JP2012515785A - オレフィン製造用断熱反応器 - Google Patents

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Abstract

炭化水素供給原料からオレフィンを製造する方法を提供する。一態様では、本発明の方法は、熱分解炉を貫通するコイルを使用して炭化水素供給原料をオレフィンに一部転化した後、断熱反応器内で炭化水素供給原料をさらに転化させる。熱分解炉内のコイルの一部は炭化水素供給原料を輸送し、残りは水蒸気だけを輸送する。選択された期間後に、コイルを流通する材料を切り換える。前に炭化水素供給原料が入っていたコイルに水蒸気を流通させることによって、オンラインデコーキングを行うことができる。別の態様では、高温反応器を使用してメタン又は天然ガスをオレフィンに転化する。

Description

本発明は、改善されたオレフィン製造方法に関する。一態様では、本発明の製造方法は、熱分解炉を貫通するコイルを使用して、炭化水素供給原料をオレフィンに一部転化した後、断熱反応器内で炭化水素供給原料をさらに転化する。別の態様では、高温反応器を使用して、メタン又は天然ガスをオレフィンに転化する。
エチレン及びプロピレン等のオレフィンは、ポリエチレン及びポリプロピレン等の生成物の製造に使用される有用な炭化水素である。オレフィンは、通常、炭化水素供給原料の熱分解によって製造される。熱分解法では、ナフサ等の比較的重質な炭化水素を高温で分解し、炭素数2〜4のオレフィンを製造する。
比較的重質な炭化水素を分解してオレフィンを製造する方法が幾つか存在する。一般的に使用されている方法の1つでは、転化される供給原料は、その供給原料を炉内の複数のコイルを通過させることにより、炉内で加熱される。コイルは、炉の内部からコイル内の供給原料への伝熱を向上させるように配置されている。供給原料を加熱して分解し、コイルの出口からの分解流出物を急冷して分解反応を停止させる。
炭化水素をこのようにして分解すると、コークを含む様々な副生成物が生成する。コークがコイルの内面に生成し、炉から炭化水素供給原料への伝熱を妨げる。コイル内で生成するコークの量は、炭化水素供給原料の転化レベルに正比例する。輻射熱が金属コイルに供給されるので、コークの析出によって伝熱が妨げられて金属コイルの温度の上昇が起こり、コイルに損傷が起こり得る。ある時点で、コーク付着物は、デコーキングのためにコイルを製造ラインから取り外さなければならない程度まで伝熱を妨げる。デコーキングは、通常、水蒸気と空気を使用し、コイル内部からコークを燃焼除去する。デコーキングプロセスでは設備を製造ラインから取り外すことを必要とするので、デコーキングプロセス中は、反応器でのオレフィンの製造を停止する。
生成するコークの量を低減するために、供給原料に希釈水蒸気を添加してもよい。例えば、従来の方法の1つでは、炭化水素供給原料は、炉の対流部の1つ以上のコイルを通って、熱分解炉に入る。希釈水蒸気は、水蒸気と供給原料の割合が一定に維持されるように、典型的には、炭化水素供給原料1ポンド当たりの水蒸気が0.3〜0.6ポンドの範囲に維持されるように、各コイルに添加される。水蒸気/供給原料混合物は、水蒸気/供給原料混合物が炭化水素からオレフィンに分解及び転化するために必要な温度に加熱される輻射部に入る前に、炉の対流部でさらに加熱されてもよい。混合物中の希釈水蒸気によって、管内におけるコークの生成が低減する。次いで、コイルからの流出物は急冷され、粗生成物は貯蔵又は処理のために移送される。
希釈水蒸気を使用しても、コークが生成するという問題は存在する。幾つかの方法では、熱分解炉の下流で断熱反応器を使用し、炭化水素からオレフィンへの転化を向上させながら、輻射ゾーンでのコイルへの付着を低減してきた。これらの方法では、前述のタイプの熱分解炉を使用し、反応条件、特に、温度と流量を制御して、炉のコイル内での炭化水素からオレフィンへの転化率を低減する。コイル内での転化率を低減すると、コークの生成が低減する。下流で断熱反応器を使用して、さらに供給原料からオレフィンに転化し、それによって全転化率を向上させる。これらの方法でも、コークの生成により、デコーキングのための定期的な停止時間が必要となる。
前述の方法では、ナフサ等の比較的重質の炭化水素を供給原料として使用する。メタンの転化には開始剤又は比較的高い温度(1100℃より高温)が必要であるため、オレフィンを製造するための供給原料としてメタン又は天然ガスなどの比較的軽質の炭化水素を使用することは限られてきた。必要な温度は、一般的な熱分解炉で達せられる温度より高い。例えば、メタンからオレフィンを製造するBenson法は、高温でフリーラジカル開始剤として塩素を使用する。この方法は、非常に腐食性の高い状態を作り出し、そのため費用がかかり、運転が困難である。
メタンをオレフィンに転化するのに使用される別の方法は、メタンの酸化カップリングである。この方法では、メタンは、部分的に燃焼される。転化反応を促進するのに適した触媒が必要である。
メタンや天然ガスは豊富に存在し、他の炭化水素と比べて比較的安価であるため、メタンや天然ガスをオレフィンに転化する改善された方法を有することが望ましい。また、デコーキングのための反応器又は熱分解炉の停止時間を短縮するという結果をもたらす、ナフサ又は他の炭化水素の分解法を有することも望ましい。
本発明は、炭化水素供給原料からオレフィンを製造する改善された製造方法に関する。製造方法の一形態では、複数のコイルを有する熱分解炉を使用して、炭化水素供給原料を分解する。第1の運転期間中、複数のコイルの1つ以上が炭化水素供給原料と希釈水蒸気の混合物を輸送し、複数のコイルの残りは水蒸気だけを輸送する。熱分解炉内において、コイルの内容物が加熱される。炭化水素と水蒸気の混合物を輸送する1つ以上のコイル内で、炭化水素は、炭化水素をオレフィンに一部転化するのに十分な温度に加熱される。温度及び滞留時間は、所望の炭化水素転化レベルが得られるように制御される。
水蒸気だけを輸送するコイル内において、コイル内の水蒸気は過熱される。コイル流出物を合流させて断熱反応器に移送し、さらに供給原料をオレフィン生成物に転化させる。コイル流出物を合流させることにより流体−流体間の伝熱が起こり、断熱反応器内において、炭化水素供給原料をオレフィンに転化するのに必要なエネルギーが過熱水蒸気から提供される。断熱反応器からの生成物は、ガスの温度を低下させて転化反応を停止するために、急冷装置に供給される。急冷装置からの生成物流は、貯蔵又はさらなる処理のために移送されてもよい。
単体の水蒸気は、付着が起こった輻射コイルをデコーキングするのに使用することができる。そのため、選択された期間後に、管を通る流れを切り換えて、熱分解炉の第2の期間の運転を行うことができる。第2の運転期間中は、前に炭化水素供給原料が入っていたコイルを、水蒸気だけが流通する。水蒸気の温度が高く、運転時間が長いので、第1の運転期間中にこれらのコイル内に析出したコークは、低減又は完全に除去される。第2の運転期間の終わりにコイルを通る流れを再び切り換え、第2の運転期間中に炭化水素の分解に使用されたコイルのデコーキングを行うことができる。このようにして材料流を必要に応じて交替させて、炭化水素からオレフィンへの所望の転化率を得ることができる。コイル内で輸送される材料を順次交替させてコイルのオンラインデコーキングを行うと、オフラインデコーキングを行うための運転停止と運転停止の間の運転時間が長くなる。
熱分解炉は、炭化水素供給原料を予熱するための対流ゾーンと、炭化水素供給原料をオレフィンに転化するのに必要な温度に加熱する輻射ゾーンとを有するように設計されてもよい。他の形態では、急冷装置から熱を回収し、製造プロセスで必要とされる希釈水蒸気の少なくとも一部を生成してもよい。
製造方法の別形態では、メタン又は天然ガスをオレフィンに転化する。この形態では、セラミックス断熱材料を使用して内部が断熱されている反応器が提供される。反応器は、内部にセラミックス断熱材を有する管型反応器であってもよい。
反応器の1段目に水素と酸素を導入し、燃焼させる。通常、化学量論量より少ない酸素が使用される。反応器の1段目は、燃焼により、通常、1200℃以上の非常に高い温度になる。過剰量の水素から水素フリーラジカルも生成する。メタン又は天然ガスを反応器の2段目に注入し、解離させてCH フリーラジカルを生成する。フリーラジカル反応を開始させ、水素、アセチレン、エチレン及び少量の比較的重質の炭化水素を生成する。反応に必要な熱は、反応器の1段目で発生した高温ガスを冷却することによって得られる。反応器からの流出物は、従来の設備で急冷することが可能になるほど十分に冷却される。
本製造方法の利点として、運転時間が比較的長く、稼働率が比較的高いので、生産工程の経済性が向上することが挙げられる。他の方法と比較的して、高いオレフィン収率を得ることもできる。さらに、幾つかの形態では、比較的安価なメタン又は天然ガスを供給原料として使用することができる。本製造方法の他の利点は、後述の詳細な説明によって、当業者に明らかになる。
図1は、本発明における製造方法の一実施形態の概略図であり、2つのコイルを有する熱分解炉を示す。
図2は、本発明の製造方法の一実施形態の概略図であり、熱分解炉が対流ゾーンと輻射ゾーンを有し、希釈水蒸気が輻射ゾーンに入る前に炭化水素供給原料に注入されるものである。
図3は、水蒸気ドラムと、急冷装置からの熱を回収するための関連ラインとを備えている、図2の熱分解炉の概略図である。
図4は、製造方法の一実施形態の概略図であり、メタン又は天然ガスを分解してオレフィンを生成するために使用される反応器である。
図5は、様々な反応器温度における、オレフィンに転化されるメタンの割合と反応器内での滞留時間との関係を示すグラフである。
図6は、メタン又は天然ガスを分解してオレフィンを生成するための、管型反応器の概略図である。
本発明の製造方法の一実施形態では、熱分解炉及び断熱反応器を使用して、炭化水素供給原料を分解しオレフィン生成物を生成する。一般に、熱分解炉は複数のコイルを備える。複数のコイルの一部には、分解される炭化水素供給原料(例えば、ナフサなど)及び希釈水蒸気が入っている。複数のコイルの残部には、水蒸気だけが入っている。炭化水素と水蒸気の流れが熱分解炉を通過する際に、炭化水素供給原料の一部がオレフィンに転化される。水蒸気だけが入っているコイルでは、水蒸気が、熱分解炉を通過する際に過熱される。
コイルからの出口流を合流させて断熱反応器に供給し、そこで炭化水素供給原料をさらに転化させる。混合流では流体−流体間の伝熱が起こるので、過熱された希釈水蒸気の熱は、断熱反応器内で炭化水素をさらに転化するのに必要なエネルギーを提供する。
コイル内で炭化水素をオレフィンに転化すると、コークを含む様々な副生成物がコイルの内面に生成する。一定期間後に、コイル内の材料流を切り換えて、炭化水素供給原料と希釈水蒸気を輸送したコイルが水蒸気だけを輸送するようにし、水蒸気だけを輸送したコイルが炭化水素供給原料と希釈水蒸気を輸送するようにする。前に炭化水素供給原料と水蒸気を輸送したコイルに水蒸気だけを通過させることにより、コイル内に析出したコークが、低減又は除去される。これによって、デコーキングのための運転停止と運転停止の間の炉の運転時間が長くなる。
断熱反応器からの出口流は、合流したガス流を冷却して炭化水素転化反応を停止するために、急冷装置に供給される。急冷装置からの生成物流は、貯蔵又は更なる処理のために移送される。
本発明のこの態様の実施形態の説明を下記に記載する。これらの説明は一例として記載されており、本明細書に記載されている又は添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の全体の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
本製造方法の一実施形態の概略図を図1に示す。この概略図は、2つのコイルを有する炉を示している。後述する本製造方法で使用する炉は、任意の数のコイルを有していてもよいことを当業者は理解し得る。さらに、3つ以上のコイルを有する炉では、例えば、2つの炭化水素供給原料/水蒸気コイルと1つの水蒸気だけのコイル、3つの炭化水素/水蒸気コイルと2つの水蒸気だけのコイル、等の様々な流れの構成が使用されるように、コイルを配置してもよい。本明細書に記載の情報を使用する当業者は、炭化水素供給原料の所望の転化率を達成するために、熱分解炉内におけるコイルを通る流れをどのように配置するかを容易に決定することができる。
図1を参照すると、2つのコイル(12)、(14)を有する熱分解炉(10)が示されている。第1の運転期間中、分解される炭化水素供給原料と希釈水蒸気の混合物が、ライン(11)を通してコイル(12)に供給される。炭化水素供給原料に対する希釈水蒸気の割合は、通常、重量で0.1〜1.0の範囲である。必要に応じて、炭化水素供給原料を希釈水蒸気なしで熱分解炉に供給してもよい。希釈水蒸気の添加前又は添加後に、コイル(12)への炭化水素供給原料を予熱してもよい。後述のように、幾つかの実施形態では、熱分解炉は、炭化水素供給原料を水蒸気と混合する前に炭化水素供給原料を予熱する対流部を有していてもよい。炭化水素供給原料は、通常、250℃〜750℃の温度で熱分解炉に供給される。
第1の運転期間中、コイル(14)にはライン(13)を通して水蒸気だけが供給される。水蒸気は、通常、150℃〜800℃の温度で供給される。コイルは熱分解炉を通過しており、各コイルの内容物は、熱分解炉の内壁のバーナによって加熱される。
コイル(12)内の炭化水素供給原料が炉(10)を通過する際に、炭化水素供給原料は、炭化水素供給原料の一部をオレフィンに転化するのに十分な温度、通常、700℃〜800℃の温度に加熱される。コイル内の流量は、所望の炭化水素転化レベルを得るために炉内において必要である炭化水素供給原料の滞留時間を達成するように維持される。通常、炉内での滞留時間は、100ミリ秒〜800ミリ秒である。コイル(12)内の炭化水素の一部は、オレフィンに転化される。転化度は、反応器内の温度及び滞留時間を調整することによって制御される。この炉における炭化水素の転化率は、炭化水素の分解に使用される従来の熱分解炉よりも低く、約50%の範囲であってもよい。炭化水素転化率が従来の炉よりも低いので、炉のコイル内で生成するコークの量が少ない。
コイル(14)内の水蒸気が炉を通過する際に、水蒸気が過熱される。通常、水蒸気は、10psig〜200psigの圧力で900℃〜1100℃の温度に過熱されることになる。水蒸気は比熱が小さく、コイル内では炭化水素の転化のための熱が必要とされないので、この水蒸気は過熱される。この運転段階では、コイル(14)内で炭化水素の転化が起こらないので、コークは生成されない。
炉(10)からのコイル出口流(18、16)は、ヘッダ(22)で合流して、断熱反応器(20)に供給される。熱分解反応炉内での炭化水素の転化により、コイル出口の温度は、通常、750℃〜1000℃である。断熱反応器は、別々の反応容器であってもよく、又は、コイルの延長部若しくは拡径部を有する結合コイルヘッダ(22)であってもよい。断熱反応器は、熱分解炉内の高温の燃焼排ガスに曝されないので、反応器を断熱して、周囲への熱損失を最小限に抑えてもよい。また、断熱反応器には比較的安価な材料を使用してもよい。入口及び出口は、好ましくは、最小限の圧力損失で炭化水素と水蒸気の迅速な混合を促進し、反応器内のデッドゾーンを最小限若しくはなくすように設計される。設計は、断熱反応器内でのコークの生成が最小限に抑えられるようにすべきである。
反応器の容積、及び、管型反応器の長さと直径との比は、炭化水素供給原料の所望の転化が起こるのに十分な滞留時間が得られるように選択される。複数の断熱反応器を使用してもよい。各断熱反応器を急冷装置に直接接続してもよい。一実施形態では、急冷装置はトランスファーライン交換器(transferline exchanger)であり、断熱反応器がトランスファーライン交換器の設計に組み込まれている。トランスファーライン交換器は、通常、入口滞留時間を最小限にするように設計される。炭化水素のさらなる転化を可能にするために入口滞留時間が増加するようにトランスファーライン交換器を設計することによって、トランスファーライン交換器の入口部分は断熱反応器として機能することができる。これによって、システムの総費用を最小限に抑えることができる。あるいは、個別の断熱反応器の必要性をなくすことができる。
炉内で複数のコイルが使用される場合、単一の断熱反応器に2つ以上のコイルを供給してもよい。単一のコイルを、前述したトランスファーライン交換器と一体化した複数の断熱反応器等の、複数の断熱反応器に供給してもよい。急冷装置はまた、従来のシェル及び管型熱交換器、二重管式又は線形交換器、又は、クイッククエンチャー(quick quencher)であってもよい。
断熱反応器において、過熱水蒸気は、炭化水素をオレフィンにさらに転化するためのエネルギーを提供する。混合されたガスは、断熱反応器内での転化プロセスの間に、通常、950℃から700℃の温度に冷却される。全体で70%以上の転化率を達成することができる。
反応生成物(24)は、断熱反応器から急冷装置(30)に供給される。ガスは断熱反応器内で冷却されるので、当業者に既知のどのタイプの急冷装置を使用してもよい。急冷装置のための冷却は外部冷却源によって行われてもよく、又は、後述のように、急冷プロセスで熱を回収して、本製造方法に必要な水蒸気を発生させるのに使用してもよい。一実施形態では、トランスファーライン交換器(TLE)タイプの急冷装置を本製造方法に使用してもよい。急冷された粗生成物(26)は、貯蔵又は更なる処理のために急冷装置から移送される。
コイル(14)及び(16)を通して供給される材料は、選択期間後に、第2の運転期間のために切り換えられる。第1のコイル(12)には水蒸気だけを供給し、第2のコイル(14)には炭化水素と水蒸気の混合物を供給する。コイル(12)を通る水蒸気流は、第1の運転期間中にコイル内に析出したコークを除去する。このオンラインデコーキングは、オフラインデコーキングとオフラインデコーキングの間の期間が長くなるようにシステムを運転することを可能にする。第2のコイル(14)内の炭化水素は、前述のようにオレフィンに転化され、ヘッダ(22)内で、第1のコイル(12)内で発生した水蒸気と混合される。第2の運転期間中、温度、流量及び他の条件は、前述のように維持される。
コイルを通る流れを第2の運転期間の最後に再び切り換え、第2の運転期間中に炭化水素を分解するために使用されたコイルのデコーキングを行うことができる。このように必要に応じて材料流を交替させ、炭化水素のオレフィンへの所望の転化率を得ながら、コイル内のコークレベルを低く維持することができる。コイル内を輸送される材料を順次交替させることによってコイルのオンラインデコーキングを行うと、その結果、オフラインデコーキングのための運転停止と運転停止の間の運転時間が長くなる。
ここで図2を参照すると、本製造方法の別の実施形態の概略図が示されており、熱分解炉(110)が、対流部(109)と輻射部(111)を備えている。第1の運転期間では、炭化水素供給原料(108)は、炉(110)の対流部(109)内の第1のコイル(112)に入り、予熱される。炭化水素供給原料は、通常、30℃〜200℃の温度で熱分解反応炉に供給される。熱分解炉の対流部は、通常、100℃〜1200℃の温度に維持される。予熱後に、炭化水素供給原料(113)は希釈水蒸気(119)と混合され、炭化水素/水蒸気混合物(125)は炉の輻射部(111)内のコイル(127)に供給される。輻射部(111)で、炭化水素/水蒸気混合物は加熱され、炭化水素は一部オレフィンに転化される。熱分解炉の輻射部は、通常、1000℃〜1300℃の温度で運転され、炭化水素/水蒸気混合物は700℃〜850℃の温度に加熱される。炉の輻射部内での滞留時間は、通常、100ミリ秒〜800ミリ秒である。図2に示す実施形態では、希釈水蒸気は、予熱された炭化水素供給原料に炉の外部で加えられる。必要に応じて、水蒸気添加ラインが、炉の壁の内側でコイルに希釈水蒸気を注入してもよい。
第2のコイル(129)では、水蒸気が、水蒸気ライン(121)を通って供給され、コイル(129)を通って輻射部(111)を通過する。水蒸気は、希釈水蒸気温度で入り、炉の輻射部で過熱される。水蒸気は、通常、10psig〜200psigの圧力で900℃〜1100℃の温度に過熱される。
あるいは、第1の運転期間中、水蒸気は、ライン(107)を通ってコイル(114)に供給され、対流部(109)で予熱されてもよい。水蒸気は、ライン(115)及び(123)を通って炉の輻射部内のコイル(129)に流れることになる。必要に応じて、水蒸気の一部は、対流部を通って供給されてもよく、ライン(121)を通って追加の水蒸気が加えられてもよい。水蒸気は、前述したように炉の輻射部で過熱される。
コイルの出口流(118)及び(116)は、ヘッダ(122)内で合流し、断熱反応器(120)に供給される。コイル出口温度は、通常、750℃〜1000℃である。断熱反応器は、前述したタイプのものであってもよい。断熱反応器内で、過熱水蒸気は、流体−流体間の伝熱により、炭化水素をオレフィンにさらに転化するためのエネルギーを提供する。混合されたガスは、転化プロセス中に冷却される。全体で70%以上の転化率を達成することができる。反応生成物(122)は、断熱反応器から急冷装置(130)に供給(124)される。ガスは断熱反応器内で冷却されるので、当業者に既知の任意のタイプの急冷装置を使用してもよい。例えば、トランスファーライン交換器(TLE)タイプの急冷装置を本製造方法に使用してもよい。急冷された粗生成物(126)は、貯蔵又は更なる処理のために急冷装置から移送される。
選択期間後に、コイル(127)及び(129)を通して供給される材料は、第2の運転期間のために切り換えられる。第2の運転期間中、炭化水素供給原料が、供給ライン(107)によって炉(110)の対流部(109)内のコイル(114)に供給され、予熱される。予熱後に、炭化水素流(115)は希釈水蒸気(121)と混合され、炭化水素/水蒸気混合物(123)が、炉の輻射部(111)内のコイル(129)に供給される。輻射部(111)において、炭化水素/水蒸気混合物が加熱され、炭化水素が、前述のように一部オレフィンに転化される。
コイル(127)では、水蒸気が水蒸気ライン(119)を通して供給され、コイル(127)を通って輻射部(111)を通過する。水蒸気は、希釈水蒸気温度で入り、前述したように炉の輻射部で過熱される。
あるいは、第2の運転期間中、水蒸気は、ライン(108)を通ってコイル(112)に供給され、対流部(109)で加熱されてもよい。水蒸気は、ライン(113)及び(125)を通って炉の輻射部内のコイル(127)に流れることになる。必要に応じて、水蒸気の一部は、対流部を通って供給されてもよく、ライン(119)を通って追加の水蒸気が加えられてもよい。水蒸気は、前述したように炉の輻射部で過熱される。
炉の輻射部(111)内のコイル(129)を通る水蒸気流は、第1の運転期間中にコイル(129)内に析出したコークを除去する。このオンラインデコーキングは、オフラインデコーキングとオフラインデコーキングの間の期間が長くなるようにシステムを運転することを可能とする。第2の運転期間中、コイル(129)内の炭化水素は、前述のようにオレフィンに転化され、ヘッダ(122)内でコイル(127)からの過熱水蒸気と混合され、前述したように断熱反応器(120)及び急冷装置(130)に供給される。生成物流(126)は、貯蔵又は更なる処理のために移送される。
コイルを通る流れを第2の運転期間の最後に再び切り換え、第2の運転期間中に炭化水素を分解するために使用されたコイルのデコーキングを行うことができる。このように必要に応じて材料流を交替させ、炭化水素のオレフィンへの所望の転化率を得ながら、コイル内のコークレベルを低く維持することができる。コイル内を輸送される材料を順次交替させることによってコイルのオンラインデコーキングを行うと、その結果、オフラインデコーキングのための運転停止と運転停止の間の運転時間が長くなる。
図3に示す製造方法の別の実施形態では、急冷装置での回収熱が、本製造方法の水蒸気を供給するために使用される。ここで、図3を参照すると、この実施形態では、図2の熱分解炉が、システムに水蒸気ドラム(140)を追加して使用されている。熱分解炉(110)及び断熱反応器(120)を前述のように運転して、炭化水素供給原料をオレフィン生成物に転化する。水蒸気ドラム(140)は、供給ライン(142)及び水蒸気戻りライン(144)によって急冷装置(130)に接続されている。水蒸気ドラム(140)からの水は、急冷装置(130)に供給され、急冷装置内で生成物流を冷却する機能の少なくとも一部を果たす。水は、水蒸気ドラムから急冷装置にポンプで圧送されてもよく、あるいは、熱サイフォンシステムを使用してもよい。
急冷装置内で水蒸気が発生し、ライン(144)を通って水蒸気ドラムに戻る。水蒸気の温度は、急冷装置内で必要な冷却が得られるように、必要に応じて制御される。通常、急冷装置からの水蒸気の温度は160℃〜330℃となる。
供給水は、供給ライン(146)を通して水蒸気ドラム(140)に提供される。供給水は、図3に示すように、熱分解炉(110)の対流部で予熱されてもよい。あるいは、供給水は、個別の熱交換器又はボイラーで予熱されてもよい。水蒸気ドラムで発生した水蒸気は、水蒸気をライン(148)を通して熱分解炉(110)の対流部(109)に供給することによって、さらに加熱されてもよい。あるいは、水蒸気は、個別の熱交換器又はボイラーでさらに加熱されてもよい。このようにして本製造方法の希釈水蒸気の少なくとも一部を発生させることにより、本製造方法の効率が高くなり、必要とする入力熱が少なくなる。また、このようにして250℃〜330℃の高圧水蒸気を発生させてもよく、それを熱分解炉内で過熱してもよい。
以下の実施例は、本製造方法の一実施形態がどのように実施され得るかを従来の方法と予測的に比較して説明するものである。実施例は両方とも、従来の熱分解炉内における2つのコイルの運転を説明する。
実施例1
次の実施例では、従来の熱分解炉内に2つの分解コイル、コイル1及びコイル2があるものとする。分解してオレフィンを生成する従来の方法では、各コイルの中には1000Kg/hのナフサと500Kg/hの希釈水蒸気の混合物を含む流れがある。供給原料の転化率は、約850℃のコイル出口温度で75%である。
実施例2
この実施例では、熱分解炉は2つの分解コイルを有するものとする。コイル1は、2000Kg/hのナフサと400Kg/hの希釈水蒸気を移送する。このコイル内のナフサは、炉内での滞留時間を制御することにより、熱分解炉内で転化率が約50%になるまで分解される。比較的短い滞留時間を維持することによって、コイル出口温度は、約850℃となる。コイル2では、約1800Kg/hの水蒸気が移送される。コイル2内の水蒸気は、炉内で約1000℃に過熱される。コイル1内のナフサ/水蒸気混合物は、コイル2からの水蒸気と、炉の外部において断熱環境で混合される。過熱水蒸気のエネルギーは、炭化水素をさらに転化するのに必要なエネルギーを提供する。全体で70%以上の転化率を得ることができる。
一定期間後に、コイルを通る流れを切り換える。コイル1は水蒸気だけを移送し、コイル2はナフサ/水蒸気の混合物を移送する。コイル1内の水蒸気流は、前の運転中にコイルに生成したコークの一部又は全部を除去する。
メタン転化
本製造方法の別の実施形態では、反応器を使用してメタンをオレフィンに転化する。従来の熱分解炉温度では、メタンをオレフィンに転化することができない。本発明のこの実施形態では、反応器内で化学量論量より少ない酸素で水素を燃焼させ、反応器内の温度を1200℃以上にする。過剰の水素は、メタン転化反応を促進する水素ラジカルを生成する。メタンは、反応器内に注入され、反応器内で解離してCH フリーラジカルを生成する。これによってフリーラジカル反応が開始し、水素、アセチレン、エチレン、少量の比較的重質の炭化水素及びコークが生成する。アセチレンを水素化して、さらにエチレンを製造することができる。
本発明のこの実施形態で使用される反応器の概略図を図4に示す。反応器(200)は、側壁(206)、底壁(216)及び頂壁(218)を備える。側壁、底壁及び頂壁は、任意の適した材料から構成されていてよく、通常、鋼などの金属が使用される。頂壁(218)は、反応器からの生成物流を取り出す生成物ライン(214)を備える。反応器内は高温になるので、反応器の側壁、底壁及び頂壁は、断熱層(208)を備える。断熱層は、通常、セラミックス材料である。使用されるセラミックス材料としては、アルミナ、炭化ケイ素、シリカ−アルミナ、カーボランダム(登録商標)、又は、当業者に既知の他の従来のセラミックス材料を挙げることができる。セラミックス断熱材は、メタンのオレフィンへの転化をさらに促進する触媒物質を含んでもよい。
反応器は、図4に示されており前述した構成に限定されるものではないことに留意されたい。反応器は、後述の管型反応器を含む、あらゆる構成であってもよい。
反応器(200)は、1段目(210)と2段目(220)を備える。1段目(210)では、水素はライン(202)を通して供給され、ライン(204)を通して供給される化学量論量より少ない酸素で燃焼される。モルベースで、反応器の1段目に供給される酸素に対する水素の割合は、2〜10である。水素と酸素の燃焼によって、水蒸気の形態の多量の水が生成することになる。過剰の水素の一部は、メタンの転化を促進することができる水素ラジカルを生成し得る。十分な水素と酸素が燃焼し、反応器の1段目のガスの温度を1200℃以上に上昇させる。水素を使用できない場合、メタンを使用して1段目の温度を上昇させてもよいことに留意されたい。1段目でメタンを使用する又は1段目に他の炭化水素が存在する場合、COとCOが生成し、水の生成は僅かに少なくなる。
反応器の2段目(220)では、メタンが、ライン(212)を通って加熱ガスに注入される。メタンは解離してCH フリーラジカルを生成し、フリーラジカル反応を開始させ、水素、アセチレン、エチレン、少量の比較的重質の炭化水素及びコークを生成する。図5に示すように、温度が高くなるにつれ、メタンからのオレフィンの収率が増加し、反応器内での滞留時間を短くすることができる。滞留時間が長いと、多量の炭素が生成する。所望のオレフィン生成物を得るために、反応器内での滞留時間は、通常、0.5秒未満、より好ましくは0.2秒未満に維持される。これらの滞留時間で、生成物は、通常、約50重量%のエチレンと45重量%のアセチレンを含有し得る。ベンゼン(約1重量%)及び他の比較的重質の炭化水素(残部)も生成する。
生成ガスは、生成物ライン(214)を通して反応器から排出され、急冷するために移送される。メタンがオレフィン生成物に転化される際に、吸熱転化反応に必要な熱は、反応器の1段目で生成する熱ガスから提供される。これによってガスの温度が低下するので、2段目の最後で、例えば、混合された生成ガスを、トランスファーライン交換器などの従来の設備を使用して急冷することができる。通常、生成ガスの温度は、800℃〜1100℃になる。通常、反応器の2段目の反応によって温度が十分低下するので、生成ガス流を冷却するために特別な装置又は方法を必要としない。
図6は、メタンをオレフィンに転化するのに使用される管型反応器の断面略図を示す。管は任意の適切な材料で構成されてもよく、通常、鋼などの金属である。金属壁(306)は、その内径に断熱材(308)が取り付けられている。断熱材は、通常、前述した種類のセラミックスである。あるいは、反応器の管全体がセラミックス材料を備えていてもよい。断熱層は、前述したような触媒を備えていてもよい。
図6に示すように、反応器(300)は、第1の部分(310)と第2の部分(320)を備えている。第1の部分(310)には、管(302)に水素が供給され、化学量論量より少ない酸素がライン(304)を通して注入される。必要に応じて、管を通して第1の部分に酸素を供給することができ、ライン(304)を通して第1の部分に水素を注入できることに留意されたい。
水素と酸素は、第1の部分で燃焼する。水素と酸素の燃焼により、水蒸気の形態の多量の水と前述した水素フリーラジカルが生成することになる。十分な水素と酸素が燃焼し、反応器の1段目のガスの温度が1200℃以上に上昇する。前述したように、水素を使用できない場合、メタンを使用して1段目の温度を上昇させてもよい。1段目でメタンを使用する又は1段目に他の炭化水素が存在する場合、COとCOが生成し、水の生成は僅かに異なる。
管の第2の部分(320)では、メタンが、ライン(312)を通って加熱ガスに注入される。メタンは解離してCH フリーラジカルを生成し、フリーラジカル反応を開始させ、水素、アセチレン、エチレン、少量の比較的重質の炭化水素及びコークを生成する。反応器の2段目での滞留時間及び温度を前述のように制御して、所望のメタン転化率を得る。生成ガスは、管(314)の端部を通して反応器から排出され、急冷するために移送される。前述したように、メタンがオレフィン生成物に転化される際に、吸熱転化反応に必要な熱は、管の第1の部分で生成する熱ガスから提供される。これによってガスの温度が低下するので、第2の部分の最後で、例えば、混合された生成ガスを、トランスファーライン交換器などの従来の設備を使用して急冷することができる。従って、生成ガス流を冷却するために特別な装置又は方法を必要としない。
前述の製造方法の実施形態の全てにおいて、炭化水素供給原料として、メタン及び/又はナフサが記載されている。当業者には、メタンから処理した又は未処理のガス油を含む任意の炭化水素供給原料を、記載されており請求されている製造方法の供給原料として使用できることが分かるであろう。任意の炭化水素供給原料を、エネルギーを提供する高温の水蒸気、又は、エネルギーを提供する水素/メタン燃焼とともに断熱反応器で使用してもよい。
任意の種類の供給原料に関して所望の転化レベルを達成するためには、吸熱反応熱効率(endothermic heat duty)を満足させなければならない。エネルギー所要量を満足するのに必要な最小限のレベルの水素を、燃焼のために反応器に供給すべきである。僅かに過剰の水素は許容されるが、これは、過剰な水素が水素フリーラジカルを生成し、転化反応を開始させ、転化反応を促進させるからである。あまりに過剰の水素が存在すると、生成したオレフィンが水素化されてパラフィンに戻り得るため、炭化水素からオレフィンへの転化に悪影響を及ぼす可能性がある。また、生成物を分離するのに必要な圧縮力が増大し、経済性に悪影響を及ぼすことになる。従って、特定の炭化水素供給原料にとって適切な量の水素を、反応器に供給しなければならない。炭化水素供給原料を過剰に分解することなく予熱することにより、必要な水素の量を低減することができる。
本発明の様々な実施形態を図示し、説明してきたが、当業者には本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、前述の方法に変更を行い得ることが分かるであろう。従って、本発明の記載は例示を目的と例としたものであって、それに限定されるものではないことを理解されたい。

Claims (18)

  1. 炭化水素供給原料からオレフィンを製造する製造方法であって、
    (a)1つ以上の第1のコイルと1つ以上の第2のコイルとを有する熱分解炉を準備する工程と、
    (b)前記炭化水素供給原料を、前記1つ以上の第1のコイルに供給する工程と、
    (c)水蒸気を、前記1つ以上の第2のコイルに供給する工程と、
    (d)前記熱分解炉内の前記第1のコイルと前記第2のコイルを加熱する工程と、
    (e)前記第1のコイルと前記第2のコイルの出口流を合流させて、炭化水素/水蒸気混合流を形成する工程と、
    (f)前記炭化水素/水蒸気混合流を断熱反応器に供給する工程と、
    (g)前記断熱反応器からの出口流を、急冷装置内で急冷する工程と、
    を含む製造方法。
  2. (h)所定の期間後に、前記1つ以上の第1のコイルを通して水蒸気を供給し、前記1つ以上の第2のコイルを通して炭化水素供給原料を供給する工程、をさらに含む請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記炭化水素供給原料を前記1つ以上の第1のコイルと前記1つ以上の第2のコイルに供給する際に、前記炭化水素供給原料に希釈水蒸気を添加する工程、をさらに含む請求項2に記載の製造方法。
  4. 炭化水素供給原料に対する前記希釈水蒸気対の割合が、重量で0.1〜1.0である請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記第1のコイルの数と前記第2のコイルの数が等しい請求項2に記載の製造方法。
  6. 前記炭化水素供給原料を前記熱分解炉内で少なくとも750℃の温度に加熱する請求項1に記載の製造方法。
  7. (i)前記急冷装置に予熱された水を供給する工程と、
    (j)前記急冷装置内で水蒸気を発生させる工程と、をさらに含む請求項1に記載の方法。
  8. 前記急冷装置は、トランスファーライン交換器である請求項7に記載の方法。
  9. 炭化水素供給原料からオレフィンを製造する製造方法であって、
    (a)1つ以上の第1のコイルと1つ以上の第2のコイルとを有する熱分解炉であって、その熱分解炉が対流ゾーンと輻射ゾーンとを有するものを準備する工程と、
    (b)前記炭化水素供給原料が前記対流ゾーンで予熱されるように、前記炭化水素供給原料を、前記1つ以上の第1のコイルに供給する工程と、
    (c)水蒸気を、前記1つ以上の第2のコイルに供給する工程と、
    (d)前記熱分解炉の前記輻射ゾーン内の前記第1のコイルと前記第2のコイルを加熱する工程と、
    (e)前記第1のコイルと前記第2のコイルの出口流を合流させて、炭化水素/水蒸気混合流を形成する工程と、
    (f)前記炭化水素/水蒸気混合流を断熱反応器に供給する工程と、
    (g)前記断熱反応器からの出口流を、急冷装置内で急冷する工程と、
    を含む製造方法。
  10. (h)所定の期間後に、前記1つ以上の第1のコイルを通して水蒸気を供給し、前記炭化水素供給原料が前記対流ゾーンで予熱されるように前記1つ以上の第2のコイルを通して炭化水素供給原料を供給する工程、をさらに含む請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記炭化水素供給原料を前記1つ以上の第1のコイルと前記1つ以上の第2のコイルに供給する際に、前記炭化水素供給原料に希釈水蒸気を添加する工程、をさらに含む請求項10に記載の製造方法。
  12. (i)前記急冷装置に予熱された水を供給する工程と、
    (j)前記急冷装置内で水蒸気を発生させる工程と、をさらに含む請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記急冷装置は、トランスファーライン交換器である請求項11に記載の製造方法。
  14. 実質的に全てがメタンである供給流からオレフィンを製造する製造方法であって、
    (a)高温に耐える断熱材料でライニングを施した反応器であって、その反応器が1段目と2段目を有するものを準備する工程と、
    (b)前記反応器の前記1段目に水素と酸素を供給して前記水素と酸素を燃焼させ、少なくとも1200℃の温度に到達させる工程であって、前記反応器に供給される酸素の量が、前記反応器に供給される前記水素の量と比較して化学量論量より少ない工程と、
    (c)前記反応器の前記1段目からの前記燃焼ガスを前記反応器の前記2段目に供給し、前記メタン供給流を前記反応器の前記2段目に注入する工程と、
    (d)前記メタンがオレフィン含有生成ガス流に転化されるように、前記メタン供給流を、特定の滞留時間の間、前記反応器内に維持する工程と、
    (e)前記反応器からの前記生成ガス流を急冷装置に供給する工程と、
    を含む製造方法。
  15. 前記反応器内における前記メタン供給流の滞留時間が、0.5秒未満である請求項14に記載の製造方法。
  16. 酸素に対する前記水素の割合が、モルベースで2〜10である請求項15に記載の製造方法。
  17. 前記反応器からの生成ガスが、前記急冷装置に供給される前に、断熱反応器に供給される請求項14に記載の製造方法。
  18. 前記急冷装置は、トランスファーライン交換器である請求項17に記載の製造方法。
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