JP2012510391A - 平版印刷版の画像領域および非画像領域における擦過感受性を改善するためのナノ粒子を含むガム引き組成物 - Google Patents

平版印刷版の画像領域および非画像領域における擦過感受性を改善するためのナノ粒子を含むガム引き組成物 Download PDF

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Abstract

露光され、任意選択的に現像された平版印刷版前駆体に、シリカ、アルミナまたは二酸化チタンから構成された1nm〜0.5μmの平均粒度を有する無機の非金属不活性粒子を含む水性組成物を適用する工程を含む、平版印刷版の耐擦過性を改善するための方法。

Description

本発明は、平版印刷版をガム引き(gumming)する方法に関し、特に、不活性なナノ粒子を含むガム引き組成物(gumming composition)を使用する方法に関する。更に、本発明は、画像形成された平版印刷版をガム引きするためのガム引き組成物に関する。
平版印刷の技術分野は、油と水との不混和性に基づき、油性材料または印刷インクは、好ましくは画像領域によって受容され、水または湿し液は、好ましくは非画像領域によって受容される。適切に生成された表面を水で湿らせて印刷インクを適用すると、バックグラウンドまたは非画像領域は水を受容し、印刷インクをはじくのに対して、画像領域は印刷インクを受容し、水をはじく。画像領域における印刷インクは、次に、例えば紙や布地などの材料の画像を形成すべき表面に転写される。しかし、一般的には、印刷インクは、先ずブランケットと呼ばれる中間材料に転写され、この中間材料は次いで印刷インクを、画像形成すべき材料の表面上に転写する。この技術はオフセット平版印刷と呼ばれる。
よく使用されるタイプの平版印刷版前駆体は、アルミニウムを基にする基材上に適用された感光性コーティングを含む。このコーティングは輻射線に対して反応することができ、これにより露光部分は可溶性になるので、この部分は現像プロセス中に除去される。このような版はポジ型と呼ばれる。他方、コーティングの露光部分が輻射線によって硬化される場合には、版はネガ型と呼ばれる。両方の場合において、残りの画像領域は印刷インクを受容し(すなわち親油性である)、そして非画像領域(バックグラウンド)は水を受容する(すなわち親水性である)。画像領域と非画像領域との分化(differentiation)は、露光中に起こる。この露光に際して、良好な接触状態を確保するために印刷版前駆体にフィルムが真空下で取り付けられる。次に、一部が紫外線(UV)からなる輻射線源によって版を露光する。ポジ型版が使用される場合、版上の画像に対応するフィルム上の領域は光が版に到達しないほどに不透明であるのに対し、非画像領域に対応するフィルム上の領域は透明であり、光がコーティングを透過するのを可能にし、その溶解性が高まる。ネガ型版の場合には、その反対のことが起こる。すなわち、版上の画像に対応するフィルム上の領域が透明であるのに対して、非画像領域は不透明である。透明フィルム領域の下側に位置するコーティングは、入射光により硬化されるのに対し、光による影響を受けない領域は、現像中に除去される。ネガ型版の光硬化した表面は、従って親油性であり、印刷インクを受容するのに対して、現像液によって除去されるコーティングで被覆された非画像領域は減感され、従って親水性である。
代わりに、版を、フィルムなしでデジタル的に像様露光することもできる。1990年代後半以来、感熱層を有する版前駆体が開発され、かかる版前駆体では、像様の直接的な加熱または熱に変換される赤外(IR)線の像様照射により、コーティングの加熱された領域と加熱されなかった領域との現像液溶解度の差が生じる。かかる版は、しばしば、「IR版」または「サーモ版」と呼ばれる。最近の開発によれば、UVレーザー(2フォトン励起システムなど)により放出される近紫外線または可視光への像様露光により画像形成できる版前駆体が開発された。
クリーンな印刷画像を求める場合、使用される前駆体のタイプとは独立に、画像領域(すなわち、像様に残ったコーティング)は印刷インクを十分に受容する一方で、非画像領域(すなわち、像様に露出した基材、例えばアルミニウム基材など)は印刷インクを受容しないことが必要である。印刷版を印刷機に取り付けるとき、または印刷版を一定時間保管するとき(すなわち、非画像領域の親水性を維持し、場合によっては改善するため)に、像様に露出した基材、例えばアルミニウム基材を、指紋、酸化アルミニウムの形成、腐食および機械的攻撃、例えば擦過から保護するために、現像された印刷版を、通常、「ガム引き」処理(「減感」または「フィニッシング(finishing)」とも呼ばれる)にかける。版の保管前または印刷機の長い停止時間前に版をガム引きすることによって、非画像領域が親水性を保つことが確保される。印刷を開始したときに、画像領域がインクを即座に受容できるように、ガム引き溶液を湿し液で素早く版から洗い落とすことができなければならない。ガム引き溶液は以前から知られている。最初のガム引き溶液は、アラビアガムに基づくものであり、今日では、アラビアガムは広く使用されている。アラビアガムの資源がごく限られているため、数年前から高分子ガム代替物を見出す試みが行われている。ポリマー溶液は幾つかのタイプの版でブラインディング問題を引き起こすため、減感組成物からポリマーを除いて特定の塩、例えばリン酸塩と、必要に応じて界面活性剤を含む溶液をもたらす試みが行われている。別の試みにおいて、糖類およびデキストリンタイプの材料が、しばしばリン酸塩と置き換えられる。
欧州特許出願公開第1 025 992 A1号明細書には、水に溶解したアルカリ金属ケイ酸塩およびアルカリ金属水酸化物から主に成る水性アルカリ性現像液が開示されている。
ドイツ国特許出願公開第29 26 645 A1号明細書には、アラビアガムを含むオフセット印刷版用のガム引き溶液の製造方法が記載されている。この方法によると、アラビアガムの酸性溶液(pH 2以下)を加熱し、pHを次に、アルカリ金属水酸化物の添加により好ましくは4.5〜4.7の値に調節する。
ドイツ国特許出願公開第20 42 217 A1号明細書には、1〜5のpH値を有する水溶液による平版印刷版の処理が開示されている。この溶液は、アルカリ金属ポリリン酸塩、リン酸またはクエン酸と、硝酸、過塩素酸、過マンガン酸または過硫酸のナトリウムまたはカリウム塩とを含む。
米国特許第4,880,555 A1号明細書には、酵素加水分解により調製されたマルトデキストリンと、ポリオールと、炭化水素と、長鎖アルコールとアミノ化アルコールスルフェートと、置換フェノキシポリ(オキシエチレン)エタノールとエタノールアミンとを含み、2.5〜6.5の範囲内のpHを有する平版印刷版用のフィニッシャーが記載されている。
米国特許第4,033,919 A1号明細書には、アクリルアミドから誘導された単位とカルボキシル基を有する1〜25質量%の単位とを含むポリマーを含む水性ガム引き溶液が記載されている。この溶液は、当該溶液のpH値を5.5未満に調節する酸性物質をさらに含む。酸性物質の例としては、リン酸、クエン酸および酒石酸が挙げられる。
エマルジョンの形態のフィニッシャーは米国特許第4,162,920 A1号明細書に記載されている。このエマルジョンは、タピオカデキストリンと、アルミニウムに対して非腐食性である塩と、水を含む水性相と、炭化水素系溶剤と炭化水素系溶剤に可溶な界面活性剤を含む溶剤層とを含む。pH値は3〜5と示されている。
欧州特許第0 397 407 A2号明細書には、水溶性の皮膜形成性樹脂と、アセチレンアルコール、アセチレングリコールおよびアルキレンオキシドと前記アルコールまたはグリコールとの付加物から選ばれる化合物とを含む、平版印刷版用のフィニッシャー溶液が記載されている。
(a)冷水に可溶性のデキストリンまたはポリビニルピロリドン、(b)12〜18のHLBを有する少なくとも1種の非イオン界面活性剤、(c)保湿剤、(d)無機塩および(e)水を含む平版印刷版フィニッシャーが欧州特許出願公開第0 024 298 A2号に特許請求されている。
ドイツ国特許出願公開第25 30 502 A1号明細書には、ネガ型印刷版の現像およびガム引きを同時に行うための方法、装置および液体が開示されている。当該液体は、水系であるとされており、少量の有機溶剤に加えて水溶性コロイドを含み、3〜11のpHを有する。
ドイツ国特許出願公開第25 04 594 A1号明細書には、アクリルアミド単位とCOOH基を有する単位とを含むポリマーに加えて、リン酸のような酸性の減感物質を含む水性減感溶液が記載されている。
米国特許第4,258,122号明細書には、少なくとも1種のアルカリ金置くケイ酸塩または窒素含有ケイ酸塩、湿潤剤および親水性高分子量化合物を含む水性減感組成物が開示されている。
欧州特許出願公開第1 868 036 A1号明細書は、オーバーコートを有するフォトポリマー印刷版の処理方法に関する。水性アルカリ性処理液は、水と、少なくとも1種の界面活性剤と、少なくとも1種の水溶性の皮膜形成性ポリマーと、pHを9.5〜14の値に調節するための少なくとも1種のアルカリ剤とを含み、前記処理液の使用によって、オーバーコートが除去され、現像とガム引きが1つの処理工程で実施される。
欧州特許出願公開第1 903 399 A1号明細書には、親水性ポリマーを含む水性現像液が記載されている。現像液のpHは、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物、ホスフェートおよびアミンのようなアルカリ性成分の使用によって6超に調節される。
特開2001−092153号公報には、平版印刷版用のエマルジョンタイプの版表面保護剤が記載されている。当該保護剤は、版よりも大きなサイズを有する紙上への平版印刷における版のエッジ汚染を防止することができる。当該保護剤は、大豆多糖類、変性スターチ、並びにリン酸および/またはホスフェートを含む。
特開2002−079777号公報には、欠陥スカミングおよびオイル/脂肪スカミングを防止するのに優れている版表面保護剤が開示されている。当該保護剤は、ジメチルスルホキシド、尿素、チオウレア、グアニジンおよびそれらの誘導体から選ばれた少なくとも1種を含む。
先に述べたように、版上の擦過傷は、処理後の取り扱い中(例えば、版を、印刷機のジョブを待っている間に保管のために積層または移動させるとき、または版を印刷機に取り付けるとき)に往々にして生じ、印刷機上で望ましくないトーニングをもたらす。高度に自動化されたプレートセッターや処理ユニットの使用が増えるに従って、擦過傷が原因のトーニングに関係する苦情も増えている。1つの理由は、例えば、最近の印刷室は少数の人員で稼働し、そして、版を移動させる時間間隔がしばしば長いということであり、また、より大きな積層体を移動させるときに擦過傷が大きな問題となっている。
欧州特許出願公開第1 025 992 A1号明細書 ドイツ国特許出願公開第29 26 645 A1号明細書 ドイツ国特許出願公開第20 42 217 A1号明細書 米国特許第4,880,555 A1号明細書 米国特許第4,033,919 A1号明細書 米国特許第4,162,920 A1号明細書 欧州特許第0 397 407 A2号明細書 欧州特許出願公開第0 024 298 A2号明細書 ドイツ国特許出願公開第25 30 502 A1号明細書 ドイツ国特許出願公開第25 04 594 A1号明細書 米国特許第4,258,122号明細書 欧州特許出願公開第1 868 036 A1号明細書 欧州特許出願公開第1 903 399 A1号明細書 特開2001−092153号公報 特開2002−079777号公報
従って、本発明の目的は、画像形成された平版印刷版の耐擦過性を改善することができるとともに、保管中および印刷機の長い停止期間中に平版印刷版の非画像領域の親水性が維持される方法を提供することである。
この目的は、
露光され、任意選択的に現像された平版印刷版前駆体に、シリカ、アルミナまたは二酸化チタンから構成された1nm〜0.5μmの平均粒度を有する無機の非金属不活性粒子を含む水性組成物を適用すること、
を含む方法により達成される。
一実施態様によれば、像様露光された平版印刷版前駆体を、少なくとも1種の皮膜形成性ポリマーと、1nm〜0.5μmの平均粒度を有する無機非金属不活性粒子とを含む水性アルカリ性現像液により現像する。換言すれば、現像とガム引きを1つの工程で行い、2イン1現像液がナノ粒子を含む。
別の実施態様によれば、画像形成された平版印刷版(すなわち、前駆体を輻射線に露光し現像することにより得られた版)を、ナノ粒子と、界面活性剤および親水性の皮膜形成性ポリマーから選ばれた少なくとも1種とを含むガム引き溶液により処理する。換言すれば、現像を露光後に通常の現像液により行い、その後、現像された版を、ナノ粒子を含むガム引き溶液により処理する。
本発明で用いる用語「印刷版前駆体」は、画像形成されていない版(すなわち、像様露光も現像もされていない)であって、これから像様露光および現像により印刷版が生じる版に関する。本発明で用いる用語「印刷版」(「印刷フォーム(printing form)」とも呼ばれる)は、印刷版前駆体から作製されたすでに画像形成された版を指す。
本発明で用いる「ナノ粒子」は、1nm〜0.5μmの平均粒度を有する粒子を指す。
本発明において、「ガム引き組成物」、「フィニッシャー組成物」および「減感組成物」を互換的に用いる。
本発明において、単数形の使用は必ずしもたった1種類の化合物を意味しない。
本発明で用いる場合に、用語「現像」は、輻射線への露光後に輻射線感受性コーティングの非画像領域を水性アルカリ性現像液により除去することに関する。
「一工程処理(one−step−processing)」または「2イン1処理(2 in 1 processing)」は、現像およびガム引きを、好適な液体組成物を使用することにより1つの工程で実施する方法を指す。
基本的に、いかなる入手可能なガム引き組成物(または「2イン1処理組成物」)も、それが1nm〜0.5μmの平均粒度を有する無機非金属不活性粒子を添加することにより修飾されている限り、本発明の方法において使用できる。
下記のいかなる実施態様、好ましい範囲なども、下記の1または2以上の他の実施態様に、好ましい範囲などと組み合わせることができる。全てのかかる可能な組み合わせは、特に言及していなくても、本願開示の範囲内にあると考えられる。
基本的に、バックグラウンド領域の親水性を維持するために保管または印刷機の停止のためにガム引きにより保護されるべきあらゆるタイプの平版印刷版を本発明の方法で使用できる。ポジ型前駆体から作製された印刷版およびネガ型前駆体から作製された印刷版の両方を使用でき、UV/VIS(可視光)により画像形成された印刷版、およびIR線または直接加熱により画像形成された印刷版を使用できる。エレクトロフォトグラフィック法により作製された平版印刷版も、ガム引きによる保護が望ましい場合に、本発明に使用できる。以下で、幾つかのタイプの前駆体をより詳しく説明するが、本発明をそれらのタイプに限定することを意図するものではない。
前駆体
印刷版前駆体は、ネガ型前駆体およびポジ型前駆体であることができ、一実施態様によれば、前駆体は、UV/可視光に対して感受性であり、別の実施態様によれば、前駆体は、赤外線または直接加熱に対して感受性である。いかなるタイプの前駆体も、特に下記の好適な前駆体の例を、下記のナノ粒子含有組成物の任意の実施態様(例えば、現像液/ガム引き組成物に関する任意の実施態様)と組み合わせることができる。
基材
前駆体のために使用される基材は、好ましくは、印刷材料のための基材として既に使用されているもののような、寸法安定性を有するプレート状または箔状材料である。このような基材の例としては、紙、プラスチック材料(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン)で被覆された紙、金属プレートまたは箔、例えばアルミニウム(アルミニウム合金を含む)、亜鉛および銅プレート、例えばセルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースニトレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートおよびポリビニルアセテートから形成されたプラスチックフィルム、および紙またはプラスチックフィルムと上述の金属のうちの1種とから形成された積層材料、または蒸着により金属化された紙/プラスチックフィルムが挙げられる。これらの基材のうち、アルミニウムプレートまたは箔が特に好ましい。なぜなら、アルミニウムプレートまたは箔は卓越した寸法安定性を示し、安価であり、さらに輻射線感受性コーティングに対する優れた付着力を示すからである。さらに、アルミニウム箔がプラスチックフィルム、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムまたは紙上にラミネートされた複合フィルム、あるいは、アルミニウムが蒸着によってプラスチックフィルム上に適用された複合フィルムを使用することもできる。好ましい基材は金属基材であり、ここで、本明細書中で使用する「金属基材」という用語は、最上層が金属層または金属箔である複合材料も包含する。
金属基材、特にアルミニウム基材を、表面処理、例えば、乾燥状態でのブラッシングまたは研磨懸濁液を用いてブラッシングすることによる砂目立て、あるいは、電気化学的砂目立て(例えば塩酸電解液またはHNOによる)にかけ、次いで、必要に応じて、陽極酸化(例えば硫酸またはリン酸で)にかけるのが好ましい。好ましい実施態様によれば、金属基材は、Al層、ZnO層、SiO層またはTiO層を含む。層は、本願明細書では、基材の表面全体にわたって全体的に連続な層を必ずしも意味しない。
好ましくは厚さ0.1〜0.7mm、より好ましくは0.15〜0.5mmのアルミニウム箔が特に好ましい基材である。箔が砂目立て処理(好ましくは電気化学的に)され、平均粗さ0.2〜1μm、特に好ましくは0.3〜0.8μmを示すことが好ましい。
基材は、画像形成可能なコーティングを上に有する円筒状表面であってもよく、従って、印刷機の一体部分であることができる。かかる画像形成シリンダーの使用は、例えば米国特許第5,713,287号明細書に記載されている。
特に好ましい実施態様によれば、砂目立て処理されたアルミニウム箔はさらに陽極酸化処理される。その結果得られる酸化アルミニウムの層質量は好ましくは1.5〜5g/m、特に好ましくは2〜4g/mである。
金属基材に、さらに、例えばアルカリ金属ケイ酸塩、フッ化カルシウムジルコニウム、ヘキサフルオロケイ酸、リン酸塩/フッ化物、ポリビニルホスホン酸、ビニルホスホン酸コポリマーまたはホスホン酸の水溶液による後処理(いわゆる「シーリング」)を施すことができ、これにより基材の表面上に親水性化層(「中間層」とも呼ばれる)が提供される。基材を、無機フッ化物をさらに含んでもよいホスフェート溶液により処理してもよい。
画像形成性要素の取り扱いおよび「触感」を改善するために、基材の裏側(非画像形成側)に帯電防止剤および/またはスリップ層もしくは艶消し層をコーティングしてもよい。
上記の基材の処理についての詳細は当業者によく知られている。
ネガ型輻射線感受性要素
ネガ型コーティングは多くの文献に記載されており、例えば、ネガ型ジアゾ樹脂に基づくUV感受性コーティングが欧州特許第0 752 430 B1号明細書に記載されており、405nmに対して感受性のフォトポリマー層がドイツ国特許第103 07 451号明細書に記載されており、VIS(可視光)に対して感受性のフォトポリマー層が欧州特許第0 684 522 B1号明細書に記載されており、IR感受性の重合可能な系がドイツ国特許第199 06 823 A1号明細書に記載されている。
光重合(紫外線(UV)/可視(VIS)および赤外(IR))
基材上に適用されたネガ型コーティングの1つのタイプは、(a)波長250〜1,200nmの輻射線を吸収してフリーラジカル重合を開始することができる光開始剤および増感剤/共開始剤系から選ばれた少なくとも1種の吸収剤成分、(b)フリーラジカル重合性モノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマー、並びに、任意選択的に、(c)少なくとも1種の高分子バインダーを含む。
吸収剤成分
輻射線感受性コーティングは、さらに、光開始剤および増感剤/共開始剤系から選ばれた少なくとも1種の吸収剤成分を含む。
この吸収剤成分は、後で画像形成中に使用される輻射線源が発する範囲において有意な吸収を行うことができるように選ばれ、好ましくは、吸収剤は、その範囲内で吸収極大を示す。そのため、輻射線感受性要素がIRレーザーによって画像形成される場合には、吸収剤は、基本的に、約750〜1,200nmの範囲内の輻射線を吸収するのがよく、好ましくは、その範囲において吸収極大を示す。一方、画像形成がUV/可視光によって行われる場合、吸収剤は、基本的に、約250〜750nmの輻射線を吸収するのがよく、好ましくは、その範囲において吸収極大を示す。好適な光開始剤および/または増感剤が当業者に知られており、有意な吸収が望ましい波長範囲内で起こるかどうかを単純な試験(例えば吸収スペクトルの記録)により容易に求めることができる。
本発明において、光開始剤は、露光されると輻射線を吸収することができ、そしてそれ自体が、すなわち共開始剤の添加無しに、フリーラジカルを形成することができる化合物である。UVまたは可視光を吸収する好適な光開始剤の例としては、1〜3つのCX基を有するトリアジン誘導体(全てのXが独立に塩素または臭素原子から選ばれ、好ましくは塩素原子である)、ヘキサアリールビスイミダゾール化合物、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、オキシムエーテル、オキシムエステル、α−ヒドロキシ−またはα−アミノ−アセトフェノン、アシルホスフィン、アシルホスフィンオキシド、アシルホスフィンスルフィド、メタロセン、過酸化物などが挙げられる。好適なトリアジン誘導体の例としては、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンおよび2−[4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが挙げられる。好適なオキシムエーテルおよびオキシムエステルは、例えばベンゾインから誘導されたものである。好ましいメタロセンは、例えば2つの5員シクロジエニル基、例えばシクロペンタジエニル基と、少なくとも1つのオルト−フッ素原子および任意選択的に1つのピリル基をも有する1つまたは2つの6員芳香族基とを含むチタノセンであり、最も好ましいメタロセンは、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス−[2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニル]チタニウムおよびジシクロペンタジエン−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニル−チタニウムまたはジルコニウムである。
本発明において、1種の光開始剤、あるいは2種または3種以上の光開始剤の混合物を使用することができる。
光開始剤は、単独で、または1種または2種以上の共開始剤との組み合わせで使用することができ、共開始剤が添加されると、光開始の効果を増大させることができる。
光開始剤の量は特に制限されないが、光開始剤が存在する場合、光開始剤の量は、乾燥層質量を基準として、好ましくは0.2〜25質量%、特に好ましくは0.5〜15質量%である。
本発明において言及する増感剤は、露光されると輻射線を吸収することができるが、それ自体では、すなわち共開始剤の添加無しでは、フリーラジカルを形成することはできない化合物である。
光酸化可能または光還元可能であるか、あるいは、それらの励起エネルギーを受容体分子に移すことができる全ての光吸収性化合物が、本発明における使用に適した増感剤である。このような染料の例としては、シアニン染料、メロシアニン染料、オキソノール染料、ジアリールメタン染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、クマリン誘導体、ケトクマリン染料、アクリジン染料、フェナジン染料、キノキサリン染料、ピリリウム染料またはチアピリリウム染料、アザアヌレン染料(例えばフタロシアニンおよびポルフィリン)、インディゴ染料、アントラキノン染料、ポリアリーレン、ポリアリールポリエン、2,5−ジフェニルイソベンゾフラン、2,5−ジアリールフラン、2,5−ジアリールチオフラン、2,5−ジアリールピロール、2,5−ジアリールシクロペンタジエン、ポリアリールフェニレン、ポリアリール−2−ピラゾリン、カルボニル化合物、例えば芳香族ケトンまたはキノン、例えばベンゾフェノン誘導体、ミヒラーケトン、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、およびフルオレノン誘導体が挙げられる。
国際公開第2004/049068 A1号に開示されているような式(I)のクマリン増感剤が、例えば、電磁スペクトルのUV範囲に好適である。
Figure 2012510391
さらに、国際公開第2004/074929 A2号に開示されているような式(II):
Figure 2012510391
のビスオキサゾール誘導体および類似体がUV範囲に対して適し、国際公開第2004/074930 A2号により詳細に記載されているような式(III):
Figure 2012510391
のオキサゾール化合物も適する。
国際公開第2004/111731 A1号に記載されているような式(IV)の1,4−ジヒドロピリジン化合物は、UV範囲に適する別の部類の増感剤の例である。
Figure 2012510391
国際公開第2006/053689号に開示されている式(V)、(VI)の増感剤、ドイツ国特許第10 2004 022 137 B3号明細書に開示されている式(VII)の増感剤、および国際公開第2007/090550号に開示されている式(VIII)の増感剤も、UV感受性要素に適する。これらの増感剤は、30μm(およびより低い)FMスクリーニング(FM=周波数変調)によって画像形成される版に特に適する。
Figure 2012510391
Figure 2012510391
輻射線感受性要素が可視光レーザーダイオードで露光される場合、国際公開第03/069411 A1号に記載されたシアノピリドン誘導体が、例えば増感剤として適する。
IR感受性要素の場合、増感剤は、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン顔料/染料、およびポリチオフェン、スクアリリウム、チアゾリウム、クロコネート、メロシアニン、シアニン、インドリジン、ピリリウムまたは金属ジチオリンの部類の顔料/染料から、特に好ましくはシアニンの部類から選ばれる。例えば米国特許第6,326,122号明細書の表1において述べられた化合物が、好適なIR吸収剤である。更なる例は、米国特許第4,327,169号明細書、米国特許第4,756,993号明細書および米国特許第5,156,938号明細書、国際公開第00/29214号、米国特許第6,410,207号明細書、および欧州特許出願公開第1 176 007号明細書に見いだすことができる。
一実施態様によれば、式(IX):
Figure 2012510391
のシアニン染料が使用される。ここで、式中、各Zは独立に、S、O、NRまたはC(アルキル)を表し;
各R’は独立に、アルキル基、アルキルスルホネート基またはアルキルアンモニウム基を表し;
R''はハロゲン原子、SR、OR、SOまたはNR を表し;
各R'''は独立に、水素原子、アルキル基、−COOR、OR、−SR、−NR 、またはハロゲン原子を表し;R'''はベンゾ縮合環であってもよく;
はアニオンを表し;
およびRは両方とも水素原子を表すか、あるいはこれらが結合している炭素原子と一緒に炭素環式5員または6員環を形成しており;
は、水素原子、アルキルまたはアリール基を表し;
各bは独立に、0、1、2または3である。
R’がアルキルスルホネート基を表す場合、アニオンAが必要でないように内部塩を形成することができる。R’がアルキルアンモニウム基を表す場合、Aと同じまたはAとは異なる第2の対イオンが必要である。
式(IX)のIR染料のうち、対称的な構造を有する染料が特に好ましい。特に好ましい染料の例としては:
2−[2−[2−フェニルスルホニル−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)−エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウムクロリド、
2−[2−[2−チオフェニル−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)−エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウムクロリド、
2−[2−[2−チオフェニル−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)−エチリデン]−1−シクロペンテン−1−イル]−エテニル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウムトシレート、
2−[2−[2−クロロ−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−ベンゾ[e]−インドール−2−イリデン)−エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−1,3,3−トリメチル−1H−ベンゾ[e]−インドリウムトシレート、および
2−[2−[2−クロロ−3−[2−エチル−(3H−ベンズチアゾール−2−イリデン)−エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−3−エチル−ベンズチアゾリウムトシレート
が挙げられる。
下記化合物も、本発明に好適のIR吸収剤である:
Figure 2012510391
Figure 2012510391
Figure 2012510391
Figure 2012510391
Figure 2012510391
Figure 2012510391
Figure 2012510391
本発明において、1種の増感剤、あるいは2種または3種以上の増感剤の混合物を使用することができる。
増感剤は1種または2種以上の共開始剤と組み合わせて使用される。さらに、光開始剤を使用することができるが、これは好ましくない。
増感剤の量は特に制限されないが、増感剤が存在する場合には、増感剤の量は、乾燥層質量を基準として、好ましくは0.2〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%である。光開始剤および増感剤の両方がコーティング中に存在する場合には、これらの総量は、乾燥層質量を基準として、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜15質量%である。
本発明において言及する共開始剤は、露光されたときに実質的に吸収することができないが、しかし、本発明において使用される輻射線吸収性増感剤と一緒にフリーラジカルを形成する化合物である。共開始剤は、例えば、オニウム化合物、例えば、オニウムカチオンがヨードニウム(例えばトリアリールヨードニウム塩)、スルホニウム(例えばトリアリールスルホニウム塩)、ホスホニウム、オキシルスルホキソニウム、オキシスルホニウム、スルホキソニウム、アンモニウム、ジアゾニウム、セレノニウム、アルセノニウム、およびN−置換N−複素環式オニウムカチオン(Nは、任意選択的に置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールで置換されている)から選ばれたもの;N−アリールグリシンおよびそれらの誘導体(例えばN−フェニルグリシン);芳香族スルホニルハロゲン化物;トリハロメチルアリールスルホン;イミド、例えばN−ベンゾイルオキシフタルイミド;ジアゾスルホネート;9,10−ジヒドロアントラセン誘導体;少なくとも2つのカルボキシ基を有し、それらのカルボキシ基のうちの少なくとも1つがアリール単位の窒素、酸素または硫黄原子に結合されているN−アリール、S−アリールまたはO−アリールポリカルボン酸(例えばアニリン二酢酸およびその誘導体、および米国特許第5,629,354号明細書に記載された他の共開始剤):ヘキサアリールビイミダゾール;チオール化合物(例えばメルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾイミダゾールおよびメルカプトトリアゾール);1〜3つのCX基を有する1,3,5−トリアジン誘導体(全てのXが塩素または臭素原子から独立に選ばれ、好ましくは塩素原子である)、例えば2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンおよび2−[4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン;オキシムエーテルおよびオキシムエステル、例えばベンゾインから誘導されたもの;メタロセン(好ましくはチタノセン、特に好ましくは、2つの5員シクロジエニル基、例えばシクロペンタジエニル基と、少なくとも1つのオルトフッ素原子および任意選択的にピリル基をも有する1つまたは2つの6員芳香族基とを含むチタノセン、例えばビス(シクロペンタジエニル)−ビス−[2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニル]チタニウムおよびジシクロペンタジエン−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニル−チタニウムまたはジルコニウム);アシルホスフィンオキシド、ジアシルホスフィンオキシドおよびジアシルホスフィンペルオキシド(例えば有機過酸化物のタイプのアクチベータとして欧州特許出願公開第1 035 435号明細書に列挙されたもの)、α−ヒドロキシまたはα−アミノアセトフェノン、アシルホスフィン、アシルホスフィンスルフィド、カルボニル化合物、例えば芳香族ケトンまたはキノン、例えばベンゾフェノン誘導体、ミヒラーケトン、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、並びにフルオレノン誘導体から選ばれる。
好適な2,2’,4,4’,5,5’−ヘキサアリールビイミダゾール(以下、単にヘキサアリールビイミダゾールと呼ぶ)は、下記式(X)によって表される:
Figure 2012510391
上記式中、A〜Aは、互いに同じまたは異なる置換または非置換C−C20アリール基であり、当該基の環内において、1つまたは2つ以上の炭素原子は、任意選択的に、O、NおよびSから選ばれたヘテロ原子によって置換されていてもよい。アリール基に対する好適な置換基は、トリアリールイミダゾリルラジカルへの光誘起解離を妨げない置換基、例えばハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、−CN、C−Cアルキル(任意選択的に、ハロゲン原子、−CNおよび−OHから選ばれた1つまたは2つ以上の置換基を有してもよい)、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、(C−Cアルキル)スルホニルである。
好ましいアリール基は、置換および非置換フェニル、ビフェニル、ナフチル、ピリジル、フリルおよびチエニル基である。特に好ましいのは、置換および非置換フェニル基であり、特に好ましいのは、ハロゲン置換フェニル基である。
例としては:
2,2’−ビス(ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−カルボキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(2,4−ジメトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−エトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(m−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ヘキソキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ヘキシルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス[m−(ベータフェノキシ−エトキシフェニル)]ビイミダゾール、
2,2’−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−メトキシフェニル)−4,4’−ビス(o−メトキシフェニル)−5,5’−ジフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−フェニルスルホニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(p−スルファモイルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(2,4,5−トリメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ジ−4−ビフェニリル−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ジ−1−ナフチル−4,4’,5,5’−テトラキス(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ジ−9−フェナントリル−4,4’,5,5’−テトラキス(p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ジフェニル−4,4’,5,5’−テトラ−4−ビフェニリルビイミダゾール、
2,2’−ジフェニル−4,4’,5,5’−テトラ−2,4−キシリルビイミダゾール、
2,2’−ジ−3−ピリジル−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ジ−3−チエニル−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ジ−o−トリル−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ジ−p−トリル−4,4’−ジ−o−トリル−5,5’−ジフェニルビイミダゾール、
2,2’−ジ−2,4−キシリル−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’,4,4’,5,5’−ヘキサキス(p−フェニルチオフェニル)ビイミダゾール、
2,2’,4,4’,5,5’−ヘキサ−1−ナフチルビイミダゾール、
2,2’,4,4’,5,5’−ヘキサフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(2−ニトロ−5−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、および
2,2’−ビス(2−クロロ−5−スルホフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
が挙げられ、特に好ましいのは、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−フルオロフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−ヨードフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロナフチル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−クロロ−p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジブロモフェニル)ビイミダゾール、
2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、または
2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール
であるが、本発明は、これらの化合物に制限されるものではない。
好適なヘキサアリールビイミダゾールは、周知の方法(例えば米国特許第3,445,232号明細書参照)に従って調製することができる。好ましいプロセスは、アルカリ溶液中での、対応するトリアリールイミダゾールの、鉄−(III)−ヘキサシアノフェラート(II)による酸化的二量化である。
ヘキサアリールビイミダゾール異性体(または異性体の混合物)を使用する(例えば1,2’−、1,1’−、1,4’−、2,2’−、2,4’−、および4,4’−異性体)ことは、これが光解離性であり、且つそのプロセスにおいてトリアリールイミダゾリル・フリーラジカルを提供する限り、本発明の目的には支障ない。
共開始剤として適するトリハロゲンメチル化合物は、フリーラジカルを形成することができる。トリハロゲンメチル置換トリアジンおよびトリハロゲンメチル−アリールスルホンが好ましい。下記のものを例として挙げることができる(本発明はこれらの化合物に限定されない):
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2,4,6−トリス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2,4,6−トリス−(トリブロモメチル)−s−トリアジン、および
トリブロモメチルフェニルスルホン。
別のタイプの有用な共開始剤(特に、ネガ型IR感受性前駆体に有用)は下記構造(XI)
Figure 2012510391
により表されるジアリールヨードニウムボレート化合物である。
ここで、XおよびYは、独立に、ハロ基(例えばフルオロ、クロロまたはブロモ)、置換または非置換の炭素原子数1〜20のアルキル基(例えばメチル、クロロメチル、エチル、2−メトキシエチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、t−ブチル、全ての分岐および線状ペンチル基、1−エチルペンチル、4−メチルペンチル、全てのヘキシル異性体、全てのオクチル異性体、ベンジル、4−メトキシベンジル、p−メチルベンジル、全てのドデシル異性体、全てのイコシル異性体、および置換または非置換モノおよびポリ分岐および線状ハロアルキル)、置換または非置換の炭素原子数1〜20のアルキルオキシ(例えば置換または非置換のメトキシ、エトキシ、iso−プロポキシ、t−ブトキシ、(2−ヒドロキシテトラデシル)オキシ、および種々の他の線状および分岐アルキレンオキシアルコキシ基)、炭素環式芳香環中に6または10個の炭素原子を有する置換または非置換アリール基(例えばモノおよびポリハロフェニルおよびナフチル基などの置換または非置換フェニルおよびナフチル基)、または環構造中に3〜8個の炭素原子を有する置換または非置換シクロアルキル基(例えば置換または非置換のシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシルおよびシクロオクチル基)である。例えば、XおよびYは独立に、置換または非置換の炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキルオキシ基、または環内に5または6個の炭素原子を有する置換または非置換シクロアルキル基であり、より好ましくは、XおよびYは、独立に、置換または非置換の炭素原子数3〜6のアルキル基(特に炭素原子数3〜6の分岐アルキル基)である。このように、XおよびYは同じかまたは異なる基であることが可能であり、種々のX基は同じかまたは異なる基であることが可能であり、種々のY基は同じかまたは異なる基であることが可能である。「対称的」なホウ酸ジアリールヨードニウム化合物および「非対称的」なホウ酸ジアリールヨードニウム化合物の両方が考えられるが、「対称的」な化合物が好ましい(すなわち、これらは両フェニル環上に同じ基を有する)。
さらに、2つまたは3つ以上の隣接するXまたはY基が結合していて、各フェニル環とともに縮合炭素環式または複素環式環を形成していてもよい。
XおよびY基は、フェニル環上の任意の位置に位置していてもよいが、好ましくは、これらの基は一方または両方のフェニル環上で2−または4−位に位置し、より好ましくは4−位に位置する。
どのようなタイプのXおよびY基がヨードニウムカチオン中に存在するかとは無関係に、XおよびY置換基中の炭素原子数の和は約6以上であり、好ましくは8以上であり、そして約40以下である。従って、化合物によっては、1または2個以上のX基が約6個以上の炭素原子を含むことができ、そしてYは存在しない(qは0である)。あるいは、1または2個以上のY基が約6個以上の炭素原子を含むこともでき、そしてXは存在しない(pは0である)。さらに、XおよびY双方における炭素原子数の和が約6以上である限り、1または2個以上のX基が6個未満の炭素原子を含むことができ、1または2個以上のY基が6個未満の炭素原子を含むことができる。この場合にも、両フェニル環上に全部で少なくとも6個の炭素原子が存在することができる。
構造(XI)において、pおよびqは独立に0または1〜5の整数であるが、pまたはqが約1以上であることを条件とする。例えば、pおよびqの両方が1であることができる。このように、XまたはY基によって置換されていないフェニル環中の炭素原子は、それらの環位置で水素原子を有することが明らかである。
は、下記構造(XIa):
Figure 2012510391
により表される有機ホウ酸アニオンである。
ここで、R、R、RおよびRは、独立に、フルオロアルキル基以外の、置換または非置換の炭素原子数1〜12のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、全てのペンチル異性体、2−メチルペンチル、全てのヘキシル異性体、2−エチルヘキシル、全てのオクチル異性体、2,4,4−トリメチルペンチル、全てのノニル異性体、全てのデシル異性体、全てのウンデシル異性体、全てのドデシル異性体、メトキシメチル、およびベンジル)、芳香環中に6〜10個の炭素原子を有する置換または非置換炭素環式アリール基(例えばフェニル、p−メチルフェニル、2,4−メトキシフェニル、ナフチルおよびペンタフルオロフェニル基)、置換または非置換の炭素原子数2〜12のアルケニル基(例えばエテニル、2−メチルエテニル、アリル、ビニルベンジル、アクリロイルおよびクロトノチル基)、置換または非置換の炭素原子数2〜12のアルキニル基(例えばエチニル、2−メチルエチニルおよび2,3−プロピニル基)、環構造体中に3〜8個の炭素原子を有する置換または非置換シクロアルキル基(例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシルおよびシクロオクチル基)、または5〜10個の炭素、酸素、硫黄および窒素原子を有する置換または非置換ヘテロシクリル基(芳香族基および非芳香族基の両方を包含、例えば置換または非置換のピリジル、ピリミジル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾイリル、インドリル、キノリニル、オキサジアゾリルおよびベンゾオキサゾリル基)である。または、R、R、RおよびRのうちの2または3つ以上が結合して、ホウ素原子を有する複素環を形成していてもよく、このような環は炭素、窒素、酸素および窒素原子を最大7個有する。
例えば、R、R、RおよびRは、独立に、上で定義した置換または非置換アルキルまたはアリール基であり、より典型的には、R、R、RおよびRのうちの少なくとも3つが、同じかまたは異なる置換または非置換アリール基(例えば置換または非置換フェニル基)である。実施態様によっては、R、R、RおよびRの全てが、同じかまたは異なる置換または非置換アリール基であるか、あるいは、これらの基の全てが同じ置換または非置換フェニル基である。例えば、Zは、フェニル基が置換されているか置換されていない(例えば、全てが非置換フェニル基である)テトラフェニルボレートであることができる。
代表的な有用なホウ酸ヨードニウム化合物として、4−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフェニルボレート、[4−[(2−ヒドロキシテトラデシル)−オキシ]フェニル]フェニルヨードニウムテトラフェニルボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフェニルボレート、4−メチルフェニル−4’−へキシルフェニルヨードニウムテトラフェニルボレート、4−メチルフェニル−4’−シクロヘキシルフェニルヨードニウムテトラフェニルボレート、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヘキシルフェニル−フェニルヨードニウム−テトラフェニルボレート、4−メチルフェニル−4’−シクロヘキシルフェニルヨードニウムn−ブチルトリフェニルボレート、4−シクロヘキシルフェニル−フェニルヨードニウムテトラフェニルボレート、2−メチル−4−t−ブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラフェニルボレート、4−メチルフェニル−4’−ペンチルフェニルヨードニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、4−メトキシフェニル−4’−シクロヘキシルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4’−ドデシルフェニルヨードニウムテトラキス(4−フルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およびビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(1−イミダゾリル)ボレートが挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物のうちの2種または3種の混合物を使用することもできる。有用な化合物としては、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフェニルボレート、4−メチルフェニル−4’−ヘキシルフェニルヨードニウムテトラフェニルボレート、2−メチル−4−t−ブチル−フェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラフェニルボレート、および4−メチルフェニル−4’−シクロヘキシルフェニルヨードニウムテトラフェニルボレートが挙げられる。これらの化合物のうちの2種または3種以上の混合物も使用できる。
多くの共開始剤が、吸収帯内で露光されたときに光開始剤として機能することもできる。このように、光開始剤または増感剤は長波長スペクトル範囲(IRおよび/または可視範囲)を対象とし、そして共開始剤は短波長スペクトル範囲(例えばUV範囲)を対象とするので、例えば幅広いスペクトル範囲にわたって感光性である感光性層を得ることができる。この効果は、消費者が種々異なる輻射線源で同じ材料を照射することを望む場合には、有利であり得る。この場合、共開始剤は、IRまたは可視範囲に対しては、上記定義の意味における実際の共開始剤として機能する一方、UV範囲に対しては光開始剤として機能する。
本発明において、1種の共開始剤、または共開始剤の混合物を使用することができる。
共開始剤の量は特に制限されないが、乾燥層質量を基準として、好ましくは0.2〜25質量%、特に好ましくは0.5〜15質量%の範囲内である。
IR感受性コーティングに対して好適な増感剤および共開始剤の更なる例は、国際公開第2004/041544号、国際公開第2000/48836号、およびドイツ国特許第10 2004 003143号にも記載されている。
フリーラジカル重合性成分
少なくとも1つのC−C二重結合を含む全てのモノマー、オリゴマーおよびポリマーをラジカル重合性モノマー、オリゴマーおよびポリマーとして使用することができる。C−C三重結合を有するモノマー/オリゴマー/ポリマーも使用できるが、これらは好ましくない。当業者には好適な化合物がよく知られており、これらを本発明において、いかなる特別な制限なしに使用できる。モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーの形態にある、1つまたは2つ以上の不飽和基を有するアクリル酸およびメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸およびフマル酸のエステルが好ましい。これらは固体または液体の形態で存在し、固体および高粘性形態が好ましい。モノマーとして適する化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレートおよびトリメタクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタアクリレートおよびペンタメタクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートおよびヘキサメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレートおよびテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートおよびテトラメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレートおよびジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートおよびジメタクリレート、またはテトラエチレングリコールジアクリレートおよびジメタクリレートが挙げられる。好適なオリゴマーおよび/またはプレポリマーは、例えばウレタンアクリレートおよびメタクリレート、エポキシドアクリレートおよびメタクリレート、ポリエステルアクリレートおよびメタクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびメタクリレート、または不飽和ポリエステル樹脂である。
モノマーおよび/またはオリゴマーに加えて、主鎖または側鎖中にラジカル重合性C−C二重結合を含むポリマーを使用することもできる。その例としては、無水マレイン酸オレフィンコポリマーとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応生成物(例えばドイツ国特許第4 311 738号明細書参照);アリルアルコールで部分的にまたは完全にエステル化された(メタ)アクリル酸ポリマー(例えばドイツ国出願公開第3 332 640号明細書参照);高分子ポリアルコールとイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートとの反応生成物;不飽和ポリエステル;(メタ)アクリレート末端ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド;フリーラジカル重合性基を含むエポキシドで部分的または完全にエステル化された(メタ)アクリル酸ポリマー;および、例えば、アリル(メタ)アクリレートの重合(任意選択的に更なるコモノマーと)により得ることができるアリル側鎖を有するポリマーが挙げられる。
本発明において使用することができるフリーラジカル重合性化合物としては、分子量3,000以下であり、ジイソシアネートを、(i)1つのヒドロキシ基を有するエチレン系不飽和化合物と、そして同時に(ii)1つのNH基および1つのOH基を有する飽和有機化合物と反応させることにより得られる反応生成物である化合物が挙げられる。反応物質は下記条件:
イソシアネート基のモル数≦OH基プラスNH基のモル数
に基づく量で使用される。
さらなる好適なC−C不飽和ラジカル重合性化合物は、欧州特許出願公開第1 176 007 A2号明細書に記載されている。
異なる種類のモノマー、オリゴマーまたはポリマーを混合物で使用することがもちろん可能であり、さらに、モノマーおよびオリゴマーおよび/またはポリマーの混合物、並びにオリゴマーとポリマーとの混合物を、本発明において使用することもできる。
ラジカル重合性成分は好ましくは、乾燥層質量を基準として、5〜95質量%、特に好ましくは10〜85質量%の量で使用される。
バインダー
好適なバインダーは、水性アルカリ性現像液中に可溶性または分散性のポリマー/コポリマー、例えばノボラックおよびレゾールなどのフェノール樹脂、並びに(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミドおよび(メタ)アクリルアミドなどのコポリマーである(ドイツ国特許第199 36 331号明細書参照)。
さらなる好適なバインダーは「反応性バインダー」、すなわち、フリーラジカル重合性基を含む側鎖を有するポリマーバインダーである。例えば、反応性側基は、アクリル、メタクリル、スチリル、アリル、およびこれらのうちの2種または3種以上のものの混合物から選ばれる。ポリマー主鎖は限定されることはなく、例えば、アクリル主鎖、メタクリル主鎖、アセタール主鎖、ウレタン主鎖およびスチレン主鎖から選ばれ、前述のコポリマーも可能である。好適な反応性バインダーが、多くの特許出願、例えば国際公開第2004/014652号、国際公開第89/06659号、ドイツ国特許出願公開第29 03 270号明細書、国際公開第95/12147号、欧州特許第410 242号明細書、および米国特許第4,035,321号明細書に開示されている。
バインダーの総量は、乾燥層質量を基準として、好ましくは5〜95質量%、特に好ましくは10〜85質量%である。
ネガ型ジアゾ系(UV感受性)
基材上に適用される別のタイプのネガ型UV感光性コーティングは、ジアゾニウム重縮合生成物を含む。
当業者に知られたジアゾニウム重縮合生成物をジアゾニウム重縮合生成物として使用することができる。かかる縮合生成物は、例えば、欧州特許出願公開第0 104 863号明細書に記載されたジアゾモノマーを、縮合剤、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒドまたはベンズアルデヒドと縮合することにより、公知の方法に従って調製することができる。さらに、ジアゾニウム塩単位に加えて、感光性ではなくしかも縮合性化合物、特に芳香族アミン、フェノール類、フェノールエーテル、芳香族チオールエーテル、芳香族炭化水素、芳香族複素環式化合物および有機酸アミドから誘導された他の単位をも含む共重縮合生成物が使用される。ジアゾニウム重縮合生成物の特に都合の良い例としては、ジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩(任意選択的に、ジアゾ基を有しているフェニル基にメトキシ基を含んでいてもよい)と、ホルムアルデヒドまたは4,4’−ビスメトキシメチルジフェニルエーテルとの反応生成物が挙げられる。芳香族スルホネート、例えば4−トリルスルホネートまたはメシチレンスルホネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、およびヘキサフルオロアルセネートが、これらのジアゾ樹脂のアニオンとして特に適する。ジアゾニウム重縮合生成物は、好ましくは、感光性組成物中に3〜60質量%の量で存在する。
ネガ型輻射線感受性コーティング中に、ジアゾニウム重縮合生成物と上記UV感光性のフリーラジカル重合可能な系とのハイブリッド系を使用することもできる。
このような系に好適なバインダーは、水性アルカリ性現像液中に可溶性または分散性のポリマー/コポリマー、例えばノボラックおよびレゾールなどのフェノール樹脂、並びに(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミドおよび(メタ)アクリルアミドのコポリマーである(ドイツ国特許第199 36 331号明細書参照)。バインダーの総量は、乾燥層質量を基準として、好ましくは5〜95質量%、特に好ましくは10〜85質量%である。
単層ネガ型IR感受性要素
別のタイプのネガ型単層IR感受性要素は、基材上の輻射線感受性層が、IR線への暴露によって水性アルカリ現像液中に不溶性になるかまたは水性アルカリ性現像液が浸透できないものとなり、
(i)加熱により酸を形成する少なくとも1種の化合物(以下、「潜伏性ブレンステッド酸」とも呼ぶ)、および
(ii)酸により架橋可能な成分(以下、「架橋剤」とも呼ぶ)またはそれらの混合物、並びに
(iii)少なくとも1種のIR吸収剤、
を含む要素である。
この原理に基づく系は、例えば欧州特許第0 625 728号明細書および欧州特許第0 938 413号明細書に記載されている。
IR範囲(750nm超〜1,200nm)からの輻射線を吸収する全ての上記増感剤をIR吸収剤として使用することもできる。
イオン性および非イオン性ブレンステッド酸を、潜伏性ブレンステッド酸として使用することができる。イオン性潜伏性ブレンステッド酸の例としては、オニウム塩、特にヨードニウム、スルホニウム、オキシスルホキソニウム、オキシスルホニウム、ホスホニウム、セレノニウム、テルロニウム、ジアゾニウムおよびアルソニウム塩が挙げられる。具体例は、ジフェニルヨードニウム−ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム−ヘキサフルオロアンチモネート、フェニルメチル−オルト−シアノベンジルスルホニウム−トリ−フルオロメタンスルホネートおよび2−メトキシ−4−アミノフェニル−ジアゾニウム−ヘキサフルオロホスフェートである。
非イオン性潜伏性ブレンステッド酸の例としては、RCHX、RCHX、RCX、R(CHX)、およびR(CHX)が挙げられ、ここで、Xは、Cl、Br、FまたはCFSOを表し、Rは芳香族基、脂肪族基、または芳香族脂肪族基である。
式:
Figure 2012510391
により表されるイオン性潜伏性ブレンステッド酸も好適である。Xがヨウ素を表す場合には、R1cおよびR1dは遊離電子対であり、R1aおよびR1bはアリール基または置換アリール基であり、
XがSまたはSeを表す場合には、R1dは遊離電子対であり、R1a、R1bおよびR1cは、アリール基、置換アリール基、脂肪族基または置換型脂肪族基から独立に選ばれ、
XがPまたはAsを表す場合には、R1dはアリール基、置換アリール基、脂肪族基または置換脂肪族基であることが可能であり、
Wは、BF 、CFSO 、SbF 、CClCO 、ClO 、AsF またはPF から選ばれる。
−C−アルキルスルホネート、アリールスルホネート(例えばベンゾイントシレート、2−ヒドロキシメチルベンゾイントシレートおよび2,6−ジニトロベンジルトシレート)およびN−C−C−アルキル−スルホニルスルホンアミド(例えばN−メタンスルホニル−p−トルエン−スルホンアミドおよびN−メタンスルホニル−2,4−ジメチルベンゼン−スルホンアミド)も好適である。
具体的な好適なオニウム化合物は、例えば米国特許第5,965,319号明細書において、式(I)〜(III)として詳細に挙げられている。
潜伏性ブレンステッド酸は好ましくは、乾燥層質量を基準として、0.5〜50質量%、特に好ましくは3〜20質量%の量で使用される。
架橋剤は、例えば、レゾール、C−C−アルコキシメチルメラミン、C−C−アルコキシメチル−グリコルリル樹脂、ポリ(C−C−アルコキシ−メチル−スチレン)、およびポリ(C−C−アルコキシメチルアクリルアミド)、エポキシ化ノボラック樹脂、および尿素樹脂から選ばれた樹脂であることが可能である。特に、芳香族環に結合した、ヒドロキシメチル、アルコキシメチル、エポキシおよびビニルエーテル基から選ばれた少なくとも2つの基を分子内に含む化合物を架橋剤として使用することができ、これらのうち、米国特許第5,965,319号明細書の第31〜37欄に挙げられているように、ベンゼン環に結合された、ヒドロキシメチルおよびアルコキシメチル基から選ばれた少なくとも2つの基を有し、ベンゼン環数が3〜5であり、分子量1,200以下であるフェノール誘導体が好ましい。
架橋剤は好ましくは、乾燥層質量を基準として、5〜90質量%、特に好ましくは10〜60質量%の量で使用される。
このタイプの輻射線感受性層は、例えばアルカリ可溶性または分散性(コ)ポリマー、例えばノボラック、アセトンピロガロール樹脂、ポリヒドロキシスチレン、および米国特許第5,965,319号明細書に成分(C)として挙げられているようなヒドロキシスチレン−N−置換型マレイミド−コポリマー、米国特許第5,919,601号明細書にバインダー樹脂として記載されているようなポリマー、およびドイツ国特許第199 36 331に記載されているようなコポリマーから選ばれたバインダーを含有することができる。
好ましくは、バインダーは、乾燥層質量を基準として、5〜95質量%、特に好ましくは5〜60質量%の量で存在する。
原理的には、例えば米国特許第5,919,601号明細書および国際公開第00/17711号に記載されているような、公知の、単層構造を有するIR感受性要素を、本発明に従って処理することができる。
ポジ型輻射線感受性要素
UV感受性
ポジ型UV要素は、例えば、米国特許第4,594,306号明細書に記載されているように、キノンジアジド(好ましくは、ナフトキノンジアジド)およびノボラックに基づくものであることができる。
このようなコーティングに好適なバインダーは、例えば、水性アルカリ性現像液中に可溶性または分散性のポリマー/コポリマー、例えばノボラックおよびレゾールなどのフェノール樹脂、並びに(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミドおよび(メタ)アクリルアミドのコポリマーである(ドイツ国特許第199 36 331号明細書参照)。バインダーの総量は、乾燥層質量を基準として、好ましくは5〜95質量%、特に好ましくは10〜85質量%である。
IR感受性
ポジ型IR感受性要素の多くの例があり、これらは2つの群、すなわちたった1つの層を構成している輻射線感受性コーティングを有する要素と、少なくとも2つの層を含む輻射線感受性コーティングを有する要素に分類することができる。
単層版
通常、単層ポジ型IR感受性要素は、
(a)任意選択的に前処理された基材、
(b)ポジ型感熱性層であって、
(i)水性アルカリ性現像液中に可溶性の少なくとも1種のポリマー、例えばノボラック樹脂など、
(ii)現像液可溶性ポリマー(例えばノボラック)の水性アルカリ現像液溶解度を低減(前記溶解度低減は加熱されると逆転される)する少なくとも1種の成分(「不溶化剤」)、および
(iii)任意選択的にIR吸収剤(すなわち、IR線を吸収し、それを熱に変換する化合物)
を含むポジ型感熱性層、
を含み、上記成分(i)および(ii)は別個の物質として存在する必要はなく、相応に官能化されたノボラックの形態で使用することができる。不溶化剤としても作用するIR吸収剤を使用することも可能である。このような単層IR感受性ポジ型要素は、例えば欧州特許第825 927号明細書に記載されている。
水性アルカリ性現像液中に可溶性のポリマーとしては、ヒドロキシル、カルボン酸、アミノ、アミドおよびマレイミド基を有するポリマーを例えば使用することができる。特に、これらの化合物としては、フェノール樹脂、4−ヒドロキシスチレンと3−メチル−4−ヒドロキシスチレンまたは4−メトキシスチレンとのコポリマー、(メタ)アクリル酸とスチレンとのコポリマー、マレイミドとスチレンとのコポリマー、ヒドロキシまたはカルボキシ官能化セルロース、無水マレイン酸とスチレンとのコポリマー、および無水マレイン酸の部分加水分解ポリマーが挙げられる。フェノール酸、特にノボラックが、特に好ましい。
好適なノボラック樹脂は、フェノール類、例えばフェノール自体、C−アルキル置換フェノール(クレゾール、キシレノール、p−tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノールおよびノニルフェノールなど)、およびジフェノール(例えばビスフェノールA)と、好適なアルデヒド類、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドおよびフルフルアルデヒドとの縮合生成物である。触媒のタイプおよび反応物質のモル比は、分子構造、ひいては樹脂の物理的特性を決定する。「ノボラック」として知られ、そして熱可塑特性を有するフェノール樹脂を生成するために、約0.5:1〜1:1、好ましくは0.5:1〜0.8:1のアルデヒド/フェノール比、および酸触媒が使用される。しかしながら、本出願において使用される「ノボラック樹脂」という用語は、より高いアルデヒド/フェノール比で、またアルカリ触媒の存在において得られる「レゾール」として知られるフェノール樹脂も含むものとする。
乾燥層質量を基準として、ノボラック樹脂は好ましくは、少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも50質量%、さらにより好ましくは少なくとも70質量%、および特に好ましくは少なくとも80質量%の量で存在する。通常、この量は95質量%を超えず、より好ましくは85質量%を超えない。
IR吸収剤の化学構造は、それが吸収した輻射線を熱に変換できる限り、特に制限されない。光重合性IR感受性要素と関連して先に述べたIR吸収材料を使用することができる。IR吸収剤は、好ましくは、乾燥層質量を基準として、少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも1質量%、特に好ましくは少なくとも2質量%の量で存在する。通常、IR吸収剤の量は25質量%を超えず、より好ましくは20質量%を超えず、特に好ましくは15質量%を超えない。単独のIR吸収剤、または2種または3種以上のIR吸収剤の混合物が存在することができ、後者の場合、与えられた量は、全てのIR吸収剤の総量を意味する。
使用されるIR吸収剤の量も、コーティングの乾燥層厚に照らして考慮されなければならない。これは好ましくは、コーティングの光学濃度が、例えば透明ポリエステルフィルム上で測定した場合に、好ましくは、コーティングを照射するIR線の波長で0.4〜1.0の値を示すように選ばれるべきである。
IR感受性コーティングは、さらに、ノボラックのようなポリマーの水性アルカリ現像液溶解度を低減する少なくとも1種の物質を含み、この場合、この溶解度の低減は加熱によって逆転する。以下、この物質を簡単に「不溶化剤」と呼ぶ。不溶化剤はポリマーに共有結合されてもされなくてもよい。
従来技術において既述された不溶化剤または種々異なる不溶化剤を使用することができる。
好適な不溶化剤は、例えば、感光性ではなく、ノボラック樹脂のフェノールOH基との水素結合に加わることができる官能基を含む、国際公開第98/42507号および欧州特許出願公開第0 823 327号に記載された化合物を含む。国際公開第98/42507号には、スルホン、スルホキシド、チオン、ホスフィンオキシド、ニトリル、イミド、アミド、チオール、エーテル、アルコール、尿素、ニトロソ、アゾ、アゾキシおよびニトロ基、ハロゲン、および具体的にはケト基が好適な官能基として述べられている。キサントン、フラバノン、フラボン、2,3−ジフェニル−1−インデノン、ピロン、チオピロンおよび1’−(2’−アセトナフトニル)ベンゾエートが、好適な化合物の例として述べられている。
国際公開第99/01795号には、好ましくはジアジド基、酸基または酸形成基を含まない特定の官能基Qを有するポリマーが不溶化剤として使用され、そして好ましい実施態様によれば、Qは、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミド、モノアルキルアミド、ジアルキルアミド基、フッ素原子、塩素原子、カルボニル、スルフィニル、またはスルホニル基から選ばれる。これらの高分子不溶化剤は本発明において使用することもできる。
国際公開第99/01795号に記載された不溶化剤、この場合はジアジド単位を有する化合物を本発明においても使用することができる。
本発明において使用するのに適した不溶化剤の別のグループが、国際公開第97/39894号に記載されている。これらは、少なくとも1つの窒素原子が第四級化され複素環部分を形成する例えば窒素含有化合物であり、例えばキノリニウム化合物、ベンゾチアゾリウム化合物およびピリジニウム化合物、具体的にはカチオン性トリメチルメタン染料、例えばビクトリア・ブルー(CIベーシック・ブルー7)、クリスタル・バイオレット(CIベーシック・バイオレット3)およびエチル・バイオレット(CIベーシック・バイオレット4)が挙げられる。さらに、カルボニル官能基を有する化合物、例えばN−(4−ブロモブチル)−フタルイミド、ベンゾフェノンおよびフェナントレンキノンが挙げられている。式Q−S(O)−Qの式(Q=任意選択的に置換されていてもよいフェニルまたはアルキル基;n=0、1または2;Q=ハロゲン原子またはアルコキシ基)、アクリジン・オレンジ・ベースおよびフェロセニウム化合物を使用することもできる。
IR吸収剤が国際公開第97/39894号において述べられている構造要素を含む場合、これらも不溶化剤として機能する。
米国特許第6,320,018号明細書に記載された官能化ノボラックも、本発明の感熱性要素において使用できる。これらのノボラックは、ポリマー分子間に2−または4−中心水素結合(好ましくは、四極子水素結合QHBとも称される4−中心水素結合)を可能にする置換基を含有する。これも基礎をなすノボラックの水性アルカリ性現像液溶解度を減少させる。このような水素結合は、加熱によって切断され、そしてノボラックの元の溶解度が回復する。このような官能化ノボラックが使用される場合、このことは、上記のような相応の官能基および/または不溶化剤を含まないノボラックの追加の使用は必要ではないが、排除もされないような、感熱性組成物の成分(i)および(ii)の機能を想定する。
官能化ノボラックは、少なくとも1つの共有結合単位と、少なくとも1つの非共有結合単位とを含み、非共有結合は熱的に不安定であり、これらのノボラックは基本的に全ての非共有結合単位に2−または4−中心水素結合を有する。同時不溶化機能を有するノボラックとして使用することができるこのような官能化ノボラックの好ましいグループは、下記式(XIV)で記述することができる:
Figure 2012510391
上記式中、RおよびR’は、水素原子、および好ましくは炭素原子数1〜22の環状または直鎖状または分岐状の飽和または不飽和炭化水素基から独立に選ばれ(好ましくは水素およびC−Cアルキル)、R''は、ノボラックR''(OH)から誘導されたフェノール基であり、Yは、式Y(NCO)のジイソシアネートから誘導された、好ましくは炭素原子数1〜22の二価の環状または直鎖状または分岐状の飽和または不飽和炭化水素基(例えばイソホロンジイソシネート、トルエン−1,2−ジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−1−メチルシクロ−ヘキシルイソシアネート)であり、mは少なくとも1であり、pは1または2である。
式(XIV)の官能化ノボラックの調製は、米国特許出願公開第2002/0,150,833 A1号明細書から推察することができる。
好適な官能化樹脂の別の部類、例えば官能化フェノール樹脂および具体的には官能化ノボラックは、米国特許第6,537,735号明細書に開示されている。非官能化樹脂が水性アルカリ性現像液中に可溶性であるのに対して、官能化樹脂は現像液中に不溶性であるが、加熱すると(例えば赤外線によって熱を発生させる)これは現像液中に可溶性になる。好ましくは、非官能化樹脂は、官能化樹脂中では少なくとも部分的に共有結合官能基Qに変換されるOHまたはSH基を含み、好ましくは、官能基QはOH基のエステル化反応を介して形成され、そして好ましくは−O−SO−トリル、−O−ダンシル、−O−SO−チエニル、−O−SO−ナフチルおよび−O−CO−フェニルから選ばれる。官能基QとOH基との比は、好ましくは1:100〜1:2、より好ましくは1:50〜1:3である。ノボラック樹脂、レゾール、フェノール側鎖および上記ヒドロキシスチレンを有するアクリル樹脂は、例えば、非官能化樹脂として使用できる。この部類の特に好ましい官能化樹脂は、トルエンスルホン酸またはスルホン酸塩化物で部分(例えば10〜20%)エステル化されたフェノール樹脂(好ましくはノボラック)であるが、米国特許第6,537,735号明細書に記載された他の官能化樹脂も本発明において使用できる。
上記不溶化剤の全てを本発明の感熱性コーティングにおいて使用することもできるが、下記のもの、すなわち:シアニン染料、トリアリールメタン染料、キノリニウム化合物、ケト基を有する上記不溶化剤、およびスルホン基を有する上記不溶化剤、並びに4−中心水素結合を形成することができる置換基で官能化されたノボラック、が好ましい。シアニン染料、トリアリールメタン染料、キノリニウム化合物、ケトンおよびスルホンは低分子物質として使用するか、またはポリマーに結合することができる。
単独の不溶化剤、または2種または3種以上の化合物の混合物を、本発明の感熱性要素において使用することができる。
不溶化剤の量は、ノボラックの水性アルカリ性現像液溶解度を減少させる限り、特に制限されない。しかし、溶解度の減少は、水性アルカリ現像液が使用されると、コーティングの加熱領域が非加熱領域よりもかなり速く除去されるような程度に行われなければならない。
不溶化剤がIR吸収剤として機能するか否かとは無関係に、不溶化剤は、好ましくは、乾燥層質量を基準として、少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも0.5質量%、特に好ましくは少なくとも1質量%、特に好ましくは少なくとも2質量%の量で存在する。好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%が使用される。
任意のバインダーは例えば、水性アルカリ性現像液中に可溶性または分散性のポリマー/コポリマー、例えばノボラックおよびレゾールのようなフェノール樹脂、並びに(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミドおよび(メタ)アクリルアミドのコポリマーである(ドイツ国特許第199 36 331号参照)。バインダーの総量は好ましくは、乾燥層質量を基準として、1〜99質量%、特に好ましくは10〜98質量%である。
二重層版
本発明において有用なIR感受性要素は、基材の親水性表面上に水性アルカリ性現像液に可溶性である内層(「第1の層」または「底層」ともいう)が設けられ、第1の層の上にトップ層(「マスキング層」)が設けられたポジ型二重層要素であることも可能である。
内層は、第1のポリマーバインダーを含み、この第1のポリマーバインダーは、現像液により除去可能であり、典型的には、現像液に可溶性であるため、現像液中のスラッジを低減する。さらに、第1のポリマーバインダーは、通常、外層をコートするために使用される溶剤に不溶性であるため、内層を溶解させずに内層上に外層をコートすることができる。これらの第1のポリマーバインダーの混合物も、内層で望ましい場合に使用できる。内層に有用なこの第1のポリマーバインダーとしては、(メタ)アクリロニトリルポリマー、カルボキシ基を含む(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタール、マレイン酸化ウッドロジン、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、(メタ)アクリルアミドポリマー、例えばN−アルコキシアルキルメタクリルアミドから誘導されたポリマー、N−置換環状イミドから誘導されたポリマー、ペンダント環状尿素基を有するポリマー、およびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに他の有用なポリマーバインダーとしては、N−置換環状イミド(特にN−フェニルマレイミド)、(メタ)アクリルアミド(特に、メタクリルアミド)、ペンダント環状尿素基を有するモノマーおよび(メタ)アクリル酸(特にメタクリル酸)から誘導されたポリマーが挙げられる。このタイプのポリマーバインダーとしては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシル−マレイミド、N−(4−カルボキシフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミドまたはこれらの混合物から誘導された反復単位約20〜約75モル%、典型的には約35〜約60モル%と、アクリルアミド、メタクリルアミドまたはこれらの混合物から誘導された反復単位約10〜約50モル%と、メタクリル酸から誘導された反復単位約5〜約30モル%を含むコポリマーが挙げられる。例えばヒドロキシエチルメタクリレートなどの他の親水性モノマーを、メタクリルアミドの一部またはすべての代わりに使用してもよい。例えばアクリル酸または5−メタクリルアミド−1,2,3,4−テトラゾールなどの他のアルカリ可溶なモノマーを、メタクリル酸の一部または全部の代わりに使用してもよい。必要に応じて、これらのポリマーは、(メタ)アクリロニトリルまたはN−[2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチル]メタクリルアミドから誘導された反復単位も含んでよい。
さらに他の有用なポリマーバインダーは、カルボキシ基を有するエチレン不飽和重合性モノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、および当該技術分野で知られている他の類似のモノマー(アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい))から誘導された約5モル%〜約30モル%と、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドまたはこれらの混合物から誘導された反復単位約20モル%〜約75モル%と、必要に応じて、メタクリルアミドから誘導された反復単位約5モル%〜約50モル%と、下記構造:
CH=C(R)−C(=O)−NH−CH−OR
[式中、RはC〜C12アルキル、フェニル、C〜C12置換フェニル、C〜C12アラルキル、またはSi(CHであり、Rは水素またはメチルである]
のモノマー化合物から誘導された1または2以上の反復単位約3モル%〜約50モル%を重合した形態で含むことができる。これらのポリマー材料のうちの幾つかのものの製造方法は米国特許第6,475,692号(Jarek)に開示されている。
内層に対してさらなる有用なポリマーバインダーは、例えば米国特許第7,144,661号(Rayら)、第7,163,777号(Rayら)および第7,223,506号(Kitsonら)、並びに米国特許出願公開第2006/0257764号(Rayら)および第2007/0172747号(Rayら)に記載されている。
さらなるポリマーバインダーは、内層中の全ポリマー材料の50%超かつ100%以下(乾燥質量)を構成する。さらに他の有用なポリマー材料としては、N−フェニルマレイミドから誘導された反復単位を約1〜約30モル%と、メタクリルアミドから誘導された反復単位を約1〜約30モル%と、アクリロニトリルから誘導された反復単位を約20〜約75モル%と、構造(XI):
Figure 2012510391
(式中、R22はOH、COOHまたはSONHであり、R23はHまたはメチルである)
を有する1種または2種以上のモノマーから誘導された反復単位を約20〜約75モル%と、任意選択的に、構造(XII):
Figure 2012510391
(式中、R24はOH、COOHまたはSONHであり、R25はHまたはメチルである)
を有する1種または2種以上のモノマーから誘導された反復単位を約1〜約30モル%、約3〜約20モル%とを含むコポリマーが挙げられる。
内層は、活性化メチロールおよび/または活性化アルキル化メチロール基を有する樹脂である1種または2種以上の第2のさらなるポリマー材料を含んでもよい。当該第2のさらなるポリマー材料としては、例えば、レゾール樹脂およびそれらのアルキル化類似体、メチロールメラミン樹脂およびそれらのアルキル化類似体(例えばメラミン−ホルムアルデヒド樹脂)、メチロールグリコールウリル樹脂およびアルキル化類似体(例えばグリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂)、チオウレア−ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン−ホルムアルデヒド樹脂、ならびにベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。市販のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂およびグルコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、CYMEL(登録商標)樹脂(Dyno Cyanamid)とNIKALAC(登録商標)樹脂(Sanwa Chemical)が挙げられる。活性化メチロールおよび/または活性化アルキル化メチロール基を有する上記の樹脂は、好ましくは、レゾール樹脂またはレゾール樹脂の混合物である。レゾール樹脂は当業者にはよく知られている。それらは、過剰のフェノールを用いて、塩基性条件下、フェノール類とアルデヒド類との反応により調製される。市販のレゾール樹脂としては、例えば、GP649D99レゾール(Georgia Pacific)とBKS−5928レゾール樹脂(Union Carbide)が挙げられる。有用な第2のさらなるポリマー材料としては、N−フェニルマレイミドから誘導された反復単位を約25〜約75モル%、メタクリルアミドから誘導された反復単位を約10〜約50モル%、メタクリル酸から誘導された反復単位を約5〜約30モル%とを含むコポリマーも挙げられる。これらの第2のさらなるコポリマーは、米国特許第6,294,311号明細書(Shimazuら)および米国特許第6,528,228号明細書(Savariar−Hauckら)に開示されている。内層は、乾燥した内層の層質量の少なくとも10質量%、一般的に約60〜95質量%の量で一般的に存在するペンダント1H−テトラゾール基を有するポリマーを含んでもよい。
IR吸収剤(光熱変換材料)は第1層、若しくはトップ層(top layer)、または両層中に存在し、IR吸収剤は別個の「吸収剤層」中に存在してもよい。好ましくは、IR吸収剤は第1層中に存在する。
IR吸収剤の化学構造は、それが吸収したIR線を熱に変換することができる限り、特に制限されない。光重合性IR感受性要素と関連して先に述べたIR吸収剤を使用することができる。IR吸収剤は、好ましくは、これが存在する層の乾燥層質量を基準として、少なくとも1質量%、より好ましくは少なくとも2質量%、特に好ましくは少なくとも5質量%の量で存在する。通常、IR吸収剤の量は、これが存在する層の35質量%を超えず、より好ましくは30質量%を超えず、特に好ましくは25質量%を超えない。IR吸収剤が第1層中にのみ存在する場合、当該層におけるその量は好ましくは、第1層の乾燥層質量を基準として10〜20質量%である。単独のIR吸収剤、または2種または3種以上のIR吸収剤の混合物が存在することができ、後者の場合には、与えられた量は、1つの層中に存在する全てのIR吸収剤の総量を意味する。
トップ層は、水性アルカリ現像液によって溶解されることから第1層を保護する。従って、トップ層自体が水性アルカリ現像液中に可溶性または分散性でなく、または水性アルカリ現像液が浸透可能でないことが必要である。「水性アルカリ現像液中に可溶性でなく、または水性アルカリ現像液中に分散性ではなく、または水性アルカリ現像液が浸透可能でない」という文言は、トップ層が、少なくとも90分間にわたって、pHが少なくとも8の水性アルカリ現像液の攻撃に抵抗することができることを意味する。しかしながら、IR線への暴露によって、トップ層は、水性アルカリ現像液により除去可能になる(所要滞留時間:60秒間未満)。
種々の二重層版が当業者に知られているが、IR線への暴露に起因する溶解度/分散性/浸透性の変化メカニズムは、まだ完全には理解されていない。このような二重層は、例えば米国特許第6,352,812号、米国特許第6,352,811号、米国特許第6,358,699号、米国特許出願公開第2002/0,150,833号、米国特許第6,320,018号、米国特許第6,537,735号、および国際公開第02/14071号に記載されている。
一実施態様において、トップ層(以下「マスキング層」ともいう)は水性アルカリ性現像液に不溶性のものであることができ、画像形成後に現像液が浸透可能であるように作られたものであることができる。除去されたマスクは、現像液中で不溶性のまま残る。ニトロセルロースおよびポリメチルメタクリレートなどのポリマーがかかる場合の例であり、米国特許第6352812号明細書に記載されている。
別の実施態様において、マスキング層は、現像液中で、第1の層よりも遅い溶解速度を示すことがあり、それにより現像段階中の画像領域の十分な保護が可能となる。これは、低い酸価を有するトップ層に、内層よりも低い速度ではあるが現像液中での溶解性を可能にするポリマーを使用することにより達成される。この目的のために、トップ層のポリマーは、ペンダントカルボキシル、無水カルボキシ、スルホンアミド、スルホン酸、ホスホン酸またはリン酸およびテトラゾール基を有することができ、好適な1または2種以上のモノマー、例えばアリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキルまたはアリール基により置換されたものであってもよい(メタ)アクリルアミド、ポリエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレンまたはスチレン誘導体、ビニルアセテート、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、N−置換マレイミド、あるいは開環無水マレイン酸の半エステルとの反応により得ることができる。B反復単位を誘導できる他のモノマーは当業者に明らかであろう。ペンダント酸基を有するポリマーは、例えば米国特許第7,241,556号明細書に記載されているような縮合反応により得ることもできる。
フェノール樹脂は、一般的に、約pH 10の低pH現像液に不溶性である。しかしながら、カルボキシ基により官能化されたフェノール樹脂または低分子量縮合物であるフェノール樹脂は、低pH現像液に溶解するものの、その溶解速度は第1層よりも低く、そのため、低pH現像液で現像可能な二重層版用のトップ層として使用することもできる。
現像液中での第1層よりも低いマスキング層の溶解速度は、トップ層に、ゆっくりとした加水分解して現像液に可溶性となるポリマーを使用することによっても達成される。かかるポリマーの例はスチレン−無水マレイン酸コポリマーである。
別の実施態様によれば、フェノール樹脂の阻害を通じて現像液の攻撃に耐えるようにトップ層が作られていてもよく、トップ層は、IR照射による「脱阻害」によって現像液に可溶性である。
好適なフェノール樹脂としては、例えば、ノボラック、レゾール、フェノール側鎖を有するアクリル樹脂、およびポリビニルフェノール樹脂が挙げられ、ノボラックが特に好ましい。ノボラック樹脂は、好適なフェノール類、例えばフェノール自体、C−アルキル置換フェノール(クレゾール、キシレノール、p−tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノールおよびノニルフェノールなど)と好適なアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドおよびフルフルアルデヒドとの縮合生成物、およびジフェノール類(例えばビスフェノールA)と好適なアルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドおよびフルフルアルデヒドとの縮合生成物である。触媒のタイプ、および反応物質のモル比は、樹脂の分子構造、ひいては樹脂の物理的特性を決定する。「ノボラック」として知られ、そして熱可塑特性を有するフェノール樹脂を生成するために、約0.5:1〜1:1、好ましくは0.5:1〜0.8:1のアルデヒド/フェノール比、および酸触媒が使用される。しかしながら、本願において使用される「ノボラック樹脂」という用語は、より高いアルデヒド/フェノール比で、またアルカリ触媒の存在において得られる「レゾール」として知られるフェノール樹脂も包含する。
かかるトップ層の1つのタイプは、例えば、それ自体は水性アルカリ現像液中に可溶性/分散性であるノボラックのようなポリマーと、この層が現像条件下で可溶性または浸透可能ではないほど高い程度に溶解度/分散性を低減する「不溶化剤」とを含む。ポリマーと抑制剤との相互作用は、層の露光された(加熱された)領域が現像液中に可溶性/分散性になるか、または現像液が浸透可能であるような程度に、IR線によって弱くなると考えられる。このような系は、例えば米国特許第6,352,811号明細書および米国特許第6,358,669号明細書に記載されている。ポリマー/不溶化剤系は、単層版に関して上述したものと同じであることが可能である。
トップ層中の不溶化剤の量は、ノボラックの水性アルカリ現像液溶解度を低減する限り、特に制限されない。しかし、溶解度の低減は、水性アルカリ性現像液が使用される場合、コーティングの加熱領域が非加熱領域よりもかなり速く除去されるような程度に行われなければならない。不溶化剤は、好ましくは、乾燥層質量を基準として、少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも0.5質量%、特に好ましくは少なくとも2質量%、さらに好ましくは少なくとも5質量%の量で存在する。好ましくは40質量%以下、より好ましくは25質量%以下が使用される。
別のタイプのトップ層は、それ自体は水性アルカリ現像液中に可溶性/分散性であるが、水性アルカリ現像液によって可溶性/分散性/浸透可能でないように(例えば「不溶化剤」と化学的に結合することによって)化学的に変性されたノボラックのようなポリマーを含んでよい。このような官能化樹脂(例えば官能化ノボラック)は、例えば米国特許出願公開第2002/0,150,833号明細書、米国特許第6,320,018号明細書、米国特許第6,537,735号明細書に記載されている。
IR線により弱くなったトップ層内に何らかの相互作用があるか、あるいは、IR線(およびそれにより発生した熱)への暴露により、トップ層中、または第1層とトップ層との間の界面に、微小クラックおよび/または気泡が形成され、それによって、最初は不溶性/浸透不能であるトップ層を、露光領域において、可溶性の下層と一緒に現像液により除去することが可能となり、現像液が画像領域に浸透して画像領域を除去して画像領域が現像液中に最終的に溶解することが想定される。
トップ層に有用な化学的に変性されたポリマーは、例えば、上記式(XIV)のもののような官能化ノボラック、および米国特許第6,537,735号明細書に記載されているような官能化フェノール樹脂(例えばトシル化ノボラック)である。また、見出し「単層版」の箇所も参照されたい。変性アルキルフェノール樹脂(例えば商品名SP 1077およびHPJ 302でSchenectadyから商業的に入手可能なもの)、並びにキシレノールおよびクレゾールを基にするノボラック(例えば商品名SPN−572でAZ−Electronicsから商業的に入手可能なもの)もトップ層に有用である。
トップ層用の他の有用なポリマーバインダーとしては、フェノールヒドロキシル基を有するポリビニル化合物、例えばポリ(ヒドロキシスチレン)、およびヒドロキシスチレンの反復単位を含有するコポリマー、並びに置換ヒドロキシスチレンの反復単位を含有するポリマーおよびコポリマーが挙げられる。例えば米国特許第5,554,719号明細書(Sounik)および米国特許第6,551,738号明細書(Ohsawa他)および米国特許出願公開第2003/0050191号明細書(Bhatt他)および米国特許出願公開第2005/0051053号明細書(Wisnudel他)並びに同時係属の同一出願人による米国特許出願第11/474,020号明細書(Levanon他により2006年6月23日に出願)に記載されているように、4−ヒドロキシスチレンから誘導された複数の分岐ヒドロキシスチレン反復単位を有する分岐ポリ(ヒドロキシスチレン)も有用である。例えば、かかる分岐ヒドロキシスチレンポリマーは、ヒドロキシスチレン、例えば4−ヒドロキシスチレンから誘導された反復単位を含み、これらの反復単位は、さらに、ヒドロキシ基に対してオルトに位置する反復ヒドロキシスチレン単位(例えば4−ヒドロキシスチレン単位)で置換されている。これらの分岐ポリマーの質量平均分子量(M)は、約1,000〜約30,000、典型的には約1,000〜約10,000、より典型的には約3,000〜約7,000であることができる。加えて、これらは、2未満、好ましくは約1.5〜約1.9の多分散度を有することができる。分岐ポリ(ヒドロキシスチレン)は、非分岐ヒドロキシスチレン反復単位を有するホモポリマーまたはコポリマーであることができる。
トップ層用の有用なポリマーバインダーの1つのグループとしてはポリ(ビニルフェノール)およびその誘導体が挙げられる。かかるポリマーは、一般的に、ビニルフェノールモノマー、すなわち置換または非置換ビニルフェノールの重合により得られる。置換ビニルフェノール反復単位としては、以下に、構造(A)中の「a」反復単位について記載した者が挙げられる。幾つかのビニルフェノールコポリマーが欧州特許出願公開第1,669,803A号明細書(Barclay他)に記載されている。
トップ層用の他の有用なポリマーバインダーは、下記構造(B)により表される変性ノボラックまたはレゾール樹脂である。
Figure 2012510391
上式中、Yは、
Figure 2012510391
であり、
aは、全ポリマーを基準にして約90〜約99モル%(典型的には約92〜約98モル%)、bは約1〜約10モル%(典型的には約2〜約8モル%)であり、RおよびRは独立に水素またはヒドロキシ、アルキルもしくはアルコキシ基であり、Rは水素またはアルキル基であり、Xはアルキレン、オキシ、チオ、−OC(=O)Ar−、−OC(=O)CH=CH−、−OCO(CHn4−基であり、ここで、Arはアリール基、mおよびpは独立に1または2であり、nは0または5以下の整数(例えば0、1、2または3)であり、nは0または5以下の整数(例えば0、1または2)であり、nは0または1(典型的には1)であり、nは少なくとも1(例えば、8以下)であり、Zは−C(=O)OH、−S(=O)OH、−P(=O)(OH)、−OP(=O)(OH)である。
ポリマーバインダー中に存在するアルキルおよびアルコキシ基(例えばR、RおよびR)は、置換されていなくても、あるいは、1または2個以上のハロ、ニトロまたはアルコキシ基により置換されていてもよく、1〜3個の炭素原子を有することができる。かかる基は、線状、分岐状または環状であることができる(すなわち、「アルキル」は、本発明において「シクロアルキル」も包含する)。
Xがアルキレンである場合、Xは1〜4個の炭素原子を有することができ、アルキルおよびアルコキシ基と同様にさらに置換されていてもよい。さらに、アルキレン基は、環および鎖に少なくとも5個の炭素原子を有する置換または非置換シクロアルキル基であることができる。Arは置換または非置換の6または10員炭素環式芳香族基、例えば置換または非置換フェニルおよびナフチル基である。典型的には、Arは非置換フェニル基である。
幾つかの実施態様において、トップ層のポリマーバインダーは、aが約92〜約98モル%であり、bが約2〜約8モル%であり、Zが−C(=O)OHである構造(B)により表される反復単位を含み、層の総乾燥質量を基準にして約15〜100質量%の乾燥被覆量で存在する。
トップ層中に存在してもよい他のポリマーバインダーとしては、例えば、1または2個以上のペンダントジアゾ、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、スルフィン酸エステルまたはエーテル基を含む、ノボラック樹脂およびレゾール樹脂などのフェノール樹脂が挙げられる。フェノール樹脂のヒドロキシ基は、例えば米国特許第6,218,083号明細書(McCullough他)および国際公開第99/001795号(McCullough他)に記載されているように−T−Z基(Tは極性基を表し、Zは非ジアジド官能基を表す)に変換できる。ヒドロキシ基は、例えば米国特許第5,705,308号明細書(West他)および米国特許第5,705,322号明細書(West他)に記載されているようにo−ナフトキノンジアジド部分を含有するジアゾ基により誘導体化されていてもよい。他の有用なポリマーバインダーとしては、例えば欧州特許出願公開第737,896号明細書(Ishizuka他)に記載されているようなアクリレートコポリマー、例えば国際公開第2005/039878号(Savariar−Hauck他)、ドイツ国特許第10 239 505号明細書(Timpe他)および国際公開第2004/081662号(Memetea他)に記載されているようなポリ(ビニルアセタール)、および米国特許第6,391,524号明細書(Yates他)に記載されているセルロースエステルが挙げられる。
トップ層用のさらに他の有用なポリマーバインダーは米国特許第7,163,770号明細書(Saraiya他)および米国特許第7,160,653号明細書(Huang他)に記載されている。
トップ層中に不溶化剤が存在しない場合に、ポリマーバインダーは、好ましくは、トップ層中に、トップ層の総乾燥質量を基準にして約15〜100質量%(より好ましくは約30〜約95質量%)の乾燥被覆量で存在することができ、トップ層中に不溶化剤が存在する場合には、ポリマーバインダーは、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、特に98質量%以下、最も好ましくは95質量%以下存在することができる。
任意成分
要素がUV/VIS感光性であるかIR感受性であるかとは無関係に、輻射線感受性コーティングは、必須成分に加えて、下記任意選択の成分のうちの1種または2種以上を含むことができる。コーティングがいくつかの層から成る場合、任意成分は、層のうちの1つ、いくつか、または全てに存在することができる。
コントラストを高めるために、可視スペクトル範囲において高吸収率を有する染料または顔料が存在できる(「コントラスト染料および顔料」)。特に好適な染料および顔料は、コーティングのために使用される溶媒または溶媒混合物中によく溶けるかまたは顔料の分散形態中に容易に導入される染料および顔料である。好適なコントラスト染料としては、特に、ローダミン染料、トリアリールメタン染料、例えばビクトリア・ブルーRおよびビクトリア・ブルーBO、クリスタル・バイオレットおよびメチル・バイオレット、アントラキノン顔料、アゾ顔料、およびフタロシアニン染料および/または顔料が挙げられる。着色剤は、好ましくは、乾燥層質量を基準として、0〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1.5〜7質量%の量で存在する。
さらに、層は界面活性剤(例えばアニオン性、カチオン性、両性または非イオン性界面活性剤およびこれらの混合物)を含むことができる。好適な例としては、フッ素含有ポリマー、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド基を有するポリマー、ソルビトール−トリ−ステアレートおよびアルキル−ジ−(アミノエチル)−グリシンが挙げられる。これらは、好ましくは、乾燥層質量を基準として、0〜10質量%、特に好ましくは0.2〜5質量%の量で存在する。
層はさらに、プリントアウト染料、例えばクリスタル・バイオレット・ラクトンまたはフォトクロミック染料(例えばスピロピランなど)を含むこともできる。これらは好ましくは、乾燥層質量を基準として、0〜15質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%の量で存在する。
また、流動性向上剤、例えばポリ(グリコール)エーテル変性シロキサンが層中に存在することができ、これらは好ましくは、乾燥層質量を基準として、0〜1質量%の量で存在する。
層は、さらに、抗酸化剤、例えばメルカプト化合物(2−メルカプト−ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールおよび3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール)、およびトリフェニルホスフェートを含むことができる。これらは好ましくは、乾燥層質量を基準として、0〜15質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%の量で使用される。
オーバーコート
保管中、露光中、特に露光と更なる処理との間の時間中、大気中の酸素からコーティングを保護するために、ネガ型前駆体の光重合性コーティング上にオーバーコートを適用することができる。その時間中、オーバーコートは、層の引き裂けなしに安全な取り扱い(製造、包装、輸送、露光など)が保証されるように感光性基材に対する十分な付着力を示さなければならない。酸素バリヤー層としてその機能に加えて、オーバーコートは、指紋、および擦過傷などの機械的損傷からも光重合性コーティングを保護する。
多くの水溶性ポリマーが、このようなオーバーコートに適しているものとして文献に記載されている。好適な例は、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル単位とビニルアセタール単位とを含有していてもよい部分鹸化ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、およびビニルアセテートおよびビニルエーテルとのそのコポリマー、ヒドロキシアルキルセルロース、ゼラチン、ポリアクリル酸、アラビアゴム、ポリアクリルアミド、デキストリン、シクロデキストリン、アルキルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマーであり、また、分子量5,000超のエチレンオキシドの水溶性高分子ポリマーが特に好適である。ポリビニルアルコールが好ましいオーバーコートポリマーである。国際公開第99/06890号に記載されているような、ポリ(1−ビニルイミダゾール)または1−ビニル−イミダゾールと少なくとも1種の更なるモノマーとのコポリマーと組み合わされたポリビニルアルコールを使用することもできる。
ポリビニルアルコールは、接着剤としてポリビニルピロリドンと組み合わせて使用することもできる。
オーバーコートは、米国特許第3,458,311号明細書、米国特許第4,072,527号明細書、米国特許第4,072,528号明細書、欧州特許出願公開第275 147号明細書、欧州特許出願公開第403 096号明細書、欧州特許出願公開第354 475号明細書、欧州特許出願公開第465 034号明細書および欧州特許出願公開第352 630号明細書にも記載されている。
好ましい実施態様において、オーバーコートは、ポリビニルアルコール、またはポリ(1−ビニルイミダゾール)と組み合わされたポリビニルアルコール(またはそのコポリマー)を含む。
好適なポリビニルアルコールは、安価で商業的に入手可能である。これらは通常アセテート基の残留含量を0.1〜30質量%の範囲で有する。特に好ましいのは、残留アセテート含量1.5〜22質量%のポリビニルアセテートから得られるポリビニルアルコールである。使用されるポリビニルアセテートの分子量によって、オーバーコートの付着力および水溶性を制御することができる。分子量が低いほど、水溶液によるオーバーコートの除去を促進する。
水溶性オーバーコートは、当業者に知られている表面コーティング法、例えばドクターブレードコーティング、ローラーコーティング、スロットコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティングまたは浸漬プロセスによって適用することができる。0.05〜10g/m、より好ましくは0.2〜3g/m、最も好ましくは0.3〜1g/mの乾燥層質量が好適である。
多くの場合、水溶性オーバーコートを水溶液で適用することが好ましい。環境および人体に対するその有害な影響は最小限である。
しかし、用途によっては、有機溶剤を使用することが好ましいこともある。いくつかの基材において、水性コーティング溶液に0.5〜60質量%の有機溶剤を添加すると、付着力が改善される。オーバーコートされるべき表面をわずかに溶媒和することにより、本発明によるオーバーコートのポリマーの付着効果はさらに高まる。溶剤に対するこのような添加剤は例えばアルコールまたはケトンであることができる。
コーティングされるべき表面の均一且つ迅速な濡れのために、コーティング溶液にアニオン性、カチオン性、非イオン性湿潤剤を添加することができる。オーバーコートはさらに、安定剤、保存剤、着色剤、泡分離剤およびレオロジー添加剤を含んでもよい。
画像形成
像様露光
光重合性コーティング中に使用される吸収剤成分がUV/VIS線を吸収する場合、前駆体は、波長約250〜約750nmのUV/VIS線で、当業者に知られた形式で像様露光される。この目的のために、一般的なランプ、例えば炭素アークランプ、水銀ランプ、キセノンランプおよび金属ハロゲン化物ランプ、またはレーザーまたはレーザーダイオードを使用することができる。約405nm(例えば405±10nm)の範囲のUV線を放出するUVレーザーダイオード、可視範囲(488nmまたは514nm)で放出するアルゴンイオンレーザー、およびほぼ532nmで放出する周波数二重化fd:Nd:YAGレーザーが、輻射線源として特に重要である。レーザー線は、コンピュータを介してデジタル制御することができ、すなわち、レーザー線は、コンピュータに記憶されたデジタル化情報を介して版の像様露光を行うことができるように、オンまたはオフすることができ、このようにして、いわゆるコンピュータ・トゥ・プレート(ctp)印刷版を得ることができる。
増感剤がIR線を吸収する場合、すなわち、波長約750〜約1,200nmの範囲内の波長の輻射線を顕著に吸収し、好ましくは、吸収スペクトルのこの範囲内で吸収極大を示す場合、像様露光はIR線源によって実施することができる。好適な輻射線源は、例えば約750〜約1,200nmの範囲内で放出する半導体レーザーまたはレーザーダイオード、例えばNd:YAGレーザー(1,064nm)、約790〜約990nmで放出するレーザーダイオード、およびTi:サファイヤレーザーである。レーザー線は、コンピュータを介してデジタル制御することができ、すなわち、レーザー線は、コンピュータに記憶されたデジタル化情報を介して版の像様露光を行うことができるように、オンまたはオフすることができ、このようにして、いわゆるコンピュータ・トゥ・プレート(ctp)印刷版を得ることができる。当業者に知られたIRレーザーを備えたいかなるイメージセッターも使用できる。
「サーマル版」は、通常、光熱変換材料(特定の波長の輻射線を吸収してそれを熱に変換する)を含み、たいていの場合、IR線に対して感受性である。しかしながら、像様に直接加熱(例えば熱印刷ヘッドを使用することにより)することも可能である。
像様露光された前駆体は、コーティングの露光領域と非露光領域を含む。前駆体がポジ型であるかネガ型であるかに応じて、露光領域は非画像領域または画像領域に対応する。
像様露光に関して記載したいかなる実施態様も、本発明の他の側面に関して上記および下記の本発明の任意の好適な実施態様と組み合わせることができる。
露光された前駆体の処理
露光後に、非画像領域内のコーティングを除去し、これにより当該領域において基材を露出させるために、前駆体を現像液で処理する。前駆体がポジ型である場合、非画像領域は露光領域に相当するのに対して、ネガ型前駆体の場合、非画像領域は非露光領域に相当する。一実施態様によれば、露光と、現像液による処理との間にプレヒート工程が実施される。
前駆体が、輻射線感受性コーティングを保護するオーバーコートを含む場合に、オーバーコートは、現像液を適用する前に水による洗浄/すすぎによって除去できる。
現像液によってコーティングの非画像領域(および任意選択的にオーバーコート)を除去した後、処理された前駆体を乾燥させることができる。
一実施態様によれば、現像液によりコーティングの非画像領域(および任意選択的にオーバーコー)を除去した後、処理された前駆体を水ですすぐことができる。
典型的には、現像液を含むアプリケーターで画像形成性層を擦るかまたは拭うことにより、露光された前駆体を現像液と接触させる。あるいは、露光された前駆体を現像液でブラッシングしてもよく、または噴霧により現像液を前駆体に適用してもよい。現像液による処理は、露光された前駆体を現像液浴中に浸すことによっても実施できる。一実施態様によれば、処理は、浸漬型現像槽、水によるすすぎセクション、ガム引きセクション、および乾燥セクションを備えた商業的に入手可能な処理機で実施できる。さらに、現像液の現像剤活性を調節するために、処理機に電導度測定装置を組み込んでもよい。
露光された前駆体は、典型的には、18℃〜約28℃の温度で約5秒間〜約60秒間の時間で現像液により処理される。
ある程度の数の露光された前駆体を処理した後、現像液浴の現像活性(例えば滴定または導電率測定により測定する)は所定のレベルを下回る。そのときは、浴に新鮮な現像液を追加する(「トップアップ(top−up)」プロセスとも呼ばれる)。現像液の容積およびその活性/導電率値の両方を一定に保つために、処理される前駆体1m当たり、通常約20mL〜約200mL、典型的には約30〜120mLの新鮮な現像液が必要である。処理された平版印刷版は、画像形成性層が除去されて下側の親水性基材表面が露出した領域と、画像形成性層が除去されなかった相補的な領域とを含む。画像形成性層が除去されなかった領域がインク受容性である。
現像液浴の活性を一定に保つために新鮮な現像液を追加する代わりに、補充液を加えることができる。補充液は、アルカリ剤の濃度が、使用される新鮮な現像液中のアルカリ剤の濃度と比べて高いこと、また、他の成分の濃度が新鮮な現像液中の濃度と同じであるかこれよりも高くてよい点で、新鮮な現像液とは適切に異なる。
前駆体を現像液と接触させた後、前駆体上に残った過剰な前記現像液が、例えば絞りローラーによって除去され、水などのような液体による前駆体の洗浄/すすぎも可能である。
本発明において使用される現像液は、特に限定されないが、非画像領域を除去することができるいかなる現像液も使用でき、通常、現像液は水性アルカリ性溶液である。前記水性アルカリ性現像液は、6を超えるpH、好ましくは8〜14のpHを得るために、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物、または炭酸塩もしくはリン酸塩を含むことができる。現像液は、任意選択的に、少量の有機溶剤、界面活性剤、増粘剤、染料、着臭剤、ポリマー、オリゴマー、酸化防止剤、およびこれらの混合物を含んでもよい。
現像に関して記載したいかなる実施態様も、上記または下記の本発明の任意の好適な実施態様と組み合わせことができる。
一実施態様によれば、非画像領域を除去するとともに版にガム引きをもたらすことができるツー・イン・ワン(2−in−1)現像液が使用される。この実施態様において、現像液は以下に詳しく記載するナノ粒子と、ガム引き溶液について以下に記載するような親水性の皮膜形成性ポリマーとを含む。
可能な代替的な画像形成法
基材を全体的にコーティングし、その後に非画像領域を像様露光および現像により除去する代わりに、平版印刷版の印刷画像領域を基材に像様に適用して露光および現像の必要性を無くすこともできる。
さらに、ポジ型サーマル版を、IRレーザー線に像様に暴露することによって、非画像領域のアブレーションをもたらすことが可能であり、その場合、現像工程を必要としない。
かかるタイプの版を、本発明に従うナノ粒子含有組成物によるガム引きにかけてもよい。
ガム引き処理
本発明に従う画像形成された平版印刷版(像様露光と現像によるか、または基材に印刷領域を像様適用することにより得られる)のガム引き処理の場合、ナノ粒子を含有するガム引き組成物を調製する。この溶液を、次に、通常のコーティング方法、例えば、スポンジによる手動適用、ディップコーティング、ローラーコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレードまたはスクイージングロールによるコーティング、およびスロットコーターによるコーティングなどを使用して適用される。このプロセスで使用される組成物は、好ましくは20〜90℃の温度を有する。本発明に従うガム引きは、版現像機(「プロセッサー」)のガム引きセクションで実施することもできる。ガム引き組成物の粘度に特に制限はないが、その粘度はコーティングプロセスの選択に影響を及ぼす(逆の場合も同じ)。
ガム引き組成物により処理された印刷版を、次に、例えば、空気中、または熱風ドライヤーもしくは赤外線ドライヤーにより乾燥させる。乾燥は、好ましくは20〜120℃、特に好ましくは20〜80℃で実施される。
画像形成直後、すなわち印刷版を印刷のために使用する前に、ガム引き溶液を印刷版上に適用することができる。このようにすると、印刷版が画像形成直後に印刷のために使用されずにある時間保管される場合に、印刷版の表面が保護される。
ガム引き溶液は、すでに印刷に使用された印刷版上に適用することもできる。これは、印刷機を長時間、例えば週末にかけて停止する場合に特に推奨される。
ガム引き厚さは、通常、最大で3μmである。適用法、ガム引きの固形分および版のタイプに応じて、ガム引きの湿量は約50〜500mg/mである。
ガム引きされた印刷版は、それらを印刷機に(再び)取り付けて印刷のために使用する前に数ヶ月間保管することができる。実際的な用途で、ガム引きされた印刷版は、通常、約一週間保管される。
ガム引き処理に関して記載したいかなる実施態様も、本発明の他の側面に関する上記または下記の本発明の任意の好適な実施態様と組み合わせることができる。
水性ガム引き組成物
本発明に従う方法で使用されるべきガム引き組成物は、水と、界面活性剤および皮膜形成性ポリマーから選ばれた少なくとも1つとを含む。好ましい実施態様によると、ガム引き組成物は、少なくとも1種の親水性の皮膜形成性ポリマーと少なくとも1種の界面活性剤を含む。

水道水、脱イオン水または蒸留水を使用できる。水の量は、ガム引き組成物の総質量を基準にして、好ましくは45〜98質量%、特に好ましくは50〜95質量%、特に好ましくは80〜95質量%の範囲内である。
ナノ粒子
本発明に従ってガム引き組成物(またはツー・イン・ワン(2−イン−1)現像液)に使用される粒子(「ナノ粒子」ともいう)は無機物であり、そのため、有機ポリマー粒子を含まない。さらには、この粒子は非金属である。
さらに、有用な粒子は、「不活性」である、つまり、有意な表面反応性(表面反応性基)を持たない。そのため、粒子は、ガム引き組成物のその他の成分または画像形成された印刷版の像様コーティングの成分のいずれとも有意な程度で反応しない。かかる反応性は、本発明の望ましい特性を得るのに必要でない。
適用されたガム引き組成物を乾燥後、粒子は一般的に離散粒子である、つまり画像形成された印刷版の表面全体にわたって粒子が均一に分散されている。一般的に、集塊化または凝集はほんのわずかである。かかる均一な分散を達成するために、例えばボールミル、サンドミル、高剪断流動ミルまたは他の周知の混合技術を使用して、粒子をガム引き組成物とよく混合する。好適な添加剤を選択することによって、粒子の安定な分散体を望ましい割合で得ることができる。
無機、非金属、不活性粒子は、一般的に、約1nm〜約0.5μm、典型的には約10〜約350nm、好ましくは約100〜約300nmの平均粒径を有する。
本願において、平均粒径は平均等価直径であり、粒子の50質量%がより大きな等価直径を有し、その他の50質量%がより小さい等価直径を有する直径として定義される。従って、平均粒径はしばしば等価d50と表される。
一次粒子サイズは、例えば、分析しようとする生成物の電子写真を使用して決定される。例えば3000〜5000個の粒子の直径を半自動的に測定する。直径の測定の場合、外周の少なくとも半分が認識可能なものだけが一次粒子と見なされる。
現在まで、一次粒子サイズ分布を求めるための最も一般的な装置は、ENDTERおよびGEBAUERにより開発されたTGZ 3(粒度分析器)である。
本発明に従って使用されるナノ粒子は、シリカ、酸化アルミニウムまたは二酸化チタンから構成される。望ましいサイズを有するかかる粒子については、多くの商業的供給元がある。例えば、有用なシリカ粒子は、Aerosil R9200疎水性ヒュームドシリカとして、また、多くの水性分散体、例えばEvoniks製のWS 1824などとして入手できる。酸化アルミニウムの有用な粒子は、例えばAmerican Elements(カリフォルニア州ロスアンジェルス)から入手可能なA−Mite(登録商標)などとして入手でき、有用な二酸化チタン粒子は例えば米国特許第6,974,611号明細書(Sakatani他)に記載されている。
上記のナノ粒子は、先に述べたような2−イン−1現像液で使用することもできる。
ナノ粒子の量には特に制限はなく、好ましくは、ナノ粒子の量は、ガム引き組成物(または2−イン−1現像液)の総質量を基準にして、0.5〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
親水性の皮膜形成性ポリマー
好適なポリマーの例は、アラビアゴム、プルラン、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロースまたはメチルセルロース、(シクロ)デキストリンのようなスターチ誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、多糖のようなポリヒドロキシ化合物、アクリル酸、メタクリル酸またはアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルメチルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、ビニルアセテートと無水マレイン酸とのコポリマー、またはスチレンと無水マレイン酸とのコポリマーである。好ましいポリマーは、カルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸基またはこれらの塩を含むモノマー、例えば(メタ)アクリル酸、ビニルアセテート、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸およびアクリルアミドプロパンスルホン酸のホモポリマーまたはコポリマー、ポリヒドロキシ化合物およびスターチ誘導体である。
ポリヒドロキシ化合物およびスターチ誘導体が特に好ましい。スターチ誘導体は、水溶性、好ましくは冷水可溶性であり、そしてスターチ加水分解生成物、例えばデキストリンおよびシクロデキストリン、スターチエステル、例えばリン酸エステルおよびカルバミン酸エステル、スターチエーテル、例えばカチオン性スターチエーテルおよびヒドロキシプロピルエーテル、カルボキシメチルスターチ、およびアセチル化スターチから選択され、上記誘導体の中では、デキストリン(ナトリウムテトラボレートを含みEmsland Staerke GmbHからホウ砂デキストリンとして入手可能なデキストリンを含む)が好ましい。
スターチ誘導体のための出発生成物として使用されるスターチは、種々の起源のものであることができ、例えばトウモロコシ、ジャガイモ、ライ麦、小麦、米、マニオカ、タピオカ、クリまたはドングリから得ることができ、トウモロコシスターチおよびジャガイモスターチが好ましい。
好適な水溶性ポリヒドロキシ化合物は、下記構造(XV):
(CHOH) (XV)
により表すことができる。ここで、nは4〜7であり;そして
(i)Rは水素、アリール、またはCHOHであり;Rは水素、炭素原子数1〜4のアルキル基、CHOR(Rは水素、または炭素原子数1〜4のアルキル基である)、CHN(R)(RおよびRはそれぞれ独立に、水素、または炭素原子数1〜4のアルキル基である)、またはCOHであるか、
あるいは
(ii)RおよびRが一緒に炭素−炭素単結合を形成する。
かかる化合物は例えば欧州特許第1 868 036 A1号明細書に記載されている。
ポリヒドロキシ化合物の1つのグループとしては、糖アルコール、構造H(CHOH)Hの化合物が挙げられ、好ましい糖アルコールはマンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、およびアラビトールが挙げられ、例えばタリトール、ズルシトール、およびアロズルシトールも挙げられる。
別のグループのポリヒドロキシ化合物では、RおよびRは一緒に炭素−炭素単結合を形成し、構造(CHOH)(nは4〜7であり、好ましくは5または6、より好ましくは6である)の炭素環式化合物をもたらす。
別のグループのポリヒドロキシ化合物において、Rは水素、アリールまたはCHOHであり、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、CHOR(Rは炭素原子数1〜4のアルキル基である)、CHN(R)(RおよびRはそれぞれ独立にHまたは炭素原子数1〜4のアルキル基である)、またはCOHである。
別のグループのポリヒドロキシ化合物において、Rは水素またはCHOHであり、RはCOHである。より好ましくは、RはHであり、nは4または5である。このグループは、構造H(CHOH)COH(nは4または5である)のポリヒドロキシ化合物を包含する。
別の有用な親水性ポリマーは、
(m1)第1級、第2級および/または第3級アミノ基、および
(m2)−COOH、−SOH、−POおよびPOから選ばれた酸基、並びに
(m3)任意選択的に、アルキレンオキシド単位−(CHR−CH−O)−(各Rは独立にHまたは−CHを表し、pは1〜50の整数である)、
を含む。
親水性ポリマー中に存在する酸性官能基は、全て、遊離酸の形態をとっていることができ、あるいは、酸基の全てが塩の形態をとっているか、または、それの一部が遊離酸の形態をとっており、残りが塩の形態をとっていることができる。親水性ポリマーに関して酸性官能基に言及する場合、酸性官能基は、特に断らない限り、遊離酸基、塩、およびそれらの混合物を包含する。
任意選択的に、親水性ポリマーは、(m3)アルキレンオキシド単位−(CHR−CH−O)−(各Rは独立にHまたは−CHを表し、pは1〜50の整数である)を含む。アルキレンオキシド単位は、ポリマー主鎖中または側鎖中に存在することができ、例えば主鎖と酸基および/またはアミノ基との間にスペーサーとして存在することができる。
アミノ基は、直接またはスペーサーを介してポリマー主鎖に結合していることができ、好適なスペーサーは、例えばC1−C4アルキレン基である。このグループのポリマーでは、アミノ基がポリマー主鎖の炭素原子に直接結合していることが好ましく、例えば親水性ポリマーは下記式:
Figure 2012510391
(式中、RはHまたはCHであり、RおよびRはH、アルキル、アリールおよびアルキルアリールから独立に選ばれる)
により表されるアミノ基を有する構造単位を含む。
代わりに、アミノ基の窒素原子は側鎖の一部でないが、ポリマー主鎖の一部である。かかる親水性ポリマーは、例えば下記構造単位(A1):
Figure 2012510391
を主鎖に含む。ここで、Zは直鎖または分岐C−C(好ましくはC−C)アルキレン基であり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、フェニルまたは−X−AG(各Xは二価の直鎖状または分岐状の飽和または不飽和炭化水素(例えばC−Cアルキレンおよびアリーレン)、アルキレンオキシド(ポリアルキレンオキシドなど)、およびエチレンイミン(ポリエチレンイミンなど)から独立に選択される)を表し、各−AGは先に定義した酸基を独立に表す。(A1)中のアミノ基が末端アミノ基である場合に、先に定義した第2のRが存在し、さらなる第3のRが結合して第4級化窒素原子が存在していることも可能である。
スペーサーXは、好ましくはポリ(アルキレン)オキシドまたはポリ(エチレン)イミンである。
ポリマー分子中に1個よりも多くの単位(A1)が存在する場合に、各Zおよび各R2は先に示したものから独立に選ばれる。
酸基は、直接またはC1−C4アルキレンのようなスペーサーを介してポリマー主鎖の炭素原子に結合していてもよい。例えば、酸基を含むポリマーの構造単位は下記式:
Figure 2012510391
により表される。ここで、RはHまたはCHであり、Yは単結合またはスペーサーであり、AGは−COOH、−SOH、−PO、−PO、好ましくは−COOHから選ばれる酸基である。
好ましいスペーサーYは、アルキレンオキシド、ポリ(アルキレン)オキシド、ポリ(エチレン)イミン、開環ラクトン、開環ラクタム、開環酸無水物およびカルボン酸、並びにC2x(x=1〜6)であり、ポリ(アルキレン)オキシドスペーサーが特に好ましい。
代わりに、酸基は、スペーサーを介してアミノ基の窒素原子に結合していてもよく、その場合、窒素原子は上記単位(A1)に示されるようにポリマー主鎖の一部であり、さらに、単位(A1’):
Figure 2012510391
(式中、Z、XおよびAGは先に定義したとおり)
により例示される。
単位(m1)および(m2)を含む親水性ポリマーの例は、酸基AGを含むポリエチレンイミンまたはポリビニルアミンの誘導体である。
別のタイプの有用な親水性ポリマーは、以下の化合物から誘導された構造単位を含む:
(x1)ポリアルキレンオキシド鎖およびフリーラジカル重合可能である少なくとも1つの構造単位の両方を含む少なくとも1種の化合物、および
(x2)(x1)のフリーラジカル重合可能である構造単位と共重合可能であり、さらに、pK<5の官能基を少なくとも1個含む少なくとも1種のモノマー、ここで、酸性官能基が遊離酸基として、または塩の形態で存在することができ、好ましくは、酸性官能基はカルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基およびリン酸基並びにこれらの混合物から選択される。
任意選択的に、ポリマーは、モノマー(x1)および(x2)と異なる少なくとも1種のコモノマー(x3)から誘導された構造単位を含んでもよい。コモノマー(x3)は、ポリアルキレンオキシド鎖でもpK<5の官能基でもないフリーラジカル重合可能な基を少なくとも1個含む。コモノマー(x3)によって、例えばHO中での溶解度などの物理的特性を調節することができる。
化合物(x1)は、好ましくは、ポリエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド鎖を含む。本発明の構成において、接頭辞「ポリ」はオリゴマーも包含する。
化合物(x1)のフリーラジカル重合可能な構造単位は、好ましくは、アクリル酸および/またはメタクリル酸から誘導される。用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を包含し、これは、同様に、「(メタ)アクリレート」に当てはまる。
化合物(x1)の好適な例としては、
ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、
ポリ(エチレングリコール)アクリレート、
ポリ(プロピレングリコール)メタクリレート、
ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーとのアクリル酸またはメタクリル酸のモノエステル、
2,4−トルエンジイソシアネート末端ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、または統計的ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)コポリマーと、ヒドロキシアルキルアクリレートもしくはメタクリレート(例えばヒドロキシエチルアクリレートまたはメタクリレート)またはアリルアルコールとの反応生成物、
イソシアナトアルキルアクリレートまたはメタクリレート(特にイソシアナトエチルアクリレートまたはメタクリレート)と、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、または統計的ポリ(エチレングリコール−プロピレンオキシド)コポリマーとの単反応物;
ポリ(アルキレングリコール)アクリレートおよびメタクリレート(特にポリ(エチレングリコール)アクリレートおよびメタクリレート)のエステルまたはエーテル誘導体、が挙げられる。
化合物(x1)の好ましい例としては、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレートのアルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メタクリレートのアルキルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)アクリレートおよびポリ(プロピレングリコール)メタクリレート、並びにポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレートリン酸モノエステルが挙げられ、特に好ましいのは、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレートおよびポリ(プロピレングリコール)メタクリレートである。
モノマー(x2)の好適な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、C〜Cアルカノールで開環された無水マレイン酸、ビニル安息香酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、リン酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(特にヒドロキシエチルメタクリレートおよびヒドロキシエチルアクリレート)またはアリルアルコールとのモノエステル、リン酸とエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはプロピレングリコール(メタ)アクリレートとのモノエステル、リン酸とポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレートまたはポリ(プロピレングリコール)(メタ)アクリレートとのモノエステル、およびスルホプロピル(メタ)アクリロイルエチルジアルキルアンモニウムヒドロキシドが挙げられ、特に好ましいものは、(メタ)アクリル酸、ビニルホスホン酸、リン酸とヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレートのいずれかとのモノエステル、および(メタ)アクリロイルジメチル−(3−スルホプロピル)−アンモニウムヒドロキシドである。
任意のコモノマー(x3)の好適な例としては、(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−ピロリドン、ビニルアセテート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(特にヒドロキシエチルアクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレート)、アリルアルコールおよびN−ビニルイミダゾール、並びにこれらの混合物が挙げられる。
化合物(x1)、(x2)および任意選択の(x3)のモル比は、特に制限されない。好ましくは、(x1)から誘導される構造単位は、全ての構造単位を基準として、親水性ポリマーの5〜95質量%、特に好ましくは20〜80質量%を占める。好ましくは、(x2)から誘導された構造単位は、全ての構造単位を基準として、親水性ポリマーの5〜95質量%、特に好ましくは20〜80質量%を占める。好ましくは、(x3)から誘導された構造単位は、全ての構造単位を基準として、親水性ポリマーの0〜50質量%、特に好ましくは0〜30質量%を占める。
化合物(x1)、モノマー(x2)、および任意選択のコモノマー(x3)の共重合は好ましくは溶液中で行われる。これを目的として、有機溶剤または溶剤混合物、水、または水と、水と混和可能な有機溶剤との混合物を使用することができる。好ましくは、出発成分(x1)、(x2)および任意選択の(x3)、および生成物の両方がこの中に可溶性である。1つの態様によれば、無視し得る蒸気圧を有する溶剤(すなわち商業的に入手可能な浸透圧計によって蒸気圧を測定することはできない)、例えばイオン性液体が使用される(このような溶剤は、「グリーン・ソルベント」とも呼ばれる)。「グリーン・ソルベント」に関するより詳細な情報に関しては、ACS Symposium Series No. 856中のRobin D. RogersおよびKenneth R. Seddonによる「Ionic Liquids as Green Solvents: Progress and Prospects」およびPeter WasserscheidおよびThomas Weltonによる「Ionic Liquids in Synthesis」(Wiley-VCH 2003)を参照されたい。
本発明の一実施態様によると、ガム引き組成物は親水性ポリマーとしてデキストリンを含む。
上記の親水性の皮膜形成性ポリマーは、先に述べたような2−イン−1現像液で使用することもできる。
親水性の皮膜形成性ポリマーの量に特に制限はなく、好ましくは、親水性の皮膜形成性ポリマーの量は、ガム引き組成物(または2−イン−1現像液)の総質量を基準にして0〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%である。
界面活性剤
本発明において使用されるガム引き組成物は界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤は、それがフィニッシャーの他の成分と適合性があり、フィニッシャー液中に可溶性である限り特に制限はない。界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、両性、または非イオン性界面活性剤であることができる。
アニオン性界面活性剤の例としては、ヒドロキシアルカンスルホネート、アルキルスルホネート、ジアルキルスルホスクシネート、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、分岐アルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテルの塩、ナトリウムN−メチル−N−オレイルタウレート、モノアミドジナトリウムN−アルキルスルホスクシネート、石油スルホネート、硫酸化ひまし油、硫酸化タロー油、脂肪族アルキルエステルの硫酸エステルの塩、アルキル硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル、脂肪族モノグリセリドの硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルの硫酸エステルの塩、アルキルリン酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステルの塩、無水スチレンマレイン酸コポリマーの部分鹸化化合物、オレフィン−無水マレイン酸コポリマーの部分鹸化化合物、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、ナトリウムドデシルフェノキシベンゼンジスルホネート、アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、ジナトリウムメチレン−ジナフタレン−ジスルホネート、ナトリウムドデシル−ベンゼンスルホネート、(ジ)スルホン化アルキルジフェニルオキシド、アンモニウムまたはカリウムペルフルオロアルキルスルホネート、およびナトリウムジオクチル−スルホスクシネートが挙げられる。
これらのアニオン性界面活性剤の中で特に好ましいのは、アルキルナフタレンスルホネート、ジスルホン化アルキルジフェニルオキシド、およびアルキルスルホネートである。
非イオン性界面活性剤の好適な例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレン2−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、グリセリン脂肪酸の部分エステル、ソルビタン脂肪酸の部分エステル、ペンタエリトリトール脂肪酸の部分エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸の部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸の部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸の部分エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸の部分エステル、ポリオキシエチレン化ひまし油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸の部分エステル、脂肪族ジエタノールアミド、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、およびトリアルキルアミンオキシドが挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤の中で特に好ましいのは、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、およびポリオキシエチレン−2−ナフチルエーテルである。
さらに、フッ素系およびケイ素系のアニオン性および非イオン性界面活性剤を同様に使用することもできる。
両性界面活性剤は、例えば、N−アルキルアミノ酸トリエタノールアンモニウム塩、コカミドプロピルベタイン、コカミドアルキルグリシアネート、単鎖アルキルアミノカルボキシレートのナトリウム塩、N−2−ヒドロキシエチル−N−2−カルボキシエチル脂肪酸アミドエチルアミンナトリウム塩、およびカルボン酸アミドエーテルプロピオネートであり、好ましくはコカミドプロピルベタインである。
カチオン性界面活性剤の例は、テトラブチルアンモニウムクロリドおよびテトラメチルアンモニウムクロリドのようなテトラアルキルアンモニウムクロリド、並びにポリプロポキシル化第四アンモニウムクロリドである。
非イオン性、アニオン性、および両性界面活性剤、並びにこれらの混合物が好ましい。
上記界面活性剤のうちの2種または3種以上を組み合わせて使用することができる。界面活性剤の量(2種以上を使用する場合には界面活性剤の総量)には特に制限はないが、ガム引き組成物の総質量を基準として好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0.01〜8質量%である。
現像液のさらなる任意選択の成分
上記任意成分の他に、本発明において使用されるガム引き組成物は、さらなる添加剤、例えば有機溶剤、殺生物剤、錯化剤、緩衝剤物質、染料、消泡剤、着臭剤、腐食防止剤、増粘剤、酸性およびアルカリ性成分を含んでよい。
消泡剤:
好適な消泡剤としては、例えば、商業的に入手可能なシリコーン消泡剤エマルジョンSE57(Wacker)、TRITON(登録商標)CF32(Rohm & Haas)、AKYPO(登録商標)LF(エーテルカルボン酸Chem Y)、Agitan 190(Munzing Chemie)、TEGO(登録商標)Foamese 825(変性ポリシロキサン、TEGO Chemie Service GmbH、ドイツ国)が挙げられる。シリコーン系消泡剤が好ましい。これらは水中に分散性または可溶性である。現像液中の消泡剤の量は、ガム引き組成物の質量を基準として、好ましくは0〜1質量%であり、特に好ましくは0.01〜0.5質量%である。1種の消泡剤、または2種または3種以上のものから成る混合物を使用することができる。
緩衝剤:
緩衝剤物質としては、例えばトリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン(TRIS)、リン酸水素塩、グリシン、3−(シクロヘキシルアミノ)−プロパンスルホン酸(CAPS)、炭酸水素塩、ホウ砂などのホウ酸塩、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパン−スルホン酸(CAPSO)、および2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタン−スルホン酸(CHES)が挙げられる。
殺生物剤:
殺生物剤は、バクテリア、真菌および/または酵母に対して効果的なものであるべきである。好適な殺生物剤としては、例えばN−メチロール−クロロアセトアミド、安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、イソチアゾリノン誘導体、例えば1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンゾトリアゾール誘導体、アミジン、グアニジン誘導体、第4級アンモニウム塩、ピリジン、キノリン誘導体、ジアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾールおよびオキサジン誘導体、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの量に特に制限はないが、ガム引き組成物の総質量を基準として、好ましくは0〜10質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%を占める。1種の殺生物剤、または2種または3種以上のものから成る混合物を使用することができる。
錯化剤:
好適な錯化剤の例としては、アミノポリカルボン酸およびその塩、例えばエチレンジアミン四酢酸およびそのカリウムまたはナトリウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸およびそのカリウムまたはナトリウム塩、トリエチレンテトラアミノ六酢酸およびそのカリウムまたはナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸およびそのカリウムまたはナトリウム塩、ニトリロ三酢酸およびそのカリウムまたはナトリウム塩、1,2−ジアミノシクロヘキサン−四酢酸およびそのカリウムまたはナトリウム塩、および1,3−ジアミノ−2−プロパノール−四酢酸およびそのカリウムまたはナトリウム塩、および有機ホスホン酸、ホスホノアルカントリカルボン酸またはその塩、例えば2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸およびそのカリウムまたはナトリウム塩、ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸およびそのカリウムまたはナトリウム塩、ホスホノエタン−2,2,2−トリカルボン酸およびそのカリウムまたはナトリウム塩、アミノトリス−(メチレン−ホスホン酸)およびそのカリウムまたはナトリウム塩、およびナトリウムグルコネートが挙げられる。錯化剤は個別に、または2種または3種以上のものの組み合わせとして使用することができる。上記錯化剤の有機アミン塩を、そのカリウムまたはナトリウム塩の代わりに使用することができる。錯化剤の量は、溶液の総質量を基準として、好ましくはガム引き組成物中0〜5質量%、特に好ましくは0.01〜1質量%を占める。
溶剤:
現像液は、有機溶剤または有機溶剤の混合物を含んでもよい。現像液は単一相である。結果として、有機溶剤は、水と混和可能であるか、または少なくとも相分離が発生しないようにガム引き組成物に添加される程度にガム引き組成物中に可溶性でなければならない。下記溶剤およびこれらの溶剤の混合物が、現像液中で使用するのに適している:フェノールとエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドとの反応生成物、例えばエチレングリコールフェニルエーテル;ベンジルアルコール;エチレングリコールおよびプロピレングリコールと炭素原子数6以下の酸とのエステル、および炭素原子数6以下のアルキル基を有するエチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコールのエーテル、例えば2−エチルエタノールおよび2−ブトキシエタノール。単一の有機溶剤または有機溶剤の混合物を使用することができる。有機溶剤は、典型的には、ガム引き組成物の質量を基準として約0質量%〜約15質量%の濃度で、好ましくは約3質量%〜約5質量%の濃度でガム引き組成物中に存在する。
腐食防止剤:
腐食防止剤の例は、ホスホン酸およびこれらの塩、例えばヒドロキシエチルホスホン酸およびその塩、アミノトリスメチレンホスホン酸およびその塩、およびジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸およびその塩;リン酸塩、例えばリン酸三ナトリウム;ホウ酸塩、例えばホウ砂;並びにグリセロール、および式:
Figure 2012510391
(上記式中、zは0、1または2であり、R20およびR21は独立に水素またはC−Cアルキルである)
により表されるグリコールである。
腐食防止剤またはこのような腐食防止剤の混合物は、典型的には、ガム引き組成物の質量を基準として約0質量%〜10質量%の濃度で、好ましくは0.1〜5質量%、グリセロールまたはグリコールの場合には5〜10質量%でガム引き組成物中に存在する。
さらなる添加剤:
必要に応じて、着臭剤および染料が存在することが可能である。これらの染料は、現像液、補充液およびフィニッシャーのような異なる処理用化学薬品が同時に使用されるときに混乱が生じるのを防止するために添加される。使用することができる染料の部類の例は、アゾ染料、トリアリールメタン染料またはフタロシアニンである。ガム引き組成物中の染料の濃度は、ガム引き組成物を基準にして、典型的には0〜1質量%、好ましくは0.0005〜0.5質量%である。
ガム引き組成物中の他の成分の不快な臭気を相殺するために着臭剤を使用することができる。着臭剤の典型的な濃度は、ガム引き組成物を基準にして0.001〜1質量%である。
可能な代替的な処理法
代法として、2つの別個の処理工程で現像およびガム引きを行う代わりに、1つの工程で現像およびガム引きを行うことができる(「2イン1処理」ともいう)。それを行うには、親水性の皮膜形成性ポリマーを水性アルカリ性現像液に加えなければならず、一実施態様によると、現像液中に1種または2種以上の界面活性剤も存在する。かかる「2イン1処理」の場合に、親水性の皮膜形成性ポリマーは、好ましくは、例えば、上記の(x1)、(x2)および任意選択的に(x3)から誘導された構造単位を含むポリマーである。「2イン1処理」は、手動で、または商業的プロセッサーで実施できる。
2イン1処理が実施される場合、すなわち別個のガム引き工程がない場合、2イン1現像液中にナノ粒子が存在する。
以下の例で本発明をより詳細に説明するが、これらの例は決して本発明を限定するものではない。
用語解説
Sword Ultraは、オスターオーデ所在のKodak Graphic Communications製の商業用ポジ型サーマル印刷版である。
Aerodisp(登録商標)W1714は、Evonik(ドイツ国)から入手可能な固形分14質量%、d50=0.16μmのSiO水性分散体である。
Aerodisp(登録商標)W1824は、Evonik(ドイツ国)から入手可能な固形分24質量%、d50=0.2μmのSiO水性分散体である。
Aerodisp(登録商標)W1836は、Evonik(ドイツ国)から入手可能な固形分36質量%、d50=0.3μmのSiO水性分散体である。
850Sは、Kodak Graphic Communications製の商業用ガム引き組成物であり、当該ガム引き組成物は、とりわけデキストリン、界面活性剤および錯化剤を含むが、ナノ粒子を含まない。
IR染料1
Figure 2012510391
バインダー1: ベンジルメタクリレート/アリルメタクリレート/メタクリル酸(モル比20/60/40)のコポリマー。
モノマー1: 1部のNK−Ester BPE−200(メタクリル酸末端基を有するエトキシル化ビスフェノールA、Shin Nakamura/日本国から入手可能)と、Desmodur(登録商標)N100(3官能性イソシアネート、すなわちヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、Bayer/ドイツ国から入手可能)をヒドロキシエチルアクリレートおよびペンタエリトリトールアクリレートと反応させることにより得られたオリゴマー(オリゴマー中の2重結合の量:全てのイソシアネート基が反応した場合に、100g当り2重結合0.5個)のメチルエチルケトン中80%溶液3部の混合物。
Kayamer PM−2: 1モルのリン酸と1.5モルのヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル、Nippon Kayaku/日本国から入手可能。
ガム引き組成物および安定性
以下のガム引き組成物を調製し、ビーカー内に攪拌せずに1週間放置した後に分散体の安定性を評価した。
Figure 2012510391
ガム引きされた版の作製
版A〜C(プレヒートなしCtPサーマル版;ポジ型)
380×640mmの大きさを有し、版A、BおよびCと表すSword Ultra版を120mJ/cmで像様露光し、Mercuryプロセッサーにおいて23℃および1000mm/分でGoldstar Premium現像液中で現像した。版A〜CのそれぞれをそれぞれガムA〜Cによりガム引きした。
版1(比較)
版を対照ガム850Sによりガム引きしたことを除いて版A〜Cについて先に記載したように同様の版を作製して、これを版1とした。
版D(プレヒートなしネガ型デジタルサーマル版)
電気化学的に砂目立てされ陽極酸化された酸化物量3g/mのアルミニウム箔を、ポリビニルリン酸の水溶液を使用する後処理にかけた。表面の平均粗さは0.55μmであった。表2に対応するコーティング組成物を、フィルターにかけた後、ワイヤバーコーターにより基材に適用した。コーティングを90℃で4分間乾燥させた。コーティング量は1.4g/mであった。
Figure 2012510391
得られた試料に、ポリ(ビニルアルコール)(Air Products製のCelvol、88%の加水分解度を有する)の水溶液をワイヤバーコーターにより上塗りし、90℃で4分間乾燥させて、印刷版前駆体を得た。ポリ(ビニルアルコール)のコーティング量は1g/mであった。
このようにして得られた平版印刷版を、Kodak製のTrendsetter 3244(830nm)により像様露光した。水溶性オーバーコートを水で洗い落とした後、商業用Kodak 980現像液および上記のガムBを使用してMercuryプロセッサーにおいて現像およびガム引きした。
版2(比較)
版を対照ガム850Sによりガム引きしたことを除いて版Dについて記載したように同様の版を作製して、これを版2とした。
版E(デジタルUV感受性版、ネガ型)
電気化学的(HCl中)砂目立てされ陽極酸化された箔を、ポリビニルリン酸(PVPA)の水溶液により処理し、そして乾燥後、表3に記載の溶液をコーティングし、乾燥させた。
Figure 2012510391
溶液は、フィルターにかけ、平版印刷基材に適用し、90℃で4分間乾燥させた。フォトポリマー層の乾燥層質量は約1.5g/mであった。
得られた試料に、ポリ(ビニルアルコール)(Air Products製のAirvol 203、加水分解度:88%)の水溶液を適用することによって、オーバーコートでコートした。90℃で4分間乾燥後、オーバーコーとは約3g/mの乾燥層質量を有していた。
印刷版前駆体を、0.15〜1.95のトーン範囲を有するグレースケールを通して405nm用の金属干渉フィルターを有するタングステンランプで露光した。ここで、0.15(UGRAグレースケール)までの濃度インクリメント量は1μW/cmであった。露光直後に、版をオーブン内で90℃で2分間加熱した。
次に、露光された版を、以下の成分を含む現像液により30秒間処理した:
3.4質量部のRewopol NLS 28(登録商標)(REWOから入手可能)、
1.1質量部のジエタノールアミン、
1.0質量部のTexapon 842(登録商標)(Henkelから入手可能)
0.6質量部のNekal BX Paste(登録商標)(BASFから入手可能)
0.2質量部の4−トルエンスルホン酸、および
93.7質量部の水。
次に、タンポンを使用して現像液を表面上でさらに30秒間擦り込み、次に、版全体を水ですすいだ。この処理後、露光部分が版上に残った。次に、上記のガムBを使用して、Mercuryプロセッサーのガム引きセクションにおいて、版をガム引きした。
版3(比較)
版を対照ガム850Sによりガム引きしたことを除いて版Eについて記載したように同様の版を作製して、これを版3とした。
版F(プレヒートサーマル版、ネガ型)
電気化学的に砂目立てされ陽極酸化された酸化物量3g/mのアルミニウム箔を、ポリビニルリン酸の水溶液を使用する後処理にかけた。表面の平均粗さは0.55μmであった。表4に対応するコーティング組成物を、フィルターにかけた後、ワイヤバーコーターにより基材に適用した。コーティングを90℃で4分間乾燥させた。コーティング量は2.0g/mであった。
Figure 2012510391
得られた試料に、ポリ(ビニルアルコール)(Air Products製のCelvol、88%の加水分解度を有する)の水溶液をワイヤバーコーターにより上塗りし、90℃で4分間乾燥させて、印刷版前駆体を得た。ポリ(ビニルアルコール)のコーティング量は1.8g/mであった。
このようにして得られた平版印刷版を、Kodak製のTrendsetter 3244(830nm)により像様露光した。水溶性オーバーコートを水で洗い落とした後、商業用Kodak 980現像液および上記のガムBを使用してMercuryプロセッサーにおいて現像およびガム引きした。
版4(比較)
版を対照ガム850Sによりガム引きしたことを除いて版Fについて記載したように同様の版を作製して、これを版4とした。
擦過試験
ガム引きされた版から10cm×640cmのサイズを有する版のストリップを切り出し、擦過プローブとして使用した。ガム引きされた版の残りをコンベヤーに取り付けた。擦過プローブをガム引きされた版の前端上に載せ、金属ブロック(600g)で荷重をかけた。コンベヤーを始動させて、荷重のかかった擦過プローブをガム引きされた版上で引いた。次に、版を除去し、水ですすぎ、Protection Ink 304を手でインク付けした。次に、目に見える擦過傷の数を評価した。
顧客の側では、表側同士が互いに重なり合うように版を積層させるか、または裏側が表側と重なり合うように版を積層させるので、擦過試験は、ガム引きされた版を擦過するために印刷面を使用して行い、再び、ガム引きされた版を擦過するためにアルミニウム側(裏側)を使用した。
裏側を使用して行った擦過試験:
Figure 2012510391
表側を使用して行った擦過試験:
Figure 2012510391
ナノ粒子を有するガム引きを含む幾つか版で行った擦過試験から、ナノ粒子を含まない標準的なガム引き組成物850Sを使用した同じタイプの版と比べて、擦過傷の数が著しく少ないことがはっきり示された。
印刷性能
各ガムを有する版のそれぞれを、ブラックインク(Sun Chemical Offset S7184)が装填されたRoland 500印刷機に取り付けた。使用した水性湿し液は、Combifix−XL(Hostmann and Steinberg、ドイツ国)4%であり、これは10%のイソプロピルアルコールを含んでいた。
印刷機を始動させ、印刷版を湿し液で濡らすためにダンピングシステムを係合させた。数回転後、インキングシステムを係合させて200枚のコピーを印刷した。クリーンなバックグラウンドを印刷するのに必要としたシートの枚数、フルインク濃度を得るのに必要としたシートの枚数および全般的な画像品質について、印刷されたシートを評価した。1000枚のコピーを印刷後、印刷機を30分間停止し、次に、ダンピングを開始する前にまずインキングを再開した。クリーンな印刷物を得るのに必要としたシートの枚数を記録した。
ナノ粒子を含むガムを有する版の全てについて、印刷コピー上のクリーンなバックグラウンドまたは画像品質に及ぼす悪影響は認められなかった。

Claims (14)

  1. (a)平版印刷版前駆体を像様露光する工程;
    (b)任意選択的に、前記前駆体を露光後に現像する工程;
    (c)画像形成された平版印刷版前駆体に、シリカ、アルミナまたは二酸化チタンから構成された1nm〜0.5μmの平均粒度を有する無機の非金属不活性粒子を含む水性組成物を適用する工程;
    を含む、平版印刷版の耐擦過性を改善するための方法。
  2. 前記水性組成物が、少なくとも1種の皮膜形成性ポリマーをさらに含む水性アルカリ性現像液であり、露光された前駆体のコーティングの非画像領域が前記現像液を適用することにより除去される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記水性組成物が、界面活性剤および親水性の皮膜形成性ポリマーから選ばれた少なくとも1種をさらに含む水性ガム引き組成物であり、当該ガム引き組成物が、画像形成された平版印刷版に適用される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記水性組成物が、殺生物剤、消泡剤、着色剤、有機溶剤、緩衝剤および防腐剤から選ばれた少なくとも1種をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記無機の非金属不活性粒子が10〜350nmの平均粒度を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記現像液組成物中の前記無機の非金属不活性粒子の量が、当該現像液の全質量を基準にして2〜20質量%である、請求項2に記載の方法。
  7. 前記ガム引き組成物中の前記無機の非金属不活性粒子の量が、当該現像液の全質量を基準にして0.5〜20質量%である、請求項3に記載の方法。
  8. 前記ガム引き組成物が、アラビアガム、プルラン、セルロース誘導体、スターチ誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリヒドロキシ化合物、アクリル酸、メタクリル酸またはアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルメチルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、ビニルアセテートと無水マレイン酸とのコポリマー、スチレンと無水マレイン酸とのコポリマー、並びにアミノ基と酸基および必要に応じてアルキレンオキシド単位を含むポリマーから選ばれた親水性の皮膜形成性ポリマーを含む、請求項3に記載の方法。
  9. 画像形成された平版印刷版が、ガム引き組成物の適用に先立って、印刷のためにすでに使用される、請求項3に記載の方法。
  10. 画像形成された平版印刷版が、画像形成直後に前記ガム引き組成物により処理される、請求項3に記載の方法。
  11. 前記平版印刷版前駆体が赤外線感受性前駆体である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. (a)水、
    (b)少なくとも1種の親水性の皮膜形成性ポリマーおよび/または界面活性剤、
    (c)シリカ、アルミナまたは二酸化チタンから構成された1nm〜0.5μmの平均粒度を有する無機の非金属不活性粒子、および任意選択的に、
    (d)殺生物剤、消泡剤、着色剤、有機溶剤、緩衝剤および防腐剤から選ばれた少なくとも1種、
    を含む水性組成物。
  13. 平版印刷版の耐擦過性を改善するための、請求項1〜8および12のいずれか一項に定義される水性組成物の使用。
  14. (a)親水性表面を有する基材に画像領域を像様に適用する工程、および
    (b)得られた平版印刷版に、シリカ、アルミナまたは二酸化チタンから構成された1nm〜0.5μmの平均粒度を有する無機の非金属不活性粒子を含む水性組成物を適用する工程、
    を含む平版印刷版の耐擦過性を改善するための方法。
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