JP2012515060A - 刺激リード線と送達システムと使用方法 - Google Patents

刺激リード線と送達システムと使用方法 Download PDF

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Abstract

様々な状態に関連した解剖学的構造にアクセスして治療する一方で、起こり得る合併症と副作用とを最小限にする装置と、システムと、方法とを提供する。これは、状態に関連した標的の解剖学的構造を直接神経調節する一方で、他の解剖学的構造の望ましくない神経調節を最小限にする、または排除することによって達成される。典型的には、これには、中枢神経系の神経組織の一部を刺激することを伴い、中枢神経系には、脊髄と、脊髄神経として知られている脊髄に沿った神経対とが含まれる。具体的には、本発明の一部の実施形態を用いて、脊髄神経の一部、特に1つ以上の後根神経節(DRG)を選択的に刺激して、慢性痛を治療する一方で、望ましくない運動応答などの有害な副作用を最小限にする。本発明は、脊髄神経の近傍にリード線を配置するためのシステムであって、リード線と、湾曲した遠位端部を有する、内部にリード線を受容するように構成されたシースと、リード線のスタイレットルーメン内に配置するように構成されたスタイレットとを備える、システムを提供する。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、合衆国法典第35巻第119条(e)の規定により、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる2009年1月14日出願の「Stimulation Lead,Delivery System and Methods of Use」という名称の米国仮特許出願第61/144,690号と、2009年10月16日出願の「Strain Relief Support for Lead Connection」という名称の米国仮特許出願第61/252,270号との優先権を主張するものである。
(連邦政府が支援する研究開発の下でなされた本発明の権利に関する陳述)
該当なし。
(コンパクトディスクで提出される付属の「配列表」、表、またはコンピュータープログラムのリストの参照)
該当なし。
痛みを管理するために脊髄に特定の電気エネルギーを加えることが、1960年代から積極的に行われている。脊髄神経組織に電場を加えることにより、刺激された神経組織に関連した体の部位から伝達される特定の種類の痛みを効果的に覆い隠すことができることが知られている。このような覆い隠しは、罹患した体の部位における錯感覚、麻痺の自覚的感覚、または刺痛として知られている。このような脊髄の電気刺激は、かつては脊髄後索刺激として知られていたが、現在は、脊髄電気刺激法またはSCSと呼ばれている。
図1Aおよび図1Bは、SCSシステム10の従来の配置を例示している。従来のSCSシステムは、典型的には、植え込み型電源または植え込み型パルス発生器(IPG)12と植え込み型リード線14とを備えている。このようなIPG12は、ペースメーカーに大きさと重量とが類似し、典型的には、図示のように患者Pの臀部、または腹壁、胸壁、もしくは脇の下に植え込まれる。蛍光透視法の使用により、リード線14は、脊柱の硬膜外腔E内に植え込まれ、図1Bに例示されているように、脊髄Sの硬膜層Dに対して配置される。
図2は、従来のパドル型リード線16と経皮リード線18の例を例示している。パドル型リード線16は、典型的には、その表面に1つ以上の電極20を備えたシリコンゴムのスラブの形態を有する。パドル型リード線16の寸法の例が図3に例示されている。経皮リード線18は、典型的には、周りに1つ以上の電極20が延在するチューブまたはロッドの形態を有する。経皮リード線18の寸法の例が図4に例示されている。
パドル型リード線16と経皮リード線18は、それらのサイズと形状とによって様々な方法で脊柱の硬膜外腔E内に配置される。経皮リード線18は、硬膜外針を使用して配置される。図5を参照すると、硬膜外針22が、皮膚(不図示)から挿入され、隣接する椎骨V1とV2との間を通り、硬膜外腔に刺入されている。したがって、体の外部から硬膜外腔まで導管が形成されている。次に、リード線18が、針22を介して硬膜外腔内に挿入される。リード線18は、典型的には、電気的に刺激されると、患者の痛みのある部位にわたる刺痛感覚(錯感覚)を起こす脊髄部分に達するまで、脊柱中心線の上に順行性に進められる。この部位の位置を求めるために、患者が刺激範囲についてフィードバックしている間に、リード線が動かされ、かつ/またはオン・オフされる。しばしば、不十分な刺激となり、十分な範囲が刺激されるまでリード線を何度も再配置することができる。患者がこの作業に参加して、操作者を脊髄の正しい部位に案内するため、この処置は、意識下鎮静で行われる。
従来のパドル型リード線16は、硬膜外針に通すには大き過ぎる。したがって、パドル型リード線16の植え込みでは、典型的には、小規模椎弓切開術が行われる。椎弓切開術は、椎弓板の一部を除去する神経外科処置である。切開は、典型的には、刺激される脊髄セグメントのやや下で行われる。椎弓切開術では、1本以上のパドル型リード線16が通過するのに十分な大きさの開口24が骨に形成される。図6は、パドル型リード線16が挿入されて、このリード線16の刺激する部分が脊髄Sの硬膜層Dに接触している小規模椎弓切開術を例示している。刺激の標的部位は、通常は、この処置の前に、経皮リード線18での脊髄刺激の試験中に位置が確認される。
あらゆる外科手術と同様に、刺激リード線の外科的配置は、本格的な処置であり、そのように処置されるべきである。たとえば、麻酔薬と、深部静脈血栓症(DVT)と、神経損傷と、感染との合併症を含む様々な合併症が起こり得る。したがって、低侵襲性の処置が望ましい。このような処置は、痛みの治療に効果的であり、しかも合併症と、コストと、衰弱とを最小限にすべきである。これらの目的の少なくとも一部は、本発明によって解決されることになる。
本発明は、様々な状態に関連した解剖学的構造にアクセスして治療する一方で、起こり得る合併症と副作用を最小限にする装置と、システムと、方法とを提供する。これは、状態に関連した標的の解剖学的構造を直接神経調節する一方で、他の解剖学的構造の望ましくない神経調節を最小限にする、または排除することによって達成される。典型的には、これは、中枢神経系の神経組織の一部を刺激することを伴い、中枢神経系には、脊髄と、脊髄神経として知られている脊髄に沿った神経対とが含まれる。具体的には、本発明の一部の実施形態を用いて、脊髄神経の一部、特に1つ以上の後根神経節(DRG)を選択的に刺激して、慢性痛を治療する一方で、望ましくない運動応答などの有害な副作用を最小限にする。このような刺激は、典型的には、表面に少なくとも1つの電極を備えたリード線を使用して達成される。リード線は、少なくとも1つの電極が標的の解剖学的構造の表面、近傍、または周囲に配置されるように、患者の解剖学的構造内を進められる。したがって、様々なリード線と、送達装置と、方法とが提供される。
本発明の第1の態様では、脊髄神経の近傍にリード線を配置するためのシステムであって、表面に少なくとも1つの電極が配置されたシャフトを備えるリード線と、湾曲した遠位端部を有するシースとを備え、このシースが、リード線のシャフトを被装して(extend over)リード線を曲げるように構成されている、システムを提供する。シースは、導入針を介して脊柱の硬膜外腔内に前進させることができる外径と、硬膜外腔に沿ってある位置まで前進させることができる剛性とを有し、シースの湾曲した遠位端部が、リード線を脊髄神経に向けて案内し、シースの引き戻しにより、リード線を脊髄神経の近傍に配置する。
一部の実施形態では、導入針は、約0.067インチ(1.7018mm)以下の内径を有する。典型的には、14ゲージ針は、約0.067インチ(1.7018mm)の内径を有する。他の実施形態では、シースは、約0.65ポンド・平方インチ(lbs・in2)(約1.90kg・cm2)の最小剛性を有する。シースは、様々な材料、たとえば、ポリイミドまたはポリエーテルエーテルケトンなどから構成することができる。一部の実施形態では、リード線は、成形遠位先端部を有し、シースは、遠位端部の一部がリード線の成形遠位先端部に当接してシースのさらなる前進が妨げられるまで、リード線のシャフトを被装するように構成されている。任意選択で、リード線の遠位先端部は、シースの遠位端部の非外傷性カバーを形成する。
一部の実施形態では、リード線は、少なくとも部分的に内部を貫通するスタイレットルーメン(stylet lumen)を備え、システムは、スタイレットの前進とシースの引き戻しにより、リード線が脊髄神経の近傍に配置されるように、リード線のスタイレットルーメン内に配置されるように構成されたスタイレットを備えている。このような実施形態では、スタイレットは、湾曲した遠位端部を有し、シースの湾曲した遠位端部のリード線に対する配置により、リード線が、脊髄神経に向かって第1の湾曲部に沿って曲がり、リード線とその中のスタイレットのシースを越えた前進により、リード線が第2の湾曲部に沿って曲がり、リード線が、脊柱から神経根角形成部(angulation)に沿って延びる。一部の例では、神経根角形成部は、90度以下である。そして、一部の例では、神経根角形成部は、45度以下である。一部の実施形態では、スタイレットの遠位端部は、曲線状であり、第1の曲線と第2の曲線を有している。
一部の実施形態では、システムは、遠位端部を有する追加のシースをさらに備え、追加のシースは、シース内を通過し、その遠位端部が、シースの湾曲した遠位端部を越えて延在するように構成されている。追加のシースの遠位端部は、シースの湾曲した遠位端部のリード線に対する配置により、リード線が脊髄神経に向かって第1の湾曲部に沿って曲がるように湾曲することができ、追加のシースの湾曲した遠位端部のシースの湾曲した遠位端部を越えた前進により、リード線が、神経根角形成部に向かって第2の湾曲部に沿って曲がる。あるいは、追加のシースの遠位端部は、実質的に直線状にすることができ、シースの湾曲した遠位端部のリード線に対する配置により、リード線が脊髄神経に向かって第1の湾曲部に沿って曲がり、追加のシースの湾曲した遠位端部のシースの湾曲した遠位端部を越えた前進により、リード線が、脊髄神経に向かって実質的に直線方向に案内される。
本発明の第2の態様では、リード線を脊髄神経の近傍に配置するためのシステムであって、少なくとも部分的に内部を貫通するスタイレットルーメンを有するシャフトとこのシャフトの表面に配置された少なくとも1つの電極とを備えるリード線と、湾曲した遠位端部を有するシースであって、リード線のシャフトを被装してリード線を曲げるように構成されている、シースと、リード線のスタイレットルーメン内に配置されるように構成されているスタイレットとを備える、システムを提供する。シースは、導入針を介して脊柱の硬膜外腔内に進入し、硬膜外腔に沿ってある位置まで前進可能であり、シースの湾曲した遠位端部により、リード線が脊髄神経に向かって案内され、スタイレットの前進により、リード線が脊髄神経の近傍に配置される。
一部の実施形態では、スタイレットは、実質的に直線状の遠位端部を有する。他の実施形態では、スタイレットは、湾曲した遠位端部を有し、シースの湾曲した遠位端部のリード線に対する配置により、リード線が、脊髄神経に向かって第1の湾曲部に沿って曲がり、リード線とその中のスタイレットのシースを越えた前進により、リード線が第2の湾曲部に沿って曲がり、リード線が、脊柱から神経根角形成部に沿って延びる。一部の例では、神経根角形成部は、90度以下である。一部の例では、神経根角形成部は、45度以下である。一部の実施形態では、スタイレットの遠位端部は、曲線状であり、第1の曲線と第2の曲線を有している。
本発明の第3の態様では、脊柱から神経根鞘角形成部に沿って延在する神経根にアクセスするためのシステムであって、少なくとも部分的に内部を貫通するスタイレットルーメンを有するシャフトとこのシャフトの表面に配置された少なくとも1つの電極とを備えるリード線と、湾曲した遠位端部を有するシースであって、リード線のシャフトを被装するように構成されている、シースと、湾曲した遠位端部を有するスタイレットであって、リード線のスタイレットルーメン内に配置されるように構成されている、スタイレットと、を備えるシステムを提供する。リード線は、脊柱に沿って配置されるように構成され、シースの湾曲した遠位端部のリード線に対する配置により、リード線が神経根に向かって第1の湾曲部に沿って曲がり、リード線とその中のスタイレットのシースを越えた前進により、リード線が第2の湾曲部に沿って曲がり、リード線が、脊柱から神経根角形成部に沿って延びる。
一部の実施形態では、シースは、脊柱の硬膜外腔にアクセスするように構成された導入針の中を前進するように構成されている。一部の実施形態では、導入針は、約0.067インチ(1.7018mm)以下の内径を有する。一部の例では、神経根角形成部は、90度以下である。一部の例では、神経根角形成部は、45度以下である。一部の実施形態では、シースの遠位端部は、湾曲し、約80〜165度の範囲の角度を有する。他の実施形態では、スタイレットの遠位端部は、曲線状であり、第1の湾曲部と第2の湾曲部を有している。任意選択で、第1の曲線は、約180度のアーチ型を有することができる。任意選択で、第2の曲線は、第1の曲線の近位側かつ近傍とすることができる。任意選択で、第2の曲線は、第1の曲線よりも大きい曲率半径を有することができる。一部の実施形態では、リード線は、端部が閉じた遠位先端部を有し、この遠位端部は、シースのこの遠位先端部を越えた前進を防止する形状を有する。任意選択で、この形状は、球形を含むことができる。
本発明の第4の態様では、少なくとも1つの電極を有するシャフトと成形遠位端部とを備えるリード線と、遠位端部を有するシースであって、その遠位端部の一部がリード線の成形遠位端部に当接してシースのさらなる前進を防止するまで、リード線のシャフト上を前進する大きさに形成され構成されている、シースと、を備える、システムを提供する。一部の実施形態では、成形遠位端部は、球形を有する。他の実施形態では、リード線は、シースの捻れを防止するようにシースの内径を満たす大きさに形成されている。他の実施形態では、リード線の成形遠位先端部は、シースの遠位端部の非外傷性カバーを形成する。典型的には、シースは、脊柱の硬膜外腔にアクセスするように構成された導入針の中を前進する大きさに形成されている。このような導入針は、様々な内径、具体的には、約0.067インチ(1.7018mm)以下の内径を有することができる。
一部の実施形態では、シースの遠位端部は、曲線を有し、シースが、その中のリード線をその曲線に沿って曲げる。一部の実施形態では、シースは、熱硬化性材料からなる。一部の実施形態では、シースは、単一硬さの材料(unidurometer material)からなる。任意選択で、シースは、放射性不透過性材料を設けるなどして、少なくとも部分的に放射線不透過性とすることができる。あるいは、シースは、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを備えることができる。
本発明の第5の態様では、脊髄神経にアクセスするためのシステムであって、表面に配置された少なくとも1つの電極を有するシャフトを備えるリード線と、湾曲した遠位端部を有する第1のシースであって、リード線のシャフトを被装するように構成されている、第1のシースと、第1のシースの中に延在する第2のシースであって、この追加のシースが、シース内を通過して、その遠位端部が第1のシースの遠位端部を越えて延在するように構成されている、第2のシースと、を備える、システムを提供する。第1のシースは、導入針を介して脊柱の硬膜外腔内への前進を可能にする外径を有し、第1のシースと第2のシースは共に、ある位置までの硬膜外腔に沿った前進を可能にする剛性を有し、第1のシースの遠位端部と第2のシースの遠位端部が、リード線を脊髄神経に向けて案内する。
一部の実施形態では、第2のシースの遠位端部は、第1のシースの湾曲した遠位端部のリード線に対する配置により、リード線が、脊髄神経に向かって第1の湾曲部に沿って曲がるように湾曲し、第2のシースの湾曲した遠位端部の第1のシースの湾曲した遠位端部を越えた前進により、リード線が、神経根角形成部に向かって第2の湾曲部に沿って曲がる。他の実施形態では、追加のシースの遠位端部は、実質的に直線状であり、第1のシースの湾曲した遠位端部のリード線に対する配置により、リード線が、脊髄神経に向かって第1の湾曲部に沿って曲がり、第2のシースの湾曲した遠位端部の第1のシースの湾曲した遠位端部を越えた前進により、リード線が、脊髄神経に向かって実質的に直線方向に案内される。
一部の実施形態では、システムは、リード線内に配置可能な湾曲したスタイレットをさらに備え、リード線とその中のスタイレットの第2のシースを越えた前進により、リード線が、第2の湾曲部に沿って曲がり、リード線が、脊柱から神経根角形成部に沿って延びる。任意選択で、システムは、第1のシースの近位端部と第2のシースの近位端部とに接続可能な制御ハブをさらに備え、この制御ハブの操作により、第1のシースまたは第2のシースが互いに対して運動する。一部の実施形態では、制御ハブは制限装置を備え、この制限装置は、第1のシースまたは第2のシースの互いに対する運動を制限する。一部の実施形態では、制御ノブの操作は、片手を使用して達成可能である。
本発明の第6の態様では、遠位端部と近位端部とを有するチューブを備えるシャフトと、シャフト内に配置されたスタイレットチューブと、このシャフトの遠位端部の近傍に配置された少なくとも1つの電極と、少なくとも1つの電極からシャフトの近位端部に向かって延びている少なくとも1本の導体ケーブルと、を備える、刺激リード線を提供する。スタイレットチューブは、遠位端部近傍の第1の位置とこの第1の位置の近位側の第2の位置との間のシャフト内でスタイレットチューブが運動できるように第1の位置と第2の位置でシャフトに固定して連結されている。
一部の実施形態では、少なくとも1本の導体ケーブルは、スタイレットチューブとシャフトとの間に配置され、少なくとも1本の導体ケーブルは、近位端部近傍と別の位置との間でシャフト内を運動できるように近位端部近傍と別の位置でシャフトに固定して連結されている。一部の実施形態では、シャフトに沿った少なくとも1つの位置でシャフトに固定して連結された引っ張り要素をさらに備える。任意選択で、引っ張り要素は、少なくとも1つの位置の外側のシャフト内で自由に運動することができる。一部の実施形態では、引っ張り要素は、複数の直径を有する。たとえば、引っ張り要素は、その近位端部近傍で大きめの直径を有し、その遠位端部に向かって細くすることができる。一部の実施形態では、スタイレットチューブは、滑沢(lubricious)内面を有する。任意選択で、スタイレットチューブは、ポリイミドから構成することができる。
一部の実施形態では、シャフトは、端部が閉じた成形遠位先端部を有する。このような端部が閉じた遠位先端部は、球形を有することができる。一部の実施形態では、シャフトの遠位端部の少なくとも一部は、半円の周囲に沿って少なくとも180度延在するように構成され、この半円は、0.25インチ(6.35mm)の半径を有する。一部の実施形態では、リード線は、脊柱の硬膜外腔にアクセスするように構成された導入針の中を前進するように構成されている。典型的には、導入針は、約0.067インチ(1.7018mm)以下の内径を有する。
本発明の他の目的と利点とは、以下の詳細な説明と添付の図面から明らかになるであろう。
従来技術を例示する図である。 従来技術を例示する図である。 従来技術を例示する図である。 従来技術を例示する図である。 従来技術を例示する図である。 従来技術を例示する図である。 従来技術を例示する図である。 少なくとも1つの電極が標的DRGの臨床的に有効な距離の範囲内に位置するように神経根鞘角形成部を通って進められた本発明のリード線の実施形態を例示する図である。 本発明のリード線の実施形態を例示する図である。 本発明の送達システムのシースの実施形態を例示する図である。 本発明の送達システムのスタイレットの実施形態を例示する図である。 本発明の送達システムの導入針の実施形態を例示する図である。 内側スタイレットが第1の湾曲部を形成している、リード線のシャフト上を進められたシースの実施形態を例示する図である。 シースを越えて延在する図9の内側スタイレットが第2の湾曲部を形成しているリード線を例示する図である。 導入針を使用して硬膜外腔にアクセスする方法を例示する図である。 図11の針にシリンジを取り付ける方法を例示する図である。 図11の針を介して本発明のスタイレットと、リード線と、シースとを硬膜外腔内に挿入する方法を例示する図である。 黄色靭帯を通過して硬膜外腔内に延びた針の遠位端部と、黄色靭帯から延出している図13の組み立てられたシース/リード線/スタイレットを例示する図である。 硬膜外腔内の図13の組み立てられたシース/リード線/スタイレットの標的DRGに向けた前進を例示する図である。 リード線を横方向外側に案内するシースの予め形成された湾曲部を例示する図である。 図16のシースの遠位端部を越えて延びているリード線を例示する図である。 図11の針を用いて追加のリード線を硬膜外腔内に配置する方法を例示する図である。 別または第2の標的DRGに向けて硬膜外腔内を進められた追加の組み立てられたシース/リード線/スタイレットを例示する図である。 リード線を横方向外側に案内する図19のシースの予め形成された湾曲部を例示する図である。 図20のシースの遠位端部を越えて前進したリード線を例示する図である。 硬膜外腔内に配置され、それぞれが異なるDRGを刺激する複数のリード線を例示する図である。 本発明のシースの実施形態を例示する図である。 固定キャップと注入ポートを備えたハブの実施形態を例示する図である。 本発明のリード線の実施形態を例示する図である。 本発明のリード線の実施形態を例示する図である。 本発明のリード線の実施形態を例示する図である。 本発明のリード線の実施形態を例示する図である。 本発明のリード線の実施形態を例示する図である。 マルチ・ルーメン・チューブを備えた本発明のリード線の実施形態を例示する図である。 本発明のスタイレットの実施形態を例示する図である。 本発明のスタイレットの実施形態を例示する図である。 本発明のスタイレットの実施形態を例示する図である。 複数のシースを有する本発明のシステムの実施形態を例示する図である。 硬膜外腔内に配置された図27のシステムを例示する図である。 制御ノブの実施形態の斜視図である。 制御ノブの実施形態の側面図である。 制御ノブの実施形態の正面図である。 体内の組織または器官を刺激するために使用される従来の刺激システムを例示する図である。 本発明のひずみ解放支持体の実施形態を例示する図である。 支持部材とハブを備えたひずみ解放支持体の断面図である。 支持部材のリード線の近位端部への挿入を例示する図である。 支持部材のリード線の近位端部への挿入を例示する図である。 ハブの取り外しを例示する図である。 ハブの取り外しを例示する図である。 IPGの接続ポートに挿入されたリード線の近位端部を例示する図である。
本発明は、様々な状態、特に神経系に関連した状態または神経系によって影響を受ける状態に関連した解剖学的構造にアクセスして治療するための装置と、システムと、方法とを提供する。このような状態の例には、たとえば、痛みと、かゆみと、パーキンソン病と、多発性硬化症と、脱髄性運動障害(demylenating movement disorders)と、脊髄損傷と、喘息と、慢性心疾患と、肥満症と、発作(特に急性虚血)とが含まれる。典型的には、このシステムと装置を用いて、中枢神経系の神経組織の一部を刺激し、中枢神経系には、脊髄と、脊髄神経として知られる脊髄に沿った神経対とが含まれる。この脊髄神経には、脊椎椎間孔で融合して末梢神経系の一部である混合神経を形成する後根と前根の両方が含まれる。少なくとも1つの後根神経節(DRG)は、混合点の前に各後根に沿って位置している。したがって、中枢神経系の神経組織には、後根神経節が含まれ、後根神経節の先の神経系の部分、たとえば、末梢神経系の混合神経などが含まれないと考えられる。
一部の実施形態では、本発明のシステムと装置とを用いて、1つ以上の後根神経節、後根、後根入口部、またはそれらの一部を刺激する。これらの部位にアクセスすることは、特に、順行性硬膜外アプローチでは困難である。図7は、このような部位における解剖学的構造の一部を模式的に例示している。図示するように、各DRGは、後根DRに沿って位置し、典型的には、椎弓根PD間、または椎間孔内に少なくとも部分的に延在する。各後根DRは、角θを成して脊髄Sから延びている。この角θは、後根鞘角形成部(nerve root sleeve angulation)と見なされ、患者によって、および脊柱に沿った位置によって僅かに異なる。腰椎における平均神経根角形成部は、90度よりもかなり小さく、典型的には、45度未満である。したがって、順行性アプローチでのこの解剖学的構造へのアクセスでは、神経根鞘角形成部を通って、沿って、または近傍で急なターンを形成する。このようなターンは、神経根鞘角形成部に正確に従っても良いし、または神経根鞘角形成部の近傍の様々な曲線に従っても良いことを理解されたい。
図7は、硬膜外腔に挿入され、脊髄Sに沿って順行方向に進められた本発明のリード線100の実施形態を例示している。表面に少なくとも1つの電極102を有するリード線100は、少なくとも1つの電極102が標的DRG上に配置されるように患者の解剖学的構造内を進められる。この方式でのリード線100の標的DRGに向けたこのような前進では、角θに沿った急なターンを形成する。この極端なターンは、このようなリード線の配置専用の本発明の送達器具と設計構造の特徴を使用して達成される。また、神経根と、DRGと、周囲構造との間の空間的関係は、特に腰椎の変性変化によって著しい影響を受ける。したがって、患者は、さらに急なターンを必要とするさらに小さい角形成部を有するなど、正常な解剖学的構造とは異なる神経根角形成部を有し得る。本発明は、これらの解剖学的構造にも対処する。
本発明の装置と、システムと、方法は、望ましい解剖学的構造の標的治療を可能にする。このような標的治療は、有害な副作用、たとえば、望ましくない運動応答、または影響を受けていない体の部位の望ましくない刺激などを最小限にする。これは、状態に関連した標的の解剖学的構造を直接神経調節する一方で、他の解剖学的構造の望ましくない神経調節を最小限にする、または排除することによって達成される。たとえば、これには、後根神経節、後根、後根入口部、またはそれらの一部を刺激する一方で、他の組織、たとえば、周囲または近傍の組織、前根の一部、および治療の標的ではない体の部位に関連した解剖学的構造の一部などの望ましくない刺激を最小限にする、または排除することが含まれ得る。このような刺激は、典型的には、表面に少なくとも1つの電極を備えたリード線を使用して達成される。リード線は、少なくとも1つの電極が標的の表面、近傍、または周囲に配置されるように、患者の解剖学的構造内を進められる。一部の実施形態では、リード線と電極(複数可)は、この電極(複数可)が他の解剖学的構造の望ましくない刺激を最小限にできる、または排除できる大きさに形成され、構成されている。他の実施形態では、刺激信号または他の側面は、他の解剖学的構造の望ましくない刺激を最小限にする、または排除するように構成されている。また、他の組織の刺激も考えられることを理解されたい。
ほとんどの実施形態では、神経調節は、刺激を含むが、神経調節は、電気または薬剤を標的部位に直接送達することによって神経活動を変更または調節する様々な形態を含み得ることを理解されたい。例示目的で、本明細書の説明は、刺激と刺激パラメーターとに関して提供されるが、このような説明は、そのように限定されるものではなく、あらゆる形態の神経調節および神経調節パラメーターを含み得ることを理解されたい。
システムの概要
図8A〜図8Dを参照すると、シース122(図8B)と、スタイレット124(図8C)と、導入針126(図8D)とを含む本発明の送達システム120およびリード線100(図8A)の実施形態が例示されている。この実施形態では、リード線100は、遠位端部101と表面に配置された4個の電極102とを有するシャフト103を備えている。1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、またはそれ以上を含め、任意の数の電極102が存在しても良いことを理解されたい。この実施形態では、遠位端部101は、端部が閉じた遠位先端部106を有する。遠位先端部106は、たとえば、いくつか例を挙げるならば、球形(不図示)または涙形などの丸形と、円錐形とを含む様々な形状を有することができる。これらの形状は、リード線100と他の目的のために非外傷性先端部を提供する。リード線100は、端部が閉じた遠位先端部106に向かって延びたスタイレットルーメン104も備えている。
図8Bは、本発明のシース122の実施形態を例示している。シース122は、角αを有するように予め曲げられた遠位先端部128を備え、この角αは、約80度〜165度の範囲である。シース122は、図9に例示されているように、リード線100のシャフト103の遠位端部128がリード線100の遠位先端部106に当接するまでシャフト103を被装できる大きさに形成され、構成されている。したがって、この実施形態の球形先端部106は、シース122がこの球形先端部から突出するのを防止する。リード線100にシース122を被装すると、リード線100は、シース122の予め形成された湾曲部にしたがって曲げられる。したがって、シース122は、たとえば、横方向などにおいて、リード線100を脊柱Sに沿って標的DRGに向けて誘導するのを容易にする。角αは、任意選択で、さらに小さい角度、たとえば、80度未満にして、U型またはより急な湾曲部を形成できることを理解されたい。
図8Cを再び参照すると、本発明のスタイレット124の実施形態が例示されている。この実施形態では、スタイレット124は、その曲率半径が約0.1〜0.5インチ(約2.54〜12.7mm)となるように予め曲げられた遠位端部130を有する。スタイレット124は、リード線100のスタイレットルーメン104内を前進できる大きさに形成され、構成されている。典型的には、スタイレット124は、その遠位端部130がリード線100の遠位端部101と整合するようにリード線100に通される。スタイレット124がリード線100に通されると、リード線100が、スタイレット124の予め形成された湾曲部にしたがって曲がる。典型的には、スタイレット124は、シース122よりも小さい曲率半径、またはより急な湾曲部を有する。したがって、図10に示されているように、スタイレット124がリード線100内に配置されると、リード線100とスタイレット124のシース122から出た延出部が、リード線100を第1の湾曲部123に沿って曲げる、または案内する。シース122の遠位端部128からのリード線100とスタイレット124のさらなる延出により、リード線100が、第2の湾曲部125に沿ってさらに曲がる。標的DRGに接近すると、第2の湾曲部により、横方向に案内されたリード線100が、神経根角形成部などに沿って標的DRGに向かって曲がることができる。この2段階の湾曲により、リード線100が正常に配置され、少なくとも1つの電極102が、特に角θに沿って急なターンを形成することによって標的DRGの表面、近傍、または周囲にくる。また、電極102は、このような急なターンの形成を容易にするように離隔している。
したがって、リード線100は、典型的には、それ自体によってトルクがかけられるわけでも、誘導されるわけでもないため、硬いまたはトルクをかけることができる構造を必要としない。リード線100は、このリード線100の2段階の湾曲を案内するシース122とスタイレット124を使用して配置される。これにより、操作者は、リード線100と、任意選択のシース122とに複数の手でトルクをかける必要がない。また、これにより、リード線100が、より小さい外形とより小さい直径の他、非常に軟らかい可撓性構造を有することができる。したがって、これは、リード線100が植え込まれた後の、神経組織、たとえば、標的DRGおよび/または神経根などに対する圧力によって生じる侵食と、神経組織の刺激と、不快感とを最小限にする。また、このような軟質で可撓性のリード線100は、体の動き(たとえば、屈曲、伸展、捻転)によってリード線100の遠位端部に伝達される力の量を最小限にする。
図8Dを再び参照すると、導入針126の実施形態が例示されている。導入針126は、脊髄Sの硬膜外腔にアクセスするために使用される。針126は、中空シャフト127を有し、典型的には、ほんの僅かに湾曲した遠位端部132を有する。シャフト127は、その中をリード線100と、シース122と、スタイレット124とが通過できる大きさに形成されている。一部の実施形態では、針126は、典型的には、従来の経皮リード線を硬膜外腔内に配置するために使用される硬膜外針のサイズである14ゲージである。しかし、他のサイズの針、特により小さい針、たとえば、15〜18ゲージなども使用できることを理解されたい。別法として、非標準サイズの針を使用することができる。
針は、シース122が前進する、または引き戻されるときにシース122に損傷を与えないように非外傷性針である。一部の実施形態では、シャフト127は、磨き棒鋼(熱延鋼板を型によって延伸して精密寸法公差と、磨き自由表面と、改善された機械特性を付与する工程から形成される製品)から形成された磨きハイポチューブ(bright hypotubing)などの低摩擦材料を含む。他の材料には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が含浸または被覆されたハイポチューブが含まれる。また、施術者に知られている様々な先端部または特定の用途用に設計された特注先端部を有する針も使用できることを理解されたい。針126は、典型的には、ルアーフィッティング134、たとえば、Luer−Lok(商標)フィッティングまたはその近位端部近傍の他のフィッティングも備える。ルアーフィッティング134は、シリンジなどのオス型フィッティングのスリーブのねじ山に係合する、タブが形成されたハブ(tubbed hub)を有する、メス型フィッティングである。針126はまた、シース122が針126の中にある状態で針126による注入を可能にするようにサイドポートにルアーフィッティングを有することもできる。一部の実施形態では、ルアーフィッティングは、中空シャフト127への湾曲したシースの導入を容易にするためにテーパーである。
送達方法
上記の送達システム120は、患者の解剖学的構造を介して標的DRGに向けて本発明のリード線100を硬膜外に送達するために使用される。したがって、本発明の硬膜外送達方法の実施形態を本明細書に記載する。具体的には、このような実施形態は、順行性アプローチとして記載し、例示する。別法として、本発明の装置とシステムは、逆行性アプローチまたは反対側アプローチで使用できることを理解されたい。同様に、少なくとも一部の装置とシステムは、経椎間孔アプローチで使用することができ、この経椎間孔アプローチでは、DRGに、脊柱の外部から接近する。さらに、標的DRGには、仙骨裂孔を介して、または椎弓根、椎弓板、もしくは他の構造などの骨構造を介して接近することができる。
硬膜外送達では、硬膜外腔にアクセスする。硬膜外腔には、図11に例示されているように、導入針126を使用してアクセスする。典型的には、皮膚に、硬膜外腔の特定の部分に対してリドカインなどの局所麻酔薬を染み込ませる。挿入点は、通常は、正中線Mの近傍であるが、他のアプローチも利用することもできる。典型的には、針126を黄色靭帯に挿入し、抵抗消失注入技術を用いて硬膜外腔を確認する。次に、図12を参照すると、シリンジ140が針126に取り付けられている。シリンジ140は、空気または生理食塩水を含むことができる。従来、個人的な好みによって空気かまたは生理食塩水が、硬膜外腔を確認するために使用されている。針126の先端部が負または中立圧力の空間(たとえば、硬膜外腔など)に進入すると、「抵抗消失」が起こり、シリンジ140による注入が可能となる。この時点で、針126の先端部が硬膜外腔に進入した可能性が高い。さらに、硬膜外腔に入る直前に、針が黄色靭帯を破壊するため、「ポン」または「カチッ」という感覚を感じることができる。抵抗消失法に加えて、ポータブル超音波スキャナまたは蛍光透視法で、前進する針126のリアルタイムの観察を行うことができる。同様に、ガイドワイヤを針126の中を進めて、蛍光透視法を使用して硬膜外腔内を観察することができる。
針126が、硬膜外腔内に正常に挿入されたら、シリンジ140を取り外す。スタイレット124をリード線100内に挿入し、シース122をリード線100に被装する。シース122は、その遠位端部128がリード線100の遠位先端部106に近接または接触して、リード線100がシース122の湾曲に従うように配置する。次に、スタイレット124と、リード線100と、シース122とを、図13に例示されているように、針126に挿入して硬膜外腔内に進める。図14を参照すると、黄色靭帯Lを通過した針126の遠位端部132が示され、黄色靭帯Lから延出した組み立てられたシース122/リード線100/スタイレット124が示されている。針126の剛性が、より可撓性のシース122が針126の中を通るときにこのシース122を真直にする。しかしながら、延出時に、シース122は、図示するように、その予め形成された湾曲に沿って、または向かって曲がることができる。一部の実施形態では、シース122の材料の形状記憶により、シース122は、針126に通されるときに予め曲げられた形状の50%超を維持することができる。このような曲がりは、硬膜外腔内でのリード線100の誘導を容易にする。これは、逆行性アプローチを使用して腰椎から仙椎への移動を案内するときに特に有用である。仙骨は、仙骨内への容易な進入を妨げる「棚(shelf)」を形成している。予め曲げられたシース122は、仙骨内により容易に進入することができ、手術時間と患者の不快感が減少する。
図15を参照すると、組み立てられたシース122/リード線100/スタイレット124が、標的DRGに向けて硬膜外腔内を進められている。誘導と操作は、近位側で制御され、組み立てられた構成要素の構造とシース122の予め形成された湾曲部によって助けられる。具体的には、シース122の予め形成された湾曲は、リード線100を脊柱の正中線Mから離れる横方向外側に案内する。図16は、リード線100を横方向外側に案内するシース122の予め形成された湾曲部で標的DRGに向かって進められた組み立てられたシース122/リード線100/スタイレット124を例示している。
図17を参照すると、その後に、リード線100/スタイレット124が、シース122の遠位端部128を越えて進められている。一部の実施形態では、リード線100は、シース122の遠位端部128を約1〜3インチ(約25.4〜76.2mm)越えて延在している。しかしながら、リード線100は、任意の距離、たとえば、1インチ(25.4mm)未満、0.25〜3インチ(6.35〜76.2mm)、または3インチ(76.2mm)を超えて延在してもよい。同様に、リード線100を前進させる、または前進させずに、シース122を引き戻してリード線100を露出させることができる。これは、椎間孔の開口部の圧迫などによってリード線100の前進が制限されている場合に有用であろう。リード線100内のスタイレット124の湾曲部により、リード線100が、この湾曲部に沿ってさらに曲がる。これにより、横方向外側に案内されたリード線100が、ここで、神経根角形成部に沿って標的DRGに向かって曲がることができる。この2段階の湾曲により、リード線100を上手に誘導して、少なくとも1つの電極102を標的DRGの表面、近傍、または周囲に配置することができる。また、球形遠位先端部106は、リード線100が操作されて所定の位置に送られるときに、脊柱内の解剖学的構造、たとえば、硬膜嚢、靭帯、血管などの外傷を防止し、かつDRGが外傷を受けるのを防止する。所望に配置されたら、シース122とスタイレット124とを、典型的には、リード線100を所定の位置に残したまま抜去する。しかしながら、任意選択で、スタイレット124をリード線100内に残置して、リード線100を安定させ、位置を維持するのを助け、移動を防止することができる。次に、図17のエネルギーリング140によって例示されているように、少なくとも1つの電極102に刺激エネルギーを供給することによってDRGを刺激することができる。複数の電極にエネルギーを供給して標的DRGを刺激できることも理解されたい。また、特に、リード線100の望ましい配置を確かめるために、スタイレット124および/またはシース122の抜去の前に電極にエネルギーを供給することができることも理解されたい。さらに、シース122の中をリード線100を前進させるのではなく、シース122を引き戻してリード線100を露出させることができることを理解されたい。
次に、同じ針126を用いて、別のリード線を硬膜外腔内に配置することができる。同様に、スタイレット124をリード線100内に挿入し、シース122をリード線100に被装する。シース122は、その遠位端部128がリード線100の遠位先端部106に近接または接触してリード線100がシース122の湾曲に従うように配置する。次に、組み立てられたスタイレット124/リード線100/シース122を、図18に例示されているように、針126に挿入して硬膜外腔内に進める。針126の剛性が、より可撓性のシース122が針126の中を通るときにこのシース122を真直にする。そして、延出するときに、シース122が、図示するように、その予め形成された湾曲部に沿って曲がることができる。これは、このような湾曲が脊髄の硬膜層内へ向かうあらゆる力を防止するため、スタイレット124/リード線100/シース122が、外傷を与えずに針126から出ることができる。これも、硬膜外腔内でのリード線100の誘導を容易にする。
図19を参照すると、組み立てられたシース122/リード線100/スタイレット124が、もう1つのまたは第2の標的DRGに向かって硬膜外腔内を進められている。この実施形態では、第2の標的DRGは、脊柱に対して第1の標的DRGの反対側にある。同様に、シース122の予め形成された湾曲部を使用して、脊柱の正中線Mから離れる横方向外側にリード線100を誘導し、リード線100を案内することができる。したがって、同じ挿入点から硬膜外腔内に進入させて、シース122を操作することによって、脊柱の各側のDRGにアクセスすることができる。図20は、リード線100を横方向外側に案内するシース122の予め形成された湾曲部で第2の標的DRGに向けて進められた組み立てられたシース122/リード線100/スタイレット124を例示している。
次に、リード線100/スタイレット124を、シース122の遠位端部128を越えて前進させる。同様に、リード線100内のスタイレット124の湾曲部により、リード線100が、この湾曲部に沿ってさらに曲がる。これにより、横方向に案内されたリード線100は、ここで、神経根角形成部に沿って標的DRGに向かって曲がることができる。この2段階の湾曲により、リード線100を上手に誘導して、少なくとも1つの電極102を標的DRGの表面、近傍、または周囲に配置することができる。所望に配置されたら、シース122とスタイレット124とを、図21に例示されているように、リード線100を所定の位置に残したまま抜去する。次に、DRGを、図21のエネルギーリング140によって例示されているように、少なくとも1つの電極102に刺激エネルギーを供給することによって刺激することができる。同様に、複数の電極にエネルギーを供給して標的DRGを刺激できることも理解されたい。また、特に、リード線100の望ましい配置を確かめるために、スタイレット124および/またはシース122の抜去の前に電極にエネルギーを供給することができることも理解されたい。
任意の数のリード線100を同じ導入針126から導入できることを理解されたい。一部の実施形態では、この導入針126は、別個のルーメンにリード線100を導入できるように、二連型針のように2つ以上のルーメンを有する。さらに、任意の数の導入針126を、硬膜外腔への望ましいアクセスのために脊柱に沿って配置することができる。一部の実施形態では、第2の針を、第1の針に近接して配置する。第2の針を用いて、第2のリード線を、第1の針に一致する脊髄レベルに隣接した脊髄レベルに送達する。ある場合には、硬膜外腔に経路が存在し、第1のリード線の配置が、第2のリード線を同じ経路を介して容易に配置できることを示唆し得る。したがって、第2の針は、同じ硬膜外経路にアクセスできるように配置する。他の実施形態では、第2の針を用いて、第1の針を介して挿入されたシースの先端部の安定化を助ける。このような実施形態では、第2の針を、標的の解剖学的構造の近傍の脊柱に沿って配置する。シースを進めるときに、安定性を強化するため、またはシースの案内を助けるために第2の針を使用することができる。これは、アクセスを妨げる狭窄した椎間孔にアクセスするときに特に有用であろう。
図22は、硬膜外腔内に配置された複数のリード線100を例示し、それぞれのリード線100は、異なるDRGを刺激する。この例では、DRGは、複数のレベルにあり、かつ脊柱の両側にある。リード線100の近位端部は、典型的には近傍に植え込まれるIPG(部分的に図示)に接続される。
したがって、患者の解剖学的構造を介した標的DRGへの本発明のリード線100の送達では、従来の脊髄刺激リード線の送達よりも潜在的な課題が多い。たとえば、1つの大きな課題は、特に、標的DRGに向かって横方向に硬膜外腔内へリード線100を誘導して、リード線100を曲げて神経根鞘角形成部に通して少なくとも1つの電極106をDRGの表面、近傍、または周囲に配置することである。また、このようなリード線100は、非外傷性であり、植え込まれている間に、捻れ、ずれ、切断、または引き抜きを防止するべきである。したがって、優れた柔軟性と可撓性が望まれる。しかしながら、より可撓性の高いリード線は、操作がより困難であろう。これらの相反する課題を克服するために、様々な設計構造の特徴が、装置に組み入れられている。
リード線と送達装置
上記のように、本発明は、1本以上のリード線100と、シース122、スタイレット124、および導入針126を含む送達システム120とを含む様々な装置を包含する。
一部の実施形態では、導入針126は、通常はコアリング防止スタイレットとともに使用される標準的な硬膜外アクセス装置である。このような針126は、典型的には、ステンレス鋼からなり、脊髄硬膜鞘を通る挿入を防止する非外傷性先端部を有する。一部の実施形態では、導入針は、14ゲージの薄肉針であるが、他のサイズの針、特により小さい直径の針を使用できることを理解されたい。
シース122と、リード線100と、スタイレット124はすべて、針126またはこの針126内を通過する装置に損傷を与えずに、硬膜外腔へ導入するために針126に通すことができる。したがって、1つの入口点を介してアクセスすることができ、入口点の周囲の組織に刺激、外傷、または破壊をもたらさずに容易に、装置を、針126を介して前進させる、引き戻す、抜去する、かつ再挿入することができる。これは、セルジンガー法を用いた装置の導入が推奨される従来の送達システムと比較して大幅な改善をもたらす。セルジンガー法を使用する場合は、ガイドワイヤを導入針に通してから、導入針を抜去する。次に、従来の送達シースをガイドワイヤ上を前進させて、硬膜外腔内に挿入する。次いで、ガイドワイヤを抜去し、シースを、硬膜外腔への装置の送達導管として使用する。しかしながら、シースの先端部は、黄色靭帯を通して配置する際に、折れ曲がって患者を刺激しがちである。また、従来のシースは、石灰化した組織を押し進む屈曲強度が不足し、組織を通過するのが困難である。さらに、これらの装置のそれぞれの導入と抜去は、硬膜穿刺のリスクと患者の不快感を増加させる。結果として、リード線を硬膜外腔内に直接案内することが好まれ、従来のシースは、典型的には、使用されなくなる。これは、従来のリード線の配置が、著しい誘導、曲げ、または湾曲を行わずに脊柱に沿って線形に前進させるだけであり、かつ従来のシースは、案内または誘導能力が一切ないため、起こり得る。従来のシースはまた、そのサイズと肉厚により、従来の導入針に通すことができない。したがって、施術者に、リード線自体の操作が託される。
シース
本発明のシース122は、硬膜外腔に沿った前進を可能にする剛性を有する中空チューブを備えている。一部の実施形態では、このような剛性は、最小が約0.65lbs・in(約1.90kg・cm)であり、最大が約2.25lbs・in(約6.58kg・cm)である。したがって、一部の実施形態では、シース122は、約1.81lbs・in(約5.30kg・cm)の剛性を有する。
ほとんどの実施形態では、シース122は、図23Aに例示されているように、標的の解剖学的構造にアクセスするのを容易にするために、その遠位端部128の近傍に予め形成された湾曲部またはプリセット湾曲部を有する。一部の実施形態では、この湾曲部は、約15〜165度の角αを有するが、任意の適切な角度を用いることができる。湾曲部は、図23Aに例示されているように、遠位先端部からシャフトの外面までの横方向の距離Dによって特徴付けることもできる。一部の実施形態では、距離Dは、約0.030〜0.375インチ(約0.762〜9.525mm)である。一部の実施形態では、シース122は、たとえば、順行性アプローチと、逆行性アプローチと、反対側アプローチなどの特定の種類の送達用の大きさおよび形状に形成されている。一部の実施形態では、順行性シース(順行性送達用に構成されている)は、約90〜110度の角αと約0.325〜0.375インチ(8.255〜9.525mm)の距離Dを有する湾曲部を備えている。150度以下の角αと約0.225インチ(5.715mm)以上の距離Dを有する湾曲部は、典型的には、順行性アプローチを用いたDRGへの送達を容易にする。一部の実施形態では、代替のシース(逆行性または反対側送達用に構成されている)は、約130〜150度の角αと約0.045〜0.095インチ(1.143〜2.413mm)の距離Dを有する湾曲部を備えている。165度以下の角αと約0.030インチ(0.762mm)以上の距離Dを有する湾曲部は、典型的には、逆行性または反対側アプローチを用いたDRGへの送達を容易にする。シース122は、このシース122が大きく撓むことなく、リード線100/スタイレット124を案内するのに十分に硬くすることができる。別法として、シース122は、解剖学的構造を通る誘導または案内を向上させるために可撓性をより高くすることができる。
典型的には、シース122は、ポリイミドまたはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマーからなる。好ましい実施形態では、シース122は、熱硬化性および/または熱可塑性材料などのプラスチック材料からなる。ポリイミドは、その肉厚が薄く、しかも高い強度と、優れた形状記憶と、形状保持とを維持しているため好ましい。ポリイミドは、捻れることなく導入針126に通すために真直にすることもできる。一部の実施形態では、シース122は、約0.002〜0.006インチ(0.0508〜0.1524mm)、より具体的には約0.003〜0.006インチ(0.0762〜0.1524mm)の範囲の肉厚を有するポリイミド材料からなる。結果として得られるシースが、硬膜外腔に沿って前進できる適切な剛性を有する一方で、シースとリード線を導入針に通して硬膜外腔に送るのに十分に薄い肉厚を有し、かつリード線のシース内の望ましい通過を可能にする十分に低い摩擦係数を有するのであれば、他の材料も使用できることを理解されたい。さらに、結果として得られるシースは、捻れが防止され、望ましい形状に変形可能であるべきである。これらの基準を潜在的に満たす他の材料の例には、たとえば、ナイロンと、ポリカーボネートと、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)と、ポリエチレンテレフタレート(PET)と、Pebaxとが含まれる。
典型的には、シース122は、単一剛性または単一硬さの材料からなる。これは、シース122と、リード100と、スタイレット124とを一緒に硬膜外腔に導入して、送達の作業負荷を共有できるため可能である。具体的には、リード線100とスタイレット124とが、シース122の内径を実質的に満たすため、強度と捻れ防止性が、送達のロバスト性に対して増強される。対照的に、シース122が単独で導入される場合は、硬さ/材料の変化などの剛性変化、または編組などの補強が、捻れ防止のために必要であろう。しかしながら、シース122は、任意選択で、編組ポリマーなどの補強ポリマーから構成しても良いし、または様々な材料の構造物から構成しても良いことを理解されたい。たとえば、シース122の先端部は、低外傷性または非外傷性先端部を形成するために異なる材料または薄めの材料から構成しても良い。このような先端部は、高いトルク能力および押し込み能力を付与するシースの残りの部分よりも可撓性を高くすることができる。さらに、シース122は、任意選択で、可撓性金属または金属/ポリマー構造物から構成しても良いことを理解されたい。
リード線100と、スタイレット124と、シース122の一緒の送達は、多数の他の利点ももたらす。たとえば、リード線100と、スタイレット124と、シース122の事前装着および同時送達により、多数の工程が除外され、各装置の別個の導入に関連した複雑さが排除される。さらに、リード線100と、スタイレット124と、シース122とを同軸形状に一致させることより、リード線の構造を硬くする必要がなく、かつリード線の可撓性と形状を犠牲にすることなく、誘導性とリード線の制御性が得られる。また、球形遠位先端部106を有するリード線100をシース122に事前装着することにより、リード線100の非外傷性の球形遠位先端部106によってシース122が覆われるため、シース122が比較的硬いまたは鋭い先端部を有することが可能である。したがって、施術者は、従来の先端部が開口したシースを前進させることに比べて、送達中に周囲組織を傷付ける心配が減るであろう。しかしながら、シース122の遠位端部は、シース122自体に対してより外傷性の低い先端部を形成するために、任意選択で、Pebaxなどの軟質材料から形成しても良いことを理解されたい。このような場合、シース122は、任意選択で、球形遠位先端部106を備えていないリード線100とともに使用することができ、リード線100の近位端部または遠位端部のいずれからもリード線100に装着することができる。
リード線100の球形遠位先端部106は、シース122に対して引き戻されるときに触覚フィードバックも提供する。このようなフィードバックにより、施術者は、リード線100のシース122に対する相対位置を感触で決定することができる。他の機構、たとえば、スロット、ピン、およびバンドなどを用いても、リード線100の遠位先端部106をシース122に対して位置合わせできることを理解されたい。別法として、このような位置合わせは、リード線100とシース122の近位端部の近傍で達成することができる。
一部の実施形態では、シース122は、その中のリード線100の引き戻しを容易にするようにその遠位端部の近傍に面取り部またはフレア縁を備えている。一部の実施形態では、面取り部は、たとえば、約0.002インチ(約0.051mm)以上の遠位端部の近傍にシース122の内側の半径部を有する。このような半径部により、非外傷性の平滑な縁が、リード線100とその表面の電極102とをシース122に案内する。同様に、フレア縁が、リード線100とその表面の電極102とを、シース122の遠位端部に引っ掛かることなくシース122内に通すのを容易にする。これにより、電極102がシース122に引っ掛かることなどによるリード線100の損傷のリスクが減少し、医師がシステム全体を取り外さなくても装置を再配置できるため、処置時間が短縮される。
ほとんどの実施形態では、シース122は、その近位端部の近傍に、図23Aに例示されているようなハブ162も備え、このハブ162は、シース122の操作に役立つ。シース122の捻れ剛性により、ハブ162の回転によってシース122にトルクをかけることができる。一部の実施形態では、ハブ162は、湾曲の方向の指標ともなる。これは、視覚化の支援を用いた、または用いないリード線100の誘導に役立つ。蛍光透視法などの視覚化が用いられる場合は、遠位端部128の近傍に放射線不透過性マーカー164を有するシース122の一つの実施形態を用いることができる。別法として、シース122は、たとえば、遠位端部128に沿った、またはシース122の長さに沿った放射線不透過性ストリップでマークを付けることができる。同様に、シース122は、その厚さが硬膜外腔によって制限されないため、タングステンまたはプラチナ・マーカー・バンドなどの放射線不透過性マーカー・バンドでマークを付けることもできる。
別法として、またはこれに加えて、シース122は、遠位端部128に沿って、またはシース122の長さに沿って放射線不透過性にする放射線不透過性材料を設けることができる。いずれの場合も、タングステンまたは硫酸バリウムなどの任意の適切な放射線不透過性材料を用いることができる。一部の実施形態では、シース122は、施術者が、リード線100の視覚化を維持することができ、シース122とリード線100の相互作用を一緒に視覚化することができるように、リード線100よりも放射線不透過性が低い。あるいは、一部の実施形態では、シース122とリード線100はそれぞれ、施術者が、解剖学的構造内での位置と互いに対する位置の両方を把握できるように、それぞれの端部に放射線不透過性マーカーを備えている。リード線100とシース122の視覚化は、2次元で行われる従来のSCSリード線の配置に反して、典型的には、異なる平面に対して出入りする動きなどの3次元での装置の操作を伴う本発明の方法に特に有用である。
リード線100を曲げて神経根鞘角形成部に通すことを含む、このようなリード線100の運動は、典型的には、標準的なSCS療法で使用される従来のリード線よりもリード線100の遠位端部101に対するより急な湾曲(より小さい半径を有する湾曲)を含む。結果として、本発明のリード線100の実施形態は、このような湾曲と操作要求の増加とに対応した様々な設計構造の特徴を有する。典型的には、リード線100は、従来のリード線よりも可撓性が高い遠位端部101を有し、かつ小さめの直径を有する。また、リード線100のほとんどの実施形態も、内部構成要素に対する制限を最小限にし、剛性の低い材料を利用している。このような特徴は、体からリード線自体の遠位端部に伝達される荷重とひずみが少ないため、操作を容易にし、DRGの外傷のあらゆる可能性を低減し、かつリード線の移動を防げる。
図23Bを参照すると、一部の実施形態では、ハブ162は、シース122内でリード線100の位置をロックするために使用されるロックキャップ165を備えている。このようなロックは、シース122の操作中のリード線100の動きを減少させるのに役立つ。一つの実施形態では、ロックキャップ165は、ハブ162内のねじ山に螺合するねじが設けられた細長い部分166を有する。ロックキャップ165は、シース122を貫通するルーメンに整合する開口部168も有する。リード線100は、開口部168からシース122のルーメンの中に前進させることができる。リード線100が所望に配置されたら、ロックキャップ165を回転させてねじが設けられた細長い部分166をハブ162内に前進させ、ガスケット170を圧迫してリード線100を所定の位置にロックすることができる。ガスケット170は、シリコーンなどの任意の可撓性材料から構成することができる。ガスケット170の圧迫により、ガスケット170がリード線100に係合し、これによりリード線100が摩擦力によって所定の位置にロックされる。任意選択で、ハブ162は、造影剤、生理食塩水、または他の流体などの望ましい媒体を注入するために使用できる注入ポート172を備えることができる。
リード線
図24A〜図24Eは、本発明のリード線100の1つの実施形態を例示している。図24Aは、リード線100の実施形態の斜視図を示している。リード線100は、遠位端部101と近位端部105とを有するシャフト103を備えている。この実施形態では、シャフト103は、ウレタンなどの押し出しポリマーから形成されたシングル・ルーメン・チューブ172を備えている。図24Bは、図24Aのシャフト103の断面図を示している。典型的には、チューブ172は、約0.040〜0.050インチ(約1.016〜1.27mm)の範囲の外径と、約0.005〜0.010インチ(約0.127〜0.254mm)の範囲の肉厚と、約12〜30インチ(約30.48cm〜76.2cm)の長さとを有するが、このような寸法は、ほんの一例である。たとえば、他の実施形態では、チューブ172は、約0.028〜0.050インチ(約0.7112〜1.27mm)の範囲の外径と、約0.003〜0.010インチ(約0.762〜0.254mm)の範囲の肉厚と、約30cm〜120cmの長さとを有する。シリコーンまたは一般に使用される植え込み可能なポリマーなどの他の材料を使用できることを理解されたい。
図24Bを参照すると、リード線100は、シングル・ルーメン・チューブ172内に配置されたスタイレットチューブ174も備えている。スタイレットチューブ174は、スタイレットルーメン176を形成し、スタイレット124をリード線100の他の構成要素から隔離している。スタイレットチューブ174は、挿入と引き戻しの際にスタイレット124が通過する平滑面または滑沢面も提供する。このような滑沢性は、リード線101内の大きく湾曲したスタイレット124のつかえ、または張り付きを防止するのに望ましい。また、滑沢面は、体液による汚染の送達に対する影響を軽減する。スタイレットチューブ174は、送達中にリード線100に引っ張り強さも付与することができる。
一部の実施形態では、スタイレットチューブ174は、ポリイミドからなる。ポリイミドは、生体適合性で強度の高い平滑な可撓性材料である。平滑性は、製造によって与えられ、十分な滑沢性は、材料の低い摩擦係数(0.7)によって与えられる。一部の実施形態では、ポリイミドは、高い強度を維持したまま摩擦係数を低くするためにテフロンと組み合わせられる。ポリイミドは、強度が高く、靱性であり、かつ平滑であるため、半径の小さい湾曲部を有するスタイレット124は、ある種のポリマーで起こり得るスタイレットチューブ174の側面にスタイレット124が引っ掛かる、張り付く、つかえる、または刺入することなく、スタイレットチューブ174内に導入して操作するのがより容易である。一部の実施形態では、ポリイミド材料は、その全体の引っ張り強さを高めるために強化材料が搭載されている。このような強化材料の例には、たとえば、Spectra(登録商標)繊維と、Vectran(商標)繊維と、Kevlar(登録商標)繊維等のエンジニアリング繊維が含まれる。
ポリイミド材料の物理的な質により、スタイレットルーメンの肉厚を非常に薄く、たとえば、約0.001インチ(約0.254mm)以下にすることもでき、これが、リード線100の外径を最小限にするのに役立つ。このような薄さは、同等の強さと耐座屈性を有するある種の他の生体適合性ポリマー材料の使用では達成できないであろう。
他の実施形態では、スタイレットチューブ174は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)からなる。PEEKは、生体適合性で強度の高い平滑な材料であり、薄肉チューブ構造では、十分に可撓性の高い材料である。平滑性は、製造によって与えられ、十分な滑沢性は、材料のかなり低い摩擦係数(0.35)によって与えられる。PEEKは、強度が高く、靱性であり、かつ平滑であるため、半径の小さい湾曲部を有するスタイレット124は、ある種のポリマーで起こり得るスタイレットチューブ174の側面にスタイレット124が引っ掛かる、張り付く、つかえる、または刺入することなく、スタイレットチューブ174内に導入して操作するのがより容易である。
そして、他の実施形態では、スタイレットチューブ174は、他のポリマー、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)膜(ポリエステルまたはマイラーとしても知られる)など、他の材料、たとえば、金属チューブ、可撓性金属チューブ(たとえば、ニチノールから形成された)、レーザーカット金属チューブ、ばね、またはコイル(たとえば、金属の閉じたコイルばね)など、または材料と形態の組み合わせからなる。
上記のように、スタイレットチューブ174は、所望の滑沢性を与えるためにスタイレットルーメン176の少なくとも一部に沿ってコーティングまたは埋め込み層などの滑沢面を有することができる。このような表面の例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはパリレンコーティングである。チューブ174は、ポリイミドなどの材料から構成し、さらにコーティングしても良いし、または滑沢性の低い材料から構成し、所望の滑沢性に到達するためにコーティングしても良い。このようなコーティングは、シャフト103がマルチルーメン押し出しからなる場合に特に有用であろう。
別法として、マルチ・ルーメン・チューブは、リード線100のシャフト103に、またはマルチ・ルーメン・チューブとシングル・ルーメン・チューブの組み合わせに用いることができることを理解されたい。このようなマルチ・ルーメン・チューブが押し出しポリマーから形成されている場合は、リード線100の種々の他の構成要素をマルチ・ルーメン・チューブ(たとえば、導体ケーブル、スタイレットチューブ、および/または後述する高張力ワイヤなど)とともに押し出すことができる。図24Fは、リード線100のシャフト103の1つの実施形態を例示し、このシャフト103は、5つのルーメン押し出しを含む。4つのルーメンは、導体ケーブル182を収容し、各導体ケーブル182は、各ルーメン内に緩く配置されている。そして、1つの大きめのルーメンは、スタイレットルーメン176として機能する。典型的には、スタイレットルーメン176は、所望の滑沢性を与えるためにスタイレットルーメン176の少なくとも一部に沿ってコーティングまたは埋め込み層などの滑沢面175を備えている。また、引っ張り要素188は、図示するように、この押し出しと共押し出ししても良いし、または押し出しの第6のルーメン内に緩く嵌め込んでも良い。ケーブルまたは要素を小さいルーメン内に予め緩く挿入できることは、リード線100の可撓性を高める特殊な態様である。そして、リード線100は、典型的には、スタイレットなどの装置によって曲げられるが、マルチ・ルーメン・チューブの遠位端部は、任意選択で、このような曲げを容易にするために熱で予め湾曲させることができる。
図24Aを再び参照すると、リード線100は、少なくとも1つの電極102も備えている。この実施形態では、リード線100は、その遠位端部101に沿って配置された4つの電極102を備えている。典型的には、電極102は、プラチナまたはプラチナ/イリジウム合金からなる。この実施形態では、電極102は、シャフト103の周りに延在するリング形状を有し、シャフト103の外径にほぼ等しい外径を有する。一部の実施形態では、電極は、約0.002〜0.004インチ(約0.0508〜0.1016mm)の肉厚と、約0.030〜0.060インチ(約0.762〜1.524mm)以上の長さとを有する。リード線100の成形遠位先端部106は、最遠位電極から形成することができることを理解されたい。そして、近位端部キャップ(後述)が、最近位電極として機能し得ることを理解されたい。
リード線100は、その近位端部105の近傍に配置された少なくとも1つの電気接点180も備え、この電気接点180は、植え込み可能なパルス発生器などの電源に取り外し可能に接続することができる。この実施形態では、リード線100は、各電極102に対応する電気接点180を備えている。電気エネルギーは、電気接点180と対応する電極102との間に延在する導体ケーブル182によって電気接点180から対応する電極102に伝達される。したがって、ケーブル182は、典型的には、約18〜22インチ(約45.72〜558.8cm)の長さであるが、典型的には、最大約120cm(約47.24インチ)の長さである。
図24Bを参照すると、導体ケーブル182は、スタイレットチューブ174とシングル・ルーメン・チューブ172との間の空間186に延在する。ケーブル182は、任意の適切な材料、好ましくは、複数のDrawn Filled Tube(DFT)ストランドから構成することができ、各ストランドは、コバルト−クロム合金の高強度の外層と、銀、プラチナ、またはプラチナ/イリジウム合金の高導電性のコアとを含む。典型的には、ケーブル182は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはペルフルオロアルコキシ(PFA)などの材料の薄層によって電気的に絶縁されている。結果として、ケーブル182は、典型的には、約0.006インチ(約0.1524mm)の外径を有する。しかしながら、シャフト103がマルチルーメン押し出しチューブからなり、かつ各ケーブル182が専用のルーメン内に延在する場合、または別法としてケーブルが押し出しチューブの壁部に埋め込まれている場合は、ケーブル182をコーティングしたり、絶縁したりしなくてもよいことを理解されたい。別の種類のケーブル構造は、高強度のストランドと高導電性のストランドとの組み合わせを含むことができる。別法として、コバルト−クロム合金またはステンレス鋼などの高強度のストランドのみを使用することができる。このような実施形態では、ケーブルの断面積を大きくして抵抗を小さくすることができる。
各ケーブル182は、適切な方法、たとえば、溶接、蝋付け、はんだ付け、または圧接などによって電極102と対応する電気接点180とに接続されている。接続工程により、ケーブルと電極との間に電気接点が形成され、植え込みの最中または後にリード線が受け得るあらゆる張力によってケーブルが電極から切断されるのも防止する。したがって、接続工程では、電気的抵抗を低く、物理的強度を高くすべきである。高強度の接続部は、十分な表面積と、適合した材料と、他の要因を有することに加えて、接続される材料のいずれも接続工程によって分解されないものにすることよって達成される。好ましい実施形態では、このような接合は、電極102の外部から電極壁を通過するYAGレーザーを用いて行われる溶接によって達成される。レーザーが、ケーブル182を電極102の内面に接続する。一部の実施形態では、溶接は、電極合金を融解し、この融解が、電極102の内面に接触しているケーブル182のストランドに少なくとも部分的に達する。溶接によって過熱されるとコバルト−クロム合金の強度特性が低下し得るため、ケーブル182(たとえば、DFTのストランド)の融解がほとんど起こらないことが望ましい。
好ましい実施形態では、各電極102は、2つの溶接部で導体ケーブル182に溶接される。2つの溶接部は、電極102に沿って約0.020〜0.040インチ(約0.508〜1.016mm)離隔している。撚られたケーブルが使用される場合は、2つの溶接部間のストランドの撚りが、各溶接部においてストランドの異なるセットを固定する。溶接が完了したら、ケーブル182の端部のストランドが、電極102の端部に近い長さにケーブル182を切断することによって一緒にレーザー融合する。同じ方法を用いてケーブル182を対応する電気接点180に溶接できることを理解されたい。
この溶接方法は、ケーブル材料を過熱しなくても、多くのストランドを溶接部によって固定して、ケーブル182と電極102または電気接点180との接続を確実にする。しかしながら、唯1つの溶接を用いても良いことを理解されたい。いずれの場合も、溶接後のケーブル182の端部の融合は、ストランドの負荷分散とケーブル溶接の破壊強さを向上させる。したがって、電極102または電気接点180に直接溶接されないストランドであっても、融合処理によって引っ張り荷重を少なくとも部分的に分散させることができる。
一部の実施形態では、少なくとも一部の電極182が、1本のワイヤからなることを理解されたい。このような場合は、1つの溶接で十分であろう。他の実施形態では、ケーブル182を、複合ケーブルと一体に形成する。任意選択で、ケーブル182を、シャフト103の壁部に埋め込むこともできる。
電極102は、他の形態も有することもできることを理解されたい。たとえば、一部の実施形態では、少なくとも1つの電極102は、互いに電気的に接続された複数の要素からなる。他の実施形態では、少なくとも1つの電極102は、指向性の場を与えるためにリード線100のシャフトの周りに部分的に延在する。さらに他の実施形態では、少なくとも1つの電極は、中空円筒形状を有し、1つ以上の特徴が、その表面から、またはその表面を通ってカットされている。これにより、電極の表面積を増加させずに、電極の長さを延長することができる。このような長めの電極は、リード線のずれの影響を軽減することができる。他の実施形態は、電流密度のレベルと変動に影響を与えて標的の解剖学的構造に対するエネルギーの影響を最適化するために、様々な電極形状と縁の外形を含む。少なくとも1つの電極102は、複合構造を有するか、または表面の形状を増加させるパイロライトカーボン(pyrolite carbon)から構成することができることを理解されたい。
一部の実施形態では、リード線100は、図24Bに例示されているように、引っ張り要素188も備えている。引っ張り要素188は、スタイレットチューブ174とシングル・ルーメン・チューブ172との間の空間186に延在する。一部の実施形態では、引っ張り要素188は、コバルト−クロム合金などの適切な材料の1本のストランドワイヤを含む。このような実施形態では、要素188は、典型的には、0.004インチ(約0.1016mm)の直径を有する。任意選択で、要素188は、複数の直径を有することもできる。たとえば、要素188は、近位端部105の近傍でより大きい外径(たとえば、約0.010インチ(約0.254mm))を有し、遠位端部101に向かって細くすることができる。これは、十分な引っ張り強さを維持して、リード線100の遠位端部101の十分な可撓性を維持したまま、植え込み可能なパルス発生器への近位端部105の少なくとも一部の挿入をさらに容易にすることができる。一部の実施形態では、2つ以上の引っ張り要素188を用いることもできることを理解されたい。そして、一部の実施形態では、引っ張り要素188は、たとえば、金属、ポリマー、ステンレス鋼、編組、およびケーブルなどの他の材料と形態からなる。
要素188は、典型的には、リード線100の遠位端部101から近位端部105まで延在するが、任意の望ましい距離、延在しても良い。要素188は、植え込みの最中または後でリード線100にかかる引っ張り応力を要素188が吸収するのを可能にするリード線100の部分に取り付けられている。具体的には、要素188は、初めに引っ張り荷重を吸収するように導体ケーブル182よりも強く張るか、真直である。したがって、引っ張り要素188は、少なくとも遠位端部101の近傍で可撓性であるが、ケーブル182と溶接部を破壊から保護するために十分な引っ張り強さ(たとえば、2重量ポンド(lbf)(約0.907kgf)以上)を有する。これは、引張荷重を吸収する導体ケーブル182と溶接部に好ましく、リード線100の引っ張り強さを向上させる。このような取り付けは、溶接、埋め込み、圧接、包装、インサート成形、または任意の適切な方法で達成することができる。
図24Bの実施形態では、スタイレットチューブ174と、引っ張り要素188と、導体ケーブル182とが、シングル・ルーメン・チューブ172内に延在し、その中で自由に動くことができる。典型的には、これらの構成要素は、シングル・ルーメン・チューブ172にその近位端部と遠位端部の近傍で固定され、近位端部と遠位端部との間では取り付けられていない。したがって、配置中にリード線100が曲がる、または湾曲すると、スタイレットチューブ174と、引っ張り要素188と、導体ケーブル182とがそれぞれ、シングル・ルーメン・チューブ172内を多少独立して運動することができる。このような運動により、曲げ時の可撓性が大きくなり、かつかかる力が小さくなるため、リード線100の湾曲半径を縮小することができる。構成要素は、位置間での自由な運動を可能にする他の位置に固定できることを理解されたい。同様に、空間186は、任意選択で、シリコーンまたは他の材料などの埋め込み材料で充填できることを理解されたい。
一部の実施形態では、リード線100は、別個の引っ張り要素188を備えていない。このような実施形態では、スタイレットチューブ174は、さらなる引っ張り強さを付与するために長手方向のワイヤ、ストリップ、コイル、埋め込み編組、または他の要素で補強することができる。
既に述べたように、リード線100の遠位端部101は、端部が閉じた遠位先端部106を有する。遠位先端部106は、図示するように、球形を含む様々な形状を有することができる。成形先端部は、リード線100の非外傷性先端部となる他、遠位先端部106がシース122内に引き戻されるのを防止するなどの他の目的も果たす。これは、シース122の非外傷性先端部としても機能する。一部の実施形態では、成形遠位先端部106の直径は、シース122の外径とほぼ同じ大きさである。たとえば、球形遠位先端部106の場合は、シース122の直径が約0.052〜0.057インチ(約1.3208〜1.4478mm)であるとすると、球の直径は、0.055〜0.060インチ(約1.397〜1.524mm)にすることができる。球はまた、導入針126の中を通過できる大きさに形成されている。しかしながら、遠位先端部106は、任意選択で、リード線100をシース122内で引き戻すことができるように形成することができることを理解されたい。たとえば、リード線100とシース122は、シース122内を通過できるようにリード線100の一定の回転を可能にする対応する「キー」の特徴を有することができる。あるいは、リード線100は、遠位先端部106の直径を縮小する機構を備えることができる。このような特徴は、スタイレット124などによってリード線の近位端部で作動させることができる。
図24Cは、リード線100の球形の遠位先端部106の実施形態の断面図を例示し、遠位先端部106は、シース122の遠位端部に対して引き戻されている。この実施形態では、先端部106は、カテーテル先端部形成工程などによって、シャフト103と同じ材料から成形されている。しかしながら、球形は、任意の様々な方法と材料、たとえば、シリコーン、UV接着剤、シアノアクリレート、またはある形状に流し込まれて硬化され、その形状を維持できる任意の適切な材料等から形成できることを理解されたい。球形の遠位先端部106は、シリコーン先端部などの追加の遠位非外傷性の特徴を備えることもできることを理解されたい。別法として、またはこれに加えて、遠位先端部106は、組織の内植を可能にするように構成することもできる。たとえば、遠位先端部106は、マルチフィラメントポリマーから構成することができる。
この実施形態では、先端部106は、図24Cに例示されているように、内部アセンブリ200も備えている。典型的には、内部アセンブリ200は、コバルト−クロムまたはステンレス鋼などの金属、あるいは他の適切な材料からなる。内部アセンブリ200は、スタイレット124がリード線100の遠位端部100から突出するのを防止する硬い障壁として機能する。また、内部アセンブリ200は、シングル・ルーメン・チューブ172にスタイレットチューブ174を取り付ける機構としても機能することができる。さらに、内部アセンブリ200は、引っ張り要素188の固定点としても機能することができる。また、内部アセンブリ200が放射線不透過性材料からなる場合は、このアセンブリは、蛍光透視下で放射線不透過性マーカーとしても機能することができる。
一部の実施形態では、遠位先端部106は閉じた端部ではないことを理解されたい。たとえば、遠位先端部106は、スタイレット124の挿入または引き戻しを容易にするために圧力を解放することができる通路を備えることができる。同様に、一部の実施形態では、遠位先端部106は、内部アセンブリ200を備えていないことを理解されたい。このような実施形態では、スタイレットチューブ174は、ポッティングまたは他の機構によってシングル・ルーメン・チューブ172に取り付けることができる。
一部の実施形態では、リード線100は、図24Cに例示されているように、スタイレットチューブ174とシングル・ルーメン・チューブ172との間にポッティング190を備えている。このようなポッティング190の例には、シリコーン、他のポリマー、接着剤、またはシングル・ルーメン・チューブ172を形成する材料の溶融が含まれる。ポッティング190は、遠位端部101、近位端部105、またはリード線100の長さに沿って配置することができる。ある場合には、ポッティング190は、電気的短絡または溶接部の破壊などの要因による故障に対するさらなる抵抗を付与する。ポッティングは、リード線の一部を通る体液の流出を防止することもできる。ポッティングは、リード線の近位端部のパルス発生器への挿入をさらに容易にすることもできる。
一部の実施形態では、リード線100の遠位端部は、ポリマーまたは他の適切な材料でオーバーモールドまたは注型して、電極の外面を除いて構成要素を封入する。
図24Dは、図24Aのリード線100の遠位端部101の一部の破断側面図である。シングル・ルーメン・チューブ172の周りに巻かれた電極102が示されており、端部が剥がされた導体ケーブル182が、電極102に取り付けられている。シングル・ルーメン・チューブ172内に延在するスタイレットチューブ174が示されている。同様に、スタイレットチューブ174に沿って延在する引っ張り要素188が示されている。
一部の実施形態では、リード線100は、図24Eに例示されているように、近位端部キャップ200を備えている。近位端部キャップ200は、図24Aに例示されているように、リード線100の近位端部105に配置されている。この実施形態では、端部キャップ200は、クランプリング202と中空シャフト204を備え、リード線100のシャフト103は、中空シャフト204を被装し、クランプリング202に当接している。シャフト103は、適切な機構、たとえば、接着剤、シャフト材料の溶融、オーバーモールド、または外部リングでの締め付けなどによって端部キャップ200に取り付けられている。端部キャップ200は、リード線100のスタイレットルーメン104に接続するルーメン206も備えている。したがって、スタイレット124は、ルーメン206に挿入して前進させることができる。一部の実施形態では、ルーメン206の開口部は、図示するように、このような挿入を容易にするために面取りされている。
クランプリング202は、植え込み可能なパルス発生器のコネクターブロックの止めねじを固定できる固定点となり、このパルス発生器のヘッダー内の所定の位置にリード線100を保持する。端部キャップ200は、引っ張り要素188の固定点としても機能することができる。同様に、端部キャップ200を使用して、スタイレットチューブ174とシングル・ルーメン・チューブ172を一緒に接続することができる。典型的には、端部キャップ200は、コバルト−クロムまたはステンレス鋼などの金属からなる。しかしながら、端部キャップ200は、別法としてポリマーから構成することができ、任意選択で、止めねじの力に耐えるようにクランプリング202に沿って埋め込み補強部材を備える。一部の実施形態では、端部キャップ200は、電極として使用される。このような実施形態では、端部キャップ200は、導体ケーブル182と、リード線100の遠位端部に配置された電極102とに接続される。
スタイレット
図25、図26A〜図26Bは、本発明のスタイレット124の実施形態を例示している。一部の実施形態では、スタイレット124は、超弾性ニチノールからなる。ニチノールは、生体適合性であり、様々な望ましい特徴がある。たとえば、ニチノール材料は、スタイレット124が、リード線100に挿入されてシース122の直線部分内に保持されると直線になるのに十分な弾性がある。しかしながら、スタイレット124は、リード線100がシース122の遠位端部128を越えて前進すると形状を回復することができ、この時点で、スタイレット124は、リード線100の遠位端部101を送達に適した望ましい曲線にするのに十分な曲げ剛性を有する。具体的には、スタイレット124は、リード線100の遠位端部101を、神経根角形成部に沿って標的DRGに向かって曲げる。これにより、特に図7の角θに沿って急なターンを形成することによって、リード線100を上手に誘導して、標的DRGの表面、近傍、または周囲に少なくとも1つの電極102を配置することができる。
典型的には、スタイレット124は、約0.008〜0.024インチ(約0.2032〜0.6096mm)、好ましくは約0.008〜0.018インチ(約0.2032〜0.4572mm)の範囲の直径を有する。一部の実施形態では、スタイレット124は、特に、直径が0.040インチ(1.016mm)のリード線100を使用する場合は、0.010インチ(0.254mm)の直径を有する。特に直径が0.010インチ(0.254mm)の範囲の超弾性ニチノールは、神経と他の組織の近傍のスタイレット124/リード線100の組み合わせ体の非外傷性の案内に有利な比較的低い剛性を有する。したがって、スタイレット124/リード線100の組み合わせ体は、組織に押し通されるのではなく、解剖学的層間に案内される傾向にあるであろう。
典型的には、スタイレット124は、リード線100よりも約1cm長い長さを有する。また、スタイレット124の遠位端部130は、ある曲線に予め形成されている。図25は、第1の曲線Xを有するスタイレット124を例示している。第1の曲線Xは、スタイレット124が沿って延在する周囲を有する弧状または半円として表すことができる。したがって、180度の第1の曲線Xは、全半円に沿って延在するスタイレット124の遠位端部からなる。90度の第1の曲線Xは、半円の半分に延在するスタイレット124の遠位端部からなる。第1の曲線Xは、最大360度、典型的には最大270度、より典型的には最大180度延在するスタイレット124によって形成することができる。図25の実施形態は、半円の周囲に沿って170度延在するスタイレット124の遠位端部によって形成された第1の曲線Xを例示し、この半円は、0.25インチ(6.35mm)の半径を有する。この実施形態では、スタイレット124の遠位先端部は、0.10インチ(2.54mm)の直線部分を有する。
一部の実施形態では、曲線は、第1の曲線Xと第2の曲線Yからなる。図26Aの実施形態は、半円の周囲に沿って180度延在するスタイレット124の遠位端部によって形成された第1の曲線Xを例示し、半円の半径は、0.25インチ(6.35mm)である。この実施形態では、スタイレット124は、第1の曲線Xに近接した近位側の第2の曲線Yも有する。しかしながら、第2の曲線Yは、存在しなくても良いし(図25のように)、または第2の曲線Yは、スタイレット124に沿った任意の位置に形成することができ、第1の曲線Xに近接していなくても良いことを理解されたい。典型的には、第2の曲線Yは、第1の曲線Xよりも大きい曲率半径を有する。この実施形態では、第2の曲線Yは、1.5インチ(38.1mm)の曲率半径を有する。
他の実施形態では、第1の曲線Xおよび/または第2の曲線Yは、複合曲線である。複合曲線は、2つ以上の小曲線からなる。たとえば、図26Bは、0.25インチ(6.35mm)の曲率半径を有する小曲線と、0.37インチ(9.398mm)の曲率半径を有する別の小曲線とからなる第1の曲線Xを例示している。このような複合曲線により、より多様な全体形状が可能となる。この例では、複合曲線は、わずかに広めの第1の曲線Xを形成している。
全体としては、第1の曲線Xは、「U」形状と見なすことができる。他の曲線形状を用いて、送達をさらに容易にする、またはリード線100の望ましい解剖学的構造の周りへの固定を安定させることもできることを理解されたい。例には、たとえば、「V」形状、「S」形状、またはコイルが含まれる。
スタイレット124は、他の実施形態では、他の材料、たとえば、金属、合金、ポリマー、およびステンレス鋼から形成されることを理解されたい。ステンレス鋼は、リード線100が比較的直線的な構造またはより直線的な構造で送達される場合に好ましいであろう。スタイレット124は、直線構造または予め曲げられた構造で供給することができる。同様に、スタイレット124は、リード線100に挿入する前に施術者が曲げることができる。
一部の実施形態では、スタイレット124の遠位先端部は、挿入中に、スタイレットチューブ174の壁部への埋まり込み、またはスタイレットチューブ174の損傷を防止するために丸める、または他の方法で形成する。同様に、一部の実施形態では、スタイレット124は、滑沢性を向上させるためにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パリレン、または他のコーティング材料でコーティングする。これにより、スタイレット124のスタイレットチューブ174への挿入が容易になり、つかえまたは張り付きが防止される。また、滑沢性コーティングは、リード線100内でのスタイレットの運動の触覚フィードバックを向上させることができる。上記のように、このような滑沢性は、スタイレットチューブ174自体またはスタイレットルーメン176に沿ったコーティングによって付与することができるが、スタイレット124のこのようなコーティングは、別法として、またはこれに加えて使用することができる。
一部の実施形態では、スタイレット124は、その近位端部近傍に保持装置を備えている。この保持装置により、スタイレット124をより容易に、またはより人間工学的に保持して、スタイレット124にトルクをかけることができる。このようにトルクをかけると、スタイレット124の遠位端部130の誘導方向が変化する。保持装置は、スタイレット124に固着しても良いし、または取り外し可能に取り付けても良い。一部の実施形態では、保持装置は、遠位端部130の湾曲の方向も示す。
2本以上のスタイレット124をリード線100、特に同じスタイレットチューブ174内に挿入できることを理解されたい。このような場合、各スタイレット124は、異なる曲げ形状または剛性を有することができ、スタイレット124の操作により、誘導能力を向上させることができる。同様に、リード線100は、2本以上のスタイレットチューブ174または複数のスタイレット174の挿入を含み得る。
別法として、またはこれに加えて、スタイレット124の形状と剛性は、制御ワイヤまたは他の同様の装置を使用して能動的に制御することができる。たとえば、一部の実施形態では、スタイレット124は、チューブ状の形状を有し、特徴が、スタイレット124の遠位端部近傍のチューブの直径を一部貫いてカットされている。これにより、チューブが、カットされた特徴の領域で弾性的に曲がることができる。細いワイヤが、カットされた特徴の遠位側のチューブ状スタイレット124の内壁に取り付けられ、このチューブの近位端部を通って作動ハンドルまで延びている。ワイヤに張力がかけられると、スタイレット124の遠位端部が元の形状から曲がる。張力が除去されると、スタイレット124の遠位端部は元の形状に戻る。2本以上のワイヤを複数の湾曲のために用いることができる。このようなスタイレット124は、任意の適切な材料、特に超弾性ニチノールから構成することができる。
一部の実施形態では、スタイレット124は、リード線100に固着される、または埋め込まれることを理解されたい。このよう場合、スタイレット124は、リード線100に対する湾曲と、誘導性と、剛性とを維持する役割を果たすため抜去しない。
リード線100、スタイレット124、またはシース122は、別法として、能動的な誘導制御要素によって操作できることをさらに理解されたい。このような制御要素は、外部制御によって管理することができる。
スタイレット124および/またはシース122は、実質的に直線状の構造を有することができることをさらに理解されたい。このような直線状の構造は、大きめの湾曲部、たとえば、90度の湾曲部を形成するときに特に有用であろう。たとえば、標的DRGの神経根角形成部が比較的大きい場合は、直線シース122を用いてリード線100を神経根の近傍に配置することができ、湾曲したスタイレット124により、リード線100が、シース122を出た時点で神経根角形成部に沿って曲がることができる。したがって、シース122とスタイレット124が一緒に、約90度の湾曲部を形成する。あるいは、シース122自体の湾曲が、リード線100を標的DRGに向けて案内するのに十分であろう。このような場合、直線スタイレット124を使用しても良いし、またはスタイレットを使用せずにリード線100を前進させても良い。
成形可能なシースの実施形態
一部の実施形態では、シース122は、成形可能な材料からなる。このような材料は、材料を単純に曲げることによって成形可能であり、この材料は、曲げられた形状を実質的に維持する。好ましい実施形態では、成形可能な材料は、内部にステンレス鋼ワイヤが埋め込まれたポリイミドを含む。ワイヤは、強度と成形性を付与するに役立つ。一部の実施形態では、ワイヤは、内部に軸方向に埋め込まれる。任意の数のワイヤ、たとえば、1本、2本、3本、4本、6本、または8本以上のワイヤが存在しても良い。一部の実施形態では、4本のワイヤが存在する。ワイヤは、様々な太さを有することができる。材料の例には、MicroLumen(Tampa、FL)によって提供される470−VII.5 PTFE ID/BRAID w/4 AXIALが含まれる。他の実施形態では、2本以上のワイヤがコイル構造に埋め込まれる。
典型的には、成形可能な材料からなるシース122は、上記のシース122と同じ特徴を有し、同じ方式で他の送達装置とともに使用される。しかしながら、成形可能なシースは、その遠位端部の近傍の予め形成された湾曲部またはプリセット湾曲部に依存しない。むしろ、成形可能なシースは、使用時に任意の角αに曲げることができる。同様に、成形可能なシースは、必要に応じて何回でも曲げなおして再調整することができる。これにより、施術者は、標的の解剖学的構造により望ましくアクセスするために、処置の前または最中に、必要に応じて角αを調整することができる。これは、進行性の疾患などによって普通とは異なる解剖学的構造または予期していなかった解剖学的特徴を有する患者に特に有用であろう。
複数のシースの実施形態
複数のシースを用いてリード線100を標的DRGなどの標的の解剖学的構造に向けて所望に案内できることを理解されたい。たとえば、図27に例示されているように、追加のシース122’を上記の送達システム120とともに用いることができる。このような場合、追加のシース122’は、シース122の中を前進することができ、リード線100は、追加のシース122’の中を前進することができる。追加のシース122’は、任意の望ましい湾曲部を有しても良いし、実質的に直線状でも良い。シース122と、追加のシース122’と、リード線100のそれぞれは、互いに対して前進させることができ、引き戻すことができる。一部の実施形態では、シースは、追加のシース122’の遠位端部が、シース122の遠位端部を約12〜20mm、典型的には約15mm越えて延在するように移動可能である。送達装置の形状(たとえば、湾曲)と組み合わせたこのような運動は、操作性の向上と、装置が前進できる角度の多様性とをもたらす。また、複数のシースの設計構造は、特に入口点から硬膜外腔までの実質的な距離で、椎間孔などに向けて横方向の力を加える能力を向上させる。上記したように、送達システム120を用いて、針の挿入点よりも上または下の複数の脊髄レベルにある解剖学的構造を標的にすることができる。挿入点からの距離が遠ければ遠いほど、シース122で横方向の力を加えることが困難になる。ある場合には、椎間孔が、少なくとも部分的に狭窄して、その中へのリード線の前進が困難なことがある。この種の椎間孔にアクセスするためには、シース122で横方向の力を加えることが望ましいであろう。追加のシース122’は、さらなる剛性と、誘導性と、このようなアクセスに役立ち得る長さを提供する。
一部の実施形態では、追加のシース122’は、実質的に直線状の構造を有する。直線状の構造を用いて、シース122単独でよりも広い範囲を横断することができる。たとえば、一部の患者において、および/または解剖学的構造の一部分において(たとえば、仙骨において、または仙骨裂孔内を前進するとき)、硬膜外腔が特に幅広いことがある。あるいは、シース122は、図28に例示されているように、標的DRGの反対側の硬膜外腔の正中線と「溝(gutter)」との間の硬膜外腔内に配置して、硬膜外腔のより広い部分を横断することができる。これらのより広い範囲の横断は、追加のシース122’を使用してより容易に達成することができる。このような実施形態では、追加のシース122’は、横断移動を可能にする剛性を有する。シース122’の前進または移動は、たとえば、ハブ62内に配置されたスライド機構を使用して達成することができる。次いで、リード線100を、標的DRGを刺激するような位置まで、上記したように追加のシース122’内を前進させることができる。
一実施形態では、シース122は、約0.063インチ(1.6002mm)の外径と、約0.057インチ(1.4478mm)の内径と、約30cmの作業長さとを有する。この実施形態では、追加のシース122’は、約0.052インチ(1.3208mm)の外径と、約0.046インチ(1.1684mm)の内径と、約45cmの作業長さとを有する。シース122と122’は一緒に、約0.067インチ(1.7018mm)の内径を有する14ゲージ針に通すことができる。
一部の実施形態では、シース122は、湾曲部を有し、追加のシース122’も、湾曲部を有する。このような場合、シース122内の追加のシース122’の引き戻しにより、2つの湾曲を一緒に反映させることができる。これは、追加のシース122をシース122内で引き戻すことができる距離を制限することによって防止することができる。一部の実施形態では、これは、スライド機構と制限装置を有する制御ハブ162によって達成される。図29A、図29B、図29Cはそれぞれ、このような制御ハブ162の実施形態の斜視図、側面図、および正面図を例示している。ここでは、ハブ162は、基部300とスライド可能な伸長部302を備えている。基部300は、シース122の近位端部に取り付けられ、スライド可能な伸長部302は、追加のシース122’の近位端部に取り付けられている。伸長部302の基部300に対する前進と引き戻しは、追加のシース122’のシース122に対する運動となる。このような前進と引き戻しは、制限装置によって制限されている。この実施形態では、制限装置は、基部300に沿ってスロット308内に突出した、伸長部302に沿った突出部306を備えている。突出部306は、伸長部302が移動するとスロット308に沿ってスライドするが、スロット308の拘束によって各端部で制限されている。したがって、この実施形態では、引き戻しに加えて前進も、制限されている。このような前進の制限は、所定または既知の距離の前進が望ましい場合に使用することができる。一部の実施形態では、所定の距離は15mmである。同様に、障害物を貫通するなどのために繰り返しの前進と引き戻しが望ましい場合は、制限装置304の使用が望ましいであろう。これにより、過剰な前進または引き戻しのリスクを伴うことなく、既知の距離を迅速に繰り返し運動させることができる。一部の実施形態では、ハブ162は、操作を容易にするために人間工学的なハンドルを備えている。たとえば、一実施形態では、伸長部302は、リング310を備え、基部300は、フック312を備えている。フック312の下側に指を入れ、リング310に親指を通して、親指を同じ手の指に対して近づけたり遠ざけたりすることにより、ハブ162の簡単な片手操作が可能となる。
他の実施形態
本発明の装置は、任意の組み合わせまたは部分的な組み合わせで使用できることを理解されたい。たとえば、1本以上のリード線100を、スタイレット124を用いずに、1本以上のシース122を使用して送達することができる。ある場合には、リード線100は、プリセット湾曲部を備えていないが柔軟であり、シース(複数可)によって単純に標的の解剖学的構造に案内される。次に、リード線100を前進させるか、またはシース(複数可)を引き戻して、リード線を所望に配置する。他の例では、リード線100は、前進時にリード線100を標的の解剖学的構造へ案内するのに役立つプリセット湾曲部を有する。
同様に、リード線100は、1本以上のシースを使用せずに、スタイレット124を使用して送達することができる。このような場合、スタイレット124の操作、たとえば、スタイレット124の前進と、引き戻しと、トルク付与などによってリード線100を誘導することができる。リード線100および/またはスタイレット124は、湾曲部を有することができる。
本発明の装置は、実質的に直線状にしても良いし、または1つ以上の曲線部を有しても良いことを理解されたい。上記のように、本装置は、直線または曲線の任意の組み合わせを含め、任意の組み合わせまたは部分的な組み合わせで使用することができる。たとえば、湾曲したシースを、直線状のスタイレットとともに使用しても良いし、または直線状のシースを、湾曲したスタイレットとともに使用しても良い。これらはいずれも、湾曲部を有していないリード線またはプリセット湾曲部を有しているリード線とともに使用することができる。同様に、実質的に直線状の第1のシースは、湾曲した第2のシースとともに使用することができ、この逆も同様である。あるいは、両方のシースが湾曲していても良い。同様に、任意の数のシースを、湾曲の任意の組み合わせとともに使用することができる。同様に、各組み合わせは、湾曲したもしくは直線状のスタイレットまたは湾曲したもしくは直線状のリード線とともに使用することができる。したがって、すべての組み合わせと部分的な組み合わせが考えられる。
装置と湾曲の望ましい組み合わせは、使用されるアプローチ(たとえば、順行性、逆行性、または反対側)と、標的の解剖学的構造の選択と、各患者の特定の解剖学的特徴とを含め、様々な要因に依存し得る。
送達装置が、リード線を標的の解剖学的構造に向かって案内するとして記載されている場合は、このような方向は、リード線を標的の解剖学的構造に向かってさらに近くに案内する追加の工程を可能にする標的の解剖学的構造のほぼ近傍とすることができることを理解されたい。たとえば、湾曲したシースは、脊柱の正中線から離れて標的DRGに向かってリード線を案内することができる。しかしながら、正中線からのリード線の直線状の前進は、標的DRGの下であったり、上であったり、または望ましいほど十分に近くないことがある。したがって、リード線を標的DRGにより近づけて配置するためには、リード線の標的DRGに向けた追加の案内が望ましいであろう。たとえば、湾曲したスタイレットを用いて、神経根鞘角形成部などに沿って標的DRGに向けてリード線を再び案内することができる。このような工程は、リード線の配置を最適化することができる。
植え込み可能なパルス発生器への接続
上記のように、リード線100の近位端部は、背中、臀部、または腹部に沿うなどして典型的には近傍に植え込まれたIPGに接続される。IPGは、1本以上のリード線に刺激信号を供給する任意の従来のIPGとすることができる。あるいは、IPGは、望ましい解剖学的構造の標的治療に特に適しているであろう。たとえば、本発明の送達装置は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる2009年10月27日出願の米国特許出願公開第12/607,009号明細書(名称:「Selective Stimulation Systems and Signal Parameters for Medical Conditions」)に記載されている植え込み可能な刺激システムと組み合わせて使用することができる。このような標的治療は、障害のない身体部位の不所望の運動応答または不所望の刺激などの有害な副作用を最小限にする。これは、状態に関連した標的の解剖学的構造を直接神経調節する一方で、他の解剖学的構造の不所望の神経調節を最小限にする、または排除することによって達成される。一部の実施形態では、リード線と電極(複数可)は、電極(複数可)が他の解剖学的構造の不所望の刺激を最小限にできる、または排除できる大きさに形成され、構成されている。他の実施形態では、刺激信号または他の態様は、他の解剖学的構造の不所望の刺激を最小限にする、または排除するように構成されている。
リード線のIPGへの接続用のひずみ解放支持体
典型的には、IPGは、刺激部位から離れている位置にある皮膚下に外科的に植え込まれる。リード線は、刺激パルスを供給するために体内を通ってIPGに接続されている。図30は、体内の組織または器官を刺激するために使用される従来の刺激システム510を例示している。システム510は、IPG512と少なくとも1本のリード線514を備えている。IPG512は、リード線514に電気的に接続する少なくとも1つの接続ポート518を有するヘッダー516を備えている。リード線514は、典型的にはリード線514の遠位端部522近傍に配置される少なくとも1つの電極520と、各電極520からリード線514の近位端部524まで延びた導体ワイヤとを備えている。リード線514の近位端部524は、接続ポート518に挿入されて、導体ワイヤをIPG512内の電子回路に電気的に接続する。
リード線は、一般に脆弱性であるため、装置の植え込み中と装置の耐用期間にわたってリード線にかかるひずみを最小限にするために注意を払わなければならない。リード線に対するひずみを軽減するために、リード線は、しばしば、ループ構造で植え込まれ、所定の位置で縫合される。この方式では、リード線にかかるひずみを、ループ状コイルによって吸収することができる。しかしながら、この実施には、脆弱なリード線の追加操作と、ループ構造を収容するためのより大きな植え込み領域とが必要である。
また、リード線の特に脆弱な部分は、IPGとの接点である。典型的には、リード線は、その経路に沿った解剖学的構造の湾曲部に適合するように軟質で「柔軟」であるのが望ましい。対照的に、IPGは、典型的には、被包化と組織の収縮に耐えるように構成された硬質体である。リード線をIPGに接続するために、リード線の一部をIPGに挿入し、所定の位置に固定する。したがって、リード線がIPGから出ると、リード線は、IPGによる完全な支持からまったくの不支持への突然の移行に耐える。リード線のこの部分は、捻れと、ひずみと、損傷とに弱い。また、リード線の軟質で柔軟な特性から、リード線をIPGに挿入しようとすると困難であることも分かるであろう。
したがって、リード線のIPGへの挿入を含むリード線の取り扱いを改善し、かつIPGへの接続部位におけるリード線のあらゆる脆弱性を軽減するための装置と、システムと、方法とを提供することが望まれている。これらの目的の少なくとも一部は、本発明によって達成される。
従来のリード線または本明細書に記載されている本発明のあらゆるリード線などのリード線のIPGに対する接続性を改善し、かつこの接続のあらゆる脆弱性を軽減する装置と、システムと、方法とを提供する。上記のように、多くのリード線の軟質で柔軟な特性は、取り扱いの問題とIPGに接続したときに寿命の問題との両方をもたらすであろう。たとえば、柔軟なリード線のIPGへの挿入は、困難で時間がかかるであろう。そして、リード線のIPGから出ている部分は、捻れと、ひずみと、損傷とに弱いであろう。本発明は、リード線の近位端部に接合可能なひずみ解放支持体を設けることによってこれらの問題を解消するのを助ける。支持体は、リード線の近位端部に剛性を付与して、リード線の近位端部の取り扱いとIPGへの挿入とを容易にする。そして、支持体は、IPGとの接続点近傍の予想される脆弱性からリード線を保護する。
図31は、本発明のひずみ解放支持体530の実施形態を例示している。支持体530は、支持部材532と取り外し可能なハブ534とを備えている。この実施形態では、支持部材532は、リード線514の近位端部524に挿入される大きさに形成された細長いシャフトを備えている。典型的には、リード線は、各導体ワイヤ用の別個のルーメンなどの複数のルーメンを備えている。また、リード線は、スタイレットルーメンまたは他のルーメンを備えることができる。支持部材532は、典型的には、リード線の近位端部を内部から支持するようにスタイレットルーメンまたは他のルーメンに挿入される。しかしながら、支持部材532は、どのルーメンに挿入しても良いし、またはリード線の外面に取り付けても良いことを理解されたい。ハブ534は、支持部材532に取り付け可能であり、支持部材532の操作を容易にするハンドルまたは保持構造を提供することができる。
ひずみ解放支持体530は、金属(たとえば、ステンレス鋼、ニチノール、MP35Nなど)またはプラスチック(たとえば、ナイロン、ポリカーボネート、ポリウレタンなど)を含む任意の適切な材料から構成することができる。
図32は、支持部材532とハブ534とを含むひずみ解放支持体530の断面図を例示している。図示するように、支持部材532は、ハブ534内に配置された端部構造536を有する。ハブ534は、プランジャーシャフト542に取り付けられたプランジャーボタン540を含むプランジャー538を備えている。プランジャーシャフト542は、支持部材532の端部構造536に向かってハブ534の通路544内に延在する。プランジャーボタン540を押圧すると、プランジャーシャフト542が通路544内を移動し、これによりプランジャーシャフト542が端部構造536に接触する。押圧を継続すると、端部構造536に力が加わり、ハブの材料が変形して端部構造536の運動が可能になるため、端部構造536がハブ534から押し出される。したがって、支持部材532が解放され、ハブ34が分離したと見なされる。ハブ534は、別法として、他の機構、たとえば、支持部材532との摩擦嵌めの破綻などによって分離できることを理解されたい。
図33〜図35は、リード線514の近位端部524への支持部材32の挿入を例示している。リード線514の近位端部524が、患者の体内の小嚢位置に達し、小嚢がIPGを受け入れる状態になったら、近位端部524は、支持部材532をすぐに受容する。典型的には、支持部材532は、使用者が保持しやすいようにハブ534に予め取り付けられている。使用者が、ハブ534を保持し、図33に示すように、支持部材532をリード線514の近位端部524内に案内する。具体的には、支持部材532を、リード線514の望ましいルーメン内に挿入する。次いで、図34に例示するように、プランジャーボタン540を押圧して、ハブ534を支持部材532から分離する。図35は、図34の側面図である。図示するように、プランジャーシャフト542が、端部構造536をハブ534から押し出しているため、ハブ534が分離されており、ハブ534を廃棄またはリサイクルすることができる。図36に示すように、支持部材532をリード線514の中にさらに挿入して、端部構造536をリード線514に当接させることができる。このような挿入は、端部構造536が所望に配置されるまで、指または器具などで端部構造536を押圧することによって達成することができる。典型的には、端部構造536は、リード線514の外部に維持されるように、支持部材532が挿入されるルーメンよりも大きく形成されている。これにより、支持部材532の遠位側への移動が防止され、所望に応じて、支持部材532を近位端部524から容易に取り出すことができる。この実施形態では、端部構造536は、丸形または球形を有するが、構造536は、任意の適切な形状、特に、保持しやすく、かつリード線514内への挿入を防止する形状にすることができることを理解されたい。しかしながら、端部構造536は、任意選択で、所望に応じてリード線514の近位端部524に挿入できる大きさおよび形状にすることができることを理解されたい。。
次に、図37に例示されているように、リード線514の近位端部524をIPG512の接続ポート518に挿入することができる。支持部材532は、リード線514の近位端部524に剛性を付与して、近位端部524の接続ポート518への挿入の際の取り扱いを容易にする。次に、止めねじ550を使用して近位端部524を接続ポート518内に固定することができる。止めねじ550をリード線514に向かって前進させてリード線514を締め付け、摩擦力によってリード線514を接続ポート518内に保持する。一部の実施形態では、リード線514は、止めねじ550に接触するように整合されたカフ552を備えている。カフは、任意の適切な材料、たとえば、MP35N(CoCr)などから構成することができる。支持部材532の接続ポート518内でのこのような固定はまた、支持部材532のずれと起こり得る移動とを防止する。
図示するように、支持部材532がIPG512を越えて延び、リード線514がIPG512の外部でも支持されている。これは、IPG512による完全な支持から完全な不支持への突然の移行を軽減する。結果として、リード線のこの部分は、捻れと、ひずみと、損傷に弱くない。支持部材532をその遠位端部に向かってテーパーにして、リード線514が接続ポート518を出て離れるにつれてリード線514に沿った剛性が徐々に低くなるようにすることができることを理解されたい。
上記の実施形態は、直線形状を有する支持部材532を示している。支持部材532は、別法として、曲線形状、湾曲形状、折り畳み形状、複合形状、または他の形状を有しても良いことを理解されたい。
用途
本発明の装置と、システムと、方法とを、身体中の他の神経標的または他の組織の刺激に使用する、または使用するために適合させることができることを理解されたい。例の一部として、後頭神経と、末梢神経枝と、上頸部の神経と、胸部の神経と、下仙骨部の神経とが挙げられる。
様々な痛みに関連した状態を、本発明のシステムと、方法と、装置とで治療可能である。具体的には、以下の状態を治療することができる。
(1)腰椎術後疼痛症候群
(2)次の原因による慢性難治性腰痛:
(A)未知の病因
(B)診断ブロック(複数可)によって証明される腰椎椎間関節疾患
(C)診断ブロック(複数可)によって証明される仙腸関節疾患
(D)脊椎間狭窄症
(E)神経根インピンジメント(Nerve root impingement)−外科手術対象ではない
(F)椎間板起因疼痛−椎間板造影法に基づく、または基づかない
(3)複合性局所疼痛症候群
(4)ヘルペス後神経痛
(5)糖尿病性神経障害性疼痛
(6)難治性疼痛性抹消血管疾患
(7)レイノー現象
(8)幻肢痛
(9)全身性求心路遮断性疼痛状態(Generalized Deafferentation Pain Conditions)
(10)慢性、難治性アンギナ
(11)外傷後頭痛(Cervicogenic Headache)
(12)様々な内臓痛(膵臓炎など)
(13)乳房切除後疼痛
(14)心因性外陰部疼痛(Vulvodynia)
(15)オリコジニア(Orchodynia)
(16)疼痛性自己免疫疾患
(17)疼痛分布が限定された脳卒中後疼痛
(18)反復、限局性鎌状赤血球発症
(19)腰椎神経根障害
(20)胸椎神経根障害
(21)頸椎神経根障害
(22)頸部軸性疼痛(Cervical axial neck pain)(むち打ち)
(23)疼痛分布が限定された多発性硬化症
上記の状態のそれぞれは、典型的には、1つ以上のDRGに関連し、関連するDRGを刺激することにより、状態の治療または管理をすることができる。
同様に、以下の非疼痛性の徴候または状態を、本発明のシステムと、方法と、装置とで治療可能である。
(1)パーキンソン病
(2)多発性硬化症
(3)脱髄性運動障害(Demylenating Movement Disorders)
(4)理学・作業療法支援神経刺激
(5)脊髄損傷−神経再生支援療法
(6)喘息
(7)慢性心疾患
(8)肥満症
(9)急性虚血などの発作
同様に、上記の状態のそれぞれは、典型的には、1つ以上のDRGに関連し、関連するDRGを刺激することにより、治療または療法を施す。ある場合には、脊髄損傷に用いられる神経再生支援療法は、脊柱の刺激も伴う。
本発明のシステムと、装置は、別法として、またはこれに加えて、神経節または神経組織を刺激するために用いることができることを理解されたい。このような場合、治療される状態は、このような刺激が有効な療法となるように、神経節または神経組織に関連するものである。以下は、神経節または神経組織に関連した状態または徴候のリストである。
(1)3叉神経痛(3叉神経節)
(2)高血圧(頚動脈洞神経/舌咽神経)
(3)顔面痛(ガッセル神経節)
(4)腕痛(星形神経節)
(5)交感神経関連機能(交感神経鎖神経節)
(6)頭痛(翼口蓋神経節/蝶形骨口蓋神経節)
本発明のシステムと、方法と、装置は、たとえば、末梢神経系と、体神経系と、自律神経系と、交感神経系と、副交感神経系との神経組織を含む様々な他の神経組織を刺激するためにも用いることができることを理解されたい。本発明の様々な特徴は、これらの神経系の一部の刺激に特に適しているであろう。本発明のシステムと装置は、他の組織、たとえば、器官、皮膚、筋肉などを刺激するためにも用いることができることをさらに理解されたい。
前述の発明は、理解しやすくするために実例と例によってある程度詳細に説明したが、様々な代替物と、変更物と、同等物とを用いることができことは明白であり、上記説明が、添付の特許請求の範囲によって限定される本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。

Claims (65)

  1. 脊髄神経の近傍にリード線を配置するためのシステムであって、
    前記システムは、
    表面に少なくとも1つの電極を有するシャフトを備えるリード線と、
    湾曲した遠位端部を有するシースであって、前記リード線の前記シャフトを被装して前記リード線を曲げるように構成されているシースと、
    を備え、
    前記シースが、導入針を介して脊柱の硬膜外腔内に前進させることができる外径と、前記硬膜外腔に沿ってある位置まで前進させることができる剛性とを有し、前記シースの前記湾曲した遠位端部が、前記リード線を前記脊髄神経に向けて案内し、前記シースの引き戻しにより、前記リード線を前記脊髄神経の近傍に配置する、システム。
  2. 前記導入針は、約0.067インチ以下の内径を有する、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記シースは、約0.65ポンド・平方インチの最小剛性を有する、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記シースは、ポリイミドからなる、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記シースは、ポリエーテルエーテルケトンからなる、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記リード線は、成形遠位先端部を有し、前記シースは、前記遠位端部の一部が前記リード線の前記成形遠位先端部に当接して前記シースのさらなる前進が妨げられるまで、前記リード線の前記シャフトを被装するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記リード線の前記成形遠位先端部は、前記シースの前記遠位端部の非外傷性カバーを形成する、請求項6に記載のシステム。
  8. 前記リード線は、少なくとも部分的に内部を貫通するスタイレットルーメンを備え、前記システムは、スタイレットの前進と前記シースの引き戻しにより、前記リード線が前記脊髄神経の近傍に配置されるように、前記リード線の前記スタイレットルーメン内に配置されるように構成された前記スタイレットを備えている、請求項1に記載のシステム。
  9. 前記スタイレットは、湾曲した遠位端部を有し、前記シースの前記湾曲した遠位端部の前記リード線に対する配置により、前記リード線が、前記脊髄神経に向かって第1の湾曲部に沿って曲がり、前記リード線とその中のスタイレットの前記シースを越えた前進により、前記リード線が第2の湾曲部に沿って曲がり、前記リード線が、前記脊柱から神経根角形成部に沿って延びる、請求項8に記載のシステム。
  10. 前記角形成部は、90度以下である、請求項9に記載のシステム。
  11. 前記角形成部は、45度以下である、請求項10に記載のシステム。
  12. 前記スタイレットの前記遠位端部は、曲線状であり、第1の曲線と第2の曲線を有している、請求項9に記載のシステム。
  13. 遠位端部を有する追加のシースをさらに備え、前記追加のシースは、前記シース内を通過し、その遠位端部が、前記シースの前記湾曲した遠位端部を越えて延在するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
  14. 前記追加のシースの前記遠位端部は、前記シースの前記湾曲した遠位端部の前記リード線に対する配置により、前記リード線が前記脊髄神経に向かって第1の湾曲部に沿って曲がるように湾曲しており、前記追加のシースの前記湾曲した遠位端部の前記シースの前記湾曲した遠位端部を越えた前進により、前記リード線が、神経根角形成部に向かって第2の湾曲部に沿って曲がる、請求項13に記載のシステム。
  15. 前記追加のシースの前記遠位端部は、実質的に直線状であり、前記シースの前記湾曲した遠位端部の前記リード線に対する配置により、前記リード線が前記脊髄神経に向かって第1の湾曲部に沿って曲がり、前記追加のシースの前記湾曲した遠位端部の前記シースの前記湾曲した遠位端部を越えた前進により、前記リード線が、前記脊髄神経に向かって実質的に直線方向に案内される、請求項13に記載のシステム。
  16. リード線を脊髄神経の近傍に配置するためのシステムであって、
    前記システムは、
    少なくとも部分的に内部を貫通するスタイレットルーメンを有するシャフトと前記シャフトの表面に配置された少なくとも1つの電極とを備えるリード線と、
    湾曲した遠位端部を有するシースであって、前記リード線の前記シャフトを被装して前記リード線を曲げるように構成されているシースと、
    前記リード線の前記スタイレットルーメン内に配置されるように構成されているスタイレットと、
    を備え、
    前記シースは、導入針を介して脊柱の硬膜外腔内に進入し、前記硬膜外腔に沿ってある位置まで前進可能であり、前記シースの前記湾曲した遠位端部により、前記リード線が前記脊髄神経に向かって案内され、前記スタイレットの前進により、前記リード線が前記脊髄神経の近傍に配置される、システム。
  17. 前記スタイレットは、実質的に直線状の遠位端部を有する、請求項16に記載のシステム。
  18. 前記スタイレットは、湾曲した遠位端部を有し、前記シースの前記湾曲した遠位端部の前記リード線に対する配置により、前記リード線が、前記脊髄神経に向かって第1の湾曲部に沿って曲がり、前記リード線とその中のスタイレットの前記シースを越えた前進により、前記リード線が第2の湾曲部に沿って曲がり、前記リード線が、前記脊柱から神経根角形成部に沿って延びる、請求項16に記載のシステム。
  19. 前記角形成部は、90度以下である、請求項18に記載のシステム。
  20. 前記角形成部は、45度以下である、請求項19に記載のシステム。
  21. 前記スタイレットの前記遠位端部は、曲線状であり、第1の曲線と第2の曲線を有している、請求項18に記載のシステム。
  22. 脊柱から神経根鞘角形成部に沿って延在する神経根にアクセスするためのシステムであって、
    前記システムは、
    少なくとも部分的に内部を貫通するスタイレットルーメンを有するシャフトと前記シャフトの表面に配置された少なくとも1つの電極とを備えるリード線と、
    湾曲した遠位端部を有するシースであって、前記リード線の前記シャフトを被装するように構成されているシースと、
    湾曲した遠位端部を有するスタイレットであって、前記リード線の前記スタイレットルーメン内に配置されるように構成されているスタイレットと、
    を備え、
    前記リード線が、脊柱に沿って配置されるように構成され、前記シースの前記湾曲した遠位端部の前記リード線に対する配置により、前記リード線が前記神経根に向かって第1の湾曲部に沿って曲がり、前記リード線とその中のスタイレットの前記シースを越えた前進により、前記リード線が第2の湾曲部に沿って曲がり、前記リード線が、前記脊柱から前記神経根角形成部に沿って延びる、システム。
  23. 前記シースは、前記脊柱の硬膜外腔にアクセスするように構成された導入針の中を前進するように構成されている、請求項22に記載のシステム。
  24. 前記導入針は、約0.067インチ以下の内径を有する、請求項23に記載のシステム。
  25. 前記角形成部は、90度以下である、請求項22に記載のシステム。
  26. 前記角形成部は、45度以下である、請求項25に記載のシステム。
  27. 前記シースの前記遠位端部は、曲線状であり、約80〜165度の範囲の角度を有する、請求項22に記載のシステム。
  28. 前記スタイレットの前記遠位端部は、曲線状であり、第1の曲線と第2の曲線を有している、請求項22に記載のシステム。
  29. 前記第1の曲線は、約180度のアーチ型を有する、請求項28に記載のシステム。
  30. 前記第2の曲線は、前記第1の曲線の近位側かつ近傍である、請求項28に記載のシステム。
  31. 前記第2の曲線は、前記第1の曲線よりも大きい曲率半径を有する、請求項28に記載のシステム。
  32. 前記リード線は、端部が閉じた遠位先端部を有し、前記遠位先端部は、前記シースの前記遠位端部を越えた前進を防止する形状を有する、請求項22記載のシステム。
  33. 前記形状は、球形を含む、請求項32に記載のシステム。
  34. システムであって、
    少なくとも1つの電極を有するシャフトと成形遠位端部とを備えるリード線と、
    遠位端部を有するシースであって、その遠位端部の一部が前記リード線の前記成形遠位端部に当接して前記シースのさらなる前進を防止するまで、前記リード線の前記シャフト上を前進する大きさに形成され、構成されている、シースと、
    を備える、システム。
  35. 前記成形遠位端部は、球形を有する、請求項34に記載のシステム。
  36. 前記リード線は、前記シースの捻れを防止するように前記シースの内径を満たす大きさに形成されている、請求項34に記載のシステム。
  37. 前記リード線の前記成形遠位先端部は、前記シースの前記遠位端部の非外傷性カバーを形成する、請求項34に記載のシステム。
  38. 前記シースは、脊柱の硬膜外腔にアクセスするように構成された導入針の中を前進する大きさに形成されている、請求項34に記載のシステム。
  39. 前記導入針は、約0.067インチ以下の内径を有する、請求項38に記載のシステム。
  40. 前記シースの前記遠位端部は曲線を有し、前記シースは、その中の前記リード線を前記曲線に沿って曲げる、請求項34に記載のシステム。
  41. 前記シースは、熱硬化性材料からなる、請求項40に記載のシステム。
  42. 前記シースは、単一硬さの材料からなる、請求項34に記載のシステム。
  43. 前記シースは、少なくとも部分的に放射線不透過性である、請求項34に記載のシステム。
  44. 前記シースは、放射線不透過性材料が設けられている、請求項43に記載のシステム。
  45. 前記シースは、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを備えている、請求項43に記載のシステム。
  46. 脊髄神経にアクセスするためのシステムであって、
    表面に配置された少なくとも1つの電極を有するシャフトを備えるリード線と、
    湾曲した遠位端部を有する第1のシースであって、前記リード線の前記シャフトを被装するように構成されている、第1のシースと、
    前記第1のシースの中に延在する第2のシースであって、この追加のシースが、前記シース内を通過して、その遠位端部が、前記第1のシースの前記遠位端部を越えて延在するように構成されている、第2のシースと、
    を備え、
    前記第1のシースは、導入針を介して脊柱の硬膜外腔内への前進を可能にする外径を有し、前記第1のシースと前記第2のシースは共に、ある位置までの前記硬膜外腔に沿った前進を可能にする剛性を有し、前記第1のシースの前記遠位端部と前記第2のシースの前記遠位端部が、前記リード線を前記脊髄神経に向けて案内する、システム。
  47. 前記第2のシースの前記遠位端部は、前記第1のシースの前記湾曲した遠位端部の前記リード線に対する配置により、前記リード線が、前記脊髄神経に向かって第1の湾曲部に沿って曲がるように湾曲し、前記第2のシースの前記湾曲した遠位端部の前記第1のシースの前記湾曲した遠位端部を越えた前進により、前記リード線が、神経根角形成部に向かって第2の湾曲部に沿って曲がる、請求項46に記載のシステム。
  48. 前記追加のシースの前記遠位端部は、実質的に直線状であり、前記第1のシースの前記湾曲した遠位端部の前記リード線に対する配置により、前記リード線が、前記脊髄神経に向かって第1の湾曲部に沿って曲がり、前記第2のシースの前記湾曲した遠位端部の前記第1のシースの前記湾曲した遠位端部を越えた前進により、前記リード線が、前記脊髄神経に向かって実質的に直線方向に案内される、請求項46に記載のシステム。
  49. 前記リード線内に配置可能な湾曲したスタイレットをさらに備え、前記リード線とその中のスタイレットの前記第2のシースを越えた前進により、前記リード線が、第2の湾曲部に沿って曲がり、前記リード線が、脊柱から神経根角形成部に沿って延びる、請求項48に記載のシステム。
  50. 前記第1のシースの近位端部と前記第2のシースの近位端部とに接続可能な制御ハブをさらに備え、前記制御ハブの操作により、前記第1のシースまたは前記第2のシースが互いに対して運動する、請求項46に記載のシステム。
  51. 前記制御ハブは制限装置を備え、前記制限装置は、前記第1のシースまたは前記第2のシースの互いに対する運動を制限する、請求項50に記載のシステム。
  52. 前記制御ノブの操作は、片手を使用して達成可能である、請求項50に記載のシステム。
  53. 刺激リード線であって、
    遠位端部と近位端部とを有するチューブを備えるシャフトと、
    前記シャフト内に配置されたスタイレットチューブと、
    前記シャフトの前記遠位端部の近傍に配置された少なくとも1つの電極と、
    前記少なくとも1つの電極から前記シャフトの前記近位端部に向かって延びている少なくとも1本の導体ケーブルと、
    を備え、
    前記スタイレットチューブが、前記遠位端部近傍の第1の位置と前記第1の位置の近位側の第2の位置との間の前記シャフト内で前記スタイレットチューブが運動できるように前記第1の位置と前記第2の位置で前記シャフトに固定して連結されている、リード線。
  54. 前記少なくとも1本の導体ケーブルは、前記スタイレットチューブと前記シャフトとの間に配置され、前記少なくとも1本の導体ケーブルは、前記近位端部近傍と別の位置との間で前記シャフト内を運動できるように前記近位端部近傍と前記別の位置で前記シャフトに固定して連結されている、請求項53に記載のリード線。
  55. 前記シャフトに沿った少なくとも1つの位置で前記シャフトに固定して連結された引っ張り要素をさらに備える、請求項53に記載のリード線。
  56. 前記引っ張り要素は、前記少なくとも1つの位置の外側の前記シャフト内で自由に運動できる、請求項55に記載のリード線。
  57. 前記引っ張り要素は複数の直径を有する、請求項48に記載のリード線。
  58. 前記引っ張り要素は、その近位端部近傍で大きめの直径を有し、その遠位端部に向かって細くなっている、請求項57に記載のリード線。
  59. 前記スタイレットチューブは滑沢内面を有する、請求項53に記載のリード線。
  60. 前記スタイレットチューブはポリイミドからなる、請求項59に記載のリード線。
  61. 前記シャフトは、端部が閉じた成形遠位先端部を有する、請求項53に記載のリード線。
  62. 前記遠位先端部は球形を有する、請求項61に記載のリード線。
  63. 前記シャフトの前記遠位端部の少なくとも一部は、半円の周囲に沿って少なくとも180度延在するように構成され、前記半円は、0.25インチの半径を有する、請求項53に記載のリード線。
  64. 前記リード線は、前記脊柱の硬膜外腔にアクセスするように構成された導入針の中を前進するように構成されている、請求項53に記載のリード線。
  65. 前記導入針は、約0.067インチ以下の内径を有する、請求項64に記載のリード線。
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