JP2012513200A - 組換え製造インターフェロンの精製 - Google Patents

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Abstract

本発明は、非所望インターフェロンアイソフォームから所望インターフェロンアイソフォームを分離する方法を提供する。該方法は、該アイソフォームをアニオン交換カラムクロマトグラフィーおよび二相溶出法に付すことを含む。該カラムからの所望アイソフォームの溶出を促進するために第1溶出相において強溶出溶液を使用し、該所望アイソフォームの溶出を抑制するために第2相において弱溶出溶液を使用する。

Description

本発明は、組換え生物により産生されたインターフェロンの精製に関する。特に、本発明は、所望のインターフェロンアイソフォーム、例えば、所望の二次ジスルフィド結合構造を有し化学的付加体を欠くアイソフォームを、そのような生物により産生される非所望インターフェロンアイソフォームからクロマトグラフィーにより分離することに関する。
インターフェロンは、抗ウイルス、抗増殖および免疫調節活性を示すサイトカインである。そのような活性のため、肝炎、種々の癌および多発性硬化症のような疾患の治療に関して種々のタイプのインターフェロンが承認されている。
インターフェロン(IFN)は、その生物学的および物理学的特性に基づいて3つの主要グループに分類されうる。ヒトにおいては、I型IFNは5つのクラス、すなわち、アルファ(IFN−α)、ベータ(IFN−γ)、イプシロン(IFN−ε)、カッパ(IFN−κ)およびオメガ(IFN−ω)からなる。インターフェロンガンマ(IFN−γ)は唯一の公知II型インターフェロンである。III型はIFN−ラムダを含む。例えば、Antonelli,G.,New Microbiol.31:305−318(2008)を参照されたい。
IFN−αタンパク質の多数のサブタイプがヒトおよび多数の他の種において発現され、12の異なる成熟サブタイプがヒトにおいて特定されている(Bekisz,J.ら,Growth Factors 22(4):243−251(2004);Antonelli,G.,前掲;Pestka,S.ら,Immunol.Reviews 202:8−32(2004);Diaz,M.O.ら,J.Interferon Cytokine Res 16:179−180(1996))。ヒトIFN−αサブタイプは互いに75〜99%のアミノ酸配列同一性および166アミノ酸の成熟配列(ただし、IFN−α2は、44位における欠失のため、165アミノ酸)を共有する。また、幾つかのIFN−αサブタイプは、少なくとも3つの対立遺伝子形態:IFN−α2a、IFN−α2bおよびIFN−α2cを有するIFN−α2のように、変異体として存在する。
I型IFNにより互いに共有されている最も保存されている特徴はジスルフィド結合であり、IFN−αおよびIFN−γでは2つのジスルフィド結合が存在し、IFN−βでは1つのジスルフィド結合が存在する。IFN−αにおけるジスルフィド結合はCys1−Cys99(98)およびCys29−Cys139(138)間に存在する(括弧内の残基番号はIFN−α2に関するものである)。IFN−βにおける単一のジスルフィド結合はCys31−Cys141間に存在する。IFN−α Cys29−Cys139(138)およびIFN−β Cys31−Cys141結合はI型IFN受容体複合体へのこれらのIFNの結合において、したがってそれらの生物活性の維持において決定的なものではないらしい(Bekiszら,前掲)。
IFNはそれらの天然源から入手可能であるが、組換え技術は非天然源(例えば、所望のIFNタンパク質をコードするDNA分子で形質転換された細菌および他の微生物)からの大量のこれらのタンパク質の製造を可能にする。組換え生物によるIFNの製造は、典型的には、宿主生物または培地に由来する汚染物および製造を意図するIFNタンパク質の構造アイソフォームを除去するための種々の媒体上のクロマトグラフィーを含む多工程の精製法を含む。例えば、米国特許第4765903号、第5196323号;欧州特許番号EP 108585、EP 110302;EP 118808およびEP 0679718;Staehelinら,J.Biol.Chem 256:9750−9754(1981);ならびにSecherら,Nature 285:446−450(1980)を参照されたい。
例えば、未精製および部分精製組換えIFN−α調製物は、しばしば、製造すべきIFN−αサブタイプの構造アイソフォームの混合物を含有する。構造アイソフォームは以下の3つの主要クラスに分類されうる:(1)ジスルフィド結合アイソフォーム、(2)化学付加体、ならびに(3)改変されたジスルフィド結合構造および1以上の化学付加体を含有する混合アイソフォーム。ジスルフィド結合アイソフォームには、Cys1−Cys99(98)およびCys29−Cys139(138)ジスルフィド結合のそれぞれを有する酸化IFN−α単量体アイソフォーム;これらのジスルフィド結合の一方または両方を欠くそれぞれ部分的および完全還元型単量体IFN−αアイソフォーム;IFN−α単量体の断片;ならびにIFN−αオリゴマー、すなわち、分子間ジスルフィド結合により形成される二量体、三量体および四量体が含まれる。IFN−αアミノ酸鎖に結合した1以上の化学基を含有する化学付加アイソフォームには、IFN−αタンパク質のN末端アミノ酸残基のアルファ−アミノ基がピルビン酸のカルボニル基と縮合しているピルビン酸付加IFN−αアイソフォーム、およびメチオニン付加アイソフォームが含まれる(国際特許出願公開WO 00/29440;米国特許第5,196,323号)。組換えIFN−α−2bの構造アイソフォームの具体例を図1に示す。
治療用インターフェロン組成物の場合、酸化型単量体IFNアイソフォーム以外のアイソフォームの有意量の存在は、そのようなアイソフォームが該インターフェロン組成物の治療または免疫原性特性に負の影響を及ぼしうる懸念のため、典型的には望ましくない。非所望構造アイソフォームを所望アイソフォームに変換するための種々の技術が記載されている。例えば、米国特許第4,432,895号は、レドックス試薬を使用してオリゴマーインターフェロンを単量体に変換することに言及しており、WO 00/29440は、化学付加アイソフォームからのピルビン酸基の連続的切断、および還元型スルフヒドリル基からジスルフィド結合への酸化を記載している。しかし、そのようなアイソフォーム変換技術は典型的には所望IFNアイソフォームの収率を改善するものの、該変換工程後にアニオン交換クロマトグラフィーを行ったとしても有意量の非所望構造アイソフォームが尚も存在する可能性がある。したがって、組換えIFN調製物における非所望アイソフォームからの所望天然アイソフォーム(例えば、酸化型)の分離を改良することが必要とされている。本発明はこの要求に対処するものである。
発明の概括
本発明は、標準的な単相溶出法の代わりに新規二相溶出法を用いるジエチルアミノエチルアニオン交換(DEAE)クロマトグラフィーに、実質的に精製された組換えIFN−α−2b調製物を付すことが、非所望アイソフォーム、特に、ピルビン酸付加完全還元型単量体(図1におけるアイソフォーム4)から所望の酸化型IFN−α−2b単量体(図1におけるアイソフォーム1)を効率的に分離することを可能にするという本発明者らの驚くべき知見に基づくものである。第1溶出相は所望IFN−α−2bアイソフォームの溶出を促進し、一方、第2溶出相は非所望アイソフォームの溶出を抑制する。この二相溶出法は、低い溶出液体積および高い所望アイソフォーム収率で、高精製IFN−α−2b調製物を与える。本発明者らは、この場合、この新規クロマトグラフィー法が、他のIFN−αサブタイプの構造アイソフォームおよび他のIFNの効率的分離にも使用可能であると予想している。
したがって、1つの態様においては、本発明は、IFNの酸化型単量体アイソフォームを、該IFNの組換え製造アイソフォームの混合物において、そのIFNの非所望アイソフォームから分離する方法を提供する。
該方法は、第1バッファー溶液中のIFN混合物と、第1または第2バッファー溶液で平衡化されたアニオン交換樹脂が充填された15cmより長いクロマトグラフィーカラムを準備することを含む。
該緩衝化IFN溶液を該カラム上にローディングし、ついで該ロード化カラムを洗浄溶液で洗浄する。
つぎに、1〜10カラム体積の強溶出溶液を該洗浄カラムに適用することにより、第1溶出相を実施する。該強溶出溶液は10〜30mMの濃度の第1ホスファートで緩衝化されており、5.4〜6.6のpHを有する。
ついで、2〜20カラム体積の弱溶出溶液を適用することにより、第2溶出相を実施する。該溶出溶液は、該強溶出溶液におけるホスファート(リン酸塩)濃度より低い濃度の第2ホスファートで緩衝化されている。
高精製所望IFNアイソフォームを得るために、該所望アイソフォームを含有する複数の溶出画分を集める。場合によっては、非所望インターフェロンアイソフォームの量が所望純度基準より低い溶出画分を合わせる。
1つの好ましい実施形態においては、本発明は、IFN−α2bアイソフォーム1を、IFN−α2bの組換え製造アイソフォームの混合物におけるIFN−α2bアイソフォーム4から分離する方法を提供する。
該IFN−α2b溶液を、10mM Tris、40mM NaClから実質的になり7.5〜8.0のpHを有するローディングバッファー中の平衡化DEAEクロマトグラフィーカラム上にローディングする。該DEAEカラムは長さが少なくとも約20cmであり、10mM Trisおよび8.0のpHから実質的になるバッファー溶液で平衡化されている。該ローディング流量は2cm/分である。
該ローディングカラムを2cm/分の流量で3カラム体積の洗浄溶液で洗浄する。該洗浄溶液は10mM Trisおよび13mM NaClから実質的になり、8.0のpHを有する。
つぎに、6カラム体積の強溶出溶液を1cm/分の流量で該カラムに適用し、ついで弱溶出溶液を1cm/分の流量で適用する。該強溶出溶液はpH5.85の17.5mM リン酸ナトリウムからなり、該弱溶出溶液はpH5.85の5mM リン酸ナトリウムから実質的になる。
IFN−α2bアイソフォーム1を含有するカラム溶出液の画分を集め、場合によっては、IFN−α2bアイソフォーム4が所望純度基準より低い収集画分のみを合わせる。
発明の詳細な説明
I.定義
本発明がより容易に理解されうるよう、いくつかの用語を以下に詳細に定義する。以下または本明細書のどこかに特に示されていない限り、本明細書中で用いる全ての他の用語、特に科学技術用語は、本明細書中で用いられるものに類似した文脈で用いられる場合には、本発明が属する分野の当業者に一般に理解される意味を有する。
添付の特許請求の範囲を含む本出願において用いる単数形の語は、文脈に明らかに矛盾しない限り、それらの対応複数形を含む。
数的に定義されるパラメーター、例えば流量、pH、リン酸ナトリウム濃度を修飾するために用いる「約」は、該パラメーターが、示されている数値の上下10%変動しうることを意味する。したがって、例えば、約2cm/分の流量は、該流量が1.8cm/m〜2.2cm/分の任意の値を有しうることを意味する。同様に、「約10mM Tris」なる語は、該Tris濃度が9.9mM〜10.1mMの任意の値を有しうることを意味する。
本明細書および特許請求の範囲の全体において用いる「から実質的になる」および例えば「から実質的になり」のような派生表現は、任意の列挙されている要素または要素群の包含、および特定されている組成物または項目の基本的特性を実質的に変化させない、該列挙要素と類似の又は異なる性質の他の要素の随意的包含を示す。非限定的な例としては、5mM リン酸ナトリウムおよび5.85のpHからなる弱溶出溶液は、非所望アイソフォームからの所望IFNアイソフォームの分離に関して、該溶出溶液のpH、緩衝能または他の特性に実質的に影響を及ぼさない例えば少量の他の物質、例えばリン酸カリウムをも含有しうる。
「Iso1」または「ISO1」は、図1に示すIFN−α2bアイソフォーム1を意味する。
「Iso4」または「ISO4」は、図1に示すIFN−α2bアイソフォーム4を意味する。
「NaPi」はリン酸ナトリウムを意味する。
「酸化型IFN単量体アイソフォーム」は、該IFNの天然ジスルフィド結合構造を有する単一ポリペプチドであって、該ポリペプチド鎖内のいずれのアミノ酸上にも化学的付加体を有さないものを意味する。天然ジスルフィド結合構造は、該アイソフォームにおけるCys−Cys結合の数および位置が、天然で発現されるインターフェロンの場合と同じであることを意味する。したがって、例えば、酸化型IFN−β単量体アイソフォームはCys31−Cys141間に単一ジスルフィド結合を有し、一方、酸化型IFN−α2a単量体アイソフォームはCys1−Cys99結合およびCys29−Cys139結合を有する。
「還元型IFN単量体アイソフォーム」は、該IFNのジスルフィド結合の天然の数より少ないジスルフィド結合を有する単一ポリペプチド鎖であって、該ポリペプチド鎖内のいずれのアミノ酸上にも化学的付加体を有さないものを意味する。還元型IFN単量体アイソフォームは、天然に生じるジスルフィド結合の数に応じて、部分的または完全に還元されていることが可能である。したがって、例えば、部分的還元型IFN−α2b単量体アイソフォームはCys1−Cys98結合またはCys29−Cys138結合のいずれかを欠き、一方、完全還元型IFN−α2bアイソフォームはこれらの結合の両方を欠く。
「混合型IFN単量体アイソフォーム」は、該IFNのジスルフィド結合の天然の数より少ないジスルフィド結合を有する単一ポリペプチド鎖であって、該ポリペプチド鎖内の少なくとも1つのアミノ酸が化学的付加体で修飾されているものを意味する。
II.好ましい実施形態の説明
本発明は、組換えIFN調製物において、所望IFNアイソフォーム、例えば酸化型単量体アイソフォームを、非所望IFNアイソフォーム、例えば還元型IFNアイソフォームから分離するためのクロマトグラフィー法を提供する。該方法は、任意のヒトまたは非ヒト動物種により天然で発現される任意の組換え製造IFN(任意のI型、II型もしくはIII型 IFN、または例えば安定性もしくは活性を増強するための配列修飾が導入されているそれらのキメラもしくは突然変異形態、例えば、米国特許第5,541,293号、第4,897,471号および第4,695,629号に記載されているコンセンサスインターフェロンならびに米国特許第4,414,150号、第4,456,748号および第4,678,751号に記載されている異なるサブタイプ配列の組合せを含有するハイブリッドインターフェロンを含む)からの所望アイソフォームの精製に適している。
好ましくは、本発明方法は、所望および非所望アイソフォームを組換え製造I型IFNから分離するために使用される。特に好ましいI型IFNは、天然に存在するサブタイプIFN−α1、IFN−α2、IFN−α4、IFN−α5、IFN−α6、IFN−α7、IFN−α8、IFN−α10、IFN−α13、IFN−α14、IFN−α16、IFN−α17、IFN−α21、これらのサブタイプのいずれかの対立遺伝子変異体またはいずれかのコンセンサスIFN−αタンパク質(このタンパク質においては、種々の天然IFN−αサブタイプにおける当該位置に最も一般的に存在するアミノ酸を各位置において選択することによりアミノ酸配列が設計されている)のいずれかを含む組換え製造IFN−αタンパク質である。より好ましくは、本発明において使用される組換え製造IFN−αタンパク質はIFN−α2(2a、2bまたは2c)であり、最も好ましくは、それはIFN−α2bである。
組換えIFNを発現させるために使用する宿主生物は原核生物または真核生物、例えば大腸菌(E.coli)、バシラス・サチリス(B.subtilis)またはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、好ましくは大腸菌(E.coli)でありうる。種々の宿主生物のための培養条件は当業者によく知られており、例えばManiatisら(“Molecular Cloning”,Cold Spring Harbor Laboratory,1982)およびSambrookら(“Molecular Cloning−A Laboratory Manual”,2nd.ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,1989)のテキストに詳細に記載されている。特に、ヒトIFN−α2タンパク質の組換え製造はPestka,S.Arch Biochem Biophys.221:1−37(1983);国際特許出願公開WO 2004/039996;米国特許番号US 5661009、US 5541293、US 4897471、US 4765903およびUS 4530901;ならびに欧州特許出願公開EP 032,134に記載されている。
該組換えIFNタンパク質は、当技術分野で公知の種々の方法のいずれかを用いて、組換え宿主または培地から抽出されうる。例えば、IFN−αを微生物から抽出するための適当な方法は米国特許番号US 4315852、US 4364863およびUS 5196323;欧州特許番号EP 0679718;ならびにWO 2004/039996に記載されている。
抽出後、構造アイソフォームの混合物を含む組換えIFN調製物を、好ましくは、一連の精製工程に付して、実質的に純粋なIFN調製物(これは、該調製物が非IFNタンパク質ならびに例えば細胞残渣および核酸のような他の汚染物を実質的に含有しないが、非所望構造IFNアイソフォームの20%までを含有しうることを意味する)を得る。当技術分野で公知の多数の精製方法がこの目的に適している。そのような方法は、典型的には、U.S.5196323、US 4765903、EP 0679718およびWO 2004/039996に記載されている2以上の異なるタイプの樹脂上の縦列クロマトグラフィーを含む。
そのような縦列クロマトグラフィーにより得られる実質的に純粋なIFNタンパク質調製物は、典型的には、緩衝化溶液を含む。この溶液の組成およびそれにおけるIFN濃度に応じて、アニオン交換クロマトグラフィーに適したローディングバッファーの成分を含むように該溶液を調節することにより、本発明において使用されるアニオン交換カラム上にローディングするためのこのIFN溶液を調製することが必要かもしれない。この調節は、当技術分野で公知の技術、例えば透析または限外濾過により行われうる。
該ローディングバッファーは、アニオン交換樹脂へのIFNタンパク質の結合に影響を及ぼさない任意の生物学的に許容されるバッファーでありうる。例えば、該ローディングバッファーは0〜100mMの塩、例えばNaCl、KClおよび酢酸ナトリウムを含有しうる。好ましいローディングバッファーは約10mM Tris、0〜40mM NaClから実質的になり、7.0〜8.5のpHを有する。特に好ましいローディングバッファーは10mM Tris、40mM NaClからなり、8.0のpHを有する。
該ローディングバッファー中のIFNの濃度は相当に変動しうる。典型的には、該ローディングバッファーの体積は、簡便なローディング体積(例えば、クロマトグラフィーカラムの0.5〜1カラム体積)が得られるように、そしてIFNの沈殿が回避されるように調節される。幾つかの実施形態においては、約1〜約5mg/mlのIFN濃度が用いられる。IFN−a2調製物では、アイソフォーム1の好ましい濃度は約3.5mg/mlである。組換えIFN調製物中に存在する種々のアイソフォームは、当技術分野で公知の技術、例えばRP−HPLCおよびピルビン酸アッセイ(WO 00/29440に記載されている)を用いて特定され定量されうる。
アニオン交換クロマトグラフィー用の樹脂としては、ジエチルアミノエチルアニオン交換(DEAE)媒体が好ましく、特に好ましい樹脂は、GE Healthcare(Uppsala SwedenまたはPiscataway,NJ USA)のQ−セファロース・ファーストフロー(Q−Sepharose Fast Flow)(FF)を伴うDEAE(DEAE Sepharose(商標)FF)である。DEAEに実質的に類似した特性を有する他の弱アニオン交換樹脂も使用されうる。
該アニオン交換樹脂は、長さ15cm以上のクロマトグラフィーカラム内に充填される。1つの好ましい実施形態においては、該カラムは長さが少なくとも20cmである。本発明における使用に適した他のカラムサイズには、1×29cmカラムが含まれる。
IFN溶液のローディングの前に、該アニオン交換樹脂およびIFNに適した適した水性バッファーで該アニオン交換カラムを平衡化する。該平衡化バッファーは該ローディングバッファーと同じである又は異なることが可能である。1つの好ましい実施形態においては、10mM Tris、0〜40mM NaClおよび7.0〜8.5のpHから実質的になるバッファーで該カラムを平衡化する。もう1つの好ましい実施形態においては、該平衡化バッファーは10mM Tris(pH8.0)からなる。該カラムが既に使用されている場合には、3カラム体積(B.V.)の0.5N NaOH/1M NaCl;5B.V.のHO;3B.V.の0.1N HCl;6B.V.の0.2M Tris(pH8.0)および15B.V.の10mM Tris(pH8.0)(全て、5cm/mlの流量を用いる)での連続的洗浄により、それは簡便に再生され、平衡化される。
該緩衝化IFN溶液を該カラム上にローディングした後、未結合汚染物を除去するために該カラムに洗浄溶液を適用する。該洗浄溶液は、該カラムへのIFNの結合に影響を及ぼさない生物学的に許容されるバッファーを含有する。例えば、幾つかの実施形態においては、該洗浄バッファーは、該カラム平衡化バッファーまたはローディングバッファーと同じ組成を有し、例えば、10mM Tris、0〜40mM NaClおよび7.0〜8.5のpHから実質的になる。好ましい実施形態においては、該洗浄溶液は10mM Tris、13mM NaClからなり、8.0のpHを有する。
ついで、二相溶出系を用いて、該所望アイソフォームを該カラムから溶出する。この二相系は、2つの緩衝化溶液を適用することにより、すなわち、強溶出溶液(例えば、高いイオン強度および/または低いpHを有するもの)を適用し、ついで弱溶出バッファー(例えば、該強溶出溶液より弱いイオン強度および/またはより高いpHを有するもの)を適用することにより確立される。
簡便には、これらの溶出溶液はホスファートで緩衝化されるが、他の生物学的に許容されるバッファーも使用されうる。該強溶出溶液中のホスファート濃度は10mM〜30mMであり、該弱溶出溶液ではそれより低い(例えば、2.5〜7.5mM)。該強溶出溶液と該弱溶出溶液とのホスファート濃度の差は、イオン強度に影響を及ぼす他の物質(例えば、NaClまたは他の塩)が一方または両方の溶出溶液中に存在するかどうか及び各溶出溶液のpHによって変動するであろう。例えば、該強溶出溶液が該弱溶出溶液より低いpHを有する場合には、該ホスファートの差は若干小さいかもしれない。典型的には、該強および弱溶出溶液のそれぞれは酸性pH、好ましくは5.4〜6.6の範囲のpHを有するであろう。当業者は、個々のタイプのIFNに使用するための二相系を得るために、該強および弱溶出溶液のそれぞれに関して、バッファー、塩およびpHの種々の組合せを容易に試験することが可能である。
リン酸緩衝溶出溶液を調製するために、リン酸一ナトリウムおよびリン酸二ナトリウムの一方または両方を使用することが可能であり、適当な酸または塩基、例えばHClまたはNaOHでpHを調節することが可能である。リン酸ナトリウムに加えて又はその代わりに、他のリン酸塩、例えばリン酸カリウムも使用されうる。
好ましい実施形態においては、17.5mM リン酸ナトリウム(pH5.85)から実質的になる強溶出溶液および5mM リン酸ナトリウム(pH5.85)から実質的になる弱溶出溶液を使用して該二相溶出を行う。
該弱溶液に変換する前に使用する強溶出溶液の量は、典型的には、1〜10カラム体積(B.V.)であるが、任意の特定のIFNおよび溶出溶液の組合せに関して実験的に決定されうる。試験クロマトグラフィーは、選択された強溶出溶液のみを使用して行われ、IFNの存在に関して溶出画分がモニターされる。単相溶出において第1IFN含有画分を溶出するのに必要な強溶出溶液のカラム体積の数より1小さいカラム体積が、典型的には、該二相系において使用される強溶出溶液の最大体積となるであろう。1つの実施形態においては、4〜8B.V.の強溶出溶液を適用する。より好ましい実施形態においては、約6B.V.の強溶出溶液の存在下で第1溶出相を使用する。
第2溶出相は、所望アイソフォームの十分な収量を溶出するのに必要な量に応じて2〜20B.V.の該弱溶液を使用して行われうる。例えば、幾つかの場合には、還元型または化学付加IFNアイソフォームをその特性の研究のために集めることが望ましいかもしれない。1つの好ましい実施形態においては、6B.V.の該強溶出溶液の後で約15B.V.の該弱溶液を該カラムに適用する。
前記溶液およびバッファーの全ては、典型的には、0.2〜10cm/分の流量で該アニオン交換カラムに適用される。用いられる流量は、該クロマトグラフィーを行うための設備、アニオン交換樹脂のタイプ、該カラムのサイズ、該IFN溶液中のタンパク質濃度および該溶出溶液の組成のような幾つかの要因に左右されるであろう。各工程のための適当な流量は当業者により容易に決定されうる。幾つかの実施形態においては、該ローディングバッファー、洗浄溶液および溶出溶液は1〜5cm/分の流量で適用される。他の実施形態においては、該流量は0.5〜2.5cmである。好ましくは、該ローディングバッファーおよび洗浄溶液を適用するためには2cm/分の流量を用い、一方、該溶出溶液のそれぞれを1cm/分の流量で適用する。
図1は、組換えIFN−α−2b調製物において典型的に見出される4つの構造アイソフォームを示す。 図2は、20mM リン酸ナトリウム、20mM NaCl(pH6)を溶出バッファーとして使用するDEAEセファロース・ファーストフローカラム(1cm×23cm)からのIFN−α2bアイソフォームの標準的な単相溶出の実施の結果を示し、図2Aは、該溶出工程を構成するpH勾配を示し、図2Bは、アイソフォーム1(IFN−α)およびアイソフォーム4(ISO4)に関する溶出プロファイルを示し、図2Cは個々の画分の純度を示す。 図3は、ローディングバッファーのみ(対照)または同じローディングバッファー中の実質的に精製されたIFN−α−2b調製物(IFN)を供給物として使用する標準的なDEAEクロマトグラフィー中に得られたpHプロファイルを示す。 図4は、特定された溶出条件を用いるDEAEセファロース・ファーストフローカラムからのIFN−α−2b溶出の内部pH勾配の効果を示し、左側のグラフはA280吸光度、伝導度およびpHプロファイルの重ね合わせを示し、右側のグラフは、RP−HPLCアッセイにより判定された場合のアイソフォーム1およびアイソフォーム4の分離を示す。 図5は、実質的に精製されたIFN−α−2b調製物の標準的なDEAEクロマトグラフィー中に溶出されなかった物質の特徴づけを示し、図5Aおよび図5Bは、それぞれRP−HPLCおよびSDS−PAGEによる、該カラムから取り出された画分の分析を示す。 図6は、該カラムから取り出され、示されているpHにさらされた未溶出物質のOD320およびOD320/280における吸光度を示す。 図7は0.5cm×20cmカラム上のIFNα−2b調製物のDEAEクロマトグラフィーを示し、図7AはpH勾配および吸光度プロファイルを示し、図7Bはアイソフォーム1および4の溶出プロファイルを示し、図Cは種々の溶出画分におけるアイソフォーム1およびアイソフォーム4の百分率を示す。 図8は、20mM リン酸ナトリウム/20mM NaCl(20/20)、10mM リン酸ナトリウム/20mM NaCl(10/20)または5mM リン酸ナトリウム/20mM NaCl(5/20)を含有するpH6.0の溶出バッファー中でDEAEクロマトグラフィーカラムからIFNα−2bを溶出させることにより得られた吸光度、pHおよび伝導度プロファイルを示す。 図9はIFNα−2bのDEAEクロマトグラフィーに対する溶出バッファー濃度の影響を示す。 図10は、20mM リン酸ナトリウムおよび塩濃度20mM NaCl(20/20)、10mM NaCl(20/10)、5mM NaCl(20/5)を含有する又は20mM リン酸ナトリウムを含有しNaClを含有しない(20/0)pH6.0の溶出バッファー中のDEAEクロマトグラフィーカラムからIFNα−2bを溶出させることにより得られた吸光度、pHおよび伝導度プロファイルに対する塩濃度の影響を示す。 図11は、DEAEクロマトグラフィーカラムからのIFNα−2bアイソフォーム1および4の溶出に対する、種々の塩濃度により得られた種々のイオン強度の影響を示す。 図12は、10mM リン酸ナトリウムバッファー(pH6.0)中のIFNα−2bアイソフォーム1および4の溶出に対するNaClの効果を示す。 図13は、IFNα−2bアイソフォーム1および4の分離に対するバッファーおよび塩濃度の効果を示す。 図14は、標準的な単相溶出法を用いるIFNα−2b溶出に対するpHの効果を示す。 図15〜27は実施例中に説明されている。 図15〜27は実施例中に説明されている。 図15〜27は実施例中に説明されている。 図15〜27は実施例中に説明されている。 図15〜27は実施例中に説明されている。 図15〜27は実施例中に説明されている。 図15〜27は実施例中に説明されている。 図15〜27は実施例中に説明されている。 図15〜27は実施例中に説明されている。 図15〜27は実施例中に説明されている。 図15〜27は実施例中に説明されている。 図15〜27は実施例中に説明されている。 図15〜27は実施例中に説明されている。
実施例
以下の実施例は、本発明をより明らかに説明するために記載されており、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
本発明者らは、DEAE−セファロース・ファーストフロークロマトグラフィーを用いて、組換え製造IFN−α2bアイソフォームの分離に関与するメカニズムを調べるための一連の実験を行った。DEAEセファロースとのIFN−α2bアイソフォームの相互作用を解明するために、バッファー濃度、塩濃度およびpHを含む種々の溶出条件を試験した。アイソフォーム1および4の分離には2つの異なるメカニズムが関与していることが判明した。
第1のメカニズムはクロマトフォーカシングの原理に合致し、これは、カラム内のpH勾配の形成により特徴づけられ、種々のタンパク質、特に密接に関連したアイソフォームをそれらの等電点精製するために広く用いられている。後記の標準的な方法を用いるIFN−α2b精製のためのDEAEクロマトグラフィーにおいては、バッファー種とDEAE樹脂との相互作用の結果として、溶出中にカラムの長さに沿って内部pH勾配が生じる。本発明者らは、アイソフォーム1および4が該pH勾配に沿って異なるpHで溶出されることを見出した。アイソフォーム1およびアイソフォーム4の分離は、通常のクロマトフォーカシングにおけるバッファー濃度、pH勾配の傾き及びカラム分離能の間の関係に合致して、pH勾配の傾きを減少させるために、より低い濃度のホスファート溶出バッファーを使用することにより改善されうる。
第2のメカニズムは、アイソフォーム1の溶出中のカラムへのアイソフォーム4の選択的結合を含む。本発明者らは、アイソフォーム4が、塩の非存在下、バッファー濃度が低くなるほどより強固に該カラムに結合し、したがって、これらの条件下でアイソフォーム1から効果的に分離されうることを見出した。しかし、アイソフォーム1の溶出効率は、バッファー濃度が低くなるほど減少した、したがって、アイソフォーム1を含有するプール化画分の体積は、効率的な工業的タンパク質製造方法で望まれるものより常に大きかった。
したがって、本発明者らは、IFN−α2bアイソフォーム4の溶出を抑制しつつIFN−α2bアイソフォーム1の確固たる且つ効率的な溶出を可能にする条件を特定することが可能かどうかを調べるために、第2の一連の実験を行った。
これらの2つの一連の実験を以下に更に詳しく説明し、結果を図2〜27に示す。これらの図において、IFN、IFN−aまたはIFN−アルファなる語は、図1に示すIFN−α2bアイソフォーム1を意味し、iso4およびISO4なる語は、図1に示すIFN−α2bアイソフォーム4を意味する。
I.実験方法
DEAE Sepharose(商標)Fast Flow Chromatography
4℃でDEAEクロマトグラフィーを実施するためにAKTAexplorer(商標)(GE Healthcare,Uppsala SwedenまたはPiscataway,NJ,USA)を使用した。0.5×20cmカラム(3.9ml)または1×29cmカラム(23ml)にDEAE Sepharose(商標)FF樹脂(GE Healthcare)を充填した。十分な樹脂を該カラム内に注ぎ、重力下で沈降させて、所望の高さより約1cm高い初期床高を得た。3カラム体積(B.V.)の0.5N NaOH/1M NaCl、5B.V.のH2O、3B.V.の0.1N HCl、6B.V.の0.2M Tris(pH8.0)および15B.V.の10mM Tris(pH8.0)を5cm/mlの流量で使用して、該カラムを再生させ平衡化した。
組換えIFN−α2bの製造
本発明者らは、組換え大腸菌(E.coli)において製造され一連の精製工程により実質的に精製されたIFN調製物を得た。該IFN調製物は、10mM Tris、40mM NaCl(pH7.5〜8.0)を含有するローディングバッファー中で提供された。
標準的なクロマトグラフィー法
該IFN溶液を、3.9mlカラムでは0.4ml/分または23mlカラムでは0.8mlの流量で10mM Tris(pH8)で平衡化されたカラム上に注入した。ローディングしたIFN溶液の体積は該カラムB.V.の75%であった。同じ流量で、未結合物質を該カラムから除去するために、3B.V.の洗浄バッファー(10mM Tris、13mM NaCl(pH8.0))を使用した。最後に、9B.V.の20/20溶出バッファー(20mM リン酸ナトリウム、20mM NaCl(pH6.0))を0.2ml/分の流量で使用して、該溶出工程を開始させた。画分当たり20% B.V.(0.8ml)で画分を集めた。アイソフォーム1および4をRP−HPLCにより分析した。それらの2つのアイソフォームのピークの距離を半ピーク高におけるピーク幅の和で割り算することにより、該アイソフォームの分離能を計算した。
試験クロマトグラフィー法
IFN溶出の挙動を調べるために、「結果および考察」の節に記載されているとおりに異なる溶出バッファーを使用すること以外は標準的な方法を用いてDEAEクロマトグラフィーを行った。該流量は、特に示さない限り、通常の方法におけるものと同じであった。
II.結果および考察−実験系I
A.IFN DEAEクロマトグラフィーにおける内部pH勾配の形成
標準DEAEクロマトグラフィー法中のUV吸光度、伝導度およびpHをモニターし、それを図2に示した。3つのUVピーク、すなわち、初期の小さいピークとしての細菌タンパク質、主要中央ピークとしてのIFN−α2bアイソフォーム1、ならびにそれに続く後期の幅広い小さいピークとしてのIFN−α2bアイソフォーム4および他の汚染物が観察された。
興味深いことに、カラムに沿って内的に非直線勾配を形成し始める前には、流出液のpHは溶出の最初の約3.2カラム体積にわたって比較的一定であった。14.2カラム体積の溶出バッファーがカラムを通過した後で初めて、流出液は最終pH6に達した。pH勾配は、溶出バッファーとセファロース樹脂上のDEAE部分との相互作用の結果として形成されたようであった。pH勾配の開始の前の溶出体積は、図2Aにおいて矢印で示されている飽和体積と称される。飽和体積は緩衝強度およびpHならびに樹脂のタイプに関連づけられうるであろう。
IFNは内部pH勾配の形成に寄与しないようであった。なぜなら、ローディングバッファーのみが該カラムに適用された「ブランク」実施において、類似したpHプロファイルが観察されたからである(図3)。pH勾配形成の駆動力は溶出バッファー種とDEAE部分との相互作用により支配され、IFNは有意な役割を果たしていないことを、この結果は示した。pHとは異なり、流出液伝導度は約1カラム体積の溶出の直後に変化し始めたが、初期減少後は比較的一定であった(図2A)。
これらのデータは、pH勾配形成がIFN−α2bアイソフォーム1の適切な溶出に決定的に重要であることを示唆している。HPLCアッセイによるIFN−α2bアイソフォーム1および4の定量分析は、それらが完全には分離されないことを示した(図2Bおよび2C)。アイソフォーム1およびアイソフォーム4はそれぞれpH約6.3および6.1で溶出された。
B.IFN溶出に対するpH勾配の影響
IFN−α2bアイソフォーム分離に対する内部pH勾配の重要性を評価するために、他のパラメーターを変化させることなく種々の溶出条件下でクロマトグラフィーを行った。10mM リン酸ナトリウム、10mM クエン酸および20mM NaClを含有するpH6.0の溶出バッファーの使用は、やや鋭いS字状のプロファイルを有するpH勾配を与え、IFN−α2bは2つの鋭いピークとして溶出した(図4A、左グラフ)。
低濃度のシトラートおよびホスファートを含有するpH6.0のバッファー(5mM リン酸ナトリウム、2.5mM クエン酸、20mM NaCl)を使用して溶出を行った場合、pHはより遅く減少し、該溶出バッファーのpH(pH6.0)に達するために、ほぼ2倍の溶出体積が必要であった(図4B、左パネル)。さらに、該pHプロファイルは2段階のカスケードとして現れたが、これは、より滑らか且つより浅い凹形勾配が見られた標準法で観察された1段階のものとは対照的であった。ピークIFNは、該勾配のより後の部分においてpHが約6.2に低下するまで溶出しなかった(図4B、左パネル)。
pH勾配の傾きがpH6.4〜6.0の領域で急に増加したため(図4Aおよび4B、左パネル)、これらのシトラート/ホスファート溶出バッファーのいずれにおいてもアイソフォーム1および4の分離は、ほとんど、ないし全く観察されなかった(図3Aおよび3B、右パネル)。
40mM リン酸バッファー(40mM リン酸ナトリウム、20mM NaCl(pH6))での溶出は鋭いIFNピークを生成した(図4C、左パネル)。しかし、アイソフォーム1および4の分離は不良であり(図4C、右パネル)、該試験溶出バッファーおよび標準20/20バッファーが共にpH6.0を有する場合であっても、pH勾配は標準的な実施の場合より顕著に急激なものであった。
これらのデータは、IFN−α2bアイソフォーム1および4の有効な分離には、適切なpH勾配が決定的に重要であること、ならびにpH勾配の傾きが該カラムの分離能に大きな影響を及ぼしうることを示唆している。より急激なpH勾配は両方のアイソフォームの溶出を促進したが、その場合の分離は不良であった。
C.DEAEセファロースカラム上のIFNのクロマトフォーカシング
前記のとおり、本発明者らは、溶出工程中にDEAEセファロースカラム内に内部pH勾配が生じること、およびこのpH勾配がカラムの性能に決定的に重要であることを見出した。したがって、本発明者らは、DEAEセファロースクロマトグラフィー上のIFNアイソフォームのクロマトグラフィー分離が、クロマトフォーカシングと称される特有のクロマトグラフィー技術に合致した原理により生じると仮定した。クロマトフォーカシングは、多数のタンパク質の精製、特に、異なる等電点の密接に関連したアイソザイムの精製に使用される(例えば、Hutchens TW,1989 Chromatofocusing in Protein Purification:Principles,High Resolution Methods,and Applications,Janson JC and Ryden L.編,VCH Publishers,NY,p.149−174;Giri L.Chromatofocusing in Methods in Enzymology,Deutscher MP.編,Academic Press,San Diego,vol 182,p.380−392を参照されたい)。
典型的なクロマトフォーカシング法においては、弱いアニオン交換カラムを、負荷電タンパク質の結合を促進する高pHバッファーで平衡化する。ついで、商業的に入手可能な高分子両性電解質バッファーを通常は使用する低pHバッファーを導入して、カラム内に内部直線pH勾配を生成させる。該タンパク質はそれらの等電点に従って該カラムから溶出されるであろう。タンパク質が、そのpIと同等の該カラム内のpHに達したら、該タンパク質の電荷は正味ゼロとなり、したがって該カラムへのその結合アフィニティーを喪失し、溶出し始めるであろう。それが該カラムの下方へ移動して、該カラムのpHが該タンパク質のpIより高くなると、該タンパク質の前方部は該カラムに再結合するであろう。一方、該サンプル領域の後方部のタンパク質は、それが尚も無荷電であるか又は正に荷電しているため、該カラムの下方へ流動し続けて、該タンパク質の前方部に追いつく。その結果、該タンパク質は集中(フォーカス)する。該タンパク質が最終的に該カラムが溶出するまで、該過程が絶えず反復されるであろう。
通常のクロマトグラフィーにおいて使用される両性高分子電解質バッファーとは異なり、IFN DEAEクロマトグラフィーにおける溶出バッファーはホスファートのみからなり、これは、pKa 12.3、7.3および2の3つの異なるイオン化コンジュゲートを含有する。しかし、本発明者らのデータは、標準的な方法における単純なリン酸バッファーが、溶出バッファーのpHと第2リン酸pKa(7.3)との間の範囲であるpH6〜7における直線に近い又は凹形のpH勾配を形成しうることを示した。IFNは該pH勾配のこの狭い範囲内で溶出した。
D.IFN−α2bアイソフォーム4の選択的結合
物質収支の結果により示されるとおり、該標準法における溶出工程の後、大きな比率のアイソフォーム4および他の汚染物が尚もカラムに結合していた。これらの未溶出物質の検査は、IFN−α2bアイソフォームが溶出中に該カラム内でどのように挙動するのかに関する有益な情報を与えうるであろう。
この目的のために、低pHバッファー(40mM 酢酸ナトリウム、20mM NaCl(pH4))を使用することにより未溶出物質を該カラムから取り出し、アイソフォーム1およびアイソフォーム4に関してRP−HPLCにより画分をアッセイした(図5A)。SDS−PAGEにより示されるとおり(図5B)、これらの2つのアイソフォームは、該カラムから取り出された主要物質であった。溶出した及び取り出された画分に含有されるアイソフォーム1および4の量を決定した。全アイソフォーム1の大部分が該カラムから溶出し、一方、溶出したものよりほぼ2倍多いアイソフォーム4が尚もカラム内に残存していることを、結果は示した(データ非表示)。したがって、該標準方法を用いた場合、アイソフォーム4は、アイソフォーム1より大きな、DEAEカラムに対するアフィニティーを有していた。
未溶出物質が、なぜ、そのように強固に該カラムに結合するのかを理解するために、これらの物質の幾つかの特性を調べた。図6は、取り出された物質を種々のpHにさらした後のOD320およびOD320/280における吸光度の決定を示す。OD320は、凝集または沈殿を示す有用なパラメーターである。OD320またはOD320/OD280は、pHが約6へと減少するにつれて顕著に増加したが、このことは、約6のpHにおいて凝集が生じていたことを示している。低いpHにおける凝集は、溶出中の該カラムへのこれらの物質の強力な結合を部分的に説明しうる。
前記データに基づいて、本発明者らは、DEAEセファロースカラム上のIFN−α2bアイソフォームの分離が、2つの異なるメカニズム、すなわち、pH勾配の形成によるクロマトフォーカシング、および標準的な溶出条件下での該カラムへのアイソフォーム4の選択的結合により生じると結論づけた。
ローディング、洗浄および溶出工程のサイクル回数を減少させるために、より小さなDEAEセファロースFFカラム(0.5cm×20cm、3.9ml)へとカラムサイズが小規模化されうる可能性を検討した。該小カラムは、23mlカラムに類似したpH勾配を生成することが可能であり、IFN−α2bに関するUVプロファイル、ならびに異なる溶出バッファーを使用した場合のアイソフォーム1および4の分離も、より大きなカラムで得られた結果に類似していた(図7)。したがって、後記の実験のほとんどは、0.5cm×20cm、3.9mlカラムを使用して行った。
E.バッファー濃度の効果:pH勾配の傾きと分離との関係
クロマトフォーカシング法においては、カラム性能は、しばしば、pH勾配の範囲および傾きを含む幾つかの変数を操作することにより最適化されうる。より浅い勾配を有する、より狭いpH範囲が、アイソフォーム1および4の分離を改善するのに有用であるかどうかを調べるために、pH勾配の傾きおよびアイソフォーム分離に対する溶出バッファー中のホスファート濃度の効果を調べた。
20mM NaCl(pH6.0)の存在下、20、10または5mM リン酸ナトリウムを使用して溶出を行った。図8は、これらのバッファーのそれぞれで得られたクロマトグラフィープロファイルの重ね合わせを示す。明らかに、リン酸ナトリウム濃度が減少するにつれて、該カラムからのIFNピークの溶出は遅延し、該ピークは広がった(上パネル)。予想どおり、低いバッファー濃度(10または5mM リン酸ナトリウム)においては、pH勾配の形成も遅延し、傾きは、標準的な20/20溶出バッファーで観察されたものより浅かった(図8、中パネル)。
RP−HPLCアッセイは、溶出バッファーホスファート濃度が20mMから5mMへと減少するにつれて、両方のアイソフォーム1および4に関するピークの広がりを示したが、これらのアイソフォームの分離の改善を示した(図9、上3つの左パネル)。溶出したアイソフォーム1およびアイソフォーム4の総量は、それらの3つのホスファート濃度のそれぞれで類似していた(図9、下左パネル)。
ホスファート濃度、pH勾配およびアイソフォーム分離の間の関係を図9の下左パネルに示す。ホスファート濃度の減少に伴うアイソフォームの分離における有意な改善は、最低移動バッファー濃度で最良の分離を示す通常のクロマトフォーカシングに合致する。この理由は、低いバッファー濃度が浅いpH勾配の生成を助け、そしてそれが分離を向上させることにある。
F.IFN−α2bアイソフォーム4の結合に対する塩およびホスファート濃度の影響
本発明者らは、20mM リン酸ナトリウムおよび20mM、10mM、5mMまたは0mMのNaCl含有するpH6.0の溶出バッファーを使用して溶出を行うことにより、IFN溶出に対するイオン強度の効果を調べた。結果を図10および11に示す。
該20mMホスファート(リン酸塩)バッファーにおいては、アイソフォーム1の溶出は、ピークの位置および鋭さに関して、NaCl濃度によってはほとんど影響されなかった(図10、上パネル;図11、左上の4つのパネル)。しかし、NaCl濃度が減少するにつれて、アイソフォーム4のピークが次第に広がったが(図11、左上の4つのパネル)、このことは、該カラムからのアイソフォーム4溶出の速度が塩の非存在下では減少したことを示している。該pHは塩濃度によっては比較的変化しないようであった(図10、中パネル)。集めた画分において、該カラムから溶出したアイソフォーム1および4の総量ならびにそれらの分離は、種々の塩条件下で類似していた。
本発明者らは、溶出中の低いバッファー濃度においてアイソフォーム1および4の分離が改善しうると判定していたため、10mM リン酸ナトリウム(pH6.0)溶出バッファー中の漸減塩濃度(20mM、10mMまたは0mMのいずれかのNaCl)の効果を評価した。結果を図12に示す。
20mM リン酸ナトリウム溶出バッファーを使用して観察された結果と同様に、10mM リン酸ナトリウムバッファーで溶出したアイソフォーム4のピークは、NaCl濃度が20mMから10mMへと減少するにつれて広がり、一方、アイソフォーム1のピークはほとんど影響されなかった(図12、上の2つの左および右パネル)。しかし、塩濃度が更に0mMへと減少すると、アイソフォーム1は2つの異なるピークとして溶出したが(図12、3番目の左および右パネル)、全アイソフォーム4の少量(1.6%)のみが最初のアイソフォーム1のピークと共に溶出したに過ぎなかった(図12、3番目の右および左パネル)。これとは対照的に、標準的な20mM リン酸ナトリウム/20mM NaCl/pH6.0溶出バッファーを使用した場合には、全アイソフォーム4の36%がアイソフォーム1のピークと共に溶出した。
該カラムから溶出するアイソフォーム1の総量は10mM リン酸ナトリウムにおける塩濃度によっては変化せず、一方、アイソフォーム4の溶出は、塩濃度が減少するにつれて著しく抑制されることを、定量分析は示した(図12、下左パネル)。これらの結果は、塩の非存在下で低いバッファー濃度を使用して溶出を行う場合には、DEAEセファロースFFカラムが、アイソフォーム4に対して、アイソフォーム1に対するより高いアフィニティを有することを示唆している。RP−HPLCアッセイによる純度分析は、ほぼ全てのIFN画分が低率(<1%)のアイソフォーム4を含有することを示した(図12、下右パネル)。
低いバッファー濃度における該カラムへのIFN−α2bアイソフォームの結合を更に調べるために、20、17.5、15、12.5または10mMのリン酸ナトリウムを含有し塩を含有しないpH6.0のバッファーにおいて溶出を行った。結果を図13に示す。
標準的な20/20バッファーでの溶出と比較して、20mM リン酸ナトリウム/0mM NaClにおけるアイソフォーム4のピークは広がったが、その総溶出は影響されなかった。リン酸ナトリウムが20mMから17.5、15、12.5および10mMへと減少するにつれて、アイソフォーム1のピークの対応する広がりと共に、アイソフォーム4の溶出は次第に遅延または阻止された(図13、左パネル)。RP−HPLCアッセイは、低いバッファー濃度(15mM リン酸ナトリウム)を用いて溶出したアイソフォーム1画分のほぼ全てが非常に低い比率のアイソフォーム4を含有することを示した。該カラムへのアイソフォーム4の結合の転移点はリン酸ナトリウムの15mMと20mMとの間で生じたが、これは恐らく、このホスファート(リン酸塩)濃度におけるアイソフォーム4の沈殿の増加によるものであろう。
G.pHの効果
pHはタンパク質分子上の表面電荷の正味電荷および分布に影響を及ぼし、移動性バッファーのアニオン構造を変化させ、アニオン交換樹脂の電荷状態をモジュレーションしうるため、本発明者らは、20mM リン酸ナトリウム/20mM NaCl(20/20)または17.5mM リン酸ナトリウム/0mM NaCl(17.5/0)溶出バッファーでのIFN−α2bアイソフォーム1および4の溶出に対する、5.8から6.3へのpHの変化の効果を評価した。結果を図14および15に示す。
20/20バッファーを使用する溶出は、pH5.8、6.0および6.3において、両方のアイソフォームに関して、非常に類似したプロファイルを示したが、pH6.3において、それぞれのアイソフォームのピークの広がりが観察された(図14)。該カラムから溶出した各アイソフォームの総量も各pHにおいて非常に類似していた(データ非表示)。これらの結果は、標準的なバッファーおよび塩濃度を使用するIFN−α2b溶出がバッファーのpHに対して比較的非感受性であることを示した。
これとは対照的に、17.5mM リン酸ナトリウム/0mM NaClで溶出を行った場合には、5.8と6.3との間のpHの変化は有意な影響を及ぼした。アイソフォーム4はpH6.0においてはほとんど溶出しなかった(図15、中央パネル)。しかし、pH5.8においては、アイソフォーム1のピークがより鋭くなり、有意に多量のアイソフォーム4が該カラムから溶出した(図15、上パネル)。pH6.3においては、アイソフォーム1は2つのピークとして溶出し、基本的にはアイソフォーム4は溶出しなかった(図15、下パネル)。したがって、IFN−α2b溶出は、NaClの非存在下、17.5mM リン酸ナトリウムにおいては、比較的小さなpH変化に対して非常に感受性であった。
H.全体的な及び収集可能な回収
前記の全ての条件下でのアイソフォーム1の総溶出は非常に類似しており100%に近かったが、アイソフォーム4の溶出はNaClの非存在下の17.5mM以下のリン酸ナトリウムにおいては劇的に減少した。しかし、標準的な20/20バッファーでの溶出と比較した場合の、17.5mM以下のリン酸ナトリウム/0mM NaClを含有する溶出バッファーで達成されたこれらのアイソフォームの分離の改善は、効率を有意に低下させている。すなわち、IFNピークの溶出の減速または遅延のため、アイソフォーム4の混入を低下させて(例えば、3%未満)、アイソフォーム1の高い収率(例えば、90%以上)を得るためには、有意に、より大きな体積の画分を集めることが必要であろう。
したがって、アイソフォーム1および4の高い分離能を達成する溶出条件を特定することを試みるために、追加的な実験を行った。
III.結果および考察−実験系II
第2の実験系においては、実質的に精製された幾つかの異なるIFN−α2b調製物を使用した。それらを以下に一覧する。
Figure 2012513200
A.pH6.0における溶出体積に対するバッファーおよびIFN濃度の効果
pH6.0におけるバッファーおよびIFN濃度の溶出体積に対する効果を評価するために、標準的な20mM リン酸ナトリウム/20mM NaCl溶出バッファーを使用して2つの異なるIFN−α2b濃度(1.77mg/mlおよび3.49mg/ml)に関して得られた溶出体積を、塩の非存在下、より低いバッファー濃度を用いてこれらのIFN濃度に関して得られた溶出体積と比較した。結果を以下の表IIIAに示す。
Figure 2012513200
IFN調製物1の場合、アイソフォーム1ピークに関する溶出体積は、標準的な20/20バッファーを使用した場合の溶出体積と比較して、15、12.5および10mM ホスファートで、それぞれ35%、95%および220%増加した(表IIIA、第2列)。リン酸ナトリウム濃度の減少と共に次第に増加する溶出体積の類似パターンが、ほぼ2倍のIFNを含有するIFN調製物に関して観察された(表IIIA、第3列)。しかし、溶出体積に対するリン酸ナトリウム濃度のこの効果の大きさは、より高いIFN濃度において増加した。IFN濃度は、NaClを欠くバッファーにおいては、アイソフォーム1および4の分離に顕著な影響を及ぼさなかった。なぜなら、いずれのバッチからのアイソフォーム1も、アイソフォーム4(その大部分は該カラム上に残存していた)の共溶出をほとんど伴わない2つの幅広いピークとして溶出したからである(データ非表示)。
B.IFN溶出体積はpH5.85においてはバッファー濃度に左右されない
前記II.G節に記載したとおり、pHは、該溶出バッファーにおいて、NaClの非存在下の17.5mM リン酸ナトリウム濃度でのIFN溶出に対して顕著な効果を示した。この場合、pH5.85の溶出バッファーはアイソフォーム1を鋭いピークとして示し、アイソフォーム4溶出を増加させ、一方、pH6.3の溶出バッファーはアイソフォーム4溶出を抑制したが、幅広いアイソフォーム1ピークを生成した。あるpHにおけるアイソフォーム溶出とバッファー濃度との関係を調べるために、塩を含有せず17.5mM、15mM、12.5mMまたは10mMのリン酸ナトリウムを含有するpH5.85の溶出バッファーを使用して、IFN調製物1に関して標準的なDEAEクロマトグラフィー法を行った。結果を図16Aおよび16Bに示す。
ホスファート(リン酸塩)バッファー濃度が17.5mMから10mMへと減少するにつれて、IFNの溶出は次第に遅くなった(図16A、上パネル)。予想どおり、より低いバッファー濃度においては、伝導度低下およびpH勾配形成も遅くなった(図16A、中および下パネル)。しかし、それらのIFN溶出プロファイルを重ね合わせたところ(各バッファー濃度に関するIFNピークを比較のために同一画分に対して正規化した)、アイソフォーム1ピークの形状は鋭く、試験したホスファート濃度間で顕著に類似しており、一方、アイソフォーム4は該IFNピークのより後の画分において漸増的に溶出したことを、本発明者らは観察した(図16B)。低いpH(5.85)においてバッファー濃度を低下させても、より高いpH(6.0〜6.2)の場合のようにはアイソフォーム1ピークを有意には広げなかったという観察は、より低いpHおよびより低い濃度のバッファーが、溶出体積の劇的な増加を伴わないアイソフォーム1の溶出に有用でありうることを示唆した。
IV.二相溶出−原理、結果および考察
前記試験法はいずれも、許容しうる小さな体積でのアイソフォーム1の溶出を伴う、アイソフォーム4からのアイソフォーム1の満足しうる分離をもたらさなかった。より大きなアイソフォーム1のプール体積は常に、アイソフォーム4の結合を促進する又はアイソフォーム1および4の分離を改善する、より低いホスファートバッファー濃度のような溶出条件で得られた。一方、より高いホスファートバッファー濃度またはより低いpHにおいて、より鋭いアイソフォーム1ピーク、したがってより小さな収集溶出体積を得ることができたが、より多量のアイソフォーム4がアイソフォーム1と共に溶出し、それにより、所望の純度基準を満たすアイソフォーム1の収率を減少させた。第1の実験系では、ほとんどの場合、アイソフォーム1のピークの最初の4分の1または半分が溶出してしまうまでは、アイソフォーム4は溶出し始めないことを、本発明者らは観察した。
これらの観察に基づいて、本発明者らは、最初の半分のアイソフォーム1ピークの溶出の後、溶出バッファーをより低い濃度のバッファーまたは高いpHのバッファーに変化させることにより、すなわち、2工程または「二相」溶出法により、アイソフォーム1のピークの後半においてアイソフォーム4の溶出の抑制が生じて、より小さな溶出体積でアイソフォーム1が溶出することを可能にすると仮定した。この仮定を試験するために、単一溶出工程の代わりに2工程溶出法、すなわち、二相溶出法を用いる前記の標準的なDEAEクロマトグラフィー法を3.9mlカラム上で行った。工程1において、洗浄工程後に強溶出溶液を該カラムに適用し、工程2において、異なる組成を有する、より弱い溶出溶液を適用した。流量は、標準的な単一溶出工程に用いたものと同じであった。該強および弱溶出溶液に関する種々の組成で得られた結果を以下に記載する。
A.同一pHにおける種々のホスファート濃度での二相溶出
1.20mM ホスファート(pH6.1)での第1相溶出;15または12.5mM ホスファート(pH6.1)での第2相溶出
6.7カラム体積の強溶出溶液(20mM リン酸ナトリウム,pH6.1)およびそれに続く19カラム体積の弱溶出溶液(15mMまたは12mM リン酸ナトリウム,pH6.1)で、IFN−α2b(IFN調製物2)の二相溶出を行った。結果を図17に示す。
標準的な20/20条件を用いて行った溶出と比較して、アイソフォーム1は、アイソフォーム4からの有意に改善された分離を伴って、該カラムから効率的に溶出した(図17、上の2つのパネル)。しかし、RP−HPLC分析のプロファイルは、単一の高ホスファート(20mM リン酸ナトリウム)溶出バッファー(pH6.1)を使用して得られたものに非常に類似しているようであった(図17、下パネル)。幾らかのアイソフォーム4は、アイソフォーム1のピークの後半の、より後の画分において溶出し、このことは、所望の純度基準に応じて、それらの画分を収集不能にする可能性があった。種々の溶出溶液により得られたアイソフォーム溶出プロファイルにおける有意な相違は観察されなかった。ただし、12.5mM リン酸ナトリウムで溶出したアイソフォーム1のピーク幅(図17、中央パネル)は15mM リン酸ナトリウムでの溶出より大きかった。したがって、pH6.1において2つの異なるホスファート濃度(15または12.5mM)を使用する二相溶出は最適ではないようであった。
2.17.5mM ホスファート(pH5.85)での第1相溶出;5mM ホスファート(pH5.85)での第2相溶出
pH5.85において2つの異なるホスファート濃度を使用してIFN−α2b(IFN調製物5、ローディング体積3.2ml)の二相溶出を行った場合、非常に異なるプロファイルが得られた。5または6B.V.の17.5mM リン酸ナトリウム(pH5.85)で第1溶出相を実施し、ついで19カラム体積の5mM リン酸ナトリウム(pH5.85)で溶出を行った。結果を図18に示す。
どちらの実験においても、アイソフォーム1のピークにわたって溶出した実質的に全ての画分は97%以上の純度であり、アイソフォーム4は0.5%未満であった(図18)。しかし、5B.V.ではなく6B.V.の強溶出溶液で第1相溶出を行った場合には、アイソフォーム1は遥かに鋭いピークとして溶出した。該アイソフォーム1ピーク画分は2.5mg/ml IFN−α2bであり、標準的な方法で得られたピーク画分のIFN濃度(1.3mg/ml)の約2倍であった。以下の表は、標準的単相および二相実験(6B.V.の強溶出溶液を使用するもの)で得られた収率および純度を比較した場合の詳細な画分分析を示す。
Figure 2012513200
6B.V.の強溶出溶液を使用する二相溶出法におけるpHプロファイルは、溶出中にカラムの長さに沿って形成される幾つかのpH変位領域を示した(図19)。これらの領域は溶出中の伝導度変化と相関した(図19、下パネル)。鋭い変位フロントがpH5.5とpH6.1との間に存在する。アイソフォーム1はpH5.5において急速に溶出し、カラムの下方へ移動し、該pH変位フロントにおいて集中した。したがって、離散的なpHフロントの形成は、二相溶出中にアイソフォーム1が鋭いピークとして溶出したことを説明するものであった。
pHまたは塩濃度を調節することにより溶解可能な幾らかの沈殿が、高いIFN濃度を有する幾つかの画分において特に室温で生じることが認められた。これは恐らく、該溶出バッファー中の低い伝導性条件によるものであろう。所望の純度基準に従って収集された画分におけるアイソフォーム1の総回収率は99%にも達した。異なるIFN−α2b調製物およびカラム長で、類似した性能が得られた(データ非表示)。
C.同一ホスファート濃度における異なるpHでの二相溶出
本発明者らはまた、二相溶出法においてpHを変化させつつホスファートバッファーを一定に保持する効果を調べた。アイソフォーム1のピークの溶出を鋭いものにするために、低pHバッファーを強溶出溶液として使用した。ついで、アイソフォーム4の溶出を抑制するために、高いpHのバッファーを使用した。
1.17.5mM ホスファート(pH5.85)での第1相溶出;17.5mM ホスファート(pH6.3)での第2相溶出
DEAEカラムにIFN調製物4を充填し、それを標準的な方法により洗浄した。6.5B.V.または5.0B.V.の17.5mM リン酸ナトリウム(pH5.85)およびそれに続く19B.V.の17.5mM リン酸ナトリウム(pH6.3)をそれぞれ使用する二相溶出を行った。結果を図20に示す。
6.5B.V.の強溶出溶液を使用するこの二相溶出法は、17.5mM リン酸ナトリウム(pH5.85)のみで得られたプロファイルに類似したアイソフォーム1および4に関するRP−HPLC分析プロファイルを与えた(図20、パネルAおよびC)。IFN純度(>96%)および収集可能な収率は標準法と比べて改善したが、IFNピークの後期画分において少量のアイソフォーム4が溶出した。5B.V.への該強溶出工程の短縮はアイソフォーム分離を改善せず、それどころか、アイソフォーム1のピークの後期画分において、より多くのアイソフォーム4が溶出した(図20、パネルB)。
2.17.5mM ホスファート(pH5.85)での第1相溶出;17.5mM ホスファート(pH7.9)での第2相溶出
高pHホスファートバッファー(pH6.3)はIFNピークの後期部分におけるアイソフォーム4溶出を克服しなかったため、該弱溶出工程のために更に高いpHを試した。この実験のために、IFN−α2b調製物5を使用した。充填され洗浄されたカラムを6.5B.V.の17.5mM リン酸ナトリウム(pH5.85)、ついで15B.V.の17.5mM リン酸ナトリウム(pH7.9)で処理した。結果を図21に示す。
アイソフォーム1は小さな体積で鋭いピークとして溶出したが、驚くべきことに、多量のアイソフォーム4もこのピークにおいて溶出した(図21、パネルA)。より小さな体積の強溶出バッファー(pH5.85)の使用がアイソフォーム4溶出を減少させるという本発明者らの仮定に反して、3.7B.V.の強溶出溶液のみを使用した場合には、アイソフォームAの分離はより一層悪化した(図21、パネルB)。
3.アイソフォーム4の溶出の抑制における低い伝導度の決定的な役割
pH6.3またはpH7.9のいずれかにおける17.5mM リン酸ナトリウムバッファーでの溶出がアイソフォーム4の溶出を減少させるどころか増加させたことは当惑させるものであった。なぜなら、高pH条件は、それ以外の点では、DEAE樹脂へのアイソフォーム4の結合を促進するはずだからである。図22は幾つかの二相溶出実験の伝導度、pHおよびOD280の重ね合わせを示す。これらの実験においてIFNは類似pH範囲で溶出したが、アイソフォーム1のピーク下の伝導度は、異なるプロファイルを示した。全ての場合において、溶出中の伝導度が、まず、減少し、横ばいになり、ついで増加して、アイソフォーム1のピークの内部またはその周辺にカップ形を形成する。しかし、該カップの底のサイズは該強溶出のカラム体積によって変動した。第1溶出工程の長さが増加するにつれて、特に、第2溶出工程にpH7.9のバッファーを使用した場合に、該カップはより深く且つより大きくなった。より重要なことに、伝導度は、アイソフォーム1のピークの後半に、特に、短い第1溶出工程の後、上昇した(図22、パネルA〜DおよびE)。該弱溶出工程中の伝導度の増加は、アイソフォーム1と共に溶出したアイソフォーム4の量と良く相関した。このことは、伝導度がiso4の溶出において決定的な役割を果たしたことを示唆している。高pHバッファー、特に、pH7.9のバッファーは、流出液の伝導度を有意に増加させ、したがってアイソフォーム4の溶出の速度を増加させた。
D.種々のpH値における種々のホスファート濃度の使用
より高い伝導度がアイソフォーム4の溶出を説明するものと考えられたため、本発明者らは、種々の体積(2〜6B.V.)の強溶出溶液(17.5mM リン酸ナトリウム,pH5.85)を使用し、ついでpH7.9における15B.V.の遥かに低いホスファート濃度(5mM リン酸ナトリウム)での第2相溶出を用いて、IFN−α2b調製物5に関する二相溶出を行って、この溶出がアイソフォーム4の溶出を抑制する可能性を試験した。予想どおり、これらの条件下、第2溶出相中に、遥かに低い伝導度(0.73mS/cm)が検出された(データ非表示)。該溶出結果を図23に示す。
相対的に少量のアイソフォーム4が溶出し、一方、アイソフォーム1は鋭いピークとして有効に溶出した。より高い濃度のホスファート(17.5mM リン酸ナトリウム,pH7.9)を弱溶出相に使用する二相溶出と比較して、該アイソフォーム分離効率は著しく改善された(図20および21を図23と比較されたい)。これは更に、アイソフォーム4の溶出の抑制における低い伝導度の重要性を示している。
強バッファーを使用する第1相溶出工程の長さは、アイソフォーム1および4に関する溶出プロファイルを劇的には変化させなかった。ただし、第1相溶出工程の長さの増加は両方の該カラム上のアイソフォームに関する保持時間を減少させたようであり(図23)、また、より短い長さ(3B.V.)の強バッファー溶出を用いた場合には、より多量(12%)の未溶出アイソフォーム1が該カラム上に残存した。6B.V.のバッファーで強溶出を行った場合には、溶出したアイソフォーム1のピークはより鋭く、僅か3%の未溶出アイソフォーム1が存在したに過ぎなかった。
総合すると、17.5mM ホスファート(pH5.85)および5mM ホスファート(pH7.9)での二相溶出法は、標準的なDEAEクロマトグラフィー法と比較して有意な改善をもたらした。しかし、アイソフォーム1のピークにおける最後の画分の1つ又は2つは尚も、それらの画分がより早期の画分において収集されることを可能にするのに許容されるものより高い比率のアイソフォーム4を含有していた。
E.17.5mMおよび5mMホスファート(pH5.85)を使用する二相溶出に対する追加的パラメーターの効果
カラムの性能に影響を及ぼしうる幾つかの追加的パラメーター、例えば、IFNの量、第2バッファー濃度、カラム長および流量を調べた。
1.ローディング
カラム体積の75%である標準ローディング量(約3.5mg/ml)の0.5倍(0.5×)、1倍(1×)および1.5倍(1.5×)から供給量を変化させることにより、該カラム上にローディングされるIFN濃度の効果を調べた。6B.V.の17.5mM リン酸ナトリウム(pH5.85)で第1相溶出を行い、ついで15B.V.の5.0mM リン酸ナトリウム(pH5.85)で第2相溶出を行った。結果を図24に示す。
通常のローディングの0.5〜1.5倍のIFNローディング量は類似溶出プロファイルを与えて、アイソフォーム1および4の、類似した分離効率をもたらした。予想どおり、0.5倍のローディング量においては、ピーク高が通常のローディング量(1倍)より低かった。しかし、1.5倍のローディング量におけるピーク高は1倍のローディング量の場合より高くはなく、幅広かった。また、OD320のピーク(OD280のピークの約2%)は1.5倍のローディング量では溶出したが、これは1倍のローディング量では観察されなかった。これは、1.5倍の溶出中に幾らかの沈殿が生じたことを示している。アイソフォーム1のピークの後期画分におけるアイソフォーム4の比率は、高ローディング(1.5倍)においては、低ローディングの場合(0.5倍および1倍においては0.6%未満のアイソフォーム4)より若干高い(1〜2%)ものの、これらのローディング条件下、アイソフォーム4はアイソフォーム1のピークにわたって低いことを、RP−HPLC分析は示した。これらのデータは、0.5〜1.5倍の範囲内の供給ローディング量においてはカラム性能が非常に一貫していることを示唆している。
2.弱溶出バッファーにおけるホスファート濃度
第1相溶出工程後のアイソフォーム1の溶出を更に調べるために、弱溶出バッファー中の種々の濃度のホスファート(リン酸塩)を調べた。結果を図25に示す。興味深いことに、pH5.85における12.5〜5mMの範囲のホスファート濃度は該カラムからのアイソフォーム4の溶出を抑制することが可能であった。アイソフォーム1画分のほとんどは0.5%未満のアイソフォーム4を含有していた。しかし、溶出バッファーの濃度が5mMから12.5mMへと増加するにつれて、アイソフォーム1に関するピーク高は2.5mg/mlから約0.8mg/mlまで減少した。したがって、試験範囲(5〜12.5mM)内の弱溶出バッファー濃度はアイソフォーム1のピークのフォーカシングまたは鋭さに影響を及ぼしたが、伝導度においては、アイソフォーム4の溶出を抑制するのに十分な程度に尚も低かった。
3.カラム長
3つの異なる長さ(5、10および20cm)の直径0.5cmのカラムおよび直径1cm×長さ29cmのカラム上でDEAEクロマトグラフィーによる二相溶出を行った。結果を図26に示す。
明らかに、該カラムの長さはアイソフォーム4の溶出に幾らかの影響を及ぼした。アイソフォーム1のピークの鋭さはこれらのカラムにおいて類似プロフィールを示したが、アイソフォーム1および4の分離効率はカラム長によって異なっていた。長さが減少するにつれて、アイソフォーム1の後期画分において溶出したアイソフォーム4の量は長さ20cmのカラムでの0.5%未満から長さ5または10cmのカラムでの約2.5%まで有意に増加した。より大きなカラム(1.0cm×29cm)はアイソフォーム1および4の非常に有効な分離を示し、全てのアイソフォーム1ピーク画分は0.5%未満のアイソフォーム4を含有していた。また、アイソフォーム1ピーク画分の濃度は3.6mg/mlにも達した。該濃度は、IFNの幾らかの沈殿が4℃においても生じるのに十分な程度に高かった。しかし、既に記載されているとおりにpHまたは塩濃度を調節することにより、この沈殿は溶解されうるであろう。これらの結果は、十分な性能のためには約20cmのカラム長が必要であることを示唆している。
4.流量
17.5mM ホスファートでの第1相溶出および5mM ホスファート(pH5.85)での第2相溶出を用いる二相溶出に対する流量の影響を、5cm/分または0.5cm/分でカラム(0.5×10cm)内の流動を行うことにより調べた。結果は、流量が、これらの条件下の分離の予想を有意には変化させないことを示した(図27)。しかし、より低い流量での流動は分離効率を改善するようであった。これは、より低い流量がカラム性能を改善するという一般的観察と合致する。
結論
これまでの報告における本発明者らのデータに基づき、小さな溶出体積におけるアイソフォーム4からのアイソフォーム1の有効な分離を可能にする、IFN DEAEクロマトフォーカシングのための2工程または「二相」溶出法を、本研究において開発した。アイソフォーム1のピークにおける幾らかの非常に後期の画分が比較的高い比率のiso4を含有していたものの、pH6における高濃度および低濃度のホスファート(リン酸塩)バッファーまたは種々の濃度における低pHおよび高pHのバッファーの使用は、標準的なDEAEクロマトグラフィー法において用いられる1工程溶出と比較して有意な改善をもたらした。pH5.85における17.5mM ホスファートでの第1溶出相およびそれに続くpH5.85における5mM ホスファートでの第2溶出相の組合せが最終的なアイソフォーム1の純度、回収および収集体積の点で最も満足しうる結果を与えた。
溶出中に生じる伝導度はアイソフォームの溶出における決定的な役割を果たした。1mS/cmの閾値を超える伝導度がアイソフォーム4の溶出を増加させるようであった。
該二相溶出法は、IFNローディング量(現在の方法の0.5〜1倍)、流量(0.5〜5cm/分)およびカラム長(10〜30cm)の試験範囲内で理論的に一貫した結果を与えた。カラムへの過剰ローディングはアイソフォーム1のピークの後期画分におけるアイソフォーム4の溶出を増加させた。カラム長はカラム性能に影響を及ぼし、より短い長さ(10cm未満)のカラムは、アイソフォーム1および4の、より低い効率の分離をもたらした。
本発明は、本明細書に記載されている特定の実施形態により、範囲において限定されるものではない。実際、本明細書に記載されているものに加えて、本発明の種々の修飾が、前記説明から当業者に明らかとなるであろう。そのような修飾は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれると意図される。
特許、特許出願、刊行物、製品説明書およびプロトコール書が本出願の全体にわたって引用されているが、それらの開示の全体を、あらゆる目的で、参照により本明細書に組み入れることとする。

Claims (29)

  1. インターフェロン(IFN)の酸化型単量体アイソフォームを、該IFNの組換え製造アイソフォームの混合物において、そのIFNの1以上の非所望アイソフォームから分離する方法であって、
    (a)第1バッファー溶液中にIFNアイソフォームの混合物を準備し、
    (b)第1または第2バッファー溶液で平衡化されたアニオン交換樹脂が充填された15cmより長いクロマトグラフィーカラムを準備し、
    (c)該緩衝化IFN溶液を該アニオン交換カラム上にローディングし、
    (d)該ロード化カラムを洗浄溶液で洗浄し、
    (e)1〜10カラム体積の量の強溶出溶液(該強溶出溶液は10〜30mMの濃度の第1ホスファート濃度を含み、5.4〜6.6のpHを有する)を該洗浄カラムに適用し、
    (f)2〜20カラム体積の量の弱溶出溶液(該弱溶出溶液は、第1ホスファート濃度より低い第2ホスファート濃度を含み、5.4〜6.6のpHを有する)を工程(e)からのカラムに適用し、
    (g)該酸化型IFN単量体アイソフォームを含有する複数の溶出画分を集めることを含む方法。
  2. 該アニオン交換樹脂がジエチルアミノエチルアニオン交換樹脂である、請求項1記載の方法。
  3. 該アニオン交換樹脂がDEAEセファロース・ファーストフロー(Sepharose Fast Flow)である、請求項2記載の方法。
  4. 該IFNがI型IFNである、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 該IFNがインターフェロンアルファ(IFN−α)である、請求項4記載の方法。
  6. 該IFNがIFN−α2であり、第1および第2バッファー溶液のそれぞれが10mM Tris、0〜40mM NaClから実質的になり、7.0〜8.5のpHを有する、請求項5記載の方法。
  7. 第1バッファー溶液が10mM Tris、40mM NaClから実質的になり、8.0のpHを有し、第2バッファー溶液が10mM Trisから実質的になり、8.0のpHを有し、該洗浄溶液が10mM Trisおよび14mM NaClから実質的になり、8.0のpHを有する、請求項6記載の方法。
  8. 第1ホスファート濃度が約17.5mMであり、第2ホスファート濃度が約5mM〜約7mMであり、該強および弱溶出溶液のそれぞれが5.85のpHを有する、請求項6または7記載の方法。
  9. 該IFNがIFN−α2であり、該強溶出溶液が17.5mM リン酸ナトリウムから実質的になり、該弱溶出溶液が5mM リン酸ナトリウムから実質的になる、請求項8記載の方法。
  10. 工程(c)、(d)、(e)および(f)のそれぞれを0.5〜2.5cm/分の流量で行う、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 工程(c)および(d)のそれぞれを2cm/分の流量で行い、工程(e)および(f)のそれぞれを1cm/分の流量で行う、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  12. 該IFNがIFN−α2bであり、該IFN溶液中のIFN−α2bアイソフォーム1の濃度が約1.75mg/ml〜約5.25mg/mlである、請求項11記載の方法。
  13. 該IFN溶液中のIFN−α2bアイソフォーム1の濃度が約3.5mg/mlである、請求項12記載の方法。
  14. 工程(e)において適用する強溶出溶液の量が6カラム体積であり、工程(f)において適用する弱溶出溶液の量が15カラム体積である、請求項12記載の方法。
  15. 工程(g)において集める溶出画分のそれぞれの体積が該カラム体積の約20%である、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
  16. 該IFNがIFN−α2bであり、該IFN溶液中のアイソフォームの約3%〜約20%がIFN−α2bアイソフォーム4を含む、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 該IFN溶液中のアイソフォームの6%〜10%がIFN−α2bアイソフォーム4を含む、請求項16記載の方法。
  18. インターフェロンアルファ−2b(IFN−α2b)のアイソフォーム1を、IFN−α2bの組換え製造アイソフォームの混合物において、IFN−α2bのアイソフォーム4から分離する方法であって、
    (a)10mM Trisおよび8.0のpHから実質的になるバッファー溶液で平衡化された少なくとも約20cmの長さのジエチルアミノエチル(DEAE)アニオン交換クロマトグラフィーカラムを準備し、
    (b)10mM Tris、40mM NaClから実質的になり7.5〜8.0のpHを有するローディングバッファー中で該IFN−α2b混合物を該DEAEカラム上にローディングし(ここで、該IFN−α2b混合物を2cm/分の流量でローディングする)、
    (c)該ロード化カラムを3カラム体積の洗浄溶液(該洗浄溶液は10mM Tris HClおよび13mM NaClから実質的になり、8.0のpHを有する)で2cm/分の流量で洗浄し、
    (d)6カラム体積の強溶出溶液(該強溶出溶液は17.5mM リン酸ナトリウムから実質的になり、5.85のpHを有する)を1cm/分の流量で該洗浄カラムに適用し、
    (e)15カラム体積の弱溶出溶液(該弱溶出溶液は5mM リン酸ナトリウムから実質的になり、5.85のpHを有する)を1cm/分の流量で工程(d)からのカラムに適用し、
    (f)アイソフォーム1を含有する複数の溶出画分を集めることを含む方法。
  19. アイソフォーム4の量が所望の純度基準未満である集めた溶出画分を合わせることを更に含む、請求項18記載の方法。
  20. 工程(f)において集めた画分のそれぞれの体積が該カラム体積の約20%である、請求項18または19記載の方法。
  21. インターフェロン(IFN)の所望アイソフォームを、該IFNの組換え製造アイソフォームの混合物において、そのIFNの1以上の非所望アイソフォームから分離する方法であって、
    (a)バッファー溶液(該バッファー溶液は約10mM Trisおよび約8.0のpHから実質的になる)で平衡化されたジエチルアミノエチルアニオン交換樹脂が充填された少なくとも約20cmの長さのクロマトグラフィーカラムを準備し、
    (b)約8.0のpHを有する約10mM Trisおよび約40mM NaClのローディングバッファー中で該IFNアイソフォーム混合物を該アニオン交換カラムに適用し、
    (c)工程(b)からのカラムを約3カラム体積の洗浄溶液(該洗浄溶液は約10mM Tris HClおよび約13mM NaClから実質的になり、約8.0のpHを有する)で洗浄し、
    (d)約6カラム体積の強溶出溶液(該強溶出溶液は15〜25mMの第1ホスファート濃度を有し、5.7〜6.1のpHを有する)を0.5〜2.5cm/分の流量で該洗浄カラムに適用し、
    (e)約15カラム体積の弱溶出溶液(該弱溶出溶液は、第1ホスファート濃度より低い第2ホスファート濃度を有し、5.7〜6.1のpHを有する)を0.5〜2.5cm/分の流量で工程(d)からのカラムに適用し、
    (f)該所望IFNアイソフォームを含有する複数の溶出画分を集め、
    (g)該非所望IFNアイソフォームの量が所望の純度基準未満である集めた溶出画分を合わせることを含む方法。
  22. 該所望アイソフォームが該IFNの酸化型単量体アイソフォームである、請求項21記載の方法。
  23. 工程(b)および(c)のそれぞれを2cm/分の流量で行う、請求項21または22記載の方法。
  24. 工程(d)および(e)のそれぞれを1cm/分の流量で行う、請求項23記載の方法。
  25. 該IFNがIFN−α2bであり、該強溶出溶液が17mM リン酸ナトリウムから実質的になり、5.85のpHを有する、請求項21〜24のいずれか1項記載の方法。
  26. 該弱溶出溶液が5mM リン酸ナトリウムから実質的になり、5.85のpHを有する、請求項25記載の方法。
  27. 該IFN溶液中のIFN−α2の濃度が約1.75mg/ml〜約5.25mg/mlである、請求項26記載の方法。
  28. 該IFNがIFN−α2bである、請求項27記載の方法。
  29. 該IFNを組換え細菌において製造する、請求項21〜28のいずれか1項記載の方法。
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