイクルまたは少なくとも約16回のサイクルまたは少なくとも約17回のサイクルまたは少なくとも約18回のサイクルまたは少なくとも約19回のサイクルまたは少なくとも約20回のサイクルまたは少なくとも約21回のサイクルまたは少なくとも約22回のサイクルを利用する。特に好ましいサイクルプロトコルは、約17または18または19または20または21または22または23または24または25または26または27回の増幅サイクル、より好ましくは約22または23または24または25または26または27回の増幅サイクル、さらにより好ましくは約22または23または24または25回の増幅サイクルを利用する。
別の実施例では、本明細書における好ましい濃度の核酸鋳型を本明細書で言及される好ましいプライマーペアと組み合わせ、増幅を約17〜約27回の増幅サイクルでまたは約22〜約25回の増幅サイクルで行なう。従来のプライマー濃度を利用してもよく、好都合には、例示されるプライマーは、約50nMの濃度または約100nMの濃度または約150nMの濃度または約200nMの濃度または約250nMの濃度である。
逆転写PCR(RT−PCR)
RT−PCRのために、RNAを(例えば、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素などの)逆転写酵素を用いて逆転写して、cDNAを生成させる。これに関連して、RNAの逆転写を、例えば、ランダムプライマー(例えば、ヘキサヌクレオチドランダムプライマー)またはオリゴ−dT(mRNA中のポリアデニル化シグナルに結合する)を用いて開始させる。あるいは、部位特異的プライマーを用いて、逆転写を開始させる。試料を加熱して、確実に一本鎖核酸を生成させた後、冷却して、プライマーのアニーリングを可能にする。次に、試料を、逆転写酵素による、アニーリングしたプライマーに隣接する核酸の逆転写に十分な条件下でインキュベートする。逆転写した後、cDNAを、PCR反応、例えば、標準的なPCR、または本明細書に記載されたような任意の他のPCRの鋳型核酸として用い、例えば、cDNAを、LAMP(すなわち、RT−LAMP)と組み合わせてもよい。cDNAを生成させるための任意の市販のキット(例えば、cDNA合成キット(Marligen)を用いるもの)もまた、本発明の方法によって意図されることが明白であろう。
RT−PCRのために、RNAを(例えば、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素などの)逆転写酵素を用いて逆転写して、cDNAを生成させる。これに関連して、RNAの逆転写を、例えば、ランダムプライマー(例えば、ヘキサヌクレオチドランダムプライマー)またはオリゴ−dT(mRNA中のポリアデニル化シグナルに結合する)を用いて開始させる。あるいは、部位特異的プライマーを用いて、逆転写を開始させる。試料を加熱して、確実に一本鎖核酸を生成させた後、冷却して、プライマーのアニーリングを可能にする。次に、試料を、逆転写酵素による、アニーリングしたプライマーに隣接する核酸の逆転写に十分な条件下でインキュベートする。逆転写した後、cDNAを、PCR反応、例えば、標準的なPCR、または本明細書に記載されたような任意の他のPCRの鋳型核酸として用い、例えば、cDNAを、LAMP(すなわち、RT−LAMP)と組み合わせてもよい。cDNAを生成させるための任意の市販のキット(例えば、cDNA合成キット(Marligen)を用いるもの)もまた、本発明の方法によって意図されることが明白であろう。
当業者であれば、どのRT−PCRも、標的RNAを定量するための内部参照標準の使用を含み得ることを理解するであろう。これに関して、高度に精製されたインタクトのRNA試料を扱う場合、インタクトのトータルRNAをOD値で推定することができる。しかしながら、粗RNA試料もまた、RT−PCRで用いられる本発明の方法において意図される。粗RNA試料の場合、インタクトのRNAは、DNA夾雑物および/または分解されたRNAのために、OD値で推定される量よりも少ない。それゆえ、OD値は、粗RNA試料間の比較には用いることができない。特に、試料間の標的遺伝子の発現レベルを比較する場合、RNA量を補正して、正確な比較結果を得ることができる。細胞内の標的遺伝子の発現レベルを正確にアッセイするために、アッセイに適用されるRNA量を試料間で一定量に補正することができる。これに関して、ハウスキーピング遺伝子などの内部参照鋳型を増幅するRT−PCRを行なうことによって、アッセイに適用されるRNA量を試料間で一定量に補正するために。
本発明の方法で用いられる好適なハウスキーピング遺伝子は当業者には明白であろう。一実施例では、ハウスキーピング遺伝子は通常、発現産物が検出され、インタクトのRNAの総量が適切に推定されるように、高レベルで発現されていることが好ましい。例えば、ハウスキーピング遺伝子は、宿主由来のRNA(例えば、β−アクチン)であってもよい。別の実施例では、ハウスキーピング遺伝子は、結核群の生物のいずれか1つの発現産物(例えば、16S rRNA)である。別の実施例では、全ての16S rRNA種を検出するプライマーの使用が意図される。
ワンアームドPCR
その名前が示唆する通り、シングルプライマーPCRは、1つのプライマーしか用いないで、核酸を増幅する。通常、この技術は、第1のプライマーが鋳型中の多数の部位にアニーリングすることを保証するのに十分に低いストリンジェンシーで第1のプライマーを鋳型核酸にアニーリングさせることを含む。ポリメラーゼを介する複製の後、増幅が可能になるほど十分に密接にプライマーがアリーリングした場合に、核酸産物が生成される。第2のプライマーまたはそのセットを用いて、増幅された核酸をさらに増幅する。
その名前が示唆する通り、シングルプライマーPCRは、1つのプライマーしか用いないで、核酸を増幅する。通常、この技術は、第1のプライマーが鋳型中の多数の部位にアニーリングすることを保証するのに十分に低いストリンジェンシーで第1のプライマーを鋳型核酸にアニーリングさせることを含む。ポリメラーゼを介する複製の後、増幅が可能になるほど十分に密接にプライマーがアリーリングした場合に、核酸産物が生成される。第2のプライマーまたはそのセットを用いて、増幅された核酸をさらに増幅する。
ネステッドPCR
ネステッドPCRは、例えば、Dieffenbach(編) and Dveksler(編)(PCR Primer:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratories,NY,1995)に詳細に記載されている。本質的に、ネステッドPCR反応は、対象となる配列に特異的な2つのプライマーセットの使用を伴う。第1セットのプライマーは、核酸鋳型を所望のレベルまで増幅するのに用いられる。第2セットのプライマーは、第1のプライマーのアニーリング部位とアニーリング部位の間の核酸の領域にアニーリングするように設計され、核酸鋳型をさらに増幅する。
ネステッドPCRは、例えば、Dieffenbach(編) and Dveksler(編)(PCR Primer:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratories,NY,1995)に詳細に記載されている。本質的に、ネステッドPCR反応は、対象となる配列に特異的な2つのプライマーセットの使用を伴う。第1セットのプライマーは、核酸鋳型を所望のレベルまで増幅するのに用いられる。第2セットのプライマーは、第1のプライマーのアニーリング部位とアニーリング部位の間の核酸の領域にアニーリングするように設計され、核酸鋳型をさらに増幅する。
ネステッドPCR反応は、全てのプライマーを1本の閉じたチューブの中に入れて行ない得る。あるいは、最初のPCRを1つのチューブの中で行ない、第2のPCRを別の閉じたチューブの中で行なう。
タッチダウンPCR
タッチダウンPCRは、従来のPCRの別の改良法であり、これは、非特異的増幅も軽減する。タッチダウンPCRは、Don RH et al(Nucleic Acids Res.1991 Jul 25;19(14):4008)に詳細に記載されている。本質的に、タッチダウンPCRは、初期のPCRサイクルにおける標的最適条件よりも高いアニーリング温度の使用を伴う。アニーリング温度は、特定のアニーリング温度または「タッチダウン」アニーリング温度に達するまで1サイクル毎にまたは1サイクルおきに1℃ずつ減少する。次に、タッチダウン温度は、残った数のサイクルのために用いられる。これにより、任意の非特異的産物より正しい産物を濃縮することが可能になる。
タッチダウンPCRは、従来のPCRの別の改良法であり、これは、非特異的増幅も軽減する。タッチダウンPCRは、Don RH et al(Nucleic Acids Res.1991 Jul 25;19(14):4008)に詳細に記載されている。本質的に、タッチダウンPCRは、初期のPCRサイクルにおける標的最適条件よりも高いアニーリング温度の使用を伴う。アニーリング温度は、特定のアニーリング温度または「タッチダウン」アニーリング温度に達するまで1サイクル毎にまたは1サイクルおきに1℃ずつ減少する。次に、タッチダウン温度は、残った数のサイクルのために用いられる。これにより、任意の非特異的産物より正しい産物を濃縮することが可能になる。
タッチアップおよびループ取込みプライマー(TULIP)−PCR
TULIPS−PCRは、例えば、Ailenberg,M.,et al(BioTechniques 29(5),1018−23(2000))に詳細に記載されている。TULIPS−PCRは、3’領域にセット−アニーリングして、重合の開始を阻害する追加の非鋳型5’配列であるループプライマーを利用する。反応液を加熱することにより、プライマーが融解し、ホットスタートを開始する。この反応はまた、アニーリング温度を徐々に上昇させるタッチアッププレサイクリングを用いて、正確な対形成を保証している。プライマー設計および反応条件に関するさらなる詳細は、オンラインで、例えば、Ailenberg and Silverman(アプリケーションノート、オンライン参照:http://209.197.88.225/articles/abl/b0110ail.pdf)で見出すことができる。
TULIPS−PCRは、例えば、Ailenberg,M.,et al(BioTechniques 29(5),1018−23(2000))に詳細に記載されている。TULIPS−PCRは、3’領域にセット−アニーリングして、重合の開始を阻害する追加の非鋳型5’配列であるループプライマーを利用する。反応液を加熱することにより、プライマーが融解し、ホットスタートを開始する。この反応はまた、アニーリング温度を徐々に上昇させるタッチアッププレサイクリングを用いて、正確な対形成を保証している。プライマー設計および反応条件に関するさらなる詳細は、オンラインで、例えば、Ailenberg and Silverman(アプリケーションノート、オンライン参照:http://209.197.88.225/articles/abl/b0110ail.pdf)で見出すことができる。
競合および迅速競合PCR
競合PCRは、標的DNAまたはRNA試料を、ヌクレオチド配列の大部分を標的と共有する既知量のコンペティターDNAまたはRNAと同時増幅することを含む。この方法では、PCR増幅に影響を及ぼす任意の予測可能なまたは予測不可能な変数は、両方の分子種に対して同じ効果を有する。それゆえ、競合PCRは、コンペティターDNAの量と比較した標的分子の絶対数の定量を可能にする。当業者であれば、競合PCRが標的分子の数を定量するために迅速かつ正確な方法であることを理解するであろう。競合PCRは、例えば、Celi et al,(Nucleic Acids Research 21;p.1047(1991));Schneegberger et al,PCR Methods and Applications 4;p.234−238(1995));およびin Quantitative RT−PCR(Methods and Applications Book 3;Clontech Laboratories,Inc.)に詳細に記載されている。
競合PCRは、標的DNAまたはRNA試料を、ヌクレオチド配列の大部分を標的と共有する既知量のコンペティターDNAまたはRNAと同時増幅することを含む。この方法では、PCR増幅に影響を及ぼす任意の予測可能なまたは予測不可能な変数は、両方の分子種に対して同じ効果を有する。それゆえ、競合PCRは、コンペティターDNAの量と比較した標的分子の絶対数の定量を可能にする。当業者であれば、競合PCRが標的分子の数を定量するために迅速かつ正確な方法であることを理解するであろう。競合PCRは、例えば、Celi et al,(Nucleic Acids Research 21;p.1047(1991));Schneegberger et al,PCR Methods and Applications 4;p.234−238(1995));およびin Quantitative RT−PCR(Methods and Applications Book 3;Clontech Laboratories,Inc.)に詳細に記載されている。
本方法では、標的DNAまたはRNAの定量は、コンペティターの初期量と比較して相対的に定量することができる。標的DNAまたはRNAの初期量は、T/C*比によって推定することができる。
*T:標的DNAまたはRNA由来の増幅産物の量
C:コンペティター由来の増幅産物の量
*T:標的DNAまたはRNA由来の増幅産物の量
C:コンペティター由来の増幅産物の量
標的DNAまたはRNAの初期量は、T/C比=1のときのコンペティターの量に相当する。
競合PCRは通常、内部標準の連続希釈物の添加を含む。競合PCRの変法である、迅速競合PCR(RC−PCR)も本発明の方法で使用し得る。RC−PCRは、内部標準の同一配列と標的cDNAの間の競合PCR増幅に基づく非放射性アッセイを用いて、2以上の試料のmRNAレベルでの相対的な遺伝子発現を測定することを特徴とする。この技術では、1試料当たり1本の反応チューブしか使用しない。RC−PCRは、例えば、Jiangら(Clinical Chemistry,42(2):227−231)に詳細に記載されている。
ループを介する等温増幅(LAMP)
本発明の方法はまた、ループを介する等温増幅(LAMP)の使用を意図している。LAMPは、1本のチューブの中でBst DNAポリメラーゼによって自動的にサイクリングされる標的DNA中の6つの異なる領域の増幅を行なう。この反応は、一定の温度で検出される極めて大量の標的DNAおよび/またはRNA断片を生成させることができる。LAMPは、例えば、Notomi et al(Nucleic Acids Res.28:E63(2000))に詳細に記載されている。当業者であれば、オンラインプライマーツール(例えば、http://primerexplorer.ip/e/index.htmlのNetlaboratory支援ソフトウェアプログラム)を用いて、LAMPプライマーを設計するためのオンラインプロトコルを用いることもできるであろう。
本発明の方法はまた、ループを介する等温増幅(LAMP)の使用を意図している。LAMPは、1本のチューブの中でBst DNAポリメラーゼによって自動的にサイクリングされる標的DNA中の6つの異なる領域の増幅を行なう。この反応は、一定の温度で検出される極めて大量の標的DNAおよび/またはRNA断片を生成させることができる。LAMPは、例えば、Notomi et al(Nucleic Acids Res.28:E63(2000))に詳細に記載されている。当業者であれば、オンラインプライマーツール(例えば、http://primerexplorer.ip/e/index.htmlのNetlaboratory支援ソフトウェアプログラム)を用いて、LAMPプライマーを設計するためのオンラインプロトコルを用いることもできるであろう。
ilvC反応産物またはアンプリコン
アッセイで検出される1以上のilvC核酸またはアンプリコンは、配列番号2の長さが少なくとも約20または30の連続するヌクレオチドの配列を含み得る。アンプリコンは、通常は各々長さが少なくとも約12〜15ヌクレオチドである増幅プライマーの配列を含むので、通常、配列番号2の長さが少なくとも約40または50の連続するヌクレオチドを含む。例えば、アッセイで検出される1以上のilvC核酸またはアンプリコンは、配列番号2の長さが少なくとも約55または少なくとも約60または少なくとも約65または少なくとも約70または少なくとも約75または少なくとも約80または少なくとも約85または少なくとも約90または少なくとも約95または少なくとも約100または少なくとも約105または少なくとも約110または少なくとも約115または少なくとも約120または少なくとも約125または少なくとも約130または少なくとも約135または少なくとも約140または少なくとも約145または少なくとも約150または少なくとも約155または少なくとも約160の連続するヌクレオチドの配列を含み得る。本明細書に記載の例示的なアンプリコンは、長さが約75〜約135ヌクレオチドである。本発明のアッセイでは、例えば、配列番号2の約900の連続するヌクレオチドまたは配列番号2の全配列などの、より長いilvC核酸が検出され得るか、またはより長いアンプリコンが生成され得る。
アッセイで検出される1以上のilvC核酸またはアンプリコンは、配列番号2の長さが少なくとも約20または30の連続するヌクレオチドの配列を含み得る。アンプリコンは、通常は各々長さが少なくとも約12〜15ヌクレオチドである増幅プライマーの配列を含むので、通常、配列番号2の長さが少なくとも約40または50の連続するヌクレオチドを含む。例えば、アッセイで検出される1以上のilvC核酸またはアンプリコンは、配列番号2の長さが少なくとも約55または少なくとも約60または少なくとも約65または少なくとも約70または少なくとも約75または少なくとも約80または少なくとも約85または少なくとも約90または少なくとも約95または少なくとも約100または少なくとも約105または少なくとも約110または少なくとも約115または少なくとも約120または少なくとも約125または少なくとも約130または少なくとも約135または少なくとも約140または少なくとも約145または少なくとも約150または少なくとも約155または少なくとも約160の連続するヌクレオチドの配列を含み得る。本明細書に記載の例示的なアンプリコンは、長さが約75〜約135ヌクレオチドである。本発明のアッセイでは、例えば、配列番号2の約900の連続するヌクレオチドまたは配列番号2の全配列などの、より長いilvC核酸が検出され得るか、またはより長いアンプリコンが生成され得る。
増幅された核酸の検出および定量
当技術分野で公知の増幅された核酸を検出する任意の方法が本発明の方法で意図されることが当業者には明白であろう。TaqManプローブ、SYBRグリーンIまたはII標識プライマー、分子ビーコン、またはスコーピオンプローブなどのプローブの使用をはじめとする、当業者に公知の種々の方法を利用し得る。
当技術分野で公知の増幅された核酸を検出する任意の方法が本発明の方法で意図されることが当業者には明白であろう。TaqManプローブ、SYBRグリーンIまたはII標識プライマー、分子ビーコン、またはスコーピオンプローブなどのプローブの使用をはじめとする、当業者に公知の種々の方法を利用し得る。
一実施例では、TaqManプローブを利用する。TaqManプローブは、PCRに用いられるDNAポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性に依存して、標的アンプリコンにハイブリダイズしているオリゴヌクレオチドを加水分解する。TaqManプローブは、5’末端に付着した蛍光レポーター色素と3’末端に結合したクエンチャー部分とを有するオリゴヌクレオチドである。これらのプローブは、PCR産物の内部領域にハイブリダイズするよう設計される。ハイブリダイズしていない状態では、フルオロ分子とクエンチ分子が近接していることにより、プローブからの蛍光シグナルの検出が抑制されている。TaqManプローブが結合している鋳型をポリメラーゼが複製するPCRの間に、ポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性により、プローブが切断される。これによって、蛍光色素とクエンチング色素が分離し、FRETはもはや起こらない。したがって、蛍光は、プローブ切断の量に比例して、各サイクルで増加する。うまく設計されたTaqManプローブは、最適化の必要がほとんどないこともある。TaqManプローブは、例えば、スペクトルが固有のフルオロ/クエンチペアを有する各プローブを設計することによって、本明細書に記載のマルチプレックスアッセイにも用いられる。
別の実施例では、分子ビーコンを利用する。分子ビーコンは、FRETを用いて、オリゴヌクレオチド基質の5’末端に結合したフルオロと3’末端に付着したクエンチを介してPCR産物(すなわち、アンプリコン)を検出および定量する。TaqManプローブとは異なり、分子ビーコンは、増幅反応の間、無傷のままであり、シグナルが測定される全てのサイクルで標的に再結合する。溶液中に遊離し、フルオロ分子とクエンチ分子の密接により、プローブが蛍光を発することが抑制されているとき、分子ビーコンは、ステムループ構造を形成する。分子ビーコンが標的にハイブリダイズすると、蛍光色素とクエンチャーが分離し、照射されたときに、蛍光色素が光を放出する。分子ビーコンは、各プローブ上のスペクトル的に分離されたフルオロ/クエンチ部分を用いることにより、本明細書に記載のマルチプレックスアッセイに用いることができる。
別の実施例では、スコーピオンプローブを利用する。スコーピオンプローブは、単一のオリゴヌクレオチドを用いた配列特異的なプライミングとアンプリコン検出を提供する。好適なスコーピオンプローブは、ハイブリダイズしていない状態でステムループ形状を維持し、5’末端に付着したフルオロフォアと3 ’末端に付着したクエンチャー部分を有することにより、ハイブリダイズしていない状態では、シグナルがクエンチングされている。ステムの3’部分は、プライマーの伸長産物に相補的であり、かつ増幅不可能なモノマーを介して特異的プライマーの5’末端に結合している配列を含む。スコーピオンプライマーから伸長した後、特異的なプローブ配列は、伸長したアンプリコン中の相補的な配列にハイブリダイズし、それによってヘアピンループが開き、蛍光のクエンチングが妨げられ、シグナルが生じる。
別の実施例では、SYBRグリーンを増幅プライマーまたはプローブ中で利用する。SYBRグリーンは、リアルタイム反応でPCR産物を検出および定量するための簡単でかつ経済的なフォーマットを提供する。SYBRグリーンは、二本鎖DNA(例えば、RT−PCRまたは標準的なPCRで生成されるアンプリコン)に結合し、それにより、励起されたときに光を放出する。したがって、生成される蛍光のレベルは、生成されるアンプリコンの量に比例する。SYBRグリーンはうまく機能し、非特異的なバックグラウンドシグナルはわずかしか発生しない。
これらの実施例において、プローブ(例えば、分子ビーコンまたはTaqManプローブまたはスコーピオンプローブ)は、増幅プライマーによって生成されるアンプリコンの鎖に含まれる配列を含む。本明細書に言及される任意のプライマー組合せは、このプライマー組合せが、プローブ(例えば、分子ビーコンまたはTaqManプローブまたはスコーピオンプローブ)がハイブリダイズするのに十分な長さのアンプリコンを生じさせるという条件付きで、本発明のこの例で利用され得る。例示的なプローブ(例えば、分子ビーコンまたはTaqManプローブまたはスコーピオンプローブ)は、配列番号33または34に示す配列を含む。配列番号33または34を含むプローブとともに使用される例示的なプライマー組合せは、
(a)配列番号32および配列番号38と、
(b)配列番号32および配列番号39と、
(c)配列番号32および配列番号40と、
(d)配列番号35および配列番号38と、
(e)配列番号35および配列番号39と、
(f)配列番号35および配列番号40と、
からなる群から選択される。これらのプライマーの変異体(例えば、本明細書で上に記載したような5’末端および/または3’末端の付加または欠失を含む変異体)も利用し得る。
(a)配列番号32および配列番号38と、
(b)配列番号32および配列番号39と、
(c)配列番号32および配列番号40と、
(d)配列番号35および配列番号38と、
(e)配列番号35および配列番号39と、
(f)配列番号35および配列番号40と、
からなる群から選択される。これらのプライマーの変異体(例えば、本明細書で上に記載したような5’末端および/または3’末端の付加または欠失を含む変異体)も利用し得る。
配列番号33または34を含む、プローブ(例えば、分子ビーコンまたはTaqManプローブまたはスコーピオンプローブ)とともに使用される例示的なプライマー組合せは、
(a)配列番号32および配列番号38と、
(b)配列番号32および配列番号40と、
(c)配列番号35および配列番号38と、
(d)配列番号35および配列番号39と、
からなる群からも選択される。これらのプライマーの変異体(例えば、本明細書で上に記載したような5’末端および/または3’末端の付加または欠失を含む変異体)も利用し得る。
(a)配列番号32および配列番号38と、
(b)配列番号32および配列番号40と、
(c)配列番号35および配列番号38と、
(d)配列番号35および配列番号39と、
からなる群からも選択される。これらのプライマーの変異体(例えば、本明細書で上に記載したような5’末端および/または3’末端の付加または欠失を含む変異体)も利用し得る。
別の実施例では、本発明の方法を用いて増幅された核酸を、ゲル電気泳動を用いて分離する。次に、分離された核酸を、例えば、エチジウムブロマイド、4’−6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、メチレンブルーまたはSYBR(登録商標)グリーンIまたはII(Sigma Aldrichから入手可能)などの、核酸に選択的に結合する検出可能マーカーを用いて検出する。ゲル電気泳動を用いた核酸の検出に好適な方法は当技術分野で公知であり、かつ例えば、Ausubel et al(Current Protocols in Molecular Biology.Wiley Interscience,ISBN 047 150338,1987)およびSambrook et al(Molecular Cloning:Molecular Cloning:A Laboratory Manual,ColdSpring Harbor Laboratories,New York,第3版 2001)に記載されている。例えば、1次元アガロース電気泳動、アガロース−アクリルアミド電気泳動またはポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて核酸を分離する。このような分離技術は、分子量に基づいて核酸を分離する。
別の実施例では、増幅された核酸を、2次元電気泳動を用いて分離し、検出可能マーカー(例えば、上記のもの)を用いて検出する。2次元アガロースゲル電気泳動は、Bell and Byers Anal.Biochem.130:527,1983による手順を改変したものである。第1次元のゲルについては、低いパーセンテージのアガロース中を低電圧で泳動し、DNA分子をその質量に応じて分離する。第2次元については、非線状分子の移動度がその形状によって大きく影響を受けるように、エチジウムブロマイドの存在下、より高いアガロース濃度のゲル中を高電圧で泳動する。
別の実施例では、増幅産物を、キャピラリー電気泳動を用いて特徴付けるかまたは単離する。キャピラリー電気泳動は、例えば、Heller,Electrophoresis 22:629−43,2001;Dovichi et al.,Methods Mol Biol 167:225−39,2001;Mitchelson,Methods MoI Biol 162:3−26,2001;またはDolnik,J Biochem Biophys Methods 47:103−19,1999に概説されている。キャピラリー電気泳動は、高電圧を用いて、分子をそのサイズと電荷によって分離する。電圧勾配をカラム(すなわち、キャピラリー)中で生じさせ、この勾配によって、異なるサイズおよび電荷の分子が異なる速度でチューブの中を通り抜けるようにする。
別の実施例では、増幅産物をクロマトグラフィーを用いて同定および/または単離する。例えば、イオン対逆相HPLCは、PCR産物の単離に有用であることが示されている(Shaw−Bruha and Lamb,Biotechniques.28:794−7,2000)。
本発明はまた、本発明の核酸を検出するための自動化または半自動化された方法を意図している。自動化されたシステムは、例えば、Applied Biosystemsから入手可能である。
別の実施例では、増幅された核酸を、例えば、質量分析(例えば、MALDI−TOF)を用いて検出する。例えば、本発明の方法を用いて増幅された核酸を含む試料を、例えば、3−ヒドロキシプロピオン酸、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸、3,5ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸(シナピン酸)または2,5ジヒドロキシ安息香酸(ゲンチシン酸)などの、マトリックスに取り込ませる。次に、試料とマトリックスを金属プレートにスポットして、レーザーによる照射にさらし、分子イオンの形成を促進する。生成された分子イオンの質量を、本質的にはYates,J.Mass Spectrom.33,1−19,1998およびその中の参考文献に記載されているように、その飛行時間(TOF)によって分析する。飛行時間型装置は、イオンが飛行管の長さを横断するのに要する時間を決定することにより、イオンの質量対電荷(m/z)比を測定する。場合により、このようなTOF質量分析計は、飛行管の一方の端にイオンミラーを含み、このイオンミラーは、該イオンを反射し、飛行管の中を通して検出器に戻らせる。したがって、イオンミラーは、飛行管の長さを増加させる役割を果たし、この形の分析の精度を高めている。イオンの飛行時間を決定することによって、増幅された核酸の分子量を決定する。
上記の検出方法の任意の定量方法が、例えば、標準的なデンシトメトリー技術によって意図されることが明白であろう。
好ましい実施形態では、例えば、リアルタイムPCRなどの、任意の既知の定量的PCR法が利用される。リアルタイムPCRは、標的とされたDNA分子を増幅し、かつ同時に定量するために用いられる任意のPCR反応に基づく。これは、DNA試料中の特定の配列を(絶対コピー数またはDNAインプットもしくは追加の正規化遺伝子に対して正規化されたときの相対量として)検出および定量することを両方可能にする。この手順は、一般的なポリメラーゼ連鎖反応の原理に従う。その重要な特色は、増幅されたDNAが定量されると同時に、それが、各増幅サイクルの後、リアルタイムに反応液中に蓄積するということである。2つの一般的な定量方法は、二本鎖DNAにインターカレートする蛍光色素と、相補的なDNAとハイブリダイズしたときに蛍光を発する修飾DNAオリゴヌクレオチドプローブの使用である。リアルタイムPCRは、RT−PCRと組み合わせてmRNA転写産物を定量する場合に、特に有用である。任意の既知リアルタイムPCR法および/または市販のプラットフォームを、例えば、Whelan et al(Journal of Immunological Methods,278:261−269)に記載されているように、本発明の方法で使用し得ることが明白であろう。本明細書で例示されているように、Rotor−Gene 3000システム(Corbett)が、製造元のプロトコルに従って、本発明者らにより使用されている。
別の実施例では、増幅された核酸を、固相検出系(例えば、ELISA)を用いて検出し得る。本明細書に記載の任意のPCRアッセイフォーマットがPCR−ELISAフォーマットに適用可能であることが理解される。これは、LAMP PCRフォーマットの場合に特に有用でもある。この実施例では、NucleoLinkチューブ(Nalge Nunc International)を利用し得る。これらのチューブは、その表面に共有結合した第2級アミノ基を有する活性化された熱安定性ポリマーを有する。PCR−ELISAフォーマットの条件は、例えば、Wilson et al(Journal of Microbiological Methods,51(2):163−170(2002))に詳細に記載されている。
マルチプレックスアッセイフォーマット
ilvC核酸に加えて、多数の核酸を検出するこのアッセイフォーマットに多検体NAA検査を含めることは本発明の範囲内である。ilvC−NAAを用いて得られる診断を確認するために、結核菌群の1以上のマイコバクテリアによって発現されるタンパク質のいずれか1つに由来する他のタンパク質の遺伝子からコードされる他の核酸が用いられる。
ilvC核酸に加えて、多数の核酸を検出するこのアッセイフォーマットに多検体NAA検査を含めることは本発明の範囲内である。ilvC−NAAを用いて得られる診断を確認するために、結核菌群の1以上のマイコバクテリアによって発現されるタンパク質のいずれか1つに由来する他のタンパク質の遺伝子からコードされる他の核酸が用いられる。
特定のアッセイフォーマットに限定されるものではなく、本発明の方法は、マルチプレックスNASBAまたはマルチプレックスPCRの使用も意図している。マルチプレックス方法は、1本の反応チューブ中で2以上のプライマーペアを用いて、多数のRNAまたはDNA標的を増幅する。
当業者であれば、定量的マルチプレックス反応には、プライマー濃度、鋳型濃度、サイクリング条件および緩衝液構成要素を決定するための最適化が必要となる場合があることを理解するであろう。マルチプレックスプラットフォームを実施し、かつこれを最適化するための条件および詳細が公知であり、例えば、Garcia−Garcia et al(Hum Mutat.27(8):822−8(2006));Tettelin et al,Genomics 62,500−7(1991);Wittwer et al(Methods.25(4):430−42(2001));Markoulatos et al(J Clin Lab Anal.17(4):108−12(2003))を参照されたい。さらなる詳細を、オンラインで、例えば、http://biowww.net/detail−416.htmlに見出すこともできる。当業者であれば、例えば、Rachlin et al,(muPlex:A Multi−Objective Approach to Multiplex PCR Assay Design.Nucleic Acids Research.33(Webサーバー版):W544−W547(2005)によって開発されたhttp://genomicsl4.bu.edu:8080/MuPlex/MuPlex.htmlに見られるような、マルチプレックスプライマーを設計するためのオンラインツールを用いることもできるであろう。
当業者には明白であるように、本明細書に記載の診断または予後診断アッセイは、マルチプレックス化されたアッセイであってもよい。本明細書で使用される場合、「マルチプレックス」という用語は、単一の試料中で2以上の診断または予後診断マーカーを同時に検出することを意味するだけでなく、単一の試料中で2以上の診断または予後診断マーカー連続的に検出すること、異なっているがマッチした試料中で2以上の診断または予後診断マーカーを同時に検出すること、および異なっているがマッチした試料中で2以上の診断または予後診断マーカー連続的に検出することをも包含することが理解されるものとする。本明細書で使用される場合、「マッチした試料」は、同じ最初の生物学的試料に由来する2以上の試料、または同じ時点で単離された2以上の生物学的試料を意味することが理解されるものとする。
一実施例では、プライマーは、結核菌群の2以上のそのような核酸全体にわたってilvC核酸に約100%相同である。一実施例では、プライマーは、結核菌群の2以上のそのような核酸全体にわたってilvC核酸に約99%相同である。一実施例では、プライマーは、結核菌群の2以上のそのような核酸全体にわたってilvC核酸に約98%相同である。一実施例では、プライマーは、結核菌群の2以上のそのような核酸全体にわたってilvC核酸に約97%相同である。一実施例では、プライマーは、結核菌群の2以上のそのような核酸全体にわたってilvC核酸に約96%相同である。一実施例では、プライマーは、結核菌群の2以上のそのような核酸全体にわたってilvC核酸に約95%相同である。一実施例では、プライマーは、結核菌群の2以上のそのような核酸全体にわたってilvC核酸に約94%相同である。一実施例では、プライマーは、結核菌群の2以上のそのような核酸全体にわたってilvC核酸に約93%相同である。一実施例では、プライマーは、結核菌群の2以上のそのような核酸全体にわたってilvC核酸に約92%相同である。一実施例では、プライマーは、結核菌群の2以上のそのような核酸全体にわたってilvC核酸に約91%相同である。一実施例では、プライマーは、結核菌群の2以上のそのような核酸全体にわたってilvC核酸に約90%相同である。
例えば、他の結核菌群由来のタンパク質は、BSXタンパク質(UniProtKB/TrEMBLアクセッション番号A5TZK2;配列番号3)、リボソームタンパク質S9(UniProtKB/Swiss−Protアクセッション番号A5U8B8;配列番号5)、タンパク質 Rv1265(UniProtKB/Swiss−Protアクセッション番号P64789;配列番号7)、伸長因子−Tu(EF−Tu)タンパク質(UniProtKB/Swiss−Protアクセッション番号A5U071;配列番号9)、P5CRタンパク質(UniProtKB/Swiss−Protアクセッション番号Q11141;配列番号11)、TetR様タンパク質(UniProtKB/TrEMBLアクセッション番号A1QW92;配列番号13)グルタミンシンターゼ(GS)タンパク質(UniProtKB/TrEMBLアクセッション番号O33342;配列番号15)および/または核酸16S rRNA(配列番号27)からなる群から選択される。結核菌群の1種または複数種の細菌(例えば、結核菌および/またはウシ型結核菌および/またはM.アフリカヌムおよび/またはM.カネッティおよび/またはネズミ型結核菌)によって発現される任意の16s rRNA配列を、利用可能な編集された(curated)配列データベースから、本明細書に記載されたように容易に入手することができることが当業者には明白であろう。これに関連して、記述されたタンパク質およびコード配列には、配列表によって例示された例示的タンパク質およびコード配列のホモログが含まれ、その場合、該ホモログは、結核菌群の1種または複数種の細菌(例えば、結核菌および/またはウシ型結核菌および/またはM.アフリカヌムおよび/またはM.カネッティおよび/またはネズミ型結核菌)によって発現されることが理解されるべきである。
当業者であれば、UniProtKB/Swiss−Protが、タンパク質の機能、ドメイン構造、翻訳後修飾、および変異体に関するデータを提供するSwiss Institute of Bioinformaticsの編集されたタンパク質配列データベースであることや、UniProtKB/TrEMBLが、コンピュータによる注釈付きのSwiss−Protの補完物であり、Swiss−Protにまだ統合されていないEMBLヌクレオチド配列エントリーの翻訳を含むことを知っているであろう。UniProtKB/Swiss−ProtおよびUniProtKB/TrEMBLデータへのアクセスは、例えば、Swiss Institute of BioinformaticsのExPASy(Expert Protein Analysis System)プロテオミクスサーバー経由で容易に入手することができる。
1以上の二次検体(例えば、BSX、S9、EF−Tu、P5CR、TetR様タンパク質、グルタミン合成酵素および/または16s rRNAをコードする核酸)のアッセイを、臨床試料中のilvC核酸(ilvC−NAA)の検出について本明細書に記載されているのと同じ方法で好都合に行なう。したがって、当業者であれば、これらの二次検体の検出において、鋳型は、二次検体によって表されるタンパク質の遺伝子によってコードされていることを除き、本明細書でilvC核酸について定義されたようなものであることを理解するであろう。アッセイは、同時にまたは異なる時に、同じ患者試料または異なる患者試料を用いて行ない得る。
一実施例では、鋳型は、配列番号3に示すようなBSXタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号3に示すようなBSXタンパク質に少なくとも80%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号3に示すようなBSXタンパク質に少なくとも80%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号3に示すようなBSXタンパク質に少なくとも85%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号3に示すようなBSXタンパク質に少なくとも90%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号3に示すようなBSXタンパク質に少なくとも95%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。
別の実施例では、鋳型は、配列番号4に示すようなヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号4に示すようなコード配列に少なくとも80%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号4に示すようなコード配列に少なくとも80%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号4に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号4に示すようなコード配列に少なくとも90%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号4に示すようなコード配列に少なくとも95%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号4に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。
一実施例では、鋳型は、配列番号5に示すようなS9タンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号5に示すようなS9タンパク質に少なくとも80%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号5に示すようなS9タンパク質に少なくとも80%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号5に示すようなS9タンパク質に少なくとも85%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号5に示すようなS9タンパク質に少なくとも90%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号5に示すようなS9タンパク質に少なくとも95%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。
別の実施例では、鋳型は、配列番号6に示すようなヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号6に示すようなコード配列に少なくとも80%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号6に示すようなコード配列に少なくとも80%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号6に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号6に示すようなコード配列に少なくとも90%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号6に示すようなコード配列に少なくとも95%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号6に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。
一実施例では、鋳型は、配列番号7に示すようなRv1265タンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号7に示すようなRv1265タンパク質に少なくとも80%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号7に示すようなRv1265タンパク質に少なくとも80%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号7に示すようなRv1265タンパク質に少なくとも85%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号7に示すようなRv1265タンパク質に少なくとも90%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号7に示すようなRv1265タンパク質に少なくとも95%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。
別の実施例では、鋳型は、配列番号8に示すようなヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号8に示すようなコード配列に少なくとも80%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号8に示すようなコード配列に少なくとも80%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号8に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号8に示すようなコード配列に少なくとも90%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号8に示すようなコード配列に少なくとも95%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号8に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。
一実施例では、鋳型は、配列番号9に示すようなEF−Tuタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号9に示すようなEF−Tuタンパク質に少なくとも80%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号9に示すようなEF−Tuタンパク質に少なくとも80%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号9に示すようなEF−Tuタンパク質に少なくとも85%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号9に示すようなEF−Tuタンパク質に少なくとも90%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号9に示すようなEF−Tuタンパク質に少なくとも95%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。
別の実施例では、鋳型は、配列番号10に示すようなヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号10に示すようなコード配列に少なくとも80%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号10に示すようなコード配列に少なくとも80%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号10に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号10に示すようなコード配列に少なくとも90%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号10に示すようなコード配列に少なくとも95%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号10に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。
一実施例では、鋳型は、配列番号11に示すようなP5CRタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号11に示すようなP5CRタンパク質に少なくとも80%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号11に示すようなP5CRタンパク質に少なくとも80%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号11に示すようなP5CRタンパク質に少なくとも85%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号11に示すようなP5CRタンパク質に少なくとも90%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号11に示すようなP5CRタンパク質に少なくとも95%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。
別の実施例では、鋳型は、配列番号12に示すようなヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号12に示すようなコード配列に少なくとも80%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号12に示すようなコード配列に少なくとも80%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号12に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号12に示すようなコード配列に少なくとも90%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号12に示すようなコード配列に少なくとも95%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号12に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。
一実施例では、鋳型は、配列番号13に示すようなTetR様タンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号13に示すようなTetR様タンパク質に少なくとも80%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号13に示すようなTetR様タンパク質に少なくとも80%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号13に示すようなTetR様タンパク質に少なくとも85%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号13に示すようなTetR様タンパク質に少なくとも90%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号13に示すようなTetR様タンパク質に少なくとも95%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。
別の実施例では、鋳型は、配列番号14に示すようなヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号14に示すようなコード配列に少なくとも80%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号14に示すようなコード配列に少なくとも80%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号14に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号14に示すようなコード配列に少なくとも90%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号14に示すようなコード配列に少なくとも95%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号14に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。
一実施例では、鋳型は、配列番号15に示すようなGSタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号15に示すようなGSタンパク質に少なくとも80%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号15に示すようなGSタンパク質に少なくとも80%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号15に示すようなGSタンパク質に少なくとも85%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号15に示すようなGSタンパク質に少なくとも90%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、配列番号15に示すようなGSタンパク質に少なくとも95%〜100%相同なタンパク質をコードする核酸である。
一実施例では、鋳型は、結核菌群の1以上の細菌の16S rRNAをコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、結核菌群の1以上の細菌の16S rRNAをコードする核酸に少なくとも80%相同な16S rRNAをコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、結核菌群の1以上の細菌の16s RNAをコードする核酸に80%〜100%相同な16S rRNAをコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、結核菌群の1以上の細菌の16S rRNAをコードする核酸に85%〜100%相同な16S rRNAをコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、結核菌群の1以上の細菌の16S rRNAをコードする核酸に90%〜100%相同な16S rRNAをコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、結核菌群の1以上の細菌の16S rRNAをコードする核酸に95%〜100%相同な16S rRNAをコードする核酸である。
別の実施例では、鋳型は、配列番号16に示すようなヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号16に示すようなコード配列に少なくとも80%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号16に示すようなコード配列に少なくとも80%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号16に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号16に示すようなコード配列に少なくとも90%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号16に示すようなコード配列に少なくとも95%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。別の実施例では、鋳型は、配列番号16に示すようなコード配列に少なくとも85%〜100%相同なヌクレオチドコード配列である。
一実施例では、鋳型は、結核菌群の1以上の細菌の16S rRNAをコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、結核菌群の1以上の細菌の16S rRNAをコードする核酸に少なくとも80%相同な16S rRNAをコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、結核菌群の1以上の細菌の16s RNAをコードする核酸に80%〜100%相同な16S rRNAをコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、結核菌群の1以上の細菌の16S rRNAをコードする核酸に85%〜100%相同な16S rRNAをコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、結核菌群の1以上の細菌の16S rRNAをコードする核酸に90%〜100%相同な16S rRNAをコードする核酸である。別の実施例では、鋳型は、結核菌群の1以上の細菌の16S rRNAをコードする核酸に95%〜100%相同な16S rRNAをコードする核酸である。
これに関連して、記述されたタンパク質および/またはrRNAならびに該タンパク質および/またはrRNAをコードする配列には、配列表によって例示される例示的なタンパク質および/またはrRNAならびにコード配列のホモログも含まれ、その場合、該ホモログは、結核菌群の1種または複数種の細菌(例えば、結核菌および/またはウシ型結核菌および/またはM.アフリカヌムおよび/またはM.カネッティおよび/またはネズミ型結核菌)によって発現されることが理解されるべきである。
1以上の二次検体(例えば、BSX、S9、EF−Tu、P5CR、TetR様タンパク質、グルタミン合成酵素および/または16s rRNAをコードする核酸)を増幅するためのいずれか1つまたは複数のプライマーは、この1つまたは複数のプライマーが各々の対応する鋳型核酸の鎖に対して全体で少なくとも約80%の同一性を有する配列を含むように、本明細書でilvC核酸について記載されたように設計されることが当業者によって理解されるであろう。より好ましくは、配列同一性の程度は、少なくとも約85%または90%または95%または98%または99%である。例えば、プライマーまたはプライマーの領域は、対象となる鋳型の鎖の領域に対して少なくとも約80%の同一性を有する配列を含み得る。
一実施例では、BSXをコードする核酸を増幅するために、フォワードプライマーは配列番号21に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号22に示すようなヌクレオチド配列を有する。
別の実施例では、Rv1265をコードする核酸を増幅するために、フォワードプライマーは配列番号23に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号24に示すようなヌクレオチド配列を有する。
別の実施例では、S9をコードする核酸を増幅するために、フォワードプライマーは配列番号25に示すようなヌクレオチド配列を有し、リバースプライマーは配列番号26に示すようなヌクレオチド配列を有する。
異なる放出スペクトルを有する蛍光色素を異なるプローブに付着させるという条件付きで、マルチプレックスアッセイ用のリアルタイムレポーター(例えば、 TaqManプローブ、分子ビーコンまたはスコーピオンプローブ)をマルチプレックスアッセイフォーマットで利用し、それにより、多数のRNAまたはDNA種を同じ試料中で測定するのを可能にすることもできる。マルチプレックス反応は、1本のチューブでの、均一なアッセイで共増幅される内部対照も提供する。
NAA−抗原併用アッセイフォーマット
例えば、診断および/または予後診断を確認するために、上記の実施形態のいずれか1つを、例えば、AU2008902611号に記載されているようなKARIタンパク質またはその断片を検出するための抗原に基づく検査と組み合わせ得ることが理解されるであろう。特に、抗体に基づくアッセイとは対照的に、結核菌抗原を検出する1つの利点は、重症免疫不全患者は検出可能なレベルで抗体を産生しない場合があり、どの患者の抗体のレベルも桿菌量を反映しないことである。他方、抗原レベルは、桿菌量を反映するはずであり、また、桿菌の産物であるので、その存在を検出する直接的な方法となる。
例えば、診断および/または予後診断を確認するために、上記の実施形態のいずれか1つを、例えば、AU2008902611号に記載されているようなKARIタンパク質またはその断片を検出するための抗原に基づく検査と組み合わせ得ることが理解されるであろう。特に、抗体に基づくアッセイとは対照的に、結核菌抗原を検出する1つの利点は、重症免疫不全患者は検出可能なレベルで抗体を産生しない場合があり、どの患者の抗体のレベルも桿菌量を反映しないことである。他方、抗原レベルは、桿菌量を反映するはずであり、また、桿菌の産物であるので、その存在を検出する直接的な方法となる。
一実施例では、本明細書中の任意の実施形態によって記載されるようなilvC−NAA診断および予後診断アッセイを抗原に基づくアッセイと組み合わせて、組み合わせたNAA−抗原に基づくアッセイを提供し、その場合、該抗原に基づくアッセイは、該対象由来の生物学的試料中でKARIタンパク質、またはその断片を検出することを含む。組み合わせたアッセイを、同時にまたは例えば、NAAの次に抗原に基づく検出もしくは抗原に基づく検出の次にNAAのように、任意の順序で行なう。例えば、生物学的試料を、結核菌または結核菌群の他の生物の免疫原性KARIタンパク質、免疫原性KARIペプチドまたは免疫原性KARI断片またはそれらのエピトープに特異的に結合する単離されたリガンド(例えば、小分子、ペプチド、抗体、または抗体の免疫反応性断片)と接触させる。好ましいリガンドはペプチドまたは抗体である。好ましい抗体としては、例えば、モノクローナルまたはポリクローナル抗体調製物が挙げられる。これは、任意の単離された抗体産生細胞または抗体産生細胞集団、例えば、KARIタンパク質またはKARIタンパク質の免疫原性断片またはKARIタンパク質の配列に由来する配列を含む他の免疫原性ペプチドに結合する抗体を産生するハイブリドーマまたは形質細胞腫にまで及ぶ。抗原に基づくアッセイで使用される好適なリガンド、抗体、方法および試薬は、AU2008902611号に記載されているようなものである。
本明細書中の任意の実施形態による組み合わせたNAA−抗原に基づくアッセイフォーマットは、結核菌群の生物(例えば、対象における結核菌)による過去もしくは現在の(すなわち、活動性の)感染または潜伏感染を検出するのに有用であり、その場合、該感染は、ilvC−NAAに基づくアッセイを用いてKARIタンパク質をコードする核酸の存在により決定され、かつ対象から得られた生物学的試料中に存在するKARIタンパク質またはその免疫原性断片もしくはエピトープへの抗原に基づくアッセイ中のリガンドの結合によって確認される。
本明細書中の任意の実施形態による組み合わせたNAA−抗原に基づくアッセイフォーマットは、結核菌群の細菌もしくは結核菌群の細菌により感染した細胞の同定または該細菌もしくは該細胞の選別もしくは計数に有用である。この実施例は、結核菌群の複数の細菌(例えば、結核菌および/またはウシ型結核菌および/またはM.アフリカヌムおよび/またはM.カネッティおよび/またはネズミ型結核菌)の同定を明確に包含する。
任意の実施形態によって記載されるような組み合わせたNAA−抗原に基づくアッセイフォーマットは、免疫障害のない対象(例えば、HIV陰性対象)に有用であり、このアッセイは、免疫障害があるかまたは免疫不全である対象、例えば、ヒト免疫不全ウイルスに感染した対象(すなわち、「HIV+」)におけるTBを検出するのに特に有用でもある。このようなアッセイを行なうのに用いられる試料としては、例えば、(i)脳、乳房、卵巣、肺、結腸、膵臓、精巣、肝臓、筋肉、骨からなる群から選択される組織由来の抽出物およびそれらの混合物;(ii)喀痰、血清、血漿、全血、唾液、尿、胸水からなる群から選択される体液およびそれらの混合物;ならびに(iii)喀痰、血清、血漿、全血、唾液、尿、胸水からなる群から選択される体液由来の試料およびそれらの混合物が挙げられる。
好ましい試料は、ヒト免疫グロブリンと複合体を形成したKARIタンパク質またはその断片を含む循環免疫複合体を含み得る。このような免疫複合体の検出は明らかに本発明の範囲内である。この実施形態によって、捕捉試薬(例えば、捕捉抗体)を用いて、対象の循環中の単離された抗原の他に、対象の免疫グロブリンと複合体を形成したKARI抗原(KARIタンパク質、ポリペプチドまたはそれらの免疫反応性断片もしくはエピトープ)を捕捉する。任意で検出可能な標識とコンジュゲートした、抗Ig抗体を用いて、捕捉されたCICに特異的に結合させ、それによりCIC患者試料を検出する。本発明の範囲内で、抗Ig抗体は、試料中のIgM、IgAまたはIgGに優先的に結合する。特に好ましい実施形態では、抗Ig抗体は、ヒトIg、例えば、ヒトIgA、ヒトIgGまたはヒトIgMに結合する。抗Ig抗体は、当技術分野で公知の任意の標準的な検出可能な標識にコンジュゲートさせ得る。これは、病原性因子(例えば、細菌もしくはウイルス)による感染の検出に、またはCICと関連する任意の疾患もしくは障害の診断に特に有用である。したがって、本明細書中の任意の実施形態により記載される診断方法は、修飾に適しており、その場合、対象由来の試料が結核菌のKARIタンパク質または1以上のその免疫原性KARIペプチド、断片もしくはエピトープに結合した免疫グロブリン(Ig)を含む1以上の循環免疫複合体を含み、かつ抗原抗体複合体の形成を検出することが、複合体が形成するのに十分な時間および条件下で抗Ig抗体を循環免疫複合体の免疫グロブリン部分と接触させた後、結合した抗Ig抗体を検出することを含む。
NAA−抗体に基づくアッセイ
本発明の方法を用いて得られる対象中の結核または結核菌による感染の診断が、該対象由来の生物学的試料中でKARIタンパク質またはその免疫原性断片もしくはエピトープに結合する抗体を検出することにより、診断を確認することをさらに含み、その場合、試料中の該抗体の存在は感染を示すことも意図される。感染は、過去の感染もしくは現在の感染、または潜伏感染であり得る。
本発明の方法を用いて得られる対象中の結核または結核菌による感染の診断が、該対象由来の生物学的試料中でKARIタンパク質またはその免疫原性断片もしくはエピトープに結合する抗体を検出することにより、診断を確認することをさらに含み、その場合、試料中の該抗体の存在は感染を示すことも意図される。感染は、過去の感染もしくは現在の感染、または潜伏感染であり得る。
さらなる実施例では、本明細書中の任意の実施形態によって記載されるようなilvC−NAA診断および予後診断アッセイは、対象中の結核または結核菌群の1以上のマイコバクテリアによる感染を診断するための抗体に基づくアッセイと組み合わされ、その場合、該抗体に基づくアッセイは、該対象由来の生物学的試料中で免疫原性KARIタンパク質またはその免疫原性KARIペプチドもしくは免疫原性KARI断片もしくはエピトープに結合する抗体を検出することを含み、試料中の該抗体の存在は感染を示す。組み合わせたアッセイは、同時にまたは例えば、NAAの次に抗原に基づく検出もしくは抗原に基づく検出の次にNAAのように、任意の順序で行なわれる。感染は、過去の感染もしくは活動性の感染、または潜伏感染であり得るが、好ましい実施形態では、このアッセイフォーマットは、活動性の感染および/または最近の感染の検出に特に有用である。
例えば、抗体に基づくアッセイは、例えば、対象に由来する生物学的試料を、抗原抗体複合体が形成するのに十分な時間および条件下で、本明細書に記載の任意の実施形態による単離されたまたは組換えの免疫原性KARIタンパク質またはその免疫原性KARIペプチドもしくは免疫原性KARI断片もしくはエピトープあるいは該ペプチドまたはエピトープまたは断片の組合せまたは混合物と接触させた後、抗原抗体複合体の形成を検出することを含む、イムノアッセイであり得る。試料は、抗体を含む試料、例えば、対象から得られた血液または血清または血漿または免疫グロブリン画分を含む試料である。試料は、KARI抗原性断片との複合体の形態の循環抗体を含み得る。通常、抗原抗体複合体は、患者の免疫グロブリン(例えば、抗ヒトIg抗体)に結合することができる抗体を用いて、このようなアッセイフォーマットで検出される。抗体に基づくアッセイで用いられる好適な抗体、方法および試薬は、AU2008902611号に記載されているようなものである。
好ましくは、NAA−抗体に基づく検査を受けている対象は、結核もしくは結核菌による感染を患っていることが疑われるおよび/または結核を発症する危険に曝されているおよび/または結核菌に感染する危険に曝されている。
抗体に基づくアッセイは主に、結核菌による活動性感染の確認に用いられる。好ましくは、対象の病歴は、結核菌によるごく最近の感染または慢性感染において持続し得る残存抗体レベルによるものと考えられる。
このフォーマットは、安価でかつ極めて感度が高いが、免疫が低下した個人における感染の検出を確認するにあたって、抗原に基づくアッセイフォーマットほどは有用でない。しかしながら、抗体に基づくアッセイは、免疫が低下していないHIV−またはHIV+の個人における結核菌感染の検出を確認するにあたっては、明らかに有用である。
抗体に基づくアッセイは、AU2008902611号に記載されているようなものであり、かつ対象に由来する生物学的試料をKARIタンパク質またはその免疫原性断片もしくはエピトープと接触させることと、抗原抗体複合体の形成を検出することとを含む。
抗体に基づくアッセイでは、抗体の検出に用いられるKARIタンパク質またはその免疫原性断片もしくはエピトープは、非感染対象由来の抗血清とそれほど交差反応しないことが好ましい。したがって、単離されたまたは組換えのKARIは、本明細書に記載の抗体に基づくプラットフォームで用いられることが好ましい。
別の実施形態では、抗体に基づくアッセイを含む本発明の方法は、本明細書中の任意の実施形態によって記載されるNAAに基づくアッセイによって決定されるような、対象中の結核または結核菌による感染の進行の決定を確認するのに有用である。本発明のこれらの予後診断用途において、対象由来の血液または血清、血漿、または免疫グロブリン画分中のKARIタンパク質または断片またはエピトープに結合する抗体の量は、感染状態と正に相関する。例えば、結核または感染の症状を患っている対象中の検出可能な抗KARIタンパク質抗体のレベルよりも低いそれに対する抗KARIタンパク質抗体のレベルは、対象が感染から回復していることを示す。同様に、健康個体と比較した対象由来の試料中のより高い抗体レベルは、対象が疾患または感染から脱しきれていないことを示す。
さらなる実施形態では、抗体に基づくアッセイを含む本発明の方法は、結核または結核菌による感染を有する対象の、該結核または感染のための治療的化合物による治療に対する応答の決定を確認し、該方法は、該対象由来の生物学的試料中のKARIタンパク質またはその免疫原性断片もしくはエピトープに結合する抗体を検出することをさらに含み、その場合、正常または健康対象において検出可能な抗体のレベルと比較して増強されている抗体のレベルは、対象が該治療に応答していないかまたは疾患もしくは感染から脱しきれていないことを示す。この場合もやはり、単離されたまたは組換えのKARIタンパク質が好ましい。
代わりの実施形態では、抗体に基づくアッセイを含む本発明の方法は、結核または結核菌による感染を有する対象の、該結核または感染のための治療的化合物による治療に対する応答の決定を確認し、該方法は、該対象由来の生物学的試料中のKARIタンパク質またはその免疫原性断片もしくはエピトープに結合する抗体を検出することをさらに含み、その場合、結核または結核菌による感染を患っている対象において検出可能な抗体のレベルよりも低い抗体のレベルは、対象が該治療に応答していることまたは疾患もしくは感染から脱したことを示す。
結核を有する対象由来の生物学的試料中で検出されるKARIタンパク質または断片に対する抗体の量を参照試料と比較してもよく、その場合、この参照試料は、事前に結核菌に感染したことがないかまたは最近結核菌に感染していない1以上の健康対象に由来する。このような陰性対照対象は循環抗体力価が低く、そのため、抗体に基づくアッセイフォーマットにおける好適な標準となっている。例えば、KARIタンパク質またはその免疫原性断片に結合する抗体は参照試料中では検出されず、患者試料中でしか検出されないが、これは、試料が由来した患者が結核もしくは結核菌による感染を患っているかまたは急性感染を発症することを示している。単離されたまたは組換えKARIタンパク質は、このような実施形態で用いられるのが好ましい。
抗体に基づくアッセイを利用する記載された診断/予後診断方法の一実施形態では、生物学的試料は事前に対象から得られている。このような実施形態によって、予後診断または診断方法がエクスビボで行なわれる。
さらに別の実施形態では、抗体に基づくアッセイを利用する記載された本診断/予後診断方法は、対象由来の試料を処理して、検体(例えば、血液、血清、血漿、または任意の免疫グロブリン含有試料)を含む派生物または抽出物を生成させることをさらに含む。
抗体に基づくアッセイで用いられる好適な試料としては、例えば、免疫グロブリン(例えば、血液、骨)を含む組織由来の抽出物、または体液(例えば、血清、血漿、全血、血清の免疫グロブリン含有画分、血漿の免疫グロブリン含有画分、血液の免疫グロブリン含有画分が挙げられる。
抗原および抗体に基づくアッセイの検出系
本明細書で意図される好ましい検出系には、例えば、SDS/PAGE、等電点フォーカシング、SDS/PAGEおよび等電点フォーカシングを含む2次元ゲル電気泳動、免疫アッセイ、抗体または例えば、小分子(例えば、化学的化合物、タンパク質のアゴニスト、アンタゴニスト、アロステリック調節因子、競合阻害因子、または非競合阻害因子)などのタンパク質の非抗体リガンドを用いた検出に基づく系などの、ヒト対象から単離された生物学的試料中のタンパク質または抗体を検出するための任意の既知のアッセイが含まれる。これらの実施形態によって、抗体または小分子を、タンパク質の検出に適している任意の標準的な固相または溶液相アッセイフォーマットで使用し得る。例えば、質量分析、MALDI−TOF、バイオセンサー技術、エバネッセントファイバー光学、または蛍光共鳴エネルギー移動などの、光学的検出または蛍光検出は、本発明に明確に包含される。大量試料のハイスループットスクリーニング、特に、ハイスループットスペクトロスコピー共鳴法(例えば、MALDI−TOF、エレクトロスプレーMSまたはナノエレクトロスプレーMS)で使用するのに好適なアッセイ系が特に意図される。
本明細書で意図される好ましい検出系には、例えば、SDS/PAGE、等電点フォーカシング、SDS/PAGEおよび等電点フォーカシングを含む2次元ゲル電気泳動、免疫アッセイ、抗体または例えば、小分子(例えば、化学的化合物、タンパク質のアゴニスト、アンタゴニスト、アロステリック調節因子、競合阻害因子、または非競合阻害因子)などのタンパク質の非抗体リガンドを用いた検出に基づく系などの、ヒト対象から単離された生物学的試料中のタンパク質または抗体を検出するための任意の既知のアッセイが含まれる。これらの実施形態によって、抗体または小分子を、タンパク質の検出に適している任意の標準的な固相または溶液相アッセイフォーマットで使用し得る。例えば、質量分析、MALDI−TOF、バイオセンサー技術、エバネッセントファイバー光学、または蛍光共鳴エネルギー移動などの、光学的検出または蛍光検出は、本発明に明確に包含される。大量試料のハイスループットスクリーニング、特に、ハイスループットスペクトロスコピー共鳴法(例えば、MALDI−TOF、エレクトロスプレーMSまたはナノエレクトロスプレーMS)で使用するのに好適なアッセイ系が特に意図される。
例えば、免疫ブロット、ウェスタンブロット、ドットブロット、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイからなる群から選択されるイムノアッセイフォーマットが特に好ましい。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、同位体コード親和性タグ(isotope−coded affinity tag)(ICAT)、質量分析(例えば、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型(MALDI−TOF))、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、バイオセンサー技術、エバネッセントファイバー光学技術またはタンパク質チップ技術を利用する修飾されたイムノアッセイも有用である。
好ましくは、アッセイは、半定量的アッセイまたは定量的アッセイである。
標準的な固相ELISAフォーマットは、種々の患者試料由来のタンパク質または抗体の濃度を決定する際に特に有用である。
一形態では、そのようなアッセイは、抗KARIタンパク質抗体、またはあるいはKARIタンパク質もしくはその免疫原性断片を含む生物学的試料を、例えば、ポリスチレンまたはポリカーボネートマイクロウェルまたはディップスティック、メンブレンまたはガラス支持体(例えば、ガラススライド)などの、固体マトリックスに固定することを含む。
抗原に基づくアッセイの場合、KARIタンパク質に特異的に結合する固定化された抗体を生物学的試料と直接的に接触させ、該試料中に存在するその標的タンパク質のいずれかとの直接的な結合を形成させる。抗体に基づくアッセイの場合、固定化された単離されたまたは組換えのKARIタンパク質またはその免疫原性断片もしくはエピトープを生物学的試料と接触させる。溶液中の添加された抗体またはタンパク質は、通常、例えば、コロイド金、蛍光標識(例えば、FITCもしくはTexas Red)または酵素(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP))、アルカリホスファターゼ(AP)もしくはβ−ガラクトシダーゼ)などの、検出可能なレポーター分子で標識されている。
あるいは、またはさらに、第1の抗体にまたは単離された/組換えKARI抗原に結合する第2の標識抗体を用いることができる。洗浄して、未結合の抗体またはKARI抗原を全て除去した後、直接(蛍光標識の場合)、または例えば、過酸化水素、TMB、もしくはトルイジン、または5−ブロモ−4−クロロ−3−インドール−β−D−ガラクトピラノシド(x−gal)などの、基質の添加によって、標識を検出し得る。
このようなELISAに基づく系は、例えば、既知の量の標準に対して検出系を較正することなどによって、試料中のタンパク質または抗体の量を定量するのに特に好適である。
別の形態では、ELISAは、KARIタンパク質に特異的に結合する抗体を、例えば、メンブレン、ポリスチレンもしくはポリカーボネートマイクロウェル、ポリスチレンもしくはポリカーボネートディップスティックまたはガラス支持体などの固体マトリックス上に固定することからなる。次に、患者試料を該抗体と物理的に関連させ、試料中の抗原と結合させるかまたはこれを「捕捉する」。次に、結合したタンパク質を、標識抗体を用いて検出することができる。例えば、タンパク質がヒト試料から捕捉する場合、抗ヒトIg抗体を用いて、捕捉されたタンパク質を検出する。
例示的なアッセイは、
(i)免疫原性KARIペプチドまたはKARIタンパク質に特異的に結合する抗体を固体マトリックスまたは支持体に固定化することと、
(ii)結合した抗体を対象、固定化された抗体が試料中のKARIタンパク質またはその断片に結合し、それにより抗原抗体複合体を形成するのに十分な時間および条件下で、好ましくは、抗体含有試料(例えば、血液、血清またはこれらのIg含有画分)から得られた試料と接触させることと、
(iii)該複合体を、ヒトIgを認識する抗体と接触させることを含むプロセスで形成された抗原抗体複合体を検出することと、
を含み、ここで、該ヒトIgの存在は、患者試料中の結核菌の存在を示す。
(i)免疫原性KARIペプチドまたはKARIタンパク質に特異的に結合する抗体を固体マトリックスまたは支持体に固定化することと、
(ii)結合した抗体を対象、固定化された抗体が試料中のKARIタンパク質またはその断片に結合し、それにより抗原抗体複合体を形成するのに十分な時間および条件下で、好ましくは、抗体含有試料(例えば、血液、血清またはこれらのIg含有画分)から得られた試料と接触させることと、
(iii)該複合体を、ヒトIgを認識する抗体と接触させることを含むプロセスで形成された抗原抗体複合体を検出することと、
を含み、ここで、該ヒトIgの存在は、患者試料中の結核菌の存在を示す。
固定化された抗体の特異性は、抗体が認識するエピトープを含む単離されたまたは免疫複合体を形成したKARIタンパク質または断片が実際に結合することを保証するのに対し、抗ヒトIgの特異性は、免疫複合体を形成したKARIタンパク質または断片のみが検出されることを保証する。これに関連して、「免疫複合体を形成した」という用語は、患者試料中のKARIタンパク質またはその断片がヒトIg(例えば、ヒトIgAまたはヒトIgMまたはヒトIgGなど)と複合体を形成することを意味すると解釈するものとする。したがって、この実施形態は、対象において免疫応答を生じさせている結核菌または結核菌による感染の存在を検出するのに特に有用である。検出抗体(例えば、抗ヒトIgAまたは抗ヒトIgGまたは抗ヒトIgM)を適切に選択することにより、対象の免疫応答をアイソタイピングすることがさらに可能である。ヒトIgA、IgMおよびIgGに結合するこのような検出抗体は当技術分野で公に利用可能である。
前述の実施形態の代わりにまたは前述の実施形態に加えて、第2の(検出)抗体に結合する第3の標識抗体を用いることができる。
本明細書に記載のアッセイフォーマットが、例えば、スクリーニングプロセスの自動化などのハイスループットフォーマット、またはMendoza et al,Biotechniques 27(4):778−788,1999に記載されているようなマイクロアレイフォーマットに適していることは当業者に明白であろう。さらに、例えば、競合ELISAなどの上記のアッセイの変法が当業者には明白であろう。
あるいは、抗KARIタンパク質抗体、またはあるいはKARIタンパク質もしくはその免疫原性断片の存在を、放射性免疫アッセイ(RIA)を用いて検出する。このアッセイの基本的な原理は、放射性標識された抗体または抗原を用いて、抗体抗原相互作用を検出することである。例えば、KARIタンパク質に特異的に結合する抗体を固体支持体に結合させ、生物学的試料を該抗体と直接的に接触させることができる。結合した抗原を検出するために、単離されたおよび/または組換え形態の放射性標識された抗原を同じ抗体と接触させる。洗浄した後、結合した放射能の量を検出する。生物学的試料中の抗原はいずれも、放射性標識された抗原の結合を阻害するので、検出された放射能の量は、試料中の抗原の量に反比例する。増加する既知濃度の単離された抗原を用いる標準曲線を用いて、このようなアッセイを定量し得る。
当業者には明白であるように、放射性標識の代わりに、例えば、酵素または蛍光分子などの任意のレポーター分子を用いるように、このようなアッセイを改変し得る。
ウェスタンブロッティングもまた、KARIタンパク質またはその免疫原性断片の検出に有用である。このようなアッセイでは、生物学的試料由来のタンパク質を、当技術分野でよく知られており、かつ例えば、Scopes(Protein Purification:Principles and Practice,第3版,Springer Verlag,1994)に記載されている技術を用いるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を用いて分離する。次に、分離されたタンパク質を、当技術分野で周知の方法(例えば、電気転写)を用いて、例えば、メンブレンまたはより具体的には、ニトロセルロースメンブレン、ナイロンメンブレンもしくはPVDFメンブレンなどの、固体支持体に転写する。次に、このメンブレンをブロッキングし、KARIタンパク質に特異的に結合する標識抗体またはリガンドでプロービングする。あるいは、標識された二次抗体もしくはリガンドを用いて、またはさらには三次抗体もしくはリガンドを用いて、特異的一次抗体の結合を検出することができる。
抗KARIタンパク質抗体、またはあるいはKARIタンパク質もしくはその免疫原性断片の存在または不在を検出するためのハイスループットな方法が特に好ましい。
一実施形態では、質量分析(例えば、MALDI−TOF)を、1次元または2次元ゲル電気泳動によって分離されたタンパク質の迅速な同定に用いる。したがって、対象となるタンパク質に特異的に結合する抗体またはリガンドを用いて対象となるタンパク質を検出する必要はない。そうではなく、生物学的試料由来のタンパク質を、当技術分野で公知の方法を用いるゲル電気泳動を用いて分離し、ほぼ正確な分子量および/または等電点のタンパク質を、MALDI−TOFを用いて分析して、対象となるタンパク質の存在または不在を決定する。
あるいは、質量分析(例えば、MALDIまたはESI、または手法の組合せ)を用いて、例えば、喀痰などの生物学的試料中の特定のタンパク質の濃度を決定する。このようなタンパク質は、分子量や等電点などのパラメータに関して事前に十分に特徴付けられていることが好ましい。
バイオセンサー装置は、通常、電極表面と電流または電気抵抗測定素子とを組み合わせて装置内に統合したものを、アッセイ基板(例えば、米国特許第5,567,301号に記載されているもの)と組み合わて利用する。対象となるタンパク質に特異的に結合する抗体またはリガンドをバイオセンサー装置の表面に組み込み、患者から単離された生物学的試料(例えば、本明細書に記載の方法を用いて可溶化した喀痰)を該装置に接触させることが好ましい。バイオセンサー装置により検出された電流または電気抵抗の変化は、タンパク質の該抗体またはリガンドへの結合を示す。当技術分野で公知のバイオセンサーのいくつかの形態はまた、表面プラズモン共鳴に基づいて、タンパク質相互作用を検出し、それにより、反射表面の表面プラズモン共鳴の変化が、タンパク質のリガンドまたは抗体への結合を示す(米国特許第5,485,277号および同第5,492,840号)。
バイオセンサーは、そのような系をマイクロまたはナノスケールへと容易に適合させることができるために、ハイスループット解析において特に有用である。さらに、そのような系は、いくつかの検出試薬を組み入れるように適合させるのにも好都合であり、単一のバイオセンサーユニットでの診断試薬のマルチプレックス化が可能になる。これにより、少量の体液中でいくつかのエピトープを同時に検出することが可能になる。
対象となるタンパク質の検出に前に生物学的試料を前処理する必要がないので、エバネッセントバイオセンサーも好ましい。エバネッセントバイオセンサーは通常、例えば、プローブの表面付近に結合した蛍光抗体などの、蛍光分子と相互作用する所定の波長の光に基づいて、診断用タンパク質と抗体またはリガンドの結合により、異なる波長の蛍光を放出する。
タンパク質チップを作製するために、対象となる特異的抗体またはタンパク質に結合することができるタンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗体またはリガンドを、例えば、ガラス、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、酸化ケイ素、金属または窒化ケイ素などの固体支持体に結合させる。この固定化は、直接的なもの(例えば、共有結合、例えば、シッフ塩基形成、ジスルフィド結合、またはアミドもしくは尿素結合形成によるもの)、あるいは間接的なもののいずれかである。タンパク質チップの作製方法は当技術分野で公知であり、かつ例えば、米国特許出願第20020136821号、同第20020192654号、同第20020102617号および米国特許第号6,391,625号に記載されている。タンパク質を固体支持体に結合させるために、多くの場合、例えば、アルデヒド含有シラン試薬を用いて、表面上に化学的反応基を創出するように固体支持体を処理する必要がある。あるいは、抗体またはリガンドを微細加工ポリアクリルアミドゲルパッド表面に捕捉し、Arenkov et al.Anal.Biochem.275:123−131,2000に記載されているようなマイクロ電気泳動を用いて、ゲル内へと加速させ得る。
タンパク質チップは、いくつかのタンパク質、リガンドまたは抗体が該チップ上に配置されるように作製されることが好ましい。このフォーマットにより、試料中のいくつかのタンパク質の存在を同時スクリーニングすることができる。
あるいは、タンパク質チップは、1種のみのタンパク質、リガンドまたは抗体を含み、かつ対象となる1種のポリペプチドの存在について1以上の患者試料をスクリーニングするために使用されてもよい。このようなチップはまた、対象となるポリペプチドについて患者試料のアレイを同時にスクリーニングするために使用されてもよい。
タンパク質チップを用いて解析される試料は、例えば、当技術分野で周知の方法を用いて検出可能な蛍光分子、放射性分子、酵素、または抗体などのレポーター分子に付着していることが好ましい。したがって、タンパク質チップを標識された試料と接触させ、その後、洗浄して、未結合のタンパク質を除去することにより、結合したタンパク質の存在を、当技術分野で周知の方法を用いて(例えば、DNAマイクロアレイリーダーを用いて)検出する。
あるいは、生体分子相互作用分析−質量分析(BIA−MS)を用いて、低フェムトモルからサブフェムトモル(fmnol)レベルで複合生物学的試料中に存在するタンパク質を迅速に検出し、特徴付ける(Nelson et al.Electrophoresis 21:1155−1163,2000)。タンパク質チップの解析において有用な1つの技術は、タンパク質チップに結合したタンパク質を特徴付けるための表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(SELDI−TOF−MS)技術である。あるいは、タンパク質チップを、米国特許出願第20020139751号に記載されているようなESIを用いて解析する。
当業者には明白であるように、タンパク質チップは、検出試薬のマルチプレックス化に特に適している。したがって、各々、異なるペプチドまたはタンパク質に特異的に結合することができるいくつかの抗体またはリガンドを該タンパク質チップの異なる領域に結合させ得る。次に、該チップを用いた生物学的試料の解析により、対象となる多数のタンパク質、またはKARIタンパク質の多数のB細胞エピトープを検出することができる。診断および予後マーカーのマルチプレックス化は、本発明において特に意図される。
さらなる実施形態では、試料を、本質的に米国特許出願第20020076739号に記載されているような、ICATまたはITRACを用いて解析する。この系は、1つの源(すなわち、健康個体)由来のタンパク質試料を試薬で標識することと、別の源(すなわち、結核患者)由来のタンパク質試料を、第1の試薬と化学的に同一であるが、同位体組成のために質量が異なる第2の試薬で標識することとに基づく。第1の試薬および第2の試薬がビオチン分子を含むことも好ましい。次に、等濃度の2つの試料を混合し、アビジン親和性クロマトグラフィーでペプチドを回収する。次に、試料を質量分析を用いて解析する。重いペプチドイオンと軽いペプチドイオンの間のピーク高さの差は、生物学的試料中のタンパク質存在量の差と直接相関する。次に、このようなタンパク質の正体を、例えば、MALDI−TOF、またはESIなどの当技術分野で周知の方法を用いて、決定し得る。
特に好ましい実施形態では、抗KARIタンパク質抗体、またはあるいはKARIタンパク質もしくはその免疫原性断片を含む生物学的試料を2次元ゲル電気泳動にかける。この実施形態によって、電気泳動の前に、例えば、遠心分離、濾過、または遠心分離と濾過の組合せなどによって、特定の粒状物質を試料から取り除くことが好ましい。次に、生物学的試料中のタンパク質を分離する。例えば、タンパク質を、等電点フォーカシングを用いてその電荷によって、および/またはその分子量によって分離し得る。よく似た分子量を有するタンパク質もその電荷によって分離されるので、2次元分離によって、タンパク質の様々なアイソフォームの同定が可能になる。質量分析を用いて、対象となるタンパク質が患者試料中に存在するかどうかを決定することが可能である。
他のアッセイフォーマットとしては、例えば、固相ELISA、フロースルーイムノアッセイフォーマット、ラテラルフローフォーマット、キャピラリーフォーマット、および免疫原性タンパク質、ペプチド、断片の精製または単離用のフォーマット(例えば、抗体、プロテインGまたはプロテインAにコンジュゲートした固体マトリックスを用いるもの)が挙げられる。抗体に基づくまたは抗原に基づくアッセイで用いられる好適なアッセイフォーマットはAU2008902611号に記載されている。
他の組合せ検査
本明細書に記載されたような補助的な抗原に基づく検査および/または抗体に基づく検査を伴うまたは伴わない本発明のilvC核酸に基づく検査を結核または結核と関連する状態を診断するための1以上の標準的な検査と組み合わせる。
本明細書に記載されたような補助的な抗原に基づく検査および/または抗体に基づく検査を伴うまたは伴わない本発明のilvC核酸に基づく検査を結核または結核と関連する状態を診断するための1以上の標準的な検査と組み合わせる。
一実施例では、標準的な検査は、例えば、初期診断を確認するためにおよび/または関連している特定病原体を示すために、例えば、臨床試料中の結核菌または結核菌群の他の生物の存在を検出することによって、結核を診断するための培養検査である。一実施例では、培養検査によって、別のマイコバクテリア病原体ではなく、臨床試料中の結核菌の存在が確認される。別の実施例では、培養検査によって、対象から得られた臨床検体中に存在する結核菌または他のマイコバクテリア病原体の株が確認される。臨床試料中の結核菌または結核菌群の他の生物の存在を検出するために利用可能な任意の既知の培養検査を使用し得ることが明白であろう。例えば、製造元の標準的なプロトコルに従ってMGIT−960システム(Becton Dickinson Diagnostic Instrument Systems)で培養することを利用し得る。
本明細書中の任意の実施形態によって記載されているようなilvC−NAA診断および予後診断アッセイは、結核診断用の標準的な培養検査と組み合わせたときに、培養検査のみ(例えば、MGITのみ)よりも早く短期培養に対する結果を出すのに有用である場合がある。この実施例では、例えば、MGITシステムで試料を培養し、培養試料に対してilvC−NAAを行なう。プライマーを本明細書に記載したように標識して、検出可能な終点、例えば、MGITシステムで検出可能な比色終点を生じさせる。この実施例では、陽性結果を得るために必要な培養時間は約3日〜4週間;または約1〜2週間;または約1週間;または約5日;または約3日;または約1日であることが好ましい。
別の実施例では、標準的な検査は塗抹検査である。
別の実施例では、標準的な検査は、対象から得られた臨床試料中の結核菌群の1以上の生物における薬剤耐性(MDR)および広範囲薬剤耐性(XDR)の1以上の既知のマーカーの存在を検出するための検査である。臨床試料中の結核菌または結核菌群の他の生物の1以上のMDRまたはXDRの存在を検出するために利用可能な任意の既知の検査を使用し得ることが明白であろう。例えば、リファンピシン(RIF)、イソニアジド(INH)、およびストレプトマイシン(STR)に対する薬剤耐性と関連する突然変異を検出するための既知のライン−プローブアッセイを使用し得る。使用し得る市販のライン−プローブアッセイの例としては、限定するものではないが、INNO−LiPA Rif.TBキット(Innogenetics NV,Gent,Belgium)およびGenoType M.TBDR plus(Hain Lifescienc GmbH,Nehren,Germany)が挙げられる。
生物学的試料および参照試料
i.検査試料
好ましくは、本明細書に記載されているような任意の実施形態による生物学的試料は、肺、肺と関連するリンパ系組織、副鼻腔、気管支、細気管支、肺胞、気道の線毛粘膜上皮、気道の粘膜上皮、気管支肺胞洗浄液(BAL)、肺胞被覆液、喀痰、粘液、唾液、血液、血清、血漿、尿、腹水、心膜液、胸水、気道の扁平上皮細胞、肥満細胞、杯細胞、肺細胞(1型または2型)、上皮内樹状細胞、PBMC、好中球、単球、または該組織、体液または細胞のいずれか1つもしくは複数の任意の免疫グロブリン含有画分からなる群から選択される試料である。
i.検査試料
好ましくは、本明細書に記載されているような任意の実施形態による生物学的試料は、肺、肺と関連するリンパ系組織、副鼻腔、気管支、細気管支、肺胞、気道の線毛粘膜上皮、気道の粘膜上皮、気管支肺胞洗浄液(BAL)、肺胞被覆液、喀痰、粘液、唾液、血液、血清、血漿、尿、腹水、心膜液、胸水、気道の扁平上皮細胞、肥満細胞、杯細胞、肺細胞(1型または2型)、上皮内樹状細胞、PBMC、好中球、単球、または該組織、体液または細胞のいずれか1つもしくは複数の任意の免疫グロブリン含有画分からなる群から選択される試料である。
一実施形態では、生物学的試料は事前に対象から得られている。
好ましくは、試料が得られた対象は、結核を患っていることまたは結核菌が感染していることおよび/または結核を発症する危険に曝されていることおよび/または結核菌が感染する危険に曝されていることが疑われる。
一実施形態では、生物学的試料は、手術または他の切除方法、体液(例えば、高張食塩水またはプロピレングリコールの吸引)、気管支肺胞洗浄、気管支鏡検査、ガラス管、サリベット(salivette)(Sarstedt AG,Sevelen,Switzerland)、オラ−シュア(Ora−sure)(Epitope Technologies Pty Ltd,Melbourne,Victoria,Australia)、オムニ−サル(omni−sal)(Saliva Diagnostic Systems,Brooklyn,NY,USA)を用いた唾液採取、および当技術分野で周知の任意の方法を用いた(例えば、注射器を用いた)血液採取からなる群から選択される方法によって対象から得られる。
生物学的試料は、例えば、Gershman,N.H.et al,J Allergy Clin Immuno.,10(4):322−328,1999に記載されている方法を用いて、患者の肺から単離された喀痰であることが特に好ましい。喀痰は、喀出されたもの、すなわち、自然に咳で吐き出されたものであることが好ましい。
別の好ましい実施形態では、生物学的試料は、当技術分野で周知の方法を用いて患者から採取された血液から単離された血漿である。
2.参照試料
明らかなように、本発明によって提供される診断および予後診断方法は、ある程度の定量化を行なって、感染または疾患の診断または予後診断となるDNA、RNAまたはタンパク質のいずれかの量を決定することによってさらに容易になり得る。このような定量化は、適当な参照試料を本明細書に記載のアッセイに含めることによって決定することができ、その場合、該参照試料は、健康なまたは正常な個体に由来する。
明らかなように、本発明によって提供される診断および予後診断方法は、ある程度の定量化を行なって、感染または疾患の診断または予後診断となるDNA、RNAまたはタンパク質のいずれかの量を決定することによってさらに容易になり得る。このような定量化は、適当な参照試料を本明細書に記載のアッセイに含めることによって決定することができ、その場合、該参照試料は、健康なまたは正常な個体に由来する。
一実施形態では、参照試料は、例えば、以前にまたは最近感染したことがなく、かつ感染または疾患を患っていない健康対象由来の細胞、体液または組織を含む。このような参照試料は、それを得るために外科的な切除または介入を必要としない体液または組織由来のものであることが好都合である。したがって、体液およびその派生物が好ましい。極めて好ましい参照試料は、喀痰、粘液、唾液、血液、血清、血漿、尿、BAL液、腹水、心膜液、胸水、PBMC、好中球、単球、または該組織、体液もしくは細胞のいずれか1つまたは複数の任意の免疫グロブリン含有画分を含む。
参照試料および検査試料(すなわち患者試料)を処理し、解析またはアッセイし、参照試料および検査試料について得られたデータを比較する。一実施形態では、参照試料および検査試料を処理し、同時に解析またはアッセイする。別の実施形態では、参照試料および検査試料を処理し、別のときに解析またはアッセイする。
代わりの実施形態では、参照試料をアッセイに含めない。その代わりに、参照試料を、事前に作成された確立されたデータセットから得てもよい。したがって、一実施形態では、参照試料は、例えば、検定されている整数の健常な範囲についての統計的に有意なデータなどの、健康個体の試料集団試験に由来するデータを含む。次に、検査試料の処理、解析またはアッセイから得られたデータを試料集団について得られたデータと比較する。
集団を代表するものとなるように十分に大きい数の参照試料から得られたデータは、特定のパラメータの平均レベルを決定するためのデータセットの作成を可能にする。したがって、単独または感染もしくは疾患の診断もしくは予後診断となるタンパク質の量と組み合わせた核酸の量を、任意の個体集団について、および該個体から得られた任意の試料について決定し、その後、アッセイされている試料について決定された発現産物のレベルと比較することができる。このような正規化されたデータセットに基づく場合は、ばらつきを調整するために行なわれる各々のアッセイに内部対照を含めることが好ましい。
NAAに基づくアッセイ用の試料調製
当技術分野で公知の、または生物学的試料から核酸を抽出するための市販のプロトコルとして公知の任意の方法が、本発明の方法での使用に好適であることが明白であろう。例えば、トータルRNAは、市販の試薬、例えば、Trizol(商標)(Invitrogen)を用いて、またはDNAおよびRNA抽出用の市販のキット、例えば、 Perfect RNA(商標) Eukaryotic Kit(Eppendorf A G,Hamburg,D E);MasterPure(商標) Complete DNAおよびRNA精製キット(Epicentre Biotechnologies,Madison,Wisconsin)を用いて、製造元のプロトコルに従って抽出し得る。
当技術分野で公知の、または生物学的試料から核酸を抽出するための市販のプロトコルとして公知の任意の方法が、本発明の方法での使用に好適であることが明白であろう。例えば、トータルRNAは、市販の試薬、例えば、Trizol(商標)(Invitrogen)を用いて、またはDNAおよびRNA抽出用の市販のキット、例えば、 Perfect RNA(商標) Eukaryotic Kit(Eppendorf A G,Hamburg,D E);MasterPure(商標) Complete DNAおよびRNA精製キット(Epicentre Biotechnologies,Madison,Wisconsin)を用いて、製造元のプロトコルに従って抽出し得る。
併用アッセイフォーマットの抗原および/または抗体に基づくアッセイ用の試料調製
一実施形態では、生物学的試料を処理して、該試料中の細胞を溶解させる。このような方法には、とりわけ、洗剤、酵素の使用、該細胞の凍結と解凍の反復、超音波処理またはガラスビーズ存在下での該細胞のボルテックス処理が含まれる。
一実施形態では、生物学的試料を処理して、該試料中の細胞を溶解させる。このような方法には、とりわけ、洗剤、酵素の使用、該細胞の凍結と解凍の反復、超音波処理またはガラスビーズ存在下での該細胞のボルテックス処理が含まれる。
別の実施形態では、生物学的試料を処理して、該試料中に存在するタンパク質を変性させる。タンパク質を変性させる方法は、試料を加熱すること、試料を2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール(DTT)、N−アセチルシステイン、洗剤または例えば、グアニジニウムもしくは尿素などの他の化合物で処理することを含む。例えば、喀痰の液状化にはDTTの使用が好ましい。
さらに別の実施形態では、生物学的試料を処理して、該試料中のタンパク質を濃縮する。タンパク質を濃縮する方法は、沈殿、フリーズドライ、漏斗管ゲルの使用(TerBush and Novick,Journal of Biomolecular Techniques,10(3);1999)、限外濾過または透析を含む。
結核または結核菌感染を検出するための診断/予後診断方法
本発明は、対象における結核または結核菌による感染を診断する方法であって、該対象由来の生物学的試料において、生物学的試料中に存在する結核菌群の1以上のマイコバクテリアの1以上のilvC核酸を検出することを含み、ここで、試料中の該ilvC核酸の検出は感染を示す、方法を提供する。
本発明は、対象における結核または結核菌による感染を診断する方法であって、該対象由来の生物学的試料において、生物学的試料中に存在する結核菌群の1以上のマイコバクテリアの1以上のilvC核酸を検出することを含み、ここで、試料中の該ilvC核酸の検出は感染を示す、方法を提供する。
例えば、他のNAAに基づく検査ではなく、ilvC遺伝子の発現に基づいて、ilvC核酸を検出する1つの利点は、それが、他の手段で検出されない可能性がある抗原レベルを反映すること、およびilvC遺伝子の産物であるKARIタンパク質は、桿菌の産物であり、その存在を検出する直接的な方法であるので、桿菌量を反映するはずであることである。例えば、抗体に基づくアッセイと比較した別の利点は、重度の免疫低下患者が検出可能なレベルで抗体を産生しない可能性があり、任意の患者における抗体のレベルが桿菌量を反映しないことである。例えば、DNA検出を用いる他のNAAに基づく検査に優るさらなる利点は、本発明の方法がmRNA転写産物レベル(これもまた活動性感染の存在を反映する)を検出する手段を提供することである。
別の実施形態では、本発明のNAAに基づく診断アッセイは、対象における結核または結核菌による感染の進行を決定するのに有用である。本発明のこれらの予後診断用途において、生物学的試料におけるilvC遺伝子(例えば、ilvC転写産物)の発現のレベルは、感染状態と正に相関する。例えば、結核または感染の症状を患っている対象において検出可能なilvC転写産物のレベルよりも低いilvC転写産物のレベルは、対象が感染から回復していることを示す。同様に、健康個体と比較した、対象由来の試料におけるilvC転写産物より高いレベルは、対象が疾患または感染から脱しきれていないことを示す。
したがって、本発明のさらなる実施形態は、結核または結核菌による感染を有する対象の、該結核または感染のための治療的化合物による治療に対する応答を決定するための方法であって、該対象由来の生物学的試料中のilvC転写産物を検出することを含み、ここで、正常または健康対象において検出可能なそのタンパク質または断片またはエピトープのレベルと比較して亢進しているilvC転写産物のレベルは、対象が該治療に応答していないかまたは疾患もしくは感染から脱しきれていないことを示す、方法を提供する。
代わりの実施形態では、本発明は、結核または結核菌による感染を有する対象の、該結核または感染のための治療的化合物による治療に対する応答を決定するための方法であって、該対象由来の生物学的試料中のilvC転写産物を検出することを含み、ここで、ilvC転写産物のレベルが、結核または結核菌による感染を患っている対象において検出可能なタンパク質または断片またはエピトープのレベルよりも低いことは、対象が該治療に応答しているかまたは疾患もしくは感染から脱したことを示す、方法を提供する。ilvC転写産物のレベルが対象において検出されない場合、対象は治療に応答していることは明確である。
さらなる実施形態では、患者由来の生物学的試料中のilvC転写産物の量を、同じ患者から以前に得られた生物学的試料中で検出される同じilvC転写産物の量と比較する。当業者には明白であるように、この方法を用いて、潜伏感染を有する患者または結核を発症した患者を継続的にモニタリングし得る。この方法で、特に、HIV+個体で感染が確立する前に治療を開始する目的で患者を感染もしくは疾患の発症または進行についてモニタリングし得る。
あるいは、またはさらに、結核を有する対象に由来する生物学的試料中で検出されるilvC転写産物の量を参照試料と比較し得、ここで、この参照試料は、感染もしくは疾患を患っていない1以上の結核患者またはあるいは、成功した感染治療を最近受けた1以上の結核患者および/または結核を有しておらず、かつ感染または疾患を患っていない1以上の対象に由来している。
一実施形態では、ilvC転写産物は参照試料中で検出されないが、該ilvC転写産物は患者試料中で検出され、試料が得られた患者が、結核もしくは結核菌による感染を患っているかまたは急性感染を発症していることが示す。
あるいは、ilvC転写産物の量は、参照試料中で検出されたレベルと比較して、患者試料中で亢進している場合がある。この場合も、これは、結核もしくは結核菌による感染を患っているかまたは急性感染を発症していることを示す。
本明細書に記載の診断/予後診断方法の一実施形態では、生物学的試料は事前に対象から得られている。このような実施形態によって、予後診断または診断方法をエクスビボで行なう。
さらに別の実施形態では、対象となる診断/予後診断方法は、対象由来の試料を処理して、検体(例えば、胸水または喀痰または血清)を含む派生物または抽出物を生成させることをさらに含む。
好適な試料としては、脳、胸部、卵巣、肺、結腸、膵臓、精巣、肝臓、筋肉および骨組織などの組織、または喀痰、血清、血漿、全血、血清もしくは胸水などの体液由来の抽出物が挙げられる。
好ましくは、生物学的試料は、唾液、血漿、血液、血清、喀痰、尿、および肺からなる群から選択される体液または組織試料である。他の試料を除外するものではない。
実際、本明細書中の任意の実施形態によるilvC−NAAに基づくアッセイは、結核菌群の生物(例えば、対象由来の生物学的試料中の結核菌)による過去もしくは現在の(すなわち、活動性の)感染または潜伏感染を検出するのに有用であり、ここで、該感染は、結核菌群の細菌のいずれか1種または複数種のKARIタンパク質をコードする核酸の存在によって決定される。過去の感染は、例えば、血液または尿などの試料中の核酸の検出によって決定され得る。急性感染は、例えば、喀痰、または気管支洗浄試料などの試料中で検出可能である。過去の感染は、例えば、血液または尿などの試料中の核酸の検出によって決定され、かつ喀痰試料と比較され得、その場合、喀痰試料中の陰性の検出および血清中の陽性の検出は、過去の感染を示す可能性がある。この実施例は、結核菌群の細菌(例えば、結核菌および/またはウシ型結核菌および/またはM.アフリカヌムおよび/またはM.カネッティおよび/またはネズミ型結核菌)のKARIタンパク質をコードする複数の核酸の同定を明確に包含する。
1以上のilvC−NAAに基づくアッセイはまた、例えば、喀痰、および気管支洗浄試料を使用することによって、肺結核を診断する手段を提供する。1以上のilvC−NAAに基づく検査はまた、例えば、血液、血清、血清の画分など、または尿試料を使用することによって、肺外結核を診断する手段を提供する。
好ましい実施形態では、対象は、結核または結核菌群の1以上のマイコバクテリアによる感染を患っていることが疑われる、および/または対象は、結核を発症する危険に曝されているかもしくは該1以上のマイコバクテリア(例えば、結核菌および/またはウシ型結核菌および/またはM.アフリカヌムおよび/またはM.カネッティおよび/またはネズミ型結核菌)によって感染される危険に曝されている。
結核または結核菌群の1以上のマイコバクテリアによる感染を患っていることが疑われる対象は、結核またはそのような感染の1以上の症状、例えば、発熱、喀痰を伴う咳、喀血(喀痰中の血液)、胸痛、寝汗、体重減少、不快感、空洞形成(cavitation)および/または肺の結節の石灰化を示す。結核またはそのような感染を患っていることが疑われる対象は、例えば、結核を患っている人と接触してしまったことによって、結核菌群の1種または複数種の細菌(例えば、結核菌および/またはウシ型結核菌および/またはM.アフリカヌムおよび/またはM.カネッティおよび/またはネズミ型結核菌)に曝露された可能性がある。
結核を発症する危険に曝されている対象とは、結核を発症する危険性を増大させる状態に曝露されているかまたは結核を発症する危険性を増大させる状態を患っているかまたは結核菌群の1以上の細菌によって感染されている対象であり、そのような対象は、結核を患っている人と接触したことがある対象、結核が普及しているおよび/またはその原因因子が流行している国または地域(例えば、南アフリカ)に旅行したことがある対象、病院または看護施設で働いている対象、HIV−1またはHIV−2に感染した対象、コルチコステロイドを使用している対象、免疫が低下しているかまたは免疫が抑制されている対象、珪肺症を患っている対象または結核菌群の1以上のマイコバクテリア(例えば、結核菌および/またはウシ型結核菌および/またはM.アフリカヌムおよび/またはM.カネッティおよび/またはネズミ型結核菌)による潜伏感染を患っている対象である。
本明細書で使用される場合、「感染」という用語は、対象の気道における、微生物の侵入および/またはコロニー形成および/または微生物(特に、細菌またはウイルス)の増殖を意味することが理解されるものとする。このような感染は、はっきり見えないかまたは局所的な細胞損傷をもたらす可能性がある。感染は、限局性、無症候性および一過性であり得るか、またはあるいは広がって、急性もしくは慢性の臨床感染になり得る。感染はまた、過去の感染でもあり得、その場合、ilvCに由来するおよび/またはilvCからコードされる残存核酸は宿主内に留まる。感染はまた、潜伏感染であり得、その場合、微生物は対象内に存在するが、対象は、生物と関連する疾患の症状を示さない。好ましくは、感染は、結核菌による肺感染または肺外感染であり、より好ましくは、肺外感染である。「肺」感染とは、肺の気道の感染、例えば、肺組織、気管支、細気管支、呼吸細気管支、肺胞管、肺胞嚢、または肺胞の感染を意味する。「肺外」とは、肺の外側を意味し、例えば、腎臓、リンパ液、尿路、骨、皮膚、脊髄液、腸、腹膜腔、胸膜腔および心膜腔を包含する。
本明細書中の任意の実施形態によるilvC−NAAに基づくアッセイは、免疫が低下していない対象(例えば、HIV陰性対象)に有用であり、このアッセイはまた、免疫が低下しているかまたは免疫不全である対象、例えば、ヒト免疫不全ウイルスに感染した(すなわち、「HIV+」の)対象中のTBを検出するのに特に有用である。このようなアッセイを行なうのに用いられる試料は、例えば、(i)脳、胸部、卵巣、肺、結腸、膵臓、精巣、肝臓、筋肉、骨からなる群から選択される組織由来の抽出物およびそれらの混合物;(ii)喀痰、血清、血漿、全血、唾液、尿、胸水からなる群から選択される体液およびそれらの混合物;ならびに(iii)喀痰、血清、血漿、全血、唾液、尿、胸水からなる群から選択される体液に由来する試料およびそれらの混合物を含む。
本明細書中の任意の実施形態によるilvC−NAAに基づくアッセイは、結核菌群の細菌もしくは結核菌群の細菌により感染した細胞の同定または該細菌もしくは該細胞の選別もしくは計数に有用である。この実施例は、結核菌群の複数の細菌(例えば、結核菌および/またはウシ型結核菌および/またはM.アフリカヌムおよび/またはM.カネッティおよび/またはネズミ型結核菌)の同定を明確に包含する。
本発明は、これから、以下の実施例および/または図面によって説明されるが、これらは、限定的であることを決して意図するものではない。本明細書に記載された全ての参考文献の教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
実施例1
試料の回収、処理、核酸の抽出、合成、および定量、抗体産生ならびにイムノアッセイ。
後の実施例、すなわち、実施例2(以下参照)における開示に従って、以下の一般的な方法を、試料の回収ならびに核酸の抽出、処理、合成、および定量に利用した。別法が、後の実施例(すなわち、実施例2(以下参照))で特に記載されない限り、本実施例に言及される方法が利用されている。後の実施例で言及されている方法は、その特定の実施例に関するものとみなすべきである。
試料の回収、処理、核酸の抽出、合成、および定量、抗体産生ならびにイムノアッセイ。
後の実施例、すなわち、実施例2(以下参照)における開示に従って、以下の一般的な方法を、試料の回収ならびに核酸の抽出、処理、合成、および定量に利用した。別法が、後の実施例(すなわち、実施例2(以下参照))で特に記載されない限り、本実施例に言及される方法が利用されている。後の実施例で言及されている方法は、その特定の実施例に関するものとみなすべきである。
1.患者喀痰試料の回収
TB陰性およびTB陽性の喀痰を用いて、場合によっては、後の実施例で記載されるようなTB診断用の抗原に基づくアッセイと抗体に基づくアッセイとを用いて、プライマーペアを用いる核酸に基づくアッセイを評価した。2007年に、80の患者喀痰試料をカメルーンから集めた。試料をプロテアーゼ阻害剤で処理し、−30℃で凍結させた。
TB陰性およびTB陽性の喀痰を用いて、場合によっては、後の実施例で記載されるようなTB診断用の抗原に基づくアッセイと抗体に基づくアッセイとを用いて、プライマーペアを用いる核酸に基づくアッセイを評価した。2007年に、80の患者喀痰試料をカメルーンから集めた。試料をプロテアーゼ阻害剤で処理し、−30℃で凍結させた。
同様に、未処理の喀痰もまた、Becton,Dickinson & CO.,Research Triangle Park,Durham,North Carolina,USAから入手した。これらは、本明細書において、「喀痰−BD」と表されている。さらなる試料を別の場所(南アフリカのヨハネスブルグ、オーストラリア)から、およびタイのHealth Concepts International Limitedから集めた。
2.喀痰の前処理
a)「喀痰−M1」
一実施例では、本明細書において「喀痰−M1」と表されている喀痰画分は、回収された喀痰を1:1(v/v)に希釈して、50mMのリン酸緩衝液(pH7.4)中の最終濃度10mMの、新鮮に作製されたジチオスレイトール(DTT)となるようにすることによって調製した。EDTAを含まないプロテアーゼ阻害剤カクテル錠(Roche Molecular Biochemicals,Cat#1873580)を製造元または供給元の説明書に従って適宜添加し、最終的な1:4(v/v)の喀痰希釈液を得た。試料を、約30秒間のボルテックス処理によって撹拌した後、大幅な細胞溶解を避けるように気を付けて、オービタルシェーカーまたは穏やかなボルテックス処理を用いて、4℃で約30間混合した。次に、液状化した喀痰を2,000×gにて4℃で約10分間遠心分離して、細胞をペレット化し、不溶性物質を除去した。上清を14,000×gにて4℃で10分間遠心分離して、微粒子物質をペレット化する。上清を取り除き、0.2μmの孔径のGD/X PVDF滅菌フィルターを用いて濾過し、濾過液を保持し、−20℃で凍結保存する。
a)「喀痰−M1」
一実施例では、本明細書において「喀痰−M1」と表されている喀痰画分は、回収された喀痰を1:1(v/v)に希釈して、50mMのリン酸緩衝液(pH7.4)中の最終濃度10mMの、新鮮に作製されたジチオスレイトール(DTT)となるようにすることによって調製した。EDTAを含まないプロテアーゼ阻害剤カクテル錠(Roche Molecular Biochemicals,Cat#1873580)を製造元または供給元の説明書に従って適宜添加し、最終的な1:4(v/v)の喀痰希釈液を得た。試料を、約30秒間のボルテックス処理によって撹拌した後、大幅な細胞溶解を避けるように気を付けて、オービタルシェーカーまたは穏やかなボルテックス処理を用いて、4℃で約30間混合した。次に、液状化した喀痰を2,000×gにて4℃で約10分間遠心分離して、細胞をペレット化し、不溶性物質を除去した。上清を14,000×gにて4℃で10分間遠心分離して、微粒子物質をペレット化する。上清を取り除き、0.2μmの孔径のGD/X PVDF滅菌フィルターを用いて濾過し、濾過液を保持し、−20℃で凍結保存する。
b)「喀痰−C1」
さらなる実施例では、本明細書において「喀痰−C1」と表されている喀痰画分は、回収された喀痰を1:1(v/v)に希釈して、50mMのリン酸緩衝液(pH7.4)中の最終濃度10mMの、新鮮に作製されたジチオスレイトール(DTT)となるようにすることによって調製する。EDTAを含まないプロテアーゼ阻害剤カクテル錠(Roche Molecular Biochemicals,Cat#1873580)を製造元または供給元の説明書に従って適宜添加し、最終的な1:2(v/v)の喀痰希釈液を得る。試料を、約30秒間のボルテックス処理によって撹拌した後、大幅な細胞溶解を避けるように気を付けて、オービタルシェーカーまたは穏やかなボルテックス処理を用いて、4℃で約30間混合する。次に、液状化した喀痰を2,000×gにて4℃で約10分間遠心分離して、細胞をペレット化し、不溶性物質を除去する。上清を14,000×gにて4℃で10分間遠心分離して、微粒子物質をペレット化する。上清を取り除き、濾過しないで−20℃で凍結保存する。
さらなる実施例では、本明細書において「喀痰−C1」と表されている喀痰画分は、回収された喀痰を1:1(v/v)に希釈して、50mMのリン酸緩衝液(pH7.4)中の最終濃度10mMの、新鮮に作製されたジチオスレイトール(DTT)となるようにすることによって調製する。EDTAを含まないプロテアーゼ阻害剤カクテル錠(Roche Molecular Biochemicals,Cat#1873580)を製造元または供給元の説明書に従って適宜添加し、最終的な1:2(v/v)の喀痰希釈液を得る。試料を、約30秒間のボルテックス処理によって撹拌した後、大幅な細胞溶解を避けるように気を付けて、オービタルシェーカーまたは穏やかなボルテックス処理を用いて、4℃で約30間混合する。次に、液状化した喀痰を2,000×gにて4℃で約10分間遠心分離して、細胞をペレット化し、不溶性物質を除去する。上清を14,000×gにて4℃で10分間遠心分離して、微粒子物質をペレット化する。上清を取り除き、濾過しないで−20℃で凍結保存する。
3.イムノアッセイ用の凍結喀痰の処理
4つの別の処理を利用して、本明細書で上に記載されたように調製された凍結された前処理済み喀痰をさらに処理した。
4つの別の処理を利用して、本明細書で上に記載されたように調製された凍結された前処理済み喀痰をさらに処理した。
a)方法1
本明細書で上に記載されたように調製された喀痰−M1(2.5mL)は、約0.6mLの未希釈(「ニート」)喀痰と等価である。この例示的な方法では、喀痰−M1は、17×150μLの置換物を用いる置換ELISAでアッセイするために、さらには処理されない。
本明細書で上に記載されたように調製された喀痰−M1(2.5mL)は、約0.6mLの未希釈(「ニート」)喀痰と等価である。この例示的な方法では、喀痰−M1は、17×150μLの置換物を用いる置換ELISAでアッセイするために、さらには処理されない。
b)方法2
上記のように調製された喀痰−C1(1.8mL)は、0.9mLの未希釈(「ニート」)喀痰と等価である。この例示的な方法では、喀痰−C1を、4×150μLの置換物を用いる置換ELISAでアッセイするために、アセトン沈殿で0.6mLの容量にまで減らす。特に、喀痰−C1を遠心分離して、不溶性物質を除去し、上清を新しいチューブに移し、4容量の冷アセトンを添加し、試料を−80℃で30分間インキュベートし、その後、それらを4,000×gにて4℃で30分間遠心分離して、沈殿したタンパク質画分を回収する。タンパク質ペレットを保持し、約30分間風乾させ、0.6mLの50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2に穏やかに再溶解させる。
上記のように調製された喀痰−C1(1.8mL)は、0.9mLの未希釈(「ニート」)喀痰と等価である。この例示的な方法では、喀痰−C1を、4×150μLの置換物を用いる置換ELISAでアッセイするために、アセトン沈殿で0.6mLの容量にまで減らす。特に、喀痰−C1を遠心分離して、不溶性物質を除去し、上清を新しいチューブに移し、4容量の冷アセトンを添加し、試料を−80℃で30分間インキュベートし、その後、それらを4,000×gにて4℃で30分間遠心分離して、沈殿したタンパク質画分を回収する。タンパク質ペレットを保持し、約30分間風乾させ、0.6mLの50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2に穏やかに再溶解させる。
c)方法3
上記のように調製された喀痰−C1(9mL)は、4.5mLの未希釈(「ニート」)喀痰と等価である。この例示的な方法では、喀痰−C1をサイズ分画し、脱塩し、4×150μLの置換物を用いる置換ELISAでアッセイするために、約0.6mLの容量にする。簡潔に述べると、凍結喀痰−C1を解凍し、0.3mM EDTAの最終濃度に調整し、4mLの50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2を添加する。試料を4,000×gにて周囲温度で20分間遠心分離して、不溶性物質をペレット化する。上清を保持し、新しいチューブに移し、等量の50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2に希釈し、100kDa MWカットオフのサイズ排除スピンカラムに適用し、4,000×gにて周囲温度で25分間遠心分離する。溶出物を保持し、5kDaMWカットオフのサイズ排除スピンカラムに移し、4,000×g(周囲温度)で少なくとも約60分間または約0.6mLの溶出物が回収されるまで遠心分離する。試料容量を、上記のような置換ELISAでアッセイするために50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2を用いて約0.62mLに調整する。
上記のように調製された喀痰−C1(9mL)は、4.5mLの未希釈(「ニート」)喀痰と等価である。この例示的な方法では、喀痰−C1をサイズ分画し、脱塩し、4×150μLの置換物を用いる置換ELISAでアッセイするために、約0.6mLの容量にする。簡潔に述べると、凍結喀痰−C1を解凍し、0.3mM EDTAの最終濃度に調整し、4mLの50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2を添加する。試料を4,000×gにて周囲温度で20分間遠心分離して、不溶性物質をペレット化する。上清を保持し、新しいチューブに移し、等量の50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2に希釈し、100kDa MWカットオフのサイズ排除スピンカラムに適用し、4,000×gにて周囲温度で25分間遠心分離する。溶出物を保持し、5kDaMWカットオフのサイズ排除スピンカラムに移し、4,000×g(周囲温度)で少なくとも約60分間または約0.6mLの溶出物が回収されるまで遠心分離する。試料容量を、上記のような置換ELISAでアッセイするために50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2を用いて約0.62mLに調整する。
d)方法4
上記のように調製された喀痰−M1(18mL)は、4.5mLの未希釈(「ニート」)喀痰と等価である。この例示的な実施例では、喀痰をサイズ分画し、脱塩し、4×150μLの置換物を用いる置換ELISAでアッセイするために、約0.6mLの容量にする。簡潔に述べると、凍結喀痰−M1を解凍し、0.3mM EDTAの最終濃度に調整し、4mLの50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2を添加する。試料を4,000×gにて周囲温度で20分間遠心分離して、不溶性物質をペレット化する。上清を保持し、新しいチューブに移し、等量の50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2に希釈し、100kDa MWカットオフのサイズ排除スピンカラムに適用し、4,000×gにて周囲温度で25分間遠心分離する。溶出物を保持し、5kDa MWカットオフのサイズ排除スピンカラムに移し、4,000×g(周囲温度)で少なくとも約60分間または約0.6mLの溶出物が回収されるまで遠心分離する。試料容量を、上記のような置換ELISAでアッセイするために50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2を用いて約0.62mLに調整する。
上記のように調製された喀痰−M1(18mL)は、4.5mLの未希釈(「ニート」)喀痰と等価である。この例示的な実施例では、喀痰をサイズ分画し、脱塩し、4×150μLの置換物を用いる置換ELISAでアッセイするために、約0.6mLの容量にする。簡潔に述べると、凍結喀痰−M1を解凍し、0.3mM EDTAの最終濃度に調整し、4mLの50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2を添加する。試料を4,000×gにて周囲温度で20分間遠心分離して、不溶性物質をペレット化する。上清を保持し、新しいチューブに移し、等量の50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2に希釈し、100kDa MWカットオフのサイズ排除スピンカラムに適用し、4,000×gにて周囲温度で25分間遠心分離する。溶出物を保持し、5kDa MWカットオフのサイズ排除スピンカラムに移し、4,000×g(周囲温度)で少なくとも約60分間または約0.6mLの溶出物が回収されるまで遠心分離する。試料容量を、上記のような置換ELISAでアッセイするために50mM Tris(pH7.8)、5mM MgCl2を用いて約0.62mLに調整する。
4.培養結核菌からのDNA抽出
結核菌細胞を破壊緩衝液(50mM Tris−HCl(pH8)、10mM EDTA、100mM NaCl、0.6%SDSおよびプロテイナーゼK)にて50℃で12時間インキュベートし、ビーズによる打撃(beadbeating)で破壊した。細胞ライセートを遠心分離して、破片を除去し、DNAをフェノール−クロロホルムを用いて上清から抽出し、イソプロパノール中で一晩沈殿させた。ペレットを75%エタノールで洗浄し、水に再懸濁した。Nanodrop ND−1000分光光度計(Nanodrop Technologies)を用いて、DNAの質と量を決定した。後に、このDNAをプライマー検査とPCRに用いて、標準曲線を構築した。
結核菌細胞を破壊緩衝液(50mM Tris−HCl(pH8)、10mM EDTA、100mM NaCl、0.6%SDSおよびプロテイナーゼK)にて50℃で12時間インキュベートし、ビーズによる打撃(beadbeating)で破壊した。細胞ライセートを遠心分離して、破片を除去し、DNAをフェノール−クロロホルムを用いて上清から抽出し、イソプロパノール中で一晩沈殿させた。ペレットを75%エタノールで洗浄し、水に再懸濁した。Nanodrop ND−1000分光光度計(Nanodrop Technologies)を用いて、DNAの質と量を決定した。後に、このDNAをプライマー検査とPCRに用いて、標準曲線を構築した。
5.喀痰からのRNA抽出
200または500マイクロリットル(500μl)の喀痰試料を、50mg/mlのN−アセチル−L−システイン(NALC)を含む1.3%クエン酸ナトリウムに再懸濁した。2容量のTrizol(Invitrogen)を添加し、試料をビーズによる打撃で30秒間ホモジナイズした。RNAを含む水性相を200μlのクロロホルムで抽出し、13000rpmで20分間遠心分離した。RNAを氷冷イソプロパノール中で一晩沈殿させた。ペレットを75%EtOHで2回洗浄した後、RNAをDEPC処理水に再懸濁した。試料をTurbo DNAse(Ambion)で処理し、Trizolで再度抽出した。16S PCRを行なって、DNAを含まない調製物であることを確認し、Nanodrop ND−1000分光光度計(Nanodrop Technologies)を用いて、トータルRNA濃度を測定した。細胞懸濁物からRNAを抽出するために、1mlのTrizolを250μlの凍結細胞(1.9×109 細胞/ml)に添加した。本明細書におけるプロトコルは次の通りであった。
200または500マイクロリットル(500μl)の喀痰試料を、50mg/mlのN−アセチル−L−システイン(NALC)を含む1.3%クエン酸ナトリウムに再懸濁した。2容量のTrizol(Invitrogen)を添加し、試料をビーズによる打撃で30秒間ホモジナイズした。RNAを含む水性相を200μlのクロロホルムで抽出し、13000rpmで20分間遠心分離した。RNAを氷冷イソプロパノール中で一晩沈殿させた。ペレットを75%EtOHで2回洗浄した後、RNAをDEPC処理水に再懸濁した。試料をTurbo DNAse(Ambion)で処理し、Trizolで再度抽出した。16S PCRを行なって、DNAを含まない調製物であることを確認し、Nanodrop ND−1000分光光度計(Nanodrop Technologies)を用いて、トータルRNA濃度を測定した。細胞懸濁物からRNAを抽出するために、1mlのTrizolを250μlの凍結細胞(1.9×109 細胞/ml)に添加した。本明細書におけるプロトコルは次の通りであった。
6.cDNA合成
ランダムcDNA合成キット(Marligen)を用いてトータルcDNAを調製した。喀痰由来の最大500ngのRNAを逆転写し、反応条件は、22℃で5分間、42℃で2時間、および85℃で5分間であった。最大2.5μlのcDNAをその後のリアルタイム解析で用いた。
ランダムcDNA合成キット(Marligen)を用いてトータルcDNAを調製した。喀痰由来の最大500ngのRNAを逆転写し、反応条件は、22℃で5分間、42℃で2時間、および85℃で5分間であった。最大2.5μlのcDNAをその後のリアルタイム解析で用いた。
7.定量的リアルタイムPCR
対象となる標的用の特異的プライマーセットを本明細書中の実施例2に記載されているように設計した。16S rRNA遺伝子をハウスキーパーとして選んだ。転写産物レベルをRotor−Gene 3000システム(Corbett)を用いるqRT−PCRで定量した。2μlのcDNA、12.5μlのPlatinum SYBRグリーンqPCRスーパーミックスUDGキット(Invitrogen)、0.5μlのROX参照色素、10pmolの各プライマーおよびDEPC処理水(最終容量25μlまで)を含む、3つ複製した反応液を用意した。シグナルが得られない試料については、過剰量の鋳型による阻害がないことを確認するために、100ngのcDNAを用いて反応を繰り返した。最初に60℃、5分間および95℃、5分間で保持し、次いで95℃、15秒間および60℃、30秒間の40サイクルで、2段階サイクリングを行なった。Bsx検出については、63℃のアニーリングおよび伸長温度を用いた。
対象となる標的用の特異的プライマーセットを本明細書中の実施例2に記載されているように設計した。16S rRNA遺伝子をハウスキーパーとして選んだ。転写産物レベルをRotor−Gene 3000システム(Corbett)を用いるqRT−PCRで定量した。2μlのcDNA、12.5μlのPlatinum SYBRグリーンqPCRスーパーミックスUDGキット(Invitrogen)、0.5μlのROX参照色素、10pmolの各プライマーおよびDEPC処理水(最終容量25μlまで)を含む、3つ複製した反応液を用意した。シグナルが得られない試料については、過剰量の鋳型による阻害がないことを確認するために、100ngのcDNAを用いて反応を繰り返した。最初に60℃、5分間および95℃、5分間で保持し、次いで95℃、15秒間および60℃、30秒間の40サイクルで、2段階サイクリングを行なった。Bsx検出については、63℃のアニーリングおよび伸長温度を用いた。
8.定量的リアルタイムPCR用の標準曲線作成
Whelan,J.A.,N.B.Russel and M.A.Whelan. A method for the absolute quantification of cDNA using real−time PCR. Journal of Immunological Methods(2003)278:261−269(その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載の方法を用いて、絶対定量を行なった。簡潔に述べると、結核菌ゲノムDNAを、各プライマーセットのPCR鋳型として用いた。この産物をエタノール沈殿させ、DEPC処理水に再懸濁した。上記のようなリアルタイムPCR反応で連続希釈液を用い、その結果を用いて標準曲線を構築した。回帰線をフィッティングし、得られた方程式を用いて、転写産物レベル(単位はコピー/μg cDNA)を計算した。
Whelan,J.A.,N.B.Russel and M.A.Whelan. A method for the absolute quantification of cDNA using real−time PCR. Journal of Immunological Methods(2003)278:261−269(その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載の方法を用いて、絶対定量を行なった。簡潔に述べると、結核菌ゲノムDNAを、各プライマーセットのPCR鋳型として用いた。この産物をエタノール沈殿させ、DEPC処理水に再懸濁した。上記のようなリアルタイムPCR反応で連続希釈液を用い、その結果を用いて標準曲線を構築した。回帰線をフィッティングし、得られた方程式を用いて、転写産物レベル(単位はコピー/μg cDNA)を計算した。
9.塗抹状態のグレーディング
抗酸菌感染の重症度を推定するために、喀痰標本を、Revised National Tuberculosis Control Programme(Central TB Division,New Delhi:Manual for Laboratory Technicians,DGHS,Ministry of Health & Family Welfare May 1999)の指針の通りに、およびSelvakumar N.,et al.,Indian J Med Res 124:pp 439−442(October 2006)に記載の通りに、チール・ネルゼン(Ziehl Neelsen)染色および当技術分野で許容されている従来法による塗抹のグレーディングにも供した(これらの文献は両方とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。喀痰試料の連続希釈液(最大106倍の希釈液)を、最大5つの複製セットを作って調製した。各希釈液(喀痰顕微鏡検査状態)中の細菌量の範囲は、3+から陰性であり、これは感染の重症度を示す。
抗酸菌感染の重症度を推定するために、喀痰標本を、Revised National Tuberculosis Control Programme(Central TB Division,New Delhi:Manual for Laboratory Technicians,DGHS,Ministry of Health & Family Welfare May 1999)の指針の通りに、およびSelvakumar N.,et al.,Indian J Med Res 124:pp 439−442(October 2006)に記載の通りに、チール・ネルゼン(Ziehl Neelsen)染色および当技術分野で許容されている従来法による塗抹のグレーディングにも供した(これらの文献は両方とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。喀痰試料の連続希釈液(最大106倍の希釈液)を、最大5つの複製セットを作って調製した。各希釈液(喀痰顕微鏡検査状態)中の細菌量の範囲は、3+から陰性であり、これは感染の重症度を示す。
10.喀痰、血清または血漿からのIgG画分の調製
患者の喀痰、血清または血漿を8.2mlのImmune−pure IgG結合緩衝液(Pierce)に希釈し、その後、0.22μmフィルターに通して濾過した後、AKTA Explorer(Amersham Biosciences)に接続したプロテインAカラムに適用した。結合した抗体を、Immune−pure gentle Ag/Ab溶出緩衝液(Pierce)を用いて溶出した。溶出画分(抗原に結合したIgG)をプールし、氷上に3時間放置して、免疫複合体を解離させた。その後、IgG画分を100,000分子量カットオフカラム(Millipore)に通して濾過することにより、抗原画分から分離した。プロテインAカラムからの画分とフロースルーの両方を、ベンゾイル化した透析膜(Sigma)を用いて4リットルのリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)に対して4℃で一晩、その後、さらに4リットルで3時間透析した。全ての画分(100,000カットオフカラムからのフロースルーおよび残留物とプロテインAカラムからのフロースルー)を、アセトン10部:試料1部の比で、−20℃で1時間アセトン沈殿させ、その後、4000gで20分間スピンした。沈殿した試料を、5M尿素、2Mチオ尿素、2%CHAPS、2%SB3−10および40mM Trisを含む試料緩衝液中で可溶化して約2mg/mlの最終濃度とした後、5mMトリブチルホスフィンで還元し、10mMアクリルアミドで1.5時間アルキル化した。DTTを10mMの最終濃度まで添加して、アルキル化反応をクエンチングした。試料を200μlのアリコートに分けて、−20℃で保存した。
患者の喀痰、血清または血漿を8.2mlのImmune−pure IgG結合緩衝液(Pierce)に希釈し、その後、0.22μmフィルターに通して濾過した後、AKTA Explorer(Amersham Biosciences)に接続したプロテインAカラムに適用した。結合した抗体を、Immune−pure gentle Ag/Ab溶出緩衝液(Pierce)を用いて溶出した。溶出画分(抗原に結合したIgG)をプールし、氷上に3時間放置して、免疫複合体を解離させた。その後、IgG画分を100,000分子量カットオフカラム(Millipore)に通して濾過することにより、抗原画分から分離した。プロテインAカラムからの画分とフロースルーの両方を、ベンゾイル化した透析膜(Sigma)を用いて4リットルのリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)に対して4℃で一晩、その後、さらに4リットルで3時間透析した。全ての画分(100,000カットオフカラムからのフロースルーおよび残留物とプロテインAカラムからのフロースルー)を、アセトン10部:試料1部の比で、−20℃で1時間アセトン沈殿させ、その後、4000gで20分間スピンした。沈殿した試料を、5M尿素、2Mチオ尿素、2%CHAPS、2%SB3−10および40mM Trisを含む試料緩衝液中で可溶化して約2mg/mlの最終濃度とした後、5mMトリブチルホスフィンで還元し、10mMアクリルアミドで1.5時間アルキル化した。DTTを10mMの最終濃度まで添加して、アルキル化反応をクエンチングした。試料を200μlのアリコートに分けて、−20℃で保存した。
11.診断アッセイ用の結核菌KARI抗原の選択
抗原に基づく診断アッセイ用の結核菌抗原を選択する主な基準は、簡単な診断検査を提供するTB陽性喀痰の存在と免疫原性である。以下の段落に記載するように、候補抗原をTB陽性喀痰中で同定した。
抗原に基づく診断アッセイ用の結核菌抗原を選択する主な基準は、簡単な診断検査を提供するTB陽性喀痰の存在と免疫原性である。以下の段落に記載するように、候補抗原をTB陽性喀痰中で同定した。
a)タンパク質含有量の決定
試料のタンパク質含有量をBradfordアッセイを用いて推定した。IPGストリップを再水和する前に、試料を21000×gで10分間遠心分離した。上清を回収し、1ml当たり10μlの1%Orange G(Sigma)を指示色素として添加した。
試料のタンパク質含有量をBradfordアッセイを用いて推定した。IPGストリップを再水和する前に、試料を21000×gで10分間遠心分離した。上清を回収し、1ml当たり10μlの1%Orange G(Sigma)を指示色素として添加した。
b)2次元ゲル電気泳動
1次元
乾燥した11cmのIPGストリップ(Amersham−Biosciences)を180μlのタンパク質試料で16〜24時間再水和する。再水和したストリップを、Protean IEF Cell(Bio−Rad,Hercules,CA)またはProteome SystemのIsoElectrIQ電気泳動装置で、最大10kVで、約140kV時間フォーカシングした。その後、フォーカシングしたストリップを、尿素/SDS/Tris−HCl/ブロモフェノールブルー緩衝液中で平衡化した。
1次元
乾燥した11cmのIPGストリップ(Amersham−Biosciences)を180μlのタンパク質試料で16〜24時間再水和する。再水和したストリップを、Protean IEF Cell(Bio−Rad,Hercules,CA)またはProteome SystemのIsoElectrIQ電気泳動装置で、最大10kVで、約140kV時間フォーカシングした。その後、フォーカシングしたストリップを、尿素/SDS/Tris−HCl/ブロモフェノールブルー緩衝液中で平衡化した。
c)2次元
平衡化したストリップを6〜15%(w/v)Tris−アセテートSDS−PAGEプレキャスト10cm×15cm GelChips(Proteome Systems,Sydney Australia)のローディングウェルに挿入した。ゲル当たり50mAで、1.5時間か、または追跡用色素がゲルの底部に到達するまで、電気泳動を行なった。残留物画分またはフロースルー画分由来のタンパク質を、SyproRuby(Molecular Probes)を用いて染色した。抽出物画分由来のタンパク質を、Shevchenkoら(Anal Chetn.68(5):850−8,1996)のプロトコルに従って、銀を用いて染色した。Alphalmager System(Alpha Innotech Corp.)を用いて脱染した後、ゲル画像をスキャンした。次に、その後の解析におけるタンパク質スポットの可視化を補助するために、クマシーG−250を用いてゲルを染色した。
平衡化したストリップを6〜15%(w/v)Tris−アセテートSDS−PAGEプレキャスト10cm×15cm GelChips(Proteome Systems,Sydney Australia)のローディングウェルに挿入した。ゲル当たり50mAで、1.5時間か、または追跡用色素がゲルの底部に到達するまで、電気泳動を行なった。残留物画分またはフロースルー画分由来のタンパク質を、SyproRuby(Molecular Probes)を用いて染色した。抽出物画分由来のタンパク質を、Shevchenkoら(Anal Chetn.68(5):850−8,1996)のプロトコルに従って、銀を用いて染色した。Alphalmager System(Alpha Innotech Corp.)を用いて脱染した後、ゲル画像をスキャンした。次に、その後の解析におけるタンパク質スポットの可視化を補助するために、クマシーG−250を用いてゲルを染色した。
d)質量分析:
質量分析の前に、タンパク質試料をゲル内トリプシン消化により調製した。切出し/液体処理ロボット(Proteome Systems,Sydney,Australia and Shimadzu−Biotech,Kyoto,Japan)であるXcise(商標)を、Montageゲル内消化キット(Tyrian Diagnostics and distributed by Millipore,Billerica,Ma,01821,USAによって開発された)と関連させて用いて、タンパク質ゲル片を切り出し、脱染し、消化し、脱塩した。一定のサイズを維持し、乾燥を防ぐために、スポットを切断する前に、2−Dゲルを水の中でインキュベートした。その後、2−DゲルをXcise上に置き、デジタル画像を撮影し、切断するスポットを選択した。自動でスポットを切り出した後、ゲル片を自動液体処理とゲル内消化に供した。簡潔に述べると、各スポットを、100mM炭酸水素アンモニウム中の100μlの50%(v/v)アセトニトリルを用いて脱染した。100%アセトニトリルを添加してゲル片を乾燥させ、アセトニトリルを5秒後に除去し、残りのアセトニトリルを37℃で蒸発させて、ゲルを完全に乾燥させた。乾燥したゲル片を、5μg/mLの修飾ブタトリプシンを含む30μlの50mM 炭酸水素アンモニウム(pH7.8)で再水和して、タンパク質分解による消化を行ない、37℃で一晩インキュベートした。
質量分析の前に、タンパク質試料をゲル内トリプシン消化により調製した。切出し/液体処理ロボット(Proteome Systems,Sydney,Australia and Shimadzu−Biotech,Kyoto,Japan)であるXcise(商標)を、Montageゲル内消化キット(Tyrian Diagnostics and distributed by Millipore,Billerica,Ma,01821,USAによって開発された)と関連させて用いて、タンパク質ゲル片を切り出し、脱染し、消化し、脱塩した。一定のサイズを維持し、乾燥を防ぐために、スポットを切断する前に、2−Dゲルを水の中でインキュベートした。その後、2−DゲルをXcise上に置き、デジタル画像を撮影し、切断するスポットを選択した。自動でスポットを切り出した後、ゲル片を自動液体処理とゲル内消化に供した。簡潔に述べると、各スポットを、100mM炭酸水素アンモニウム中の100μlの50%(v/v)アセトニトリルを用いて脱染した。100%アセトニトリルを添加してゲル片を乾燥させ、アセトニトリルを5秒後に除去し、残りのアセトニトリルを37℃で蒸発させて、ゲルを完全に乾燥させた。乾燥したゲル片を、5μg/mLの修飾ブタトリプシンを含む30μlの50mM 炭酸水素アンモニウム(pH7.8)で再水和して、タンパク質分解による消化を行ない、37℃で一晩インキュベートした。
液体クロマトグラフィー(LC)−エレクトロスプレーイオン化(ESI)MSによるさらなる解析が必要である場合には、10マイクロリットル(10μl)のトリプシン消化ペプチド混合物をきれいなマイクロタイタープレートに取り出した。
トリプシン消化ペプチドを自動的に脱塩および濃縮した後、R2に基づくクロマトグラフィーを用いてMALDI MSを行なった。吸着したペプチドを先端から90%(v/v)アセトニトリルおよび0.085%(v/v)TFA中の2mg/mlのα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸を2μl用いて、384ポジションMALDI−TOF試料標的プレート(Kratos,Manchester,UKまたはBruker Daltronics,Germany)上に溶出させた。
陽イオンレフレクトロンモードでAxima−CFR MALDI MS質量分析計(Kratos,Manchester,UK)を用いて消化物を解析した。337nmの波長の窒素レーザーを用いて試料に照射した。各試料スポットに64ポイントラスターを適用して、質量範囲600Da〜4000Daの自動モードでスペクトルを獲得した。特定の基準を通過するスペクトルのみを確保した。全てのスペクトルに対して、自己消化トリプシンピーク質量、m/z842.51Daとスパイクした副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)ペプチド、m/z2465.117Daとを用いて、内部二点較正を行った。ウェブベースのプロテオミック・データ・マネージメント・システム・バイオインインフォーマットBioinformatIQ(商標)(Proteome Systems)に含まれる、Proteome Systemsによって設計されたソフトウェアを用いて、MSスペクトルから同位体ピークを抽出した。
タンパク質同定は、IonIQまたはMASCOTデータベース検索ソフトウェア(Proteome System Limited,North Ryde,Sydney,Australia)を用いてトリプシン消化ペプチドのモノアイソトピック質量(すなわち、ペプチド質量フィンガープリント)をタンパク質データベースからの理論質量とマッチングすることにより実施した。クエリーは非冗長SwissProt(リリース40)およびTrEMBL(リリース20)データベース(2002年6月バージョン)に対して行い、MOWSEスコアリングシステムを改変することによって、タンパク質の正体をランク付けした。プロピオンアミド−システイン(cys−PAM)またはカルボキシアミドメチル−システイン(cys−CAM)および酸化メチオニン修飾を考慮し、100ppmの質量許容度を認めた。
誤切断部位は、誤切断を含まない最初の検索が行なわれた後に初めて考慮された。以下の基準:MOWSEスコア、候補タンパク質とマッチするペプチドの数および強度、マッチングペプチドによる候補タンパク質配列のカバレージならびにゲル位置、を用いて検索結果を評価した。
さらに、またはあるいは、タンパク質をLC−ESI−MSを用いて解析した。タンパク質のトリプシン消化溶液(10μl)を、オートサンプラーとポンプから構成されたSurveyor LCシステムを備えたLCQ Decaイオントラップ質量分析計(ThermoFinnigan,San Jose,CA)を用いるナノフローLC/MSによって解析した。ペプチドは、C18 PicoFritカラム(New Objective)に連結させたPepFinderキット(Thermo−Finnigan)を用いて分離した。30〜60分間かけて、0.1%(v/v)ギ酸を含有する水(移動相A)から0.1%(v/v)ギ酸を含む90%(v/v)アセトニトリル(移動相B)への勾配溶出を行った。質量分析計は、3回のスキャン事象、すなわち、1回のフルスキャン(400〜2000amuの範囲)と、それに続く2回のデータ依存MS/MSスキャンを獲得するよう設定した。
e)バイオインフォマティック解析:
マススペクトルピークの自動回収後、データを以下の通りに処理した。全てのスペクトルを、ペプチド質量の正確な較正についてまずチェックした。次に、スペクトルを処理して、トリプシンピークとマトリックスに対応する質量を含むバックグラウンドノイズを除去した。次に、データを、Tyrian Diagnostics検索エンジンIonIQ v69および/またはMASCOTを用いて、公的に利用可能なSwissProtおよびTrEMBLデータベースに対して検索した。PSDデータを、自家製の検索エンジンFragmentastIQを用いて、同じデータベースに対して検索した。LC MS−MSデータについても、SEQUEST検索エンジンソフトウェアを用いてデータベースを検索する。
マススペクトルピークの自動回収後、データを以下の通りに処理した。全てのスペクトルを、ペプチド質量の正確な較正についてまずチェックした。次に、スペクトルを処理して、トリプシンピークとマトリックスに対応する質量を含むバックグラウンドノイズを除去した。次に、データを、Tyrian Diagnostics検索エンジンIonIQ v69および/またはMASCOTを用いて、公的に利用可能なSwissProtおよびTrEMBLデータベースに対して検索した。PSDデータを、自家製の検索エンジンFragmentastIQを用いて、同じデータベースに対して検索した。LC MS−MSデータについても、SEQUEST検索エンジンソフトウェアを用いてデータベースを検索する。
12.診断アッセイ用の結核菌抗原および抗体の検証
候補となる診断マーカーおよび抗体の検証は、本明細書で以下に記載するような増幅ELISA系を用いて、H37Rvと命名された結核菌の実験株の培養物に由来する全細胞ライセート(WCL)、ならびにCSU93およびHN878と命名された2つの結核菌臨床株の培養物に由来する全細胞ライセート(WCL)における対応する内在性抗原の存在を決定することにより行なわれた。全細胞から採取された細胞培養上清の濾過液も利用した。3つ全ての株で検出可能な抗原および抗体を選択してさらに検証した。
候補となる診断マーカーおよび抗体の検証は、本明細書で以下に記載するような増幅ELISA系を用いて、H37Rvと命名された結核菌の実験株の培養物に由来する全細胞ライセート(WCL)、ならびにCSU93およびHN878と命名された2つの結核菌臨床株の培養物に由来する全細胞ライセート(WCL)における対応する内在性抗原の存在を決定することにより行なわれた。全細胞から採取された細胞培養上清の濾過液も利用した。3つ全ての株で検出可能な抗原および抗体を選択してさらに検証した。
候補となる診断マーカーおよび抗体の検証はまた、本明細書で以下に記載するような増幅ELISA系を用いて、非マイコバクテリア生物(例えば、大腸菌、枯草菌および緑膿菌)の培養物に由来する全細胞ライセート(WCL)における対応する内在性抗原の特異的発現を決定することにより行なわれた。全細胞ライセートの濾過液も利用した。結核菌で特異的に検出される抗原および抗体が好ましかった。
候補となる診断マーカーおよび抗体の検証はまた、本明細書で以下に記載するような増幅ELISA系を用いて、H37Rvと命名された結核菌の実験株の培養物に由来する全細胞ライセート(WCL)における対応する内在性抗原の特異的発現を他のマイコバクテリア種(例えば、M.アウィウムおよびM.イントラセルラーレ)における発現と対照させて決定することにより行なわれた。全細胞培養物由来の上清の濾過液も利用した。結核菌で特定の抗体によって特異的に検出される抗原が好ましかったが、M.アウィウムおよび/またはM.イントラセルラーレで発現される抗原も廃棄しなかった。これは、試料中の任意のマイコバクテリアを検査する診断検査には、一次的な包括的アッセイとしての有用性があり、これを、例えば、本明細書に開示されているような特異的診断マーカーおよび/または結核菌の存在もしくは不在を決定する培養検査を利用する、結核菌の種特異的検査と組み合わせて利用することができるからである。
13.全細胞ライセートの調製
タンパク質を凍結乾燥した結核菌細胞から抽出した。細胞を抽出緩衝液に再懸濁し、ビーズミル中で処理して細胞を破裂させ、タンパク質を放出させた。細胞破片を遠心分離でペレット化し、上清を全細胞ライセート(WCL)として用いた。Bradford式比色アッセイを行ない、タンパク質濃度を推定した。場合によっては、コロラド州立大学から得られた細胞質抽出物を用いた。
タンパク質を凍結乾燥した結核菌細胞から抽出した。細胞を抽出緩衝液に再懸濁し、ビーズミル中で処理して細胞を破裂させ、タンパク質を放出させた。細胞破片を遠心分離でペレット化し、上清を全細胞ライセート(WCL)として用いた。Bradford式比色アッセイを行ない、タンパク質濃度を推定した。場合によっては、コロラド州立大学から得られた細胞質抽出物を用いた。
14.抗体産生方法
後の実施例に記載されるように同定された結核菌の特定の免疫原性タンパク質に由来する合成免疫原性ペプチドによる免疫化によるか、またはあるいは、結核菌の全長免疫原性タンパク質もしくは標準的な手順を用いる組換え手段で産生された結核菌免疫原性タンパク質の免疫原性断片による免疫化によって抗体を調製した。組換えタンパク質または断片を産生するために、免疫原をコードする結核菌株H37RvのDNA配列を単離し、大腸菌での発現用の好適なベクターにクローニングし、発現されたタンパク質または断片を標準的なクロマトグラフィー技術で精製した。
後の実施例に記載されるように同定された結核菌の特定の免疫原性タンパク質に由来する合成免疫原性ペプチドによる免疫化によるか、またはあるいは、結核菌の全長免疫原性タンパク質もしくは標準的な手順を用いる組換え手段で産生された結核菌免疫原性タンパク質の免疫原性断片による免疫化によって抗体を調製した。組換えタンパク質または断片を産生するために、免疫原をコードする結核菌株H37RvのDNA配列を単離し、大腸菌での発現用の好適なベクターにクローニングし、発現されたタンパク質または断片を標準的なクロマトグラフィー技術で精製した。
15.抗体選択基準
好ましい検出限界(LOD)が、例えば、単一部位ELISAにおいて組換え抗原1mL当たり約100ng未満および/または増幅2部位ELISAにおいて組換え抗原1mL当たり約500pg未満であるELISAでの免疫原に対するその感度および特異性に基づいて、抗体を選択した。
好ましい検出限界(LOD)が、例えば、単一部位ELISAにおいて組換え抗原1mL当たり約100ng未満および/または増幅2部位ELISAにおいて組換え抗原1mL当たり約500pg未満であるELISAでの免疫原に対するその感度および特異性に基づいて、抗体を選択した。
結核菌培養物中の結核菌抗原を検出し、他のマイコバクテリア種または非マイコバクテリア病原体に対してはほとんどまたは全く交差反応性を示さない抗体も選択した。
抗体を最初に、1部位ELISAを用いて、各々の場合の免疫原に対する反応性によってスクリーニングした。当業者であれば、1部位ELISAが、固体基板の表面に結合した未標識の組換え免疫原と、標識検出抗体(例えば、コロイド金またはビオチンなどの検出可能マーカーにコンジュゲートされた抗体)とを必要とし、その場合、検出抗体は、固定化された抗原に含まれる標的抗原上のエピトープに特異的に結合することを知っている。検出抗体は、免疫原が固体基板に固定化され、検出抗体上の標識の結合によって間接的に標識されるように、固定化された免疫原に結合する。
あるいは、またはさらに、2部位検査において検査抗体と対を成すべき抗体が利用可能な場合に限り、2部位ELISAを行なう。2部位ELISAは、固体基板の表面に結合した未標識の捕捉抗体と、標識検出抗体(例えば、コロイド金またはビオチンなどの検出可能マーカーにコンジュゲートされた抗体)とを必要とし、その場合、捕捉抗体と検出抗体は両方とも、標的抗原上の異なるまたは不干渉エピトープにではあるが、標的抗原に特異的に結合する。抗原が検査試料中に存在する場合、検出抗体と捕捉抗体は、抗原が固体基板に固定化され、検出抗体上の標識の結合によって間接的に標識されるように、抗原を「サンドイッチする」。
通常、2部位ELISAにおけるLODが約500pg/ml未満の抗体については、ウェスタンブロット(WB)免疫電気泳動を行ない、組換えタンパク質および全細胞ライセート中に存在する予想される分子量の内在性結核菌タンパク質に対する抗体の特異性を確認した。簡潔に述べると、組換えタンパク質および全細胞ライセートを、製造元の説明書に従ってMOPSまたはMES緩衝液系を用いて、1次元SDS/ポリアクリルアミドゲル(10%ポリアクリルアミドNu−PAGEゲル)上で、電気泳動により分離した。分離したタンパク質を、セミドライ式の電気ブロッティングシステムを用いて、ゲルからPVDFメンブレンに転写した。次に、メンブレンを、対応する抗原に対する一次抗体、次いで標準的な手順に従って用いられる抗体プローブに結合することができるHRPコンジュゲート二次抗体でプロービングした。次に、特異的シグナルを化学発光検出系によって可視化し、画像をX線フィルムを用いた後に、スキャニングして取得するか、またはFuji−LAS−3000イメージャーを用いて処理したメンブレンから直接画像を取得した。検査される各々の抗原について、最適なシグナル対ノイズ比をもたらすために必要な一次抗体および二次抗体の希釈に関してウェスタンブロット条件を最適化した(データは示さない)。レプリカのブロットを一次抗体および二次抗体(陽性対照)または二次抗体のみ(陰性対照)でプロービングした。
これらのウェスタンのデータを競合実験によって確認した。この競合実験では、一次抗体をウェスタンブロットを行なう前にモル過剰の組換え免疫原と溶液中でプレインキュベートし、それにより、分離されたタンパク質上のエピトープと競合させた。したがって、ウェスタンブロッティングでのシグナルの喪失によって、抗体特異性に関する最初の結論が確認される。簡潔に述べると、一次抗体を100〜200モル過剰の対応する組換えタンパク質とプレインキュベートすることを除き、ウェスタンブロット解析を前述の段落に記載したように行なった。ブロットを通常の方法でプロービングした。
16.抗体ペアの選択
抗体ペアを選択するために、前述の項に記載した抗体選択基準を満たす利用可能な最も感度の高い抗体を用いて、2部位ELISAを行なった。抗体ペアの選択に関して2部位ELISAを行なう際に、本発明者らは、検出抗体および捕捉抗体としての両方の構成において抗体候補を利用し、それにより捕捉抗体および検出抗体の最適な構成を決定した。一般に、検出抗体は、検査される各々の捕捉抗体濃度についての組換え免疫原の力価に対して様々な希釈で利用した。この目的のために好ましい検出抗体は、ポリHRPコンジュゲートストレプトアビジンを用いて検出可能なビオチン化抗体である。ビオチン化検出抗体が利用可能でない場合、好ましい検出抗体は、(i)ビオチン化二次抗体(例えば、抗ウサギIgまたは抗ニワトリIgまたは抗マウスIg)が検出抗体に、そして(ii)ポリHRPコンジュゲートストレプトアビジンがこの結合したビオチン化二次抗体に順次結合することによって検出可能となる未標識の検出抗体を含む。
抗体ペアを選択するために、前述の項に記載した抗体選択基準を満たす利用可能な最も感度の高い抗体を用いて、2部位ELISAを行なった。抗体ペアの選択に関して2部位ELISAを行なう際に、本発明者らは、検出抗体および捕捉抗体としての両方の構成において抗体候補を利用し、それにより捕捉抗体および検出抗体の最適な構成を決定した。一般に、検出抗体は、検査される各々の捕捉抗体濃度についての組換え免疫原の力価に対して様々な希釈で利用した。この目的のために好ましい検出抗体は、ポリHRPコンジュゲートストレプトアビジンを用いて検出可能なビオチン化抗体である。ビオチン化検出抗体が利用可能でない場合、好ましい検出抗体は、(i)ビオチン化二次抗体(例えば、抗ウサギIgまたは抗ニワトリIgまたは抗マウスIg)が検出抗体に、そして(ii)ポリHRPコンジュゲートストレプトアビジンがこの結合したビオチン化二次抗体に順次結合することによって検出可能となる未標識の検出抗体を含む。
17.ELISAフォーマット
a)1部位ELISA
NUNCプレートを組換えタンパク質の連続希釈液でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。ブロッキングした後、プレートを様々な希釈の検査抗体、次いでHRPコンジュゲート二次抗体およびTMBとともにインキュベートした。各反応液の容量は50μlであった。各添加と添加の間に、プレートを洗浄した。発色の目視検査に基づく適当な時間(通常、約30分)の後、0.5MのH2SO4を添加して免疫反応を停止させ、450nmと620nmの波長でマイクロプレートリーダーにてODを読み取った。
a)1部位ELISA
NUNCプレートを組換えタンパク質の連続希釈液でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。ブロッキングした後、プレートを様々な希釈の検査抗体、次いでHRPコンジュゲート二次抗体およびTMBとともにインキュベートした。各反応液の容量は50μlであった。各添加と添加の間に、プレートを洗浄した。発色の目視検査に基づく適当な時間(通常、約30分)の後、0.5MのH2SO4を添加して免疫反応を停止させ、450nmと620nmの波長でマイクロプレートリーダーにてODを読み取った。
得られたデータをマイクロソフトエクセルにエクスポートし、そこに、データ解析のために、ΔOD(OD450〜620)(ODと呼ぶ)を記録した。アッセイの感度を下記のように決定し、LODAbTと表した。約100ng/mL未満のLODAbTを有する抗体を、サンドイッチELISAにおける捕捉抗体かまたは検出抗体かのいずれかとしての好適性についてさらに検査した。
b)標準的な2部位または「サンドイッチ」ELISA
例えば、捕捉抗体かまたは検出抗体かのいずれかとしての好適性を決定するために、選択された抗体ペアを用いて標準的なサンドイッチELISAを行なった。NUNC免疫プレートを様々な希釈の捕捉抗体でコーティングした後、関連する組換えタンパク質または検査免疫原を含む濾過液の全細胞ライセート、および様々な希釈の検出抗体、HRPコンジュゲート二次抗体およびSIGMA TMBとともに順次インキュベートした。各反応液の容量は50μlであった。各添加と添加の間に、プレートを洗浄した。発色の目視検査に基づく適当な時間(通常、約30分)の後、0.5MのH2SO4を添加して免疫反応を停止させ、450nmと620nmの波長でマイクロプレートリーダーにてODを読み取った。
例えば、捕捉抗体かまたは検出抗体かのいずれかとしての好適性を決定するために、選択された抗体ペアを用いて標準的なサンドイッチELISAを行なった。NUNC免疫プレートを様々な希釈の捕捉抗体でコーティングした後、関連する組換えタンパク質または検査免疫原を含む濾過液の全細胞ライセート、および様々な希釈の検出抗体、HRPコンジュゲート二次抗体およびSIGMA TMBとともに順次インキュベートした。各反応液の容量は50μlであった。各添加と添加の間に、プレートを洗浄した。発色の目視検査に基づく適当な時間(通常、約30分)の後、0.5MのH2SO4を添加して免疫反応を停止させ、450nmと620nmの波長でマイクロプレートリーダーにてODを読み取った。
得られたデータを、解析のためにマイクロソフトエクセルにエクスポートした。アッセイの感度を下記のように決定し、LODと表した。最も低いLODスコア(例えば、約3ng/mL未満)をもたらす抗体ペアを選択し、増幅サンドイッチELISAでさらに最適化した。
c)増幅サンドイッチELISA
増幅サンドイッチELISAを、プレートをビオチン化検出抗体とともにインキュベートするか、または検出抗体、次いでビオチン化二次抗体とともにインキュベートすることを除き、本明細書で上に記載したような標準的なサンドイッチELISAのように行ない、同じ手順で解析した。50〜200μlの様々な希釈のポリ80−HRP−ストレプトアビジン、次いで50〜200μlのPierce TMBを添加して、増幅を達成した。最も低いLODスコア(例えば、約500pg/ml未満)をもたらす抗体ペアを選択した。
増幅サンドイッチELISAを、プレートをビオチン化検出抗体とともにインキュベートするか、または検出抗体、次いでビオチン化二次抗体とともにインキュベートすることを除き、本明細書で上に記載したような標準的なサンドイッチELISAのように行ない、同じ手順で解析した。50〜200μlの様々な希釈のポリ80−HRP−ストレプトアビジン、次いで50〜200μlのPierce TMBを添加して、増幅を達成した。最も低いLODスコア(例えば、約500pg/ml未満)をもたらす抗体ペアを選択した。
d)ELISAデータ解析
ELISAデータを、解析のためにマイクロソフトエクセルにエクスポートした。標準曲線を、平均OD+SD(OD=OD450nm−OD620nm)がY軸上に、組換えタンパク質/ペプチド濃度(例えば、pg/ml)がX軸(対数目盛)上にあるX−Yグラフを用いてプロットした。変動係数(平均で割った標準偏差として計算され、パーセント(CV%)として表される)をアッセイ内のばらつきおよびアッセイ間のばらつきの尺度として用いた。
ELISAデータを、解析のためにマイクロソフトエクセルにエクスポートした。標準曲線を、平均OD+SD(OD=OD450nm−OD620nm)がY軸上に、組換えタンパク質/ペプチド濃度(例えば、pg/ml)がX軸(対数目盛)上にあるX−Yグラフを用いてプロットした。変動係数(平均で割った標準偏差として計算され、パーセント(CV%)として表される)をアッセイ内のばらつきおよびアッセイ間のばらつきの尺度として用いた。
GraphPad Prismソフトウェアを用いて、4−パラメータのロジスティック曲線を標準曲線データ点に対してフィッティングした。作成された曲線にOD値を内挿して、未知試料の抗原濃度を決定した。
e)検出限界(LOD)値の決定
好適な較正曲線が利用可能な2部位「サンドイッチ」ELISAにおける抗体ペアの検出限界(LOD)を、GraphPad Prismソフトウェアで利用可能な関数を用いて、平均ベースライン値+3×SDに等しいOD値を生じる免疫原の濃度と定義した。1部位ELISAの場合、または較正曲線が利用可能でないサンドイッチELISAの場合、抗体または抗体ペアのLODは、マイクロソフトエクセルを用いて推定した。解析されている各々の免疫原性タンパク質について、ELISA用量応答曲線からの光学密度データを用いてLOD値を計算した。
好適な較正曲線が利用可能な2部位「サンドイッチ」ELISAにおける抗体ペアの検出限界(LOD)を、GraphPad Prismソフトウェアで利用可能な関数を用いて、平均ベースライン値+3×SDに等しいOD値を生じる免疫原の濃度と定義した。1部位ELISAの場合、または較正曲線が利用可能でないサンドイッチELISAの場合、抗体または抗体ペアのLODは、マイクロソフトエクセルを用いて推定した。解析されている各々の免疫原性タンパク質について、ELISA用量応答曲線からの光学密度データを用いてLOD値を計算した。
1部位ELISAの場合
ソフトウェアが非線形回帰曲線フィット関数を適用するにはデータ点が不十分である1部位ELISAデータまたは2部位ELISAデータの場合、LODの推定値をExcelで得た。用量応答曲線のベースラインの開始およびベースライン平均OD+3×SDを以下のように決定した。所与の免疫原濃度の光学密度とその次に高い免疫原濃度との間の差として計算される光学密度の増分を決定した。光学密度の増分が約0.05OD単位未満のデータ点をベースラインの開始とみなした。みなしベースライン開始点およびその次の2つの増分点における複製試料の平均値およびSD光学密度値を用いて、そのシリーズについての平均+3×SDを計算した。平均ベースラインOD+3×SDよりも大きい光学密度をもたらした免疫原の濃度をLOD値とみなした。
ソフトウェアが非線形回帰曲線フィット関数を適用するにはデータ点が不十分である1部位ELISAデータまたは2部位ELISAデータの場合、LODの推定値をExcelで得た。用量応答曲線のベースラインの開始およびベースライン平均OD+3×SDを以下のように決定した。所与の免疫原濃度の光学密度とその次に高い免疫原濃度との間の差として計算される光学密度の増分を決定した。光学密度の増分が約0.05OD単位未満のデータ点をベースラインの開始とみなした。みなしベースライン開始点およびその次の2つの増分点における複製試料の平均値およびSD光学密度値を用いて、そのシリーズについての平均+3×SDを計算した。平均ベースラインOD+3×SDよりも大きい光学密度をもたらした免疫原の濃度をLOD値とみなした。
サンドイッチELISAの場合
1つのアプローチでは、組換えタンパク質/ペプチド免疫原の濃度(すなわち、「log10[免疫原]」値)およびサンドイッチELISAから得られた反復光学密度値を、生のELISAデータから必要なデータを自動的に計算するように作成されたExcelワークシートテンプレートに移した。R2値を標準曲線の適合度の推定値として生成し、約0.99よりも大きい値を良好なフィットとして許容した。99%信頼区間(CI)値範囲も計算した。フィッティングした曲線の下の漸近線(bottom asymptote)の範囲における最大値を、フィッティングした標準曲線から内挿した。内挿された値は、対数変換されていない場合、平均ベースライン値+3×SDに等しいOD値を有する組換えタンパク質濃度に相当した。LOD値と呼ばれるその値を、ELISAの感度を示すものとみなした。
1つのアプローチでは、組換えタンパク質/ペプチド免疫原の濃度(すなわち、「log10[免疫原]」値)およびサンドイッチELISAから得られた反復光学密度値を、生のELISAデータから必要なデータを自動的に計算するように作成されたExcelワークシートテンプレートに移した。R2値を標準曲線の適合度の推定値として生成し、約0.99よりも大きい値を良好なフィットとして許容した。99%信頼区間(CI)値範囲も計算した。フィッティングした曲線の下の漸近線(bottom asymptote)の範囲における最大値を、フィッティングした標準曲線から内挿した。内挿された値は、対数変換されていない場合、平均ベースライン値+3×SDに等しいOD値を有する組換えタンパク質濃度に相当した。LOD値と呼ばれるその値を、ELISAの感度を示すものとみなした。
あるいは、log10[免疫原]および対応する反復光学密度値を、非線形回帰曲線フィット関数を用いて4−パラメータロジスティック曲線をデータ点にフィッティングするGraphPad Prismにエクスポートした。非線形回帰曲線フィット関数を用いて、シグモイド曲線をデータにフィッティングした。R2値を標準曲線の適合度の推定値として生成し、約0.99よりも大きい値を良好なフィットとして許容した。99%信頼区間(CI)値範囲も計算した。ベースライン平均光学密度(OD)+3×SDに対応する組換えタンパク質/ペプチド免疫原の濃度を標準曲線から内挿した。
実施例2
定量的PCRを用いた臨床喀痰における活動性TB群の検出
第1セットの実験で、本発明者らは、結核または結核菌群の1以上の生物による感染を検出する手段として、結核菌群KARIタンパク質(配列番号1)をコードするilvCバイオマーカー(配列番号2)を検出する定量的リアルタイムPCRアッセイを開発しようとした。本発明者らはまた、得られた結果を塗抹状態のグレーディングによって示される感染の重症度と相互に関連付け、かつilvCバイオマーカーを検出するアッセイの感度を結核菌群の1以上の生物の他のバイオマーカーの検出と比較しようとした。アッセイされる他のバイオマーカーには、結核菌BSXタンパク質(配列番号3)、結核菌Rv1265タンパク質(配列番号5)および結核菌 S9タンパク質(配列番号7)をコードする核酸(配列番号4、6、8および28)が含まれた。16S rRNAマーカー(配列番号27)もまた含まれた。対象となる標的のための特異的プライマーを本明細書に記載したように設計した。これを表1に記載する。
定量的PCRを用いた臨床喀痰における活動性TB群の検出
第1セットの実験で、本発明者らは、結核または結核菌群の1以上の生物による感染を検出する手段として、結核菌群KARIタンパク質(配列番号1)をコードするilvCバイオマーカー(配列番号2)を検出する定量的リアルタイムPCRアッセイを開発しようとした。本発明者らはまた、得られた結果を塗抹状態のグレーディングによって示される感染の重症度と相互に関連付け、かつilvCバイオマーカーを検出するアッセイの感度を結核菌群の1以上の生物の他のバイオマーカーの検出と比較しようとした。アッセイされる他のバイオマーカーには、結核菌BSXタンパク質(配列番号3)、結核菌Rv1265タンパク質(配列番号5)および結核菌 S9タンパク質(配列番号7)をコードする核酸(配列番号4、6、8および28)が含まれた。16S rRNAマーカー(配列番号27)もまた含まれた。対象となる標的のための特異的プライマーを本明細書に記載したように設計した。これを表1に記載する。
16S rRNA遺伝子をハウスキーピング遺伝子として選んだ。16S rRNAプライマーは、結核菌群の生物に特異的ではなく、いくつかの他のマイコバクテリア属の1種を検出し得る。しかしながら、マイコバクテリアの部類の中で結核菌群に特異性を示すilvCプライマーの特異性を解析した。次に、プライマーおよび126塩基対の増幅産物をスクリーニングし、NCBIで入手可能な940種の細菌、48種の古細菌、および162種の真核生物のゲノムツリー全体でBLAST検索を行なうことにより特異性を保証した。検索を行ない、データベース情報を記録した。これらのデータ(図示せず)により、結核菌群全体での100%の相同性が示され、顕著な相同性を示す他のマイコバクテリアはなかった。これらのデータにより、これらのプライマーが結核菌群のマイコバクテリアに特異的であり、本質的にマイコバクテリアまたは他の細菌に特異的であるというわけではないことが確認された。ヒトゲノムデータベースに対する同様の検索もヒットを示さなかった。
1.標準曲線
結核菌ゲノムDNAを実施例1に記載したようにPCR鋳型として用いて、表1に記載の各プライマーセットについての標準曲線を計算した。これを図1に示す。図1に示す標準曲線を用いて、cDNA 1μg当たりの転写産物コピーの量を計算した。この曲線は、9.7×109転写産物コピー(約1μgの標的DNA)までは線形であった。
結核菌ゲノムDNAを実施例1に記載したようにPCR鋳型として用いて、表1に記載の各プライマーセットについての標準曲線を計算した。これを図1に示す。図1に示す標準曲線を用いて、cDNA 1μg当たりの転写産物コピーの量を計算した。この曲線は、9.7×109転写産物コピー(約1μgの標的DNA)までは線形であった。
2.定量的リアルタイムPCRアッセイおよび塗抹状態のグレーディング
設計されたプライマーを用いて、2つの臨床集団(すなわち、カメルーンと米国)の全体で試料のコホートをスクリーニングした。実施例1に記載したような対象から回収した13のTB陰性およびTB陽性喀痰試料を用いて、プライマーペアを用いる核酸に基づくアッセイを評価した。トータルRNAを試料から抽出し、cDNAを合成し、実施例1に記載したような定量的リアルタイムPCRで用いた。喀痰試料を、実施例1に記載したような、当技術分野で許容された従来の方法に従って、塗抹状態のグレーディングにも供した。ilvCおよび16S rRNAのリアルタイムPCRを用いて喀痰試料について得られた結果と、13の試料についての塗抹のグレーディングの結果とを以下の表2および図20に示す。
設計されたプライマーを用いて、2つの臨床集団(すなわち、カメルーンと米国)の全体で試料のコホートをスクリーニングした。実施例1に記載したような対象から回収した13のTB陰性およびTB陽性喀痰試料を用いて、プライマーペアを用いる核酸に基づくアッセイを評価した。トータルRNAを試料から抽出し、cDNAを合成し、実施例1に記載したような定量的リアルタイムPCRで用いた。喀痰試料を、実施例1に記載したような、当技術分野で許容された従来の方法に従って、塗抹状態のグレーディングにも供した。ilvCおよび16S rRNAのリアルタイムPCRを用いて喀痰試料について得られた結果と、13の試料についての塗抹のグレーディングの結果とを以下の表2および図20に示す。
値は転写産物コピー/μg cDNAと表す。NDは、喀痰試料から抽出された最大量のトータルRNA(500ng)をcDNA合成に用いたときに、標的/ilvCまたは16S rRNA転写産物が喀痰試料で検出されなかったことを表す。感染の重症度と相関させたときに、各試料の塗抹状態のグレーディングの範囲が陰性(neg)から3+であったことも示す。このコホートでは、データは、100%の感度と、ilvC転写産物検出に対する88%の特異性とを示す。さらに、ilvC発現のレベルは塗抹のグレーディングと相関した。さらなる試料をこのコホート内で解析した。ilvC発現のレベルを16rRNAの発現とともに決定し、図21に示すように塗抹状態に対してプロットした。これらのデータは、ilvC核酸の検出が、この実施例では、PCRによる16S rRNA検出よりも15〜20倍感度が高いことを示す。さらに、データは、ilvC転写産物が臨床試料中で比較的安定な状態であることを示す。
3.臨床試料における結核菌群核酸のリアルタイムPCR
次に、3つのさらなる試料(「スパイク1」、「116スパイク」および「4436スパイク」)を結核菌細胞が添加される解析に含め、RNA抽出、cDNA合成およびリアルタイムPCRを上記のように行なった。全ての試料をilvCならびに16S rRNA、BSX、S9およびRv1265についてリアルタイムPCRでアッセイした。得られた結果を下の表3に示す。
次に、3つのさらなる試料(「スパイク1」、「116スパイク」および「4436スパイク」)を結核菌細胞が添加される解析に含め、RNA抽出、cDNA合成およびリアルタイムPCRを上記のように行なった。全ての試料をilvCならびに16S rRNA、BSX、S9およびRv1265についてリアルタイムPCRでアッセイした。得られた結果を下の表3に示す。
リアルタイムPCRアッセイによるilvC、16S rRNA、BSX、S9、Rv1265の検出の比較は、転写産物レベルは例外的に低い(268コピー/細胞の16S転写産物と比較して、結核菌培養物では0.01コピー/細胞)にもかかわらず、ilvC転写産物の検出が最も信頼性が高いことを示した。対照的に、他の3つのバイオマーカー(BSX、S9およびRv1265)のシグナルは、最高可能量の核酸を反応で用いたときに、非常に低くて、喀痰中のこれらの転写産物を定量することができなかった。現在のRT−PCRアッセイが喀痰中のBSX、S9およびRv1265を検出することができないのは、それぞれの転写産物の量が比較的少ないこと、および/または試料中のRNアーゼの作用によって試料が分解されることおよび夾雑宿主RNAが大量にあることが原因である可能性がある。
RNA抽出およびcDNA合成工程を妨害した可能性のある喀痰中の阻害因子の存在を推定するために、全ての試料に結核菌の細胞懸濁物をスパイクした。いくつかの試料(49847、タイ143、mpc379、mpc359)は、スパイクされたとき、より少ない数の16S転写産物を有することが分かり、阻害によって正確な定量が妨げられることが示唆された。スパイキングから得た結果を解釈するときの主な難しさは、試料中の夾雑RNA(特に、宿主細胞)の寄与分が計り知れないことであり、これが、16Sのレベルに大きなばらつきがある理由である。
参照16S遺伝子およびilvCについてのRT−PCRアッセイから得られた結果を表3に示す。16Sは、結核菌特異的でも結核菌群特異的でもなく、M.アウィウム、M.アウィウム亜種、パラ結核およびM.イントラセルラーレをはじめとする、いくつかの他のマイコバクテリア種を検出することに留意すべきである。それゆえ、16S rRNA遺伝子は、報告された塗抹結果を問わず、全ての試料について検出された。
値は転写産物コピー/μg cDNAと表す。NDは、喀痰試料から抽出された最大量のトータルRNA(500ng)をcDNA合成に用いたときに、標的/ilvC、16S rRNA、BSX、S9、またはRv1265転写産物が喀痰試料で検出されなかったことを表す。
本明細書に示す結果に基づいて、本発明者らは、例えば、結核菌群の1以上の生物による感染と相関させることができ、かつilvC標的転写産物核酸の検出に基づく、臨床試料中の結核菌群を検出するリアルタイムPCRを用いた、核酸増幅に基づくアッセイを提供する。本発明者らは、対象試料(例えば、喀痰)におけるilvC転写産物コピーの量が多いために、ilvCが、結核菌群の1以上の生物による感染の有利な標的バイオマーカーを提供することを本明細書で示している。結核菌群の他の標的遺伝子(例えば、BSX、S9、Rv1265)のRNA転写産物の増幅は、おそらくは、感染生物の細胞におけるこれらの遺伝子転写産物コピー数の量が少ないために、検出が難しい可能性がある。
BSX、S9およびRv1265をコードする増幅された核酸の検出が、結核菌群におけるilvC核酸の増幅の検出よりも難しい可能性があるにもかかわらず、本明細書に記載のilvC増幅は、結核菌Rv1265および/または結核菌BSX、および/または結核菌S9および/または本明細書に記載の結核菌および/またはEF−Tuタンパク質および/または結核菌P5CRタンパク質および/または結核菌TetR様タンパク質および/またはグルタミン合成酵素タンパク質ならびにそれらの組合せをコードする核酸に対する1組以上のプライマーであって、検査した他のマイコバクテリアに対する交差反応性が低いプライマーと同時にまたは連続的に利用し得る。このような多検体検査の解釈において、ilvC核酸の検出は、臨床試料における結核菌群の存在を示し、結核菌Rv1265および/または結核菌BSX、および/または結核菌S9および/または結核菌および/またはEF−Tuタンパク質および/または結核菌P5CRタンパク質および/または結核菌TetR様タンパク質および/またはグルタミン合成酵素タンパク質ならびにそれらの組合せをコードする核酸のさらなる検出は、結核菌または結核菌群感染のより大きな可能性を示す。
あるいは、またはさらに、本明細書に記載のilvC−NAAは、本明細書で実施例3(以下参照)に記載されているようなilvCによってコードされるKARIタンパク質に対する抗体を用いた抗原に基づくアッセイと同時にまたは連続的に利用し得る。あるいは、またはさらに、このようなアッセイはまた、本明細書に記載したように、ilvCまたはその断片によってコードされる単離されたKARIタンパク質またはその断片を用いて、臨床試料中のリガンドまたはKARIに対する抗体を検出するリガンドに基づくアッセイと同時にまたは連続的に利用し得る。
要約すると、本明細書におけるデータは、qRT−PCRアッセイによって、検査した全ての喀痰試料において結核菌RNAまたは結核菌群RNAが検出され得るが、ilvCは、その転写産物の安定性のために、RT−PCRによる定量に最も相応しい好ましいバイオマーカーであり、アッセイにおけるばらつきは、わずかな割合(例えば、検査した試料の約7%)の阻害化合物(例えば、非結核菌群宿主および共生細菌のRNA)の存在やRNA分解から生じ得ることを示す。
実施例3
結核菌ケトール−酸レダクトイソメラーゼ(KARI)に結合する抗体を用いた結核または結核菌による感染の抗原に基づく診断
結核菌ケトール−酸レダクトイソメラーゼ(KARI)に結合する抗体を用いた結核または結核菌による感染の抗原に基づく診断
1.TB陽性対象におけるKARIタンパク質の同定
約36kDaの分子量を有するタンパク質がTB+試料中に認められた。MALDI−TOFデータからの10ペプチドの配列は、配列番号1に示す結核菌のilvC遺伝子によってコードされる配列と一致した。これらの10ペプチドによる配列番号1のカバーレージパーセントは約37%であり、このペプチド断片がこの同じタンパク質マーカーに由来することが示唆された。
約36kDaの分子量を有するタンパク質がTB+試料中に認められた。MALDI−TOFデータからの10ペプチドの配列は、配列番号1に示す結核菌のilvC遺伝子によってコードされる配列と一致した。これらの10ペプチドによる配列番号1のカバーレージパーセントは約37%であり、このペプチド断片がこの同じタンパク質マーカーに由来することが示唆された。
配列番号1に示すアミノ酸配列を有する同定されたタンパク質は、推定上のケトール−酸レダクトイソメラーゼであり、これを「KARI」と命名した。
2.抗体
本明細書に記載の手順を用いて、結核菌のilvC遺伝子(配列番号2)によってコードされる組換えKARIタンパク質に対して抗体を調製した。10種の抗体を産生し、実施例1に記載したように、その好適性についてスクリーニングした。このプロセスにより、「Mo1283F」と命名された好ましい捕捉抗体としてのマウス由来抗体および「Ch34/35」と命名された好ましい検出抗体としてのニワトリ由来ポリクローナル抗体からなる、結核菌の診断用の抗体ペアが同定された。もう一方の方向性と抗体組合せを除外するものではない。
本明細書に記載の手順を用いて、結核菌のilvC遺伝子(配列番号2)によってコードされる組換えKARIタンパク質に対して抗体を調製した。10種の抗体を産生し、実施例1に記載したように、その好適性についてスクリーニングした。このプロセスにより、「Mo1283F」と命名された好ましい捕捉抗体としてのマウス由来抗体および「Ch34/35」と命名された好ましい検出抗体としてのニワトリ由来ポリクローナル抗体からなる、結核菌の診断用の抗体ペアが同定された。もう一方の方向性と抗体組合せを除外するものではない。
3.診断試薬としてのKARIおよびそれに対する抗体の検証
結核菌株H37Rv由来のKARIタンパク質のアミノ酸配列を配列番号1として示す。この翻訳産物は、約36kDaの予想分子質量を有する。本質的に実施例1に記載したように行なわれた、ヘキサ−ヒスチジンタグ化rKARIタンパク質の1次元SDS/PAGE解析により、KARIタンパク質は、約37kDa(これは、この翻訳産物とヘキサヒスチジンタグ部分の理論質量に基づく、融合タンパク質の予想質量である)の単一のバンドとして移動することが示された(データは示さない)。
結核菌株H37Rv由来のKARIタンパク質のアミノ酸配列を配列番号1として示す。この翻訳産物は、約36kDaの予想分子質量を有する。本質的に実施例1に記載したように行なわれた、ヘキサ−ヒスチジンタグ化rKARIタンパク質の1次元SDS/PAGE解析により、KARIタンパク質は、約37kDa(これは、この翻訳産物とヘキサヒスチジンタグ部分の理論質量に基づく、融合タンパク質の予想質量である)の単一のバンドとして移動することが示された(データは示さない)。
組換えKARIタンパク質と、結核菌H37Rv、結核菌CSU93および結核菌HN878の全細胞ライセート中の内在性KARIタンパク質とを検出するために、ELISA捕捉抗体(Mo1283F)と検出抗体(Ch34/35)を別々に用いて、ウェスタンブロット解析を行なった。両抗体とも、天然のKARIタンパク質の予想分子質量(すなわち、約36kDa)を有する、3つ全ての結核菌株に由来する全細胞ライセート中のバンドを認識しただけでなく、わずかにより大きい組換えKARIタンパク質も検出した(データは示さない)。結合は、極めて特異的であり、バックグラウンドはほとんどなかった。それゆえ、利用可能なデータから、結核菌KARIタンパク質の検出に対する抗体Mo1283FとCh34/35の特異性が確認される。
本質的に実施例1に記載したように行なわれた競合ウェスタンブロット解析により、ポリクローナル抗体Ch34/35の組換えKARIタンパク質および内在性KARIタンパク質への結合が、抗体と過剰濃度の未標識組換えKARIタンパク質とのプレインキュベーションによって消失し得ることが示された(データは示さない)。
要約すると、利用可能なデータから、抗体Mo1283FとCh34/35抗体は、結核菌KARIタンパク質に特異的に結合することが示される。
4.結核菌KARIタンパク質を検出するための増幅サンドイッチELISA
結合した検出抗体を検出するために、5μg/mLのMo1283F抗体を捕捉試薬として、2.5μg/mLのCh34/35ポリクローナル抗体を検出抗体として、かつビオチン化二次抗体をHRPコンジュゲートストレプトアビジンとともに用いて、本質的に、この実施例と実施例1に記載されたように、増幅ELISAを行なった。
結合した検出抗体を検出するために、5μg/mLのMo1283F抗体を捕捉試薬として、2.5μg/mLのCh34/35ポリクローナル抗体を検出抗体として、かつビオチン化二次抗体をHRPコンジュゲートストレプトアビジンとともに用いて、本質的に、この実施例と実施例1に記載されたように、増幅ELISAを行なった。
図2に示すデータは、検査したアッセイ条件下で、かつ必須ではないが、この好ましい抗体の方向性で、バックグラウンドノイズが低く、LODが約1690pg/mlであったことを示している。サンドイッチELISAにおける低いバックグラウンドと合わせたこのような検出感度は、本発明者らにより有用な限度範囲内であるとみなされる。
5.抗KARI抗体と様々な結核菌分離株の交差反応性
生物学的試料における結核菌の存在の診断マーカーとしてのKARIの好適性をさらに評価するために、およびKARIタンパク質に対して調製された抗体の特性を評価するために、本発明者らは、臨床結核菌株CSU93およびH878と実験結核菌株H37Rvの細胞抽出物の間で、本明細書に上で記載したように行なわれた増幅サンドイッチELISAにおいて抗体反応性を比較した。
生物学的試料における結核菌の存在の診断マーカーとしてのKARIの好適性をさらに評価するために、およびKARIタンパク質に対して調製された抗体の特性を評価するために、本発明者らは、臨床結核菌株CSU93およびH878と実験結核菌株H37Rvの細胞抽出物の間で、本明細書に上で記載したように行なわれた増幅サンドイッチELISAにおいて抗体反応性を比較した。
簡潔に述べると、ELISAプレートを捕捉抗体Mo1283Fで一晩コーティングした。洗浄して未結合抗体を除去した後、各分離株由来の細胞抽出物を抗体がコーティングされたELISAプレートのウェルに添加した。各アッセイの陰性対照として、細胞抽出物を含まない緩衝液を用いた。1時間インキュベートし、洗浄して、未結合の抗原を除去した後、検出抗体Ch34/35を、結合した抗原抗体複合体と接触させた。室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、50μlの希釈した二次抗体(例えば、ビオチン化ロバ抗ニワトリIgGおよびポリ40ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート)とともに1時間インキュベートし、再び洗浄し、TMBとともに10分間インキュベートし、450〜620nmでの吸光度を測定した。試料を全細胞抽出液の3つの希釈物に対して2つ複製してアッセイした。標準化されたKARIタンパク質のレベルに基づいて、較正標準曲線を作成した。
図4に示すデータは、結核菌KARIタンパク質が、臨床結核菌分離株CSU93と実験株H37Rvの両方に同程度のレベルで存在することを示している。より低いレベルのKARIタンパク質が結核菌H878で検出可能であったが、これは、KARIタンパク質に対する抗体が、特定の結核菌臨床株を区別しない可能性があることを示唆している。
図3に示すデータは、一般的な単一検体診断検査における、またはあるいは、特定の結核菌株(例えば、本明細書に記載のものまたは当技術分野で公知のもの)に対する抗体と組み合わせた多検体検査の一部としての、KARIタンパク質に対する抗体の有用性を否定するものではない。
例えば、KARIタンパク質に対する抗体は、必要に応じて、試料中に存在する臨床的に意義のある株に関する情報を得るために、KARI陽性臨床標本由来の結核菌の後から得られる培養物と組み合わせて利用し得る。
6.異なるマイコバクテリア種間の交差反応性
生物学的試料における結核菌の存在の診断マーカーとしてのKARIの好適性をさらに評価するために、およびKARIタンパク質に対して調製された抗体の特性を評価するために、本発明者らは、マイコバクテリア種結核菌、M.アウィウム、およびM.イントラセルラーレの細胞抽出物の間で、本明細書に上で記載したように行なわれた増幅サンドイッチELISAにおいて抗体反応性を比較した。
生物学的試料における結核菌の存在の診断マーカーとしてのKARIの好適性をさらに評価するために、およびKARIタンパク質に対して調製された抗体の特性を評価するために、本発明者らは、マイコバクテリア種結核菌、M.アウィウム、およびM.イントラセルラーレの細胞抽出物の間で、本明細書に上で記載したように行なわれた増幅サンドイッチELISAにおいて抗体反応性を比較した。
簡潔に述べると、ELISAプレートを捕捉抗体Mo1283Fで一晩コーティングした。洗浄して未結合抗体を除去した後、各マイコバクテリア種由来の細胞抽出物を抗体がコーティングされたELISAプレートのウェルに添加した。各アッセイの陰性対照として、細胞抽出物を含まない緩衝液を用いた。1時間インキュベートし、洗浄して、未結合の抗原を除去した後、検出抗体Ch34/35を、結合した抗原抗体複合体と接触させた。室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、50μlの希釈した二次抗体(例えば、ビオチン化ロバ抗ニワトリIgGおよびポリ40ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート)とともに1時間インキュベートし、再び洗浄し、TMBとともに10分間インキュベートし、450〜620nmでの吸光度を測定した。試料を全細胞抽出液の3つの希釈物に対して2つ複製してアッセイした。標準化されたKARIタンパク質のレベルに基づいて、較正標準曲線を作成した。
図4および5に示すデータは、この3つのマイコバクテリア種間での検出可能な交差反応性を示し、結核菌KARIタンパク質が、これらのアッセイ条件下でのまたは選択された抗体ペアを用いる結核菌の種特異的検出にあまり適していないことを示している。このことは、一般的な単一検体診断検査における、またはあるいは、結核菌の種特異的マーカー(例えば、本明細書に記載のものまたは当技術分野で公知のもの)に対する抗体と組み合わせた多検体検査の一部としての、KARIタンパク質に対する抗体の有用性を否定するものではない。
例えば、KARIタンパク質に対する抗体は、KARI陽性臨床標本由来の結核菌の後から得られる培養物と組み合わせて利用し得る。
あるいは、またはさらに、KARIタンパク質に対する抗体は、検査した他のマイコバクテリアとの交差反応性が低い、本明細書に記載したような結核菌Rv1265および/または結核菌BSXタンパク質および/または結核菌EF−Tuおよび/または結核菌S9タンパク質に対する1以上の抗体と同時に利用し得る。このような多検体検査の解釈において、抗体のKARIタンパク質への結合は、臨床試料におけるマイコバクテリアの存在を示し、かつ抗体の結核菌Rv1265および/または結核菌BSXタンパク質および/または結核菌EF−Tuおよび/または結核菌S9タンパク質へのさらなる結合は、結核菌感染のより大きい可能性を示す。結核菌KARIタンパク質に対する抗体と結核菌Rv1265タンパク質に対する1以上の抗体と結核菌BSXタンパク質に対する抗体の組合せは、Rv1265およびBSXに対する抗体の、M.アウィウムおよびM.イントラセルラーレに対する低い交差反応性に基づいて、このような用途に特に好ましい。
7.結核菌と非マイコバクテリア病原体の低い交差反応性
生物学的試料における結核菌の存在の診断マーカーとしてのKARIの好適性をさらに評価するために、本発明者らは、結核菌株H37Rv(実験株)、大腸菌、枯草菌または緑膿菌の細胞抽出物の間で行なわれた増幅サンドイッチELISAにおいて抗体交差反応性を比較した。
生物学的試料における結核菌の存在の診断マーカーとしてのKARIの好適性をさらに評価するために、本発明者らは、結核菌株H37Rv(実験株)、大腸菌、枯草菌または緑膿菌の細胞抽出物の間で行なわれた増幅サンドイッチELISAにおいて抗体交差反応性を比較した。
簡潔に述べると、ELISAプレートを捕捉抗体Mo1283Fで一晩コーティングした。洗浄して未結合抗体を除去した後、各微生物由来の細胞抽出物を抗体がコーティングされたELISAプレートのウェルに添加した。各アッセイの陰性対照として、細胞抽出物を含まない緩衝液を用いた。1時間インキュベートし、洗浄して、未結合の抗原を除去した後、検出抗体Ch34/35を、結合した抗原抗体複合体と接触させた。室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、50μlの二次抗体(すなわち、ビオチン化ロバ抗ニワトリIgGおよびポリ40ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート)とともに1時間インキュベートし、再び洗浄し、TMBとともに10分間インキュベートし、450〜620nmでの吸光度を測定した。
図6に示すデータは、試験した条件下での結核菌KARIタンパク質に対する抗体と大腸菌、枯草菌または緑膿菌細胞抽出物との大きな交差反応性を示さず、この抗体が、マイコバクテリア特異的検査の基礎を形成することを示している。
8.臨床試料におけるKARIタンパク質の検出
生物学的試料における結核菌の存在の診断マーカーとしてのKARIの好適性をさらに評価するために、本発明者らは、塗抹検査と結核菌培養アッセイの結果に基づいて事前に診断を受けたTB陽性対象から得られた臨床試料中の内在性KARIタンパク質を検出する抗体の能力を決定した。患者は、塗抹検査と培養検査の両方の結果、およびHIV状態に基づいて分類されていた。検査した対象は全て、塗抹陰性かつ培養陰性、またはあるいは、塗抹陽性かつ培養陽性であった。
生物学的試料における結核菌の存在の診断マーカーとしてのKARIの好適性をさらに評価するために、本発明者らは、塗抹検査と結核菌培養アッセイの結果に基づいて事前に診断を受けたTB陽性対象から得られた臨床試料中の内在性KARIタンパク質を検出する抗体の能力を決定した。患者は、塗抹検査と培養検査の両方の結果、およびHIV状態に基づいて分類されていた。検査した対象は全て、塗抹陰性かつ培養陰性、またはあるいは、塗抹陽性かつ培養陽性であった。
簡潔に述べると、本明細書で上に記載したように、喀痰試料に対してサンドイッチELISAを行なった。この喀痰試料は、方法3で調製され、交換増幅プロトコル(下記参照)の下で17×150マイクロリットルアリコートとしてアッセイされたものである。ELISAプレートを捕捉抗体Mo1283Fで一晩コーティングした。洗浄して未結合抗体を除去した後、処理した喀痰を抗体がコーティングされたELISAプレートのウェルに添加した。各アッセイの陰性対照として、緩衝液を用いた。1時間インキュベートし、洗浄して、未結合の抗原を除去した後、検出抗体Ch34/35を、結合した抗原抗体複合体と接触させた。室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、50μlの二次抗体(すなわち、ビオチン化ロバ抗ニワトリIgGおよびポリ40ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート)とともに1時間インキュベートし、再び洗浄し、TMBとともに10分間インキュベートし、450〜620nmでの吸光度を測定した。
図7および8に示すデータは、培養陽性かつ塗抹陽性であることが事前に示されていた検査した4つのTB陽性試料のうちの少なくとも2つにおいて顕著に高いレベルのKARIタンパク質が検出されたことを示している。対照的に、バックグラウンドシグナルは、全てのTB陰性試料で検出された。
9.試料によるシグナル阻害の評価
例えば、ELISAまたはポイント・オブ・ケアフォーマットもしくは野外検査フォーマットにおいて、アッセイ感度に悪影響を及ぼし得る阻害性因子またはシグナル抑制因子が喀痰中に存在するかどうかを評価するために、喀痰試料に10ng/mL組換え結核菌KARIタンパク質をスパイクし、得られた試料を3工程かけて27分の1に連続希釈した。試料を一晩インキュベートし、本明細書で上に記載したような増幅ELISAでアッセイしたか、またはすぐにアッセイした。
例えば、ELISAまたはポイント・オブ・ケアフォーマットもしくは野外検査フォーマットにおいて、アッセイ感度に悪影響を及ぼし得る阻害性因子またはシグナル抑制因子が喀痰中に存在するかどうかを評価するために、喀痰試料に10ng/mL組換え結核菌KARIタンパク質をスパイクし、得られた試料を3工程かけて27分の1に連続希釈した。試料を一晩インキュベートし、本明細書で上に記載したような増幅ELISAでアッセイしたか、またはすぐにアッセイした。
図9および10に示すデータ(「ilvC」と印が付けられた右下のパネル)は、アッセイがすぐに行なわれるかまたは一晩のインキュベーションの後に行なわれるかを問わず、シグナル強度が未希釈の喀痰を添加した後に低下するので、喀痰がKARIタンパク質シグナル検出を阻害するいくつかの因子を含むことを示している。しかしながら、このシグナル強度の損失は、喀痰を希釈することにより段階的に阻害することができ、シグナル強度の損失は、喀痰を少なくとも約9分の1に希釈することによって大いに抑えられた。シグナル強度は、喀痰中で組換えタンパク質を一晩インキュベートした後にも減少し、このシグナル強度の損失もまた、喀痰試料の希釈によって部分的に抑えることができる。これらのデータは、喀痰をブロッキング緩衝液中に9分の1に希釈することと、試料を迅速にアッセイすることとが、これらの条件下でKARIタンパク質をアッセイする際にシグナル強度を増強するのに推奨されることを示している。
10.マイコバクテリア細胞で検出可能なKARIタンパク質の相対レベル
マイコバクテリア感染の診断マーカーとしてのKARIの好適性をさらに評価するために、KARIタンパク質のレベルを、本明細書に記載のBSX、EF−Tu、P5CR、Rv1265、S9およびTetR様タンパク質を含む10種の他の結核菌抗原と比べて、結核菌株H37Rv、CSU93およびHN878、ならびに結核菌、M.アウィウムおよびM.イントラセルラーレの全細胞ライセートで決定した。
マイコバクテリア感染の診断マーカーとしてのKARIの好適性をさらに評価するために、KARIタンパク質のレベルを、本明細書に記載のBSX、EF−Tu、P5CR、Rv1265、S9およびTetR様タンパク質を含む10種の他の結核菌抗原と比べて、結核菌株H37Rv、CSU93およびHN878、ならびに結核菌、M.アウィウムおよびM.イントラセルラーレの全細胞ライセートで決定した。
増幅サンドイッチELISAを、この実施例および実施例1に本質的に記載されているように行ない、定量を可能にするために較正標準を含めて、標準的なプロトコルに従って、各抗原の相対レベルを同定した。
図11〜12に示すデータは、KARIが、総細胞タンパク質ベースで表した場合、検査した3つ全ての結核菌株において比較的豊富なタンパク質であることを示している。これをもとにすると、結核菌Rv1265、BSXおよびS9タンパク質も、検査した11種の免疫原性タンパク質の中で比較的豊富である。図13〜18に示すデータは、KARIタンパク質が、マイコバクテリア種一般においても比較的豊富なタンパク質であるのに対し、検査した他の主な免疫原性タンパク質、すなわち、BSX、Rv1265およびS9は、細胞ベース(図13〜14)または全細胞ライセートタンパク質のマイクログラム当たり(図15〜16)または全細胞ライセート濾過液のマイクロリットル当たり(図17〜18)で表した場合、KARIと比較して、結核菌に対するより大きい特異性を有するように見えることを示している。これらのデータは、マイコバクテリア感染の一般的な単一検体マーカーとしての、またはBSXおよび/またはRv1265および/またはS9タンパク質と組み合わせたマイコバクテリア感染または結核菌感染の多検体検査の一部としてのKARIの有用性を示唆している。結核菌感染の多検体検査のために、他の組合せを除外するものではない。
11.検出限界の最適化
サンドイッチELISA感度をさらに増強するために、交換増幅手順を用いて、捕捉抗体をELISAプレートにコーティングした後の反復抗原結合を利用した。
サンドイッチELISA感度をさらに増強するために、交換増幅手順を用いて、捕捉抗体をELISAプレートにコーティングした後の反復抗原結合を利用した。
本質的には、これにより、96ウェルELISAプレートの50μlという容量制限にもかかわらず、捕捉抗体に結合する抗原の量が増加する。簡潔に述べると、この反復抗原充填は、洗浄および検出抗体の添加の前に、サンドイッチELISAの抗原結合工程を数回(例えば、2または3または4または5回など)繰り返すことを含む。当然、抗原試料の各アリコートは、標準的なインキュベーション期間の後、次のアリコートを添加する前に除去される。反復の回数は、過度の実験をすることなく、検査される試料の性質(例えば、試料の種類)に応じて、アッセイを最適化するように変更することができる(例えば、シグナル:ノイズ比、検出限界および半最大シグナルで検出される抗原の量などのパラメータ)。例えば、最大約20回の試料充填の反復(すなわち、最大20回の置換増幅)を利用して、低バックグラウンドシグナル、および結核菌KARIタンパク質の検出限界の低下をもたらすことができる。
実施例4
結核菌群に対するilvCアッセイの相対的特異性
モノクローナル抗体Mo2B1を、KARIタンパク質を認識する2B1細胞株の細胞培養上清を用いて調製し、実施例1および3に記載したように、検出器としてのニワトリ抗体34/35とペアにした。この抗体ペアを用いるELISAの最適化を実施例3に記載したように行なった。
結核菌群に対するilvCアッセイの相対的特異性
モノクローナル抗体Mo2B1を、KARIタンパク質を認識する2B1細胞株の細胞培養上清を用いて調製し、実施例1および3に記載したように、検出器としてのニワトリ抗体34/35とペアにした。この抗体ペアを用いるELISAの最適化を実施例3に記載したように行なった。
検出限界
4つのマーカーのELISAアッセイを、組換えタンパク質およびH37Rv全細胞ライセートを用いて決定される検出限界および動作範囲について評価した。緩衝液(図22)および喀痰において標準曲線を作成した。動作範囲を表4に一覧にする。
4つのマーカーのELISAアッセイを、組換えタンパク質およびH37Rv全細胞ライセートを用いて決定される検出限界および動作範囲について評価した。緩衝液(図22)および喀痰において標準曲線を作成した。動作範囲を表4に一覧にする。
全ての標的アッセイで結核菌が検出され、検出限界は1μg H37Rv WCL/mL未満である。組換え標的と発現されたタンパク質の関係は、図2に明確に示されている。
2.KARI抗体の特異性
結核菌(細胞株H37Rv、TMC 102、1.9×10e9cfu/mL LOT WA0426A)、M.アウィウム(細胞株TMC 724、1×10e11cfu/mL LOT WA0426B)、およびM.イントラセルラーレ(細胞株TMC 6450、25×l0e10cfu/mL LOT WA0426C)について、既知の細胞数を含む放射線照射した細胞懸濁液を得た。
結核菌(細胞株H37Rv、TMC 102、1.9×10e9cfu/mL LOT WA0426A)、M.アウィウム(細胞株TMC 724、1×10e11cfu/mL LOT WA0426B)、およびM.イントラセルラーレ(細胞株TMC 6450、25×l0e10cfu/mL LOT WA0426C)について、既知の細胞数を含む放射線照射した細胞懸濁液を得た。
これらの細胞懸濁液を緩衝液中の連続希釈物としてELISAに直接適用して、全細胞懸濁液中に存在する標的のレベルを決定した。また、各細胞型の300μLのアリコートを取り、これを用いて、上記のように全細胞ライセートを調製した(結核菌および組換え抗原標準の調製)。3つの細胞株を同一の条件および希釈の下で処理して、これらのライセートの公平な比較を保証した。
結核菌、M.アウィウム、およびM.イントラセルラーレの標準曲線データを、各標的の精製組換えタンパク質が与えた応答に対して評価し、このデータを用いて、全細胞ライセートタンパク質1マイクログラム当たり、および培養細胞10e6個当たりの各標的の発現レベルに関する情報を提供した(この図は、ビーズミルプロセスにおけるブロッカーとして使用されたBSAからのわずかな寄与分を含むことに注意)(表2A〜D)。
4つ全てのアッセイの反応性を、一般的な細菌標的の大腸菌、緑膿菌、枯草菌と、酵母の出芽酵母とについてさらに特徴付けた。データはilvc(図3)について示されているが、他の3つのアッセイは同様のプロファイルを示し、これらの非標的生物に対する顕著な交差反応性はなかった。これらの結果は、新たに開発されたilvcアッセイの結核菌に対する相対的特異性を立証した。
放射線照射された全細胞懸濁液、および培養マイコバクテリアの全細胞ライセートを上記のように調製した。細胞100万個当たりの標的の検出レベル、および結核菌の検出と比べた交差反応性(CR)のレベルを決定した。
3.亜細胞画分におけるKARI抗原の利用可能性
結核菌について、細胞壁および細胞膜の亜細胞画分も細胞株H37Rvの培養物から得、これを用いて、これらの調製物における利用可能な抗原のレベルを決定した。図24は、KARIが、結核菌の細胞壁調製物と細胞膜調製物両方において相当なレベルで存在することを示している。
結核菌について、細胞壁および細胞膜の亜細胞画分も細胞株H37Rvの培養物から得、これを用いて、これらの調製物における利用可能な抗原のレベルを決定した。図24は、KARIが、結核菌の細胞壁調製物と細胞膜調製物両方において相当なレベルで存在することを示している。
実施例5
KARI(ilvC)の検出のためのポイント・オブ・ケアアッセイの開発
精製KARIモノクローナル抗体2B1試薬を金にコンジュゲートし、ポイント・オブ・ケア検査であるDiagnostIQアッセイフォーマットにおける好適性について評価した。このコンジュゲートを膜結合Ch34/35とともに用いる最適化されていないシステムで開発された緩衝液における標準曲線の予備データを図25に示す。
KARI(ilvC)の検出のためのポイント・オブ・ケアアッセイの開発
精製KARIモノクローナル抗体2B1試薬を金にコンジュゲートし、ポイント・オブ・ケア検査であるDiagnostIQアッセイフォーマットにおける好適性について評価した。このコンジュゲートを膜結合Ch34/35とともに用いる最適化されていないシステムで開発された緩衝液における標準曲線の予備データを図25に示す。
実施例6
KARIに最適化されたELISAを用いた臨床試料のスクリーニング
Tyrian Diagnosticsは、本研究で使用するために、いくつかの異なる場所から試料を調達した(例えば、表6)。カメルーンは、関連臨床データを有する試料と反復アッセイの実施に十分な量を適時提供するために、本臨床研究の主要な研究場所とした。これらの試料は、試料を速やかに処理し、「瞬間凍結」することができる現地の診療所から採集した。患者をHIV状態についてスクリーニングし、可能な場合は、CD4の数を得て、免疫機能を決定した。TBへの事前の曝露に関して患者に問診し、マイコバクテリア感染の治療を受けている患者をコホートから除外した。喀痰容量は、通常、塗抹と培養による判定のためのアリコートを取り除いた後、1〜2mLであり、少数の患者は、最大7mLの容量を提供した。
KARIに最適化されたELISAを用いた臨床試料のスクリーニング
Tyrian Diagnosticsは、本研究で使用するために、いくつかの異なる場所から試料を調達した(例えば、表6)。カメルーンは、関連臨床データを有する試料と反復アッセイの実施に十分な量を適時提供するために、本臨床研究の主要な研究場所とした。これらの試料は、試料を速やかに処理し、「瞬間凍結」することができる現地の診療所から採集した。患者をHIV状態についてスクリーニングし、可能な場合は、CD4の数を得て、免疫機能を決定した。TBへの事前の曝露に関して患者に問診し、マイコバクテリア感染の治療を受けている患者をコホートから除外した。喀痰容量は、通常、塗抹と培養による判定のためのアリコートを取り除いた後、1〜2mLであり、少数の患者は、最大7mLの容量を提供した。
さらに、本発明者らは、タイおよび南アフリカ由来のTB陽性試料を検査した。これまでに、受け取った試料は、容量が少なく(<1mL)、かつもっぱらTB陰性であった。
臨床試料をilvcについてもスクリーニングし、可能な場合は、4つの候補マーカー由来の他の標的をスクリーニングした。表7のデータは、26人の塗抹陽性患者についてのものである。表8のデータは、29人の塗抹陰性患者についてのものである。平均シグナルが、アッセイ緩衝液ブランクを超えて3標準偏差よりも大きい場合、試料を陽性と記録する。ilvcの弱陽性シグナルはイタリック体で示す。
結果を図26および27に示す。臨床試料の初期スクリーニングについては、最大量の喀痰をアッセイに適用することに焦点を当てた。(収集場所での処理以外)試料の可溶化または喀痰中の干渉成分の除去は一切しなかった。未処理の喀痰4.5mL当量を解析した。この結果を図6に示す。4つのTB陽性試料のうちの2つが、ilvcの有意な検出を示した。対照的に、S9の有意な検出は観察されなかった。結果を図31に示す。
実施例7
KARIタンパク質に対する特異的抗体のさらなる特徴解析
本発明者らは、結核菌のKARIタンパク質が高度に免疫原性であり、かつ免疫応答を生成させることができる多数のエピトープを有することを見出した。抗体は、組換えKARIタンパク質および/または合成ペプチド抗原で免疫されたニワトリとマウスにおいて作製された。図28および29は、ニワトリ、およびマウス形質細胞腫において作製された抗体の組換えおよび内在性KARIタンパク質に対する抗体特異性を示している。
KARIタンパク質に対する特異的抗体のさらなる特徴解析
本発明者らは、結核菌のKARIタンパク質が高度に免疫原性であり、かつ免疫応答を生成させることができる多数のエピトープを有することを見出した。抗体は、組換えKARIタンパク質および/または合成ペプチド抗原で免疫されたニワトリとマウスにおいて作製された。図28および29は、ニワトリ、およびマウス形質細胞腫において作製された抗体の組換えおよび内在性KARIタンパク質に対する抗体特異性を示している。
放射線照射した全細胞懸濁液、および培養マイコバクテリアの全細胞ライセートを上記のように調製した。細胞100万個当たりの標的の検出レベル、および結核菌の検出と比べた交差反応性(CR)のレベルを決定した(表9)。
マウスMo2B1−ニワトリ34/35フォーマットにおけるELISAアッセイの感度および特異性を決定し、表9に示した。図30は、このELISAアッセイの特異性を示している。これらのデータは、アッセイ検出限界が、<200pg rIlvC/mLであり、かつEC50が2039pg rIlvC/mLであったことを示している。結核菌に対するマイコバクテリアの交差反応性は0.3%未満であった。
実施例8
定量的PCR(qPCR)により結核菌および/または結核菌群由来のilvC転写産物を増幅するためのプライマーペアの設計および検査
本実施例は、本明細書の実施例2に記載の定量的PCRアッセイで使用される有利なプライマーペアならびに結核菌および結核菌群由来のilvC配列の特異的増幅を達成するための増幅条件の決定を示している。
定量的PCR(qPCR)により結核菌および/または結核菌群由来のilvC転写産物を増幅するためのプライマーペアの設計および検査
本実施例は、本明細書の実施例2に記載の定量的PCRアッセイで使用される有利なプライマーペアならびに結核菌および結核菌群由来のilvC配列の特異的増幅を達成するための増幅条件の決定を示している。
1.培養結核菌からのDNA調製
結核菌細胞を破壊緩衝液(50mM Tris−HCl(pH8.0);10mM EDTA;100mM NaCl;0.6%SDS;プロテイナーゼK)にて50℃で12時間インキュベートし、ビーズによる打撃で破壊して、細胞ライセートを調製した。細胞ライセートを遠心分離して、破片を除去した後、凍結させた。凍結ライセートを、短い保存期間の間、ドライアイス上で保持した後、さらに処理した。等量のTris緩衝(pH8)フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1;Fluka)を各ライセートに添加し、混合物を20秒間ボルテックス処理し、試料を卓上型遠心分離器にて13,000rpmで5分間遠心分離して、層を分離して、DNAを抽出した。上の層(DNAを含む)を注意深く除去し、きれいなエッペンドルフチューブに移し、等量の冷イソプロパノールを添加した。この混合物を短くボルテックス処理し、−20℃で一晩沈殿させておいた。沈殿させた後、試料を13,000rpmにて4℃で20分間スピンし、DNAをペレット化した。次に、上清を捨て、ペレットを70%エタノールで洗浄し、13,000rpmにて4℃でさらに20分間スピンした。最終的な沈殿の後、上清を捨て、ペレットを10分間風乾させておき、その後、水中で溶出させた。最終的なDNA濃度をナノドロップ分光光度計で決定した。
結核菌細胞を破壊緩衝液(50mM Tris−HCl(pH8.0);10mM EDTA;100mM NaCl;0.6%SDS;プロテイナーゼK)にて50℃で12時間インキュベートし、ビーズによる打撃で破壊して、細胞ライセートを調製した。細胞ライセートを遠心分離して、破片を除去した後、凍結させた。凍結ライセートを、短い保存期間の間、ドライアイス上で保持した後、さらに処理した。等量のTris緩衝(pH8)フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1;Fluka)を各ライセートに添加し、混合物を20秒間ボルテックス処理し、試料を卓上型遠心分離器にて13,000rpmで5分間遠心分離して、層を分離して、DNAを抽出した。上の層(DNAを含む)を注意深く除去し、きれいなエッペンドルフチューブに移し、等量の冷イソプロパノールを添加した。この混合物を短くボルテックス処理し、−20℃で一晩沈殿させておいた。沈殿させた後、試料を13,000rpmにて4℃で20分間スピンし、DNAをペレット化した。次に、上清を捨て、ペレットを70%エタノールで洗浄し、13,000rpmにて4℃でさらに20分間スピンした。最終的な沈殿の後、上清を捨て、ペレットを10分間風乾させておき、その後、水中で溶出させた。最終的なDNA濃度をナノドロップ分光光度計で決定した。
2.定量的リアルタイムPCR(qPCR)アッセイ
ABIPrism−7500 Sequence Detector Systemにて、最初の95℃、10分間の段階の後、2段階の温度サイクルで95℃、15秒間および60℃、1分間を40回(またはそれ以外の場合は、記述した回数)繰り返して、qPCRアッセイを行なった。ゲノムDNAを最初に100ng/μlに希釈し、1μlを、SYBRグリーンPCRマスターミックス(Applied Biosystems)と各々150nMのフォワードプライマーおよびリバースプライマーとを含む25μlのqPCR反応に用いた(すなわち、合計4ng)。アンプリコンを2%アガロースゲル電気泳動でまず解析し、各実験について解離曲線解析を行ない、単一の生成物の増幅をモニタリングした。6つ連続の10倍希釈に対して3つ複製して標準曲線解析を行なった。ABIPrism−7500 SDSソフトウェアを閾値(Ct)データ獲得、解離曲線および標準曲線解析に用いた。プライマーは、配列番号19および20(実施例2)を含んでいた。これを表10に記載する。
ABIPrism−7500 Sequence Detector Systemにて、最初の95℃、10分間の段階の後、2段階の温度サイクルで95℃、15秒間および60℃、1分間を40回(またはそれ以外の場合は、記述した回数)繰り返して、qPCRアッセイを行なった。ゲノムDNAを最初に100ng/μlに希釈し、1μlを、SYBRグリーンPCRマスターミックス(Applied Biosystems)と各々150nMのフォワードプライマーおよびリバースプライマーとを含む25μlのqPCR反応に用いた(すなわち、合計4ng)。アンプリコンを2%アガロースゲル電気泳動でまず解析し、各実験について解離曲線解析を行ない、単一の生成物の増幅をモニタリングした。6つ連続の10倍希釈に対して3つ複製して標準曲線解析を行なった。ABIPrism−7500 SDSソフトウェアを閾値(Ct)データ獲得、解離曲線および標準曲線解析に用いた。プライマーは、配列番号19および20(実施例2)を含んでいた。これを表10に記載する。
3.コンピュータによるPCR解析
コンピュータによるPCRシミュレーションを、マイコバクテリア種および他の規定の除外生物:プセウドモナス(Pseudomonas)、ハエモフィルス(Haemophilus)、ストレプトコックス(Streptococcus)およびスタフィロコックス(Staphylococcus)に対してオンラインで行なった。プライマーペアをモラクセラ(Moraxella)に対してはスクリーニングしなかった。除外生物に対しては、プライマーペアのilvC1、ilvC2またはilvC3によって増幅が検出されず、全てのマイコバクテリア属の種に対してスクリーニングしたとき、結核菌およびウシ型結核菌の亜種のみが、予想された増幅を示した。
コンピュータによるPCRシミュレーションを、マイコバクテリア種および他の規定の除外生物:プセウドモナス(Pseudomonas)、ハエモフィルス(Haemophilus)、ストレプトコックス(Streptococcus)およびスタフィロコックス(Staphylococcus)に対してオンラインで行なった。プライマーペアをモラクセラ(Moraxella)に対してはスクリーニングしなかった。除外生物に対しては、プライマーペアのilvC1、ilvC2またはilvC3によって増幅が検出されず、全てのマイコバクテリア属の種に対してスクリーニングしたとき、結核菌およびウシ型結核菌の亜種のみが、予想された増幅を示した。
4.プライマーペアの増幅特異性および効率
結核菌から抽出されたDNAを1反応に4ng用いて、プライマー特異的増幅を得た。鋳型核酸の存在下でのみ、予想されたサイズのアンプリコンを得た。解離解析で決定したとき、プライマーペアのilvC1、ilvC2およびilvC3は各々単一のバンドを生成した。プライマーペアのrtM.tbilvCF/rtMtbilvCRは、PCRサイクリングの延長後(+30サイクル)、二次的な産物を生成した。実験的に決定されたこれらのアンプリコンの融解温度を表10に示す。標準曲線解析を、微量のプライマー特異的アンプリコンをスパイクした、結核菌から抽出されたDNAに対して行ない、また、6つ連続の10倍希釈に対して3つ複製して行なった。プライマー特異的増幅効率(E)を式E=10(−1/slope)で定義し、Rasmussen(2001)、“Quantification on the LightCycler”,Rapid cycle real−time PCR, methods and applications(Springer Press,Heidelberg,S.Meuer,C.Wittwer and K.Nakagawara編)に記載されているような式(E−1)×100%でパーセンテージ値に変換した。増幅効率を表10に示す。
結核菌から抽出されたDNAを1反応に4ng用いて、プライマー特異的増幅を得た。鋳型核酸の存在下でのみ、予想されたサイズのアンプリコンを得た。解離解析で決定したとき、プライマーペアのilvC1、ilvC2およびilvC3は各々単一のバンドを生成した。プライマーペアのrtM.tbilvCF/rtMtbilvCRは、PCRサイクリングの延長後(+30サイクル)、二次的な産物を生成した。実験的に決定されたこれらのアンプリコンの融解温度を表10に示す。標準曲線解析を、微量のプライマー特異的アンプリコンをスパイクした、結核菌から抽出されたDNAに対して行ない、また、6つ連続の10倍希釈に対して3つ複製して行なった。プライマー特異的増幅効率(E)を式E=10(−1/slope)で定義し、Rasmussen(2001)、“Quantification on the LightCycler”,Rapid cycle real−time PCR, methods and applications(Springer Press,Heidelberg,S.Meuer,C.Wittwer and K.Nakagawara編)に記載されているような式(E−1)×100%でパーセンテージ値に変換した。増幅効率を表10に示す。
5.様々なDNA濃度および/またはサイクル数でのプライマー性能
非特異的および/またはプライマー配列相同性の低い標的の増幅は、通常、インプットDNA濃度が高いおよび/またはPCRサイクリング数が高い場合に観察される。したがって、表10に示すプライマーペアを、1反応にインプットDNAを400pg用いる(すなわち、DNA濃度が比較的高い)40サイクルのqPCR反応で、サイクル数を変化させて検査した。同じインプットDNA濃度でアッセイしたとき、これらのプライマーについて、約12サイクルでCt値がシフトした。400pgのインプットDNA濃度で、M.Tb+試料由来のilvC配列の増幅は、配列番号27〜32については、約17サイクル、ならびに配列番号19および20については、約22サイクルで閾値ベースラインレベルを超えることが観察された。この高いDNA濃度での増幅産物は、陰性試料で検査されたプライマーペアについて検出可能であったが、配列番号27〜32については、約29サイクル、ならびに配列番号19および20については、約36サイクルで閾値ベースライン検出限界を超えたに過ぎなかった。
非特異的および/またはプライマー配列相同性の低い標的の増幅は、通常、インプットDNA濃度が高いおよび/またはPCRサイクリング数が高い場合に観察される。したがって、表10に示すプライマーペアを、1反応にインプットDNAを400pg用いる(すなわち、DNA濃度が比較的高い)40サイクルのqPCR反応で、サイクル数を変化させて検査した。同じインプットDNA濃度でアッセイしたとき、これらのプライマーについて、約12サイクルでCt値がシフトした。400pgのインプットDNA濃度で、M.Tb+試料由来のilvC配列の増幅は、配列番号27〜32については、約17サイクル、ならびに配列番号19および20については、約22サイクルで閾値ベースラインレベルを超えることが観察された。この高いDNA濃度での増幅産物は、陰性試料で検査されたプライマーペアについて検出可能であったが、配列番号27〜32については、約29サイクル、ならびに配列番号19および20については、約36サイクルで閾値ベースライン検出限界を超えたに過ぎなかった。
同じインプットDNA濃度でアッセイしたときに、これらのプライマーについて、約12サイクルでCt値がシフトしたので、特異的な結核菌+ilvC配列の検出、すなわち、非特異的増幅の排除が、より低いインプットDNA濃度および/またはより少ないサイクル数で予想される。
表10に示すプライマーペアを用いるが、先程よりも10倍低いインプットDNA濃度、すなわち、約40pgのDNA、および30サイクルの増幅で、さらなるqPCRアッセイを行なった。約90%(表10)の増幅効率で、この10倍低いDNA濃度は、3.5サイクルの下方へのシフトに対応する、すなわち、増幅は、より高いDNA濃度で観察されたサイクルの約3.5サイクル後にベースラインを超える。これらの条件下で、表10に示す全てのプライマーペアは、結核菌+陽性試料の場合に増幅産物を生成し、結核菌陰性試料の場合は、30サイクル後に増幅産物が検出されなかった。予想通り、増幅は、より高いDNA濃度で観察されたサイクルの約3.5サイクル後に、例えば、配列番号27〜32については、約20〜21サイクル、および配列番号19および20については、約25〜26サイクルで、ベースラインを超えた。解離曲線(図示せず)は、配列番号27〜32のついての単一産物の増幅と、配列番号19および20を用いたいくつかの非特異的な産物の増殖も示した。
6.qPCRにおけるプライマー性能のまとめ
本研究では、表10に示す4つのプライマーペアを生物学的標本(例えば、喀痰)由来の結核菌ilvC配列および/または結核菌群ilvC配列を増幅する際のその特異性および効率について検査した。M.アウィウムなどの他の源を除いて、アッセイにより結核菌群ilvC配列が特異的に検出されるように、適切なインプットDNA濃度とPCRサイクル数を保証し、それにより増幅の特異性を低下させることに注意しなければならない。本明細書におけるデータは、インプット鋳型濃度が高い場合および/またはPCRサイクリングが約25〜30サイクルを超えて延長された場合に、PCR増幅が起こることを示唆している。例えば、サイクル数が約25〜30サイクルを超えるときに、高濃度のM.アウィウム鋳型によって、これらの配列の増幅が起こり得る。しかしながら、結核菌群(すなわち、結核菌とウシ型結核菌の両方を含むもの)の特異的検出のためには、本明細書における最適なDNA濃度とサイクリングパラメータを利用することが好ましい。
本研究では、表10に示す4つのプライマーペアを生物学的標本(例えば、喀痰)由来の結核菌ilvC配列および/または結核菌群ilvC配列を増幅する際のその特異性および効率について検査した。M.アウィウムなどの他の源を除いて、アッセイにより結核菌群ilvC配列が特異的に検出されるように、適切なインプットDNA濃度とPCRサイクル数を保証し、それにより増幅の特異性を低下させることに注意しなければならない。本明細書におけるデータは、インプット鋳型濃度が高い場合および/またはPCRサイクリングが約25〜30サイクルを超えて延長された場合に、PCR増幅が起こることを示唆している。例えば、サイクル数が約25〜30サイクルを超えるときに、高濃度のM.アウィウム鋳型によって、これらの配列の増幅が起こり得る。しかしながら、結核菌群(すなわち、結核菌とウシ型結核菌の両方を含むもの)の特異的検出のためには、本明細書における最適なDNA濃度とサイクリングパラメータを利用することが好ましい。
本明細書におけるデータは、qPCRで結核菌および/または結核菌群を検出するのに配列番号27〜32が好ましいが、これに関連して4つ全てのプライマーペアが有用であることも示している。プライマーペアの好ましい順は、最も好ましいものからあまり好ましくないものへ、次の通りである。
配列番号29−30>配列番号27−28>配列番号31−32>配列番号19−20
配列番号29−30>配列番号27−28>配列番号31−32>配列番号19−20
本明細書に記載のフォワードプライマーとリバースプライマーを入れ換えるのは好ましくない。
ilvCコード配列(配列番号2)におけるそのアラインメントに基づいて、プライマーペア、特に配列番号27〜32、またはより好ましくは配列番号29〜32を交差して組み合わせ、それにより増幅プロトコルで使用される追加のプライマーペアを作り出すことが可能である(但し、望ましくない、配列番号30および31を有する重複プライマーの交差組合せを除く)。例えば、表11に示す追加のプライマー組合せを利用し得る。
実施例9
臨床試料における定量的RT−PCRによる結核菌群の生物の検出
本実施例は、培養試料、および臨床試料(例えば、喀痰、リンパ節組織の細針吸引物、気管支肺胞洗浄液(BAL))中の結核菌群生物を検出するための定量的RT−PCRの有用性を示す。
臨床試料における定量的RT−PCRによる結核菌群の生物の検出
本実施例は、培養試料、および臨床試料(例えば、喀痰、リンパ節組織の細針吸引物、気管支肺胞洗浄液(BAL))中の結核菌群生物を検出するための定量的RT−PCRの有用性を示す。
1.試料
本実施例で用いた培養試料は、McFarland 0.5(150×106CFU/mL)から始めた、AおよびBと命名された2つの結核菌臨床株の懸濁液であり、連続希釈物を108CFU/mL、106CFU/mL、104CFU/mL、102CFU/mL、10CFU/mLおよび1CFU/mLに等しくなるようにした。2つのさらなる培養抽出物は、Tyrian Diagnosticsにより供給された。
本実施例で用いた培養試料は、McFarland 0.5(150×106CFU/mL)から始めた、AおよびBと命名された2つの結核菌臨床株の懸濁液であり、連続希釈物を108CFU/mL、106CFU/mL、104CFU/mL、102CFU/mL、10CFU/mLおよび1CFU/mLに等しくなるようにした。2つのさらなる培養抽出物は、Tyrian Diagnosticsにより供給された。
本実施例で用いた対照喀痰(A〜Gと命名)は、Royal College of Pathologists Australasia(RCPA)QAPプログラムにより供給された。ストック喀痰は、顕微鏡検査で60〜85 AFB/100HPFを含んでいた。試料AおよびDは結核菌陰性であった。試料A、CおよびEには、薄い濃度のM.アウィウムもスパイクした。
さらに、ICPMRで事前に検査された4つの保存された一揃いの臨床試料を検査した。これらの臨床試料は、2つの喀痰、1つのリンパ節組織の細針吸引物、および1つの気管支肺胞洗浄液からなっていた。
2.RNA抽出
製造元のプロトコルに従ってNucliSENS(登録商標)easyMAG(登録商標)プラットフォーム(bioMerieux,North Carolina,USA)を用いて、各培養試料および各臨床試料からRNAを抽出した。EasyMagは、種々の試料タイプおよび容量からトータル核酸を抽出するためのIVD標識自動化システムであり、生物学的試料からトータル核酸を抽出するように最適化されている。このシステムでは、強化磁性シリカに基づくbioMerieuxのBOOM(登録商標)技術が自動化されている。抽出された核酸を110μLのアリコートとして溶出し、DNアーゼで処理し、それによりRNAを得た。
製造元のプロトコルに従ってNucliSENS(登録商標)easyMAG(登録商標)プラットフォーム(bioMerieux,North Carolina,USA)を用いて、各培養試料および各臨床試料からRNAを抽出した。EasyMagは、種々の試料タイプおよび容量からトータル核酸を抽出するためのIVD標識自動化システムであり、生物学的試料からトータル核酸を抽出するように最適化されている。このシステムでは、強化磁性シリカに基づくbioMerieuxのBOOM(登録商標)技術が自動化されている。抽出された核酸を110μLのアリコートとして溶出し、DNアーゼで処理し、それによりRNAを得た。
3.逆転写
製造元のプロトコルに従ってSuperscript cDNA合成キット(Invitrogen Corporation,USA)を用いた逆転写により、各RNA試料からcDNAを産生した。
製造元のプロトコルに従ってSuperscript cDNA合成キット(Invitrogen Corporation,USA)を用いた逆転写により、各RNA試料からcDNAを産生した。
4.定量的PCR
各cDNA試料を、本明細書の表10に示すプライマーセットを含む別々のPCR反応の鋳型として用いた。
各cDNA試料を、本明細書の表10に示すプライマーセットを含む別々のPCR反応の鋳型として用いた。
Roche LC 480プラットフォームを利用した前述の実施例と本質的に同様に、PCRを行なっが、第1のインキュベーションを、50℃で2分間の後、95℃で5分間、その後、95℃で10秒間の後、60℃で45秒間、各々30〜50サイクルとした。最後に40℃で5分間インキュベートして、反応を完了させた。
5.結果
前述の実施例に示したように、サイクル数を50サイクルから約30サイクルに減らしたときに、あまり非特異的でない増幅産物が生成された。融解曲線からの予想Tm値を有する産物を、本明細書の表10に示すプライマーペアの各々を用いて増幅した。
前述の実施例に示したように、サイクル数を50サイクルから約30サイクルに減らしたときに、あまり非特異的でない増幅産物が生成された。融解曲線からの予想Tm値を有する産物を、本明細書の表10に示すプライマーペアの各々を用いて増幅した。
培養試料では、配列番号27および28からなるプライマーペアにより、少なくとも約104CFU/mLの濃度で特異的な結核菌群ilvCが検出され、配列番号29および30からなるプライマーペアにより、少なくとも約104CFU/mLの濃度で特異的な結核菌群ilvCが検出され、配列番号31および32からなるプライマーペアにより、少なくとも約104CFU/mLの濃度で特異的な結核菌群ilvCが検出され、配列番号19および20からなるプライマーペアにより、少なくとも約106CFU/mLの濃度で特異的な結核菌群ilvCが検出された。Cpカットオフ値は35サイクルであった。結核菌株H37RvおよびCSU93のライセートは、全てのプライマーによる信頼できる検出を示し、この材料について、109CFU/mLよりも大きい試料中の細胞濃度が推定された。試料の細胞数が増加するのに伴って、予想した通り、かつCp値がより小さいことによって示されるように、シグナルを検出するのに必要なサイクルがより少なくなった。
60〜85 AFB/強拡大を達成するために培養細菌を培養物および塗抹陰性喀痰にスパイクして調製されたスパイク喀痰の場合、表10に示すilvCプライマーセットにより、出発材料の1/10希釈物中でilvC配列が特異的に検出され、出発材料の1/100希釈では、配列番号29および30以外の全てのプライマーペアについて、出発材料の1/000希釈では、プライマーペアの配列番号19および20と、配列番号29および30とについて、ilvC配列が特異的に検出された。陰性の喀痰は、全てのアッセイにおいて正しく陰性と同定された。
臨床塗抹および培養陽性喀痰、BAL、ならびにリンパ節針生検(FNA)の場合、配列番号19および20と、配列番号27および28のilvCプライマーセットにより、BAL中でilvC配列が特異的に検出され、配列番号27および28と、配列番号29および30のilvCプライマーセットにより、FNA中でilvC配列が特異的に検出され、表10に示すilvCプライマーセットでは、M.アウィウムを含む喀痰由来の核酸が増幅されなかった。表12は、全ての試料のCp値(サイクル数)を示す。Cp値は、特異的産物がバックグラウンドシグナルを超える、サイクル中で測定される交差点である。
実施例10
ilvC分子ビーコンを用いた核酸配列に基づく増幅(NASBA)
本実施例は、本明細書の実施例2、8および9に記載された増幅プラットフォームをNASBA−分子ビーコンプラットフォームに拡大する支援を提供する。
ilvC分子ビーコンを用いた核酸配列に基づく増幅(NASBA)
本実施例は、本明細書の実施例2、8および9に記載された増幅プラットフォームをNASBA−分子ビーコンプラットフォームに拡大する支援を提供する。
1.分子ビーコンおよびプライマー
分子ビーコンプローブは、Biosearch Technologies(Novato,CA)によって作製され、Vet et al.,Oligonucleotide synthesis:Methods and Applications(Herdewijn,P.編),Humana Press,Totowa,NJ,第288巻,pp.273−290(2004)に記載されている通りに、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製された。ilvc4−MBと命名された分子ビーコンは、次のようなプライマーilvC4F(配列番号33)配列に基づいて作製された。
(化1)
プライマーilvC4F(配列番号33):AAGACGACGTTCAAAGACGA
分子ビーコンプローブは、Biosearch Technologies(Novato,CA)によって作製され、Vet et al.,Oligonucleotide synthesis:Methods and Applications(Herdewijn,P.編),Humana Press,Totowa,NJ,第288巻,pp.273−290(2004)に記載されている通りに、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製された。ilvc4−MBと命名された分子ビーコンは、次のようなプライマーilvC4F(配列番号33)配列に基づいて作製された。
(化1)
プライマーilvC4F(配列番号33):AAGACGACGTTCAAAGACGA
分子ビーコンは、以下のように、配列番号33と、ilvCのmRNAまたは遺伝子の隣接配列には存在しない相補的な5’末端配列および3’末端配列とを含んでいた。
(化2)
ビーコンilvc4−MB(配列番号34):ccgggAAGACGACGTTCAAAGACGAcccgg
(化2)
ビーコンilvc4−MB(配列番号34):ccgggAAGACGACGTTCAAAGACGAcccgg
オリゴヌクレオチドプライマーは、Integrated DNA Technologies(Coralville,IA)により作製された。分子ビーコンのアニーリング部位に隣接するプライマーは、結核菌H37Rvの配列データに基づいて作製され、配列番号31もしくは配列番号32(表10)または以下の配列を含んでいた。
(化3)
プライマーilvC5F(配列番号35):CGTGTTTGGTTGCGGTAGAG;
プライマーilvC6R(配列番号36):GTTTGCTCACCGAACAGGTC;および
プライマーilvC7R(配列番号37):CCGCACAACACCGTTTGCTCACCGAAC
(化3)
プライマーilvC5F(配列番号35):CGTGTTTGGTTGCGGTAGAG;
プライマーilvC6R(配列番号36):GTTTGCTCACCGAACAGGTC;および
プライマーilvC7R(配列番号37):CCGCACAACACCGTTTGCTCACCGAAC
分子ビーコンとともに使用されるリバースプライマーには、3’テール配列が含まれていた。例えば、リバースプライマーは、配列番号32に基づいて作製され、以下の配列を有していた(配列番号32には、下線が付されている)。
分子ビーコンとともに使用されるフォワードプライマーとリバースプライマーの組合せは、プライマー配列と配列番号2に示すilvC配列とのアラインメントに基づくと明白である。例えば、プライマーセットIは、表10(配列番号32)に示すプライマーilvC3Fと、プライマーilvc3R−テール(配列番号38)とを含んでいた。プライマーセットIIは、プライマーilvC5F(配列番号35)とプライマーilvC6R−テール(配列番号39)とを含んでいた。プライマーセットIIIは、プライマーilvC5F(配列番号35)とプライマーilvc3R−テール(配列番号38)とを含んでいた。プライマーセットIVは、プライマーilvC3F(配列番号32)とプライマーilvC6R−テール(配列番号39)とを含んでいた。プライマーセットVは、プライマーilvC3F(配列番号32)とプライマーilvC7R−テール(配列番号40)とを含んでいた。プライマーセットVIは、プライマーilvC5F(配列番号35)とプライマーilvC7R−テール(配列番号40)とを含んでいた。
2.分子ビーコンを用いた培養試料に対する試験的増幅反応
プライマーセットI〜IVおよび分子ビーコンを、4つの結核菌陽性試料由来のDNAを用いた増幅によって評価した。簡潔に述べると、Mx3005Pマルチプレックス定量的PCRシステム(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて、増幅を行なった。増幅のために、20μlの反応液は、1UのAmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems,Foster City,CA)、4mMのMgCl2、250μMの各dNTP、および0.4μMの各プライマー、0.1μMのビーコンを1×PCR緩衝液(Applied Biosystems)中に含んでいた。PCRサイクリング条件は、95℃、10分間の最初の変性段階と、その後の、各々95℃、30秒間(変性)と、それに次ぐ55℃、30分間(アニーリング)および72℃、30秒間(伸長)を含む40サイクルを含んでいた。
プライマーセットI〜IVおよび分子ビーコンを、4つの結核菌陽性試料由来のDNAを用いた増幅によって評価した。簡潔に述べると、Mx3005Pマルチプレックス定量的PCRシステム(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて、増幅を行なった。増幅のために、20μlの反応液は、1UのAmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems,Foster City,CA)、4mMのMgCl2、250μMの各dNTP、および0.4μMの各プライマー、0.1μMのビーコンを1×PCR緩衝液(Applied Biosystems)中に含んでいた。PCRサイクリング条件は、95℃、10分間の最初の変性段階と、その後の、各々95℃、30秒間(変性)と、それに次ぐ55℃、30分間(アニーリング)および72℃、30秒間(伸長)を含む40サイクルを含んでいた。
これらの予備研究から、14.96〜17.81という、上記の4つのプライマーセットI〜IVのサイクル閾値が得られ、結核菌群ilvC核酸の検出におけるその好適性が示された。
3.分子ビーコンを用いた培養試料に対するilvCの定量的アッセイ
4つの結核菌陽性培養試料を得て、本明細書に記載したように、増幅用の鋳型としてRNAを生成した。簡潔に述べると、結核菌陽性試料由来のRNAを鋳型として用いた増幅によって、プライマーセットIおよびIIと分子ビーコンとを評価した。NucliSENS基本キットバージョン2(bioMerieux)を用いて、NASBA反応を行なった。5μlの反応容量は、試薬ミックス(0.2μMの各プライマー、0.1μMの分子ビーコン、2.5μlのRNA鋳型、および2.5μlのNASBA酵素ミックス(bioMerieux))を含んでいた。酵素混合物は、T7 RNAポリメラーゼ、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素、RNアーゼH、およびウシ血清アルブミンを含んでいた。65℃で2分間および41℃で2分間という2段階のインキュベーションの後に、この酵素混合物を反応混合物に添加した。各サイクルについて、41℃、30秒間を180サイクルに設定したStratagene Mx3005PリアルタイムPCRシステム(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて、NASBAアッセイ反応を行なった。各サイクルで1回、蛍光シグナルを測定した。陽性シグナルのカットオフ閾値は、鋳型なしの対照からの終点シグナルよりも15%高いものとして設定した。この対照では、核酸の代わりに、2.5μlのヌクレアーゼフリー水が反応混合物中で用いられた。陽性になるまでの時間は、陽性シグナルが閾値を超える時点として定義した(より短い時間は、より感度の高い検出を示す)。
4つの結核菌陽性培養試料を得て、本明細書に記載したように、増幅用の鋳型としてRNAを生成した。簡潔に述べると、結核菌陽性試料由来のRNAを鋳型として用いた増幅によって、プライマーセットIおよびIIと分子ビーコンとを評価した。NucliSENS基本キットバージョン2(bioMerieux)を用いて、NASBA反応を行なった。5μlの反応容量は、試薬ミックス(0.2μMの各プライマー、0.1μMの分子ビーコン、2.5μlのRNA鋳型、および2.5μlのNASBA酵素ミックス(bioMerieux))を含んでいた。酵素混合物は、T7 RNAポリメラーゼ、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素、RNアーゼH、およびウシ血清アルブミンを含んでいた。65℃で2分間および41℃で2分間という2段階のインキュベーションの後に、この酵素混合物を反応混合物に添加した。各サイクルについて、41℃、30秒間を180サイクルに設定したStratagene Mx3005PリアルタイムPCRシステム(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて、NASBAアッセイ反応を行なった。各サイクルで1回、蛍光シグナルを測定した。陽性シグナルのカットオフ閾値は、鋳型なしの対照からの終点シグナルよりも15%高いものとして設定した。この対照では、核酸の代わりに、2.5μlのヌクレアーゼフリー水が反応混合物中で用いられた。陽性になるまでの時間は、陽性シグナルが閾値を超える時点として定義した(より短い時間は、より感度の高い検出を示す)。
プライマーセットのIとIIの両方で、約30〜60分で、陽性増幅産物、すなわち、バックグラウンドを上回る産物が得られ、プライマーセットIIでは、37〜50分以内に、これらの培養試料から有意に高いレベルの増幅産物が得られた。
4.合成RNA転写産物からの増幅
この増幅系をさらに評価するために、ilvC配列に基づく合成RNA内部転写産物を産生し、これを用いて、プローブ/プライマー組合せの感度を決定した。簡潔に述べると、T7プロモーター配列に連結されたフォワードプライマーを用いて、DNAアンプリコンを産生した。DNAアンプリコンを精製した後、RNAMaxx高収率転写キット(Stratagene)を用いたインビトロでの転写によって、合成RNA転写産物を産生し、その後、RNアーゼフリーDNアーゼI(NEB,Ipswich,MA)により37℃で30分間処理した。RNAクリーンアッププロトコル(Qiagen)に従ってRNeasyキットを用いて、RNA産物を精製した。精製したRNA標的をQuant−iT RiboGreen RNA定量キット(Molecular Probes,Invitrogen,Carlsbad,CA)により定量した。RNAコピー数を計算した。次に、ilvC NASBAの感度を評価した。109〜102コピーの合成RNA標的の希釈系列も用いて、アッセイ標準曲線を作成し、プライマーセットIおよびIIを用いて前述の節と同様にNASBAを行なった。105〜102コピーの合成RNA標的の希釈系列も用いて、アッセイ標準曲線を作成し、プライマーセットIII、IV、VおよびVIを用いて前述の節と同様にNASBAを行なった。
この増幅系をさらに評価するために、ilvC配列に基づく合成RNA内部転写産物を産生し、これを用いて、プローブ/プライマー組合せの感度を決定した。簡潔に述べると、T7プロモーター配列に連結されたフォワードプライマーを用いて、DNAアンプリコンを産生した。DNAアンプリコンを精製した後、RNAMaxx高収率転写キット(Stratagene)を用いたインビトロでの転写によって、合成RNA転写産物を産生し、その後、RNアーゼフリーDNアーゼI(NEB,Ipswich,MA)により37℃で30分間処理した。RNAクリーンアッププロトコル(Qiagen)に従ってRNeasyキットを用いて、RNA産物を精製した。精製したRNA標的をQuant−iT RiboGreen RNA定量キット(Molecular Probes,Invitrogen,Carlsbad,CA)により定量した。RNAコピー数を計算した。次に、ilvC NASBAの感度を評価した。109〜102コピーの合成RNA標的の希釈系列も用いて、アッセイ標準曲線を作成し、プライマーセットIおよびIIを用いて前述の節と同様にNASBAを行なった。105〜102コピーの合成RNA標的の希釈系列も用いて、アッセイ標準曲線を作成し、プライマーセットIII、IV、VおよびVIを用いて前述の節と同様にNASBAを行なった。
これらの実験では、プライマーセットIおよびIIにより、約20〜60分でバックグラウンドを上回るレベルのilvC RNAが検出され、プライマーセットIIにより、これらの試料からより早い期間で顕著に高いレベルの増幅産物が得られた。プライマーセットIIIにより、50.9分以内にバックグラウンドを上回るレベルの105コピーのilvC RNAが検出され、54.1分以内にバックグラウンドを上回る104コピーのilvC RNAが検出された。プライマーセットVにより、47.5分以内にバックグラウンドを上回る105コピーのilvC RNAが検出され、49.5分以内にバックグラウンドを上回る104コピーのilvC RNAが検出された。これらのデータは、プライマーセットI、II、IIIおよびVが、ilvC mRNAの特異的検出に有用であることを示している。
5.結核菌RNA転写産物からの増幅
この増幅系をさらに評価するために、本明細書で上に記載したのと同じ条件下でTB RNA試料を用いて、プライマーセットIおよびIIも検査した。この場合もやはり、プライマーセットIIによって、プライマーセットIよりも早い期間でより高いレベルの特異的アンプリコンが得られた。
この増幅系をさらに評価するために、本明細書で上に記載したのと同じ条件下でTB RNA試料を用いて、プライマーセットIおよびIIも検査した。この場合もやはり、プライマーセットIIによって、プライマーセットIよりも早い期間でより高いレベルの特異的アンプリコンが得られた。
6.細胞培養物から単離されたRNAの回収
固形培地から擦り取られた結核菌培養物からRNAを単離した。RNAの質は、RNAをゲル電気泳動した後の調製物における23Sおよび16Sバンドの存在によって評価した。上記のアッセイ条件下で、上記のプライマーセットIIを、標準としての上記の合成RNAの希釈系列と一緒に用いて、RNAをRT増幅にかけた。本研究により作成された標準曲線から、RNAコピー数を決定した。
固形培地から擦り取られた結核菌培養物からRNAを単離した。RNAの質は、RNAをゲル電気泳動した後の調製物における23Sおよび16Sバンドの存在によって評価した。上記のアッセイ条件下で、上記のプライマーセットIIを、標準としての上記の合成RNAの希釈系列と一緒に用いて、RNAをRT増幅にかけた。本研究により作成された標準曲線から、RNAコピー数を決定した。
これらの実験では、合成RNA標準の産生までの時間(TTP)は、109コピーのRNAでは、22.11分であり、104コピーでは67.66分にまで増加した。少なくとも109〜104コピーの線形範囲が実用的に許容可能である(R2=0.999)。
結核菌培養試料により、35.58分〜50.35分で特異的なilvC増幅産物が得られ、以前の検査と一致した。プライマーセットIIは、これらの条件下で少なくとも9.61×104コピーのilvC RNAを検出することができた。プライマーセットVは、これらの条件下で約103コピーのilvC RNAを検出することができた。
培養物で達成される検出レベルは、一次喀痰標本で達成可能なものよりも感度が低いことが事前に示されている。したがって、本発明者らは、本明細書におけるプローブとプライマーとともに一次喀痰を用いて、単離し、増幅感度を検査しているところである。
Claims (51)
- 結核菌群の1以上のマイコバクテリアの存在を特異的に検出する方法であって、試料中の前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、M.アウィウム群のilvC核酸を検出しない条件下で検出することを含む、方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を検出することが、1以上のilvC核酸を増幅し、それにより、増幅されたilvC核酸を生成させることと、前記増幅された核酸を検出することとを含み、ここで、増幅されたilvC核酸の検出が、前記試料中の前記結核菌群の1以上の該マイコバクテリアの存在を示す、請求項1に記載の方法。
- 前記検出されたilvC核酸が、結核菌ilvCのDNAまたはRNAの配列を含む、請求項1または2に記載の方法。
- 前記結核菌群の生物が、結核菌、ウシ型結核菌、M.アフリカヌム、M.カネッティおよびネズミ型結核菌またはそれらの組合せから選択される、請求項1または2に記載の方法。
- 前記結核菌群の生物が、結核菌およびウシ型結核菌またはそれらの組合せから選択される、請求項4に記載の方法。
- 前記結核菌群の生物が結核菌である、請求項4に記載の方法。
- 前記結核菌が結核菌の臨床株または臨床分離株である、請求項6に記載の方法。
- 前記結核菌群の生物がウシ型結核菌である、請求項4に記載の方法。
- M.アウィウム群のマイコバクテリアがM.アウィウムである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- M.アウィウム群のマイコバクテリアがM.イントラセルラーレである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を検出することが、温度サイクリングを伴う増幅反応を行なうことを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を検出することが、温度サイクリングを伴わない増幅反応を行なうことを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記増幅反応が、RNAの逆転写により生成された一本鎖もしくは二本鎖のcDNA鋳型またはDNA/RNAハイブリッド分子を用いて行なわれる、請求項11または12に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、配列番号2の長さが少なくとも20の連続するヌクレオチドの配列またはそれに相同な前記結核菌群の1以上のマイコバクテリア由来の配列のilvC核酸を検出することを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
- 配列番号2の長さが少なくとも40の連続するヌクレオチドの配列またはそれに相同な前記結核菌群の1以上のマイコバクテリア由来の配列のilvC核酸を検出することを含む、請求項14に記載の方法。
- 配列番号2の長さが少なくとも50の連続するヌクレオチドの配列またはそれに相同な前記結核菌群の1以上のマイコバクテリア由来の配列のilvC核酸を検出することを含む、請求項14に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を検出することが、1以上のilvC核酸を増幅し、それにより、増幅されたilvC核酸を生成させることと、前記増幅された核酸を検出することとを含み、ここで、該増幅することが、配列番号2の長さが少なくとも50の連続するヌクレオチドのアンプリコンまたはそれに相同な前記結核菌群の1以上のマイコバクテリア由来の配列を生成させる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アンプリコンが、配列番号2の長さが少なくとも80の連続するヌクレオチドまたはそれに相同な前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアの配列を含む、請求項17に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、各々配列番号2のその位置420から位置600までの少なくとも約18の連続するヌクレオチドの配列、または配列番号2に相補的なその位置420から位置600までの配列を含む1つまたは複数のプライマーを用いて増幅反応を行なうことを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、各々配列番号2のその位置40から位置180までの少なくとも約18の連続するヌクレオチドの配列、または配列番号2に相補的なその位置40から位置180までの配列を含む1つまたは複数のプライマーを用いて増幅反応を行なうことを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、各々配列番号2のその位置880から位置1000までの少なくとも約18の連続するヌクレオチドの配列、または配列番号2に相補的なその位置880から位置1000までの配列を含む1つまたは複数のプライマーを用いて増幅反応を行なうことを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、30回未満の増幅サイクルで増幅反応を行なうことを含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、約12回の増幅サイクルから約27回の増幅サイクルで増幅反応を行なうことを含む、請求項22に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、約14回の増幅サイクルから約20回の増幅サイクルで増幅反応を行なうことを含む、請求項22に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、約2ng/ml未満のインプットの原核生物核酸に対して増幅反応を行なうことを含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、1つまたは複数の増幅プライマーと、前記増幅プライマーの核酸産物にハイブリダイズし、それにより検出可能なシグナルを生じさせることができる配列を含む標識プローブとを用いて増幅反応を行なうことを含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、1つまたは複数の増幅プライマーと、前記増幅プライマーの少なくとも1つに結合することができる標識プローブとを用いて増幅反応を行なうことを含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
- 前記試料が培養結核菌細胞を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
- 前記試料が喀痰を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
- 前記試料が気管支肺胞洗浄液(BAL)を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
- 前記試料がリンパ節生検を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
- 前記試料が、血液、血清、血漿、血液画分、血清画分または血漿画分を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
- 前記試料が尿を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、少なくとも約104コピーのilvC核酸を約60分未満で検出するのに十分な条件下で増幅反応を行なうことを含む、請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、少なくとも約103コピーのilvC核酸を約60分未満で検出するのに十分な条件下で増幅反応を行なうことを含む、請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
- 前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出することなく検出することが、少なくとも約104CFU/mlの前記結核菌群のマイコバクテリアを検出するのに十分な条件下で増幅反応を行なうことを含む、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
- 試料中の前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアの1以上の核酸を検出することをさらに含み、ここで、前記1以上の核酸がilvC核酸以外のものである、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ilvC核酸以外の1以上の核酸が16s rRNAである、請求項37に記載の方法。
- 前記ilvC核酸以外の1以上の核酸が、BSX、S9、Rv1265、EF−Tu、P5CR、TetR様タンパク質およびグルタミン合成酵素からなる群から選択されるタンパク質をコードする核酸、またそれらに相補的な核酸である、請求項37に記載の方法
- ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行ない、それにより、配列番号4、6、8、10、12、14および16からなる群から選択される配列の長さが少なくとも20の連続するヌクレオチドの配列を含む核酸を検出することを含む、請求項39に記載の方法。
- 増幅反応を行ない、それにより、該核酸が前記試料中に存在するときに、前記ilvC核酸以外の1以上の核酸の、長さが少なくとも50の連続するヌクレオチドのアンプリコンを生成させることを含む、請求項37〜40のいずれか一項に記載の方法。
- 対象における前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアによる感染を診断するためのプロセスであって、対象由来の生物学的試料に対して請求項1〜41のいずれか一項に記載の方法を行ない、それにより、試料中の前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出しない条件下で検出することを含み、ここで、前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアの1以上のilvC核酸の検出が感染を示す、プロセス。
- 前記感染が活動性感染である、請求項42に記載のプロセス。
- 前記感染が潜伏感染である、請求項42に記載のプロセス。
- 対象における結核を診断するためのプロセスであって、対象由来の生物学的試料に対して請求項1〜41のいずれか一項に記載の方法を行ない、それにより、試料中の前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアのilvC核酸を、前記M.アウィウム群のilvC核酸を検出しない条件下で検出することを含み、ここで、前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアの1以上のilvC核酸の検出が結核を示す、プロセス。
- 前記結核が肺結核である、請求項45に記載のプロセス。
- 前記結核が肺外結核である、請求項45に記載のプロセス。
- 前記対象における結核の1以上の臨床症状を診断することをさらに含む、請求項45〜47のいずれか一項に記載のプロセス。
- 前記対象における免疫抑制の1以上の臨床症状を診断することをさらに含む、請求項45〜48のいずれか一項に記載のプロセス。
- 前記対象におけるHIV感染を診断することをさらに含む、請求項45〜49のいずれか一項に記載のプロセス。
- 結核または前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアによる感染を治療するためのプロセスであって、
(i)対象由来の生物学的試料に対して請求項1〜41のいずれか一項に記載の方法を行ない、それにより、前記試料中の前記結核菌群の1以上のマイコバクテリアを検出することと、
(ii)治療有効量の薬学的組成物を前記対象に投与し、それにより、前記対象の肺、血液またはリンパ系における病原菌の数を減少させることと、を含むプロセス。
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